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特許7416804管をその縁において厚くするための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】管をその縁において厚くするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/08 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B21J5/08 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021539520
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 IB2020050046
(87)【国際公開番号】W WO2020144549
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】201931000661
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】518201418
【氏名又は名称】タタ スチール リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラクシミカント パラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマ ラフル クマー
(72)【発明者】
【氏名】サンジェイ グジル ヴィナイ
(72)【発明者】
【氏名】バーローディヤ ヴィシャル カルブハイ
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05184495(US,A)
【文献】特開昭58-188511(JP,A)
【文献】米国特許第02078195(US,A)
【文献】米国特許第03224243(US,A)
【文献】特開平11-090578(JP,A)
【文献】特開昭60-118348(JP,A)
【文献】特開2001-137997(JP,A)
【文献】特開昭63-157733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管(101)を当該管(101)の縁(201)において厚くするための装置(100)であって、前記装置(100)は、
前記管(101)の第1の長手方向面(110)を、前記管(101)の一方または両方の端部を除く前記第1の長手方向面(110)の長さに沿って強固に支持するように構成された第1の支持部材(102)と、
前記管(101)の第2の長手方向面(111)を、前記管(101)の前記一方または両方の端部を除く前記第2の長手方向面(111)の長さに沿って強固に支持するように構成された第2の支持部材(103)と、
外部動力源によって駆動されるパンチ(104)と、
を備え、
前記パンチ(104)は前記管(101)のいずれの端部にも力を及ぼすように構成されており、
前記パンチ(104)による力の印加は、前記管(101)の前記端部を塑性変形させ、前記管(101)を一方または両方の端部において厚くすることを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(100)であって、第1の外部動力源によって駆動されるブロック(105)を備え、前記ブロック(105)に対する長手方向の力が、前記第2の支持部材(103)に側方外向きの移動を与えて、前記管(101)の前記第2の長手方向面(111)をさらに支持するように構成されていることを特徴とする装置(100)。
【請求項3】
請求項2に記載の装置(100)であって、前記ブロック(105)がくさび形であることを特徴とする装置(100)。
【請求項4】
請求項1に記載の装置(100)であって、前記第1の支持部材(102)が、第2の外部動力源によって駆動されることを特徴とする装置(100)。
【請求項5】
請求項1に記載の装置(100)であって、前記第1の支持部材(102)が、外側管保持具(106)と外側インサート(107)とを含んでいることを特徴とする装置(100)。
【請求項6】
請求項5に記載の装置(100)であって、前記外側管保持具(106)と前記外側インサート(107)とが、機械的接合および熱的接合のうちの少なくとも1つによって接合されていることを特徴とする装置(100)。
【請求項7】
請求項6に記載の装置(100)であって、前記外側インサート(107)の端部は、前記端部が前記管(101)の前記端部の塑性変形のための型の一部を画定するように、面取りされていることを特徴とする装置(100)。
