(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】高密度化した還元型グラフェン酸化物及び製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/198 20170101AFI20240110BHJP
C08J 3/205 20060101ALI20240110BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240110BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240110BHJP
C08K 9/00 20060101ALI20240110BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C01B32/198
C08J3/205 CEQ
C08J3/205 CFF
C08J3/205 CFH
C08K3/04
C08K3/36
C08K9/00
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2021571906
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 US2020036193
(87)【国際公開番号】W WO2020247681
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-01-25
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010758
【氏名又は名称】キャボット コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100212509
【氏名又は名称】太田 知子
(72)【発明者】
【氏名】チェン リメン
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー ジョン エル
(72)【発明者】
【氏名】クツォフスキー ヤコフ イー
(72)【発明者】
【氏名】キルリディス アガサジェロス
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/070514(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/008516(WO,A1)
【文献】特開2018-158957(JP,A)
【文献】特開2010-043169(JP,A)
【文献】特開平08-217434(JP,A)
【文献】特表2013-535402(JP,A)
【文献】特表2018-520917(JP,A)
【文献】特表2010-506014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/198
C08J 3/205
C08K 3/04
C08K 3/36
C08K 9/00
C08L 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子;及び
少なくとも50質量%の液体
を含
み、前記液体が水である、顆粒。
【請求項2】
カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上から選択される追加の粒子を含む、請求項1に記載の顆粒。
【請求項3】
前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の酸素含有量は0.1質量%超、又は25質量%未満である、請求項1または2のいずれか1項に記載の顆粒。
【請求項4】
前記顆粒の平均径は100μm~3mmである、請求項1または2のいずれか1項に記載の顆粒。
【請求項5】
前記顆粒の密度は、0.02g/cm
3(0.02g/cc)を超える、請求項1または2のいずれか1項に記載の顆粒。
【請求項6】
複合体の形成方法であって:
ポリマーと、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び少なくとも50質量%の液体を含む顆粒とを混合する工程;並びに
前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子を前記ポリマー中に分散させてポリマー複合体を生成する工程
を含
み、前記液体が水である、方法。
【請求項7】
カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土から選択される粒子を混合する工程を更に含む請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記顆粒はカーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーはエラストマー、熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、ポリシロキサン、及びフッ化ポリマーから選択される、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
前記複合体から50%超の前記液体を除去する工程を更に含む請求項
6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記複合体中の前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の濃度は0.1~50質量%である、請求項
6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記顆粒の平均径は1mm~5mmである、請求項1または2のいずれか1項に記載の顆粒。
【請求項13】
前記顆粒の平均径は10μm~1mmである、請求項1または2のいずれか1項に記載の顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グラフェン酸化物、特に高密度化した還元型グラフェン酸化物、及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンを酸化して、炭素格子に共有結合した酸素原子を含むグラフェン酸化物粒子を形成することが可能である。次にグラフェン酸化物は、完全又は部分的に還元されて、還元型グラフェン酸化物(rGO)として公知の組成物を生成できる。還元型グラフェン酸化物は、グラフェンともグラフェン酸化物とも異なる特性を有し、ポリマーなどの他の材料と組み合わせることで、材料の特性を向上できる。
【発明の概要】
【0003】
1態様では、顆粒を提供しており、前記顆粒は、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び少なくとも50質量%の液体を含み、前記顆粒の密度は0.02g/cm3(0.02g/cc)を超える。前記顆粒は、カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上から選択される追加の粒子を含み得る。いくつかの例では、前記顆粒は基本的に、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び液体から構成できる。前記顆粒は少なくとも1.0質量%の還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子を含み、前記液体は水混和性溶媒、水、アルコール、グリコール、エーテル、アルデヒド、芳香族炭化水素、又は脂肪族炭化水素を含んでもよい。前記顆粒の平均アスペクト比は前記顆粒中のrGOW粒子の平均アスペクト比より小さくてもよい。前記顆粒は、ポリマーバッグ中で保持及び処理できる。前記顆粒をポリマーと組み合わせることにより、マスターバッチを生成できる。還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の酸素含有量は、0.1%超、0.5%超、1.0%超、5.0%超、10.0%超、14.0%超、25%未満、15%未満、10%未満、5.0%未満、3%未満、2%未満、又は1.0%未満であってもよい。
【0004】
別の態様では、高密度化した炭素質顆粒を生成する方法を提供しており、前記方法は、炭素質材料を液体と合わせる工程を含み、前記炭素質材料は0.01g/cm3(0.01g/cc)未満の密度を有し、平均アスペクト比が3:1を超える粒子を含み、前記高密度化した炭素質顆粒の密度は、前記炭素質材料の密度より少なくとも5倍高い。前記炭素質材料は、還元型グラフェン酸化物ワーム状構造体又はカーボンナノチューブであってもよい。前記方法は、第2材料を液体と合わせる工程を更に含んでもよく、前記第2材料は炭素質材料とは異なっており、カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土から選択される。前記液体の沸点は、大気圧で120℃未満になり得る。前記液体は水を含み、液体と炭素質材料の質量比は、3超:1、4超:1、5超:1、6超:1、10超:1、又は50超:1になり得る。ポリマーマスターバッチは、任意の高密度化した炭素質顆粒とポリマーとを混合することにより形成できる。前記マスターバッチは、高密度化した炭素質顆粒を含むポリマーバッグをポリマー中に入れ、バッグ及び高密度化した炭素質顆粒をポリマー中に組み込むことにより形成できる。前記マスターバッチは第2ポリマーを含んでもよく、第2ポリマーは、前記ポリマーと同一であっても異なっていてもよい。高密度化した炭素質顆粒の平均アスペクト比は3:1未満、2:1未満、又は1.5:1未満であり、密度は0.02g/cm3(0.02g/cc)、0.03g/cm3(0.03g/cc)、0.05g/cm3(0.05g/cc)、又は0.1g/cm3(0.1g/cc)を超える。この方法は、第2高密度化材料を添加する工程を含んでもよく、この方法では、第2高密度化材料は前記高密度化した炭素質顆粒とは別に高密度化する。この方法は、第2高密度化材料を添加する工程を含んでもよく、この方法では、第2高密度化材料は、高密度化した炭素質顆粒と同じ工程で高密度化する。第2高密度化材料は、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリカ、及び粘土のうちの1種以上であってもよい。前記ポリマーはエラストマーであってもよい。
