(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】イオン移動度型のイオン分離技術を用いた物質を同定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/622 20210101AFI20240110BHJP
G01N 27/623 20210101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N27/622
G01N27/623
(21)【出願番号】P 2021505377
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 GB2019052102
(87)【国際公開番号】W WO2020025933
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507235789
【氏名又は名称】スミスズ ディテクション-ワトフォード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン リチャード アトキンソン
(72)【発明者】
【氏名】アラスター クラーク
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536536(JP,A)
【文献】特表2014-507653(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017479(WO,A1)
【文献】特表2017-532559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60 - G01N 27/70
G01N 27/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン移動度分光法であって、
(i)イオンゲートの第1の電極と前記イオンゲートの第2の電極との間に電圧差を印加して、イオン移動度分光計の反応領域からイオンが離れるのを防ぐステップと、
(ii)前記イオンゲートを開いて、前記イオンが前記反応領域から前記第1の電極と前記第2の電極との間の改質領域に移動することを可能にするステップと、
(iii)前記第1の電極と前記第2の電極との間に高周波RF電圧を印加して、前記改質領域の前記イオンをフラグメント化して娘イオンを提供するステップと、
(iv)前記娘イオンが、コレクタに向かって前記改質領域から前記イオン移動度分光計のドリフト領域に移動することを可能にするステップと、
(v)前記イオンゲートを閉じるステップと、
(vi)前記イオンゲートから前記コレクタへの前記娘イオンの飛行時間を決定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記イオンを前記反応領域から前記コレクタに移動させるための電圧プロファイルを印加するステップを含み、(ii)前記ゲートを開くステップは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記電圧プロファイルと一致するDC電圧差を印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の電極は、前記イオン移動度分光計のドリフト方向に前記第2の電極から離間している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の電極は、前記第2の電極を前記反応領域から分離し、前記電圧差は、前記第2の電極における前記電圧プロファイルと一致する電圧を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電圧差を印加するステップは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電界を提供するステップを含み、電界は、前記電圧プロファイルに対向する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記高周波電圧は、前記DC電圧差に重畳される、請求項2乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ステップ(ii)から(vi)の前に、前記ゲートを開いて、先行するイオンパケットが前記コレクタに向かって前記反応領域から前記ドリフト領域に移動することを可能にするステップと、前記ゲートを閉じて、前記イオンゲートから前記コレクタへの先行する前記イオンパケットの飛行時間を決定するステップと、を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記イオン及び先行する前記イオンパケットは、同じ試料から得られ、前記方法は、前記娘イオンの前記飛行時間及び先行する前記イオンパケットの前記飛行時間に基づいて、前記試料における対象物質の存在を同定するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
反応領域と、