【請求項8】
請求項1に記載の装置(100)であって、前記第2の支持部材(103)が、内側管保持具(108)と内側インサート(109)とを含んでいることを特徴とする装置(100)。
【請求項9】
請求項8に記載の装置(100)であって、前記内側管保持具(108)と前記内側インサート(109)とが、機械的接合および熱的接合のうちの少なくとも1つによって接合されていることを特徴とする装置(100)。
【請求項10】
請求項9に記載の装置(100)であって、前記内側インサート(109)の端部は、前記端部が前記管(101)の前記端部の塑性変形のための型の一部を画定するように、面取りされていることを特徴とする装置(100)。
【請求項11】
請求項2に記載の装置(100)であって、前記第2の支持部材(103)が、内側管保持具(108)と内側インサート(109)とを含み、前記内側管保持具(108)の形状が、前記ブロック(105)の形状に一致していることを特徴とする装置(100)。
【請求項12】
請求項2に記載の装置(100)であって、前記第1の外部動力源が液圧駆動装置であることを特徴とする装置(100)。
【請求項13】
請求項1に記載の装置(100)であって、前記第1の支持部材(102)および前記第2の支持部材(103)が、前記支持部材の両側の端部で最端部において互い離れるように面取りされて、前記管の縁(201)と接触しないことを特徴とする装置(100)。
【請求項14】
請求項1に記載の装置(100)であって、前記管(101)の前記第1の長手方向面(110)が、前記管(101)の外表面であることを特徴とする装置(100)。
【請求項15】
請求項1に記載の装置(100)であって、前記管の前記第2の長手方向面(111)が、前記管の内表面であることを特徴とする装置(100)。
【請求項16】
管(101)を当該管(101)の縁(201)において厚くするプロセスであって、前記プロセスは、
第1の支持部材(102)によって、前記管(101)の第1の長手方向面(110)を、前記管(101)の一方または両方の端部を除く前記第1の長手方向面(110)の長さに沿って支持することと、
第2の支持部材(103)によって、前記管の第2の長手方向面(111)を、前記管(101)の一方または両方の端部を除く前記第2の長手方向面(111)の長さに沿って支持することと、
パンチ(104)によって、前記管(101)の一方または両方の端部を圧縮することと、
を含み、
前記パンチ(104)による力の印加は、前記管(101)の前記端部を塑性変形させ、一方または両方の端部における前記管(101)の厚さを増大させることを特徴とするプロセス。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスであって、ブロック(105)によって、前記第2の支持部材(103)を側方外向きに移動させて、前記管(101)の内表面の中央部分を強固に支持することを含むことを特徴とするプロセス。
【請求項18】
請求項17に記載のプロセスであって、前記ブロック(105)がくさび形であることを特徴とするプロセス。
【請求項19】
請求項18に記載のプロセスであって、前記第1の支持部材(102)、前記パンチ(104)、および前記ブロック(105)が、外部液圧源によって駆動されることを特徴とするプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は製造技術の分野に関する。とりわけ、しかし排他的ではなく、本開示は管を形成する、または厚くするための装置に関する。本開示のさらなる実施形態は、管をその縁において厚くするための装置およびプロセスを開示する。
【背景技術】
【0002】
管は、金属、プラスチック、または複合材などの材料から作られた長い中空の筒である。管は、家庭、医療、燃料ガス分配、自動車の分野における各種用途、ならびに空気調節および冷却を含む他の用途に使用され得る。例えば、二輪車などの自動車用途では、管は、フレーム、座席システム、燃料供給部品、および自動車のリンクアームに使用されることがあり、これらは一体化したフレームを生成するために管が直列に溶接されることを必要とする。管は、管の材料および管の寸法に応じて、ミグ(MIG)溶接、フラックスコアードアーク溶接(flux-cored arc welding)、ティグ(TIG)溶接、被覆アーク溶接(stick welding)等のような様々な知られている溶接法を用いて溶接することができる。溶接は、表面を融点まで熱することにより、部品同士を接合するプロセスである。溶接のプロセスにおいて、溶融部、溶接境界部、熱影響部等のような異なるゾーンが形成され得る。溶融部は、対象が溶接された後に存在する材料の部分である。溶融部は、融合した材料の部分で始まり、同部分で終了する。このゾーンは、ともに溶接される基材と、使用された可能性のある任意の付加的なフィラー材料との混合物である化学組成を有することになる。
