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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】配電アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20240110BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G06F1/20 D
G06F1/20 A
H05K7/20 W
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020552906
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 GB2019000052
(87)【国際公開番号】W WO2019186092
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】1804875.1
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520308112
【氏名又は名称】ザ セクレタリー オブ ステイト フォー フォーリン アンド コモンウェルス アフェアーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ニジンキーウィッツ ルディ
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0181314(US,A1)
【文献】特表2012-531056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンターにおいて少なくとも1つのコンピュータと共に使用する配電アセンブリ11であって、
少なくとも1つの熱に敏感な構成要素16を備えている少なくとも1つのコントローラ14と、
少なくとも1つの冷却装置17であって、前記冷却装置17は、冷却液19を収容するように形成されたケーシング18と、冷却液19の少なくとも一部は、少なくとも1つの前記コントローラ14及び/又は少なくとも1つの構成要素16から、前記ケーシング18の少なくとも1つの壁に向かって、熱を逃がすように移動させるための前記コントローラの少なくとも一部及び/又は少なくとも1つの構成要素16と接触するようになるように構成される、前記冷却液19の少なくとも一部とを備える、前記冷却装置17と、を備える、配電アセンブリ。
【請求項2】
前記ケーシング18の少なくとも一部は、前記配電アセンブリ支持構造12の外壁から離間され且つ別個である、請求項1に記載の配電アセンブリ。
【請求項3】
前記コントローラ14及び/又は前記構成要素16は、前記冷却液19に実質的に浸されている、請求項1又は2に記載の配電アセンブリ。
【請求項4】
前記ケーシング18内に収容されている冷却液19の量は、使用中は、一定のままである、請求項1乃至3の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項5】
前記冷却液19は、前記ケーシング18内に密閉するようにシールされている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項6】
前記冷却液19は、非導電性流体である、請求項1乃至5の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項7】
前記冷却液19は、鉱物油である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項8】
前記ケーシング18の少なくとも一つの壁は、熱伝導性材料を備える、請求項1乃至7の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項9】
前記ケーシング18の少なくとも一つの壁は、前記ケーシング18の壁の表面積を増大させるように内面及び/外面から離れるように延びる少なくとも1つの突出部23、24を備える、請求項1乃至8の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項10】
ートシンク、前記ケーシング18の前記少なくとも1つの壁の少なくとも一部と熱伝導するように位置決めされる、請求項1乃至9の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項11】
気移送手段26、流体タイトシール27により前記ケーシング18の壁を通って通過するように構成される、請求項1乃至10の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項12】
