(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】自動インフレータ用ボビン
(51)【国際特許分類】
B63C 9/18 20060101AFI20240110BHJP
B63B 7/08 20200101ALI20240110BHJP
【FI】
B63C9/18 Z
B63C9/18 A
B63B7/08 Z
(21)【出願番号】P 2020554454
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(86)【国際出願番号】 US2019025928
(87)【国際公開番号】W WO2019195642
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513044256
【氏名又は名称】ハルキー-ロバーツ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Halkey-Roberts Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ヘルナンデス
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0124209(US,A1)
【文献】特開昭55-051696(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0007133(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0000550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 9/18 - 9/19
B63B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動インフレータ
のためのボビンアセンブリであり、前記ボビンアセンブリは、組み合わせとして、
概ね円
筒状の壁と、
ボビンの長手方向の軸を中心として
リング状に配置され、各アームが前記軸と平行に配置される、リング状に配置された複数のアームと、
を有し、
各前記アームは一体成形ヒンジによって、前記円
筒状の壁の周縁に旋回できるように接続され、
少なくとも1つの前記アームは、前記ボビンの長手方向の軸に向かって延在し、バネ仕掛けアクチュエータピンを「発射可能」位置に保持するように、前記自動インフレータの前記バネ仕掛けアクチュエータピンのヘッドを保持する直径を有する環状シートを形成する半径方向のシートを含み、
前記ボビンアセンブリは、さらに、
前記ボビンの長手方向の軸を中心として、前記軸に平行な位置に配置された前記アームを保持し、前記環状シートは前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドを保持するように前記直径を維持し、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを前記「発射可能」位置に保持するように、前記円
筒状の壁のルーメンと、前記リング状に配置された複数のアームとの間に配置されたトロイダルなピルと、
前記アームの少なくとも1つの隣接した対を相互接続して(interconnecting)、前記対を形成した前記アームが一緒に、それぞれの前記一体成形ヒンジを通じて、外側に旋回できる、ウェブと、
を有し、
水に浸されると、前記ピルが溶解し始め、前記ピルが前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドを保持する前記アームを前記位置に保持できなくなり、よって前記ヘッドを解放し、前記バネ仕掛けアクチュエータピンの作動をもたらすまで、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを前記「発射可能」位置に保持し、
少なくとも1つの前記アームは、前記アームに付加的な剛性を設けるため、前記アームの長さに沿って、前記アームの前記一体成形ヒンジ側の端部から延在するバットレス(buttress)を含み、
前記ウェブ(web)は、それぞれの前記バットレス(buttress)の高さと略同じ高さで、隣接する前記アームの間で一体的に延在する、
ボビンアセンブリ。
【請求項2】
前記バットレス(buttress)が、前記リング状に配置された複数のアームの長さ上に前記ピルが押し出される距離を制限する、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項3】
