(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】フィルタアセンブリ、マルチプレクサ、及びキャリアアグリゲーション信号を処理する方法
(51)【国際特許分類】
H03H 9/64 20060101AFI20240110BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20240110BHJP
H03H 9/58 20060101ALI20240110BHJP
H03H 9/70 20060101ALI20240110BHJP
H03H 9/72 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H03H9/64 Z
H03H9/17 F
H03H9/58 C
H03H9/70
H03H9/72
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022040158
(22)【出願日】2022-03-15
(62)【分割の表示】P 2020189229の分割
【原出願日】2017-10-19
【審査請求日】2022-04-13
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】カロン、 ジョシュア ジェームズ
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-237075(JP,A)
【文献】特表2008-533779(JP,A)
【文献】特開2010-10832(JP,A)
【文献】特開2013-110655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/02-3/10
H03H9/00-9/25
H03H9/54-9/76
H04R17/00-17/10
H02N2/00-2/18
H10N30/20-30/857
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタアセンブリであって、
一つの通過帯域を有して一つの共通ノードに結合される一つの第1弾性波フィルタと、
前記一つの共通ノードに結合された一つの第2弾性波フィルタと
を含み、
前記一つの第2弾性波フィルタは、
第1タイプの複数の弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器と前記一つの共通ノードとの間に直列に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器と
を含み、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、前記一つの第1弾性波フィルタの通過帯域において、前記第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し、
前記一つの共通ノードはアンテナ接続部を構成し、
前記一つの第2弾性波フィルタの前記第1タイプの複数の弾性波共振器の数は、前記第2弾性波フィルタの共振器の総数の少なくとも70%である、フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記第1タイプの複数の弾性波共振器は複数の弾性表面波共振器であり、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は一つのバルク弾性波共振器である、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記一つの共通ノードに結合された一つの第3弾性波フィルタと、
前記一つの共通ノードに結合された一つの第4弾性波フィルタと
をさらに含む、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記一つの第1弾性波フィルタは、
前記第1タイプの複数の付加弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の付加弾性波共振器と前記一つの共通ノードとの間に直列に結合された前記第2タイプの一つの付加直列弾性波共振器と
を含む、請求項1のフィルタアセンブリ。
【請求項5】
フィルタアセンブリであって、
一つの通過帯域を有して一つの共通ノードに結合された一つの第1弾性波フィルタと、
前記一つの共通ノードに結合された一つの第2弾性波フィルタと
を含み、
前記一つの第2弾性波フィルタは、
第1タイプの複数の弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器と前記一つの共通ノードとの間に直列に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器と
を含み、前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、前記一つの第1弾性波フィルタの通過帯域において、前記第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器は複数の非温度補償弾性表面波共振器であり、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は一つの温度補償弾性表面波共振器であり、
前記一つの共通ノードはアンテナ接続部を構成し、
前記一つの第2弾性波フィルタの前記第1タイプの複数の弾性表面波共振器の数は、前記一つの第2弾性波フィルタの共振器の総数の少なくとも70%である、フィルタアセンブリ。
【請求項6】
前記一つの第2弾性波フィルタは、前記第2タイプの一つのシャント弾性波共振器を含み、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、前記第2タイプの一つのシャント弾性波共振器と前記第1タイプの複数の弾性波共振器との間に結合される、請求項
5のフィルタアセンブリ。
【請求項7】
フィルタアセンブリであって、
第1通過帯域を有して一つの共通ノードに結合される一つの第1弾性波フィルタと、
前記一つの共通ノードに結合された一つの第2弾性波フィルタと、
第3通過帯域を有して前記一つの共通ノードに結合される一つの第3弾性波フィルタと、
第4通過帯域を有して前記一つの共通ノードに結合される一つの第4弾性波フィルタと
を含み、
前記一つの第2弾性波フィルタは、
第1タイプの複数の弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器と前記一つの共通ノードとの間に直列に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器と
を含み、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、前記第1通過帯域、第3通過帯域及び第4通過帯域において、前記第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し、
前記一つの共通ノードはアンテナ接続部を構成し、
前記一つの第2弾性波フィルタの前記第1タイプの複数の弾性波共振器の数は、前記一つの第2弾性波フィルタの共振器の総数の少なくとも70%である、フィルタアセンブリ。
【請求項8】
前記第1タイプの複数の弾性波共振器は弾性表面波共振器であり、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器はバルク弾性波共振器である、請求項
7のフィルタアセンブリ。
【請求項9】
前記フィルタアセンブリは、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器を含む第1ダイと、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器を含む第2ダイと
を含む、請求項
7のフィルタアセンブリ。
【請求項10】
フィルタアセンブリであって、
一つの通過帯域を有して一つの共通ノードに結合された一つの第1弾性波フィルタと、
前記一つの共通ノードに結合された一つの第2弾性波フィルタと
を含み、
前記一つの第2弾性波フィルタは、
第1タイプの複数の弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器と前記一つの共通ノードとの間に直列に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器と
を含み、前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、前記一つの第1弾性波フィルタの通過帯域において、前記第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し、
前記フィルタアセンブリは、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器を含む一つの第1ダイと、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器を含む一つの第2ダイと
を含み、
前記一つの共通ノードはアンテナ接続部を構成し、
前記一つの第2弾性波フィルタの前記第1タイプの複数の弾性波共振器の数は、前記一つの第2弾性波フィルタの共振器の総数の少なくとも70%である、フィルタアセンブリ。
【請求項11】
前記一つの第1弾性波フィルタは、
前記第1タイプの複数の付加弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の付加弾性波共振器と前記一つの共通ノードとの間に結合された前記第2タイプの一つの付加直列弾性波共振器と
を含む、請求項
10のフィルタアセンブリ。
【請求項12】
前記第1タイプの複数の弾性波共振器は弾性表面波共振器であり、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器はバルク弾性波共振器である、請求項
10のフィルタアセンブリ。
【請求項13】
複数の弾性波フィルタを有するマルチプレクサであって、
一つの共通ノードに結合された一つの第1弾性波フィルタと、
前記共通ノードに結合された3つの他の弾性波フィルタと
を含み、
前記一つの第1弾性波フィルタは、
第1タイプの複数の弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の弾性波共振器と前記共通ノードとの間に直列に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器と
を含み、前記第1タイプの複数の弾性波共振器は複数の非温度補償弾性表面波共振器であり、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は一つの温度補償弾性表面波共振器であり、
前記3つの他の弾性波フィルタはそれぞれが、それぞれの通過帯域を有し、
前記第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、前記3つの他の弾性波フィルタの前記それぞれの通過帯域において、前記第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し、
前記一つの共通ノードはアンテナ接続部を構成し、
前記一つの第1弾性波フィルタの前記第1タイプの複数の弾性波共振器の数は、前記一つの第1弾性波フィルタの共振器の総数の少なくとも70%である、マルチプレクサ。
【請求項14】
前記3つの他の弾性波フィルタの少なくとも一つは、
前記第1タイプの複数の第2弾性波共振器と、
