(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】分割先端カテーテル用のフレキシブル回路先端部
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240110BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/00 530
A61M25/00 600
A61M25/00 502
(21)【出願番号】P 2021505188
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 IB2019056381
(87)【国際公開番号】W WO2020026096
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラオ・アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ビークラー・クリストファー・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ペンデカンティ・ラジェシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ・ケシャバ
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075365(JP,A)
【文献】特表2016-534842(JP,A)
【文献】特開2016-093502(JP,A)
【文献】特開2010-088697(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163400(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル回路であって、
第1の平面セグメント及び第2の平面セグメントを備え、前記第2の平面セグメントが、前記第2の平面セグメントを通って配設された複数の灌注ポートを含み、
前記第2の平面セグメントが、
基板を含む第1の層と、
前記第1の層の上に堆積され、少なくとも第1の温度センサ、第2の温度センサ、及び導体素子を含む第2の層と、
前記第2の層の上に堆積され、絶縁体を含む第3の層と、
前記第3の層の上に堆積され、外側表面を形成し、導電性材料で形成された第4の層と、を更に含
み、
前記第2の平面セグメントが、第1のセクタ及び第2のセクタを含み、前記第1のセクタが、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサを有し、前記第2のセクタが、第3の温度センサ及び第4の温度センサを有し、
前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層、及び、前記第4の層を含む前記フレキシブル回路の厚さ全体を通って間隔が形成され、
前記間隔により、前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層、及び、前記第4の層の各々が、複数の部分に分離されており、前記間隔により、前記第1のセクタ及び前記第2のセクタが互いに分離されている、フレキシブル回路。
【請求項2】
前記間隔に配置された絶縁材料を更に備える、請求項
1に記載のフレキシブル回路。
【請求項3】
前記第2の平面セグメントが第3のセクタを更に含み、前記第3のセクタが第5の温度センサ及び第6の温度センサを有する、請求項
1に記載のフレキシブル回路。
【請求項4】
前記導体素子が、焼灼電極に接続されたトレースを含む、請求項3に記載のフレキシブル回路。
【請求項5】
前記第1のセクタ、前記第2のセクタ、及び前記第3のセクタがそれぞれ、それぞれの熱電対に動作可能に連結された第1の接点と、別のそれぞれの熱電対に動作可能に結合された第2の接点と、それぞれの電極に動作可能に結合された第3の接点とを有する、それぞれのはんだパッドを含む、請求項4に記載のフレキシブル回路。
【請求項6】
前記第1の平面セグメントが、第1のセグメント基板及び第1のセグメント絶縁体を含む、請求項5に記載のフレキシブル回路。
【請求項7】
前記第1の平面セグメントが、第1のセグメント温度センサを更に含む、請求項6に記載のフレキシブル回路。
【請求項8】
前記第1の平面セグメントが、第1のセグメント電極を更に含む、請求項7に記載のフレキシブル回路。
【請求項9】
前記絶縁体が、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、又はポリウレタンを含む、請求項1に記載のフレキシブル回路。
【請求項10】
前記第2のセクタと前記第3のセクタとの間の第2の間隔を更に備えている、請求項
3に記載のフレキシブル回路。
【請求項11】
前記第2の間隔内に配置された第2の絶縁材料を更に備える、請求項10に記載のフレキシブル回路。
【請求項12】
前記絶縁材料が高温エポキシを含む、請求項
2に記載のフレキシブル回路。
【請求項13】
前記
第1のセクタが焼灼電極を有
し、前記第2のセクタ
が絶縁材料で覆われ
ている、請求項1に記載のフレキシブル回路。
【請求項14】
前記第3のセクタ
が絶縁材料で覆われ
ている、請求項
3に記載のフレキシブル回路。
【請求項15】
前記絶縁材料がセラミックである、請求項
2に記載のフレキシブル回路。
【請求項16】
カテーテルであって、
内部を通って長手方向に配設された少なくとも2つのルーメン及び遠位端を有する細長いカテーテル本体と、
前記遠位端に接続されたフレキシブル回路先端部であって、
第1のセグメント及び第2のセグメントを含み、前記第2のセグメントが、前記第2のセグメントを通って配設された複数の灌注ポートを含み、前記第2のセグメントが、
基板を含む第1の層と、
前記第1の層の上に堆積され、少なくとも第1の温度センサ、第2の温度センサ、及び導体素子を含む第2の層と、
前記第2の層の上に堆積され、絶縁体を含む第3の層と、
前記第3の層の上に堆積され、外側表面を形成し、導電性材料で形成された第4の層と、を更に含む、フレキシブル回路先端部と、を備え
、
前記第2のセグメントが、第1のセクタ及び第2のセクタを含み、前記第1のセクタが、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサを有し、前記第2のセクタが、第3の温度センサ及び第4の温度センサを有し、
前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層、及び、前記第4の層を含む前記フレキシブル回路先端部の厚さ全体を通って間隔が形成され、
前記間隔により、前記第1の層、前記第2の層、前記第3の層、及び、前記第4の層の各々が、複数の部分に分離されており、前記間隔により、前記第1のセクタ及び前記第2のセクタが互いに分離されている、カテーテル。
【請求項17】
前記カテーテルの前記遠位端に取り付けられたコアを更に備え、前記コアの少なくとも一部分が、前記フレキシブル回路先端部の前記第2のセグメント内に配設されている、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記コアが絶縁材料を含む、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記絶縁材料がポリカーボネートを含む、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記コアが、前記コアの長手方向軸に対して横方向に配向されたルーメンを含む、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記第2のセグメントと前記コアとの間に配設された第2の絶縁材料を更に備えている、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記コアが、前記カテーテル本体の前記少なくとも2つのルーメンのうちの第1のルーメンと連通している、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記少なくとも2つのルーメンのうちの少なくとも第2のルーメン内に配設された複数のワイヤを更に備え、前記複数のワイヤは、前記フレキシブル回路先端部に電気的に接続されている、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記間隔に配置された第2の絶縁材料を更に備える、請求項
16に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記第2のセグメントが第3のセクタを更に含み、前記第3のセクタが第5の温度センサ及び第6の温度センサを有する、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記導体素子が、電極に接続されたトレースを含む、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記第1のセクタ、前記第2のセクタ、及び前記第3のセクタがそれぞれ、それぞれの熱電対に動作可能に連結された第1の接点と、別のそれぞれの熱電対に動作可能に結合された第2の接点と、それぞれの電極に動作可能に結合された第3の接点とを有する、それぞれのはんだパッドを含む、請求項26に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記第1のセグメントが、第1のセグメント基板及び第1のセグメント絶縁体を含む、請求項25に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記第1のセグメントが、第1のセグメント温度センサを更に含む、請求項28に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記第1のセグメントが、第1のセグメント電極を更に含む、請求項29に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記絶縁体が、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、又はポリウレタンを含む、請求項29に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記第2のセクタと前記第3のセクタとの間の第2の
間隔を更に備えている、請求項
25に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記第2の間隔内に配置された第3の絶縁材料を更に備えている、請求項32に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記第
