(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】自動化されかつ汚染なしにサンプリングおよび分析するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20240110BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240110BHJP
G01N 21/359 20140101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N1/28 T
G01N1/00 101B
G01N21/359
(21)【出願番号】P 2021525074
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 DK2019050335
(87)【国際公開番号】W WO2020094199
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-25
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】521195054
【氏名又は名称】エトリネ エ・ペー・エス
【氏名又は名称原語表記】ATLINE ApS
【住所又は居所原語表記】Fjordvej 108, Strandhuse, 6000 Kolding, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クニープ イェーゲンセン
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-267423(JP,A)
【文献】特開平07-008773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0000202(US,A1)
【文献】特表2011-504368(JP,A)
【文献】特表2017-528283(JP,A)
【文献】特開昭61-269022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/28
G01N 1/00
G01N 21/359
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放側を有する試料容器(13)をハンドリングするためのデバイスであって、
一方の端部に配置された開口(4)を有する内側チャンバ(3)を有するヘッド(1)であって、前記内側チャンバは、前記内側チャンバの長手方向軸線に対して垂直な実質的に一定の断面形状を有し、前記開口は、前記長手方向軸線に対して実質的に垂直に延びている、ヘッド(1)と、
前記内側チャンバ内に配置されたロータ(6)のパーツと、
前記ロータのパーツを前記長手方向軸線周りに回転させるために配置されたロータ駆動手段(7)と、
前記長手方向軸線に沿って前記ロータを変位させるように配置されたロータ変位手段
と、
前記内側チャンバの前記断面形状に対応する断面形状の縁部パーツ(9)を有するピストン(5)と、
前記ピストンの前記縁部パーツが前記内側チャンバの壁(10)を擦過するように、前記長手方向軸線に沿って前記ピストンを変位させるように配置されたピストン変位手段
と、
を備え、
前記デバイスは、
前記試料容器の前記開放側が前記内側チャンバの前記開口と接続されるように、前記試料容器を支持するために配置されたホルダ(11)と、
前記ヘッドの向きを、前記内側チャンバの前記開口が上方に向いた位置と、前記内側チャンバの前記開口が下方に向いた位置との間で切り替えるために配置されたヘッド駆動手段(2)と、
をさらに備え
、
前記ホルダは、試料を含むとともに前記試料を配置する試料容器を、前記試料容器の前記開放側が前記内側チャンバの前記開口と密に接続されるように取り戻し、そのような位置(15)から前記試料容器を取り除き、前記試料容器を第2の位置(16)に配置するように、前記ヘッドに対して移動可能である、
デバイス。
【請求項2】
前記ロータは、粉砕手段
を備え、これによって、前記ロータは、前記ロータ駆動手段による回転の際に、前記内側チャンバ内に位置する試料を粉砕するために適している、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記ピストンの前記縁部パーツは、エラストマー
から形成されている、請求項1または2記載のデバイス。
【請求項4】
少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備える、請求項1から3までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項5】
前記ピストンと前記ロータとは、同時に変位されるように配置されており、前記ピストン変位手段は、前記ロータ変位手段をも構成している、請求項1から4までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項6】
前記ホルダは、2つの試料容器を同時に支持するために配置されており、両方の試料容器を同時に移動させ、前記内側チャンバの前記開口に対する両方の試料容器の相互の位置(15,16)を切り替える、請求項
1から5までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項7】
前記ホルダは、前記デバイスの前記ヘッドに配置されており、前記ホルダの移動を駆動するためのホルダ駆動手段(14,19)を備えている、請求項
1から6までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備え、