前記第1タイプの複数の付加弾性波共振器と前記一つの共通ノードとの間に結合された前記第2タイプの一つの第2直列弾性波共振器と
を含む、請求項
13のマルチプレクサ。
【請求項15】
前記一つの共通ノードに結合された一つの付加弾性波フィルタをさらに含む、請求項
13のマルチプレクサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は弾性波フィルタに関する。
【0002】
優先権出願の相互参照
本願は、2016年10月28日に出願された「ハイブリッドSAW/BAWマルチプ
レクサ」との名称の米国仮特許出願第62/414,253号、2016年11月23日
に出願された「ハイブリッド弾性表面波及びバルク弾性波マルチプレクサ」との名称の米
国仮特許出願第62/426,104号、及び2016年11月23日に出願された「弾
性表面波共振器及びバルク弾性波共振器を含む弾性波フィルタ」との名称の米国仮特許出
願第62/426,083号の優先権の利益を主張する。これらの優先権出願それぞれの
開示はその全体が、ここに参照により組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
弾性波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された複数の共振器
を含み得る。弾性波フィルタの例は、弾性表面波(SAW)フィルタ及びバルク弾性波(
BAW)フィルタを含む。薄膜圧電共振器(FBAR)フィルタは、BAWフィルタの一
例である。
【0004】
無線周波数電子システムには弾性波フィルタを実装することができる。例えば、携帯電
話機の無線周波数フロントエンドにおけるフィルタは、弾性波フィルタを含み得る。2つ
の弾性波フィルタをデュプレクサとして配列することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2009/0009263(A1)号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0042778(A1)号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0127565(A1)号明細書
【発明の概要】
【0006】
特許請求の範囲に記載のイノベーションはそれぞれが、いくつかの側面を有し、その単
独の一つのみが、その所望の属性に対して関与するわけではない。特許請求の範囲を制限
することなく、本開示のいくつかの卓越した特徴の概要が以下に記載される。
【0007】
本開示の一側面は、共通ノードに結合された第1弾性波フィルタと、共通ノードに結合
された第2弾性波フィルタとを含むフィルタアセンブリである。第1弾性波フィルタは、
複数の弾性表面波共振器と、当該弾性表面波共振器と共通ノードとの間に結合された一つ
の直列バルク弾性波共振器とを含む。
【0008】
弾性表面波共振器は、一つの直列バルク弾性波共振器に直列された一つの直列弾性表面
波共振器直列を含み得る。直列弾性表面波共振器は、一ポートの共振器としてよい。直列
弾性表面波共振器は、ダブルモード弾性表面波共振器としてよい。
【0009】
第1弾性波フィルタは、バルク弾性波共振器の2倍を超える数の弾性表面波共振器を含
み得る。弾性表面波共振器は、第1弾性波フィルタの共振器の少なくとも70%を実装し
てよい。弾性表面波共振器は、第1弾性波フィルタの共振器の少なくとも80%を実装し
てよい。
【0010】
直列バルク弾性波共振器は、第1弾性波フィルタのすべての弾性表面波共振器と共通ノ
ードとの間に結合してよい。弾性表面波共振器は、少なくとも5つの共振器を含んでよい
。
【0011】
第1弾性波フィルタはさらに、共通ノードに結合されたシャントバルク弾性波共振器を
含んでよい。シャントバルク弾性波共振器は、直列バルク弾性波共振器を経由して弾性表
面波共振器に結合してよい。
【0012】
第2弾性波フィルタは、第2弾性表面波共振器と、当該第2弾性表面波共振器と共通ノ
ードとの間に結合された第2直列バルク弾性波共振器とを含んでよい。第2弾性波フィル
タは、第1弾性波フィルタの適切な特徴の一つ以上を含み得る。
【0013】
フィルタアセンブリはさらに、共通ノードに結合された少なくとも2つの付加弾性波フ
ィルタを含み得る。フィルタアセンブリはさらに、共通ノードに結合された少なくとも4
つの付加弾性波フィルタを含み得る。フィルタアセンブリはさらに、共通ノードに結合さ
れた少なくとも6つの付加弾性波フィルタを含み得る。
【0014】
フィルタアセンブリは、トライプレクサとして配列してよい。フィルタアセンブリは、
クアッドプレクサとして配列してよい。フィルタアセンブリは、ペンタプレクサとして配
列してよい。フィルタアセンブリは、ヘキサプレクサとして配列してよい。フィルタアセ
ンブリは、ヘプタプレクサとして配列してよい。フィルタアセンブリは、オクタプレクサ
として配列してよい。
【0015】
共通ノードは、アンテナノードとしてよい。
【0016】
本開示の他側面は、共通ノードに結合された4つの弾性波フィルタを含むマルチプレク
サである。4つの弾性波フィルタは、複数の弾性表面波共振器を含む第1弾性波フィルタ
と、当該弾性表面波共振器と共通ノードとの間に結合された一つの直列バルク弾性波共振
器とを含む。
【0017】
マルチプレクサは、クアッドプレクサとして配列してよい。マルチプレクサは、ペンタ
プレクサとして配列することができる。マルチプレクサは、ヘキサプレクサとして配列す
ることができる。マルチプレクサは、ヘプタプレクサとして配列することができる。マル
チプレクサは、オクタプレクサとして配列してよい。
【0018】
弾性表面波共振器は、一つの直列バルク弾性波共振器に直列された一つの直列弾性表面
波共振器直列を含み得る。直列弾性表面波共振器は、一ポートの共振器としてよい。直列
弾性表面波共振器は、ダブルモード弾性表面波共振器としてよい。
【0019】
弾性表面波共振器は、第1弾性波フィルタの共振器の少なくとも70%を実装してよい
。弾性表面波共振器は、第1弾性波フィルタの共振器の少なくとも80%を実装してよい
。マルチプレクサの少なくとも70%の共振器は、弾性表面波共振器としてよい。マルチ
プレクサの少なくとも80%の共振器は、弾性表面波共振器としてよい。
【0020】
直列バルク弾性波共振器は、第1弾性波フィルタのすべての弾性表面波共振器と共通ノ
ードとの間に結合してよい。弾性表面波共振器は、少なくとも5つの共振器を含んでよい
。
【0021】
第1弾性波フィルタはさらに、共通ノードに結合されたシャントバルク弾性波共振器を
含んでよい。シャントバルク弾性波共振器は、直列バルク弾性波共振器を経由して弾性表
面波共振器に結合してよい。
【0022】
4つの弾性波フィルタは、複数の第2弾性表面波共振器と、当該第2弾性表面波共振器
と共通ノードとの間に結合された第2直列バルク弾性波共振器とを含む第2弾性波フィル
タを含み得る。第2弾性波フィルタは、第1弾性波フィルタの適切な特徴の一つ以上を含
み得る。4つの弾性波フィルタはまた、複数の第3弾性表面波共振器と、当該第3弾性表
面波共振器と共通ノードとの間に結合された第3直列バルク弾性波共振器とを含む第3弾
性波フィルタを含み得る。第3弾性波フィルタは、第1弾性波フィルタの適切な特徴の一
つ以上を含み得る。4つの弾性波フィルタはまた、複数の第4弾性表面波共振器と、当該
第4弾性表面波共振器と共通ノードとの間に結合された第4直列バルク弾性波共振器とを
含む第4弾性波フィルタを含み得る。第4弾性波フィルタは、第1弾性波フィルタの適切
な特徴の一つ以上を含み得る。
【0023】
本開示の他側面は、一つ以上の第1ダイと、一つの第2ダイとを含むパッケージ状モジ
ュールである。一つ以上の第1ダイは、第1群の弾性表面波共振器と、第2群の弾性表面
波共振器とを含む。第1群の弾性表面波共振器は、共通ノードに結合された第1弾性波フ
ィルタに含まれる。第2ダイは、一つの直列バルク弾性波共振器を含む。第2群の弾性表
面波共振器と直列バルク弾性波共振器とは、共通ノードに結合された第2弾性波フィルタ
に含まれる。直列バルク弾性波共振器は、第2群の弾性表面波共振器と共通ノードとの間
に結合される。
【0024】
パッケージ状モジュールはさらに、第1フィルタ及び第2フィルタに結合された多投ス
イッチを含み得る。多投スイッチは、共通モードに結合された単投を有し得る。代替的に
、多投スイッチは、第1弾性波フィルタに結合された第1投と、第2弾性波フィルタに結
合された第2投とを有し得る。いくつかの例において、パッケージ状モジュールはさらに
、多投スイッチを経由して第1弾性波フィルタ又は第2弾性波フィルタの少なくとも一方
に無線周波数信号を与えるべく構成された電力増幅器を含み得る。
【0025】
パッケージ状モジュールはさらに、電力増幅器を含み得る。
【0026】
パッケージ状モジュールは、ここに記載される弾性波フィルタ及び/又はマルチプレク
サの適切な特徴の一つ以上を含み得る。
【0027】
本開示の他側面は、無線周波数信号を受信するべく構成されたアンテナと、当該アンテ
ナと通信するマルチプレクサとを含む無線通信デバイスである。マルチプレクサは、共通
ノードに結合された4つの弾性波フィルタを含む。4つの弾性波フィルタは、複数の弾性
表面波共振器を含む第1弾性波フィルタと、弾性表面波共振器と共通ノードとの間に結合
された一つの直列バルク弾性波共振器とを含む。
【0028】
無線通信デバイスは、携帯電話機として構成することができる。
【0029】
無線通信デバイスはさらに、共通ノードとアンテナとの間に結合された周波数マルチプ
レクシング回路を含み得る。周波数マルチプレクシング回路は、ダイプレクサ又はトライ
プレクサとしてよい。
【0030】
無線通信デバイスはさらに、共通ノードとアンテナとの間に結合されたアンテナスイッ
チを含み得る。
【0031】
無線周波数信号は、キャリアアグリゲーション信号としてよい。
【0032】
アンテナは、一次アンテナとしてよい。アンテナは、ダイバーシティアンテナとしてよ
い。4つの弾性波フィルタはそれぞれを、ダイバーシティアンテナと通信する受信フィル
タとして構成してよい。
【0033】
無線通信デバイスは、ここに説明される弾性波フィルタのいずれか、ここに説明される
マルチプレクサのいずれか、ここに説明されるパッケージ状モジュールのいずれか、又は
これらのいずれかの組み合わせの一つ以上の適切な特徴を含み得る。
【0034】
本開示の他側面は、通過帯域を有して共通ノードに結合される第1弾性波フィルタを含
むフィルタアセンブリである。フィルタアセンブリはまた、共通ノードに結合された第2
弾性波フィルタを含む。第2弾性波フィルタは、第1タイプの複数の弾性波共振器と、第
1タイプの複数の弾性波共振器と共通ノードとの間に結合された第2タイプの一つの直列
弾性波共振器とを含む。第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、第1弾性波フィルタの
通過帯域において、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有する。
【0035】
第1タイプの複数の弾性共振器は、複数の弾性表面波共振器としてよく、第2タイプの
一つの直列弾性波共振器は、一つのバルク弾性波共振器としてよい。第1タイプの複数の
弾性共振器は、複数の非温度補償弾性表面波共振器としてよく、第2タイプの一つの直列
弾性波共振器は、一つの温度補償弾性表面波共振器としてよい。
【0036】
第2弾性波フィルタの第1タイプの複数の弾性波共振器は、当該第2弾性波フィルタの
