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特許7416790高電力ワイヤレス電力システムにおける低電力励起のためのシステムと方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】高電力ワイヤレス電力システムにおける低電力励起のためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20240110BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20240110BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240110BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240110BHJP
   B60L 53/122 20190101ALI20240110BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240110BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20240110BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240110BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/70
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/122
B60L53/30
B60L53/62
B60L53/66
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021530888
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 US2019063616
(87)【国際公開番号】W WO2020113007
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】62/773,518
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513307922
【氏名又は名称】ワイトリシティ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】WITRICITY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エステバン, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ダニロビッチ, ミリサフ
(72)【発明者】
【氏名】シーリー, カイリー デブロ
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/128641(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/136491(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/176264(WO,A1)
【文献】特開2014-241719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0256991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
H02J 50/70
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/122
B60L 53/30
B60L 53/62
B60L 53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のための方法であって、前記送信機は、インピーダンスネットワークの入力に結合されたインバータと、前記インピーダンスネットワークの出力に結合された送信機共振器コイルとを含み、
前記インバータの入力に近接して結合された力率補正回路を無効にすることと、
達成可能な最小インピーダンスを得るために前記インピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントを調整することであって、前記可変インピーダンスコンポーネントは、前記達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスとの間で動作するように構成されている、調整することと、
前記インバータの1つ以上のトランジスタに関連する位相シフト角を調整することと、
前記送信機共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように前記送信機を駆動することと
を含む方法。
【請求項2】
前記ワイヤレス電力送信機が、80kHzと90kHzの間の動作周波数で高電力を送信するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤレス電力送信機が、500Wから20,000Wの間の電力レベルで電力を送信するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記送信機を駆動することが、固定低電圧源によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記送信機を駆動することが、前記送信機を30V以下で駆動することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記送信機を駆動することが、前記送信機を50W以下で駆動することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記市場安全閾値が10マイクロテスラから15マイクロテスラの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記位相シフト角を調整することが、
前記磁束密度が前記市場安全閾値以下になるように、前記位相シフト角を0度から180度の間で調整すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記位相シフト角を調整することが、
前記送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように前記位相シフトを調整することであって、前記電流制限は市場安全閾値に基づいている、調整すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記送信機を駆動することが、
前記送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように前記送信機を駆動することであって、前記電流制限は市場安全閾値に基づいている、駆動すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記電流制限が2アンペアである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1つ以上の測定コイルにおける誘導電圧または誘導電流に基づいて前記磁束密度を判定することであって、前記測定コイルは前記送信機共振器コイルから分離している、判定することと、
前記磁束密度を表す信号を前記送信機に接続されたコントローラに提供することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記送信機を駆動する前に、
前記送信機共振器コイルの近くに信機共振器コイルを有する車両の存在を示す信号を受信すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のためのシステムであって、
高電力の送信中に有効になり、低電力励起中に無効になるように構成されている力率補正回路と、
前記力率補正回路の出力に結合され、低電力励起中に前記ワイヤレス電力送信機の共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように、前記ワイヤレス電力送信機を駆動するように構成されている低電圧源と、
前記低電圧源の出力に結合され、少なくとも2つのトランジスタを含むインバータであって、前記トランジスタは各トランジスタの位相シフト角が低電力励起中に調整可能であるように制御されるように構成されている、インバータと、
前記インバータの出力に結合され、低電力励起中に達成可能な最小インピーダンスを得るように調整されるように構成されている少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントであって、前記可変インピーダンスコンポーネントは、前記達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスとの間で動作するように構成されている、少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントと
を含むシステム。
【請求項15】
前記ワイヤレス電力送信機が、80kHzと90kHzの間の動作周波数で高電力を送信するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ワイヤレス電力送信機が、500Wから20,000Wの間の電力レベルで電力を送信するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ワイヤレス電力送信機が、低電力励起中に50W以下で電力を出力するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記市場安全閾値が10マイクロテスラから15マイクロテスラの間である、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記振器コイルに結合され、電流特性を表す信号を前記ワイヤレス電力送信機のコントローラに提供するように構成されている電流センサであって、前記コントローラは、(i)前記少なくとも2つのトランジスタまたは(ii)前記少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントのうち少なくとも1つに動作可能に結合されている、電流センサ
をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記低圧源は、低電力動作中に、前記振器コイルの電流が電流制限以下になるように前記ワイヤレス電力送信機を駆動するように構成されており、前記電流制限は前記市場安全閾値に基づいている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Systems and methods fwor low power excitation in high power wireless power systems」と題され、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,518号の米国特許法119条(e)に基づく優先権および利益を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下の開示は、ワイヤレス電力システムにおける低電力励起のための方法およびシステム、より具体的には、高電力ワイヤレス電力送信機の低電力励起のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス電力システムは、振動電磁場を介して1つ以上のワイヤレス電力受信機に電力を送信するように構成された1つ以上のワイヤレス電力送信機を含むことができる。ワイヤレス電力受信機は、受信した電力がバッテリの充電に使用されるように、1つ以上のバッテリに結合することができる。ワイヤレス電力システムは、様々な電子デバイス(電話、ラップトップ、医療機器、車両、ロボットなど)に電力を供給するように構成できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ワイヤレス電力システムは、特定の電力、電流、および/または電圧範囲で電力を送信するように特別に構成することができる。これは、ある電力範囲のワイヤレス電力システムで使用される一部の電子コンポーネントが、別の電力範囲での動作に適していないか、最適化されていない可能性があるためである。例えば、低電力(例えば、ミリワットから数十ワットのオーダー)でワイヤレス電力送信機を駆動するのに使用されるトランジスタは、通常、より高いレベル(例えば、数百ワットから数千ワットのオーダー)の電力伝送を達成するために、より高いレベルの電流または電圧を処理するようには構成されていない。したがって、このようなトランジスタは、その電力範囲外で動作すると故障または損傷する。別の例では、力率補正(power factor correction,PFC)回路などのいくつかの電子コンポーネントは、高電力システムでは有益であるが、低電力範囲では非効率をもたらす可能性がある。したがって、高効率の電力伝送(例えば、電源から負荷までで90%を超える)を達成しようとする場合、特定のコンポーネントを使用することは有用ではない。
