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  • 特許-弁拡張を監視するための器具および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】弁拡張を監視するための器具および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021541108
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 US2020013429
(87)【国際公開番号】W WO2020150183
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】62/793,116
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エラザール・リーヴァイ・シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】オーレン・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】オフィル・ウィッツマン
(72)【発明者】
【氏名】ヤイール・エー・ニューマン
(72)【発明者】
【氏名】ノーム・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジヴ・ヨハナン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-279434(JP,A)
【文献】特表2003-508153(JP,A)
【文献】特表2019-500136(JP,A)
【文献】特開2010-233934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁の半径方向の拡張の視覚的フィードバックを提供するように構成された送達器具であって、前記送達器具は、
前記人工弁の第1の端部に対する一定の空間関係を維持するように構成された第1の部分、および前記人工弁の半径方向の拡張中に前記人工弁の第2の端部に対する一定の空間関係を維持するように構成された第2の部分を含み、
前記第1の部分は、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーを含み、前記第2の部分は、インジケーター放射線不透過性マーカーを含み、前記1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーに対する前記インジケーター放射線不透過性マーカーの位置で、前記人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張されるときの前記人工弁の対応する直径を示す、前記人工弁の前記第1の端部と前記第2の端部との間の軸方向距離を測定する、送達器具。
【請求項2】
前記第1の部分は、前記人工弁に着脱可能に接続されるように構成され、前記第2の部分は、前記人工弁が前記半径方向に圧縮された状態から前記半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張される際に、前記第1の部分に対して軸方向に動くように構成される、請求項1に記載の送達器具。
【請求項3】
前記第2の部分は、前記人工弁に着脱可能に接続されるように構成され、前記第1の部分は、前記人工弁が前記半径方向に圧縮された状態から前記半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張される際に、前記第2の部分に対して軸方向に動くように構成される、請求項1に記載の送達器具。
【請求項4】
前記基準放射線不透過性マーカーおよび前記インジケーター放射線不透過性マーカーは、前記人工弁のフレームの外側に位置付けられるように構成される、請求項1に記載の送達器具。
【請求項5】
前記1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、第1の基準放射線不透過性マーカーと、前記第1の基準放射線不透過性マーカーから離間した第2の基準放射線不透過性マーカーと、を含み、前記人工弁が前記半径方向に圧縮された状態から前記半径方向に拡張した状態へと拡張される間、前記インジケーター放射線不透過性マーカーと前記第1の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、前記人工弁の第1の拡張直径を示し、前記インジケーター放射線不透過性マーカーと前記第2の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、前記人工弁の第2の拡張直径を示す、請求項1に記載の送達器具。
【請求項6】
前記第1の部分および前記第2の部分は、前記人工弁の拡張機構と連動するように構成され、そのため、第1の方向への前記第1の部分と前記第2の部分との間の相対運動により、前記人工弁は前記半径方向に圧縮された状態から前記半径方向に拡張した状態へと拡張し、前記第1の方向とは反対の第2の方向への前記第1の部分と前記第2の部分との間の相対運動により、前記人工弁は前記半径方向に拡張した状態から前記半径方向に圧縮された状態へと圧縮される、請求項1に記載の送達器具。
【請求項7】
前記拡張機構は、前記人工弁を一定の直径にロックするように構成されたロック機構を含み、前記ロック機構は、ロック部材が前記第1の部分または前記第2の部分によってロック位置まで動かされると、作動される、請求項6に記載の送達器具。
【請求項8】
前記インジケーター放射線不透過性マーカーおよび前記基準放射線不透過性マーカーのうちの少なくとも1つは、前記ロック部材が前記ロック位置まで動かされたときに、前記人工弁の放射線不透過性部分と整列するように構成される、請求項7に記載の送達器具。
【請求項9】
前記拡張機構は、外側部材の内部に少なくとも部分的に受容される内側部材を含み、前記外側部材に対する前記内側部材の軸方向運動は、前記人工弁の半径方向の拡張または圧縮を引き起こす、請求項6に記載の送達器具。
【請求項10】
前記第1の部分は、前記外側部材に接続されるように構成され、前記第2の部分は、前記内側部材に接続されるように構成され、それによって、前記第2の部分を前記第1の部分に対して軸方向に後退させると、前記外側部材に対する前記内側部材の軸方向運動が生じる、請求項9に記載の送達器具。
【請求項11】
前記拡張機構は、ロック部材を含むロック機構を含み、前記インジケーター放射線不透過性マーカーは、前記ロック部材がロック位置まで動かされると、前記外側部材の近位端部分と整列するように構成される、請求項9に記載の送達器具。
【請求項12】
前記インジケーター放射線不透過性マーカーは、前記人工弁の半径方向の拡張または圧縮中に前記人工弁のフレームの外側に位置付けられるように構成される、請求項1に記載の送達器具。
【請求項13】
前記1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、前記第1の部分上で非常に離間されているので、前記人工弁の半径方向の拡張中に、前記インジケーター放射線不透過性マーカーと前記1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーとの整列が、前記人工弁の対応する直径を示す、請求項1に記載の送達器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月16日出願の米国仮特許出願第62/793,116号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、人工弁の半径方向の拡張を監視するためのシステムおよび方法の実施形態に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、さまざまな弁膜疾患を被り得る。これらの弁膜疾患は、心臓の著しい機能不全を引き起こし、最終的に、自己弁の修復、または人工弁による自己弁の置換を必要とし得る。いくつかの既知の修復デバイス(例えば、ステント)および人工弁、ならびに、これらのデバイスおよび弁をヒトに植え込む、いくつかの既知の方法がある。従来の心臓切開手術と関連する欠点により、経皮的および低侵襲の外科的アプローチが、注目を集めている。1つの技術では、人工器管は、カテーテル法によって、侵襲の少ない処置において植え込まれるように構成される。例えば、折り畳み式の経カテーテル人工心臓弁は、圧縮された状態へとクリンプされ、カテーテル上で圧縮された状態で経皮的に導入されて、所望の位置で機能的なサイズまで拡張され得る。経皮的な弁テクノロジーにおける最近の進歩にもかかわらず、改善された経カテーテル心臓弁およびそのような弁の送達デバイスが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6,730,118号
【文献】米国特許第7,393,360号
【文献】米国特許第7,510,575号
【文献】米国特許第7,993,394号
【文献】米国特許第8,252,202号