前記アームが、前記リング状に配置された複数のアーム上における前記ピルの自動的な中心出しおよび押出を容易にする面取りされた端部を含む、請求項2に記載のボビンアセンブリ。
【請求項4】
前記ピルが水に溶解すると、前記リング状に配置された複数のアームは、前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドの圧力下でそれぞれの前記一体成形ヒンジを通じて、半径方向外側に曲がることができ、それぞれの前記半径方向のシートは、前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドのための前記環状シートを形成しなくなるような増大した直径まで広がり、よって、前記
自動インフレータを作動させる前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドを解放する、請求項3に記載のボビンアセンブリ。
【請求項5】
前記ピルは、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを保持するように、前記平行な位置に前記アームを保持する強度を有する、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項6】
前記ピルは、前記アームが半径方向外側に曲がり、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを解放することができるように、水に露出されると溶解可能である、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項7】
8本の前記アームを含み、4つの前記隣接した対を形成したアームを形成し、各対を形成したアームはそれぞれの前記ウェブ(web)によって相互接続されている(interconnected)、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項8】
少なくとも1つの前記ウェブ(web)の構造は薄く、前記リング状に配置された複数のアームの外側湾曲と一致するように弧状に湾曲した、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項9】
前記ボビンは一体的に成形されている、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項10】
自動インフレータ
のためのボビンアセンブリであり、前記ボビンアセンブリは、組み合わせとして、
概ね円
筒状の壁と、
ボビンの長手方向の軸を中心として
リング状に配置され、各アームが前記軸と平行に配置される、リング状に配置された複数のアームと、
を有し、
各前記アームは一体成形ヒンジによって、前記円
筒状の壁の周縁に旋回できるように接続され、
少なくとも1つの前記アームは、前記ボビンの長手方向の軸に向かって延在し、バネ仕掛けアクチュエータピンを「発射可能」位置に保持するように、前記自動インフレータの前記バネ仕掛けアクチュエータピンのヘッドを保持する直径を有する環状シートを形成する半径方向のシートを含み、
前記ボビンアセンブリは、さらに、
前記ボビンの長手方向の軸を中心として、前記軸に平行な位置に配置された前記アームを保持し、前記環状シートは前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドを保持するように前記直径を維持し、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを前記「発射可能」位置に保持するように、前記円
筒状の壁のルーメンと、前記リング状に配置された複数のアームとの間に配置されたトロイダルなピルと、
前記アームの少なくとも1つの隣接した対を相互接続して(interconnecting)、前記対を形成した前記アームが一緒に、それぞれの前記一体成形ヒンジを通じて、外側に旋回できる、ウェブと、
を有し、
水に浸されると、前記ピルが溶解し始め、前記ピルが前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドを保持する前記アームを前記位置に保持できなくなり、よって前記ヘッドを解放し、前記バネ仕掛けアクチュエータピンの作動をもたらすまで、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを前記「発射可能」位置に保持し、
8本の前記アームを含み、4つの前記隣接した対を形成したアームを形成し、各対を形成したアームはそれぞれの前記ウェブ(web)によって相互接続されている(interconnected)、