【0005】
場合によっては、特定の電力範囲(例えば、低電力)で動作するようにワイヤレス電力システムを構成することは、同じワイヤレス電力システムが大幅に異なる電力範囲(例えば、高電力)で動作するように以前に構成されている場合に困難になる可能性がある。したがって、ワイヤレス電力システムが異なる電力範囲(または「モード」)で動作すること、および/またはモードを切り替えることが有益であり得る。さらに、ワイヤレス電力システムにとって、効率の大幅な低下および/またはコストまたは物理的体積の大幅な追加(例えば、追加のまたは異なる電子コンポーネントによる)なしにそうすることが有益であり得る。例えば、ワイヤレス電力システムを、「高電力モード」(例えば、数千ワットに設定)で動作させて、大容量のバッテリ(例えば、車両のバッテリ)を充電したり、状況によっては、「低電力モード」(例えば、10ワット未満)で動作させて、本明細書でさらに説明するように、特定の機能、例えば、ワイヤレス電力送信機と受信機コイルとの間の測位を行うことは、有用であり得る。「高電力モード」は、本明細書では「ワイヤレス電力伝送(wireless power transmission)モード」または「WPTモード」と呼ばれることもある。
【0006】
一態様では、本開示は、高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のための方法を特徴とする。この送信機は、インピーダンスネットワークの入力に結合されたインバータと、インピーダンスネットワークの出力に結合された送信機共振器コイルとを含む。この方法は、インバータの入力に近接して結合された力率補正回路を無効にすること、およびインピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントを調整して、達成可能な最小インピーダンスを得ることを含むことができる。可変インピーダンスコンポーネントは、達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスの間で動作するように構成できる。この方法は、インバータの1つ以上のトランジスタに関連する位相シフト角を調整し、送信機共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように送信機を駆動することを含むことができる。
【0007】
例示的な方法の様々な実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0008】
ワイヤレス電力送信機は、80kHz~90kHzの間の動作周波数で高電力を送信するように構成できる。ワイヤレス電力送信機は、500W~20,000Wの電力レベルで電力を送信するように構成できる。送信機の駆動は、固定低電圧源で実行できる。送信機の駆動には、30V以下での送信機の駆動が含まれ得る。送信機の駆動には、50W以下での送信機の駆動が含まれ得る。市場安全閾値は、10マイクロテスラから15マイクロテスラの間であり得る。
【0009】
位相シフト角の調整には、磁束密度が市場安全閾値以下になるように、位相シフト角を0度から180度の間で調整することが含まれ得る。位相シフト角の調整には、送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように位相シフトを調整することが含まれ得る。電流制限は、市場安全閾値に基づくことができる。送信機の駆動には、送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように送信機を駆動することが含まれ得る。電流制限は、市場安全閾値に基づくことができる。電流制限は2アンペアにすることができる。電流制限は355ミリアンペアにすることができる。この方法は、1つ以上の測定コイルにおける誘導電圧または誘導電流に基づいて磁束密度を判定することを含むことができ、この場合測定コイルは、送信機共振器コイルから分離することができ、そして、送信機に結合されたコントローラに磁束密度を表す信号を提供する。送信機を駆動する前に、この方法は、送信機共振器コイルの近くに受信機共振器コイルを有する車両の存在を示す信号を受信することを含むことができる。この方法は、送信機共振器コイルの近くに受信機共振器コイルを有する車両の存在を示す信号を受信することを含むことができる。
【0010】
別の態様では、本開示は、高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のためのシステムを特徴とすることができる。このシステムは、高電力の送信中に有効になり、低電力励起中に無効になるように構成された力率補正回路、および、力率補正回路の出力に結合され、低電力励起中に送信機の共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように送信機を駆動するように構成された低電圧源を含むことができる。このシステムは、低電圧源の出力に結合され、少なくとも2つのトランジスタを含むインバータを含むことができ、トランジスタは、各トランジスタの位相シフト角が低電力励起中に調整可能であるように制御されるように構成され、少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントが、インバータの出力に結合され、低電力励起中に達成可能な最小インピーダンスを得るように調整されるように構成されている。可変インピーダンスコンポーネントは、達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスの間で動作するように構成できる。
【0011】
例示的なシステムの様々な実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0012】
ワイヤレス電力送信機は、80kHz~90kHzの間の動作周波数で高電力を送信するように構成できる。ワイヤレス電力送信機は、500W~20,000Wの電力レベルで電力を送信するように構成できる。ワイヤレス電力送信機は、低電力励起中に50W以下で電力を出力するように構成できる。市場安全閾値は、10マイクロテスラから15マイクロテスラの間であり得る。システムは、送信機共振器コイルに結合され、送信機のコントローラに電流特性を表す信号を提供するように構成された電流センサを含むことができる。コントローラは、(i)少なくとも2つのトランジスタ、または(ii)少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントのうちの少なくとも1つに動作可能に結合することができる。低電力電圧源は、低電力動作中に、送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように送信機を駆動するように構成することができる。電流制限は、市場安全閾値に基づくことができる。
【0013】
別の態様では、本開示は、高電力ワイヤレス電力送信機の低電力励起のための方法を特徴とする。この送信機は、インピーダンスネットワークの入力に結合されたインバータと、インピーダンスネットワークの出力に結合された送信機共振器コイルとを含むことができる。この方法は、力率補正回路をインバータの入力から切断すること、およびインピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントを調整して、達成可能な最小インピーダンスを得ることを含むことができる。可変インピーダンスコンポーネントは、達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスの間で動作するように構成でき、そして、送信機共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように送信機を駆動する。
【0014】
例示的な方法の様々な実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0015】
市場安全閾値は、10マイクロテスラから15マイクロテスラの間であり得る。送信機の駆動は、送信機共振器コイル内の電流が電流制限以下になるように送信機を駆動することを含むことができ、ここで、電流制限は、市場安全閾値に基づく。電流制限は2アンペアにすることができる。電流制限は355ミリアンペアにすることができる。この方法は、送信機共振器コイルの電流を判定することと、判定された電流に基づいて送信機の電圧源を調整することとを含むことができる。この方法は、1つ以上の感知コイルにおける誘導電圧または誘導電流を判定することによって磁束密度を判定することを含むことができ、感知コイルは、送信機共振器コイルから分離している。送信機の駆動には、判定された磁束に基づいて送信機を駆動することが含まれ得る。この方法は、送信機共振器コイルの近くに受信機共振器コイルを有する車両の存在を示す信号を受信することを含むことができる。
【0016】
別の態様では、本開示は、高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のための方法を特徴とする。この送信機は、インピーダンスネットワークの入力に結合されたインバータと、インピーダンスネットワークの出力に結合された送信機共振器コイルとを含むことができる。この方法は、最小バス電圧を出力するように力率補正回路を構成することを含むことができ、ここで力率補正回路は、インバータの入力に近接して結合されている。この方法は、インピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントを調整して達成可能な最小インピーダンスを得ることを含むことができ、可変インピーダンスコンポーネントは、達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスとの間で動作するように構成することができ、そして、送信機共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように、インバータの1つ以上のトランジスタに関連する位相シフト角を調整する。
【0017】
例示的な方法の様々な実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0018】
最小バス電圧は約380Vとすることができる。市場安全閾値は10マイクロテスラから15マイクロテスラの間であり得る。位相シフト角の調整は、送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように位相シフトを調整することを含むことができ、電流制限は市場安全閾値に基づく。電流制限は2アンペアにすることができる。電流制限は355ミリアンペアにすることができる。この方法は、1つ以上の測定コイルにおける誘導電圧または誘導電流を判定することによって磁束密度を判定することを含むことができ、コイルは、送信機共振器コイルから分離している。位相シフト角の調整には、判定された磁束に基づいて位相シフト角を調整することが含まれ得る。
【0019】
別の態様では、本開示は、低電力で高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のための方法を特徴とし、送信機は、インピーダンスネットワークの入力に結合されたインバータと、インピーダンスネットワークの出力に結合された送信機共振器コイルとを含む。この方法は、インバータの入力に近接して結合された力率補正回路を無効にすること、およびインピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントを調整して、達成可能な最小インピーダンスを得ることを含むことができ、可変インピーダンスコンポーネントは、達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスとの間で動作するように構成されている。この方法は、送信機共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように送信機を駆動することを含むことができる。
【0020】
例示的な方法の様々な実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0021】
