(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】高エナンチオ選択性第2級アルコールを作製する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 231/18 20060101AFI20240110BHJP
C07B 53/00 20060101ALI20240110BHJP
C07C 235/46 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C07C231/18
C07B53/00 C
C07C235/46
(21)【出願番号】P 2021572259
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020019176
(87)【国際公開番号】W WO2020172506
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517319271
【氏名又は名称】アセンタウィッツ ファーマシューティカルズ リミテッド
【住所又は居所原語表記】Room 1003, 10th Floor, Building 10, Biomedical Innovation Industrial Park, No.14 Jinhui Road,Jinsha Community, Kengzi Street, Pingshan District,Shenzhen,Guangdong 518118,China
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ユ チェン-デア トニー
(72)【発明者】
【氏名】シェ イー-ファン
(72)【発明者】
【氏名】リン シュ-イ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ チン-シェン
(72)【発明者】
【氏名】シェ イン-チェン
(72)【発明者】
【氏名】ライ ミン-テン
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-533993(JP,A)
【文献】Imidazopyridine derivatives as potent and selective Polo-like kinase (PLK) inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2009年,(2009), 19, 16, p4673-4678
【文献】Synthetic Methods VI - ENzymatic and Semi-Enzymatic,Comprehensive Chirality,2012年,7.9.3 Dynamic Kinetic Resolution of Alcohols
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3、B-クロロジイソピノカンフェイルボラン(DIP塩化物)、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(B)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む、方法。
【化1】
式1
【化2】
[式中、Rは、
【化3】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、非置換もしくは置換された電子求引基、または非置換もしくは置換された電子供与基であり、RがRxである場合、Rxは水素ではなく、環状基が、
フェニル基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である]
【請求項2】
式1の化合物が、式OBI-3424-6-LSの化合物であり、式2の化合物が、式OBI-3424-5の化合物である、請求項1に記載の方法。
【化4】
【請求項3】
ステップ(1)の生成物が、式5の化合物である、請求項2に記載の方法。
【化5】
式5
【請求項4】
式OBI-3424-5の化合物が、式OBI-3424-3の化合物を式OBI-3424-4の化合物およびCs
2CO
3と反応させて得られ、式OBI-3424-3の化合物が、式OBI-3424-1の化合物をSOCl
2、マロン酸ジメチル、MgCl
2、及びHClと反応させて得られ、式OBI-3424-6-LSの化合物が、POCl
3、トリエチルアミン、およびH
2NCH
2CH
2Brとの反応によって式OBI-3424-7の化合物を調製するために使用され、式OBI-3424の化合物が、式OBI-3424-7の化合物をAg
2Oと反応させて得られる、請求項2に記載の方法。
【化5】
【請求項5】
式1の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1a):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物を無水酢酸(Ac
2O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、およびNa
2CO
3と反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2CO
3と反応させる
ステップ
を含む、方法。
【化7】
式1
【化8】
[式中、Rは、
【化9】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、非置換もしくは置換された電子求引基、または非置換もしくは置換された電子供与基であり、RがRxである場合、Rxは水素ではなく、環状基が、
フェニル基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である]
【請求項6】
式1の化合物が、式OBI-3424-6-LSの化合物であり、式2の化合物が、式OBI-3424-5の化合物である、請求項5に記載の方法。
【化10】
【請求項7】
ステップ(1b)の生成物が、式6の化合物である、請求項6に記載の方法。
【化11】
式6
【請求項8】
式OBI-3424-5の化合物が、式OBI-3424-3の化合物を式OBI-3424-4の化合物およびCs
2CO
3と反応させて得られ、式OBI-3424-3の化合物が、式OBI-3424-1の化合物をSOCl
2、マロン酸ジメチル、MgCl
2、及びHClと反応させて得られ、式OBI-3424-6-LSの化合物が、POCl
3、トリエチルアミン、およびH
2NCH
2CH
2Brとの反応によって式OBI-3424-7の化合物を調製するために使用され、式OBI-3424の化合物が、式OBI-3424-7の化合物をAg
2Oと反応させて得られる、請求項6に記載の方法。
【化12】
【請求項9】
式4の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させる
ステップを含む方法。
【化13】
式4
【化14】
[式中、Rは、
【化15】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、非置換もしくは置換された電子求引基、または非置換もしくは置換された電子供与基であり、RがRxである場合、Rxは水素ではなく、環状基が、
フェニル基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である]
【請求項10】
式4の化合物が、式OBI-3424-6-LRの化合物であり、かつ式2の化合物が、式OBI-3424-5の化合物である、請求項9に記載の方法。
【化16】
【請求項11】
ステップ(1)の生成物が、式5の化合物である、請求項10に記載の方法。
【化17】
式5
【請求項12】
式OBI-3424-5の化合物が、式OBI-3424-3の化合物を式OBI-3424-4の化合物およびCs
2CO
3と反応させて得られ、式OBI-3424-3の化合物が、式OBI-3424-1の化合物をSOCl
2、マロン酸ジメチル、MgCl
2、及びHClと反応させて得られ、式OBI-3424-6-LRの化合物が、POCl
3、トリエチルアミン、およびH
2NCH
2CH
2Brとの反応によって式OBI-3424-7の化合物を調製するために使用され、式OBI-3423の化合物が、式OBI-3424-7の化合物をAg
2Oと反応させて得られる、請求項10に記載の方法。
【化18】
【請求項13】
式4の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1a):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物を無水酢酸(Ac
2O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、およびNa
2CO
3と反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2CO
3と反応させ;ステップ(B)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む方法。
【化19】
式4
【化20】
[式中、Rは、
【化21】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、非置換もしくは置換された電子求引基、または非置換もしくは置換された電子供与基であり、RがRxである場合、Rxは水素ではなく、環状基が、
フェニル基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である]
【請求項14】
式4の化合物が、式OBI-3424-6-LRの化合物であり、かつ式2の化合物が、式OBI-3424-5の化合物である、請求項13に記載の方法。
【化22】
【請求項15】
ステップ(1b)の生成物が、式6の化合物である、請求項14に記載の方法。
【化23】
式6
【請求項16】
式OBI-3424-5の化合物が、式OBI-3424-3の化合物を式OBI-3424-4の化合物およびCs
2CO
3と反応させて得られ、式OBI-3424-3の化合物が、式OBI-3424-1の化合物をSOCl
2、マロン酸ジメチル、MgCl
2、及びHClと反応させて得られ、式OBI-3424-6-LRの化合物が、POCl
3、トリエチルアミン、およびH
2NCH
2CH
2Brとの反応によって式OBI-3424-7の化合物を調製するために使用され、式OBI-3423の化合物が、式OBI-3424-7の化合物をAg
2Oと反応させて得られる、請求項14に記載の方法。
【化24】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本開示は、2019年2月21日に出願された米国特許仮出願第62/808,712号の優先権を主張し、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は、抗がん小分子プロドラッグとして設計された化合物OBI-3424原薬の合成および対応する識別データに関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、ヒトの罹患率および死亡率の主要原因の一つである。正常細胞を損傷するかまたは死滅させることなく、がん細胞を死滅させることが難しいため、がん処置は困難である。がん処置中に正常細胞を損傷するかまたは死滅させることは、患者における有害な副作用の原因であり、がん患者に投与される抗がん薬の量を制限する場合がある。
アルド-ケト還元酵素ファミリー1メンバーC3(AKR1C3)は、ヒトにおいて、AKR1C3遺伝子によりコードされる酵素である。この遺伝子は、40を超える公知の酵素およびタンパク質からなる、アルド-ケト還元酵素スーパーファミリーのメンバーをコードする。これらの酵素は、NADHおよび/またはNADPHを補酵素として利用することにより、アルデヒドおよびケトンを、それらの対応するアルコールに変換することを触媒する。
多くのがん細胞は、正常細胞と比較して、AKR1C3還元酵素を過剰発現する(例えば、Cancer Res. 2010, 70: 1573-1584; Cancer Res. 2010, 66: 2815-2825)。がん患者を処置するための選択的AKR1C3還元酵素活性化プロドラッグを含み、がん患者を処置するのに好適な化合物に対する必要性が依然として存在する。PCT特許出願の国際公開公報第2017/087428号は、以下の式Iもしくは式IIを有する化合物:
【0003】
【化1】
またはそのそれぞれの塩、同位変異体、薬学的に許容される溶媒和物、もしくは水和物を開示した。前記化合物は、80%以上、90%以上、または95%以上のエナンチオマー過剰率を有する。
PCT特許出願の国際公開公報第2019/062919号は、化合物(OBI-3424)および白血病を処置する方法を開示した。化合物OBI-3424の特性を表1に列記した。
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、抗がん小分子プロドラッグとして設計された、化合物OBI-3424原薬の合成プロセスおよび対応する識別データを提供することである。