さらに、前記ケーシング内の冷却液の流れを増加させるための流体撹拌器をさらに備える、請求項1乃至11の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項13】
前記流体撹拌器は、流体ポンプを含む、請求項12に記載の配電アセンブリ。
【請求項14】
前記コントローラ14及び/又は前記構成要素16における使用中の作動温度は、前記冷却液19の沸点よりも低い値のものである、請求項1乃至13の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項15】
前記コントローラの動作を可能にするユーザインターフェースが備えられている、請求項1乃至14の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項16】
電気移送手段は、前記ユーザインターフェース15と前記コントローラ14との間の電気的な通信をもたらすように、前記ユーザインターフェース15と前記コントローラ14との間に延び、前記電気移送手段の少なくとも一部は、前記冷却液19を通過するようになっている、請求項15に記載の配電アセンブリ。
【請求項17】
遠隔の位置から前記コントローラ14へのアクセス及び制御を可能にする前記ユーザインターフェース15上に位置決めされた少なくとも1つのコネクタをさらに備える、請求項15又は16に記載の配電アセンブリ。
【請求項18】
前記コネクタは、RJ45接続ケーブル又はUSBを備える、請求項17に記載の配電アセンブリ。
【請求項19】
前記ユーザインターフェース15は、前記ケーシング18に隣接して配置され、さらに断熱層28は、前記ケーシング18の外面と前記ユーザインターフェース15との中間に形成される、請求項15乃至18の何れか1項に記載の配電アセンブリ。
【請求項20】
前記冷却装置17と、前記コントローラ14と、前記ユーザインターフェース15との組合せは、支持構造体内の開口部内に位置決めされている、請求項19に記載の配電アセンブリ。
【請求項21】
配電アセンブリによって電力供給されるコンピュータと共に使用するための冷却の方法であって、前記配電アセンブリ11は、少なくとも1つの熱に敏感な構成要素16及び冷却液19を備える少なくとも1つのコントローラ14を収容するための少なくとも1つのケーシング18を有し、少なくとも1つの前記コントローラ14の少なくとも一部及び/又は少なくとも1つの構成要素16は、前記冷却液19と接触するようになるように構成され、
前記方法は、
前記冷却液19を介して、少なくとも1つの前記コントローラ14及び/又は少なくとも1つの構成要素16から、前記ケーシング18の少なくとも1つの壁に、熱を逃がすように移動させるステップを備えている、方法。
【請求項22】
少なくとも1つの前記コントローラ14及び/又は少なくとも1つの前記構成要素16は、前記冷却液19内に浸されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ケーシング18内に前記冷却液19を密閉するようにシールするステップを備える、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記ケーシング18の少なくとも一つの壁は、熱伝導性材料を備え、前記方法は、さらに、前記ケーシング18の内部から前記ケーシング18の外部まで前記熱伝導性材料を介して熱エネルギーを伝達させるステップを備える、請求項21乃至23の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ケーシング18の少なくとも一つの壁と熱的に結合することにより、前記ケーシングの少なくとも一つの壁から、少なくとも一つのヒートシンクに向けて熱エネルギーを取り去るステップをさらに備える、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの前記コントローラ14及び/又は少なくとも1つの前記構成要素16から、前記冷却液19を介して、前記ケーシングへの熱エネルギーの移送を増加させるように、前記冷却液を撹拌させるステップをさらに備える、請求項21乃至25の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
サーバであって、少なくとも1つのコンピュータと、請求項1乃至20の何れか1項に記載の少なくとも1つの配電アセンブリ11とを備える、サーバ。
【請求項28】
