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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】高周波における高性能プローブカード
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20240110BHJP
   G01R 1/06 20060101ALI20240110BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01R1/073 E
G01R1/06 D
H01L21/66 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020564127
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 EP2019062276
(87)【国際公開番号】W WO2019219638
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】102018000005444
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519046085
【氏名又は名称】テクノプローベ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェットーリ、リカルド
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-524855(JP,A)
【文献】特開2013-246153(JP,A)
【文献】特開平01-004042(JP,A)
【文献】特開2002-014137(JP,A)
【文献】特開2000-131342(JP,A)
【文献】特開2009-042008(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059138(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0187205(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0130785(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0137315(US,A1)
【文献】米国特許第04906920(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 1/06-1/073、
31/26-31/27、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの試験装置用のプローブカード(20)であって、
- 支持板(23);
- 被試験デバイスと前記支持板(23)との間で高周波信号を搬送するように構成された可撓性膜(24)であって、前記可撓性膜(24)がその周辺ゾーン(24b)を介して前記支持板(23)に接続された可撓性膜(24);
- 前記支持板(23)と前記可撓性膜(24)との間に配置された減衰構造(21)であって、前記減衰構造(21)が前記被試験デバイスへの当接を減衰させるように構成された減衰構造(21);および
- 第1の端(26a)と第2の端(26b)との間に延在している本体(26’)を備えた複数のマイクロコンタクトプローブ(26)であって、前記第2の端(26b)が、前記被試験デバイスの接触パッド(27)に当接するように構成された複数のマイクロコンタクトプローブ(26)
を備え、
前記減衰構造(21)と、前記マイクロコンタクトプローブ(26)の前記第1の端(26a)が、前記可撓性膜(24)の同じ接触ゾーン(24a)の第1の面(Fa)、および反対側の第2の面(Fb)それぞれと接触しており、
前記可撓性膜(24)が、前記接触ゾーン(24a)と、前記周辺ゾーン(24b)との間に配置され、それらに隣接する少なくとも1つの弱化ゾーン(24c)を含んでおり、前記弱化ゾーン(24c)が、前記可撓性膜(24)を機械的に弱化し、および前記可撓性膜(24)の変形可能性を局所的に増加させるように構成された少なくとも1つの弱化要素(28)を備え、
前記弱化要素(28)が、前記弱化ゾーン(24c)内の、前記可撓性膜(24)の、複数の切片の形態で、または少なくとも1つの非貫通スロットの形態で存在し、
前記可撓性膜(24)が、前記弱化ゾーン(24c)を通過する、前記支持板(23)に向けて前記接触ゾーン(24a)から延在している複数の導電トラック(29)を備え、
前記弱化要素(28)は、互いに離間する少なくとも2つのアームを前記弱化ゾーン(24c)内に画定し、
つの導電トラック(29)が、各々のアームに、前記接触ゾーン(24a)から前記周辺ゾーン(24b)に向けて延在している、電子デバイスの試験装置用のプローブカード(20)。
【請求項2】
前記複数の切片が、前記可撓性膜(24)の長手方向軸(H’-H’)に沿って互いに対して平行に延在している、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項3】
長手方向軸(H’-H’)に沿った、前記複数の切片(28)が、1mm~4mmの範囲に及ぶ、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項4】
前記可撓性膜(24)が、前記接触ゾーン(24a)に対して対称に配置された2つの前記弱化ゾーン(24c)を備える、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項5】
前記接触ゾーン(24a)が、少なくとも1つのマイクロコンタクトプローブ(26)において、少なくとも1つのさらなる弱化要素(33)を備える、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項6】
