(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】警報装置
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240110BHJP
G08B 17/107 20060101ALI20240110BHJP
G08B 17/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B17/107
G08B17/06 K
(21)【出願番号】P 2022136819
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2021069076の分割
【原出願日】2016-10-25
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2015211508
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015215527
(32)【優先日】2015-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015224619
(32)【優先日】2015-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015234562
(32)【優先日】2015-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016086052
(32)【優先日】2016-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】津留見 隼人
(72)【発明者】
【氏名】榎本 学
(72)【発明者】
【氏名】島津 朋彦
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-352932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 17/107
G08B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置対象物の設置面に取り付けられる警報装置であって、前記設置面と対向する取付面を有する警報装置であり、
気体に含まれている煙を検出するための検出手段と、
前記検出手段を収容する収容手段と、
少なくとも前記検出手段の電気的な動作のための回路基板と、を備え、
前記収容手段は、前記気体を前記取付面の方向に沿って前記収容手段の内部に流入させる第1流入開口を有しており、
前記検出手段は、前記第1流入開口側である外側を第2流入開口で区画された検出空間を有しており、前記検出空間に流入した前記気体に含まれる前記煙を検出するように構成されており、前記第1流入開口における前記取付面に略直交する方向の寸法は、前記第2流入開口における前記取付面に略直交する方向の寸法よりも小さく、
前記収容手段の内部に前記取付面と略直交する方向においては前記取付面側と前記取付面とは反対側とに挟まれた断面を有する内部空間を形成し、前記内部空間を流路として前記第1流入開口及び前記第2流入開口を順次介して前記取付面の方向に略沿って外部からの前記気体を前記検出空間に流入させるものであって、前記取付面と略直交する方向においては前記第1流入開口から前記収容手段の内部に流入した前記気体を前記取付面とは反対側から前記取付面の側に向けて誘導して前記第2流入開口を介して前記
検出空間へ流入させる誘導手段を有し、
前記回路基板は、前記収容手段の内部であって前記流路よりも前記設置面の反対側に収容されている、
警報装置。
【請求項2】
前記内部空間には、前記取付面に略直交する方向の断面が、第2流入開口側に対して大きくなる部分を、前記第1流入開口側に設けた、
請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記内部空間には、前記取付面に略直交する方向の断面が、前記第1流入開口から前記第2流入開口に向かうにつれて段階的に小さくなる部分を設けた、
請求項1に記載の警報装置。
【請求項4】
前記検出空間は、前記取付面と略直交する方向において前記第1流入開口よりも前記取付面側に位置する、
請求項1に記載の警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面または天井面に対し取付けられる警報装置に関する。
【0002】
本出願は、2015年10月28日付け出願の日本特許出願である特願2015-211508号、2015年11月17日付け出願の日本特許出願である特願2015-224619号、2015年11月2日付け出願の日本特許出願である特願2015-215527号、2015年12月1日付け出願の日本特許出願である特願2015-234562、及び2016年4月22日付け出願の日本特許出願である特願2016-086052の利益を主張するものであり、全体の参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
建物の壁面または天井面などの設置面に取付けられる機器にあっては、機器本体が取付板により固定される場合がある。このような機器として、例えば火災警報器やガス警報器がある。火災警報器は、火災によって生じた煙または熱、あるいは火炎をセンサーにより検出し、火災を検出したら音声や光などによる警報を発する。
【0004】
取付板は、一方の面が建物の設置面に対して当接し、固定される面となり、他方の面が機器本体を固定可能な面となる。機器本体を設置面に取付ける際には、まず、取付板を設置面に対しネジ止め固定し、固定された取付板に対して機器本体が取付固定される。取付板と機器本体からなる機器取付構造としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【0005】
火災警報器の筐体内には、音声を発するためのスピーカーが設けられる。スピーカーからは、火災が検出された際の警報などが発せられる。スピーカーは、筐体内に固定されており、筐体の前面部には、スピーカーと対向する位置に音響孔が形成される。スピーカーからの音声は、音響孔を経て筐体の前面側に伝播される。このような火災警報器としては、例えば特許文献2に挙げるようなものがある。
【0006】
主に住宅に設置される火災警報器にあっては、最初の電源投入や、定期的に行う動作テスト、あるいは発報時の警報停止といった操作を簡単に行うため、筐体の主に前面に操作ボタンが設けられる。操作ボタンを押圧操作することで、火災警報器内部の押し釦スイッチを押圧することができ、各種操作を行うことができる。また、操作ボタンには、引き紐の取付部が設けられることがある。火災警報器が高所に設けられる場合などには、引き紐を操作ボタンに取付けることで、引き紐を引くことで操作ボタンの操作を行うことができる。このような操作ボタンを備えた火災警報器としては、例えば特許文献3に挙げるようなものがある。
【0007】
火災警報器は、建物の壁面または天井面などの設置面に取付けられ、火災によって生じた煙をセンサー部により検出し、火災を検出したら音声や光などによる警報を発する。火災警報器における煙の検出は、発光部と受光部とを有する検煙部によってなされる。受光部は、検煙部内において発光部からの光が直接入射しないように配置される。煙が検煙部内に侵入した場合には、発光部からの光の一部が煙によって散乱し、この散乱光を受光部で受光することにより、煙の存在を検出することができる。検煙部は上述のような原理で煙を検出するため、検煙部に外部からの光が入らないようにする必要がある。このため、検煙部の領域を覆うように検煙部カバーが設けられる。検煙部カバーは、基部から立ち上がる壁部が、周方向に沿って複数設けられている。この壁部によって、外部からの光を遮光し、受光部に入射することを防止している。このような検煙部カバーを有する火災警報器としては、例えば特許文献4に挙げるようなものがある。
