(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】内蔵アクチュエータとセンサを用いたモバイル装置の診断
(51)【国際特許分類】
H04M 1/24 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H04M1/24 B
(21)【出願番号】P 2021532161
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 FI2019050669
(87)【国際公開番号】W WO2020115354
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-06-22
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】519100952
【氏名又は名称】ブランコ テクノロジー グループ アイピー オイ
【氏名又は名称原語表記】BLANCCO TECHNOLOGY GROUP IP OY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】ティモ サイリアラ
(72)【発明者】
【氏名】サミ ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヴァルトネン
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0301870(US,A1)
【文献】特開2014-176000(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153590(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104754094(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上のアクチュエータと、1つ以上のセンサと、表示装置とを備える、モバイル装置を自己診断するための方法であって、該方法は、
前記モバイル装置の第1のアクチュエータへ予め規定された制御信号を供給するステップと、
前記供給するステップに応じて、前記1つ以上のセンサの第1のセンサを使用して第1の電気信号を測定するステップと、
前記第1の電気信号を前記第1のアクチュエータ及び前記予め規定された制御信号に関連付けられた1つ以上の基準信号と比較するステップと、
1つ以上の予め規定された基準に従って、前記1つ以上の基準信号に一致しなかった前記第1の電気信号に応答して、前記モバイル装置の前記表示装置及び前記モバイル装置の前記1つ以上のアクチュエータのうちの1つ以上を使用して前記モバイル装置のユーザに対する否定的診断を示すステップと、
前記供給するステップの後に、かつ、前記比較するステップの前に、予め規定された制御信号を1つ以上の第2のモバイル装置のうちの少なくとも1つから前記第1のアクチュエータへ前記供給するステップ中に、前記1つ以上の第2のモバイル装置のうちの前記少なくとも1つにより測定された前記1つ以上の基準信号のうちの少なくとも1つに関する情報を受信するステップと、を有する、モバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項2】
モバイル装置を自己診断するための方法は、
1つ以上の予め規定された基準に従って、前記1つ以上の基準信号に一致する前記第1の電気信号に応答して、前記表示装置及び前記1つ以上のアクチュエータのうちの1つ以上を使用して前記モバイル装置のユーザに対する肯定的診断を示すステップを更に有する、請求項1記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項3】
前記予め規定された基準は、前記第1の電気信号が、前記1つ以上の基準信号のいずれかと一致する場合に、前記第1の電気信号が、前記1つ以上の基準信号と一致することを指定するか、または、前記予め規定された基準は、前記第1の電気信号が、前記1つ以上の基準信号の全てと一致する場合に、前記第1の電気信号が、前記1つ以上の基準信号と一致することを指定する、請求項1または2に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項4】
モバイル装置を自己診断するための方法は、
前記供給するステップの前に、前記予め規定された制御信号を前記1つ以上の第2のモバイル装置へ前記第1のアクチュエータへ前記供給するステップ中に、基準信号を測定する要求を送信するステップを更に有する、請求項
1から請求項3のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項5】
モバイル装置を自己診断するための方法は、
2つ以上の基準信号からなる前記1つ以上の基準信号のうちの前記少なくとも1つに応答して、
前記2つ以上の基準信号を組み合わせて共通の基準信号を形成するステップと、
前記第1の電気信号と前記共通の基準信号との間の前記比較するステップを行うステップと、を更に有する、請求項
1から請求項4のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項6】
モバイル装置を自己診断するための方法は、
要求するモバイル装置から前記1つ以上のセンサのうちの1つで基準信号を測定するための要求を受信することに応答して、
前記要求に応じて前記1つ以上のセンサのうちの前記1つを使用して基準信号を測定するステップと、
前記測定された基準信号に関する情報を前記要求するモバイル装置に送信するステップと、を行うステップを更に有する、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項7】
前記基準信号を測定するための前記要求が、前記要求するモバイル装置の固有の識別子に関する少なくとも情報を含み、前記方法が、前記基準信号を測定するための前記要求を受信することに応答して、
前記基準信号を測定することに応答して、前記基準信号を復調するステップと、
前記復調された基準信号を前記要求するモバイル装置の前記固有の識別子と比較するステップと、
前記復調された基準信号が前記要求するモバイル装置の前記固有の識別子と一致することを判定することに応答してのみ、前記測定された基準信号に関する前記情報の送信を行うステップと、を行うステップを更に有する、請求項
6に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータへ前記予め規定された制御信号を前記供給するステップによって、前記第1のアクチュエータが正しく動作している場合、予め規定されたパターンに従って前記第1のアクチュエータを起動させおよび停止させ、または、前記第1のアクチュエータが正しく動作している場合、前記予め規定された制御信号の振幅に正比例する振幅を有する出力を生じさせる、請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項9】
前記1つ以上の基準信号は、前記予め規定された制御信号または前記予め規定された制御信号に基づいて計算された信号を含む、請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項10】
前記予め規定された制御信号が、前記モバイル装置の固有の識別子で変調されたキャリア信号に対応し、前記
方法は、
前記第1の電気信号の測定に応じて前記第1の電気信号を復調するステップと、
前記復調された第1の電気信号を前記モバイル装置の前記固有の識別子と比較するステップと、
前記復調された第1の電気信号が前記モバイル装置の前記固有の識別子と一致することを判定することに応答してのみ、前記第1の電気信号と前記1つ以上の基準信号との前記比較するステップを行うステップと、を更に有する、請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項11】
前記第1のアクチュエータは第1のラウドスピーカであり、前記予め規定された制御信号は予め規定された音声信号であり、前記予め規定された制御信号を前記第1のアクチュエータへ前記供給するステップは、音声を生成するための予め規定された音声信号を前記第1のラウドスピーカに供給するステップを含み、または、前記第1のアクチュエータは第1のバイブレータであり、前記予め規定された制御信号を前記第1のアクチュエータへ前記供給するステップは、前記予め規定された制御信号を前記第1のバイブレータに供給するステップを含み、前記第1のバイブレータの振動を引き起こし、かつ、前記モバイル装置の結果として生じる、請求項1から請求項1
0のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項12】
モバイル装置を自己診断するための方法は、
前記供給するステップに応じて、前記1つ以上のセンサの少なくとも1つの第2のセンサの各々を使用して第2の電気信号を測定するステップと、
各々の第2の電気信号と、前記第1のアクチュエータ及び前記予め規定された制御信号に関連付けられた第2の基準信号とを比較するステップと、
1つ以上の第2の予め規定された基準に従って、対応する第2の基準信号に一致しない1つ以上の第2の電気信号のうちの少なくとも1つに応答して、1つ以上の前記表示装置および前記1つ以上のアクチュエータを使用する前記モバイル装置のユーザへ否定的診断を示すステップと、
前記1つ以上の予め規定された規定基準に従って、前記1つ以上の基準信号に一致する前記第1の電気信号に応答してのみ、および、前記1つ以上の第2の予め規定された基準に従って、それぞれの1つ以上の前記第2の基準信号に一致する前記1つ以上の第2の電気信号の各々に応答してのみ、1つ以上の前記表示装置および前記1つ以上のアクチュエータを使用する前記モバイル装置のユーザへ肯定的診断を示すステップと、を有する、請求項1から請求項1
1のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2センサの少なくとも1つのセンサは、前記第1のセンサと比較して異なる種類のセンサである、請求項1
2に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項14】
前記1つ以上の基準信号が基準信号からなり、第1の電気信号と前記基準信号との前記比較するステップが、前記第1の電気信号と前記基準信号との間の相関または類似性を定量化する類似性測定量の値を計算するステップを含み、前記類似性測定量の値が予め規定された閾値を下回ることに応答して、前記第1の電気信号が、前記1つ以上の予め規定された基準に従って、前記基準信号に一致しないことが決定される、請求項1から請求項1
3のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項15】
前記第1のアクチュエータは第1のラウドスピーカであり、前記第1のセンサは第1のマイクロホンであり、前記予め規定された制御信号は音声信号であり、前記方法は、前記予め規定された制御信号を前記供給するステップの前に、
前記第1のラウドスピーカが動作していないときに、前記第1のマイクロホンを使用してバックグラウンド音信号を測定するステップと、
前記第1のラウドスピーカを介しての送信および前記第1のマイクロホンを介しての受信に主として使用される1つ以上の一次周波数が占有されているか否かを前記測定されたバックグラウンド音信号に基づいて判定するステップと、