前記複数のマイクロコンタクトプローブ(26)を収容するように構成された複数のガイド穴(25h)を含む少なくとも1つの支持体(25)を備え、前記支持体(25)が、前記複数のマイクロコンタクトプローブ(26)および前記可撓性膜(24)を支持するのに適切である、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項7】
前記複数のマイクロコンタクトプローブ(26)がT字形であり、それらの前記第1の端(26a)は、前記支持体(25)に当接する表面(S)を画定するように、前記本体(26’)の径よりも大きな径を有する、請求項6に記載のプローブカード(20)。
【請求項8】
前記複数のマイクロコンタクトプローブ(26)が、それらの前記第1の端(26a)において係合要素(32)により、前記可撓性膜(24)に接続され、前記係合要素(32)は、前記複数のマイクロコンタクトプローブ(26)と前記可撓性膜(24)との間の連結接続を可能にするように構成され、前記係合要素(32)は、前記第1の端(26a)の上から突出しており、および空間で隔てられた第1の部分(32a)と第2の部分(32b)とを備え、前記第1の、および前記第2の部分(32a、32b)は、前記可撓性膜(24)の開口内に挿入され、および前記開口の壁により、一方から他方に向けて移動させられるように構成された、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項9】
前記支持板(23)がプリント回路基板(PCB)である、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項10】
前記減衰構造(21)が、第1の端(22a)と第2の端(22b)との間に延在している複数の接触要素(22)を収容する試験ヘッドである、請求項1に記載のプローブカード(20)。
【請求項11】
前記試験ヘッド(21)の前記複数の接触要素(22)それぞれの前記第2の端(22b)が、それぞれの前記マイクロコンタクトプローブ(26)の前記第1の端(26a)に接触している同じ点に当接する、請求項10に記載のプローブカード(20)。
【請求項12】
前記試験ヘッド(21)の前記複数の接触要素(22)が、前記被試験デバイスと前記支持板(23)との間で電源信号および/またはグラウンド信号および/または低周波信号を搬送するように構成された接触要素の群(22’)を備え、前記群(22’)の複数の接触要素が前記複数のマイクロコンタクトプローブ(26)に電気的に接続されている、請求項10に記載のプローブカード(20)。
【請求項13】
前記接触ゾーン(24a)は、前記被試験デバイスと前記支持板(23)との間で電源信号および/またはグラウンド信号および/または低周波信号を搬送するように構成された少なくとも1つの前記接触要素の通過のために、前記第1の面(Fa)と前記第2の面(Fb)との間にスルーホール(30)を備える、請求項10に記載のプローブカード(20)。
【請求項14】
前記可撓性膜(24)は、前記第1の面(Fa)への、前記複数の接触要素(22)の当接点において配置され、および/または前記第2の面(Fb)との、前記複数のマイクロコンタクトプローブ(26)の接点において配置された導電部(31a、31b)を備える、請求項10に記載のプローブカード(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスを試験するためのプローブカードに関し、以下の開示は説明を簡素化する目的のみで本出願の技術分野を参照して行う。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、基本的には、プローブカードはマイクロストラクチャ、特に半導体ウェーハ上に集積された電子デバイスの複数の接触パッドを、その機能試験、特に電気的な、または一般的な、試験を行う試験装置の対応するチャンネルと電気的に接続するように構成された装置である。
【0003】
集積デバイスに対して行われる試験は、早ければ製造段階において欠陥回路を検出し、および分離するのに特に有用である。従って、通常、プローブカードは、ウェーハ上に集積された複数の回路の、それらの切断、および、チップ格納パッケージ内での組み立て前の電気的試験のために使用される。
【0004】
プローブカードは、試験ヘッドであって、さらには、略板形状であり、および互いに対して平行の少なくとも一対の支持体またはガイドによって保持された複数の可動コンタクトプローブを本質的に含む試験ヘッドを備えている。これらの板形状の支持体には、好適な穴が設けられており、および、通常、良好な電気的および機械的特性を有する特殊な合金のワイヤでできているコンタクトプローブの移動および考えられる変形のための自由空間またはエアギャップを残すために互いに一定の距離をおいて配置されている。
【0005】
例として、図1では、参照番号15で全体が示され、および、試験ヘッド1であって、さらに、それらの中を複数のコンタクトプローブ6が摺動するそれらのそれぞれのガイド穴4および5を有している少なくとも1つの板形状の支持体または上方ガイド2、および1つの板形状の支持体または下方ガイド3を備える試験ヘッド1を含んでいる、従来のプローブカードが概略的に示される。
【0006】
各コンタクトプローブ6は、この被試験デバイスと試験装置(図示せず)との間の機械的および電気的接触を実現するためにウェーハ9上に集積された被試験デバイスの接触パッド8に当接することが意図された接触先端7を備えた端で終端し、プローブカードはこの試験装置の端子要素である。
【0007】
図1に示すように、上方ガイド2および下方ガイド3は、好適には、コンタクトプローブ6の変形を可能にするエアギャップ10により、間隔をおいて配置される。
【0008】
コンタクトプローブ6と、被試験デバイスの接触パッド8との間の適切な接続は、デバイス自体に対する試験ヘッド1の圧力によって確実にされ、ガイド2および3内に形成されたガイド穴4および5内で可動であるコンタクトプローブ6は、押圧接触中に、エアギャップ10内で曲げを受け、およびガイド穴内で摺動する。この種の試験ヘッドは通常、「垂直プローブヘッド」と呼ばれている。