一態様では、本開示は、式1の化合物を調製する方法であって、
【0006】
【化2】
式1
ステップ(1):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3、B-クロロジイソピノカンフェイルボラン(DIP塩化物)、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;および
【0007】
【化3】
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(B)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む、方法を提供する。
[式中、Rは、
【0008】
【化4】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
別の態様では、本開示は、式1の化合物を調製する方法であって、
【0009】
【化5】
式1
ステップ(1a):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;
【0010】
【化6】
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物を無水酢酸(Ac
2O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、およびNa
2CO
3と反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2CO
3と反応させる
ステップを含む、方法を提供する。
[式中、Rは、
【0011】
【化7】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
さらに別の態様では、本開示は、式4の化合物を調製する方法であって、
【0012】
【化8】
式4
ステップ(1):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;および
【0013】
【化9】
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させる
ステップを含む、方法を提供する。
[式中、Rは、
【0014】
【化10】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
また別の態様では、本開示は、式4の化合物
【0015】
【化11】
式4
ステップ(1a):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;
【0016】
【化12】
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物を無水酢酸(Ac
2O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、およびNa
2CO
3と反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2CO
3と反応させ;ステップ(B)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む、方法を提供する。
[式中、Rは、
【0017】
【化13】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】化合物OBI-3423(R体)および化合物OBI-3424(S体)の調製を示す図式である。
【
図2】化合物OBI-3424-6のキラルHPLCデータを示す図である:(a)CBS還元後のOBI-3424-6R/S混合物、R/S=84.25/15.22(69.4%ee)、(b)リパーゼ濃縮後の化合物OBI-3424-6-LR(99.8%ee)。
【
図3】THF中で(R)-CBSおよびBH
3を使用した不斉還元による、S体優勢の化合物OBI-3424-6のキラルHPLCデータを示す図である。
【
図4】化合物OBI-3424-6R/S混合物とのリパーゼ選択的エステル化後の、化合物OBI-3424-6-LSの酵素反応のキラルHPLC分析データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
以下の定義は、読者の助けとなるように提供される。別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、記号、および他の科学用語もしくは医学用語または専門用語は、化学および医学技術の熟練者により一般的に理解される意味を有することを意図する。場合によっては、一般的に理解される意味を有する用語は、明確および/または敏速な参照のために本明細書で定義され、本明細書にそのような定義を包含することは、当技術分野で一般に理解される用語の定義と実質的に異なることを表すと解釈されるべきではない。
【0020】
全ての数字表示、例えば、pH、温度、時間、濃度、および質量は、そのそれぞれの範囲を含み、典型的には、必要に応じて0.1、1.0、または10.0の変化量で(+)または(-)に変化し得る近似値である。全ての数字表示は、用語「約」が前に置かれていると理解され得る。本明細書に記載される試薬は例示的なものであり、そのようなものの等価物は当技術分野で公知であり得る。
「a」、「an」、および、「the」は、文脈により明確に別段の指示がされない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば化合物(a compound)への言及は、1つもしくは複数の化合物または少なくとも1つの化合物を指す。したがって、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、組成物および方法が、記載された要素を含むが、他のものを除外しないことを意味することを意図する。「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、組成物および方法を定義するために使用される場合、組成物または方法に対して、あらゆる本質的に重要な他の要素を除外することを意味するものとする。「からなる(consisting of)」とは、特許請求された組成物および実質的な方法ステップに関して、他の原料の微量を超える要素を除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれにより定義される実施形態は、本発明の範囲内である。したがって、方法および組成物は、付加的なステップおよび成分を含み得る(含む)か、あるいはまた、重要性がないステップおよび組成物を含んでいる(から本質的になる)か、あるいはまた、明示された方法ステップまたは組成物のみを意図している(からなる)ことが意図される。
【0022】
用語「光学的に活性」および「エナンチオマー的に活性」は、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上のエナンチオマー過剰率(ee)を有する分子集合体を指す。特定の実施形態では、光学的またはエナンチオマー的に活性な化合物に関するエナンチオマー過剰率は、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または約99%以上である。
光学活性な化合物の記載において、接頭辞RおよびSは、そのキラル中心についての分子の絶対配置を示すために使用される。(+)および(-)は、化合物の旋光性、すなわち、光学活性な化合物により偏光面が回転する方向を示すために使用される。(-)接頭辞は、化合物が左旋性、すなわち、化合物が偏光面を左または反時計回りに回転させることを示す。(+)接頭辞は、化合物が右旋性、すなわち、化合物が偏光面を右または時計回りに回転させることを示す。しかしながら、旋光性の符号、(+)および(-)は、分子の絶対配置、RおよびSとは関連性がない。
【0023】
用語「光学的に純粋」および「エナンチオマー的に純粋」は、約80%以上、約90%以上、約91%以上、約92%以上、約93%以上、約94%以上、約95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約99%以上、約99.5%以上、約99.8%以上、または約99.9%以上のエナンチオマー過剰率(ee)を有する分子集合体を指す。特定の実施形態では、光学的またはエナンチオマー的に純粋な化合物に関するエナンチオマー過剰率は、約90%以上、約95%以上、約98%以上、または約99%以上である。化合物のエナンチオマー過剰率は、光学活性な固定相を使用するキラルクロマトグラフィー(ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および薄層クロマトグラフィー(TLC))、同位体希釈、電気泳動、熱量測定、偏光分析、キラル誘導体化を用いるNMR分析法、ならびにキラル溶媒和剤またはキラルシフト試薬を用いるNMR法を含むが、これらに限定されない、当業者により使用される任意の標準的な方法により決定することができる。
【0024】
用語「実質的に純粋」および「実質的に均質」とは、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動(GE)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、核磁気共鳴(NMR)、および質量分析(MS)を含むが、これらに限定されない、当業者により使用される標準的な分析法により決定されるように、容易に検出できる不純物を含まないと思われるように十分に均質であること;またはさらなる精製により、物質の酵素活性および生物活性などの物理的、化学的、生物学的、および/または薬理学的な特性が検出可能な程度に変化することがないほど十分に純粋であることを意味する。特定の実施形態では、「実質的に純粋」または「実質的に均質」は、少なくとも約50質量%、少なくとも約70質量%、少なくとも約80質量%、少なくとも約90質量%、少なくとも約95質量%、少なくとも約98質量%、少なくとも約99質量%、または少なくとも約99.5質量%の分子が、標準的な分析法により決定されるように、化合物の単一の立体異性体である分子集合体を指す。
【0025】
用語「同位変異体」は、そのような化合物を構成する1つまたは複数の原子において異常な割合の同位体を含有する化合物を指す。特定の実施形態では、化合物の「同位変異体」は、水素(1H)、重水素(2H)、三重水素(3H)、炭素11(11C)、炭素12(12C)、炭素13(13C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、窒素14(14N)、窒素15(15N)、酸素14(14O)、酸素15(15O)、酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、フッ素17(17F)、フッ素18(18F)、リン31(31P)、リン32(32P)、リン33(33P)、イオウ32(32S)、イオウ33(33S)、イオウ34(34S)、イオウ35(35S)、イオウ36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素36(36Cl)、塩素37(37Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素127(127I)、ヨウ素129(129I)、およびヨウ素131(131I)を含むが、これらに限定されない、異常な割合の1つまたは複数の同位体を含む。特定の実施形態では、化合物の「同位変異体」は、安定な形態、すなわち、非放射性である。特定の実施形態では、化合物の「同位変異体」は、水素(1H)、重水素(2H)、炭素12(12C)、炭素13(13C)、窒素14(14N)、窒素15(15N)、酸素16(16O)、酸素17(17O)、酸素18(18O)、フッ素17(17F)、リン31(31P)、イオウ32(32S)、イオウ33(33S)、イオウ34(34S)、イオウ36(36S)、塩素35(35Cl)、塩素37(37Cl)、臭素79(79Br)、臭素81(81Br)、およびヨウ素127(127I)を含むが、これらに限定されない、異常な割合の1つまたは複数の同位体を含む。特定の実施形態では、化合物の「同位変異体」は不安定な形態、すなわち、放射性である。特定の実施形態では、化合物の「同位変異体」は、三重水素(3H)、炭素11(11C)、炭素14(14C)、窒素13(13N)、酸素14(14O)、酸素15(15O)、フッ素18(18F)、リン32(32P)、リン33(33P)、イオウ35(35S)、塩素36(36Cl)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素129(129I)、およびヨウ素131(131I)を含むが、これらに限定されない、異常な割合の1つまたは複数の同位体を含む。本明細書で提供される化合物において、例として、任意の水素は2Hであり得て、または例として、任意の炭素は13Cであり得て、または、当業者の判断に基づいて可能な場合には、例として、任意の窒素は15Nであり得て、任意の酸素は18Oであり得ることが理解されよう。特定の実施形態では、化合物の「同位変異体」は、異常な割合の重水素を含む。