【0008】
また従来、監視領域の設置面に設置されて、当該監視領域内の煙を検知して警報を行う光電式煙感知器が提案されている(例えば、特許文献5)。このような従来の光電式煙感知器は、概略的に、発光素子、受光素子、受光レンズ、検出部本体、及び検煙部を備え、発光素子から、検出部本体と検煙部とによって区画される検出空間に発光された光に基づく検煙部内の散乱光を受光レンズが集光し、集光した光を受光素子が受光し、この受光素子における受光の光量等に基づいて、検出空間に流入した煙を検知して警報を行っていた。ここで、このような光電式煙感知器を組み立てる際には、まず発光素子と受光素子を、検出部本体に設けられた取付用の機構(発光素子及び受光素子に対応する形状の穴部等)に対してセットして発光素子と受光素子の光軸を確定し、この状態で発光素子と受光素子の接続線(足)を基板のスルーホールに挿通した後に、接続線を基板にハンダ付けして実装していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2007-47896号公報
【文献】特開2012-14742号公報
【文献】特開2007-122414号公報
【文献】特開2011-248545号公報
【文献】特開2010-39935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
取付板を設置面に対しネジ止めすると、取付板の前面側、すなわち機器本体の取付側に、ネジの頭部が露出する。機器本体を取付板に対し取付ける際に、ネジの頭部が機器本体に当たってしまうと、機器本体に損傷を与える可能性がある。例えば、電池が搭載される機器本体において、ネジの頭部が電池に衝突することで、電池を損傷させる可能性がある。また、それ以外にも、機器本体が有する配線等をネジの頭部が損傷させる可能性もある。特に、機器本体を薄型化した場合、機器本体に空間的な余裕が小さくなるため、取付板から露出するネジの頭部が、機器本体に影響を与える可能性が高くなる。
【0011】
火災警報器においては、スピーカーからの音声レベルが、所定以上であることが求められる。すなわち、スピーカーの音圧が所定以上でなければならないが、筐体の小型化に伴い、搭載できるスピーカーの径が限られる。このため、スピーカーの径をそのままに、音圧をより大きくすることが望まれている。
【0012】
操作ボタンを操作しやすくするためには、操作ボタンを大型化することが望ましい。しかし、操作ボタンを大型化すると、押圧動作及び元の位置への復帰動作のための構造が複雑になり、操作ボタンの部品点数が増加したり、あるいは操作ボタンの形状そのものが複雑化することとなっていた。操作ボタンの構造が複雑化することで、部品公差による押圧操作のばらつきが生じることもあった。
【0013】
火災警報器に対しては、小型化が求められている。検煙部カバーは、遮光性向上のため、壁部が断面略V字状に形成されているので、径方向の大きさが比較的大きく、火災警報器の小型化を阻害する要因となっていた。
また、火災警報器には、音声を発報するためのスピーカーが設けられ、このスピーカーが検煙部カバーと筐体の厚み方向において一部重なり合う配置になると、スピーカーから十分な音圧を得られなくなる可能性があるので、両者が重ならない配置とする必要がある。火災警報器を小型化して筐体が小さくなるのに伴い、これらが重ならないように配置することが困難となっていた。
【0014】
しかしながら、上記のような実装方法では、発光素子と受光素子の接続線を基板のスルーホールに対して同時に挿通する必要があるため、挿通作業が困難であり、発光素子と受光素子の実装に手間を要していた。また、検出部本体に発光素子や受光素子を取り付けるための取付用の機構を必要とするため検出部本体の機構が複雑化してしまうため好ましくなかった。
【0015】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、取付板を固定するネジが機器本体に影響を与えないようにすることのできる機器取付構造及び取付板を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、筐体内に取付けられるスピーカーの音圧を大きくすると共に、スピーカー設置の省スペース化及び確実な固定をなすことのできる警報器を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で押圧動作及び元の位置への復帰動作をばらつきなく行うことのできる警報器を提供することを目的とする。
また、本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、検煙部を小型化し、筐体内で検煙部カバーがスピーカーなどと重なり合わないように配置できる火災警報器を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、検出手段(発光素子及び受光素子に対応)の実装作業を簡素化することができると共に、被覆手段(検出部本体に対応)の機構を簡素化することができる警報装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1記載の警報装置は、設置対象物の設置面に取り付けられる警報装置であって、前記設置面と対向する取付面を有する警報装置であり、気体に含まれている煙を検出するための検出手段と、前記検出手段を収容する収容手段と、少なくとも前記検出手段の電気的な動作のための回路基板と、を備え、前記収容手段は、前記気体を前記取付面の方向に沿って前記収容手段の内部に流入させる第1流入開口を有しており、前記検出手段は、前記第1流入開口側である外側を第2流入開口で区画された検出空間を有しており、前記検出空間に流入した前記気体に含まれる前記煙を検出するように構成されており、前記第1流入開口における前記取付面に略直交する方向の寸法は、前記第2流入開口における前記取付面に略直交する方向の寸法よりも小さく、前記収容手段の内部に前記取付面と略直交する方向においては前記取付面側と前記取付面とは反対側とに挟まれた断面を有する内部空間を形成し、前記内部空間を流路として前記第1流入開口及び前記第2流入開口を順次介して前記取付面の方向に略沿って外部からの前記気体を前記検出空間に流入させるものであって、前記取付面と略直交する方向においては前記第1流入開口から前記収容手段の内部に流入した前記気体を前記取付面とは反対側から前記取付面の側に向けて誘導して前記第2流入開口を介して前記検出空間へ流入させる誘導手段を有し、前記回路基板は、前記収容手段の内部であって前記流路よりも前記設置面の反対側に収容されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態1の火災警報器の正面側から見た斜視図である。
【
図5】設置面に締め込まれているネジと取付板との斜視図である。
【
図7】本実施形態2-1における火災警報器の正面図である。
【
図11】スピーカーを取付けた基板部の正面図である。
【
図13】実施形態2-2の火災警報器に用いられる基板部の正面図である。
【
図14】実施形態2-3の火災警報器に用いられる基板部の正面図である。
【
図15】本実施形態3における火災警報器の正面図である。
【
図20】操作ボタンを背面側から見た斜視図である。