【0005】
別の態様では、ポリマー複合体を形成する方法を提供しており、前記方法には、還元型グラフェン酸化物ワームとポリマーとを2未満:1又は1未満:1の体積比で合わせて、還元型グラフェン酸化物ワーム含有量が2質量%を超えるポリマー複合体を生成する工程が含まれる。得られたポリマー複合体の還元型グラフェン酸化物ワーム含有量は3質量%超、5質量%超、又は10質量%超であってもよい。
別の態様では、ポリマー複合体を形成する方法を提供しており、前記方法には、還元型グラフェン酸化物ワームとポリマーとを、x未満:1の体積比で合わせ、還元型グラフェン酸化物ワーム含有量がx質量%超、2x質量%超、3x質量%超、又は5x質量%超のポリマー複合体を生成する工程が含まれる。還元型グラフェン酸化物ワームは粒状化し、沸点が120℃未満の液体を少なくとも50質量%含んでもよい。前記方法には、蒸発によりポリマー複合体から少なくとも75%の液体を除去する工程が含まれてもよい。液体は、熱機械的粉砕を利用することにより、又は外部加熱を利用することにより、又は真空を応用することにより蒸発できる。第2粒状材料をエラストマー複合体に添加してもよく、還元型グラフェン酸化物ワームとは別に添加してもよい。ポリマーはエラストマーであってもよい。
【0006】
別の態様では、顆粒を提供しており、前記顆粒は還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び少なくとも50質量%の液体を含む。顆粒は自由に流動し、非連続的である。顆粒は、カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上から選択される粒子を含んでもよい。顆粒は基本的に、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び液体から構成できる。これらは、少なくとも1.0質量%の還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子を含んでいてもよい。液体は、水、水混和性溶媒、アルコール、グリコール、エーテル、アルデヒド、芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素であってもよい。顆粒の平均アスペクト比は、顆粒が構成されるrGOW粒子の平均アスペクト比より小さいか、又は3:1未満であってもよい。還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の酸素含有量は0.1質量%超、0.5質量%超、1.0質量%超、5.0質量%超、10.0質量%超、14.0質量%超、25質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5.0質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、又は1.0質量%未満であってもよい。顆粒はポリマーバッグ中に充填できる。顆粒はポリマーマスターバッチ中に組み込むことが可能である。顆粒の平均径は、10μm~100μm、100μm~1mm、10μm~1mm、100μm~3mm、500μm~2mm、1mm~3mm、又は1mm~5mmであり、平均径の標準偏差は50%未満、20%未満、又は10%未満であってもよい。顆粒の密度は、0.02g/cm3(0.02g/cc)、0.03g/cm3(0.03g/cc)、0.05g/cm3(0.05g/cc)、又は0.1g/cm3(0.1g/cc)を超えてもよい。
【0007】
別の態様では、複合体の形成方法には、ポリマーと、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び少なくとも50質量%の液体を含む顆粒とを合わせる工程、並びに還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子をポリマー中に分散させてポリマー複合体を生成する工程が含まれる。前記方法には、カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上から選択される粒子中に混合する工程が含まれてもよい。ポリマーは、エラストマー、熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、ポリシロキサン、及びフッ化ポリマーから選択できる。熱可塑性プラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリアラミド、ポリスチレン、及びポリアクリレートの1種以上から選択できる。エラストマーの場合、エラストマーは、天然ゴム、並びに1,3‐ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、並びにアルキルがメチル、エチル、プロピル、アクリロニトリル、エチレン、及びプロピレンであってもよい2,3‐ジアルキル‐1,3‐ブタジエンのポリマーから選択できる。いくつかの例では、エラストマーは、スチレンブタジエン(SBR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリルブタジエン(NBR)、高飽和ニトリルゴム(HNBR)、フルオロエラストマー(FKM及びFEPM)、及びポリアクリレート(ACM)から選択される。この方法には、複合体から50%超、75%超、90%超、95%超、又は99%超の液体を除去する工程が含まれてもよい。液体は、混合工程中に複合体から蒸発させることが可能である。顆粒は、ポリマー用量バッグに収容して提供できる。複合体は、2質量%超、5質量%超、10質量%超、20質量%超、又は30質量%超の濃度のrGOワームを含んでもよい。この方法には、ポリマー複合体と、そのポリマーと同一か、又は異なっていてもよい第2ポリマーとを混合する工程が含まれてもよい。複合体中の還元型グラフェン酸化物ワームの濃度は0.1~50質量%、0.1~40質量%、0.1~30質量%、0.1~20質量%、0.1~10質量%、1~50質量%、1~30質量%、又は1~10質量%であってもよい。
別の態様では、顆粒を形成する方法を説明しており、前記方法には、綿毛状の還元型グラフェン酸化物ワームと液体とを合わせる工程、並びに還元型グラフェン酸化物ワーム及び液体を粒状化し還元型グラフェン酸化物ワーム状顆粒を生成する工程が含まれる。前記液体は水を含んでもよく、液体は、顆粒の50質量%超、75質量%超、又は90質量%超を占めてもよい。液体と還元型グラフェン酸化物粒子との質量比は、2超:1、3超:1、5超:1、又は10超:1であってもよい。液体と還元型グラフェン酸化物粒子との質量比は、15未満:1、10未満:1、7未満:1、又は5未満:1であってもよい。顆粒は、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子と液体との混合物を転がして形成できる。綿毛状の還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の体積は3倍、5倍、10倍、又は20倍を超えて低減できる。第2粒状材料を、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び液体と混合することが可能である。第2粒状材料は、カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土から選択できる。液体は、水であってもよく、また基本的に他の液体を含まなくてもよい。液体は2種の異なる液体の混合物から構成してもよい。結合剤を、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び液体と混合してもよい。
【0008】
縮尺を意図していない添付図面を参照して、少なくとも1つの実施例の多様な態様を以下に説明する。図面は、多様な態様及び実施例を説明し、更に理解させるために添付しており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成しているが、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。図面は本明細書の残りの部分と共に、記述及び請求した態様及び実施例の原理及び動作を説明するためのものである。図面では、様々な図に示されている同一又はほぼ同一の各成分は、同様の数字で表している。明確にするために、全ての構成要素が全ての図で番号付けしている訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1b】還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の概略図である。