前記ホルダの動作は、前記制御手段によって制御される、請求項
1から
7までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項9】
前記ホルダによって保持された試料容器内に洗浄液を吐出するために配置された液体ディスペンサ(21)をさらに備える、請求項1から
8までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項10】
前記ホルダによって保持された試料容器に向けて乾燥空気流を提供するために配置された乾燥手段(22)をさらに備える、請求項1から
9までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項11】
前記ホルダによって保持された試料容器を空にするために配置された吸引手段をさらに備える、請求項1から
10までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項12】
前記ホルダによって保持された試料容器内に位置する試料の上面をスキャンするために配置されたスキャナ(20)をさらに備える、請求項1から
11までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項13】
試料容器の内容物を前記試料容器の透明な底部を通してスキャンするために配置された光学分析システム(18)
をさらに備え、前記ホルダは、前記光学分析システムによってスキャンされるように試料容器を位置決めするように配置されている、請求項1から
12までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項14】
前記光学分析システム(18)は、近赤外分光器である、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備え、
前記デバイスの前記制御手段は、光学分析システム(18)
のデータ通信インタフェースと接続するために適したデータ通信インタフェースを備え、前記デバイスの前記制御手段は、前記試料容器の前記内容物を識別するデータを前記試料容器の前記内容物のスキャン前に前記光学分析システム(18)の制御手段に転送するために適合されている、請求項
13または14記載のデバイス。
【請求項16】
前記デバイスの前記制御手段は、近赤外分光器のデータ通信インタフェースと接続するために適したデータ通信インタフェースを備える、請求項14を引用する請求項15記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスは、少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ヘッドが、前記内側チャンバの前記開口が上方に向いた位置にあり、該位置において、前記ロータ駆動手段が、前記ロータをある期間回転させるように操作され、次いで、前記ヘッドおよび前記ホルダの向きが、前記内側チャンバの前記開口が下方に向いた位置に切り替えられ、該位置において、前記ロータ変位手段および前記ピストン変位手段が、前記ロータおよび前記ピストンを前記内側チャンバの前記開口に近い位置に移動させるように操作され、前記ホルダが、前記試料容器を、前記内側チャンバの前記開口と密に接続された位置から取り除く順序で、前記デバイスの動作を制御するように配置されている、請求項1から
16までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項18】
前記デバイスは、少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ヘッドが、まず、前記内側チャンバの前記開口が下方に向いた位置にあり、前記ホルダが、前記試料容器の前記開放側が前記内側チャンバの前記開口と密に接続されるように試料容器を配置するように操作され、その後、前記ヘッド駆動手段が、前記ヘッドおよび前記ホルダの向きを、前記内側チャンバの前記開口が上方に向いた位置に切り替えるように操作される順序で、前記デバイスの動作を制御するように配置されている、請求項
17記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスは、少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備え、
前記ロータは、粉砕エッジおよび鋭くない背をそれぞれ有する1つまたは複数のブレードを備え、前記制御手段は、前記粉砕エッジが順方向に移動する第1の方向に回転し、次いで、前記背が順方向に移動する逆回転が行われるように、前記ロータの動作を制御するように配置されている、請求項1から
18までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスは、少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備え、
前記デバイスは、前記ホルダによって保持された試料容器内に洗浄液を吐出するために配置された液体ディスペンサ(21)をさらに備え、
前記制御手段は、前記ヘッドが、前記内側チャンバの前記開口が下方に向けられ、試料容器が前記ホルダにより、前記試料容器の前記開放側へのアクセスが可能である位置に保持された位置にあり、前記ヘッドが、前記洗浄液を前記試料容器内に吐出するように動作する前記液体ディスペンサの下方の位置に移動し、その後、前記ホルダが、前記試料容器の前記開放側を前記内側チャンバの前記開口と密に接続させるように移動し、前記ロータおよび前記ピストンが、前記ロータ変位手段および前記ピストン変位手段によって変位され、これにより、前記ロータが前記試料容器内に延び、前記ロータが前記ロータ駆動手段によって回転され、次いで、前記ホルダを移動させて、前記試料容器を前記内側チャンバの前記開口との密な接続から取り外し、前記試料容器を空にし、前記乾燥手段が前記試料容器内に乾燥空気流を提供するように操作される前記乾燥手段に対する位置に前記ヘッドを移動させる順序で、前記デバイスを動作させるように配置されている、請求項