【0026】
語句「その同位変異体;またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグ」は、語句「その中で参照される化合物の同位変異体;またはその中で参照される化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ」と同じ意味を有する。
【0027】
患者に薬物「を投与すること」または薬物「の投与」(およびこの語句と文法的に同等のもの)は、医療専門家による患者への投与であり得るか、もしくは自己投与であり得る直接の投与、および/または薬物を処方する行為であり得る間接的な投与を指す。例えば、患者に薬物を自己投与するように指示をする医師および/または患者に薬物の処方箋を提供する医師は、患者に薬物を投与している。
「患者」、「対象」および「必要とする対象」は、がん、詳細には白血病、より詳細にはT細胞性急性リンパ性白血病の処置を必要とする哺乳動物を表すために互換的に使用される。一般に、患者はヒトである。一般に、患者はがんと診断されたヒトである。特定の実施形態では、「患者」、「対象」または「必要とする対象」は、薬物および治療法のスクリーニング、特徴付け、および評価に使用される、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、マウス、またはラットなどの、非ヒト哺乳動物を表し得る。
【0028】
本明細書で使用される「有効量」は、対象に所望の効果をもたらすのに必要な、単独または1つもしくは複数の他の活性薬剤との組合せのいずれかの、それぞれの活性薬剤の量を表す。有効量は、当業者に認識されているように、処置される特定の状態、状態の重症度、年齢、身体的状態、大きさ、性別および体重を含む個々の患者のパラメータ、処置の持続期間、併用療法(ある場合は)の性質、特定の投与経路ならびに健康指導医の知識および専門的意見の範囲内の要因などに応じて変化する。これらの要因は当業者に周知であり、慣例的な実験を超えることなく対処され得る。使用される個々の成分またはそれらの組合せの最大用量は、健全な医学的判断に基づく最高安全用量であることが一般に好ましい。しかしながら、患者が、医学的理由、心理学的理由または事実上任意の他の理由から、より低い用量または忍容量を要求する場合があることが当業者には理解されよう。
状態または患者を「処置すること」、状態または患者の「処置」または「治療」は、臨床結果を含む、有益なまたは所望の結果を得るために措置を講じることを指す。本発明の目的上、有益なまたは所望の臨床結果には、がんの1つもしくは複数の症状の軽減もしくは改善;疾患の程度の縮小;疾患の進行の遅延もしくは減速;疾患状態の改善、緩和、もしくは安定化;または他の有益な結果が含まれるが、これらに限定されない。がんの処置は、場合によっては、部分奏効または安定疾患をもたらすことがある。
【0029】
「薬学的に許容される」成分(担体または賦形剤など)とは、化合物または組成物が、疾患の重症度および処置の必要性を考慮して、過度に有害な副作用を伴うことなく、本明細書に記載される処置を達成するために、対象への投与に好適であることを意味する。「担体」とは、生命体に著しい刺激を引き起こさず、所与の化合物の生物活性および特徴を消失させない材料を意味する。「賦形剤」とは、化合物の投与を容易にするために医薬組成物に加えられる不活性物質を意味する。
使用可能な薬学的に許容される担体、または賦形剤は、Raymond C Rowe, Paul J Sheskey, and Marian E Quinn編のHandbook of Pharmaceuticals Excipientsを含むさまざまな参考文献に公開されている。非制限的な実施形態では、前記薬学的に許容される担体、または賦形剤は、不活性な希釈剤、分散剤および/または造粒化剤、界面活性剤および/または乳化剤、崩壊作用剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、および/または油脂からなる群から選択され得る。前記組成物は、少なくとも1種の付加的な生物活性な化合物または薬剤をさらに含んでもよい。
【0030】
医薬組成物は、単回の単位用量の有効成分(例えば、本開示の化合物)を含み得るが、これに限定されない。処置目的のために、用量単位は、これらに限定されないが、錠剤またカプセル剤などの別々の物品の形態であり得るか、または単位用量の有効成分を含有する測定可能な容積の溶液、懸濁液などであり得る。本明細書における用語「単位用量」は、これらに限定されないが、アルコール依存、オピオイド依存、疼痛緩和、または他の疾患などの処置のために、対象に、単回の、これらに限定されないが、経口、静脈内、筋肉内、皮膚性、皮下、髄腔内、経皮、注入、舌下、バッカル、直腸内、腟内、眼内、耳内、経鼻、吸入、または噴霧の投与を意図する有効成分の量を指す。処置には、本開示の化合物の単位用量の定期的投与、例えば、1単位用量を1日2回以上、1単位用量を各食事と共に、1単位用量を4時間ごとにもしくは他の間隔で、または1日当たり1回のみの単位用量が必要とされ得る。
【0031】
実施形態
一実施形態では、式1の化合物を調製する方法は、
【化14】
式1
ステップ(1):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3、B-クロロジイソピノカンフェイルボラン(DIP塩化物)、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;および
【0032】
【化15】
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(B)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む。
[式中、Rは、
【0033】
【化16】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
一実施形態では、反応は、以下の図式のように示すことができる。
【0034】
【化17】
一実施形態では、式1の化合物を調製する方法は、
【0035】
【化18】
式1
ステップ(1a):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;
【0036】
【化19】
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物を無水酢酸(Ac
2O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2CO
3と反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2CO
3と反応させる
ステップを含む。
[式中、Rは、
【0037】
【化20】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
一実施形態では、反応は、以下の図式のように示すことができる。
【0038】
【化21】
一実施形態では、式4の化合物を調製する方法は、
【0039】
【化22】
式4
ステップ(1):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;および
【0040】
【化23】
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2CO
3、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させる
ステップを含む。
[Rは、
【0041】
【化24】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
一実施形態では、反応は、以下の図式のように示すことができる。
【0042】
【化25】
一実施形態では、式4の化合物を調製する方法は、
【0043】
【化26】
式4
ステップ(1a):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4の存在下で反応させるステップ;
【0044】
【化27】
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物を無水酢酸(Ac
2O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、およびNa
2CO
3と反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2CO
3と反応させ;ステップ(B)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む。
[式中、Rは、
【0045】
【化28】
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
一実施形態では、反応は、以下の図式のように示すことができる。
【0046】
【0047】
一実施形態では、脂肪族鎖はC6からC20の数を有する。
一実施形態では、環状基は、芳香族基、環状飽和もしくは部分的不飽和基、または複素環基である。複素環基は、N、O、またはSのヘテロ原子を含むことが好ましい。
一実施形態では、電子求引基は、ハロ(F、Cl、Br、I)、ニトロソ(-N=O)、アミノカルボニル(-CONH2;-CONHR;-CONR2、式中、R=アルキル)、カルボキシル(-CO2H)、アルコキシカルボニル(-CO2R、式中、R=アルキル)、ホルミル(-CHO)、アシル(-COR、式中、R=アルキル)、ハロホルミル(-COX、式中、X=Cl、Br、I)、トリハロメチル(-CX3、式中、X=F、Cl、Br、I)、シアノ(-C≡N)、ニトロ(-NO2)、アンモニウム基(-NR3
+、式中、R=アルキルまたはH)、アジド(-N-3)、またはスルホニル基(-SO2R、式中、R=H、CF3、アルキル)である。アルキル基はC1-C5アルキル基であることが好ましい。
【0048】
一実施形態では、電子供与基は、低級アルキル(例えば、-CH
3、-C
2H
5)、ビニル(-CH=CH
2)、フェニル(-C
6H
5)、アシルオキシル(-OCOR、式中、R=アルキル)、アシルアミド(-NHCOR、式中、R=アルキル)、アルキルチオ(-SR、式中、R=アルキル)、スルフヒドリル(sulfhyfryl)(-SH)、ヒドロキシル(-OH)、アルコキシ(-OR、式中、R=アルキル)、アミノ基(-NH
2;-NHR;-NR
2、式中、R=アルキル)である。アルキル基はC
1-C
5アルキル基であることが好ましい。
一実施形態では、化合物OBI-3424(S体)を、Corey-Bakshi-Shibata(CBS)不斉還元およびリパーゼエステル化の2ステップ組合せを介して、収率54%(化合物OBI-3424-5から)および光学純度99%で首尾よく合成した。CBS還元およびリパーゼの適用の2ステップ化学酵素組合せにより立体化学を確定し、少なくとも99%の光学純度を得た(
図1)。
【実施例】
【0049】
本開示のさまざま特色および実施形態を、以下の代表的な実施例において例示するが、これらは例示を意図するものであり、限定するものではない。当業者は、以下に続く特許請求の範囲においてより完全に記載されるように、特定の実施例が、本発明の単に例示的なものであることを容易に理解するであろう。本出願に記載されるあらゆる実施形態および特色は、そのうちに含まれるあらゆる実施形態と互換的かつ結合可能であることが理解されるべきである。
【0050】
まず、化合物OBI-3424の臨床治験バッチを、「アシムケム(Asymchem)」により、3ステップにわたり収率19%で合成した(以下の図式1を参照のこと)。収率を改善し、可能性のある不純物を低減するために、本発明者らは別の合成経路の設計を試み(図式2を参照のこと)、目標を達成するために2つの主要な手法を選択した。第1に、不安定なホスフェートモチーフを後期段階に、かつアジリジン形成を最終ステップに導入し、m-安息香酸誘導体の求核的な破壊を回避する。まず、合成経路を、NaBH4を還元剤として使用することにより調製されるラセミ化合物OBI-3424-6を通して最初に確認し、次に、さらなるステップにおいて、リン酸化およびアジリジン形成に進む。第2に、立体選択性の改善のために、立体中心を、CBS不斉還元およびリパーゼ選択的保護濃縮の組合せにより確立されるように設計する(図式3を参照のこと)。これらの方法の組合せにより、高度に光学的に純粋な生成物を良好な収率で得ることが期待される。したがって、本発明は、化合物OBI-3424を得るための代替の合成経路を開発した。CBS試薬を、S体優勢の化合物OBI-3424-6混合物の調製のために、そのエナンチオマーと置き換える。少量のR体化合物OBI-3424-6を、リパーゼの処理により、選択的にアセチル化できる。次に、純粋なS体化合物OBI-3424-6を、カラム精製を通して得ることができる。
【0051】
【化30】
図式1.化合物OBI-3424のGMP合成プロセス(臨床)
【0052】
【化31】
図式2.化合物OBI-3424合成の新経路設計
【0053】
【化32】
図式3.化合物OBI-3424-6の立体化学の構成
【0054】
材料および方法
装置を表2に列記する。
【表2】