インバータの1つ以上のトランジスタに関連する位相シフト角を固定することができる。送信機の駆動は、可変低電圧源によって実行できる。送信機の駆動には、1Vから10Vの間の電圧で送信機を駆動することが含まれ得る。市場安全閾値は、10μテスラから15マイクロテスラの間であり得る。位相シフト角の調整は、送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように位相シフトを調整することを含むことができ、ここで、電流制限は、市場安全閾値に基づく。電流制限は2アンペアにすることができる。電流制限は355ミリアンペアにすることができる。この方法は、1つ以上の測定コイルにおける誘導電圧または誘導電流を判定することによって磁束密度を判定することを含むことができ、コイルは、送信機共振器コイルから分離している。送信機の駆動には、判定された磁束に基づいて送信機を駆動することが含まれ得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のための方法であって、前記送信機は、インピーダンスネットワークの入力に結合されたインバータと、前記インピーダンスネットワークの出力に結合された送信機共振器コイルとを含み、
前記インバータの入力に近接して結合された力率補正回路を無効にすることと、
達成可能な最小インピーダンスを得るために前記インピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントを調整することであって、前記可変インピーダンスコンポーネントは、達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスとの間で動作するように構成されている、調整することと、
前記インバータの1つ以上のトランジスタに関連する位相シフト角を調整することと、
前記送信機共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように前記送信機を駆動することと
を含む方法。
(項目2)
前記ワイヤレス電力送信機が、80kHzと90kHzの間の動作周波数で高電力を送信するように構成されている、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ワイヤレス電力送信機が、500Wから20,000Wの間の電力レベルで電力を送信するように構成されている、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記送信機を駆動することが、固定低電圧源によって実行される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記送信機を駆動することが、前記送信機を30V以下で駆動することを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記送信機を駆動することが、前記送信機を50W以下で駆動することを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記市場安全閾値が10マイクロテスラから15マイクロテスラの間である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記位相シフト角を調整することが、
前記磁束密度が前記市場安全閾値以下になるように、前記位相シフト角を0度から180度の間で調整すること
を含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記位相シフト角を調整することが、
前記送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように前記位相シフトを調整することであって、前記電流制限は市場安全閾値に基づいている、調整すること
を含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記送信機を駆動することが、
前記送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように前記送信機を駆動することであって、前記電流制限は市場安全閾値に基づいている、駆動すること
を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記電流制限が2アンペアである、項目10に記載の方法。
(項目12)
1つ以上の測定コイルにおける誘導電圧または誘導電流に基づいて前記磁束密度を判定することであって、前記測定コイルは前記送信機共振器コイルから分離している、判定することと、
前記磁束密度を表す信号を前記送信機に接続されたコントローラに提供することと
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記送信機を駆動する前に、
前記送信機共振器コイルの近くに前記受信機共振器コイルを有する車両の存在を示す信号を受信すること
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
高電力を送信するように構成されたワイヤレス電力送信機の低電力励起のためのシステムであって、
高電力の送信中に有効になり、低電力励起中に無効になるように構成されている力率補正回路と、
前記力率補正回路の出力に結合され、低電力励起中に前記送信機の共振器コイルが市場安全閾値以下の磁束密度を生成するように、前記送信機を駆動するように構成されている低電圧源と、
前記低電圧源の出力に結合され、少なくとも2つのトランジスタを含むインバータであって、前記トランジスタは各トランジスタの位相シフト角が低電力励起中に調整可能であるように制御されるように構成されている、インバータと、
前記インバータの出力に結合され、低電力励起中に達成可能な最小インピーダンスを得るように調整されるように構成されている少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントであって、前記可変インピーダンスコンポーネントは、前記達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスとの間で動作するように構成されている、少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントと
を含むシステム。
(項目15)
前記ワイヤレス電力送信機が、80kHzと90kHzの間の動作周波数で高電力を送信するように構成されている、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記ワイヤレス電力送信機が、500Wから20,000Wの間の電力レベルで電力を送信するように構成されている、項目14に記載のシステム。
(項目17)
前記ワイヤレス電力送信機が、低電力励起中に50W以下で電力を出力するように構成されている、項目14に記載のシステム。
(項目18)
前記市場安全閾値が10マイクロテスラから15マイクロテスラの間である、項目14に記載のシステム。
(項目19)
前記送信機共振器コイルに結合され、電流特性を表す信号を前記送信機のコントローラに提供するように構成されている電流センサであって、前記コントローラは、(i)前記少なくとも2つのトランジスタまたは(ii)前記少なくとも1つの可変インピーダンスコンポーネントのうち少なくとも1つに動作可能に結合されている、電流センサ
をさらに含む、項目13に記載のシステム。
(項目20)
前記低電力電圧源は、低電力動作中に、前記送信機共振器コイルの電流が電流制限以下になるように前記送信機を駆動するように構成されており、前記電流制限は前記市場安全閾値に基づいている、項目13に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A図1Aは、例示的なワイヤレス電力システムのブロック図である。
図1B図1Bは、送信機共振器コイル上に配置された例示的な受信機共振器コイルを有する車両の図である。
図2図2Aは、例示的なコイル構成の図である。図2Bは、例示的なコイル構成の図である。図2Cは、例示的なコイル構成の図である。図2Dは、例示的なコイル構成の図である。
図3図3は、低電力励起(low-power excitation,LPE)用に構成された例示的なワイヤレス電力送信機の一部の概略図である。
図4A図4Aは、低電力励起用に構成された例示的なワイヤレス電力送信機の概略図である。
図4B図4Bは、図4Aの例示的なワイヤレス電力送信機の低電力励起のための例示的な方法のフローチャートである。
図5A図5Aは、低電力励起用に構成された例示的なワイヤレス電力送信機の概略図である。
図5B図5Bは、図5Aの例示的なワイヤレス電力送信機の低電力励起のための例示的な方法のフローチャートである。
図5C図5Cは、インバータ位相シフト角(度単位)の関数としての送信機コイル電流(アンペア単位)のプロットである。
図6A図6Aは、低電力励起用に構成された例示的なワイヤレス電力送信機の概略図である。
図6B図6Bは、図6Aの例示的なワイヤレス電力送信機の低電力励起のための例示的な方法のフローチャートである。
図7A図7Aは、低電力励起用に構成された例示的なワイヤレス電力送信機の概略図である。
図7B図7Bは、図7Aの例示的なワイヤレス電力送信機の低電力励起のための例示的な方法のフローチャートである。
図8図8は、車両の測位を含む、送信機から受信機へのワイヤレス電力伝送を実行するための一連の例示的なステップを示すフローチャートである。
図9図9は、本明細書で説明されるシステムおよび方法を実装する際に使用され得る例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書に開示されるのは、ワイヤレス電力システム、特に、高電力ワイヤレス電力送信機を含む高電力ワイヤレス電力システムにおける低電力励起(LPE)のためのシステムおよび方法の例示的な実施形態である。
【0024】
ワイヤレス電力システム
図1Aは、例示的なワイヤレス電力システム100のブロック図である。システム100は、ワイヤレス電力送信機102およびワイヤレス電力受信機104を含む。送信機104では、電源105(例えば、AC主電源、バッテリなど)がインバータ108に電力を供給する。追加のコンポーネントは、インバータ段108の手前に力率補正(PFC)回路106を含むことができる。インバータ108は、インピーダンス整合ネットワーク110(固定および/または調整可能なネットワークコンポーネントを含む)を介して送信機共振器コイルおよび容量性コンポーネント112(「共振器」)を駆動する。共振器112は、受信機共振器114に電流および/または電圧を誘導する振動磁場を生成する。受信エネルギーは、インピーダンス整合ネットワーク116(固定および/または調整可能なネットワークコンポーネントを含む)を介して整流器118に供給される。最終的に、整流された電力は、負荷120(例えば、電気自動車またはハイブリッド車の1つ以上のバッテリ)に供給される。いくつかの実施形態では、バッテリ電圧レベルは、ワイヤレス電力システム100の様々なパラメータ(例えば、インピーダンス)に影響を与え得る。したがって、バッテリ電圧レベルは、ワイヤレス電力システム100の他の部分への入力として提供されるように受信、判定、または測定され得る。例えば、電気自動車の一般的なバッテリ電圧範囲には、0~280V、0~350V、0~420Vなどが含まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、送信機102の1つ以上のコンポーネントは、通信モジュール(例えば、Wi-Fi、無線、Bluetooth(登録商標)、帯域内信号方式機構など)を含み得るコントローラ122に結合することができる。いくつかの実施形態では、送信機102の1つ以上のコンポーネントは、1つ以上のセンサ124(例えば、電流センサ、電圧センサ、電力センサ、温度センサ、故障センサなど)に結合することができる。コントローラ122およびセンサ124は、センサ124からのフィードバック信号に基づいて、送信機102の制御部分に動作可能に結合することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、受信機104の1つ以上のコンポーネントは、通信モジュール(例えば、Wi-Fi、無線、Bluetooth(登録商標)、帯域内信号方式機構など)を含み得るコントローラ126に結合することができる。いくつかの実施形態では、送信機104の1つ以上のコンポーネントは、1つ以上のセンサ128(例えば、電流センサ、電圧センサ、電力センサ、温度センサ、故障センサなど)に結合することができる。コントローラ126およびセンサ128は、センサ124からのフィードバック信号に基づいて、送信機102の制御部分に動作可能に結合することができる。
【0027】