占有されていると判定された前記1つ以上の一次周波数のうちの少なくとも1つの一次周波数に応答して、前記測定されたバックグラウンド音信号に基づいて占有されていると判定された前記少なくとも1つの一次周波数のそれぞれに対して占有されていないと判定された二次周波数を選択するステップと、
前記予め規定された制御信号を形成するステップであって、前記予め規定された制御信号は、占有されていないと判定された1つ以上の周波数を含むように形成される、ステップと、を行うステップを更に有する、請求項1から請求項1
4のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項16】
モバイル装置を自己診断するための方法は、
前記予め規定された制御信号を前記形成するステップの前に、
1つ以上の前記二次周波数を前記選択するステップに応答して、前記1つ以上の二次周波数を含む予め規定された第2の音声信号を前記第1のマイクロホンに供給するステップと、前記第1のマイクロホンを使用して予備的な音声信号を測定するステップと、前記予備的な音声信号に基づいて、前記第1のマイクロホンが少なくとも1つの前記二次周波数の音を検出することができるかどうかを判定するステップと、によって予備的な試験を行うステップと、
前記第1のマイクロホンが前記少なくとも1つの二次周波数の少なくとも1つの音を検出することができないことに応答して、前記少なくとも1つの二次周波数を置き換えるために占有されていないと判定される別の少なくとも1つの二次周波数を選択するステップと、を行うステップを更に有する、請求項1
5に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項17】
前記第1のアクチュエータが第1のバイブレータであり、前記第1のセンサが第1の加速度計であり、前記方法は、
前記第1のバイブレータが動作しないときに、前記第1の加速度センサを使用してバックグラウンド振動信号を測定するステップと、
前記第1の電気信号を前記測定するステップに応じて、前記測定されたバックグラウンド振動信号に基づいて前記第1の電気信号をフィルタリングするステップと、
前記フィルタリングされた第1の電気信号を用いて前記比較するステップを行うステップと、を更に有する、請求項1から請求項1
6のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項18】
前記1つ以上のセンサは、マイクロホンおよび加速度計のうちの1つ以上を備え、前記1つ以上のアクチュエータは、ラウドスピーカおよびバイブレータのうちの1つ以上を備える、請求項1から請求項1
7のいずれか一項に記載のモバイル装置を自己診断するための方法。
【請求項19】
1つ以上のセンサと、
1つ以上のアクチュエータと、
表示装置と、
予め規定された制御信号を前記1つ以上のアクチュエータの第1のアクチュエータに供給する手段と、
供給するステップに応じて、前記1つ以上のセンサの第1のセンサを使用して第1の電気信号を測定する手段と、
前記第1の電気信号と、前記第1のアクチュエータおよび前記予め規定された制御信号に関連する1つ以上の基準信号と、を比較する手段と、
1つ以上の予め規定された基準に従って、前記1つ以上の基準信号に合致しない前記第1の電気信号に応答して、1つ以上の前記表示装置および前記1つ以上のアクチュエータを使用して、モバイル装置のユーザに否定的な診断を示す手段と、
前記供給するステップの後に、かつ、比較するステップの前に、予め規定された制御信号を1つ以上の第2のモバイル装置のうちの少なくとも1つから前記第1のアクチュエータへ前記供給するステップ中に、前記1つ以上の第2のモバイル装置のうちの前記少なくとも1つにより測定された前記1つ以上の基準信号のうちの少なくとも1つに関する情報を受信する手段と、を備える、モバイル装置。
【請求項20】
前記供給する手段、前記測定する手段、前記比較
する手段及び前記示す手段は、
少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリとを備える、請求項
19に記載のモバイル装置。
【請求項21】
少なくとも以下のステップを実行するために記憶されたプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記以下のステップは、
予め規定された制御信号をモバイル装置の第1のアクチュエータに供給させるステップと、
前記供給させるステップに応じて、前記モバイル装置の第1のセンサを使用して第1の電気信号を測定させるステップと、
前記第1の電気信号と、前記第1のアクチュエータおよび前記予め規定された制御信号に関連する1つ以上の基準信号と、を比較するステップと、
1つ以上の予め規定された基準に従って、前記1つ以上の基準信号に合致しない前記第1の電気信号に応答して、前記モバイル装置の1つ以上の表示装置および前記モバイル装置の1つ以上のアクチュエータを使用して、前記モバイル装置のユーザに否定的な診断を示すステップと、
前記供給させるステップの後に、かつ、前記比較するステップの前に、予め規定された制御信号を1つ以上の第2のモバイル装置のうちの少なくとも1つから前記第1のアクチュエータへ前記供給させるステップ中に、前記1つ以上の第2のモバイル装置のうちの前記少なくとも1つにより測定された前記1つ以上の基準信号のうちの少なくとも1つに関する情報を受信するステップと、である、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施形態は、モバイル装置の診断に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル装置の診断(すなわち、診断プロセス)を確実かつ効率的に実行できることは、使用済みモバイル装置の再利用可能性を決定するために不可欠である。完全にまたは部分的に機能しない装置は、最初に修理しない限り、元の目的で再利用できない場合がある。機能しない装置のさらなる処理および出荷は経済的でないかもしれないので、そのような装置を早い段階で迅速かつ正確に診断することが重要である。
【0003】
典型的には、モバイル装置の診断は、人間オペレータからの何らかの入力を必要とする。例えば、人間の入力は、診断プロセスを開始するため、および/またはモバイル装置によって生成された出力(例えば、音の信号)が予想どおりであるかを判断するために、モバイル装置を操作するために必要とされ得る。手作業を必要とするこの種の診断は、時間がかかり、異なる人間のオペレータが、所与の出力に基づいて、モバイル装置が期待通りに動作するか否かについて異なった見解を持つ可能性があるため、誤差を起こしやすい。従って、モバイル装置を診断するためのより自動の解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一態様によれば、独立請求項の主題が提供される。いくつかのさらなる実施態様は、従属請求項において定義される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実装の1つ以上の例は、添付図面および以下の説明において、より詳細に記載される。他の特徴は、明細書及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0006】
いくつかの実施形態は、モバイル装置を自己診断するための方法、装置、およびコンピュータ可読媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下では、例示的な実施形態について、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【0008】
【
図2】実施形態による例示的なプロセスを例示する。
【
図3】実施形態による例示的なプロセスを例示する。
【
図4】実施形態による例示的なプロセスを例示する。
【
図5】実施形態による例示的なプロセスを例示する。
【
図6】実施形態による例示的なプロセスを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施形態は、例としてのみ提示される。本明細書は、テキストのいくつかの所における「1つ」、または「いくつかの」の実施形態(複数可)および/または実施例を指すことができるが、これは、必ずしも、各参照が、同一の実施形態または実施例になされること、または特定の特徴が、単一の実施形態および/または実施例にのみ適用されることを意味するわけではない。異なる実施形態及び/又は実施例の単一の特徴を組み合わせて、他の実施形態及び/又は実施例を提供することもできる。
【0010】
図1Aは、実施形態にしたがった装置101を示す。具体的には、装置101は、モバイル装置であってもよい。実施形態による各モバイル装置は、少なくとも処理手段102、1つまたは複数のアクチュエータ151、152、1つまたは複数のセンサ141、142、および表示装置161を備える。任意に、各モバイル装置101はまた、ユーザ入力装置171及び1つ以上のアンテナ181を備えてもよい。
【0011】
モバイル装置101は、ユーザ装置(UE、ユーザ装置、ユーザ端末、端末装置等とも呼ばれる)であってもよい。ユーザ装置は、以下のタイプの装置を含むが、これらに限定されない、加入者識別モジュール(SIM)を用いて、または用いずに動作する無線モバイル通信装置を含む、携帯コンピューティング装置であってもよい。これらのタイプの装置は、携帯局(携帯電話)、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ハンドセット、無線モデム(警報または測定装置など)を用いた装置、ノート型パソコン、タッチスクリーンコンピュータ、タブレット、(携帯)ゲームコンソール、ノートブック、およびマルチメディア装置である。ユーザ装置は、ほぼ排他的なアップリンク専用装置であってもよく、その一例は、ネットワークに画像またはビデオ・クリップをロードするカメラまたはビデオ・カメラであることが理解されるべきである。また、ユーザ装置は、オブジェクトが、ヒトとヒト、またはヒトとコンピュータとの相互作用を必要とせずにネットワークを介してデータを転送する機能を提供されるシナリオである、モノのインターネット(IoT)ネットワークにおいて動作する機能を有する装置であってもよい。いくつかの実施形態において、移動装置は、オフライン携帯計算装置であってもよい。
【0012】
モバイル装置は、以下の技術アーキテクチャのうちの1つまたは複数を採用する通信システムで動作するように構成されてもよい。それらの技術アーキテクチャは、ロングタームエボリューションアドバンスド(LTEアドバンスド、LTE-A)、新しい無線(NR、5G)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)無線アクセスネットワーク(UTRANまたはE-UTRAN)、ロングタームエボリューション(LTE、E-UTRAと同じ)、無線ローカルエリアネットワーク(WLANまたはWiFi)、マイクロ波アクセスのためのワールドワイドインターオペラビリティ(WiMAX)、Bluetooth(R)、パーソナル通信サービス(PCS)、ZigBee(R)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、超広帯域(UWB)技術を使用するシステム、センサネットワーク、モバイルアドホックネットワーク(MANETs)、および、インターネットプロトコルマルチメディアサブシステム(IMS)、または、それらの任意の組み合わせである。