3の絶縁材料が高温エポキシを含む、請求項33に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、35 U.S.C.§119の下で、2018年7月30日に出願した米国特許仮出願第62/711,708号の優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
開示される主題は、電気生理学的カテーテルに関し、特に電気心臓学的焼灼及びマッピング処置における使用のための分割先端カテーテル用のフレキシブル回路先端部に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0004】
不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的に焼灼することによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を阻止又は変更することが時に可能である。焼灼プロセスは、非導電性の損傷部を形成することによって不要な電気経路を破壊するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
焼灼、特に心臓組織の焼灼は、焼灼用エネルギーの正確な送達に依拠するが、血液に焼灼用エネルギーを提供することによって引き起こされる血栓形成などの負の副作用を回避する。これらの目的を対象とした3つのセグメントに分割された先端部を有するカテーテルが開示される。先端部は、例えば、リソグラフィを介して、第1の平面セグメント及び第2の平面セグメントを有するように、平面状フレキシブル回路として作製されてもよい。第2の平面セグメントは、第2の平面セグメントを通って配設された複数の灌注ポートを備えていてもよい。第2の平面セグメントはまた、基板を含む第1の層と、少なくとも第1の温度センサ、第2の温度センサ、及び導体素子を含む第2の層と、絶縁体(例えば、ポリアミド、ポリイミド、又はポリウレタン材料)を含む第3の層とを含んでもよい。更に、第2の平面セグメントは、第1のセクタ及び第2のセクタを含んでもよく、第1のセクタは第1の温度センサ及び第2の温度センサを有し、第2のセクタは、第3の温度センサ及び第4の温度センサを有する。第2の平面セグメントはまた、第3のセクタを含んでもよく、第3のセクタは、第5の温度センサ及び第6の温度センサを有する。これらの実施形態のいずれにおいても、導体素子は、焼灼電極に接続されたトレースを含んでもよい。加えて、第1のセクタ、第2のセクタ、及び第3のセクタはそれぞれ、それぞれの熱電対に動作可能に連結された第1の接点と、別の対応する熱電対に動作可能に連結された第2の接点と、それぞれの電極に動作可能に結合された第3の接点とを有する、それぞれのはんだパッドを含んでもよい。
【0006】
また、これらの実施形態のいずれにおいても、第1の平面セグメントは、第1のセグメント基板及び第1のセグメント絶縁体を含んでもよい。更に、第1の平面セグメントは、第1のセグメント温度センサを含んでもよい。第1の平面セグメントはまた、第1のセグメント電極を含んでもよい。第1のセクタの第2の層と第2のセクタの第2の層との間に第1の空間が設けられてもよく、第2のセクタの第2の層と第3のセクタの第2の層との間に第2の空間が設けられてもよい。第1の絶縁材料は、第1の空間内に配置されてもよく、代替的に又は追加的に第2の空間内に配置されてもよい。第1の絶縁材料は、例えば、生体適合性セラミック又は高温エポキシなどの好適な絶縁材料であってもよい。
【0007】
先端部は、前述の実施形態のいずれかにおいて、カテーテルの遠位端に含まれてもよい。カテーテルはまた、カテーテルを通って長手方向に配設された少なくとも2つのルーメンを有する細長い本体を含んでもよい。カテーテルの遠位端にコアが取り付けられてもよく、コアの少なくとも一部分は、先端部の第2のセグメント内に配設されてもよい。コアは、ポリウレタンなどの絶縁材料を含み得る。更に、コアは、コアの長手方向軸線に対して横方向に配向されたルーメンを含んでもよい。第2の絶縁材料は、第2のセグメントとコアとの間に配設されてもよい。コアは、流体がルーメンのうちの1つを通って又はコアを通って流れることができるように、カテーテル本体の少なくとも2つのルーメンのうちの第1のルーメンと連通していてもよい。少なくとも2つのルーメンのうちの少なくとも第2のルーメンの中に複数のワイヤが配設されてもよく、この複数のワイヤは、フレキシブル回路先端部に電気的に接続されてもよい。
【0008】
カテーテルは、最初に、作製されるような平面構成でカテーテル本体及び先端部を受容することによって組み立てることができる。先端部は、先端部をそのように曲げ、次いでカテーテル本体の遠位端に接続することによって、非平面構成(例えば、円筒形構成)に変更された平面構成を有してもよい。コアを含む実施形態では、コアは受容され、次いでカテーテル本体の遠位端に取り付けられてもよい。次いで、コアは、円筒形構成の先端部内に配置され、次いで先端部に取り付けられてもよい。
【0009】
カテーテルは、以下の方法及び変形例によって使用することができる。第1に、カテーテルは、被験者、例えば、ヒト被験者に挿入されてもよく、被験者の心臓に近接して挿入されてもよい。先端部は、組織と接触するように操作されてもよい。カテーテルは、先端部と通信するプロセッサも含む焼灼システムの態様であってもよい。第1のセクタは、ECG信号をモニタし、信号をプロセッサに提供してもよい。第2のセクタは、ECG信号をモニタし、信号をプロセッサに提供してもよい。第3のセクタは、ECG信号をモニタし、信号をプロセッサに提供してもよい。3つのセクタのそれぞれはまた、温度を測定し、プロセッサに温度データを提供してもよい。焼灼エネルギーは、例えば、プロセッサによって制御されるように、先端部に設けられてもよい。
【0010】
本方法のいくつかの変形例では、プロセッサは、第1の先端セクタが組織と接触することを判定する。更に、プロセッサは、第2の先端セクタが組織に接触することを判定してもよい。更に、プロセッサは、第3の先端セクタが組織に接触することを判定してもよい。
【0011】
プロセッサは、プロセッサにおいて第2の先端セクタからECG信号を受信しながら、第1の先端セクタへの焼灼エネルギーを制御することができる。このようなことは、プロセッサがプロセッサにおいて第3の先端セクタからECG信号を受信しながら実行されてもよい。プロセッサは、第3の先端セクタからECG信号を受信しながら、第2の先端セクタへの焼灼エネルギーを制御することができる。このようなことはまた、プロセッサが第1の先端セクタからECG信号を受信しながら実行されてもよい。プロセッサは、プロセッサにおいて第1の先端セクタからECG信号を受信しながら、第3の先端セクタへの焼灼エネルギーを制御してもよい。このようなことはまた、プロセッサが第2の先端セクタからECG信号を受信しながら実行されてもよい。追加的に又は代替的に、プロセッサは、第1の先端セクタ、第2の先端セクタ、及び第3の先端セクタのうちの少なくとも2つへの焼灼エネルギーを同時に制御してもよい。
【0012】
これらの変形例のいずれにおいても、第1の先端セクタと接触している組織の一部分を焼灼することができる。次いで、先端部を移動させることなく、第2の先端セクタと接触する組織を焼灼することができる。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「絶縁体」、「絶縁材」、「絶縁材料」などは、各々、当業者に一般的に受け入れられる、熱の伝達及び電気信号の搬送に抵抗するための特性を有する少なくとも1つの原料を含む材料及び構造を含意する。このような材料としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、セラミック、液晶ポリマー、及び高温エポキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書は、本明細書において説明される主題を具体的に指摘し、かつ明確にその権利を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本主題は、以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
【
図1】生存被験者の心臓内の電気活動を評価し、カテーテルを使用してそこに治療を施すためのシステムの絵図である。
【
図3】フレキシブル回路先端部内に形成され、カテーテルの遠位端に接続された
図2のフレキシブル回路を示す。
【
図4】
図3を表したものであり、フレキシブル回路先端部が隠されている。
【
図5】フレキシブル回路先端部を含むカテーテルの代替的な実施形態を示す。
【
図7】変更された構成における、
図6のフレキシブル回路構成要素を示す。
【
図10】部分的に組み立てられた構成における、
図3のカテーテルの遠位部分を示す。
【
図11】更なる部分的に組み立てられた構成における、
図3のカテーテルの遠位部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一に付番されている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明は、本発明の原理を限定するものではなく一例として例示するものである。この説明により、当業者が本発明を作製及び使用することが明確に可能になり、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用、変形、代替、及び使用が説明される。
【0016】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、挙げられた値の±10%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用するとき、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を表す。
【0017】
図1は、電気活動を評価し、生存被験者の心臓12に対して焼灼処置を実行するためのシステム10の絵図である。システムは、遠位端15と、遠位端15に配設された先端部、例えば、先端部18と、を有するカテーテル本体14を有する診断用/治療用カテーテルを含み、カテーテル本体14は、操作者16によって、患者の脈管系を通って心臓12の心室又は血管構造に経皮的に挿入され得る。典型的には、医師である操作者16が、カテーテルの先端部18を、例えば、焼灼の標的部位において、心臓壁と接触させる。電気的活動マップは、米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に従って作製されてもよく、この米国特許の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.33 Technology Drive,Irvine,CA,92618から入手可能なCARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0018】