ワイヤレス電力システムの例は、2010年6月10日に公開された「Wireless energy transfer systems」と題された米国特許出願公開第2010/0141042号、および2012年5月10日に公開された「Wireless energy transfer for vehicles」と題された米国特許出願公開第2012/0112535号において見つけることができ、これらは両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、例示的なインピーダンス整合ネットワーク110、118は、1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントを含むことができる。1つ以上の可変インピーダンスコンポーネントは、本明細書では一緒に「調整可能な整合ネットワーク」(tunable matching network,TMN)と呼ばれることがある。TMNは、ワイヤレス電力送信機102および/または受信機104のインピーダンス(例えば、リアクタンスを含む)を調整する際に使用することができる。いくつかの実施形態では、調整可能な整合ネットワークは、「調整可能なリアクタンス回路」と呼ばれ得る。いくつかの用途、例えば、ワイヤレス電力伝送では、ワイヤレス電力送信機102および受信機104によって見られるインピーダンスは、動的に変化し得る。そのような用途では、不必要なエネルギー損失および過剰な熱を防ぐために、(114の)受信機共振器コイルと負荷120との間、および(112の)送信機共振器コイルと電源105との間のインピーダンス整合が必要とされ得る。共振器コイルが経験するインピーダンスは動的であり得て、その場合、動的インピーダンス整合ネットワークを提供して、変化するインピーダンスを整合させて、システム100の性能(例えば、効率、電力供給など)を改善することができる。ワイヤレス電力システム100の電源105の場合、電源105によって見られるインピーダンスは、電力を受け取る負荷120(例えば、バッテリまたはバッテリ充電回路)の変化および送信機102と受信機104との間の(例えば、送信機と受信機の共振器コイルの相対位置の変化によって引き起こされる)結合の変化のために、大きく変動し得る。同様に、受信機共振器114が経験するインピーダンスもまた、電力を受信している負荷120の変化のために動的に変化し得る。加えて、受信機共振器114にとって所望のインピーダンス整合は、異なる結合条件および/または電源条件に対して異なる可能性がある。したがって、例えば、高共振ワイヤレス電力転送を介して電力を送信および/または受信する電力伝送システムは、効率的な電力伝送を維持するためにインピーダンス整合ネットワーク110、116を構成または修正することが必要になる場合がある。TMNの1つ以上のコンポーネントは、特定のコンポーネントによって達成可能な最小インピーダンスと最大インピーダンスの間のインピーダンスを示すように構成できる。様々な実施形態において、達成可能なインピーダンスは、ワイヤレス電力システム100の動作周波数(例えば、80kHzから90kHz)に依存することができる。これは、連続的、断続的、または電力伝送の特定の時点で(例えば、電力伝送の開始時点で)実行され得る。調整可能な整合ネットワークの例は、2017年8月3日に公開された「Controlling wireless power transfer systems」と題された米国特許出願公開第2017/0217325号、および2017年8月10日に公開された「PWM capacitor control」と題された米国特許出願公開第2017/0229917に見出すことができ、これらは両方とも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
高電力ワイヤレス電力送信機は、車両、産業用機械、ロボット、または高電力に依存する電子デバイスのバッテリへの電力供給および/または充電などの用途でワイヤレス電力を送信するように構成できる。説明の目的で、以下の開示は、車両用のワイヤレス電力伝送に焦点を合わせている。しかしながら、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つ以上は、ワイヤレス電力を利用することができる他の用途に適用できることが理解される。
【0030】
低電力励起(LPE)の概要
本明細書で使用される「低電力励起」は、比較的低い電力、電流、および/または電圧でワイヤレス電力送信機を駆動することを含むことができる。上で論じたように、低電力励起は、高電力(例えば、500W~20,000Wまたはそれ以上)で動作するように構成されたワイヤレス電力送信機において特に困難である可能性がある。
【0031】
例示的な実施形態では、高電力送信機の低電力励起を使用して、ワイヤレス電力送信機102上でワイヤレス電力受信機104を有する車両を測位することができる(図8および以下の「車両の測位」という見出しのセクションを参照)。特に、受信機共振器コイルを送信機共振器コイル上に適切に配置することは、受信機104への送信電力を最大化するため、および/または電力伝送の効率を最大化するために重要であり得る。車両測位システムおよび方法の例は、2018年3月1日に公開された「Relative position determination and vehicle guidance in wireless power transfer systems」と題された米国特許出願公開第2018/0056800号、2019年10月29日に発行された「Methods and apparatus for positioning a vehicle using foreign object detection」と題された米国特許第10,461,587号、2019年7月9日に発行された「Wireless power antenna alignment adjustment system for vehicles」と題された米国特許第10,343,535号、および、2018年10月2日に発行された「Antenna alignment and vehicle guidance for wireless charging of electric vehicles」と題された米国特許第10,090,885号に見出すことができ、それぞれの全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
図1Bは、送信機共振器コイル202上に配置された例示的な受信機共振器コイル204を有する車両150を示す。ワイヤレス電力伝送(WPT)モードでは、送信機共振器コイル202は、電磁場を介して受信機コイル204に電力を送信し、最終的に車両150のバッテリを充電する目的で、通常、高電力(例えば、数千ワットのオーダー)で通電される。低電力励起(LPE)モードでは、送信機共振器コイル202は、低電力(例えば、1ワットまたは数十ワットのオーダー)で通電することができ、それによって低エネルギー磁場を生成する。本明細書で論じられるように、様々な実施形態において、この低エネルギー磁場は、車両の測位または位置合わせに使用することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機102は、ワイヤレス電力伝送(WPT)モードになる前にLPEモードであってもよい。例えば、車両150が望ましい駐車位置に案内されると、送信機102は、LPEモードからWPTモードに切り替えて、車両150のバッテリの充電を開始することができる。いくつかの実施形態では、車両150がWPTモード中に移動される場合、送信機102は、LPEモードに(例えば、WPTモードを中断して)入り、車両150(したがって、受信機104)を送信機102に対して再配置すべきかどうかを判定することができる。例えば、車両150および受信機104は、車両150がトランク内の貨物または車両150に座っている乗客によって押し下げられている場合に移動させることができる。追加の例が図8に示され、以下のセクションで「車両の測位」という見出しで説明されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力受信機104が送信機102の上または近くに配置される前に、ワイヤレス電力送信機102によって生成された電磁場は、人間、動物などを含むその環境に曝され得る。いくつかの実施形態では、受信機は送信機102の上または近くに配置され得るが、受信機102が送信機102に位置合わせされる前に電力伝送が開始されない場合がある。このような場合、ワイヤレス電力送信機102は、送信機共振器コイル202によって生成される磁束密度が市場安全閾値以下、例えば、10マイクロテスラ未満、25マイクロテスラ未満、50マイクロテスラ未満などであるように駆動され得る。いくつかの実施形態では、市場安全閾値は、10~15マイクロテスラの間である。この市場安全閾値は、人体への電磁場曝露の制限および/または電磁環境適応性(EMC)の懸念に基づいて判定できる。
【0035】
いくつかの実施形態では、磁束密度は、受信機共振器コイル204に面する送信機共振器コイル202の表面で判定され得る。例えば、磁束密度は、送信機共振器コイル202のパッケージの表面152で判定され得る。例えば、送信機共振器コイル202は、電子コンポーネントを環境から保護し、かつ/または人間や動物に安全を提供するための材料(例えば、プラスチック、ゴムなどを含む非導電性材料)にパッケージングまたは収容することができる。いくつかの実施形態では、磁束密度は、送信機共振器コイル202またはそのパッケージの表面152から特定の距離および/または角度で判定することができる。いくつかの実施形態では、市場安全閾値を満たすために、送信機共振器コイル202内の電流が2アンペア以下、1アンペア以下、またはそれ以下に制限されるように送信機102を駆動することができる。いくつかの実施形態では、市場安全閾値を満たすために、送信機共振器コイル202内の電流が325ミリアンペアrms+/-9%以下(例えば、295~355ミリARMSの値未満)に制限されるように送信機102を駆動することができる。いくつかの実施形態では、送信機102は、1Wから50Wの範囲の低電力で駆動することができる。
【0036】
LPEモードでは、受信機共振器コイル204、または受信機共振器コイル204上もしくはその近くに配置された別のコイルは、送信機共振器コイル202によって生成される低エネルギー磁場を「ピックアップする」ことができる。いくつかの実施形態では、磁場をピックアップすることによって、ワイヤレス電力システム100(またはピックアップコイルに結合または調整されたデバイス)は、磁場の強度を判定して、受信機共振器コイル204が送信機共振器コイル202に対して十分に高結合の位置にあるかどうかを判定することができ、それにより効率的な電力伝送および/または最大の電力供給を可能にする。
【0037】
いくつかの実施形態では、送信機共振器コイル202と受信機共振器コイル204との間の結合を判定することによって、システムは、受信機共振器コイル204が送信機共振器コイル202に対して最適に配置されているかどうかを判定することができる。いくつかの場合では、高結合の位置は、受信機共振器コイル204と送信機共振器コイル202との間の結合が、車両のバッテリへの効率的な高電力伝送を可能にするのに十分高い(例えば、電源からバッテリへの効率が90%を超える)場合に実現される。他の例では、ワイヤレス電力システムおよび/またはピックアップコイルの既知の形状と組み合わせた電磁場の強度を使用して、高結合の位置が送信機102が電力を転送するための(例えば、EMF曝露の場合、機器操作などに対する)安全な位置であるかどうかをさらに判定することができる。いくつかの実施形態では、送信機共振器コイル202内の電流を判定することができ、いくつかの場合では、結合位置の範囲に対して一定レベルに維持することができる。いくつかの場合では、送信機共振器コイル202に定電流を維持することによって、結合の判定が単純化される(例えば、コイル電流の変数を一定に保つことによって)。そのような情報を用いて、システム100(または別個の測位システム)は、安全性、効率、結合、または他のシステムパラメータに基づいて、車両または車両のユーザに所望の相対位置(このような位置が相対的な最大結合位置でもあるかどうかにかかわらず)を通知し、かつ/またはそこへの案内をすることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、1つ以上の感知コイル(例えば、2、3、4、6、8個、またはそれ以上)を、車両150および/または受信機104上かその近くに配置して、送信機102によって生成される磁束をピックアップすることができる。感知コイルは、感知コイルでの磁束密度または2つ以上の感知コイル間の相対磁束密度を判定するように構成されたプロセッサに結合することができる。受信電圧および/または補償電流(例えば、直接、またはインダクタ、コンデンサ、もしくは抵抗などの別の要素を介して短絡したもの)を使用して、(例えば、共振器コイルの表面に対して)相対的な磁束密度の位置を判定できる。いくつかの実施形態では、複数のコイルは、そのような配置されたコイルが送信機共振器コイル204に対して十分に分散しているかどうかを判定するために、それぞれ0Vまたは0Aに近い電圧および/または補償電流を生成するように、互いにサイズ設定、成形、配置、配向、および/または接続され得る。