請求項27に記載の少なくとも1つのサーバを備えるデータセンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電アセンブリ、特に、高密度汎用コンピュータにおいて使用するための配電アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータが使用中であるとき、コンピュータは熱を発生させることはよく知られている。この熱は、ファン又はその他の冷却技術の手段によってコンピュータから逃がされるように分散される。多数のコンピュータが垂直に積み重ねられた配置構成で配置されている場合、たとえばデータセンターのラックでは、ラックの背部にある排気領域への温度上昇が著しく大きくなる。従って、これにより、コンピュータの信頼できる動作を保証するために、コンピュータを収容しているスペースを冷却する必要が生じる。しかしながら、例えばデータセンターにおけるコンピュータの冷却はエネルギーを消費するため、環境への影響が著しく大きくなる可能性がある。さらに、機器の冷却は非常に高価になる可能性があり、ユーザにとって望ましくないものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1つの解決策は、データセンターの液浸冷却を利用することであり、これにより、ITハードウェアが非導電性の液体に直接浸され、非導電性の液体が液体の対流の手段によってコンピュータから熱を逃がすように移動させる。しかしながら、機器が非導電性液体及びコンピュータを収容するための冷却タンクの設置を含む著しい物理的変更を必要とするため、標準的なデータセンターを浸漬冷却に適合させるように改変することは非常に高価となっている。さらに、コンピュータはかさばる機械式リフト機器を備えたタンクに設置されなければならない。そのような装置は、追加の健康と安全の懸念をもたらすことになり、例えば液体のこぼれにより表面を滑りやすくさせる可能性を生じる結果となる。タンクが重く、データセンターにおける貴重なスペースを占めるという事実をさらに考慮すると、液浸タンクの必要性を排除することが望ましいことが明確であり、なぜなら、これによりコンピュータの増加された数に必要なスペースを解放でき、これにより重い機器やスピルバッグ(こぼれた液体を受けるバッグ)を持ち上げる必要性を取り除くことができ、これにより動作のセットアップを有益に単純化させることができる。
【0004】
コンピュータ装置の継続的な発展により、コンピュータ装置はより丈夫且つ効率的になり、これらの内部構成要素はこれまでよりも高い温度で動作できる。
【0005】
データセンター用のASHRAE(登録商標)エネルギー基準が、最終的に環境に利益をもたらすものとなる最小のエネルギー効率を満たすことに関する良好な作業の実施を奨励するために整えられている。
【0006】
コンピュータ装置の増加された温度回復性を反映するために、ASHRAE基準を満たすために必要なコンピュータ記憶領域内の温度は、近年着実に増加してきており、コンピュータ装置がさらにより大きな回復性を有するにつれ、将来さらに増加されることが予想される。
【0007】
ラックに広く設置されているコンピュータは、一般的に、電源タップ又は配電ユニットを介して主電源に電気的に接続される。電源タップはますます高度な知的判断機能を有するようになっており、必要な数のソケットや他のコネクタで形成されるだけでなく、ネットワーク機能やポート切り替え機能を可能にし、並びにコンピュータ及びコンピュータが収容されている部屋のパラメータをモニタするためのセンサを含むことができる能力があるコントロールユニットも備えている。
【0008】
コンピュータの高密度化の要求が現実化すると、コンピュータと電源タップとの間に接続されている関連ケーブルの数が必然的に増加し、電源タップにもたらされる温度も増加する。
【0009】
現在のシステムでは、コンピュータは、高密度の汎用コンピュータ、例えばデータセンターを収容するスペースの作動条件に対する制約となる。しかしながら、システムが進化するにつれて、電源タップの制御構成要素がシステム上の将来の制約になることが予見される。ソケットは温度上昇の影響を受けないが、ソケットに隣接する、又は制御ユニット内に位置決めされている特定の構成要素、例えばリレーは温度に敏感であり、所定の温度閾値を超えると信頼性が低下する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の実施形態は、上記の課題および要望の少なくともいくつかに取り組むことを意図している。特に、制御ユニットに関連するリレーの一貫して且つ信頼性の高い動作を保証するため、配電アセンブリに収容される熱に敏感な構成要素の冷却を可能にしながら、現在広く存在しているデータセンターインフラストラクチャを利用する手段が提供される。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、データセンタ内の少なくとも1つのコンピュータと共に使用するための配電アセンブリであって、少なくとも1つの熱に敏感な構成要素を備えている少なくとも1つのコントローラと、少なくとも1つの冷却装置であって、前記少なくとも1つの冷却装置は、ケーシングと、非導電性流体とを含み、冷却液の少なくとも一部は、少なくとも1つのコントローラ及び/又は少なくとも1つの構成要素から、熱を逃がすように移動させるための前記コントローラの少なくとも一部と接触するようになるように構成される、前記少なくとも1つの冷却装置とを備える、配電アセンブリが提供される。