【
図23】
図15のB-B断面のうち、筐体下部の拡大図である。
【
図24】
図16の状態から操作ボタンを押圧操作した状態における筐体下部の拡大断面図である。
【
図25】本実施形態4における火災警報器の正面側から見た斜視図である。
【
図29】
図28のうちセンサー部の検知位置と遮光壁部とが直接対向する範囲の拡大図である。
【
図30】本実施形態5に係る警報装置の斜視図である。
【
図34】下側から見た警報装置の分解斜視図である。
【
図35】上側から見た警報装置の分解斜視図である。
【
図44】防虫網が省略された状態の検出部カバーの正面図である。
【
図55】回路基板及び実装用治具を示す断面図である。
【
図56】初期状態の実装用治具を示す斜視図である。
【
図57】発光部、受光部、及びシールドを実装用治具に配置した状態の実装用治具を示す斜視図である。
【
図58】回路基板を載置した状態の実装用治具を示す斜視図である。
【
図59】上蓋を閉状態にした実装用治具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図面に沿って詳細に説明する。本実施形態1では、設置面に取付けられる機器が火災警報器であるものとして説明する。
図1には本実施形態1における火災警報器の正面側から見た斜視図を、
図2には火災警報器の背面側から見た斜視図を、それぞれ示している。本実施形態1の火災警報器は、火災の発生を検出して警報を発する警報器本体1と、警報器本体1を設置面に対して取付ける取付板2とを有している。
【0019】
警報器本体1は、煙を検出するセンサーなどを内部に有する筐体10を有している。筐体10は、側面部に煙流入口12を有し、この煙流入口12から煙を筐体10の内部に導き、センサーによって煙を検出する。
【0020】
筐体10は、室内側に面する前面11を有し、前面11には、各種操作を行うための操作ボタン13と、筐体10の内部に設けられるスピーカーからの音声を発するための音響孔14とが設けられている。
【0021】
取付板2は、警報器本体1の背面側に設けられ、警報器本体1を固定することができる。取付板2が固定される設置面は、本実施形態1では住宅の壁面である。取付板2が、垂直面である設置面に対して固定された後、取付板2に対して警報器本体1が取付固定される。
【0022】
取付板2は、中央部に孔を有する略リング状に形成された警報器固定面部20を有している。警報器固定面部20の上端部には、上突出部21が形成されている。上突出部21は、予め設置面に引っ掛けられる場所がある場合に用いられるが、本実施形態1では用いられない。上突出部21の根元部分には、溝状の切り込みが形成されており、上突出部21を使用しない場合には、これを簡単に折って取り除くことができる。
【0023】
図3には、警報器本体1の背面図を示している。警報器本体1の背面には、上部に電池収納部16が形成され、その内部には電池17が収納されている。電池収納部16は、背面側に開口する凹状に形成されており、その開口には蓋がされていない。これにより、筐体10を蓋の厚み分、薄型化している。また、警報器本体1の背面には、周方向3箇所に取付板固定部15が形成されている。取付板固定部15は、取付板2に対して回転係止できるように形成されている。
【0024】
取付板2の構造について、より詳細に説明する。
図4には、取付板2の正面図を示している。取付板2の警報器固定面部20には、周方向に沿って3箇所に係止片部24が爪状に形成されている。係止片部24は、警報器本体1の背面部に形成される取付板固定部15に対応した位置に形成されており、これを回転係止させることが可能である。
【0025】
また、警報器固定面部20には、取付板2を設置面に対して固定するためのネジを挿通させることのできるネジ孔部22が複数設けられている。本実施形態1では、複数のネジ孔部22のうち、上部12時の方向にあるネジ孔部22を使用するので、以下このネジ孔部22について説明する。
【0026】
ネジ孔部22は、下部が大きい径を有し、上部が小さい径を有し、これらが連続した瓢箪状の形状を有している。ネジ孔部22の周囲には、これを囲むように警報器固定面部20から立ち上がる立上がり部23が形成されている。立上がり部23は、正面視略楕円形状をなすように形成されている。
【0027】
図5には、設置面に締め込まれているネジ30と取付板2との斜視図を示している。ネジ30は、予め設置面に対してある程度の位置まで締め込まれている。この時、ネジ30の頭部31は、設置面から浮いた状態となっている。
【0028】
取付板2のネジ孔部22は、下部の大径部分がネジ30の頭部31を挿通させることができる径に形成されている。したがって、ネジ孔部22の下部にネジ30を挿通させ、ネジ30を取付板2の前面側に貫通させた状態とすることができる。この状態から、取付板2を下方にスライドさせることで、ネジ30をネジ孔部22上部の小径部分に位置させる。ネジ孔部22の小径部分は、ネジ30の径よりは大きく、頭部31の径よりは小さいので、ネジ30がネジ孔部22の小径部分に位置することで、ネジ30をさらに締め込むことにより、ネジ30の頭部31をネジ孔部22の周縁部に圧接させ、ネジ30により取付板2を設置面に固定することができる。
【0029】
このとき、ネジ30の頭部31が、周囲の立上がり部23よりも突出しない位置まで、ネジ30を締め込むようにする。すなわち、取付板2を側方から見た場合に、頭部31が立上がり部23に完全に隠れるまで、ネジ30が締め込まれる。このように、立上がり部23は、ネジ30を締め込む深さの目安としても利用することができる。
【0030】
図6には、火災警報器の縦断面図を示している。この図には、ネジ30も示されている。ネジ30により取付板2を設置面に固定した状態において、ネジ30の頭部31は、ネジ孔部22の周囲に形成されている立上がり部23の高さを超えない。すなわち、ネジ30の頭部31が立上がり部23よりも正面側に突出しないように、立上がり部23の高さが設定されている。
【0031】
ネジ30を固定するネジ孔部22は、取付板2の上部に位置しており、警報器本体1の電池収納部16に収納される電池17とネジ30の頭部31とが対向する。ここで、ネジ30の頭部31の周囲には、当該頭部31を突出させない高さを有する立上がり部23が形成されているので、電池17がネジ30の頭部31に当接することがないようにすることができる。すなわち、取付板2から正面側に露出するネジ30の頭部31が、警報器本体1に影響しないようにすることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態1について説明したが、本発明の適用は本実施形態1には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうる。例えば、本実施形態1では、立上がり部23の高さが、ネジ30の頭部31の突出高さとほぼ同程度とされているが、立上がり部23は頭部31の突出高さより高ければよいので、警報器本体1と干渉しない程度により高く形成されていてもよい。また、ネジ孔部22及び立上がり部23が形成される位置及び数についても、本実施形態1には限られず、必要に応じて適宜配置することができる。さらに、本実施形態1において設置面は壁面であるが、天井面であってもよい。また、本実施形態1において機器は火災警報器であるが、ガス警報器等、他の種類の機器であってもよい。
【0033】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2-1~2-3について、図面に沿って詳細に説明する。本実施形態2-1~2-3では、警報器が火災警報器であるものとして説明する。