図式2および図式3の化学合成用の試薬を表3に列記する。
【0055】
【0056】
実験基質
基質1:1-(3-(3-N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェノキシル-4-ニトロフェニル)エタノール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.97 (d, J = 0.4 Hz, 1H), 7.41 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.26-7.19 (m, 2H), 7.11-7.09 (m, 2H), 7.03 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 4.88 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 3.08 (s, 3H), 2.97 (s, 3H), 1.44 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 170.5 (C), 156.2 (C), 154.0 (C), 150.0 (C), 140.2 (C), 138.0 (C), 130.2 (CH), 126.0 (CH), 122.6 (CH), 120.8 (CH), 119.9 (CH), 118.2 (CH), 117.1 (CH), 68.9 (CH), 39.5 (CH
3), 35.3 (CH
3), 25.2 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
17H1
8N
2O
5Naの計算値353.1108, 実測値353.1108.
【化33】
基質1
【0057】
基質2:1-(3-フルオロ-4-ニトロフェニル)エタン-1-オール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.00 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 12.0, 1.6 Hz, 1H), 7.29-7.27 (m, 1H), 4.99 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 2.49 (s, 1H), 1.51 (d, J = 6.8 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 157.0 (C), 155.3 (C), 155.2 (C), 154.4 (C), 126.2 (CH), 121.2 (CH), 115.2 (CH), 114.9 (CH), 68.9 (CH), 25.3 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
8H
8FNO
3Naの計算値208.0380, 実測値208.0354.
【化34】
基質2
【0058】
基質3:1-(3-(4-(トリフルオロメチル)フェノキシル)-4-ニトロフェニル)エタン-1-オール
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.01 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.31 (dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.95 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 2.02 (s, 1H), 1.48 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 159.2 (C), 153.7 (C), 149.0 (C), 140.7 (C), 127.43 (CH), 127.40 (CH), 126.3 (CH), 121.6 (CH), 119.1 (CH), 117.8 (CH), 69.1 (CH), 25.5 (CH3) ppm; HRMS (ESI, M+Na+) C15H12F3NO4Naの計算値350.0611, 実測値350.0607.
【0059】
【0060】
基質4:1-(3-(4-(2-メチルフェニル)フェノキシル)-4-ニトロフェニル)エタン-1-オール
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.97 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 6.4, 2.0 Hz, 2H), 7.27-7.20 (m, 5H), 7.16 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 6.8, 2.0 Hz, 2H), 4.91 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 2.29 (s, 3H), 1.47 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm; 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 154.8 (C), 153.2 (C), 150.8 (C), 140.8 (C), 140.2 (C), 138.1 (C), 135.4 (C), 130.8 (CH), 130.4 (CH), 129.8 (CH), 127.4 (CH), 126.1 (CH), 125.8 (CH), 120.1 (CH), 118.4 (CH), 117.6 (CH), 69.3 (CH), 25.4 (CH3), 20.5 (CH3) ppm; HRMS (ESI, M+Na+) C21H19NO4Naの計算値372.1206, 実測値372.1204.
【0061】
【0062】
基質5:1-(2-クロロ-4-ニトロフェニル)エタン-1-オール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.21 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.16 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.34 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 2.24 (s, 1H), 1.51 (d, J = 6.8 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 150.5 (C), 147.2 (C), 132.1 (C), 127.3 (CH), 124.6 (CH), 122.2 (CH), 66.8 (CH), 23.6 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
8H
8ClNO
3Naの計算値224.0085, 実測値224.0085.
【化37】
基質5
【0063】
基質6:1-(3-クロロ-4-ニトロフェニル)エタン-1-オール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.87 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 4.97 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 2.40 (s, 1H), 1.51 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 152.1 (C), 146.5 (C), 128.7 (CH), 127.3 (C), 125.9 (CH), 124.4 (CH), 68.9 (CH), 25.4 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
8H
8ClNO
3Naの計算値224.0085, 実測値224.0065.
【化38】
基質6
【0064】
基質7:1-(3-メトキシ-4-ニトロフェニル)エタン-1-オール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.97 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 4.96 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 2.42 (s, 1H), 1.50 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 153.3 (C), 138.1 (C), 126.0 (CH), 117.0 (CH), 110.1 (CH), 69.5 (CH), 56.4 (CH
3), 25.4 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
9H
11NO
4Naの計算値220.0580, 実測値220.0555.
【化39】
基質7
【0065】
基質8:1-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)エタン-1-オール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.86 (dd, J = 8.4, 2.0 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 5.18 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 3.96 (s, 3H), 2.43 (s, 1H), 1.49 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 156.4 (C), 147.9 (C), 141.3 (C), 126.3 (CH), 116.2 (CH), 105.3 (CH), 65.5 (CH), 55.9 (CH
3), 23.1 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
9H
11NO
4Naの計算値220.0580, 実測値220.0557.
【化40】
基質8
【0066】
基質9:1-フェニルエタノール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.35-7.30 (m, 4H), 7.27-7.24 (m, 1H), 4.84 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 2.31 (s, 1H), 1.46 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 145.7 (C), 128.4 (CH), 127.4 (CH), 125.3 (CH), 70.3 (CH), 25.0 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
8H
10ONaの計算値145.0624, 実測値145.0621.
【化41】
基質9
【0067】
基質10:2-オクタノール
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 3.83-3.75 (m, 1H), 1.76 (s, 1H), 1.46-1.26 (m, 10H), 1.18 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 68.1 (CH), 39.3 (CH
2), 31.8 (CH
2), 29.3 (CH
2), 25.7 (CH
2), 23.4 (CH
3), 22.6 (CH
2), 14.0 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
8H
18ONaの計算値153.1250, 実測値153.1237.
【化42】
基質10
【0068】
基質11:N-[4-(1-ヒドロキシエチル)フェニル]アセトアミド
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.79 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 2.11 (s, 3H), 1.42 (d, J = 6.4 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 171.8 (C), 143.5 (C), 138.9 (C), 127.1 (CH), 121.2 (CH), 70.6 (CH), 25.6 (CH
3), 23.9 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
10H
13NO
2Naの計算値202.0838, 実測値202.0809.
