(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】装飾セラミック市場用の修飾されたポリアクリレート分散剤
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20240110BHJP
C09D 11/326 20140101ALI20240110BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20240110BHJP
B41M 5/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
C09D17/00
C09D11/326
C09K23/52
B41M5/00 116
B41M5/00 120
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021166632
(22)【出願日】2021-10-11
(62)【分割の表示】P 2017552488の分割
【原出願日】2016-04-08
【審査請求日】2021-10-11
(32)【優先日】2015-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506347528
【氏名又は名称】ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ディーン セトフォード
(72)【発明者】
【氏名】エリオット コールベック
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534317(JP,A)
【文献】国際公開第2015/035107(WO,A1)
【文献】特開平08-231912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0288227(US,A1)
【文献】特表2014-514376(JP,A)
【文献】特表2013-512990(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143554(WO,A1)
【文献】特開平06-211949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 17/00
C09D 11/326
C09K 23/52
B41M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料分散体組成物であって、
a)20~79重量%の非水性連続媒体と、
b)20~60重量%の、高温で焼成した後にその最大色強度および色相を呈する、微粒子形態の混合金属酸化物顔料と、
c)1~20重量%の、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]
n-[CR
2CR
2]
m-
の中心部分を有する分散剤と
(式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR
2CR
2]-の反復単位は、ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、
nは10~140であり、
mは0~14であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたは、C
1~C
36ヒドロカルビル基であり、前記ヒドロカルビル基は、O、N、F、Cl、およびBr原子を必要に応じて含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルから選択され、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含むX基を含むG基に隣接する場合に-C(=O)-のみであり得、ここで、前記窒素原子は、前記カルボニルの炭素と化学結合して環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH
3または-CH
2Bであり、ここでAが-Hである場合、Dは-CH
2Bのみであり得、
Eは、-CO
2H、-W-P(=O)-(OH)
ε(ここでεは1または2である)、および-W-S(=O)
2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位において独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結であるか、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペンダント基を必要に応じて含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、またはアミド連結基を必要に応じて含む、ポリ(C
2~4-アルキレンオキシド)であり、ここで、前記酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%が前記塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、ナトリウム、リチウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよびトリC
1~C
3-アルカノールアミンを含むアミンであってもよく、
GはCO-X-(C
yH
2yO)
t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり、ここで、Xは、Xが-C(=O)-形態のB基に隣接しかつ前記B基が窒素とともに環状イミドを形成する場合に-N=のみであり得、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内の前記反復モノマー単位のうち30%またはそれ未満において
、2であり、
R’は、C
1~C
36ヒドロカルビル基であり、前記ヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルから選択され、
tは6~67であり、
B単位の各種類のモル%は、前記反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG単位、10~85%のE単位、および0%~45%のC(=O)-単位である)
を含む、顔料分散体組成物のセラミック物品およびガラス物品の着色のための使用。
【請求項2】
yが、全体的な分散剤の構造内の前記反復モノマー単位のうち22%またはそれ未満において、2である、請求項1に記載の顔料分散体組成物の使用。
【請求項3】
前記分散剤のXの15モル%またはそれ超が、-N(H)-もしくは-N=、または-N(H)-および-N=の混合のいずれかでなければならない、請求項1
または2に記載の顔料分散体組成物の使用。
【請求項4】
前記分散剤のX単位の15モル%未満が、-N(H)-および-N=の混合であり、yが、G基のうちの少なくとも15モル%における任意の-(C
yH
2yO)
t-鎖の前記反復単位の少なくとも85モル%において2であり、G基のその他の85モル%またはそれ未満が、6個の炭素原子より長くないR’基を含有する、請求項1
または2に記載の顔料分散体組成物の使用。
【請求項5】
前記微粒子固体が、Al、Mg、Ca、Cd、Co、Cr、Fe、In、Mn、Ni、Pr、Sb、Se、Si、Sn、Ti、V、Zn、およびZrから選択される、カチオン形態の2種またはそれ超の元素の組合せを含
有する、混合金属酸化物の少なくとも1種のセラミック顔料である、請求項1から
4のいずれかに記載の顔料分散体組成物の使用。
【請求項6】
カチオン形態の前記2種またはそれ超の元素の組合せが、Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mn、Pr、Sb、Si、Sn、Ti、Zn、およびZrから選択される、請求項5に記載の顔料分散体組成物の使用。
【請求項7】
デジタル制御印刷作業中に前記顔料分散体組成物をノズルを通じて噴出する工程を含む、請求項1から
6のいずれかに記載の顔料分散体組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本分散剤および分散させられた混合金属酸化物顔料組成物は、セラミック物品およびガラスの着色にとって有用である。分散させられる顔料は、セラミック物品またはガラス上のコーティングの高温セラミック焼成中にそれらの色合いを呈する種類のものである。分散させられる顔料は、望ましくは、デジタル制御印刷作業中の、ノズルを通じた噴出にとって好適である。本分散剤は、ポリ(アルキレンオキシド)の末端ヒドロキシルまたはアミン基を、ポリ酸ポリマーのカルボン酸基(複数可)と反応させることによる、ポリ(アルキレンオキシド)側鎖で官能化されたポリ酸ポリマーである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
数千年にわたって、調理用および給仕用の器、水および他の流体の容器、タイル、レンガなどの様々なセラミック物品が、文明によって生み出されてきた。これらは典型的には、顔料およびセラミック物品を高温焼成する間に色またはより強い色を呈する金属酸化物型顔料を用いて着色または装飾されてきた。金属酸化物型着色顔料は、着色顔料とともに適用されるまたはその後に適用される場合がある、セラミック組成物および/またはよりガラス質の組成物と高温で化学的に相互作用し、色を相互浸透および発色すると考えられた。よりガラス質の組成物は多くの場合、不透過性またはバリア特性をセラミック物品の外面に提供するためのものであった(セラミック物品が接触する可能性がある環境物質からセラミック物品を保護するため)。
【0003】
高分子有機結合剤における従来の有機顔料およびいくつかの無機顔料(例えば、TiO2、シリカ、およびタルク)に関して、粒子サイズおよび粒子の均一性は、一貫した強い着色を達成するために非常に重要である。無機セラミック着色において使用される無機混合金属酸化物顔料は、一般的に、有機顔料ほどにはよく理解されていない。無機金属酸化物顔料の粒子サイズは、一般的に、顔料の粒子サイズが高分子有機コーティングおよびインクにおける使用について制御されている程度にまでは研究および制御されていない。
WO2012/107379A1は、ポリ(オキシアルキレンカルボニル)可溶性鎖を有するアミン系分散剤を対象とし、WO2012/116878A1は、乳酸をベースとするホモポリマーまたはコポリマーを有するポリエチレンイミン由来の分散剤を利用するインクジェットプリンター用のセラミックインクを対象とする。
【0004】
WO2014/146992は、ポリエチレンイミンと、12-ヒドロキシステアリン酸およびε-カプロラクトンのコポリエステルとの反応生成物である分散化剤の存在下でセラミック無機顔料をミル加工することによって調製される、インクジェットプリンター用のインクを対象とする。WO2015/035107は、ポリエーテルで官能化され、アミン系多塩基種と反応させた、ポリアクリル系コポリマーを含む分散剤を対象とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2012/107379号
【文献】国際公開第2012/116878号
【文献】国際公開第2014/146992号
【文献】国際公開第2015/035107号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
セラミックタイル(浴室タイルなど)の着色は、長年、スクリーン印刷およびグラビア印刷技法によって、主に水系製剤を使用して行われてきた。これらの製剤にとっては、慣習的な静電分散剤で十分であった。スクリーン印刷およびグラビア印刷などの旧式の印刷技術から、インクジェットノズル技術を使用する、セラミック物品上へのデジタル印刷への転換への関心から、無機金属酸化物顔料の粒子サイズを低減し、かつインクジェットインク中の無機金属酸化物のコロイド粒子を安定化させて、より高密度の混合金属酸化物顔料の沈殿およびインクジェットノズルの詰まりを回避する必要性も存在する。
【0007】
より最近では、この業界は、慣習的な印刷方法から離れてきており、代わりにデジタル印刷を使用している。デジタル製剤においては、脂肪族から水に至るまで、異なった極性を有する、遥かに幅広い範囲の溶媒系が使用されている。また、これらの製剤は、それらがデジタルプリンターを使用して噴出するのに必要とされるすべての要件を満たすように、より高性能の分散剤を必要とする。従来のコーティングまたはインク用の多くの顔料は有機のものであり、連続媒体の10または20重量%以内の密度を有する傾向がある一方で、混合金属酸化物顔料は、連続相の密度の2~4倍の密度を有し得、そのことにより、そのような混合金属酸化物顔料が、有機媒体中のコロイド粒子として分散させられ続けることがより著しく困難となり得る。
【0008】
混合金属酸化物用の分散剤は、ヒドロキシルまたはアミン末端のポリ(アルキレンオキシド)と反応してくし形ポリマー分散剤構造を創出するポリ酸ポリマーと特定されており、このくし形ポリマー分散剤構造は、ポリ酸のカルボン酸基の、ポリ(アルキレンオキシド)の末端ヒドロキシルまたはアミン基との、エステル、アミドまたはイミド形成反応に由来するくしの歯を有する。ポリ酸ポリマーは、骨格中に、約10個~約1540個の反復単位を有する。くしの歯は、ポリ酸の酸基の約15~85モル%において存在する。ポリ(アルキレンオキシド)の歯は、望ましくは、鎖当たり約6個~67個の反復単位を有し、望ましくは、ポリ酸ポリマーにグラフトされていない端部に、未反応の末端ヒドロキシルまたはC1~C36ヒドロカルビル基を有する。ポリ(アルキレンオキシド)の選択は、一般的に、連続相によって決定され、極性連続媒体の場合には、任意選択で少量のポリ(エチレンオキシド)を伴う、ポリ(プロピレンオキシド)が豊富な歯が好ましく、非極性連続媒体の場合には、ポリ(プロピレンオキシド)またはポリ(ブチレンオキシド)の歯がより適切である。
【0009】
上記の分散剤は、コロイド的に安定な非水性混合金属酸化物分散体、ならびにインクジ
ェットインクプリンターを使用してセラミックタイルおよびガラスを着色するための非水
性インクジェットインクを生成するために、無機顔料(好ましくは混合金属酸化物顔料)
を分散させる優れた能力を示すことが発見された。したがって、本発明によれば、微粒子
固体と、脂肪族炭化水素、中極性エステル、および/もしくは極性エーテル、またはこれ