【0013】
1つまたは複数のアクチュエータ151、152は、例えば、1つまたは複数のタイプのラウドスピーカおよびバイブレータの1つまたは複数のアクチュエータを備えることができる。ラウドスピーカ(または単にスピーカ)は、電気音響または音声信号を対応する音に変換するように構成された任意の電気音響トランスデューサであってもよい。例えば、ラウドスピーカは、音を生成するための圧電効果を使用する圧電スピーカであってもよく、または、同じことを行うために電磁誘導を使用するダイナミックスピーカであってもよい。バイブレータは、偏心回転質量(ERM)、線形共振アクチュエータ(LRA)、圧電アクチュエータ、強制衝撃ベースの触覚アクチュエータ(等しくは加速ラムベースの触覚アクチュエータと呼ばれる)、または、Apple Taptic Engineなどの触覚フィードバックを提供する任意のコンポーネントであってもよい。例えば、触覚フィードバックは、動作時に電気モータがバイブレータを生じさせ、その結果、モバイル装置も振動させるように、モバイル装置の内部に配置された(小型の)電気モータによって提供されてもよい。十分な振動を達成するために、(小型の)電気モータは、中心からずれた重りに接続されてもよい。バイブレータは、例えば、モバイル装置の振動アラート機能または触覚フィードバック機能を提供するために使用されてもよい。1つ以上のアクチュエータ151、152は、モバイル装置101の内蔵アクチュエータであってもよい。
【0014】
1つまたは複数のセンサ141、142は、例えば、マイクロホンおよび加速度計の1つまたは複数のタイプの1つまたは複数のセンサを備えることができる。マイクロホンは、音を電気信号に変換する任意のトランスデューサであってもよい。例えば、マイクロホンは、磁場中に懸垂されたワイヤのコイルを使用するダイナミックマイクロホンであってもよく、コンデンサプレートとして振動ダイヤフラムを使用するコンデンサマイクロフォンであってもよく、圧電材料の結晶を使用する圧電マイクロホンであってもよい。いくつかの実施形態では、(前のパラグラフで論じたように)ラウドスピーカは、マイクロホンとしても「逆に」使用されてもよい。加速度計(すなわち、加速度センサ)は、加速度(または、特に適正加速度)を測定する任意の装置であってもよい。好ましくは、加速度計はデジタルセンサである。加速度計は、加速度の少なくとも大きさ(及びオプションとして、加速度の方向も)を検出することができる単軸及び多軸加速度計であってもよい。加速度計は、例えば、静電容量式マイクロ電気機械システム(MEMS)加速度計、ピエゾ抵抗加速度計、圧電加速度計、電荷モード圧電加速度計及び電圧モード内部電子圧電(IEPE)加速度計であってもよい。加速度計は、振動センサ(すなわち、振動を感知するセンサ)の最も一般的に使用される実施例である。加速度センサの代わりに他の振動センサを使用することもできる。1つまたは複数のセンサ141、142は、モバイル装置の内蔵センサであってもよい。
【0015】
上述のように、また、
図1Aに例示されるように、1つまたは複数のアクチュエータ151、152および1つまたは複数のセンサ141、142は、モバイル装置101内に備えられてもよく(すなわち、それらは、モバイル装置101の内蔵要素であってもよい)、いくつかの他の実施形態では、1つまたは複数のアクチュエータ151、152および1つまたは複数のセンサ141、142は、例えば、無線で、またはケーブルを使用して、モバイル装置101の外部で、モバイル装置101に接続可能であってもよい。
【0016】
ユーザ入力装置171は、モバイル装置のユーザが処理手段102にコマンドを発行することを可能にする。ユーザ入力装置171は、例えば、キーパッド、1つまたは複数の押しボタンのセット、タッチパッド、制御スティックおよびタッチスクリーン(またはタッチスクリーンの1つまたは複数のセンサ)のうちの1つまたは複数を備えることができる。ユーザ入力装置171がタッチスクリーンである場合、ユーザ入力装置171及び表示装置161は、
図1Aに示されるように別個の実体であるのとは対照的に、単一のエンティティ又は装置を形成することができる。
【0017】
表示装置161は、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)技術、液晶(LQ)技術、発光ダイオード(LED)技術(より進歩した有機LED技術およびアクティブマトリックス有機LED技術を含む)、プラズマ技術および/または量子ドット(QD)技術の1つ以上を採用する任意の電気視覚表示装置であってもよい。表示装置161は、前のパラグラフで説明したように、タッチスクリーンであってもよい。具体的には、表示装置は、静電容量式タッチスクリーン、抵抗性タッチスクリーン、または弾性表面波技術などの他の技術を採用するタッチスクリーンであってもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上のディスプレイが、モバイル装置101に含まれてもよい。
【0018】
処理手段102(手段と同様に呼ぶ)は、少なくとも1つまたは複数のセンサ141、142および1つまたは複数のアクチュエータ151、152と通信し、オプションとして、表示装置161およびユーザ入力装置171と通信して、後述する任意の実施形態に従った診断プロセスを実行するように構成することができる。処理手段は、少なくとも1つのプロセッサなどの1つまたは複数の制御回路120と、コンピュータプログラムコード(ソフトウェア)などの1つまたは複数のアルゴリズム131を含む少なくとも1つの記憶部130とを備えることができ、ここで、少なくとも1つの記憶部およびコンピュータプログラムコード(ソフトウェア)は、処理手段またはモバイル装置に、以下に記載されるモバイル装置または処理手段の例示される機能のうちのいずれか1つを実行させるように、少なくとも1つのプロセッサとともに構成される(具体的には、
図2~
図6、
図7Aおよび
図7Bに関連して)。また、少なくとも1つの記憶部130は、少なくとも1つのデータベース132を含んでもよい。
【0019】
処理手段の制御回路120は、実施形態に従ったモバイル装置の自己診断(または自己診断法)を行うように構成された少なくとも自己診断回路121を備える。このために、自己診断回路121は、1つまたは複数の個々の回路を使用して、
図2~
図6、
図7Aおよび
図7Bのいずれかによって後述される機能を実行するように構成される。
【0020】
図1Aを参照すると、記憶部130は、半導体ベースの記憶装置、フラッシュメモリ、磁気記憶装置およびシステム、光記憶装置およびシステム、固定メモリおよび取り外し可能メモリなど、任意の適切なデータ記憶技術を用いて実現されてもよい。
【0021】
図1Aを参照すると、処理手段102は、1つまたは複数のアンテナ181を使用して1つまたは複数の通信プロトコルに従って通信接続性を実現するためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む1つまたは複数の通信インターフェースなど、異なるインターフェースまたは入力/出力110をさらに備えることができる。1つまたは複数のインターフェース110は、1つまたは複数のセンサ141、142およびユーザ入力装置171から信号を受信するための入力と、1つまたは複数のアクチュエータ151、152および表示装置161へ信号を供給するための出力とを提供してもよい。1つまたは複数のインターフェース110は、1つまたは複数のアンテナ181を介して通信機能をモバイル装置に提供して、セルラ通信システムで通信し、ユーザ装置(すなわち、端末装置)と異なるネットワークノードまたは要素との間の通信を可能にし、および/または、例えば、異なるネットワークノードまたは要素の間の通信を可能にする通信インターフェースを提供してもよい。1つ以上のインターフェース110は、増幅器、フィルタ、周波数変換器、変(復)調器、アナログ-デジタル変換器(ADC)、デジタル-アナログ変換器(DAC)、エンコーダ/デコーダ回路などの標準的な周知の構成要素を含み、これらの構成要素は、対応する制御ユニットによって制御される。
【0022】
実施形態による、
図2から
図6、7A及び7Bに関連して議論されるプロセスのいずれかを実施するためのさらなる例の(処理)手段のいくつかは、以下のうちの少なくとも1つを含み得る。検出器、プロセッサ(デュアルコアおよびマルチコアプロセッサを含む)、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、受信機、送信機、エンコーダ、デコーダ、メモリ、RAM、ROM、ソフトウェア、ファームウェア、表示装置、ユーザインタフェース、ディスプレイ回路、ユーザインタフェースソフトウェア、ディスプレイソフトウェア、回路、アンテナ、アンテナ回路、および電気回路である。一実施形態によると、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ、およびコンピュータプログラムコード形式処理手段は、
図2~
図6、
図7Aおよび
図7Bの実施形態のいずれか1つまたはそれらの操作に従った1つまたは複数の操作を実行するための1つまたは複数のコンピュータプログラムコード部分を備える。この手段は、いくつかの実施形態では、上述したように、1つ以上のアクチュエータのうちの1つ以上、1つ以上のセンサ、表示装置、およびユーザ入力装置をさらに備えることができる。
【0023】
本出願において使用される場合、「回路」という用語は、1つまたは複数または全ての以下をいうことができる。(a)アナログのみおよび/またはデジタル回路における実装などのハードウェアのみの回路実装、および(b)ハードウェア回路およびソフトウェア(および/またはファームウェア)の組み合わせ、(適用可能な)例としては、(i)ソフトウェア/ファームウェアとのアナログおよび/またはデジタルハードウェア回路の組み合わせ、および(ii)モバイル装置などの装置がさまざまな機能を果たすように協働する、デジタルシグナルプロセッサ、ソフトウェア、および記憶部を含む、ソフトウェアを有するハードウェアプロセッサのいずれかの部分がある、および(c)マイクロプロセッサまたはマイクロプロセッサの一部などの、操作のためにソフトウェア(例えばファームウェア)を必要とするようなハードウェア回路およびプロセッサであるが、操作のためにソフトウェアが必要でない場合には、ソフトウェアが存在しなくてもよい。この「回路」の定義は、いかなる請求項も含め、本出願におけるこの用語のすべての使用に適用される。さらなる例として、本出願で使用されるように、「回路」という用語は、単にハードウェア回路もしくはプロセッサ(または複数のプロセッサ)、またはハードウェア回路またはプロセッサの一部およびその(またはそれらの)付随するソフトウェアおよび/またはファームウェアの実装も含む。用語「回路」はまた、例えば、特定の請求項の要素、端末装置用のベースバンド集積回路又は他のコンピューティング又はネットワーク装置に適用できる場合には、それらをカバーする。
【0024】