例えば、電気的活動マップの評価によって異常と判定された領域は、熱エネルギーの印加によって、例えば、標的組織に高周波エネルギーを印加する、先端部18での1つ又は2つ以上の電極に、高周波電流をカテーテル内のワイヤを通じて流すことによって、焼灼され得る。エネルギーは、組織が永久にその電気興奮性を失う点(典型的には、50℃超)まで組織を加熱すると、組織に吸収される。この処置により心臓組織内に非伝導性の損傷部が生じ、その損傷部は、不整脈を引き起こす異常な電気的経路を遮断する。かかる原理は、異なる心腔に適用されて、多数の異なるタイプの心不整脈を診断及び治療することができる。
【0019】
カテーテルは、典型的には、ハンドル20を含み、ハンドル上に好適な制御部を有して、操作者16が焼灼を行うためにカテーテルの遠位端15の操舵、位置決め、及び配向させることを所望のとおりに行うことを可能にする。
【0020】
焼灼エネルギー及び電気信号を、先端部18に若しくは先端部18付近に位置する、又は先端部18を含む1つ以上の電極32を通って、コンソール24に至るケーブル38を介し、心臓12へかつ心臓12から伝達することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24からケーブル38及び電極32を通じて心臓12に伝達することができる。
【0021】
ワイヤ接続部35は、コンソール24を、身体表面電極30、並びにカテーテルの位置及び配向の座標を測定するための位置決めサブシステムの他の構成要素と連結する。プロセッサ22又は別のプロセッサは、位置決めサブシステムの要素であってもよい。電極32及び身体表面電極30は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Govariらに付与された米国特許第7,536,218号において教示されるように、焼灼部位での組織インピーダンスを測定するために使用され得る。後述するように、少なくとも1つ温度センサ、典型的には、熱電対又はサーミスタが、電極32の各々の上に、又は電極32の各々の付近に含まれ得る。
【0022】
コンソール24は、典型的には、1つ又は2つ以上の焼灼発電機25を収容する。カテーテルは、任意の既知の焼灼技法、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、冷熱エネルギー、及びレーザにより生成された光エネルギーを使用して、心臓に焼灼エネルギーを伝導するように適合され得る。かかる方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示される。
【0023】
位置決めサブシステムはまた、カテーテル内に、典型的には先端に近接して配設されたコイル又はトレースを使用して、既定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルでのこれらの磁場を検知することによって、カテーテルの位置及び配向を判定する、磁気位置追跡配置を含んでもよい。位置決めサブシステムは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,756,576号、及び上記の同第7,536,218号に記載される。
【0024】
操作者16は、コンソール24を介してカテーテルの機能を観察し、調節することができる。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは適当な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように結合されている。信号処理回路は、典型的には、例えば、カテーテルの遠位に位置する電気センサ、温度センサ、並びに複数の位置検知コイル又はトレースなどの、例えば、電極32などの、センサによって生成された信号を含む、カテーテルからの信号を受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信及び使用されて、カテーテルの位置及び向きを計算し、カテーテルから受信した電気信号を解析する。
【0025】
本明細書に開示される主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、Websterに対する米国特許第6,171,275号に開示されているような、当該技術分野において既知のカテーテルの先端部の作製及び機能性の改善に関する。改善されたカテーテル先端部は、
図2に反映される平面状フレキシブル回路100としてリソグラフィプロセスによって作製され得る。フレキシブル回路100は、その名前が示唆するとおり、可撓性を有する。したがって、様々な非平面構成に屈曲させることができる。例えば、フレキシブル回路100が、
図3に反映される円筒状のフレキシブル回路のフレキシブル回路先端部200に変更され得るように、平面状から円筒状に構成が変更され得る。したがって、フレキシブル回路100の平面構成及びフレキシブル回路先端部200の非平面構成はさておき、フレキシブル回路100に関して本明細書に記載される特徴はまた、フレキシブル回路先端部200内に存在し、同様に、フレキシブル回路先端部200に関して本明細書に記載される特徴はまた、これらの構成のうちの1つに関して、特定の開示がなされていない場合であっても、フレキシブル回路100内に存在することを理解されたい。更に、
図2で視認可能なフレキシブル回路100の表面は、フレキシブル回路先端部200の内面となり、したがって、
図2で視認可能な電子部品は、
図3では見えない。
【0026】
フレキシブル回路100は、その中に形成されるフレキシブル回路先端部の所望の構造に応じて、様々なセグメントを含み得る。
図2で分かるように、フレキシブル回路100は、2つのセグメント、すなわち、第1のセグメント102及び第2のセグメント104を有する。第1のセグメント102は円形形状を有していてもよく、第2のセグメント104は矩形形状を有していてもよい。そのように構成されたフレキシブル回路100は、第1のセグメント102がフレキシブル回路先端部200の最遠位部分(円筒の基部)202になり得、セグメント104がフレキシブル回路先端部200の側面(円筒の壁)204になる、
図3に反映されるフレキシブル回路先端部200に形成され得る。
【0027】
第1のセグメント102は、歯又は花弁部106を含む歯車又は花柄を有するように設けられてもよい。歯106間の空間108は、基部202と壁204との間の遷移領域203を収容することができる。孔は、孔208が遷移領域203内に配置されるように、第1のセグメント102を通って更に設けられてもよい。孔208は、カテーテル、例えば、電極32の様々な電子構成要素を収容することができる。追加の電子構成要素は、以下に記載される温度センサ(例えば、熱電対)などの第1のセグメント102に組み込まれてもよい。
【0028】
第2のセグメント104は、第1のセクタ110、第2のセクタ112、及び第3のセクタ114などの、少なくとも2つ、例えば3つの区分又はセクタを含んでもよい。これらのセクタ間の境界を画定する第2のセグメント104上に点線が設けられている。また、フレキシブル回路先端部200内のセクタ110、112、及び114と整列する部分を画定する第1のセグメント102上にも点線が設けられている。
【0029】
第1のセクタ110は、2つの温度センサ(例えば、熱電対)116及び118、並びに導体素子120を含んでもよい。第2のセクタ112は、2つの温度センサ122及び124、並びに導体素子126を含んでもよい。第3のセクタ112は、2つの温度センサ128及び130、並びに導体素子132を含んでもよい。導体素子120、126、及び132はそれぞれ、少なくともトレースを含んでもよい。代替的に又は追加的に、導体素子120、126、及び132は、例えば、第1、第2、及び第3のセクタ110、112、及び114、の導電部分、特に先端部200の外側表面となる第2のセグメント104の外側層であってもよい電極を更に含んでもよく、又はそれに接続されてもよい。このような実施形態では、導体素子120、126、及び132と外側層との間にビアが提供されるべきである。代替的に又は追加的に、導体素子120、126、及び132は、電極(例えば、電極32)に接続されてもよい。電極(先端部200又は電極32の外側表面のいずれか)は、発電機25から信号を受信するか、又はプロセッサ22に提供し得る組織から電気信号を検出するかに応じて、例えば焼灼電極、マッピング電極、又はこれらの組み合わせとして機能し得る。
【0030】
フレキシブル回路100は、例えば、リソグラフィプロセスを介して形成される様々な層を更に備えてもよい。少なくとも1つの層は、導電性材料、例えば、金、白金、若しくはパラジウム、又はこれらの組み合わせであってもよい。例えば、フレキシブル回路先端部200上に
図3に見られる外側表面を形成する層は、導電性材料で形成されてもよい。加えて、
図2の電子部品の少なくとも一部を含む別の層(例えば、温度センサ116及び118)もまた、導電性材料で形成されてもよい。別の層は、基板、例えば、導電性材料が堆積され得る非導電性又は絶縁材料の薄膜を含んでもよい。追加の層はまた、絶縁体を含んでもよい。基板層と絶縁層とは同様であり、単一層として設けられてもよいが、以下に記載されるように、先端部200の一部分から先端部200の他の部分への絶縁熱及び電子信号の唯一の目的を有する層を提供することによって達成され得る。
【0031】
ポート134は、フレキシブル回路100を通って設けられ得る。これらのポートは、先端部200から灌注を提供するために使用されてもよい。はんだパッド136、138及び140はまた、第1のセクタ110上にはんだパッド136、第2のセクタ112上にはんだパッド138、かつ第3のセクタ114上にはんだパッド140を有して、第2のセグメント104上に設けられ、各々は、対応するセクタ上に配設された電子部品と導電連通している(動作可能に連結された)様々な接点142、144及び146を有する。すなわち、例えば、はんだパッド136は、熱電対116及び118、及び導体素子120に動作可能に結合された様々な接点を含む。このようにして、第2のセグメント104の3つのセクタのうちの1つの電子構成部品は、(例えば、組織からの焼灼を提供するか、又は組織からの電子信号を検出するために)制御され、第2のセグメント104の他の2つのセクタ上の電子構成部品とは別個に監視されてもよい(例えば、セグメント104の各区画上に配設された別個の温度センサに対して別個の温度を検出する)。更に、3つのセクタの各々が、先端部200上の合計6つの温度センサに対して、2つの別個の温度センサを含むため、先端部200について温度を正確に監視することができる。