電圧プロファイルであって、イオンが当該電圧プロファイルに沿って前記反応領域からコレクタにドリフト方向に移動する、電圧プロファイルを含む、ドリフト領域と、
第1の電極と第2の電極とを含むイオンゲートと、
ゲート電圧コントローラであって、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧差を印加して、イオンが前記反応領域から離れるのを防ぎ、
前記イオンゲートを開き、前記イオンが前記反応領域から前記第1の電極と前記第2の電極との間の改質領域に移動することを可能にし、
第1の電極と前記第2の電極との間に高周波電圧を印加して、前記改質領域のイオンをフラグメント化して娘イオンを提供し、
前記娘イオンが前記改質領域から前記ドリフト領域に通過することを可能にし、及び
前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記電圧差を印加することによって、前記イオンゲートを閉じるように構成された、ゲート電圧コントローラと、
を備えるイオン移動度分光計であって、
前記イオン移動度分光計は、前記ドリフト領域を通過して前記コレクタに至る、前記イオンゲートからの前記娘イオンの飛行時間を決定するように構成される、イオン移動度分光計。
【請求項10】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ、複数の細長い導体を含み、前記第1の電極の前記細長い導体は、それぞれ、前記ドリフト方向を横切る方向に、前記第2の電極の対応する細長い導体と整列している、請求項9に記載のイオン移動度分光計。
【請求項11】
前記第1の電極は、前記第2の電極を前記反応領域から分離し、前記電圧差は、前記第2の電極における前記電圧プロファイルと一致する電圧を含む、請求項9又は10に記載のイオン移動度分光計。
【請求項12】
前記電圧差を印加するステップは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記電圧プロファイルに対向する電界を提供するステップを含む、請求項11に記載の
イオン移動度分光計。
【請求項13】
前記ゲートを開くステップは、前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記電圧プロファイルと一致するDC電圧差を印加するステップを含む、請求項9乃至12のいずれかに記載のイオン移動度分光計。
【請求項14】
RF電圧は、前記DC電圧差に重畳される、請求項13に記載のイオン移動度分光計。
【請求項15】
イオン移動度分光計におけるイオンゲートを制御する方法であって、
前記イオンゲートの2つの電極の間に電圧差を印加して、前記イオン移動度分光計の反応領域をイオンが離れるのを防ぐステップと、
前記ゲートを開き、前記ゲートが開いている間に、前記2つの電極の間にRF電圧を印加して、前記反応領域から前記2つの電極の間の領域へ、そして前記2つの電極の間の領域からドリフト領域へとドリフト方向に前記ゲートを通過するイオンをフラグメント化するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記2つの電極は、それぞれ、互いに同一平面上にある複数の細長い導体を含み、前記2つの電極は、前記ドリフト方向に離間している、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電極のうち第1の電極の前記細長い導体は、それぞれ、前記ドリフト方向を横切る方向に、前記2つの電極のうちの第2の電極の対応する細長い導体と整列される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の電極は、前記第2の電極を前記反応領域から分離し、前記電圧差を印加するステップは、
前記イオン移動度分光計の電圧プロファイル
であって、イオンが当該電圧プロファイルに沿って前記ドリフト方向に移動する、電圧プロファイルと一致する電圧を前記第2の電極に印加するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ゲートを開くステップは、前記2つの電極の間に、前記イオン移動度分光計の電圧プロファイル
であって、イオンが当該電圧プロファイルに沿って前記ドリフト方向に移動する、電圧プロファイルと一致するDC電圧差を印加するステップを含み、高周波電圧は、前記DC電圧差に重畳される、請求項16
又は17に記載の方法。
【請求項20】
質量分析計の入口に用いられるイオン移動度型のイオン分離器であって、
イオン源と、
第1のイオンゲートと、
ドリフト領域によって前記第1のイオンゲートから分離された第2のイオンゲートと、
前記第2のイオンゲートから前記質量分析計の前記入口にイオンを供給するための出口と、
電圧コントローラであって、
前記第1のイオンゲートを動作させて、イオンパケットが前記第2のイオンゲートに向かって前記ドリフト領域に沿って移動することを可能にし、
前記第2のイオンゲートの2つの電極の間に電圧差を印加して、前記パケット内のイオンの第1の部分が前記出口に到達するのを防ぎ、
