(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】自動車用の地面投影装置
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20240110BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240110BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20240110BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20240110BHJP
B60Q 1/26 20060101ALI20240110BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20240110BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240110BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21S43/15
F21S43/27
B60Q1/26 Z
F21W103:60
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021562338
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020056319
(87)【国際公開番号】W WO2020216519
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ダナー、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、クリスティアン
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107761(JP,A)
【文献】国際公開第2019/053890(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0053195(US,A1)
【文献】国際公開第2018/198760(WO,A1)
【文献】特開2018-189958(JP,A)
【文献】特表2014-502779(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
B60Q 1/26
F21W 103/60
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの地面投影を形成するための、自動車用の地面投影装置であって、
前記地面投影装置は、照明手段(2)および投影手段(3)を有し、前記照明手段(2)は、光を形成し、少なくとも部分的に前記投影手段(3)に放射するように構成されており、前記投影手段(3)は、前記照明手段(2)により前記投影手段(3)に放射される光を、前記地面投影装置が自動車に組み込まれた状態で自動車の側方に、地面投影として走行路上に投影するように構成されており、前記地面投影は、互いに離間した少なくとも2つの光セグメント(5)を含み、前記照明手段(2)は、このために個別に制御可能な少なくとも2つの光源(6)を有し、各光セグメント(5)には少なくとも1つの光源(6)が割り当てられており、前記投影手段(3)は、焦点または焦点線を有し、前記少なくとも2つの光源(6)のうちの少なくとも1つは、前記投影手段(3)の焦点または焦点線に対してオフセットして配置されており、前記少なくとも2つの光源(6)により形成される光の第1の成分が、前記投影手段(3)に直接指向された第1の光線方向(8)に沿って照射され、前記少なくとも2つの光源(6)のうちの少なくとも1つにより形成される光の第2の成分が、前記投影手段(3)に直接指向されていない第2の光線方向(9)に沿って照射される、地面投影装置において、
当該地面投影装置は、
偏向手段(11)、あるいは吸収手段
および偏向手段(11)を有し、
前記偏向手段(11)、あるいは前記吸収手段
および偏向手段(11)は、溝状、突起状、またはピラミッド状の構造を含み、前記構造は、前記光の第2の成分を屈折ないし偏向し、それにより、前記第2の光線方向(9)に沿って照射される前記光の第2の成分は、前記投影手段(3)に当たらない、ことを特徴とする地面投影装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの光セグメント(5)は、実質的にストライプ状に構成されている、請求項1に記載の地面投影装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの光源(6)のうちの少なくとも1つのオフセットは、前記地面投影装置が組み込まれた状態で、垂直方向に形成されている、請求項1または2に記載の地面投影装置。