共振器の少なくとも70%としてよい。フィルタアセンブリは、第1タイプの複数の弾性
波共振器を含む第1ダイと、第2タイプの一つの直列弾性波共振器を含む第2ダイとを含
み得る。第1タイプの弾性共振器の少なくとも2つは、第2タイプの一つの直列弾性波共
振器に直列されてよい。
【0037】
フィルタアセンブリはさらに、共通ノードに結合された第3弾性波フィルタと、当該共
通ノードに結合された第4弾性波フィルタとを含み得る。第2タイプの一つの直列弾性波
共振器は、第3弾性波フィルタの通過帯域において、第1タイプの複数の弾性波共振器よ
りも高い品質係数を有し得る。第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、第4弾性波フィ
ルタの通過帯域において、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し得
る。
【0038】
本開示の他側面は、弾性波フィルタを備えたマルチプレクサである。マルチプレクサは
、共通ノードに結合された第1弾性波フィルタと、当該共通ノードに結合された3つの他
の弾性波フィルタとを含む。第1弾性波フィルタは、第1タイプの複数の弾性波共振器と
、第1タイプの複数の弾性波共振器と共通ノードとの間に結合された第2タイプの一つの
直列弾性波共振器とを含む。3つの他の弾性波フィルタはそれぞれが、対応通過帯域を有
する。第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、3つの他の弾性波フィルタの対応通過帯
域のそれぞれにおいて、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有する。
【0039】
第1タイプの複数の弾性共振器は、複数の弾性表面波共振器としてよく、第2タイプの
一つの直列弾性波共振器は、一つのバルク弾性波共振器としてよい。第1タイプの複数の
弾性共振器は、複数の非温度補償弾性表面波共振器としてよく、第2タイプの一つの直列
弾性波共振器は、一つの温度補償弾性表面波共振器としてよい。
【0040】
3つの他の弾性波フィルタの少なくとも一つは、第1タイプの複数の第2弾性波共振器
と、第1タイプの複数の第2弾性波共振器と共通ノードとの間に結合された第2タイプの
一つの第2直列弾性波共振器とを含み得る。
【0041】
マルチプレクサは、クアッドプレクサとしてよい。マルチプレクサはさらに、共通ノー
ドに結合された2つの付加弾性波フィルタを含み得る。
【0042】
本開示の他側面は、キャリアアグリゲーション信号を処理する方法である。方法は、ア
ンテナポートに結合されて第1帯域を有する第1弾性波フィルタによってキャリアアグリ
ゲーション信号をフィルタリングすることを含む。キャリアアグリゲーション信号は、第
1通過帯域における第1無線周波数キャリアと、第2通過帯域における第2無線周波数キ
ャリアとを含む。方法はさらに、アンテナポートに結合されて第2通過帯域を有する第2
弾性波フィルタによってキャリアアグリゲーション信号をフィルタリングすることを含む
。第2弾性波フィルタは、第1タイプの複数の弾性波共振器と、第1タイプの複数の弾性
波共振器とアンテナポートとの間に結合された第2タイプの一つの直列弾性波共振器とを
含む。第2タイプの一つの直列弾性波共振器は、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも
低い負荷損失を有する。
【0043】
方法はさらに、アンテナポートに結合されたアンテナを経由してキャリアアグリゲーシ
ョン信号を受信することを含み得る。方法はさらに、アンテナポートに結合されたアンテ
ナを経由してキャリアアグリゲーション信号を送信することを含み得る。方法はさらに、
第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタを、多投スイッチを経由して共通ノードに結
合することを含み得る。多投スイッチは、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタを
共通ノードに結合することができるので、第1弾性波フィルタ及び第2弾性波フィルタは
同時に共通ノードに結合される。
【0044】
第1タイプの複数の弾性共振器は、複数の弾性表面波共振器としてよく、第2タイプの
一つの直列弾性波共振器は、一つのバルク弾性波共振器としてよい。第1タイプの複数の
弾性共振器は、複数の非温度補償弾性表面波共振器としてよく、第2タイプの一つの直列
弾性波共振器は、一つの温度補償弾性表面波共振器としてよい。第1タイプの複数の弾性
共振器は、第2タイプの一つの直列弾性波共振器とは異なるダイ上に存在してよい。
【0045】
本開示をまとめる目的で本イノベーションの所定の側面、利点及び新規な特徴が、ここ
に記載されてきた。かかる利点の必ずしもすべてが、いずれかの特定の実施形態において
達成されるというわけではない。よって、本イノベーションは、ここに教示される一つの
利点又は一群の利点を、ここに教示又は示唆される他の利点を必ずしも達成することなく
、達成又は最適化する態様で、具体化し又は実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
本開示の実施形態が、非制限的な例により、添付の図面を参照して記載される。
【0047】
【
図2A】一実施形態に係るクアッドプレクサの弾性波共振器の模式的な図である。
【
図2B】一実施形態に係るクアッドプレクサの弾性波共振器の模式的な図である。
【
図2C】一実施形態に係るクアッドプレクサの弾性波共振器の模式的な図である。
【
図4】一実施形態に係るヘキサプレクサの弾性波共振器の模式的な図である。
【
図5】一実施形態に係るマルチプレクサの弾性波共振器の模式的な図である。
【
図6】一実施形態に係るマルチプレクサの弾性波共振器の模式的な図である。
【
図7】ダイプレクサを経由してアンテナに結合されたクアッドプレクサを含む無線周波数システムの模式的な図である。
【
図8】アンテナに結合されたクアッドプレクサを含む無線周波数システムの模式的な図である。
【
図9】マルチプレクサを経由して受信経路に結合されたアンテナを含む無線周波数システムの模式的な図である。
【
図10A】電力増幅器とアンテナとの間の信号経路にマルチプレクサを含む無線周波数システムの模式的な図である。
【
図10B】電力増幅器とアンテナとの間の信号経路にマルチプレクサを含む他の無線周波数システムの模式的な図である。
【
図10C】一実施形態に係るマルチプレクサの弾性波共振器の模式的な図である。
【
図11】
図11Aは、ここに記載される複数実施形態に係るフィルタの弾性波共振器を含む異なるダイを例示するブロック図である。
図11Bは、ここに記載される複数実施形態に係るフィルタの弾性波共振器を含む異なるダイを例示するブロック図である。
図11Cは、ここに記載される複数実施形態に係るフィルタの弾性波共振器を含む異なるダイを例示するブロック図である。
【
図12】電力増幅器と、スイッチと、一つ以上の実施形態に係るフィルタとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図13】電力増幅器と、スイッチと、一つ以上の実施形態に係るフィルタとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図14】電力増幅器と、スイッチと、一つ以上の実施形態に係るフィルタと、アンテナスイッチとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
【
図15】一つ以上の実施形態に係るフィルタを含む無線通信デバイスの模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
所定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしな
がら、ここに記載の技術革新は、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバーされ
る多数の異なる態様で具体化することができる。本記載において、参照される図面では、
同じ参照番号が同一の又は機能的に類似の要素を示し得る。理解されることだが、図面に
例示される要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施
形態は、図面に例示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に例示される
要素の部分集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特
徴のいずれかの適切な組み合わせを組み入れてよい。
【0049】
セルラーデータ帯域幅を増加させるべく、サービスプロバイダ及びハンドセット製造業
者は、キャリアアグリゲーション(CA)を実装する場合が多い。ここで、データの送信
及び/又は受信を目的として、一つのハンドセットによって多数の周波数帯域が同時に使
用される。ハンドセットのサイズ及びコストによって製造業者は、できる限り少ない数の
別個のアンテナを使用することが促されるので、多くのCAシナリオは、複数帯域が一つ
のアンテナを共有することから利益を享受することができる。
【0050】
伝統的な単数帯域(非CA)の場合が、アンテナに接続される最多でも2つの帯域通過
フィルタ(一つの送信フィルタ及び一つの受信フィルタ、これらの組み合わせをデュプレ
クサと称してよい)を含む一方、CAシステムは、すべてが共通アンテナノードに接続さ
れるさらに7つを超えるフィルタを含み得る。CA仕様によれば、これらのフィルタは、
クアッドプレクサ(4つのフィルタ)、ペンタプレクサ(5つのフィルタ)、ヘキサプレ
クサ(6つのフィルタ)、オクタプレクサ(8つのフィルタ)等として構成することがで
きる。これらの多数フィルタ構成のすべてに対してここで使用される一般用語は、マルチ
プレクサである。
【0051】
このような多数フィルタが共通接続を共有する場合、各フィルタが、他のフィルタの対
応通過帯域において、他のすべてのフィルタに対して高インピーダンスを提示することが
保証されるのが望ましい。これにより、全フィルタの相互負荷を、確実に最小に又は最小
近くに保持することができる。本文脈において「負荷」とは、マルチプレクサの他のフィ
ルタの一つ以上による望ましくない信号散逸及び/又は反射が引き起こす一つのフィルタ
を通る増加した挿入損失を称する。
【0052】
例えば、一緒に接続されるバンドX及びバンドYが共通アンテナを共有する2つの周波
数帯域用に2つのフィルタを含むデュプレクサを考える。デュプレクサは電力分割器とし
てみなすことができる。ここで、各経路を通る電力量は、2つのフィルタのそれぞれによ
り提示される周波数依存のインピーダンスによって決定され得る。全フィルタが理想的で
あれば、これらはそれぞれが、対応通過帯域内で完全な50オームアンテナインピーダン
スを提示する一方、デュプレクサの他方のフィルタの通過帯域内の開回路インピーダンス
も提示する。かかる場合、例えば、アンテナポートにおける周波数バンドX内の信号は、
バンドXフィルタを通して50オームを受け、バンドYフィルタを通して開放回路に入る
。すなわち、この理想的なシナリオでは、信号の電力の100%がバンドXフィルタを通
るように流れ、バンドYを通るのが0%となる。バンドY内の信号に対しても同様に、電
力の100%がバンドYフィルタを通るように流れ、バンドXフィルタを通るのが0%と
なる。他方、フィルタが極めて貧弱な場合、すべての周波数において50オームが提示さ
れ、電力の分割は極めて異なる。バンドXの例において、信号にはここで、50オームの