【文献】米国特許出願第62/614,299号
【文献】米国特許出願公開第2018/0153689号
【文献】米国特許出願公開第2018/0344456号
【文献】米国特許出願公開第2015/0135506号
【文献】米国特許出願公開第2014/0296962号
【文献】米国特許出願第16,105,353号
【文献】国際出願第PCT/US2019/64373号
【文献】米国特許出願第62/928,291号
【文献】米国特許出願第62/950,005号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、患者の身体の内側での、人工弁の半径方向の拡張、したがって人工弁のサイズを監視することに関する方法および器具を対象としている。本開示は、人工弁を所望の拡張直径でロックすることに関する方法および器具も対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある実施形態は、人工弁の半径方向の拡張の視覚的フィードバックを提供するように構成された送達器具に関する。代表的な一実施形態では、送達器具は、第1の部分および第2の部分を含む。第1の部分は、人工弁の第1の端部に対する一定の空間関係を維持するように構成され、第2の部分は、人工弁の半径方向の拡張中に人工弁の第2の端部に対する一定の空間関係を維持するように構成される。第1の部分は、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーを含み得、第2の部分は、インジケーター放射線不透過性マーカーを含み得る。1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーに対するインジケーター放射線不透過性マーカーの位置で、人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張されるときの人工弁の対応する直径を示す、人工弁の第1の端部と第2の端部との間の軸方向距離を測定することができる。
【0007】
ある実施形態では、第1の部分は、人工弁に着脱可能に接続されるように構成され得、第2の部分は、人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張される際に、第1の部分に対して軸方向に動くように構成され得る。
【0008】
ある実施形態では、第2の部分は、人工弁に着脱可能に接続されるように構成され得、第1の部分は、人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張される際に、第2の部分に対して軸方向に動くように構成され得る。
【0009】
ある実施形態では、基準放射線不透過性マーカーおよびインジケーター放射線不透過性マーカーは、人工弁の半径方向の拡張中にX線透視検査下で基準放射線不透過性マーカーおよびインジケーター放射線不透過性マーカーの視認性を高めるために、人工弁のフレームの外側に位置付けられるように構成され得る。
【0010】
ある実施形態では、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、第1の基準放射線不透過性マーカーと、第1の基準放射線不透過性マーカーから離間した第2の基準放射線不透過性マーカーと、を含み得る。人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと拡張される間、インジケーター放射線不透過性マーカーと第1の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、人工弁の第1の拡張直径を示すことができ、インジケーター放射線不透過性マーカーと第2の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、人工弁の第2の拡張直径を示すことができる。
【0011】
ある実施形態では、第1の部分および第2の部分は、人工弁の拡張機構と連動するように構成され、そのため、第1の方向への第1の部分と第2の部分との間の相対運動により、人工弁は半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと拡張し、第1の方向とは反対の第2の方向への第1の部分と第2の部分との間の相対運動により、人工弁は半径方向に拡張した状態から半径方向に圧縮された状態へと圧縮される。
【0012】
ある実施形態では、拡張機構は、人工弁を一定の直径にロックするように構成されたロック機構を含み得る。ロック機構は、ロック部材が第1の部分または第2の部分によってロック位置まで動かされると、作動され得る。
【0013】
ある実施形態では、インジケーター放射線不透過性マーカーおよび基準放射線不透過性マーカーのうちの少なくとも1つは、ロック部材がロック位置まで動かされたときに、人工弁の放射線不透過性部分と整列するか、またはそれに近接するように構成され得る。
【0014】
本開示のある実施形態は、人工弁送達組立体にも関する。組立体は、流入端部および流出端部を有する人工弁と、第1の部分および第2の部分を有する送達器具と、を含み得る。第2の部分は、人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張される際に、第1の部分に対して軸方向に動くように構成され得る。第1の部分は、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーを含み得、第2の部分は、インジケーター放射線不透過性マーカーを含み得る。1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーに対するインジケーター放射線不透過性マーカーの位置で、人工弁の対応する直径を示す、人工弁の軸方向長さを測定し得る。
【0015】
ある実施形態では、第1の部分は、流出端部に対する一定の空間関係を維持することができ、第2の部分は、人工弁の半径方向の拡張中に、流入端部に対する一定の空間関係を維持することができる。
【0016】
ある実施形態では、第1の部分は、流入端部に対する一定の空間関係を維持することができ、第2の部分は、人工弁の半径方向の拡張中に、流出端部に対する一定の空間関係を維持することができる。
【0017】
ある実施形態では、人工弁は、弁拡張機構を含み得る。弁拡張機構は、外側部材の内部に少なくとも部分的に受容される内側部材を含み得る。外側部材に対する内側部材の軸方向運動は、人工弁の半径方向の拡張または圧縮を引き起こし得る。
【0018】
ある実施形態では、第1の部分は、外側部材に接続されるように構成され得、第2の部分は、内側部材に接続されるように構成され得、それによって、第2の部分を第1の部分に対して軸方向に後退させると、外側部材に対する内側部材の軸方向運動が生じる。
【0019】
ある実施形態では、基準放射線不透過性マーカーおよびインジケーター放射線不透過性マーカーは、人工弁の半径方向の拡張中にX線透視検査下でマーカーの視認性を増大させるために、人工弁のフレームの外側に位置付けられるように構成され得る。
【0020】
ある実施形態では、少なくとも1つの基準放射線不透過性マーカーは、第1の基準放射線不透過性マーカーと、第1の基準放射線不透過性マーカーから離間した第2の基準放射線不透過性マーカーと、を含み得る。人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと拡張される間、インジケーター放射線不透過性マーカーと第1の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、人工弁の第1の拡張直径を示すことができ、インジケーター放射線不透過性マーカーと第2の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、人工弁の第2の拡張直径を示すことができる。
【0021】
本開示のある実施形態は、さらに、人工弁を植え込む方法に関する。この方法は、送達器具を使用して患者の身体内の標的部位に人工弁を位置付けるステップと、半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと人工弁を半径方向に拡張させるステップと、X線透視検査下で1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーに対するインジケーター放射線不透過性マーカーの位置変化に基づいて人工弁の直径を監視するステップと、を含み得る。インジケーター放射線不透過性マーカーおよび基準放射線不透過性マーカーは、送達器具上に位置し得る。
【0022】
ある実施形態では、人工弁を拡張させる行為は、人工弁の第1の端部を定位置に保持すると共に、軸方向の力を人工弁の第2の端部に対して加えて、第2の端部を第1の端部に向かって動かし、軸方向長さを減少させ、人工弁の直径を増大させるステップを含み得る。
【0023】
ある実施形態では、人工弁を拡張させる行為は、弁拡張機構を作動させるステップを含み得る。弁拡張機構は、外側部材の内部に少なくとも部分的に受容される内側部材を含み得る。外側部材に対する内側部材の軸方向運動は、人工弁の半径方向の拡張または圧縮を引き起こし得る。