10記載のデバイス。
【請求項21】
前記ヘッド(1)が接続され、ヘッド駆動手段(2)として働くロボットアーム(2)を備える、請求項1から
20までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項22】
前記デバイスは、少なくとも前記ロータ駆動手段、前記ロータ変位手段、前記ピストン変位手段および前記ヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段をさらに備え、
複数の試料容器を保持するためのカルーセルと、前記カルーセルの回転を駆動するためのカルーセル駆動手段とをさらに備え、前記デバイスは、前記ホルダ(11)によって前記カルーセルから試料容器を取り戻すために適合されており、前記カルーセル駆動手段の動作は、前記デバイスの前記制御手段によって制御される、請求項1から
21までのいずれか1項記載のデバイス。
【請求項23】
システムであって、請求項
13から
22までのいずれか1項記載のデバイスと、少なくとも1つの機器
であって、前記機器の光学分析システムによる物質の流れのインライン光学分析のための機器と、を備え、前記機器の制御手段は、前記デバイスの光学分析システムから、物質のスキャンに基づくデータを受け取り、前記データに基づき、前記機器の前記光学分析システムを校正するように適合されている、システム。
【請求項24】
前記インライン光学分析のための少なくとも1つの機器は、近赤外分光器である、請求項23記載のシステム。
【請求項25】
試料を粉砕しかつ前記試料を分析システムに提供するための、請求項1から
22までのいずれか1項記載のデバイスの使用。
【請求項26】
前記分析システムは、光学分析システム
である、請求項
25記載の使用。
【請求項27】
前記光学分析システム(18)は、近赤外分光器である、請求項26記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料容器を自動化してハンドリングするためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
試料は、ペレット形態、粒状などの製品、例えば、動物用飼料の生産から取られ、製品の品質の監視のために分析される。試料は、自動分析を実施するために、製品処理ラインから直接取られる場合がある。光学分析、例えば近赤外反射(NIR)による分光写真分析に供される試料は、分析の正確さを向上させるために、粉状の形態で提供する必要がある。この理由のために、試料の粉砕が必要になることが多い。
【0003】
米国特許出願公開第2008/203201号明細書は、農業試料の粉砕および一様な混合のためのグラインダユニットを含む農業試料粉砕システムを開示している。このシステムはさらに、グラインダユニットの側部から延びる移送用スパウトに接続された収集チャンバを含んでいる。収集チャンバは、移送用スパウトを介してグラインダユニットから吐出された、粉砕され一様に混合された農業試料を収集するためのものである。このシステムは、粉砕され一様に混合された農業試料を収集チャンバ内に堆積させ、それにより、試料の一様な混合物を維持する。
【0004】
米国特許第5,580,007号明細書には、例えば研究エリアでの、材料のカット、粉砕、および/または混合のためのデバイスが開示されており、ブレードが、材料を包含する作業チャンバ内で回転する。このブレードは、材料の処理の間、作業チャンバの容量を徐々に低減させるために、作業チャンバ内にピストンとともに下降される。
【0005】
国際公開第2004/003525号には、選択された試料を粉砕し、この試料を分析システムに提供するためのデバイスが開示されている。このデバイスは、粉砕チャンバであって、この粉砕チャンバ内で試料を粉砕するための粉砕手段を有する粉砕チャンバと、NIR(近赤外反射)分析システムに試料を提供するために、粉砕チャンバ内の試料を分析ウインドウに向けて押圧するための押圧手段と、を備えている。
欧州特許出願公開第2227123号明細書には、チーズおよび類似の稠度を有する製品用のデバイスが開示されている。このデバイスは、オーバラップしていない2つのセクションと、内容物を混合するために適合させられた混合セクションと、内容物に圧力を加えるために適合させられた圧力セクションとを備えて配置された試料チャンバを備えている。混合セクションは、圧力セクションよりも大きな直径を有している。
混合セクション内には、成分を撹拌しかつ処理してチーズにするために、撹拌手段が配置されている。その後、処理された成分は圧力セクションに移送され、そこで、試料が、圧力手段を用いて押圧状態に加圧される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましくは粉砕手段を備えたロータを含む内側チャンバを備えたヘッドと、このヘッドを反転させるために配置された駆動手段、例えばロボットアームとを有し、これにより、ヘッドが、1つの位置において、試料を収容し、この試料をロータで処理することができ、別の位置において、内側チャンバの面を擦過するために内側チャンバ内に配置されたピストンの補助により、内側チャンバから試料容器内に自動的に試料を排出することができ、試料容器が、次いで、光学分析システム、特に通常の研究所で使用するための標準的な光学分析システム上に配置されてよい、デバイスに関する。このデバイスは、試料容器および内側チャンバの自動化された洗浄のために配置することもできる。