【
図2】還元型酸化物ワーム状粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
rGOワームなどの還元型グラフェン酸化物(rGO)粒子は通常、粉末形態であり、その密度は10g/L未満又は5g/L未満と低い。このかさばった粉末(綿毛状材料と呼ばれる)は、取り扱いが難しく、粉末を移送する際に風媒性の粉塵を形成する可能性がある。本明細書では、例えば、綿毛状のrGO粉末の5倍の密度を有し得る高密度化したrGO顆粒を形成するための製法が記載されている。これらの高密度化した顆粒は、rGO粉末の直接移送に関連する多くの問題を生じることなく、ポリマー材料に直接組み込むことが可能である。
高密度化した顆粒は、rGOワームなどの任意の種類のグラフェンをベースとする粒子を含んでもよい。本開示は主にrGOワームを目的としているが、高密度化技術は、他の粒子構造にも適用できることは理解されている。例えば、これらの高密度化技術は、カーボンナノチューブ、グラフェン、官能化グラフェン、グラフェン酸化物、及び還元型グラフェン酸化物などの炭素質粒子を用いて利用できる。炭素質粒子と一緒に他の材料を顆粒に組み込むことも可能である。これらの材料は、粘土及びシリカやアルミナを含む金属酸化物などの充填剤を含んでもよい。
【0011】
様々な実施形態では、綿毛状のrGOワーム粒子を液体と組み合わせて高密度化した顆粒を生成する。液体は単一の化合物であっても、化合物の混合物であってもよい。特定の一式の実施形態では、液体は水である。液体と綿毛状のrGOワーム粒子を合わせて、例えばペレタイザーでペレット化する。得られた顆粒は液体及びrGO粒子(例えばワーム)の両方を含む。顆粒中の液体の割合が大きい(例えば、>75質量%)にも関わらず、顆粒は自由に流動可能であり、触れても濡れていない。多くの場合、周囲環境保管条件下では、顆粒は液体を保持しており、顆粒から分離した自由な液体があるという目に見える(肉眼では)証拠はない。しかし、液体は、気体(例えば、蒸気)としての蒸発、凍結乾燥、又は溶媒抽出により顆粒から分離してもよい。
高密度化した顆粒は、保管、輸送、取り扱いが容易である。前記顆粒はポリマー材料に添加し、ポリマー及びrGO粒子を含むポリマー複合体を形成してもよい。例えば、高密度化していないrGO粉末を添加する場合と比較して、半分未満の量のrGOワームで、rGOワームの高密度化した顆粒をエラストマーに添加し、エラストマーに混合することが可能となる。混合時には、顆粒はばらばらになり、それぞれのrGOワームは互いに離れ、間質中に分散する。その結果、ポリマー複合体へのrGOワームの装填量は、高密度化していない綿毛状rGOワーム粒子で達成できるものより多くすることが可能となる。顆粒は、塵の形成を最小限に抑えてエラストマーに添加できる。いくつかの実施形態では、顆粒は、エラストマーに組み込むことが可能な用量バッグに収容して添加する。
rGOワームの高密度化した顆粒は加工が容易でありながら、綿毛状rGOワーム粒子の特性を維持できる。ポリマーと混合すると、例えば、顆粒は個々のrGOワーム粒子へと分解され、間質全体に均一に分散することが可能になる。グラフェンシートが剥離することなく処理を完了できる。顆粒内で高密度化したrGOワームは元の形態の大部分又は全体を維持すると考えられる。例えば、測定は困難であるが、高密度化したrGOワームは、高密度化していない元のrGOワームの表面積と変わらないか、又は80%超、もしくは90%超のBET表面積になり得ると考えられる。同様に、効果的なOANで測定する粒子構造は、高密度化していない元の粒子のOANの70%超、80%超、又は90%超で維持できると考えられる。その結果、rGOワームは高密度化及び輸送することが可能になり、ポリマー系に組み込まれ、高密度化されていない場合と同様の機能性を示すことが可能になる。
【0012】
詳細な説明
還元型グラフェン酸化物ワーム構造体
rGOワーム粒子(rGOW)は、還元型酸化グラフェンのプレートレットを任意数で含み得る一塊の粒子である。プレートレットの少なくとも一部は、隣接するプレートレットの平面と平行ではない平面にある。
図1bの概略図を参照されたい。rGOWプレートレットは平面と呼ばれているが、当該プレートレットは通常、例えばグラフェンシート(
図1a)のような平面ではなく、粒子を処理する酸化/還元プロセスに起因するシワや変形を含んでいる。その結果、rGOWプレートレットはグラフェンシートより厚いが、プレートレットの厚さの数倍の直径を有する一般的な平面形状を維持している。
図2のSE顕微鏡写真に見られるように、これらのプレートレットは複数のサブセクションを含み、サブセクションは互いに明確に異なる角度で配置されている。この凹凸により、粒子の表面積は高く、容積密度が低くなる。
隣接するプレートレットとは、あるプレートレットの主要な面のいずれかにおいて、そのプレートレットに直接接合されるプレートレットとして定義される。プレートレットは、第3のプレートレットのみを介してあるプレートレットに接合していれば、隣接しているとは言えない。プレートレットは、一方の面で第1の隣接プレートレットに対して一定の角度で配置され、対向する面で第2の隣接プレートレットと平行な構造を維持してもよい。rGOW構造のプレートレットの多くは互いに平行なグラファイト構成のままで、ファンデルワールス力により互いに結合することが可能である。例えば、
図1bの段積みs1及びs2を参照されたい。rGOWの粒子は通常、広範なグラファイト構造を有しておらず、rGOW構造の異なる様々な実施形態は、15個未満、12個未満、又は11個未満の隣接する平行なプレートレットを含む平行プレートレット複合構造に限定してもよい。還元型グラファイト酸化物ワーム状粒子は、その粒子の長さや直径などの任意の寸法が、その粒子を構成する全てのグラフェンプレートレットの合計の厚さよりも大きい構造を示す。例えば、単一のグラフェンプレートレットの厚さが約1nmである場合、1,000個のプレートレットから成るrGOW粒子は、長さと直径の両方が1ミクロンより大きくなる。また、これらの三次元粒子は、粒子内の少なくとも1つの原点を通って測定したx軸、y軸、z軸のそれぞれに沿った寸法が少なくとも50nmである。rGOW粒子は平面構造ではなく、グラファイト(グラフェンプレートレットの段積み)とも個々のグラフェンシートとも異なる形態を有する。しかし、rGOW粒子は、単一のプレートレット又は段積みのプレートレットへと剥離可能であり、これらのプレートレットの少なくとも1つの寸法が5nm未満、10nm未満、50nm未満、又は100nm未満にし得ることは注目に値する。rGOW粒子が剥離された後、得られた単一のプレートレット、又は平行なプレートレットの段積みはもはやrGOW粒子ではない。
【0013】
本明細書に記載のrGOW粒子は、複数のグラフェンプレートレットから構成することが可能であり、様々な実施形態では、10個、100個、又は1000個を超えるグラフェンプレートレットを含んでもよい。様々な実施形態では、粒子は直線状又は蛇行状であってもよく、ほぼ球状とすることも可能であり、場合によっては円筒状であってもよい。rGOW粒子の構造は、プレートレットが接合したままである端縁が交互に配置されているために粒子が長手方向に拡張することから、アコーディオン状であると説明できる。例えば、
図1bに示すように、隣接するグラフェン平面の少なくともいくつかは平行ではなく、互いに角度(例えば、
図1bの角度α)、例えば約25°をとって配置されている。様々な実施形態には、例えば、10°、25°、35°、45°、60°、又は90°の角度で接合した隣接するグラフェンプレートレットの対を1つ以上含んでもよい。異なる隣接する一対のグラフェンプレートレットは、異なる端縁又は位置で接合したままであってもよく、それにより、グラフェンプレートレットらは必ずしも同じ方向に傾いていない。隣接するグラフェンプレートレットが拡張後にプレートレット端縁で無作為に付着したままであれば、粒子はほぼ長手方向に伸長することになる。これらの細長い拡張したワーム状構造のアスペクト比は1:1超、2:1超、3:1超、5:1超、又は10:1超であってもよい。rGOW粒子の長軸又は長さは、粒子の中心となる長手方向の芯を一端から他端まで通過する最長線である。
図2を参照されたい。この線は、特定の粒子に応じて、湾曲していても線状であってもよく、又は湾曲もしくは線状の部分を有していてもよい。この線は、線に沿った任意の特定の部分におけるプレートレットの平均c面に対してほぼ垂直に走る。粒子の短軸、直径又は幅は、その中間点で粒子に収まることが可能な最小の円の直径であると考えられている。
図2を参照されたい。様々な実施形態では、rGOW粒子の長さは1.0μm超、2.0μm超、5.0μm超、10μm超、又は100μm超であってもよい。同じ実施形態及び他の実施形態では、幅(
図2に示す円の直径)は、例えば100μm未満、50μm未満、20μm未満、10μm未満、5μm未満、又は2μm未満であってもよい。具体的な直径の範囲としては、50nm超、100nm超、1μm超、10μm超、100μm超、100nm~100μm、500nm~100μm、500nm~50μm、2.0μm~30μm、2.0μm~20μm、2.0μm~15μm、2.0μm~10μm、1.0μm~5μm、100nm~5μm、100nm~2μm、100nm~1μm、200μm未満、100μm未満、又は10μm未満が挙げられる。rGOW粒子の長さに沿った幅は一定である必要はなく、2倍、3倍、又は4倍を超える倍率で変化させることが可能である。
