(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】安全デバイスを含むDC/DC電圧変換器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H02M3/155 C
H02M3/155 W
(21)【出願番号】P 2021534801
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2019085738
(87)【国際公開番号】W WO2020127333
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-11
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508021716
【氏名又は名称】ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル、タロン
(72)【発明者】
【氏名】エルベ、ドゥマール
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、プライドー
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-025774(JP,A)
【文献】特開2003-009385(JP,A)
【文献】特表2005-528067(JP,A)
【文献】特開2016-140118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第1の直流電圧源(6)に接続されるように設計された主入力端子(HV)と、
b.第2の直流電圧源(7)に接続されるように設計された主出力端子(LV)であり、前記第2の電圧源(7)が、前記第1の電圧源(6)によって供給される電圧よりも低い電圧を供給する、主出力端子(LV)と、
c.変換セル(5)または並列に配置された複数の変換セル(5、5’)と
を含み、各セル(5)は、
i.入力端子(BE)および出力端子(BS)を含む降圧チョッパ(9)であり、前記降圧チョッパ(9)の前記入力端子が前記主入力端子に接続される、降圧チョッパ(9)と、
ii.入力端子(D1)および出力端子(S1)を含む安全デバイス(2)と、
を含み、前記安全デバイス(2)が、第1のトランジスタ(T1)および第2のトランジスタ(T2)を含み、前記トランジスタ(T1、T2)の各々が、電流入力端子、電流出力端子、および制御端子(G)を含み、前記第1のトランジスタ(T1)の前記入力端子および前記第2のトランジスタ(T2)の前記出力端子が、それぞれ、前記安全デバイス(2)の前記入力端子(D1)および前記出力端子(S1)に接続され、前記安全デバイス(2)の前記入力端子(D1)が、前記降圧チョッパ(9)の前記出力端子(BS)に接続され、前記安全デバイス(2)の前記出力端子(S1)が、前記主出力端子(LV)に接続され、前記安全デバイス(2)が、制御入力部(G1)をさらに含み、前記制御入力部(G1)が、阻止コマンドを受け取るように設計され、前記阻止コマンドを受け取った際に、前記第1のトランジスタ(T1)および前記第2のトランジスタ(T1)のうちの少なくとも1つを開くように設計される、DC/DC変換器であって、
所与の変換セル(5)に対して、前記第1のトランジスタ(T1)および前記第2のトランジスタ(T2)が導電状態にあり、前記主出力端子(LV)と、前記安全デバイス(2)の前記入力端子(D1)との間の電圧の差が検出しきい値よりも低いとき、前記所与の変換セル(5)の前記
安全デバイス(2)のために予め決められた前記阻止コマンドを発生するように設計されたモニタリングデバイス(8)をさらに含むことを特徴とするDC/DC変換器。
【請求項2】
少なくとも1の変換セル(5)が、複数の降圧チョッパを並列に含む、請求項1に記載のDC/DC変換器。
【請求項3】
前記モニタリングデバイス(8)は、各セルの前記第1のトランジスタ(T1)および前記第2のトランジスタ(T2)が導電状態にあるときにのみ作動する、請求項1または2に記載のDC/DC変換器。
【請求項4】
前記モニタリングデバイス(8)が、さらに、各変換セル(5、5’)の前記安全デバイス(2、2’)のために予め決められた前記阻止コマンドを発生するように設計される、請求項1から3の一項に記載のDC/DC変換器。