【化43】
基質11
【0069】
基質12:1-O-アセチル-1-(3-(3-N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェノキシル-4-ニトロフェニル)エタン
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.96 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42 (td, J = 7.6, 2.4 Hz, 1H), 7.24-7.20 (m, 2H), 7.09-7.04 (m, 3H), 5.78 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.10 (s, 3H), 2.98 (s, 3H), 2.06 (s, 3H), 1.48 (d, J = 6.8 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 170.3 (C), 169.9 (C), 155.9 (C), 150.0 (C), 149.4 (C), 140.6 (C), 138.4 (C), 130.2 (CH), 126.2 (CH), 122.8 (CH), 121.2 (CH), 119.6 (CH), 118.7 (CH), 117.1 (CH), 70.9 (CH), 39.5 (CH
3), 35.3 (CH
3), 22.1 (CH
3), 21.2 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
19H
20N
2O
6Naの計算値395.1214, 実測値395.1146.
【化44】
基質12
【0070】
基質13:1-O-アセチル-1-(3-フルオロ-4-ニトロフェニル)エタン
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.06 (dd, J = 8.4, 7.2 Hz, 1H), 7.30-7.25 (m, 2H), 5.87 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 2.13 (s, 3H), 1.55 (d, J = 6.8 Hz, 3H) ppm;
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ 169.9 (C), 157.0 (C), 154.3 (C), 150.9 (C), 150.8 (C), 126.5 (CH), 121.82 (CH), 121.79 (CH), 115.8 (CH), 115.6 (CH), 70.6 (CH), 22.1 (CH
3), 21.0 (CH
3) ppm; HRMS (ESI, M+Na
+) C
10H
10FNO
4Naの計算値250.0486, 実測値250.0445.
【化45】
基質13
【0071】
(実施例1)
化合物OBI-3424中間体の合成(化合物OBI-3424-3から化合物OBI-3424-5へ)
OBI-3424-3の合成
【化46】
【0072】
丸底フラスコ中で、化合物OBI-3424-1(9g、48.6mmol)、ジメチルホルムアミド(0.1g、mmol)および塩化チオニル(SOCl2、30mL、mmol)の混合物を、75℃で3時間還流した。還流中に、無水MgCl2(2.79g、mmol)、マロン酸ジメチル(5.7mL、mmol)およびトリエチルアミン(14.1mL、mmol)を、別の丸底フラスコ中で、室温で(約25℃)混合した。得られた白色懸濁液を1.5時間撹拌して、白色泥状物とした。3時間の還流後、化合物OBI-3424-1およびSOCl2の反応混合物を、次に、およそ40℃まで冷却した。反応混合物を、次に、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、過剰の溶媒を除去した。得られたシロップを、次に、15mLのトルエンで希釈した。得られたトルエン溶液を、あらかじめ調製した白色泥状混合物に滴下添加した。1.5時間混合した後、反応をTLCにより確認した(体積比EtOAc/n-ヘキサン=1:4)。得られた混合物を、30mLの6NのHClで処理し、次に、60mLのEtOAcで抽出した。水性層を、60mLのEtOAcで再度抽出した。合わせた有機層を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次にロータリーエバポレーターにより濃縮して(水浴の温度=約35℃、圧力=約130mbar)、赤みがかったシロップを得た。得られたシロップを、30mLの6NのHClと混合し、次に、100℃で約17時間還流した。その後、得られた反応粗製物を、室温まで冷却し、60mLのEtOAcで希釈して、抽出した。水性層を、60mLのEtOAcで再度抽出した。有機層を収集し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次にロータリーエバポレーターにより濃縮して(水浴の温度=約35℃、圧力=約130mbar)、赤みがかったシロップを得た。得られたシロップを、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッドを通して精製した(10gの化合物OBI-3424-1に対して200gのゲル粉末)。カラムを体積比ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2=12/1/0.5混合シリカゲルで充填し;溶離液系は、ヘキサン/EtOAc/CH2Cl2=12/1/0.5(1カラム体積)、10/1/1(2~3カラム体積)が提案された。収集した生成物を、ロータリーエバポレーター(水浴の温度=約35℃、圧力=約130mbar)および高真空(約25℃、約17時間)により濃縮して、期待された生成化合物OBI-3424-3を、黄色固体として得た(5.4g、単離収率55%)。
【0073】
【0074】
m-ヒドロキシ安息香酸(15g)をTHF(無水、300mL)に溶解し、次に、反応物を窒素保護下で-30℃まで冷却した。20分の撹拌後、トリエチルアミン(67mL)を、冷やした反応物に15分にわたり添加した。15分の撹拌後、反応物は、白色懸濁液になった。クロロギ酸イソブチル(31mL)を、得られた懸濁液に15分にわたり添加した。2時間の撹拌後、TLCで確認した(体積比CH2Cl2/EtOAc=2/1)。m-ヒドロキシ安息香酸がなくなったときに、ジメチルアミン(THF中の2M、270mL)を、反応物に30分にわたり添加した。添加後、反応物をさらに30分間撹拌し、次に、室温(約25oC)まで加温し、連続して18時間撹拌した。反応が完了したときに、水(90mL)を反応物に添加し、次に、THFをロータリーエバポレーターにより除去した(水浴の温度=35oC、約100mbar)。その後、反応粗製物を、冷やした1N HCl(30mL)およびEtOAc(200mL)を使用して抽出した。水性層を、EtOAc(200mL)で2回抽出した。有機抽出物を合わせて、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次に、約30%の体積までロータリーエバポレーターにより濃縮して、いくらかの結晶を沈殿させた(水浴の温度=35℃、約120mbar)。得られた粗製試料を、次に、撹拌しながら(360rpm)、ヘキサン(200mL)で処理して、白色懸濁液を形成させた。得られた固体を濾過し、冷やした体積比ヘキサン/EtOAc混合物=20/1で洗浄し、高真空系により約16時間(25oC)乾燥して、期待された化合物OBI-3424-4を白色固体として得た(12.7g、単離収率71%)。
【0075】
【0076】
化合物OBI-3424-3(0.35g)を、適切な2口丸底ビン中の化合物OBI-3424-4(0.25g)の無水THF溶液(4mL)に、室温で(=約23℃)、窒素保護下で添加した。反応混合物を、0℃まで15分間冷やした。Cs2CO3(0.84g)を、冷やした反応物に添加した。添加の1時間後、TLCを確認した(体積比CH2Cl2/EtOAc=2/1、化合物OBI-3424-5のRf値=0.3)。化合物OBI-3424-4がなくなったときに、反応物を8mLのEtOAcで希釈し、4mLの飽和NH4Cで抽出した。水性層を、8mLのEtOAcで2回抽出した。有機層を合わせて、4mLのブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、次に、ロータリーエバポレーターにより濃縮して(水浴=約35℃、約130mbar)、黄色シロップを得た。シロップを、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルパッドを通して精製した。溶離液系は、以下の記載のように提案された:(体積比パッキング=ヘキサン/EtOAc=5/1)ヘキサン/EtOAc=4/1(1カラム体積)、ヘキサン/EtOAc=1/1(1カラム体積)、ヘキサン/EtOAc=1/2(3カラム体積)、期待された生成物が収集されるまで。画分を、ロータリーエバポレーター(水浴=約35℃、約140mbar)および高真空(約25℃、16時間)により濃縮して、化合物OBI-3424-5を淡黄色固体として得た(0.46g、単離収率93%)。
【0077】
本発明者らは、最初に、化合物OBI-3424-3および化合物OBI-3424-4を、文献に記録された方法から(PCT国際特許出願公開第2016/145092号)、許容される収率で首尾よく合成した。その後、化合物OBI-3424-5を、化合物OBI-3424-3および化合物OBI-3424-4のカップリングから、収率約80%で、塩基条件の処理下で調製した。操作上の利便性および収率の改善のために、本発明者らは、次に、いくつかの条件の試験を行った。いくつかの試験後、無水THFおよびCs2CO3が最高収率をもたらした(表4)。THFを反応溶媒として、かつCs2CO3を塩基として使用する条件が、最良の単離収率をもたらす。さらに、Cs2CO3は、一般に、操作上の利便性がある穏やかな塩基と考えられ、大量生産において操作上の利益をもたらし得る。
【0078】
【0079】
【0080】
(実施例2)
化合物OBI-3424-5からの化合物OBI-3424-6(ラセミ体)の合成
【化50】
図式4.化合物OBI-3424-5からの化合物OBI-3424-6(ラセミ体)の合成
【0081】
設計された経路が機能するかどうかを証明するために(図式2を参照のこと)、化合物OBI-3424-5をNaBH4によりすぐに還元して、化合物OBI-3424-6(ラセミ体)を単離収率85%で得た(図式4を参照のこと)。反応は、氷浴下で順調に進んだ。NaBH4の添加後に、水素ガスが放出されることに留意されたい。化合物OBI-3424の合成を精査するために、得られた化合物OBI-3424-6(ラセミ体)を次のステップで使用した。
【0082】