【0014】
rGOW粒子は炭素、酸素、及び水素を含有してもよく、基本的に他の元素を含まなくてもよい。粒子は、ある元素が存在しないか、又は不純物としてのみ存在する(例えば、10wt%未満)場合、その元素を基本的に含まないと言える。特定の実施形態では、rGOW粒子は、80質量%超、90質量%超、95質量%超、又は99質量%超の炭素を含んでもよい。一部の粒子は、酸素、特に共有結合酸素を、0.1質量%超、0.5質量%超、1.0質量%超、5.0質量%超、10.0質量%超、14.0質量%超、25質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5.0質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、又は1.0質量%未満の濃度で含んでもよい。水素含有量は0.1質量%超又は1質量%超であってもよい。同じ実施形態及び他の実施形態では、水素含有量は1質量%未満、0.1質量%未満、又は0.01質量%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、窒素や硫黄などのヘテロ原子の量は0.01質量%超又は0.1質量%超であってもよい。
還元型グラファイト酸化物ワーム状粒子の密度は低くてもよい。例えば、様々な実施形態では、ASTM D7481‐09を用いて測定した場合、粒子の容積密度は100g/L未満、50g/L未満、30g/L未満、20g/L未満、10g/L未満、5g/L未満、5g/L超、10g/L超、又は15g/L超であってもよい。また、これらの粒子の表面積は大きくてもよく、いくつかの実施形態では、そのBET(Brunauer、Emmett及びTeller、ASTM D6556‐10)表面積は200m2/g超、300m2/g超、400m2/g超、500m2/g超、600m2/g超、700m2/g超、900m2/g超、又は1000m2/g超であってもよい。また、rGOW粒子は高吸収構造を示してもよく、吸油量(OAN)で測定すると、500mL/100g超、1000mL/100g超、1500mL/100g超、又は2000mL/100g超の構造を示すことも可能である。
【0015】
還元型グラフェン酸化物粒子中の酸素含有量の1つの指標は、粒子の揮発性物質含有量である。様々な実施形態では、不活性ガス下での125℃~1000℃の熱重量分析(TGA)において、rGOW粒子の揮発性物質含有量は、1%超、1.5%超、2.0%超、2.5%超、5%超、10%超、15%超、又は20%超であってもよい。同じ実施形態及び他の実施形態では、同技術による揮発性物質含有量は、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、3%未満又は2%未満であってもよい。
rGOW粒子の酸素含有量は、親グラファイト酸化物と比較して25%、50%、又は75%を超えて低減できる。同様に、熱分解時の粒子のエネルギー量(示差走査熱量計で測定)は、例えば25%、50%、又は75%を超えて低減できる。rGOW粒子の分解エネルギーは、例えば150J/g未満、100J/g未満、50J/g未満、又は20J/g未満であってもよい。
【0016】
rGOW粒子のグラファイト構造は、ラマン分光法により調べることが可能である。純粋なグラファイトは、Gバンド(1580cm-1)が強く、Dバンド(1350cm-1)が存在しないラマンスペクトルを有する。グラファイト酸化物はGバンドに加えて強いDバンドを有する。還元型グラファイト酸化物及びrGOW粒子は、多くの場合Gバンドより強い強Dバンドを有する(半値幅:FWHM)。いくつかの実施形態では、Gバンドに対するDバンドの比は、1.0超、1.1超、又は1.2超であってもよい。
rGOWの粒子は、結晶化度の違いにより、グラファイト及び類似の材料と区別されることが多い。rGOW粒子の結晶化度はラマン分光法で測定することが可能であり、様々な実施形態では、rGOW粒子の結晶化度値は40%未満、30%未満、又は20%未満であってもよい。また、X線回折はグラファイトと、グラファイトとは異なる層間間隔を示すグラファイト酸化物やrGOW粒子などの材料とを区別するために役立つ。グラファイトは、25°~30°の間に強いXRDピークを有するが、rGOW粒子は通常、この範囲に識別可能なピークを持たない。例えば、25°~30°の間では、rGOW粒子は検出できないピーク、又はグラファイト粒子ピークの10%未満もしくは5%未満のピークを有してもよい。
【0017】
還元型グラフェン酸化物は更に、2016年2月1日出願の国際公開第2016/126596号、名称「Urea Sequestration Compositions and Methods」に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。例えば、国際公開第2016/126596号の出願は製造方法を開示し、還元型グラフェン酸化物の特定の組成物及び形態を記載しており、これらは参照により本明細書に援用される。
【0018】
定義
生成した還元型グラフェン酸化物ワームは通常、軽くて低密度の綿毛状粉末の形態を有する。これらの小さい粒子は、ある容器から別の容器に移す際に周囲塵を形成しやすい。上述のように、この粒子の容積密度(ASTM D7481‐09)は10g/L未満又は5g/L未満であってもよい。本明細書で述べているように、この低密度の粉末を液体と合わせ、高密度化顆粒を形成できる。形成した綿毛状粉末と体積比で比較して、前記顆粒は2倍、3倍、4倍、又は5倍を超える質量のrGOを含み得る。例えば、顆粒のrGO成分の密度は、0.02g/cm3(0.02g/cc)、0.03g/cm3(0.03g/cc)、0.05g/cm3(0.05g/cc)又は0.1g/cm3(0.1g/cc)より高くてもよい。複合顆粒自体(液体及び固体成分を含む)の密度は、様々な実施形態では、0.05g/cm3(0.05g/cc)超、0.1g/cm3(0.1g/cc)超、0.2g/cm3(0.2g/cc)超、又は0.3g/cm3(0.3g/cc)超であってもよい。言い換えれば、このことは、顆粒の容積密度が、綿毛状で低密度のrGO粉末の密度の5倍、8倍、又は10倍を超えられることを意味する。顆粒中のrGO粒子と液体との質量比は、1超:20、1超:10、1超:5、1超:2、1未満:1、1未満:2、1未満:5、1未満:10、又は1未満:50であってもよい。液体の好ましい量は、高密度化工程中に顆粒を形成させるために必要な最小量であってもよい。
【0019】
rGOワーム又は他の炭素質材料の高密度化した顆粒の寸法はほぼ均一にできる。顆粒の直径は、その顆粒を取り囲むことになる最小の球の直径と定義する。個々の顆粒の直径は、例えば10μm~100μm、100μm~1mm、10μm~1mm、100μm~3mm、500μm~2mm、1mm~3mm、又は1mm~5mmである。同様に、複数の顆粒の平均径(算術平均)は、例えば10μm~100μm、100μm~1mm、10μm~1mm、100μm~3mm、500μm~2mm、1mm~3mm、又は1mm~5mmであり、群の平均径の標準偏差は、平均径の50%未満、20%未満、又は10%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、顆粒はrGO粒子から成り、その直径は、顆粒を構成するrGO粒子の長さより>10倍、>100倍、又は>1000倍大きくてもよい。高密度化した顆粒はほぼ均一な形状を有し、その平均アスペクト比は3:1未満、2:1未満、又は1.5:1未満であってもよい。顆粒のアスペクト比は、顆粒の最も長い断面の長さ(a)と、顆粒の最も短い断面の長さ(b)との比a:bにより測定する。ここでは、(b)が(a)の中点を通過して(a)に垂直である。なお、長さ「a」は顆粒の直径と等しい。顆粒の形状及び寸法は、その流動性に寄与する。多くの実施形態では、顆粒は、顆粒間で大きく付着することなく、乾燥した砂のように注ぐことが可能である。本明細書で使用しているように、顆粒は、容器の壁や隣接する顆粒に付着することなく容器から注ぐことができれば、「流動性」があると言える。
【0020】
顆粒を形成するために様々な液体が使用できる。液体は、例えば、その沸点、ポリマー系との適合性に基づいて、又は毒性、燃焼性、引火点などの安全性や環境への配慮に基づいて選択してもよい。いくつかの用途では、液体は、例えば蒸発により顆粒から除去する。例えば、顆粒をエラストマーに組み込む場合、エラストマーを加熱し、蒸発により液体を除去できる。いくつかの例では、熱は熱機械的な粉砕によりもたらされる。他の例では、外部の熱源を利用して混合容器を加熱できる。液体を除去するために蒸発を利用する場合、低沸点の液体により、必要な時間及びエネルギーを削減できる。顆粒をエラストマーに組み込む場合、液体の沸点はエラストマーの目標混合温度を下回ってもよい。例えば、液体の沸点は170℃未満、160℃未満、150℃未満、120℃未満、100℃以下、75℃未満、50℃未満であってもよい。液体は非毒性で、環境面で許容できるものであればよい。適切な液体の例としては、水、並びにアルコール、グリコール、エーテル、アルデヒド、芳香族及び脂肪族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。これらの液体等は、独立して使用することも、さまざまな比率で混合することも可能である。いくつかの例では、特に液体を蒸発除去するポリマー組成物では、水が顆粒を製造するための好ましい液体である。