【0003】
溶接境界部は、純粋な溶接のゾーンから構成された領域である。熱影響部(heat affected zone:HAZ)は、溶融されないが、そのミクロ構造および特性が溶接によって変えられた母材の領域である。溶融部およびHAZは、材料内において応力集中部(stress raiser zone)のように振る舞う。応力集中部は、応力集中係数を増大させ、溶接接続の疲労挙動をさらに低下させる。これらの応力集中部を避けるために、自動車用途では、厚さが均一でより大きな管を使用すること、または管の自由端においてのみ厚くなった管を使用することができる。厚さがより大きく均一な管は、上記の用途に使用することはできるが、アセンブリ全体に不必要な重量を追加する。後者のアプローチ、すなわち、端部において厚くなった管の使用により、溶接される端部部分のみが厚くされているため、アセンブリ全体の総重量の低減が保証される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部位により厚さの異なる管を製造するための技術において知られている従来のプロセスは、フレキシブル圧延(flexible rolling)、スエージオートフレッテージプロセス(swage auto-frettage process)、位置制御マンドレル法(position controlled mandrel methods)を用いた管引抜き、特別な型段取りを伴う押出し、ならびに管端部の内側および外側アプセット加工である。管の端部は上述したプロセスを用いて厚くされることが可能である。上記の前記プロセスは、ツーリングへの投資の上昇および/またはサイクルタイムの増大による生産性の低下などのいくつかの制約を有する。
【0005】
本開示は、1つ以上の上記に述べた制限を克服することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来のプロセスの1つ以上の不都合は、請求項に記載のプロセスによって克服され、付加的な利点は、本開示において請求項に記載のプロセスの提供によって与えられる。
【0007】
付加的な特徴および利点は、本開示の技術によって実現される。本開示の他の実施形態および態様は、本明細書において詳細に説明され、特許請求される開示の一部と考えられる。
【0008】
本開示の1つの限定されない実施形態では、管をその縁において厚くするための装置が開示される。この装置は、管の第1の長手方向面を、この管の一方または両方の端部を除く第1の長手方向面の長さに沿って強固に支持するように構成された第1の支持部材を含む。この装置は、管の第2の長手方向面を、この管の一方または両方の端部を除く第2の長手方向面の長さに沿って強固に支持するように構成された第2の支持部材をさらに含む。この装置はまた、外部動力源によって駆動されるパンチも含み、パンチは管の一方または両方の端部に力を及ぼすように構成されている。パンチによる力の印加は、管の端部を塑性変形させ、それによりこの管を一方または両方の端部において厚くする。
【0009】
本開示の一実施形態において、装置は、第1の外部動力源によって駆動されるブロックを含み、ブロックに対する長手方向の力が、第2の支持部材に側方外向きの移動を与えて、管の第2の長手方向面をさらに支持するように構成されている。
【0010】
本開示の一実施形態において、ブロックがくさび形である。
【0011】
本開示の一実施形態において、第1の支持部材が、外側管保持具と外側インサートとを含んでいる。また、第1の支持部材は、第2の外部動力源によって駆動される。
【0012】
本開示の一実施形態において、外側管保持具と外側インサートとが、機械的接合および熱的接合のうちの少なくとも1つによって接合されている。
【0013】
本開示の一実施形態において、外側インサートの端部は、外側インサートの端部が管の一方または両方の端部の塑性変形のための型の一部を画定するように、面取りされている。
【0014】
本開示の一実施形態において、第2の支持部材が、内側管保持具と内側インサートとを含んでいる。内側管保持具と内側インサートとは、機械的接合プロセスまたは熱的接合プロセスのうちの少なくとも1つによって接合されている。
【0015】
本開示の一実施形態において、内側インサートの一方または両方の端部は、それらの端部が本管の端部の塑性変形のための型の一部を画定するように、面取りされている。
【0016】
本開示の一実施形態において、内側管保持具の形状が、ブロックの形状に一致している。