【0032】
更なる実施形態では、第1のセクタ110と第2のセクタ112との間、並びに第2のセクタ112と第3のセクタ114との間に間隔が設けられてもよい。間隔は、それぞれの層を通って、すなわち、フレキシブル回路100の厚さ全体を通って設けられてもよい。しかしながら、この間隔は、導電性材料を含む層のみを通って提供されてもよく、非導電性材料を含む基板及び絶縁層に設けられる必要はない。この間隔は、例えば、
図2の点線150及び152によって特定される輪郭に沿って設けられてもよい。間隔は、様々なセクタ110、112、及び114を互いに分離し、例えば、1つのセクタから他方への熱の分布を防止するのを助ける。したがって、絶縁材料は、間隔内に配設されてもよい。
【0033】
フレキシブル回路100は、フレキシブル回路先端部200内に形成され、カテーテル本体14の遠位端15に接続されてもよい。カテーテル本体は、内部を通って少なくとも2つのルーメンが長手方向に配設され得る。例えば、2つのルーメンのうちの一方を使用して、カテーテル本体を通って先端部200内へ灌注流体を導くことができる。2つのルーメンのうちの他方のルーメンは、先端部200の電子構成要素へのかつ電子構成要素からの信号、例えば、電気信号を伝達するためのリード線を含んでもよい。当該技術分野において既知であるように、例えば、牽引ワイヤを含むことによって操縦機能性を可能にするように、又はガイドワイヤのためなどの、追加のルーメンが設けられてもよい。
【0034】
先端部200が隠れている
図3の表現である
図4を参照すると、コア250(
図4)は、カテーテル本体14の遠位端15に取り付けられてもよい。コア250は、先端部200内に配置され、コア250を介して又はコア250の補助を用いて先端部200が遠位端200に接続されてもよい。コア250は、コア250がカテーテル本体14に接続されているときにポート252がカテーテル本体14の灌注ルーメンと流体連通するように、内部を通って様々なポート252を含み得る。コア250は、以下の利点を提供することができる。第1に、コア250は、灌注穴からの灌注流を偏らせる可能性がある灌注流体が先端部200の内部に長手方向に侵入することを防止することができる。コア250は、その代わりに、流れを互いに対称的かつコアに対して横断する様々な流れに転換することによって、流れ分布を等しくする。第2に、コア250は、壁204の3つのセクタ210、212、及び214(フレキシブル回路100の第2のセグメント104の3つのセクタ110、112、及び114に対応する)間の熱分布を防止するのを更に助けることができる、例えばポリカーボネートなどの絶縁材料を含み得る。この点に関して、コア250と先端部200との間の空間内に、例えば、高温エポキシ、ポリウレタン、ポリアミド、又はポリイミドなどの更なる絶縁材料が配置されてもよい。第3に、コア250の一部分は、フレキシブル回路100がフレキシブル回路先端部200内に形成され得るマンドレルとして機能し得る。
【0035】
この第3の利点は、フレキシブル回路先端部300が透明である代替の実施形態を示す
図5で認識され得る(セクタ310、312、及び314を互いに区別するために基準線が提供されることを除く)。コア350は、その中に示されているが、透明であるが、その中に示される様々な灌注ポートが示されている。したがって、コア350は、フレキシブル回路先端部300によって画定される内部空間全体の全体又は大部分を占める。したがって、この実施形態では、フレキシブル回路100は、コア350の外部形状に成形又は適合されてもよい。更に、カテーテル本体14への組み立てを容易にし得る、それに結合されてもよい。また、温度センサ316、318、322、324、328、及び330への連結を可能にするために、コア350内に様々なチューブ、例えば、360、362、及び364が提供されてもよい。また、他の電子部品、例えば電極332への結合を可能にするために、コア内に追加のチューブ、例えば、366が提供されてもよい。様々な実施形態において、コア250及び350は、上記の流れの迂回機能を提供しない場合があるように、そこを通る任意のルーメンを含む必要はない。
【0036】
フレキシブル回路100をフレキシブル回路先端部200(又は300)に形成すると、第1のセクタ210(又は310)と第3のセクタ214(又は314)との間に空間が形成され得る。この空間は、第1のセクタ110と第2のセクタ112との間、及び第2のセクタ112と第3の部分114との間の空間について上で説明したように、絶縁材料で満たされ得る。
【0037】
したがって、先端部200(又は300)を備えたカテーテル本体14は、カテーテル先端部の設計において様々な改善を提供する。特に、各セクタ210、212、及び214-及びその中の電子部品は、他の2つのセクタから絶縁され、かつそれから機能的に独立している。このように、システム10は、システム10又は操作者16が焼灼療法を提供及び修正するために使用することができる情報を測定及び生成することを支援する。好ましい実施形態では、先端部は、それぞれ異なる電極を有する3つ以上の固有のセクタに分割される。更に、セクタ上の1つの電極を、他のセクタの各々の電極とは別個に活性化又は非活性化することができ、他のセクタの各々の電極は、異なる機能性、例えば、焼灼又はECG検知を提供するように活性化することができる。更に、3つのセクタの各々に提供される、典型的には、発電機のRF範囲内の電気信号は、他のセクタの電極のうちの一方又は両方に提供される電気信号と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。すなわち、各先端セクタに送達される電力(例えば、ワット単位で示される電力量)は、セクタ毎に同じであってもよく、又は異なっていてもよい。例えば、第1の先端セクタに送達される電力量(ワット単位の「第1の電力量」)は、第2の先端セクタに送達される電力量(「第2の電力量」)とは異なる(すなわち、より高く又はより低くなる)ように制御することができる。同様に、第3の先端セクタをオフにすることができ、あるいは第1の電力量又は第2の電力量とは異なる第3の電力量(「第3の電力量」)を第3の先端セクタに提供してもよい。あるいは、各セクタに送達されるエネルギー(ジュール単位)は、セクタ毎に同じであってもよく、又は異なっていてもよい。更に別の例では、1つのセクタに提供されるRF信号の周波数は、1つのセクタ又は他の両方のセクタに提供される信号の周波数に対して変動してもよい。RF信号は、例えば、好適なフィードバック制御に基づいて、10kHZ~1MHzのRF周波数帯域内の任意の周波数に変化させることができる。先端セクタへのエネルギー又は電力を制御するためのこのような手法は、先端部200又は焼灼されている組織の温度を制御するのを支援し、焼灼の精度の改善を更に支援することができる。
【0038】
先端セクタと接触する生体組織の構成(例えば、含水量、厚さ、又は他の組織特性)は、抵抗率に影響を及ぼす場合があり、それ故に、その先端セクタによって組織に送達されているRF電力に影響を及ぼす場合があることに留意されたい。したがって、そのような組織に送達されるエネルギー又は電力に起因する先端セクタにおける温度上昇量は、対応して異なる組織特性を有する様々な場所における同じ組織(又は更には異なる組織)と接触する他の先端セクタとは異なり得る。したがって、本明細書における実施形態の1つの利点は、システムが、様々な電力レベルを様々な先端セクタに送達して、1つの先端セクタについて測定された温度が先端セクタの全てに対して概ね同じであることを確実にする機能である。
【0039】
先端部200(又は300)は、組織が、第1のセクタの少なくとも一部分、又は第1のセクタの少なくとも一部分及び第2のセクタの少なくとも一部分、又は3つのセクタの各々の少なくとも一部分に接触するように、組織と接触させることができる。ECG信号は、ユーザ又はシステムが、どのセクタが組織に接触しているかを判定して、焼灼をするためにどの電極を活性化させるかを判定することができるように、3つのセクタの様々な電極によって別個に評価されてもよい。更に、ECGのセクタ特異信号を使用して、治療を調整してもよい。例えば、焼灼電極として動作するセクタ210が、セクタ210(又は少なくともその一部分)が接触する組織にエネルギーを提供する一方、セクタ210上の温度センサは、プロセッサ22に温度データを測定及び提供する。同時に、電磁センサとして動作し、組織と接触していないか、組織と部分的に接触しているか、又は組織と完全に接触しているセクタ212及び214が、プロセッサ22にECGデータを提供することができるか、又は非活性化され得る一方で、先端部200上の温度センサの一部又は全部は、プロセッサ22に温度データを提供することができる。あるいは、セクタ212又は214のうちの一方は、他方がECGデータを提供している間に非活性化されてもよい。すなわち、1つ又は2つのセクタの電極が焼灼電極として機能する一方、他の電極は、追加のエリアが焼灼されるべきかどうかを判定するための入力を提供することができ、焼灼されるべきであれば、(例えば、電力変更、活性化の持続時間、連続活性化又はパルス活性化などによる)治療が提供されるべき方法、又は治療が調整されるべき方法を提供することができる。更に、組織と接触するこれらのセクタだけに焼灼エネルギーを提供することによって、焼灼エネルギーを、組織に直接、正確に提供することができ、血液に印加されるエネルギーを最小限に抑えることができ、血栓形成の可能性を最小限に抑えることができる。加えて、エネルギーを直接受容する解剖学的構造(例えば、心外膜又は腎)の領域が小さい程、異常組織がより早くかつより正確に焼灼される確率が高くなることとなる。更に、組織と接触している(複数の)組織接触セクタが焼灼されている一方で、(複数の)非組織接触セクタからのECGデータを使用して、閉塞(例えば、血栓)の早期徴候を確認することができ、治療段階を迅速に行うことができる。
【0040】