【0024】
ある実施形態では、送達器具は、第1の部分および第2の部分を含み得る。第2の部分は、内側部材に接続され得、弁拡張機構を作動させる行為は、第1の部分を外側部材の一端部に接して保持すると共に、第2の部分を後退させることによって内側部材を後退させて、内側部材を外側部材に対して軸方向に動かすステップを含み得る。
【0025】
ある実施形態では、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、第1の部分上に位置することができ、インジケーター放射線不透過性マーカーは、第2の部分上に位置することができる。
【0026】
ある実施形態では、送達器具は、第1の部分および第2の部分を含み得る。第2の部分は、人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張される際に、第1の部分に対して軸方向に動くように構成され得る。1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、第1の部分上に位置することができ、インジケーター放射線不透過性マーカーは、第2の部分上に位置することができる。
【0027】
ある実施形態では、方法は、ロック部材をロック位置まで動かすことによって、人工弁を一定の直径にロックするステップをさらに含み得る。
【0028】
ある実施形態では、方法は、X線透視検査下でインジケーター放射線不透過性マーカーおよび基準放射線不透過性マーカーのうちの少なくとも1つが人工弁の放射線不透過性部分に近接していることを確かめることによって、ロック部材がロック位置まで動かされたことを確認するステップをさらに含み得る。
【0029】
本発明の前述した目的、特徴、および利点、ならびに他の目的、特徴、および利点は、添付図面を参照して進められる、以下の詳細な説明からさらに明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】人工弁送達組立体の実施形態の側面図である。
図2A】一実施形態による、弁拡張機構の内側部材の側面斜視図である。
図2B】弁拡張機構の側面斜視図である。
図2C図2Bに示すタイプの複数の拡張機構を含む人工弁の一実施形態の側面斜視図である。
図3図2Bの弁拡張機構のうちの1つ、および送達器具の構成要素の断面図である。
図4図2Bの弁拡張機構のうちの1つ、および送達器具の構成要素の斜視図である。
図5】半径方向に圧縮された構成にある人工弁を示す図である。
図6】ロックされていない半径方向直径を有する、半径方向に拡張した構成にある図5の人工弁を示す図である。
図7】ロック機構が人工弁を拡張した状態にロックするように作動された後の、図5の人工弁を示す図である。
図8】複数のインジケーター放射線不透過性マーカーおよび複数の基準放射線不透過性マーカーを有する送達器具の一部の代替的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
植え込み処置中に、機械的に拡張可能な人工インプラント、例えば人工弁(例えば、人工心臓弁もしくは静脈弁)、ステント、またはグラフトのサイズを監視および/または制御し、人工インプラントのサイズをロックする、医師の能力を改善し得る、人工インプラント送達組立体およびその構成要素の実施例が本明細書に記載される。本明細書に開示される人工心臓弁は、心臓の自己弁のうちのいずれか(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、および肺動脈弁)内部に植え込まれ得る。
【0032】
本明細書に開示される人工弁は、半径方向に圧縮された状態と半径方向に拡張した状態との間で半径方向に圧縮可能および拡張可能とすることができる。よって、人工弁は、送達中に、半径方向に圧縮された状態でインプラント送達器具上でクリンプされるか、またはこれによって保持され、その後、人工弁が植え込み部位に到達すると、半径方向に拡張した状態へと拡張され得る。
【0033】
図1は、本開示の一実施形態による人工インプラント送達組立体10の実施例を示す。送達組立体10は、2つの主要な構成要素、すなわち人工弁200および送達器具100を含み得る。人工弁200は、以下でさらに説明するように、1つまたは複数の保持およびアクチュエータ組立体110を介して送達器具100に解放可能に連結され得る。送達器具100および本明細書に開示される他の送達器具は、ステントまたはグラフトなど、人工弁以外の人工器管を植え込むのに使用され得ることを理解されたい。
【0034】
送達器具100は、その近位端部にハンドル102を含み得る。送達器具100は、ハンドル102に連結された1つまたは複数のシャフト104を含み得る。人工弁200の送達中、ハンドル102は、外科医によって操作されて、患者の脈管構造を通して送達器具100を前進および後退させることができる。いくつかの実施形態では、ハンドル102は、人工弁200を拡張させ、かつ/または配備するために送達器具100の種々の構成要素を制御するための複数のノブまたは他の作動機構を含み得る。例えば、ハンドル102は、1つまたは複数のノブもしくは他の作動機構を含み得、これはそれぞれ、以下でさらに説明するように、人工弁200を拡張させるかもしくは圧縮し、かつ/または人工弁200を所望の直径にロックするように、対応する弁拡張機構300(「弁アクチュエータ」とも呼ばれる)と相互作用するために、送達器具100のそれぞれの保持およびアクチュエータ組立体110を操縦するように構成される。
【0035】
図2Cは、人工弁200の斜視図である。特定の実施形態では、人工弁200は、自己大動脈弁輪内部に植え込まれ得るが、自己僧帽弁、自己肺動脈弁、および自己三尖弁内部を含む、心臓内の他の場所で植え込まれることもできる。人工弁200は、近位端部206および遠位端部208を有する環状ステントまたはフレーム204を含み得る。いくつかの実施形態では、近位端部206は、流出端部とすることができ、遠位端部208は、流入端部とすることができる。他の実施形態では、近位端部206は、流入端部とすることができ、遠位端部208は、流出端部とすることができる。例えば、人工弁を植え込む、逆行性経大腿アプローチ(retrograde transfemoral approach)において、近位端部206は、流出端部とすることができ、遠位端部208は、流入端部とすることができる。別の実施例では、人工弁を植え込む、順行性経中隔ルート(antegrade transseptal route)において、近位端部206は、流入端部とすることができ、遠位端部208は、流出端部とすることができる。
【0036】
人工弁200はまた、弁状構造体202を含み得、これは、フレーム204に装着され、流入端部から流出端部まで人工弁200を通る血液の流れを調整するように構成される。例えば、弁状構造体は、可撓性材料で作られた1つまたは複数の弁尖を含む弁尖組立体を含み得る。弁尖組立体の弁尖は、全体または一部が、生物学的材料、生体適合性合成材料、または他のそのような材料から作られ得る。適切な生物学的材料は、例えば、ウシの心膜(または他の出所からの心膜)を含み得る。弁状構造体が人工弁のフレームに装着され得る方法を含む、経カテーテル人工心臓弁に関するさらなる詳細は、例えば、米国特許第6,730,118号、第7,393,360号、第7,510,575号、第7,993,394号、および第8,252,202号、ならびに米国特許出願第62/614,299号で見ることができ、これらはすべて、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0037】
不図示ではあるが、人工弁200はまた、1つまたは複数のスカートもしくはシール部材を含み得る。例えば、人工弁200は、フレームの内側表面上に装着された内側スカートを含み得る。内側スカートは、弁周囲漏出を防ぐか、もしくは低減し、弁尖をフレームに固定し、かつ/またはクリンプ中および人工弁の動作サイクル中にフレームとの接触により生じる損傷から弁尖を保護する、シール部材として役立ち得る。人工弁200はまた、フレーム204の外側表面上に装着された外側スカートを含み得る。外側スカートは、自己弁輪の組織に接してシールし、人工弁を越える弁周囲漏出を低減するのを助けることによって、人工弁のシール部材として役立ち得る。内側スカートおよび外側スカートは、さまざまな合成材料(例えば、PET)または自然組織(例えば、心膜組織)のいずれかを含む、さまざまな適切な生体適合性材料のいずれかから形成され得る。
【0038】
フレーム204は、ステンレス鋼、コバルトクロム合金(例えば、MP35N合金)、またはニッケルチタン合金(「NiTi」)、例えばニチノールなど、さまざまな適切な材料のいずれかで作られ得る。図示のように、フレーム204は、格子型パターンで配置された、複数の相互接続されたストラット210を含み得る。ストラット210は、斜めに位置付けられるか、または人工弁200の長手方向軸214に対してある角度でオフセットし、かつ人工弁200が拡張した構成にあるときに長手方向軸214から半径方向にオフセットされたものとして示されている。他の実施態様では、ストラット210は、図2Cに描かれたのとは異なる量だけオフセットされ得るか、または、ストラット210のうちのいくつかもしくはすべてが、人工弁200の長手方向軸に平行に位置付けられ得る。