【請求項4】
前記照明手段(2)は、複数の光源(6)を含み、これら光源は、導体路板(7)において垂直に上下に並んだ光源列に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項5】
前記光源列の数は、走行路上に投影される前記光セグメント(5)の数に相当する、請求項4に記載の地面投影装置。
【請求項6】
各光源列には、それぞれ1つの光セグメント(5)が割り当てられている、請求項5に記載の地面投影装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの光源(6)と前記投影手段(3)は、少なくとも2つの光セグメント(5)が、重なり合いなしで走行路上に投影されるように構成され、配置されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの光源(6)と前記投影手段(3)は、少なくとも2つの光セグメント(5)が、自動車に対してそれぞれ異なる間隔で走行路上に投影可能であるように構成され、配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項9】
前記地面投影装置は、前記少なくとも2つの光源(6)と前記投影手段(3)を少なくとも部分的に取り囲むケーシング(12)を有し、前記ケーシング(12)の少なくとも1つの内面(10)は、
前記偏向手段(11)、あるいは前記吸収手段
および偏向手段(11)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項10】
前記ケーシング(12)は、前記投影手段(3)の縁部領域を形状的に結合して取り囲み、
前記偏向手段(11)、あるいは前記吸収手段
および偏向手段(11)は、前記投影手段(
3)の直前まで前記ケーシング(12)内に配置されている、請求項9に記載の地面投影装置。
【請求項11】
前記地面投影装置は、走行方向指示信号を検出するための通信手段を有し、前記地面投影装置は、光セグメント(5)の照射の作動を、自動車の走行方向指示器の作動と時間的に同期することができるように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項12】
前記地面投影装置の前記投影手段(3)は、ちょうど1つの単一の投影レンズ(4)を含み、光セグメント(5)を形成する全ての光源の前記光の第1の成分は、前記単一の投影レンズ(4)に偏向される、請求項1から11のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項13】
前記投影手段(3)は、少なくとも1つの投影レンズ(4)を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項14】
個々の光源列は、それぞれ、水平に並んで配置された異なる数の光源(6)を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項15】
単一の投影レンズ(4)は、フリーフォームレンズである、請求項1から14のいずれか一項に記載の地面投影装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の地面投影装置を含む自動車。
【請求項17】
前記地面投影装置は、自動車の少なくとも1つのサイドミラーに固定されている、請求項16に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの地面投影を形成するための、自動車用の地面投影装置に関し、地面投影装置は、照明手段および投影手段、好適には少なくとも1つの投影レンズを有し、照明手段は、光を形成し、少なくとも部分的に投影手段に放射するように構成されており、投影手段は、照明手段により投影手段に放射される光を、地面投影装置が自動車に組み込まれた状態で自動車の側方に、地面投影として走行路上に投影するように構成されており、地面投影は、互いに離間した少なくとも2つの光セグメントを含み、照明手段は、このために個別に制御可能な少なくとも2つの光源を有し、各光セグメントには少なくとも1つの光源が割り当てられており、投影手段は、焦点または焦点線を有し、少なくとも2つの光源の少なくとも1つは、投影手段の焦点または焦点線に対してオフセットして配置されており、少なくとも2つの光源により形成される光の第1の成分が、投影手段に直接指向された第1の光線方向に沿って照射され、少なくとも2つの光源のうちの少なくとも1つにより形成される光の第2の成分が、投影手段に直接指向されていない第2の光線方向に沿って照射される。