【0009】
場合によっては、コンタクトプローブは、上方の板形状の支持体においてヘッド自体にしっかりと固定されている:そうした試験ヘッドは、「ブロック化プローブ試験ヘッド」と呼ばれている。
【0010】
しかし、より頻繁には、試験ヘッドは、しっかりと固定されたたブロック化プローブとともに使用されずに、いわゆるボードに、場合によっては、マイクロコンタクトボードを介してインターフェースで接続されている:そうした試験ヘッドは、非ブロック化試験ヘッドと呼ばれている。マイクロコンタクトボードは通常、「スペーストランスフォーマ」と呼ばれている。というのは、プローブに接触する他に、特に、パッド自体の中心間の距離制約を緩和して、被試験デバイス上の接触パッドに対して、それらの上に実現されたそれらの接触パッドを空間的に再配分することも可能にするからである。
【0011】
この場合には、図1をなお参照すれば、各コンタクトプローブ6は、試験ヘッド1を備えるプローブカード15のスペーストランスフォーマ13の複数の接触パッドのうちの接触パッド12に向かういわゆる接触ヘッド11で終端するさらなる端ゾーンまたは領域を有している。コンタクトプローブ6とスペーストランスフォーマ13との間の適切な電気接続は、ウェーハ9上に集積された被試験デバイスの接触パッド8との接触先端7間の接触と同様に、スペーストランスフォーマ13の接触パッド12に対する、コンタクトプローブ6の接触ヘッド11の押圧当接によって確実にされる。
【0012】
さらに、プローブカード15は、それにより、プローブカード15が試験装置とインターフェースで接続する、スペーストランスフォーマ13に接続された支持板14(一般にはプリント回路基板(PCB))を一般に備える。
【0013】
プローブカードの正しい動作は基本的には、2つのパラメータ、すなわち、コンタクトプローブの垂直方向の移動(またはオーバートラベル)、および接触パッド上のそうしたコンタクトプローブの接触先端の水平方向の移動(またはスクラブ)と関連付けられる。
【0014】
これらの特徴はすべて、プローブカードの製造工程において評価され、および校正されるべきである。というのは、プローブと被試験デバイスとの間の適切な電気接続は常に確実にされるべきであるからである。
【0015】
同様に、被試験デバイスの接触パッドに対するプローブの接触先端の押圧接触が、プローブまたはパッド自体の破損をもたらすほど大きくないことを確実にすることが重要である。
【0016】
この課題は、いわゆるショートプローブ、すなわち、限られた、特に寸法が5000μm未満の本体長を有するプローブの場合に強く認識される。この種のプローブはたとえば、高周波応用分野に使用され、プローブの縮小長さは、接続された自己インダクタンス現象を制限する。特に、「高周波応用分野用のプローブ」との語は、1GHzよりも高い周波数を有する信号を搬送することができるプローブを示す。
【0017】
実際に、最大で無線周波数までのより高い周波数における信号を搬送することができるプローブカードを製作し、同時に、コンタクトプローブの長さを劇的に削減して、たとえば、上記自己インダクタンス現象により、ノイズをそれらに加えることなく、それらの信号を搬送することを可能にすることの最近認識されている必要性が存在している。
【0018】
しかし、この場合には、プローブの本体の縮小された長さはプローブ自体の剛性を劇的に増加させ、これは、被試験デバイスの複数の接触パッドに対してそれぞれの接触先端が作用する力の増加につながり、これは、被試験デバイスに対する取り返しのつかない損傷を伴って、それらのパッドの破損につながる場合がある。より危険なことには、コンタクトプローブの、その本体の長さの増加による、剛性の増加はさらに、プローブ自体の破損のリスクを増加させる。
【0019】
ショートプローブが、PCBに接続された可撓性膜と関連付けられた解決策が知られており、PCBに向けてプローブから高周波信号を搬送するための導電トラックが可撓性膜内に形成される。この種のプローブカードでは、試験工程中に、可撓性膜が、かなりの引張応力を受け、これは、その過度の変形および損傷につながり得る。米国特許出願公開第2018/0059138号明細書および欧州特許出願公開第0294939号明細書は、マイクロコンタクトプローブに接続された可撓性膜を備えたプローブカードを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の技術的課題は、先行技術のプローブカードになお影響を及ぼしている制約および欠点を解消することを可能にするような構造的および機能的特徴を有する、特に、高周波信号を効果的に搬送する一方で、被試験デバイスのパッドに接触する際の優れた機械的動作を確実にすることができるプローブカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の基礎をなす解決策の考えは、プローブカードであって、被試験デバイスとの接触が、隣接ゾーンの局所変形を容易にし、被試験デバイスとの接触中に可撓性膜が受ける応力を削減する機械的弱化要素を、接触ゾーンに隣接するそのゾーン内に備える、その可撓性膜の接触ゾーンに接続された、縮小された寸法のプローブ(またはマイクロプローブ)によって行われるプローブカードを実現することである。
【0022】
この解決策の考えに基づけば、上記技術的課題は、電子デバイスの試験装置用のプローブカードであって、支持板、被試験デバイスと支持板との間で高周波信号を搬送するように構成された可撓性膜であって、可撓性膜がその周辺ゾーンを介して支持板に接続された可撓性膜、支持板と可撓性膜との間に配置され、および被試験デバイスとの接触を減衰させるように構成された減衰構造、および、第1の端と第2の端との間に延在している本体を備えた複数のマイクロコンタクトプローブであって、第2の端が、被試験デバイスの接触パッドに当接するように構成された複数のマイクロコンタクトプローブを備え、減衰構造と、マイクロコンタクトプローブの第1の端が、可撓性膜の同じ接触ゾーンの両面と接触しており、可撓性膜が、接触ゾーンと、それに隣接する周辺ゾーンとの間に配置された少なくとも1つの弱化ゾーンを含んでおり、弱化ゾーンが、可撓性膜を機械的に弱化し、および変形可能性を局所的に増加させるように構成された少なくとも1つの弱化要素を備える、電子デバイスの試験装置用のプローブカードによって解決される。