【0039】
例示された実施形態では、ストラット210は、各ストラットの長さに沿った1つまたは複数のピボットジョイントにおいて互いに旋回可能に連結される。例えば、ストラット210はそれぞれ、ストラットの両端部における孔212、およびストラットの長さに沿って離間した孔212を備えて形成され得る。これらの孔を通って延びるリベットまたはピン216(例えば、図3を参照)などのファスナを介してストラット210が互いに重なる場所において、それぞれのヒンジが形成され得る。ヒンジは、人工弁200の組み立て、準備、または植え込み中など、フレーム204が半径方向に拡張または圧縮されるときに、ストラット210を互いに対して旋回させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、フレーム204は、個々の構成要素(例えば、フレームのストラットおよびファスナ)を形成し、その後、個々の構成要素を機械的に組み立てて互いに接続することによって、構成され得る。他の実施形態では、ストラット210は、それぞれのヒンジにより互いに連結されないが、別様に、互いに対して旋回可能または屈曲可能で、フレーム204の半径方向の拡張および収縮を可能にする。例えば、フレーム204は、(例えば、レーザー切断、電鋳、または物理気相堆積(physical vapor deposition)を介して)単一の材料片(例えば、金属管)から形成され得る。本明細書に開示される送達器具と共に使用され得るフレームおよび人工弁の構成に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2018/0153689号、第2018/0344456号、第2015/0135506号、第2014/0296962号、および米国特許出願第16,105,353号に記載されており、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
前記で言及したように、人工弁200は、1つまたは複数の弁拡張機構300をさらに含み得る。図1に示すように、拡張機構300はそれぞれ、送達器具100のそれぞれの保持およびアクチュエータ組立体110との解放可能な接続を形成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、弁拡張機構300は、フレーム204の内側表面に装着され、かつその周りで等しく離間し得る。例えば、図2Cは、フレーム204の内側表面の周りで等しく離間した3つの弁拡張機構300を示す。人工弁200は、フレームの外側表面上に装着されるか、またはフレームの周りで不均一に離間し得る、任意の数の弁拡張機構を有し得ることを理解されたい。
【0042】
以下で説明するように、弁拡張機構300は、人工弁200を半径方向に拡張させるかまたは圧縮するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、弁拡張機構300はまた、人工弁200を半径方向に拡張した状態でロックするのに使用され得る。
【0043】
図2A図2Cを参照すると、例示された実施形態における弁拡張機構300は、(例示された実施形態では線形アクチュエータもしくはプッシュプル部材として機能する)内側部材またはアクチュエータねじ302を含み得、これは、比較的長い上方または遠位部分304と、アクチュエータねじ302の近位端部における比較的短い下方または近位部分306と、を含み、近位部分306は、上方部分304より小さな直径を有する。アクチュエータねじ302の遠位部分304および近位部分306の両方は、雄ねじ表面を有し得る。
【0044】
アクチュエータねじ302は、半径方向に延びる遠位弁コネクタ310を有する、その遠位端部に取り付けられた遠位取り付け部品308を有し得る。遠位取り付け部品308は、アクチュエータねじ302に固定され(例えば、共に溶接されるか、または1つの部品として製造され)得る。遠位弁コネクタ310は、2つ以上のストラットが図2Cに示すように交差する、フレーム上の場所に形成された、フレーム204の遠位端部またはその近くの開口部を通って延びることができる。遠位弁コネクタ310は、フレーム204に固定(例えば、溶接)され得る。ストラットの形状により、フレーム204の遠位端部は、交互になった一連の遠位接合部250および遠位頂点252を含む。例示された実施例では、3つの弁拡張機構300の遠位弁コネクタ310は、遠位接合部250を通ってフレーム204に接続される。他の実施例では、1つまたは複数の遠位弁コネクタ310は、遠位頂点252を通ってフレーム204に接続され得る。他の実施形態では、遠位弁コネクタ310は、フレーム204の近位端部206の近くで接合部に接続され得る。
【0045】
弁拡張機構300は、外側部材またはスリーブ312をさらに含み得る。スリーブ312は、アクチュエータねじ302の遠位部分304の周りに環状に位置付けられ得、その近位端部および遠位端部において軸方向開口部を収容することができ、これを通ってアクチュエータねじ302が延びることができる。スリーブ312内の軸方向開口部および内腔は、アクチュエータねじ302の遠位部分304の直径より大きな直径を有し得、それによって、ねじは、スリーブ内部で自由に動き得る(アクチュエータねじ302は、スリーブ312に対して近位および遠位に動かされ得る)。アクチュエータねじ302がスリーブ内部で自由に動き得るので、アクチュエータねじ302は、以下でさらに詳細に開示するように、フレーム204を半径方向に拡張および/または収縮させるのに使用され得る。
【0046】
スリーブ312は、その外側表面から半径方向に延びる近位弁コネクタ314を有し得る。近位弁コネクタ314は、スリーブ312に固定(例えば、溶接)され得る。近位弁コネクタ314は、遠位弁コネクタ310から軸方向に離間され得、それによって、近位弁コネクタは、フレーム204の近位端部またはその近くにおける開口部を通って延び得る。フレーム204の近位端部は、交互になった一連の近位接合部260および近位頂点262を含む。例示された実施例では、3つの弁拡張機構300の近位弁コネクタ314は、近位接合部260を通ってフレーム204に接続される。他の実施例では、1つまたは複数の近位弁コネクタ314は、近位頂点262を通ってフレーム204に接続され得る。他の実施形態では、近位弁コネクタ314は、フレーム204の遠位端部の近くで接合部に接続され得る。
【0047】
遠位コネクタ310および近位コネクタ314は、フレーム204の両端部に接続される必要はないことを理解されたい。弁拡張機構300は、遠位コネクタおよび近位コネクタが互いから軸方向に離間されたフレーム上のそれぞれの接合部に接続される限り、フレーム204を拡張させ、かつ圧縮するのに使用され得る。
【0048】
ロックナット316が、スリーブ312の内側に位置付けられ得、アクチュエータねじ302の雄ねじ表面に係合し得る雌ねじ表面を有し得る。ロックナット316は、その近位端部にノッチ付き部分318を有し得、その目的を以下に記載する。ロックナットは、フレーム204を、以下で論じるように、特に半径方向に拡張した状態にロックするのに使用され得る。
【0049】
図3図4は、送達器具100の保持およびアクチュエータ組立体110の構成要素と連動する1つの弁拡張機構300を示す。図示のとおり、保持およびアクチュエータ組立体110は、支持管120、アクチュエータ部材122、およびロックツール124を含む。支持管120の近位端部は、本明細書に記載するような弁拡張機構300を動作させるために医師または送達組立体のオペレータが利用する、ハンドルまたは他の制御デバイス(図示せず)に接続され得る。同様に、アクチュエータ部材122およびロックツール124の近位端部は、ハンドルに接続され得る。
【0050】
支持管120は、ロックツール124の近位部分を環状に取り囲み、それによって、ロックツール124は、支持管120の内腔を通って延びる。支持管120およびスリーブ312は、支持管120がスリーブ312を越えて遠位に動くのを妨げられるよう、支持管120の遠位端部がスリーブ312の近位端部330に当接または係合し得るようにサイズ決めされる。
【0051】
アクチュエータ部材122は、ロックツール124の内腔を通って延び得る。アクチュエータ部材122は、例えば、シャフト、ロッド、ケーブル、またはワイヤとすることができる。アクチュエータ部材122の遠位端部分は、アクチュエータねじ302の近位部分306に解放可能に接続され得る。例えば、アクチュエータねじ302の遠位端部分は、アクチュエータねじ302の近位部分306の雄ねじに係合し得る雌ねじ表面を有し得る。代わりに、アクチュエータ部材は、ねじの雌ねじ部分に係合する雄ねじを有し得る。他の解放可能な接続機構(例えば、フープおよびループ(hoop-and-loop)、バックル、クリップ、磁石など)も使用され得る。よって、アクチュエータ部材122がアクチュエータねじ302上に通されると、アクチュエータ部材122の軸方向運動により、アクチュエータねじ302の軸方向運動を引き起こすことができる。