図1Bは、実施形態による例示的なシステムを例示する。具体的には、例示されたシステムは、有線または無線通信リンクを介してそれぞれに接続された3つのモバイル装置191、192、193およびコンピューティング装置194を備える(例示されている実施例では、有線通信リンクが描かれている)。他の実施形態では、異なる数のモバイル装置(1つまたは複数のモバイル装置)がシステムに含まれてもよい。
【0025】
各モバイル装置191、192、193は、上述したように、
図1Aのモバイル装置101であってもよい。モバイル装置191、192、193(またはそれらの少なくともいくつか)は、互いに近接して配置されてもよく、その結果、第1のモバイル装置191、193の少なくとも1つのアクチュエータ(例えば、ラウドスピーカ)によって生成される信号の少なくとも一部が、第2のモバイル装置192の少なくとも1つのセンサを使用して測定されてもよい。モバイル装置は、無線通信リンクを介して(例えば、Bluetoothを用いて)互いに通信することが可能であり得る。
【0026】
表示装置195を含むコンピューティング装置194は、モバイル装置191、192、193によって実行されるプロセスを監視するために使用されてもよい。この目的のために、モバイル装置191、192、193は、それらによって実行される分析プロセス(例えば、診断結果及び/又は任意の関連する中間結果)に関する情報を、リアルタイムで、又は少なくとも定期的に送信するように構成することができる。コンピューティング装置194は、例えば、デスクトップコンピュータであってもよい。
【0027】
図1A及び
図1Bに関連して論じたもののようなモバイル装置の診断を確実かつ効率的に行うことができることは、使用済みモバイル装置の再利用可能性を決定する上で不可欠である。完全または部分的に機能しない装置は、その当初の目的のための再利用が可能になる前に、コストをかけて修理する必要がある。機能しない装置のさらなる処理や出荷は経済的でないかもしれないので、そのような装置を早い段階で迅速かつ正確に診断することが重要である。
【0028】
典型的には、モバイル装置の診断を実行するには、人間オペレータからの何らかの入力が必要である。例えば、人間の入力は、診断プロセスを開始するため、および/またはモバイル装置によって生成された出力(例えば、オーディオ信号またはモバイル装置の振動)が予想どおりであるかを判定するために、装置を動作させることが要求されてもよい。手作業を必要とするこの種の診断は時間がかかり、かつ、異なる人間のオペレータが、所与の出力に基づいて、モバイル装置が予想通りに動作するかどうかについて異なる見解を持つ可能性があるため、手作業が必要であり、誤差を起こしやすい。
【0029】
人間との相互作用を必要とする診断テストは、例えば、バイブレータテスト、ラウドスピーカテスト、加速度計テストで構成される。バイブレータテストの実施例では、モバイル装置は、そのバイブレータモータを回転させ、人間のオペレータに電話を手に取って、モバイル装置が振動しているか否かについての入力を提供するように要求する。ラウドスピーカテストの実施例では、モバイル装置は、各ラウドスピーカテストから予め規定された音を順番に再生し、人間のオペレータに、音が聞こえたかどうかまたは聞こえているかどうかについての入力を提供するように要求する。加速度計テストの実施例では、人間のオペレータは、モバイル装置を何らかの(任意の)方法で動かすように要求される一方、モバイル装置は、その加速度計センサから値を読み取る。
【0030】
前述のテスト中に、1つまたは複数の故障状態が検出され得る。例えば、バイブレータモータは、バイブレータテストにおいて、周期的にのみ又は制御不能に動作することができ、ラウドスピーカテスト中に聞こえる音は、予想されるものとは異なっていてもよく、又は、低品質のものであってもよく、及び/又は、加速度計センサは、モバイル装置が加速度計テストで移動したときに、意味不明な値を与えることができる。
【0031】
人間オペレータを必要とする診断テストは、ほとんどの状況において合理的に信頼できると考えられるが、人間の相互作用に依存する診断は、自動診断と比較して、しばしば遅く、エラーが発生しやすい。これは、通常、1人のオペレータがいつでも複数の装置で作業するので、中古装置の処理施設にボトルネックを生じさせる。
【0032】
人間の相互作用依存診断の欠点は、次の2つの段落でそれぞれ詳述するように、時間の損失と信頼性の欠如に関係する。
【0033】
診断プロセスを完全に実施するために人間との相互作用が必要とされる場合、モバイル装置は、人間の入力を待機している状態でかなりの時間を費やすことがある。人間のオペレータが別のモバイル装置で操作しているビジーであり得るか、または人間の入力が必要であることに気づかないだけであり得るからである。最新のモバイル装置は、テストするために複数のマイクロホンと複数のラウドスピーカを備えている場合がある。人間のオペレータが関係する1回のテストに10秒かかる場合があることを考慮すると、1台のモバイル装置ですべてのマイクロフオンとラウドスピーカをテストするのに簡単に1分かかる場合がある。対照的に、これらの構成要素をすべてカバーする自動化されたテストは、10秒で容易に実行することができた。
【0034】
オペレータが装置が予想通りに動作しているかどうかを判断するように要求されると、結果には常にバイアスがかかる。例えば、オペレータは、他のオペレータよりも低い音量または音質で満足される場合がある。さらに、任意の隣接する装置から発生する音は、診断中のモバイル装置から発生する音と混合されてもよい。さらに、モバイル装置に欠陥があると、モバイル装置の1つまたは複数のセンサが欠陥値を提供することになる可能性がある。
【0035】
図1Aに例示され、以下に議論されるような実施形態は、上述した問題の少なくとも一部を克服する。具体的には、実施形態は、
図1Aに示されるように、モバイル装置の診断を実施するための完全な(または少なくとも主として)自動手段を提供する。
【0036】
図2は、モバイル装置を自動的に診断するための一実施形態によるプロセスを例示する。例示されたプロセスは、モバイル装置によって、または具体的には、
図1Aのモバイル装置101によって、または
図1Aのモバイル装置101の処理手段102によって実行されてもよい。しかしながら、モバイル装置は、少なくとも1つ以上のアクチュエータ及び1つ以上のセンサを含むと仮定される。1つ以上のアクチュエータおよび1つ以上のセンサは、
図1Aに関連して記載されるように規定されてもよい。任意に、モバイル装置は、表示装置(
図1Aに関連して記載されるように規定される)をも含んでもよい。本実施形態では、以下の例示の実施形態と同様に、プロセスを実行する実体は、簡潔性のために単なるモバイル装置である。
【0037】
図2を参照すると、モバイル装置は、ブロック201において、1つまたは複数のアクチュエータの第1のアクチュエータに予め規定された制御信号を供給する。言い換えると、モバイル装置の処理手段は、第1のアクチュエータを動作させるために第1のアクチュエータに供給される予め規定された制御信号を出力として提供する。第1のアクチュエータは、ラウドスピーカまたはバイブレータであってもよい。第1のアクチュエータは、(第1のアクチュエータおよび第1のセンサの故障していない動作を仮定して)予め規定された制御信号によって駆動されるときに、少なくとも部分的に第1のアクチュエータによって生成された信号を測定することができる、モバイル装置のセンサ(第1のセンサ)が存在するようなタイプのものであると仮定される。
【0038】
予め規定された制御信号は、例えば、第1のアクチュエータのタイプに応じて、様々な方法で規定されてもよい。いくつかの実施形態では、予め規定された制御信号は、第1のアクチュエータが正しく動作している場合)。例えば、バイブレータは、このような個別の方法で作動させることができる。他の実施形態では、第1のアクチュエータへの予め規定された制御信号の供給は、第1のアクチュエータが正しく動作している場合、予め規定された制御信号の振幅に正比例する振幅を有する出力を生成する原因となる。例えば、ラウドスピーカ(またはより進んだバイブレータ)は、そのような連続的な方法で操作されてもよい。いくつかの実施形態では、事前規定された制御信号は、周波数または2つ以上の周波数に関連付けられる(すなわち、事前規定された制御信号は、単一の周波数成分または複数の周波数成分を含む)。いくつかの実施形態では、事前規定された制御信号は、この特定のモバイル装置に対して固有である規定を有してもよい。以下の2つの段落では、第1のアクチュエータ(バイブレータまたはラウドスピーカ)の型に特有の例示的な非限定的操作が議論される。
【0039】
第1のアクチュエータがバイブレータである場合、バイブレータまたは具体的には、バイブレータのバイブレータモータは、予め規定された制御信号(例えば、正弦波または直流信号)をバイブレータモータに送ることによって、ブロック201において、予め規定された時間だけ、単に起動されてもよい。バイブレータモータを起動させるためのより複雑な予め規定されたパターンの例を与えるために、バイブレータモータは、最初に予め規定された時間(例えば、100ms)だけ運転され、次いで、第2の予め規定された時間(例えば、200ms)だけ停止され、最後に、第3の予め規定された時間(例えば、50ms)だけ運転されてもよい。いくつかの実施形態では、予め規定されたパターンは、1回以上繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、バイブレータは、2つ以上の異なる振動レベルで動作されてもよい。このような実施形態では、予め規定された制御信号の供給は、予め規定されたパターンに従ったバイブレータの起動および停止をもたらすだけでなく、振動の強度も予め規定された方法で制御することができる。
【0040】
第1のアクチュエータがラウドスピーカである場合、予め規定された制御信号は、ラウドスピーカ(すなわち、機能しているラウドスピーカ)に供給されたときにサウンドを生成する任意の予め規定されたオーディオ信号であってもよい。予め規定されたオーディオ信号は、例えば、予め規定されたオーディオ周波数(予め規定された持続時間を有する)に対応する正弦波(すなわち、純音)、またはそれぞれが異なる予め規定されたオーディオ周波数に対応する2つ以上の正弦波を含んでもよい。2つ以上の正弦波は、同時に及び/又は交互に適用(又は「再生」)することができ、等しい又は異なる持続時間を有することができる。いくつかの実施形態では、予め規定されたオーディオ信号は、予め規定された試験メロディに対応してもよい。他の実施形態では、予め規定されたオーディオ信号は、可聴スペクトル全体を実質的にカバーするように、周波数領域で拡散された複数のオーディオ周波数を含んでもよい。
【0041】
ブロック201における供給に応答して、モバイル装置は、ブロック202において、1つまたは複数のセンサの第1のセンサを使用する第1の電気信号を測定するか、または測定を引き起こす。つまり、予め規定された制御信号を使用して、最初のアクチュエータの操作中に測定が行われる。第1のセンサは、マイクロホン(第1のアクチュエータがラウドスピーカである場合)または加速度計または他のバイブレータセンサ(第1のアクチュエータがバイブレータである場合)であってもよい。上述したように、理想的には、第1の電気信号は、第1のアクチュエータによって生成される出力を定量化しまたは(少なくとも部分的に)表す。しかしながら、第1のアクチュエータが故障している場合、出力(すなわち、音または振動がない)が第1のアクチュエータによって生成されておらず、したがって、測定された第1の電気信号は、バックグラウンドまたは周囲の電気信号のみを含む。