【0023】
特に、本発明は、単独で、または必要に応じて、組み合わせで採用される以下のさらなる、および任意的な特徴を備える。
【0024】
本発明の一態様によれば、弱化要素が、可撓性膜の長手方向軸に沿って互いに対して平行に延在している複数の切片の形態で存在している場合がある。特に、長手方向軸に沿った複数の切片が実質的に、1mm~4mmの範囲に及び得る。
【0025】
あるいは、弱化要素が、弱化ゾーン内の、可撓性膜の少なくとも1つの降下させた部分の形態で存在している場合がある。
【0026】
本発明の一態様によれば、可撓性膜が、接触ゾーンに対して対称に配置された2つの弱化ゾーンを備え得る。
【0027】
本発明の別の態様によれば、接触ゾーンが、少なくとも1つのマイクロコンタクトプローブ近くに少なくとも1つのさらなる弱化要素を備え得る。
【0028】
本発明の別の態様によれば、プローブカードが、複数のマイクロコンタクトプローブを収容するように構成された複数のガイド穴を含む少なくとも1つの支持体を備え、支持体が複数のマイクロコンタクトプローブ、および可撓性膜を支持するように構成されている場合がある。
【0029】
本発明の別の態様によれば、マイクロコンタクトプローブが略T字形であり、それらの第1の端は、支持体に当接する表面を画定するように、本体の径よりも大きな径を有する場合がある。
【0030】
本発明の別の態様によれば、複数のマイクロコンタクトプローブが、それらの第1の端において係合要素により、可撓性膜に接続され、係合要素は、複数のマイクロコンタクトプローブと可撓性膜との間の連結接続を可能にするように構成され、第1の端の上から突出しており、空間で隔てられた第1の部分と、第2の部分とを備え、第1の、および第2の部分は、可撓性膜の開口内に挿入され、および開口の壁により、一方から他方に向けて移動させられるように構成されている場合がある。
【0031】
さらに、支持板がプリント回路基板であり得る。
【0032】
本発明の別の態様によれば、可撓性膜が、弱化ゾーンを通過する支持板に向けて接触ゾーンから延在している複数の導電トラックを備え得る。
【0033】
本発明の別の態様によれば、減衰構造は、第1の端と第2の端との間に延在している複数の接触要素を収容する試験ヘッドであり得る。
【0034】
なお、本発明の別の態様によれば、試験ヘッドの各接触要素の第2の端が、それぞれのマイクロコンタクトプローブの第1の端に接触する同じ点に当接し得る。
【0035】
なお、本発明の別の態様によれば、試験ヘッドの複数の接触要素が、被試験デバイスと支持板との間で電源信号および/またはグラウンド信号および/または低周波信号を搬送するように構成された接触要素の群を備え、群の複数の接触要素が複数のマイクロコンタクトプローブに電気的に接続されている場合がある。
【0036】
なお、本発明の別の態様によれば、接触ゾーンは、被試験デバイスと支持板との間で電源信号および/またはグラウンド信号および/または低周波信号を搬送するように構成された少なくとも1つの接触要素の通過のために、第1の面と第2の面との間にスルーホールを備え得る。
【0037】
最後に、可撓性膜は、第1の面への、複数の接触要素の当接点において配置され、および/または第2の面との、複数のマイクロコンタクトプローブの接点において配置された導電部を備え得る。
【発明の効果】
【0038】
本発明によるプローブカードの特徴および利点は、添付図面を参照して、限定的でない例として表すその実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】先行技術によるプローブカードを概略的に示す。
図2】本発明によるプローブカードを概略的に示す。
図3】本発明によるプローブカードの可撓性膜の上面図を概略的に示す。
図4】本発明によるプローブカードの詳細を概略的に示す。
図5】本発明の一実施形態によるプローブカードを概略的に示す。
図6】本発明の一実施形態によるプローブカードの可撓性膜の詳細を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
これらの図、および特に図2を参照すれば、本発明によるプローブカードは、全体的に、および概略的に参照番号20で示される。
【0041】
特筆すべきは、図は概略図であり、縮尺通りに描かれていないが、その代わりに、本発明の重要な特徴が強調されるように描かれていることである。さらに、図では、異なる構成要素は概略的に描かれており、それらの形状が、所望の応用分野に応じて異なる。さらに、図では、同一の参照番号が、形状または機能において同一の構成要素を表すことが述べられる。最後に、1つの図において示される実施形態に関して説明した特定の特徴は、他の図において示した他の実施形態にも適用可能である。
【0042】
そのより一般的な形態では、プローブカード20は、半導体ウェーハ上に集積された電子デバイス、特に高周波デバイス、すなわち、特に1GHzよりも高い高周波の信号を搬送するように構成されたデバイスを試験するための試験装置(図示せず)と接続するように構成される。
【0043】
プローブカード20は、被試験デバイスとの、コンタクトプローブ20の接触を和らげ、および減衰させるように構成された減衰構造21を備える。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によれば、減衰構造21は、複数の接触要素22を収容する、なお参照番号21で示される試験ヘッドであり、接触要素22のうちの4つが例としてのみで図2に示されている。
【0045】
プローブカード20は、好ましくは、プローブカード20と試験装置との間の接続を確実にするプリント回路基板(PCB)である支持板23をさらに備える。