【0039】
図2A~2Dは、例示的なワイヤレス電力受信機共振器コイル204に対する例示的な感知コイル形状を示す。例は、「図8」シリーズのループ内の2つのコイル206(図2Aを参照)または、感知コイルが交互の方向にあるクローバーリーフパターンの4つのコイル208(図2Bを参照)を含み得る。他の例では、奇数または偶数の複数のコイルを使用する場合がある。図2Cは、受信機共振器コイル204と同心の単一コイル210の例を示す。図2Dは、受信機共振器コイル204に対して分散された複数のコイル212を示す。別個のコイルまたは複数のコイルは、配置および/または他の目的のために磁束密度の追加の幾何学的情報を提供するように配置できることが理解される。例えば、複数のコイル(例えば、コイル206、208、212)の使用は、単一のコイルと比較して、磁束密度の位置についての特定の情報を提供し得る。別の例では、1つ以上のコイルの測位は、磁束密度の位置に関する特定の情報を提供し得る。本明細書で提供されるコイル構成の例は、限定することを意図するものではなく、他のコイル構成が本開示の範囲内にあることも理解される。
【0040】
いくつかの実施形態では、送信機共振器コイル202において2アンペア以下の電流を達成するため、および/または送信機コイル202によって生成される市場安全閾値以下の電磁場を達成するために、送信機102の以下のパラメータのいずれか1つ以上を含め、かつ/または調整することができる。
【0041】
駆動電圧。様々な実施形態では、送信機102は、比較的低い電圧(例えば、20V未満、10V未満、5V未満など)を生成するように構成された駆動回路を含み得る。例えば、送信機102の駆動回路は、インバータ108の後の整合ネットワーク110の入力に約5Vの電圧を印加するように構成することができる。これは、送信機共振器コイル202に同様の電圧を生成し得る。いくつかの実施形態では、駆動回路は、固定電圧源、可変電圧源、DC-DC変換器、フライバック変換器、または基準電圧を備えた低ドロップアウト(LDO)レギュレータのうちの1つ以上を含む。送信機102を駆動するために他のタイプの電圧源を使用できることが理解される。いくつかの実施形態では、電圧源は、送信機102の内外に切り替えられてもよく、送信機の回路の固定部分であってもよい。いくつかの実施形態では、インバータ108および/またはPFC回路106は、送信機102を駆動して低電圧を生成するように構成することができる。
【0042】
駆動電流。様々な実施形態において、送信機102の駆動電流は、駆動電圧を変化させ、送信機102内の電流を(例えば、電流センサなどのフィードバック機構を介して)判定することによって調整することができる。いくつかの実施形態では、送信機102は、駆動電流を生成するための駆動電流機構を含み得る(例えば、図3を参照されたい)。図3は、低電力励起用に構成されたワイヤレス電力送信機102の部分300の概略図である。この実施形態では、送信機共振器コイル202は、(i)スイッチ304を介してインバータ108から切断することができ、(ii)電流源306によって駆動されて、2アンペア未満のコイル電流を生成することができる。
【0043】
TMNインピーダンス。様々な実施形態において、送信機102内の(整合ネットワーク110の一部としての)TMNは、それが特定のインピーダンスを示すように調整され得る。TMNは、達成可能な最小インピーダンスと達成可能な最大インピーダンスの間のインピーダンスを示すように調整できる。特に、TMNのコンポーネントは、特定のTMNによって達成可能な最小インピーダンス(例えば、最小誘導リアクタンスまたは最小正リアクタンス)を送信機102の駆動回路に示すように調整され得る。駆動回路は、電力経路内の整合ネットワーク110の前に、インバータ108、PFC回路106、および/または他の任意の駆動回路(例えば、本明細書に記載の1つ以上のLPE回路コンポーネント)を含んだ、送信機102のコンポーネントを含むことができる。いくつかの実施形態では、達成可能な最小インピーダンスは、TMNで選択されたコンポーネントの特定の仕様に基づいて、特定のワイヤレス電力システム100について事前に判定されている。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機102のコントローラ122は、TMNの達成可能な最小インピーダンスを判定することができる。例えば、コントローラ122は、特定のインピーダンスを達成するための設定を備えた調整可能なコンポーネントに信号を送ることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、所望のインピーダンスを達成するために、TMNの1つ以上のスイッチ(例えば、電界効果トランジスタ(FET)、金属酸化膜半導体FET(MOSFET)など)は、スイッチが完全に開いて、特定のTMNによって達成可能な最大容量性(例えば、負の)リアクタンスを示し、それにより、TMNを有する分岐のインピーダンスを低減するように調整することができる(例えば、コンポーネント406の上部および/または下部分岐を参照)。TMN FETがスイッチングサイクル全体で完全に開いている場合、TMNの実効容量性リアクタンスは最小値(言い換えると、最大の負の値)になる。容量性リアクタンスをTMNと直列の固定インダクタの誘導性リアクタンスと合計すると、X3分岐で達成可能な最小のインピーダンスになる。低インピーダンスまたは最小インピーダンスを達成することは、共振器コイルの結合範囲にわたって送信機共振器コイル202内のコイル電流の変動を最小化する効果を有することができる。上で論じたように、結合範囲は、送信機共振器コイル202に対する受信機共振器コイル204の1つ以上の位置に基づくことができる。最小の誘導性リアクタンスを得るためにTMNを調整する別の利点には、送信機共振器コイルに所望の電流レベルを生成するのに必要な制御の量を最小化することが含まれ得る。
【0045】
インバータの位相シフト角。送信機102のインバータ108の位相シフト角は、インバータ108に結合されたコントローラ122によって調整することができる。具体的には、コントローラ122のパルス幅変調(PWM)ジェネレータ(例えば、ジェネレータ422を参照)は、インバータ108のトランジスタに結合されたゲートドライバ(例えば、ドライバ418を参照)を制御して、所望の位相シフト角を生成するように構成することができる。インバータの位相シフトは、トランジスタQ1およびQ2を駆動する相補的PWMペア(例えば、信号PWM1およびPWM2)と、トランジスタQ3およびQ4を駆動する相補的PWMペア(例えば、信号PWM3およびPWM4)との間の制御可能な遅延の適用を含み得る。遅延の範囲は、0~180度とすることができる。位相シフト角が0度の場合、(i)トランジスタQ1とQ3が同時にオンになるか、(ii)トランジスタQ2とQ4が同時にオンになることのいずれかによって出力が短絡するため、インバータの出力電圧はゼロになる。
【0046】
位相シフト角は、DC電圧バス、特定のインピーダンス整合などを含む、特定のワイヤレス電力システムのコンポーネントおよびパラメータに依存し得る。いくつかの実施形態では、位相シフト角は、2つの規則によって定義され得る。具体的には、第1の規則では、位相角がゼロ(0)度にあるとき、コイル電流は、特定の送信機102によって達成可能な最大レベルまたはその近くであり得て、位相角が180度にあるとき、コイル電流は、ゼロまたはゼロに近いものであり得る。第2の規則(第1の規則の反対)では、位相角が180度であるとき、コイル電流は、特定の送信機102によって達成可能な最大レベルまたはその近くであり得て、位相角がゼロ(0)度であるとき、コイル電流はゼロまたはゼロに近いものであり得る。例えば、第2の規則を使用すると、位相シフト角が約5度の場合、コイル電流は低レベルになり得る。いくつかの実施形態では、デューティサイクルとインバータ位相角の組み合わせを変化させて、スイッチング動作を改善し、それによってリンギングを低減し、高調波を低減し、ボディダイオード伝動を増減させ、および/またはスイッチング損失を低減することなどができる。
【0047】
パルス幅変調(PWM)。いくつかの実施形態では、コントローラ122のPWMジェネレータ(例えば、ジェネレータ422を参照)は、インバータ108の1つ以上のトランジスタのパルス幅またはデューティサイクルを調整して、送信機共振器コイル202において所望の電圧レベルを達成することができる。
【0048】
力率補正(PFC)。PFC回路106は、特定のバス電圧VBUSを生成するように有効化または無効化され得るか、または調整され得る。
以下は、駆動電圧VBUS(V)とピークコイル電流Is1(APEAK)および二乗平均平方根コイル電流Is1(ARMS)の例示的な値である。
【表1】
【0049】
いくつかの実施形態では、送信機共振器コイル202、1つ以上の電磁場センサ、または1つ以上の感知コイルの電圧を使用して、送信機共振器コイル202からの電磁場の電磁場レベルを測定することができ、制御システムに供給することができる(例えば、制御システム412、506、604、708を参照)。電圧フィードバックを使用して、送信機のコンポーネントおよび/またはパラメータ(例えば、電力、電圧、および/または電流)の1つ以上を調整して、所望の電磁場レベルを設定することができる。例えば、送信機102は、送信機102内の1つ以上の電流特性(例えば、レベル、周波数、位相など)を判定するように構成された電流センサ(例えば、電流センサ416を参照)を含み得る。電流読み取り値はフィードバックとして制御システム(例えば、制御システム412、506、604、708)に提供され、上記のように、送信機コンポーネントおよび/またはパラメータの1つ以上を調整するために使用することができる。このフィードバック機構は、単独で、または電流センサおよび/または電圧センサなどの他のセンサと組み合わせて使用することができる。
【0050】
以下の説明では、明確さと簡潔さのために、低電力励起のためのシステムおよび対応する方法について一緒に説明する。例えば、低電力励起のためのシステム400は、低電力励起のための方法450と一緒に論じられる。本明細書に記載の各方法のステップの順序は、例示的な実施形態を説明することを意図しており、所望の出力を達成するために別の順序または組み合わせで実行されるかまたは成し遂げられ得ることに留意されたい。
【0051】
LPE - 第1の例示的な実施形態
図4Aは、低電力励起(LPE)回路402を含む例示的なワイヤレス電力送信機400の概略図である。図4Bは、ワイヤレス電力送信機400の低電力励起のための例示的な方法450のフローチャートである。この例示的な実施形態では、LPE回路402は、可変電圧源404、ダイオードD1、およびリレー408a、408bを含む。例示的な可変電圧源404は、PFC回路106とインバータ108との間で並列に結合することができる。PFC回路106は、電源(例えば、AC電源、バッテリなど)から直接または間接的に電力を受信し、ワイヤレス電力伝送(WPT)モード中のワイヤレス電力送信機400に必要な電力補正を提供することができる。上記のように、WPTモード中、ワイヤレス電力送信機400は、LPEモード中の動作と比較して、著しく高い電力、電圧、および/または電流レベルで動作し得る。WPTモードでは、インバータ108のトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4のゲートG1、G2、G3、G4はゲートドライバ418によって駆動されることに留意されたい。ゲートドライバ418は、PWMジェネレータ422によって生成されたPWM信号であるPWM1、PWM2、PWM3、PWM4を受信できる。PWMジェネレータ422は、制御信号、例えば、PWM信号の位相シフト角を表す信号を、デジタルコントローラ424から受信することができる。
【0052】
例示的な可変電圧源404は、ダイオードD1と直列に結合して、強電流を遮断することができ、その結果、ワイヤレス電力伝送(WPT)モード中に、可変電圧源404は、PFC回路106からの有意な電力、電流、および/または電圧によって損なわれない。ダイオードD1およびリレーは、一方向への電流の流れを可能にし、送信機102を駆動する際の電圧源404を有効にするのに有益であり得る。リレーは、送信機102のインバータバイアスおよび他の電力電子機器の電源を切るために使用され得る。WPTモード中、PFC回路106は、制御システム412の1つ以上のコンポーネント(例えば、ソースエレクトロニクスパワーコントローラ(SEPC)410)によって有効化(例えば、オンに)され得る。この例示的な実施形態では、WPTモードにおいて、制御システム412はまた、PFC回路106とインバータ108との間の回路を閉じるために、リレー408aに信号を送信することができる。WPTモードでは、制御システム412は、リレー408bに信号を送信して開き、可変電圧源404を切り替えて、電源404への害を回避し、および/またはワイヤレス電力伝送を駆動する電力経路における開放非効率を回避し得ることに留意されたい。