加えて、特定の例では、例えば、3つのセクタの少なくとも一部が組織と接触していると判定された場合、プロセッサ22は、焼灼エネルギーが、3つ全てのセクタを介して同時に、又は連続して組織に提供され得るように、自動的に又はユーザ入力に基づいて、焼灼エネルギーの印加を制御することができる。焼灼エネルギーが2つ以上の電極に連続して印加される場合、焼灼電極は、1個ずつ又は2個ずつ活性化されてもよい。2つの例示的な連続した活性化は、1)セクタ210が活性化され、次いで非活性化されてもよく、次いでセクタ212が活性化され、次いで非活性化されてもよく、セクタ214が活性化され、次いで非活性化されてもよいことと、2)セクタ210及びセクタ212が活性化されてもよく、次いでセクタ210が非活性化されてもよく、セクタ214が活性化されてもよく、次いでセクタ212が非活性化され、セクタ210が活性化されてもよいことと、を含む。ECG信号又は電極によって提供される他の信号によって示されるように、所望の焼灼が達成されるまで、異なる組み合わせの追加の連続的な活性化が行われ、また繰り返されてもよい。連続的な活性化の1つの利点は、カテーテルを移動させることなく、組織の様々な部分を焼灼及びモニタすることができることである。更に、連続した活性化は、全てのセクタの同時活性と組み合わされてもよい。更に、順番に行われるか同時に行われるかに関わらず、活性化は繰り返し実行されてもよい。
【0041】
一部の心外膜用途では、特定の設計上の考慮事項により、1つのセクタによって生成された熱を別のセクタの熱電対によって検出されることを更に最小限に抑えることと、1つのセクタの電極によって検出されたECG信号がまた別のセクタのセンサによって検出される可能性を更に最小限に抑えることと、を更に提案することができる。したがって、3つのセクタのうちの1つ又は2つは、より大きい絶縁性能を有するが、温度測定、焼灼、及び検知などの他の機能、並びに熱電対及び電極などの関連する構成要素を有さずに作製されてもよい。したがって、セクタのうちの1つ又は2つ、例えば、セクタ212、セクタ214、又はその両方は、これらのセクタが、例えば、焼灼の機能を含む実施形態より多量の絶縁材料を内部に組み込んでもよい。したがって、例えば、セラミック材料は、セクタ112及び114を覆ってフレキシブル回路100の上に堆積されてもよく、これにより、焼灼された組織からの熱がこれらのセクタを介してカテーテルの先端部に影響を及ぼすのを防ぐ一助となる。
【0042】
上述したように、ユーザ又はシステムが、先端部が組織と接触していることを判定することができるように、先端部に配設された電極によってECG信号を別個に評価することができ、様々な先端セクタに電極を有するこれらの実施形態では、焼灼療法を提供するためにどの電極を活性化するべきかを判定することができる。組織との接触は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2017年3月8日に出願された米国特許出願第15/452,843号に記載されているように、力接触センサを使用して判定されてもよい。分岐した先端部を有するカテーテルにおける使用に特に適した接触力センサが記載されており、2018年7月16日に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許出願第16/036710号にも記載されている。
【0043】
図6は、カテーテル14等のカテーテル内で使用されて、コンソール24内のプロセッサに位置及び力に関する信号を提供し得る、フレキシブル回路410を示している。フレキシブル回路410は、第1の形状(例えば、図示のように円形又は三つ葉形)の第1の部分414と、第2の形状(例えば、図示のように実質的に矩形又は多角形)の第2の部分416と、を有する、実質的に平面の基板412を含む。以下に説明するように、第1の部分414は、カテーテルの長手方向軸に平行に組み立てられ、そのため細長くあるべきであるのに対し、第2の部分416は、カテーテルの長手方向軸に対して横方向に組み立てられ、そのためカテーテルの内径に一致する(すなわち、カテーテルの内径未満又はほぼ同等である最大幅又は直径を有する)べきであるため、第1の部分414と第2の部分416とは典型的に形状が異なる。それにもかかわらず、第1の部分414及び第2の部分416の形状は、類似していてもよい。基板412は、非導電性であり、高温に抵抗することができる任意の好適な材料、例えば、ポリイミド又はポリアミドから形成されてもよい。
【0044】
基板412はまた、第3の部分430及び第4の部分442などの追加の部分を含んでもよい。これらの部分の各々は、様々なセグメントを更に含んでもよい。上述のように、第1の部分414は、三つ葉形状であってもよい。したがって、3つのセグメント、すなわちセグメント460、462、及び464を有してもよい。第2の部分416は、セグメント422及びセグメント424、並びにセグメント422をセグメント424に接続する426又は450等の少なくとも1つのコネクタセグメントを含んでもよい。第3の部分430は、第2の部分416と類似の構造を有してもよく、セグメント432及びセグメント434、並びにセグメント432をセグメント434に接続する436又は452等の少なくとも1つのコネクタセグメントを含んでもよい。第4の部分442は、第4の部分442を第1、第2、及び第3の部分414、416、及び430に接続する少なくとも3つのコネクタセグメント444、446、及び448を含んでもよい。
【0045】
電気構成要素は、基板412と、その様々な部分及びセグメントと、に組み込まれてもよい。例えば、力に関する信号を測定するために使用される実質的に平面のコイル又はトレース(すなわち、力感知コイル又はトレース)は、第1の部分414に組み込まれてもよい。具体的には、コイル418は、セグメント460と共に組み込まれてもよく、コイル470は、セグメント462と共に組み込まれてもよく、コイル472は、セグメント464と共に組み込まれてもよい。コイル418、470、及び472は、図示のように互いに分離していてもよく、又はそれらがそれぞれ、残りの一方又は両方に接続されてもよい。それぞれのコイルの部分又はその延長部は、コイルから、第4の部分442上に位置し、そこにはんだ付けされるはんだ接合部468まで延在してもよい。3つのコイルが互いに分離している場合、それぞれは、それぞれの延長部(すなわち、466、474、及び476)を含むべきである。しかしながら、3つのコイルが接続される場合、1つ又は2つの延長部のみが必要であり得る。コイルが互いに分離している場合、コイルのそれぞれにおいて生成される信号は、中心から外れた力又は力の軸外の方向の指示等、力の更なる詳細を提供するために使用され得る。更に、セグメント460、462、及び464がそれぞれセクタ210、212、及び214と位置合わせされ得るように、カテーテル14を組み立てることができる。したがって、コイル418、470、及び472で生成された信号は、プロセッサ22によって使用されて、セクタのそれぞれに対する異なる力の決定を提供することができる。図示のように、第1の部分414上の各コイルは、約5回の巻数を含む。しかしながら、信号強度は、巻数と相関しているため、巻数は、各セグメントのサイズ及びリソグラフィプロセスが達成できるピッチに基づいて最大化されてもよい。
【0046】
位置(すなわち、位置コイル又はトレース)に関する信号を測定するために使用される平面コイル又はトレースはまた、第2の部分416及び第3の部分430に組み込まれてもよい。コイル420は、セグメント422と共に組み込まれてもよく、コイル428は、セグメント424と共に組み込まれてもよく、コイル438は、セグメント432と共に組み込まれてもよく、コイル440は、セグメント434と共に組み込まれてもよい。これらのコイルのそれぞれは、第4の部分442上のはんだ接合部468まで延在してもよい。例えば、コイル420は、コネクタセグメント446を介してはんだ接合部468に接続する延長部454を含んでもよく、コイル428は、コネクタセグメント426、セグメント422、及びコネクタセグメント446を介してはんだ接合部468に接続する延長部456を含んでもよい。図示のように、第1及び第2の部分416及び430上のそれぞれのコイルは、約5回の巻数を含む。しかしながら、信号強度は、巻数と相関しているため、巻数は、セグメント422、424、432、及び434のサイズ、並びにリソグラフィプロセスが達成できるピッチに基づいて最大化されてもよい。
【0047】
図6に様々な対称性が示されている。例えば、基板全体は、第2の部分416が第1の部分414及び第4の部分442の一方の側に横方向に配設されるように、かつ第3の部分430が第1の部分414及び第4の部分442の他方の側に横方向に配設されるように、第1の部分414の中心を通る中央線に関して対称である。したがって、第4の部分442は、第1の部分414、第2の部分416、及び第3の部分430の間に配設される。更に、セグメント422及び424は互いに鏡映し、延長部456を除いて、コイル420はコイル428を鏡映している。セグメント432及び434、並びにコイル438及び440についても同様である。したがって、図示のように、コイル420及び432の巻きは時計回り(すなわち、時計回りの配向を有する)であってもよく、コイル428及び434の巻きは反時計回り(すなわち、反時計回りの配向を有する)であってもよい。あるいは、コイル420及び432の巻きは反時計回りであってもよく、コイル428及び434の巻きは時計回りであってもよい。
【0048】
基板412は、単一層であってもよい。あるいは、基板は、2層~10層、例えば4層を含んでもよい。各層は、上記の様々な部分、セグメント及びコイルの形状を含め、他の層と同一である。このようにして、コイルは、層を追加することによって厚くなってよい。しかしながら、層によって厚くすることで、信号収率の非線形性の増加がもたらされる。フレキシブル回路410の可撓性は、このトレードオフへの解決を可能にする。具体的には、
図7を参照すると、コネクタ426及びコネクタ450を変形又は屈曲させることによって、コイル428がコイル420とそろうように、セグメント424をセグメント422の上に折り畳んで接触させ、重ね合わせてもよい。同様に、コネクタ436及びコネクタ452を変形又は屈曲させることによって、コイル440がコイル438とそろうように、セグメント434をセグメント432の上に折り畳んで接触させ、重ね合わせてもよい。コネクタ450及び452は任意であるが、これらは、セグメント間の相対回転を低減することによって、コイルが互いにそろうように補助し得る。基板412が4層である場合、例えば、セグメント424がセグメント422の上に折り畳まれた後、コイル420及び428は、8層を有する複合コイルを形成する。複合コイルの収率は、8層の基板内に製造された8層コイルのように、非線形性の増加に悩まされない。
【0049】
より薄い基板(例えば、4層)がより厚い基板(例えば、8層)に勝る利点は、変形又は屈曲しやすいという点であり、後述するように、フレキシブル回路410を他のカテーテル構成要素に組み付けるのに役立ち、最終的にはカテーテルの内径エンベロープ内に適合させるのに役立つ。したがって、フレキシブル回路410は、信号の非線形性を増加させず、基板の剛性も増加させずに、厚いコイルを可能にする。