【0046】
接触要素22は第1の端部22aと第2の端部22bとの間の長手方向軸H-Hに沿って延在する本体22’を備え、第1の端部22aは支持板23に当接するように構成される。
【0047】
プローブカード20は、接触要素22の第2の端部22bがそれに当接するように構成されたその第1の面Faと、第1の面Faと反対側の第2の面Fbとを有する可撓性膜24をさらに備える。なお図2の局所参照系によれば、可撓性膜24の第1の面Faが、上方面、すなわち試験ヘッド21に向けて面する面である一方、可撓性膜24の第2の面Fbは、下方面、すなわち被試験デバイスに向けて面する面である。試験ヘッド21はよって、可撓性膜24(特にその第1の面Fa)と、支持板23との間に好適に配置される。
【0048】
以下にさらに詳細に示すように、可撓性膜24は、被試験デバイスと支持板23との間で高周波信号を搬送するように構成される。
【0049】
さらに、プローブカード20は、半導体ウェーハW上に集積された被試験デバイスの接触パッド27に接触するように構成された、対応する複数のマイクロコンタクトプローブ26を収容するように構成された複数のガイド穴25hを設けた支持体25を備え、可撓性膜24は、接触要素22とマイクロコンタクトプローブ26との間に配置される。
【0050】
マイクロコンタクトプローブ26は、第1の端26aと第2の端26bとの間を長手方向軸H-Hに沿って延在している本体26’を備え、第1の端26aは可撓性膜24に接触するように構成され、第2の端26bは上述したように半導体ウェーハW上に集積された被試験デバイスの接触パッド27に接触するように構成される。
【0051】
支持体25は、可撓性膜24およびマイクロコンタクトプローブ26をいずれも支持するように構成される。
【0052】
次に図3を参照すれば、可撓性膜24は、第1のゾーンまたは接触ゾーン24aと、第2のゾーンまたは周辺ゾーン24bとを備え、接触ゾーン24aが試験ヘッド21および被試験デバイスに接触するように構成される一方、周辺ゾーン24bは支持板23に接続するように構成される。好ましくは、接触ゾーン24aは、可撓性膜24の中央ゾーンであり、周辺ゾーン24bによって取り囲まれる。
【0053】
一般に、接触ゾーン24aの面積は、1つまたは複数の被試験デバイスを備える、半導体ウェーハWの面積に実質的に対応し、および、接触ゾーン24aと接触しているマイクロコンタクトプローブ26の対応する配置は、接触パッド27の対応する配置と実質的に対応している。
【0054】
接触要素22の第2の端22bが、接触ゾーン24aにおいて可撓性膜24の第1の面Faに当接する一方、マイクロコンタクトプローブ26の第1の端26aは、なお接触ゾーン24aにおいて第2の面Fbと接触している。特に、各接触要素22の第2の端部22bは、それぞれのマイクロコンタクトプローブ26の第1の端26aに接触する、(可撓性膜24の長手方向軸H’-H’に沿って見た)同じ点に当接する。
【0055】
すなわち、可撓性膜24の同じ位置の反対側の面上で当接するそれぞれの接触要素22はマイクロコンタクトプローブ26に対応し、接触要素22は、マイクロコンタクトプローブ26の減衰要素としてふるまう。
【0056】
上述した実施形態は好ましいものと考えるべきであるが、他の構成を提供することも可能である。例として、接触要素22は、マイクロコンタクトプローブ26と異なる数で存在する場合があり、および、マイクロコンタクトプローブ26と異なる点に当接するように配置される場合もある。
【0057】
いずれにせよ、被試験デバイスとの接触中に、マイクロコンタクトプローブ26の剛性の課題は、それに関連付けられた接触要素22によって行われる減衰によって解決される。被試験デバイスとの、マイクロコンタクトプローブ26の接触中に、接触要素22は、よって、被試験デバイスの接触パッド27に対する接触力を調節して、減衰要素としてふるまう。
【0058】
なお、試験ヘッド21の接触要素22は、おおむね、1.5mm~10mmの長さ、すなわち、前述したように500μm未満であるマイクロコンタクトプローブ26のそれよりもずっと大きな長さを有しており、したがって、接触要素22の上述した減衰効果を確実にするようなずっと大きな曲げ負荷能力を有する。好適には、接触要素22は、マイクロコンタクトプローブ26の減衰効果を最大にするのに好適な材料でできている。
【0059】
なお図3を参照すれば、有利には、本発明によれば、可撓性膜24は、接触ゾーン24aおよび周辺ゾーン24bに隣接する少なくとも1つの中間ゾーンまたは弱化ゾーン24cを含み、弱化ゾーン24cは、低減された機械的抵抗を有する、可撓性膜24のゾーンである。図3に示したように、弱化ゾーン24cは中央ゾーン24aと周辺ゾーン24bとの間に配置される。
【0060】
可撓性膜24は好ましくは、接触ゾーン24aに対して対称に配置され、およびそれに隣接した2つの弱化ゾーン24cを備え、および、その結果、2つの周辺ゾーン24bも備える。
【0061】
あるいは、可撓性膜24が略円形状である一方、周辺ゾーン24bおよび弱化ゾーン24cは略リング状であり、接触ゾーン24a周りに同心円状に配置される。明らかに、膜の、そのゾーンの形状は、状況および/または必要性に適合される場合があり、およびここに図示した例に限定されるものでない。
【0062】
具体的には、弱化ゾーン24cは、可撓性膜24を機械的に弱化し、および、よって、その弾性変形能力を増加させるように構成された少なくとも1つの弱化要素28を備える。
【0063】
弱化要素28を含む弱化ゾーン24cの存在は、プローブカード20の被試験デバイスとの接触中に可撓性膜24が受ける応力が、弱化ゾーン24cによって吸収されることを確実にする。弱化ゾーン24cの弱化要素28は、要するに、弱化ゾーン24c内の可撓性膜24を機械的に弱化し、および、その変形可能性を局所的に増加させて、可撓性膜24の残りのゾーンが過度の応力を受けないことを確実にするように構成される。
【0064】