【0012】
そのような装置は、必要に応じて、既存の標準データセンターインフラストラクチャや他の高密度汎用コンピュータインフラストラクチャに適用できる。コントローラはその最も単純な形態では単一の構成要素、例えば回路基板上に位置決めできるリレーであり、又は実際にはコントローラは熱に敏感であるリレー構成要素を組み込んだより複雑な回路であってもよい。リレーは、例えば、配電アセンブリ上に位置決めされた電源ソケットの動作を制御できる。目的は、配電アセンブリが位置決めされているスペース又は部屋内の動作温度に対して脆弱である配電アセンブリのコントローラ内に位置決めされている全ての熱に敏感な構成要素を保護することである。これは、配電アセンブリ上のさまざまな位置に位置決めされた(ケーシング及び流体を備える)いくつかの冷却アセンブリがあってもよいことを意味している。いくつかの例において、十分な量の熱エネルギーを脆弱な構成要素から離れるように移動させるために、コントローラ及び/又は構成要素の一部のみが流体と接触するようになる必要がある。熱エネルギーは、流体の対流によって逃がされるように移動される。
【0013】
冷却液とコントローラ及び/又は熱に敏感な構成要素との両方がケーシング内に位置決めされている。
【0014】
ケーシングの壁は、配電アセンブリの支持構造の主要構造とは分離され且つ別個となっている。代替的に、少なくとも、ケーシングの少なくとも2つの壁は、配電アセンブリの主要構造とは分離され且つ別個である。これにより、配電アセンブリのメイン構造によって作られる中空構造(ボイド構造)とは別の分離され且つ別個の中空構造領域(ボイド構造領域)を作ることを可能にする。これにより、既存の装置と比較して、冷却効果が適用される体積を減少させるため、電源タップのコントローラに、より目標を絞った冷却技術を提供する。
【0015】
構成要素は、非導電性流体に実質的に浸漬されてもよい。これにより、最大化された冷却効果が提供され、脆弱な構成要素の温度低下を最適化できる。
【0016】
非導電性流体は、ケーシング内で密閉するようにシールされている。これにより、流体の蒸発又は漏洩がないことが保証される。
【0017】
ケーシングの少なくとも1つの壁は、熱伝導性材料を含むことができる。従って、熱エネルギーは、流体からケーシングの少なくとも1つの壁に移されることができ、それにより、熱エネルギーを熱に脆弱な構成要素から取り除くのを助けることができる。ケーシング内に収容される冷却液の量は一定のままである。これは、流体がケーシングにシールされているからである。ケーシングの内部において対流効果を引き起こすわずかな温度差がもたらされたとしても、冷却液の圧力と体積は実質的に一定のままである。
【0018】
ケーシングは、ケーシングの壁の表面積を増大させるように、ケーシングの内面及び/又は外面から延びる少なくとも1つの突出部を備えることができる。これは、熱に敏感な構成要素から熱エネルギーを逃がすように移動させることを促進させることができる。
【0019】
ヒートシンクは、熱的なつながりを介してケーシングの少なくとも一部と熱的に連通して位置決めされてもよい。ヒートシンクは、対流で循環される流体とケーシングの壁との間で熱エネルギーを連続的に移動させるようにでき、熱エネルギーをケーシングから除去するのを助けることもできる。これにより、また、ケーシングの過熱を防ぐことができる。
【0020】
電気伝達手段は、流体密封シールを介してケーシングの壁を通過するように形成されることができる。リレーは保護される必要があるが、リレーはそれらの役割も実行できる必要があり、リレーは、例えばセンサ等の配電アセンブリに位置決めされたソケット又はその他の電気的手段の作動状態の切り替えを可能にするように、回路に接続される必要がある。
【0021】
配電アセンブリは、ケーシング内の冷却液の流れを移動させる又は増加させるための流体攪拌器をさらに備えていてもよく、例えば、流体攪拌器は、ポンプ、又は置換可能な機械的構成要素、例えば回転子の形態をとり得る。これらの攪拌器は、熱に敏感な構成要素から熱を逃がすような移動を助けることができる。
【0022】
使用中、コントローラにおける動作温度は、非導電性流体の沸点よりも低い値であってもよい。これにより、流体の沸点に到達することがなく(大気圧の場合)、システムが単相状態のままになることが保証される。
【0023】
コントローラの操作を可能にするためのユーザインターフェースが提供されていてもよい。ユーザインターフェースは、現場でアクセスしやすくできると共に、ボタン、又はユーザに所望の操作条件、例えばポートの切り替えを設定できるようにするタッチスクリーンを収容できる。