ボビンアセンブリ。
【請求項11】
自動インフレータ
のためのボビンアセンブリであり、前記ボビンアセンブリは、組み合わせとして、
概ね円
筒状の壁と、
ボビンの長手方向の軸を中心として
リング状に配置され、各アームが前記軸と平行に配置される、リング状に配置された複数のアームと、
を有し、
各前記アームは一体成形ヒンジによって、前記円
筒状の壁の周縁に旋回できるように接続され、
少なくとも1つの前記アームは、前記ボビンの長手方向の軸に向かって延在し、バネ仕掛けアクチュエータピンを「発射可能」位置に保持するように、前記自動インフレータの前記バネ仕掛けアクチュエータピンのヘッドを保持する直径を有する環状シートを形成する半径方向のシートを含み、
前記ボビンアセンブリは、さらに、
前記ボビンの長手方向の軸を中心として、前記軸に平行な位置に配置された前記アームを保持し、前記環状シートは前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドを保持するように前記直径を維持し、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを前記「発射可能」位置に保持するように、前記円
筒状の壁のルーメンと、前記リング状に配置された複数のアームとの間に配置されたトロイダルなピルと、
前記アームの少なくとも1つの隣接した対を相互接続して(interconnecting)、前記対を形成した前記アームが一緒に、それぞれの前記一体成形ヒンジを通じて、外側に旋回できる、ウェブと、
を有し、
水に浸されると、前記ピルが溶解し始め、前記ピルが前記バネ仕掛けアクチュエータピンの前記ヘッドを保持する前記アームを前記位置に保持できなくなり、よって前記ヘッドを解放し、前記バネ仕掛けアクチュエータピンの作動をもたらすまで、前記バネ仕掛けアクチュエータピンを前記「発射可能」位置に保持し、
少なくとも1つの前記ウェブ(web)の構造は薄く、前記リング状に配置された複数のアームの外側湾曲と一致するように弧状に湾曲した、
ボビンアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2018年4月6日に出願された米国仮特許出願、出願番号第62/653,999号に基づく利益を主張し、出願の開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、救命ボート、救命胴衣等の膨張可能な物品のための自動インフレータに関する。より詳細には、本発明は、水に浸されると自動的に作動されるインフレータに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、個人浮揚装置(救命胴衣、浮き輪、馬蹄形浮き袋)、救命ボート、浮き(ブイ)、緊急信号装備等の膨張可能な物品を膨らませるように設計された多くの形式のインフレータが存在する。手動のインフレータは、典型的には、二酸化炭素等の圧縮されたガスのカートリッジのネックを受けるための本体を備える。往復運動する穿孔ピンは、インフレータの本体内に配置され、カートリッジの破れやすいシールを突き刺し、圧縮されたガスをインフレータのマニホールドアセンブリ内に、そして、膨らませる物品内に流入させることを可能にする。典型的には、手動で移動可能な発射レバーが穿孔ピンに操作的に接続されており、ボールストラップを引くと、穿孔ピンがガスカートリッジの破れやすいシールを突き刺す。米国特許第3,809,288号は、開示が参照により本明細書に組み込まれ、手動インフレータの特定の一実施形態を示している。
【0004】
手動インフレータは適切に稼働する一方、緊急事態において、墜落した飛行士、負傷者または船から水中に落ちた者等、膨張可能な装置による援助を必要とする者は、インフレータを手動で作動させることに失敗しまたは作動させることができないことが、早い段階で判明した。よって、このような緊急事態において、インフレータを自動的に作動させるための手段が設けられているべきだとわかった。
【0005】
先行技術による手動インフレータの判明した欠点に対して、水によって作動される自動インフレータが開発された。水に浸されると、インフレータの穿孔ピンが自動的に作動され、よって、膨張可能な装置の膨張を引き起こす。水によって作動される典型的な自動インフレータは、水によって作動されるアクチュエータを備える。アクチュエータは、「ボビン」と呼ばれる水に破壊されるまたは溶解可能な要素を含み、ボビンは、バネ仕掛けのアクチュエータピンを発射可能位置で、穿孔ピンと位置を合わせて、保持する。水に露出されると、ボビン内に含まれる溶解可能な「ピル」は、すぐ溶解し始め、全てが破壊され、破壊されると、ピルは、バネ仕掛けアクチュエータピンを発射可能位置内に保持する能力を失う。よって、バネ仕掛けアクチュエータピンは解放され、その発射可能位置から、中間伝達ピンにより直接的にまたは間接的に穿孔ピンを打つための作動された位置に強制的に移動させる。穿孔ピンを打つと、ピンはカートリッジのシールを破壊し、その中に収容されたガスが膨張可能な装置を膨らませるために装置内に流入することができる。