らのブレンドから選択される連続媒体と、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m- 式(1)
(式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR2CR2]-の反復単位は
、ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、
nは10~1400(より好ましくは10~140)であり、
mは0~140(より好ましくは0~14、最も好ましくは0)であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたはC1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6
)ヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、任意選択でO、N、F、Cl、お
よび/またはBr原子を含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、ア
リール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得[例えば、CR2CR2は
、アクリル系ポリマーへのそのラジカル反応後の、R2C=CR2含有分子の残基である
]、好ましくは、[CR2CR2]は非酸性モノマー/反復単位であり、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含む
X基を含むG基に隣接する場合にのみ-C(=O)-であり得、ここで、前記窒素原子は
、前記カルボニル基の炭素と化学結合して5員または6員の環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH3または-CH2Bであり、ここでDは、Aが-Hである場合に-CH2Bでのみあり得、
Eは、-CO2H、-W-P(=O)-(OH)ε(ここでεは1または2である)、お
よび-W-S(=O)2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位にお
いて独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結である
か、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペン
ダント基を任意選択で含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連
結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、ま
たはアミド連結基を任意選択で含む、ポリ(C2~4-アルキレンオキシド)であり、こ
こで、酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%(より
望ましくは最大0.3重量%)が塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、ナトリウ
ム、リチウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよびトリC
1~C3-アルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミン)を含むアミンであっ
てもよく、
GはCO-X-(CyH2yO)t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり(Xは、Xが-C(=O)-形態のB
基に隣接しかつB基が窒素とともに環状イミドを形成する場合にのみ-N=であり得るこ
とに留意されたい)、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内の反復モノマー単位のうち30%またはそれ未満において
、より望ましくはモノマー単位のうち22%またはそれ未満において2であってよく、
R’は、C1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6)ヒドロカルビ
ル基であり、このヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリ
ール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
tは6~67(より好ましくは6~45)であり、
B単位の各種類のモル%は、反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG単位
、10~85%のE単位、および0%~45%のC(=O)-単位であり、そして、
上記の分散剤の合成を促進するために、Gの性質は、望ましくは、以下の分類
1)Xの15モル%またはそれ超は、-N(H)-もしくは-N=、または-N(H)-
および-N=の混合のいずれかでなければならないか、あるいは2)yは、G基のうちの
少なくとも15モル%における任意の-(CyH2yO)t-鎖の反復単位の少なくとも
85モル%においては2であり、G基のその他の85モル%またはそれ未満は、6個の炭
素原子より長くないR’基を含有する、
のうちの少なくとも1つを満たす)
の中心部分を有する分散化剤とを含む組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、セラミックインクジェットインク製剤におけるあるクラスの分散剤の使用、そのような分散剤を、微粒子固体(混合金属酸化物)および有機媒体(脂肪族炭化水素、脂肪酸エステル、およびグリコールエーテル/エステル)とともに含有する分散体、微粒子固体、有機媒体、および分散剤を含む組成物、ならびにセラミックインクジェットインクおよびミルベースにおけるそれらの使用に関する。インク、塗料、およびミルベースなどの多くの製剤が、微粒子固体を有機媒体中に均一に分配するための有効な分散剤を必要とする。
【0011】
一実施形態では、本発明は、顔料分散体組成物であって、
a)79~20重量%の、脂肪族炭化水素、中極性エステル媒体、および/または極性エ
ーテル媒体(より望ましくは、脂肪族炭化水素、中極性エステル媒体、および極性エーテ
ル媒体のうちの1つまたは複数)を含む、連続液体媒体と、
b)20~60重量%の、高温で焼成した後にその最大色強度および色相を呈する、微粒
子形態の混合金属酸化物セラミック顔料と、
c)1~20重量%の、末端基および以下の構造-[CH(A)-C(B)(D)]n-
[CR2CR2]m-
(式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR2CR2]-の反復単位は
、ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、重量パー
セントは、媒体中の分散剤を伴う混合金属酸化物の分散体の重量に基づき、
nは10~1400(より好ましくは10~140)であり、
mは0~140(より好ましくは0~14、最も好ましくは0)であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたはC1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6
)ヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、任意選択でO、N、F、Cl、お
よび/またはBr原子を含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、ア
リール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得[例えば、CR2CR2は
、アクリル系ポリマーへのそのラジカル反応後の、R2C=CR2含有分子の残基である
]、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含む
X基を含むG基に隣接する場合にのみ-C(=O)-であり得、ここで、前記窒素原子は
、前記カルボニル基の炭素と化学結合して5員または6員の環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH3または-CH2Bであり、ここでDは、Aが-Hである場合に-CH2Bでのみあり得、
Eは、-CO2H、-W-P(=O)-(OH)ε(ここでεは1または2である)、お
よび-W-S(=O)2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位にお
いて独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結である
か、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペン
ダント基を任意選択で含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連
結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、ま
たはアミド連結基を任意選択で含む、ポリ(C2~4-アルキレンオキシド)であり、こ
こで、酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%(より
望ましくは最大0.3重量%)が塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、リチウム
、ナトリウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよびトリC
1~C3-アルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミン)を含むアミンであっ
てもよく、
前記塩は、直鎖状であっても分枝状であってもよい、約140~100,000g/モル
の分子量を有する2個またはそれ超のアミン基を有するポリアミンなどのアミン系多塩基
種を含まない(望ましくは1重量%未満、より望ましくは0.3重量%未満、および好ま
しくは0.1重量%未満)ことが好ましく、
GはCO-X-(CyH2yO)t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり(Xは、Xが-C(=O)-形態のB
基に隣接しかつこのB基が窒素とともに環状イミドを形成する場合にのみ-N=であり得
ることに留意されたい)、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内の反復モノマー単位のうち30%またはそれ未満において
、より望ましくはモノマー単位のうち22%またはそれ未満において2であってよく、
R’は、C1~C36ヒドロカルビル基(望ましくはC1~C18ヒドロカルビル基)で
あり、このヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリール、
アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
tは6~67(より好ましくは6~45)であり、
モル%は、反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG単位、10~85%の
E単位、および0%~45%のC(=O)-単位であり、そして、
上記の添加剤を合成することができるように、Gの性質は、以下の分類
1)Xの15モル%またはそれ超は、-N(H)-もしくは-N=、または-N(H)-
および-N=の混合のいずれかでなければならないか、あるいは2)yは、G基のうちの
少なくとも15モル%における任意の-(CyH2yO)t-鎖の反復単位の少なくとも
85モル%においては2であり、G基のその他の85モル%またはそれ未満は、6個の炭
素原子より長くないR’基を含有する、
のうちの少なくとも1つに当てはまらなければならない)
の中心部分を有する分散剤とを含む、顔料分散体組成物に関する。
【0012】
XがNHである場合、NHのうち0~100%が、隣接する-CO
2H(AまたはBによって定義される)と反応して、-N=(以下に示される5員イミド環反復単位)
【化1】
を提供し得、そして/または-CH
2-CO
2H(Dによって定義される)と反応して、以下に示される5員イミド環
(以下の構造
【化2】
のものである反復単位)を提供し得、ならびに/あるいは、近くのBが-CO
2HでありかつXが-N(H)-である場合、ポリ酸に由来する隣接する反復単位のうち2つが、以下に示される6員イミド環
【化3】
を形成する場合があり、式中、A、D、t、y、およびR’は、上と同じように定義され、短い破線は、ポリ酸分子の残部が反復単位に結合する部分を示している。
【0013】
一実施形態では、本発明は、2ミクロンを超える乾燥粉末体積平均粒径D50を有する
無機混合金属酸化物微粒子を、連続媒体中で、700ナノメートル未満のD50粒子サイ
ズにミル加工(milling)するためのプロセスであって、
a)前記連続媒体と、任意選択でガラス質グレーズ材料を含む、2ミクロンを超える乾燥
粉末体積平均粒径を有する前記無機混合金属酸化物微粒子(ここで、前記無機混合金属酸
化物微粒子は、高温で焼成した後にその色強度および色相を呈する混合金属酸化物顔料で
ある)と、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
(式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR2CR2]-の反復単位は
、ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、
nは10~1400(より好ましくは10~140)であり、
mは0~140(より好ましくは0~14、最も好ましくは0)であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたはC1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6
)ヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、任意選択でO、N、F、Cl、お