前記第2のイオンゲートを開いて、イオンの第2の部分が前記第2のイオンゲートの前記2つの電極の間の改質領域に移動することを可能にし、及び
前記ゲートが開いている間に、前記2つの電極の間にRF電圧を印加して、前記第2の部分内のイオンが前記出口に向かって前記第2のイオンゲートを通過する際に、前記第2の部分内の前記イオンをフラグメント化するように構成された、電圧コントローラと、を含むイオン分離器。
【請求項21】
前記イオンを反応領域からコレクタに移動させるための電圧プロファイルを含み、
(ii)前記第2のイオンゲートを開くステップは、前記第2のイオンゲートの前記2つの電極の間にDC電圧差を印加するステップを含み、DC電圧差は、前記電圧プロファイルと一致する、請求項20に記載のイオン分離器。
【請求項22】
前記RF電圧は、前記DC電圧差に重畳される、請求項21に記載のイオン分離器。
【請求項23】
前記第2のイオンゲートの前記2つの電極は、イオン移動度分離器のドリフト方向に離間している、請求項21又は22に記載のイオン分離器。
【請求項24】
前記2つの電極のうち第1の電極は、前記2つの電極のうち第2の電極を前記ドリフト領域から分離し、前記電圧差は、前記第1の電極における前記電圧プロファイルと一致する電圧を含む、請求項23に記載のイオン分離器。
【請求項25】
前記2つの電極は、それぞれ、互いに同一平面上にある複数の細長い導体を含み、前記電極のうち第1の電極の前記細長い導体は、それぞれ、前記ドリフト方向を横切る方向に、前記2つの電極のうち第2の電極の対応する細長い導体と整列されている、請求項23又は24に記載のイオン分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物質を同定するための方法及び装置に関し、より詳細には試料中の対象物質の同定を補助するためにイオンを選択及び/又は改質するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
爆発物、麻薬、及び化学兵器等の微量の対象物質を検出する必要がある。信頼性があり正確な同定が重要である。分析は、イオン移動度分光計及び/又は質量分光計等の分光計を使用して実施することができる。
【0003】
イオン移動度分光計(IMS)は物質(例えば、分子、原子)をイオン化し、得られたイオンが既知の電界下で既知の距離を移動するのにかかる時間を測定することによって、対象の試料から材料を同定することができる。これは、飛行時間型イオン移動度分光法(TOFIMS)として知られている。イオンのパケットの飛行時間は、検出器によって測定することができる。この飛行時間は、イオンの移動度に関連する。イオンの移動度は、その質量及び形状に関連する。したがって、イオンの飛行時間を検出器で測定することによって、イオンについて同一性を推測することができる。これらの飛行時間は、プラズマグラムとしてグラフィック又は数値的に表示され得る。
【0004】
他の種類のイオン移動度分光法も存在する。例えば、微分型イオン移動度分光法では、イオン移動度が電界強度に依存することに基づいてイオンが選択される。これを行うために、イオンは、選択された様々な電界強度に暴露されてもよく、その結果、選択された微分移動度を有するイオンのみが分光計を通過することができる。
【0005】
例えば、電界非対称型イオン移動度分光法では、DC電圧と組み合わされた高周波(RF)での高電圧非対称波を印加することによってイオンが分離される。電界が変化すると、イオンは、高電界移動度と低電界移動度との比によって、一方又は他方の電極に向かって移動する。特定の微分移動度を有するイオンのみがデバイスを通過する。
【0006】
イオンの質量電荷比に基づいてイオンを区別することもできる。質量分析は、化学化合物をイオン化して荷電分子又は分子フラグメントを生成し、それらの質量電荷比を測定することによって機能する。典型的な質量分析の手順では、典型的にはイオンを加速して印加電界又は印加磁界により偏向される度合いを測定することによって、イオンがそれらの質量電荷比に従って分離される。質量分析計には、イオントラップを使用して動作するものもある。質量スペクトルは、質量電荷比の関数として、検出されたイオンの相対存在量を反映する。イオンは、既知の質量を同定された質量と比較することによって、或いは得られたスペクトルを既知のスペクトルと比較することによって、同定され得る。質量電荷比が同じイオンは同量の偏向を受けるが、単一の質量電荷比は多数の異なるイオン種と関連付けられることがある。
【0007】
対象試料中のイオンを同定するための分光計の能力を改善するために、高周波(RF)電界を使用していくつかのイオンを改質して(例えば、それらをフラグメント化することによって)、イオンの正体を推論するために使用可能な付加的な情報を提供することが提案されている。これは、イオンの測定において更なる自由度を提供し、それ故、イオン同士の違いを分解する能力を改善することができる。汚染物質の存在下、若しくは困難な動作条件で測定が行われる場合、又は、試料が類似の幾何学的形状及び質量等を有するイオンを含む場合、イオンを検出及び同定する能力が低下することがある。イオン改質は、これらの課題に対処する1つの方法である。