【0002】
本発明は、更に、地面投影装置を含む自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
光を自動車の側方に照射するための装置は、従来技術で公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】US2007/053195A1
【文献】US2017/210282A1
【文献】JP2016/107776A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、複数の光セグメントを走行路上に照射することのできる装置は、個々の光セグメントが走行路に照射されるときに、光源の散乱光のため、個々の光セグメントが不十分なコントラストを有することがあるという欠点を有し、このことは、信号作用の劣化に繋がる。
【0006】
したがって本発明の課題は、従来技術の欠点を軽減ないし除去することである。したがって本発明は、特に、走行路上への光セグメントの投影が改善される、自動車用の地面投影装置を創出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を備える地面投影装置によって解決される。好ましい改善形態は、従属請求項に記載されている。
本発明の第1の視点によれば、下記の地面投影装置が提供される。即ち、
少なくとも1つの地面投影を形成するための、自動車用の地面投影装置であって、
前記地面投影装置は、照明手段および投影手段、好適には少なくとも1つの投影レンズを有し、前記照明手段は、光を形成し、少なくとも部分的に前記投影手段に放射するように構成されており、前記投影手段は、前記照明手段により前記投影手段に放射される光を、前記地面投影装置が自動車に組み込まれた状態で自動車の側方に、地面投影として走行路上に投影するように構成されており、前記地面投影は、互いに離間した少なくとも2つの光セグメントを含み、前記照明手段は、このために個別に制御可能な少なくとも2つの光源を有し、各光セグメントには少なくとも1つの光源が割り当てられており、前記投影手段は、焦点または焦点線を有し、前記少なくとも2つの光源の少なくとも1つは、前記投影手段の焦点または焦点線に対してオフセットして配置されており、前記少なくとも2つの光源により形成される光の第1の成分が、前記投影手段に直接指向された第1の光線方向に沿って照射され、前記少なくとも2つの光源のうちの少なくとも1つにより形成される光の第2の成分が、前記投影手段に直接指向されていない第2の光線方向に沿って照射される。
当該地面投影装置は、吸収手段および/または偏向手段を有し、前記吸収手段および/または偏向手段は、前記第2の光線方向に沿って照射される光の第2の成分を、少なくとも部分的に吸収および/または偏向するように構成されており、それにより、前記光の第2の成分は、前記投影手段に当たらない、ことを特徴とする。
より詳しくは、前記第1の視点において、
少なくとも1つの地面投影を形成するための、自動車用の地面投影装置であって、
前記地面投影装置は、照明手段および投影手段を有し、前記照明手段は、光を形成し、少なくとも部分的に前記投影手段に放射するように構成されており、前記投影手段は、前記照明手段により前記投影手段に放射される光を、前記地面投影装置が自動車に組み込まれた状態で自動車の側方に、地面投影として走行路上に投影するように構成されており、前記地面投影は、互いに離間した少なくとも2つの光セグメントを含み、前記照明手段は、このために個別に制御可能な少なくとも2つの光源を有し、各光セグメントには少なくとも1つの光源が割り当てられており、前記投影手段は、焦点または焦点線を有し、前記少なくとも2つの光源のうちの少なくとも1つは、前記投影手段の焦点または焦点線に対してオフセットして配置されており、前記少なくとも2つの光源により形成される光の第1の成分が、前記投影手段に直接指向された第1の光線方向に沿って照射され、前記少なくとも2つの光源のうちの少なくとも1つにより形成される光の第2の成分が、前記投影手段に直接指向されていない第2の光線方向に沿って照射される、地面投影装置において、
当該地面投影装置は、偏向手段、あるいは吸収手段および偏向手段を有し、前記偏向手段、あるいは前記吸収手段および偏向手段は、溝状、突起状、またはピラミッド状の構造を含み、前記構造は、前記光の第2の成分を屈折ないし偏向し、それにより、前記第2の光線方向に沿って照射される前記光の第2の成分は、前記投影手段に当たらない、ことを特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