化合物OBI-3424-5(500mg)をメタノールに溶解し、次に、0℃まで冷やした。水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、58mg)を、この溶液に添加した(注意:反応中に気体が放出される)。30分間撹拌した後、TLCを確認する。(体積比CH2Cl2/EtOAc=2/1、化合物OBI-3424-5のRf値=0.3、化合物OBI-3424-6のRf値=0.2)。反応が完了したときに、反応物を、EtOAc(50mL)および1NのHCl(5mL)で希釈した。得られた粗製物を分離した。水性層を、EtOAcで再度抽出した。有機層を収集し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次にロータリーエバポレーターにより濃縮して、シロップを得た(水浴の温度=35℃、約70mbar)。得られたシロップを、次に、カラムクロマトグラフィーを通して、シリカゲルパッドを介して(シリカゲル=20g)精製した。溶離液系は、以下の記載のように提案された:(体積比パッキング=ヘキサン/EtOAc=3/1)、溶離液:ヘキサン/EtOAc=1/1(1カラム体積)、CH2Cl2/EtOAc=2/1(1カラム体積)、CH2Cl2/EtOAc=1/1(3カラム体積)、期待された生成物が収集されるまで。収集した生成物を、ロータリーエバポレーター(水浴=約35℃、約120mbar)および高真空(約25℃、16時間)により濃縮して、化合物OBI-3424-6(ラセミ体)を黄色シロップとして得た(428mg、単離収率85%)。
【0083】
(実施例3)
化合物OBI-3424-6-LRの合成
1981年に、S.Itsunoがこの方法を最初に報告した。数年後、E.J.Coreyは、変性触媒により、BH3/THFの存在下で、アキラルなケトンの迅速かつ高いエナンチオ選択的還元が見出されることを示した。触媒オキサザボロリジンは、Corey-Bakshi-Shibata(CBS)還元と呼ばれる。この触媒は多くの基質に適用され、良好なエナンチオ選択性を有する(J. Mol. Catal. B Enz. 1997, 3: 65-72)。公表された結果に基づき、同様の基質は、S-CBS触媒を使用することによりR体生成物を形成することを選ぶ。したがって、本発明者らは、基質(化合物OBI-3424-5)においてS-CBSを試みて、選択性がおよそ体積比3:1~6:1のR/S比であることを見出した。R体生成物のエナンチオマー過剰率、ee%を向上させるために、本発明者らは、次に、リパーゼ選択的アセチル化を組み合わせて、R/S比を改善した(図式2を参照のこと)。アキラルなアルコールのリパーゼ選択的アセチル化は、十分に発達した技術である。公表された結果に基づき、リパーゼは、R体基質と反応することを選ぶ。2種の異なるリパーゼ、CAL-BおよびPALの試験が行われ、CAL-Bがより良好な結果を示した。化合物OBI-3424-6の最終生成物のee%は、S-CBS還元およびリパーゼアセチル化の組合せ後に、HPLCにおいて97%以上に改善され得る。
【0084】
ステップ1.S-CBS不斉還元(R体優勢)
その後、不斉還元および光学純度の改善に注目した。市販のCBS試薬((S)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジン、CAS=[112022-81-8])は、E. J. Corey教授から開発された(J. Am. Chem. Soc. 1987, 109: 7925-7926)ことが知られている。この試薬は、ケトンでキラル還元を行い、THF中でBH
3を用いて、良好な収率のR体アルコールおよび高立体選択性をもたらすことができる。化合物OBI-3435-5を、0.2モル当量のCBS試薬および1.05モル当量のボラン(THF中の1M)で処理して、還元生成物(化合物OBI-3424-6エナンチオマー混合物)を、窒素保護下で数時間で、収率80%で得た。光学分割は、キラルHPLC分析により48%と判断された(
図2)。光学純度は、CBSの量を0.5モル当量まで増加し、かつ反応温度を-20℃まで下げることにより、70%eeまで改善することができた。しかし、収率は65%まで低下し、反応時間は22時間に増加した(表5)。
【0085】
【0086】
ステップ2.リパーゼ選択的アシル保護
高いR体選択性を有するリパーゼは、化合物OBI-3424-6R/S混合物の分離に対して優れた酵素であり、アセチル基をR体化合物OBI-3424-6に積極的に付加し、かつ非アセチル化S体化合物OBI-3424-6を消極的に残す(図式5を参照のこと)。そこで、このエナンチオマー混合物をリパーゼで処理して、R体エナンチオマーのヒドロキシル基を選択的にエステル化する。得られたアセチル化生成物「化合物OBI-3424-6-Ac」の光学純度は、99%ee値まで高めることができた。次に、化合物OBI-3424-6-Acのアセチル基を、穏やかな塩基条件下で除去して、自家作製した化合物OBI-3424-6-LRを得て、単離収率77%で「化合物OBI-3424-LR」に首尾よく変換した。
【0087】
【化51】
図式5.CBS還元およびリパーゼ濃縮の組合せを介した化合物OBI-3424-6-LRの調製
【0088】
(実施例4)
化合物OBI-3424-6-LSの合成
ステップ1.R-CBS不斉還元(S体優勢):
構造を確認した後、本発明者らは、次に、合成経路を改変して、化合物OBI-3424-6を生成した(図式6を参照のこと)。CBS試薬を、(R)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジン(CAS=[112022-83-0])と置き換えた。化合物OBI-3424-5の不斉還元により、化合物OBI-3424-6エナンチオマー混合物を、1/4のR/S比および単離収率90%で得た(
図3)。この混合物を、次に、酵素(リパーゼ)で処理して、光学純度を高めた。
【0089】
【化52】
図式6.S体優勢の化合物OBI-3424-6を合成するための化合物OBI-3424-5の不斉還元
【0090】
ステップ2.リパーゼ選択的アシル保護:
喜ばしいことに、リパーゼは、R/S混合物中のR体化合物OBI-3424-6を選択的にアセチル化することができた。消極的選択でアセチル化されないS体化合物OBI-3424-6(OBI-3424-6-LS)は、精製後、直接得ることができた。化合物OBI-3424-6-LR合成ステップと比較して、1ステップが省略された(化合物OBI-3424-6-Acからアセチル基を除去する)。シリカゲルパッドを通した単純カラム精製後、化合物OBI-3424-6-LSを、収率77%およびee値99%で収集できた(図式7、
図4)。
【0091】
【化53】
図式7.S体化合物OBI-3424-6に対する酵素反応
【0092】
(実施例5)
化合物OBI-3424-6R/S混合物の一般的合成
【化54】
【0093】
BH3(THF中の1M、1.05モル当量)およびCBS試薬(0.2モル当量)を、0℃で窒素保護下で混合した。(注記:2種の異なるCBS試薬を個々に使用し、R体優勢の生成物を、(S)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジンから得て、一方、(R)-5,5-ジフェニル-2-メチル-3,4-プロパノ-1,3,2-オキサザボロリジンの使用により、S体優勢の生成物を得た。)5分間の撹拌後、化合物OBI-3424-5(1.0モル当量、すなわち、2mLの無水THFに0.45gを溶解した)を、反応物に添加した。反応物を撹拌し、窒素保護下でゆっくりと25℃まで上げた。添加して約1.5時間撹拌した後、TLCを確認した(体積比CH2Cl2/EtOAc=2/1、化合物OBI-3424-6のRf値=0.3)。化合物OBI-3424-5がなくなったときに、反応粗製物とEtOAc(反応粗製物の4倍v/v)および冷却した1N HCl(EtOAcの25%体積)とを混合した。反応粗製物を、抽出し、分離した。次に、水性層を、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、次に、ロータリーエバポレーターにより濃縮して(水浴=35℃、約100mbar)、黄色シロップを得た。得られたシロップを、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッドを通して精製した。溶離液系は、以下の記載のように提案された:(体積比パッキング=ヘキサン/EtOAc=3/1)、溶離液:ヘキサン/EtOAc=1/1(1カラム体積)、CH2Cl2/EtOAc=2/1(1カラム体積)、CH2Cl2/EtOAc=1/1(3カラム体積)、期待された生成物が収集されるまで。収集した生成物を、ロータリーエバポレーター(水浴=35℃、約120mbar)および高真空(約25℃、16時間)により濃縮して、化合物OBI-3424-6R/S混合物を黄色シロップとして得た(単離収率約90%、R/S比は、キラルカラムを使用したHPLCにより判断した)。
【0094】
加えて、本発明者らはまた、CBS触媒と置き換えるために、数種のキラル還元試薬(例えば、DIP塩化物、水素化ホウ素ナトリウム(Sodium borohydrate)または(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール)の試験を行った。
【0095】
(R)/(S)-Me-CBS試薬の手順
異なるケトン基質および(R)/(S)Me-CBS触媒(Tokyo Chemical Industry Co.,Ltd.)の溶液を、0℃まで10分間、窒素保護下で冷却した。BH3(THF中の1M)(Acros Organics;ロット番号:A0400505)を、反応物にゆっくりと添加し、10分間撹拌した。次に、反応混合物を室温で1時間撹拌した。完了時に、反応混合物を、1NのHClおよび水でクエンチした。水性層を、2回EtOAcで抽出した。収集した有機層を、NaHCO3およびブラインで洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、黄色粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;ロット番号HT80186)を通して精製した。体積比(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)を有する溶離液系。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
【0096】
(+)/(-)-DIP塩化物試薬の手順
THF(Acros Organics;ロット番号:1850266)に溶解した異なるケトン基質の溶液を、0℃まで10分間、窒素保護下で冷却した。(+)/(-)-DIP塩化物(Tokyo Chemical Industry Co.,Ltd.)を、反応物にゆっくりと添加し、10分間撹拌した。次に、反応混合物を室温で3時間撹拌した。完了時に、反応混合物を、1N HClおよびMeOHでクエンチした。水性層を、2回EtOAcで抽出した。収集した有機層を、NaHCO3およびブラインで洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、黄色粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。体積比(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)を有する溶離液系。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