【0008】
イオン移動度分光法の感度、及びイオン分離法に基づくイオン移動度の感度を高めることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の態様及び実施例は、特許請求の範囲に記載されており、上述した技術的課題及び関連する技術的課題の少なくとも一部に対処することを目的とする。
【0010】
本開示の方法及び装置は、イオン移動度に基づくイオン分離技術を用いるイオン移動度分光法及び質量分析システムに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1に示すイオン移動度分光計を示す図である。
【
図3】
図1及び
図2を参照して説明したイオン移動度分光計の動作方法を示すフローチャートである。
【
図4】質量分析計の入口に用いられるイオン移動度型イオン分離器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照して、本開示の実施形態を単なる例として説明する。
【0013】
図面において、同様の参照番号は、同様の要素を示すために使用される。
【0014】
図1は、イオン移動度分光計100の断面図を示す。
図2は、
図1に示す配置の理解を助けるために、同一のIMS100の模式図を示す。
【0015】
まず概要として、
図1に示すIMS100のイオンゲートは、イオンが反応領域103から離れるのを防ぐため、及びイオン改質を行うための両方に用いられる。イオンゲートは、第1の電極106-1及び第2の電極106-2を含み、これらの電極は、イオン移動度分光計のドリフト方向(例えば、IMSセルの長手軸の方向)に、第1の電極106-1から離間してもよい。
【0016】
ゲート106を閉じるために、第1の電極106-1と第2の電極106-2との間に電圧差を印加してイオンが反応領域103から離れないようにする。
【0017】
ゲートを開くために、第1の電極106-1及び第2の電極106-2上のDC電圧はイオン移動度分光計100の電圧プロファイルと一致するように制御される。さらに、ゲートが開いている間に、第1の電極106-1と第2の電極106-2との間にRF電圧を印加して、イオンがゲート106を通過する際にイオンをフラグメント化する。
【0018】
ここで、
図1のより詳細な説明に移ると、
図1に示されたIMSは、イオナイザ102と、ゲート106によってドリフト領域104から分離される反応領域103と、を含んでもよい。ゲート106は、第1の電極106-1及び第2の電極106-2を備える。
【0019】
図示されるように、IMS100は、試料からの物質が反応領域103に導入されることを可能にする入口108(
図2では示されていない)を含み、反応領域103ではイオナイザ102によって生成された反応イオンによってイオン化され得る。入口108は、蒸気又はガス等のガス状流体の試料を得るためのピンホール又は膜入口を備えてもよい。イオナイザ102は、コロナ放電素子又は放射性源等のイオン源を含んでもよい。
【0020】
図1に示す例では、ドリフト領域104は、ゲート106とコレクタ118との間に存在する。一連のドリフト電極120a、120bは、反応領域からコレクタ118にイオンを移動させるための電圧プロファイルを提供するために、ドリフト領域104に沿って離間している。ドリフト電極120a、120bによって印加される電圧プロファイルは、ドリフト領域104に沿ってコレクタ118に向かって、イオナイザ102からのドリフト方向に均一な電界(例えば、空間的に均一な電圧勾配)を含んでもよい。
【0021】
コレクタ118は、コントローラ200に信号を供給するように結合されてもよい。コレクタ118からの電流は、イオンがコレクタ118に到達したことを推測するためにコントローラ200によって使用され得る。イオンの特性は、イオンがゲート106からドリフト領域104に沿ってコレクタ118まで通過する時間に基づいて決定され得る。コレクタ118は、一例としてイオンがコレクタ118に到着したことを示す信号を提供するように構成される。例えば、コレクタは、帯電させてイオンを捕捉することが可能な導電性電極(ファラデー板等)を含むことができる。
【0022】
コレクタ118に隣接するドリフト領域104の端部には、ドリフトガスの流れをドリフトチャンバに提供するためにドリフトガスの入口90が配置されてもよい。ドリフトガスの出口92は、ゲート106に隣接するドリフト領域104の端部に設けられてもよく、その結果、ドリフトガスは、コレクタ118からゲート106に流れることができる。したがって、イオンは、電圧プロファイルに沿って且つドリフトガスの流れに反して、ゲート106からコレクタ118に移動することができ、移動度に関する情報の推測にドリフトガスを通過する飛行時間を用いることができる。ドリフトガスの例としては、窒素、ヘリウム、空気、再循環空気(例えば、清浄及び/又は乾燥空気)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