【0024】
電気伝達手段は、ユーザインターフェースとコントローラとの間の電気的な連絡を提供するようにユーザインターフェースとコントローラとの間に延びることができ、それにより、電気伝達手段の少なくとも一部が流体を通過するようになっている。電気伝達手段はワイヤであってもよい。ワイヤは、冷却液の漏れを防ぐようにシール装置を介してケーシング壁を通過しなければならず、流体が密閉されるシールが維持されることが確保される。
【0025】
断熱層は、ケーシングの外面とユーザインターフェースとの中間に構成されてもよい。これにより、ケーシングの壁に伝達される熱がユーザインターフェイス(これは熱に敏感な構成要素を含む可能性がある)に伝わることが許されなくなる。もちろん、部屋の温度がケーシングの温度より高い場合、この断熱層は必要とされない。実際、断熱層は取り外し可能であり、それを適用するかそうでないかの選択をユーザーにもたらすことが想定されている。さらに、断熱層の選択および構成は、自動化でき、さらに、感知されたパラメータ、例えばケーシングの温度と比較したときの部屋の温度、に依存し得る。断熱材は、火災安全規制を厳守しなくてはならず、例えば、ハロゲンフリーナイロン等のハロゲンフリープラスチックが適切な素材になるであろう。
【0026】
配電アセンブリは、遠隔地からのコントローラのアクセス及び制御を可能とするために、ユーザインターフェース上に位置決めされた少なくとも1つのコネクタをさらに含み得る。コネクタは、RJ45接続ケーブル又はUSBを備えていてもよい。これにより、配電アセンブリの動作特徴を選択したり、又は配電アセンブリの動作条件を監視したりするために、操作者が現場にいる必要がなくなることを保証できる。
【0027】
インターフェースは、ケーシングに隣接して配置されるが、ケーシングとは分離して且つ別個に配置されてもよく、断熱層は結果として必要とされなくてもよい。
【0028】
冷却装置、コントローラ、及びユーザインターフェースの組み合わせは、支持構造内で位置決めされた開口部内に位置決めされてもよい。支持構造は、例えば、ねじ又は他の既知の固定手段によって共に固定されることができる2つの共動可能な部品で形成された細長い押し出し鋼製ボックスであってもよい。支持構造は、ラックアセンブリ又は他の適切なコンピュータ支持構造に取り付けられるように構成されてもよい。
【0029】
流体は、液体、例えば鉱油であってもよい。液体はガスよりもよりよい熱移動特性を有することが知られ、鉱油はこの冷却用途に必要な優れた電気絶縁特性を有することが示されている。
【0030】
サーバは、前述の特徴のいずれを組み込んだ少なくとも1つのコンピュータ及び少なくとも1つの配電アセンブリを備えることができる。データセンターは、少なくとも1つの前述のサーバを含むことができる。
【0031】
本発明の他の実施形態では、配電アセンブリによって電力供給されるコンピュータと共に使用するための冷却の方法がもたらされ、配電アセンブリは、少なくとも1つの熱に敏感な構成要素及び冷却液を備えるコントローラを収容するための少なくとも1つのケーシングを有し、コントローラの少なくとも一部及び/又は構成要素は、冷却液と接触するようになるように構成され、前記方法は、前記冷却液を介して、前記コントローラ及び/又は構成要素から、ケーシングの少なくとも1つの壁に、熱を逃がすように移動させるステップを備える。
【0032】
前記方法は、さらに、非導電性流体を含むことができる冷却液中にコントローラが浸されることを含んでもよい。
【0033】
前記方法は、さらに、ケーシングが少なくとも1つの熱伝導壁を有することを含んでもよい。ケーシング内部からの熱エネルギーは、少なくとも1つの熱伝導壁を介してケーシングの外部に伝達される。
【0034】
前記方法は、ヒートシンクによってケーシングから熱エネルギーを除去することをさらに含むことができる。ヒートシンクは、熱リンクを介してケーシングの少なくとも1つの壁に熱的に結合されている。
【0035】
前記方法は、少なくとも1つのコントローラ及び/又は構成要素と、ケーシングとの間の(冷却液を介した)熱エネルギーの移動を増加させるように非導電性冷却液を攪拌することをさらに含むことができる。
【0036】
本発明は上記で説明してきたが、本発明は、上述の記載、又は以下の発明の詳細な説明、図面、又は特許請求の範囲に記載されている特徴の発明の組み合わせにまで及ぶ。例えば、本発明の任意の1つの態様に関連して説明された任意の特徴は、本発明の任意の他の態様に関連しても開示されていると理解される。
【0037】
添付の図面を参照して、例示としてのみ本発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】従来技術の配電ユニットの概略図である。
図2】上記アセンブリの一態様による配電ユニットの概略図である。