よび/またはBr原子を含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、ア
リール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得[例えば、CR2CR2は
、アクリル系ポリマーへのそのラジカル反応後の、R2C=CR2含有分子の残基である
]、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含む
X基を含むG基に隣接する場合にのみ-C(=O)-であり得、ここで、前記窒素原子は
、前記カルボニルの炭素と化学結合して環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH3または-CH2Bであり、ここでDは、Aが-Hである場合に-CH2Bでのみあり得、
Eは、-CO2H、-W-P(=O)-(OH)ε(ここでεは1または2である)、お
よび-W-S(=O)2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位にお
いて独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結である
か、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペン
ダント基を任意選択で含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連
結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、ま
たはアミド連結基を任意選択で含む、ポリ(C2~4-アルキレンオキシド)であり、こ
こで、酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%(より
望ましくは最大0.3重量%)が塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、ナトリウ
ム、リチウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよびトリC
1~C3-アルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミン)を含むアミンであっ
てもよく、
GはCO-X-(CyH2yO)t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり(Xは、Xが-C(=O)-形態のB
基に隣接しかつこのB基が窒素とともに環状イミドを形成する場合にのみ-N=であり得
ることに留意されたい)、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内の反復モノマー単位のうち30%またはそれ未満において
、より望ましくはモノマー単位のうち22%またはそれ未満において2であってよく、
R’は、C1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6)ヒドロカルビ
ル基であり、このヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリ
ール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
tは6~67(より好ましくは6~45)であり、
モル%は、反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG単位、10~85%の
E単位、および0%~45%のC(=O)-単位であり、そして、
上記の添加剤を合成することができるように、Gの性質は、以下の分類
1)Xの15モル%またはそれ超は、-N(H)-もしくは-N=、または-N(H)-
および-N=の混合のいずれかでなければならないか、あるいは
2)yは、G基のうちの少なくとも15モル%における任意の-(CyH2yO)t-鎖
の反復単位の少なくとも85モル%においては2であり、G基のその他の85モル%また
はそれ未満は、6個の炭素原子より長くないR’基を含有する、
のうちの少なくとも1つに当てはまらなければならない)
の中心部分を有する分散化剤とをブレンドするステップと、
b)前記連続媒体中に、前記分散化剤とともに分散させられた前記混合金属酸化物顔料を
、ビーズミルを使用して5分間から60時間ミル加工するステップと、
c)体積平均粒径D50が700ナノメートル未満であることを確認するステップとを含
む、プロセスに関する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、ノズルを通じて噴出されるインクを使用して、セラミック
物品またはガラス物品基材上にデジタル印刷するためのプロセスであって、
a)末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
の中心部分を有する分散化剤を用いて連続媒体中に分散させられた、混合金属酸化物を提
供するステップと、
b)前記分散化剤を使用して前記連続媒体中に分散させられた前記混合金属酸化物を
、前記基材上に噴出して、(任意選択で、セラミック表面上のプレグレーズ層(複数可)
上に)顔料着色デジタル画像を形成するステップであって、前記基材上の前記顔料着色デ
ジタル画像は、前記セラミック基材を焼成または前記ガラス基材を加熱して焼き戻しまた
は焼き鈍しを提供した際に、着色画像になるステップと、
c)任意選択で、前記デジタル画像上にグレーズを適用するステップと、
d)前記セラミック物品を高温で加熱または前記ガラス物品を加熱してそれを焼き鈍
すかまたは焼き戻すステップであって、混合金属酸化物に由来する前記画像は、加熱した
際に、その色に対して最適な色強度を呈するステップ、
式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR2CR2]-の反復単位は、
ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、
nは10~1400(より好ましくは10~140)であり、
mは0~140(より好ましくは0~14、最も好ましくは0)であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたはC1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6
)ヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、任意選択でO、N、F、Cl、お
よび/またはBr原子を含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、ア
リール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得[例えば、CR2CR2は
、アクリル系ポリマーへのそのラジカル反応後の、R2C=CR2含有分子の残基である
]、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含む
X基を含むG基に隣接する場合にのみ-C(=O)-であり得、ここで、前記窒素原子は
、前記カルボニルの炭素と化学結合して環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH3または-CH2Bであり、ここでDは、Aが-Hである場合に-CH2Bでのみあり得、
Eは、-CO2H、-W-P(=O)-(OH)ε(ここでεは1または2である)、お
よび-W-S(=O)2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位にお
いて独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結である
か、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペン
ダント基を任意選択で含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連
結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、ま
たはアミド連結基を任意選択で含む、ポリ(C2~4-アルキレンオキシド)であり、こ
こで、酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%(より
望ましくは最大0.3重量%)が塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、ナトリウ
ム、リチウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよびトリC
1~C3-アルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミン)を含むアミンであっ
てもよく、
GはCO-X-(CyH2yO)t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり(Xは、Xが-C(=O)-形態のB
基に隣接しかつこのB基が窒素とともに環状イミドを形成する場合にのみ-N=であり得
ることに留意されたい)、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内の反復モノマー単位のうち30%またはそれ未満において
、より望ましくはモノマー単位のうち22%またはそれ未満において2であってよく、
R’は、C1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6)ヒドロカルビ
ル基であり、このヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリ
ール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
tは6~67(より好ましくは6~45)であり、
B単位の各種類のモル%は、反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG単位
、10~85%のE単位、および0%~45%のC(=O)-単位であり、そして、
上記の添加剤を合成することができるように、Gの性質は、以下の分類
1)Xの15モル%またはそれ超は、-N(H)-もしくは-N=のいずれか、または-
N(H)-および-N=の混合でなければならないか、あるいは
2)yは、G基のうちの少なくとも15モル%における任意の-(CyH2yO)t-鎖
の反復単位の少なくとも85モル%においては2であり、G基のその他の85モル%また
はそれ未満は、6個の炭素原子より長くないR’基を含有する、
のうちの少なくとも1つに当てはまらなければならない、プロセスに関する。
【0015】
本分散化剤は、上で一般的に記載されたように、極性の炭化水素から比較的非極性の炭化水素まで様々なものを含む、多様な連続媒体用のものであることが理解される。一般的に、分散化剤の高分子骨格は、分散化剤を混合金属酸化物微粒子に固定させるように機能する。分散化剤のGのポリエーテルセグメントは、分散剤が微粒子を分散させるように機能する場合に、連続媒体中に延び、立体的バリア層を提供する可溶化鎖として機能する。ポリエーテル鎖は連続相との融和性が高いほど、それらは立体的安定化鎖としてより良好に機能する。G基の極性は、製剤において使用される連続相(例えば溶媒)の極性と類似するものでなければならない。連続相(例えば溶媒)が、製剤において脂肪族炭化水素である場合、Gは、望ましくは、非極性ポリ(アルキレンオキシド)を含み、望ましくは、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドなどの、3または4のyを主に含む。連続相(例えば溶媒)が、製剤においてグリコールエーテルまたはエステルである場合、Gは、望ましくはより極性であり、望ましくは、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドなどの、3または4であるyのものを主に含み、反復単位の最大30モル%において2であるyのもの(エチレンオキシドなど)を含む。一実施形態では、ある一つのG反復単位におけるある一つのポリ(アルキレンオキシド)はポリエチレンオキシドが豊富(例えば、y=2)である場合があり、一方で別のG反復単位における別のポリ(アルキレンオキシド)は、ポリ(プロピレンオキシド)またはポリ(ブチレンオキシド)が豊富である場合があるが、但し、y=2とy=3または4との平均モルが、先の文章の制限を満たすことを条件とする。
【0016】
定義。物事を単純にするために、本発明者らは、「メタ」の周りで丸括弧を使用して、挙げられた分子が、任意選択でメチル置換基を含み得ることを示す。例えば、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸および/またはアクリル酸を指し、メチル(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよび/またはアクリレートを指す。本発明者らは、記号表現C(=O)-OHを使用して、酸形態、塩形態、または2つのカルボン酸が物理的に隣接しており、無水物環を形成し得る場合には無水物形態などの、任意の形態のカルボン酸を表す。-N=という用語は、3つの他の非水素原子に結合した窒素を指し、好ましくは、一方の結合部位ではポリエーテルに結合し、かつ他方の2つの結合部位では2つの異なるカルボニルに結合する(イミドを形成する)窒素を指す。
【0017】
ヒドロカルビルという用語は、任意選択で他のヘテロ原子(O、N、F、Cl、およびBrなど)を従来のまたは特定された量で含んでもよい、一価の炭化水素基を指す。ヒドロカルビレンという用語は、任意選択で他のヘテロ原子を従来のまたは特定された量で含んでもよい、二価の炭化水素基を指す。本発明者らは、1個の水素が取り除かれた炭化水素型基を記載するために、ヒドロカルビルという用語を使用する。本明細書におけるヒドロカルビルは、炭化水素様であることを意味し、望ましくは、基中の4個の炭素原子毎に最大1個の酸素および/または窒素を含み得るが、好ましくは、炭素原子および水素原子のみである。疑義を回避するために、本発明者らがカルボン酸またはカルボニル基を数える場合、本発明者らは、ジカルボン酸の無水物およびイミドは、2個のカルボニル基を有するものとして数える。