【0021】
rGOワームは、液体と混合し、微粒子及び液体成分を効果的に合わせることが可能な装置を用いて粒状化できる。例えば、ペレタイザー、造粒機、ドラムローラ、又はrGOワーム及び液体を顆粒に形成することが可能な他の装置などのペレット化装置で、複数の成分を合わせて粒状化できる。異なる実施形態では、rGO粒子を液体に添加するか、又は液体を粒子に添加することが可能である。rGO粒子及び液体は、1つの工程で独立して添加するか、又は2つ以上の工程に分けて添加することが可能である。いくつかの例では、所望の密度、寸法、形状、及び流動性を有する顆粒が形成されるまで、液体をrGO材料に添加できる。いくつかの例では、顆粒は主にrGOワーム及び液体であってもよいが、他の実施形態では、1種以上の充填剤又は添加剤も追加してよい。追加の材料としては、グラファイト、グラフェン、グラフェン酸化物、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及び参照により本明細書に援用される米国特許第6,057,387号に記載されているような炭素‐シリカのハイブリッド粒子などの炭素質材料が挙げられる。炭素‐シリカのハイブリッド粒子は、単一の粒子に炭素相とケイ素含有種との両方を含有する。例えば、この粒子は、シリカをコーティングした炭素粒子又は炭素をコーティングしたシリカ粒子であってもよい。非炭素質材料としては、シリカやアルミナなどの金属酸化物、粘土、顔料、結合剤、並びに湿潤剤、可塑剤、及び分散剤などの添加剤が挙げられる。これらの追加材料は、rGOの粉末と乾式混合してもよく、又は造粒工程で添加してもよい。いくつかの例では、これらの追加成分は液体に溶解、懸濁又は分散させてもよく、この液体は顆粒を形成するために使用するものと同一であってもよい。例えば、25(質量)%のカーボンブラック水性スラリーをrGOワーム粉末と4:1(質量/質量)の比率でドラムロールし、20質量%のカーボンブラック、20質量%のrGOワーム、60質量%の水を含む高密度化顆粒を生成できる。この高密度化工程では、rGOワーム粒子は液体と接触させて粒状化する。これは材料を液相中で一緒に混合する湿式混合手技とは対照的である。高密度化工程では、粒状化に先立って粒子を液相に分散又は懸濁しない。
【0022】
一式の実施形態では、液体をドラム内のrGO粉末に、例えば2:1、3:1、4:1、6:1、10:1、50:1、又は100:1の質量比で添加する。各成分はどのような順序で合わせてもよく、いくつかの例では、rGO粉末の一部又は液体の一部を別々のステージで添加してもよい。ドラムは、ドラムローラで20~100rpmの回転数で2~4時間回転させることが可能である。得られた顆粒は、約10μm~約1mmの平均径を有していてもよく、流動性があり、rGOの塵を発生させることなく、ポリマー製の用量バッグなどの蒸気密閉性容器に移すことが可能である。顆粒は、顆粒の乾燥を防ぐ容器に入れて、室温で保存できる。
【0023】
高密度化した顆粒は多くの用途で使用可能であり、また、一式の実施形態では、顆粒はポリマー複合体に組み込むことが可能である。これらのポリマーには、エラストマー、熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、ポリシロキサン、フッ化ポリマー、及び米国特許出願公開第2015/0183962号明細書に記載されているような他の官能化ポリマーが挙げられる。具体的な熱可塑性プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリアラミド、ポリスチレン、及びポリアクリレートが挙げられる。本明細書で使用しているように、エラストマーは、その形状に永久的な損傷を与えることなく弾性的に変形させる非晶質ポリマーである。エラストマーの例としては、天然ゴム、合成ゴム、1,3‐ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、アルキルがメチル、エチル、プロピル等であってもよい2,3‐ジアルキル‐1,3‐ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン等のポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、及び/又はターポリマー)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的なエラストマーとしては、スチレンブタジエン(SBR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリルブタジエン(NBR)、高飽和ニトリルゴム(HNBR)、エポキシ化天然ゴム、ブチルゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー(Mクラス)ゴム、フルオロエラストマー(FKM、及びFEPM)、及びポリアクリレート(ACM)が挙げられる。顆粒は、エラストマーに直接添加しても、エラストマーラテックスに添加しても、又はマスターバッチの一部として添加してもよい。マスターバッチは追加のエラストマーと混合することが可能であり、このエラストマーはマスターバッチのエラストマーと同一でも異なっていてもよい。マスターバッチは、マスターバッチの質量の5%超、10%超、20%超、又は30%超の濃度のrGOワームを含有してもよい。いくつかの例では、顆粒は、用量バッグを介してエラストマー中に送達してもよい。用量バッグは、エラストマーと適合し、顆粒を保存可能な任意の材料から形成できる。これらの用量バッグ材料の例としては、ポリエチレン及びエチレンビニルアセテート(EVA)が挙げられる。エラストマーの量は、単一の用量バッグ又は複数の用量バッグで配合エラストマー中の所望のrGOワーム濃度を達成するように選択できる。
【0024】
一式の実施形態では、rGOワーム及び水を含む高密度化したrGO顆粒は、混合容積が1.6リットルで充填率が70%のバンバリーミキサ中でエラストマーと混合できる。ミキサの壁及びロータは、例えば、60~110℃の温度に予熱できる。エラストマーの3分の2を、混合チャンバに添加し、ロータ回転数80rpmで30秒間粉砕できる。ロータ回転数を40rpmまで減速し、rGO顆粒のエチレン‐酢酸ビニル用量バッグを1つずつ混合チャンバに投入できる。各用量バッグを投入する前に、ミキサのラムを持ち上げて混合チャンバへの通路を確保できる。各バッグを添加した後、ラムを下げて、バッグをエラストマー溶融物に強制的に組み込むことが可能である。全てのバッグを添加した後、最後の3分の1のエラストマーを添加し、ラムを下げてチャンバを密閉し、ロータ回転数を上げて混合力を高めることが可能である。熱機械的混合では、エラストマー混合物の温度が100℃を超え、顆粒の水成分が沸騰する可能性がある。この水蒸気を逃がすために、工程中に数回、ラムを持ち上げてもよい。高温や高せん断レベルでのエラストマーの分解を防止するために、工程中、抗酸化剤や他の添加剤をいつでも添加してよい。目標温度に達したら、配合した混合物をミキサから取り出し、2ロールミルを使用してシート状になるように圧延できる。目標温度は約160~170℃であってよい。
【実施例】
【0025】
実施例1
プラスチック複合体の例:
rGOワーム、水、及びプラスチック添加物を含む高密度化したrGO顆粒の調製:
500mlの広口プラスチックボトルに、以下の成分を以下の順序で添加した。
【表1】
rGOワームは、国際公開第2019/070514号に記載の方法に従って調製可能であり、その開示内容は参照により本明細書に援用される。rGOワーム(rGOW)の密度は0.005g/cm
3であった。2グラムのrGOWの元の体積は400mLであった。
全成分を添加した後、ボトルにしっかりとキャップをしてボールミル機(Stoneware社、米国)の2つのロールの上に置き、185rpmのローラ回転数で2時間回転させた。得られた高密度化rGO顆粒の体積は、元のrGOワームの体積より約10倍小さかった。
ポリプロピレン化合物の調製:
熱可塑性プラスチックを含むポリマー複合体を形成するために、高密度化したrGO顆粒を、溶融ミキサ(Xplore(登録商標)MC15マイクロ混合機)でポリプロピレン(HIVAL(登録商標)2420NA)と混合した。4.2gの高密度化した還元型グラフェン酸化物顆粒を6.8gのポリプロピレンと、200℃で10分間、75rpmのスクリュー回転数で混合した。その後、化合物を糸状にミキサから押し出し、空気中で室温まで冷却した。
【0026】
実施例2
エラストマー化合物用の高密度化した湿潤顆粒の調製:密度が0.005グラム/cm3の生成したrGOワーム80グラムを19リットル(5ガロン)のプラスチックドラムに添加し、次に320グラムの脱イオン水をrGOワーム粉末の上にゆっくりと注いだ。ドラムをしっかりと密閉し、ドラムローラの上に置いた。プラスチックドラムを38rpmのローラ回転数で2時間回転させた。得られた高密度化rGO顆粒の体積は、生成したrGOワームの体積より少なくとも4倍小さかった。高密度化したrGO顆粒(rGOワーム及び水を含む)の密度は0.13グラム/cm3であった。高密度化したrGO顆粒の体積は約40mLであった。
【0027】
実施例3(高密度化したrGO顆粒マスターバッチ)