図3図2の冷却装置及びユーザパネル装置の概略図である。
図4】本発明の第2の態様による配電ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
最初に図1を参照すると、コンピュータのアレイ(図示せず)の後部までのラックに配置される電源タップ(配電ストリップ)1が示されている。アレイの前部には、アレイを通してアレイの背部までの空気通路を可能とする空気入口が配置されている。空気のこの通路は、コンピュータアレイを冷却するために使用される。背部から吹き出される空気は、コンピュータアレイの前部にある空気入口に通される空気よりもより高い温度の空気となる。熱された空気は、電源タップが配置されている領域に排出される。電源タップは、2つの協働可能なパーツ2a、2bで形成される細長い鋼製押し出し成形部で形成され、一方側に少なくとも1つのソケットを有するパネルが配置されている。ソケットは、電源タップの製造時に選択されるさまざまなタイプのものにすることができ、要求に応じてさまざまな配置で設けられる。電源タップ1が押し出し成形された鋼製支持構造2で形成されるものであることは一般的である。電力ケーブル3は、主電源4、例えば部屋(図示せず)に位置決めされた協働可能な主ソケットによって受けいれられるプラグ、から電力を伝達する。電力は、電源ソケット5a、5b、5c、5dによってコンピュータに伝達される。電源タップ1は、また、制御されるべきコンピュータのネットワーキングを可能とし、且つ要求されたように複数のポートの切り替えを可能にする制御ユニット6又はマイクロコンピュータを含む。
【0040】
マイクロコンピュータ又は制御ユニット6は、マイクロプロセッサ及びメモリ(図示せず)を含む。ユーザインターフェース7は、マイクロコンピュータ又は制御ユニット6を制御し、電源タップ1、コンピュータアレイ及びその周辺機器と関連する構成要素(図示せず)の動作及び感知をプログラムすることをユーザに可能とするために使用される。マイクロコンピュータ又は制御ユニット6は、細長い鋼製押し出し成形部2に位置決めされた開口(図示せず)内に位置決めされている。ユーザディスプレイ8は、電源タップ1の動作特性を示し、ボタン9又は他の切換手段は、所望の動作特徴を選択するためにユーザに使用されることができる。さらに、制御ユニット6は、USB10を介して遠隔操作できる。
【0041】
使用時に、支持構造の内側に位置決めされるマイクロコンピュータは、局所的な加熱を経験し、信頼性を失う可能性がある。電源タップは、空気又は別の流体を電源タップの外部又は内部を通させることによって積極的に冷却されることができる。
【0042】
図2は、本明細書に記載される本発明による電源タップ(パワーストリップ)11を示している。支持構造12は、2つの協働可能なパーツ12a、12bで形成される細長い鋼製押し出し成形部によって設けられると共に、例えば、プラスチック例えばハロゲンフリープラスチック(図示せず)で形成される電気的に絶縁するエンドキャップによって終端されている。パネルは、細長い鋼製押し出し成形部の協働可能なパーツの一方の一方側において配置される。ソケット13a、13b、13c、13dはパネル上に位置決めされ、ソケットのタイプ及びそれらの位置は製造時に予め決定されている。
【0043】
支持構造体12はまた、例えば、コンピュータアレイ、ラック、ソケット13a、13b、13c、13d及びデータセンター自身の感知及び管理等の高度な特徴を提供する制御ユニット14又はマイクロコンピュータを受け入れるための開口部(図示せず)を含む。コントローラは、ユーザインターフェース15を介してラックにおいて管理することができ、或いは、選択肢として、ユーザが遠隔地からコントローラに命令を送ることができるように無線トランシーバ(図示せず)を利用できる。制御ユニット14又はマイクロコンピュータは、マイクロプロセッサ及びメモリ(図示せず)並びにデータセンター内のコンピュータの所望の特徴のインテリジェント制御を可能にする他の電子コンポーネントを含む。
【0044】
制御ユニット14のリレー16は特に温度に敏感であり、温度閾値を超えた場合には、リレー16は信頼性を失う可能性がある。このため、特に電源タップ11の内側に位置決めされた熱に敏感な構成部品を特に冷却するための冷却装置17がそこには含まれている。冷却装置は、例えば金属で形成された熱伝導性ケーシング18を備え、これは非導電性流体として記載される冷却液19を内部に収容する。図2において、冷却液19は、高い誘電強度を有し、及び対流を可能にする適切な粘度を有する液体である。流体19で満たされているケーシング18内の空間は、気密にシールされると共に、流体19内で温度差が形成されるときに対流を可能にする。従って、この装置は、流体中の分子の比較的大きな運動による熱エネルギー伝達を可能にする。ケーシング18a、18b、18c、18dの壁は熱伝導性であり、したがって、より高温の容積流体がケーシング18a、18b、18c、18dの壁と接触するとき、熱エネルギーが周囲環境に外向きに伝達される。