前記地面投影装置を含む自動車が提供される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、専ら発明の理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、地面投影装置は、吸収手段および/または偏向手段を有し、この吸収手段および/または偏向手段は、第2の光線路に沿って照射される、光の第2の成分を少なくとも部分的に吸収および/または偏向するように構成されており、それにより光の第2の成分は、投影手段に当たらない(入射しない)。光の第2の成分は、実質的に、少なくとも1つの光源が、投影手段の焦点ないし焦点線に直接配置されていない状況によって引き起こされ得ると理解することができる。散乱光が投影手段に当たると、走行路上に投影される光セグメントのコントラストが不利に低減される。本発明の吸収手段および/または偏向手段により、投影手段は、実質的に散乱光のない状態に留まることができる。有利には散乱光は、地面投影装置内で、正確に言えば照明手段と投影手段との間の空間領域内で投影手段まで達することができない。なぜなら散乱光は、照明手段から投影手段までの経路において、好適には実質的に完全に吸収および/または偏向されるからである。これにより、光セグメントのコントラストが高まり、したがってその視認性も高まる。これは更に、交通安全性を高める。地面投影装置の少なくとも2つの光セグメントは、自動車の側方で走行路上に投影され、側方とは、この関連で自動車の走行方向における側方と理解される。言い替えると、走行方向における自動車の左側および/または右側である。各車両側には、例えば自動車のサイドミラーが取り付けられている。
【0009】
少なくとも2つの光セグメントは、実質的にストライプ状に構成することができる。ここで少なくとも2つの光セグメントは、同じまたは異なる長さを有することができる。言い替えると、光セグメントは、走行路上に投影された状態で、例えば光ストライプまたは照明ストライプと見なすことができ、走行路のストライプ状の領域を照らし、あるいは照明する。光セグメントは、とりわけ縦方向広がりおよび横方向広がりを有し、縦方向広がりは横方向広がりよりも大きく、それによりストライプ状に照明される領域を走行路上に形成することができる。光セグメントの縦方向広がりは、走行路上に投影された状態で、好適には自動車の長手軸に対して平行に延在する。光セグメントの横方向広がりは、走行路上に投影された状態で、好適には自動車の長手軸に対して直交方向に延在する。
【0010】
好適には、少なくとも2つの光源のうちの少なくとも1つのオフセットは、地面投影装置が組み込まれた状態で、垂直方向に形成されている。言い替えると、少なくとも2つの光源の一方は、他方の光源の上方または下方に垂直に配置することができる。光源は、直接互いに接することができ、または互いに間隔を有することができる。
【0011】
好適には照明手段は複数の光源を含み、これら光源は、導体路板(回路基板)において垂直に上下に並んだ光源列において配置されており、好適には個々の光源列は、水平に並んで配置された異なる数の光源を有する。したがって、例えば第1の光源列はn個の光源を有し、第1の光源列の上方または下方に垂直に配置された第2の光源列は、例えばn+1またはn-1個の光源を有することができる。第2の光源列がn+1個の光源を有する場合、第1の光源列は、n>0であるn個の光源を有することができる。第2の光源列がn-1個の光源を有する場合、第1の光源列は、n>1であるn個の光源を有することができ、ここでnは自然数である。第2の光源列は、n+m個の光源を有することもでき、ここでmは自然数である。光源として特にLEDが設けられている。
【0012】
光源列の数が、走行路上に投影される光セグメントの数に相当すると有利であり得る。
【0013】
好適には各光源列には、それぞれ1つの光セグメントが割り当てられている。特に各光源列には、ちょうど1つの光セグメントを割り当てることができる。したがって好適には、第1の光源列の光源(複数)により形成される光が、第1の光セグメントに対して提供される。さらに好適には、第2の光源列の光源により形成される光が、第2の光セグメントに対して提供される。
【0014】
少なくとも2つの光源と投影手段は、少なくとも2つの光セグメントが、重なり合いなしで走行路上に投影されるように構成し、配置することができる。したがって好適には、少なくとも2つの光セグメントは互いに離間している。言い替えると、2つの光セグメントの間には、走行路上に投影された状態で照明されない一つの領域がある。2つの光セグメントの間の間隔は、例えば一光セグメントの幅に相当することができる。
【0015】