【請求項5】
前記モニタリングデバイス(8)が、
a.入力段であって、
i.第1の分圧器ブリッジおよび第2の分圧器ブリッジと、
ii.電流源または電圧源と、
iii.変換セル(5、5’)と同じ数のダイオード(D2、D4)であり、前記入力段の前記ダイオードのアノードが、互いに接続され、前記電流源または前記電圧源に接続され、前記変換セル(5、5’)の各々が、その安全デバイス(2、2’)の前記入力端子(D1、D1’)によって、前記ダイオード(D2、D4)の個々のもののカソードに接続される、ダイオード(D2、D4)と、
iv.電圧オフセッティング・ダイオード(D3)であり、そのカソードが前記主出力端子(LV)に接続され、そのアノードが前記電圧源または前記電流源に接続される、電圧オフセッティング・ダイオード(D3)と、
を含む、入力段と、
b.電圧コンパレータ(12)であって、その非反転端子が、前記第1の分圧器ブリッジによって前記入力段の前記ダイオード(D2、D4)の前記アノードに接続され、その反転端子が、前記第2の分圧器ブリッジによって前記電圧オフセッティング・ダイオード(D3)の前記アノードに接続される、電圧コンパレータ(12)と、
を含む、請求項1から4の一項に記載のDC/DC変換器。
【請求項6】
前記電圧コンパレータの出力部と前記非反転入力部との間に接続された第3の抵抗器(R4)をさらに含む、請求項5に記載のDC/DC変換器。
【請求項7】
前記電圧コンパレータの前記出力部が、さらに、トリガリング・ダイオード(D5、D6)のカソードに接続され、前記トリガリング・ダイオードのアノードが、前記変換セル(5、5’)の前記安全デバイス(2、2’)の前記制御入力部(G1、G1’)に接続され、前記安全デバイス(2、2’)の前記制御入力部(G1、G1’)の各々が、直接、または抵抗器によって、前記第1のトランジスタ(T1)および/または前記第2のトランジスタ(T2)の前記制御端子(G)に接続される、請求
項6に記載のDC/DC変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気変換器、特に、自動車分野で使用されるDC/DC電圧変換器の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野で実装されるDC/DC電圧変換器は、例えば、電子ボードに埋め込まれた電力構成要素のうちの1つに機能不全が発生した場合、非常に高い振幅、例えば、数百アンペアの電流を発生する短絡を引き起こすことがある。この短絡は、電圧変換器自体を不可逆的に損傷することがあるが、電圧変換器が接続されている機器も損傷することがある。
【0003】
それゆえに、このタイプの高振幅電流を検出し、該当する場合、電圧変換器を安全にする必要がある。この目的のために、先行技術では、
図1に示されたものなどのDC/DC電圧変換器の技法が知られている。このタイプの電圧変換器100は、以下のものを含む:
a.第1の直流電圧源6、例えば、48Vバッテリに接続されるように設計された主入力端子HV;
b.第2の直流電圧源7、例えば、12Vバッテリに接続されるように設計された主出力端子LVであり、前記第2の電圧源が、前記第1の電圧源によって供給される電圧よりも低い電圧を供給する、主出力端子LV;
c.電圧変換セル5または並列に配置された複数の変換セルであり、各セルが、以下のものを含む:
i.入力端子BEおよび出力端子BSを含む降圧チョッパ9であり、前記降圧チョッパの前記入力端子が前記主入力端子に接続される、降圧チョッパ9;
ii.入力端子Dおよび出力端子Sを含む安全デバイス2であり、前記安全デバイスが、第1のトランジスタT1および第2のトランジスタT2を含み、前記トランジスタの各々が、電流入力端子、電流出力端子、および制御端子を含み、第1のトランジスタの入力端子または第2のトランジスタの出力端子が、それぞれ、前記安全デバイスの入力端子および出力端子に接続され、安全デバイスの入力端子が、降圧チョッパの出力端子に接続され、安全デバイスの出力端子が、主出力端子に接続され、前記安全デバイスが、制御入力部Gをさらに含み、制御入力部Gが、阻止コマンドを受け取るように設計され、前記阻止コマンドを受け取った際に、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタのうちの少なくとも1つを開くように設計される、安全デバイス2;