【0007】
代替的な使用では、試料は、光学分析システムによる試料の分析前に、ロータによる処理、例えば試料の粉砕を必要としない条件にある。代替的な使用では、デバイスのヘッドは、試料容器をハンドリングし、試料容器の自動的な洗浄と、試料の粉砕を伴わない他の機能とを実施する。
【0008】
したがって、本発明は、開放側を有する試料容器をハンドリングするためのデバイスであって、
一方の端部に配置された開口を有する内側チャンバを有するヘッドであって、内側チャンバが、内側チャンバの長手方向軸線に対して垂直な実質的に一定の断面形状を有し、開口が、前記長手方向軸線に対して実質的に垂直に延びている、ヘッドと、
前記内側チャンバ内に配置されたロータのパーツと、
前記ロータのパーツを前記長手方向軸線周りに回転させるために配置されたロータ駆動手段と、
長手方向軸線に沿ってロータを変位させるように配置されたロータ変位手段と、
内側チャンバの断面形状に対応する断面形状の縁部パーツを有するピストンと、
ピストンの縁部パーツが内側チャンバの壁を擦過するように、長手方向軸線に沿ってピストンを変位させるように配置されたピストン変位手段と、
を備え、
デバイスが、
試料容器の開放側が内側チャンバの開口と接続されるように、試料容器を支持するために配置されたホルダと、
ヘッドの向きを、内側チャンバの開口が上方に向いた位置と、内側チャンバの開口が下方に向いた位置との間で切り替えるために配置されたヘッド駆動手段、例えばロボットアームと、
をさらに備える、デバイスに関する。
【0009】
ヘッドの向きを切り替えることを可能にすることにより、内側チャンバは、開口が上方に向いた状態にされた場合、試料で充填することができ、この向きにおいて、試料はロータによって処理され、それにより、試料粒子、ペレットなどが、ロータの上下に自在に移動することができる。それにより、試料の均一な処理が促進される。また、内側チャンバは、開口が下方を向き、処理された試料が、変位ピストンの縁部パーツにより内側チャンバの壁を擦過することによって補助されて試料容器内に落下するようにヘッドの向きを切り替えることにより、再び空にすることができる。
【0010】
このデバイスは、生成された物質の品質を観察するために、実行中の生産から取られた物質を自動化しかつ汚染なしにサンプリングしかつ分析することを提供するために使用することができる。
【0011】
ピストンとロータとは、独立して変位されてよいが、デバイスの簡略化のために、ピストン変位手段がロータ変位手段をも構成するように、ピストンとロータとの2つが同時に変位されるように配置されていることが好ましい。
【0012】
ロータは、好ましくは、粉砕手段、例えば、1つまたは複数のナイフによる1つまたは複数の粉砕エッジを備え、これにより、ロータは、ロータ駆動手段による回転の際に、内側チャンバ内に位置する試料を粉砕するために適している。
【0013】
ピストンの縁部パーツは、好ましくは、エラストマー、例えば天然ゴム、合成ゴム、シリコンゴムまたは前記エラストマーの1つまたは複数を含む混合物から形成されているが、代替的には、例えば、内側チャンバの壁に向かって弾性的に付勢された1つまたは複数の鋼製リングから形成することもできる。
【0014】
デバイスは、好ましくは、少なくともロータ駆動手段、ロータ変位手段、ピストン変位手段およびヘッド駆動手段の動作を制御するように配置された制御手段を備え、それにより、デバイスによって実施されるプロセスを少なくとも部分的に自動化することができ、好ましくは完全に自動化することができる。
【0015】
ホルダは静止させることができ、それにより、外部のグリッパまたはユーザが、試料容器をホルダに配置することができる。しかし、ホルダは、試料を含むとともに試料を配置する試料容器を、試料容器の開放側が内側チャンバの開口と密に接続されるように取り戻し、そのような位置から試料容器を取り除き、試料容器を、例えば試料の分析のための第2の位置に配置するように、ヘッドに対して移動可能であることが好ましい。
【0016】
ホルダは、好ましくは、2つの試料容器を同時に支持するために配置されており、両方の試料容器を同時に移動させ、内側チャンバの開口に対する両方の試料容器の相互の位置を切り替える。これにより、デバイスの効率を向上させることができ、例えば、1つの試料容器をその分析後に分析システムから除去し、この試料容器を、ヘッドが同じ位置にある状態で別の試料容器と交換することができる。新たな試料容器の内容物が分析システムによって分析されている間、別の試料容器は洗浄のために除去することができ、ヘッドは、別の試料を処理するように適用させることができる。
【0017】
ホルダは、好ましくは、デバイスのヘッドに配置され、ホルダの移動を駆動するためのホルダ駆動手段を備えている。これにより、ホルダとヘッドとを同時に移動させることができる。
【0018】
ホルダの動作も、好ましくは、制御手段によって制御される。
【0019】
デバイスは、ホルダによって保持された試料容器内に洗浄液を吐出するために配置された液体ディスペンサをさらに備えていてよい。
【0020】
また、デバイスは、ホルダによって保持された試料容器に向けて乾燥空気流を提供するために配置された乾燥手段をさらに備えてもよい。
【0021】
デバイスは、試料と、試料容器を浄化するために適用される任意の可能な液体とを除去するために、ホルダによって保持された試料容器を空にするために配置された吸引手段をさらに備えていてよい。
【0022】