【0006】
代表的なインフレータ用自動アクチュエータは、米国特許第3,059,814号、第3,091,782号、第3,426,942号、第3,579,964号、第3,702,014号、第3,757,371号、第3,910,457号、第3,997,079号、第4,223,805号、第4,267,944号、第4,260,075号、第4,382,231号、第4,436,159号、第4,513,248号、第4,627,823号、第5,076,468号、第5,601,124号、第5,685,455号、第5,562,233号、第5,370,567号、第5,333,756号、第4,488,546号、第5,694,986号内に開示され、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
溶解可能なピルを備える自動インフレータの欠点は、空気中の過剰な湿気にピルをさらすことによって、緊急でない状況において、ピルが時期尚早に破壊する傾向である。湿度から受ける影響を最小限に抑えるため、様々な設計および化学的組成を有するボビンピルが使用されてきた。
【0008】
逆に、ボビン内のピルの湿気耐性を向上させる試みは、冷水(即ち、凍結温度付近の水)への溶解に対して過剰な耐性を有するピルの組成および構成をもたらすことがある。冷水への溶解に対する耐性は、遅れた作動をもたらす。遅れた作動は、水中に浸された後、自動インフレータが自動的に素早く(即ち、数秒以内に)発射することを要する用途において望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、米国特許第6,705,488号および第7,572,161号の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。これらは、自動インフレータ用のボビンのためのピルの様々な構成を開示し、水中に沈められるとピルが溶解するように充分な溶解性を維持しつつ、意図しないまたは時期尚早な作動を引き起こす湿気に対する影響の受けやすさを抑制することを求める。
【0010】
よって、本発明の目的は、先行技術の装置の前述の欠点を克服する改善を提供することにあり、膨張の分野の推進に重大な貢献である改善を提供する。
【0011】
本発明の他の目的は、自動インフレータ用の湿気耐性を有するボビンであり、湿度によって、緊急でない状況において、望まれることなく、時期尚早に自動インフレータを作動させ得る多湿環境から影響を受けにくいボビンを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、凍結温度付近の冷水内に沈められた後、素早く作動する自動インフレータ用の寒冷気候に適したボビンを提供することにある。
【0013】
これらの目的は、意図された発明のより顕著な特徴および用途のいくつかを単に例示すると解釈されるべきである。本開示の範囲内で、開示された発明を異なる方法で適応するか、または本発明を改造することで、多くの他の有益な結果が達成され得る。よって、他の目的および本発明のより包括的な理解は、添付の図面と併せて請求項によって定義される本発明の範囲に加えて、本発明の概要および望ましい実施の形態の詳細な説明を参照して得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、添付の図面に示される特定の実施の形態とともに、添付の請求項によって定義される。本発明を要約する目的で、本発明は、水によって作動される自動インフレータ用の湿気耐性を有し、寒冷気候に適したボビンを備える。自動インフレータは、自動インフレータを時期尚早に作動させ得る多湿気候条件から影響を受けにくい一方、ボビンのピルの凍結温度付近の冷水への溶解にかかる時間を最小限にする。
【0015】