【0050】
図8は、基板482及びコイル(又は複数のコイル)484を含むカテーテル14の別の構成要素、フレキシブル回路480を示している。フレキシブル回路480の構造は、フレキシブル回路410の第1の部分414の構造と類似している。しかしながら、様々な実施形態では、コイルの数又はピッチは変化してもよく、3つのセグメント上の様々なコイルは、互いから分離していてもよく、又は互いに一体化していてもよい。
【0051】
図9は、上面492と、底面494と、バネ490をカテーテル14の他の構成要素に組み付けるために使用され得る様々なアーム496と、を含む、カテーテル14の別の構成要素、つる巻きバネ490を示している。バネ490は、フックの法則に従って距離を力と関係付ける、既知の又は所定のバネ定数を有する。フレキシブル回路480、フレキシブル回路410の第1の部分414、及びつる巻きバネ490は共に、コンソール24から電気信号を受信し、コンソール24に電気信号を提供し得るサブアセンブリを構成し、これらの電気信号は、カテーテル14の先端部18(又は、場合によっては、先端部200又は先端部300)に加えられる力、例えばサブグラム力を判定するために処理され得る。具体的には、一方の端部でコンソール24に接続する第1のケーブル又は複数のケーブル(
図10及び
図11のケーブル束498内)は、コイル延長部466、474、及び476を介してそれぞれ第1の部分414のセグメント460、462、及び464上のコイル418、470、及び472に接続されるフレキシブル回路410の第4の部分442のはんだ接合部468に、反対側の端部で接続されてもよい。一方の端部でコンソール24に接続する第2のケーブル又は複数のケーブル(同様にケーブル束498内)はまた、フレキシブル回路480上のコイル又は複数のコイル484に、反対側の端部で接続されてもよい。コンソール24からの電気信号、例えばRF周波数を有する電気信号を使用して、フレキシブル回路410の第1の部分上のコイル又はフレキシブル回路480上のコイルのいずれかに給電することができる。いずれのコイルのセットがコンソール24から電力を受容するとしても、そのコイルのセットは、コンソール24から受信した信号の周波数によって変化する電磁場を発するため、送信機とみなされ得る。コンソール24によって給電されないコイルのセットは、送信機からの電磁場に応答してアンテナのように機能する限り、受信機とみなされ得る。したがって、受信機は、分析のためにコンソール24に伝達され得る電気信号を生成する。受信機によって生成される電気信号は、受信機と送信機との間の距離に依存し、そのため、受信機によって生成される電気信号は、受信機と送信機との間の距離に相関し得る。
【0052】
受信機(ここでは、フレキシブル回路410の第1の部分414上のコイル)をバネ490の上面492に、及び送信機(ここでは、フレキシブル回路480上のコイル)をバネ480の底面に接着させ、それらを上述したように配線することにより、受信機で生成された電気信号は、バネ内の圧縮変位(例えば、100ナノメートルほどの)に、延いてはバネ480を圧縮させるカテーテル14の先端部200又は300に対する力に相関し得る。使用中、プロセッサ22を有するコンソール24は、これらの信号を処理し、それらを使用して、先端部と組織との間で接触がなされたことを確認し、電極に供給される焼灼エネルギーの量を調節することができる。例えば、信号が、バネが弛緩状態(すなわち、圧縮なし)にあることを示している場合、これは、先端部200又は300が組織に接触していないこと、したがって電極に供給されるべき焼灼エネルギーがないことを示すインジケータとして知覚され得る。情報のインジケータ(例えば、ニュートン等の力の単位)は、モニタ29上で操作者16に更に提供されてもよい。この情報は、操作者16が先端部を過度に硬く押すことによって組織を損傷することを回避するのを助け得る限りにおいて、操作者16に直接提供するのに有用であり得る。
【0053】
更に、フレキシブル回路410の第1の部分414及びフレキシブル回路480の3つの部分のそれぞれは、互いに位置合わせされてもよく、3つのセクタに対する組織からの接触力の差がプロセッサ22によって決定され得るように、先端部200、の3つのセクタ210、212、及び214と整列されてもよい。したがって、プロセッサ22は、例えば、組織に対する最大接触力がセクタ210によって経験されると、組織に対する第2の最大接触力がセクタ212によって経験され、組織に対する少なくとも接触力がセクタ214によって経験されると判定することができる。したがって、プロセッサ212は、力データを単独で、又はこれらのセクタからのECGデータと組み合わせて使用して、組織を焼灼するためにそれぞれのセクタの電極に印加されるRFエネルギーを調整することができる。更に、ユーザは、ディスプレイ29上の3つのセクタのそれぞれの接触力に関する情報を観察し、それを使用して、どのセクタが組織に接触しているかを決定し、組織に対する所望の接触力を達成するために先端部200の位置を調節することができる。
【0054】
バネ490の上面492及び底面494は、互いに平行であってもよく、バネの長手方向軸に対して横方向に配向されてもよい(例えば、約60度より大きく90度より小さい、例えば、約80度)。したがって、そこに固着された受信機及び送信機は、同様に角度付けされる。しかしながら、送信機と受信機との間の距離が、バネの長手方向軸、最終的にはカテーテルの長手方向軸に対して垂直に設けられた場合と比較して最小化されるため、非垂直角は受信機の感度を増加させる。このような角度付けは、3つの先端セクタに対して加えられる相対力を区別するのを更に支援し得る。
【0055】
図10及び
図11は、そのアセンブリの2つの異なる工程におけるカテーテル14を示している。
図12は、
図10の線A-Aに沿ってとられたカテーテル14の断面であるが、フレキシブル回路410の更なる考察に関して明確にするために、様々な構成要素が除去又は簡略化されている。
図10は、バネ490及び連結スリーブ500に組み付けられたフレキシブル回路410を示している。図示されていないが、フレキシブル回路410の第1の部分414は、バネ490の上面492に接着され、フレキシブル回路480は、バネ490の底面494に接着されている。
図11、では、バネ490に取り付けられた先端部200が示されている。また、
図10及び
図11には、ケーブル束498が示されている。ケーブル束498は、視認できないが、フレキシブル回路410の第4の部分442上のはんだ接合部468に、延いてはフレキシブル回路410上の様々なコイル又はトレースに、及びフレキシブル回路480上のコイル又はトレース484に接続されている、1組のケーブルを含む。
図10~
図12に見られるように、フレキシブル回路410はもはや平面ではない。むしろ、部分的に円形及び部分的に三角形である断面を有する形状を有するように変形されている。第2の部分416のセグメント424は、
図10及び
図11のフレキシブル回路410の最も容易に視認可能なセグメントである。セグメント422、セグメント432、及びセグメント434の様々な側面、並びにコネクタ426、436、446、450、及び452も、これらの図において視認可能である。見られるように、これらのコネクタは、連結スリーブ500への取り付けのために屈曲又は湾曲構成に変形されている。具体的には、セグメント422は、スリーブ500の実質的に平面の表面502に接着され、セグメント432は、スリーブ500の実質的に平面の表面504に接着される。そのように組み立てられた、フレキシブル回路410のこれらの部分は、三角形の断面を有するものとして見られ得る。更に、コネクタ446は、スリーブ500の円形(又は弓状)表面506に接着され、コネクタ448は、スリーブ500の円形(又は弓状)表面508に接着される。そのように組み立てられると、フレキシブル回路410のこれらの部分は、円形(又は弓形)断面を有するものとして見られ得る。第4の部分442は更に、スリーブ500の実質的に平面の表面510に接着されてもよい。
【0056】
スリーブ500に組み付けられたフレキシブル回路410の断面の円形部分の直径又は幅は、第1の部分414の直径又は最大幅に等しいか又はほぼ等しく、また、スリーブ500に組み付けられたフレキシブル回路410の断面の三角形部分の最大幅(又は基部)に等しいか又はほぼ等しい。したがって、組み立てるときに、フレキシブル回路410は、カテーテル14の外側表面を提供し、カテーテル14の構成要素(例えば、フレキシブル回路410、バネ480、スリーブ500)が適合しなければならない内径を画定する、外管又はスリーブに容易に挿入され得る。セグメント424及び434の実質的に平坦な外側表面と、一方の部分442との間、及び他方のスリーブの湾曲との間にある間隙から生じる、スリーブ下の軟点の防止を助けるために、これらの間隙は、セグメント424及び434(それぞれ第2の部分416及び第3の部分430の)並びに部分442上に追加の材料、例えば、接着剤518及びポリイミド層520を含むことによって充填されてもよい。ポリイミド層520は、フレキシブル回路410とは別個に製作され、そこに固着されてもよく、又はフレキシブル回路410の残部と同じリソグラフィプロセス中に形成される、フレキシブル回路410の一体的な部分であってもよい。ポリイミド層520は、一連の実質的に平面の段又は層を有する外側スリーブの曲線を補間してもよい。
【0057】
フレキシブル回路410は、以下のようにカテーテル14に組み込まれてよい。第1に、フレキシブル回路410が設けられてもよい。第2の部分416のセグメント424は、コネクタ426と、含まれる場合にはコネクタ450と、を変形させることによって、第2の部分416のセグメント422上に折り畳まれて、そこに重なり合い、接触してもよい。第3の部分430のセグメント434は、コネクタ436と、含まれる場合にはコネクタ452と、を変形させることによって、第3の部分430のセグメント432上に折り畳まれて、そこに重なり合い、接触してもよい。フレキシブル回路410の第1の部分414は、バネ490の上面492に平行であるように配向されてもよく、バネ490の長手方向軸に対して横方向(例えば、垂直から30度未満)に配向される。次いで、第1の部分414は、バネ490の上面492に接着されてもよい。実質的に平面の表面部分を有する連結スリーブ500は、その長手方向軸をバネの長手方向軸とそろうように設けられ、配向されてもよい。第2の部分416及び第3の部分430は、スリーブ500のそれぞれの実質的に平面の表面部分に平行であるように配向されてもよい。次いで、第2の部分416及び第3の部分430は、スリーブ500のそれぞれの実質的に平面の表面部分に接着されてもよい。次いで、フレキシブル回路410に接着されたスリーブ500は、外側スリーブに結合又は挿入されてもよい。最後に、先端部18は、バネ490に固着されてもよい。フレキシブル回路480は、先端部18がバネ490に取り付けられていない限り、プロセスのほぼ全ての工程でバネ490の底面494に接着されてもよい。