【0097】
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)の手順
異なるケトン基質の溶液を、MeOHに室温で溶解した。水素化ホウ素ナトリウムをゆっくりと反応物に添加した。次に、反応混合物を室温で1時間撹拌した。完了時に、反応混合物を、水でクエンチした。水性層を、2回EtOAcで抽出した。収集した有機層を、NaHCO3およびブラインで洗浄し、無水MgSO4で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。体積比(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)を有する溶離液系。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
【0098】
(S)-(-)-BINOL試薬の手順
(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール(Tokyo Chemical Industry Co.,Ltd.;ロット番号:4HN7B-OD)およびトリメチルアルミニウム溶液(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号STBG1135V)の溶液を、室温で10分間、窒素保護下で撹拌し、その後、白色沈殿が形成された。ケトン基質2および2-プロパノール(Tedia Company,Inc.;ロット番号:15040128)を反応物に添加し、室温で16時間撹拌した。完了時に、反応混合物をロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;ロット番号HT80186)を通して精製した。体積比(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)を有する溶離液系。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
表6は、異なるキラル還元試薬を使用することによる、化合物OBI-3424-6の生成物収率を示す。それにより、CBS触媒が、化合物OBI-3424-6合成に関して最も効率的な試薬であることが示された。それどころか、NaBH4を使用することにより、S体またはR体特異的生成物を生成することはできなかった。
【0099】
【0100】
さらに、本発明者らはまた、R-CBS/S-CBS、(-)-DIP塩化物/(+)塩化物、水素化ホウ素ナトリウム、または(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトールを使用することにより、数種のケトン基質の試験を行った(表7を参照のこと)。表7は、異なるケトン基質を使用することによる生成物収率を示した。
【0101】
【0102】
(実施例6)
化合物OBI-3426-6R/S混合物からのリパーゼ酵素選択によるエナンチオマー分離
【0103】
【0104】
化合物OBI-3424-6を酢酸イソプロペニルに溶解して、予混合物溶液とした。リパーゼ(CALB)およびNa2CO3を、予混合物溶液に添加して、室温(25℃)に置いた。反応時間が、R体およびS体の選択で異なることに注意されたい(2.1節、R-選択は4時間、一方、S-選択は20時間)。反応後、上部の溶液を濾過して(またはピペットで取り出し)、リパーゼ樹脂を除去し、さらなる精製のために清浄な試験官に移した(TLC確認系=CH2Cl2/EtOAc/ヘキサン=1/2/1体積比)。酵素反応溶液を、ロータリーエバポレーター(水浴の温度=約35℃、圧力=約50mbar)により濃縮して、シロップを得た。シロップを、次に、シリカゲルのパッド上に載せて(体積比ヘキサン/EtOAc=5/1パッキング)、溶離液系は、以下の記載のように提案された:体積比ヘキサン/EtOAc=3/1(1カラム体積)、次に、1/1(1.5カラム体積)、次に、1/4(3カラム体積)、期待された生成物が収集されるまで;TLC確認溶離液系=CH2Cl2/EtOAc/ヘキサン=1/2/1、化合物OBI-3424-6-LSのRf=0.3、化合物OBI-3424-6-AcのRf=0.5。化合物OBI-3424-6-LSを、このステップで得る。加えて、本発明者らはまた、異なる種類のリパーゼ(例えば、コウジカビ(Aspergillus oryzae)からのリパーゼBまたはカンジダ・アンタークチカ(Candida Antarctica)から固定化されたリパーゼ)の反応活性の試験を行った。ヒドロキシル基質の溶液を、酢酸イソプロペニル(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号STBH5768)に室温で溶解した。Na2CO3(Showa.;ロット番号KDL-100W)およびリパーゼアクリル樹脂(Sigma-Aldrich.Inc.;ロット番号SLBW1544)またはImmobead150に固定化された、コウジカビからの組換え体のリパーゼBカンジダ・アンタークチカ(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号BCBZ7604)、またはカンジダ・アンタークチカからの固定化されたリパーゼ(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号BCBD5551)を、溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
【0105】
加えて、本発明者らはまた、酢酸イソプロペニルと置き換えるために、別の試薬-酪酸2,2,2-トリフルオロエチルの試験を行った。ヒドロキシル基質の溶液を、酪酸2,2,2-トリフルオロエチル(Tokyo Chemical Industry Co.,Ltd.;ロット番号:CORPC-HQ)に室温で溶解した。Na2CO3(Showa.;ロット番号KDL-100W)およびリパーゼアクリル樹脂(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号SLBW1544)を溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。表8は、異なるリパーゼを使用することによる生成物収率を示した。異なる種類のリパーゼ間に有意な差異はないことが示された。
【0106】
【0107】
さらに、本発明者らはまた、異なる種類のリパーゼを使用することにより、数種の基質の試験を行った(表9を参照のこと)。表9は、リパーゼを使用することによる、数種の異なる基質の生成物収率を示した。
【0108】
【0109】
(実施例7)
S体優勢のリパーゼ選択的加水分解
【化56】
【0110】
ステップA:アセチル基質の溶液を、THF(Acros Organics;ロット番号:1850266)および0.1M、pH7.0のリン酸カリウム緩衝剤(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号 MKBX6388V)に室温で溶解した。リパーゼアクリル樹脂(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号SLBW1544)を、溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
【0111】
ステップB:アセチル基質の溶液を、MeOH(BioSuperStar Co.,Ltd.;ロット番号:14022569)に室温で溶解した。NaOMeを、溶液に添加した。次に、反応混合物を室温で1時間撹拌した。完了時に、反応混合物をHCl(MeOH中の1N)でクエンチし、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。表10は、リパーゼを使用することによる、アセチル基質の生成物収率を示した。
【0112】
【0113】
(実施例8)
化合物OBI-3426-6R/S混合物からのプロテアーゼ酵素選択エステル交換
【化57】
【0114】
ステップA:ヒドロキシル基質の溶液を、2,2,2-酪酸トリフルオロエチル(Tokyo Chemical Industry Co.,Ltd.;ロット番号:CORPC-HQ)に室温で溶解した。異なる種からのプロテアーゼ(Sigma-Aldrich,Inc.、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)から、ロット番号SLBX1986またはストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)から、ロット番号SLCB9815)を、溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.SY350)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
【0115】
ステップB:アセチル基質の溶液を、MeOHに室温で溶解した。NaOMeを、溶液に添加した。次に、反応混合物を室温で1時間撹拌した。完了時に、反応混合物をHCl(MeOH中の1N)でクエンチし、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。表11は、異なるプロテアーゼを使用することによる生成物収率を示した。2種のリパーゼが両方とも低収率であることが示された。
【0116】
【0117】
(実施例9)
S体優勢のプロテアーゼ選択的加水分解
【化58】
【0118】
アセチル基質の溶液を、エチルエーテル(Avantor Performance Materials,Inc.;ロット番号:0000128533)および0.1M、pH7.0のリン酸カリウム緩衝剤(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号MKBX6388V)に室温で溶解した。プロテアーゼ(Sigma-Aldrich,Inc.;バチルス・リケニフォルミスからのプロテアーゼ、ロット番号SLBX1986)を、溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。表12は、プロテアーゼを使用することによる、アセチル基質の生成物収率を示した。
【0119】
【0120】
(実施例10)
ケトン-R体優勢のエナンチオ選択的還元
ステップA:ヒドロキシル基質の溶液を、酢酸イソプロペニル(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号STBH5768)に室温で溶解した。Na2CO3およびリパーゼアクリル樹脂(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号SLBW1544)を溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