2つのゲート電極106-1、106-2は、それぞれ、ワイヤ等の細長い導体の配列を含むことができ、IMSセルを横切って、例えば反応領域から検出器へのドリフト方向を横切る方向に配置されてもよい。細長い導体は、網等の格子状に配置されてもよい。図示するように、各イオン改質電極106-1、106-2の導体は、それらの間に間隙を有していてもよく、その結果、イオンは、間隙を通って移動することにより、各電極を通過することができる。第1の電極106-1は、反応領域に隣接して設けられてもよく、第2の電極106?2を反応領域から分離してもよい。
【0024】
第1の電極106-1の細長い導体は、互いに平行であってもよく、IMSセルを張る単一の平面アレイで配置されてもよい(例えば、第1の電極106-1の細長い導体は、互いに同一平面上にあってもよい)。
【0025】
第1の電極と同様に、第2の電極106-2の細長い導体は、互いに平行であってもよく、IMSセルを張る単一の平面アレイで配置されてもよい(例えば、第2の電極106-2の細長い導体は、互いに同一平面上にあってもよい)。
【0026】
第1の電極106-1及び第2の電極106-2は、互いに非同一平面にあってもよい。例えば、それらは、IMSセルのドリフト方向に互いに離間されてもよい。典型的には、第1の電極106-1と第2の電極106-2との間の空間は、少なくとも200ミクロンであってもよい。第1の電極106-1の細長い導体は、第2の電極106-2の細長い導体と平行であってもよい。加えて、第1の電極106-1の細長い導体は、第2の細長い電極と横方向に整列されてもよい。例えば、それらは、ドリフト方向を横切る方向(例えば、垂直方向)に互いに整列されてもよい。したがって、ドリフト方向に沿って(例えば、セルの長手軸の方向に沿って)見た場合、第2の電極106-2の細長い導体は、第1の106-1の細長い導体によって完全に隠されてもよい。例えば、2つの電極106-1、106-2は、構造的に同一であって、横方向に整列されてもよい。これは、衝突によるイオン損失を低減するのに役立ち、第2の電極の電圧が第1の電極の上流で電界を歪ませるのを防ぐことによって感度を高めることもできる。
【0027】
電圧供給器202は、イオンゲート106及びドリフト電極120a、120bに接続される。それは、イオナイザに接続されてもよい。電圧供給器は、ドリフト領域104内のドリフト電極120a、120bを介して電圧プロファイルを印加するように構成された、電源装置及び/又は直列分圧器等の回路を備えることができる。また、それは、イオンゲート106の2つのゲート電極106-1、106-2のそれぞれにおいて、選択されたDC電圧を供給するための回路も備える。また、それは、高周波(RF)発生器、RFを供給するための信号、それらの2つの同じ電極106-1、106-2間の交流電圧等の回路も備える。
【0028】
コントローラ200は、これらの電圧を制御するために電圧供給器202に接続されてもよく、コレクタ118においてイオンの到達を示す信号を受信するためにコレクタ118に接続されてもよい。
【0029】
したがって、コントローラ200は、ゲート106を動作させて、反応領域からドリフト領域104へのイオンの通過を制御することができる。イオンが反応領域からドリフト領域に移動するのを防ぐために、それは、電圧供給器を動作させて、2つの電極106-1、106-2の間に電圧を印加して、イオンに対する障壁を生成してもよい。この電圧は、電圧プロファイルによる電界に対向する電界を提供してもよい。例えば、イオンゲート106の第2の電極106-2の電圧は、第2の電極106-2の位置におけるプロファイル電圧と一致するように制御されてもよく、一方で、イオンゲートの第1の電極106-1に異なる電圧を印加して、電圧プロファイルによる電界に対向する電界を提供してもよい。
【0030】
ゲート106を開くために、コントローラ200は、イオンゲートの2つの電極間のDC電圧がプロファイル電圧と一致するように、電圧供給器202を動作させてもよい。例えば、ゲートを開くために、第1の電極106-1にDC電圧が印加され、その電圧がその位置におけるプロファイル電圧と一致する(例えば、等しい)ようにすることができる。これにより、イオンが、第1の電極106-1の導体間の間隙を通過して、電極106-1、106-2間の領域129(
図2により明確に示される)に入ることができる。次いで、それらは、電極106-2の導体間の間隙を通って領域129から出て行き、コレクタ118に向かってドリフト方向に(例えば、電圧プロファイルを下って)移動し続けることができる。
【0031】
ただし、イオンは、電極106-1、106-2間の領域129にいる間、交流RF電界を受けることができる。例えば、コントローラ200は、ゲートを開いた状態で(例えば、プロファイル電圧と一致するように2つの電極106-1、106-2のDC電圧を制御して)、第1の電極106-1と第2の電極106-2との間にRF電圧を印加するように、電圧供給器202を動作させてもよい。例えば、RF電圧は、2つの電極106-1、106-2の間のDC電圧差に重畳されてもよい。