具体的には、被試験デバイスの接触中に、可撓性膜24の中央ゾーン24aは、上昇する傾向にあり、よって、可撓性膜24はその全体でかなりの引張応力を受ける(可撓性膜は通常に、試験ヘッド内にしっかりと固定されている)。好適には、本発明によれば、引張応力は、弱化要素28の存在により可撓性膜24の残りの部分に対してより容易に変形する傾向にある、弱化ゾーン24cによって吸収される。
【0065】
すなわち、弱化要素28の存在によってもたらされる弱化ゾーン24cの変形は、可撓性膜24をその中央ゾーン24aにおいて上昇させることを可能にし、一方で、その範囲の残りの部分(特に、周辺ゾーン24b)における移動、および、したがって、引張応力の形成を阻止する。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、弱化要素28は、図3に示すように、可撓性膜24の長手方向軸H’-H’に沿って、互いに対して略平行に延在する、なお参照番号28で示す複数の切片の形態で存在している。
【0067】
長手方向軸H’-H’に沿った切片28は、実質的に1mmと4mmとの間の範囲に及び、上記範囲は弱化ゾーン24cの切片28すべてについて実質的に同じである。
【0068】
あるいは、互いに異なる範囲を有する切片28(特に、弱化ゾーン24cの中央部分において配置されているので、より小さい範囲を有する切片28)を実現することが可能である。この場合、切片28の対応する長さは、採用される特定のレイアウトに適合される。
【0069】
いずれにせよ、切片28は、可撓性膜24内で複数のアームを形成する。
【0070】
好適には、切片28は、可撓性膜24に対する過度の引張能力なしで、被試験デバイスとの接触中に、少なくとも70μmだけ、接触ゾーン24aを上昇させることを可能にするように、必要な大きさにされ、および弱化ゾーン24c内に配置される。
【0071】
本発明の代替的な実施形態では、弱化要素28は、可撓性膜24の降下させた部分の形態で存在している。特に、この代替的な実施形態では、等しいまたは異なる範囲を伴って、可撓性膜24の長手方向軸H’-H’に沿って互いに対して略平行に形成される複数の降下させた部分(または非貫通スロット)の存在を提供することが可能である;場合によっては、弱化ゾーン24c全体またはその一部分だけ(特に弱化ゾーン24aの面積の少なくとも70%に及ぶように)延在している、1つの降下させた部分のみの存在を、弱化ゾーン24c内に提供することも可能である。
【0072】
なお図3を参照すれば、可撓性膜24は、周辺ゾーン24bに向けて、弱化ゾーン24cを通過して、支持板23に向けて接触ゾーン24aから延在している複数の導電トラック29を備える。導電トラック29は、よって、たとえば、支持板23の接触パッドとの押圧接触により、支持板23に電気的に接続される。
【0073】
図3の実施形態では、明らかに、要求事項および/または必要性に応じて他の構成を提供することもできるが、1つの導電トラック29のみが弱化ゾーン24c内の2つの隣接する切片28間を通過する。たとえば、切片28がなく、および、導電トラック29の通過に割り当てられた、弱化ゾーン24cの一部分を画定することが可能である。
【0074】
導電トラック29は対応するマイクロコンタクトプローブ26との接点から可撓性膜24の第2の面Fbに沿って延在し、導電トラック29は可撓性膜24の第1の面Fa上に延在することも、構成がそれを必要とする場合にはあり得る。
【0075】
さらに、導電トラック29は、可撓性膜24内に延在する場合もある(すなわち、その中に埋め込まれる場合がある)。この場合、可撓性膜24であって、導電トラック29が第2の面Fbから始まる異なるレベルで作られる可撓性膜24を実現することが可能である。導電トラック29が作られる、可撓性膜24のレベルの数は、必要性および/または状況(特に、搬送すべき信号の数)、および、可撓性膜24上に作られるべきルーティングパターンの複雑度によって変わり得る。例として、第1のレベルが電源信号を搬送するように構成されたトラックを備え、および第2のレベルがグラウンド信号を搬送するように構成されたトラックを備える構成を提供することが可能である。
【0076】
図4に示す本発明の実施形態では、可撓性膜24は、第1の面Faへの、接触要素22の当接点において導電部31aを備える。導電部31aとの組み合わせで、または導電部31aの代わりに、可撓性膜24は、第2の面Fbとの、マイクロコンタクトプローブ26の接点において導電部31bを備え得る。
【0077】
導電部31aおよび31bは、可撓性膜24を強化し(可撓性膜24への、接触要素22の第2の端部22bの、およびマイクロコンタクトプローブ26の第1の端部26aの当接を和らげるように構成される)、特にその接触ゾーン24aにおいてその保護構造として実質的にふるまう。第2の面Fb上の導電部31bはさらに、マイクロコンタクトプローブ26から導電トラック29への信号の通過を可能にする。
【0078】
前述のように、支持体25は、可撓性膜24の、およびマイクロコンタクトプローブ26の支持体としてふるまう。具体的には、マイクロコンタクトプローブ26は好ましくは、略T字状であり、第1の端26aは、本体26’および第2の端26bの径よりも大きな径を有しており、第1の端26aはよって、T字の頭部を形成する。このようにして、第1の端26aは、支持体25であって、このようにしてマイクロコンタクトプローブ26のガイドおよび支持体としてふるまう支持体25に当接する表面Sを画定する。
【0079】
ここでは、「径」との語が常に、最大の横方向の寸法を示すということを強調する。
【0080】
