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特許7416729検出器アレイのための可変多重化スイッチ、システム、およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】検出器アレイのための可変多重化スイッチ、システム、およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 15/1434 20240101ALI20240110BHJP
   G01N 15/14 20240101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N15/14 D
G01N15/14 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020570823
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019034047
(87)【国際公開番号】W WO2019245709
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】62/687,151
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ペターセン,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ディボルド,エリック ディー
(72)【発明者】
【氏名】カオ,ボブ
(72)【発明者】
【氏名】バーウァー,バーナード ジョアンナ
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/143367(WO,A1)
【文献】特開平09-170950(JP,A)
【文献】特開2009-204408(JP,A)
【文献】特表平08-507141(JP,A)
【文献】特開2004-205508(JP,A)
【文献】特開2006-119152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0256943(US,A1)
【文献】特表2006-513400(JP,A)
【文献】特開2013-246140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/83
G01N 33/48-G01N 33/98
G01N 15/00-G01N 15/14
C12M 1/00-C12M 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローサイトメータであって、
フローストリーム内の試料を照射するための光源と、
前記試料からの光のスペクトルを分散するように構成された光分散構成要素と、
検出された光に応答して信号を生成するように構成された複数の光検出器、増幅器構成要素、ならびに、前記複数の光検出器および前記増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素を含む光検出システムと
を備えており、
前記電子スイッチ構成要素が、前記複数のスイッチ内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、前記試料からの光の波長を差次的に遮蔽し、それにより前記複数の光検出器からの信号を差次的に伝播するように構成されている、
フローサイトメータ。
【請求項2】
前記増幅器構成要素が、複数の増幅器を有する、請求項1に記載のフローサイトメータ。
【請求項3】
前記光検出システムが、
N個の光検出器を有する光検出器アレイと、
N個の増幅器を有する増幅器構成要素と、
N×N個のスイッチのアレイを有する電子スイッチ構成要素と
を有しており、
Nが、4~1000の整数である、請求項2に記載のフローサイトメータ。
【請求項4】
前記電子スイッチ構成要素が、前記光検出器からの出力信号を多重化するか、または非多重化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項5】
前記増幅器構成要素が、前記電子スイッチ構成要素から多重または非多重化出力信号を受信するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項6】
前記増幅器構成要素が、1つ以上のトランスインピーダンス増幅器を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のフローサイトメータ。
【請求項7】
前記増幅器構成要素が、1つ以上の加算増幅器を有する、請求項6に記載のフローサイトメータ。
【請求項8】
フローストリーム内の試料を含むフローセルを光源で照射することと、
請求項1~7のいずれか一項に記載の光検出システムで前記フローセルからの光を検出することと
を含む、方法。
【請求項9】
バンドパスフィルタを有し、検出された光に応答して信号を生成するように構成された2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出することと、
前記複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定することと、
前記漏れ込みマトリックスに基づいて、前記バンドパスフィルタで前記光を検出するためのコスト関数を計算することと
を含んでおり、
前記バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、前記2つ以上の光検出器および前記増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素であり、
前記電子スイッチ構成要素が、前記複数のスイッチ内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、試料からの光の波長を差次的に遮蔽し、それにより前記2つ以上の光検出器からの信号を差次的に伝播するように構成されている、
方法。
【請求項10】
検出された光に応答して信号を生成するように構成された2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出することに使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を特定することと、
前記複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと、
前記計算されたコスト関数に基づいて、前記2つ以上の光検出器で前記複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することと
を含んでおり、
前記各バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、前記2つ以上の光検出器および前記増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素であり、
前記電子スイッチ構成要素が、前記複数のスイッチ内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、前記試料からの光の波長を差次的に遮蔽し、それにより前記2つ以上の光検出器からの信号を差次的に伝播するように構成されている、
方法。
【請求項11】
検出された光に応答して信号を生成するように構成され、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するためのバンドパスフィルタを有する、複数の光検出器と、
プロセッサであって、前記プロセッサが、前記プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、前記メモリが、前記メモリに記憶された命令を含み、前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定することと、
前記漏れ込みマトリックスに基づいて、前記バンドパスフィルタで前記光を検出するためのコスト関数を計算することとを行わせる、プロセッサと
を備えており、
前記バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、前記複数の光検出器および前記増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素であり、
前記電子スイッチ構成要素が、前記複数のスイッチ内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、試料からの光の波長を差次的に遮蔽し、それにより前記複数の光検出器からの信号を差次的に伝播するように構成されている、
システム。
【請求項12】
検出された光に応答して信号を生成するように構成され、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するためのバンドパスフィルタを有する、複数の光検出器と、
プロセッサであって、前記プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、前記メモリが、前記メモリに記憶された命令を含み、前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記複数のフルオロフォアから発せられた光の検出に使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を特定することと、
前記複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して、各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと、
前記計算されたコスト関数に基づいて、前記光検出器で前記複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することとを行わせる、プロセッサと
を備えており、
前記バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、前記複数の光検出器および前記増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素であり、
前記電子スイッチ構成要素が、前記複数のスイッチ内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、前記試料からの光の波長を差次的に遮蔽し、それにより前記複数の光検出器からの信号を差次的に伝播するように構成されている、
システム。
【請求項13】
キットであって、
試料からの光のスペクトルを分散するように構成された光分散構成要素と、
検出された光に応答して信号を生成するように構成された複数の光検出器を有する光検出器アレイと、
複数の増幅器を有する増幅器構成要素と、
複数のスイッチを有しており、複数の光検出器および前記複数の増幅器に電気的に結合されるように構成されている、電子スイッチ構成要素と
を備えており、
前記電子スイッチ構成要素が、前記複数のスイッチ内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、前記試料からの光の波長を差次的に遮蔽し、それにより前記複数の光検出器からの信号を差次的に伝播するように構成されている、
キット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光検出は、例えば、試料が疾患または病態の診断に使用されるとき、試料(例えば、生体試料)の成分を特徴付けるためにしばしば使用される。試料が照射されると、光は、試料によって散乱され、試料を通して伝達されるだけでなく、試料によって(例えば、蛍光によって)発せられることができる。形態、吸収率、および蛍光標識の存在などの試料成分の変動は、試料によって散乱され、伝達され、または発せられる光の変動を引き起こし得る。これらの変動は、試料内の成分の存在を特徴付け、かつ特定するために使用することができる。これらの変動を定量化するために、光が集められ、検出器の表面に向けられる。フルオロフォア含有量が判定される程度は、多くの場合、マルチフルオロフォア含有試料の蛍光スペクトルおよび発せられた光の間のスペクトル重複によって部分的に制限される。
【0002】
試料内の成分を特徴付けるために光検出を利用する1つの技術は、フローサイトメトリーである。検出された光から生成されたデータを使用して、成分の分布を記録することができ、所望の材料を選別することができる。光源からの光は、散乱として、または透過分光法によって検出され得るか、また試料内の1つ以上の成分によって吸収され、発光として再放出され得る。形態または蛍光標識などの材料の変動は、観察された光の変動を引き起こし、これは、光を光検出器上に集めることによって特徴付けを可能にする。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、光を差次的に検出するための光検出システムを含む。ある特定の実施形態によるシステムは、複数の光検出器、増幅器構成要素、ならびに複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素を含む。いくつかの実施形態では、光検出器は、フォトダイオード、光電子増倍管、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの事例では、複数の光検出器は、フォトダイオードアレイなどの光検出器アレイである。いくつかの実施形態では、増幅器構成要素は、トランスインピーダンス増幅器、加算増幅器、またはそれらの組み合わせなどの複数の増幅器を含む。電子スイッチ構成要素は、光検出器からの信号を多重化するか、または非多重化するように構成される。実施形態では、増幅器構成要素は、電子スイッチ構成要素から多重または非多重化出力信号を受信するように構成され得るか、または電子スイッチ構成要素は、増幅器構成要素から多重または非多重化出力信号を受信するように構成され得る。ある特定の事例では、増幅器構成要素は、光検出器(例えば、光検出器アレイ)と電子スイッチ構成要素との間に電気的に位置決めされる。他の事例では、光検出システムは、光検出器と電子スイッチ構成要素との間に電気的に位置決めされる第1の増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素から電気的に下流にある第2の増幅器構成要素を含む。ある特定の実施形態では、第1の増幅器構成要素は、複数のトランスインピーダンス増幅器を含み、第2の増幅器構成要素は、複数の加算増幅器を含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、関心の光検出システムは、N個の光検出器を有する光検出器アレイ、2N個の増幅器を有する増幅器構成要素、およびN×N個のスイッチのアレイを有する電子スイッチ構成要素を含み、Nは、4~1000の整数である。いくつかの事例では、光検出器アレイは、N個のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイであってもよい。これらの実施形態では、増幅器構成要素は、N個のトランスインピーダンス増幅器、N個の加算増幅器、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、Nは4である。他の実施形態では、Nは8である。
【0005】
本開示の態様は、光を差次的に検出するための光検出システムを有するフローサイトメータも含む。ある特定の実施形態によるフローサイトメータは、フローストリーム内の試料を照射するための光源、試料から光のスペクトルを分散するように構成された光分散構成要素および複数の光検出器を有する光検出システム、増幅器構成要素、ならびに複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素を含む。実施形態では、光分散構成要素は、光検出器アレイ(例えば、フォトダイオードアレイ)にわたって試料からの光スペクトルを投影するなど、試料からの光スペクトルを複数の光検出器に投影するように構成される。ある特定の実施形態では、光分散構成要素は、回折格子を含む。いくつかの事例では、光検出システムは、電子スイッチ構成要素内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、試料からの光の異なる波長を差次的に検出するように構成される。他の事例では、光検出システムは、光の各セットが50個以下の異なる波長、例えば25個以下の異なる波長を含むなど、試料からの光の波長の1つ以上の所定のセットを検出するように構成される。
【0006】
本開示の態様はまた、調査フィールド内(例えば、フローストリーム内)の試料を光源で照射するための方法、対象の光検出システムで試料から光を集め、かつ検出するための方法、ならびに1つ以上の波長で検出された光を測定するための方法も含む。いくつかの実施形態では、方法は、試料内の1つ以上の異なるタイプの細胞集団を特定するなど、試料の1つ以上の構成要素を特定する、または特徴付けることを含む。
【0007】
本開示の態様は、複数のフルオロフォア(例えば、2つ以上の異なるフルオロフォア)を有する試料から蛍光の特徴付けを最適化するための方法およびコンピュータ制御システムも含む。実施形態では、関心のフルオロフォアは、重複を示す発光スペクトルを有する。これらの実施形態では、特定の例では、方法は、1つ以上の光学バンドパスフィルタを有する複数の光検出器で光を差次的に検出することを含む。他の事例では、方法は、上記に要約された光検出などの光電子バンドパスフィルタで光を差次的に検出することを含む。
【0008】
ある特定の実施形態による、複数のフルオロフォアを有する試料からの蛍光の特徴付けを最適化するための方法は、バンドパスフィルタを有する2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出することによって、バンドパスフィルタのコスト関数を判定すること、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定すること、および漏れ込みマトリックスに基づいて、バンドパスフィルタで光を検出するためのコスト関数を計算することを含む。実施形態では、漏れ込みマトリックスは、M×Nの漏れ込み係数を含み、Mは、複数のフルオロフォアからの光を検出するために使用される光検出器の数であり、Nは、フルオロフォアの数である。いくつかの事例では、コスト関数を計算することは、各フルオロフォアに関連する不確実性係数を判定することを含む。不確実性係数を判定することは、線形回帰等の回帰分析を含んでもよく、または通常の最小二乗解を使用することを含んでもよい。不確実性係数は、いくつかの実施形態では、直交形で追加される。ある特定の実施形態では、コスト関数は、下記式Iに従って計算され、式中、nは、フルオロフォアの数であり、dFは、各フルオロフォアに関連する判定された不確実性である。
【0009】
【数1】
【0010】
バンドパスフィルタ(例えば、バンドパスフィルタのセット)のコスト関数を判定する方法はまた、試料内の各フルオロフォアの蛍光スペクトルを判定することを含んでもよい。ある特定の事例では、方法は、いくつかの光電子を各フルオロフォアに割り当てること、および光電子が、漏れ込みマトリックスに基づいて1つ以上の光検出器間でどのように分割されるかを判定することをさらに含む。
【0011】
1つ以上のバンドパスフィルタは、計算されたコスト関数に基づいて遺伝的アルゴリズムによって、複数のフルオロフォアを有する試料からの蛍光の最適な特徴付けを提供するように判定され得る。実施形態では、方法は、2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出することに使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を特定すること、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して各バンドパスフィルタのコスト関数を計算すること、および計算されたコスト関数に基づいて、2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することを含む。ある特定の実施形態による遺伝的アルゴリズムは、バンドパスフィルタの変異した集団を生成するために、特定された集団中のバンドパスフィルタのうちの1つ以上を変異させることであって、変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較してシフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、変異させること、および変異した集団の各バンドパスフィルタについてのコスト関数を計算することを含む。変異した集団は、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して、深色または浅色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含んでもよい。方法はまた、バンドパスフィルタの子孫集団を生成するために、特定された集団および変異した集団からの2つ以上の異なるバンドパスフィルタを組み合わせることであって、各子孫バンドパスフィルタが、組み合わされたバンドパスフィルタからランダムに選択された波長を含む、組み合わせること、ならびに子孫集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することを含む。特定された各バンドパスフィルタの組み合わせのコスト関数に基づいて、方法は、特定された集団、変異した集団、および子孫集団における各バンドパスフィルタについて計算されたコスト関数を比較すること、ならびに複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定することを含む。方法は、ある特定の事例では、計算されたコスト関数に基づいてバンドパスフィルタをランク付けすることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のフルオロフォアを有する試料を特徴付けるためのバンドパスフィルタの最適なセットは、中央値コスト関数を有するバンドパスフィルタセットを判定し、中央値を下回るコスト関数を有するバンドパスフィルタ組み合わせを破棄することによって判定される。
【0012】
コスト関数を計算し、計算されたコスト関数に基づいて、遺伝的アルゴリズムを有する複数のフルオロフォアを有する試料からの蛍光の特徴付けを最適化するためのバンドパスフィルタセットを判定するためのコンピュータ制御システムもまた提供される。ある特定の実施形態によるコスト関数を計算するためのシステムは、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するためのバンドパスフィルタを有する複数の光検出器、および、プロセッサであって、プロセッサが、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリが、メモリに記憶された命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定することと、漏れ込みマトリックスに基づいて、バンドパスフィルタで光を検出するためのコスト関数を計算することとを行わせる、プロセッサを含む。いくつかの実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、回帰分析、線形回帰、または通常の最小二乗解によるなどして、各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる。いくつかの実施形態では、メモリは、命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、直交形中の複数のフルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を追加することを行わせる。ある特定の実施形態では、メモリは、命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、下記式Iに従って不確実性係数を計算することを行わせ、式中、nは、フルオロフォアの数であり、dFは、各フルオロフォアに関連する判定された不確実性である。