経路が双方のフィルタの中へと提示される。したがって、電力は、バンドXフィルタに5
0%が流れ、バンドYフィルタに50%が流れるように分割される。すなわち、バンドX
の挿入損失は、近似的に3dBだけ増加する。異なる言い方をすれば、このデュプレクサ
は、個別のフィルタと比べて3dBの負荷損失を有することになる。
【0053】
わかることだが、負荷損失全体は、マルチプレクサの中の結合されたフィルタの数が増
えるにつれて急激に増加する。例えば、このような非理想的なフィルタを含むオクタプレ
クサであれば、付加的な9dBの負荷損失を有することとなる。現実世界の無線周波数(
RF)フィルタは、負荷損失がまったく存在しない上述の理想的なフィルタほど良好では
ないが、すべての周波数シナリオにおいて50オームのインピーダンスほど貧弱な挙動を
するわけでもない。帯域外インピーダンスの大きさは、フィルタ設計の比較的強い関数と
なり得るが、これはまた、フィルタ技術にも依存し得る。
【0054】
弾性表面波(SAW)技術及びバルク弾性波(BAW)技術は双方とも、RFフィルタ
にとって偏在的に使用され、双方とも、帯域外の比較的高いインピーダンスを達成するこ
とができる。しかしながら、突き合わせながらの比較によれば、ワールドクラスのBAW
フィルタは一般に、広い周波数スパンにわたる帯域外インピーダンスの大きさの点で、S
AWフィルタよりも優れている。負荷損失の差異は、デュプレクサの場合にとって比較的
マイナーであるが、CAフィルタの結合数が増えるにつれてますます重要となり得る。ク
アッドプレクサの場合、BAWフィルタは、SAWフィルタ対応物と比べて0.5dBか
ら1.0dBの負荷損失利益を受けることが多い。ヘキサプレクサ及びオクタプレクサに
対しては、その差異は、依然として有意に大きい。
【0055】
残念ながら、BAWフィルタは、その高い性能にもかかわらず、SAWフィルタと比べ
て有意な不利益を伴い得る。すなわちコストである。BAWフィルタは一般に、SAWフ
ィルタよりも製造がかなり困難かつ高価である。したがって、可能な限りはSAW技術を
使用したいという実質的な動機が存在する。SAW技術は、現行のセルラー周波数帯域を
ほぼカバーするデュプレクサを作るのに適している。しかしながら、クアッドプレクサを
使用するCA結合は、2つの技術に対するコストと性能とのトレードオフがそれほど明確
ではない。ヘキサプレクサ及びオクタプレクサのようなさらに複雑な接続に対しては、S
AWの性能は典型的に、コスト節約性にもかかわらず選択肢とはならないほどに劣化する
。
【0056】
フィルタトポロジ及び/又は設計パラメータを慎重に制御することにより負荷損失を改
善する方法が存在する。しかしながら、究極的には、負荷損失は、例えば、帯域内エネル
ギーを閉じ込めるのに使用されるブラッグ反射器の有限反射帯域幅に起因するスプリアス
音響モード及び共振器外への帯域外音響エネルギー放射によって制限を受け得る。コスト
/性能のトレードオフがある程度曖昧な多くのクアッドプレクサ又はペンタプレクサのよ
うなシナリオに対しては、セルラーフロントエンドモジュール内の既存のRFスイッチを
、いわゆる「スイッチトマルチプレクサ」又は「スイッチプレクサ」を作るべく使用する
ことができる。この場合、共通のCA結合が、伝統的な単数帯域構成又はCA結合のいず
れかでフィルタの使用を許容する多極多投RFスイッチによって容易となる。CAモード
において、負荷損失は、配線接続のマルチプレクサのものよりもわずかに悪化する(依然
としてBAWマルチプレクサよりも悪化する)が、非CAモードにおいては、負荷損失の
問題がなくなる。所定のセルラーハンドセットの全使用時間の大部分が非CAモードであ
るから、性能の劣化は(BAWと比べて)主にCAモードに限られ、かかるセルラーハン
ドセットにおける高価ではないSAWソリューションに有利に展開する。スイッチプレク
シングソリューションは、洗練されてはいるが、永続的なマルチプレクシングソリューシ
ョンよりも、かなり実装が困難となり得る。さらに、ハンドセット製造業者にとって、複
雑かつ高価な較正ルーチンも含み得る。CA動作が一般的になり、かつ、同時接続の数が
増加しているので、SAW技術は、所定のCA仕様を満たすことが困難になると見込まれ
ている。
【0057】
本開示の所定の側面は、SAW及びBAW双方の技術を一つのシステムに結合すること
によって、上述した問題に対処する。マルチプレクサにより提示される帯域外インピーダ
ンスが主に、アンテナ接続部に最も近い一つ又は2つの共振器によって決定され得るので
、これらの特定の共振器を、BAW技術を使用して作ればよい。所定の実施形態によれば
、かかるBAW共振器は、大雑把にみて、一フィルタの共振器の総数の10~30%を含
み得る。フィルタの残りの70~90%の共振器のほとんど又はすべては、高価ではない
SAW技術によって実装することができる。マルチプレクサは、大雑把にみて10~30
%のBAW共振器を含み、マルチプレクサの残りの70~90%の共振器のほとんど又は
すべてをSAW共振器とすることができる。したがって、所定の実施形態は、すべてがB
AWのソリューションに匹敵する負荷損失を備えるにもかかわらず、大部分がSAW内容
であるがゆえにかなり低コストで済むヘキサプレクサ又はオクタプレクサを含み得る。す
なわち、いくつかの実施形態によれば、システムは、一つ以上のBAW共振器の第1数を
アンテナ接続部の近くに備え、第2数のSAW共振器を当該アンテナ接続部から離れたと
ころに備えたマルチプレクサを含む。ここで、第2数は第1数よりも大きい。
【0058】
いくつかの実施形態は、すべてがBAWのCAマルチプレクサの負荷損失利点を、すべ
てがSAWのソリューションのコスト利点の多くと組み合わせる。
【0059】
本開示の一側面は、共通ノードに結合された複数の弾性波フィルタを含むフィルタアセ
ンブリである。複数の弾性波フィルタの第1弾性波フィルタは、複数の弾性表面波共振器
と、第1弾性波フィルタの弾性表面波共振器すべてと共通モードとの間に直列に配列され
た一つのバルク弾性波共振器とを含む。複数の弾性波フィルタの他方の弾性波フィルタの
一つ以上が、一つの直列バルク弾性波共振器を経由して共通ノードに結合された複数の弾
性表面波共振器を含み得る。バルク弾性波共振器は、例えばFBARである。第1弾性波
フィルタはまた、シャントバルク弾性波共振器を含み得る。複数の弾性波フィルタは、デ
ュプレクサ、トライプレクサ、クアッドプレクサ、ペンタプレクサ、ヘキサプレクサ、ヘ
プタプレクサ、オクタプレクサ等のようなマルチプレクサとして配列することができる。
【0060】
本開示の他側面は、共通ノードに接続された少なくとも4つのフィルタを含むマルチプ
レクサである。4つのフィルタの少なくとも一つは、少なくとも第1タイプの共振器及び
第2タイプの共振器を含む。ここで、第2タイプの共振器は、第1タイプの共振器よりも
負荷損失が低い。4つのフィルタの当該一つにおいて、第1タイプの共振器のすべてが、
第2タイプの直列共振器を経由して共通ノードに結合される。第2タイプの共振器はFB
ARのようなBAW共振器としてよく、第1タイプの共振器はSAW共振器としてよい。
【0061】
アンテナは、無線周波数信号を受信するべく構成される。マルチプレクサはアンテナと
通信する。マルチプレクサは、共通ノードに結合された4つの弾性波フィルタを含む。4
つの弾性波フィルタの第1弾性波フィルタは、複数の弾性表面波共振器と、当該弾性表面
波共振器と共通ノードとの間に直列の一つのバルク弾性波共振器とを含む。ダイプレクサ
若しくはトライプレクサのような周波数マルチプレクシング回路、及び/又はアンテナス
イッチを、マルチプレクサとアンテナとの間に結合してよい。無線周波数信号は、キャリ
アアグリゲーション信号としてよい。いくつかのアプリケーションにおいて、アンテナは
ダイバーシティアンテナとしてよく、4つのフィルタは受信フィルタとしてよい。マルチ
プレクサは、共通ノードに結合された一つ以上の付加弾性波フィルタを含んでよい。
【0062】
本開示の他側面は、一つ以上の第1ダイと、一つの第2ダイとを含むパッケージ状モジ
ュールである。一つ以上の第1ダイは、複数のSAW共振器を含む。一つの第2ダイは、
一つのBAW共振器を含む。共通ノードに結合された弾性波フィルタは、一つ以上の第1
ダイと一つの第2ダイの上に、複数の弾性波共振器を経由して実装される。弾性波フィル
タの第1弾性波フィルタは、複数のSAW共振器と、当該SAW共振器と共通ノードとの
間に直列の一つのBAW共振器とを含む。複数の弾性波フィルタは、クアッドプレクサ、
ペンタプレクサ、ヘキサプレクサ、オクタプレクサ等のようなマルチプレクサとして配列
することができる。パッケージ状モジュールはまた、電力増幅器、帯域選択スイッチ及び
アンテナスイッチの一つ以上を含み得る。
【0063】
本開示の他側面は、アンテナ及びマルチプレクサを含む無線通信デバイスである。アン
テナは、無線周波数信号をフィルタリングするべく構成される。マルチプレクサはアンテ
ナと通信する。マルチプレクサは、共通ノードに結合された4つの弾性波フィルタを含む
。4つの弾性波フィルタの第1弾性波フィルタは、複数の弾性表面波共振器と、当該弾性
表面波共振器と共通ノードとの間に直列の一つのバルク弾性波共振器とを含む。ダイプレ
クサ若しくはトライプレクサのような周波数マルチプレクシング回路、及び/又はアンテ
ナスイッチを、マルチプレクサとアンテナとの間に結合してよい。無線周波数信号は、キ
ャリアアグリゲーション信号としてよい。いくつかのアプリケーションにおいて、アンテ
ナはダイバーシティアンテナとしてよく、4つのフィルタは受信フィルタとしてよい。マ
ルチプレクサは、共通ノードに結合された一つ以上の付加弾性波フィルタを含んでよい。
図1は、クアッドプレクサ10の模式的な図である。クアッドプレクサ10は、共通ノー
ドCOMに接続された4つのフィルタを含む。共通ノードCOMは、共通ポートとも称さ
れる。例示のように、クアッドプレクサ10は、第1送信フィルタ12、第1受信フィル
タ14、第2送信フィルタ16及び第2受信フィルタ18を含む。クアッドプレクサ10
の各フィルタは、例示のように帯域通過フィルタとすることができる。クアッドプレクサ
10のフィルタの一つ以上を、弾性波フィルタとしてよい。クアッドプレクサ10のフィ
ルタのすべてを、弾性波フィルタとしてよい。クアッドプレクサ10のいずれのフィルタ
も、ここに説明される原理及び利点に従う2つのタイプの弾性波共振器を含み得る。例え
ば、クアッドプレクサ10のいずれのフィルタも、ここに説明される原理及び利点に従う
複数のSAW共振器及び一つ以上のBAW共振器を含み得る。
【0064】
図2Aは、一実施形態に係るクアッドプレクサ20の複数の弾性波共振器の模式的な図
である。クアッドプレクサ20は、
図1の弾性波デバイス10の一例である。マルチプレ
クサを、
図2Aを参照して説明される適切な原理及び利点に従って実装することができる
。
図2Aにおいて、クアッドプレクサ20の各フィルタには、複数の弾性波共振器が実装
される。例示の弾性波共振器はそれぞれが、1ポート共振器である。かかる共振器は、イ
ンターディジタルトランスデューサ電極を含み、当該共振器の入力部及び出力部は、当該
インターディジタルトランスデューサ電極の対向するバスバーとなる。
【0065】
クアッドプレクサ20の第1弾性波フィルタは、SAW共振器21、22、23及び2
4と、BAW共振器25とを含む。クアッドプレクサ20の第2弾性波フィルタは、SA
W共振器31、32、33及び34と、BAW共振器36とを含む。クアッドプレクサ2
0の第3弾性波フィルタは、SAW共振器41、42、43、44及び45と、BAW共