【0052】
ロックツール124の遠位部分は、アクチュエータねじ302を環状に取り囲み、スリーブ312の内腔を通って延びることができ、ロックツール124の近位部分は、アクチュエータ部材122を環状に取り囲むことができ、支持管120の内腔を通って送達器具100のハンドル102まで延びる。ロックツール124は、アクチュエータねじ302の雄ねじ表面に係合し得る雌ねじ表面を有し得、そのため、ロックツール124の時計回りまたは反時計回りの回転により、ロックツール124は、アクチュエータねじ302に沿って、遠位または近位それぞれに前進する。
【0053】
ロックツール124の遠位端部は、図4で最もよく見ることができるように、ノッチ付き部分326を含み得る。ロックツール124のノッチ付き部分326は、係合表面327を有し得、これは、ロックナット316のノッチ付き部分318の対応するように成形された係合表面319に係合するように構成され、そのため、ロックツールの回転(例えば、時計回りの回転)により、ロックナット316は、同じ方向(例えば、時計回り)に回転し、アクチュエータねじ302に沿って遠位に前進する。例示された実施形態におけるノッチ付き部分318、326は、反対方向(例えば、反時計回り)へのロックツール124の回転により、ロックツール124のノッチ付き部分326がロックナット316のノッチ付き部分318を係合解除するように構成され、すなわち、ロックツール124を近位に動かす方向へのロックツール124の回転は、ロックナット316の対応する回転を引き起こさない。
【0054】
代替的な実施形態では、ロックツール124の遠位端部分は、ナットを遠位に動かすために、ロックナット316に係合し、ロックツール124の回転時にロックナットの回転を生じさせるように構成された、さまざまな他の構成、例えば、本明細書に記載されるツール構成のいずれか、を有し得る。いくつかの実施形態では、ロックツール124の遠位端部分は、ロックナット316をアクチュエータねじ302に沿って遠位および近位に動かすように、両方向へのロックナット316の回転を生じさせるように構成され得る。
【0055】
植え込み前の動作中、アクチュエータ部材122は、アクチュエータねじ302の近位部分306上にねじで留められ得、ロックナット316は、アクチュエータねじ302の近位端部に位置付けられるように回転され得る。フレーム204は次に、半径方向に折り畳まれた状態にされ得、送達組立体200は、患者に挿入され得る。いったん人工弁が所望の植え込み部位に来たら、フレーム204は、本明細書に記載するように、半径方向に拡張され得る。
【0056】
フレーム204を半径方向に拡張させるため、支持管120は、スリーブ312に接してしっかりと保持され得る。アクチュエータ部材122は次に、アクチュエータ部材122の近位端部を引っ張ること、またはアクチュエータ部材122の近位運動を生じさせるハンドル上の制御ノブを作動させることなどによって、支持管120を通って近位方向に引っ張られ得る。支持管120が、近位弁コネクタ314によりフレーム204の近位端部に接続された、スリーブ312に接して保持されているので、フレーム204の近位端部は、支持管120に対して動くのを妨げられる。したがって、近位方向へのアクチュエータ部材122の運動は、(アクチュエータ部材122がアクチュエータねじ302上に通されているので)近位方向へのアクチュエータねじ302の運動を引き起こし得、それによって、フレーム204を軸方向に短縮し、半径方向に拡張させる。あるいは、フレーム204は、支持管120を遠位に動かすと共にアクチュエータ部材122を静止した状態に保持すること、または、支持管120を遠位に動かすと共にアクチュエータ部材122を近位に動かすことによって、拡張され得る。
【0057】
フレーム204が所望の半径方向に拡張したサイズまで拡張された後、フレーム204は、本明細書に記載されるように、この半径方向に拡張したサイズでロックされ得る。フレーム204のロックは、ロックツール124を一方向(例えば、時計回り)に回転させてロックツールのノッチ付き部分326をロックナット316のノッチ付き部分318に係合させ、それによって、ロックナット316をアクチュエータねじ302に沿って遠位に前進させることによって、達成され得る。ロックツール124は、ロックナット316がスリーブ312の遠位端部における内部肩部に当接し、ロックナット316がそれ以上遠位に前進することができなくなるまで、そのように回転され得る(例えば、図4参照)。これにより、アクチュエータねじ302がスリーブ312に対して遠位に前進してフレーム204を半径方向に圧縮するのを防ぐ。しかしながら、例示された実施形態では、ロックナット316およびアクチュエータねじ302は、依然としてスリーブ312を通って近位に動くことができ、それによって、植え込み中、または、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0153689号に記載されるような、その後のバルブインバルブ(valve-in-valve)処置中に、フレーム204をさらに拡張させる。
【0058】
いったんフレーム204が半径方向に拡張した状態でロックされると、ロックツール124は、ロックツール124を近位に動かす方向(例えば、反時計回り方向)に回転されて、ノッチ付き部分326をロックナット316のノッチ付き部分318から切り離し、ロックツール124をアクチュエータねじ302からゆるめて外すことができる。さらに、アクチュエータ部材122は、アクチュエータ部材122をアクチュエータねじ302の近位部分306からゆるめて外す方向に回転され得る(例えば、アクチュエータ部材122は、反時計回りに回転されると、アクチュエータねじ302から係合解除されるように構成され得る)。いったんロックツール124およびアクチュエータ部材122がアクチュエータねじ302からゆるめられて外されると、それらは、支持管120と共に患者から取り外され得、図2Cに示されるように、アクチュエータねじ302およびスリーブ312をフレーム204に接続されたままにし、フレーム204は、特に半径方向に拡張した状態でロックされる。
【0059】
代替的な実施形態では、ロックツール124は、アクチュエータねじ302の雄ねじに係合する雌ねじなしで形成され得、これにより、ロックツール124は、スリーブ312を通って、アクチュエータねじ302に沿って遠位および近位にスライドして、ロックナット316に係合し、かつこれを係合解除することができる。
【0060】
さらに別の実施形態では、前述したようなロックナット316およびアクチュエータねじ302を使用する代わりに、フレームは、異なるロック機構、例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/0153689号、2019年12月4日出願の国際出願第PCT/US2019/64373号、2019年10月30日出願の米国特許出願第62/928,291号、および2019年12月18日出願の米国特許出願第62/950,005号に記載されるような、ラチェット機構を使用して、拡張したサイズでロックされ得る。特定の実施形態では、拡張機構300の代わりに、人工弁200は、先に出願されたこれらの出願に記載されるもののような、1つまたは複数のラチェット機構を含み得る。1つまたは複数のラチェット機構は、それぞれのアクチュエータ110に連結され得、フレームを半径方向に拡張させ、かつ圧縮し、フレームを所望の拡張直径でロックするように構成され得る。
【0061】
本明細書に開示される送達組立体のいずれも、人工弁(もしくは別のタイプのインプラント)を拡張させ、かつ圧縮する組立体の構成要素の運動を生じさせるように構成された1つまたは複数のアクチュエータもしくは制御装置を備えた、さまざまなハンドル構成を有し得る。いくつかの実施形態では、ハンドルはアクチュエータを有し得、これは、ハンドル上のアクチュエータを手動で回転させ、かつ/または手動で押す/引くことにより、ユーザによって操作され得る。他の実施形態では、ハンドル上のアクチュエータおよび/または組立体の他の構成要素は、電気で、空気圧で、かつ/または油圧で制御され得る。
【0062】
例えば、いくつかの実施形態では、ハンドル102は、送達組立体の構成要素の運動を生じさせるようにユーザによって作動される1つまたは複数の電動モータ、例えば、アクチュエータねじ302の線形運動を生じさせるように動作可能な1つまたは複数のモータ、および(ロックナット316を回転させるための)ロックツール124の回転運動を生じさせるように動作可能な1つまたは複数のモータを収容することができる。具体的な一実施態様では、1つの電動モータが使用されて、人工弁上に装着されたアクチュエータねじ302すべての線形運動を生じさせ、1つの電動モータが使用されて、組立体に含まれるロックツール124すべての回転運動を生じさせる。別の実施態様では、1つの電動モータが、各アクチュエータねじのため、および各ロックツール124のために提供され得る。送達組立体の構成要素を制御するための電動モータを含むハンドル構成に関するさらなる詳細は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0296962号に開示されている。