【0013】
【数2】
【0014】
システムはまた、プロセッサであって、プロセッサが、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリが、メモリに記憶された命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、複数のフルオロフォアから発せられた光の検出に使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を特定することと、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと、計算されたコスト関数に基づいて、光検出器を有する複数のフルオロフォアを有する試料から光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することとを行わせるプロセッサを含む。いくつかの実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、バンドパスフィルタの変異した集団を生成するために、特定された集団内のバンドパスフィルタのうちの1つ以上を変異させることであって、変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較してシフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、変異させることと、変異した集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することとを行わせる。いくつかの実施形態では、変異した集団は、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して深色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む。他の実施形態では、変異した集団は、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して、浅色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む。一例では、変異した集団は、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して1nm以上シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含み得る。別の例では、変異した集団は、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して1%以上シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含み得る。実施形態では、メモリは、命令をさらに含み得、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、バンドパスフィルタの子孫集団を生成するために、特定された集団および変異した集団から2つ以上の異なるバンドパスフィルタを組み合わせることであって、各子孫バンドパスフィルタが、組み合わされたバンドパスフィルタからランダムに選択された波長を含む、組み合わせることと、子孫集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することとを行わせる。いくつかの実施形態では、システムはまた、プロセッサであって、プロセッサが、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリが、メモリに記憶された命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、特定された集団、変異した集団、および子孫集団内の各バンドパスフィルタの計算されたコスト関数を比較することと、複数のフルオロフォアを含む試料から光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定することとを行わせる、プロセッサを含み得る。いくつかの事例では、メモリは、命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、計算されたコスト関数に基づいて、バンドパスフィルタをランク付けすることを行わせる。関心のシステムはまた、命令を含むメモリを含み得、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、中央値コスト関数を有するバンドパスフィルタのセットを判定することと、中央値を下回るコスト関数を有するバンドパスフィルタを破棄することとを行わせる。
【0015】
対象の光検出システムの1つ以上の構成要素を含むキットもまた提供される。ある特定の実施形態によるキットは、光検出器アレイと、複数の増幅器を有する増幅器構成要素、ならびに、複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素であって、電子スイッチ構成要素が、複数の光検出器および複数の増幅器に電気的に結合されるように構成される、電子スイッチ構成要素を含む。実施形態では、キットはまた、光学調節構成要素、ならびに、回折格子などの光分散構成要素、およびフローストリーム内の試料を伝播させるためのフローセルを含み得る。
【0016】
本発明は、添付の図面と併せて読む場合、以下の詳細な説明から最もよく理解され得る。図面には、以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ある特定の実施形態による、光検出器構成要素、電子スイッチ構成要素、および増幅器構成要素を有する光検出システムの図を示す。
図2】ある特定の実施形態による、光検出器構成要素、第1の増幅器構成要素、電子スイッチ構成要素、および第2の増幅器構成要素を有する光検出システムの図を示す。
図3】一実施形態による、複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定するためのフローチャートを示す。
図4】別の実施形態による、複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するバンドパスフィルタの最適なセットを判定するためのフローチャートを示す。
図5】別の実施形態による、複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するバンドパスフィルタの最適なセットを判定するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(例えばフローストリーム内の)光を差次的に検出するためのシステムが記載される。ある特定の実施形態による光検出システムは、複数の光検出器、増幅器構成要素、ならびに複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素を含む。光を差分的に検出し、(例えばフローストリーム内の)試料によって発せられた光の測定値を最適化するためのシステムおよび方法もまた記載される。光検出器アレイ、増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素を有するキットもまた提供される。
【0019】
本発明がより詳細に記載される前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、当然ながら変わり得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0020】
値の範囲が提供される場合、文脈が別段明確に指示しない限り、その範囲の上限および下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在値との間の、下限の単位の10分の1までの各介在値が本発明の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、記載された範囲内の任意の具体的に除外された制限に従って、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、本発明内にも包含される。記載された範囲が制限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0021】
本明細書では、数値の前に「約」という用語が付けられて、特定の範囲が提示される。本明細書では、「約」という用語は、それが先行する正確な数、およびその用語が先行する数に近い、または近似する数について文字通りの支持を提供するために使用される。数が具体的に列挙された数に近いまたは近似しているかどうかを判定する際に、近いまたは近似する列挙されない数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な等価物を提供する数であり得る。
【0022】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料も、本発明の実施または試験に使用することができるが、代表的な例示的な方法および材料がここに記載されている。
【0023】
本明細書に引用されるすべての公開および特許は、各個々の公開または特許が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれ、引用される公開に関連した方法および/または材料を開示し、記載するために参照により本明細書に組み込まれる。いずれかの公開の引用は、出願日前のその開示のためであり、本発明が先行発明によってそのような公開に先行する権利がないことを認めるものと解釈されないものとする。さらに、提供された公開日は、独立して確認される必要がある可能性がある実際の公開日とは異なる場合がある。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段明確に指示しない限り、複数の参照を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求要素の列挙、または「否定的」な制限の使用に関連して、「単に」、「唯一」などの排他的な用語を使用するための先行詞として機能することが意図される。
【0025】
本開示を読むと当業者には明らかになるように、本明細書に記載され、例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、またはそれらと組み合わされ得る個別の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0026】
装置および方法は、機能的な説明を伴う文法的流動性のために記載されている、または記載されるが、特許請求の範囲は、米国特許法第112条下で明示的に策定されない限り、「手段」または「ステップ」制限の構築によって必ずしも制限されるものと解釈されるべきではなく、同等物の法制定基礎原則の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味および同等物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条下で明示的に策定される場合、米国特許法第112条下で完全な法定同等物が付与されるべきであることを明示的に理解されたい。
【0027】
上記で要約したように、本開示は、複数の光検出器、増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素を有する光検出システムを提供する。本開示の実施形態のさらなる説明において、最初に、本発明の実施形態による光検出システムについて、より詳細に記載される。次に、(例えば、フローストリーム内の)試料によって発せられた光を測定するためのシステム(例えば、フローサイトメータ)および方法、ならびに光検出器アレイ、増幅器構成要素、および電子スイッチを有するキットが記載される。複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するための1つ以上のバンドパスフィルタを選択するための方法およびシステムもまた提供される。
【0028】
光検出システム
本開示の態様は、(例えば、フローサイトメータのフローストリーム内の)試料によって発せられた光を検出するために構成された光検出システムを含む。いくつかの実施形態では、試料は、複数の発光化合物(例えば、フルオロフォア)を含み、対象のシステムは、フローセルを通って流れる試料から放射する光を動的に区別するように構成される。例えば、光検出システムは、試料内の異なる細胞集団を区別するなどのように、試料内の異なるフルオロフォア集団または異なる粒子集団から放射する光を区別するように構成され得る。いくつかの実施形態では、光検出システムは、試料内の異なるフルオロフォアから放射する異なる光の波長を動的に検出するように構成される。
【0029】
ある特定の実施形態による光検出システムは、光の特定の波長の差次遮蔽を提供する。「差次遮蔽」とは、試料から放射する光の1つ以上の波長が、例えば、1)光検出器で光を検出しない、または2)光の検出に応じて電子信号を生成しないことを意味する。いくつかの実施形態では、対象のシステムは、試料から放射する光の1つ以上の異なる波長、例えば2つ以上の異なる波長、例えば3つ以上の異なる波長、例えば4つ以上の異なる波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば15個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば150個以上の異なる波長、例えば250個以上の異なる波長、および試料から放射する光の500個以上の異なる波長を含む差次遮蔽を提供するように構成される。他の実施形態では、対象のシステムは、例えば5nm以上の範囲、例えば10nm以上、例えば15nm以上、例えば25nm以上、例えば50nm以上、例えば75nm以上、例えば100nm以上、例えば150nm以上、例えば200nm以上、例えば250nm以上、および300nm以上を含む波長の範囲の差次遮蔽を提供するように構成される。例えば、関心のシステムは、例えば3nm~450nm、例えば4nm~400nm、例えば5nm~350nm、例えば10nm~300nm、例えば15nm~250nm、および20nm~200nmを含む、2nm~500nmの波長の範囲の差次遮蔽を提供するように構成され得る。さらに他の実施形態では、対象のシステムは、所定の波長閾値を上回るまたは下回る波長の差動遮蔽を提供するように構成される。一例では、試料から放射する800nmを超える光の波長は、差次的に遮蔽され得る。別の例では、試料から放射する400nm未満の光の波長は、差次的に遮蔽され得る。ある特定の事例では、対象のシステムは、所望されるように、特定の波長が差次的に遮蔽される1つ以上のバンドパスフィルタの組み合わせとして動作するように構成される。システムは、任意の所望の数の波長を遮蔽するように構成され得、その結果、2つ以上の異なる波長が複数の光検出器によって検出され、検出された光に応答して、例えば3つ以上の異なる波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば15個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、および50個以上の異なる波長を含む電子信号が生成される。
【0030】
実施形態では、光検出システムは、複数の光検出器、増幅器構成要素、ならびに複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素を含む。関心の光検出器は、他の光検出器の中でもとりわけ、アクティブピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合デバイス(CCD)、強化電荷結合デバイス(ICCD)、発光ダイオード、フォトンカウンタ、ボロメータ、焦電検出器、光抵抗器、太陽電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体またはフォトダイオード、ならびにこれらの組み合わせなどの光学センサを含み得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、試料からの光は、電荷結合デバイス(CCD)、半導体電荷結合デバイス(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ、またはN型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサで測定される。
【0031】
いくつかの実施形態では、関心の光検出システムは、複数の光検出器を含む。いくつかの事例では、光検出システムは、フォトダイオードなどの複数の固体検出器を含む。ある特定の事例では、光検出システムは、フォトダイオードのアレイなどの光検出器アレイを含む。これらの実施形態では、光検出器アレイは、例えば10個以上の光検出器、例えば25個以上の光検出器、例えば50個以上の光検出器、例えば100個以上の光検出器、例えば250個以上の光検出器、例えば500個以上の光検出器、例えば750個以上の光検出器、および1000個以上の光検出器を含む、4つ以上の光検出器を含み得る。例えば、検出器は、例えば10個以上のフォトダイオード、例えば25個以上のフォトダイオード、例えば50個以上のフォトダイオード、例えば100個以上のフォトダイオード、例えば250個以上のフォトダイオード、例えば500個以上のフォトダイオード、例えば750個以上のフォトダイオード、および1000個以上のフォトダイオードを含む、4つ以上のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイであってもよい。
【0032】
光検出器は、必要に応じて任意の幾何学的構成で配置されてもよく、関心の構成は、正方形構成、長方形構成、台形構成、三角形構成、六角形構成、七角形構成、八角形構成、非長方形構成、十角形構成、十二角形構成、円形構成、楕円形構成、ならびに不規則パターン化構成を含むが、これらに限定されない。光検出器アレイ内の光検出器は、(X-Z平面で参照されるように)他方に対して、例えば15°~170°、例えば20°~160°、例えば25°~150°、例えば30°~120°、および45°~90°を含む、10°~180°の範囲の角度で配向され得る。光検出器アレイは、任意の好適な形状であってもよく、例えば、正方形、長方形、台形、三角形、六角形などの直線形状、例えば、円、楕円形などの曲線形状、ならびに、例えば、平面頂部に結合された放物線底部などの不規則形状であってもよい。ある特定の実施形態では、光検出器アレイは、長方形状の活性表面を有する。
【0033】
アレイ内の各光検出器(例えばフォトダイオード)は、例えば10μm~225μm、例えば15μm~200μm、例えば20μm~175μm、例えば25μm~150μm、例えば30μm~125μm、および50μm~100μmを含む、5μm~250μmの範囲の幅、ならびに、例えば10μm~225μm、例えば15μm~200μm、例えば20μm~175μm、例えば25μm~150μm、例えば30μm~125μm、および50μm~100μmを含む、5μm~250μの範囲の長さを有する活性表面を有してもよく、アレイ内の各光検出器(例えばフォトダイオード)の表面積は、例えば50μm~9000μm、例えば75μm~8000μm、例えば100μm~7000μm、例えば150μm~6000μm、および200μm~5000μmを含む、25μm~10000μmの範囲である。
【0034】
光検出器アレイのサイズは、光の量および強度、光検出器の数、ならびに所望の感度に応じて変わり得、例えば0.05mm~90mm、例えば0.1mm~80mm、例えば0.5mm~70mm、例えば1mm~60mm、例えば2mm~50mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~30mm、および5mm~25mmを含む0.01mm~100mmの範囲の長さを有し得る。光検出器アレイの幅はまた、例えば0.05mm~90mm、例えば0.1mm~80mm、例えば0.5mm~70mm、例えば1mm~60mm、例えば2mm~50mm、例えば3mm~40mm、例えば4mm~30mm、および5mm~25mmを含む、0.01mm~100mmの範囲で変わり得る。したがって、光検出器アレイの活性表面は、例えば0.5mm~5000mm、例えば1mm~1000m、例えば5mm~500mm、および10mm~100mを含む、0.1mm~1000mmの範囲であり得る。
【0035】
関心の光検出器は、例えば2つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長、および400個以上の異なる波長でフローストリーム内の試料によって発せられた光を測定することを含む、1つ以上の波長で集められた光を測定するように構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、光検出器は、波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって集められた光を測定するように構成される。ある特定の実施形態では、関心の光検出器は、ある範囲の波長にわたって光のスペクトルを集めるように構成される。例えば、システムは、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって光のスペクトルを集めるように構成された1つ以上の検出器を含み得る。さらに他の実施形態では、関心の検出器は、1つ以上の特定の波長でフローストリーム内の試料からの光を測定するように構成される。例えば、システムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、およびこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で光を測定するように構成された1つ以上の検出器を含んでもよい。ある特定の実施形態では、光検出器は、蛍光アッセイで試料と共に使用されるものなどの特定のフルオロフォアと対になるように構成され得る。
【0037】
光検出システムは、連続的に、または別個の間隔で光を測定するように構成される。いくつかの事例では、関心の光検出器は、集められた光の測定を連続的に行うように構成される。他の事例では、光検出システムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、および1000ミリ秒毎を含む、またはいくつかの他の間隔毎に光を測定するなど、別個の間隔で測定するように構成される。
【0038】
上記で要約したように、光検出システムは、増幅器構成要素も含む。実施形態では、増幅器構成要素は、検出された光に応答して、光検出器からの出力信号を増幅するように構成される。いくつかの実施形態では、増幅器構成要素は、トランスインピーダンス増幅器などの電流対電圧変換器を含む。他の実施形態では、増幅器構成要素は、加算増幅器などの動作増幅器回路を含む。実施形態では、光検出器からの出力電流は、電圧に変換され、ある特定の事例では、加算増幅器と組み合わされ、データ信号を出力するためにプロセッサに伝播される。