図7には、本実施形態2-1における火災警報器の正面図を示している。本実施形態2-1の火災警報器は、火災の発生を検出して警報を発する警報器本体201を有している。
【0034】
警報器本体201は、煙を検出するセンサーなどを内部に有する筐体210を有している。筐体210は、側面部に煙流入口を有し、この煙流入口から煙を筐体210の内部に導き、内部のセンサーによって煙を検出する。
【0035】
筐体210は、室内側に面する前面部211を有し、前面部211には、各種操作を行うための操作ボタン214と、筐体210の内部に設けられるスピーカー217からの音声を発するための音響孔215とが設けられている。
【0036】
図8には、
図7のA-A断面図を示している。警報器本体201の背面には、上部に電池収納部218が形成され、その内部には電池219が収納されている。電池収納部218は、背面側に開口する凹状に形成されており、その開口には蓋がされていない。これにより、筐体210を蓋の厚み分、薄型化している。
【0037】
筐体210の内部には、基板部216が配置され、基板部216には煙流入口から流入した煙を検出するための検煙部216aが設けられる。また、
図8には表れていないが、基板部216にはスピーカー217が取付固定される。
【0038】
図9には、
図7のB-B断面図を示している。この図に示すように、筐体210の内部に形成される中空部分において、基板部216は厚み方向略中央位置に配置され、基板部216に固定されているスピーカー217の正面217aは、音響孔215と対向する。また、基板部216の背面側において、基板部216と筐体210の後面部212との間には空間部が形成される。筐体210の後面部212のうち、この空間部を形成する領域は、孔等を有しておらず、閉塞されている。
【0039】
図10には、基板部216の正面図を示している。この図に示すように、基板部216は、一部が欠けた略円形状を有しており、中央部には煙を検出するためのセンサー216bが配置されている。基板部216には、周囲部にスピーカー固定部220が形成されていて、スピーカー217はここに固定される。
【0040】
スピーカー固定部220は、一部が欠けた略円形状の立上がり部221を有し、立上がり部221の内側にスピーカー217が配置可能となっている。立上がり部221の内側は、基板部216の一部を構成しスピーカー2217の背面と対向する基面部222となっている。基面部222には、複数の小孔からなる貫通部226が形成されている。
【0041】
スピーカー固定部220の一側には、略T字状の固定係止片部223が設けられている。固定係止片部223は、基板部216と一体的であって、基板部216に対して移動できない。また、スピーカー固定部220の固定係止片部223と対向する一側には、基板部216に対して所定方向に移動可能な移動係止片部224が設けられている。固定係止片部223と移動係止片部224は、スピーカー固定部2220に固定されるスピーカー217の直径方向において互いに対向するように配置されている。
【0042】
移動係止片部224は、基板部216に片持ち状に支持された弾性片225の先端部に形成されている。弾性片225は、基面部222の外周部に片持ち状に支持されており、これによって、弾性片225は基板部216に対しその厚み方向に弾性変形することができる。これにより、移動係止片部224は、基板部216に対しその厚み方向に移動することができる。
【0043】
図11にはスピーカー217を取付けた基板部216の正面図を、
図12には
図11のA-A断面図を、それぞれ示している。スピーカー217は、略円形状を有するスピーカー本体217cを有し、スピーカー本体217cの外周には、直径方向において対向する一対の耳部217dを有している。耳部217dには、固定係止片部223または移動係止片部224を係止させる係止凹部217eが形成されている。
【0044】
スピーカー217をスピーカー固定部220に取付ける際には、まず、一方の耳部217d側を基面部222から浮かせた状態で、スピーカー217の他方の耳部217dに形成された係止凹部217eを、固定係止片部223に対して係止させる。その後、一方の耳部217d側を移動係止片部224に当てて押圧すると、弾性片225が弾性変形し、移動係止片部224が他方の耳部217dに対して係止される。これにより、スピーカー217が直径方向に対向する2箇所で、スピーカー固定部220に対して係止され、安定的にスピーカー217を基板部216に保持することができる。
【0045】
スピーカー217は、直径方向において対向する耳部217dにおいて、基板部216に対し弾性的に係止固定されるので、温度あるいは湿度等の環境変化により、スピーカー217の固定状態が変化することを抑制することができる。また、スピーカー217は、固定係止片部223及び移動係止片部224によって、挟まれるように係止固定されるが、係止位置はスピーカー217の外周から突出状に形成された耳部217dであるので、スピーカー本体217cの変形を防止し、音圧の低下を防止することができる。
【0046】
図9に示すように、スピーカー217は、振動して音声を発する正面217aが、基板部216の正面側に面し、背面217bは、基面部222と対向する。基面部222には、小孔状の貫通部226が形成されているので、スピーカー217の背面217bは、貫通部226を介して基板部216と筐体210の後面部212との間に形成される空間部に面している。
【0047】
スピーカー217が音声を発する際は、正面217a側が振動して音が発生し、その音は筐体210の音響孔215を経て外部に伝播される。一方、スピーカー217の正面217a側の振動は、スピーカー217全体にも広がり、このため、スピーカー217の背面217b側にも音が伝わる。その音は、基面部222に形成された貫通部226を介して筐体210の後面部212側の空間部で共鳴し、外部に伝播される。
【0048】
スピーカー217の背面217b側で音が共鳴する効果は、スピーカー217の径、筐体210の後面部212側の空間部の容積や形状、貫通部226の面積などによって異なってくる。本実施形態2-1では、貫通部226は複数の小孔によって形成されるので、共鳴の効果が最大となるように、貫通部226の面積を調整することができる。
【0049】
具体的には、予め小孔を基面部222に多く形成しておき、火災警報器の部品を全て組み上げた状態で、スピーカー217から音声を発して、その音圧を測定する。次に、基面部222に形成された小孔の一部を樹脂等で塞ぎ、再びスピーカー217から音声を発して音圧を測定する。これを繰り返して、最も音圧の大きかった小孔の数を、実際の製品における小孔の数と設定する。実際の製品を製造する際には、基板部216に対し、予め形成された小孔のうち一部を、設定された小孔の数となるように塞ぐ工程を加える。これにより、スピーカー217からの音圧を最大とした火災警報器を製造することができる。小孔の数の調整は、個別に行ってもよいし、製造ロット毎に設定することもできる。なお、この調整を行うことなく、全て同じ数の小孔により貫通部226を形成するようにしてもよい。
【0050】
このように、スピーカー217の背面217bと対向する基面部222に、基板部216と筐体210の後面部212との間に形成される空間部に連通する貫通部226を形成することで、スピーカー217からの音圧を大きくすることができる。すなわち、スピーカー217の径を小さくしても、所定の音圧を達成することができるので、筐体210の小型化を図ることができる。
【0051】