振器46及び47とを含む。クアッドプレクサ20の第4弾性波フィルタは、SAW共振
器51、52、53、54及び55と、BAW共振器56とを含む。
【0066】
図2Aに例示のように、弾性波フィルタにおける直列SAW共振器を、直列BAW共振
器を経由してクアッドプレクサの共通ノードに結合することができる。またも
図2Aに例
示のように、弾性波フィルタにおける直列SAW共振器及びシャントSAW共振器を、直
列BAW共振器を経由してクアッドプレクサの共通ノードに結合することができる。
図2
Aはまた、少なくとも4つ又は少なくとも5つのSAW共振器が、直列BAW共振器を経
由してクアッドプレクサの共通ノードに結合され得ることを示す。
【0067】
図2Aに例示の弾性波フィルタにおいて、各弾性波フィルタのすべてのSAW共振器が
、対応弾性波フィルタの直列BAW共振器を経由して共通ノードに結合される。これによ
り、複数のSAW共振器のみを含む弾性波フィルタと比べて、共通ノードへの負荷を低減
することができる。またも
図2Aに示されるように、マルチプレクサ及び/又は弾性波フ
ィルタの共振器の少なくとも70%をSAW共振器とし、当該マルチプレクサ及び/又は
弾性波フィルタの他の共振器をBAW技術によって実装してよい。弾性波フィルタを実装
するべく大部分にSAW共振器を使用することにより、かかる弾性波フィルタを、大部分
に又は完全にBAW共振器が実装された弾性波フィルタよりも安価にすることができる。
【0068】
図2Aと、
図4から6のような他のいくつかの実施形態とが、SAW共振器及びBAW
共振器を含むマルチプレクサの例を例示する一方、ここに説明されるいずれかの適切な原
理及び利点は、2つの異なる適切なタイプの共振器によって実装することができる。例え
ば、マルチプレクサのフィルタが、第1タイプの複数の弾性波共振器と、第1タイプの複
数の弾性波共振器と当該マルチプレクサの共通ノードとの間に結合された第2タイプの一
つの直列弾性波共振器とを含み得る。
【0069】
第2タイプの共振器は、第1タイプの共振器よりも低い負荷損失を有し得る。かかる負
荷損失は、マルチプレクサの他のフィルタの一つ以上による望ましくない信号散逸及び/
又は反射が引き起こす一つのフィルタを通る挿入損失の増加に関連する損失を言及し得る
。
【0070】
第2タイプの共振器は、第1タイプの弾性波共振器よりも高い帯域外阻止性を有し得る
。第2タイプの共振器は、第1タイプの共振器よりも高い帯域外品質係数を有し得る。例
えば、第2タイプの共振器は、マルチプレクサの少なくとも一つの他のフィルタの通過帯
域において、第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し得る。高い帯域
外品質係数により、第2タイプの共振器は、第1タイプの共振器よりも低いエネルギー散
逸による大きな帯域外阻止性を与えることができる。所定のアプリケーションにおいて、
第2タイプの共振器は、マルチプレクサの他のフィルタすべての対応通過帯域において、
第1タイプの複数の弾性波共振器よりも高い品質係数を有し得る。品質係数は、格納電力
対放散電力の比を表し得る。品質係数は、周波数依存となり得る。
【0071】
第2タイプの弾性波共振器は、第1タイプの弾性波共振器よりも高価であり、良好な帯
域外性能を達成することができる。弾性波フィルタの2つのタイプの共振器を実装するこ
とにより、帯域外性能及びコストが、相対的に低いコスト及び相対的に高い性能というソ
リューションにおいてバランスされる。
【0072】
図2Aのマルチプレクサ20において、第1タイプの共振器はSAW共振器であり、第
2タイプの共振器はBAW共振器である。2つの異なるタイプの共振器を有するマルチプ
レクサの他例が、
図2B及び2Cを参照して記載される。
【0073】
図2Bは、一実施形態に係るクアッドプレクサ20’の複数の弾性波共振器の模式的な
図である。クアッドプレクサ20’は、2つのタイプのSAW共振器、すなわちタイプA
のSAW及びタイプBのSAW、を含む。クアッドプレクサ20’は
図2Aのクアッドプ
レクサ20と同様であるが、クアッドプレクサ20の複数のBAW共振器の代わりに第2
タイプの複数のSAW共振器が、クアッドプレクサ20’に実装されている点が異なる。
第2タイプのSAW共振器すなわちタイプBのSAWは、第1タイプのSAW共振器すな
わちタイプAのSAWと比べてBAW共振器と同様の利点を有する。例えば、第2タイプ
のSAW共振器すなわちタイプBのSAWは、第1タイプのSAW共振器すなわちタイプ
AのSAWよりも低い負荷損失及び/又は良好な帯域外阻止性及び/又は高い帯域外品質
係数を有し得る。その反面、第2タイプのSAW共振器すなわちタイプBのSAWは、第
1タイプのSAW共振器すなわちタイプAのSAWよりも実装が高価となり得る。したが
って、
図2Bに示されるフィルタトポロジは、相対的に低いコスト及び相対的に高い性能
のソリューションを与えるべく、コスト及び性能をバランスさせることができる。
【0074】
いくつかの例において、第1タイプのSAW共振器すなわちタイプAのSAWを標準S
AW共振器としてよく、第2タイプのSAW共振器すなわちタイプBのSAWを温度補償
SAW(TCSAW)共振器としてよい。標準SAW共振器は、非温度補償となり得る。
TCSAW共振器は、正の周波数温度係数を有する温度補償層を含み得る。例えば、TC
SAW共振器は、IDT電極を覆う二酸化ケイ素を、標準SAW共振器に加えたものとす
ることができる。
【0075】
所定の実施形態によれば、第2タイプのSAW共振器すなわちタイプBのSAWは、典
型的なBAW共振器よりも優れた温度特性を有するBAW共振器と比べて等価又は優れた
特性を有するSAW共振器としてよい。かかる第2タイプのSAW共振器は、相対的に高
い品質係数、相対的に低い周波数温度係数、及び相対的に高い熱放散性を有し得る。この
第2タイプのSAW共振器は、標準SAW共振器と比べて品質係数が増大かつ周波数温度
係数が低下し得る多層基板を有してよい。第2のSAW共振器は、支持基板(例えばシリ
コン)を覆う高速層(例えばサファイア、アルミナ、SiN又はAlN)を覆う機能層(
例えばSiO2、SiON又はTa2O5)を覆う圧電層(例えばニオブ酸リチウム(L
N)又はタンタル酸リチウム(LT))を覆う多層基板の上にIDT電極を含み得る。例
えば、第2タイプのSAW共振器は、LT/SiO2/AlN/Si基板上にIDT電極
を含み得る。第2タイプのSAW共振器は、村田製作所によるIHP(Incredib
le High Performance)SAW共振器としてよい。このクアッドプレ
クサ20’における第2タイプのSAW共振器により、クアッドプレクサ20における第
1タイプのSAW共振器を、非温度補償SAW共振器又は温度補償SAW共振器とするこ
とができる。
【0076】
クアッドプレクサ20’の第1弾性波フィルタは、第1タイプの複数のSAW共振器2
1’、22’、23’及び24’と、第2タイプの一つのSAW共振器25’とを含む。
クアッドプレクサ20’の第2弾性波フィルタは、第1タイプの複数のSAW共振器31
’、32’、33’及び34’と、第2タイプの一つのSAW共振器36’とを含む。ク
アッドプレクサ20’の第3弾性波フィルタは、第1タイプの複数のSAW共振器41’
、42’、43’、44’及び45’と、第2タイプの複数のSAW共振器46’及び4
7’とを含む。クアッドプレクサ20’の第4弾性波フィルタは、第1タイプの複数のS
AW共振器51’、52’、53’、54’及び55’と、第2タイプの一つのSAW共
振器56’とを含む。
【0077】
図2Cは、一実施形態に係るクアッドプレクサ20’’の複数の弾性波共振器の模式的
な図である。クアッドプレクサ20’’は、2つのタイプの共振器、すなわちタイプAの
共振器及びタイプBの共振器、を含む。クアッドプレクサ20’’は
図2Aのクアッドプ
レクサ20及び
図2Bのクアッドプレクサ20’と同様であるが、クアッドプレクサ20
’の2つのタイプの共振器を、任意の適切なタイプの共振器としてよい点が異なる。第2
タイプの共振器は、BAW共振器がSAW共振器に対して有するのと同様の利点を、第1
タイプの共振器に対して有し得る。例えば、第2タイプの共振器は、第1タイプの共振器
よりも低い負荷損失、良好な帯域外阻止性、高い帯域外品質係数等、又はこれらの任意の
適切な組み合わせに関する上述した利点のいずれかを有し得る。その反面、第2タイプの
共振器は、第1タイプの共振器よりも実装が高価となり得る。したがって、
図2Cに示さ
れるフィルタトポロジは、相対的に低いコスト及び相対的に高い性能のソリューションを
与えるべく、コスト及び性能をバランスさせることができる。
【0078】
クアッドプレクサ20’’の第1フィルタは、第1タイプの複数の共振器21’’、2
2’’、23’’及び24’’と、第2タイプの一つの共振器25’’とを含む。クアッ
ドプレクサ20’’の第2フィルタは、第1タイプの複数の共振器31’’、32’’、
33’’及び34’’と、第2タイプの一つの共振器36’’とを含む。クアッドプレク
サ20’’の第3フィルタは、第1タイプの複数の共振器41’’、42’’、43’’
、44’’及び45’’と、第2タイプの複数の共振器46’’及び47’’とを含む。
クアッドプレクサ20’’の第4フィルタは、第1タイプの複数の共振器51’’、52
’’、53’’、54’’及び55’’と、第2タイプの一つの共振器56’’とを含む
。クアッドプレクサ20’’の例示された共振器はすべてを、弾性波共振器としてよい。
【0079】
図3は、クアッドプレクサ60の模式的な図である。ヘキサプレクサ60は、共通ノー
ドCOMに接続された6つのフィルタを含む。例示のように、ヘキサプレクサ60は、第
1送信フィルタ12、第1受信フィルタ14、第2送信フィルタ16、第2受信フィルタ
18、第3送信フィルタ62及び第3受信フィルタ64を含む。ヘキサプレクサ60の各
フィルタを、例示のような帯域通過フィルタとしてよい。ヘキサプレクサ60のフィルタ
一つ以上を、弾性波フィルタとしてよい。ヘキサプレクサ60のフィルタを、弾性波フィ
ルタとしてよい。クアッドプレクサ60のいずれのフィルタも、ここに説明される原理及
び利点に従う2つのタイプの弾性波共振器を含み得る。例えば、クアッドプレクサ60の
いずれのフィルタも、ここに説明される原理及び利点に従う複数のSAW共振器及び一つ
以上のBAW共振器を含み得る。
【0080】
図4は、一実施形態に係るヘキサプレクサ70の弾性波共振器の模式的な図である。ヘ
キサプレクサ70は、
図3のヘキサプレクサ60の一例である。
図4に例示のように、ヘ
キサプレクサ70の各フィルタは、弾性波共振器によって実装される。マルチプレクサを
、
図4を参照して説明される適切な原理及び利点に従って実装することができる。かかる
マルチプレクサの特定のフィルタを、所与のアプリケーションのための設計仕様を目的と
して実装することができる。
図4の弾性波フィルタは、かかるフィルタのいくつかの例を
示す。
【0081】
ヘキサプレクサ70の第1弾性波フィルタは、BAW共振器71と、SAW共振器71
、72、73、74、75、76、77、78及び79とを含む。第1弾性波フィルタは
、
図3の第1送信フィルタ12のような送信フィルタとしてよい。これらのSAW共振器
は、第1弾性波フィルタの弾性波共振器の8/9を占める。
【0082】
ヘキサプレクサ70の第2弾性波フィルタは、BAW共振器81と、SAW共振器82
及び83とを含む。第2弾性波フィルタは、
図3の第1受信フィルタ14のような受信フ
ィルタとしてよい。例示のSAW共振器83は、ダブルモードSAW(DMS)共振器で