【0039】
光検出システムに採用される光検出器の数に応じて、増幅器構成要素は、例えば3つ以上の増幅器、例えば4つ以上の増幅器、例えば5つ以上の増幅器、例えば6つ以上の増幅器、例えば7つ以上の増幅器、例えば8つ以上の増幅器、例えば9つ以上の増幅器、例えば10個以上の増幅器、例えば15個以上の増幅器、例えば25個以上の増幅器、例えば50個以上の増幅器、例えば100個以上の増幅器、例えば250個以上の増幅器、例えば500個以上の増幅器、例えば750個以上の増幅器、および1000個以上の増幅器を含む、2つ以上の増幅器を含み得る。ある特定の実施形態において、増幅器構成要素は、例えば3つ以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば4つ以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば5つ以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば6つ以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば7つ以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば8つ以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば9つ以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば10個以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば15個以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば25個以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば50個以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば100個以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば250個以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば500個以上のトランスインピーダンス増幅器、例えば750個以上のトランスインピーダンス増幅器、および1000個以上のトランスインピーダンス増幅器を含む、2つ以上のトランスインピーダンス増幅器を含む。他の実施形態において、増幅器構成要素は、例えば3つ以上の加算増幅器、例えば4つ以上の加算増幅器、例えば5つ以上の加算増幅器、例えば6つ以上の加算増幅器、例えば7つ以上の加算増幅器、例えば8つ以上の加算増幅器、例えば9つ以上の加算増幅器、例えば10個以上の加算増幅器、例えば15個以上の加算増幅器、例えば25個以上の加算増幅器、例えば50個以上の加算増幅器、例えば100個以上の加算増幅器、例えば250個以上の加算増幅器、例えば500個以上の加算増幅器、例えば750個以上の加算増幅器、および1000個以上の加算増幅器を含む、2つ以上の加算増幅器を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、光検出システムは、光検出器の数に等しいいくつかの増幅器を含む。例えば、光検出システムは、例えばNが4~512であり、例えばNが8~256であり、Nが16~128である場合を含む、Nが2~1024の整数である場合など、N個の光検出器およびN個の増幅器を含み得る。ある特定の事例では、Nは4である(すなわち、光検出システムは、4つの光検出器および4つの増幅器を含む)。他の事例では、Nは8である。さらに他の事例では、Nは16である。さらに他の事例では、Nは32である。他の実施形態では、光検出システムは、例えばNが4~512であり、例えばNが8~256であり、Nが16~128である場合を含む、Nが2~1024の整数である場合など、N個の光検出器および2N個の増幅器を含み得る。例えば、光検出システムは、各光検出器についてのトランスインピーダンス増幅器および加算増幅器を含んでもよい。
【0041】
増幅器構成要素(例えば、トランスインピーダンス増幅器)は、複数の光検出器および電子スイッチ構成要素と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、増幅器構成要素は、複数の光検出器と直接電気通信する(すなわち、直下流にある)。他の実施形態では、増幅器構成要素は、電子スイッチ構成要素を介して複数の光検出器と電気通信する。ある特定の実施形態では、関心の光検出システムは、光検出器と電子スイッチ構成要素との間に電気的に位置決めされる第1の増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素から電気的に下流にある第2の増幅器構成要素を含む。いくつかの事例では、第1の増幅器構成要素は、光検出器から出力信号を受信するように構成された複数のトランスインピーダンス増幅器を含み、第2の増幅器構成要素は、電子スイッチ構成要素から出力信号を受信するように構成された複数の加算増幅器を含む。
【0042】
増幅器構成要素は、電子スイッチ構成要素と電気通信しており、増幅器構成要素内の各増幅器は、光検出器のうちの1つ以上から電子信号を受信するように構成され得る。例えば、光検出器構成要素がN個の光検出器を含む場合、増幅器構成要素内の各増幅器は、N/2光検出器、N/4光検出器、N/8光検出器、N/16光検出器、N/32光検出器、またはいくつかの他の部分等のN個の光検出器またはその一部から信号を受信するように構成され得る。一例では、光検出システムは、64個の光検出器を含み、各増幅器は、(すなわち、N個の光検出器から信号を受信するように構成された)64個すべての異なる光検出器から信号を受信するように構成される。別の例では、光検出システムは、64個の光検出器を含み、各増幅器は、32個の異なる光検出器から信号を受信するように構成される(すなわち、N/2光検出器から信号を受信するように構成される)。さらに別の例では、光検出システムは、64個の光検出器を含み、各増幅器は、16個の異なる光検出器から信号を受信するように構成される(すなわち、N/4光検出器から信号を受信するように構成される)。これらの実施形態では、電子スイッチ構成要素は、光検出器からの電子信号を多重化するか、または非多重化し、光検出器からの多重または非多重電子信号を伝達することができる。
【0043】
上記で要約したように、対象の光検出システムは、複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素を含む。いくつかの実施形態では、電子スイッチ構成要素は、複数の光検出器から増幅器構成要素への信号の伝播を変調するように構成される。他の実施形態では、光検出器からの信号は、増幅器構成要素(例えば、複数のトランスインピーダンス増幅器)に直接伝播され、電子スイッチ構成要素は、増幅器の各々からの増幅信号の伝播を変調するように構成される。したがって、対象の光検出システムは、電子スイッチ構成要素で光検出器からの生信号または増幅器構成要素からの増幅信号を変調するように構成され得る。回路内の電流を中断し、かつ転換することが可能であり、他のタイプの電子スイッチおよびそれらの組み合わせの中でもとりわけ、バイポーラトランジスタ、パワーダイオード、金属酸化物半導体フィールド効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、シリコン制御整流器(SCR)、トリオードAC(TRIAC)、ダイオードAC(DIAC)、およびゲートオフサイリスタを含み得るが、これらに限定されない任意の便利な電子スイッチプロトコルが採用され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、電子スイッチ構成要素は、複数の光検出器から信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、電子スイッチ構成要素は、光検出器によって検出された光の1つ以上の波長を遮蔽することができるように、光検出器から増幅器構成要素に信号を差次的に伝播するように構成される。例えば、光検出器のうちの2つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの3つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの4つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの8つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの16個以上からの信号、例えば光検出器のうちの32個以上からの信号、および例えば光検出器のうちの64個以上からの信号を含む1つ以上の光検出器からの信号が、遮蔽され得る。これらの実施形態では、例えば光の2つ以上の波長、例えば光の3つ以上の波長、例えば光の4つ以上の波長、例えば光の5つ以上の波長、例えば光の10個以上の波長、例えば光の25個以上の波長、例えば光の50個以上の波長、例えば光の100個以上の波長、および光の250個以上の波長を含む光の1つ以上の波長を遮蔽することができる。ある特定の実施形態では、電子スイッチ構成要素は、例えば2つ以上の波長範囲、例えば3つ以上の波長範囲、例えば4つ以上の波長範囲、例えば5つ以上の波長範囲、例えば10個以上の波長範囲、および25個以上の波長範囲を含む、光検出器によって検出された1つ以上の波長範囲を遮蔽することができるように、光検出器から増幅器構成要素に信号を差次的に伝播するように構成される。
【0045】
ある特定の実施形態では、電子スイッチ構成要素は、例えば、200nm~1000nmの範囲の特定の波長が差次的に検出され得る場合など、試料からの光のスペクトルプロファイルの特定の部分が差次的に検出され得るように、所定の波長または波長範囲を遮蔽するように構成され得る。例えば、電子スイッチ構成要素は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、およびこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で光検出信号を測定し、かつ生成するように、試料からの光のスペクトルプロファイルの特定の部分を遮蔽するように構成され得る。
【0046】
他の実施形態では、電子スイッチ構成要素は、増幅器構成要素から信号を受信するように構成される。ある特定の事例では、増幅器構成要素からの信号は、光検出器から増幅器構成要素に直接伝播される信号である。いくつかの実施形態では、電子スイッチ構成要素は、光検出器によって検出される光の1つ以上の波長を遮蔽することができるように、(例えば、複数のトランスインピーダンス増幅器を有する)増幅器構成要素から(例えば、複数の加算増幅器を有する)第2の増幅器構成要素に増幅信号を差次的に伝播するように構成される。例えば、例えば光検出器のうちの2つ以上からの増幅信号、例えば光検出器のうちの3つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの4つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの6つ以上からの増幅信号、例えば光検出器のうちの8つ以上からの増幅信号、例えば光検出器のうちの16個以上からの増幅信号、例えば光検出器のうちの32個以上からの増幅信号、および光検出器のうちの64個以上からの増幅信号を含む、光検出器の1つ以上からの増幅信号が遮蔽され得る。これらの実施形態では、例えば光の2つ以上の波長、例えば光の3つ以上の波長、例えば光の4つ以上の波長、例えば光の5つ以上の波長、例えば光の10個以上の波長、例えば光の25個以上の波長、例えば光の50個以上の波長、例えば光の100個以上の波長、および光の250個以上の波長を含む光の1つ以上の波長を遮蔽することができる。ある特定の実施形態では、電子スイッチ構成要素は、例えば2つ以上の波長範囲、例えば3つ以上の波長範囲、例えば4つ以上の波長範囲、例えば5つ以上の波長範囲、例えば10個以上の波長範囲、および25個以上の波長範囲を含む、光検出器によって検出された1つ以上の波長範囲を遮蔽することができるように、第1の増幅器構成要素から第2の増幅器構成要素に増幅信号を差次的に伝播するように構成される。ある特定の実施形態では、電子スイッチ構成要素は、(例えば、複数のトランスインピーダンス増幅器を有する)第1の増幅器構成要素から(例えば、複数の加算増幅器を有する)第2の増幅器構成要素に増幅信号を差次的に伝播して、例えば、200nm~1000nmの範囲の特定の波長が差次的に検出され得る場合に、試料からの光のスペクトルプロファイルの特定の部分が差次的に検出され得るように、所定の波長または波長範囲を遮蔽するように構成され得る。
【0047】
光検出システムに採用される光検出器および増幅器(上述のように)の数に応じて、電子スイッチ構成要素は、例えば3つ以上の電子スイッチ、例えば4つ以上の電子スイッチ、例えば5つ以上の電子スイッチ、例えば6つ以上の電子スイッチ、例えば7つ以上の電子スイッチ、例えば8つ以上の電子スイッチ、例えば9つ以上の電子スイッチ、例えば10個以上の電子スイッチ、例えば15個以上の電子スイッチ、例えば25個以上の電子スイッチ、例えば50個以上の電子スイッチ、例えば100個以上の電子スイッチ、例えば250個以上の電子スイッチ、例えば500個以上の電子スイッチ、例えば750個以上の電子スイッチ、および1000個以上の電子スイッチを含む、2つ以上の電子スイッチを含み得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、光検出システムは、光検出器の数に等しいいくつかの電子スイッチを含む。例えば、光検出システムは、例えばNが4~512であり、例えばNが8~256であり、Nが16~128である場合を含む、Nが2~1024の整数である場合など、N個の光検出器およびN個の電子スイッチを含み得る。ある特定の事例では、Nは4である(すなわち、光検出システムは、4つの光検出器および4つの電子スイッチを含む)。他の事例では、Nは8である。さらに他の事例では、Nは16である。さらに他の事例では、Nは32である。他の実施形態では、光検出システムは、例えばNが4~512であり、例えばNが8~256であり、Nが16~128である場合を含む、Nが2~1024の整数である場合など、N個の光検出器および2N個の電子スイッチを含み得る。いくつかの実施形態では、光検出システムは、電子スイッチのアレイを含む。例えば、光検出システムは、例えばNが4~512であり、例えばNが8~256であり、Nが16~128である場合を含む、Nが2~1024の整数である場合など、N個の光検出器は、N×N個の電子スイッチのアレイを含み得る。ある特定の事例では、Nは4である。
【0049】
図1は、ある特定の実施形態による、光検出器構成要素、電子スイッチ構成要素、および増幅器構成要素を有する光検出システムの図を示す。光検出システム100は、複数の光検出器101a、101b、101c、101d(最大N個の光検出器)を有する光検出器構成要素101、光検出器と電気通信する電子スイッチのN×N個のアレイを有する電子スイッチ構成要素102、および複数の増幅器103a、103b、103c、103d(例えば、トランスインピーダンス増幅器、最大N個の増幅器)を有する増幅器構成要素103を含む。光検出器の各々からの信号は、電子スイッチアレイを介して増幅器と電気通信する。光検出器の各々からの光は、電子スイッチを介して光検出器から増幅器への信号伝播を変調することによって、差次的に遮蔽することができる。
【0050】
図2は、ある特定の実施形態による、光検出器構成要素、第1の増幅器構成要素、電子スイッチ構成要素、および第2の増幅器構成要素を有する光検出システムの図を示す。光検出システム200は、N個の光検出器を有する光検出器アレイ201、N個の増幅器(例えば、トランスインピーダンス増幅器)を有する第1の増幅器構成要素202、N×N個の電子スイッチを有する電子スイッチ構成要素203、およびN個の増幅器(例えば、加算増幅器)を有する第2の増幅器構成要素を含む。本実施形態における各光検出器からの信号は、第1の増幅器構成要素の複数の増幅器によって増幅され、電子スイッチで第2の増幅器構成要素の増幅器に差次的に伝播される。光検出器によって検出された光の異なる波長は、電子スイッチで増幅信号を変調することによって差次的に遮蔽することができる。
【0051】
フローストリーム内の試料から光を検出するためのシステム
本開示の態様は、(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム内の)試料からの光を測定するために構成されたシステムを含む。ある特定の実施形態では、システムは、光源、試料からの光のスペクトルを分散するように構成された光分散構成要素、ならびに上述のように、複数の光検出器、増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素を有する光検出システムを含む。いくつかの事例では、システムは、フローサイトメータである。ある特定の実施形態では、複数の光検出器、増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素を有する光検出システムは、フローサイトメータに解放不能に組み込まれる。ある特定の実施形態では、光検出システムは、光学収集システム(例えば、光ファイバまたはフリースペース光リレーシステム)を通して、試料源(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム)と光通信する。
【0052】
試料からの光を測定するための関心のシステムは、光源を含む。実施形態では、光源は、任意の好適な広帯域または狭帯域の光源であってもよい。試料内の成分(例えば、細胞、ビーズ、非細胞粒子など)に応じて、光源は、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、および400nm~800nmを含む、200nm~1500nmの範囲で変わる光の波長を発するように構成され得る。例えば、光源は、200nm~900nmの波長を有する光を発する広帯域光源を含んでもよい。他の事例では、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を発する狭帯域光源を含む。例えば、光源は、200nm~900nmの範囲の波長を有する光を発する狭帯域LED(1nm~25nm)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源は、連続波レーザなどのレーザである。例えば、レーザは、ヘリウムネオン(HeNe)レーザであってもよい。ある特定の実施形態では、光源は、フローサイトメータ内のレーザである。
【0053】
他の実施形態では、光源は、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、連続スペクトルを有する広帯域LEDなどの発光ダイオード、超発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広域スペクトルLED白色光源、マルチLED集積を含むがこれらに限定されないランプなどの非レーザ光源である。いくつかの事例では、非レーザ光源は、他の光源の中でもとりわけ安定化繊維結合広帯域光源、白色光源またはそれらの任意の組み合わせである。
【0054】
光源は、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば25mm以上、および100mm以上の距離を含む、フローストリームから0.001mm以上の距離など、試料からの任意の好適な距離(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム)に位置決めされてもよい。加えて、光源は、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°、および30°~60°を含む、10°~90°の範囲の角度、例えば90°の角度など、(例えば、フローストリームの垂直軸に対して)任意の好適な角度で試料を照射する。
【0055】
光源は、連続的に、または別個の間隔で試料を照射するように構成され得る。いくつかの事例では、システムは、フローサイトメータ内の調査ポイントでフローストリームを連続的に照射する連続波レーザなどで試料を連続的に照射するように構成される光源を含む。他の事例では、関心のシステムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎および1000ミリ秒毎を含む、別個の間隔で、またはいくつかの他の間隔で、試料を照射するように構成される光源を含む。光源が別個の間隔で試料を照射するように構成される場合、システムは、光源での試料の断続的な照射を提供するために、1つ以上の追加の構成要素を含み得る。例えば、これらの実施形態の対象のシステムは、1つ以上のレーザビームチョッパ、光源に試料をブロックして曝露するための手動またはコンピュータ制御ビーム停止部を含み得る。
【0056】
実施形態では、試料によって発せられた光は、複数の光検出器(例えば、フォトダイオードアレイ)を有する対象の光検出システム(上述のように)に伝播される。上述のように、対象の光検出器アレイは、他の光検出器の中でもとりわけ、アクティブピクセルセンサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合デバイス(CCD)、強化電荷結合デバイス(ICCD)、発光ダイオード、フォトンカウンタ、ボロメータ、焦電検出器、光抵抗器、太陽電池、フォトダイオード、光電子増倍管、フォトトランジスタ、量子ドット光伝導体またはフォトダイオード、ならびにこれらの組み合わせなどの光学センサを含み得るが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、試料からの光は、電荷結合デバイス(CCD)、半導体電荷結合デバイス(CCD)、アクティブピクセルセンサ(APS)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサ、またはN型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサで測定される。
【0057】
本開示の実施形態では、関心の検出器は、例えば2つ以上の波長、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長、および400個以上の異なる波長でフローストリーム内の試料によって発せられた光を測定することを含む、1つ以上の波長で集められた光を測定するように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、関心の検出器は、波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって集められた光を測定するように構成される。ある特定の実施形態では、関心の検出器は、ある範囲の波長にわたって光のスペクトルを集めるように構成される。例えば、システムは、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって光のスペクトルを集めるように構成された1つ以上の検出器を含み得る。さらに他の実施形態では、関心の検出器は、1つ以上の特定の波長でフローストリーム内の試料によって発せられた光を測定するように構成される。例えば、システムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、およびこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で光を測定するように構成された1つ以上の検出器を含んでもよい。ある特定の実施形態では、1つ以上の検出器は、蛍光アッセイで試料と共に使用されるものなどの特定のフルオロフォアと対になるように構成され得る。