【0017】
本開示の一実施形態において、外部動力源が液圧駆動装置である。
【0018】
本開示の一実施形態において、第1の支持部材および第2の支持部材が、両側の最端部(extreme end)において、互いに離れるように面取りされて、管の縁と接触しない。
【0019】
本開示の一実施形態において、管の第1の長手方向面が管の外表面であり、管の第2の長手方向面が管の内表面である。
【0020】
本開示の別の限定されない実施形態において、管は本装置を使用して形成される。管は、本体部分と、本体部分の一方または両方の端部における縁部分とを含んでいる。本体部分の一方または両方の端部における縁部分は、の管の縁部分の厚さが管の本体部分の厚さよりも大きくなるようにされている。
【0021】
本開示の一実施形態において、管の本体部分は厚さが均一である。
【0022】
本開示の一実施形態において、管の縁部分の厚さが、本体部分の厚さから本体部分の厚さよりも20~30%大きくなるまで、一様に変化してもよいし、または一様に変化しなくてもよい。
【0023】
本開示の別の限定されない実施形態では、管をその縁において厚くするプロセスが開示される。本プロセスは、第1の支持部材によって、管の第1の長手方向面を、この管の一方または両方の端部を除く第1の長手方向面の長さに沿って支持することと、第2の支持部材によって、管の第2の長手方向面を、この管の一方または両方の端部を除く第2の長手方向面の長さに沿って支持することと、パンチによって、この管の一方または両方の端部を圧縮することとを含む。パンチによる力の印加は、管の端部を塑性変形させ、一方または両方の端部における管の厚さを増大させる。
【0024】
本開示の一実施形態において、本プロセスは、第2の支持部材を側方外向きに移動させて、管の内表面の中央部分を強固に支持することをさらに含む。本プロセスに使用されるブロックが、くさび形とすることができる。
【0025】
本開示の一実施形態において、第1の支持部材、パンチ、およびブロックが、外部液圧源によって駆動される。
【0026】
上述した本開示の態様および実施形態は、互いに任意の組合せで用いられてもよいことが理解されるべきである。態様および実施形態のいくつかを組み合わせて、本開示のさらなる一実施形態を形成してもよい。
【0027】
上記の概要は例示的なものに過ぎず、決して限定することを意図するものではない。上述した例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴は、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の一実施形態に従った、管をその縁において厚くするために使用される装置の透視図である。
図2】本開示の一実施形態に従った、内側管保持具アセンブリの半分の等角図である。
図3】本開示の一実施形態に従った、外側管保持具アセンブリの半分の等角図である。
図4a】本開示の一実施形態に従って、一方または両方の端部において厚くするために、第1の支持部材と第2の支持部材との間に堅固に保持された管の断面図である。
図4b】本開示の一実施形態に従って、一方または両方の端部において厚くするために、第1の支持部材と第2の支持部材との間に堅固に保持された管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の新規の特徴および特性は、添付する特許請求の範囲に記載されている。しかしながら本開示自体、ならびに本開示の好ましい使用モード、さらなる目的および利点は、添付の図と併せて読むときに、例示的な一実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されよう。これより添付の図を参照しながら、単なる例として1つ以上の実施形態を説明する。添付の図では、同様の参照番号は同様の要素を表している。
【0030】
図は、例示のみを目的として本開示の実施形態を示す。当業者は、以下の説明から、本明細書に例示する構造および方法の代替の実施形態を、本明細書に記載する本開示の原理から逸脱することなく、用いることができることを容易に認識するであろう。
【0031】