あり、これは、結合共振器フィルタ(CRF)とも称する。DMS共振器は、受信フィル
タのような低電力フィルタに実装することができる。DMS共振器は典型的に、相対的に
高い電力を扱うことがない。したがって、DMS共振器を、アンテナノードとなり得る共
通ノードCOMに存在する相対的に高い電力から保護する少なくとも一つの直列弾性波共
振器が存在する必要がある。
【0083】
ヘキサプレクサ70の第3弾性波フィルタは、BAW共振器91と、SAW共振器92
、93、94、95、96、97及び98とを含む。第3弾性波フィルタは、
図3の第2
送信フィルタ16のような送信フィルタとしてよい。
【0084】
ヘキサプレクサ70の第4弾性波フィルタは、BAW共振器101と、SAW共振器1
02、103及び105とを含む。第4弾性波フィルタは、
図3の第2受信フィルタ18
のような受信フィルタとしてよい。
【0085】
ヘキサプレクサ70の第5弾性波フィルタは、BAW共振器111及び112と、SA
W共振器113、114、115、116、117、118及び119とを含む。第5弾
性波フィルタは、
図3の第3送信フィルタ62のような送信フィルタとしてよい。第5弾
性波フィルタは、シャントBAW共振器及び直列BAW共振器が、マルチプレクサの共通
ノードCOMに結合できることを例示する。シャントBAW共振器112は、直列BAW
共振器111の、第5弾性波フィルタのSAW共振器とは反対の側に結合される。
【0086】
ヘキサプレクサ70の第6弾性波フィルタは、SAW共振器122、123、124及
び125を含む。第6弾性波フィルタは、
図3の第3受信フィルタ64のような受信フィ
ルタとしてよい。第6弾性波フィルタは、マルチプレクサのフィルタの一つ以上が複数の
SAW共振器のみによって実装できることを例示する。
【0087】
図5は、一実施形態に係るマルチプレクサ130の弾性波共振器の模式的な図である。
マルチプレクサは、任意の適切な数の弾性波フィルタを含み得る。例えば、マルチプレク
サは、4つのフィルタを備えたクアッドプレクサ、5つのフィルタを備えたペンタプレク
サ、6つのフィルタを備えたヘキサプレクサ、8つのフィルタを備えたオクタプレクサ等
としてよい。いくつかの例において、マルチプレクサ130は、共通ノードCOMに接続
された2から16個の弾性波フィルタを含み得る。マルチプレクサ130の弾性波フィル
タは、受信フィルタ及び/又は送信フィルタの任意の適切な組み合わせを含み得る。弾性
波フィルタの各入力/出力(I/O)ポートは、送信フィルタ用の入力、又は受信フィル
タ用の出力としてよい。各弾性波フィルタは、直列BAW共振器を経由して共通ノードに
結合されたSAW共振器を含み得る。例えば、マルチプレクサ130の第1弾性波フィル
タは、SAW共振器132、133、134及び135と、BAW共振器136とを含む
。ここで、SAW共振器132、133、134及び135はすべてが、直列BAW共振
器136を経由して共通ノードCOMに結合される。例えば、マルチプレクサ130の第
N弾性波フィルタは、SAW共振器142、143、144及び145と、BAW共振器
146とを含む。ここで、SAW共振器142、143、144及び145はすべてが、
直列BAW共振器146を経由して共通ノードCOMに結合される。
【0088】
図6は、一実施形態に係るマルチプレクサ150の弾性波共振器の模式的な図である。
マルチプレクサ150は、
図5のマルチプレクサ130と同様であるが、マルチプレクサ
150が、複数のSAW共振器のみが実装された弾性波フィルタを含む点が異なる。
図6
は、マルチプレクサの一つ以上の弾性波フィルタがSAW共振器を含むが、BAW共振器
を全く含まないことを例示する。例えば、マルチプレクサ150の第1弾性波フィルタは
、SAW共振器152、153、154、155及び156を含むが、BAW共振器を全
く含まない。マルチプレクサ150はまた、直列BAW共振器を経由して共通ノードに結
合されたSAW共振器を備えた一つ以上の弾性波フィルタを含む。例えば、マルチプレク
サ150の第N弾性波フィルタは、SAW共振器162、163、164及び165と、
BAW共振器166とを含む。ここで、SAW共振器162、163、164及び165
はすべてが、直列BAW共振器166を経由して共通ノードCOMに結合される。
【0089】
任意の適切な数のBAW共振器を、フィルタのSAW共振器と共通ノードとの間に結合
することができる。例えば、直列BAW共振器と、一つ以上の他の直列BAW共振器及び
/又は一つ以上のシャントBAW共振器とを、フィルタのSAW共振器と共通ノードとの
間に結合することができる。
【0090】
ここに説明されるマルチプレクサは、様々な無線周波数システムに実装することができ
る。無線周波数信号は、例えば約450MHzから6GHzの範囲のような、約30kH
zから300GHzの範囲の周波数を有する信号を処理することができる。ここに説明さ
れる原理及び利点に従うマルチプレクサを含むいくつかの無線周波数システムは、キャリ
アアグリゲーション信号を処理するべく構成される。キャリアアグリゲーションを備えた
無線周波数システムにおいて、多数のフィルタを、マルチプレクサとして配列して共通ア
ンテナノードに接続することができる。ここに説明されたマルチプレクサ及び/又はフィ
ルタのいずれかの適切な原理及び利点を実装することができる無線周波数システムのいく
つかの例が、以下に説明される。
【0091】
図7、8、9、10A及び10Bは、所定の実施形態に係る例示の無線周波数システム
の模式的なブロック図である。これらの無線周波数システムにおけるマルチプレクサは、
一つ以上弾性波フィルタにおけるSAW共振器と共通ノードとの間に結合されたBAW共
振器を有する結果、負荷損失を低減することができている。これらの弾性波フィルタの一
つ以上に大多数のSAW共振器を実装することはまた、BAW要素の実装がほとんどの同
様の弾性波フィルタと比べてコストを低減することもできる。複数のSAW共振器と一つ
以上のBAW共振器とを含むフィルタの原理及び利点は、任意の2つの異なるタイプの弾
性波共振器を含むフィルタに当てはまり得る。ここに説明される無線周波数システムのマ
ルチプレクサの各フィルタは、帯域通過フィルタとしてよい。
【0092】
図7は、ダイプレクサ176を経由してアンテナ177に結合されたクアッドプレクサ
を含む無線周波数システム170の模式的な図である。
図7において、第1クアッドプレ
クサが、弾性波フィルタ12、14、16及び18を含む。
図7において、第2クアッド
プレクサが、弾性波フィルタ172、173、174及び175を含む。ダイプレクサ1
76は、例示のクアッドプレクサとアンテナ177との間で伝播する無線周波数信号を周
波数マルチプレクシングする役割を果たすことができる。
【0093】
図8は、アンテナ177に結合されたクアッドプレクサを含む無線周波数システム18
0の模式的な図である。
図8は、いくつかのアプリケーションにおいてマルチプレクサが
、介在する周波数マルチプレクシング回路(例えばダイプレクサ又はトライプレクサ)な
しでアンテナに接続され得ることを例示する。例えば、キャリアアグリゲーション信号が
、周波数が相対的に近い2つのキャリアを含むとき、ダイプレクサ又はトライプレクサは
、相対的に実装が困難及び/若しくは高価になり、並びに/又は相対的に高い損失を有し
得る。かかる状況において、複数のフィルタを一つのマルチプレクサとして共通ノードに
一緒に接続することができる。一つの例として、このようなマルチプレクサは、バンド2
5及びバンド66用の送信フィルタ及び受信フィルタを備えたクアッドプレクサとするこ
とができる。
図8に示されるように、所定のアプリケーションにおいてマルチプレクサを
、介在するスイッチ又は周波数マルチプレクシング回路なしでアンテナに接続することが
できる。例えば、2つのキャリアアグリゲーション帯域のみを備えたキャリアアグリゲー
ション信号を無線通信するべく構成された携帯電話機は、介在するスイッチ又は周波数マ
ルチプレクシング回路が全くなしにアンテナに接続されたマルチプレクサを有するマルチ
プレクサを含み得る。
【0094】
図9は、マルチプレクサを経由して受信経路に結合されたアンテナ192を含む無線周
波数システム190の模式的な図である。いくつかの例において、無線を、ダイバーシテ
ィ受信動作を目的として実装することができる。例示のアンテナ192のようなダイバー
シティアンテナは、受信した無線周波数信号をいくつかの受信経路に与えることができる
。マルチプレクサを、複数の受信経路とダイバーシティアンテナとの間に結合することが
できる。
図9に示されるように、受信フィルタ193及び194を含むマルチプレクサ(
例えばクアッドプレクサ)を、受信経路195及び196それぞれとアンテナ192との
間に結合することができる。特定の実装を目的として、任意の適切な数の受信経路及び対
応する受信フィルタを実装することができる。例えば、4つ以上の受信フィルタを、いく
つかの例において、マルチプレクサ及び対応受信経路に含めることができる。いくつかの
実施形態において(例示せず)、マルチプレクサとダイバーシティアンテナとの間にスイ
ッチを結合することができ、及び/又は受信経路とマルチプレクサの受信フィルタとの間
にスイッチを結合することができる。
【0095】
図10Aは、電力増幅器とアンテナ177との間の信号経路にマルチプレクサを含む無
線周波数システム200の模式的な図である。例示の無線周波数システム200は、低帯
域経路、中間帯域経路及び高帯域経路を含む。所定のアプリケーションにおいて、低帯域
経路は、周波数が1GHz未満の無線周波数信号を処理することができ、中間帯域経路は
、周波数が1GHz~2.2GHzの無線周波数信号を処理することができ、高帯域経路
は、周波数が2.2GHzを上回る無線周波数信号を処理することができる。
【0096】
ダイプレクサ176のような周波数マルチプレクシング回路を、信号経路とアンテナ1
77との間に含めることができる。かかる周波数マルチプレクシング回路は、受信経路用
の周波数分割器、及び送信経路用の周波数結合器としての役割を果たすことができる。ダ
イプレクサ176は、周波数が相対的に離れた複数の無線周波数信号を、周波数マルチプ
レクシングすることができる。ダイプレクサ176は、損失が相対的に低い受動回路要素
によって実装することができる。ダイプレクサ176は、複数のキャリアアグリゲーショ
ン信号を(送信用に)結合し、(受信用に)分離することができる。
【0097】
例示のように、低帯域経路は、低帯域無線周波数信号を増幅するべく構成された電力増
幅器201と、帯域選択スイッチ202と、マルチプレクサ203とを含む。帯域選択ス
イッチ202は、電力増幅器201の出力を、マルチプレクサ203の選択された送信フ
ィルタに電気的に接続することができる。選択された送信フィルタは、電力増幅器201
の出力信号の周波数に対応する通過帯域を有する帯域通過フィルタとすることができる。
マルチプレクサ203は、任意の適切な数の送信フィルタ、及び任意の適切な数の受信フ
ィルタを含み得る。マルチプレクサ203は、所定のアプリケーションにおいて、受信フ
ィルタと同じ数の送信フィルタを有してよい。いくつかの例において、マルチプレクサ2
03は、受信フィルタとは異なる数の送信フィルタを有してよい。
【0098】
図10Aに例示されるように、中間帯域経路は、中間帯域無線周波数信号を増幅するべ
く構成された電力増幅器204と、帯域選択スイッチ205と、マルチプレクサ206と
を含む。帯域選択スイッチ205は、電力増幅器204の出力を、マルチプレクサ206