【0018】
ポリエーテルの式においては、本発明者らは、より大きいアルキレンオキシド単位は、直鎖状および分枝状の形態を含む、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはプロピレンオキシドおよびブチレンオキシドの組合せを含むことを意図している。本発明者らはまた、この概念を表すために、yが主として3および/または4である、CyH2yOも使用する。本発明者らは、ポリエーテルが、ランダムであってもブロック状であってもよいことを意図しており、それらが、任意の特定の反復単位の単一のブロックまたは複数のブロックにポリエーテルを制限することは意図していない。ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンまたはポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルのポリエーテル鎖の組成は、本発明のポリマーが、極性媒体中で使用されるか、あるいは非極性媒体中で使用されるかに応じて異なり得る。本発明のポリマーが極性媒体中で使用される場合、ポリエーテルは、0~30モル%、または0~25モル%、または0~15モル%のエチレンオキシドを含有してもよく、70~100モル%、または75~100モル%、または85~100モル%のプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドを含有してもよい。本発明のポリマーが非極性媒体中で使用される場合、ポリエーテルは、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドを含有してもよい。一実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンまたはポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルは、(i)ポリプロピレンオキシドホモポリマー、または(ii)ポリブチレンオキシドホモポリマー、または(iii)エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマーのいずれかのポリエーテル鎖を含有してもよい。
【0019】
望ましくは、混合金属酸化物、分散化剤、および連続媒体の分散体は、インクジェット印刷にとって望ましい粘度に調整される。望ましい粘度は、25℃において30s-1で、約1、2、または3から約15、20、30、または50cpsを含む。
【0020】
一実施形態では、式1の分散剤の分子量は、2000~200,000または300,000g/モルであり、好ましくは2000~75,000または100,000g/モルである。一実施形態では、分散剤は、90、95、または98重量%またはそれ超の、式において特定された反復単位と、2、5、または10重量%またはそれ未満の、特定されていない末端基とから構成される。末端基は、ポリ酸の従来の重合プロセス中にポリマーへと組み込まれる、フリーラジカル開始剤種の周知のフラグメントおよび連鎖移動フラグメントである。分散剤のポリ酸骨格は、由来が不明である、または重合中に二官能性、三官能性、または四官能性のモノマーを使用したことに由来する、いくつかの(多くはない)分枝点を有してもよい。末端基の重量比は、ポリ酸の構成成分の分子量とともに変わり得、低分子量の分散剤は、より高い重量百分率の前記末端基を有する。
【0021】
一実施形態では、インクが、非水性媒体中の混合金属酸化物の分散体を含む。別の実施形態では、インクは、インクジェットインクの形態である。
【0022】
別の実施形態では、インクは、インクジェットプリンターカートリッジ内にあり、このカートリッジは、連続媒体、分散剤、混合金属酸化物顔料、および分散体またはインクに対する任意の任意選択の構成成分を含むインクが中に入っているチャンバを含む。
【0023】
一実施形態では、ポリ酸は、主にポリ(メタ)アクリル酸である(例えば、反復単位のうち50%超が、(メタ)アクリル酸の重合に由来する従来の反復単位である)。一実施形態では、ポリ酸は、数で5~50パーセントの、マレイン酸または無水マレイン酸由来の反復単位を含む。
【0024】
以下に、非限定的例証として、様々な好ましい特色および実施形態について記載する。
【0025】
Xが-NH-または-N=である場合、G基は、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミン由来であってもよい。この種類のモノアミン化合物は、Huntsman CorporationよりSurfonamine(登録商標)またはJeffamineTM アミンとして市販されている。Surfonamine(登録商標)アミンの具体例は、B-60(プロピレンオキシド対エチレンオキシドのモル比は9:1)、B-200(プロピレンオキシド対エチレンオキシドのモル比は29:6)、およびB-100(プロピレンオキシドのみを含有)である。ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンは、C1~36モノ-ヒドロカルビルアルコール開始剤を、プロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドのみと、またはそのエチレンオキシドとの混合物としてプロピレンオキシドもしくはブチレンオキシドと反応させて、アルコール末端ポリマー鎖を形成した後、このアルコール末端ポリマー鎖を、いくつかの実施例において開示されているアミンへと変換することで、調製することができる。
【0026】
Xが酸素である場合、G基は、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテル由来であってもよい。これらのモノ-アルキルエーテルは、Sigma-Aldrich、Croda、BASF、およびIneosなどの様々な供給元から入手可能である。
【0027】
ポリ酸は、当業者に公知のプロセスによって調製することができ、当該技術分野において公知の任意の方法で、ポリエーテル種を用いて官能化できる。例えば、ポリ酸は、ポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸/マレイン酸コポリマーのエステル化またはアミド化、あるいはバルク、溶液、懸濁液、またはエマルジョンプロセスを使用する、任意の公知の重合技法または重合技法の組合せによる、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルおよび/もしくはアミドとの重合、または(メタ)アクリル酸とマレイン酸(もしくは無水マレイン酸)、(メタ)アクリル酸エステルおよび/もしくはアミド、ならびにマレイン酸エステルおよび/もしくはアミドとの重合によって調製することができる。重合は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、原子移動重合、もしくは官能基移動重合(group transfer polymerization)プロセス、またはこれらの組合せを含んでもよい。
【0028】
一実施形態では、上記のプロセスは、当業者によって、ポリ(メタ)アクリル酸の代わりに、様々なコポリマー、例えばポリ(メタ)アクリル酸-co-マレイン酸、ポリアクリル酸-co-イタコン酸、ポリアクリル酸-co-AMPS酸、ポリイタコン酸-co-アクリル酸、ポリイタコン酸-co-アクリルアミド酸などを使用することで実行されてもよい。様々な不飽和コモノマーを、ポリ酸に組み込むことができる。
【0029】
遊離酸形態であっても塩であってもよいスルホン酸基を含有するアニオン性モノエチレン性不飽和モノマーの例は、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルベンジルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルエタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルブタンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルエタンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルブタンスルホン酸、アクリロイルオキシメチルスルホン酸、2-(アクリロイル)オキシエチルスルホン酸、3-(アクリロイル)オキシプロピルスルホン酸、4-(アクリロイル)オキシブチルスルホン酸、メタクリロイルオキシメチルスルホン酸、2-(メタクリロイル)オキシエチルスルホン酸、3-(メタクリロイル)オキシプロピルスルホン酸、4-(メタクリロイル)オキシブチルスルホン酸、およびこれらの塩を含む。
【0030】
遊離酸形態であっても塩であってもよいリン酸基またはホスホン酸基を含有するアニオン性モノエチレン性不飽和モノマーの例は、モノビニルホスフェート、モノアリルホスフェート、3-ブテニルホスホン酸、モノ-3-ブテニルホスフェート、モノ(4-ビニルオキシブチル)ホスフェート、[分子量Mnが150~700の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、またはそれらのポリアルコキシレート誘導体、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、および4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミドヒドロキシポリ(エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、ならびにポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート]のリン酸エステル、モノ(2-ヒドロキシ-3-ビニルオキシプロピル)ホスフェート、モノ(1-ホスホノキシメチル-2-ビニルオキシエチル)ホスフェート、モノ(3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)ホスフェート、モノ(2-アリルオキシ-1-ホスホノキシメチルエチル)ホスフェート、これらの塩および/またはエステル、特に、リン酸基および/またはホスホン酸基を含有するモノマーのC1~C8モノアルキル、ジアルキル、および適切な場合にはトリアルキルエステルを含む。他の好適なホスホン酸モノマーは、WO99/25780A1に開示されており、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンホスホン酸、α-ホスホノスチレン、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンホスホン酸を含む。さらなる好適なリン官能性モノマーは、US4,733,005に開示されている、1,2-エチレン性不飽和(ヒドロキシ)ホスフィニルアルキル(メタ)アクリレートモノマーであり、(ヒドロキシ)ホスフィニルメチルメタクリレートを含む。1つの好ましいモノマーは、ビニルホスホン酸またはその加水分解性エステルである。
【0031】
一実施形態では、ポリ酸構成成分の反復単位のうち最大10または5モル%(より望ましくは最大2または最大1モル%であり、好ましくは0モル%)が、炭素-炭素二重結合(例えば、C(R2)=CR2)を含有しかつカルボキシル基も硫黄に由来する酸もリンに由来する酸も伴わないフリーラジカル重合性モノマーに由来してよく、このような反復単位は、スチレン、エチレン、プロペン、ブテン、(メタ)アクリル酸とC1~C18アルコールとの(メタ)アクリレートエステル、および(メタ)アクリレートヒドロキシルエステル、例えばヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、(メタ)アクリルアミド、ビニル置換複素環、例えばビニルピロリジノン、ビニルイミダゾール、ビニルカルバゾール、2-ビニルピリジン、ならびに4-ビニルピリジンに由来する。本発明者らが、反復単位のうち最大10、5、2、または1モル%が異なるモノマーのものであってもよいと述べる場合、本発明者らは、ポリエーテル種による官能化前のポリ酸構成成分について記載している。
【0032】
一実施形態では、本発明は、水溶液または固体として、ポリ酸(典型的には、700~50,000または700~28,000の数平均分子量を有する)を本明細書において定義されるG-Hと、4:1~25:1、より望ましくは5:1~20:1のポリエーテル(G-H)対ポリ酸の重量比で、任意選択で触媒、典型的には酸または塩基触媒の存在下、120~200℃の温度で不活性雰囲気下にて2~72時間の間、反応中に存在する水または反応の間に生成された水を取り除くことを確実にしながら反応させることで得られる、またはそれによって入手可能である化合物を提供する。
【0033】
別の実施形態では、インクは、プリントヘッドからインクを推進させるための、ピエゾ、熱、音、および静電機序を含む種類のインクジェットプリンターから印刷される種類のものである。好ましくは、これらのインクとともに利用されるプリンターは、ピエゾまたは電気音響方式のドロップオンデマンド(DOD)型のものである。
【0034】
別の実施形態では、インクは、セラミック体、例えばプレート、ボウル、ソーサー、カップ、装飾用セラミック、屋根瓦を含むタイルもしくは物品、またはガラス基材、例えば窓ガラスもしくは飲用グラス、容器、カップなどの物品のいずれかを含む基材上に印刷される。
【0035】
別の実施形態は、基材、例えばセラミックタイル上にシングルパスインラインDODプリンターで印刷されるインクジェットインク、およびガラス物品上にマルチパスオフラインDODプリンターで印刷されるインクジェットインクである。
【0036】
微粒子固体は、セラミックタイルの着色において使用される混合金属酸化物である。特定の光輝部は、金属不純物によって引き起こされる縞および条線を含まず、著しくより明るい濃淡を提供する、より均質な色濃淡パターンを生み出すための、着色混合金属酸化物無機顔料内に存在する金属混入物の分散を含む。
【0037】
本発明は、セラミックインクジェットインク製剤におけるあるクラスの分散剤の使用、そのような分散剤を、微粒子固体(混合金属酸化物)および連続媒体(脂肪族炭化水素、中極性脂肪酸エステル、または極性グリコールエーテル/エステル、およびこれらの様々なブレンド)とともに含有する分散体、微粒子固体、連続媒体、および分散剤を含む組成物、ならびにセラミックインクジェットインクおよびミルベースにおけるそれらの使用に関する。インク、塗料、およびミルベースなどの多くの製剤が、微粒子固体を連続媒体中で均一に安定化させるための有効な分散剤を必要とする。