上記は、続く本開示の詳細な説明が一層よく理解され得るように、本開示の特徴および技術的な利点を広く概説した。本開示の付加的な特徴および利点は、本開示の特許請求の範囲の対象を形成する以下において説明する。当業者は、開示される概念および特定の実施形態を、本開示の同一の目的を成し遂げるための変更または他の構造の設計の基礎として容易に利用できることを認識するはずである。また、当業者は、そのような等価なプロセスが添付の特許請求の範囲に記載されるような本開示の趣旨および範囲から逸脱しないことに気付くはずである。本開示に特有であると考えられる新規の特徴は、その構成および動作の方法の双方について、さらなる目的および利点とともに、添付の図に関して検討されると、以下の説明から一層よく理解されよう。しかしながら、図のそれぞれは、例証および説明のみを目的として提供されており、本開示の限定の定義として意図されるものではないことは明らかに理解されるべきである。一般に本明細書で説明し図に例示するような本開示の態様は、種々様々の異なる形態で、構成され、置換され、組み合わせられ、設計されることが可能であり、それらのすべては明示的に考慮され、この開示の一部をなすことが容易に理解されよう。
【0032】
本開示の実施形態は、管、特に自動車の部品に使用される管を、その縁において厚くするための装置を開示する。この装置は、管の第1の長手方向面を、この管の一方または両方の端部を除く第1の長手方向面の長さに沿って強固に支持するように構成された第1の支持部材を含む。第1の支持部材は、第2の外部動力源によって駆動され得る。本装置は、管の第2の長手方向面を、この管の端部を除く第2の長手方向面の長さに沿って強固に支持するように構成された第2の支持部材をさらに含む。
【0033】
一実施形態において、装置は、外部動力源によって駆動されるパンチを含む。パンチは管のいずれの端部にも力を及ぼすように構成され得る。パンチによる力の印加は、管の端部を塑性変形させ、この管をその縁において厚くする。一実施形態において、管は、管の一方または両方の端部において厚くなることができる。この装置はまた、第1の外部動力源によって駆動され得るブロックを含んでいる。ブロックは、ブロックに対して長手方向の力を与える第1の動力源によって駆動される。ブロックに対する長手方向の力は、第2の支持部材に側方外向きの移動を与えるように構成されている。この移動は、管の第2の長手方向面を強固に支持するように、第2の支持部材を第2の長手方向面に向って移動させる。さらに、第1の支持部材は、外側管保持具と外側インサートとを含んでいる。これらの外側管保持具とインサートとは、機械的接合および熱的接合のうちの少なくとも1つによって接合されている。外側インサートの端部は、外側インサートの端部が管の端部の塑性変形のための型の一部を画定するように、面取りされていることが可能である。
【0034】
同様に、第2の支持部材もまた、内側管保持具と内側インサートとを含んでおり、内側管保持具と内側インサートとは、ナットおよびボルトなどの機械的接合、または溶接などの熱的接合のうちの少なくとも1つによって接合されている。内側インサートの端部は、それらの端部が本管の端部の塑性変形のための型の一部を画定するように、面取りされている。また、内側管保持具は、くさび形であるか、またはそのような形状のいずれであってもよいブロックの形状に一致する。
【0035】
この装置を使用して形成された管は、本体部分と、本体部分の一方または両方の端部における縁部分とを備える。本体部分の一方または両方の端部における縁部分は、管の縁部分の厚さが管の本体部分の厚さよりも大きくなるようにされている。管の本体部分は厚さが均一であり、本体のいずれの端部においても縁の部分は、本体部分の厚さよりも増大した厚さを有していることが可能である。
【0036】
続いて、管は、第1の支持部材によって、中央部分において第1の長手方向面に沿って支持される。さらに、管は、第2の支持部材によって、中央部分において第2の長手方向面に沿って支持される。管の両側の自由端は支持されておらず、この部分は、型内で変形される材料を形成している。第1の外部駆動によって駆動される可動ブロックは、第2の支持部材に側方外向きの力を及ぼして、管の第2の長手方向面の中央部分を強固に支持する。第1の支持部材、パンチ、およびブロックは、外部液圧源によって駆動されて、必要とされるプロセスを行うことができる。
【0037】
本明細書中で用いられる「備える」、「備えた」、またはそれらの他の変化形の用語は、非排他的な包含を網羅するように意図されており、したがって構成要素またはステップの列記を備えたアセンブリは、それらの構成要素またはステップのみを含むのではなく、明らかに列記されていないか、またはそのような状況もしくは方法に固有の他の構成要素またはステップを含んでもよい。換言すると、「…を備える」によって表されるアセンブリ内の1つ以上の要素は、それ以上の制約を伴うことなく、アセンブリ内の他の要素または付加的な要素の存在を排除しない。
【0038】
これより、本開示は、例示的な実施形態の1つ以上の図を利用して説明される。しかしながら、そのような例示的な実施形態は本開示の制限として解釈されるべきではない。
【0039】