rGOワーム及び水を含み、実施例2に記載の手順に従って調製した高密度化rGO顆粒を、BR‐1600Banbury(登録商標)ミキサ(「BR‐1600」;メーカー:Farrel社)で天然ゴムと混合した。使用したゴムはSMR20天然ゴム(Hokson Rubber社、マレーシア)であり、その技術的説明は、Lippincott and Peto,Inc.社(米国オハイオ州、Akron)出版のRubber World Magazine’s Blue Bookに記載されている。
温度制御ユニット(TCU)を105℃に設定することにより、ミキサの壁及びロータを予熱し、ミキサを2.8barのラム圧に設定した。天然ゴムの3分の2を混合チャンバに添加し、ロータ回転数80rpmで30秒間、粉砕した。ロータ回転数を40rpmに減速し、rGO顆粒の用量バッグを1つずつ混合チャンバに投入した。各バッグを添加した後、ラムを下げて、バッグを粉砕した天然ゴムに強制的に組み込ませた。全てのバッグを添加した後、最後の3分の1の天然ゴムを添加し、80rpmで混合を行った。熱機械的混合によりエラストマー混合物の温度が100℃を超え、顆粒の水分が気化した。この水蒸気を逃がすために、工程中にラムを数回持ち上げた。ミキサの温度が140℃に達した時点でAntioxidant12(Akrochem社、オハイオ州Akron)を添加し、80rpmで混合を再開した。ミキサの温度が160℃に達した時点で、混合物をミキサから取り出し、2ロールミルを用いてシート状に圧延した。得られたマスターバッチ(「MB_E3」)は8phrのrGOW及び1phrのAntioxidant12を含んでいた。
【0028】
実施例4(乾燥CB+高密度化したrGO顆粒マスターバッチ)
rGO顆粒及び全ての天然ゴムを添加した後に80rpmで30秒間混合し、続いて乾燥カーボンブラックを添加した以外は実施例3に記載のプロトコルに従って、rGOワーム及び水を含む(実施例2に記載の手順に従って調製した)高密度化したrGO顆粒を天然ゴム(SMR20)及びN375カーボンブラックと混合した。80rpmで混合を再開し、続いて実施例3のプロトコルに従ってAntioxidant12を添加した。得られたマスターバッチ(「MB_E4」)は8phrのrGOW、40phrのカーボンブラック、及び1phrのAntioxidant12を含んでいた。
【0029】
実施例5(湿潤CB+高密度化したrGO顆粒マスターバッチ)
混合の12時間前に、等質量の水及びN375カーボンブラックをバケツの中で、手動で混合し、湿潤カーボンブラックを調製した。実施例4に記載のプロトコルに従って、湿潤カーボンブラック、rGOワーム及び水を含む高密度化したrGO顆粒(実施例2に記載の手順に従って調製)、SMR20天然ゴム、及び抗Antioxidant12を混合した。得られたマスターバッチ(「MB_E5」)は8phrのrGOW、40phrのカーボンブラック、及び1phrのAntioxidant12を含んでいた。
【0030】
実施例6(高密度化したrGO顆粒/オイルマスターバッチ)
3.8リットル(1ガロン)のプラスチックボトル中で、実施例2に記載の方法に従って生成した高密度化rGO顆粒(300g)を処理済み蒸留芳香抽出(TDAE)オイル(60g)と混合した。このボトルをしっかりと密閉し、ドラムローラの上に置いた。このプラスチックボトルを、38rpmのローラ回転数で2時間回転させた。得られたオイル含有rGOW顆粒を、天然ゴム(SMR20)と合わせ、実施例3に記載のプロトコルに従って混合した。得られたマスターバッチ(「MB_E6」)は8phrのrGOW、8phrのTDAEオイル、及び1phrのAntioxidant12を含んでいた。
【0031】
実施例7(高密度化したrGO顆粒+イソプレンマスターバッチ)
実施例1に記載の方法に従って生成した高密度化rGO顆粒(100g)を、1Lのプラスチックボトル中で液体イソプレンゴム(40g、KL‐10ゴム、クラレ社製)と混合した。このボトルをしっかりと密閉し、ドラムローラの上に置いた。このプラスチックボトルを、38rpmのローラ回転数で2時間回転させた。得られたイソプレン含有rGOW顆粒を、天然ゴム(SMR20)と合わせ、実施例3に記載のプロトコルに従って混合した。得られたマスターバッチ(「MB_E7」)は84phrの天然ゴム、16phrの液体イソプレンゴム、8phrのrGOW、及び1phrのAntioxidant12を含んでいた。
【0032】
実施例8(ゴム化合物)
実施例3~7のマスターバッチMB_E3~MB_E7はそれぞれ、天然ゴム(SMR20)及びN375カーボンブラックと、3ステージ工程で混合した。ゴム化合物C3~C7の配合(phr)を表1に収載する。
【表2】
第1ステージの混合工程では、表1に収載した成分を、表2のプロトコルに従ってBR‐1600ミキサ中で合わせた(時間=累積時間)。「Smalls」=6PPD、AntioxidantDQ、酸化亜鉛、ステアリン酸。「AntioxidantDQ」=重合2,4‐トリメチル‐1,2‐ジヒドロキノリン、Akrochem社、オハイオ州アクロン;「6PPD」=N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン。混合条件:TCU温度=50℃、回転数=80rpm;ラム圧=2.8bar。排出後、2ロールミルでシートを形成した。
【表3】
【0033】
第2ステージの混合プロトコルを表3に示す(時間=累積時間)。混合条件は、TCU温度=50℃、rpm=60rpm、ラム圧=2.8barである。排出後、2ロールミルでシートを形成した。
【表4】
硬化剤(1.4phrの加硫促進剤BBTS粉末(Akrochem社)+1.9phrの硫黄)を、表4に示す第3ステージの混合プロトコル(時間=累積時間)に従って、ステージ2の化合物(149.25phr、ただし化合物C6では151.25phr)と合わせた。混合条件は、TCU温度=50℃、rpm=60rpm;ラム圧=2.8barである。
【表5】
得られた化合物を2ロールミルに通してシートを形成した。150℃で、表5に示した時間、硬化を行った。
【表6】
【0034】
ゴム物性を得るために以下の試験を行った。
- 引張特性(100%伸長時の引張応力(M100)、300%伸長時の引張応力(M300)、破断伸び、引張強度)を、ASTM D412(試験方法A、ダイC)により、23℃、相対湿度50%、クロスヘッド速度500mm/分で評価した。引張ひずみの測定には伸び計を用いた。
- 最大tanδは、直径8mmの平行平板形状のARES‐G2レオメータ(メーカー:TA Instruments社)を用い、ねじりモードにおいて測定した。加硫物試験片の直径寸法は8mmであり、厚さは約2mmであった。レオメータは60℃の一定温度、10Hzの一定周波数で操作した。ひずみ掃引は、0.1~68%のひずみ振幅で稼働した。測定は10年毎に10時点行い、測定した最大tanδを記録した。
- 体積抵抗率(オーム・cm)は、ASTM D991(Rubber Property Volume Resistivity of Electrically Conductive Antistatic Products)に従って測定した。装置は、標準的な76.2mm×127mm(3インチ×5インチ)の試料を測定するために設計されたVolume Resistivity Test Fixture、型番831(Electro‐tech Systems社;ペンシルベニア州、Perkasie)、及び0~3500V、最大8.5mAの出力のAcopian社製電源装置、型番P03.5HA8.5を備えていた。2台のテンマ社製マルチメータ(TENMA(登録商標)72‐1055Bench Digital Multimeter;Newark社、オンタリオ州、ミシサガ)を用いて、試験法に記載されている4点抵抗測定構成で電圧及び電流をそれぞれ測定した。
ゴム特性を表6に示す。
【表7】
表6のデータから、化合物C3~C7は好適なゴム特性を有していることが分かる。
【0035】
実施例9:(湿潤CB及び高密度化したrGO顆粒を含有するゴム化合物)
実施例2の方法に従って調製した高密度化したrGO顆粒、湿潤N375カーボンブラック、及び天然ゴムから、3ステージの混合工程で化合物(C9)を生成した。混合の12時間前に、バケツ中で等質量のN375カーボンブラック及び水を手動で混合することにより湿潤カーボンブラックを形成した。ステージ1の混合のための成分を表7に示す。
【表8】
ステージ1の混合は、BR‐1600において、TCU温度=85℃、ラム圧2.8barで行った。天然ゴムを混合チャンバに添加し、105rpmのロータ回転数で30秒間粉砕した。ロータ回転数を40rpmまで減速し、高密度化したrGO顆粒の用量バッグを1つずつ混合チャンバに投入した。各バッグを添加した後、ラムを下げてバッグを粉砕した天然ゴム中に強制的に組み込ませた。全てのバッグを添加した後、湿潤カーボンブラックの4分の3(3/4)をミキサに添加し、ミキサの温度が125℃になるまで105rpmで混合した。残りの湿潤カーボンブラックをミキサに添加し、内部温度が140℃になるまで105rpmで混合した。6PPDをミキサに添加し、105rpmで混合を継続し、ミキサの温度が160℃に達した時点で化合物を排出した。2ロールミルでシートを形成した。
【0036】
ステージ2の混合は、BR‐1600において、表8に収載した添加剤と共に行った。
【表9】
TCU温度=50℃、ラム圧2.8barで、ステージ1のマスターバッチを80rpmのロータ回転数で30秒間粉砕し、続いて表8の残りの成分を添加した。80rpmで150秒間混合した後、化合物を排出し、2ロールミルを用いてシート状に圧延した。