【0038】
インクジェットインクによるセラミックタイルの着色は、急速に成長している技術であり、短いミル加工時間内に様々な連続媒体中で、700nm未満のD50粒子サイズを有する混合金属酸化物の安定したインクジェットインク分散体を提供することが問題となっている。
【0039】
本出願の分散剤を使用することで、遥かに短くなったミル加工時間での、低い粒子サイズを有する混合金属酸化物を含有する安定したインクジェットインク分散体、向上したミルベースの収率および廃棄物の低減につながる分散体のより良好な濾過性、混合金属酸化物において見出される金属不純物の著しくより明るい濃淡およびより良好な分散が提供された。
【0040】
本発明によれば、微粒子固体と、連続媒体(非水性)と、末端基および以下の構造-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-の中心部分を有する分散化剤とを含む組成物が提供され、この組成物は、インクジェットインクプリンターを使用するセラミックタイルの着色用のインクジェットインクとして、またはその一部として使用される。
【0041】
微粒子固体は、混合金属酸化物またはそれらの混合物であり得、これは、ミル加工プロセスに起因する混入物および/または不純物として存在する、ミル加工設備またはビーズの研磨摩耗に由来する望ましくない金属不純物を含有し得る。
【0042】
連続媒体は、脂肪族炭化水素、中極性エステル、ポリグリコールエーテル/エステル、またはこれらの融和性のブレンドであり得る。
【0043】
極性溶媒は、様々な低分子量一価または多価アルコール、グリコール、グリコールエーテル、ポリグリコール、脂肪酸エステルを含む低分子量モノおよびポリヒドロキシル化合物と縮合した低分子量モノおよびポリ酸などであり得る。C15~20脂肪酸の脂肪酸エステルは、より低分子量の飽和モノおよびポリ酸由来のエステルよりも、極性の低い脂肪酸エステルである傾向にある。
【0044】
一実施形態では、非極性有機液体は、脂肪族基を含有する化合物またはそれらの混合物であり、好ましくは、6~40個の炭素原子の炭化水素、4~30個の炭素原子の様々なカルボン酸と4~30個の炭素原子のアルコールとのエステル、およびヒドロキシル、C1~C5エーテル、またはC2~C5エステル末端基を有する1~5個の反復単位のC2~C4アルキレンオキシドである。非極性有機液体は、非ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、完全飽和および部分飽和の、6個またはそれ超の炭素原子を含有する直鎖状および分枝状の脂肪族炭化水素)、ならびに天然非極性有機物(例えば、植物油、ヒマワリ油、亜麻仁油、テルペン、およびグリセリド)を含む。
【0045】
一実施形態では、式(1)の分散剤を伴うセラミック混合金属酸化物の分散体において使用される好ましい溶媒は、石油蒸留物(C16~20アルカン混合物および環状アルカンを含む様々な沸騰留分)、パラフィン、ミネラルスピリット、オクチルオクタノエート、2-エチルヘキシル-ステアレート、2-エチルヘキシル-ココエート、ジオクチルアジペート、イソプロピルラウレート、エチルヘキシルココエート、プロピレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールモノ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールビス-2-エチルヘキサノエート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコール(メチルエーテル)、ジ-プロピレングリコール(n-ブチルエーテル)、イソプロピルビスフェノール、例えば2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピル-フェニル)プロパン、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソセチルラウレート、イソセチルステアレート、エチルヘキシルパルミテート、またはこれらの混合物を含む。
【0046】
一実施形態では、有機液体媒体は水を含まない。本明細書において使用される場合、実質的に水を含まないという表現は、反応が、最小量の水、例えば通常の処理においては除去されない混入物または痕跡量を含有することを示す。一実施形態では、連続媒体の有機液体は、任意選択で、分散体の重量に基づいて、7重量%未満、より望ましくは5重量%未満、そして好ましくは1重量%未満の水を含有する。一実施形態では、連続媒体は水を含まない。
【0047】
本発明の有機液体は、極性媒体であっても非極性媒体であってもよい。有機液体に関する「極性」という用語は、有機液体が、Journal of Paint Technology、38巻、1966年、269頁の、Crowleyらによる「A Three Dimensional Approach to Solubility」と題される記事において説明されているように、中程度から強い結合を形成可能であることを意味する。極性有機液体は、一般的に、上述の記事において定義されているように、5またはそれ超の比誘電率を有する。非極性液体は、典型的には、5未満の比誘電率を有する。
【0048】
このような中程度に強い水素結合の液体の数多くの具体例は、Ibert Mellanによる「Compatibility and Solubility」と題される書籍(Noyes Development Corporationによって1968年に出版)の39~40頁の表2.14において提供されており、これらの液体はすべて、本明細書において使用される極性有機液体という用語の範囲内に入る。
【0049】
本分散化剤の利点は、低減されたミル加工時間、均質な着色濃淡につながる任意の金属不純物および/または混入物のより良好な分散、より明るい濃淡、保管中のより良好な粒子サイズ安定性、改善された濾過性および向上した分散体/インクの収率、低減されたシネレシス、低減された沈降、ならびにより低い相分離である。
【0050】
好ましい微粒子固体は、セラミックタイルおよびガラスの着色において使用される混合金属酸化物である。本発明の目的上、混合金属酸化物は、同じかまたは異なる酸化状態の、少なくとも2種の異なる金属を含有する固体と解釈される。本開示の分散剤を使用することによる特定の改善は、特定の混合金属酸化物はミル加工するのが困難であり、これらの顔料をミル加工するにはハードセラミックビーズが必要とされるので、ミル加工設備の研磨摩耗に由来する金属混入物の低減を含む。本開示の分散剤は、望ましい粒子サイズを満たすために必要とされるミル加工時間を短くする傾向にある。ハードセラミックビーズを使用するビーズミルにおいて総ミル加工時間が低減される場合、ビーズ上およびミルの内部構成要素上の両方の研磨摩耗の量が、一般的には低減される。研磨摩耗を低減するということは、ミル加工された生成物に導入される、ミルの内部部品およびビーズに由来する金属混入物がより少ないことを意味する。金属混入物は通常、大部分の顔料結合剤ベースのコーティングにおいて色が低いが、金属混入物は、セラミック物品およびガラスを着色するために600℃超で焼成された混合金属酸化物における色濃淡および色強度に対して大きく影響を及ぼし得る。
【0051】
また、本開示は、2ミクロンを超える初期体積平均粒径を有する金属酸化物顔料を、非極性脂肪族炭化水素、中極性エステル媒体、および/または極性エーテル媒体中で、700ナノメートル未満の平均粒子サイズにミル加工する方法であって、
(a)脂肪族炭化水素、中極性エステル媒体、および/または極性エーテル媒体と、任意選択でガラス質グレーズ材料を含む、2ミクロンを超える50%体積平均粒径を有する混合金属酸化物顔料と、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
の中心部分を有する分散化剤とをブレンドするステップ、
(b)前記脂肪族炭化水素、中極性エステル媒体、および/または極性エーテル媒体中に、前記分散化剤とともに分散させられた前記混合金属酸化物顔料を、例えば1kgの微粒子当たり0.4~8キロワット/時のミル加工レートで、または5分間から60時間のミル加工時間でビーズミルを使用して、ミル加工するステップ、および
(c)粒子の50%体積の平均粒径が700ナノメートル未満であることを確認するステップを含む、プロセスを提供する。一実施形態では、微粒子材料は、ミル加工プロセスの開始時に2マイクロメートルを超える乾燥粉末体積平均粒径D50を有し得る。
【0052】
また、本開示は、ノズルを通じて噴出されるインクを使用して、セラミック物品またはガラス物品上にデジタル印刷するためのプロセスであって、
a)末端基および以下の構造-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-の中心部分を有する分散化剤を用いて連続媒体中に分散させられた混合金属酸化物を提供するステップであって、微粒子固体は、高温で焼成した後にその色強度および色相を呈する混合金属酸化物顔料であるステップ、
b)前記分散化剤を使用して前記連続媒体中に分散させられた前記混合金属酸化物を、デジタル画像に従って噴出して、基材上に(任意選択で、セラミック表面上のプレグレーズ層上に)、焼成中に前記セラミックまたはガラス物品上で色強度を呈する画像を形成するステップ、
c)任意選択で、前記デジタル画像上にグレーズを適用するステップ、および
d)前記セラミック物品を600℃超の温度で焼成するか、または前記ガラス物品を400℃超の温度で焼き戻すかもしくは焼き鈍して、前記混合金属酸化物にその色を呈色させるステップによる、プロセスを提供する。プレグレーズ層は、カーテンコーターまたはスプレーコーターなどの慣習的方法を使用して適用される場合がある。あるいは、プレグレーズ層は、インクジェットプリンター技術を使用して適用されてもよい。上記プレグレーズ層は、単一のプレグレーズ層であっても複数のプレグレーズ層であってもよい。プレグレーズ層は、通常、セラミック基材の表面を滑らかにするのを補助するために適用され、そして任意選択で、仕上がったセラミック物品の特性を最適化するためにセラミックまたはグレーズの表面に構成成分を添加する。プレグレーズ層(複数可)は、着色剤を含んでもよい。
【0053】
ある特定の分散剤は、コロイド的に安定な非水性分散体、非水性インクジェットインク分散体、およびインクジェットインクプリンターを使用してセラミックタイルまたはガラスを着色するための最終的な非水性インクジェットインクを生成するために、無機顔料(特にそれらの混合金属酸化物)を分散させる優れた能力を示すことが発見された。したがって、本発明によれば、混合金属酸化物微粒子固体と、連続媒体と、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
の中心部分を有する分散化剤とを含むインクジェットインク組成物が提供される。
【0054】
産業用途
インクジェットインク技術によるセラミックタイルの着色は、インクジェットインクによるデジタル印刷にとって利用可能な画像の多様性および品質に起因して、急速に成長している用途である。セラミック物品およびタイル用の旧来の印刷プロセスにおいて使用されていた混合金属酸化物の粒子サイズは、大部分のインクジェットプリンターのノズルを容易に通過するには大き過ぎることが多かった。短いミル加工時間内に、様々な連続媒体中で、700nm未満のD50粒子サイズを有する混合金属酸化物の、コロイド的に安定なインクジェットインク分散体を提供することが問題となっている。
【0055】
一実施形態では、式1の化合物は、セラミックタイルなどのセラミック物品またはガラスを着色するために使用される種類の混合金属酸化物顔料用の分散剤であり、ここで、顔料は600℃およびそれ超での焼成に曝露されて、顔料を低強度の色から強い永続的な色へと移行させることになる。
【0056】
本組成物中に存在する微粒子固体は、任意の無機固体材料(有機媒体に実質的に不溶性である、顔料またはグレーズ形成化合物など)であってよく、そして、高温での焼成後に望ましい色を提供する。一実施形態では、微粒子固体は顔料である。別の実施形態では、微粒子固体は、グレーズ化合物を形成するのを補助する、アルミニウムまたはシリカが豊富である化合物であるか、またはそれを含む。
【0057】
一実施形態では、本発明のインク組成物は、混合金属酸化物顔料がセラミックタイル、屋根瓦、プレート、ソーサー、ボウルなどのセラミック物品上に、もしくは窓ガラス、飲用グラスなどのガラス物品上に、またはデジタル画像に従って噴出されるような適用における、改善された噴出効率、低減されたノズルの詰まり、低減された沈降、より容易な濾過性、フィルターの目詰まりの頻度の低下、およびより一貫した噴出を提供する。この用途において、本開示の分散剤の使用は、ミル加工設備およびビーズ/ボールに由来する、低濃度の金属および金属酸化物の摩耗混入物をもたらす。一実施形態では、本組成物は、より低い顔料粒子サイズ、より良好なコロイド安定性、内部のミル表面およびビーズから運ばれる金属のより少なくなった量を提供した。
【0058】
セラミック体またはガラスの着色にとって好ましい顔料は、Pigment Yellow 159(Zr-Si-Pr、ジルコンプラセオジムイエローまたはプラセオジムイエロージルコン)、例えばBASF Sicocer(登録商標)F Yellow 2200など;Pigment Red 232(Zr-Si-Feジルコン)、例えばBASF Sicocer(登録商標)F Coral 2300など;Pigment Red 233(Ca-Sn-Si-Cr、クロムスズピンクくさび石);Pigment Brown 33(Zn-Fe-Cr、Spinel)、例えばBASF Sicocer(登録商標)Brown 2700など;Pigment Blue 72(Co-Al-Cr、Cobalt Spinelブルー);Pigment Blue 28(Co-Alスピネル)、例えばBASF Sicocer(登録商標)Blue 2501など;Pigment Blue 36(Co-Alスピネル)、例えばBASF Sicocer(登録商標)Cyan 2500など;Pigment Black 27(Co-Mn-Fe-Crスピネル)、例えばBASF Sicocer(登録商標)Black 2900など;およびPigment White 12(Zr-Si)、例えばBASF Sicocer(登録商標)White EDT/AK-4409/2である。