好適には少なくとも2つの光源と投影手段は、少なくとも2つの光セグメントが、自動車に対してそれぞれ異なる間隔で走行路上に投影可能であるように構成され、配置されている。例えば、光が第1の光源列の光源により提供される第1の光セグメントは、投影手段により第1の間隔で走行路上に投影することができ、この第1の光セグメントは、第1の長さと第1の幅を有する。さらに、例えば、光が第2の光源列の光源により提供される第2の光セグメントは、投影手段により第2の間隔で走行路上に投影することができ、この第2の光セグメントは、第2の長さと第2の幅を有する。第1と第2の間隔、第1と第2の長さ、および第1と第2の幅は、同じであっても、または異なってもよい。言い替えると、例えば互いに異なる寸法を有する、あるいは走行路を異なる大きさの面積ないし領域で照明する少なくとも2つの光セグメントを、投影手段により自動車から異なる間隔で走行路上に投影することができる。例えば、第2の光セグメントに対して比較的に短いおよび/または狭い第1の光セグメントは、第2の光セグメントと比較して自動車まで比較的に小さい間隔で走行路上に投影することができる。第1の光セグメントは、例えば自動車から0~1mの側方間隔で、第2の光セグメントは、自動車から1~2mの側方間隔で、第3の光セグメントは、自動車から2~3mの側方間隔で走行路上に投影することができ、個々の光セグメントは、とりわけ重ならないように投影することができる。
【0016】
好適には地面投影装置は、少なくとも2つの光源および投影装置を少なくとも部分的に取り囲むケーシングを有し、好適にはケーシングの少なくとも1つの内面は、吸収手段および/または偏向手段を有する。ケーシングの、吸収手段および/または偏向手段を有することのできる少なくとも1つの内面は、好適には照明手段と投影装置との間に伸びる内面である。したがって有利には、第2の光線路に沿って放射される、光の第2の成分を吸収および/または偏向することができ、それにより光の第2の成分は投影手段に当たらない。吸収手段は、光吸収性の要素を含むことができ、これらの要素は、例えばケーシングの少なくとも1つの内面に固定されている。偏向手段は、光屈折性または光散乱性の要素を、ケーシングの少なくとも1つの内面に含むことができる。偏向手段は、例えば溝状、突起状、またはピラミッド状の構造を含むことができ、これらの構造は、光の第2の成分を屈折し、それにより光の第2の成分は投影手段に当たらないようにすることができる。偏向手段は、付加的に光吸収性の材料から作製することもできる。これは、偏向手段と吸収手段の組み合わせに対応する。
【0017】
ケーシングは、とりわけ投影手段の縁部領域を形状的に結合して取り囲むことができ、好適には吸収手段および/または偏向手段は、投影手段の直前までケーシング内に配置されている。言い替えると、吸収手段および/または偏向手段は、ケーシング内でケーシングの少なくとも1つの内面において、投影装置に達するまで延在している。これにより、光の第2の成分、すなわち散乱光が投影手段の脇を通過せず、したがってケーシングの外部に放射されるという利点が得られる。したがって散乱光を実質的に完全に吸収および/または偏向することができ、あるいは十分に多くの散乱光を吸収および/または偏向することができ、その結果、走行路上に投影される光セグメントのコントラストが実質的に劣化することが生じ得ない。
【0018】
好適には地面投影装置は、走行方向指示信号を検出するための通信手段を有し、光セグメントの照射の作動を、自動車の走行方向指示器の作動と時間的に同期することができるように構成されている。少なくとも2つの光セグメントの投影は、走行方向指示器の光信号と実質的に同じ時間で行うことができる。これにより有利には、自動車の右折左折過程または車線変更を、他の道路使用者がより良く知覚することができる。
【0019】
好適には地面投影装置の投影手段は、ちょうど1つの単一の投影レンズ、特にフリーフォームレンズを含み、光セグメントを形成する全ての光源の光の第1の成分が、この単一の投影レンズに偏向される。単一のフリーフォームレンズを好適に使用することにより、地面投影装置の重量およびコストを低減することができる。フリーフォームレンズは、少なくとも2つの光源列のそれぞれ1つにより第1の光線方向で照射される光が、対応する光源列に割り当てられた光セグメントの形態で走行路上に投影されるように成形される。
【0020】
本発明によれば、地面投影装置を含む自動車が意図される。
【0021】
好適には地面投影装置は、自動車の少なくとも1つのサイドミラーに固定されている。
【0022】