【0059】
実施形態では、光検出システムの光検出器は、連続的に、または別個の間隔で光を測定するように構成される。いくつかの事例では、関心の検出器は、集められた光の測定を連続的に行うように構成される。他の事例では、関心の検出器は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、および1000ミリ秒毎を含む、またはいくつかの他の間隔毎に光を測定するなど、別個の間隔で測定するように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、試料からの光を測定するためのシステムは、試料からの光のスペクトルを分散させるように構成された1つ以上の光分散構成要素を含む。「光分散」という用語は、本明細書では、その従来の意味で、光の異なる波長を分散する(例えば、分解する)光学成分を指すために使用される。関心の光分散構成要素の例は、他のタイプの光分散構成要素の中でもとりわけ、プリズム、回折格子、スペクトロメータを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、関心のプリズムは、他のタイプのプリズムの中でも、等角分散プリズム、三角形プリズム、Abbeプリズム、Pellin-Brocaプリズム、Amiciプリズム、複合プリズム、回折格子に結合された分散プリズム、Porroプリズム、Porro-Abbeプリズム、Amiciルーフプリズム、ペンタプリズム、Abbe-Koenigプリズム、Schmidt-Pechanプリズム、Bauernfeindプリズム、Doveプリズム、回帰反射プリズム、ビームスプリッタキューブなどのビームスプリッティングプリズム、二色プリズム、ニコールプリズム、Wollastonプリズム、Nomarskiプリズム、Rochonプリズム、Senarmontプリズム、Glan-Foultプリズム、Glan-Taylorプリズム、Glan-Thompsonプリズム、または楔形プリズム、リスレープリズム、菱形プリズムなどの偏光プリズムなどの分散プリズムを含むが、これらに限定されない。関心のプリズムは、ガラス(例えば、N-SF10、N-SF11、N-SF57、N-BK7、N-LAK1、またはN-LAF35ガラス)、シリカ(例えば、縮合シリカ)、クォーツ、結晶(例えば、CaF結晶)、セレン化亜鉛(ZnSe)、F、ゲルマニウム(Ge)チタン酸塩(例えば、S-TIH11)、ホウケイ酸塩(例えば、BK7)を含むが、これらに限定されない、任意の好適な材料から形成され得る。
【0061】
対象の光分散構成要素は、試料からの光スペクトルを分散するように構成される。いくつかの実施形態では、光分散構成要素は、例えば250nm~1150nm、例えば300nm~1100nm、例えば350nm~1050nm、例えば400nm~1000nm、および500nm~900nmを含む、200nm~1200nmの範囲の波長を有するスペクトルなどである。いくつかの実施形態では、光分散構成要素は、例えば175nm~375nm、および200nm~300nmを含む150nm~400nmの範囲の波長のスペクトルなど、試料からの光のUVスペクトルを光検出システムの光検出器構成要素上に投影するように構成されるUV分散構成要素である。他の実施形態では、光分散構成要素は、例えば500nm~900nm、および600nm~800nmを含む400nm~1000nmの範囲の波長のスペクトルなどの、試料からの光の可視光スペクトルを光検出システムの光検出器構成要素上に投影するように構成される可視光分散構成要素である。さらに他の実施形態では、光分散構成要素は、例えば1100nm~1500nm、および1200nm~14000nmを含む1000nm~16000nmの範囲の波長のスペクトルなどの、試料からの光のNIR光スペクトルを光検出システムの光検出器構成要素上に投影するように構成される近赤外線(NIR)光分散構成要素である。
【0062】
光分散構成要素は、(X-Z平面で参照されるように)光検出システムの光検出器に対して、例えば15°~170°、例えば20°~160°、例えば25°~150°、例えば30°~120°、および45°~90°を含む、10°~180°の範囲の角度で配向され得る。光分散構成要素は、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば25mm以上、および100mm以上の距離を含む、フローストリームから0.001mm以上の距離など、光検出器から任意の好適な距離に位置決めされてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、試料からの光を測定するためのシステムは、試料源(例えば、フローストリーム)からの光を集め、対象の光検出システムの複数の光検出器(例えば、光検出器アレイ)に向けるための光収集システムを含む。光学収集システムは、例えば、接着剤などで光検出器のうちの1つ以上に物理的に結合されてもよく、共に成形されてもよく、または光検出器に統合されてもよい。ある特定の実施形態では、光学収集システムおよび光検出システムは、単一のユニットに統合される。
【0064】
他の実施形態では、光検出システムおよび光学収集システムは、光学通信するが、物理的に接触していない。例えば、光学収集システムは、光検出システムから例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば10mm以上、例えば25mm以上、例えば50mm以上、および100mm以上を含む、第1の光検出器アレイから0.001mm以上に位置決めされてもよい。
【0065】
実施形態では、光分散構成要素(例えば、プリズム、回折格子)は、空間的に調節可能である。光分散構成要素は、(例えば、フローストリームまたはレーザに対して)光分散構成要素の水平位置、光分散構成要素の垂直位置、光分散構成要素の配向の角度、またはそれらの組み合わせを変更するように調節され得る。いくつかの実施形態では、光分散構成要素は、空間的に調節可能であるように構成され、光分散構成要素の水平位置(例えば、フローストリームの水平軸に沿ったX-Y平面内)を変更するように構成される。例えば、光分散構成要素の水平位置を、例えば0.0005mm以上、例えば0.001mm以上、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2mm以上、例えば3mm以上、例えば4mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、および光分散構成要素の水平位置を25mm以上移動させることを含む、0.0001mm以上移動させることができる。
【0066】
他の実施形態では、光分散構成要素は、空間的に調節可能であり、(例えば、フローストリームの長手方向軸に沿って)光分散構成要素の垂直位置を移動させるように構成される。例えば、光分散構成要素の垂直位置を、例えば0.0005mm以上、例えば0.001mm以上、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2mm以上、例えば3mm以上、例えば4mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、および光分散構成要素の垂直位置を(例えば、フローストリームの長手方向軸に沿って)25mm以上移動させることを含む、0.0001mm以上移動させることができる。
【0067】
他の実施形態では、光分散構成要素は、空間的に調節可能であり、光分散構成要素の配向の角度を変更するように構成される。例えば、光分散構成要素の配向が、例えば0.2°以上、例えば0.3°以上、例えば0.4°以上、例えば0.5°以上、例えば1°以上、例えば2°以上、例えば3°以上、例えば4°以上、例えば5°以上、例えば10°以上、例えば15°以上、例えば20°以上、例えば25°以上、例えば30°以上、および光分散構成要素の配向角を45°以上変更することを含む、0.1°以上変更させるように、光分散構成要素は調整され得る。
【0068】
光分散構成要素は、例えば0.001mm以上、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2mm以上、および光分散構成要素を5mm以上の増分でフローストリームの水平軸に沿って変位させることを含めて、連続的に、または別個の増分で空間的に調節可能であるように構成される。別の例では、光分散構成要素は、例えば0.001mm以上、例えば0.005mm以上、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2mm以上、および光分散構成要素を5mm以上の増分でフローストリームの垂直軸に沿って変位させることを含めて、別個の増分でフローストリームの垂直軸に沿って変位する。さらに別の例では、光分散構成要素の配向の角度は、例えば0.2°以上、例えば0.3°以上、例えば0.4°以上、例えば0.5°以上、例えば1°以上、例えば2°以上、例えば3°以上、例えば4°以上、および5°以上を含む、0.1°以上の増分などの別個の増分で調節可能である。
【0069】
いくつかの実施形態では、光分散構成要素は、(例えば、手動で、機械的に、またはモータ駆動変位デバイスにより)移動可能である。他の実施形態では、光分散構成要素は、移動可能である支持ステージに結合される。いくつかの事例では、光分散構成要素は、手動で移動されるように構成される。他の事例では、光分散構成要素は、機械的リードスクリューアセンブリ、もしくは機械的に動作する歯車付き変換デバイスに直接結合されるなどして、または機械的リードスクリューアセンブリもしくは機械的に動作する歯車付き変換デバイスが支持ステージに結合される場合に、機械的に移動されるように構成される。さらに他の事例では、小角度プリズムは、例えば、光分散構成要素が、モータ差動変位段階、モータ駆動リードスクリューアセンブリ、他のタイプのモータの中でもとりわけ、ステッピングモータ、サーボモータ、ブラシレス電動モータ、ブラシ付きDCモータ、マイクロステップ駆動モータ、高分解能ステッピングモータを用いるモータ操作歯車付き作動デバイスに結合される場合など、モータ駆動変位デバイスと共に移動するように構成される。
【0070】
関心のシステムはまた、1つ以上の光学調節プロトコルを含み得る。上述したように、「光学調節」という用語は、空間幅照射、または、例えば、照射方向、波長、ビームプロファイル、ビーム幅、ビーム強度、焦点、およびパルス幅などの、光源からの照射のいくつかの他の特徴を変更することができる任意のデバイスを指す。いくつかの実施形態では、システムは、照射光源の照射方向、波長、ビームプロファイル、ビーム幅、ビーム強度、焦点、およびパルス幅のうちの1つ以上を調節する光学調節プロトコルを含み得る。他の実施形態では、システムは、焦点など、試料から集められた光を調節する光学調節プロトコルも含んでもよい。
【0071】
実施形態では、光調節プロトコルは、レンズ、ミラー、フィルタ、光ファイバ、波長セパレータ、ピンホール、スリット、コリメーティングプロトコル、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、関心のシステムは、1つ以上の集束レンズを含む。一例では、集束レンズは、非拡大レンズであってもよい。別の例では、集束レンズは、拡大レンズである。他の実施形態では、関心のシステムは、1つ以上のミラーを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、試料からの光は、光ファイバを含む光学収集システムで集められる。例えば、いくつかの事例では、光学収集システムは、上述したように、光ファイバ光リレー束であってもよく、光は、光ファイバ光リレー束を通して、光検出システムの光検出器構成要素に伝達される。他の実施形態では、光学収集システムは、自由空間光リレーシステムを含む。例えば、自由空間光リレーシステムは、近位端部および遠位端部を有するハウジングを含み得、近位端部は、光検出システムの光検出器構成要素に結合される。自由空間リレーシステムは、1つ以上のレンズ、ミラー、スリット、ピンホール、波長セパレータ、またはそれらの組み合わせなど、異なる光学調整構成要素の任意の組み合わせを含み得る。
【0073】
ある特定の実施形態では、対象のシステムは、フローストリーム内の試料によって発せられた光を検出するための上述の光検出システムを用いるフローサイトメトリーシステムである。試料を分析するための好適なフローサイトメトリーシステムおよび方法は、Ormerod(ed.),Flow Cytometry:A Practical Approach,Oxford Univ.Press(1997)、Jaroszeski et al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Methods in Molecular Biology No.91,Humana Press(1997)、Practical Flow Cytometry,3 rd ed.,Wiley - Liss(1995),rgo,et al.(2012) Ann Clin Biochem.Jan、49(pt 1):17 -28Linden,et.al.,Semin Throm Hemost.2004Oct ;30(5):502-11;Alison,et a l.J Pathol,2010Dec ;222(4):335- 344;およびHerbig,et a l.(2007) Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203-255に記載されているものを含むが、これらに限定されず、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の事例では、関心のフローサイトメトリーシステムは、BD Biosciences FACSCanto(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences FACSVantage(商標)、BD Biosciences FACSort(商標)、BD Biosciences FACSCount(商標)、BD Biosciences FACScan(商標)、およびBD Biosciences FACScan(商標)システム、BD Biosciences FACSCalibur(商標)システム、BD Biosciences Influx(商標)細胞選別機、BD Biosciences Jazz(商標)細胞選別機、およびBD Biosciences Aria(商標)細胞選別機などを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、対象のシステムは、例えば、米国特許第3,960,449号、同第4,347,935号、同第4,667,830号、同第4,704,891号、同第4,770,992号、同第5,030,002号、同第5,040,890号、同第5,047,321号、同第5,245,318号、同第5,317,162号、同第5,464,581号、同第5,483,469号、同第5,602,039号、同第5,620,842号、同第5,627,040号、同第5,643,796号、同第5,700,692号、同第6,372,506号、同第6,809,804号、同第6,813,017号、同第6,821,740号、同第7,129,505号、同第7,201,875号、同第7,544,326号、同第8,140,300号、同第8,233,146号、同第8,753,573号、同第8,975,595号、同第9,092,034号、同第9,095,494号、および同第9,097,640号に記載されるものなどの、フローサイトメトリーシステムであり、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
ある特定の実施形態では、対象のシステムは、無線周波数多重励起を使用して、複数の周波数シフト光ビームを生成する励起モジュールを有するフローサイトメトリーシステムである。これらの実施形態では、レーザ光生成器は、複数のレーザ、および複数の周波数シフトコムビームを生成するための1つ以上の音響光学構成要素(例えば、音響光学デフレクタ、音響光学周波数シフタ)を含んでもよい。周波数シフトコムビームおよびローカル発振器ビームのうちの1つ以上は、実質的に一定の強度プロファイルを有する周波数シフト光の1つ以上のビームを生成するために、本明細書に記載されるようなビーム成形構成要素によって受信されるように構成され得る。ある特定の事例では、対象のシステムは、米国特許第9,423,353号、同第9,784,661号、および米国特許公開第2017/0133857号、ならびに同第2017/0350803号に記載されるようなレーザ励起モジュールを有するフローサイトメトリーシステムであり、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
照射試料から集められた光を測定するための方法
本開示の態様はまた、試料からの(例えば、フローサイトメータ内のフローストリーム内の)光を測定するための方法も含む。実施形態による方法を実践する際に、試料が光源で照射され、上述のように、試料からの光が、複数の光検出器、増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素で検出される。いくつかの事例では、試料は、生体試料である。「生体試料」という用語は、その従来の意味で、全生物、植物、真菌、または、いくつかの事例において、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水、羊髄血、尿、膣液、および精液中に見られ得る動物組織、細胞、または構成成分のサブセットを指すために使用される。したがって、「生体試料」は、天然生物またはその組織のサブセットの両方、ならびに、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の切片、呼吸器、胃腸、心血管、および泌尿器管、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、臓器を含むが、これらに限定されない、生物またはその組織のサブセットから調製されたホモジネート、溶解物、または抽出物を指す。生物学的試料は、健康組織および疾患組織(例えば、がん性、悪性、壊死性など)の両方を含む、任意のタイプの生体組織であってもよい。ある特定の実施形態では、生体試料は、血液またはその誘導体、例えば、血漿、涙液、尿、精液などの液体試料であり、いくつかの事例では、試料は、静脈穿刺または指先から取得された血液など、全血を含む血液試料である(血液は、防腐剤、抗凝固剤などのアッセイの前に任意の試薬と組み合わされてもよく、組み合わされなくてもよい)。
【0077】
ある特定の実施形態では、試料源は、「哺乳類」または「哺乳類の動物」であり、これらの用語は、肉食類(例えば、イヌおよびネコ)、げっ歯類(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳類内の生物を記載するために広く使用される。いくつかの事例では、対象はヒトである。方法は、両方の性別のヒト対象から取得された試料に、かつ発達の任意の段階(すなわち、新生児、乳幼児、年少、思春期、成人)に適用されてもよく、ある特定の実施形態では、ヒト対象は、年少、思春期、または成人である。本発明は、ヒト対象からの試料に適用され得るが、鳥、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、およびウマなど他の動物対象(すなわち、「非ヒト対象」において)からの試料に対しても実施され得ることを理解されたい。
【0078】
対象の方法を実践する際に、(例えば、フローサイトメータのフローストリーム内の)試料は、光源からの光で照射される。いくつかの実施形態では、光源は、例えば100nm以上、例えば150nm以上、例えば200nm以上、例えば250nm以上、例えば300nm以上、例えば350nm以上、例えば400nm以上、および500nm以上にわたることを含む、例えば50nm以上にわたるなど、広範囲の波長を有する光を発する広帯域光源である。例えば、1つの好適な広帯域光源は、200nm~1500nmの波長を有する光を発する。好適な広帯域光源の別の例は、400nm~1000nmの波長を有する光を発する光源を含む。方法が広帯域光源で照射することを含む場合、関心の広帯域光源プロトコルは、他の広帯域光源またはそれらの任意の組み合わせの中でもとりわけ、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、安定化繊維結合広帯域光源、連続スペクトルの広帯域LED、超発光ダイオード、半導体発光ダイオード、ワイドスペクトルLED白色光源、マルチLED一体型白色光源を含み得るが、これらに限定されない。
【0079】
他の実施形態では、方法は、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば25nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下、例えば10nm以下、例えば5nm以下、例えば2nm以下、および特定の光の波長(すなわち、単色光)を発する光源を含む、50nm以下の範囲のような狭波長範囲の光を発する光源など、特定の波長または狭い範囲の波長を発する狭帯域光源で照射することを含む。方法が、狭帯域光源で照射することを含む場合、関心の狭帯域光源プロトコルは、狭波長LED、レーザダイオード、または1つ以上の光学バンドパスフィルタ、回折格子、モノクロメータ、またはこれらの任意の組み合わせに結合された広帯域光源を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0080】
ある特定の実施形態では、方法は、試料を1つ以上のレーザで照射することを含む。上述したように、レーザのタイプおよび数は、試料ならびに集められた所望の光に応じて変化し、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、キセノンレーザ、窒素レーザ、COレーザ、COレーザ、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザ、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザ、キセノンフッ素(XeF)エキシマレーザ、またはそれらの組み合わせなどのガスレーザであり得る。他の事例では、方法は、スチルベン、クマリン、またはローダミンレーザなどの色素レーザでフローストリームを照射することを含む。さらに他の事例では、方法は、ヘリウムカドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム水銀(HeHg)レーザ、ヘリウムセレン(HeSe)レーザ、ヘリウム銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン銅(NeCu)レーザ、銅レーザまたは金レーザ、およびそれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザでフローストリームを照射することを含む。さらに他の事例では、方法は、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVOレーザ、Nd:YCaO(BOレーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、スリムYAGレーザ、イッテルビウムYAGレーザ、Ybレーザ、またはセリウムドープレーザ、およびそれらの組み合わせなどの固体レーザでフローストリームを照射することを含む。