デバイスは、ホルダによって保持された試料容器内に位置する試料の上面をスキャンするために配置されたスキャナをさらに備えていてよい。スキャナは、光学スキャナまたは代替的には超音波スキャナであってよい。スキャナは、好ましくは、試料容器がのちの分析のために試料で十分に充填されているかを判定するために、試料の上面の高さを検出するために配置されている。
【0023】
デバイスは、好ましくは、試料容器の内容物を試料容器の透明な底部を通してスキャンするために配置された光学分析システム、特に近赤外分光器を備え、ホルダは、光学分析システムによってスキャンされるように試料容器を位置決めするように配置されている。光学分析システムは、代替的には、試料の上面が、試料容器の開いた頂部を通してスキャンされるタイプであってよい。しかし、デバイスは、光学分析システムが実際にデバイスに備えられることなく、そのような外部の光学分析システムとともに操作されてよい。
【0024】
デバイスの制御手段は、本発明の特定の実施形態では、光学分析システム、特に近赤外分光器、例えばデバイスに含まれる光学分析システムのデータ通信インタフェースと接続するために適したデータ通信インタフェースを備え、デバイスの制御手段は、試料容器の内容物を識別するデータを試料容器の内容物のスキャン前に光学分析システムの制御手段に転送するために適合されている。これにより、デバイスは、様々な物質の範囲の試料の分析で動作するために適合されており、ここで、デバイスの制御手段は、試料容器に含まれた物質を識別するデータを転送することにより、全体の動作を制御し、光学分析システムからの出力を、試料内の特定の物質に関連する校正データを使用して計算することを保証することができる。
【0025】
デバイスの制御手段は、好ましくは、ヘッドが、内側チャンバの開口が上方に向いた位置にあり、この位置において、ロータ駆動手段が、ロータをある期間回転させるように操作され、次いで、ヘッドおよびホルダの向きが、内側チャンバの開口が下方に向いた位置に切り替えられ、この位置において、ロータ変位手段およびピストン変位手段が、ロータおよびピストンを内側チャンバの開口に近い位置に移動させるように操作され、ホルダが、試料容器を、内側チャンバの開口と密に接続された位置から取り除く順序で、デバイスの動作を制御するように配置されている。これにより、デバイスは、ロータにより、内側チャンバ内に配置された試料を自動的に処理するために適しており、その後、ヘッドを反転させ、内側チャンバの壁を擦過するようにピストンを作動させることにより、内側チャンバの内容物が試料容器内に排出される。
【0026】
さらに、制御手段は、ヘッドが、まず、内側チャンバの開口が下方に向いた位置にあり、ホルダが、試料容器の開放側が内側チャンバの開口と密に接続されるように試料容器を配置するように操作され、その後、ヘッド駆動手段が、ヘッドおよびホルダの向きを、内側チャンバの開口が上方に向いた位置に切り替えるように操作される順序で、デバイスの動作を制御するように配置されている。これにより、内側チャンバは、前述のように、ロータにより試料の後処理のために試料容器からの試料で充填されている。
【0027】
デバイスの制御手段は、例えば試料のペレットの硬さを判定するために配置されていてよく、この場合、ロータは、粉砕エッジおよび鋭くない背をそれぞれ有する1つまたは複数のブレードを備え、制御手段は、粉砕エッジが順方向に移動される第1の方向に回転し、次いで、背が順方向に移動される逆回転が行われるように、ロータの動作を制御するように配置されている。逆回転の間のロータ駆動手段の電力消費を測定することにより、試料の現在の状態、例えば部分的に処理された試料内の粒子の一般的なサイズを評価することができ、それにより、例えばペレットの硬さの測定値を判定することができる。
【0028】
制御手段は、さらに、試料容器を洗浄するようにさらに配置されていてよい。すなわち、ヘッドが、内側チャンバの開口が下方に向けられ、試料容器がホルダにより、試料容器の開放側へのアクセスが可能である位置に保持された位置にあり、ヘッドが、洗浄液を試料容器内に吐出するように操作される液体ディスペンサの下方の位置に移動し、その後、ホルダが、試料容器の開放側を内側チャンバの開口と密に接続させるように移動し、ロータおよびピストンが、ロータ変位手段およびピストン変位手段によって変位され、これにより、ロータが試料容器内に延び、ロータがロータ駆動手段によって回転され、次いで、ホルダを移動させて、試料容器を内側チャンバの開口との密な接続から取り外し、試料容器を空にし、乾燥手段が試料容器内に乾燥空気流を提供するように操作される乾燥手段に対する位置にヘッドを移動させる順序で、デバイスの動作を制御するようにさらに配置されていてよい。
【0029】
試料容器は、この試料容器を適切な位置で反転させるかまたは試料容器の内容物を除去するための吸引手段を適用することにより空にされてよい。
【0030】
デバイスは、好ましくは、ヘッドが接続され、ヘッド駆動手段として働くロボットアームを備え、デバイスの制御手段は、好ましくは、組み込まれた制御機器によって直接またはロボットアームの制御システムと通信することによりロボットアームを制御する。
【0031】
特に好ましい実施形態では、デバイスは、複数の試料容器を保持するためのカルーセルと、カルーセルの回転を駆動するためのカルーセル駆動手段とを備え、デバイスは、ホルダによってカルーセルから試料容器を取り戻すために適合されており、カルーセル駆動手段の動作が、デバイスの制御手段によって制御される。これにより、デバイスは、自動化された機器またはオペレータにより、カルーセルに配置された複数の異なる試料の分析のために使用され、分析のために試料を1つずつ準備することができる。この事例では、デバイスの制御手段に、前述したような光学分析システム、特に近赤外分光器のデータ通信インタフェースとの接続に適したデータ通信インタフェースが設けられていることが特に好ましい。なぜならば、異なる試料は、異なる物質によることが多く、このことは、光学分析システムに関して個別の校正データを使用することを必要とするからである。