なお図4を参照すれば、マイクロコンタクトプローブ26は、その第1の端26aにおいて係合要素32を介して可撓性膜24に接続される。係合要素32は、特に、マイクロコンタクトプローブ26の第1の端26aの上から突出している第1の部分32aの、および第2の部分32bの存在のために、マイクロコンタクトプローブ26と可撓性膜24との間の連結接続を可能にするように構成される。具体的には、第1の部分32aは、ギャップまたは開いた領域により、第2の部分32bと隔てられており、部分32aおよび32bは、可撓性膜24の開口内に挿入されるように構成される。可撓性膜24の開口内に一旦挿入されると、部分32aおよび32bは開口の壁が作用する力により、一方から他方に向けて押され、部分32aおよび32bは、よって、マイクロコンタクトプローブ26の所望の保持を確実にする反対方向の力を及ぼす。基本的には、部分32aおよび32bは、可撓性膜24に嵌合するように構成された一種の弾性フォークを形成する。
【0081】
明らかに、可撓性膜24とマイクロコンタクトプローブ26との間の関連付けは、他のやり方で存在する場合もあり、図は本発明の限定的でない例としてのみ、設けられている。
【0082】
図2および図4に示す実施形態では、接触要素22は、信号を搬送するように構成されているものでない一方、マイクロコンタクトプローブ26の剛性によってもたらされる問題を解消し、および被試験デバイスの接触パッド28との接触中のその破損を回避するように、プローブカード20の減衰要素として含んでいるに過ぎない。
【0083】
あるいは、図5に示す本発明の実施形態では、さらに、接触要素22の群22bisは、被試験デバイスと試験装置との間で信号を搬送するように構成される。群22bisの各接触要素は、可撓性膜24内の接続導電トラック29’により、対応するマイクロコンタクトプローブ26に電気的に接続され、接続導電トラック29’は、可撓性膜24の第1の面Paと第2の面Fbとの間に延在する。すなわち、接続導電トラック29’は、可撓性膜24の両面FaおよびFbを接続するように構成され、接続導電トラック29’はたとえば、導電材料で、可撓性膜24内に作られた好適なさらなるスルーホールまたはスルーパスを充填することによって形成される。導電部31aおよび31bが存在している場合、接続導電トラック29’は導電部を接続する。
【0084】
群22bisの接触要素はよって、2重の機能を果たし、すなわち、一方で、プローブカード20の、特にマイクロコンタクトプローブ26の減衰要素としてふるまい、他方で、支持体23に向けて信号を搬送する。この実施形態では、群22bisに含まれていない接触要素は、マイクロコンタクトプローブ26と、および他の接触要素とも電気的に絶縁され、減衰要素の機能のみを維持する。さらに、群22bisの接触要素が、被試験デバイスと支持板23との間で、電源信号および/またはグラウンド信号および/または低周波信号を搬送するように構成されていると言える。
【0085】
この実施形態では、支持板23は、試験装置に向けて信号を実際に搬送するために端部がそれらに当接する導電接触パッド23Aを、群22bisの接触要素の第1の端部において備える。
【0086】
前述したように、接続導電トラック29’は、第1の面Faの導電部31aおよび第2の面Fbの導電部31bを接続する場合があり、または、可撓性膜24を貫通し、および面FaおよびFb上に現れる1つの導電パッドのみを作ることが可能である。
【0087】
さらに、図6に示す本発明の実施形態では、接触ゾーン24aは、第1の面Faと第2の面Fbとの間にスルーホール30を備え、スルーホール30それぞれには、試験ヘッド21の少なくとも1つの接触要素が貫通し、スルーホール30を貫通する接触要素は、被試験デバイスの接触パッド27に直接接触するように構成される。群22bisの接触要素と同様に、スルーホール30を貫通する接触要素は、電源信号、グラウンド信号、または低周波信号を搬送するように構成される。
【0088】
スルーホール30は、1つの接触要素のみが貫通するように必要な大きさにされる場合があり、またはいくつかの接触要素が貫通するように必要な大きさにされる場合がある。なお、スルーホール30の数、配置、および寸法は、要求事項および/または必要性によって変わり得る。明らかに、この実施形態では、さらに、支持体25は、接触要素の通過を可能にするために、対応するスルーホールを備える。
【0089】
なお図6を参照すれば、可撓性膜24の中央ゾーン24aは、それと接触している1つまたは複数のマイクロコンタクトプローブ26近くに少なくとも1つのさらなる弱化要素33を備える。(たとえばレーザー除去によって作られた)これらのさらなる弱化要素33は、切片または非貫通スロットの形態で存在し得る。
【0090】
さらに、さらなる弱化要素33は好ましくは、可撓性膜24との、マイクロコンタクトプローブ26の接点(または、考えられる導電部31b)の3つのサイドに延在し、さらなる弱化要素33は、任意の好適な形状を有する場合があり、たとえば、図6に示すように、馬蹄形状または半円形状であり得る。なおさらに好ましくは、さらなる弱化要素33は、おおよそ、400μmと600μmとの間の(好ましくは500μmの)長さだけ、接点を越えて(または考えられる導電部31bを越えて)長手方向に延在する二辺を有し、接点から延在している導電トラック29に対して略平行に延在している。すなわち、さらなる弱化要素33の一辺は、導電部31bのそれらに略等しい寸法を有する一方、その他の辺は、より大きな寸法を有しており、導電トラック29に続いて、さらに約500μmだけ延在している。
【0091】
さらなる弱化要素33の存在は、複数のマイクロコンタクトプローブ26間の対応する移動を可能にするので、プローブカード20の考えられる平坦度の課題を解決することを可能にする。
【0092】
図6には、スルーホール30およびさらなる弱化要素33がいずれも存在している実施形態を示されているが、スルーホール30のみ、または、さらなる弱化要素33のみが存在している実施形態を提供することが可能であるということをさらに述べる。
【0093】
半導体ウェーハW上に集積された被試験デバイスの接触パッド27に接触するように構成されたマイクロコンタクトプローブ26は導電材料で、または好適な合金によってできている。
【0094】
可撓性膜24が、所望の可撓性および所望の電気絶縁を提供することができる誘電材料、好ましくはポリアミドによってできている一方、導電トラック29は導電性金属材料、たとえば銅でできている。