【0081】
試料は、例えば2つ以上の光源、例えば3つ以上の光源、例えば4つ以上の光源、例えば5つ以上の光源、および10個以上の光源を含む、上述の光源のうちの1つ以上で照射され得る。光源は、任意のタイプの光源の組み合わせを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上のガスレーザ、1つ以上の色素レーザ、および1つ以上の固体レーザを有するアレイなどのレーザのアレイでフローストリーム内の試料を照射することを含む。
【0082】
試料は、例えば250nm~1250nm、例えば300nm~1000nm、例えば350nm~900nm、および400nm~800nmを含む、200nm~1500nmの範囲の波長で照射され得る。例えば、光源が広帯域光源である場合、試料は、200nm~900nmの波長で照射され得る。他の事例では、光源が複数の狭帯域光源を含む場合、試料は、200nm~900nmの範囲の特定の波長で照射されてもよい。例えば、光源は、200nm~900nmの波長の範囲を有する光を各々独立して発する複数の狭帯域LED(1nm~25nm)であってもよい。他の実施形態では、狭帯域光源は、1つ以上のレーザ(レーザアレイなど)を含み、試料は、上述のように、ガスレーザ、エキシマレーザ、色素レーザ、金属蒸気レーザ、および固体レーザを有するレーザアレイでなど、200nm~700nmの範囲の特定の波長で照射される。
【0083】
2つ以上の光源が用いられる場合、試料は、光源で同時にもしくは順次、またはそれらの組み合わせで照射され得る。例えば、試料は、光源の各々で同時に照射され得る。他の実施形態では、フローストリームは、光源の各々で順次照射される。試料を順次照射するために2つ以上の光源が用いられる場合、各光源が試料を照射する時間は、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、および60マイクロ秒以上を含む、単独で0.001マイクロ秒以上であってもよい。例えば、方法は、例えば0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、および5マイクロ秒~10マイクロ秒を含む、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲の持続時間の間、試料を光源(例えば、レーザ)で照射することを含み得る。試料が2つ以上の光源で順次照射される実施形態では、試料が各光源によって照射される持続時間は、同じであっても異なってもよい。
【0084】
各光源による照射間の期間もまた、必要に応じて、例えば0.01マイクロ秒以上、例えば0.1マイクロ秒以上、例えば1マイクロ秒以上、例えば5マイクロ秒以上、例えば10マイクロ秒以上、例えば15マイクロ秒以上、例えば30マイクロ秒以上、および60マイクロ秒以上を含む、0.001マイクロ秒以上の遅延によって個別に分離して、変わり得る。例えば、各光源による照射間の期間は、例えば0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、例えば0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、例えば1マイクロ秒~25マイクロ秒、および5マイクロ秒~10マイクロ秒を含む、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒の範囲であり得る。ある特定の実施形態では、各光源による照射間の期間は、10マイクロ秒である。試料が2つを超える(すなわち、3つ以上の)光源によって順次照射される実施形態では、各光源による照射間の遅延は、同じであっても異なってもよい。
【0085】
試料は、連続的に、または別個の間隔で照射され得る。いくつかの事例では、方法は、試料内の試料を光源で連続的に照射することを含む。他の事例では、試料は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、および1000ミリ秒毎、またはいくつかの他の間隔を含む、別個の間隔で光源で照射される。
【0086】
光源に応じて、試料は、例えば0.01mm以上、例えば0.05mm以上、例えば0.1mm以上、例えば0.5mm以上、例えば1mm以上、例えば2.5mm以上、例えば5mm以上、例えば10mm以上、例えば15mm以上、例えば25mm以上、および50mm以上を含む、変わる距離から照射されてもよい。また、角度または照射はまた、例えば15°~85°、例えば20°~80°、例えば25°~75°、および30°~60°を含む、10°~90°の範囲で、例えば90°の角度で、変わり得る。
【0087】
上述したように、実施形態では、照射された試料からの光は、本明細書に記載の光検出システムに伝達され、複数の光検出器によって測定される。対象の方法を実践する際に、光は、光分散構成要素で分散される。光は、他のタイプの光分散構成要素の中でもとりわけ、プリズム、回折格子、スぺクトロメータを含むが、これらに限定されない、光の異なる波長を分散させる任意の便利な光学構成要素で、複数の光検出器にわたって分散され得る。実施形態では、試料からの光は、光分散構成要素に伝播され、光からの光のスペクトルは、対象の光検出システム内の複数の光検出器にわたって分散される。いくつかの実施形態では、光分散構成要素は、例えば250nm~1150nm、例えば300nm~1100nm、例えば350nm~1050nm、例えば40nm~1000nm、および500nm~900nmを含む、200nm~1200nmの範囲の波長を有するスペクトルなどである。いくつかの実施形態では、光分散構成要素は、例えば175nm~375nm、および200nm~300nmを含む150nm~400nmの範囲の波長のスペクトルなど、試料からの光のUVスペクトルを光検出システムの光検出器構成要素上に投影するように構成されるUV分散構成要素である。他の実施形態では、光分散構成要素は、例えば500nm~900nm、および600nm~800nmを含む400nm~1000nmの範囲の波長のスペクトルなどの、試料からの光の可視光スペクトルを光検出システムの光検出器構成要素上に投影するように構成される可視光分散構成要素である。さらに他の実施形態では、光分散構成要素は、例えば1100nm~15000nm、および1200nm~14000nmを含む、1000nm~16000nmの範囲の波長のスペクトルなどの、試料からの光のNIR光スペクトルを光検出システムの光検出器構成要素上に投影するように構成される近赤外線(NIR)光分散構成要素である。
【0088】
いくつかの実施形態では、方法は、波長の範囲(例えば、200nm~1000nm)にわたって集められた光を測定することを含む。例えば、方法は、200nm~1000nmの波長範囲のうちの1つ以上にわたって光のスペクトルを集めることを含み得る。さらに他の実施形態では、方法は、1つ以上の特定の波長で集められた光を測定することを含む。例えば、集められた光は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nmおよびこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で測定されてもよい。ある特定の実施形態では、方法は、ある特定のフルオロフォアの蛍光ピーク波長に対応する光の波長を測定することを含む。
【0089】
集められた光は、連続的に、または別個の間隔で測定され得る。いくつかの事例では、方法は、光の測定を連続的に行うことを含む。他の事例では、光は、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、および1000ミリ秒毎を含む、またはいくつかの他の間隔毎に光を測定するなど、別個の間隔で測定される。
【0090】
集められた光の測定は、例えば2回以上、例えば3回以上、例えば5回以上、および10回以上を含め、対象の方法中に1回以上行われ得る。ある特定の実施形態では、光伝播は、2回以上測定され、ある特定の事例では、データは平均化される。
【0091】
試料からの光は、例えば5つ以上の異なる波長、例えば10個以上の異なる波長、例えば25個以上の異なる波長、例えば50個以上の異なる波長、例えば100個以上の異なる波長、例えば200個以上の異なる波長、例えば300個以上の異なる波長、および集められた光を400個以上の異なる波長で測定することを含む、分散スペクトルの1つ以上の波長で測定される。
【0092】
実施形態では、方法は、複数の光検出器上の光の分散スペクトルから1つ以上の波長を差次的に遮蔽することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、電子スイッチ構成要素を有する複数の光検出器から信号を受信すること、および光検出器によって検出された光の1つ以上の波長が遮蔽されるように、光検出器から増幅器構成要素に信号を差次的に伝搬することを含む。例えば、方法は、例えば光検出器のうちの2つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの3つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの4つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの8つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの16個以上からの信号、例えば光検出器のうちの32個以上からの信号、および光検出器のうちの64個以上からの信号を差次的に伝播することを含む、光検出器のうちの1つ以上からの信号を差次的に伝播することを含み得る。これらの実施形態では、例えば光の2つ以上の波長、例えば光の3つ以上の波長、例えば光の4つ以上の波長、例えば光の5つ以上の波長、例えば光の10個以上の波長、例えば光の25個以上の波長、例えば光の50個以上の波長、例えば光の100個以上の波長、および光の250個以上の波長を含む光の1つ以上の波長を遮蔽することができる。ある特定の実施形態では、方法は、例えば2つ以上の波長範囲、例えば3つ以上の波長範囲、例えば3つ以上の波長範囲、例えば4つ以上の波長範囲、例えば5つ以上の波長範囲、例えば10個以上の波長範囲、および25個以上の波長範囲を含む、光検出器によって検出された1つ以上の波長範囲を遮蔽することができるように、電子スイッチ構成要素で、信号を差次的に伝播することを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、方法は、電子スイッチ構成要素で200nm~1000nmの範囲の特定の波長を遮蔽することによって、試料から光のスペクトルプロファイルの特定の部分を差次的に検出することを含む。例えば、方法は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、およびこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上で光検出信号を測定し、かつ生成するためなどに、試料からの光のスペクトルプロファイルの特定の部分を電子スイッチ構成要素で遮蔽することを含んでもよい。
【0094】
他の実施形態では、方法は、増幅器構成要素から電子スイッチ構成要素で増幅信号を受信することを含む。いくつかの事例では、増幅器構成要素からの信号は、光検出器から増幅器構成要素に直接伝播される信号である。他の実施形態では、電子スイッチ構成要素は、光検出器によって検出される光の1つ以上の波長を遮蔽することができるように、(例えば、複数のトランスインピーダンス増幅器を有する)増幅器構成要素から(例えば、複数の加算増幅器を有する)第2の増幅器構成要素に増幅信号を差次的に伝播するように構成される。いくつかの事例では、方法は、電子スイッチ構成要素で、例えば2つ以上の増幅信号、例えば3つ以上の増幅信号、例えば4つ以上の増幅信号、例えば6つ以上の増幅信号、例えば8つ以上の増幅信号、例えば16個以上の増幅信号、例えば32個以上の増幅信号、および64個以上の増幅信号を含め、1つ以上の増幅信号を遮蔽することを含む。これらの実施形態では、方法は、例えば光の2つ以上の波長、例えば光の3つ以上の波長、例えば光の4つ以上の波長、例えば光の5つ以上の波長、例えば光の10個以上の波長、例えば光の25個以上の波長、例えば光の50個以上の波長、例えば光の100個以上の波長、および光の250個以上の波長を含む光の1つ以上の波長を遮蔽することを含む。ある特定の例では、方法は、例えば2つ以上の波長範囲、例えば3つ以上の波長範囲、例えば4つ以上の波長範囲、例えば5つ以上の波長範囲、例えば10個以上の波長範囲、および25個以上の波長範囲を含む、光検出器によって検出された1つ以上の波長範囲を遮蔽することができるように、電子スイッチ構成要素で、増幅信号を第1の増幅器構成要素から第2の増幅器構成要素に差次的に伝播することを含む。例えば、方法は、(例えば、複数のトランスインピーダンス増幅器を有する)第1の増幅器構成要素から(例えば、複数の加算増幅器を有する)第2の増幅器構成要素に電子スイッチ構成要素増幅信号で差次的に伝播して、例えば、200nm~1000nmの範囲の特定の波長が差次的に検出され得る場合に、試料からの光のスペクトルプロファイルの特定の部分が差次的に検出され得るように、所定の波長または波長範囲を遮蔽することを含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、方法は、対象の光検出システムで光を検出する前に光を調整することを含む。例えば、試料源からの光は、1つ以上のレンズ、ミラー、ピンホール、スリット、光屈折器、およびそれらの任意の組み合わせを通過し得る。いくつかの事例では、集められた光は、上述のように、光検出システムまたは光収集システムに向けられた光のプロファイルを低減するように、1つ以上の集束レンズを通過する。他の事例では、試料から発せられた光は、光検出システムに伝達された光ビーム発散を低減するために1つ以上のコリメータを通過する。
【0096】
試料からの光の差次遮蔽を最適化するための方法
本開示の態様は、試料からの光の差次遮蔽を最適化するための方法も含む。対象の光検出システムは、1)光検出器で光を検出しない、または2)光の検出に応じて電子信号を生成しないことによって、試料から放射する光の1つ以上の波長を差次的に遮蔽するように構成される。いくつかの実施形態では、光の1つ以上の波長は、光検出器での光の検出を防止するために1つ以上の光学バンドパスフィルタを使用することによって、差次的に遮蔽される。他の実施形態では、バンドパスフィルタは、上記で詳細に説明されるような増幅器構成要素および電子スイッチ構成要素を有する光電子構成要素であり、ある特定の実施形態による方法は、1)電子スイッチ構成要素を有する複数の光検出器から信号を受信し、光検出器から増幅器構成要素に信号を差次的に伝播させること、または2)増幅信号を第1の増幅器構成要素から第2の増幅器構成要素に差次的に伝播させ、これにより、光検出器によって検出された光の1つ以上の波長を遮蔽するために、電子スイッチ構成要素を有する第1の増幅器構成要素から信号を受信することを含む。これらの実施形態では、例えば光の2つ以上の波長、例えば光の3つ以上の波長、例えば光の4つ以上の波長、例えば光の5つ以上の波長、例えば光の10個以上の波長、例えば光の25個以上の波長、例えば光の50個以上の波長、例えば光の100個以上の波長、および光の250個以上の波長を含む光の1つ以上の波長を遮蔽する。
【0097】
本開示の実施形態による、対象の光収集システムで試料からの光の差次遮蔽を最適化するための方法は、2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するために使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を特定すること、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して、各バンドパスフィルタのコスト関数を計算すること、および計算されたコスト関数に基づいて、2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアを含む試料から光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することを含む。
【0098】
実施形態では、試料は、例えば3つ以上のフルオロフォア、例えば4つ以上のフルオロフォア、例えば5つ以上のフルオロフォア、例えば6つ以上のフルオロフォア、例えば7つ以上のフルオロフォア、例えば8つ以上のフルオロフォア、例えば9つ以上のフルオロフォア、および10個以上のフルオロフォアを含む、2つ以上のフルオロフォアを含み得る。上述したように、試料からの光を検出するための光検出システムは、例えば2つ以上の光検出器、例えば3つ以上の光検出器、例えば4つ以上の光検出器、例えば5つ以上の光検出器、例えば6つ以上の光検出器、例えば7つ以上の光検出器、例えば8つ以上の光検出器、例えば9つ以上の光検出器、および10個以上の光検出器を含む、複数の光検出器を含む。試料からの光の差次遮蔽を最適化するための対象の方法を実践する際に、対象の光検出システム内の光検出器の数は、試料中に存在するフルオロフォアと等しい数の光検出器を含んでもよい(すなわち、M=N、式中、Mは光検出器の数であり、Nはフルオロフォアの数である)。これらの実施形態では、第1のステップは、試料内の関心のフルオロフォアおよび光検出システムで使用される検出器の数を選択することであってもよい。各フルオロフォアの蛍光スペクトルは、例えばフルオロフォア試料の測定によって、または対照スペクトルをロードすることによって判定され得る。いくつかの実施形態では、方法は、試料内の各フルオロフォアの輝度を判定することを含む。各フルオロフォアへの光電子は、試料内の各フルオロフォアに割り当てられ得、ある特定の実施形態では、漏れ込みマトリックスに基づいて光電子が光検出器構成要素の光検出器間でどのように分割され得るかがさらに判定される。
【0099】
各バンドパスフィルタのコスト関数を判定するために、方法は、バンドパスフィルタを備える2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出すること、2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出することによって、バンドパスフィルタのコスト関数を判定すること、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定すること、および漏れ込みマトリックスに基づいて、バンドパスフィルタで光を検出するためのコスト関数を計算することを含む。ある特定の実施形態による漏れ込みマトリックスは、M×Nの漏れ込み係数を含み、Mは、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するために使用される光検出器の数であり、Nはフルオロフォアの数である。いくつかの実施形態では、方法は、各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを含む。いくつかの事例では、不確実性係数を判定することは、不確実性係数を計算するために線形回帰を使用することを含む。他の事例では、不確実性係数を判定することは、不確実性係数を計算するために通常の最小二乗解を使用することを含む。各フルオロフォアについて計算された不確実性係数は、各バンドパスフィルタのコスト関数を判定するために直交形で追加されてもよい。ある特定の実施形態では、コスト関数は、下記式(1)に従って計算され、式中、nは、フルオロフォアの数であり、dFは、各フルオロフォアに関連する判定された不確実性である。
【0100】
【数3】
【0101】
いくつかの実施形態では、対象の光収集システムで試料からの光の差次遮蔽を最適化するための方法は、複数のフルオロフォアを有する試料から放射する光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定するための遺伝的アルゴリズムを実行することを含む。「遺伝的アルゴリズム」という用語は、本明細書では、その従来の意味で、より良い、より質が高いソリューションに向かって反復することによって、制約されたまたは制約されていない最適化問題を解決するためのアルゴリズムを指すために使用され、変異、クロスオーバー、および好ましいソリューションの選択などのオペレータを含み得る。以下により詳細に説明されるように、最適なバンドパスフィルタセットを選択するための以下のステップの各々は、所望に応じて、例えば2回以上、例えば3回以上、例えば4回以上、例えば5回以上、例えば10回以上、例えば15回以上、例えば25回以上、例えば50回以上、および100回以上を含む、1回以上繰り返され得る。
【0102】
対象の方法を実践する際に、2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出することに使用するための異なるバンドパスフィルタの集団が特定され、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用する各バンドパスフィルタのコスト関数が計算される。いくつかの実施形態では、方法は、ある特定の実施形態による遺伝子アルゴリズムは、バンドパスフィルタの変異した集団を生成するために、特定された集団中のバンドパスフィルタのうちの1つ以上を変異させることであって、その結果、変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較してシフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、変異させること、および変異した集団の各バンドパスフィルタについてのコスト関数を計算することをさらに含む。例えば、バンドパスフィルタの集団を変異させることは、例えば0.1nm以上、例えば0.2nm以上、例えば0.3nm以上、例えば0.4nm以上、例えば0.5nm以上、例えば1nm以上、例えば2nm以上、例えば3nm以上、例えば4nm以上、および5nm以上を含む、異なる波長にバンドパスフィルタのうちの1つ以上を漸進的にシフトさせることを含み得る。したがって、バンドパスフィルタの集団を変異させることは、バンドパスフィルタのうちの1つ以上の波長を、例えば2%以上、例えば5%以上、例えば10%以上、例えば15%以上、例えば25%以上、例えば50%以上、例えば75%以上、および90%以上を含む、1%以上シフトさせることを含み得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、方法は、例えば3つ以上のバンドパスフィルタ、例えば5つ以上のバンドパスフィルタ、および10個以上のバンドパスフィルタを含む、2つ以上のバンドパスフィルタを深色シフトすることなど、バンドパスフィルタの集団のうちの1つ以上を深色シフトすることによって、バンドパスフィルタの集団を変異させることを含む。例えば、特定された集団内のバンドパスフィルタのうちの5%以上は、例えば10%以上、例えば25%以上、例えば50%以上、例えば75%以上、例えば90%以上、およびすべてのバンドパスフィルタを深色シフトすることによってバンドパスフィルタの集団を変異させることを含め、深色シフトされ得る。他の実施形態では、方法は、例えば3つ以上のバンドパスフィルタ、例えば5つ以上のバンドパスフィルタ、および10個以上のバンドパスフィルタを含む、例えば2つ以上のバンドパスフィルタを浅色シフトすることなど、バンドパスフィルタの集団のうちの1つ以上を浅色シフトすることによって、バンドパスフィルタの集団を変異させることを含む。例えば、特定された集団内のバンドパスフィルタの5%以上は、例えば10%以上、例えば25%以上、例えば50%以上、例えば75%以上、例えば90%以上、およびすべてのバンドパスフィルタを浅色シフトすることによってバンドパスフィルタの集団を変異させることを含め、浅色シフトされ得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、方法は、バンドパスフィルタの子孫集団を生成するために、特定された集団および変異した集団からの2つ以上の異なるバンドパスフィルタを組み合わせることであって、各子孫バンドパスフィルタが、組み合わされたバンドパスフィルタからランダムに選択された波長を含む、組み合わせること、ならびに子孫集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することをさらに含む。「組み合わせること」という用語は、本明細書では、その従来の意味で、特定された集団および変異した集団の2つ以上の異なるバンドパスフィルタを、バンドパスフィルタの子孫集団が、親集団(すなわち、特定された集団または変異した集団)の特徴(例えば、バンドパス波長)を有するように組み合わせることを指すために使用される。任意の数のバンドパスフィルタは、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば8つ以上、例えば10個以上、および20個以上を含む、バンドパスフィルタの特定された集団およびバンドパスフィルタの変異した集団から組み合わせられてもよい。これらの実施形態では、各集団(例えば、特定された集団、変異した集団)からの異なるバンドパスフィルタの任意の組み合わせは、例えば、特定された集団からの1つ以上のバンドパスフィルタが、変異した集団のバンドパスフィルタのうちの1つ以上と組み合わせられ得る。