d.電圧変換器の主出力端子に達する電流がしきい値を超えたとき、前記安全デバイスに阻止信号を送るように設計されたモニタリングデバイス80。
【0004】
DC/DC変換器100のモニタリングデバイスは、一般に、安全デバイスと第2の直流電圧源との間に配置された測定抵抗器Rs(「シャント抵抗器」)を介して、第1の供給源7によって供給される電流を測定し、短絡の場合に、測定抵抗器の端子の電圧がしきい値よりも大きいときに前記安全デバイスに阻止信号を送るように設計される。
【0005】
したがって、先行技術に係る電圧変換器では、
a.測定抵抗器は、主入力端子および主出力端子が、それぞれ、第1の電圧源および第2の電圧源に接続されている場合、特に出力端子において、電圧変換器内の高電流の存在を検出するために使用され、高電流が検出されると、主出力端子を電圧変換器の他の構成要素から遮断するために、安全デバイスが作動される。
【0006】
しかしながら、測定抵抗器の使用には、DC/DC電圧変換器が正常に動作しているとき、ジュール効果により電力を消費するという問題がある。測定抵抗器を電圧変換器内に実装するには、さらに、電子ボードに、対応する空間を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記の問題を少なくとも部分的に除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、前記のタイプのDC/DC電圧変換器が提案され、それは、所与の変換セルに対して、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタが導電状態にあり、主出力端子と、安全デバイスの入力端子との間の電圧の差が検出しきい値よりも低いとき、所与の変換セルの安全デバイスのために予め決められた阻止コマンドを発生するように、モニタリングデバイスが設計されることを特徴とする。
【0009】
したがって、測定抵抗器の使用はもはや必要ではなく、それにより、測定抵抗に関連したジュール損を除去し、電圧変換器のサイズを減少させることが可能になる。
【0010】
本発明の特定の実施形態によれば、安全デバイスはまた、前記阻止コマンドを受け取った際に、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタを開くように設計される。したがって、第1のトランジスタおよび第2のトランジスタが開であると、第1の電圧源および第2の電圧源は互いに対して遮断される。
【0011】
本発明の特定の実施形態によれば、直流電圧変換器の少なくとも1つの変換セルは、複数の降圧チョッパを並列に含む。
【0012】
本発明の特定の実施形態によれば、モニタリングデバイスは、各セルの第1のトランジスタおよび第2のトランジスタが導電状態にあるときにのみ作動する。
【0013】
本発明の特定の実施形態によれば、モニタリングデバイスはまた、各変換セルの安全デバイスのために予め決められた阻止コマンドを発生するように設計される。
【0014】
本発明の特定の実施形態によれば、モニタリングデバイスは、以下のものを含む:
a.以下のものを含む入力段:
i.第1の分圧器ブリッジおよび第2の分圧器ブリッジ;
ii.電流源または電圧源;
iii.変換セルと同じ数のダイオードであり、入力段のダイオードのアノードが、互いに接続され、電流源または電圧源に接続され、変換セルの各々が、安全デバイスの入力端子によって前記ダイオードの個々のもののカソードに接続される、ダイオード;
iv.電圧オフセッティング・ダイオードであり、そのカソードが、主出力端子に接続され、そのアノードが、前記電圧源または前記電流源に接続される、電圧オフセッティング・ダイオード、
電圧コンパレータであり、その非反転端子が、第1の分圧器ブリッジによって入力段のダイオードのアノードに接続され、その反転端子が、第2の分圧器ブリッジによって電圧オフセッティング・ダイオードのアノードに接続される、電圧コンパレータ。
【0015】
オプションとして、電圧変換器は、前記電圧コンパレータの出力部と非反転入力部との間に接続された第3の抵抗器をさらに含む。