ステージ3の混合は、BR‐1600において、ステージ2の化合物(149phr)及び硬化添加剤(1.4phrのCure Rite(登録商標)BBTS加硫促進剤及び1.9phrの硫黄)と共に行った。TCU温度=50℃、ラム圧2.8barで、ステージ2の化合物の半分をミキサに添加し、続いて硬化剤を添加し、次いで残りのステージ2の化合物を添加した。80rpmで90秒間混合を行った後、化合物を排出し、2ロールミルを用いてシート状に圧延した。150℃で10分間硬化を行った。
化合物の特性は実施例8に記載の通りに得られ、表9に収載する。
【表10】
表9のデータから、化合物C9は好適なゴム特性を有していることが分かる。
【0037】
実施例10:(高密度化したrGO顆粒+HNBRマスターバッチ)
実施例2に記載の手順に従って調製したrGOワーム及び水を含む高密度化したrGO顆粒を、水素化したアクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)とBR‐1600ミキサ中で合わせた。HNBRは、Zeon Chemicals Corporation製のZetpol(登録商標)3310であった。混合は、TCU温度=105℃、ラム圧2.8barで行った。3分の2のHNBRを混合チャンバに添加し、80rpmのロータ回転数で30秒間粉砕した。ロータ回転数を40rpmまで減速し、rGO顆粒の用量バッグを1つずつ混合チャンバに投入した。各バッグを添加した後、ラムを下げて、バッグを、粉砕した天然ゴムに強制的に組み込んだ。全てのバッグを添加した後、最後の3分の1の天然ゴムを添加し、80rpmで混合を行った。ラムを数回持ち上げて水蒸気を逃がした。ミキサ温度170℃でマスターバッチを排出し、2ロールミルを使用してシート状になるように圧延した。得られたマスターバッチは2phrのrGOWを含んでいた。
【0038】
本発明の実施形態の上述の説明は、例示及び説明の目的で提示している。本発明が、開示した正確な形態を網羅又は限定することを意図していない。本開示の観点から、多くの修正及び変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明ではなく、本明細書に添付した特許請求の範囲により限定されることを意図している。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕還元型グラフェン酸化物のワーム状粒子;及び
少なくとも50質量%の液体
を含む顆粒であって、密度は0.02g/cm
3
(0.02g/cc)である、顆粒。
〔2〕カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上から選択される追加の粒子を含む、前記〔1〕に記載の顆粒。
〔3〕基本的に前記還元型グラフェン酸化物のワーム状粒子及び前記液体から成る前記〔1〕に記載の顆粒。
〔4〕前記還元型グラフェン酸化物のワーム状粒子を少なくとも1.0質量%含む前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔5〕前記液体は水混和性溶媒を含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔6〕前記液体はアルコール、グリコール、エーテル、アルデヒド、芳香族炭化水素、及び脂肪族炭化水素のうちの1種以上を含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔7〕前記液体は水である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔8〕前記顆粒の平均アスペクト比は、前記顆粒が含む前記rGOW粒子の平均アスペクト比より小さい、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔9〕前記還元型グラフェン酸化物のワーム状粒子の酸素含有量は0.1質量%超、0.5質量%超、1.0質量%超、5.0質量%超、10.0質量%超、14.0質量%超、25質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5.0質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、又は1.0質量%未満である、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔10〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の前記顆粒を含有するポリマーバッグ。
〔11〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の前記顆粒とポリマーとを組み合わせることにより形成されたポリマーマスターバッチ。
〔12〕高密度化した炭素質顆粒を生成する方法であって、前記方法は:
炭素質材料を液体と合わせる工程を含み、前記炭素質材料は0.01g/cm
3
(0.01g/cc)未満の密度を有し、平均アスペクト比が3:1を超える粒子を含み、前記高密度化した炭素質顆粒の密度は前記炭素質材料の密度より少なくとも5倍高い、方法。
〔13〕前記炭素質材料は還元型グラフェン酸化物ワーム状構造体又はカーボンナノチューブである、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕第2材料を前記液体と合わせる工程を更に含む方法であって、前記第2材料は前記炭素質材料とは異なっており、カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土から選択される、前記〔12〕又は〔13〕に記載の方法。
〔15〕前記液体の沸点は、大気圧で120℃未満である、前記〔12〕に記載の方法。
〔16〕前記液体は水を含む、前記〔15〕に記載の方法。
〔17〕前記液体と前記炭素質材料との質量比は、2超:1、3超:1、4超:1、5超:1、6超:1、10超:1、又は50超:1である、前記〔12〕~〔16〕のいずれか1項に記載の方法。
〔18〕ポリマーマスターバッチを形成する方法であって、前記〔12〕~〔17〕のいずれか1項で生成した前記高密度化炭素質顆粒とポリマーとを混合する工程を含む、方法。
〔19〕前記高密度化した炭素質顆粒を含有するポリマーバッグを前記ポリマー中に入れる工程、並びに前記バッグ及び前記高密度化炭素質顆粒を前記ポリマー中に組み込む工程を含む前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕前記ポリマーマスターバッチと第2ポリマーとを合わせ、ポリマー複合体を生成する工程を更に含み、前記第2ポリマーは前記ポリマーと同一であっても異なっていてもよい、前記〔18〕に記載の方法。
〔21〕前記高密度化炭素質顆粒の平均アスペクト比は3:1未満、2:1未満、又は1.5:1未満である、前記〔12〕~〔20〕のいずれか1項に記載の方法。
〔22〕前記高密度化顆粒の密度は0.02g/cm
3
(0.02g/cc)、0.03g/cm
3
(0.03g/cc)、0.05g/cm
3
(0.05g/cc)、又は0.1g/cm
3
(0.1g/cc)を超える、前記〔12〕~〔21〕のいずれか1項に記載の方法。
〔23〕第2高密度化材料を添加する工程を含み、前記第2高密度化材料は前記高密度化炭素質顆粒とは別に高密度化する、前記〔12〕~〔22〕のいずれか1項に記載の方法。
〔24〕前記第2高密度化材料を添加する工程を含み、前記第2高密度化材料は、前記高密度化炭素質顆粒と同じ工程で高密度化する、前記〔12〕~〔22〕のいずれか1項に記載の方法。
〔25〕前記第2高密度化材料は、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリカ、及び粘土のうちの1種以上を含む、前記〔23〕又は〔24〕に記載の方法。
〔26〕前記ポリマーはエラストマーを含む、前記〔18〕~〔25〕のいずれか1項に記載の方法。
〔27〕ポリマー複合体を形成する方法であって、前記方法は:
還元型グラフェン酸化物ワームとポリマーとを2未満:1の体積比で合わせて、還元型グラフェン酸化物ワーム含有量が2質量%を超えるポリマー複合体を生成する工程を含む、方法。
〔28〕前記ポリマー複合体の還元型グラフェン酸化物ワーム含有量は3質量%超、5質量%超、又は10質量%超である、前記〔27〕に記載の方法。
〔29〕前記体積比は1未満:1である、前記〔27〕に記載の方法。
〔30〕ポリマー複合体を形成する方法であって、前記方法は:
還元型グラフェン酸化物ワームとポリマーとを、x未満:1の体積比で合わせ、還元型グラフェン酸化物ワーム含有量がx質量%を超えるポリマー複合体を生成する工程を含む、方法。
〔31〕前記還元型グラフェン酸化物ワーム含有量は2x質量%超、3x質量%超、又は5x質量%超である、前記〔30〕に記載の方法。
〔32〕前記還元型グラフェン酸化物ワームは粒状化し、沸点が120℃未満の液体を少なくとも50質量%含む、前記〔27〕~〔31〕のいずれか1項に記載の方法。
〔33〕蒸発により前記ポリマー複合体から前記液体を少なくとも75%除去する工程を含む、前記〔27〕~〔32〕のいずれか1項に記載の方法。
〔34〕前記液体は熱機械的粉砕を利用して前記ポリマー複合体から蒸発させる、前記〔33〕に記載の方法。
〔35〕前記液体は外部加熱を利用することにより前記ポリマー複合体から蒸発させる、前記〔33〕に記載の方法。