【0045】
従って、重要なことには、熱伝導性であるケーシングの壁によって提供される密閉された囲い内に位置決めされた冷却液内に熱に敏感な構成要素を部分的に又は全体的に浸すことによって冷却効果がもたらされる。
【0046】
電力は、主プラグ21によって終端される電力ケーブル20を介してスマート電源タップに供給される。
【0047】
図3を参照すると、対流する流体とケーシング18の導電性材料との間の接触領域を最大化させ、従って、液体19から外部環境への熱伝達及び/又はヒートシンクの含有物との熱伝達を最大化させるように、ケーシング18a、18b、18c、18dの壁の表面積は、フィン23、24、又はチャネルを利用することにより増加されている。この技術は熱交換器の分野においてよく知られている。従って、熱エネルギーは、電源タップ11内に位置決めされた温度に敏感な構成要素から離れるように移動される。冷却装置は、熱エネルギーをコンピュータアレイ(図示せず)の後部領域に排出できるように構成される。ソケット13a、13b、13c、13dは、この熱伝達方法の結果としてもたらされる増加した熱に対して回復性がある。
【0048】
周知の従来の冷却流体は水又は水グリコールを含むが、この構成で使用される流体19は不燃性及び電気絶縁体であることが重要であり、よって、この実施形態では鉱油が使用される。適切な市販製品は、76°Cの沸点を有する3M社のNovec7200(登録商標)であり、単相冷却装置を提供するように、液体19が沸騰しないことを保証するため70℃までの動作温度で使用される。さらに、液体19は、液体19が蒸発しないようにシールされたユニット内に位置決めされる。すべての温度値は1気圧において得られている。このような冷却液の鉱油の使用により、構成要素間のより効率的な熱伝達、及び、囲い体の熱伝導性本体を介した周囲環境又はヒートシンクへの熱の続いて起こる伝達を可能とできる。この熱は、電源タップの外面を介してさらに伝達される。
【0049】
通常はリレーに悪影響を与えるサーバの背部における熱は、リレーが液体中に覆われて収容されることにより、スマート電源タップのコントローラのリレーに到達するのが防がれる。リレーへの加熱は、流体19に効率的に移され、ケーシング18の壁を介して外方に伝達される。
【0050】
上述の所定の特性を有する液体19を使用することにより、電気移送手段、例えばケーブルが液体19を通過して延び、電力移送、検知されたデータの移送、他の電気信号又は制御指令を、制御ユニット14に伝えることができることをより確実にできる。従って、ワイヤ26及びケーブル20は、コントローラの構成要素に到達する前に、ケーシング8及び流体19を通過しなければならない。このことは、ワイヤやケーブル等がケーシング18の壁18aを通過するとき、ワイヤ26又はケーブル20の導入点の周りに適用されるシール27、27’、例えばガスケット又はOリングを必要とすることになり、これにより、ケーシングからの流体19の漏れを防ぎ、さらに、ケーシング18の内部が密閉されてシールされることを確実にさせる。
【0051】
図3においてより詳細に示されているユーザインターフェース15は、ディスプレイパネルの形態であり、ケーシング18の外面18a上に位置決めされている。非熱伝導層28、例えばハロゲンフリーのプラスチック材料、この実施例ではハロゲンフリーのナイロンは、パネル内の構成要素を、ケーシング18からの熱エネルギーから保護するように、ユーザーインターフェースパネルの隣接する側の部分と、ケーシング18の間にサンドイッチ状に挟まれている。
【0052】
ディスプレイパネルは、固定手段、例えばねじ(図示せず)によりケーシングに取り付けられる。
【0053】
液体19の粘性は、液体19の効率的な対流を可能にし、傷つきやすい領域、すなわちリレー16から熱が移動されることを確実にさせるように選択される。適切な粘性範囲は0.7~0.8cStである。
【0054】
コンピュータがより高い温度に対してより高い回復力を有するようになるので、本発明の電源タップ11は、電源タップ11がデータセンター(特に、より大きな熱が生み出される高出力密度のコンピュータを有する大規模データセンター)の最適な動作に対する制約をもたらさないことを保証する。この配電アセンブリ11は、既存のデータセンターインフラストラクチャに適用でき、むしろ、電源タップの情報処理機能を持つ構成要素に焦点を当てることにより、コンピュータアレイ用の過剰なアクティブ冷却構成要素の必要性を軽減させ、より環境に優しい設備を提案する。
【0055】
従って、本発明は、スマート電源タップの使用を必要とする高度コンピュータデータセンターにおける増大された出力密度の要求を満たすように、向上された冷却の解決出段を提案する。
【0056】