【0053】
方法450のステップ452を参照すると、LPEモードでは、PFC回路106をインバータ108から切断することができる。例えば、制御システム412の1つ以上のコンポーネント(例えば、SEPC410)は、制御信号をリレー408a、408bに送信して、PFC回路106が切断されるように(したがって、送信機400を駆動することができないように)回路を開くことができる。いくつかの実施形態では、SEPC410は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)エラー生成モジュール414と通信することができる。WPTモードでは、ZVSエラー生成モジュール414は、インバータの出力電圧と電流の間の位相角が12度未満である場合、フラグを生成して電力伝送を無効化する保護機構である。このエラーは、障害を引き起こす可能性のある半導体の損失のある動作からシステムを保護することを目的としている。LPEモードでは、インバータ108によって見られる電圧電流(VI)相がZVS検出の閾値を下回ると予想されるため、ZVSエラー生成を無効にすることができる。LPEモードでは、インバータ108によって処理される電力が非常に小さいので、この条件は許容可能であり、したがって、スイッチング損失は破壊的ではない。
【0054】
SEPC410は、電流センサ416から直接または間接的に信号I1s_refを受信することができる。信号I1s_refは、送信機共振器コイル202と(例えば、直列、並列、誘導などで)結合されたセンサ416による電流測定I1に基づく基準信号である。
【0055】
ステップ454において、インピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネント(例えば、TMNのリアクタンス)406のインピーダンスは、特定のTMNコンポーネントが達成することができる最小の誘導性リアクタンスを得るように調整され得る。例えば、「X3sa_minΩ-X3sa_maxΩ」というラベルの付いた上部分岐コンポーネントおよび/または「X3sb_minΩ-X3sb_maxΩ」というラベルの付いた下部分岐コンポーネントを調整して、所望のインピーダンス(最小リアクタンスなど)を得ることができる。TMNコンポーネント406は、制御システム412の1つ以上のコンポーネント(例えば、調整可能なX3Sコントローラ420、SEPC410など)によって調整することができる。例えば、調整可能なコンポーネント406は、SEPC410から信号(例えば、信号「LPEオン/オフ」)を受信するコントローラ420によって調整することができ、LPEモード中に最小リアクタンスを達成するようにコンポーネント406を調整することができる(例えば、SEPC410がPFC回路106を無効にし、可変電圧源404を有効にしたとき)。
【0056】
ステップ456において、可変電圧源404は、送信機共振器コイル202内の電流がLPEモードの目標電流範囲内にあるように送信機400を駆動する。そうするために、SEPC410は、1つ以上の信号を送信してリレー408bを閉じ、可変電圧源404を有効にすることができる。この実施形態では、インバータは、定(DC)電圧を高周波発振(AC)電圧に変換するように有効化される。いくつかの実施形態では、方法450は、SEPC410によって、センサ416から電流信号を受信して、LPEモードに対して電流が目標範囲内(例えば、1A未満、3A未満、5A未満など)にあるかどうかを示すことを含む。
【0057】
LPE - 第2の例示的な実施形態
図5Aは、低電力励起(LPE)回路502を含む例示的なワイヤレス電力送信機500の概略図である。図5Bは、送信機500の低電力励起のための例示的な方法550のフローチャートである。具体的には、システム502は、ダイオードD1と直列に結合された固定低電圧源504を含む。この実施形態では、固定低電圧源504は、LPEモードおよびWPTモードの両方の間、オン(動作可能)であり得る。いくつかの実施形態では、固定低電圧源504は、送信機500の回路にハードウェアで実現されている。
【0058】
方法550のステップ552において、LPEモードでは、PFC回路106は無効にされる。例えば、制御システム506の1つ以上のコンポーネント(例えば、デジタルコントローラ424)は、LPEモードに入るときに、PFC回路106を有効または無効にする信号を送信することができる。上記のように、LPEモードでは、ZVSエラー生成414を無効にできることに留意されたい。
【0059】
ステップ554において、1つ以上の可変インピーダンスコンポーネント(例えば、TMNのリアクタンス)406のインピーダンスは、特定のTMNコンポーネント406が達成できる最小のリアクタンス(例えば、最小の誘導性リアクタンス)を得るように調整することができる。例えば、「X3sa_minΩ-X3sa_maxΩ」というラベルの付いた上部分岐コンポーネントおよび/または「X3sb_minΩ-X3sb_maxΩ」というラベルの付いた下部分岐コンポーネントを調整して、所望のインピーダンス(最小リアクタンスなど)を得ることができる。TMNコンポーネント406は、制御システム506の1つ以上のコンポーネント(例えば、デジタルコントローラ424、調整可能なX3Sコントローラ420、SEPC410など)によって調整することができる。例えば、コントローラ420は、リアクタンスが達成可能な最小リアクタンスに調整されるべきであることを示すデジタルコントローラ424から信号X3s_minを受信することができる。これは、共振器コイルの結合範囲にわたって送信機共振器コイル202内の電流の変動を最小化する効果を有することができる。図1Bを参照すると、結合範囲は、送信機共振器コイル202に対する受信機共振器コイル204の1つ以上の位置に基づくことができる。いくつかの実施形態では、方法550は、電流特性(例えば、レベル、位相、周波数)を表す信号をセンサ416から受信することを含むことができる。この信号は、コイル202の電流特性を確認するために制御システム506に提供することができる。
【0060】
ステップ556において、コイル電流の残りの変動は、インバータ108のトランジスタ用のパルス幅変調(PWM)信号の位相シフト角を調整することによって最小化することができる。PWM信号は、制御システム506の1つ以上のコンポーネントによってインバータ108に提供することができる。具体的には、デジタルコントローラ424は、信号θinv_psをPWMジェネレータ422に送信して、ゲートドライバ418のための特定のPWM信号であるPWM1、PWM2、PWM3、PWM4を生成することができる。次に、ドライバ418は、インバータ108のそれぞれのトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4に対応するゲートG1、G2、G3、G4を駆動できる。
【0061】
いくつかの実施形態では、位相シフト角は、磁束密度が市場安全閾値以下になるように、0度から180度の間で調整することができる。これには、位相シフト角を調整して電流レベルを調整し、市場安全閾値以下の磁束密度を達成することが含まれる。特に、図5Cを参照すると、コイル電流と位相シフト角との関係は、ほぼ線形で単調である。この関係を使用して、コイル電流および/または磁束密度を判定することにより、負のフィードバックをコントローラに提供して、送信機のコイル電流の乱れを排除するように位相シフト角を調整することができる。送信機コイル電流は、送信機共振器コイル202の近くのループに誘導される電圧に基づくことができることに留意されたい。コイル電流は、次の関係で判定できる。
【数1】
【0062】
いくつかの実施形態では、電圧源504は、送信機を30V以下で駆動することができる。例えば、電圧源504によって生成される約12Vの固定電圧レベルを使用して1ARMSのおおよそのコイル電流を得るために、インバータ位相シフト角は、制御システム506によって約60度に調整することができる。
【0063】
LPE - 第3の例示的な実施形態
図6Aは、低電力励起用に構成された例示的なワイヤレス電力送信機600の概略図である。図6Bは、送信機600の低電力励起のための例示的な方法650のフローチャートである。
【0064】
方法650のステップ652において、PFC回路106は、バス電圧VBUSで送信機を駆動するように構成することができる。PFC回路106は、最小電圧VBUS_minと最大電圧VBUS_maxとの間のバス電圧を出力するように構成することができる。いくつかの実施形態では、LPEモード中、バス電圧VBUSは、特定のPFC回路106が出力するように構成されている最小バス電圧VBUS_minに等しい。例えば、コントローラ604の1つ以上のコンポーネント(例えば、デジタルコントローラ424)は、信号をPFC回路106に送信して、電圧を最小バス電圧VBUS_minに調整することができる。上記のように、LPEモードでは、ZVSエラー生成414を無効にできることに留意されたい。
【0065】
ステップ654において、1つ以上の可変インピーダンスコンポーネント(例えば、TMNのリアクタンス)406のインピーダンスは、特定のTMNコンポーネント406が達成できる最小のリアクタンス(例えば、最小の誘導性リアクタンス)を得るように調整され得る。例えば、「X3sa_minΩ-X3sa_maxΩ」というラベルの付いた上部分岐コンポーネントおよび/または「X3sb_minΩ-X3sb_maxΩ」というラベルの付いた下部分岐コンポーネントを調整して、所望のインピーダンス(最小リアクタンスなど)を得ることができる。TMNコンポーネント406は、制御システム604の1つ以上のコンポーネント(例えば、デジタルコントローラ424、調整可能なX3Sコントローラ420、SEPC410など)によって調整することができる。例えば、コントローラ420は、リアクタンスが達成可能な最小リアクタンスに調整されるべきであることを示すデジタルコントローラ424から信号X3s_minを受信することができる。これは、共振器コイルの結合範囲にわたるコイル電流の変動を最小限に抑える効果がある。
【0066】
ステップ656において、コイル電流の残りの変動は、インバータ108の各トランジスタに入力されるパルス幅変調(PWM)信号の位相シフトを調整することによって最小化することができる。PWM信号は、制御システム604の1つ以上のコンポーネントによってインバータ108に提供することができる。具体的には、デジタルコントローラ424は、信号をPWMジェネレータ422に送信して、ゲートドライバ418のための特定のPWM信号であるPWM1、PWM2、PWM3、PWM4を生成することができる。次に、ドライバ418は、インバータ108のそれぞれのトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4に対応するゲートG1、G2、G3、G4を駆動できる。例えば、PFC回路106によって生成される約380Vの電圧レベルで1ARMSのおおよそのコイル電流を生成するために、インバータ位相シフト角は、コントローラ604によって約5度未満に調整することができる。
【0067】
LPE-第4の例示的な実施形態
図7Aは、低電力励起(LPE)回路702を含む例示的なワイヤレス電力送信機700の概略図である。図7Bは、送信機700の低電力励起のための例示的な方法750のフローチャートである。LPE回路702は、ダイオードD1と直列に結合された可変低電圧源704を含む。LPE回路702は、PFC回路106とインバータ108との間で並列に結合されている。可変低電圧源704は、デジタルコントローラ424からバス電圧VBUSのレベルを表す信号を受信するように構成されている。コントローラ424は、LPEモード中に出力する電圧源704のためのVBUSを判定することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ424は、電圧源704がオンになる前に、またはオンになると同時に、PFC回路106が無効になることを確実にするために、PFC回路106および電圧源704への信号の時間を計るように構成することができる。この実施形態では、インバータ108のトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4のそれぞれに入力されるPWM信号(例えば、PWM1、PWM2、PWM3、PWM4)の位相シフトを固定することができることに留意されたい。
【0068】