【0016】
さらに、オプションとして、電圧コンパレータの出力部は、さらに、トリガリング・ダイオードのカソードに接続され、トリガリング・ダイオードのアノードは、変換セルの安全デバイスの制御入力部に接続され、安全デバイスの前記制御入力部の各々は、直接、または抵抗器によって、第1のトランジスタおよび/または第2のトランジスタの制御端子に接続される。
【0017】
他の実施形態によれば、電圧変換器が前記の特性の一部またはすべてを組み合わせて有することも想定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】先行技術に係るDC/DC電圧変換器を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る本発明を実施するDC/DC電圧変換器を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る本発明を実施するDC/DC電圧変換器のモニタリングデバイスを示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る本発明を実施するDC/DC電圧変換器を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る本発明を実施するDC/DC電圧変換器のモニタリングデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図2を参照して、本発明を実施するDC/DC電圧変換器1が、次に、説明される。DC/DC電圧変換器1は、例えば、自動車で使用される。簡単にするために、この図で提供される符号は、
図1に示された先行技術に係る電圧変換器の一般的な要素のものと同様である。
【0020】
DC/DC電圧変換器1は、以下のものを含む:
a.第1の直流電圧源6、例えば、48Vバッテリに接続された主入力端子HV;
b.第1の電圧源6の電圧よりも低い電圧を供給する第2の直流電圧源7、例えば、12Vバッテリに接続された主出力端子LV;
c.以下のものを含む変換セル5:
i.主入力端子HVに接続された入力端子BE;
ii.出力端子BS;
iii.インダクタLと、ドレインが入力端子BEに接続され、ソースがインダクタの第1の端部に接続されたトランジスタT3と、ドレインがグランドとインダクタLの第1の端部との間に接続されたトランジスタT4とを含む降圧チョッパ9。インダクタLと、2つのトランジスタT3およびT4との連係が「バック」タイプの降圧チョッパを作り出し、その動作が当業者によく知られている;
iv.インダクタの第2の端部に接続された入力端子D1、主出力端子LVに接続された出力端子S1、および制御端子G1を含む安全デバイス2;
v.モニタリングデバイス8;ならびに
vi.制御デバイス(
図2に示されない)。
【0021】
安全デバイス2は、ヘッド・トゥ・テールで接続された第1のトランジスタT1および第2のトランジスタT2を含む。ここで説明される例では、第1のトランジスタT1および第2のトランジスタT2は、NドープMOSFETである。第1のトランジスタT1のドレインは、安全デバイス2の入力端子D1に接続され、第2のトランジスタT2のドレインは、安全デバイス2の出力端子S1に接続される。第1のトランジスタT1および第2のトランジスタT2は、それらのそれぞれのソースによって接続され、その結果、これらのトランジスタの真性ダイオードは、それらのアノードによって接続される。言い換えれば、第2のトランジスタT2の真性ダイオードのカソードは、電圧変換器1の主出力端子に接続され、第1のトランジスタT1のカソードは、安全デバイス2の入力端子に接続される。これにより、第1のトランジスタT1および第1のトランジスタT2が開であると、電流は、安全デバイス2の入力端子D1と出力端子S1との間で流れることができない。第1のトランジスタT1および第2のトランジスタT2の制御端子は、さらに、安全デバイス2の制御端子G1に接続される。したがって、安全デバイス2の制御端子G1で阻止コマンドを受け取ることにより、トランジスタT1およびT2の開をトリガし、それにより、安全デバイス2の入力端子D1と出力端子S1との間の両方向の電流の循環を遮断することが可能になる。