【0032】
コントローラ200及び電圧供給器202は、イオンゲート106の第1の電極106-1を、その以前のDC電圧(例えば、イオンの通過に対する障壁を生成するためのプロファイル電圧とは異なる)に戻すことによって、ゲートを閉じるように構成されてもよい。また、それらは、ゲートが閉じている際、ゲート電極106-1、106-2間のRF電圧をオフにするように構成されてもよい。
【0033】
ここで、
図3を参照して、
図1及び
図2に示される装置の操作を説明する。
【0034】
最初に、ガス状流体(例えば、ガス又は蒸気)の試料が入口からイオナイザに提供されてもよい(300)。
【0035】
次いで、試料をイオン化するために、イオナイザを操作して、反応領域内の試料と混合され得る反応物イオンを生成する(302)。イオンが反応領域103から離れるのを防ぐために、プロファイル電圧とは異なるDC電圧が、イオンゲート106-2の第1の電極106-1と第2の電極との間に印加される(304)。このDC電圧差は、電圧プロファイルに対向し、したがって、イオンが反応領域103から離れ、ドリフト領域104に沿って移動するのを防ぐ。
【0036】
次いで、イオンゲート106を開くことによって、イオンが反応領域からドリフト領域を下ってコレクタに移動することを可能にすることができる(306)。ゲートは、このようにして、選択された期間(ゲート幅と称する)開いた状態にされ、イオンパケットがゲートを通って移動することを可能にする。次いで、ゲートを閉じる(308)。この期間(ゲート幅)は、イオンパケットの幅を決定し、それ故、IMSセルの時間分解能に基本的限界を与え、典型的には約200マイクロ秒のゲート幅が用いられる。
【0037】
次いで、イオンパケットは、ドリフトガスの流れに逆らって、ドリフトチャンバに沿って(電圧プロファイルを下って)移動し、コレクタ118に向かって移動するにつれて、ドリフト方向に広がる場合があり、移動度が高いイオンほど速く移動する。したがって、イオンの飛行時間は、ドリフトガスを通過するイオンの移動度を示す。
【0038】
コントローラは、イオンのコレクタへの到達を示す信号をコレクタから受信することができ、これらの信号のタイミングとゲートを開くタイミングとを比較することによって、パケット内のイオンの飛行時間を決定することができる(310)。この飛行時間は、イオンの移動度に関する情報を順次推論し、それ故、イオンを同定するために使用され得る。
【0039】
ただし、本開示の文脈において、プラズマグラムにおけるピークは、ある一定の幅を有してもよく、他のピークを覆い隠したり、或いは他のピークと重なり合ったりしてもよい。さらに、特定のイオンは、反応領域のイオン及び/又は分子と結合してもよい。
【0040】
これらの理由及び他の理由のため、プラズマグラムからイオンを一意に同定することが可能ではない場合がある。この場合、コントローラは、実験を繰り返して実行することができ、例えば、第2のイオンパケット上の飛行時間の測定を繰り返すことができる。
【0041】
したがって、コントローラは、飛行時間データがイオンの同定に関して曖昧さを提供するか否かを決定することができる(312)。「否」の場合、飛行時間データに基づいて試料を同定することができる(314)。
【0042】
飛行時間データが試料の明確な同定を提供しない場合、イオンゲート106は、更なるイオンパケットが反応領域を離れることを可能にするために、再び開かれ得る(316)。この更なるイオンパケットは、上述した試料の入口108及びイオナイザ102の更なる操作によって生成され得る。
【0043】
したがって、一旦ゲートが開くと、この更なるイオンパケットは、反応領域から第1の電極106-1と第2の電極106-2との間の領域129に移動する。
【0044】
次いで、第1の電極106-1と第2の電極106-2との間にRF電圧が印加される(318)。これは、イオンをフラグメント化して娘イオンを提供する目的で、イオンの有効温度を上昇させることができる。典型的には、電極間に印加されるRF電圧が少なくとも2.5MHzであり、104Vcm-1のオーダーである。例えば、RF電圧は、約8MHz且つ約40000Vcm-1であってもよい。
【0045】
ゲートが開いている間、このフラグメント化によって生成された娘イオンは、(2つの電極106-1、106-2の間のDC電圧差の影響下で)改質領域からドリフト領域に移動することができる。
【0046】
ゲート幅の端部では、障壁電圧を再印加することによって、ゲートを閉じることができる(320)。この段階で、RF電圧がオフにされてもよい。次いで、娘イオンは、電圧プロファイルに沿ってコレクタに向かってドリフトガスを通過してドリフト領域を下流に移動することができる。
【0047】
次に、イオンゲートからコレクタへの娘イオンの飛行時間が決定され得る(322)。次いで、コントローラは、娘イオンの飛行時間、及び先行するイオンパケットの飛行時間を用いて、イオンの同定を試みることができる(314)。
【0048】