先行技術のボビンは、ボビンの軸と概ね平行に延在し個別に旋回するアーム(例えば、8本のアーム)の崩壊可能な環状リングをその内部に有する円状のハウジングを備える。トロイダルな、溶解可能なピルは、個別に旋回するアームのリングの周りに配置され、アームをその崩壊していない、概ね平行な位置に保持し、外側に崩壊することを防止する。個別に旋回するアームは、それぞれ内側に延在する半径方向の段差を含み、併せると、発射可能位置内にバネ仕掛けアクチュエータを保持する環状のシートを形成する。水中に沈められたピルの溶解によって、それぞれの個別に旋回するアームおよびそれらの段差は、アクチュエータの一定の圧力下で、もはやボビンの軸に対して平行でない位置に、外側に個別に旋回することができる。アームが外側に旋回することによって、それぞれの段差は同様に外側に移動し、アクチュエータを保持できなくなるまで環状のシートの直径を拡大させる。よって、バネ仕掛けアクチュエータを解放(即ち、発射)し、ガスカートリッジの破れやすいシール内に穿孔ピンを押し込む。
【0016】
典型的に、先行技術のボビンのピルは、望ましい構成に圧縮された結晶セルロース(例えば、FMCコーポレーション1735マーケットストリート、フィラデルフィア、PA、19103によって製造されるAvicel(登録商標)PH-102)および促進剤(例えば、AcDiSol促進剤)を有する。この組成は、圧縮強度を最大化しつつ、多湿気候条件による水分に対して耐性を有する、という特徴のため選択される。ピル内に粉末を圧縮する方法は、多湿気候条件に対するピルの耐性を向上される薄膜に似ている外側表面を生成する。湿度に対するピルの耐性を向上させ、圧縮力を増加させるため、セルロース粉末に化学添加物を組み合わせてもよい。
【0017】
本発明のボビンは、同様に、発射可能位置内にバネ仕掛けアクチュエータを保持するために、溶解可能なピルによってある位置に保持される旋回するアーム(例えば、8本のアーム)の崩壊可能な環状リングを含む。しかしながら、先行技術のボビンと異なり、本発明においては、隣接する旋回するアームの一つ置きの対は、相互接続された(interconnecting)ウェブ(web)によって互いに接続される。よって、先行技術の場合のように個別にではなく、隣接する対としてのみ外側に旋回することができる。例えば、環状のリングを形成する8本の旋回するアーム1-8を有するボビン内において、アーム1と2、3と4、5と6および7と8は、それぞれ、ウェブ(web)を通じて相互接続され(interconnected)、相互接続された(interconnected)旋回するアームの4つの対を形成する。ピルを溶解するために水中に沈められると、対を形成している相互接続された(interconnected)旋回するアームは、それぞれのウェブ(web)を通じて相互接続されている(interconnected)ため、バネ仕掛けアクチュエータの圧力下で、対となって一致して一緒に外側に旋回し、よってバネ仕掛けアクチュエータを発射する。
【0018】
本発明を実施する最良の形態において、上記で説明したように隣接する旋回するアームをウェブ(web)することが望ましいことが判明した。しかしながら、他のウェブされた(webbed)構成も可能であると認められる。例えば、8本のアームを有するボビンにおいて、アーム1と2、4と5および7と8はウェブ(web)を通じて相互接続されて(interconnected)もよく、ウェブ(web)されていないアーム3および6は自由に個別に旋回できる。他の例として、8本のアームを有するボビンにおいて、アーム1と2および5と6は互いにウェブ(web)され、ウェブ(web)されていないアーム3、4、7および8は自由に個別に旋回できる。
【0019】
先行技術のボビンに対する本発明のボビンの試験は、凍結温度付近の冷水において、平均発射時間は5.70-7.34秒から1.92-2.01秒に改善されたことを示す。
【0020】
前述のことは、本発明のより適切なおよび主要な特徴をかなり広範に概説している。後続の本発明の詳細な説明は、先行技術に対する貢献をより完全に享受できるように提供する。本発明の追加の特徴は、以下で説明する。これらは、本発明の請求項の主体を形成する。発案と開示された特定の実施の形態とは、本発明と同じ目的を実現する他の方法および構造を改造または設計するための基礎として容易に使用してもよいと、当業者に認められる。このような同等な構造は、添付の請求項に記載される発明の精神および範囲から離脱しないと、当業者は理解されよう。
【0021】
本発明の性質および目的をより簡潔に理解するためには、添付の図面と併せて後続の説明を参照されよう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】様々な内部部品および互いに対する相対的な位置を示す例示的な自動インフレータアセンブリの長手方向の断面図である。
【
図2】ボビンの軸と概ね平行に延在する個別に旋回するアーム(例えば、8本のアーム)の崩壊可能な環状のリングを有する円状ハウジングを備える先行技術のボビンの下面透視図である。