【0058】
本明細書に例示及び記載される実施形態のおかげで、出願人は、診断/治療用カテーテルのフレキシブル回路先端部の一部又は全部と接触して、組織表面、例えば、湾曲した組織表面に沿って組織を選択的に焼灼する方法を考案した。先端部の他のセクタ、特に組織と接触していないセクタを使用して、電磁信号(例えば、ECG信号)の監視などの焼灼以外の機能を提供する。すなわち、ユーザは、上記の診断/治療用カテーテル、又はそれが一部であり得る電気生理学システムを、他の電極を不活性に維持しながら、又はそれらを使用して焼灼以外の機能を提供するために、少なくとも1つの電極を活性化するための様々な方法及び変更に従って、部分であり得る電気生理学システムを使用してもよい。電磁信号(例えば、ECG信号)の監視のように、カテーテル先端部上に配設された様々な温度センサの一部又は全てを使用して温度を更に測定する。1つのこのような方法及び変形例は、以下の工程を含んでもよい。第1に、ユーザはカテーテルを受容することができる。次いで、ユーザは、カテーテルを被験者、例えばヒト被験者に導入し、カテーテルを心臓組織に近接して位置付けることができる。第2に、ユーザは、カテーテルの先端を心臓組織に接触させてもよい。第3に、カテーテルに接続されたプロセッサは、温度データ、カテーテルの先端セクタ(例えば、210、212、214)を介したECG信号、並びにカテーテル受信コイル及び送信コイル(例えば、118及び184)を介した力信号を受信し得る。プロセッサは、どの先端セクタが組織と接触しているか(少なくとも部分的にそうであるか)を判定するために、ECG信号、力信号、又はその両方のいずれかを使用し得る。第4に、プロセッサは、次いで、組織と接触しているそれらの先端のみへの焼灼エネルギーの送達を制御してもよい。複数の先端セクタが組織に接触するこれらの事例では、組織と接触する複数の先端セクタは、同時に、又は連続して(上述のように)焼灼エネルギーを受信し得る。同様に、これらの複数の先端セクタは、ECG信号を同時に又は連続して監視してもよい。3つの先端セクタ全てが組織に接触する例示的な変形例では、セクタ212及び214がプロセッサにECG信号を提供している間に、先端セクタ210は焼灼エネルギーを受信してもよい。次いで、セクタ210は、ECG信号を提供するために焼灼エネルギーを受信することから切り替えられてもよく、セクタ212は、ECG信号を供給して焼灼エネルギーを受信することから切り替えられてもよく、次いで、セクタ212は、ECG信号を提供するためにスイッチバックされてもよく、セクタ214は、ECG信号を供給して焼灼エネルギーを受信することから切り替えられてもよい。更なる変形例では、少なくとも温度センサは、少なくとも、それらが配置されるセクタが焼灼エネルギーを受信する間に、プロセッサに温度データを提供してもよい。しかしながら、温度センサの全ては、プロセッサに温度データを連続的に提供してもよい。
【0059】
更に、上述の特徴を有する診断/治療用カテーテルは、以下の方法及びその変形例に従って構築され得る。第1に、フレキシブル回路(例えば、フレキシブル回路100)は、例えば、リソグラフ処理を介して製造されてもよい。例えば、絶縁材料(例えば、ポリアミド)の層が堆積されてもよく、これは電子部品の基板であってもよい。次に、電子部品(例えば、熱電対118、導体素子126、及び接点146)を含む導電性材料(例えば、白金又は金)の層を堆積させることができる。次に、絶縁材料の別の層を堆積させることができる。次に、導電性材料の別の層を堆積させることができる。マスク層はまた、層の特定の形状及び構成を達成するために堆積されてもよい。例えば、マスク層を使用して、フレキシブル回路(例えば、セグメント102及び104)、それらのセクタ(例えば、セクタ110及び114)を作成し、電子構成要素を成形するために使用されてもよい。ポート(例えば、灌注ポート134)をフレキシブル回路を介して(例えば、レーザ穿孔を介して)作成する更なる工程が、そのようなポートが前述の工程で製作されなかった場合に実行され得る。
【0060】
第2に、フレキシブル回路100は、診断/治療用カテーテル、例えばカテーテル本体14を構築するための他の構成要素と共に受容されてもよい。他の構成要素、例えば、コア235、などのコア、及び電極32などのフレキシブル回路100、の一体部分として作製されない電極を受容してもよい。加えて、フレキシブル回路410及び480は、力測定機能をカテーテルに付与するために受信されてもよい。
【0061】
第3に、平面構成で受容され得るフレキシブル回路100、は、非平面構成、例えば、円筒形構成に形成された少なくともその第2のセグメントを有してもよい。そうすることで、フレキシブル回路は、フレキシブル回路先端部(例えば、200)内に形成され得る。次いで、フレキシブル回路先端部は、典型的には第2のセグメントによってカテーテル本体に接続されてもよい。第4に、いくつかの変形例では、導体素子(例えば、132)は電極32に接続されてもよい。
【0062】
第5に、リード線は、フレキシブル回路410及び480のみならず、フレキシブル回路先端部の電子部品入力部に動作可能に接続されたはんだパッド(例えば、136)上の接点(例えば、142)に接続されてもよい。第6に、フレキシブル回路先端部の様々なセクタ間の空間は、絶縁材料で充填されてもよい。
【0063】
コアを提供することを含む方法の変形例では、フレキシブル回路は、フレキシブル回路先端部の構成を変更するためにコアに適合されてもよい。コアを提供することを含む方法の他の変形例では、フレキシブル回路先端部はコアに取り付けられてもよい。更に、コアとフレキシブル回路先端部との間の空間に絶縁材料を配置してもよい。
【0064】
本明細書において説明されている実施例又は実施形態のいずれも、上で説明されているものに加えて又はそれに代えて様々な他の特徴部を含むことができる。本明細書において説明されている教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮して、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には明確になるはずである。
【0065】
本発明に含有される主題の例示の実施形態について図示及び説明したが、本明細書において説明される方法及びシステムの更なる適用は、特許請求の範囲を逸脱することなく適切な修正により達成され得る。更に、上で説明される方法及び工程が、特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、特定の工程は説明される順序で行われる必要はなく、工程が、実施形態がそれらの意図される目的で機能することを可能とするものである限り、任意の順序で行われることを意図している。したがって、本開示の趣旨又は請求項に見出される本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形例が存在する範囲では、本特許がこうした変形例をも包含することが意図される。いくつかのこのような修正は、当業者には明らかのはずである。例えば、上で考察される実施例、実施形態、幾何学的特性、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものである。したがって特許請求の範囲は、明細書及び図面に記載される構造及び動作の詳細に限定されるべきではない。
【0066】
〔実施の態様〕
(1) フレキシブル回路であって、
第1の平面セグメント及び第2の平面セグメントを備え、前記第2の平面セグメントが、前記第2の平面セグメントを通って配設された複数の灌注ポートを含み、
前記第2の平面セグメントが、
基板を含む第1の層と、
少なくとも第1の温度センサ、第2の温度センサ、及び導体素子を含む第2の層と、
絶縁体を含む第3の層と、を更に含む、フレキシブル回路。
(2) 前記第2の平面セグメントが、第1のセクタ及び第2のセクタを含み、前記第1のセクタが、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサを有し、前記第2のセクタが、第3の温度センサ及び第4の温度センサを有する、実施態様1に記載のフレキシブル回路。
(3) 前記第2の平面セグメントが第3のセクタを更に含み、前記第3のセクタが第5の温度センサ及び第6の温度センサを有する、実施態様2に記載のフレキシブル回路。
(4) 前記導体素子が、焼灼電極に接続されたトレースを含む、実施態様3に記載のフレキシブル回路。
(5) 前記第1のセクタ、前記第2のセクタ、及び前記第3のセクタがそれぞれ、それぞれの熱電対に動作可能に連結された第1の接点と、別のそれぞれの熱電対に動作可能に結合された第2の接点と、それぞれの電極に動作可能に結合された第3の接点とを有する、それぞれのはんだパッドを含む、実施態様4に記載のフレキシブル回路。
【0067】
(6) 前記第1の平面セグメントが、第1のセグメント基板及び第1のセグメント絶縁体を含む、実施態様5に記載のフレキシブル回路。
(7) 前記第1の平面セグメントが、第1のセグメント温度センサを更に含む、実施態様6に記載のフレキシブル回路。
(8) 前記第1の平面セグメントが、第1のセグメント電極を更に含む、実施態様7に記載のフレキシブル回路。
(9) 前記絶縁体が、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、又はポリウレタンを含む、実施態様1に記載のフレキシブル回路。
(10) 前記第1のセクタの前記第2の層と前記第2のセクタの前記第2の層との間の第1の空間と、前記第2のセクタの前記第2の層と前記第3のセクタの前記第2の層との間の第2の空間と、を更に備えている、実施態様8に記載のフレキシブル回路。
【0068】
(11) 前記第1の空間及び前記第2の空間内に配置された第1の絶縁材料を更に備える、実施態様10に記載のフレキシブル回路。
(12) 前記第1の絶縁材料が高温エポキシを含む、実施態様11に記載のフレキシブル回路。
(13) 前記第2の平面セグメントが、前記第1の温度センサ、前記第2の温度センサ、及び焼灼電極を有する第1のセクタと、絶縁材料で覆われた第2のセクタと、を含む、実施態様1に記載のフレキシブル回路。
(14) 前記第2の平面セグメントが、絶縁材料で覆われた第3のセクタを含む、実施態様13に記載のフレキシブル回路。
(15) 前記絶縁材料がセラミックである、実施態様14に記載のフレキシブル回路。
【0069】
(16) カテーテルであって、