ステップ752において、LPEモード中、PFC回路106は無効にされる。いくつかの実施形態では、制御システム708の1つ以上のコンポーネント(例えば、デジタルコントローラ424)は、信号をPFC回路106に送信して、PFC回路106を有効または無効にするように構成されている。例えば、WPTモード中、PFC回路106が有効になる。上記のように、LPEモードでは、ZVSエラー生成414を無効にできることに留意されたい。
【0069】
ステップ754において、インピーダンスネットワークの1つ以上の可変インピーダンスコンポーネント(例えば、TMNのリアクタンス)406のインピーダンスを調整して、特定のTMNが達成できる最小の誘導性リアクタンスを得ることができる。この例では、「X3sa_minΩ-X3sa_maxΩ」というラベルの付いた上部分岐コンポーネントおよび/または「X3sb_minΩ-X3sb_maxΩ」というラベルの付いた下部分岐コンポーネントを調整して、所望のインピーダンス(最小リアクタンスなど)を得ることができる。TMNコンポーネント406は、制御システム412の1つ以上のコンポーネント(例えば、調整可能なX3Sコントローラ420、SEPC410など)によって調整することができる。
【0070】
ステップ756において、可変低電圧源704は、送信機共振器コイル202が市場安全閾値以下の大きさの磁場を生成するように送信機700を駆動するように構成されている。いくつかの実施形態では、電圧源704は、約4Vから5Vの間の電圧で送信機700を駆動することができる。例えば、固定位相シフト角で1ARMSのおよそのコイル電流を生成するために、可変低電圧源の電圧レベルは約4Vから5Vの間に調整される。
【0071】
車両の測位
本明細書に開示される低電力励起コンポーネント、システム、および方法は、ワイヤレス電力伝送の前、最中、または後に、他の様々な性能および安全性検証を実施するワイヤレス電力システム100の一部を形成することができる。
【0072】
図8は、ワイヤレス電力転送の前および/または最中にワイヤレス電力システム100で実行することができる一連のステップの一例を示すフローチャート800である。ステップ802において、通信リンクは、ワイヤレス電力送信機102とワイヤレス電力受信機104との間に確立される。リンクは、例えば、Wi-Fiネットワークまたは通信プロトコルを介して、Bluetooth(登録商標)接続を介して、またはより一般的には、送信機102と受信機104が通信することができる任意のリンク、接続、または通信プロトコルを介して確立され得る。
【0073】
次に、ステップ804において、システムプロセッサ(例えば、本明細書に開示されるプロセッサのいずれか、または本明細書に開示されるプロセッサと通信する別のプロセッサ)は、本明細書に開示された方法のいずれかを使用して、ワイヤレス電力受信機104の相対位置および/または受信機の相対位置に関連するクラスを判定する。次に、システムプロセッサは、受信機の相対位置および/またはクラスに関する情報を含む信号を生成し、その信号を別のプロセッサ、コントローラ、またはディスプレイインタフェースに送信する。
【0074】
任意選択のステップ806において、システム(すなわち、システムプロセッサまたは別のプロセッサ、回路、またはコントローラ)は、送信された信号からの情報を使用して、車両運転者または自動運転システムに車両ガイダンス情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、このステップは、ガイダンス情報を提供するために車両ディスプレイユニット上にインジケータを表示することを含むことができる。
【0075】
次に、ステップ808において、システムは、ワイヤレス電力受信機104の相対位置または相対位置のクラスに基づいて位置合わせが完了したかどうか、すなわち、ワイヤレス電力受信機104がワイヤレス電力送信機102の所定の距離内にあるかどうか、またはワイヤレス電力受信機104が特定のクラスに割り当てられているかどうかを判定する。位置合わせが達成されていない場合、制御はステップ804に戻り、位置合わせが達成されている場合、制御はステップ810に移る。
【0076】
任意選択のステップ810で、システムは、追加の環境および安全チェックを実行する。これらには、例えば、異物のチェック、生物のチェック、車両/受信機の動きのチェック、および他の様々な安全システムと動作パラメータの監視/チェックが含まれ得る。すべてのチェックおよびシステムが満たされると、次にステップ812において、ワイヤレス電力送信機102からワイヤレス電力受信機104への電力転送が開始される。
【0077】
一定期間が経過した後、任意選択的に、ステップ814でワイヤレス電力伝送を中断することができる。様々な基準および/または信号が、電力伝送の中断につながる可能性がある。いくつかの実施形態では、例えば、電力伝送は、追加のシステムチェックを実行するために定期的に中断され得る。特定の実施形態では、システムセンサが、車両/受信機の予期しない加速、車両/受信機の静電容量の変化、および/または車両/受信機の位置の変化などの不規則な事象を示す信号を生成するときに、電力伝送を中断することができる。いくつかの実施形態では、電力伝送はまた、ワイヤレス電力受信機に誘導される電圧および/または電流などの特定のシステム動作/性能パラメータが変化するときに中断され得る。
【0078】
電力伝送が中断された後、制御はステップ804に戻り、位置合わせチェックを実行して、ワイヤレス電力送信機102および受信機104が位置合わせされたままであることを確認する。位置合わせされており、環境および安全性チェックがステップ810で合格とされた場合、制御は最終的にステップ812に戻り、電力伝送が再開される。
【0079】
ハードウェアとソフトウェアの実装
図9は、本明細書に記載のシステムおよび方法を実装する際に使用することができる例示的なコンピュータシステム900のブロック図である。汎用コンピュータ、ネットワーク機器、モバイルデバイス、または他の電子システムもまた、システム900の少なくとも一部を含み得る。システム900は、プロセッサ910、メモリ920、記憶装置930、および入出力装置940を含む。コンポーネント910、920、930、および940のそれぞれは、例えば、システムバス950を使用して相互接続することができる。プロセッサ910は、システム900内で実行するための命令を処理することができる。いくつかの実装形態では、プロセッサ910はシングルスレッドプロセッサである。いくつかの実装形態では、プロセッサ910はマルチスレッドプロセッサである。プロセッサ910は、メモリ920または記憶装置930に記憶された命令を処理することができる。
【0080】
メモリ920は、システム900内に情報を格納する。いくつかの実装形態では、メモリ920は、非一時的なコンピュータ可読媒体である。いくつかの実装形態では、メモリ920は、揮発性メモリユニットである。いくつかの実装形態では、メモリ920は、不揮発性メモリユニットである。いくつかの実施例では、上記のデータの一部またはすべては、パーソナルコンピューティングデバイス上に、1つ以上の集中型コンピューティングデバイスでホストされるデータストレージ内に、またはクラウドベースのストレージを介して格納できる。いくつかの実施例では、いくつかのデータはある場所に保存され、他のデータは別の場所に保存される。いくつかの実施例では、量子コンピューティングを使用することができる。いくつかの実施例では、関数型プログラミング言語を使用できる。いくつかの実施例では、フラッシュベースのメモリなどの電気メモリを使用することができる。
【0081】
記憶装置930は、システム900に大容量ストレージを提供することができる。いくつかの実装形態では、記憶装置930は、非一時的なコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実装形態では、記憶装置930は、例えば、ハードディスク装置、光ディスク装置、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、または他のいくつかの大容量記憶装置を含み得る。例えば、記憶装置は、長期データ(例えば、データベースデータ、ファイルシステムデータなど)を記憶することができる。入出力装置940は、システム900に入出力動作を提供する。いくつかの実装形態では、入出力装置940は、ネットワークインタフェースデバイス、例えば、イーサネット(登録商標)カード、シリアル通信デバイス、例えば、RS-232ポート、および/またはワイヤレスインタフェースデバイス、例えば、802.11カード、3Gワイヤレスモデム、4Gワイヤレスモデム、などのうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実装形態では、入出力装置は、入力データを受信し、他の入出力装置、例えば、キーボード、プリンタ、およびディスプレイデバイス960に出力データを送信するように構成されたドライバデバイスを含むことができる。いくつかの実施例では、モバイルコンピューティングデバイス、モバイル通信デバイス、および他のデバイスが使用され得る。
【0082】
いくつかの実装形態では、上記のアプローチの少なくとも一部は、実行時に1つ以上の処理装置に上記のプロセスおよび機能を実行させる命令によって実現することができる。そのような命令は、例えば、スクリプト命令、実行可能コードなどの解釈済み命令、または非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された他の命令を含み得る。記憶装置930は、サーバファームまたは広く分散されたサーバのセットなどのネットワーク上に分散された方法で実装され得るか、または単一のコンピューティングデバイスに実装され得る。
【0083】
例示的な処理システムが図9に記載されているが、本明細書に記載の主題、機能的動作およびプロセスの実施形態は、他のタイプのデジタル電子回路、目に見える方法で具現化されたコンピュータソフトウェアまたはファームウェア、本明細書に開示されている構造およびそれらの構造的同等物を含むコンピュータハードウェア、あるいはそれらの1つ以上の組み合わせに実装することができる。本明細書に記載される主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行またはデータ処理装置の動作の制御のために有形の不揮発性プログラム担体上にコード化されたコンピュータプログラム命令の、1つ以上のモジュールとして実装することができる。代わりに、または、加えて、プログラム命令は、人工的に生成された伝達される信号にコード化することができ、例えば、データ処理装置による実行のための適切な受信機装置に伝送するための情報をコード化するために生成される、マシン生成の電気、光学または電磁信号がある。コンピュータ記憶媒体は、マシン可読記憶装置、マシン可読記憶媒体基板、ランダムもしくは逐次アクセスメモリ装置、またはそれらの1つ以上の組合せとすることができる。
【0084】
「データ処理装置」という用語は、例として、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、または複数プロセッサまたはコンピュータを含む、データを処理するための全ての種類の装置、デバイスおよびマシンを包含する。処理システムは、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含むことができる。処理システムは、ハードウェアに加えて、該当のコンピュータプログラムのための実行環境を作るコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらの1つ以上の組合せを構成するコードを含むことができる。
【0085】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプトまたはコードとも呼ぶことができるかまたは説明することができる)は、コンパイルされたか解釈された言語、または宣言型もしくは手続き型言語を含み、いかなるプログラミング言語でも書くことができ、そしてそれは、スタンドアロンプログラムとして、または、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境で使用に適した他のユニットとして、ということを含んで、いかなる形でも展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステムのファイルに対応することができ得るが、それが必要なわけではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納される1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部分に、該当のプログラム専用の単一ファイルで、または、複数の協調ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラムまたはコードの複数部分を保存するファイル)で、保存することができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ上で、または、1つのサイトにあるかまたは複数のサイト全体に分散され通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0086】