【
図3】個別に旋回するアームをその崩壊していない概ね平行な位置に保持し、外側に崩壊することを防止するために、旋回するアームのリングの周りに配置されたトロイダルな溶解可能なピル(例えば、米国特許第7,572,161号)を示す2-2線に沿った
図2の断面図である。
【
図4】一つ置きの対の隣接した旋回するアームは相互接続された(interconnecting)ウェブ(web)によって互いに接続された本発明のボビンの上面透視図である。
【
図6】ピルが設置されていない本発明のボビンの下面図である。
【
図7】アームをその崩壊していない概ね平行な位置に保持し、外側に崩壊することを防止するために、旋回するアームのリングの周りに設置されたトロイダルな溶解可能なピルを有する本発明のボビンの下面図である。
【
図9】隣接したウェブされた(webbed)アームを示す、本発明のボビンの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
類似の参照番号は、複数の図面において、類似の部品を示す。
【0024】
米国特許第5,601,124から複製された
図1は、インフレータ本体12と、アクチュエータ本体アセンブリ14と、円柱状キャップアセンブリ16とを有する、例示的な先行技術の自動インフレータ10を示す。インフレータ本体12は、原則として符号18で示され、往復運動できるようにその中に配置された穿孔ピンアセンブリ20を受けるように寸法が決められた長手方向の中央ボアを有する。ガスを収容するカートリッジ22は、穿孔ピンアセンブリ20と位置を合わせて、インフレータ本体にネジ係合されている(threadably coupled)。
【0025】
穿孔ピンアセンブリ20は、端部26を有する穿孔ピン24と、シールガスケット28と、小さい圧縮バネ30とを有する。内部ネジ(thread)34とガスケット36とを有する一般的な金属インサート32は、インフレータ本体12内にその場で成形される。ガス収容カートリッジ22は金属インサート32内にネジ締めされる(threaded)。ガスカートリッジ22の破れやすいシールは、穿孔ピンアセンブリ20がカートリッジ22に向かって強制的に移動されるときに突き刺される。
【0026】
自動インフレータ10は、水に浸されるとすぐに自動的に、または手動で、発射されてもよい。手動のアクチュエータ手段は、一般的にL型形状のレバー38を含む。レバー38は、インフレータ本体12、レバー38の遠位部分に配置された孔42および中間伝達ピン46の第2溝部44を通過する旋回ピン40によって、旋回するようにインフレータ本体12に取り付けられている。旋回ピン40は、さらに、アクチュエータ本体アセンブリ14をインフレータ本体12に強固に固定する役割を果たす。
【0027】
レバー38の遠位端部48はカム延在部50を有する。ストラップハンドル52はレバー38に結ばれている。ストラップハンドル52が引かれると、カム延在部50は、穿孔ピンアセンブリ20の端部26を強制的に係合させ、よって、ガス収容カートリッジ22が突き刺される。
【0028】
アクチュエータ本体アセンブリ14は、一般的にアクチュエータ本体54と、アクチュエータピン55と、中間伝達ピン46と、典型的なOリング56と、ボビン58とを有する。重いバネ57は、アクチュエータピン55のヘッド55Hをボビン58に対して強制的に付勢する。
【0029】
図2-3でより明確に示されているように、例示的な先行技術のボビン58は溶解可能なピル60を含む。ボビン58は、概ね円柱状の壁66を有する。ボビン58の長手方向の軸を中心として、それに平行なリング内に配置される複数のアーム68は、一体成形ヒンジ70によって円柱状の壁66の周縁に個別に旋回するように接続される。
【0030】
各アーム68は、個別に、ボビン58の長手方向の軸に向かって延在する半径方向のシート72を含む。併せて、個別の半径方向のシート72は、バネ仕掛けアクチュエータピン55のヘッド55Hを拘束し保持するような寸法を有する直径を有する環状シートを形成する。よって、環状シートは、バネ仕掛けアクチュエータピン55を、バネ57の力に対抗して、「発射可能」位置に保持する。
【0031】
トロイダルなピル60は、ボビン58の長手方向の軸を中心として、それに平行に配置されたアーム68を保持するため、円柱状の壁66のルーメンとリング状のアーム68との間に配置されている。よって、アーム68の半径方向のシート72に形成される環状のシートは、バネ仕掛けアクチュエータピン55のヘッド55Hを拘束し保持するような寸法を有するその直径を維持でき、バネ仕掛けアクチュエータピン55を、バネ57の力に対抗して、「発射可能」位置に保持する。