上記の原理への様々な変更が、当業者に示唆されている。例えば、流体19は、代替の熱伝導(及び電気絶縁)流体により置き換えられることができ、例えば、流体19は液体テフロンに基づくことができる。流体19の対流のみに依存するよりもむしろ、加熱された流体19の動きは、冷却液の流れを増やして、熱された流体/冷却液と熱交換器との間の効率的な接触を提供することにより、装置の実効値及び効率をさらに向上させるように、ポンプ(図示せず)又は他の知られた攪拌手段(図示せず)によって制御されることができる。
【0057】
さらに、単相技術(それにより、流体は常に液体状態のままである)は、必要に応じて二相技術(図示せず)で置き換えることができ、それにより、流体は、液体リザーバ及びガスを受け入れるためのリザーバの上の空間を含む。本発明の第2実施形態では、流体19の沸点は、単相技術に使用される沸点よりも低くなるように選択され、液体の一部を沸点まで加熱することにより、液体19の一部を沸騰させ、結果としてガスを生じさせ、冷却させたガスを液体状態に再凝縮させる凝縮器(たとえば、金属コイル)と接触することになるスペースに内にガスが貯蔵され、凝縮されたガスは液体リザーバに落下して戻る。
【0058】
支持構造12は、他の剛性があり且つ導電性の材料、例えば、所望の他のタイプの金属、炭素繊維及び複合材料で形成されることができる。
【0059】
図2図3及び図4に示されるような本発明の冷却装置17は、電源タップ11の一体化された部分であり、製造の時点で挿入されている。共に取り付けられている第1の部分及び第2の部分を備えた改良可能な装置が、既存の電源タップの関連する領域の周囲に適用可能であると認識されるが、シールが成功裏に実施される必要があり、そこでは、後付け可能な冷却装置が、その上に含まれているボタン29にユーザをアクセスさせることをより確実にできるようにユーザインターフェイスパネルの側端と接触する。
【0060】
上述の発明においては、リレー16は、配電アセンブリ11の支持体12上に位置決めされた中央ユニット14である制御ユニットと同じ場所を共用するように配置される。しかしながら、標準的なシステムでは、リレー16は、ソケット13a、13b、13c、13dに隣接して位置決めされることができ、したがって、冷却が、配電アセンブリ11の支持構造12の長手に沿って延びることを要求され、すなわち、図4に示すような単一の延長リザーバが設けられていてもよく、複数の冷却リザーバが個々のリレーの各々に適用されてもよい。これらの両方の場合において、リザーバは、リレー19とソケット13a、13b、13c、13dとの間の電気的な接触を可能とするように、前述のように流体リザーバ19内から外部領域への電気ケーブル20又はワイヤ26の通路を可能にすると共に、リザーバは密封するようにシールされる。
【0061】
代替構成においては、リレー16は、配電アセンブリ11の中央コントロールユニット14とは分離され且つ別個にされている領域、及び中央コントロールユニット14から間隔を隔てて離れた位置で、回路基板上に共同して配置されてもよい。この代替実施形態においては、ケーシングは、リレー回路基板(図示せず)を囲むように構成されている。
従って、単一の冷却装置が設けられていてもよく、又は配電アセンブリ11内に、冷却リザーバ19内への回路の格納を表すいくつかの領域があってもよい。
【0062】
代替実施形態においては、別の電気絶縁流体19、例えば、空気又は真空が適用できるが、液体装置が、より大きな熱伝導率を提供し、製造および保守の複雑さを低減させるので、液体装置が好ましい。
【0063】
データセンターで使用される絶縁層28は、ハロゲンフリーナイロンである必要はなく、代わりにポリフェニレンスルファイド(PPS)又はハロゲンフリー液晶ポリマー(LCP)又は同じ性質を有する他の適切な材料であってもよい。
【0064】
ユーザーインターフェイスハードウェアによって制御される代わりに、コントローラは、ケーブル、光ファイバー、銅線、又は無線を介してIP(インターネット)ベースのネットワークを使用して制御されることができることを繰り返し述べておく価値がある。
【0065】
冷却効果が、構成要素を収容する小さな領域にのみ向けられていることが重要である。これにより、より大きな大きさの領域を冷却するために典型的に使用され、且つ、電源タップの内部を通して又は外面に沿って空気を成功裏に強制的に流すために大量の電力が必要となる、よく知られた強制空気又は他の流体装置を使用する必要性を軽減させる。流体がケーシング内に留まり、伝導の効果と対流の効果とを組み合わせることにより構成要素から熱を取り除くことは有益である。囲い体は、電源タップハウジングそれ自体を形成しない少なくとも1つの壁によって設けられる。従って、ケーシングは、スマート電源タップハウジングそれ自体とは分離され且つ別個であると述べられることができる。
図1
図2
図3
図4