の選択された送信フィルタに電気的に接続することができる。選択された送信フィルタは
、電力増幅器204の出力信号の周波数に対応する通過帯域を有する帯域通過フィルタと
することができる。マルチプレクサ206は、任意の適切な数の送信フィルタ、及び任意
の適切な数の受信フィルタを含み得る。マルチプレクサ206は、所定のアプリケーショ
ンにおいて、受信フィルタと同じ数の送信フィルタを有してよい。いくつかの例において
、マルチプレクサ206は、受信フィルタとは異なる数の送信フィルタを有してよい。
【0099】
例示の無線周波数システム200において、高帯域経路は、高帯域無線周波数信号を増
幅するべく構成された電力増幅器207と、帯域選択スイッチ208と、マルチプレクサ
209とを含む。帯域選択スイッチ208は、電力増幅器207の出力を、マルチプレク
サ209の選択された送信フィルタに電気的に接続することができる。選択された送信フ
ィルタは、電力増幅器207の出力信号の周波数に対応する通過帯域を有する帯域通過フ
ィルタとすることができる。マルチプレクサ209は、任意の適切な数の送信フィルタ、
及び任意の適切な数の受信フィルタを含み得る。マルチプレクサ209は、所定のアプリ
ケーションにおいて、受信フィルタと同じ数の送信フィルタを有してよい。いくつかの例
において、マルチプレクサ209は、受信フィルタとは異なる数の送信フィルタを有して
よい。
【0100】
選択スイッチ210が、中間帯域経路又は高帯域経路からの無線周波数信号をダイプレ
クサ176に選択的に与えることができる。したがって、無線周波数システム200は、
低帯域及び高帯域の組み合わせ又は低帯域及び中間帯域の組み合わせのいずれかにより、
キャリアアグリゲーション信号を処理することができる。
【0101】
図10Bは、電力増幅器とアンテナとの間の信号経路にマルチプレクサを含む無線周波
数システム212の模式的な図である。無線周波数システム212は、
図10Aの無線周
波数システム200と同様であるが、無線周波数システム212がスイッチプレクシング
特徴を含む点が異なる。スイッチプレクシングは、ここに説明される任意の適切な原理及
び利点に従って実装することができる。
【0102】
スイッチプレクシングは、オンデマンドマルチプレクシングを実装することができる。
いくつかの無線周波数システムは、大量の時間(例えば時間全体の約95%)に対してシ
ングルキャリアモードで動作し、少量の時間(例えば時間全体の約5%)に対してキャリ
アアグリゲーションモードですることができる。スイッチプレクシングは、シングルキャ
リアモードにおいて負荷を低減することができる。ここで、無線周波数システムは、共通
ノードに固定接続を有するフィルタを含むマルチプレクサと比べ、大量の時間動作するこ
とができる。このような負荷の低減は、マルチプレクサに多数のフィルタが含まれる場合
にさらに有意となり得る。
【0103】
例示の無線周波数システム212において、マルチプレクサ213及び214は、スイ
ッチ215を経由してダイプレクサ176に結合される。スイッチ215は、2つ以上の
投が同時にアクティブになり得るマルチ閉スイッチとして構成される。同時にアクティブ
になる多投をスイッチ215が有することにより、キャリアアグリゲーション信号の送信
及び/又は受信を有効にすることができる。スイッチ215はまた、シングルキャリアモ
ードの間にアクティブになる短投も含んでよい。例示のように、マルチプレクサ213は
、スイッチ215の別々の投に結合された複数のデュプレクサを含む。同様に、例示のマ
ルチプレクサ214も、スイッチ215の別々の投に結合された複数のデュプレクサを含
む。代替的に、
図10Bに例示のようにスイッチ215の各投にデュプレクサを結合する
代わりに、マルチプレクサの個別のフィルタの一つ以上を、当該マルチプレクサと共通ノ
ードとの間に結合されたスイッチの専用投に結合してもよい。例えば、いくつかのアプリ
ケーションにおいて、かかるスイッチは、例示のスイッチ215の2倍もの多くの投を有
し得る。
【0104】
スイッチ215は、マルチプレクサ213及び214それぞれのフィルタと共通ノード
COMとの間に結合される。
図10Bは、共通ノードに電気的に同時接続され得るのがマ
ルチプレクサのフィルタのすべてよりは少ないことを例示する。
【0105】
いくつかの例において、電力増幅器とマルチプレクサとの間に結合されたスイッチの2
投以上が同時にアクティブにされる。例えば、無線周波数システム212において、帯域
選択スイッチ205及び/又は帯域選択スイッチ208の2投以上が、所定の実施形態に
おいて同時にアクティブにされる。スイッチの多投によりマルチプレクサのフィルタが電
力増幅器に電気的に同時接続される場合、負荷損失が生じ得る。したがって、マルチプレ
クサの弾性波フィルタの一つ以上が、弾性表面波共振器と電力増幅器との間に結合された
直列バルク弾性波共振器を含み得る。
【0106】
図10Cは、一実施態に係るマルチプレクサ216の弾性波共振器の模式的な図である
。マルチプレクサ216は、
図5のマルチプレクサ130と同様であるが、SAW共振器
132及び142がBAW共振器217及び218それぞれによって置換されている点が
異なる。BAW共振器217及び218は、例えば多投スイッチの多投が同時にアクティ
ブになることによりポートI/O
1及びI/O
Nが互いに電気的に接続されるアプリケー
ションにおいて、SAW共振器132及び142と比べて負荷を低減することができる。
示される例のように、
図10CのBAW共振器217及び218は、BAW共振器217
及び218が
図10Bの帯域選択スイッチ205の2投により互いに電気的に接続される
とき、
図5のSAW共振器132及び142と比べて負荷を低減することができる。任意
の適切な数のBAW共振器を、フィルタのSAW共振器とI/Oポート(例えば送信フィ
ルタ用の入力ポート)との間に結合することができる。例えば、直列BAW共振器と、一
つ以上の他の直列BAW共振器及び/又は一つ以上のシャントBAW共振器とを、フィル
タのSAW共振器と共通ノードとの間に結合することができる。いくつかの例において、
直列BAW共振器は、I/Oポートと、マルチプレクサの送信フィルタのみの弾性表面波
共振器(当該マルチプレクサの受信フィルタの弾性表面波共振器ではない)との間に結合
される。いくつかの例において、直列BAW共振器は、I/Oポートと、マルチプレクサ
の部分集合送信フィルタのみの弾性表面波共振器(当該マルチプレクサの受信フィルタ及
び他の一つ以上の送信フィルタの弾性表面波共振器ではない)との間に結合される。
【0107】
図11Aは、ここに記載される実施形態に係る一つ以上フィルタの弾性波共振器を含む
異なるダイを有するフィルタアセンブリ220のブロック図である。例示のように、フィ
ルタアセンブリ220は、共通基板226上に含まれるSAWダイ222及びBAWダイ
224を含む。一つ以上の弾性波フィルタが、SAWダイ222及びBAWダイ224上
に実装された共振器を含み得る。BAWダイ224は、所定の実施形態に係るFBARダ
イとしてよい。基板226は、積層基板又は任意の他の適切なパッケージ基板としてよい
。マルチプレクサの、一つ以上の弾性波フィルタの共振器を、SAWダイ222及びBA
Wダイ224上に実装することができる。一つ以上のマルチプレクサの共振器も、SAW
ダイ222及びBAWダイ224上に実装することができる。例えば、多数のマルチプレ
クサ用の共振器を、SAWダイ224及びBAWダイ224上に実装することができる。
【0108】
一つの例として、クアッドプレクサに、共通ノードに電気的に接続されたバンド25及
びバンド66用のデュプレクサを実装することができる。いくつかの設計において、バン
ド25の送信フィルタ及び受信フィルタを、性能仕様を満たすべくBAW共振器によって
実装することができ、バンド66の送信フィルタ及び受信フィルタが、費用を節約するべ
くSAW共振器によって実装されている。ここに説明される原理及び利点によれば、バン
ド66の送信フィルタ及び受信フィルタにおける大多数の共振器(例えば少なくとも70
%、少なくとも80%、又はそれ以上)を、SAWダイ222のSAW共振器を使用して
実装することができる。これらのSAW共振器は、BAWダイ224上の直列BAW共振
器を経由して共通ノードに結合することができる。バンド66の送信フィルタ及び受信フ
ィルタは、BAWダイ224上の共振器によって実装することができる。いくつかの例に
おいて、バンド66の送信フィルタ及び/又は受信フィルタの共振器の一つ以上を、SA
Wダイ222上に実装することができる。
【0109】
もう一つの例として、所定の実施形態によれば、デュプレクサが、BAWダイ224上
の少なくとも一つの共振器及びSAWダイ222上の複数の共振器を含む送信フィルタと
、BAWダイ224上の少なくとも一つの共振器及びSAWダイ222上の複数の共振器
を含む受信フィルタとを含み得る。
【0110】
所定の実施形態によれば、マルチプレクサの一つ以上の弾性波フィルタに、SAWダイ
222及びBAWダイ224双方上の共振器を実装することができ、同じマルチプレクサ
の一つ以上の弾性波フィルタに、SAWダイ222又はBAWダイ224の一方のみ上の
共振器を実装することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、異なる周波数範囲に対して異なるSAWダイ及び/又は
異なるBAWダイを実装することができる。そのような異なる周波数範囲に対するものは
、異なる厚さの圧電層及び/又はメタライゼーション層を含み得る。
【0112】
図11Bは、ここに記載される実施形態に係るフィルタの弾性波共振器を含む異なるダ
イを有するフィルタアセンブリ227のブロック図である。例示のように、フィルタアセ
ンブリ227は、共通基板226上に含まれるSAWダイ222A及び222B並びにB
AWダイ224を含む。マルチプレクサが、第1SAWダイ222A及びBAWダイ22
4上に実装された共振器を含む弾性波フィルタを含み得る。マルチプレクサはまた、第2
SAWダイ222B及びBAWダイ224上に実装された共振器を含む他の弾性波フィル
タも含んでよい。異なるSAWダイ222A及び222Bは、異なる所定周波数範囲内の
無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された弾性波フィルタのためのSAW共振
器を実装することができる。
図2Aのマルチプレクサ20を、フィルタアセンブリ227
によって実装することができる。例えば、マルチプレクサ20の第1送信フィルタ及び第
1受信器のSAW共振器を、第1SAWダイ222A上に実装することができ、マルチプ
レクサ20の第2送信フィルタ及び第2受信フィルタのSAW共振器を、第2SAWダイ
222B上に実装することができ、マルチプレクサ20の各フィルタのBAW共振器を、
BAWダイ224上に実装することができる。いくつかの他の例(例示せず)において、
マルチプレクサ20のBAW共振器を、2つ以上のBAWダイ上に実装することができる
。
【0113】
図11Cは、ここに記載される実施形態に係るフィルタの弾性波共振器を含む異なるダ
イを有するフィルタアセンブリ229のブロック図である。例示のように、フィルタアセ
ンブリ229は、共通基板226上に含まれるSAWダイ222A、222B及び222
C、並びにBAWダイ224を含む。マルチプレクサが、第1SAWダイ222A及びB
AWダイ224上に実装された共振器を含む弾性波フィルタを含み得る。マルチプレクサ
はまた、第2SAWダイ222B及びBAWダイ224上に実装された共振器を含む他の