【0032】
各アーム68は、アーム68の長さに沿って、アーム68の一体成形ヒンジ側の端部から延在するバットレス(buttress)76を含んでもよいことを留意する。バットレス(buttress)76は、アーム68に付加的な剛性を与え、アセンブリの際に、ピル60が、リング状のアーム68の長さ上に押し出される距離を制限する役割を果たす。さらに、各アーム68は面取り端部68CCを含んでもよく、リング状のアーム68上におけるピル60の自動的中心出しおよび押出を容易にする。
【0033】
アセンブリ後、ピル60が水中に溶解すると、リング状のアーム68は、バネ仕掛けアクチュエータピンのヘッド55Hの圧力下のそれぞれの一体成形ヒンジ70を通じて、個別に外側に半径方向に曲がることができる。アーム68が外側に曲がると、それらの半径方向のシート72は広がり、アクチュエータピン55のヘッド55Hのための環状シートを形成しなくなった増大した直径に到達し、バネ仕掛けアクチュエータピン55のヘッド55Hは解放され、伝達ピン46を通じて穿孔ピン20を作動させるため、バネ57の力によって強制的に移動される(即ち、アクチュエータ10は自動的に「発射」される)。
【0034】
ピル60は、バネ仕掛けアクチュエータピン55を保持するため、アーム68をその平行な位置に保持する充分な強度を有する必要がある一方、アーム68が半径方向外側に曲がることができ、アクチュエータピン55が発射できるよう、水に露出されると溶解できることが必要であると、認められる。
【0035】
本発明のボビン82は
図4-9内に示されている。本発明のボビン82は、先行技術のボビン58と類似する要素を含む。よって、統一性および明確性のため、
図4-9において、本発明のボビン82を説明する際に、先行技術のボビン58と関連して使用されるものと同じ参照符号を使用する。
【0036】
図4-9に示すように、本発明のボビン82は、一体成形ヒンジ70によって円柱状の壁66の周縁に旋回できるように接続された複数のアーム68を有し、概ね円柱状の壁66を有する。アーム68は、円柱状の壁66内に延在し、ボビン58の長手方向の軸を中心として、それに平行なリング内に配置される。よって、それぞれの半径方向のシート72は、バネ仕掛けアクチュエータピン55のヘッド55Hを拘束し保持するような寸法を有する直径を有する環状シートを形成する。よって、環状シートは、バネ仕掛けアクチュエータピン55を、バネ57の力に対抗して、「発射可能」位置に保持する。
【0037】
先行技術と異なり、アーム68は対を形成しており、各対の2つのアーム68はウェブ(web)84によって互いに相互接続されている(interconnected)。ウェブ(web)84によって相互接続され(interconnect)対を形成したアーム68は、先行技術のように個別にではなく、一緒にそれぞれの一体成形ヒンジ70を通じて外側に旋回する。
【0038】
示すように、8本のアーム68A-68Hを有するボビン82において、望ましくは、隣接するアーム68Aと68B、68Bと68D、68Eと68F、および、68Gと68Hは、対を形成し、それぞれのウェブ(web)84AB、84CD,84EFおよび84GHによって相互接続される(interconnect)。上記の本発明の概要で記載するように、本発明の精神および範囲から離脱することなく、他の対の配置を希望されてもよい。
【0039】
各相互接続された(interconnecting)ウェブ(web)(例えば、
図9にて84ABとして示す)は、望ましくは、バットレス(buttress)76と略同じ高さで、隣接するアーム(例えば、
図9にて68Aと68Bとして示す)の間で一体的に延在する。各相互接続された(interconnecting)ウェブ(web)84は、さらに、構造として薄く、リング状のアーム68の外側への湾曲と一致するように正確に湾曲していることが望ましい。また、相互接続された(interconnecting)ウェブ(web)を含むボビン82の全ての要素は、一体的に成形されていることが望ましい。
【0040】
予想外に、本発明の、ウェブされ(webbed)、相互接続された(interconnected)アーム68は、湿気の耐性を有するかつ冷水内で素早く溶解できるというピル60の能力を著しく向上させる。
【0041】
本発明は、添付の請求項および前記の説明に含まれているものを含む。この説明は、ある程度の詳細な事項でその望ましい形態において説明されているが、望ましい形態の本開示は例示に過ぎないと理解され、本発明の精神および範囲から離脱することなく、その構造、組み合わせまたは部品の配置の詳細に対する複数の変更に頼ってもよい。