【0032】
本発明はさらに、システムであって、本明細書に開示のデバイスと、少なくとも1つの機器、特に近赤外分光器であって、機器の光学分析システムによる物質の流れのインライン光学分析のための機器と、を備え、機器の制御手段が、デバイスの光学分析システムから、物質のスキャンに基づくデータを受け取り、データに基づき、機器の光学分析システムを校正するように適合されている、システムに関する。インライン光学分析機器は、例えばパイプを通して物質が移送される間に物質を分析するために適しており、その理由のために、本明細書に開示のデバイスほど確実ではない。したがって、デバイスおよび光学分析システムによって実施される、同じ物質の流れからの試料のより確実な分析のためのデータであって、インライン機器によって分析される物質の流れから試料が取得された時点に関するタイムスタンプを有するデータをインライン光学分析機器に提供することにより、データを、ほぼ同じ時点でインライン機器自体によって得られたデータと比較するときに、機器の校正を行うことができる。
【0033】
本発明はさらに、試料を粉砕しかつ試料を分析システムに提供するための、本明細書に開示のデバイスの使用にも関する。
【0034】
この使用には、分析システムが、光学分析システム、特に近赤外分光器であることが含まれてよい。
【0035】
本発明はさらに、本明細書に開示のデバイスによって試料を粉砕しかつ試料を分析システムに提供するための方法に関する。
【0036】
本発明の一実施形態が添付の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】ヘッドの内側チャンバの開口が上方を向いた位置におけるデバイスのヘッドの図である。
【
図2】ヘッドの内側チャンバの開口が下方を向いた位置におけるデバイスのヘッドの図である。
【
図3】試料容器の内容物の表面をスキャンするための表面スキャナの下方に試料容器を位置決めするヘッドのホルダの図である。
【
図4】試料容器の重量を判定するための重量計に試料容器を位置決めするヘッドのホルダの図である。
【
図5】近赤外反射光学分析システムに試料容器を位置決めするヘッドのホルダの図である。
【
図6】洗浄液を試料容器内に吐出するための液体ディスペンサの下方に試料容器を位置決めするヘッドのホルダの図である。
【
図7】試料容器に乾燥空気流を提供する乾燥器の下方に試料容器を位置決めするヘッドのホルダの図である。
【
図8】内側チャンバの開口から離れた後退位置にあるピストンおよびロータを示す図である。
【
図9】内側チャンバの開口に近い伸展位置にあるピストンおよびロータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
添付の図面に示されるデバイスは、アーム2に配置されたヘッド1を備えている。アーム2は、好ましくはロボットアーム2であり、このアーム2は、
図1および
図2に示すように、ヘッドの向きを反転させたり、元に戻すための十分な自由度を有している。ヘッド1は、開口4を有する内側チャンバ3を備えている。開口4は、
図1では上方を向いており、
図2では下方を向いている。チャンバ3の内部断面は、実質的に円形であり、このチャンバ3は、ピストン5およびロータ6を含んでいる。ロータは、ロータ駆動手段7、典型的には電気モータによって駆動されてよいが、代替的には、例えば液圧モータまたは空気圧モータであってもよい。ピストン5およびロータ6は、変位手段8により、内側チャンバ3の長手方向、すなわち、上下方向に移動することもできる。また、変位手段8は、典型的には電気式の線形アクチュエータであってよいが、代替的には、液圧式または空気圧式の線形アクチュエータであってもよい。ピストン5は、エラストマー、好ましくはシリコンゴムから形成された縁部パーツ9、例えばOリングを備えており、それにより、ピストン5がチャンバ3内で前後に移動する際に、縁部パーツ9が内側チャンバ3の壁10を擦過して清浄化する。
【0039】
ヘッド1は、2つの試料容器13を保持するための2つのグリップパーツ12(図示せず)を有するホルダ11をさらに備えている。ホルダ11は、2つの試料容器13の位置が、試料容器13が内側チャンバ3の開口4と整列している第1の位置15と、試料容器13をスキャン、清浄化もしくは分析することができるかまたは試料容器13をグリップパーツ12から解放し、例えば重量計17および/または光学分析システム18に配置することができる第2の位置16との間で切り替えられるように、ホルダ11およびグリップパーツ12を回転させるための第1の駆動手段14を備えている。ホルダ11は、例えば試料容器13を内側チャンバ3の開口4の近くの第1の位置15に移動させて、試料容器13と開口4との間を密に接続するために適したホルダ変位手段19をも備えている。
【0040】
デバイスの作動時には、試料を2つの異なる方法で得ることができる。両者に関し、ピストン5とロータ6とは、試料が内側チャンバ3に入ることを可能にするように、
図8に示すように開口4から離れた位置に後退する。第1の方法では、試料は、弁の開口により、サンプリングおよびテストされる物質に関し、例えば移送用パイプから抽出される。開口からは、試料がヘッド1の内側チャンバ3に直接流れ込む。この場合、ヘッドは
図1に示すように位置決めされており、内側チャンバ3の開口4は上方に向けられている。第2の方法では、試料は弁などから、ヘッドが