弾性波フィルタも含んでよい。マルチプレクサはさらに、第3SAWダイ222C及びB
AWダイ224上に実装された共振器を含む付加弾性波フィルタを含んでよい。異なるS
AWダイ222A、222B及び222Cは、異なる所定周波数範囲内の無線周波数信号
をフィルタリングするべく配列された弾性波フィルタのためのSAW共振器を実装するこ
とができる。
【0114】
図4のマルチプレクサ70は、フィルタアセンブリ229によって実装することができ
る。例えば、マルチプレクサ70の第1送信フィルタ及び第1受信器のSAW共振器を、
第1SAWダイ222A上に実装することができ、マルチプレクサ70の第2送信フィル
タ及び第2受信フィルタのSAW共振器を、第2SAWダイ222B上に実装することが
でき、マルチプレクサ70の第3送信フィルタ及び第3受フィルタのSAW共振器を、第
3SAWダイ222C上に実装することができ、マルチプレクサ70のBAW共振器を、
BAWダイ224上に実装することができる。いくつかの他の例(例示せず)において、
マルチプレクサ70のBAW共振器を、2つ以上のBAWダイ上に実装することができる
。
【0115】
ここに説明されるフィルタ及びマルチプレクサは、様々なパッケージ状モジュールに実
装することができる。ここに説明されたマルチプレクサ及び/又はフィルタのいずれかの
適切な原理及び利点を実装することができるパッケージ状モジュールのいくつかの例が、
以下に説明される。
図12、13及び14は、所定の実施形態に係る例示的なパッケージ
状モジュールの模式的なブロック図である。
【0116】
図12は、電力増幅器232、スイッチ234、及び一つ以上の実施形態に係るフィル
タ236を含むモジュール230の模式的なブロック図である。モジュール230は、例
示の素子を封入するパッケージを含み得る。電力増幅器232、スイッチ234及びフィ
ルタ236は、共通パッケージ基板上に配置することができる。パッケージ基板は、例え
ば積層基板としてよい。スイッチ234は、多投無線周波数スイッチとしてよい。スイッ
チ234は、電力増幅器232の出力を、フィルタ236の選択されたフィルタに電気的
に結合することができる。フィルタ236は、マルチプレクサとして構成された任意の適
切な数の弾性波フィルタを含み得る。フィルタ236の弾性波フィルタは、ここに説明さ
れるいずれかの適切な原理及び利点に従って実装することができる。フィルタ236は、
一つ以上のSAWダイ及び一つ以上のBAWダイを含み得る。
【0117】
図13は、電力増幅器242及び243、スイッチ244及び245、並びに一つ以上
の実施形態に係るフィルタ246を含むモジュール240の模式的なブロック図である。
モジュール240は、
図12のモジュール230と同様であるが、モジュール240が、
付加電力増幅器243及び付加スイッチ245を含んでフィルタ246が、電力増幅器に
関連付けられた信号経路のための一つ以上のマルチプレクサとして配列される点が異なる
。
【0118】
図14は、電力増幅器252及び253、スイッチ254及び255、一つ以上の実施
形態に係るフィルタ257及び258、並びにアンテナスイッチ259を含むモジュール
250の模式的なブロック図である。モジュール250は、
図13のモジュール240と
同様であるが、モジュール250が、フィルタ257又はフィルタ258からの信号をア
ンテナノードに選択的に結合するべく配列されたアンテナスイッチ259を含む点が異な
る。フィルタ257及び258は、
図14において別々のマルチプレクサとして配列され
る。
【0119】
図15は、一つ以上の実施形態に係るフィルタ263を含む無線通信デバイス260の
模式的なブロック図である。無線通信デバイス260は、任意の適切な無線通信デバイス
としてよい。例えば、無線通信デバイス260は、スマートフォンのような携帯電話機と
してよい。例示のように、無線通信デバイス260は、アンテナ261、RFフロントエ
ンド262、RF送受信器264、プロセッサ265及びメモリ266を含む。アンテナ
261は、RFフロントエンド262が与えるRF信号を送信することができる。アンテ
ナ261は、受信したRF信号を、処理を目的としてRFフロントエンド262に与える
ことができる。
【0120】
RFフロントエンド262は、一つ以上の電力増幅器、一つ以上の低雑音増幅器、複数
のRFスイッチ、複数の受信フィルタ、複数の送信フィルタ、複数のデュプレクスフィル
タ、又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。RFフロントエンド262は、任意の適
切な通信規格に関連付けられたRF信号を送信及び受信することができる。ここに説明さ
れる弾性波フィルタ及び/又はマルチプレクサは、RFフロントエンド262のフィルタ
263によって実装することができる。
【0121】
RF送受信器264は、増幅及び/又は他の処理を目的としてRF信号をRFフロント
エンド262に与えることができる。RF送受信器264はまた、RFフロントエンド2
62の低雑音増幅器が与えるRF信号を処理することができる。RF送受信器264はプ
ロセッサ265と通信する。プロセッサ265はベース帯域プロセッサとしてよい。プロ
セッサ265は、無線通信デバイス260のための任意の適切なベース帯域処理機能を与
えることができる。メモリ266は、プロセッサ265によってアクセスすることができ
る。メモリ266は、無線通信デバイス260のための任意の適切なデータを記憶するこ
とができる。
【0122】
上述した実施形態のいくつかが、セルラーハンドセットのような携帯型デバイスに関連
する例を与えてきた。しかしながら、こうした実施形態の原理及び利点は、ここに説明さ
れる実施形態のいずれかから有益となり得るアップリンクセルラーデバイスのような、任
意の他のシステム又は装置のために使用することができる。ここでの教示は、様々なシス
テムに適用可能である。本開示がいくつかの実施形態例を含むにもかかわらず、ここに説
明される教示は、様々な構造に適用することができる。ここに説明される原理及び利点は
いずれも、約450MHz~6GHzの範囲のような、約30kHz~300GHzの範
囲にある信号を処理するRF回路構成に関連して実装することができる。
【0123】
本開示の複数の側面は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの
例は、消費者電子製品、弾性波共振器ダイ及び/又は半導体ダイ及び/又はパッケージ状
無線周波数モジュールのような消費者電子製品の部品、アップリンク無線通信デバイス、
無線通信インフラストラクチャ、電子試験機器等を含むがこれらに限られない。電子デバ
イスの例は、スマートフォンのような携帯型電話機、スマートウォッチ又はイヤーピース
のような装着可能コンピューティングデバイス、電話機、テレビ、コンピュータモニタ、
コンピュータ、モデム、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレ
ットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、
自動車、ステレオシステム、DVDプレーヤー、CDプレーヤー、MP3プレーヤーのよ
うなデジタル音楽プレーヤー、ラジオ、ビデオカメラ、カメラ、デジタルカメラ、携帯型
メモリーチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯/乾燥機、コピー機、ファックス機、スキャナ、
多機能周辺デバイス、腕時計、置時計等を含むがこれらに限られない。さらに、電子デバ
イスは未完成の製品も含んでよい。
【0124】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが明らかでない限り
、「含む」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「~
を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される単
語「結合」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれ
かとなり得る2つ以上の要素を言及する。同様に、ここで一般に使用される単語「接続」
は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得
る2つ以上の要素を言及する。加えて、単語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の
単語は、本アプリケーションにおいて使用される場合、本アプリケーション全体を言及し
、本アプリケーションの任意の固有部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、
単数又は複数を使用する上述の詳細な説明における用語はそれぞれ、複数又は単数をも含
み得る。2つ以上の項目のリストを言及する単語「又は」及び「若しくは」は、当該単語
の以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストの
すべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
【0125】
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例え
ば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないこと
が述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態
が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを
伝えるように意図される。すなわち、かかる条件的言語は、特徴、要素及び/若しくは状
態が一つ以上の実施形態にとって必要な任意の態様にあること、又は一つ以上の実施形態
が必ず、筆者のインプット若しくは促しありで若しくはなしで、これらの特徴、要素及び
/若しくは状態が任意の固有実施形態に含まれ若しくは当該実施形態で行われるか否かを
決定するロジックを含むこと、を示唆することを一般には意図しない。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態が記載されたが、これらの実施形態は、例のみとして提示
されており、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載され
る新規な方法、装置及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに
、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開
示の要旨から逸脱することなくなし得る。例えば、ブロックが所与の配列で提示されるが
、代替実施形態は、異なるコンポーネント及び/又は回路トポロジで同様の機能を果たす
ことができ、いくつかのブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正す
ることができる。これらのブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することがで
きる。上述した様々な実施形態の要素及び工程の任意の適切な組み合わせを、さらなる実
施形態を与えるように組み合わせることができる。添付の特許請求の範囲及びその均等物
が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。