IMSセル100がゲート電極106-1、106-2にRF電圧を印加することなく動作される前述の動作サイクルは任意であることが本開示の文脈において理解されるのであろう。RF電圧は、それが印加されない前述のサイクルなしで印加され得る。
【0049】
有利には、ゲート及びイオン改質プロセスの両方に2つの電極のみが使用されるため、電極との衝突によるイオン損失が低減され得る。加えて、イオンゲートとコレクタとの間のドリフト時間は、イオン改質器がドリフトチャンバに沿ったある中間位置に配備されるシステムと比較して増加されてもよい。これらのことは、IMSシステムの選択度(例えば、類似の移動度を有する異なる種を区別する能力)を高めることができる。
【0050】
電極120a、120bは、コレクタ118に向かってイオンを誘導するように配置されてもよく、例えば、ドリフト電極120a、120bは、ドリフト領域104の周りに配置されるリングを有することによって、検出器118にイオンを集中させてもよい。
図1の例は、2つのドリフト電極120a、120bのみを含むが、いくつかの例では、複数の電極が使用されてもよく、又は単一の電極が検出器118と組み合わされて使用されてイオンを検出器118に向かって誘導する電界を印加してもよい。
図1において、第1の電極及び第2の電極は、ドリフト方向に離間するものとして説明したが、本開示の文脈において、同一平面上のイオンゲートが使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0051】
図4は、質量分析計の入口に用いられるイオン移動度型のイオン分離器の図である。
【0052】
図4に示す装置は、
図1及び
図2を参照して上述したものと、以下(a)乃至(c)を除いて同一である。
(a)反応領域をドリフト領域から分離するイオンゲートは、標準的なBradbury-Nielsenゲート又はTyndall Powellゲート等の標準的なイオンゲートであってもよい。
(b)コレクタ118は存在せず、その場所には第1の電極106-1及び第2の電極106-2を備える第2のイオンゲート106があり、これは、
図1及び
図2に示すイオンゲート106を参照して上述したように動作することができる。
(c)出口は、第2のイオンゲートの後方に設けられ、第2のイオンゲートによってイオン分離器のドリフト領域104から分離される。
【0053】
したがって、コントローラは、第1のイオンゲート及び第2のイオンゲートを開く相対的なタイミングを制御することによって、ドリフトガス内のイオンの移動度に基づいて、イオンの試料の一部を選択してもよい。例えば、第2のイオンゲートを開くタイミングは、第1のイオンゲートを開くタイミングに基づいて選択され、ドリフトチャンバに沿った特定の飛行時間(及び/又は選択された1つ又は複数の飛行時間の範囲)を有するイオンのみが出口に通過することを可能にしてもよい。
【0054】
出口は、質量分析計の入口への接続に適合された毛細管又は他の導管を含むことができる。イオンガイドのようなイオン集束装置が、この狭い通路に沿ってイオンを導くように配置されてもよい。第2のイオンゲート106は、ドリフト領域と分離器の出口との間に配置され、それらの間に制御可能な障壁を提供する。
【0055】
第2のイオンゲート106の2つの電極106-1、106-2は、イオン移動度分離器のドリフト方向に離間している。
【0056】
したがって、図示するように、
図4のイオン移動度型のイオン分離器は、蒸気又はガス等のガス状流体の試料を得るための、ピンホール状又は膜状の入口等のイオン源と、試料をイオン化するためのイオナイザと、を備える。
図1に示した装置と同様に、イオナイザは、コロナ放電素子又は放射性源等のイオン源を含んでもよい。いくつかの実施形態では、試料は、イオン化反応ガスを使用してイオン化されてもよい。
【0057】
動作中、コントローラは、入口を動作させて試料を反応領域に引き込み、イオナイザを動作させて、典型的には反応領域内の試料と混合するための反応イオンを生成することによって、試料をイオン化する。
【0058】
次いで、第1のイオンゲートを開くことによって、イオンパケットがドリフト領域に沿って第2のイオンゲートに向かって移動することを可能にする。本開示の文脈において、このイオンパケットは、パケット内のイオンの移動度の違いのために、ドリフトチャンバに沿って移動することにつれて、長手方向に分離されることが理解されるのであろう。
【0059】
最初に、第2のイオンゲート106は、第2のイオンゲートの2つの電極106-1、106-2の間に障壁電圧を印加することによって、閉じたままにされてもよい。これにより、第2のイオンゲートに到達したイオンが第1の電極106-1上で中和され、それ故、出口に到達して出口を介して分離器から離れることを防ぐことができる。障壁電圧は、第1の電極106-1における電圧プロファイルと一致する電圧を含む。これは、ドリフト領域の電圧プロファイルの擾乱を低減するのに役立つことがある。
【0060】
その後、第2のイオンゲート106は、(例えば、第2の電極106-2の電圧も電圧プロファイルと一致させることによって)開かれ、第1の電極106-1に到達するイオンを出口に向かって前方に移動させることができる。第2のイオンゲート106が開いている間に、イオンは、第2のイオンゲートの2つの電極間の改質領域に移動することができる。