【0063】
さらに、本明細書に開示される送達組立体のいずれも、米国特許出願公開第2014/0296962号にさらに開示されるような、人工弁の拡張を制御するように動作可能なソフトウェアおよび/またはハードウェアを含み得る。特定の実施形態では、送達組立体は、特定のアルゴリズムに従って人工弁を半径方向に拡張させるように動作可能である、(例えば、ハンドル内に収容された)プログラマブルコントローラを含み得る。例えば、送達組立体は、特定のアルゴリズムに従って人工弁を半径方向に拡張させるように電子コントローラによって制御される、1つまたは複数のモータ(例えば、電動モータ)を含み得る。ある実施態様では、例えば、コントローラは、米国特許出願公開第2014/0296962号にさらに開示されるように、人工弁の拍動性の半径方向の拡張を生じさせるようにプログラムされ得る。
【0064】
以下で説明するように、送達器具100は、人工弁200の半径方向の拡張について、リアルタイムの視覚的フィードバックを提供するように構成され得る。ある実施形態では、送達器具100はまた、人工弁200が所望の半径方向に拡張したサイズでロックされたという、視覚的確認を提供するように構成され得る。
【0065】
一実施形態では、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカー140は、保持およびアクチュエータ組立体110内の支持管120の外側表面上に位置することができ、少なくとも1つのインジケーター放射線不透過性マーカー142は、同じ保持およびアクチュエータ組立体110内のロックツール124の外側表面上に位置することができる。
【0066】
インジケーター放射線不透過性マーカー142および基準放射線不透過性マーカー140はそれぞれ、放射線不透過性材料、例えば金、白金、タングステン、白金イリジウム合金、パラジウムなどを含むことができ、それによって、これらは、人工弁が送達器具によって患者の身体内に送達されると、X線透視検査下で目に見える。マーカーは、当技術分野で既知のさまざまな技術のいずれかを使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカー140および142は、放射線不透過性インクおよび接着剤によって形成され、スクリーン印刷、高速ローラー印刷、コーティング、浸漬などといった、いくつかの方法で、送達器具の構成要素上に適用され得る。他の実施形態では、マーカーは、(例えば、送達器具の構成要素上に装着された環状リングまたはC字型バンドの形態をした)別々に形成された構成要素とすることができる。基準放射線不透過性マーカー140を除いて、支持管120の遠位端部分は、放射線透過性材料を含むか、または切り抜き窓を有することができ、それによって、ロックツール124上のインジケーター放射線不透過性マーカー142は、X線透視検査下で目に見える。
【0067】
いくつかの実施形態では、基準放射線不透過性マーカー140は、X線透視検査下でインジケーター放射線不透過性マーカー142と視覚的に区別できるように構成される。例えば、基準放射線不透過性マーカー140は、インジケーター放射線不透過性マーカー142とは異なる幅および/または周方向長さを有し得る。
【0068】
前述したように、フレーム204を半径方向に拡張させるために、支持管120の遠位端部は、スリーブ312に接してしっかりと保持され得、それによって、フレーム204の近位端部は、支持管120に対して動くことを妨げられる。よって、支持管120およびそこに位置する基準放射線不透過性マーカー140は、人工弁の半径方向の拡張中にフレーム204の近位端部206に対する一定の空間関係を維持する。
【0069】
これも前述したように、支持管120を通してアクチュエータ部材122を近位方向に引っ張ることで、アクチュエータねじ302(または、ラチェット機構が、米国特許出願公開第2018/0153689号、国際出願第PCT/US2019/64373号、米国特許出願第62/928,291号、もしくは米国特許出願第62/950,005号に記載されるように使用される場合は、ラチェットラック)の近位運動を引き起こすことができ、これにより、次に、フレーム204を軸方向に短縮し、半径方向に拡張させることができる。ロックツール124がアクチュエータねじ302にねじで連結されているので、ロックツール124は、フレーム204の半径方向の拡張中にアクチュエータねじ302と共に動くことができる。よって、ロックツール124およびそこに位置するインジケーター放射線不透過性マーカー142は、人工弁の半径方向の拡張中にフレーム204の遠位端部208に対する一定の空間関係を維持することができる。
【0070】
よって、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカー140に対するインジケーター放射線不透過性マーカー142の位置で、フレーム204の軸方向長さ(すなわち、近位端部206と遠位端部208との間の距離)を測定することができ、これは、人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと半径方向に拡張される際の人工弁の対応する直径を示す。言い換えれば、基準放射線不透過性マーカー140は、「スケール」として効果的に役立ち得、インジケーター放射線不透過性マーカー142は、「ダイヤル」または「ポインタ」として効果的に役立ち得、それによって、「スケール」に対する「ダイヤル」の場所は、人工弁の対応する直径を示し得る。
【0071】
したがって、オペレータが弁拡張機構300を作動させることによって人工弁を半径方向に拡張させると、オペレータは、X線透視検査下で、インジケーター放射線不透過性マーカー142と、基準放射線不透過性マーカー140のうちのいずれか1つとの整列に基づいて、人工弁の直径をリアルタイムで監視および/または測定し得る。
【0072】
インジケーター放射線不透過性マーカー142は、望ましくは、インジケーター放射線不透過性マーカー142が人工弁の半径方向の拡張中にX線透視検査下で常に目に見えることを確実にするために、フレーム204の外側に位置付けられるように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、インジケーター放射線不透過性マーカー142は、ロックツール124の近位部分に沿ってフレーム204の近位端部206とスリーブ312の近位端部330との間に位置し得る。他の実施形態では、インジケーター放射線不透過性マーカー142は、ロックツール124の近位部分に沿って、スリーブ312の近位端部330より近位に位置し得る。
【0073】
前述したように、支持管120は、複数の基準放射線不透過性マーカー140を含み得る。例えば、図5図7は、3つの基準放射線不透過性マーカー140a、140b、140cを示すが、任意の数の基準放射線不透過性マーカー140が使用され得ることを理解されたい。各基準放射線不透過性マーカー140は、人工弁の特定の直径に対応し得る。例えば、人工弁が半径方向に圧縮された状態から半径方向に拡張した状態へと拡張される間、インジケーター放射線不透過性マーカー142と、最遠位の基準放射線不透過性マーカー140aとの整列は、人工弁の第1の拡張直径を示すことができ、インジケーター放射線不透過性マーカー142と、中間の基準放射線不透過性マーカー140bとの整列は、人工弁の第2の拡張直径を示すことができ、第2の直径は第1の直径より大きく、インジケーター放射線不透過性マーカー142と、最近位の基準放射線不透過性マーカー140cとの整列は、人工弁の第3の拡張直径を示すことができ、第3の直径は第2の直径より大きい。
【0074】
描かれた実施例では、より遠位に位置する基準放射線不透過性マーカーが、より近位に位置する基準放射線不透過性マーカーに比べて、人工弁の小さな直径を示す。例えば、人工弁は、最小直径Dminおよび最大直径Dmaxによって定められる動作範囲内の直径まで拡張され得る。よって、基準放射線不透過性マーカー140aは、最小直径Dminを示すことができ、基準放射線不透過性マーカー140cは、最大直径Dmaxを示すことができ、基準放射線不透過性マーカー140bは、中間直径Dmedを示すことができる。例示的な実施形態では、基準放射線不透過性マーカー140a、140b、および140cは、人工弁がそれぞれ27mm、28mm、および29mmの直径まで拡張されていることを示し得る。
【0075】
支持管120は、任意の数の基準放射線不透過性マーカーを有し得ることを理解されたい。例えば、基準放射線不透過性マーカー140の数は、ただ1つもしくは2つ、または3つ超とすることができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、支持管120上に位置する複数の基準放射線不透過性マーカー140は、均等に離間され、任意の2つの隣り合う基準放射線不透過性マーカー間の距離は等しい。他の実施形態では、複数の基準放射線不透過性マーカー140は、不均一な距離で離間され得る。