【0042】
測定された第1の電気信号が正しい(波)形態または形状および/または振幅を有するかどうかを判断するために、モバイル装置は、ブロック203において、第1の電気信号を、第1のアクチュエータおよび予め規定された制御信号に関連付けられた基準信号と比較する。基準信号は、第1のアクチュエータに供給される予め規定された制御信号であってもよく、または予め規定された制御信号(例えば、予め規定された制御信号のエンベロープ)に基づいて計算される信号であってもよい。他の実施形態では、基準信号は、第1のアクチュエータおよび第1のセンサが意図されたように動作することが知られているときに、予め規定された制御信号が供給されている第1のアクチュエータに応答して、第1のセンサを使用して測定された信号に対応してもよい。好ましくは、この基準測定は、理想的または理想に近い条件下(すなわち、音響ノイズおよび/または振動源のような著しいバックグラウンドノイズがない)でも実行される。いくつかの実施形態では、基準信号は、ブロック201と202またはブロック202と203の間で、
図7Aおよび7Bに関連して詳細に論じるように、ブロック201の第1のアクチュエータの操作中に第2のモバイル装置の第1のアクチュエータを使用して基準信号を測定してもよい第2の端末装置から受信されてもよい。
【0043】
ブロック203において第1の電気信号を基準信号と比較することは、第1の電気信号と基準信号との間の相互相関または類似性を定量化する類似性メトリック量の値を計算することを含むことができる。類似性メトリック量は、例えば、(相互)相関係数(又は具体的にはピアソンの積率相関係数)又は測定された第1の電気信号及び基準信号について計算された相互相関の最大値であり得る。いくつかの実施形態では、類似性メトリック量は、基準信号から第1の電気信号を減算し(またはその逆の)、結果として生じるすべてのサンプルの絶対値を合計することによって、単に規定されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、ブロック203における比較は、(時間領域の代わりに)周波数領域で実施されてもよい。換言すれば、モバイル装置は、ブロック203において、離散フーリエ変換(DFT)及び高速フーリエ変換(FFT)の一方を用いて、少なくとも第1の電気信号を周波数領域に変換することができる。基準信号は、同様の方法で周波数領域に変換されてもよく、または周波数領域基準信号がデータベース内に容易に提供されてもよい。
【0045】
第1の電気信号が失敗したことに応答して、ブロック204において、1つまたは複数の予め規定された基準に従って基準信号を一致させるために、モバイル装置は、ブロック205において、否定的診断(すなわち、第1のアクチュエータおよび第1のセンサのうちの少なくとも1つが名目上動作していないという診断)を、表示装置および1つまたは複数のアクチュエータのうちの1つまたは複数を使用するモバイル装置のユーザに示す。1つ以上の予め規定された基準は、例えば、(上で規定された)類似性メトリック量のための予め規定された閾値を含んでもよい。従って、第1の電気信号と基準信号との間の一致度は、類似性メトリック量の値が予め規定された閾値を下回る場合には、失敗したとみなされてもよい。表示装置を用いた否定的診断の表示は、表示装置上に通知(例えば、専用の診断アプリケーションでの通知またはプッシュ通知)を表示することを含み得る。診断に関する情報(例えば、影響を受けたアクチュエータに関する情報)は、通知においてユーザに提供されてもよい。1つまたは複数のアクチュエータを使用する否定的診断の表示は、例えば、予め規定された純音またはメロディを、(機能している)ラウドスピーカを使用して聞かせること、および/またはバイブレータを使用して、予め規定された時間、モバイル装置を振動させることを含み得る。
【0046】
第1の電気信号の一致に応答して、ブロック204において、1つまたは複数の予め規定された基準による基準信号は、ブロック206において、表示装置および1つまたは複数のアクチュエータのうちの1つまたは複数を使用するモバイル装置のユーザに対して、肯定的な診断(すなわち、第1のアクチュエータおよび第1のセンサが名目上動作しているという診断)を示す。表示は、前の段落で説明したように実行することができるが、故障が検出されない場合、予め規定された純音および/またはメロディの通知は異なる場合がある。
【0047】
いくつかの実施形態では、(ブロック205、206に関連して記載されるように)肯定的な診断および否定的な診断のうちの1つのみが、ユーザに示されてもよい。換言すれば、ブロック205、206のうちの1つは省略されてもよい。例えば、モバイル装置は、モバイル装置の動作における故障が検出された場合にのみ、ユーザに示すことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、モバイル装置は、ブロック203において、第1の電気信号を、第1のアクチュエータおよび予め規定された制御信号に関連付けられた1つ以上の基準信号(好ましくは、2つ以上の基準信号)と比較する。各基準信号は、上述したように規定されてもよい。例えば、2つ以上の基準信号が、複数の第2のモバイル装置から受信されてもよい(
図7Aおよび7Bに関連してより詳細に議論されるように)。比較が2つ以上の基準信号を用いて行われる実施形態では、ブロック205における否定的診断の表示は、第1の電気信号が2つ以上の基準信号のいずれかに一致しない場合にのみ、1つ以上の予め規定された基準に従ってブロック204においてトリガされ得る。逆に、ブロック206における肯定的診断の表示は、第1の電気信号が2つ以上の基準信号の少なくとも1つに一致する場合、1つ以上の予め規定された基準に従ってブロック204でトリガされ得る。他の実施形態では、ブロック205における否定的診断の表示は、ブロック204において、1つ以上の予め規定された基準に従って、第1の電気信号が2つ以上の基準信号の全てに一致しない場合のみ、または2つ以上の基準信号を組み合わせることによって形成される共通基準信号(1つが生成されている場合)にのみトリガされ得る。反対に、ブロック206における肯定的診断の表示は、第1の電気信号が2つ以上の基準信号の全てに一致する場合、又は2つ以上の基準信号を組み合わせることによって形成される共通基準信号(1つが生成されている場合)の場合、1つ以上の予め規定された基準に従ってブロック204でトリガされ得る。
【0049】
図3は、モバイル装置を自動的に診断するための一実施形態による別のプロセスを例示する。例示されたプロセスは、モバイル装置によって、または具体的には、
図1Aのモバイル装置101によって、または
図1Aのモバイル装置101の処理手段102によって実行されてもよい。
図2の実施形態と同様に、モバイル装置は、少なくとも1つまたは複数のアクチュエータおよび1つまたは複数のセンサを備えると仮定される。任意に、モバイル装置は、表示装置(
図1Aに関連して記載されるように規定される)をも含んでもよい。
【0050】
図3では、ブロック301において、モバイル装置は、データベースにおいて、1つまたは複数の制御信号および1つまたは複数の関連する基準信号に関する情報を維持することが最初に仮定される。1つまたは複数の基準信号が1つまたは複数の基準信号と等しい場合、1つまたは複数の制御信号のみがデータベース内に維持されてもよい。モバイル装置は、さらに、診断において使用される予め規定された基準に関する情報を、データベースにおいて維持することができる。診断プロセスは、(
図1Aに関連して説明されているように)ユーザ入力装置を介してモバイル装置のユーザから予め規定された入力が受信されると、ブロック302で開始される。例えば、ユーザは、モバイル装置にインストールされた専用の診断アプリケーションを使用して診断を開始することができる。他の実施形態では、診断プロセスは、人間の入力なしに自動的に開始されてもよい。
【0051】
次に、モバイル装置は、ブロック303において、(ブロック201に関連して説明したように)使用する第1のアクチュエータに、予め規定された制御信号を供給する。しかしながら、この実施形態において、モバイル装置は、ブロック304において、第1のセンサを用いて第1の電気信号だけでなく、モバイル装置の1つ以上の第2のセンサを用いて1つ以上の第2の電気信号も測定する。異なるセンサを使用する測定は、同時にまたは次々に(すなわち、順番に)実行されてもよい。1つ以上の第2のセンサは、第1のセンサと同じタイプの少なくとも1つのセンサを備えることができる。例えば、ラウドスピーカによって生成される音は、モバイル装置の2つ以上のマイクロホンによって測定されてもよい(すなわち、第1のセンサは第1のマイクロホンであってもよく、1つ以上の第2のセンサは1つ以上の第2のマイクロホンを含んでもよい)。他の実施形態では、1つ以上の第2のセンサは、第1のセンサと比較して異なる種類の少なくとも1つのセンサを備えることができる。
【0052】
モバイル装置は、ブロック305において、第1の電気信号及び1つ以上の第2の電気信号と対応する基準信号と、すなわち、それぞれ、(第1の)基準信号(または、いくつかの実施形態では、1つ以上の基準信号)及び1つ以上の第2の基準信号とを比較する。異なるセンサによる各測定は、第1のアクチュエータ及び予め規定された制御信号に関連する固有の基準信号(データベース内に維持される)を有することができる。いくつかの実施形態では、基準信号のうちの少なくとも1つは、複数のセンサによる測定と比較するために(例えば、2つ以上のマイクロホンによる)使用されてもよい。測定された各電気信号-基準信号対についての比較は、
図2のブロック203に関連して説明したように実施することができる。
【0053】
第1および第2の電気信号のうちの少なくとも1つが失敗したことに応答して、ブロック306において、1つまたは複数の予め規定された基準に従って対応する基準信号を一致させるために、モバイル装置は、ブロック307において、
図2のブロック205に関連して説明されたように、表示装置および1つまたは複数のアクチュエータのうちの1つまたは複数を使用して、モバイル装置のユーザに対する否定的診断を示す。第1および第2の電気信号の全ての一致に応答して、ブロック306において、1つまたは複数の予め規定された基準に従って、対応する基準信号は、ブロック308において、
図2のブロック206に関連して説明されたように、肯定的診断を示す。第1の電気信号および1つまたは複数の第2の電気信号の各々は、1つまたは複数の予め規定された基準の別個のセットを使用して、ブロック306において評価され得る。言い換えると、第1の電気信号は、ブロック306において、1つまたは複数の(第1の)予め規定された基準に従って(基準信号に対して)評価されてもよく、1つまたは複数の第2の電気信号のそれぞれは、1つまたは複数の第2の予め規定された基準(各第2の電気信号に対して別々に規定されてもよい)に従って、(対応する第2の基準信号に対して)ブロック306において評価されてもよい。
【0054】