【0105】
複数のフルオロフォアを有する試料から光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定するために、特定された、変異した、かつ子孫集団内の各バンドパスフィルタについて計算されたコスト関数が評価される。評価とは、各バンドパスフィルタの計算されたコスト関数が評価されることを意味し、ある特定の事例では、バンドパスフィルタは、計算されたコスト関数に基づいてランク付けされる。いくつかの実施形態では、方法は、例えば90パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば85パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば80パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば75パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば70パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば65パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば60パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数などを含む、所定のコスト関数閾値を下回るコスト関数、例えば55パーセンタイル未満にランク付けられたコスト関数を有するバンドパスフィルタを廃棄することを含め、例えば95パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数などの、所定のコスト関数閾値未満のコスト関数を有するバンドパスフィルタを破棄することをさらに含む。ある特定の実施形態では、方法は、バンドパスフィルタの中央値コスト関数を判定することを含む。これらの実施形態では、方法は、中央値コスト関数を下回るコスト関数を有するバンドパスフィルタを廃棄することをさらに含み得る。
【0106】
実施形態では、方法は、各最適化ステップをN回繰り返すことなど、バンドパスフィルタの最適なセットが判定されるまで、各最適化間隔の1つ以上のステップ(すなわち、変異させること、組み合わせること、ランク付けすること)を繰り返すことを含んでもよく、Nは、例えば3以上、例えば4以上、例えば5以上、例えば10以上、例えば15以上、例えば20以上、例えば25以上、例えば50以上、例えば75以上、例えば100以上、Nが250以上である場合を含め、2以上である。いくつかの実施形態では、最適化の各間隔の後、試料から放射する光を検出するために使用されるフォト検出器の数は、試料からの光を検出するために使用されるフォト検出器の数を増加させる、または減少させることによってなど、変更され得る。いくつかの実施形態では、試料からの光を検出するために使用される光検出器の数は、最適化間隔の後、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、および10個以上を含む、1つ以上増加され得る。他の実施形態では、試料からの光を検出するために使用される光検出器の数は、最適化間隔の後、例えば2つ以上、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、および10個以上を含む、1つ以上減少され得る。試料からの光を検出するために使用される光検出器の数が変更される場合、上述のように、バンドパスフィルタの各セットのコスト関数が再計算され得、計算されたコスト関数に基づく最適化が繰り返される。
【0107】
図3は、一実施形態による、複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定するためのフローチャートを示す。ステップ301では、関心のフルオロフォアのスペクトルは、対照試料に基づいて判定され、または取得される。試料内のフルオロフォアの数および光検出システムで採用される光検出器の数が選択される(ステップ302)。バンドパスフィルタの初期集団が特定され、バンドパスフィルタのセット毎のコスト関数が判定される(ステップ303)。1つ以上の最適化間隔が実施され(N世代)、そこでバンドパスフィルタが変異し、組み合わされ、ランク付けされ(ステップ304~306)、試料から光を測定するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定する(ステップ307)。
【0108】
図4は、別の実施形態による、複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するバンドパスフィルタの最適なセットを判定するためのフローチャートを示す。ステップ401では、関心のフルオロフォアのスペクトルは、対照試料に基づいて判定され、または取得される。試料内のフルオロフォアの数、および各フルオロフォアの輝度、ならびに光検出システムで採用される光検出器の数が選択される(ステップ402)。バンドパスフィルタの初期集団が識別され、バンドパスフィルタのセット毎のコスト関数が判定される(ステップ403)。1つ以上の最適化間隔が実施され(N世代)、そこでバンドパスフィルタが変異され、組み合わされ、ランク付けされ(ステップ404~406)、試料から光を測定するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定する(ステップ407)。
【0109】
図5は、別の実施形態による、複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するバンドパスフィルタの最適なセットを判定するためのフローチャートを示す。ステップ501では、関心のフルオロフォアのスペクトルは、対照試料に基づいて判定され、または取得される。試料内のフルオロフォアの数、および各フルオロフォアの輝度、ならびに光検出システムで採用される光検出器の数が選択される(ステップ502)。バンドパスフィルタの初期集団が識別され、バンドパスフィルタのセット毎のコスト関数が判定される(ステップ503)。バンドパスフィルタが変異し、組み合わされ、ランク付けされる1つ以上の最適化間隔が行われる(N世代)(ステップ504~506)。この実施形態では、試料からの光を検出するために使用される光検出器の数は、変更されてもよく(例えば、ステップ507の増加または減少)、ステップ502~506は、修正された数の光検出器で繰り返されてもよい。所望の数の最適化間隔を実施した後、試料から光を測定するために最適なバンドパスフィルタセットが判定される(ステップ508)。
【0110】
コンピュータ制御システム
本開示の態様は、対象の方法を実践するためのコンピュータ制御システムをさらに含み、システムは、本明細書に記載される方法を実践するためのシステムの完全な自動化または部分的な自動化のための1つ以上のコンピュータをさらに含む。いくつかの実施形態では、システムは、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされると、フローストリーム内の試料を有するフローセルを光源で照射することと、複数の光検出器、増幅器構成要素、および電子スイッチ構成要素を有する光検出システムでフローセルからの光を検出することとのための命令を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、複数の光検出器上の光の分散スペクトルから1つ以上の波長を差次的に遮蔽するためのアルゴリズムを含む。いくつかの事例では、コンピュータ可読記憶媒体は、電子スイッチ構成要素を有する複数の光検出器から信号を受信すること、および光検出器によって検出された光の1つ以上の波長が遮蔽されるように、光検出器から増幅器構成要素に信号を差次的に伝搬するためのアルゴリズムを含む。例えば、コンピュータ可読記憶媒体は、例えば光検出器のうちの2つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの3つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの4つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの8つ以上からの信号、例えば光検出器のうちの16個以上からの信号、例えば光検出器のうちの32個以上からの信号、および光検出器のうちの64個以上からの信号を差次的に伝播することを含む、光検出器のうちの1つ以上からの信号を差次的に伝播するためのアルゴリズムを含む。他の例では、コンピュータ可読記憶媒体は、例えば2つ以上の波長範囲、例えば3つ以上の波長範囲、例えば3つ以上の波長範囲、例えば4つ以上の波長範囲、例えば5つ以上の波長範囲、例えば10個以上の波長範囲、および25個以上の波長範囲を含む、光検出器によって検出された1つ以上の波長範囲を遮蔽することができるように、電子スイッチ構成要素で、信号を差次的に伝播するためのアルゴリズムを含む。さらに他の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、電子スイッチ構成要素で200nm~1000nmの範囲の特定の波長を遮蔽することによって、試料から光のスペクトルプロファイルの特定の部分を差次的に検出するためのアルゴリズムを含む。
【0112】
ある特定の実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、増幅器構成要素から電子スイッチ構成要素で増幅信号を受信するためのアルゴリズムを含む。これらの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体は、光検出器によって検出される光の1つ以上の波長を遮蔽することができるように、(例えば、複数のトランスインピーダンス増幅器を有する)増幅器構成要素から(例えば、複数の加算増幅器を有する)第2の増幅器構成要素に増幅信号を差次的に伝播するためのアルゴリズムを含む。
【0113】
他の実施形態では、システムは、コンピュータプログラムがその上に記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされると、バンドパスフィルタのためのコスト関数を判定するための1つ以上のアルゴリズムを有する命令をさらに含む。これらの実施形態では、システムは、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するためのバンドパスフィルタを有する複数の光検出器、および、プロセッサであって、プロセッサが、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリが、メモリに記憶された命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定することと、漏れ込みマトリックスに基づいて、バンドパスフィルタで光を検出するためのコスト関数を計算することとを行わせる、プロセッサを含む。ある特定の事例では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、いくつかの光電子を各フルオロフォアに割り当てることと、光電子が、漏れ込みマトリックスに基づいて光検出器間でどのように分割されるかを判定することとを行わせる。
【0114】
いくつかの実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる。他の実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、線形回帰によって各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる。さらに他の実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、通常の最小二乗解によって各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる。メモリはまた、直交形中の複数のフルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を追加する命令を含んでもよい。ある特定の実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、下記式に従って不確実性係数を計算することを行わせ、式中、nは、フルオロフォアの数であり、dFは、各フルオロフォアに関連する判定された不確実性である。例えば、分数誤差(dFsubi/Fsubi)の2乗方程式など、他の方程式が採用されてもよい。
【0115】
【数4】
【0116】
他の実施形態では、システムは、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータにロードされると、試料内の複数のフルオロフォアからの光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定するための1つ以上のアルゴリズムを有する命令をさらに含む。これらの実施形態では、システムは、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するためのバンドパスフィルタを有する複数の光検出器、およびプロセッサであって、プロセッサが、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリが、メモリに記憶された命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、複数のフルオロフォアから発せられた光の検出に使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を特定することと、複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと、計算されたコスト関数に基づいて、光検出器を有する複数のフルオロフォアを有する試料から光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することとを行わせる、プロセッサを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、遺伝的アルゴリズムを実行させ、試料から放射する光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを選択することを行わせる。これらの実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、バンドパスフィルタの変異した集団を生成するために、特定された集団内のバンドパスフィルタのうちの1つ以上を変異させることであって、その結果、変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較してシフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、変異させることと、変異した集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することとを行わせる。変異集団は、いくつかの事例では、例えば、波長が1nm以上シフトされる場合など、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して、深色または浅色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを有する。
【0118】
実施形態では、メモリは、命令をさらに含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、バンドパスフィルタの子孫集団を生成するために、特定された集団および変異した集団から2つ以上の異なるバンドパスフィルタを組み合わせることであって、その結果、各子孫バンドパスフィルタが、組み合わされたバンドパスフィルタからランダムに選択された波長を含む、組み合わせることと、子孫集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することとを行わせる。メモリは、任意の数のバンドパスフィルタが、例えば3つ以上、例えば4つ以上、例えば5つ以上、例えば6つ以上、例えば8つ以上、例えば10個以上、および20個以上を含む、バンドパスフィルタの特定された集団およびバンドパスフィルタの変異した集団から組み合わせられてもよいアルゴリズムを含む。これらの実施形態では、各集団(例えば、特定された集団、変異した集団)からの異なるバンドパスフィルタの任意の組み合わせは、例えば、特定された集団からの1つ以上のバンドパスフィルタが、変異した集団のバンドパスフィルタのうちの1つ以上と組み合わせられ得る。
【0119】
メモリは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、複数のフルオロフォアを有する試料から光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定することを行わせる、命令をさらに含み、特定された、変異した、かつ子孫集団内の各バンドパスフィルタについて計算されたコスト関数が評価される。メモリは、命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、特定された集団、変異した集団、および子孫集団内の各バンドパスフィルタについて計算されたコスト関数を比較させることと、複数のフルオロフォアを有する試料からの光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定することとを行わせる。これらの実施形態では、メモリは、命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、例えば90パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば85パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば80パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば75パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば70パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば65パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数、例えば60パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数などを含む、所定のコスト関数閾値を下回るコスト関数、例えば55パーセンタイル未満にランク付けられたコスト関数を有するバンドパスフィルタを廃棄することを含め、例えば95パーセンタイル未満にランク付けされたコスト関数などの、所定のコスト関数閾値未満のコスト関数を有するバンドパスフィルタを破棄することを行わせる。ある特定の実施形態では、メモリは、命令を含み、命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、バンドパスフィルタの中央値コスト関数を判定することと、中央値コスト関数を下回るコスト関数を有するバンドパスフィルタを破棄することとを行わせる。
【0120】
システムは、ディスプレイおよびオペレータ入力デバイスを含んでもよい。オペレータ入力デバイスは、例えば、キーボード、マウスなどであり得る。処理モジュールは、対象の方法のステップを実行するためにその上に記憶された命令を有するメモリにアクセスするプロセッサを含む。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラ、システムメモリ、メモリ記憶デバイス、および入出力コントローラ、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、ならびに多くの他のデバイスを含み得る。プロセッサは、市販のプロセッサであり得るか、または利用可能であるか、もしくは利用可能になる他のプロセッサのうちの1つであり得る。プロセッサは、オペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の様式でファームウェアおよびハードウェアとインターフェースし、当技術分野で既知のように、Java、Perl、C++、他の高レベルまたは低レベル言語、ならびにそれらの組み合わせなどの様々なプログラミング言語で書かれ得る様々なコンピュータプログラムの機能をプロセッサが協調することと、実行することとを容易にする。オペレーティングシステムは、典型的には、プロセッサと協働して、コンピュータの他の構成要素の機能を協調させ、実行する。オペレーティングシステムはまた、すべて既知の技術に従って、スケジューリング、入出力制御、ファイルおよびデータ管理、メモリ管理、ならびに通信制御および関連サービスを提供する。プロセッサは、任意の好適なアナログまたはデジタルシステムであってもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサは、例えば、ネガティブフィードバック制御など、フィードバック制御を提供するアナログ電子機器を含む。
【0121】