また、貫通部226が複数の小孔によって形成されることで、小孔の数を調整することにより、スピーカー217の音圧を最大化することができると共に、小孔であることから、検煙部216a側への虫等の侵入も防止することができる。
【0052】
次に、本発明の実施形態2-2について説明する。
図13には、実施形態2-2の火災警報器に用いられる基板部230の正面図を示している。本実施形態2-2は、基板部230に設けられるスピーカー固定部231以外の構成は、実施形態2-1と共通するので、スピーカー固定部231についてのみ説明する。
【0053】
スピーカー固定部231は、外周部に基板部230から立ち上がる立上がり部232を有しており、その内側の領域は、基板部230の一部を構成する基面部233となっている。基面部233の一側には、固定係止片部234が形成されている。基面部233の固定係止片部234が形成されている側と反対側には、端部から基面部233の中央を越える位置まで達する2つのスリット部237が形成されている。2つのスリット部237は、互いに並行となるように形成され、それぞれ径の異なる弧状の部分を有するように形成されている。これにより、基面部233には、基板部230の厚み方向に弾性変形可能な弾性片236が形成される。
【0054】
弾性片236の先端部には、固定係止片部234とスピーカー217の直径方向において対向するように、移動係止片部235が形成される。本実施形態2-2の弾性片236は、基板部30に片持ち状に支持されている点では、実施形態2-1と同様であるが、弾性片236を形成するスリット部237が、一端部から基面部233の中央を越える位置まで達していることで、弾性片236の変形量が実施形態2-1の場合に比べて大きい。したがって、スピーカー固定部231にスピーカー217を取付ける際に、移動係止片部235をスピーカー217の係止凹部217eに係止させやすく、取付作業を容易化できる。
【0055】
また、基面部233に形成されたスリット部237は、スピーカー217の背面217bと筐体210の後面部212側に形成される空間部とを連通させる貫通部としても機能する。したがって、スピーカー217からの音圧を大きくする効果も、実施形態2-1と同様に得ることができる。
【0056】
次に、本発明の実施形態2-3について説明する。
図14には、実施形態2-3の火災警報器に用いられる基板部240の正面図を示している。本実施形態2-3も、基板部240に設けられるスピーカー固定部241以外の構成は、実施形態2-1と共通するので、スピーカー固定部241についてのみ説明する。
【0057】
スピーカー固定部241は、外周部に基板部240から立ち上がる立上がり部242を有しており、その内側の領域は、基板部240の一部を構成する基面部243となっている。基面部243の一側には、固定係止片部244が形成されている。基面部243の固定係止片部244が形成されている側と反対側には、移動係止片部245が形成されている。移動係止片部245は、基板部240との間を細径のブリッジ部247で接続してなる島状部246に形成されている。
【0058】
島状部246は、細径のブリッジ部247で基板部240と接続されているので、基板部240に対してその平面方向、具体的には対向する固定係止片部244から遠ざかる方向に弾性的に移動可能となっている。これにより、移動係止片部245を移動可能としている。スピーカー217をスピーカー固定部241に取付ける際には、固定係止片部244に対して一方の係止凹部217eが係止されたスピーカー217が、ブリッジ部247の弾性変形により島状部246を移動させることで、他方の係止凹部217eを移動係止片部245に係止させることができる。
【0059】
また、島状部246と基板部240との間には、隙間部248が形成される。このうち、島状部246の基面部243中央位置側に形成される隙間部248は、基面部243内に配置されるので、スピーカー217の背面217bと筐体210の後面部212側に形成される空間部とを連通させる貫通部としても機能する。したがって、スピーカー217からの音圧を大きくする効果も、実施形態2-1と同様に得ることができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態2-1~2-3について説明したが、本発明の適用は本実施形態2-1~2-3には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうる。例えば、上述の実施形態2-1~2-3では、スピーカー固定部220は、1つの固定係止片部223と1つの移動係止片部224を有しており、これらが対向配置されているが、3つ以上の係止片部がスピーカー217の周方向複数箇所に配置されていてもよい。この場合、少なくとも1つの係止片部を移動係止片部とし、それ以外の係止片部を固定係止片部とすることができる。
【0061】
〔実施形態3〕
次に、本発明の実施形態3について、図面に沿って詳細に説明する。本実施形態3では、警報器が火災警報器であるものとして説明する。
図15には、本実施形態3における火災警報器の正面図を示している。本実施形態3の火災警報器は、火災の発生を検出して警報を発する警報器本体301を有している。
【0062】
警報器本体301は、煙を検出するセンサーなどを内部に有する筐体310を有している。筐体310は、側面部に煙流入口を有し、この煙流入口から煙を筐体310の内部に導き、センサーによって煙を検出する。
【0063】
筐体310は、室内側に面する前面311を有し、前面311には、各種操作を行うための操作ボタン313と、筐体310の内部に設けられるスピーカーからの音声を発するための音響孔314とが設けられている。筐体310には、操作ボタン313を配置してこれを正面側に露出させるため、開口部310aが形成されている。
【0064】
火災警報器を使用開始する際に、操作ボタン313を最初に押圧操作することで、電源投入を行うことができる。電源投入されると、火災警報器は火災の感知を開始する。また、電源投入後、通常時において操作ボタン313を押圧操作することで、センサーのテストを行うことができる。通常時におけるテストは、電池切れや交換期限メッセージ、スピーカーの断線についても行うことができる。さらに、センサーにより火災が検出されて、警報が発報された場合に、操作ボタン313を押圧操作することで、警報を停止させることができる。このように、操作ボタン313は、一つの押圧操作で異なる動作を状況に応じて火災警報器に行わせることができる。
【0065】
図16には、
図15のA-A断面図を示している。この図に示すように、警報器本体301の背面には、上部に電池収納部316が形成され、その内部には電池317が収納されている。電池収納部316は、背面側に開口する凹状に形成されており、その開口には蓋がされていない。これにより、筐体310を蓋の厚み分、薄型化している。
【0066】
操作ボタン313は、筐体310の開口部310aから露出する操作部320を有している。操作部320は、筐体310の前面311と略面一状となっており、この操作部320を筐体310の奥側に押圧するように操作することができる。筐体310内には、操作ボタン313の操作部320と対向するようにスイッチ318が配置されており、操作ボタン313が押圧操作されることに伴い、スイッチ318が押圧される。スイッチ318が押圧されることにより、火災警報器が操作ボタン313の押圧操作を検出することができる。
【0067】
操作ボタン313の構成についてより詳細に説明する。
図17には操作ボタン313の正面図を、
図18には操作ボタン313の側面図を、
図19には
図17のA-A断面図を、