第1のアクチュエータが第1のラウドスピーカであるいくつかの実施形態では、ブロック304において、同時に再生される2つ以上の別個の予め規定されたオーディオ信号を測定するために、2つ以上の(第2の)マイクロホンを使用してもよい。各マイクロホンは、前記マイクロホンに関連する特定の予め規定されたオーディオ信号を測定するために使用されてもよい。第1のラウドスピーカを通して送信される予め規定されたオーディオ信号は、そのような実施形態では、複数のオーディオ信号成分または複数のオーディオストリームを含み得る。
【0055】
第1のアクチュエータが第1のバイブレータであるいくつかの実施形態では、ブロック304において、第1のバイブレータがアクティブであるときに、モバイル装置の振動から生じる音を測定するために、モバイル装置の2つ以上の(第2の)マイクロホンを使用してもよい。このような実施形態のための例示的な診断シナリオでは、バイブレータが名目上動作し、1つまたは複数のマイクロホンが、結果として生じるオーディオ信号を捕捉することができるが、第1の加速度計は、モバイル装置のいかなる(著しい非周囲の)移動も検出できない場合がある。このような場合、第1の加速度計に欠陥があるという診断が行われてもよい。同様に、第1の加速度計及び1つ又は複数のマイクロホンの全てが、何らかの重要な信号の測定に失敗した場合(すなわち、それらが背景技術又は周囲の信号のみを測定した場合)、第1のバイブレータに欠陥があると診断することができる。さらに、バイブレータが名目上動作し、第1の加速度計が、モバイル装置の結果として生じる動きを検出するが、1つまたは複数のマイクロホンの全てまたは一部が、いかなる重大な信号も測定できない場合、前記1つまたは複数のマイクロホンの全てまたは一部が、欠陥であると診断され得る。
【0056】
理想的には、モバイル装置の診断は、干渉のない測定を可能にするために、無音および/または振動のない環境で実行されるであろう。しかしながら、このような環境は、常に利用可能であるとは限らず、従って、バックグラウンドノイズ、バックグラウンドノイズ振動及び/又は診断を同時に実行している他のモバイル装置からの信号に悩まされている理想よりも低い環境においても、診断をできるように実施することができれば、有益である。実施形態による前記問題を克服するための3つの解決策を、
図4乃至
図6に関連して議論する。例示されたプロセスは、モバイル装置によって、または具体的には、
図1Aのモバイル装置101によって、または
図1Aのモバイル装置101の処理手段102によって実行されてもよい。具体的には、
図4は、アクティブなアクチュエータがバイブレータであるプロセスを説明し、
図5は、アクティブなアクチュエータがラウドスピーカであるプロセスを説明する。したがって、
図4のプロセスを実行するモバイル装置は、少なくともバイブレータおよび加速度計を含み、
図5のプロセスを実行するモバイル装置は、少なくともラウドスピーカおよびマイクロホンを含むと仮定される。
図6のプロセスを実行するモバイル装置は、少なくともバイブレータと加速度計またはラウドスピーカとマイクロフォンのいずれかを備えることができる。任意に、モバイル装置は、表示装置(
図1Aに関連して記載されるように規定される)をも含んでもよい。例示される実施形態は、簡潔性のために、
図2のより単純な実施形態に基づくが、
図3に関連して記載される追加の特徴のいずれかは、
図4乃至
図6のいずれかに例示される実施形態と組み合わせることもできることに留意されたい。
【0057】
図4を参照すると、モバイル装置は、ブロック401において、バイブレータが非アクティブであるときに第1の加速度計を使用して、バックグラウンド振動信号、すなわちバックグラウンド(ノイズ)振動を定量化する信号を測定する。言い換えれば、バイブレータ(又は他のアクチュエータ)が係合されていないときに第1の加速度計によって与えられる電気信号が記録(及びデータベースに記憶)される。その後、モバイル装置は、ブロック402において、第1のバイブレータを予め規定されたパターンに従って動作させるための予め規定された制御信号を第1のバイブレータに送り、ブロック403において、
図2のブロック201、202に関連して説明したように、第1の加速度信号を同時に測定する。この第1の加速度信号は、第1のバイブレータの動作による振動によって提供される主信号成分と、バックグラウンド振動によるバックグラウンド振動信号成分とを含んでもよい。モバイル装置は、ブロック404において、バックグラウンド振動成分を除去するように、測定されたバックグラウンド振動信号に基づいて第1の加速度信号をフィルタリングする。フィルタリングは、例えば、例えば、FFTまたはDFTを使用して、第1の加速度信号およびバックグラウンド振動信号を周波数領域に変換し、測定されたバックグラウンド振動信号を周波数領域において第1の加速度信号から減算し、オプションとして、結果として生じる信号を、例えば、IFFTまたはIDFTを使用して、時間領域に変換することによって実行されてもよい。その後でのみ、モバイル装置はブロック405~408で実際の診断を実行する。ブロック405~408は、
図2のブロック203~206(第1の加速信号が第1の電気信号である)に関連して記載されるように実行されてもよい。
【0058】
上述したように、
図5は、特に(第1の)ラウドスピーカおよび(第1の)マイクロホンのための診断プロセスを例示する。
図5のプロセスは、モバイル装置が最初に、ブロック501において、第1のラウドスピーカが非アクティブである場合に、第1のマイクロホンを使用して、バックグラウンドまたは周囲の音信号、すなわちバックグラウンドノイズを定量化する信号を測定するという点で、先の実施形態と同様に始まる。バックグラウンドノイズは、周囲のノイズまたは残留ノイズと等しく呼ばれることがある。しかしながら、この実施形態では、バックグラウンドノイズに関する情報は、前の実施形態と比較して異なる方法で使用される。
【0059】
図5では、1つ以上の一次周波数および1つ以上の二次周波数が規定されていると仮定される(例えば、データベースにおいて)。1つ以上の一次周波数および1つ以上の二次周波数は、具体的には、オーディオ周波数であってもよい。1つ以上の一次周波数は、第1のラウドスピーカを介した送信および第1のマイクロホンを介した受信に使用されるように規定されてもよく(すなわち、診断プロセスに従って測定を実行するために)、デフォルトによって、または主として、1つ以上の二次周波数が、1つ以上の一次周波数のいずれかが送信および/または受信に使用できない場合に、代替周波数を提供する。具体的には、ブロック502において、1つ以上の一次周波数が占有されているか否かが、測定されたバックグラウンド音信号に基づいて、モバイル装置によって決定される。ブロック502における決定は、例えば、測定されたバックグラウンド音信号を(例えば、DFTまたはFFTを使用して)周波数領域に変換し、1つ以上の一次周波数における振幅または電力レベルを、許容可能なノイズレベルについての最大値を規定する予め規定された閾値と比較することを含んでもよい。予め規定された閾値は、異なる一次周波数に対して同一または異なるように規定されてもよい。
【0060】
ブロック502において占有されていると判定されている1つ以上の一次周波数の少なくとも1つの一次周波数に応答して、モバイル装置はブロック503において、各占有一次周波数に対して、測定されたバックグラウンド音信号に基づいて非占有(すなわち、自由)であると判定された1つ以上の二次周波数の二次周波数を選択する。
【0061】
ブロック503において1つ以上の二次周波数が選択された後、モバイル装置は、前記1つ以上の二次周波数が前記第1のマイクロホンによってサポートされていることを決定する予備試験を実行することができる。この目的のために、モバイル装置はブロック504において、1つ以上の二次周波数を含む第2の予め規定された音声信号を第1のラウドスピーカに送り、ブロック505において、第1のラウドスピーカの動作中に第1のマイクロホンを使用して予備の音声信号を測定する。音(または十分に大きな音)が、1つ以上の二次周波数のそれぞれで第1のマイクロホンによって測定されたかどうか、すなわち、第1のマイクロホンが少なくとも1つの第2の(音声)周波数の音を検出する機能があるかどうか、モバイル装置によりブロック506において決定される。この決定は、例えば、測定された予備の音声信号を周波数領域に(例えば、DFTまたはFFTを使用して)変換し、1つ以上の二次周波数での振幅または電力レベルを、許容可能な振幅または電力レベルについての最小値を規定する予め規定された閾値と比較することを含み得る。
【0062】
第1のマイクロホンが、少なくとも1つの選択された二次周波数で音を測定することができない場合、モバイル装置は、少なくとも1つの選択された二次周波数についてブロック503~506に関連する行動を繰り返す。すなわち、少なくとも1つの二次周波数を置き換えるために、占有されていないと判断された1つ以上の二次周波数のうちの別の少なくとも1つの二次周波数を選択する。
【0063】
各一次周波数がブロック502において占有されていないと判断される場合、または第1のマイクロホンがブロック506において選択された各二次周波数における音を測定することができる場合、モバイル装置はブロック507において、予め規定された制御信号を形成する。具体的には、予め規定された制御信号が、占有されていないと判断された1つまたは複数の周波数(すなわち、1つまたは複数の一次周波数および/または1つまたは複数の二次周波数)を含むように、ブロック507において予め規定された制御信号が形成される。その後、モバイル装置は、前の任意の実施形態に関連して説明したように、ブロック508~513で診断処理を行う。具体的には、ブロック508~513は、第1のアクチュエータがラウドスピーカであると仮定され、第1のセンサが第1のマイクロホンであると仮定される場合には、
図2のブロック201~206に対応してもよい。第1のラウドスピーカ(すなわち、第1のアクチュエータ)は、ブロック508において、占有されていないと決定された1つ以上の周波数を含む予め規定された音声信号(すなわち、予め規定された制御信号)を使用して、供給される。
【0064】
いくつかの実施形態では、選択された1つ以上の二次周波数の予備試験は実施されなくてもよい。すなわち、ブロック504~506は、プロセスから省略されてもよい。その代わりに、ブロック503において選択された1つ以上の二次周波数は、予め規定された制御信号を形成するためにブロック507において予備試験を行うことなく、直接採用されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、ブロック503において、1つ以上の二次周波数のいずれも占有されていない(すなわち、選択ができない)ことが決定された場合、モバイル装置は、モバイル装置の表示装置を介して、モバイル装置のユーザにエラーメッセージを表示することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、予備試験(すなわち、ブロック504~506)は、2つ以上のマイクロホンに対して同時にまたは順番に実施されてもよい。2つ以上のマイクロホンは、
図3に関連して説明したように、第1のマイクロホンと、診断に使用される1つ以上の第2のマイクロホンとを備えることができる。
【0067】
図4および
図5に図示された実施形態が、アクチュエータおよびセンサの特定の組み合わせ(すなわち、それぞれ、バイブレータおよび加速度計、ならびにマイクロホンおよびラウドスピーカ)について上述されたが、上記例示された実施形態は、他のアクチュエータおよびセンサの種類について一般化されてもよい。例えば、