システムメモリは、様々な既知または将来のメモリ記憶デバイスのいずれかであり得る。例としては、任意の一般的に入手可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、常駐ハードディスクもしくはテープなどの磁気媒体、読み取りおよび書き込みコンパクトディスクなどの光学媒体、フラッシュメモリデバイス、または他のメモリ記憶デバイスが挙げられる。メモリ記憶デバイスは、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルハードディスクドライブ、またはディスクドライブを含む、様々な既知のデバイスまたは将来のデバイスのいずれかであり得る。このようなタイプのメモリ記憶デバイスは、典型的には、それぞれ、コンパクトディスク、磁気テープ、リムーバブルハードディスク、または磁気ディスクなどのプログラム記憶媒体(図示せず)から読み取り、かつ/またはプログラム記憶媒体に書き込む。これらのプログラム記憶媒体のいずれか、または現在使用されている、または後に開発され得る他のものは、コンピュータプログラム製品とみなされ得る。理解されるように、これらのプログラム記憶媒体は、典型的には、コンピュータソフトウェアプログラムおよび/またはデータを記憶する。コンピュータ制御ロジックとも呼ばれるコンピュータソフトウェアプログラムは、典型的には、システムメモリおよび/またはメモリ記憶デバイスと併せて使用されるプログラム記憶デバイスに記憶される。
【0122】
いくつかの実施形態では、制御ロジック(プログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)をその上に記憶するコンピュータ使用可能媒体を備えるコンピュータプログラム製品が記載される。制御ロジックは、コンピュータ、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載の機能を実行させる。他の実施形態では、いくつかの機能は、例えば、ハードウェアステートマシンを使用して、主にハードウェアで実装される。本明細書に記載の機能を実行するためのハードウェアステートマシンの実装は、当業者には明らかである。
【0123】
メモリは、プロセッサがデータを記憶し、検索することができる、例えば、磁気、光学、または固体記憶デバイス(磁気もしくは光学ディスク、もしくはテープもしくはRAM、または固定またはポータブルのいずれかの任意の他の好適なデバイスを含む)などの任意の好適なデバイスであってもよい。プロセッサは、必要なプログラムコードを搬送するコンピュータ可読媒体から好適にプログラムされた汎用デジタルマイクロプロセッサを含んでもよい。プログラミングは、通信チャネルを介してプロセッサにリモートで提供され得るか、またはメモリに関連してそれらのデバイスのいずれかを使用して、メモリまたは何らかの他のポータブルもしくは固定コンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータプログラム製品にあらかじめ保存され得る。例えば、磁気ディスクまたは光学ディスクは、プログラミングを搬送することができ、ディスクライタ/リーダによって読み取ることができる。本発明のシステムはまた、例えば、コンピュータプログラム製品の形態でのプログラミング、上記の方法を実践する際に使用するためのアルゴリズムも含む。本発明によるプログラミングは、コンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータによって直接読み取り、かつアクセスすることができる任意の媒体に記録され得る。そのような媒体は、磁気ディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープなどの磁気記憶媒体、CD-ROMなどの光学記憶媒体、RAMおよびROMなどの電気記憶媒体、ポータブルフラッシュドライブ、ならびに磁気/光学記憶媒体などこれらのカテゴリのハイブリッドを含むが、これらに限定されない。
【0124】
プロセッサはまた、リモート位置でユーザと通信するための通信チャネルへのアクセスを有し得る。リモート位置とは、ユーザがシステムと直接接触せず、広域ネットワーク(「WAN」)、電話ネットワーク、衛星ネットワーク、または携帯電話(すなわち、スマートフォン)を含む任意の他の好適な通信チャネルに接続されたコンピュータなど、外部デバイスから入力マネージャに入力情報を中継することを意味する。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示によるシステムは、通信インターフェースを含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、ネットワークおよび/または別のデバイスと通信するための受信機および/または送信機を含む。通信インターフェースは、無線周波数(RF)通信(例えば、無線周波数特定(RFID)、ジグビー通信プロトコル、WiFi、赤外線、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、超広帯域(UWB)、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、および符号分割多元接続(CDMA)またはモバイル通信のためのグローバルシステム(GSM)などのセルラー通信を含むが、これらに限定されない、有線または無線通信のために構成され得る。
【0126】
一実施形態では、通信インターフェースは、対象のシステムと、同様の補完的データ通信のために構成される(例えば、医師のオフィスまたは病院環境における)コンピュータ端末などの他の外部デバイスとの間のデータ通信を可能にするために、例えば、USBポート、RS-232ポート、もしくは任意の他の好適な電気接続ポートなどの物理ポートまたはインターフェースなど、1つ以上の通信ポートを含むように構成される。
【0127】
一実施形態では、通信インターフェースは、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、または任意の他の好適な無線通信プロトコルのために構成されて、対象の対象システムが、コンピュータ端末および/またはネットワーク、通信可能な携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、またはユーザが併せて使用し得る任意の他の通信デバイスなど、他のデバイスと通信することを可能にする。
【0128】
一実施形態では、通信インターフェースは、携帯電話ネットワーク、ショートメッセージサービス(SMS)、インターネットに接続されるローカルエリアネットワーク(LAN)上でのパーソナルコンピュータ(PC)への無線接続、またはWiFiホットスポットでのインターネットへのWiFi接続を介して、インターネットプロトコル(IP)を利用するデータ転送のための接続を提供するように構成される。
【0129】
一実施形態では、対象のシステムは、例えば802.11もしくはBluetooth(登録商標)RFプロトコル、またはIrDA赤外線プロトコルなどの共通規格を使用して、通信インターフェースを介してサーバデバイスと無線で通信するように構成される。サーバデバイスは、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)もしくはノートブックコンピュータなど別のポータブルデバイス、またはデスクトップコンピュータ、アプライアンスなどより大きなデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、サーバデバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ、ならびにボタン、キーボード、マウス、またはタッチスクリーンなどの入力デバイスを有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、上述の通信プロトコルおよび/または機構のうちの1つ以上を使用して、ネットワークまたはサーバデバイスと、対象のシステム、例えば、任意のデータ記憶ユニットに記憶されたデータを自動的にまたは半自動で通信するように構成される。
【0131】
出力コントローラは、人間であろうと機械であろうと、ローカルであろうとリモートであろうと、ユーザに情報を提示するための様々な既知の表示デバイスのいずれかのためのコントローラを含み得る。ディスプレイデバイスのうちの1つが視覚情報を提供する場合、この情報は、典型的には、ピクチャ要素のアレイとして論理的に、かつ/または物理的に編成され得る。グラフィカルユーザインターフェース(GUI)コントローラは、システムとユーザとの間にグラフィカル入力および出力インターフェースを提供し、ユーザ入力を処理するための様々な既知または将来のソフトウェアプログラムのいずれかを含み得る。コンピュータの機能要素は、システムバスを介して互いに通信し得る。これらの通信のいくつかは、ネットワークまたは他のタイプのリモート通信を使用して代替の実施形態で達成され得る。出力マネージャはまた、既知の技術に従って、例えば、インターネット、電話、または衛星ネットワークを介して、リモート位置でユーザに、処理モジュールによって生成される情報を提供し得る。出力マネージャによるデータの提示は、様々な既知の技術に従って実装され得る。いくつかの例として、データは、SQL、HTML、もしくはXMLドキュメント、電子メールもしくは他のファイル、または他の形態のデータを含んでもよい。データは、ユーザが追加のSQL、HTML、XML、または他のドキュメントもしくはデータをリモートソースから取り出すことができるように、インターネットURLアドレスを含んでもよい。対象のシステムに存在する1つ以上のプラットフォームは、典型的には、一般的にサーバと呼ばれるコンピュータのクラスのものであるが、任意のタイプの既知のコンピュータプラットフォームまたは将来開発されるタイプであってもよい。しかしながら、それらはまた、メインフレームコンピュータ、ワークステーション、または他のコンピュータタイプであってもよい。それらは、ネットワークなどの無線システムを含む、任意の既知または将来のタイプのケーブルまたは他の通信システムを介して接続され得る。それらは、同じ場所にある場合もあれば、物理的に離れている場合もある。場合によっては選択されたコンピュータプラットフォームのタイプおよび/または作りに応じて、様々なオペレーティングシステムがコンピュータプラットフォームのいずれかにおいて採用され得る。適切なオペレーティングシステムは、Windows 10、Windows NT(登録商標)、Windows XP、Windows 7、Windows 8、iOS、Sun Solaris、Linux(登録商標)、OS/400、Compaq Tru 64Unix、SGI IRIX、Siemens Reliant Unix、Ubuntu、Zorin OSなどを含む。
【0132】
キット
本発明の態様は、キットをさらに含み、キットは、1つ以上の光検出器アレイを含み、各光検出器アレイは、2つ以上の光検出器を有し、増幅器構成要素は、複数の増幅器および電子スイッチ構成要素を有する。実施形態では、電子スイッチ構成要素は、光検出器アレイの複数の光検出器および複数の増幅器に電気的に結合されるように構成される。いくつかの実施形態では、キットは、プリズム、回折格子、モノクロメータ、または他のタイプの光分散構成要素などの光分散構成要素をさらに含む。キットはまた、各光検出器アレイ間の光路に位置決めするための1つ以上の光学調節構成要素(例えば、ビームスプリッタ、コリメーティングレンズ、ミラー、波長セパレータ、ピンホールなど)を含み得る。ある特定の事例では、キットはまた、光ファイバ(例えば、光ファイバリレー束)または自由空間リレーシステムのための構成要素などの光学収集構成要素を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上のアッセイ構成要素(例えば、上述のような標識試薬、緩衝液など)を含むことができる。いくつかの事例では、キットは、試料収集デバイス、例えば、皮膚を突き刺して、必要に応じて全血試料、ピペットなどを取得するように構成されたランスまたは針をさらに含んでもよい。
【0134】
キットの様々なアッセイ構成要素は、別々の容器中に存在してもよく、またはそれらの一部もしくは全部を事前に組み合わせてもよい。例えば、いくつかの事例では、キットの1つ以上の構成要素、例えば、コネクタ、オリフィスプレートは、例えば、無菌ホイルパウチまたはエンベロープなどの密封されたパウチ内に存在する。
【0135】
上記の構成要素に加えて、対象のキットは、対象の方法を実践するための命令を(ある特定の実施形態では)さらに含み得る。これらの命令は、様々な形態で対象キット中に存在し得、そのうちの1つ以上は、キット中に存在し得る。これらの命令が存在し得る1つの形態は、好適な媒体または基板、例えば、情報が印刷される1枚以上の紙、キットのパッケージ、添付文書などに印刷される情報としてである。これらの命令のさらに別の形態は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、コンパクトディスク(CD)、ポータブルフラッシュドライブなどである。存在し得るこれらの命令のさらに別の形態は、削除されたサイトで情報にアクセスするためにインターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。
【0136】
ユーティリティ
対象の光検出システムは、光学特性による試料の特徴付け、特に低レベルの光が集められる、または試料中に複数のフルオロフォアが存在する場合が所望される使用を見出す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、蛍光タグで標識された生体試料のフローサイトメトリー特徴付けでの使用を見出す。他の実施形態では、システムおよび方法は、伝達された、発せられた、または散乱された光の分光法での使用を見出す。加えて、対象のシステムおよび方法は、試料から集められた光からの(例えば、フローストリーム内の)取得可能な信号を増加させることでの使用を見出す。ある特定の事例では、本開示は、フローサイトメータ内のフローストリーム内の照射される試料から集められた光の測定を強化するための使用を見出す。本開示の実施形態は、研究および高スループット実験室試験におけるなど、フローサイトメトリーにおける発出量測定の有効性の強化が望まれる使用を見出す。本開示はまた、ここでは改善された細胞選別精度、強化された粒子収集、低減されたエネルギー消費、粒子充電効率、より正確な粒子充電、および細胞選別中の強化された粒子偏向を有するフローサイトメータを提供することが望ましい場合の使用も見出す。
【0137】
本開示はまた、生物学的試料から調製された細胞が研究、実験室試験、または治療で使用するために望まれ得る用途での使用も見出す。いくつかの実施形態では、対象の方法およびデバイスは、目的の流体または組織生体試料から調製された個々の細胞の取得を促進し得る。例えば、対象の方法およびシステムは、がんなどの疾患の研究または診断標本として使用される流体または組織試料から細胞を取得することを容易にする。同様に、対象の方法およびシステムは、治療で使用される流体または組織試料から細胞を取得することを容易にする。本開示の方法およびデバイスは、従来のフローサイトメトリーシステムと比較して、効率が向上し、コストが低い、生体試料(例えば、臓器、組織、組織断片、流体)から細胞を分離し、集めることを可能にする。
【0138】
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示はまた、以下の付記によっても定義される。
【0139】
1.光検出システムであって、
複数の光検出器と、
増幅器構成要素と、
複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有するる電子スイッチ構成要素と
を備える、光検出システム。
2.増幅器構成要素が、複数の増幅器を有する、付記1に記載の光検出システム。
3.N個の光検出器を備える光検出器アレイと、
N個の増幅器を備える増幅器構成要素と、
N×N個のスイッチのアレイを有する電子スイッチ構成要素と
を備えており、
Nが、4~1000の整数である、付記2に記載の光検出システム。
4.電子スイッチ構成要素が、光検出器からの出力信号を多重化するか、または非多重化するように構成されている、付記1~3のいずれか一つに記載の光検出システム。
5.増幅器構成要素が、電子スイッチ構成要素から多重または非多重化出力信号を受信するように構成されている、付記1~4のいずれか一つに記載の光検出システム。
【0140】
6.増幅器構成要素が、1つ以上のトランスインピーダンス増幅器を有する、付記1~5のいずれか一つに記載の光検出システム。
7.増幅器構成要素が、1つ以上の加算増幅器を有する、付記6に記載の光検出システム。
8.N個の光検出器を備える光検出器アレイと、
2N個の増幅器を備える増幅器構成要素と、
N×N個のスイッチのアレイを有する電子スイッチ構成要素と
を備えており、
Nが、4~1000の整数である、付記2に記載の光検出システム。
9.増幅器構成要素が、N個のトランスインピーダンス増幅器およびN個の加算増幅器を有する、付記8に記載の光検出システム。
10.トランスインピーダンス増幅器が、光検出器アレイと電子スイッチ構成要素との間に電気的に位置決めされている、付記9に記載の光検出システム。
【0141】
11.電子スイッチ構成要素が、トランスインピーダンス増幅器からの信号を多重化するか、または非多重化するように構成されている、付記10に記載の光検出システム。
12.加算増幅器が、電子スイッチ構成要素から多重または非多重化出力信号を受信するように構成されている、付記11に記載の光検出システム。
13.Nが4である、付記3~12のいずれか一つに記載の光検出システム。
14.Nが8である、付記3~12のいずれか一つに記載の光検出システム。
15.光検出器が、1つ以上のフォトダイオードを有する、付記1~14のいずれか一つに記載の光検出システム。
16.光検出器が、1つ以上の光電子増倍管を有する、付記1~14のいずれか一つに記載の光検出システム。
【0142】
17.フローサイトメータであって、
フローストリーム内の試料を照射するための光源と、
試料からの光のスペクトルを分散するように構成された光分散構成要素と、
光検出システムであって、
複数の光検出器と、
増幅器構成要素と、
複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを含む電子スイッチ構成要素とを有する、光検出システムと
を備える、フローサイトメータ。
18.光分散構成要素が試料からの光のスペクトルを複数の光検出器上に投影するように構成されている、付記17に記載のフローサイトメータ。
19.複数の光検出器が、光検出器アレイであり、光分散構成要素が、光のスペクトルを光検出器アレイにわたって投影するように構成されている、付記18に記載のフローサイトメータ。
20.光検出システムが、電子スイッチ構成要素内のスイッチのサブセットを無効にすることによって、試料からの光の異なる波長を差次的に検出するように構成されている、付記17~19のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
【0143】
21.光検出システムが、試料からの光の1つ以上の所定の波長セットを検出するように構成されている、付記20に記載のフローサイトメータ。
22.光の波長の各セットが、50個以下の異なる波長を含む、付記21に記載のフローサイトメータ。
23.光の波長の各セットが、25個以下の異なる波長を含む、付記22に記載のフローサイトメータ。
24.増幅器構成要素が、複数の増幅器を有する、付記17に記載のフローサイトメータ。
25.光検出システムが、
N個の光検出器を備える光検出器アレイと、
N個の増幅器を備える増幅器構成要素と、
N×N個のスイッチのアレイを備える電子スイッチ構成要素とを備えており、
Nが、4~1000の整数である、付記17に記載のフローサイトメータ。
【0144】
26.増幅器構成要素が、1つ以上のトランスインピーダンス増幅器を有する、付記17~25のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
27.増幅器構成要素が、1つ以上の加算増幅器を有する、付記26に記載のフローサイトメータ。
28.光検出システムが、
N個の光検出器を備える光検出器アレイと、
2N個の増幅器を備える増幅器構成要素と、
N×N個のスイッチのアレイを備える電子スイッチ構成要素とを備えており、
Nが、4~1000の整数である、付記17に記載のフローサイトメータ。
29.電子スイッチ構成要素が、光検出器からの出力信号を多重化するか、または非多重化するように構成されている、付記17~28のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
30.増幅器構成要素が、電子スイッチ構成要素から多重または非多重化出力信号を受信するように構成されている、付記17~29のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
【0145】
31.増幅器構成要素が、N個のトランスインピーダンス増幅器およびN個の加算増幅器を備える、付記17に記載のフローサイトメータ。
32.トランスインピーダンス増幅器が、光検出器アレイと電子スイッチ構成要素との間に電気的に位置決めされている、付記31に記載のフローサイトメータ。
33.電子スイッチ構成要素が、トランスインピーダンス増幅器からの信号を多重化するか、または非多重化するように構成されている、付記32に記載のフローサイトメータ。
34.加算増幅器が、電子スイッチ構成要素から多重または非多重化出力信号を受信するように構成されている、付記33に記載のフローサイトメータ。
35.Nが4である、付記25~34のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
【0146】
36.Nが8である、付記25~34のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
37.光分散構成要素がプリズムである、付記17~36のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
38.光分散構成要素が回折格子である、付記17~36のいずれか一つに記載のフローサイトメータ。
【0147】
39.フローストリーム内の試料を含むフローセルを光源で照射することと、
複数の光検出器と、増幅器構成要素と、複数の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える光検出システムでフローセルからの光を検出することと
を含む、方法。
40.試料から光の異なる波長を差次的に検出するために、電子スイッチ構成要素内のスイッチのサブセットを無効化することをさらに含む、付記39に記載の方法。
【0148】
41.試料から光の異なる所定の波長を差次的に検出するために、電子スイッチ構成要素内のスイッチのサブセットを無効化することを含む、付記40に記載の方法。
42.光の波長の各セットが、50個以下の異なる波長を含む、付記41に記載の方法。
43.光の波長の各セットが、25個以下の異なる波長を含む、付記42に記載の方法。
44.光検出システムが、N個の光検出器を備える光検出器アレイと、N個の増幅器を有する増幅器構成要素と、N×N個のスイッチのアレイを有する電子スイッチ構成要素とを備えており、
Nが、4~1000の整数である、付記39~43のいずれか一つに記載の方法。
45.増幅器構成要素が、1つ以上のトランスインピーダンス増幅器を有する、付記39~44のいずれか一つに記載の方法。
【0149】
46.増幅器構成要素が、1つ以上の加算増幅器を有する、付記45に記載の方法。
47.光検出システムが、N個の光検出器を備える光検出器アレイと、2N個の増幅器を有する増幅器構成要素と、N×N個のスイッチのアレイを有する電子スイッチ構成要素とを備えており、
Nが、4~1000の整数である、付記39に記載の方法。
48.Nが4である、付記44~47のいずれか一つに記載の方法。
49.Nが8である、付記44~47のいずれか一つに記載の方法。