地面投影装置は、特に冷却装置を含むことができ、冷却装置は、好適には照明手段と熱接触しており、熱を照明手段から放出するように構成されている。冷却装置は、ケーシングの内部に、外部に、または少なくとも部分的にケーシングの外部に配置することができる。さらに地面投影装置は、固定装置を含むことができ、固定装置により地面投影装置を自動車に、例えば自動車のサイドミラーに固定することができる。固定装置は電子コンポーネントを有することができ、電子コンポーネントは、地面投影装置が自動車に固定されているときに、地面投影装置にエネルギーを供給するように構成されている。
【0023】
本明細書の枠内で概念「上方」、「下方」、「水平」、「垂直」は、地面投影装置が例えば自動車のサイドミラーに組み込まれた後、地面投影装置が通常の使用箇所に配置されているときの配向の記載として理解すべきである。
【0024】
本発明を、以下、好適な実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】地面投影装置の吸収手段ないし偏向手段の斜視図である。
【
図5】側方に投影された光セグメントを備える自動車の平面図である。
【
図6】ケーシングおよび固定装置を備える地面投影装置の斜視図である。
【実施例】
【0026】
図面は概略的な外観を示しており、主要でないコンポーネントの図示は省略されている。これはより良い理解に資するものである。
【0027】
図1は、少なくとも1つの地面投影を形成するための、一自動車用の一地面投影装置を示す。地面投影装置1は、照明手段2と投影手段3、好適には少なくとも1つの投影レンズ4を含み、照明手段2は、光を発生し、少なくとも部分的に投影手段に放射するよう構成されている。投影手段3は、照明手段2により投影手段3に放射される光を、地面投影装置1が自動車に組み込まれた状態で自動車の側方に、地面投影として走行路に投影するように構成されている(
図5参照)。図示の実施例では、投影手段4はちょうど1つの単一の投影レンズ4、特にフリーフォームレンズを含む。地面投影は、互いに離間した少なくとも2つの光セグメント5を含む。
図5による実施例では、地面投影がそれぞれ3つの光セグメントを含み、これらは、車両の左側と右側で走行路上に投影される。地面投影を形成するために照明手段2は、個別に制御可能な少なくとも2つの光源6を有し、各光セグメント5には少なくとも1つの光源6が割り当てられている。投影手段3は焦点または焦点線を有し、光源6の少なくとも1つは、投影手段3の焦点または焦点線に対してオフセットして配置されている。
図1の実施例によれば、照明手段2は7つの光源6を有し、これら光源は、導体路板7において、垂直に上下に並んだ光源列に配置されている。第1の光源列は、4つの光源を含み、その垂直上方に配置された第2の光源列は、2つの光源6を含み、第2の光源列の垂直上方に存在する第3の光源列は1つの光源6を含む。光源列の数は、車両の側方で走行路上に投影される光セグメント5の数に対応し、各光源列にはそれぞれ1つの光セグメント5が割り当てられている。光源6と投影手段3は、個々の光セグメント5が重なり合いなしで走行路上に投影されるように構成され配置されている。
【0028】
図2に示されるように、光源6により形成される光の第1の成分が、投影手段3に直接指向された第1の光線方向8に沿って放射される。光の第1の成分は、異なる光源列により形成される光から組み合わされる。ここで各光源列は、光を特定の光セグメント5に対して形成する。
【0029】
図3に示されるように、光源6により形成される光の第2の成分が、投影手段に直接指向されていない第2の光線方向9に放射される。光の第2の成分、すなわち散乱光は、多数の光源6ないし多数の光源列が、投影手段3の焦点ないし焦点線の外部に配置されているという状況により発生する。このような散乱光は、次に地面投影装置1の内面10で反射され、それによって投影手段3に当たる(入射する)ことがある。このことは、走行路上に投影される光セグメント5のコントラストの劣化を引き起こす。
【0030】
地面投影装置1は、吸収手段および/または偏向手段11を有し、この吸収手段および/または偏向手段は、第2の光線方向9に沿って照射される光の第2の成分、すなわち散乱光を少なくとも部分的に吸収および/または偏向するように構成されており、その結果、光の第2の成分は、投影手段3に当たらない。
図4は、地面投影装置1の吸収手段および/または偏向手段11を示すが、簡単に図示するために地面投影装置1の多数のコンポーネントは図示されない。吸収手段および/または偏向手段11は、溝状の、断面がギザギザの構造を有し、これにより光が偏向ないし屈折され、その結果、光は投影手段3にもはや当たることができない。さらに吸収手段および/または偏向手段11は、光吸収性の材料から作製することができる。
【0031】
図5は、地面投影装置1により走行路上に投影された光セグメント5を示し、光セグメントは、実質的にストライプ状に構成されている。光セグメント5は、自動車に対してそれぞれ異なる間隔で走行路上に投影される。
【0032】