図4のプロセスは、(バイブレータおよび加速度計の代わりに)マイクロホンおよびラウドスピーカの組み合わせに対して適用されてもよい。
図4および
図5に関連して説明された実施形態は、バックグラウンドまたは周囲の信号の測定を採用して、診断プロセスを妨害するバックグラウンドノイズとの潜在的な問題を最小限に抑えているが、
図6の実施形態は、バックグラウンドまたは周囲の信号に対して何らかの測定を実行することなく、同じ診断プロセスを実行する他のモバイル装置から特に発生する環境ノイズ(すなわち、音響ノイズおよび/またはノイズ振動)をいかに回避するかという関連問題に取り組んでいる。
図2のプロセスと同様に、モバイル装置は、ブロック601において、第1のアクチュエータ(例えば、第1のバイブレータまたは第1のマイクロホン)に予め規定された制御信号を送る。しかしながら、予め規定された制御信号は、この実施形態では、この特定のモバイル装置に特有のものであってもよい。更に、予め規定された制御信号は、モバイル装置の固有の数値又は英数字識別子で変調される搬送波信号であってもよい。
【0068】
第1のアクチュエータが第1のバイブレータである場合、振動の周期(振動のない周期によって区切られる)が、固有の数値または英数字の識別子または他の固有の予め規定されたパターンに対応する固有のモールス符号を実現するように、予め規定された制御信号を規定してもよい。換言すれば、振動を提供するためにバイブレータの振動モータに供給される信号は、固有のモールス符号または他の固有の予め規定されたパターンで振幅変調されてもよい。振幅変調は、変調された振幅がゼロに対応する(すなわち、変調指数が1に等しい)2レベル振幅変調であってもよく、または少なくとも、バイブレータモータが起動されないような低い信号レベルであってもよい。固有のモールス符号は、例えば、モバイル装置の国際モバイル装置識別(IMEI)に対応することができる。
【0069】
第1のアクチュエータが第1のマイクロホンである場合、予め規定された制御信号(すなわち、予め規定された音声信号)は、固有の数値識別子を用いて変調される音声信号(例えば、予め規定された周波数の正弦波)に対応することができる。例えば、変調振幅、位相及び/又は周波数に基づく任意の公知の変調技術を採用することができる。固有の数値識別子は、例えば、モバイル装置の国際モバイル装置識別子(IMEI)であってもよい。
【0070】
モバイル装置は、上述の実施形態に関連して説明したように、ブロック602において、第1のセンサ(例えば、第1の加速度計または第1のマイクロホン)を使用して第1の電気信号を測定することができる。しかしながら、測定後、モバイル装置はブロック603において、第1の電気信号を復調又は復号し、ブロック604において、復調された第1の電気信号をモバイル装置の固有識別子(データベース内に維持され得る)と比較する。ブロック605において、復調された第1の電気信号が、モバイル装置の固有識別子と一致しないと判断された場合、モバイル装置は、第1のアクチュエータによって生成された信号を正しく測定するために、プロセス全体を再開すること、すなわち、再度ブロック601~605を実行することができる。
【0071】
ブロック603、604の分析は、測定された第1の電気信号が所望のフォーマットを有するかどうかに関する情報を提供するが、例えば、測定された信号の信号品質および/もしくは信号レベル、ならびに/または、前記品質および/もしくは信号レベルの周波数依存性(測定されたオーディオ信号の場合)に関する詳細な定量的情報を提供しない場合がある。従って、復調された第1の電気信号がモバイル装置の固有識別子と一致する場合であっても、第1のアクチュエータ(及び/又は第1のセンサ)は、依然として準最適な方法で動作していてもよい。そのため、復調された第1の電気信号がモバイル装置の固有識別子と一致すると判断することに応答して、モバイル装置は、
図2のブロック203~206に関連して説明したように、依然としてブロック606~609において「従来の」診断プロセスを実施することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ブロック605における固有識別子の検証の結果は、モバイル装置の(唯一の)診断として機能し得る。そのような実施形態では、ブロック605における肯定的一致は、モバイル装置の表示装置および/または1つ以上のアクチュエータのユーザを用いて、モバイル装置のユーザに対する肯定的診断を示す(ブロック609)モバイル装置に導き、ブロック605における否定的一致(すなわち、一致しない)は、モバイル装置の表示装置および/または1つ以上のアクチュエータを用いて、モバイル装置のユーザに対する否定的診断を示す(ブロック608)モバイル装置に導き得る。
【0073】
空間(例えば、室内)の音響特性が、その中を進む音や振動などの機械的波動に影響を及ぼすことは周知である。例えば、空間の材料および形状の両方が、ある周波数における波(例えば、音波)がどのように反射、散乱および/または吸収されるかに影響を及ぼす。更に、空間を充填する媒体、又はその一部、及び空間内でのその移動は、波形に影響を及ぼす可能性がある。従って、
図4、
図5及び
図6に関連して説明された実施形態は、同じ診断プロセスを実行する他のモバイル装置から生じるバックグラウンドノイズ又は環境ノイズに関する潜在的な問題を最小限に抑えるように設計されているが、
図7A及び
図7Bに例示された実施形態は、モバイル装置が位置する空間の音響に由来するモバイル装置によって測定される第1の電気信号における、少なくとも部分的に、体系的な歪み又はエラーをいかに説明するかという関連する問題に取り組んでいる。具体的には、
図7Aは、第1のモバイル装置(すなわち、分析中のモバイル装置)によって実行されるプロセスを例示し、
図7Bは、第2のモバイル装置(すなわち、第1のモバイル装置の分析を可能にし、第1のモバイル装置と同じ空間に配置されるためのモバイル装置)によって実行される並列プロセスを例示する。第1および第2のモバイル装置は、上述の実施形態に関連して論じた任意のモバイル装置であってもよい。具体的には、
図7Aおよび7Bによって例示されるプロセスのいずれかまたは両方が、
図1Aのモバイル装置101によって実行されてもよい。実施形態に従う同一のモバイル装置は、それ自体を分析するための第1の分析処理においては第1のモバイル装置(同様にモバイル装置とだけ呼ばれる)として、また、別の(第1の)モバイル装置を分析するための別の分析処理においては第2のモバイル装置(同様に要求モバイル装置と呼ばれる)として機能してもよい。以下では、
図7A及び
図7Bを並行して論じる。
【0074】
図7Aを参照すると、第1のモバイル装置は、ブロック701において、基準信号を測定するための要求を1つ以上の第2のモバイル装置に送信する。基準信号を測定するための要求は、第1のモバイル装置上の情報を含んでもよく、測定される参照信号のセンサは、測定および/または測定の時間のために使用されるべきである。1つ以上の第2のモバイル装置(または、それらのうちの少なくとも1つ)は、第1のモバイル装置の近傍(例えば、同じ空間または部屋内)に位置する。具体的には、1つ以上の第2のモバイル装置のそれぞれは、第1のモバイル装置から離れた距離に配置されていてもよく、予め規定された制御信号によって制御される第1のモバイル装置の第1のアクチュエータによって生成される信号が、第2のモバイル装置の第1のセンサによって検出可能である(前記第1のセンサは、第1のモバイル装置の第1のアクチュエータによって生成される信号を検出可能なセンサである)。好ましくは、前記検出される信号は、十分に高い精度で検出され得るように、第2モバイル装置によって測定されるノイズフロアと比較して、かなり高い信号レベル(例えば、電力レベル)を有するべきである。この実施形態において、第1のモバイル装置の第1のアクチュエータは、具体的には、第1のモバイル装置のそれぞれの(第1の)ラウドスピーカおよび第1のセンサであってもよく、1つ以上の第2のモバイル装置は、(第1の)マイクロホンであってもよい。
【0075】
図6に関連して論じたように、第1のアクチュエータを駆動するために第1のモバイル装置によって使用される、予め規定された制御信号は、また、本実施形態では、この特定のモバイル装置に固有であってもよい。具体的には、予め規定された制御信号は、正しい信号が測定されたことを第1のモバイル装置および/または任意の第2のモバイル装置において識別することを可能にするように、第1のモバイル装置の固有の(数値または英数字の)識別子によって変調されるキャリア信号であってもよい。当該実施形態において、要求は、前記固有の(数値又は英数字の)識別子に関する情報、及び場合によっては変調方式に関する情報を含むことができる。他の実施形態では、他の種類の一意的に識別可能な制御信号を採用してもよい。また、これらの実施態様において、要求は、事前に規定された一意的に識別可能な制御信号に関連付けられた固有の識別子上の情報を含んでもよい。
【0076】
図7Bを参照すると、第2のモバイル装置(すなわち、1つ以上の第2のモバイル装置のそれぞれ)は、ブロック710において、第1のモバイル装置からの基準信号を測定するための要求を受信する。第2のモバイル装置は、データベースへの要求に含まれる情報を記憶することができる。
【0077】
図7Aのブロック701で送信され、
図7Bのブロック710で受信された要求は、第1および第2のモバイル装置間の1つ以上の無線通信リンク(例えば、Bluetoothを使用)を介して送信されてもよい。要求は、ユニキャスト、マルチキャストまたはブロードキャスト送信として送信されてもよい。要求は、いくつかの実施形態では、インターネットを含むことができる1つ以上の(無線)通信ネットワークを介して送信されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、各第2のモバイル装置は、ブロック710の後に、第1のモバイル装置(
図7Bには示されていない)に戻る要求の受信および受領を確認する肯定の確認応答を送信してもよい。これに対応して、第1のモバイル装置は、ブロック701の後に、確認応答(
図7Aには示されていない)を受信することができる。確認応答の送信は、ブロック701における送信に関連して記載される任意の送信ルートを介して(例えば、1つ以上の無線通信リンクおよび/またはネットワークを介して)実行されてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、
図7Aのブロック701および
図7Bのブロック710は省略されてもよい。例えば、各第2のモバイル装置は、(例えば、第2のモバイル装置のユーザによって、または
図1Bのコンピューティング装置194のような(遠隔)コンピューティング装置によって遠隔で)基準信号の測定を実行するように事前に構成されてもよい。
【0080】
図7Aを参照すると、第1のモバイル装置は、ブロック702において、例えば、
図2のブロック201、
図3のブロック303、および/または