50.光検出器からの出力信号を多重化するか、または非多重化することをさらに含む、付記39~49のいずれか一つに記載の方法。
【0150】
51.増幅器構成要素からの出力信号を多重化するか、または非多重化することをさらに含む、付記39~49のいずれか一つに記載の方法。
52.増幅器構成要素が、N個のトランスインピーダンス増幅器およびN個の加算増幅器を有する、付記51に記載の方法。
53.トランスインピーダンス増幅器が、光検出器アレイと電子スイッチ構成要素との間に電気的に位置決めされている、付記52に記載の方法。
54.トランスインピーダンス増幅器からの信号を多重化するか、または非多重化することを含む、付記52に記載の方法。
55.試料が細胞を含む、付記39~54のいずれか一つに記載の方法。
56.試料内の1つ以上の異なるタイプの細胞集団を特定することをさらに含む、付記55に記載の方法。
【0151】
57.バンドパスフィルタを備える2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアから発せられた光を検出することと、
複数のフルオロフォア蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定することと、
漏れ込みマトリックスに基づいて、バンドパスフィルタで光を検出するためのコスト関数を計算することと
を含む、方法。
58.バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、2つ以上の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素である、付記57に記載の方法。
59.バンドパスフィルタが、発せられた光の1つ以上の波長が検出されることを制限するように構成された光学構成要素である、付記57に記載の方法。
60.漏れ込みマトリックスがM×Nの漏れ込み係数を含み、
Mが複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するために使用される光検出器の数であり、
Nがフルオロフォアの数である、付記57~59のいずれか一つに記載の方法。
【0152】
61.コスト関数を計算することが、各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを含む、付記57~60のいずれか一つに記載の方法。
62.各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することが、線形回帰を使用することを含む、付記61に記載の方法。
63.各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することが、通常の最小二乗解を使用することを含む、付記61に記載の方法。
64.直交形中に複数のフルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を追加することをさらに含む、付記61~63のいずれか一つに記載の方法。
【0153】
65.コスト関数が、以下に従って計算され、Nがフルオロフォアの数であり、dFが各フルオロフォアに関連付けられた判定された不確実性である、付記61~63のいずれか一つに記載の方法。
【0154】
【数5】
【0155】
66.各フルオロフォアの蛍光スペクトルを判定することをさらに含む、付記57~65のいずれか一つに記載の方法。
67.いくつかの光電子を各フルオロフォアに割り当てることと、光電子が、漏れ込みマトリックスに基づいて1つ以上の光検出器間でどのように分割されるかを判定することとをさらに行う、付記57~66のいずれか一つに記載の方法。
【0156】
68.複数のフルオロフォアから発せられた光の検出に使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を、2つ以上の光検出器で特定することと、
複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して、各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと、
計算されたコスト関数に基づいて、2つ以上の光検出器で複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することと
を含む、方法。
69.バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、2つ以上の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素である、付記68に記載の方法。
70.バンドパスフィルタが、発せられた光の1つ以上の波長が検出されることを制限するように構成された光学構成要素である、付記68に記載の方法。
【0157】
71.漏れ込みマトリックスがM×Nの漏れ込み係数を含み、
Mが複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するために使用される光検出器の数であり、
Nがフルオロフォアの数である、付記68~70のいずれか一つに記載の方法。
72.コスト関数を計算することが、各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを含む、付記68~71のいずれか一つに記載の方法。
73.各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することが、線形回帰を使用することを含む、付記72に記載の方法。
74.各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することが、通常の最小二乗解を使用することを含む、付記72に記載の方法。
75.直交形中に複数のフルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を追加することをさらに含む、付記72~74のいずれか一つに記載の方法。
【0158】
76.コスト関数が、以下に従って計算され、Nがフルオロフォアの数であり、dFが各フルオロフォアに関連付けられた判定された不確実性である、付記72~74のいずれか一つに記載の方法。
【0159】
【数6】
【0160】
77.バンドパスフィルタの変異した集団を生成するために、特定された集団中のバンドパスフィルタのうちの1つ以上を変異させることであって、変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較してシフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、変異させることと、
変異した集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと
をさらに含む、付記68~76のいずれか一つに記載の方法。
78.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して深色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記77に記載の方法。
79.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して浅色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記77に記載の方法。
80.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して、1nm以上シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記77~79のいずれか一つに記載の方法。
【0161】
81.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して、1%以上シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記77~79のいずれか一つに記載の方法。
82.バンドパスフィルタの子孫集団を生成するために、特定された集団および変異した集団からの2つ以上の異なるバンドパスフィルタを組み合わせることであって、各子孫バンドパスフィルタが、組み合わされたバンドパスフィルタからランダムに選択された波長を含む、組み合わせることと、
子孫集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと
をさらに含む、付記68~81のいずれか一つに記載の方法。
83.特定された集団、変異した集団、および子孫集団における各バンドパスフィルタの計算されたコスト関数を比較することと、
複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定することと
をさらに含む、付記77~82のいずれか一つに記載の方法。
84.比較することが、計算されたコスト関数に基づいて、バンドパスフィルタをランク付けすることを含む、付記83に記載の方法。
85.バンドパスフィルタの最適なセットを判定することが、中央値コスト関数を有するバンドパスフィルタのセットを判定することを含む、付記83~84のいずれか一つに記載の方法。
86.バンドパスフィルタの最適なセットを判定することが、中央値を下回るコスト関数を有するバンドパスフィルタを廃棄することを含む、付記85に記載の方法。
【0162】
87.複数の光検出器であって、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するためのバンドパスフィルタを有する、複数の光検出器と、
プロセッサであって、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを有し、メモリは命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルの漏れ込みマトリックスを判定することと、
漏れ込みマトリックスに基づいて、バンドパスフィルタで光を検出するためのコスト関数を計算することとを行わせる、プロセッサと
を備える、システム。
88.バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、2つ以上の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素である、付記87に記載のシステム。
89.バンドパスフィルタが、発せられた光の1つ以上の波長が検出されることを制限するように構成された光学構成要素である、付記87に記載のシステム。
90.漏れ込みマトリックスがM×Nの漏れ込み係数を含み、
Mが複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するために使用される光検出器の数であり、
Nがフルオロフォアの数である、付記87~89のいずれか一つに記載のシステム。
【0163】
91.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる、付記87~90のいずれか一つに記載のシステム。
92.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、線形回帰によって各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる、付記91に記載のシステム。
93.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、通常の最小二乗解によって各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる、付記91に記載のシステム。
94.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、直交形中の複数のフルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を追加することを行わせる、付記91~93のいずれか一つに記載のシステム。
【0164】
95.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、下記式に従って不確実性係数を計算することを行わせ、式中、Nがフルオロフォアの数であり、dFが各フルオロフォアに関連付けられた判定された不確実性である、付記91~93のいずれか一つに記載のシステム。
【0165】
【数7】
【0166】
96.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各フルオロフォアの蛍光スペクトルを判定することを行わせる、付記87~95のいずれか一つに記載のシステム。
97.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
各フルオロフォアにいくつかの光電子を割り当てることと、
漏れ込みマトリックスに基づいて、光電子が光検出器間でどのように分割されるかを判定することとを行わせる、付記87~96のいずれか一つに記載のシステム。
【0167】
98.複数の光検出器であって、複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するためのバンドパスフィルタを有する、複数の光検出器と、
プロセッサであって、プロセッサに動作可能に結合されたメモリを備え、メモリが、メモリに記憶された命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
複数のフルオロフォアから発せられた光の検出に使用するための異なるバンドパスフィルタの集団を特定することと、
複数のフルオロフォアの蛍光スペクトルから判定された漏れ込み係数を含む漏れ込みマトリックスを使用して、各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することと、
計算されたコスト関数に基づいて、光検出器で複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するために最適なバンドパスフィルタを判定することとを行わせる、プロセッサと
を備える、システム。
99.バンドパスフィルタが、増幅器構成要素と、2つ以上の光検出器および増幅器構成要素と電気通信する複数のスイッチを有する電子スイッチ構成要素とを備える、光電子構成要素である、付記98に記載のシステム。
100.バンドパスフィルタが、発せられた光の1つ以上の波長が検出されることを制限するように構成された光学構成要素である、付記98に記載のシステム。
【0168】
101.漏れ込みマトリックスがM×Nの漏れ込み係数を含み、
Mが複数のフルオロフォアから発せられた光を検出するために使用される光検出器の数であり、
Nがフルオロフォアの数である、付記98~100のいずれか一つに記載のシステム。
102.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる、付記98~101のいずれか一つに記載のシステム。
103.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、線形回帰によって各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる、付記102に記載のシステム。
104.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、通常の最小二乗解によって各フルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を判定することを行わせる、付記102に記載のシステム。
105.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、直交形中の複数のフルオロフォアに関連付けられた不確実性係数を追加することを行わせる、付記102~104のいずれか一つに記載のシステム。
【0169】
106.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、下記式に従って不確実性係数を計算することを行わせ、式中、Nがフルオロフォアの数であり、dFが各フルオロフォアに関連付けられた判定された不確実性である、付記102~104のいずれか一つに記載のシステム。
【0170】
【数8】
【0171】
107.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
バンドパスフィルタの変異した集団を生成するために、特定された集団中のバンドパスフィルタのうちの1つ以上を変異させることであって、変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較してシフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、変異させることと、
変異した集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することとを行わせる、付記98~106のいずれか一つに記載のシステム。
108.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して深色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記107に記載のシステム。
109.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して浅色シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記107に記載のシステム。
110.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して、1nm以上シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記107~109のいずれか一つに記載のシステム。
【0172】
111.変異した集団が、特定された集団のバンドパスフィルタと比較して、1%以上シフトされている波長を有するバンドパスフィルタを含む、付記107~109のいずれか一つに記載のシステム。
112.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
バンドパスフィルタの子孫集団を生成するために、特定された集団および変異した集団からの2つ以上の異なるバンドパスフィルタを組み合わせることであって、各子孫バンドパスフィルタが、組み合わされたバンドパスフィルタからランダムに選択された波長を含む、組み合わせることと、
子孫集団の各バンドパスフィルタのコスト関数を計算することとを行わせる、付記98~111のいずれか一つに記載のシステム。
113.メモリが、命令をさらに含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
特定された集団、変異した集団、および子孫集団における各バンドパスフィルタの計算されたコスト関数を比較することと、
複数のフルオロフォアを含む試料からの光を検出するためのバンドパスフィルタの最適なセットを判定することとを行わせる、付記107~112のいずれか一つに記載のシステム。
114.メモリが、命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、計算されたコスト関数に基づいてバンドパスフィルタをランク付けすることを行わせる、付記113に記載のシステム。
115.メモリが、命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、中央値コスト関数を有するバンドパスフィルタのセットを判定することを行わせる、付記113または114に記載のシステム。
116.メモリが、命令を含み、命令が、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、中央値を下回るコスト関数を有するバンドパスフィルタを破棄することを行わせる、付記115に記載のシステム。
【0173】
117.キットであって、
光検出器アレイと、
複数の増幅器を有する増幅器構成要素と、
複数のスイッチを有しており、複数の光検出器および複数の増幅器に電気的に結合されるように構成されている、電子スイッチ構成要素と
を備える、キット。
118.光検出器アレイが、複数のフォトダイオードを有する、付記117に記載のキット。
119.増幅器構成要素が、複数のトランスインピーダンス増幅器を有する第1の増幅器サブユニットと、複数の加算増幅器を有する第2の増幅器サブユニットとを備える、付記117に記載のキット。
120.光のスペクトルを分散するように構成された光分散構成要素をさらに備える含む、付記117~119のいずれか一つに記載のキット。
121.フローストリーム内の試料を伝播させるためのフローセルをさらに備える付記117~120のいずれか一つに記載のキット。
【0174】
上記の発明は、明確な理解のために例示および例としてある程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明の教示に照らして、ある特定の変更および修正が行われてもよいことは、当業者には容易に明らかである。
【0175】
したがって、前述した内容は、本発明の原理を例示するにすぎない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨および範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。さらに、本明細書に列挙されるすべての例および条件付き言語は、主に、読者が本発明の原理および当該技術をさらに進めるために発明者が寄与する概念を理解することを助ける点を意図しており、そのような具体的に列挙される例および条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を列挙する本明細書におけるすべての記述、ならびにその具体例は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することが意図される。加えて、そのような等価物は、構造に関係なく、現在知られている等価物と将来開発される等価物の両方、すなわち、同じ機能を実行するように開発された任意の要素を含むことが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に列挙されるかどうかにかかわらず、一般に呈されることが意図されるものではない。
【0176】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載される例示的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)または米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲におけるそのような制限の開始時に正確な語句「のための手段」または正確な語句「のためのステップ」が列挙されるときにのみ、特許請求の範囲における制限のために引用されるものとして明示的に定義され、そのような正確な語句が特許請求の範囲における制限で使用されない場合、米国特許法第112条(f)または米国特許法第112条(6)は引用されない。
【0177】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に従って、本出願は、2018年6月19日に出願された米国仮特許出願第62/687,151号の出願日に対する優先権を主張し、その出願の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5