【0077】
図5図7に描かれた実施形態は、ただ1つの拡張機構300が保持およびアクチュエータ組立体110に連結されているところを示すが、拡張機構はそれぞれ、図1に示すように、対応する保持およびアクチュエータ組立体に接続され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、保持およびアクチュエータ組立体110のうちのただ1つ、または選択されたものが、対応する一組のインジケーターおよび基準放射線不透過性マーカーを有し得る。他の実施形態では、保持およびアクチュエータ組立体はそれぞれ、それぞれのインジケーター放射線不透過性マーカーおよび基準放射線不透過性マーカーを収容し、人工弁の角度位置に関わらずオペレータが放射線不透過性マーカーを見るのを容易にすることができる。
【0078】
図5図7に描かれた実施形態は、ただ1つのタイプの拡張およびロック機構300が保持およびアクチュエータ組立体110に連結されるところを示すが、人工弁の半径方向直径および/またはフレームのロック確認を示すために放射線不透過性マーカーを使用するという同じ概念は、他の拡張およびロック機構、例えば、米国特許出願公開第2018/0153689号、国際出願第PCT/US2019/64373号、米国特許出願第62/928,291号、または米国特許出願第62/950,005号に記載されるような1つまたは複数のラチェット機構が使用される場合に適用され得ることを理解されたい。
【0079】
前述し、また図6図7にさらに示すように、フレーム204は、ロックナット316をスリーブ312の遠位端部まで前進させるためにロックツール124を回転させることによって、半径方向に拡張したサイズでロックされ得る。一実施形態によると、少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、ロックナット316がフレーム204をロックするための所望の場所まで動かされたことをX線透視検査下で視覚的に確認するのに使用され得る。
【0080】
例えば、インジケーター放射線不透過性マーカー142は、ロックツール124がロックナット316をスリーブ312の遠位端部まで前進させると、スリーブ312の近位端部分332と整列するか、またはこれに近接するように構成され得る。一実施形態では、スリーブ312の近位端部分332は、放射線不透過性マーカーを含み得、それによって、これは、X線透視検査下で目に見える。他の実施形態では、スリーブ312の近位端部分332は、放射線不透過性マーカーを収容しない。代わりに、スリーブ312の近位端部分332は、X線透視検査下で周囲の構造体から視覚的に区別できるようにサイズ決めされ、かつ/または成形され得る。例えば、近位端部分332は、遠位端部支持管120より大きな直径を有し得る。よって、フレーム204のロックは、インジケーター放射線不透過性マーカー142がスリーブ312の近位端部分332と整列されたことを確かめることによって、確認され得る。実施例として、図6は、フレーム204から近位に離間した「ロックされていない」位置にあるインジケーター放射線不透過性マーカー142を示すが、図7は、スリーブ312の近位端部分332と整列するか、またはこれに近接する「ロック」位置にあるインジケーター放射線不透過性マーカー142を示す。
【0081】
いくつかの実施形態では、送達器具100は、人工弁の半径方向直径に関する視覚的フィードバック、およびフレームのロックの視覚的確認の両方を提供するのに使用される、ただ1組の放射線不透過性マーカー(例えば、マーカー140および142)を含む。他の実施形態では、送達器具は、人工弁の半径方向直径の視覚的フィードバックのみのために使用される、1組の放射線不透過性マーカー、および/または、フレームのロックの視覚的確認のために使用される、1つもしくは複数の異なる放射線不透過性マーカーを含み得る。
【0082】
代替的な実施形態
弁拡張を監視し、フレームのロックを確認するためのシステムおよび方法を、図1図7に示すような特定の実施形態と共に説明してきたが、開示される実施形態は、非限定的な実施例であり、本明細書に開示される一般的な概念は、代替的な実施形態において実施され得ることを認識されたい。
【0083】
例えば、ある実施形態では、インジケーター放射線不透過性マーカーは、ロックツール124の代わりにアクチュエータ部材122上に位置し得る。弁拡張は、アクチュエータ部材122を支持管120に対して近位方向に引っ張ることにより生じるので、支持管120上の基準放射線不透過性マーカーに対するアクチュエータ部材122上のインジケーター放射線不透過性マーカーの位置は、半径方向の拡張中の人工弁の直径を示すこともできる。
【0084】
他の実施形態では、インジケーター放射線不透過性マーカーと基準放射線不透過性マーカーとの相対的な場所は切り替えられ得る。例えば、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、ロックツール124の外側表面上に位置することができ、少なくとも1つのインジケーター放射線不透過性マーカーは、支持管120の外側表面上に位置することができる。よって、インジケーター放射線不透過性マーカーは、基準放射線不透過性マーカーが弁拡張中にインジケーター放射線不透過性マーカーに対して軸方向に動く間、静止したままである。同様に、インジケーター放射線不透過性マーカーと、基準放射線不透過性マーカーのうちの1つまたは複数との整列は、人工弁の対応する拡張直径を示し得る。
【0085】
前述された弁拡張機構300は、動く内側部材(アクチュエータねじ302)と、固定された外側部材(スリーブ312)と、を含むが、弁拡張機構は、人工弁の第1の端部を第2の端部に向かって押すことができるか、または第2の端部を第1の端部に向かって押すことができる限り、別様に構成され得ることを認識されたい。いくつかの実施形態では、第1の端部は流入端部であり、第2の端部は流出端部である。他の実施形態では、第1の端部は流出端部であり、第2の端部は流入端部である。
【0086】
例えば、図5図6に関して前述した実施形態では、人工弁は、人工弁の近位端部を静止した状態に保持すると共に内側部材を外側部材に対して近位方向に引っ張ることによって、拡張され得る。他の実施形態では、人工弁は、人工弁の遠位端部を静止した状態に保持すると共に内側部材を外側部材に対して遠位方向に押すことによって、拡張され得る。さらに他の実施形態では、人工弁は、近位端部を遠位方向に押すと共に遠位端部を近位方向に引っ張ることによって、拡張され得る。
【0087】
あるいは、弁拡張機構は、固定された内側部材と、内側部材を環状に取り囲む可動の外側部材と、を有するように構成され得る。人工弁を拡張させるため、外側部材は、人工弁の流入端部(または流出端部)を静止した状態に保持するように構成され得、内側部材は、人工弁の流出端部(または流入端部)を流入端部(または流出端部)に向かって引っ張る(または押す)ように構成され得る。
【0088】
さらに一般的には、弁拡張機構は、互いに対して軸方向に動かされ得る2つの部材を有するように構成され得る。いくつかの実施形態では、2つの部材は、同軸ではなく、並んで配置され得る。人工弁を拡張させるため、一方の部材は、人工弁の流入端部(または流出端部)を静止した状態に保持するように構成され得、他方の部材は、人工弁の流出端部(または流入端部)を流入端部(または流出端部)に向かって引っ張る(または押す)ように構成され得る。
【0089】
弁拡張機構がどのように構成されるかに関わらず、拡張した人工弁の直径を監視することは、前述した同じ概念を適用することによって達成され得る。例えば、送達器具は、弁拡張機構の第1の部材に解放可能に接続された第1の部分、弁拡張機構の第2の部材に解放可能に接続された第2の部分を含み得、第1の部材および第2の部材は、互いに対して軸方向に可動となるように構成される。1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、第1の部分(または第2の部分)上に位置することができ、インジケーター放射線不透過性マーカーは、第2の部分(または第1の部分)上に位置することができる。第1の部分に対する第2の部分の軸方向運動は、第1の部材と第2の部材との間の対応する軸方向運動を引き起こし得、それによって、人工弁の軸方向の圧縮および半径方向の拡張を引き起こす。したがって、インジケーター放射線不透過性マーカーと、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、拡張した人工弁の直径を示し得る。
【0090】