図20には操作ボタン313を背面側から見た斜視図を、それぞれ示している。操作ボタン313は、上下方向に長い正面視略楕円形状に形成された操作部320と、操作部320の一端部である下端部から下方に垂下される二つで一対の外方延出部321と、外方延出部321間で操作部320の下端部から下方に垂下される弾性片323と、操作部320から背面側に向かって延びる後方延出部325とを有している。二つの外方延出部321と後方延出部325とは一体化されて、下方に開放する断面略コ字状をなしている。
【0068】
外方延出部321の外側に向かう面には、それぞれ側方に向かって突出する回転軸部322が形成されている。回転軸部322は、筐体310の軸受け部310bに対して回転可能に係止される。これにより、操作ボタン313は、回転軸部322を中心として、背面側に傾倒する方向に回動することができる。
【0069】
弾性片323は、
図19に示すように、薄い板状に形成されており、操作部320の押圧方向に沿って弾性変形可能となっている。弾性片323の先端部には、正面側に突出する係止部324が形成されている。係止部324は、
図16に示されているように、筐体310の内面下端部付近に形成された係止受け部310cに対して係止される。この係止状態において、弾性片323は操作ボタン313が押圧から復帰する方向、すなわち、警報器本体301の正面側に若干、付勢された状態となっている。
【0070】
操作ボタン313は、操作部320の周囲に縁部328を有している。また、筐体310は開口部310aの縁部に段部310dを有し、操作ボタン313の縁部328は段部310dに対し背面側から当接している。前述のように、操作ボタン313は弾性片323により、警報器本体301の正面側に付勢されているので、操作ボタン313の縁部328は筐体310の段部310dに対して圧接した状態となっている。これにより、操作ボタン313のぐらつきや不意の力による脱落などを防止できる。
【0071】
弾性片323は、このように元々操作ボタン313の復帰方向に付勢されているが、操作ボタン313が押圧操作され、回転軸部322を中心に傾倒すると、下端部の係止部324が筐体310に対して係止されているため、背面側に向かって反るように弾性変形し、より強固な力で操作ボタン313を復帰方向に付勢する。
【0072】
後方延出部325には、
図20に示すように、後端近傍に横方向のスリット部326が形成されている。
図21には、火災警報器の背面側からの斜視図を示している。この図に示すように、操作ボタン313の後方延出部325は、筐体310の背面側に露出している。
【0073】
図22には、
図21のうち後方延出部325付近の拡大図を示している。本図では、後方延出部325に引き紐330を取付けた状態を示している。スリット部326には、引き紐330の先端部を挿通させることができる。引き紐330の先端部には、結び目が形成されており、スリット部326の幅は、引き紐330の径よりは大きく、結び目の径よりは小さくなるように設定されている。このため、引き紐330の先端部に予め結び目を形成しておき、引き紐330の結び目よりも先端側と反対側の部分をスリット部326に挿入し、引き紐330を下方に引くことで、引き紐330を操作ボタン313に対し容易に取付けることができる。引き紐330が取付けられるスリット部326は、回転軸部322に対して後方の上方に形成されているので、引き紐330を下方に引くことにより、回転軸部322を中心として操作ボタン313を背面側に傾倒する方向に回動させることができる。
【0074】
スリット部326は、後方延出部325の後端近傍に形成されているため、スリット部326と後方延出部325の後端との間の部分である後端部325aの幅が小さくなっている。このため、後方延出部325の後端部325aは、スリット部326の幅を広げる方向に変形することができる。
【0075】
引き紐330に大きな力が加わった場合、その力がそのまま操作ボタン313に伝わると、操作ボタン313や筐体310を破損させる可能性がある。スリット部326が、幅の広がる方向に変形可能となっていることで、引き紐330に下方への大きな力が加わった場合には、結び目がスリット部326を押し広げ、そのまま抜けてしまうので、操作部320に大きな力が加わらないようにすることができる。引き紐330の結び目がスリット部326から抜ける力の大きさは、操作ボタン313や筐体310の強度に応じて適宜設定することができるが、本実施形態3では8~10kg程度としている。
【0076】
図23には、
図15のB-B断面のうち、筐体310下部の拡大図を示している。この図に示すように、筐体310の内部には、上方に開放するU字状の軸受け部310bが形成され、この軸受け部310bに操作ボタン313の回転軸部322が納められ、回転自在となっている。
【0077】
図24には、
図16の状態から操作ボタン313を押圧操作した状態における筐体310下部の拡大断面図を示している。操作ボタン313は、下方に位置する回転軸部322を中心に回動可能となっているので、
図24に示すように、操作部320を押圧操作すると、操作部320の上側が背面側に傾倒し、操作部320は筐体310内のスイッチ318を押圧する。このとき、前述のように、操作ボタン313の弾性片323は、係止部324が筐体310の係止受け部310cに係止されることで、操作ボタン313をその復帰方向に付勢しているが、その状態からさらに操作ボタン313の復帰方向に付勢するよう、弾性変形する。したがって、操作部320から手を離すと、操作ボタン313は元の位置に戻ることができる。なお、後方延出部325に引き紐330を取付け、この引き紐330を引いた場合も、操作ボタン313は同様に動作する。
【0078】
このように、軸受け部310bを有する筐体310と、全体が一体的で回転軸部322を有する操作ボタン313とで押しボタンを構成したことにより、簡単な構造で押圧動作及び復帰動作を可能とできる。また、部品点数が少ないので、部品公差による押圧操作のばらつきも抑制することができる。
【0079】
また、操作ボタン313の回転中心となる回転軸部322は、押圧操作される操作部320より下方となる外方延出部321に形成されているので、操作部320の押圧深さを十分に確保できる。特に、操作部320は上下方向に長い略楕円形状であるため、回転軸部322からの距離を大きくし、押圧深さを大きくすることができる。
【0080】
また、操作ボタン313の下部には、先端部に係止部324を有する弾性片323が形成され、係止部324は筐体310に係止されているので、操作部320を押圧した際に、弾性片323が弾性変形して、操作ボタン313を元に戻る方向に付勢するので、操作部320から手を離すと、操作ボタン313が復帰動作することができる。さらに、弾性片323は係止部324が筐体310に係止された状態で、操作ボタン313を復帰方向に付勢し、操作ボタン313は縁部328が筐体310の段部310dに背面側から当接しているので、操作ボタン313がぐらつき、あるいは筐体310から外れて脱落することを防止できる。
【0081】
以上、本発明の実施形態3について説明したが、本発明の適用は本実施形態3には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうる。例えば、操作ボタン313の警報器本体301における位置や大きさ、形状は、本実施形態3には限定されない。本実施形態3において操作ボタン313は、上下方向に長い形状を有しているが、左右方向に長い形状を有していてもよいし、また、円形状や四角形状などであってもよい。また、操作ボタン313の回転軸部322の位置についても、下端部には限られず、上端部や左右端部などであってもよい。さらに、本実施形態3では、警報器を火災警報器であるものとしたが、ガス警報器等、他の種類の警報器であってもよい。