【0022】
制御デバイスは、スイッチング時に降圧チョッパを動作させるために、トランジスタT3およびT4の開または閉を命令することを可能にする。加えて、制御デバイスは、さらに、安全デバイス2のトランジスタT1およびT2の開または閉を命令することを可能にする。この目的のために、制御デバイスは、トランジスタT1、T2、T3、およびT4の制御端子に、これらのトランジスタのそれぞれの作動に必要な電圧を供給する。
【0023】
モニタリングデバイス8はまた、第1のトランジスタT1および第2のトランジスタT2が導電状態にあるとき、および安全デバイス2の入力端子D1と主出力端子LVとの間の電圧差が検出しきい値Vseuilよりも低いとき、変換セル5の安全デバイス2のために予め決められた阻止コマンドを発生するように設計される。
【0024】
加えて、しきい値電圧Vseuilは、電圧差Vb-Vaに等しく、それは、式[数1]に定義されるように、導電状態におけるトランジスタT1およびT2のソース・ドレイン抵抗の合計に、これらのトランジスタを通過する電流を乗算したものに等しい。
【0025】
【0026】
ここで説明される例では、しきい値電圧Vsは、-0.3Vに等しい。
【0027】
モニタリングデバイス8が、
図3に示され、以下のものを含む:
a.以下のものを含む測定回路3:
i.反転端子、非反転端子、および出力端子を含む電圧コンパレータ12であり、その出力電位VSは、正の反転端子に存在する電圧が電圧コンパレータ12の非反転端子に存在する電圧よりも大きいときに正であり、その出力電位VSは、反対の場合に、負である、電圧コンパレータ12;
ii.電圧Vinによって供給される電流源SC1を含む入力段であり、電流源SC1が作動スイッチTaに直列に接続される、入力段。電流源SC1は、第1の電気分岐および第2の電気分岐を提供する。作動スイッチTaは、例えばマイクロコントローラに接続された制御端子を有する。それにより、この作動スイッチTaによって、マイクロコントローラからモニタリングデバイス8を作動する(スイッチTaが閉じられる)かまたは停止する(スイッチTaが開かれる)ことが可能である。したがって、モニタリングデバイスは、電流が実際に安全デバイス2を通過しているときにのみ作動され得る。以下、説明では、モニタリングデバイス8が作動されていると仮定される。第1の電気分岐はダイオードD3を含み、そのカソードは主出力端子LVに接続され、第2の電気分岐は、ダイオードD3と同じしきい値電圧を有するダイオードD2を含み、そのカソードは、安全デバイス2の入力端子D1に接続される;
iii.電圧コンパレータ12の非反転端子に接続された抵抗器R3および抵抗器R1によって構成された第1の分圧器ブリッジ。抵抗器R3は、非反転端子とダイオードD2のアノードとの間に接続され、抵抗器R1は、非反転端子と電気アースとの間に接続される;
iv.電圧コンパレータ12の反転端子に接続された抵抗器R5および抵抗器R6による第2の分圧器ブリッジ。抵抗器R5は、電圧コンパレータ12の反転端子とダイオードD3のアノードとの間に接続され、抵抗器R6は、反転端子と電気アースとの間に接続される。抵抗R5(および、それぞれ、抵抗R6)の値は、抵抗R3(および、それぞれ、抵抗R1)の値に等しい。
b.以下のものを含む制御回路4:
i.ダイオードD5であり、そのアノードは、安全デバイスの制御端子G1に接続され、そのカソードは、電圧コンパレータ12の出力Vsに接続される、ダイオードD5。
【0028】
抵抗R1、R3、R4、R5、およびR6と、電圧コンパレータ12との連係は、ダイオードD3およびD2のアノードに存在する電圧を比較する。ダイオードD3のアノードに存在する電圧V2は、ダイオードD3のしきい値電圧からオフセットされた主出力端子に存在する電圧に等しい。ダイオードD2のアノードに存在する電圧V1は、ダイオードD2のしきい値電圧からオフセットされた、安全デバイス2の入力端子に存在する電圧に等しい。言い換えれば、ダイオードD3およびD2のしきい値電圧内で、電圧コンパレータ12は、安全デバイス2の入力端子に存在する電圧を主出力端子に存在する電圧と比較する。
【0029】
図3を参照し、式[数2]および[数3]に基づいて、非反転端子の電圧V+および反転端子の電圧V-は、電圧V1、V2に従って、および電圧コンパレータ12の出力電圧Vsに従って表される。