〔36〕前記液体は真空を応用することにより前記ポリマー複合体から蒸発させる、前記〔33〕に記載の方法。
〔37〕第2材料を前記ポリマー複合体に添加する工程を含む前記〔27〕~〔33〕のいずれか1項に記載の方法。
〔38〕前記第2材料は前記還元型グラフェン酸化物ワームとは別に添加する、前記〔37〕に記載の方法。
〔39〕前記ポリマーはエラストマーを含む、前記〔27〕~〔38〕のいずれか1項に記載の方法。
〔40〕還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子;及び
少なくとも50質量%の液体
を含む顆粒。
〔41〕前記顆粒は自由に流動する、前記〔40〕に記載の顆粒。
〔42〕前記顆粒は非連続的である、前記〔40〕に記載の顆粒。
〔43〕カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上から選択される追加の粒子を含む前記〔40〕に記載の顆粒。
〔44〕基本的に、前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び前記液体から成る前記〔40〕に記載の顆粒。
〔45〕前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子を少なくとも1.0質量%含む前記〔40〕に記載の顆粒。
〔46〕前記液体は水混和性溶媒を含む、前記〔40〕~〔45〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔47〕前記液体はアルコール、グリコール、エーテル、アルデヒド、芳香族炭化水素、及び脂肪族炭化水素のうちの1種以上を含む、前記〔40〕~〔46〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔48〕前記液体は水を含む、前記〔40〕~〔45〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔49〕前記顆粒の平均アスペクト比は、前記顆粒が構成される前記rGOW粒子の平均アスペクト比より小さいか、又は3:1未満である前記〔40〕~〔48〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔50〕前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の酸素含有量は0.1質量%超、0.5質量%超、1.0質量%超、5.0質量%超、10.0質量%超、14.0質量%超、25質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5.0質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、又は1.0質量%未満である、前記〔40〕~〔49〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔51〕前記〔40〕~〔50〕のいずれか1項に記載の前記顆粒を含有するポリマーバッグ。
〔52〕前記〔40〕~〔50〕のいずれか1項に記載の前記顆粒をポリマーと組み合わせることにより形成されるポリマーマスターバッチ。
〔53〕前記顆粒の平均径は10μm~100μm、100μm~1mm、10μm~1mm、100μm~3mm、500μm~2mm、1mm~3mm、又は1mm~5mmであってもよい、前記〔40〕~〔50〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔54〕前記顆粒の前記直径は、50%未満、20%未満、又は10%未満の前記平均径の標準偏差を示す、前記〔53〕に記載の顆粒。
〔55〕前記顆粒の密度は、0.02g/cm
3
(0.02g/cc)、0.03g/cm
3
(0.03g/cc)、0.05g/cm
3
(0.05g/cc)、又は0.1g/cm
3
(0.1g/cc)を超える、前記〔40〕~〔49〕のいずれか1項に記載の顆粒。
〔56〕複合体の形成方法であって:
ポリマーと、還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び少なくとも50質量%の液体を含む顆粒とを混合する工程;並びに
前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子を前記ポリマー中に分散させてポリマー複合体を生成する工程
を含む、方法。
〔57〕カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土から選択される粒子中に混合する工程を更に含む前記〔56〕に記載の方法。
〔58〕前記顆粒はカーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土のうちの1種以上を含む、前記〔56〕に記載の方法。
〔59〕前記ポリマーはエラストマー、熱可塑性プラスチック、ポリウレタン、ポリシロキサン、及びフッ化ポリマーから選択される、前記〔56〕に記載の方法。
〔60〕前記熱可塑性プラスチックは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミド、ポリアラミド、ポリスチレン、及びポリアクリレートから選択される、前記〔59〕に記載の方法。
〔61〕前記エラストマーは:
天然ゴムと;
1,3‐ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、並びにアルキルがメチル、エチル、プロピル、アクリロニトリル、エチレン、及びプロピレンであってもよい2,3‐ジアルキル‐1,3‐ブタジエンのポリマーと
から選択される、前記〔59〕に記載の方法。
〔62〕前記エラストマーは、スチレンブタジエン(SBR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリルブタジエン(NBR)、高飽和ニトリルゴム(HNBR)、フルオロエラストマー(FKM及びFEPM)、及びポリアクリレート(ACM)から選択される、前記〔61〕に記載の方法。
〔63〕前記複合体から50%超、75%超、90%超、95%超、又は99%超の前記液体を除去する工程を更に含む前記〔56〕~〔62〕のいずれか1項に記載の方法。
〔64〕前記液体は前記混合工程中に前記複合体から蒸発させる、前記〔63〕に記載の方法。
〔65〕前記顆粒はポリマー用量バッグに収容して提供する、前記〔56〕~〔64〕のいずれか1項に記載の方法。
〔66〕前記複合体は、2質量%超、5質量%超、10質量%超、20質量%超、又は30質量%超の濃度のrGOワームを含む、前記〔30〕、〔31〕、及び〔56〕~〔65〕のいずれか1項に記載の方法。
〔67〕前記ポリマー複合体と、前記ポリマーと同一か、又は異なっていてもよい第2ポリマーとを混合する工程を更に含む前記〔56〕~〔66〕のいずれか1項に記載の方法。
〔68〕前記複合体中の前記還元型グラフェン酸化物ワームの濃度は0.1~50質量%、0.1~40質量%、0.1~30質量%、0.1~20質量%、0.1~10質量%、1~50質量%、1~30質量%、又は1~10質量%である、前記〔30〕、〔31〕、及び〔56〕~〔66〕のいずれか1項に記載の方法。
〔69〕顆粒を形成する方法であって、前記方法は:
綿毛状の還元型グラフェン酸化物ワームと液体とを合わせる工程;並びに
前記還元型グラフェン酸化物ワーム及び前記液体を粒状化し、還元型グラフェン酸化物ワーム状顆粒を生成する工程
を含む、方法。
〔70〕前記液体は水を含む、前記〔69〕に記載の方法。
〔71〕前記液体は50質量%超、75質量%超、又は90質量%超の前記顆粒を含む、前記〔69〕又は〔70〕に記載の方法。
〔72〕前記液体と還元型グラフェン酸化物粒子との質量比は2超:1、3超:1、5超:1、又は10超:1である、前記〔69〕~〔71〕のいずれか1項に記載の方法。
〔73〕前記液体と前記還元型グラフェン酸化物粒子との質量比は15未満:1、10未満:1、7未満:1、又は5未満:1である、前記〔69〕~〔72〕のいずれか1項に記載の方法。
〔74〕前記顆粒は、前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子と前記液体との混合物を転がすことにより形成する、前記〔69〕~〔73〕のいずれか1項に記載の方法。
〔75〕前記綿毛状の還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子の体積を3倍、5倍、10倍、又は20倍を超えて低減する工程を含む前記〔69〕~〔74〕のいずれか1項に記載の方法。
〔76〕第2粒状材料を、前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び前記液体と混合する工程を含む前記〔69〕~〔75〕のいずれか1項に記載の方法。
〔77〕前記第2粒状材料はカーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、シリカ、及び粘土から選択される、前記〔76〕に記載の方法。
〔78〕前記液体は水であり、また基本的に他の液体を含まない、前記〔69〕~〔77〕のいずれか1項に記載の方法。
〔79〕前記液体は2種の異なる液体の混合物を含む、前記〔69〕~〔77〕のいずれか1項に記載の方法。
〔80〕結合剤を前記還元型グラフェン酸化物ワーム状粒子及び前記液体に混合する工程を含む前記〔69〕~〔79〕のいずれか1項に記載の方法。