【0095】
トラックの幅および可撓性膜24の厚さは、所望のインピーダンス制御を獲得し、および伝送信号の減衰を最小にするように選ばれる。膜内の信号伝送は、同軸ケーブル内の伝送と比較し得る。この場合、可撓性膜の二面のうちの一方の面上に、無線周波数信号を搬送するように構成された導電トラックが延在している一方、反対側の面上には、他方の面上で無線周波数信号を搬送するように形成された導電トラックの経路をたどるグラウンドトラックが延在している。
【0096】
支持板23は、先行技術のPCBボードのそれと同様の構成であって、その接触パッドが好ましくは、その周辺部上に作られているという違いを有する構成を有しているので、可撓性膜24の周辺ゾーン24bにおいて導電トラック29(または膜の考えられるパッド)に電気的に接触し得る。
【0097】
さらに、支持体25は好ましくは、セラミック材料でできている。
【0098】
最後に、図に示していない本発明の実施形態では、試験ヘッド21は、その中に接触要素22が摺動可能に収容されているその複数のガイド穴を設けた少なくとも1つのガイドを備えている。
【0099】
まとめれば、本発明は、プローブカードであって、被試験デバイスとの接触が、隣接ゾーンの局所変形を容易にし、および、被試験デバイスとの接触中に可撓性膜が受ける応力を削減する機械的弱化要素を、隣接するそのゾーン内に備える、可撓性膜の接触ゾーンに接続された、縮小された寸法のプローブ(またはマイクロプローブ)によって行われるプローブカードを提供する。
【0100】
提案されたプローブカードは特に、接触要素のそれよりも小さい、および特に500μm未満の長さを有する、その中に備えられたマイクロコンタクトプローブの縮小された寸法のおかげで、無線周波数応用分野において動作する。
【0101】
試験ヘッドの複数の接触要素であって、マイクロコンタクトプローブの減衰要素として実質的に動作する(すなわち、それらのより大きな曲げ負荷能力のおかげで、マイクロコンタクトプローブと、被試験デバイスの接触パッドとの間の接触を減衰させるように構成された)、可撓性膜とPCBとの間に配置された、試験ヘッドの複数の接触要素の存在は、縮小された長さを有するマイクロコンタクトプローブの剛性を取り除き、よって、マイクロプローブ自体の破損の可能性を劇的に削減し、および、同時に、それが作用する圧力の適切な削減を確実にし、よってそれらにマイクロプローブが当接する、被試験デバイスのそれらの接触パッドの任意の破損を回避することを可能にする。
【0102】
有利には、本発明によれば、可撓性膜の(好ましくは、複数の切片の形態である)弱化要素の存在は、弱化ゾーンを特に変形可能にする。というのは、その機械的抵抗を削減するからである。このようにして、被試験デバイスとの接触中に可撓性膜が受ける引張応力を削減することが可能である。
【0103】
特に、膜自体に対する過度の応力なしで、マイクロコンタクトプローブの推力下で可撓性膜の接触中央ゾーンが上昇することを可能にするのは、まさに、弱化ゾーンの弱化要素の存在である。というのは、弱化ゾーンは、被試験デバイスとの接触によって生じる応力をより容易に吸収する傾向にあるからである。実際に、弱化要素による、弱化ゾーンのより大きな変形能力により、可撓性膜の残りの部分は、かなり小さい応力を受けることになり、および、上記変形能力は、よって、本発明のプローブカードの性能の向上に寄与する。
【0104】
試験ヘッドの接触要素は、さらに、マイクロプローブの予負荷要素としてふるまい、マイクロプローブが常に、可撓性膜と正しく関連付けられ、これは、さらに有利には、プローブカード内部の信号の所望のルーティングを実現することを確実にする。
【0105】
さらに、試験ヘッドの接触要素の一部が信号を搬送するように構成されたハイブリッド構成の可能性は、可撓性膜による信号ルーティングであって、このようにして、高周波信号ルーティングにのみ、適合された信号ルーティングを大いに単純にする。その結果、可撓性膜の接触ゾーンが複数のマイクロコンタクトプローブマトリクス(各マトリクスが、ウェーハ上のそれぞれのデバイスに接触するように構成されている)を備えている場合、マトリクスの1つまたは2つの辺のみを通過して、PCBに向けて各マトリックスを出る導電トラックをルーティングし、すなわち、導電トラックが通過するものでない辺に沿って、マイクロプローブマトリクスと位置合わせすることにより、複数の電子デバイスの並列試験を可能にすることが考えられる。
【0106】
好適には、本発明によるプローブカードは、半導体ウェーハ上に集積されたデバイスのいわゆるフルアレイ試験を行うことができ、可撓性膜の構成は、その接触ゾーン内のマイクロコンタクトプローブのいずれの配置も可能にする。このようにして、接触ゾーン内のマイクロコンタクトプローブマトリクスのいかなる配置も提供することが可能であり、ゾーン内には制約は存在しない。
【0107】
さらに、有利には、本発明によれば、可撓性膜、接触要素、およびマイクロコンタクトプローブは互いに対して構造的に独立している。というのは、可撓性膜は、複数の接触要素と、固定して関連付けられる(たとえば、溶接される)ものでなく、後者はそれらに当接しているに過ぎず、可撓性膜およびマイクロコンタクトプローブは、プローブカードのセラミック支持体によって支持される。これはすべて、プローブカードのその全体における修復容易性の増加を確実にする。というのは、その単一の構成部分は容易に交換し得るからである。
【0108】
最後に、膜の接触ゾーン内のさらなる弱化要素の考えられる存在は、プローブカードの平坦度の課題がある場合にその平坦度の課題を解決することを可能にする。考えられる局所の位置ずれは、さらなる弱化要素の存在によって補償される。
【0109】
明らかに、当該技術分野における当業者は、特定の必要性および仕様を充足するために、以下の特許請求の範囲によって画定されるような、本発明の保護範囲内にすべて含まれるいくつかの変更および修正を、上記プローブカードに対して行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6