【0030】
【0031】
抵抗R3は抵抗R5と等しく、抵抗R1は抵抗R6と等しいことを考慮に入れる。
【0032】
【0033】
式[数2]に基づいて、抵抗R4が、抵抗R3よりも著しく大きくなる、例えば10倍大きくなるように選択される場合、式[数2]は、式[数4]と等価である。
【0034】
【0035】
電圧コンパレータ12の出力電圧は、電圧V+が電圧V-よりも低くなると、+Vsatから-Vsatに切り換わる。言い換えれば、式[数5]の条件が当てはまるとき、切換えが行われる。
【0036】
【0037】
式[数5]によれば、電圧V1-V2が切換えしきい値SB(式[数6]によって与えられる)よりも低くなると、電圧コンパレータの出力電圧VSは、正の飽和値+Vsatから負の飽和値-Vsatになる。
【0038】
【0039】
抵抗R1、R3、R4、R5(R3に等しい)、およびR6(R1に等しい)の値を飽和電圧Vsatに応じて適切に選択することによって、電圧Vseuilに等しい切換えしきい値SBが得られる。
【0040】
したがって、電圧V1-V2が電圧Vseuilよりも低い場合、電圧コンパレータ12の出力電圧は、負の飽和値-Vsatになる。
【0041】
したがって、DC/DC変換器1の誤動作中、例えば、トランジスタT4が短絡したとき、2つのトランジスタT1およびT2を通過する電流は、電位の低下が安全デバイスの入力端子で生じるまで増加し、前記電位の低下は、電圧コンパレータ12の切換えによって検出される。
【0042】
電圧Vsが負の飽和値-Vsatに等しいとき、電位-Vsatが制御端子G1に印加される。
【0043】
電圧Vsが負電圧-Vsatに等しいとき、ダイオードD5は、制御デバイスによってスイッチT1およびT2の制御端子に供給される電圧の取消し/短絡を可能にし、前記スイッチの開を可能にする。
【0044】
言い換えれば、出力電圧Vsが負の飽和値-Vsatに等しいとき、安全デバイス2は、制御端子G1で阻止コマンドを受け取る。
【0045】
第1の実施形態の変形例によれば、DC/DC変換器1は、複数の降圧チョッパ9を有し、それらの各々は、入力端子BEおよび出力端子BSを有し、複数の降圧チョッパは並列に接続され、端子BEは互いに接続され、端子BSは互いに接続される。複数の降圧チョッパは、より大きい電流を変換するように並列に接続される。
【0046】
本発明の第2の実施形態が、次に、
図4および
図5を参照して説明される。
図2および
図3の第1の実施形態と同様な要素は、同じ符号を保持しており、改めて説明されない。
【0047】
この第2の実施形態では、
図4に示されたDC/DC電圧変換器1’は、第1の変換セル5と並列に接続された第2の変換セル5’を含む。
【0048】
変換セル5’は、以下のものを含む:
a.主入力端子HVに接続された入力端子BE’;
b.インダクタL’と、ドレインが入力端子BE’に接続され、ソースがインダクタの第1の端部に接続されたトランジスタT3’と、ドレインがグランドとインダクタL’の第1の端部との間に接続されたトランジスタT4’とを含む降圧チョッパ9’。インダクタL’と、2つのトランジスタT3’およびT4’との連係が「バック」タイプの降圧チョッパを提供し、その動作が当業者によく知られている;
c.インダクタの第2の端部に接続された入力端子D1’、主出力端子LVに接続された出力端子S1’、および制御端子G1’を含む安全デバイス2’。
【0049】
DC/DC電圧変換器1’は、モニタリングデバイス8’と、DC/DC電圧変換器1’のトランジスタの制御のためのデバイス(図示せず)をさらに含む。
【0050】