図3と6に示されるように、地面投影装置1は、光源6および投影手段3を少なくとも部分的に取り囲むケーシング12を有し、ケーシング12の少なくとも1つの内面10は、吸収手段および/または偏向手段11を有する。図示の実施例では、吸収ないし偏向手段11は、ケーシング12の上側および下側の内面10にそれぞれ固定されている。ケーシング12は、投影手段3の縁部領域を形状的に結合(ありつぎ式に結合)して取り囲み、吸収手段および/または偏向手段11は、投影手段13の直前までケーシング12内に配置されている。
図6にはさらに、固定装置15が示されている。この固定装置により地面投影装置1を自動車13に、例えば自動車13のサイドミラーに固定することができる。
【0033】
地面投影装置1は、走行方向指示信号を検出するための(図示しない)通信手段を含み、さらに地面投影装置は、光セグメント5の照射の作動が自動車の走行方向指示器の作動と時間的に同期できるように構成されている。ここでは複数の光源6を走行方向指示器と時間的に同時に作動することができ、投影装置3によって対応の光セグメント5が走行路上に投影される。しかし光源6は、異なる時点においても、例えば交互にまたは順次に作動することができ、その結果、投影手段3により、異なる光信号または照明パターンの形態で光セグメント5を走行路上に投影することができる。
【0034】
図6に示されるように、地面投影装置は、とりわけ冷却装置14を含み、冷却装置は、好適には照明手段2と熱的に接触しており、熱を照明手段2から放出するように構成されている。冷却装置14は、例えばケーシング12の内部に、外部に、または少なくとも部分的にケーシングの外部に配置することができる。さらに地面投影装置1は、固定装置15を含むことができ、固定装置により地面投影装置1を自動車に、例えば自動車のサイドミラーに固定することができる。固定装置15は電子コンポーネントを有することができ、電子コンポーネントは、地面投影装置1が自動車に固定されているときに、地面投影装置1にエネルギーを供給するように構成されている。
【0035】
本発明は以下の形態をとることが可能である。
(形態1)前記第1の視点のとおり。
(形態2)前記少なくとも2つの光セグメントは、実質的にストライプ状に構成されている、形態1に記載の地面投影装置。
(形態3)前記少なくとも2つの光源のうちの少なくとも1つのオフセットは、地面投影装置が組み込まれた状態で、垂直方向に形成されている、形態1または2に記載の地面投影装置。
(形態4)前記照明手段は、複数の光源を含み、これら光源は、導体路板において垂直に上下に並んだ光源列に配置されており、好適には前記個々の光源列は、水平に並んで配置された異なる数の光源を有する、形態1から3のいずれか一に記載の地面投影装置。
(形態5)前記光源列の数は、走行路上に投影される前記光セグメントの数に相当する、形態4に記載の地面投影装置。
(形態6)各光源列には、それぞれ1つの光セグメントが割り当てられている、形態5に記載の地面投影装置。
(形態7)前記少なくとも2つの光源と前記投影手段は、少なくとも2つの光セグメントが、重なり合いなしで走行路上に投影されるように構成され、配置されている、形態1から6のいずれか一に記載の地面投影装置。
(形態8)前記少なくとも2つの光源と前記投影手段は、少なくとも2つの光セグメントが、自動車に対してそれぞれ異なる間隔で走行路上に投影可能であるように構成され、配置されている、形態1から7のいずれか一に記載の地面投影装置。
(形態9)前記地面投影装置は、前記少なくとも2つの光源と前記投影手段を少なくとも部分的に取り囲むケーシングを有し、前記ケーシングの少なくとも1つの内面は、吸収手段および/または偏向手段を有する、形態1から8のいずれか一に記載の地面投影装置。
(形態10)前記ケーシングは、前記投影手段の縁部領域を形状的に結合して取り囲み、前記吸収手段および/または偏向手段は、前記投影手段の直前まで前記ケーシング内に配置されている、形態9に記載の地面投影装置。
(形態11)前記地面投影装置は、走行方向指示信号を検出するための通信手段を有し、前記地面投影手段は、光セグメントの照射の作動を、自動車の走行方向指示器の作動と時間的に同期することができるように構成されている、形態1から10のいずれか一に記載の地面投影装置。
(形態12)前記地面投影装置の前記投影手段は、ちょうど1つの単一の投影レンズ、特にフリーフォームレンズ、を含み、光セグメントを形成する全ての光源の光の第1の成分は、前記単一の投影レンズに偏向される、形態1から11のいずれか一に記載の地面投影装置。
(形態13)形態1から12のいずれか一に記載の地面投影装置を含む自動車。
(形態14)前記地面投影装置は、自動車の少なくとも1つのサイドミラーに固定されている、形態13に記載の自動車。