【0059】
所望される場合、本組成物は、他の任意選択の成分、例えば樹脂(これらがすでに有機媒体を構成していない場合)、結合剤、流動化剤、沈降防止剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、レオロジー改変剤、平滑化剤、光沢改変剤、および防腐剤を含有してもよい。
【0060】
本組成物は、典型的には、20~40または60重量%の微粒子固体を含有し、その正確な量は、固体の性質および固体と連続媒体との相対密度に依存する。例えば、固体が無機顔料、フィラー、または増量剤などの無機材料である組成物は、一実施形態では、組成物の総重量に基づいて20~60重量%の固体を含有する。
【0061】
本組成物は、600℃超で焼成されるセラミック物品の着色のため、または400℃超で焼き鈍しもしくは焼き戻しされるガラスのための分散体の調製に関するものとして公知の従来法のいずれかによって調製することができる。したがって、固体、連続媒体、および分散剤は、任意の順序で混合されてよく、次いでこの混合物は、分散体が形成されるまで、固体の粒子を適切なサイズにまで低減するための、例えばボールミル加工(ball
milling)、ビーズミル加工(bead milling)、砂礫ミル加工(gravel milling)、またはプラスチックミル加工(plastic milling)による機械的処理に供される。粒子サイズの大きい顔料を、分散剤を用いて連続媒体中に分散させることができるように様々な粒子サイズおよび分散設備を順次使用して総ミル加工時間および費用を最小限に抑えることができること、最初に、所望の粒子サイズ範囲へと予備混合または予備ミル粉砕して、次いでビーズ式ミルに移して、微粒子をさらに破壊して、D50として200~700ナノメートルの直径(体積平均粒子サイズの測定による)にすることが予期される。
【0062】
2ミクロンを超える体積平均粒径を有する混合金属酸化物顔料を、連続媒体中で、700ナノメートル未満の粒子サイズにミル加工するためのプロセスであって、該プロセスは、
a)連続媒体と、2ミクロンを超える体積平均粒径を有する混合金属酸化物顔料と、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
の中心部分を有する分散化剤とをブレンドするステップ、
b)前記連続媒体中に、前記分散化剤とともに分散させられた前記混合金属酸化物顔料を、例えば1kgの微粒子当たり0.4~8キロワット/時のミル加工レートで、または5分間から60時間のミル加工時間でビーズミルを使用して、ミル加工するステップ、および
c)体積平均粒径D50が700ナノメートル未満であることを確認するステップを含む、プロセス。
【0063】
一実施形態では、混合金属酸化物顔料をミル加工するために使用されるビーズは、金属ビーズではなく、むしろセラミックビーズである。セラミックビーズを使用するさらなる実施形態では、セラミックビーズは、二酸化ジルコニウム、イットリウム安定化ジルコニア、および/または炭化ケイ素であることが望ましい。ビーズは、直径が多くの場合、0.3~0.4mmである。ミルは多くの場合、水平ビーズミルであり、ミルの有名な供給業者はNetzschである。ミル加工は多くの場合、300nmまたはそれ未満のD50および500nmまたはそれ未満のD90の体積平均粒径が達成される粒子サイズ分布の中央値を標的とする。300nmのD50とは、粒子サイズ分布に存在する粒子の50%が300nmを上回る直径を有し、50%が300nm未満の直径を有する値である。ミル加工時間は、約5分間~60時間であり、より望ましくは約5分間~48時間である。一実施形態では、上に開示された期間にわたってミルが使用するエネルギーは、上に開示された範囲内のD50の粒子を与えるために生成される微粒子1kg当たり0.4~8キロワット/時の範囲である。ミルは、より大きな粒子からより小さな粒子を分離するためにいくつかの分類方法を使用し、次いで、異なるサイズの粒子を異なる程度までミル加工してもよい。粘度、固形分含有量などを制御するために、ミル加工中に溶媒を添加してもよい。ミル加工が1グラムの顔料の表面積を増加させ、そのD50平均粒子サイズを2ミクロン超から700、600、500、または300ナノメートル未満にまで減少させる間、分散剤はミル加工中に順次または連続的に添加することができる。
【0064】
理論によって束縛されることを望むものではないが、一部の分散剤は、ミル加工中に新しく創出された表面に到達し、より大きな粒子へと凝集しないように、破砕した粒子の新しい表面を安定化させることにより有効であると仮定される。一部の分散剤は、高エネルギーでの混合中、より大きなサイズの凝集物へのアグロメレーションを起こさないように、微粒子に対してより良好に固定され、粒子をより良好にコロイド的に安定化させる。
【0065】
本発明の組成物は、液体分散体に特に適している。一実施形態では、このような分散体組成物は、
(a)20~60部の混合金属酸化物微粒子固体と、
(b)1~20部の、末端基および以下の構造-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-の中心部分を有する分散剤と、
(c)20~79部の連続媒体とを含み、すべての部は重量によるものであり、(a)+(b)+(c)+インクに対する任意選択の構成成分の量=100である。
一実施形態では、末端基および以下の構造-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-の中心部分を有する分散剤を使用して、セラミック物品を着色するための、自己分散性または再分散性の顔料濃縮物を作製することができる。この実施形態では、蒸発させるかまたは遠心分離によって除去することができる連続媒体を、ミル加工を実行するために使用することができ、次いで、分散剤をその顔料上に有する顔料は、必要となるまで、分散体の形態で濃縮、保管、輸送などを行うことができる。微粒子固体と、末端基および以下の構造-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-の中心部分を有する分散剤とを含む組成物が、乾燥形態で必要とされる場合、有機液体は、典型的には揮発性であるので、蒸発などの単純な分離手段で微粒子固体から容易に除去することができる。一実施形態では、本組成物は、規定された低レベルの水を有するかまたは水を含まない、有機液体連続媒体を含む。
【0066】
本発明の組成物は、ミルベースの調製にとって好適であり、ここでは、微粒子固体が、末端基および以下の構造-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-の中心部分を有する化合物の存在下で、有機液体中でミル加工される。これらのミルベースは、特定の色強度および濃淡を有するセラミック物品のための着色剤を形成するために、正確な比で混合され得る。インクジェット技術による適用のための着色剤は、インクが噴出されて、600℃またはそれ超で焼成した後にセラミック物品上で様々な色、濃淡、強度などを形成することができる、少なくとも3色および最大12色までの異なる色を含むことが予期される。
【0067】
典型的には、ミルベースは、ミルベースの総重量に基づいて、20~60重量%の微粒子固体を含有する。一実施形態では、微粒子固体は、ミルベースの20重量%以上または25重量%以上である。このようなミルベースは、ミル加工前またはミル加工後のいずれかで添加される結合剤を任意選択で含有してもよい。
【0068】
ミルベース中の分散剤の量は、微粒子固体の量に依存するが、典型的にはミルベースの1~20重量%である。
【0069】
本発明の組成物から作製される分散体およびミルベースは、セラミック物品用、特に600℃またはそれ超で焼成されて顔料の色特性を呈する、インクジェット印刷されるセラミック体、例えば壁および床タイルなどのための溶媒ベースのインクにおいて使用するための顔料分散体として特に好適である。
【0070】
また、本開示は、ノズルを通じて噴出されるインクを使用して、セラミック物品またはガラス物品上にデジタル印刷するためのプロセス
a)末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
の中心部分を有する分散化剤を用いて連続媒体中に分散させられた、混合金属酸化物顔料を提供するステップ、
b)前記連続媒体中に分散させられた前記混合金属酸化物および前記分散化剤を、デジタル画像に従って噴出して、焼成中に前記セラミック物品またはガラス物品上に現れる画像を形成するステップ(前記セラミック物品は、任意選択で、前記デジタル画像を受け取る前に、その上に1つまたは複数のプレグレーズ層を有する)、
c)任意選択で、前記デジタル画像上にグレーズを適用するステップ、および
d)前記セラミック物品またはガラス物品を高温で焼成して、前記混合金属酸化物にその色を発色させるステップ
を含む。
【0071】
本明細書の混合金属酸化物分散体および分散剤から作製されたコーティングまたはインクは、2つの追加的詳細において、従来の有機結合剤ベースのコーティングおよびインクとは異なる。好ましい実施形態では、本明細書のコーティングおよびインク中の結合剤(存在する場合)は、有機材料ではなく、むしろ、実質的に(例えば、乾燥および熱処理したコーティングまたはインクに基づいて、90重量%以上、95重量%以上、または99重量%以上)無機材料である。第2の有意な相違点は、本明細書の分散剤が、有意に揮発させられるかまたは焼き尽くされるということである(例えば、熱処理前の分散剤の重量に基づいて、80重量%以上、90重量%以上、または99重量%以上の分散剤が、揮発させられるかまたは焼き尽くされる)。したがって、有機結合剤系において、有機分散剤は、最終的なインクまたはコーティング中に、結合剤と微粒子物質との間の界面として保持される。本明細書のインクおよびコーティングにおいて、分散剤は、物品およびコーティングまたはインクの熱処理によってインクをセラミックまたはガラス基材に対して溶融および融着させるまでしか存在しない。熱処理後、コーティングまたはインクおよび微粒子(例えば顔料(混合金属酸化物)またはグレーズのガラス質材料)が、微粒子とセラミックまたはガラスの無機材料との間の界面においていかなる有機分散剤も実質的に含まないように、分散剤は実質的に焼き尽くされるかまたは揮発させられる。
【0072】
セラミック物品とは、一般的に、無機材料を融合して追加的な機械的強度および液体に対する耐性を提供する高温処理(例えば、約400~約1200℃など)によって追加的強度を発現する、粘土および陶材から形成される様々な有用かつ装飾的な品目を意味する。セラミック物品は、以下に限定されるものではないが、様々なサイズおよび形状のタイル、カップ、広口瓶、陶製の壺、他の保存容器、ボウル、プレート、用具、宝石類、レンガ、床タイル、天井タイル、および壁タイルなどを含む。セラミック物品には、住居内での使用または建築構造物などにおける外での使用が意図され得る。
【0073】
ガラス物品は、機能的および装飾的なガラス物品を含む。セラミックが一般的にはせいぜい半透明であるのに対し、ガラス(濃く着色されない限り)は一般的に約0.5mmの厚さで透明であるという点で、ガラスはセラミックと異なり、このため、通常の太陽光条件下では、サイズ10の活字を、ガラス板を通して読み取ることができる。本明細書の目的上、ガラス物品は、一般的に、物品の全ガラス部分に基づいて、少なくとも50重量%の高濃度のシリカ(例えばSiO2)を有する。ガラス組成物の例は、59重量%のシリカ、2重量%のNa2O、25重量%のPbO、12重量%のK2O、0.4重量%のアルミナ、および1.5重量%のZnの鉛酸化物ガラス;約81重量%のシリカ、12重量%のB2O3、4.5重量%のNa2O、および2重量%のAl2O3を有するナトリウムボロシリケートガラス;約72重量%のシリカ、14.2重量%のNa2O、25重量%のMgO、10重量%のCaO、および0.6重量%のAl2O3を有するソーダ-石灰-シリカ窓ガラス、ならびに95+重量%のシリカを有する溶融シリカガラスを含む。ガラス物品は一般的に、以下に限定されるものではないが、ガラス板(湾曲した板および非平坦な板を含む)、管、バイアル、ビン、ビーカー、フラスコ、グラス、カップ、プレート、ボウル、皿、レンズ、容器、広口瓶、球/ボールなどを含み得る。過去には、無機インクへと形成された混合金属酸化物型顔料を用いて一部のガラス容器および物品を装飾するために、スクリーン印刷が使用されてきた。これらは、供給元、含有量、または商標の識別により、含有量をほぼ永久的に特定することができる。
【0074】
以下の実施例は、本発明の例証を提供するものである。これらの実施例は、非網羅的であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0075】
成分のリスト
CarbosperseTM K752-ポリアクリル酸、MW 2000、水中で63%活性、Lubrizolより。
CarbosperseTM K732-ポリアクリル酸、MW 5000、水中で50%活性、Lubrizolより。
ポリ(アクリル酸-co-マレイン酸)、MW 3000、水中で50%活性、Sigma Aldrichより。
ポリエーテルアミンA:MW1650のポリエーテルアミンであり(C12~15アルコールであって、このC12~15アルコールをプロピレンオキシドと反応させた後、結果として生じたポリエーテルアルコールをアクリロニトリルに塩基触媒付加し、続いて水素化することでアミン(85%活性)が得られる、C12~15アルコールに由来する)、ポリエーテルアミンAと呼ばれる。
ポリエーテルアルコールA:MW1570のポリエーテルアルコールであり(プロピレンオキシドと反応させたC12~15アルコールに由来する)、ポリエーテルアルコールAと呼ばれる。
SurfonamineTM B-200、Huntsmanより、アミン末端で2000g/モルの分子量のもの、EO/POは6/29。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルは、Aldrichからの、MW500のポリエーテルアルコールである(エチレンオキシドと反応させたメタノールに由来する)。
【0076】
(実施例1)