ステップB:アセチル基質の溶液を、MeOHに室温で溶解した。NaOMeを、溶液に添加した。次に、反応混合物を室温で1時間撹拌した。完了時に、反応混合物をHCl(MeOH中の1N)でクエンチし、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。表13は、リパーゼ試薬を使用することによる、アセチル基質の生成物収率を示した。
【0121】
【0122】
(実施例11)
R体優勢のリパーゼ選択的加水分解
【化59】
アセチル基質の溶液を、エチルエーテル(Avantor Performance Materials,Inc.;ロット番号:0000128533)および0.1M、pH7.0のリン酸カリウム緩衝剤に室温で溶解した。リパーゼアクリル樹脂(Sigma-Aldrich,Inc.;ロット番号SLBW1544)を溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。表14は、リパーゼ試薬を使用することによる、アセチル基質の生成物収率を示した。
【0123】
【0124】
(実施例12)
R体優勢のプロテアーゼ選択的加水分解
ステップA:アセチル基質の溶液を、エチルエーテル(Avantor Performance Materials,Inc.;ロット番号:0000128533)および0.1M、pH7.0のリン酸カリウム緩衝剤に室温で溶解した。プロテアーゼ(Sigma-Aldrich,Inc.;バチルス・リケニフォルミスからのプロテアーゼ、ロット番号SLBX1986)を、溶液に添加した。反応混合物を、室温で16時間置いた。反応混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。
【0125】
ステップB:アセチル基質の溶液を、MeOHに室温で溶解した。NaOMeを、溶液に添加した。次に、反応混合物を室温で1時間撹拌した。完了時に、反応混合物をHCl(MeOH中の1N)でクエンチし、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、粗製物を得た。残留物を、カラムクロマトグラフィーによりシリカゲルのパッド(FUJI Silysia Chemical Ltd.;Cat No.HT80186)を通して精製した。カラム体積についての溶離液系(EtOAc/ヘキサン=1/4~3/1)。収集した画分を、ロータリーエバポレーターおよび高真空により濃縮して、生成物を得た。表15は、プロテアーゼを使用することによる、アセチル基質の生成物収率を示した。
【0126】
【0127】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる技術用語および科学用語ならびにあらゆる頭字語は、本発明の分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の情報を伝えるためのあらゆる組成物、方法、キット、および手段が、本発明を実行するために使用され得るが、情報を伝えるための好ましい組成物、方法、キット、および手段は、本明細書に記載されている。
【0128】
本明細書に引用される全ての参考文献は、法的に許される程度の限り、本明細書に参照により組み込まれる。これらの参考文献の議論は、それらの著者によりなされる主張を単に要約することを意図する。任意の参考文献(または任意の参照文献の一部)が関連する先行技術であるとして認めるものではない。出願者は、任意の引用された参考文献の精確さおよび妥当性を問題にする権利を留保する。
次に、本発明のまた別の好ましい態様を示す。
1. 式1の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3
、B-クロロジイソピノカンフェイルボラン(DIP塩化物)、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4
の存在下で反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2
CO
3
、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2
CO
3
、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(B)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む、方法。
式1
[式中、Rは、
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
2. 環状基が、芳香族基、環状飽和もしくは部分的不飽和基、または複素環基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル(sulfhyfryl)、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である、上記1に記載の方法。
3. 式1の化合物が、式1aの化合物であり、式2の化合物が、式2aの化合物である、上記1に記載の方法。
4. ステップ(1)の生成物が、式5の化合物である、上記3に記載の方法。
式5
5. 式1の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1a):式2の化合物を式3aの化合物と、BH
3
、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4
の存在下で反応させるステップ;
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物を無水酢酸(Ac
2
O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、およびNa
2
CO
3
と反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2
CO
3
と反応させる
ステップ
を含む、方法。
式1
[式中、Rは、
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
6. 環状基が、芳香族基、環状飽和もしくは部分的不飽和基、または複素環基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル(sulfhyfryl)、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である、上記5に記載の方法。
7. 式1の化合物が、式1aの化合物であり、式2の化合物が、式2aの化合物である、上記5に記載の方法。
8. ステップ(1b)の生成物が、式6の化合物である、上記7に記載の方法。
式6
9. 式4の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3
、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4
の存在下で反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、Na
2
CO
3
、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、Na
2
CO
3
、ならびに酢酸イソプロペニルおよび2,2,2-酪酸トリフルオロエチルのうちの1つと反応させる
ステップを含む方法。
式4
[式中、Rは、
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
10. 環状基が、芳香族基、環状飽和もしくは部分的不飽和基、または複素環基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル(sulfhyfryl)、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である、上記9に記載の方法。
11. 式4の化合物が、式4aの化合物であり、かつ式2の化合物が、式2aの化合物である、上記9に記載の方法。
12. ステップ(1)の生成物が、式5の化合物である、上記11に記載の方法。
式5
13. 式4の化合物を調製する方法であって、
ステップ(1a):式2の化合物を式3bの化合物と、BH
3
、DIP塩化物、(S)-(-)-1,1’-Bi-2-ナフトール、またはNaBH
4
の存在下で反応させるステップ;
ステップ(1b):ステップ(1a)の生成物をと無水酢酸(Ac
2
O)と反応させるステップ;および
ステップ(2):ステップ(1b)の生成物を
(A)リパーゼアクリル樹脂、およびNa
2
CO
3
と反応させるか;または
(B)プロテアーゼ、およびNa
2
CO
3
と反応させ;ステップ(A)の生成物をナトリウムメトキシドとメタノールの存在下で反応させる
ステップを含む方法。
式4
[式中、Rは、
、脂肪族鎖、またはRxであり;
Rxは、水素、非置換もしくは置換された環状基、電子求引基、または電子供与基である]
14. 環状基が、芳香族基、環状飽和もしくは部分的不飽和基、または複素環基であり;電子求引基が、ハロ、ニトロソ、アミノカルボニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、アシル、ハロホルミル、トリハロメチル、シアノ、ニトロ、アンモニウム基、アジド、またはスルホニル基であり;電子供与基が、アルキル、ビニル、フェニル、アシルオキシル、アシルアミド、アルキルチオ、スルフヒドリル(sulfhyfryl)、ヒドロキシル、アルコキシ、またはアミノ基である、上記13に記載の方法。
15. 式4の化合物が、式4aの化合物であり、かつ式2の化合物が、式2aの化合物である、上記5に記載の方法。
16. ステップ(1b)の生成物が、式6の化合物である、上記15に記載の方法。
式6
17. 化合物(R)-1-(3-(3-N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェノキシル-4-ニトロフェニル)-1-エチル-N,N’-ビス(エチレン)ホスホルアミデート
および化合物(S)-1-(3-(3-N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェノキシル-4-ニトロフェニル)-1-エチル-N,N’-ビス(エチレン)ホスホルアミデート
の収率または光学純度を改善する方法であって、
ステップ(a):不斉還元、
ステップ(b):リパーゼ/プロテアーゼ選択的保護、
ステップ(c):ホスフェート組込み;および
ステップ(d):アジリジン形成
のステップを含む、方法。
18. ステップ(b)が:
ステップ(i):リパーゼエステル交換反応,
ステップ(ii):リパーゼ加水分解、
ステップ(iii):プロテアーゼエステル交換反応;または
ステップ(iv):プロテアーゼ加水分解
のステップをさらに含む、上記17に記載の方法。