図2に示すように位置決めされた第2の位置16で、ホルダ11によって保持された試料容器13内に流れ込む。ここで、内側チャンバ3の開口4は下方に向けられており、試料容器13は、試料を収容することができる。この第2の方法によれば、ホルダ11は、次いで、第1の駆動手段14によって回転され、それにより、試料を含む試料容器13が、内側チャンバ3の開口4のすぐ前方の第1の位置に配置され、次いで、ホルダ変位手段19が作動して、試料容器が、ヘッド1と密に接触するように移動させる。ヘッド1は、次いで、アーム2によって
図1に示す位置に回転される。この位置では、内側チャンバ3の開口4が上方に向けられている。
【0041】
試料がいずれかの方法で内側チャンバ3内に入れられた場合、ヘッド1は、
図1に示すように向けられ、内側チャンバ3の開口4が上方に向けられており、試料容器13がホルダ11によって第1の位置15に保持され、それにより、試料容器13がヘッド1と密に接続されるとともに開口4をカバーしている。
【0042】
任意選択的には、試料の量がテストのために十分であることを保証するために、内側チャンバ3への試料の充填が判定されてよい。このことは、ロータ6をゆっくり回転させるか、またはヘッド1を繰り返し傾けて、試料の分布をより一様にし、内側チャンバ3の内部の試料の表面を、例えば超音波センサ(図示せず)によってスキャンすることによって行うことができる。代替的または追加的には、ヘッド1が、アーム2によって回転され、第1の位置15に置かれた試料容器13内に試料が排出され、試料容器を第2の位置16に配置するようにホルダ11を回転させることによって、試料を含む試料容器13が重量計17上に配置され、試料容器13が重量計17内に配置されるように、ホルダ11とともにヘッド1を移動させ、ホルダ11のグリップパーツ12(図示せず)から試料容器13を解放し、これによって、内部に試料を含む試料容器13の重量を判定することができる。スキャニングと計量との両方が行われる場合には、試料の密度を概算することができる。その後、ホルダ11のグリップパーツ12によって重量計17上の試料容器13と係合し、試料容器13が第1の位置15にあるようにホルダ11を回転させ、ホルダ変位手段19によってヘッド1と密に接触するように試料容器13を移動させ、試料が内部キャビティ3内に落下するように、開口4が上方を向いた位置にヘッド1を回転させることにより、試料が内側チャンバ3に戻される。
【0043】
試料の粒子、例えばペレットなどの硬さをテストする必要がある場合には、ロータ6を、ペレットまたは粒子を部分的に分解するために、所定の期間順方向に回転させる。順方向という用語により、ロータ6が、鋭い粉砕エッジと、反対側の鋭くない背とを有するブレードを備えており、粉砕エッジが、順方向へのロータ6の回転で順方向に移動されることが理解される。その後、ロータ6は所定の回転速度で逆方向に回転し、部分的に分解された粒子またはペレットからの鋭くない背の、例えばロータ駆動手段7の電力消費によって測定される運動に対する抵抗が、粒子またはペレットの硬さを示す。
【0044】
試料を一様な粉末に粉砕するために、ロータ6は、所定の回転速度で順方向に回転し、電力消費がある期間一定になる時点を判定するために、ロータ駆動手段7の電力消費が監視される。電力消費が一定であることは、試料がもはやロータ7によって分解されていないことを示している。ヘッド1は、ここで、アーム2により、内側チャンバ3の開口4が下方に向けられた位置に回転され、ピストン5およびロータ6が、
図9に示すように、開口4に近い伸展位置に移動する。それにより、ピストン5の縁部パーツ9が内側チャンバ3の壁10を擦過し、壁10が清浄化され、すべての試料が、第1の位置15にある試料容器13に移送されたことを保証する。さらに、ピストン5は、これによって、試料容器13内の試料を押し固める。ロータ6は、次いで、試料容器13内で試料をより一様に分布させるために、低速で回転される。
【0045】
試料を保持する試料容器13は、ホルダ変位手段19によってホルダ11を移動させることにより、ヘッド1との密な接触から離され、ホルダ11は、第1の駆動手段14によって回転され、それにより、試料容器が第2の位置16に置かれる。ヘッド1は、アーム2により、
図3に示すように、試料容器が表面スキャナ20、例えば光学スキャナまたは超音波スキャナの真下にある位置に移動する。この表面スキャナ20は、試料が実質的に均一な分布であることを保証するために、試料の表面をスキャンし、それにより、試料容器の透明な底部のすべてが、のちの光学的な分析を正確に実施するために試料によってカバーされ、任意選択的には、試料の容量を判定する。
【0046】
次いで、試料容器13を、
図4に示すように、かつ前述のように、重量計17に移送し、試料の重量を判定することができる。試料の分解前にも試料の重量が測定される場合には、試料からの湿分の蒸発に起因する重量の損失が判定されてよい。試料の正確な密度は、試料の重量および容量から判定されてよい。
【0047】
試料容器13は、ホルダ11のグリップパーツ12と再び係合され、重量計17から持ち上げられ、アーム2によってヘッド1を移動させることにより、
図5に示すように近赤外(NIR)分析を使用する光学分析システム18上に配置される。試料容器13を光学分析システム18上に配置する前に、ホルダ11の自由なグリップパーツ12が移動して、光学分析システム18上にすでに配置された以前の試料容器13と係合し、ホルダ11を回転させることによって、この試料容器13を取り除き、新たな試料で充填されたばかりの試料容器13を光学分析システム18上に配置し、ホルダ11のグリップパーツ12から試料容器13を解放する。
【0048】