安全デバイス2’は、ヘッド・トゥ・テールで接続された第1のトランジスタT1’および第2のトランジスタT2’を含む。ここで説明される例では、第1のトランジスタT1’および第2のトランジスタT2’は、NドープMOSFETである。第1のトランジスタT1’のドレインは、安全デバイス2’の入力部に接続され、第2のトランジスタT2’のドレインは、安全デバイス2の出力端子に接続される。第1のトランジスタT1’および第2のトランジスタT2’は、それらのそれぞれのソースによって接続され、その結果、これらのトランジスタの真性ダイオードは、それらのアノードによって接続される。言い換えれば、第2のトランジスタT2’の真性ダイオードのカソードは、電圧変換器1’の主出力端子に接続され、第1のトランジスタT1’のカソードは、安全デバイス2’の入力端子に接続される。これにより、第1のトランジスタT1’および第1のトランジスタT2’が開であると、電流は、安全デバイス2’の入力端子D1’と出力端子S1’との間で流れることができない。第1のトランジスタT1’および第2のトランジスタT2’の制御端子は、さらに、安全デバイス2’の制御端子G1’に接続される。したがって、安全デバイス2の制御端子G1’で阻止コマンドを受け取ることにより、トランジスタT1’およびT2’の開をトリガすることが可能になる。
【0051】
モニタリングデバイスが、
図5に示され、測定回路3’および制御回路4’を含む。さらに、第1のトランジスタT1、T1’および第2のトランジスタT2、T2’が導電状態にあるとき、および安全デバイス2’の入力端子D1’と主出力端子LVとの間の電圧差と、安全デバイス2の入力端子D1と主出力端子LVの間の電圧差のうちの一方が検出しきい値Vseuilよりも低いとき、安全デバイス2’のために予め決められた阻止コマンドおよび安全デバイス2のために予め決められた阻止コマンドを発生するように設計される。
【0052】
この第2の実施形態では、モニタリングデバイス8’は、以下の理由で、モニタリングデバイス8と区別される:
a.測定回路3’が、ダイオードD4を含む第3の電気分岐をさらに含み、ダイオードD4のカソードが安全デバイス2’の入力端子D1’に接続され、ダイオードD4のアノードがダイオードD2のアノードに接続されること、言い換えれば、ダイオードD2およびD4がダイオードANDを作り出すこと、加えて、ダイオードD2およびD4のしきい値電圧が同様であること;
b.制御回路4’がダイオードD6をさらに含み、そのアノードが、安全デバイス2’の制御端子に接続され、そのカソードが、電圧コンパレータ12の出力端子Vsに接続されること。
【0053】
ダイオードD2およびダイオードD4のアノードに存在する電圧V1は、ダイオードD2およびD4のしきい値電圧からオフセットされた入力端子D1およびD1’に存在する電圧のうちの最小の電圧に等しい。ダイオードD3のアノードに存在する電圧V2は、ダイオードD3のしきい値電圧からオフセットされた主オフセット端子に存在する電圧に等しい。言い換えれば、ダイオードD3、D4、およびD2のしきい値電圧内で、電圧コンパレータ12は、入力端子D1および入力端子D1’に存在する電圧のうちの最小の電圧を主出力端子に存在する電圧と比較する。
【0054】
したがって、式[数6]によれば、電圧V1-V2が切換えしきい値SBよりも低くなると、電圧コンパレータの出力電圧VSは、正の飽和値+Vsatから負の飽和値-Vsatになる。
【0055】
電圧Vsが負電圧-Vsatに等しいとき、ダイオードD5は、制御デバイスによってスイッチT1およびT2の制御端子に供給される電圧の取消し/短絡を可能にし、前記切換えの開を可能にする。同様に、電圧Vsが負電圧-Vsatに等しいとき、ダイオードD6は、制御デバイスによってスイッチT1’およびT2’の制御端子に供給される電圧の取消し/短絡を可能にし、前記スイッチの開を可能にする。
【0056】
言い換えれば、電圧V1-V2が切換えしきい値SBよりも低くなると、出力電圧Vsは-Vsatに等しく、それは、トランジスタT1、T1’、T2、およびT2’の開を生じさせる。
【0057】
したがって、DC/DC変換器1’の誤動作中、例えば、トランジスタT4’が短絡したとき、2つのトランジスタT1’およびT2’を通過する電流は、電位の低下が安全デバイス2’の入力端子で生じるまで増加し、前記電位の低下は、電圧コンパレータ12の切換えによって検出され、この切換えは、安全デバイス2および2’のトランジスタT1、T1’、T2、およびT2’の開を生じさせ、DC/DC電圧変換器1’を安全にする。
【0058】
加えておよびオプションとして、制御デバイスは、コンパレータ12の出力端子の電圧を走査することができ、この電圧が-Vsatに等しいとき、制御デバイスは、スイッチT3、T3’、T4、およびT4’を開き、それにより、DC/DC電圧変換器1’を完全に安全な状態にする。