内部を通って長手方向に配設された少なくとも2つのルーメン及び遠位端を有する細長いカテーテル本体と、
前記遠位端に接続されたフレキシブル回路先端部であって、
第1のセグメント及び第2のセグメントを含み、前記第2のセグメントが、前記第2のセグメントを通って配設された複数の灌注ポートを含み、前記第2のセグメントが、
基板を含む第1の層と、
少なくとも第1の温度センサ、第2の温度センサ、及び導体素子を含む第2の層と、
絶縁体を含む第3の層と、を更に含む、フレキシブル回路先端部と、を備えている、カテーテル。
(17) 前記カテーテルの前記遠位端に取り付けられたコアを更に備え、前記コアの少なくとも一部分が、前記フレキシブル回路先端部の前記第2のセグメント内に配設されている、実施態様16に記載のカテーテル。
(18) 前記コアが絶縁材料を含む、実施態様17に記載のカテーテル。
(19) 前記絶縁材料がポリカーボネートを含む、実施態様17に記載のカテーテル。
(20) 前記コアが、前記コアの長手方向軸に対して横方向に配向されたルーメンを含む、実施態様17に記載のカテーテル。
【0070】
(21) 前記第2のセグメントと前記コアとの間に配設された第2の絶縁材料を更に備えている、実施態様17に記載のカテーテル。
(22) 前記コアが、前記カテーテル本体の前記少なくとも2つのルーメンのうちの第1のルーメンと連通している、実施態様17に記載のカテーテル。
(23) 前記少なくとも2つのルーメンのうちの少なくとも第2のルーメン内に配設された複数のワイヤを更に備え、前記複数のワイヤは、前記フレキシブル回路先端部に電気的に接続されている、実施態様22に記載のカテーテル。
(24) 前記第2のセグメントが、第1のセクタ及び第2のセクタを含み、前記第1のセクタが前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサを有し、前記第2のセクタが、第3の温度センサ及び第4の温度センサを有する、実施態様23に記載のカテーテル。
(25) 前記第2のセグメントが第3のセクタを更に含み、前記第3のセクタが第5の温度センサ及び第6の温度センサを有する、実施態様23に記載のカテーテル。
【0071】
(26) 前記導体素子が、電極に接続されたトレースを含む、実施態様25に記載のカテーテル。
(27) 前記第1のセクタ、前記第2のセクタ、及び前記第3のセクタがそれぞれ、それぞれの熱電対に動作可能に連結された第1の接点と、別のそれぞれの熱電対に動作可能に結合された第2の接点と、それぞれの電極に動作可能に結合された第3の接点とを有する、それぞれのはんだパッドを含む、実施態様26に記載のカテーテル。
(28) 前記第1のセグメントが、第1のセグメント基板及び第1のセグメント絶縁体を含む、実施態様25に記載のカテーテル。
(29) 前記第1のセグメントが、第1のセグメント温度センサを更に含む、実施態様28に記載のカテーテル。
(30) 前記第1の平面セグメントが、第1のセグメント電極を更に含む、実施態様29に記載のカテーテル。
【0072】
(31) 前記絶縁体が、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、又はポリウレタンを含む、実施態様29に記載のカテーテル。
(32) 前記第1のセクタの前記第2の層と前記第2のセクタの前記第2の層との間の第1の空間と、前記第2のセクタの前記第2の層と前記第3のセクタの前記第2の層との間の第2の空間と、を更に備えている、実施態様31に記載のカテーテル。
(33) 前記第1の空間及び前記第2の空間内に配置された第1の絶縁材料を更に備えている、実施態様32に記載のカテーテル。
(34) 前記第1の絶縁材料が高温エポキシを含む、実施態様33に記載のカテーテル。
(35) カテーテルを組み立てる方法であって、
遠位端を含むカテーテル本体を受け取ることと、
フレキシブル回路先端部を受け取ることであって、
前記フレキシブル回路先端部が第1のセグメント及び第2のセグメントを含み、前記第2のセグメントが平面構成を有し、前記第2のセグメントが前記第2のセグメントを通って配設された複数の灌注ポートを備え、
前記第2の平面セグメントが、
基板を含む第1の層と、
導体素子を含む第2の層と、
絶縁体を含む第3の層と、
第1の温度センサ及び第2の温度センサを有する第1のセクタ、第3の温度センサ及び第4の温度センサを有する第2のセクタ、並びに第5の温度センサ及び第6の温度センサを有する第3のセクタと、を更に含む、ことと、
前記第2のセグメントの前記平面構成を非平面構成に変更することと、
前記第2のセグメントを前記非平面構成で前記カテーテル本体の前記遠位端に接続することと、を含む、方法。
【0073】
(36) 前記絶縁体が、ポリアミド、ポリイミド、液晶ポリマー、又はポリウレタンを含む、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記非平面構成が円筒形構成を含む、実施態様35に記載の方法。
(38) 前記導体素子が、焼灼電極に接続されたトレースを含む、実施態様35に記載の方法。
(39) 前記導体素子を電極に接続することを更に含む、実施態様38に記載の方法。
(40) 前記第1のセクタ、前記第2のセクタ、及び前記第3のセクタがそれぞれ、それぞれの熱電対に動作可能に連結された第1の接点と、別のそれぞれの熱電対に動作可能に結合された第2の接点と、それぞれの電極に動作可能に結合された第3の接点とを有する、それぞれのはんだパッドを含む、実施態様39に記載の方法。
【0074】
(41) リード線を、前記第1のセクタ、前記第2のセクタ、及び前記第3のセクタのそれぞれの前記第1の接点、前記第2の接点、及び前記第3の接点に接続することを更に含む、実施態様40に記載の方法。
(42) 前記第2のセグメントが、前記第1のセクタと前記第2のセクタとの間の第1の空間と、前記第2のセクタと前記第3のセクタとの間の第2の空間と、前記第3のセクタと前記第1のセクタとの間の第3の空間とを更に含む、実施態様35に記載の方法。
(43) 前記非平面構成における前記第2のセグメントが、前記第3のセクタと前記第1のセクタとの間の第3の空間を含む、実施態様42に記載の方法。
(44) 前記第1の空間、前記第2の空間、及び前記第3の空間内に第1の絶縁材料を配置することを更に含む、実施態様43に記載の方法。
(45) コアを受け取ることと、
前記コアを前記カテーテル本体の前記遠位端に取り付けることと、
前記円筒形構成の前記フレキシブル回路先端部の前記第2のセグメントの一部分内に前記コアを配置することと、
前記フレキシブル回路先端部を前記コアに取り付けることと、を更に含む、実施態様43に記載の方法。
【0075】
(46) 前記第2のセグメントと前記コアとの間に第2の絶縁材料を配置することを更に含む、実施態様45に記載の方法。
(47) 組織を焼灼する方法であって、
カテーテルを被験者に挿入することであって、前記カテーテルが、力センサと、少なくとも第1の先端セクタ、第2の先端セクタ、及び第3の先端セクタを有する先端部と、を含み、前記第1の先端セクタ、前記第2の先端セクタ、及び前記第3の先端セクタのそれぞれが、電極及び温度センサを含み、他の前記先端セクタから電気的及び熱的に絶縁されている、ことと、
前記第1の先端セクタ、前記第2の先端セクタ、及び前記第3の先端セクタのうちの少なくとも1つを心臓組織に接触させることと、
プロセッサで、前記力センサからの信号、前記第1のセクタからのECG信号、前記第2のセクタからのECG信号、前記第3のセクタからのECG信号、及び温度データを受信することと、
前記第1の先端セクタ、前記第2の先端セクタ、及び前記第3の先端セクタのうちの少なくとも1つに焼灼エネルギーを供給することと、を含む、方法。
(48) 前記第1の先端セクタが組織と接触することを判定することを更に含む、実施態様47に記載の方法。
(49) 前記力センサからの前記信号が、前記第1の先端セクタが組織と接触することを判定する際に使用される、実施態様48に記載の方法。
(50) 前記第2の先端セクタが組織と接触することを判定することを更に含む、実施態様48に記載の方法。
【0076】
(51) 前記力センサからの前記信号が、前記第2の先端セクタが組織と接触することを判定する際に使用される、実施態様50に記載の方法。
(52) 前記第3の先端セクタが組織と接触することを判定することを更に含む、実施態様50に記載の方法。
(53) 前記力センサからの前記信号が、前記第3の先端セクタが組織と接触することを判定する際に使用される、実施態様52に記載の方法。
(54) 前記プロセッサにおいて前記第2の先端セクタからECG信号を受信しながら、前記第1の先端セクタに焼灼エネルギーを提供することを更に含む、実施態様52に記載の方法。
(55) 前記プロセッサにおいて前記第3の先端セクタからECG信号を受信しながら、前記第1の先端セクタに焼灼エネルギーを提供することを更に含む、実施態様54に記載の方法。
【0077】
(56) 前記プロセッサにおいて前記第3の先端セクタからECG信号を受信しながら、前記第2の先端セクタに焼灼エネルギーを提供することを更に含む、実施態様54に記載の方法。
(57) 前記プロセッサにおいて前記第1の先端セクタからECG信号を受信しながら、前記第2の先端セクタに焼灼エネルギーを提供することを更に含む、実施態様56に記載の方法。
(58) 前記プロセッサにおいて前記第1の先端セクタからECG信号を受信しながら、前記第3の先端セクタに焼灼エネルギーを提供することを更に含む、実施態様56に記載の方法。
(59) 前記プロセッサにおいて前記第2の先端セクタからECG信号を受信しながら、前記第3の先端セクタに焼灼エネルギーを提供することを更に含む、実施態様58に記載の方法。
(60) 前記第1の先端セクタ、前記第2の先端セクタ、及び前記第3の先端セクタのうちの少なくとも2つに同時に焼灼エネルギーを提供することを更に含む、実施態様56に記載の方法。
【0078】
(61) 前記第1の先端セクタと接触している組織の一部分を焼灼することと、次いで、前記先端部を移動させることなく、前記第2の先端セクタと接触している組織の一部分を焼灼することと、を更に含む、実施態様56に記載の方法。
(62) 前記焼灼する工程が、前記第1の先端セクタに第1の電力量を送達し、前記第2の先端セクタに前記第1の電力量とは異なる第2の電力量を送達することを含む、実施態様61に記載の方法。
(63) 前記焼灼する工程が、前記第3の先端セクタに前記第1の電力量及び前記第2の電力量とは異なる第3の電力量を送達することを含む、実施態様62に記載の方法。
(64) 前記焼灼する工程は、各先端セクタについて測定された前記温度が前記先端セクタの全てに対して概ね同じであるように、異なる先端セクタに異なる電力量を送達することを含む、実施態様62に記載の方法。