以下の段落は、図1図2図3図4aおよび図4bを参照しながら本開示について説明する。図において、同様の機能を有する同一の要素(複数可)は、同一の参照符号によって示されている。
【0040】
図1は、本開示の例示的な一実施形態であり、管(101)を一方または両方の端部において厚くするために使用される装置(100)の透視図を示している。図1に示すように、装置(100)は、第1の支持部材(102)と、第2の支持部材(103)と、パンチ(104)と、ブロック(105)とを含んでいる。管(101)は、管の長手方向面(110および111)において、第1の支持部材(102)と第2の支持部材(103)との間に堅固に保持される。第1の支持部材(102)は、管(101)を第1の長手方向面(110)において強固に支持するように構成されている。管(101)の第1の長手方向面(110)は、管(101)の外表面とすることができる。さらに、第2の支持部材(103)は、管(101)を第2の長手方向面(111)において強固に支持するように構成されている。管(101)の第2の長手方向面(111)は、管(101)の内表面とすることができる。図1に示すようなブロック(105)は、第2の支持部材(103)に側方外向きの移動を与えるように構成されている。ブロック(105)は、第1の外部動力源によって長手方向に駆動されて、第2の支持部材(103)に側方外向きの移動を与える。ブロック(105)によって与えられる側方外向きの移動は、支持部材(103)が管(101)の第2の長手方向面(111)を堅固に保持するのを助ける。また、第1の支持部材(102)は第2の外部動力源によって駆動され、第2の外部動力源は、管(101)を第1の支持部材と第2の支持部材(102と103)との間に堅固に保持するために必要な力を提供する。パンチ(104)は、ブロック(105)の上方に配置されており、第3の外部動力源に対して構成されている(図示せず)。第1の外部動力源は、ブロック(105)を長手方向に駆動し、ここで、ブロック(105)は上述したように第2の支持部材(103)に側方外向きの力を与える。第3の外部動力源によって駆動されたパンチ(104)の長手方向の力は、管(101)の自由端の上に与えられる。パンチ(104)によって与えられた力は、管(101)の一方または両方の端部において圧縮力として作用する。この圧縮力は、管(101)のいずれの端部も、第1の支持部材および第2の支持部材(102および103)によって形成された型の部分の中へ塑性変形させる。さらに、管(101)の端部に作用する圧縮力は、管(101)を支持部材(102および103)によって形成された型の形状に変形させる。上述したような型は、第1の支持部材および第2の支持部材(102および103)の最端部に設けられた面取り部(chamfer)によって形成される。
【0041】
第1の支持部材(102)は、図3に示すように外側管保持具(106)および外側インサート(107)(外側管保持具アセンブリの半分)を含んでいる。外側管保持具(106)と外側インサート(107)とは、機械的接合および熱的接合などの、しかしこれらに限定されない、少なくとも1つの手段によって接続されている。外側管保持具(106)は、2つの等しい半分に分割された中空の筒状部品である。外側管保持具(106)は断面が均一である、すなわち、保持具(106)の内径および外径は全体を通じて同一である。外側インサート(107)は変化する断面を有する中空の筒状部品である。外側インサート(107)もまた、2つの半分に等しく分割されており、外側インサートの各半分は、外側保持具(106)の個々の半分に結合されている。外側インサート(107)は、管(101)の厚くする目的を満たすための型の一部を画定するように設計され得る。最端部における外側インサート(107)は面取りされており、面取りされた端部は、管(101)の端部の塑性変形のための型の一部を画定する。第2の支持部材(103)は、図2に示すように、内側管保持具(108)と内側インサート(109)とを含んでいる。内側管保持具(108)は中空の筒状部品であり、断面が頂部から底部に向って一様に変化している。一様に変化する断面は、ブロック(105)を収容するように構成され得る。内側インサート(109)は、管(101)の厚くする目的を満たすための型の一部を画定するように設計され得る。内側インサート(109)は一方または両方の最端部において面取りされており、この面取りされた部分が、管(101)の端部の塑性変形のための型の一部を画定する。内側インサート(109)もまた、2つの半分に等しく分割されており、内側インサート(109)の各半分は、内側保持具(108)の個々の半分に結合されている。さらに、2つの部品の半分の双方、すなわち、内側管保持具アセンブリ(108および109)および外側管保持具アセンブリ(106および107)は、装置(100)にともに組み付けられる。組み付けられた部品、すなわち、外側管保持具アセンブリ(106および107)および内側管保持具アセンブリ(108および109)は、第1の支持部材および第2の支持部材(102および103)をそれぞれ形成する。第1の支持部材(102)および第2の支持部材(103)の面取りされた端部は、本管の端部の塑性変形のための完全な型部分を画定する。