人工弁は機械的に拡張可能なフレームを有するように記載されているが、本明細書に開示される同じ概念が、他のタイプの人工弁、例えばバルーン拡張可能な人工弁および自己拡張可能な人工弁にも適用され得ることを認識されたい。例えば、送達器具は、人工弁の流入端部(または流出端部)に解放可能に接続された第1の部分と、人工弁の流出端部(または流入端部)に解放可能に接続された第2の部分と、を含み得る。1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーは、第1の部分(または第2の部分)上に位置することができ、インジケーター放射線不透過性マーカーは、第2の部分(または第1の部分)上に位置することができる。人工弁が、自己拡張機構を通じて、または膨張可能なバルーンを膨張させることによって、半径方向に拡張されると、人工弁の流入端部と流出端部との間の距離が短くなる。その結果、第2の部分は、第1の部分に対して軸方向に動く。よって、インジケーター放射線不透過性マーカーと、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーとの整列は、拡張した人工弁の直径を示し得る。
【0091】
さらに別の実施形態では、2つ以上のインジケーター放射線不透過性マーカーが、1つまたは複数の基準放射線不透過性マーカーと共に使用され得る。例えば、図8は、距離d1だけ等しく離間した3つの基準放射線不透過性マーカー440a、440b、440cと、例えばd1の半分とすることができる、距離d2だけ離間した2つのインジケーター放射線不透過性マーカー442a、442bと、を有する保持およびアクチュエータ組立体110の実施形態を示す。人工弁の直径は、最近位のインジケーター放射線不透過性マーカー442bが基準放射線不透過性マーカー440a、440b、または440cとそれぞれ整列されたときに、D1、D2、またはD3として示される。他方、最近位のインジケーター放射線不透過性マーカー442bが基準放射線不透過性マーカー440aおよび440b間(または440bおよび440c間)に位置し、最遠位のインジケーター放射線不透過性マーカー442aが基準放射線不透過性マーカー440a(または440b)と整列すると、人工弁の直径は、D1とD2との間(またはD2とD3との間)の中間値、例えば、D1とD2との平均(またはD2とD3との平均)として示され得る。よって、基準放射線不透過性マーカーとは異なる間隔を有する複数のインジケーター放射線不透過性マーカーを使用すると、弁の直径の測定の異なる分解能を提供することができる。
【0092】
保持およびアクチュエータ組立体は、任意の数のインジケーター放射線不透過性マーカーおよび任意の数の基準放射線不透過性マーカーを有するように構成され得ることを理解されたい。インジケーター放射線不透過性マーカー間のマーカー間間隔は、基準放射線不透過性マーカー間のマーカー間間隔より大きくても小さくてもよい。さらに、インジケーター放射線不透過性マーカー間のマーカー間間隔および/または基準放射線不透過性マーカー間のマーカー間間隔は、均一であっても不均一であってもよい。
【0093】
総論
開示された実施形態は、人工器管を送達し、心臓の自己弁輪(例えば、肺動脈弁輪、僧帽弁輪、および三尖弁輪)のいずれかに植え込むように構成され得、さまざまな送達アプローチ(例えば、逆行性、順行性、経中隔、経心室、経心房など)のいずれかと共に使用され得ることを理解されたい。
【0094】
この説明の目的で、本開示の実施形態のある態様、利点、および新規な特徴が本明細書で説明されている。開示された方法、器具、およびシステムは、決して限定するものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独の、また互いとのさまざまな組み合わせおよび部分的組み合わせにおける、さまざまな開示された実施形態のすべての新規かつ非自明な特徴および態様を対象としている。方法、器具、およびシステムは、任意の特定の態様もしくは特徴またはそれらの組み合わせに限定されず、開示された実施形態は、任意の1つもしくは複数の特定の利点が存在するかまたは問題が解決されることを必要としない。任意の実施例からのテクノロジーは、その他の実施例のうちの任意の1つまたは複数に記載されたテクノロジーと組み合わせられ得る。開示されたテクノロジーの原理が適用され得る、多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は、好適な実施例に過ぎず、開示されたテクノロジーの範囲を限定するものとして理解すべきでないことを、認識されたい。
【0095】
開示された実施形態のうちのいくつかの動作が、提示の便宜上、特定の順序で説明されたが、この説明の様式は、以下に記載する特定の言葉によって特定の順序が必要とされない限り、並べ替えを包含することを理解されたい。例えば、連続して記載された動作は、場合によっては、並べ替えられるか、または同時に実行され得る。さらに、単純にするため、添付図面は、開示された方法が他の方法と共に使用され得る、さまざまな方法を示すわけではないかもしれない。さらに、説明は、開示された方法を説明するために、「提供する」または「達成する」のような用語を使用する場合がある。これらの用語は、実行される実際の動作の高レベルな抽象的概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施態様に応じてさまざまであってよく、当業者によって容易に識別可能である。
【0096】
人工弁、送達器具および送達組立体の他の構成要素に関して本明細書で使用される「近位」とは、患者の外側にある送達組立体のハンドルの近くにある、デバイスの位置、方向、または部分を指し、「遠位」とは、ハンドルから遠くに離れた、デバイスの位置、方向、または部分を指す。用語「長手方向」および「軸方向」は、明確な定義のない限り、近位方向および遠位方向に延びる軸を指す。
【0097】
本出願および特許請求の範囲で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈で別段明確な規定のない限り、複数形を含む。さらに、用語「含む(includes)」は、「含む(comprises)」を意味する。さらに、用語「連結された(coupled)」および「接続された(connected)」は、概して、電気的に、電磁的に、かつ/または物理的に(例えば、機械的もしくは化学的に)連結またはリンクされることを意味し、特定の逆の言葉がなければ、連結されるかまたは関連付けられたアイテム間の中間要素の存在を排除するものではない。
【0098】
方向および他の相対参照(例えば、内側(inner)、外側(outer)、上方(upper)、下方(lower)など)は、図面および本明細書における原理の議論を容易にするために使用され得るが、限定的とすることを意図していない。例えば、「内側(inside)」、「外側(outside)」、「上(top)」、「下(down)」、「内部(interior)」、「外部(exterior)」などといった、ある用語が使用され得る。そのような用語は、適用可能な場合、特に例示された実施形態に関して、相対的な関係を扱う際に説明の明確さを提供するために使用される。しかしながら、そのような用語は、絶対的な関係、位置、および/または向きを意味することを意図していない。例えば、ある物体に関して、「上方」部分は、単にその物体をひっくり返すことによって、「下方」部分となり得る。それにもかかわらず、それは依然として同じ部分であり、物体は同じままである。本明細書で使用される、「および/または」は、「および」または「または」、ならびに「および」と「または」を意味する。
【0099】
開示された発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして理解すべきではないことを認識されたい。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0100】
10 人工インプラント送達組立体
100 送達器具
102 ハンドル
104 シャフト
110 保持およびアクチュエータ組立体
120 支持管
122 アクチュエータ部材
124 ロックツール
140 基準放射線不透過性マーカー
140a 基準放射線不透過性マーカー
140b 基準放射線不透過性マーカー
140c 基準放射線不透過性マーカー
142 インジケーター放射線不透過性マーカー
200 人工弁
202 弁状構造体
204 フレーム
206 近位端部
208 遠位端部
210 ストラット
212 孔
214 長手方向軸
216 ピン
250 遠位接合部
252 遠位頂点
260 近位接合部
262 近位頂点
300 弁拡張機構
302 アクチュエータねじ
304 遠位部分
306 近位部分
308 遠位取り付け部品
310 遠位弁コネクタ
312 スリーブ
314 近位弁コネクタ
316 ロックナット
318 ノッチ付き部分
319 係合表面
326 ノッチ付き部分
327 係合表面
330 近位端部
332 近位端部分
440a 基準放射線不透過性マーカー
440b 基準放射線不透過性マーカー
440c 基準放射線不透過性マーカー
442a インジケーター放射線不透過性マーカー
442b インジケーター放射線不透過性マーカー
Dmin 最小直径
Dmax 最大直径
Dmed 中間直径
D1 人工弁の直径
D2 人工弁の直径
D3 人工弁の直径
d1 距離
d2 距離
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8