光学分析システム18上に配置された試料容器13の新たな試料の光学的な分析には幾分時間がかかり、この間、光学分析システム18から取り除かれたばかりの試料容器13を保持するヘッド1が、除去位置(図示せず)に移動する。この除去位置では、内側チャンバ3の開口4が下方を向くように、ヘッド1の向きが切り替えられ、それにより、ホルダ11のグリップパーツ12によって保持された試料容器13の開口も下方に向けられ、試料容器13の内容物が除去される。試料容器13内の試料が粘性のあるもの、例えば油分の含有量が高いことに起因して粘性である場合には、試料容器13の内部を擦過するための自動化されたスクレーパ(図示せず)が、除去位置に配置されてよい。除去位置には、代替的に、試料容器13を反転させる必要なしに試料容器13を空にするための吸引手段が備えられていてよい。吸引手段は、可能なスクレーパと置き換えられてもよい。
【0049】
空にされた試料容器13は、次いで、洗浄されてよい。サンプリングされる物質のタイプに応じて、洗浄は、各サンプリング後にまたは規則的なインターバルで、例えば5回または10回のサンプリングごとに行われてよい。洗浄手順は、洗浄されることになる試料容器13を有するヘッド1をアーム2によって、
図6に示す位置に移動させることによって開始される。この位置では、試料容器13が液体ディスペンサ21の下方にあり、ここで、洗浄液が試料容器13内に吐出される。液体は、例えば軟水、または溶剤と混合された水であってよい。ホルダ11は、次いで、試料容器13が第1の位置15にあるように、第1の駆動手段14によって回転され、その後、試料容器13がヘッド1と密に接触するように、ホルダ11がホルダ変位手段19によって移動される。ピストン5およびロータ6は、内側チャンバ3の開口4の付近の最も伸展した位置に配置されており、それにより、ロータ6が試料容器13内およびこの容器内の液体内に延びている。ロータ駆動手段7によってロータ6を回転させることにより、試料容器13の内側が全体的に洗浄される。ヘッド1は、洗浄後に除去位置(図示せず)に移動し、試料容器13が第2の位置16にあるように、ホルダが回転し、ヘッド1の位置ひいてはホルダ11によって保持された試料容器13の位置も、開口4が下方に向けられ、試料容器13内の液体が除去されるように切り替えられる。ヘッド1の位置が再び切り替えられ、ヘッド1は、アーム2によって
図7に示す位置に移動する。この位置では、ホルダ11によって第2の位置16に保持された試料容器13が、試料容器13の内部に向けて乾燥空気流を提供するために配置された乾燥器22の下方にある。その後、試料容器13が清浄化され、デバイスが、新たな試料の取得および分析のために準備される。デバイスには、浄化の質が十分であることを保証するように、清浄化された試料容器13を検査するために配置された視覚検査手段(図示せず)がさらに設けられていてよい。
【0050】
内側チャンバ3の壁10は、ロータ6およびピストン5とともに、洗浄を必要としてもよい。この洗浄は、類似の方法で達成されてよい。洗浄手順は、試料容器13を有するヘッド1をアーム2によって、
図6に示す位置に移動させることによって開始される。この位置では、試料容器13が液体ディスペンサ21の下方にあり、ここで、洗浄液が試料容器13内に吐出される。液体は、例えば軟水、または溶剤と混合された水であってよい。ホルダ11は、次いで、試料容器13が第1の位置15にあるように、第1の駆動手段14によって回転され、その後、試料容器13がヘッド1と密に接触するように、ホルダ11がホルダ変位手段19によって移動される。ヘッド1は、次いで、内側チャンバ3の開口4が上方を向くように、アーム2によって回転される。ピストン5およびロータ6は、
図8に示すように、内側チャンバ3の開口4から最も離れた後退位置に配置されている。ロータ駆動手段7によってロータ6を回転させることにより、内側チャンバ3の壁、ロータ6自体およびピストン5が十分に洗浄される。ヘッド1は、洗浄後に除去位置(図示せず)に移動し、ヘッド1は、液体が試料容器13内に集められるように、内側チャンバ3の開口4が下方に向いている位置にアーム2によって回転される。ホルダは、試料容器13が第2の位置16にあるように回転し、ヘッド1の位置ひいてはホルダ11によって保持された試料容器13の位置も、開口4が下方に向けられ、試料容器13内の液体が除去されるように切り替えられる。ヘッド1の位置が再び切り替えられ、ヘッド1がアーム2により、内側チャンバ3の開口4が、内側チャンバ3に向けて乾燥空気流を提供するために配置された乾燥器22の下方にある位置に移動する。その後、内側チャンバ3の内容物が清浄化され、デバイスが、新たな試料の取得および処理のために準備される。
【0051】
デバイスは、プロセスおよび試料の監視のための他のパーツおよびセンサ、例えば温度センサを備えていてよく、上述のプロセスのパーツ、例えば硬さ検出パーツは、分析されることになる物質のタイプと、取得することが望まれるサンプリングされた物質に関する情報とに応じて省略されてよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ヘッド
2 アーム
3 内側チャンバ
4 内側チャンバの開口
5 ピストン
6 ロータ
7 ロータ駆動手段
8 ピストンおよびロータに関する変位手段
9 ピストンの縁部パーツ
10 内側チャンバの壁
11 ホルダ
12 ホルダのグリップパーツ
13 試料容器
14 ホルダを回転させるための第1の駆動手段
15 試料容器の第1の位置
16 試料容器の第2の位置
17 重量計
18 近赤外(NIR)分析を使用した光学分析システム
19 ホルダ変位手段
20 表面スキャナ
21 液体ディスペンサ
22 乾燥器