【0042】
さらに、管(101)は、第1の長手方向面および第2の長手方向面(110および111)の中央部分にわたって堅固に保持される。長手方向面(110および111)の中央部分以外の管(101)の端部は支持されない。一方または両方の端部における管(101)の端部は、パンチによる圧縮力を受けることができる。管(101)の端部の上に与えられた力は、この管を、第1の支持部材および第2の支持部材(102および103)の一部によって生成された型の形状に塑性変形させる。第1の支持部材(102)は、管を第2の支持部材(103)と協働して堅固に保持し、第1の長手方向面および第2の長手方向面(110および111)の中央部分のみを支持する。管(101)のこの部分を把持するのに必要とされる力は、第1の外部動力源および第2の外部動力源によって、第1の支持部材および第2の支持部材(102および103)にそれぞれ与えられる。第1の動力源はブロック(105)に長手方向の運動を提供し、ブロック(105)は内側管保持具(108)内へ移動する。ブロックは、第2の支持部材(103)に側方外向きの力を与え、第2の支持部材(103)は次いで、第1の支持部材(102)の支持と相まって、管(101)を堅固に保持する。第1の支持部材(102)は、第2の外部動力源、例えば液圧アクチュエータ、によって駆動される。管(101)が第1の支持部材および第2の支持部材(102および103)によって堅固に保持されると、管は圧縮力を受ける。圧縮力は、第3の外部動力源によって駆動され得るパンチ(104)によって与えられる。図4aに示すように、管(101)は一方または両方の端部において圧縮力を受ける。管(101)の端部に与えられる圧縮力は、管(101)の端部を塑性変形させる。塑性変形した管(101)は、上述したように第1の支持部材および第2の支持部材(102および103)の一部によって形成された型の形状をとる。管(101)が型の形状をとるため、管(101)の端部の厚さは塑性変形後に増大する。第1の外部動力源および第2の外部動力源は、液圧駆動装置、および空気圧駆動装置などのうちのいずれか1つであってもよいが、これらに限定されるものではない。第1の外部動力源、第2の外部動力源、および第3の外部動力源は、ブロック(105)、パンチ(104)および第1の支持部材(102)を駆動するために使用され得る。しかしながら、第2の支持部材(103)は、第2の支持部材(103)に側方外向きの力を与えるブロック(105)によって駆動される。ブロック(105)は、くさび形状などの、しかしこれに限定されない形状のいずれであってもよい。前記装置(100)および前記プロセスを使用して形成された管(101)は、本体部分(200)と、縁部分(201)とを有し得る。
【0043】
図4aおよび図4bに示すように、管(101)は、本体部分(200)と縁部分(201)とを含んでいる。管(101)の本体部分(200)は断面が均一であってもよい。縁部分(201)は、管(101)の本体部分(200)の一方または両方の端部に存在し得る。縁部分(201)は型の中への塑性変形によって形成される。縁(201)は、管(101)の本体部分(201)の厚さよりも大きな厚さを有する。管の縁部分(201)の厚さは、本開示による本体部分(200)の厚さよりも約20%~30%大きく、一様に変化している。図4bに示すように、図4bは、装置(100)の第1の支持部材と第2の支持部材(102と103)との間に保持された完全に製造された管(101)を絵で示している。変形後の管(101)の端部は、型部分の形状をとり、それによって端部においてのみ厚さを増大している。管(101)の厚くなった端部は、図4bに示すように縁部分(201)を画定する。管(101)の本体部分(200)は断面が均一である。厚くするプロセスは、特定の合金元素を有した軟鋼などの、しかしこれらに限定されない様々な材料において行うことができる。
【0044】
装置(100)は、管(101)を一方または両方の端部において同時に厚くすることができ、これは、より低いサイクルタイムを保証し、それにより装置(100)の生産性が改善される。本プロセスは、より低重量の設備(less tonnage equipment)の使用により、従来の装置に対して低い作業費を有する。また、管(101)は本プロセス中にひずみ硬化を受け、管(101)の強度の増大を促進する。