CarbosperseTM K752(32.3重量部)およびポリエーテルアミンA(119.15部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、1時間80℃に加熱した。次いで、凝縮器をトラップに交換し、4時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに24時間温度を160℃に上昇させて、褐色で粘性の液体を得た。
【0077】
(実施例2)
Carbosperse K752(12.8部)およびポリエーテルアミンA(106.24部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、1時間80℃に加熱した。次いで、凝縮器をトラップに交換し、5時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに16時間温度を160℃に上昇させて、褐色で粘性の液体を得た。
【0078】
(実施例3)
Carbosperse K752(15.02部)およびポリエーテルアミンA(166.23部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、1時間80℃に加熱した。次いで、凝縮器をトラップに交換し、5時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに40時間温度を160℃に上昇させて、褐色で粘性の液体を得た。
【0079】
(実施例4)
Carbosperse K752(36.9部)およびポリエーテルアミンA(203.91部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、1時間80℃に加熱した。次いで、凝縮器をトラップに交換し、5時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに23時間温度を160℃に上昇させて、褐色の液体を得た。
【0080】
(実施例5)
ポリエーテルアミンA(120.22部)およびイソプロピルアルコール(13.87部)を、反応容器に凝縮器備え付けて、窒素下、50℃に加熱し、次いで、CarbosperseTM K732(27.41部)を、反応混合物にゆっくりと添加した。結果として得られた混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間温度を80℃に上昇させた。次いで、凝縮器をトラップに交換し、3.5時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに18時間温度を160℃に上昇させて、暗赤/褐色の液体を得た。
【0081】
(実施例6)
ポリエーテルアミンA(119.94部)およびイソプロピルアルコール(18.69部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、50℃に加熱し、次いで、ポリ(アクリル酸-co-マレイン酸)(35.69部)を、反応混合物にゆっくりと添加した。結果として得られた混合物を1時間撹拌し、次いで、さらに1時間温度を80℃に上昇させた。次いで、凝縮器をトラップに交換し、3.5時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに18時間温度を160℃に上昇させて、暗赤/褐色の液体を得た。
【0082】
(実施例7)
Carbosperse K752(24.52部)およびポリエーテルアミンA(22.6部)、ポリエーテルアルコールA(84.27部)を、反応容器にトラップを備え付けて、窒素下、2時間120℃に加熱した。次いで、3時間温度を140℃に上昇させた。次いで、さらに24時間温度を180℃に上昇させて、褐色の液体を得た。
【0083】
(実施例8)
Carbosperse K752(125.5部)、ポリエーテルアミンA(669.44部)、およびイソプロピルアルコール(72部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、1時間80℃に加熱した。次いで、凝縮器をトラップに交換し、4.5時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに16.5時間温度を160℃に上昇させて、暗褐色の液体を得た。
【0084】
(実施例9)
Carbosperse K752(19.12部)およびSurfonamine B-200(120.46部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、80℃に加熱し、1時間撹拌した。次いで、凝縮器をトラップに交換し、4時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに34時間温度を150℃に上昇させて、褐色の液体を得た。
【0085】
(実施例10)
Carbosperse K752(70.55部)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルMW500(30.87部)、およびポリエーテルアミンA(450.79部)を、反応容器に凝縮器を備え付けて、窒素下、1時間120℃に加熱した。次いで、凝縮器をトラップに交換し、5時間温度を130℃に上昇させた。次いで、さらに18時間温度を180℃に上昇させて、褐色で粘性の液体を得た。
【0086】
比較用ミル加工試験
石油蒸留物中の顔料Sicocer Yellow 2200の分散体A
分散体を、分散剤(27部、100%活性)を石油蒸留物(ExxsolTM D140、Exxon Mobilより)(243部)中に溶解させることで調製する。Sicocer Yellow 2200顔料(BASFより)(180部)を各混合物に添加し、各々を、ノコギリ歯のインペラーを2000rpmで30分間使用して予備混合した。次いで、このプレミックスを、Netzsch LAbStar/Mini Millおよび「ミニ」粉砕チャンバー(0.16l)を下記条件下で使用してミル加工した;90分間、3000rpm、15rpmのポンプスピード、および20~30℃のミル温度において0.3~0.4mmのYTZビーズの70%ビーズ負荷。粒子サイズを、ミル加工分散体の試料(0.04部)を採取し、トルエン(8部)で希釈し、Nanotrac
DLS粒子サイズ分析器で粒子サイズを測定することによって得た。
【0087】
エチルヘキシルココエートおよびイソプロピルミリステートの混合物中の顔料Sicocer Yellow 2200の分散体B
分散体を、分散剤(36.05部、100%活性)をCrodamol OC LQ(sigma Aldrichより)(151.73部)およびイソプロピルミリステート(sigma Aldrichより)(61.97部)中に溶解させることで調製する。Sicocer Yellow 2200顔料(BASFより)(200.25部)を各混合物に添加し、各々を、ノコギリ歯のインペラーを2000rpmで30分間使用して予備混合した。次いで、このプレミックスを、Netzsch LAbStar/Mini Millおよび「ミニ」粉砕チャンバー(0.16l)を下記条件下で使用してミル加工した;90分間、3000rpm、15rpmのポンプスピード、および20~30℃のミル温度において0.3~0.4mmのYTZビーズの87.5%ビーズ負荷。粒子サイズを、ミル加工分散体の試料(0.04部)を採取し、トルエン(8部)で希釈し、Nanotrac DLS粒子サイズ分析器で粒子サイズを測定することによって得た。
【0088】
Dowanol TPM中の顔料Sicocer Yellow 2200の分散体C
分散体を、分散剤(24部、100%活性)をDowanol TPM(Dow Chemicalsより)(216部)中に溶解させることで調製する。Sicocer Yellow 2200顔料(BASFより)(160.00部)を各混合物に添加し、各々を、ノコギリ歯のインペラーを2000rpmで30分間使用して予備混合した。次いで、このプレミックスを、Netzsch LAbStar/Mini Millおよび「ミニ」粉砕チャンバー(0.16l)を下記条件下で使用してミル加工した;90分間、3000rpm、15rpmのポンプスピード、および20~30℃のミル温度において0.3~0.4mmのYTZビーズの70%ビーズ負荷。粒子サイズを、ミル加工分散体の試料(0.04部)を採取し、トルエン(8部)で希釈し、Nanotrac DLS粒子サイズ分析器で粒子サイズを測定することによって得た。
【0089】
石油蒸留物中の顔料Sicocer F Pink 10309の分散体D
分散体を、分散剤(28.69部、100%活性)をExsol D140(ExxonMobilより)(205.06部)中に溶解させることで調製する。Sicocer
F Pink 10307顔料(BASFより)(191.25部)を各混合物に添加し、各々を、ノコギリ歯のインペラーを2000rpmで60分間使用して予備混合した。次いで、このプレミックスを、Netzsch LAbStar/Mini Millおよび「ミニ」粉砕チャンバー(0.16l)を下記条件下で使用してミル加工した;90分間、3000rpm、15rpmのポンプスピード、および20~30℃のミル温度において0.3~0.4mmのYTZビーズの70%ビーズ負荷。粒子サイズを、ミル加工分散体の試料(0.04部)を採取し、トルエン(8部)で希釈し、Nanotrac
DLS粒子サイズ分析器で粒子サイズを測定することによって得た。
【表1】
対照は失敗し、ミル加工中にゲル化した。
【表2】
対照は失敗し、ミル加工中にゲル化した。
【表3】
対照は失敗し、ミル加工中にゲル化した。
【表4】
対照は失敗し、ミル加工中にゲル化した。
【0090】
本発明は、その好ましい実施形態に関して説明されてきたが、本明細書を読んだ際に、
様々なその修正形態が当業者には明らかとなることが理解される。したがって、本明細書
に開示される本発明は、添付の特許請求の範囲内に包含されるような修正形態を網羅する
ことが意図されることを理解されたい。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
顔料分散体組成物であって、
a)20~79重量%の連続相液体有機媒体(望ましくは、前記分散体の重量に基づいて
7重量%未満の水を伴う)と、
b)20~60重量%の、高温で焼成した後にその最大色強度および色相を呈する、微粒
子形態の混合金属酸化物セラミック顔料と、
c)1~20重量%の、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
(式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR2CR2]-の反復単位は
、ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、
nは10~1400(より好ましくは10~140)であり、
mは0~140(より好ましくは0~14、最も好ましくは0)であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたは、C1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C
6)ヒドロカルビル基であり、前記ヒドロカルビル基は、任意選択でO、N、F、Cl、
およびBr原子を含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリール
、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含む
X基を含むG基に隣接する場合にのみ-C(=O)-であり得、ここで、前記窒素原子は
、前記カルボニルの炭素と化学結合して環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH3または-CH2Bであり、ここでDは、Aが-Hである場合に-CH2Bでのみあり得、
Eは、-CO2H、-W-P(=O)-(OH)ε(ここでεは1または2である)、お
よび-W-S(=O)2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位にお
いて独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結である
か、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペン
ダント基を任意選択で含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連
結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、ま
たはアミド連結基を任意選択で含む、ポリ(C2~4-アルキレンオキシド)であり、こ
こで、前記酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%(
より望ましくは最大0.3重量%)が前記塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、
ナトリウム、リチウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよ
びトリC1~C3-アルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミン)を含むアミ
ンであってもよく、
GはCO-X-(CyH2yO)t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり(Xは、Xが-C(=O)-形態のB
基に隣接しかつ前記B基が窒素とともに環状イミドを形成する場合にのみ-N=であり得
ることに留意されたい)、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内の前記反復モノマー単位のうち30%またはそれ未満にお
いて、より望ましくはモノマー単位のうち22%またはそれ未満において2であってよく
、
R’は、C1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6)ヒドロカルビ
ル基であり、前記ヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリ
ール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