【0061】
この期間中、RF電圧が2つの電極間に印加され、イオンが領域を通過する際にイオンをフラグメント化する。したがって、このフラグメント化から生成された娘イオンは、質量分析計の入口を通過するために出口に供給され得る。
【0062】
次いで、ゲートを再び閉じて、更なるイオン(例えば、イオンの選択された部分の後に到達するイオン)を中和し、それらが出口に到達するのを防ぐことができる。
【0063】
上述のように、第2のイオンゲートを開くステップは、第2のイオンゲートの2つの電極間にDC電圧差を印加するステップを含んでもよい。このDC電圧差は、電圧プロファイルと一致してもよく、その結果、ドリフト領域に沿った出口への電界は、第2のゲートが開いている時に均一であってもよい。イオンをフラグメント化するために、2つの電極106-1、106-2の間に印加されるRF電圧は、それらの間のDC電圧差に重畳されてもよい。
【0064】
2つの電極106-1、106-2の間のRF電圧は、少なくとも2.5MHzの周波数を有してもよい。一実施形態では、周波数が少なくとも3MHz、又は少なくとも5MHzであり、いくつかの実施形態では、少なくとも6MHzである。一実施形態では、周波数は100MHz未満であり、いくつかの実施形態では、周波数は50MHz未満であり、いくつかの実施形態では、周波数は20MHz未満であり、いくつかの実施形態では、周波数は15MHz未満又は10MHz未満である。例えば、周波数は、3MHzと20MHzの間、又は6MHzと12MHzの間であってもよい。いくつかの例では、周波数は約8MHzである。
【0065】
電圧供給器は、2つのゲート電極106-1、106-2の電圧を、選択された位相差でゲート幅の間で変化させるように制御してもよく、例えば、電圧コントローラは、一方の電極の正の電圧エクスカーションが他方の電極の負の電圧エクスカーションの間に生じるように、2つのゲート電極106-1、106-2の電圧を制御してもよい。例えば、電圧供給器は、2つのゲート電極106-1、106-2の電圧を制御して、逆位相で変化させることができる。2つの電極の電圧エクスカーションは、同じ振幅であってもよい。
【0066】
上述した説明から、図面に示される実施形態は、単に例示的なものであり、本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載されるように、一般化され、除去され、又は置換され得る特徴を含むことが理解されるのであろう。一般に図面を参照すると、概略機能ブロック図が本明細書で記載されるシステム及び装置の機能を示すために使用されることが理解されるのであろう。しかしながら、機能は、このように分割される必要はなく、以下に記載され、特許請求されるもの以外のハードウェアの特定の構造を暗示すると解釈されるべきではないことが理解されるのであろう。図面に示される要素のうちの1つ又は複数の機能は、本開示の装置全体にわたって更に細分され及び/又は分散され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、図面に示されている1つ又は複数の要素の機能が単一の機能ユニットに統合されてもよい。いくつかの例では、コントローラの機能が汎用プロセッサによって提供されてもよく、汎用プロセッサは本明細書に記載のもののうちのいずれか1つによる方法を実行するように構成されてもよい。いくつかの例では、コントローラがフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)等のデジタルロジック、又は任意の他の適切なハードウェアを備えることができる。いくつかの例では、1つ以上のメモリ素子が本明細書に記載の動作を実施するために使用されるデータ及び/又はプログラム命令を記憶することができる。本開示の実施形態は、本明細書に記載の及び/若しくは特許請求の範囲で請求した方法のうちの任意の1つ以上を実施するプロセッサをプログラムするよう、並びに/又は本明細書に記載の及び/若しくは特許請求の範囲で請求したデータ処理装置を提供するよう動作可能なプログラム命令を有する、有形の非一時的記憶媒体を提供する。コントローラは、この制御機能の少なくとも一部を提供するアナログ制御回路を備えてもよい。一実施形態は、本明細書で説明される方法のうちの任意の1つ又は複数を実行するように構成されたアナログ制御回路を提供する。
【0068】
上記の実施形態は、例示的な例として理解されるべきである。さらなる実施形態が想定される。任意の1つの実施形態に関連して記載された任意の特徴は、単独で又は記載された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴又は任意の他の実施形態の任意の組み合わせと組み合わせて使用されてもよいことが理解されるべきである。さらに、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明されていない均等物及び改変物を使用することもできる。