【0045】
等価物
本願における実質的に任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に置き換えることができる。本願では、明瞭にするために、様々な単数形/複数形の置換が明示的に記載されてもよい。
【0046】
一般的に、本願で使用される用語は、「オープンな」用語として一般に意図されることを当業者は理解するであろう(例えば、「~を含む」という用語は「~を含むが、これ(ら)に限定されるものではない」と解釈されるべきであり、「~を有する」という用語は「~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「~を含んでいる」という語は「~を含んでいるが、これ(ら)に限定されるものではない」と解釈されるべきである、などである)。導入される請求項の記載事項において特定の数が意図される場合には、そのような意図は当該請求項中に明示的に記載されており、またそのような記載がない場合には、そのような意図は存在しないことを当業者はさらに理解するであろう。例えば、理解を助けるものとして、説明が、請求項の記載事項を導入するために「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という導入句の使用を含むことがある。しかしながら、そのような語句の使用は、「a」または「an」という不定冠詞による請求項の記載事項の導入が、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」または「少なくとも1つの」という導入句と「a」または「an」のような不定冠詞とが含まれる場合であっても、そのように導入された請求項の記載事項を含む任意の特定の請求項を、そのような記載事項を1つしか含まない発明に限定することを意味すると解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。請求項の記載事項を導入するために用いられる定冠詞の使用についても同様のことが当てはまる。加えて、導入された請求項の記載事項において特定の数が明示的に記載されている場合には、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることを当業者は認識するであろう(例えば、他に修飾語のない単なる「2つの記載事項」という記載は、通常、少なくとも2つの記載事項、または2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、BおよびC等のうちの少なくとも1つ」に類似した慣用表現が用いられるこれらの場合、一般的にそのような構文は、当業者がその慣用表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともに有するシステム等を含むが、これらに制限されるものではない)。「A、B、またはC等のうちの少なくとも1つ」に類似した慣用表現が用いられるこれらの場合、一般的にそのような構文は、当業者がこの慣用表現を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、ならびに/またはA、B、およびCをともに有するシステム等を含むが、これらに制限されるものではない)。2つ以上の代替用語を示す実質的に任意の離接語および/または離接句は、説明または図面のいずれにおいても、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、または双方の用語を含む可能性を考慮するように理解されるべきであることを当業者はさらに理解するであろう。例えば、「AまたはB」という語句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0047】
様々な態様および実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様および実施形態は当業者には明らかであろう。本明細書に開示した様々な態様および実施形態は、例示のためのものであり、限定するものとは意図されておらず、真実の範囲および趣旨は説明に示されている。
【符号の説明】
【0048】
100 装置、101 管、102 第1の支持部材、103 第2の支持部材、104 パンチ、105 ブロック、106 外側管保持具、107 外側インサート、108 内側管保持具、109 内側インサート、110 第1の長手方向面、111 第2の長手方向面、200 本体部分、201 縁部分。
図1
図2
図3
図4a
図4b