図6のブロック601に類似する、第1のモバイル装置の1つまたは複数のアクチュエータの第1のアクチュエータに、予め規定された制御信号を供給する。上述の実施形態に関連しても述べたように、予め規定された制御信号は、この特定のモバイル装置(すなわち、第1のモバイル装置)に固有の定義を有することができる。前述の実施形態と同様に、ブロック702における供給に応答して、第1のモバイル装置は、ブロック703において、第1のモバイル装置の1つまたは複数のセンサの第1のセンサを使用する第1の電気信号を測定するか、または測定を引き起こす。いくつかの実施形態において、第1のモバイル装置は、正しい信号が測定されたことを確実にするように、比較段階に移動する前に、測定の直後に、第1の電気信号について、
図6のブロック603~605に関連して議論された検証プロセスを実行してもよい。
【0081】
先の実施形態とは対照的に、第1のモバイル装置は、本実施形態では、第1のアクチュエータの操作中に測定を実行する唯一のモバイル装置ではない。
図7Bを参照すると、第2のモバイル装置(すなわち、1つ以上の第2のモバイル装置のそれぞれ)は、ブロック711において、第2のモバイル装置の第1のセンサを使用する基準信号を測定する。ここでは、第2のモバイル装置(または具体的には、第2のモバイル装置の第1のセンサ)が正しく動作していることが知られており、したがって、測定された基準信号は正確である(すなわち、第2のモバイル装置の第1のセンサが故障しているために変形していない)と仮定することができる。ブロック711において測定を実行すると、第2のモバイル装置はブロック712において、(第1のモバイル装置に測定された基準信号に関する情報を送信する第1および第2のモバイル装置間の前記1つまたは複数の無線通信リンクを介して)(または送信を引き起こす)。
【0082】
いくつかの実施形態では、第2のモバイル装置は、ブロック711における基準信号の測定時に、第1に、測定された信号が、
図6のブロック603~605に関連して論じられたように、受信要求において規定された信号に対応するかどうかをチェックすることができる。具体的には、第2のモバイル装置は、測定された基準信号を復調または復号することができる。復調は、例えば、ブロック710で受信された要求に含まれ、および/または、第2のモバイル装置のデータベースに維持される情報(例えば、変調方式)に基づいて、実行されてもよい。次に、第2のモバイル装置は、復調又は復号された信号を、要求に含まれる固有の識別子(例えば、数値又は英数字の識別子)(すなわち、第1のモバイル装置の固有の識別子)と比較することができる。これらの実施形態におけるブロック712における送信は、復調された参照信号が、要求されているモバイル装置の固有の識別子と一致することを決定することに応答してのみトリガされてもよい。
【0083】
図7Aを参照すると、第1のモバイル装置は、ブロック704において、1つまたは複数の第2のモバイル装置のうちの少なくとも1つから(前記1つまたは複数の無線通信リンクを介して)1つまたは複数の基準信号のうちの少なくとも1つを受信する。いくつかの実施形態において、ブロック703、704は、逆の順序で、又は並列に実行されてもよい。続いて、第1のモバイル装置は、ブロック705において、前記少なくとも1つの受信された基準信号を第1の電気信号と比較する。いくつかの実施形態では、第1のモバイル装置は、(例えば、
図3に関連して説明されるように)第1のモバイル装置のデータベースに維持される(予め規定された)基準信号を、前記少なくとも1つの受信基準信号に加えて、比較において含んでもよい。
【0084】
ブロック705での比較は、
図2のブロック203と同様に、周波数領域で実施することができる。いくつかの実施形態では、ブロック704で少なくとも2つの基準信号に関する情報を受信した後、第1のモバイル装置は受信信号を結合して共通の基準信号を形成し、ブロック705で第1の電気信号と比較される。前記共通基準信号は、例えば、前記1つまたは複数の受信基準信号の重量平均として計算することができ、ここで、前記重量平均の重量は、少なくともそれぞれの基準信号の信号品質に依存することができる。明らかに誤りであると検出される(例えば、他の基準信号から大きく逸脱するように検出される)任意の測定基準信号は、この分析から省略することができる。3. 他の実施形態では、第1の電気信号は、1つまたは複数の基準信号のそれぞれと別々に比較されてもよい。第1の電気信号が、1つまたは複数の基準信号のいずれかに(事前に定義された基準に従って)一致する場合に、第1の電気信号が1つまたは複数の基準信号に一致することを、事前に規定された基準によって指定してもよい。あるいは、事前に規定された基準は、第1の電気信号が、1つまたは複数の基準信号のすべてと一致する場合、第1の電気信号が、1つまたは複数の基準信号と一致することを指定することができる(基準信号ごとに別々に規定されてもよい事前に規定された基準に従って)。
【0085】
ブロック706において、第1の電気信号が、1つ以上の予め規定された基準に従って、1つ以上の基準信号又は共通基準信号(1つが生成される場合)に一致しないことに応答して、モバイル装置は、ブロック707において、上述の実施形態に関連して説明したように、第1のモバイル装置の表示装置及び1つ以上のアクチュエータを用いて、モバイル装置のユーザに対して否定的診断(すなわち、第1のモバイル装置の第1のアクチュエータ及び第1のセンサのうちの少なくとも1つが名目上動作していないという診断)を示す。
【0086】
ブロック706において、第1の電気信号が、1つ以上の予め規定された基準に従って、1つ以上の基準信号に一致することに応答して、モバイル装置は、ブロック708において、上述の実施形態に関連して説明したように、第1のモバイル装置の1つ以上の表示装置及び1つ以上のアクチュエータを用いて、モバイル装置のユーザに対して肯定的診断(すなわち、第1のアクチュエータおよび第1のセンサが名目上動作しているという診断)を示す。
【0087】
したがって、基準信号は、モバイル装置(すなわち、第1および第2のモバイル装置)が配置されている空間に固有であり、したがって、第1の電気信号および測定された基準信号のそれぞれにおいて、少なくともある程度、共通モード信号として重畳された任意の系統的な歪みまたは誤差を、少なくとも部分的に説明することは、この実施形態の利点である。例えば、予め規定された制御信号が、モバイル装置の固有の数値又は英数字の識別子で変調されたキャリア信号である場合(
図6に関連して説明されているように)、復調された第1の電気信号は、第1の電気信号がエコー等の音響効果により歪んでいる場合、固有の識別子に一致しなくなり、したがって、偽否定的診断につながる可能性がある。
【0088】
いくつかの実施形態では、モバイル装置(または第1のモバイル装置)は、表示装置を使用して診断(肯定的/否定的診断)の結果を、人が読み取り可能なフォーマットに加えて、またはこれに代わる、コンピュータが読み取り可能なフォーマットで示すことができる。この機能は、上述した実施形態のいずれにも適用することができる(例えば、
図2のブロック205、206、
図3のブロック307、308、
図4のブロック407、408、
図5のブロック512、513、
図6のブロック608、609、および
図7Aのブロック707、708のいずれかに特に適用することができる)。いくつかの実施形態では、モバイル装置(または第1のモバイル装置)は、有線または無線通信リンクを介して、診断の結果に関する情報(正/ネガティブ診断)をコンピューティング装置(例えば、
図1Bに関連して論じられるようなコンピューティング装置)に送信してもよい。前記コンピューティング装置は、複数のモバイル装置によって同時に実行される診断プロセスを監視するための中央監視エンティティとして作用することができる。加えて、または代替的に、第1のモバイル装置は、任意の中間プロセスおよびその結果に関する情報を、前記有線または無線通信リンクを介して(おそらくリアルタイムで)前記コンピューティング装置に送信することができる。例えば、任意の測定された信号に関する情報および/または診断プロセスの故障に関する情報が、計算装置に伝達されてもよい。対応する情報は、また、
図7Bに関連して論じられるように、各第2のモバイル装置によって、コンピューティング装置に送信されてもよい。一般に、
図2~
図6、
図7Aおよび
図7Bに例示される任意の処理に関する情報は、監視を容易にするために、計算装置に送信されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティング装置は、それに接続されているモバイル装置のアクチュエータの少なくともいくつかによって生成される少なくともいくつかの信号を直接測定するように構成されてもよい。
【0089】
図2~
図6、
図7Aおよび
図7Bによって上述されたブロック、関連機能、および情報交換は、絶対的な時系列順ではなく、それらのいくつかは、同時に実行されてもよいし、与えられたものとは異なる順番で実行されてもよい。また、それらの間またはそれらの内部で他の機能を実行することができ、他の情報を送ることもでき、および/または他のルールを適用することもできる。ブロックのいくつか、またはブロックの一部、または1つ以上の情報片を、対応するブロックまたはブロックの一部、または1つ以上の情報片に置き換えることもできる。
【0090】
上述のような実施形態は、コンピュータ・プログラムまたはその一部によって規定されるコンピュータ・プロセスの形態で実施されてもよい。
図2~
図6、
図7A及び
図7Bに関連して説明された方法の実施形態は、対応する命令を含むコンピュータプログラムの少なくとも1つの部分を実行することによって実施することができる。コンピュータプログラムは、そこに記憶されたプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体として、またはそこに記憶されたプログラム命令を含む一時的でないコンピュータ可読媒体として提供されてもよい。コンピュータプログラムは、ソースコード形式、オブジェクトコード形式、又は何らかの中間形式であってもよく、何らかの種類のキャリアに記憶することができ、これは、プログラムを実行することができる任意の実体又は装置(例えば、実施形態に関連して論じたようなモバイル装置)であってもよい。例えば、コンピュータ・プログラムは、コンピュータまたはプロセッサによって可読可能なコンピュータ・プログラム配布媒体に格納することができる。コンピュータプログラム媒体は、例えば、これに限定されないが、記録媒体、コンピュータメモリ、読み出し専用メモリ、電気キャリア信号、電気通信信号、及びソフトウェア配布パッケージであってもよい。コンピュータプログラム媒体は、一時的でない媒体であってもよい。図示され説明されるように実施形態を実施するためのソフトウェアのコード化は、当業者の範囲内に十分含まれる。
【0091】
たとえ、実施形態を添付図面による実施例を参照して上述したとしても、その実施形態は、それに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で、いくつかの方法で修正することができることは明らかである。したがって、すべての語および表現は、広義に解釈されるべきであり、それらは、実施形態を限定するものではなく、例示することを意図している。技術が進歩するにつれて、発明の概念を様々な方法で実施することができることは、当業者には自明であろう。さらに、記載された実施形態は、必要とされるものではないが、様々な方法で他の実施形態と組み合わせることができることは、当業者にとって明らかである。