本明細書に記載されるプロセスおよび論理フローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルコンピュータによって実行することができ、入力データを操作して出力を生成することによって機能を実行する。プロセスおよび論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することができ、そして、装置はまた、専用回路として実装することができる。
【0087】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、例として、汎用もしくは特殊目的のマイクロプロセッサまたはその両方、あるいは任意の他の種類の中央処理装置を含むことができる。通常、中央処理装置は、読取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方ともから命令およびデータを受け取る。コンピュータは、一般に、命令を実行するかまたは成し遂げるための中央処理装置と、命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスとを含む。通常、コンピュータはまた、データを格納するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスクまたは光ディスクを、それらからデータを受け取るかまたはそれらにデータを転送するかその両方のために、含んでいるか、またはそれらに動作上連結されている。しかしながら、コンピュータは、このような装置を備えている必要はない。さらに、コンピュータは、別の装置、例えば、少しだけ例を挙げれば、携帯電話、パーソナル携帯情報端末(PDA)、モバイル音声もしくはビデオプレーヤ、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信機または携帯用記憶装置(例えば、汎用シリアルバス(USB)フラッシュドライブ)に組み込むことができる。
【0088】
コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに適しているコンピュータ可読媒体は、不揮発性メモリ、媒体およびメモリ装置のすべての形を含み、例として挙げれば、例えばEPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリ装置などの半導体記憶装置、例えば内蔵ハードディスクまたは取外し可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、そして、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補うことができるか、またはそれに組み入れることができる。
【0089】
本明細書に記載の主題の実施形態は、バックエンドコンポーネントを例えばデータサーバとして含むか、または、ミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバを含むか、または、フロントエンドコンポーネント、例えば、ユーザが本明細書に記載される主題の実装と対話することができるようにするグラフィカルユーザインタフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ、または1つ以上のこのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムで実施することができる。システムのコンポーネントは、例えば通信ネットワークなどのデジタルデータ通信のいかなる形式または媒体によっても相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)およびワイドエリアネットワーク(「WAN」)、例えばインターネットが含まれる。
【0090】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般には互いにリモート状態にあり、通常は通信ネットワークによって対話する。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータで動作しており、互いにクライアント対サーバの関係がある、コンピュータプログラムによって生じる。
【0091】
本明細書が多くの特定の実装の詳細を含む一方で、これらは、請求され得ることの範囲に対する制限として解釈してはならず、むしろ特定の実施形態に特有であってもよい機能の記述として解釈すべきである。別々の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の機能は、単一の実施形態に組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な機能は、複数の実施形態において別々に実装することも、または任意の適切な部分的組み合わせで実装することもできる。さらに、機能が特定の組み合わせで動くとして上記で記載されて、初めにそのように主張されてもよいが、主張された組み合わせからの1つ以上の機能は場合によっては組合せから削除することができ、そして、主張された組合せは部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形を対象としてもよい。
【0092】
同様に、動作が図面においては特定の順序で表される一方で、このことは、望ましい結果を達成するために、このような動作が示される特定の順序で実行するかまたは順序通りに実行するということ、あるいは例示される全ての動作を実行するということを要求するものである、と理解すべきではない。特定の環境では、マルチタスキングおよび並列処理が好都合であり得る。さらに、上記の実施形態の各種のシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態のこのような分離を必要とするとして理解されるべきではなく、記載されているプログラムコンポーネントおよびシステムは通常、単一のソフトウェア製品に一緒に統合することができるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解すべきである。
【0093】
主題の特定の実施形態を記述してきた。他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。例えば、請求項において詳述される動作は、異なる命令において実行されることができて、それでも望ましい結果を成し遂げることができる。一例として、添付図面において表される方法は、望ましい結果を成し遂げるために、示される特定の順序または連続した順序を必ずしも必要とするというわけではない。特定の実装では、マルチタスキングおよび並列処理が好都合であり得る。記載されたプロセスから、他のステップまたはステージを提供するか、またはステップまたはステージを削除することができる。したがって、他の実装は、以下の請求項の範囲内である。
【0094】
用語
また、本明細書において用いる語法および用語は説明を目的とするものであり、制限的なものと見なすべきではない。
【0095】
本仕様および請求項において用いる場合、「およそ」という用語、「ほぼ等しい」というフレーズおよび他の類似のフレーズ(例えば、「Xは、およそYの値を有する」、または、「Xは、Yにほぼ等しい」)は、1つの値(X)が別の値(Y)の予め定められた範囲の中にあることを意味すると理解しなければならない。特に明記しない限り、予め定められた範囲は、プラスマイナス20%、10%、5%、3%、1%、0.1%、または0.1%未満であり得る。
【0096】
本明細書および請求項において用いる場合、不定冠詞「a」および「an」は、明確にそうでないと示されない限り、「少なくとも1つ」ということを意味すると理解しなければならない。本明細書および請求項において用いる場合、フレーズ「および/または」は、結合した要素の「どちらか、または両方」、すなわち、ある場合には共同で存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味すると理解しなければならない。「および/または」で挙げられる複数の要素は、同じ形態(すなわち、結合した要素の「1つ以上」)で解釈されなければならない。他の要素は、具体的に識別される要素に関連があるか関連が無いかにかかわらず、「および/または」の節で識別される要素以外に任意選択的に存在してもよい。このように、限定はしないが例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などの制限のない語法と連動して使われるときに、1つの実施形態においてはAだけ(任意選択的にB以外の要素を含む)を、別の実施形態においてはBだけ(任意選択的にA以外の要素を含む)を、またさらに別の実施形態においてはAおよびBの両方(任意選択に他の要素を含む)を指すなどであり得る。
【0097】
本明細書および請求項において用いる場合、「または」は、上記で定められたように「および/または」と同じ意味を有すると理解しなければならない。例えば、リスト内の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は包括的なものとして解釈され、すなわち、多数の要素または要素のリスト、および任意選択的にリストに無い追加の項目、のうち少なくとも1つを含むが、2つ以上も含むものとして解釈されなければならない。それとは反対に明確に指示した用語だけ、例えば「のうち1つだけ」、もしくは「のうち正確に1つ」、または請求項において使われるときに、「からなる」という用語だけは、多数の要素または要素のリストの正確に1要素の包含を指す。全般に用語「または」を使用する場合、排他性の用語、例えば、「いずれか」、「のうち1つ」、「のうち1つだけ」または「のうち正確に1つ」、が先行するときには、排他的な代替物(すなわち「両方ともでなくどちらか一方」)を示すとしてのみ解釈される。「から本質的になる」は、請求項において使用される場合、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
【0098】
本明細書および請求項で使用される場合、1つ以上の要素のリストを参照する「少なくとも1つ」というフレーズは、要素のリストの要素のいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、しかし、必ずしも要素のリストの範囲内で具体的に列挙したそれぞれのどの要素のうちの少なくとも1つも含むというわけではなく、また要素のリストのいかなる要素の組み合わせも除外するものではない、と理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」というフレーズが指す要素のリストの範囲内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別される要素に関連があるか関連が無いかにかかわらず、任意選択的に存在し得ることを許容する。このように、限定はしないが例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、等価的に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態においては、少なくとも1つであって任意にそれより多くのAを含み、Bは存在しない(そして任意選択的にB以外の要素を含む)ということ、別の実施形態においては、少なくとも1つであって任意選択的にそれより多くのBを含み、Aは存在しない(そして任意選択的にA以外の要素を含む)ということ、また別の実施形態においては、少なくとも1つであって任意選択的にそれより多くを含むAと、少なくとも1つであって任意選択的にそれより多くを含むB(そして任意選択的にその他の要素を含む)ということなどを指すことができる。
【0099】
「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」およびその変形は、その後で列挙される項目および追加項目を包含するためのものである。
【0100】
請求項において請求項要素を修飾する「第1」、「第2」、「第3」などの順序を示す用語の使用は、それ自体では、1つの請求項要素の別のものに対するいかなる優先度、優先順位もしくは順序、または方法の動作が実行される時間的な順序も暗示するものではない。請求項要素を区別するために、特定の名前を有する1つの請求項要素と同じ名前(順序を示す用語の使用以外)を有する別の要素を区別するラベルとしてだけ、順序を示す用語が使われる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9