【0082】
〔実施形態4〕
最後に、本発明の実施形態4について、図面に沿って詳細に説明する。
図25には、本実施形態4における火災警報器の正面側から見た斜視図を示している。本実施形態4の火災警報器は、火災の発生を検出して警報を発する警報器本体401と、警報器本体401を設置面に対して取付ける取付板402とを有している。
【0083】
警報器本体401は、煙を検出するセンサーなどを内部に有する筐体410を有している。筐体410は、側面部に煙流入口412を有し、この煙流入口412から煙を筐体410の内部に導き、センサーによって煙を検出する。
【0084】
筐体410は、室内側に面する前面411を有し、前面411には、各種操作を行うための操作ボタン413と、筐体410の内部に設けられるスピーカーからの音声を発するための音響孔414とが設けられている。
【0085】
取付板402は、警報器本体401の背面側に設けられ、警報器本体401を固定することができる。取付板402が固定される設置面は、本実施形態4では住宅の壁面である。ただし、住宅の天井面等、設置面は他の面であってもよい。取付板402が、垂直面である設置面に対して固定された後、取付板402に対して警報器本体401が取付固定される。
【0086】
図26には、火災警報器の縦断面図を示している。取付板402はネジ孔部421を有し、このネジ孔部421に挿通されるネジ22により、設置面に対して固定される。また、取付板402は、警報器本体401の背面側を固定する警報器固定面部420を有している。警報器本体401は、警報器固定面部420に対して係止固定される。
【0087】
警報器本体401は、筐体410の上部に電池収納部416を有し、電池収納部416内には電池417が納められる。また、筐体410の内部には、煙流入口412から流入した煙を検出するための検煙部430が配置されている。検煙部430は、筐体410内に納められる基板部432に設けられ、外部からの光を遮って、侵入した煙を検出するための検煙領域431を有すると共に、この検煙領域431を覆う検煙部カバー433を有している。
【0088】
図27には、検煙部430を有する基板部432の斜視図を示している。この図に示すように、基板部432は、一部が欠けた略円形状を有しており、中央部に検煙部カバー433が被さるように設けられている。検煙部カバー433の天面は、円形状の基部440である。検煙部カバー433の外周面部分には、検煙領域431への虫等の侵入を防止するための網部材434が設けられている。また、基板部432には、スピーカー418を納めて固定するためのスピーカー収納部432aが周縁部に形成されている。
【0089】
図28には、検煙部430の内部を表した断面図を示している。検煙部カバー433には、基部440から基板部432に向かって複数の遮光壁部441が立設されている。この図に示すように、検煙部カバー433の遮光壁部441は、一方向に向かって伸びる単板形状を有しており、複数の遮光壁部441により、検煙領域431の全周を囲んでいる。遮光壁部441の伸びる方向は、検煙領域431の周方向と径方向のいずれにも向いている。遮光壁部441間には、煙が検煙領域431内に侵入できるように、隙間が設けられている。一方、遮光壁部441の一端部441aと、隣接する遮光壁部441の他端部441bとは、周方向において互いに重なり合うように配置されている。
【0090】
遮光壁部441の一端部441aの外周面には、検煙領域431の外周面を形成する弧状面部441cが形成されている。複数の遮光壁部441により、弧状面部441cは断続的な円周面を形成する。この弧状面部441cに沿って、網部材434が検煙部カバー433の外周面を形成するように配置固定される。
【0091】
検煙領域431の内部には、発光部435とセンサー部436とが設置基部437に配置されている。発光部435は、光を発することのできるレーザーダイオードや赤外線LEDなどによって構成され、検煙領域431の中央上方側に向かうように配置されている。センサー部436は、検煙領域431の中心を挟んだ反対側に配置され、検煙領域431の中央上方側を向いている。センサー部436は、検知位置436aに入射する光を検知することができるフォトダイオードなどによって構成されている。
【0092】
発光部435からの光は、センサー部436の斜め上方に向かって出射されるので、通常時にはセンサー部436において光は検知されない。一方、検煙領域431に煙が侵入すると、発光部435からの光が煙によって散乱し、一部の光はセンサー部436の検知位置436aに入射する。これにより、センサー部436は光を検知し、煙の存在を検出することができる。
【0093】
検煙領域431は、遮光壁部441で全周が囲まれていることにより、外部からの光は入射できないようになっており、また、遮光壁部441は光をほとんど反射しない素材によって形成されている。ただし、発光部435に対向する遮光壁部441においては、発光部435からの強い光を直接受けるため、一部の光が反射される。その反射光がセンサー部436に入射することにより、煙が存在しないにもかかわらずセンサー部436で光を検出する可能性がある。これを防止するため、発光部435からの光を受ける遮光壁部441の内周面には、凹凸面部441dが形成されている。凹凸面部441dで光が反射した場合、その凹凸によって光が散乱されるため、センサー部436の検知位置436aに対し入射する反射光の光量を減少させ、誤動作を防止することができる。
【0094】
図29には、
図28のうち検煙領域431付近の拡大図を示している。センサー部436の検知位置436aから放射状に伸びる線のうち、遮光壁部441の他端部441bを通る線は、遮光壁部441の他端部441bより外周側において、隣接する遮光壁部441の一端部441aと交わる。例えば、破線R1の線は、遮光壁部441の他端部441bを通り、隣接する遮光壁部441の一端部441aにかかっている。破線R2及び破線R3においても同様である。さらに、破線R1~R3で示した以外の遮光壁部441についても同様である。つまり、センサー部436の検知位置436aを中心とする放射線上には、必ず遮光壁部441のいずれかが位置していることになる。このように、遮光壁部441は、外部から検煙領域431に入射する光が、センサー部436の検知位置436aには直接到達することがないように配置されている。
【0095】
このように、センサー部436の検知位置436aを中心とする放射線上には、遮光壁部441のいずれかが位置するように、遮光壁部441同士が径方向において重なり合うように配置されているので、遮光壁部441の間の隙間を通過する外部からの光は、センサー部436の検知位置436aには直接到達することがなく、センサー部436では発光部435からの散乱光のみを検出するようにして、外部光によるセンサー部436の誤動作を確実に防止することができる。また、遮光壁部441は、センサー部436の検知位置436aだけでなく、検煙領域431の中央領域への外部光の入射を阻止することができる。検煙領域431において、発光部435とセンサー部436との間の領域に外部光が入射すると、低濃度の煙等により散乱され、センサー部436の検知位置436aに光が直接入射していなくても、間接的にこれに入射し、誤動作を招く可能性があるが、検煙領域431の中央領域に対する外部光の入射が遮光壁部441で阻止されているので、誤動作を防止できる。
【0096】