tは6~67(より好ましくは6~45)であり、
B単位の各種類のモル%は、前記反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG
単位、10~85%のE単位、および0%~45%のC(=O)-単位である)の中心部
分を有する分散剤とを含む、顔料分散体組成物。
(項目2)
Xの15モル%またはそれ超が、-N(H)-もしくは-N=、または-N(H)-お
よび-N=の混合のいずれかでなければならない、項目1に記載の組成物。
(項目3)
X単位の15モル%未満が、-N(H)-および-N=の混合であり、yが、G基のう
ちの少なくとも15モル%における任意の-(CyH2yO)t-鎖の前記反復単位の少
なくとも85モル%においては2であり、G基のその他の85モル%またはそれ未満が、
6個の炭素原子より長くないR’基を含有する、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記微粒子固体が、Al、Mg、Ca、Cd、Co、Cr、Fe、In、Mn、Ni、
Pr、Sb、Se、Si、Sn、Ti、V、Zn、およびZrから選択される、カチオン
形態の2種またはそれ超の元素の組合せを含有する(より望ましくは、Al、Ca、Co
、Cr、Fe、Mn、Pr、Sb、Si、Sn、Ti、Zn、およびZrの、カチオン形
態の2種またはそれ超の元素の組合せを含有する)、混合金属酸化物の少なくとも1種の
セラミック顔料である、項目1から3のいずれかに記載の組成物。
(項目5)
2ミクロンを超える乾燥粉末体積平均粒径D50を有する無機混合金属酸化物微粒子を
、連続媒体中で、700ナノメートル未満のD50粒子サイズにミル加工するためのプロ
セスであって、前記プロセスは、
a)前記連続媒体と、前記無機混合金属酸化物微粒子(ここで、前記無機混合金属酸化物
微粒子は、高温で焼成した後にその色強度および色相を呈する混合金属酸化物顔料であり
、任意選択でガラス質グレーズ材料を含み、2ミクロンを超える乾燥粉末体積平均粒径を
有する)と、末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
(式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR2CR2]-の反復単位は
、ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、
nは10~1400(より好ましくは10~140)であり、
mは0~140(より好ましくは0~14、最も好ましくは0)であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたはC1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6
)ヒドロカルビル基であり、前記ヒドロカルビル基は、任意選択でO、N、F、Cl、お
よび/またはBr原子を含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、ア
リール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得[例えば、CR2CR2は
、前記アクリル系ポリマーへのそのラジカル反応後の、R2C=CR2含有分子の残基で
ある]、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含む
X基を含むG基に隣接する場合にのみ-C(=O)-であり得、ここで、前記窒素原子は
、前記カルボニルの炭素と化学結合して環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH3または-CH2Bであり、ここでDは、Aが-Hである場合に-CH2Bでのみあり得、
Eは、-CO2H、-W-P(=O)-(OH)ε(ここでεは1または2である)、お
よび-W-S(=O)2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位にお
いて独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結である
か、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペン
ダント基を任意選択で含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連
結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、ま
たはアミド連結基を任意選択で含む、ポリ(C2~4-アルキレンオキシド)であり、こ
こで、前記酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%(
より望ましくは最大0.3重量%)が前記塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、
リチウム、ナトリウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよ
びトリC1~C3-アルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミン)を含むアミ
ンであってもよく、
GはCO-X-(CyH2yO)t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり(Xは、Xが-C(=O)-形態のB
基に隣接しかつ前記B基が窒素とともに環状イミドを形成する場合にのみ-N=であり得
ることに留意されたい)、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内のGにおける前記反復(CyH2yO)-単位のうち30
%またはそれ未満において、より望ましくはGにおける反復単位のうち22%またはそれ
未満において2であってよく、
R’は、C1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6)ヒドロカルビ
ル基であり、前記ヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリ
ール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
tは6~67(より好ましくは6~45)であり、
モル%は、前記反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG単位、10~85
%のE単位、および0%~45%のC(=O)-単位である)
の中心部分を有する分散化剤とをブレンドするステップと、
b)前記連続媒体中に、前記分散化剤とともに分散させられた前記混合金属酸化物顔料を
、ビーズミルを使用して5分間から60時間ミル加工して、前記連続媒体中の前記混合金
属酸化物の分散体を形成するステップと、
c)前記体積平均粒径D50が700ナノメートル未満であることを確認するステップと
を含む、プロセス。
(項目6)
前記混合金属酸化物顔料が、Al、Mg、Ca、Cd、Co、Cr、Fe、In、Mn
、Ni、Pr、Sb、Se、Si、Sn、Ti、V、Zn、およびZrの群から選択され
る、カチオンの形態の2種またはそれ超の異なる元素の組合せを含有する(より望ましく
は、Al、Ca、Co、Cr、Fe、Mn、Pr、Sb、Si、Sn、Ti、Zn、およ
びZrの群から選択される、カチオンの形態の2種またはそれ超の元素の組合せを含有す
る)、項目5に記載のプロセス。
(項目7)
前記連続媒体が、前記分散体の重量に基づいて7重量%未満の水を含む、項目5または
6に記載のプロセス。
(項目8)
前記連続媒体が、前記分散体の重量に基づいて5重量%未満(より望ましくは1重量%
未満)の水を伴う有機溶媒を含む、項目7に記載のプロセス。
(項目9)
Xの15モル%またはそれ超が、-N(H)-もしくは-N=、または-N(H)-お
よび-N=の混合のいずれかでなければならない、項目5から7のいずれかに記載のプロ
セス。
(項目10)
X単位の15モル%未満が、-N(H)-および-N=の混合であり、yが、G基のう
ちの少なくとも15モル%における任意の-(CyH2yO)t-鎖の前記反復単位の少
なくとも85モル%においては2であり、G基のその他の85モル%またはそれ未満が、
6個の炭素原子より長くないR’基を含有する、項目5から7のいずれかに記載のプロセ
ス。
(項目11)
ノズルを通じて噴出されるインクを使用して、セラミック物品またはガラス物品基材上
にデジタル印刷するためのプロセスであって、
a)末端基および以下の構造
-[CH(A)-C(B)(D)]n-[CR2CR2]m-
の中心部分を有する分散化剤を用いて連続媒体中に分散させられた、混合金属酸化物を提
供するステップと、
b)前記分散化剤を使用して前記連続媒体中に分散させられた前記混合金属酸化物を
、前記基材上に噴出して、(任意選択で、セラミック表面上のプレグレーズ層(複数可)
上に)顔料着色デジタル画像を形成するステップであって、前記基材上の前記顔料着色デ
ジタル画像は、前記セラミック基材を焼成または前記ガラス基材を加熱して焼き戻しまた
は焼き鈍しを提供した際に、着色画像になるステップと、
c)任意選択で、前記デジタル画像上にグレーズを適用するステップと、
d)前記セラミック物品を高温で加熱または前記ガラス物品を加熱してそれを焼き鈍
すかまたは焼き戻すステップであって、混合金属酸化物に由来する前記画像は、加熱した
際に、その色に対して最適な色強度を呈するステップ、
式中、-[CH(A)-C(B)(D)]-および-[CR2CR2]-の反復単位は、
ランダム、ブロック状、およびこれらの混合などの任意の順序であってよく、
nは10~1400(より好ましくは10~140)であり、
mは0~140(より好ましくは0~14、最も好ましくは0)であり、
nは、mより少なくとも10倍大きく、
各Rは独立してHまたはC1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6
)ヒドロカルビル基であり、前記ヒドロカルビル基は、任意選択でO、N、F、Cl、お
よび/またはBr原子を含有してもよい、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、ア
リール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
AはHまたはBであり、
Bは独立してEまたはGまたは-C(=O)-であり、ここでBは、Bが窒素原子を含む
X基を含むG基に隣接する場合にのみ-C(=O)-であり得、ここで、前記窒素原子は
、前記カルボニルの炭素と化学結合して環状イミドを形成してよく、
Dは-Hまたは-CH3または-CH2Bであり、ここでDは、Aが-Hである場合に-CH2Bでのみあり得、
Eは、-CO2H、-W-P(=O)-(OH)ε(ここでεは1または2である)、お
よび-W-S(=O)2-OHから選択される酸基であり、ここでWは、各反復単位にお
いて独立して、a1)骨格炭素原子と前記リンまたは硫黄原子との間の直接的連結である
か、b1)エーテル、エステル、もしくはアミド連結基および/またはヒドロキシルペン
ダント基を任意選択で含むように定義される、1~7個の炭素原子のヒドロカルビレン連
結基であるか、あるいはc1)反復単位が最大7個までであり、エーテル、エステル、ま
たはアミド連結基を任意選択で含む、ポリ(C2~4-アルキレンオキシド)であり、こ
こで、前記酸基の一部は塩形態であってもよく、その結果、前記分散剤の最大1重量%(
より望ましくは最大0.3重量%)が前記塩の対イオンに由来し、これらの対イオンは、
リチウム、ナトリウム、およびカリウムを含む金属イオンであっても、アンモニウムおよ
びトリC1~C3-アルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミン)を含むアミ
ンであってもよく、
GはCO-X-(CyH2yO)t-R’であり、
Xは-O-または-N(H)-または-N=であり(Xは、Xが-C(=O)-形態のB
基に隣接しかつ前記B基が窒素とともに環状イミドを形成する場合にのみ-N=であり得
ることに留意されたい)、
yは、各反復単位において独立して2、3、または4であり、
yは、全体的な分散剤の構造内の前記反復-(CyH2yO)-単位のうち30%または
それ未満(望ましくは反復-(CyH2yO)-単位のうち22%またはそれ未満)にお
いて2であってよく、
R’は、C1~C36(望ましくはC1~C18、好ましくはC1~C6)ヒドロカルビ
ル基であり、前記ヒドロカルビル基は、環状、分枝状、または非分枝状のアルキル、アリ
ール、アルキルアリール、またはアリールアルキルであり得、
tは6~67(より好ましくは6~45)であり、
B単位の各種類のモル%は、前記反復単位中の全B単位に基づいて、15%~60%のG
単位、10~85%のE単位、および0%~45%のC(=O)-単位である、プロセス
。
(項目12)
前記混合金属酸化物顔料が、セラミック基材の場合600℃もしくはそれ超で、または
ガラス基材の場合400℃もしくはそれ超で焼成した後に、その色強度および色相を呈す
る、項目11に記載のプロセス。
(項目13)
前記混合金属酸化物が、Al、Mg、Ca、Cd、Co、Cr、Fe、In、Mn、N
i、Pr、Sb、Se、Si、Sn、Ti、V、Zn、およびZrの群から選択される、
カチオン形態の2種またはそれ超の元素の組合せを含有する(より望ましくは、Al、C
a、Co、Cr、Fe、Mn、Pr、Sb、Si、Sn、Ti、Zn、およびZrの、カ
チオン形態の2種またはそれ超の元素の組合せを含有する)、混合金属酸化物の少なくと
も1種のセラミック顔料である、項目11または12に記載のプロセス。
(項目14)
Xの15モル%またはそれ超が、-N(H)-もしくは-N=、または-N(H)-お
よび-N=の混合のいずれかでなければならない、項目11から13のいずれかに記載の
プロセス。
(項目15)
X単位の15モル%未満が、-N(H)-および-N=の混合であり、yが、G基のう
ちの少なくとも15モル%における任意の-(CyH2yO)t-鎖の前記反復単位の少
なくとも85モル%においては2であり、G基のその他の85モル%またはそれ未満が、
6個の炭素原子より長くないR’基を含有する、項目11から13のいずれかに記載のプ
ロセス。