遮光壁部441は、一方向に伸びる単板形状を有しており、遮光壁部441同士の径方向における重なり合いも必要最低限としていることにより、検煙部カバー433の径を小さくすることができる。
図28において、スピーカー収納部432aに納められるスピーカー418を破線にて示しているが、スピーカー418と遮光壁部441は、筐体410の厚み方向において重なり合わないように配置されている。このため、スピーカー418からの音声が遮光壁部441によって遮られることがなく、警報時の音圧を十分に確保することができる。また、検煙部カバー433の径を小さくすることができるので、警報器本体401の小型化を図ることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態4について説明したが、本発明の適用は本実施形態4には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうる。
【0098】
〔実施形態5〕
(実施形態5の基本的概念)
まずは、実施形態5の基本的概念について説明する。実施形態5は、概略的に、設置対象物の設置面に取り付けられる警報装置であって、設置面と対向する取付面を有する警報装置に関するものである。ここで、「警報装置」とは、警報を行う装置であって、具体的には、監視領域の気体に含まれている被検出物質についての警報を行う装置であり、例えば、ガス警報器、及び火災警報器(煙警報器)等を含む概念である。「監視領域」とは、監視対象の領域であって、具体的には、警報装置が設置される領域であり、例えば、住宅内の領域(例えば、部屋等)、住宅以外の建物内の領域等を含む概念である。また、「設置対象物」とは、警報装置を設置する対象物であって、例えば、監視領域内の天井、壁等が挙げられる。また、「設置面」とは、警報装置が設置される設置対象物の面であって、例えば、天井における監視領域側の面(つまり、天井の下面)、壁における監視領域側の面(つまり、壁の室内側面)等が挙げられる。また、「取付面」とは、警報装置に設けられている面であって、具体的には、設置面と対向した状態で当該設置面に取り付けられる面である。また、「被検出物質」とは、検出対象の物質であり、具体的には、気体に含まれる物質であり、例えば、気体中の一酸化炭素、及び煙等を含む概念である。
【0099】
以下の実施形態5においては、「被検出物質」が「煙」であり、「警報装置」が煙による散乱光に基づいて警報する「火災警報器(煙警報器)」であり、「監視領域」が「住宅内の領域としての部屋」である場合について説明する。また、「設置対象物」については、前述のように、「天井」又は「壁」等が挙げられるが、「設置対象物」が「天井」である場合を以下において図示しつつ、「設置対象物」が「壁」である場合も適宜取りあげ説明する。
【0100】
(構成)
まず、本実施形態5に係る警報装置の構成について説明する。
図30は、本実施形態5に係る警報装置の斜視図であり、
図31は、警報装置の底面図であり、
図32は、警報装置の側面図であり、
図33は、
図31のA―A矢視断面図であり、
図34は、下側から見た警報装置の分解斜視図であり、
図35は、上側から見た警報装置の分解斜視図である。なお、以下の説明では、各図に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が鉛直方向(つまり、重力が働く方向)であって、X方向及びY方向が鉛直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向と称し、+Z方向を上側(平面)と称し、-Z方向を下側(底面)と称して説明する。また、以下の「X―Y―Z方向」に関する用語については、図示の警報装置5100において、各構成品の相対的な位置関係(又は、方向)等を説明するための便宜的な表現であることとし、
図33のケース502の検出空間534の中心位置を基準として、検出空間534から離れる方向を「外側」と称し、検出空間534に近づく方向を「内側」と称して、以下説明する。
【0101】
これら各図に示す警報装置5100は、気体に含まれている被検出物質である煙を検出して警報する警報手段であり、具体的には、
図32に示すように、監視領域の天井における下側(-Z方向)の面(つまり、下面)である設置面5900、又は、監視領域の壁における監視領域側の面(つまり、壁の室内側面)である不図示の設置面(以下、壁設置面)に取り付けて用いるものであり、具体的には、取付ベース501、ケース502、
図34の検出部カバー503、検出部本体504、及び回路部50505を備える。なお、以下では、設置面5900がXY平面に沿う方向(つまり、水平方向)において広がっており、不図示の「壁設置面」が当該設置面5900に対して直交する方向(つまり、鉛直方向)に広がっている場合について説明する。以下では、警報装置5100全体の構成を説明した後に、各構成の詳細について説明する。
【0102】
(構成‐取付ベース)
まず、
図36は、取付ベースの底面図であり、
図37は、取付ベースの平面図である。
図32に示す取付ベース501は、設置面5900又は不図示の「壁設置面」に対して、ケース502を取り付けるための取付手段であり、具体的には、ケース502と設置面5900又は不図示の「壁設置面」との間において用いられるものであって、より詳細には、
図36の取付フック511、及び本体部512を備える。
【0103】
(構成‐取付ベース‐取付フック)
図36の取付フック511は、取付ベース501を設置面5900又は不図示の「壁設置面」に取り付ける(つまり、設置する)ためのものであり、具体的には、本体部512から突出している突片であり、例えば、ねじ孔5111を備える。ねじ孔5111は、取付ベース501を取り付けるための不図示の取付ねじが挿通される孔である。そして、ねじ孔5111と設置面5900又は不図示の「壁設置面」とに対して、取付ねじを連続的に挿通させることにより、取付ベース501を設置面5900又は不図示の「壁設置面」に取り付けることが可能になる。
【0104】
(構成‐取付ベース‐本体部)
図36の本体部512は、取付ベース501の本体であり、例えば、XY平面に沿う方向において広がっており、所定径の円盤形状を呈しているものであって、取付フック511と一体的に形成されている樹脂製のものであり、より詳細には、ケース側対向面512A、及び
図37の設置面側対向面512Bを備える。
図36のケース側対向面512Aは、
図32に示すように、ケース502と対向した状態で当該ケース502が取り付けられる面であり、設置面側対向面512Bは、設置面5900と対向した状態で当該設置面5900に取り付けられる取付面(つまり、XY平面に沿う方向に広がっている取付面)である。また、本体部512は、
図36に示すように、ねじ孔5121、及び係合部5122を備える。ねじ孔5121は、設置面5900に取付ベース501を取り付ための不図示の取付ねじが挿通される孔である。そして、挿通孔121と設置面5900とに対して、取付ねじを連続的に挿通させることにより、取付ベース501を設置面5900に取り付けることが可能になる。また、係合部5122は、
図32のケース502が取り付けられる取付手段であり、具体的には、
図35の後述する裏ケース521の係合部5214と係合するものである。このような本体部512の外径については、任意に設定することができるが、例えば、既存の取付ベースと同様な大きさ(例えば、10cm程度)になるように設定されているものとして、以下説明する。
【0105】
(構成‐ケース)
次に、
図32のケース502は、
図34の検出部カバー503、検出部本体504、及び回路部505(以下、収容対象物)を収容する収容手段であり、具体的には、取付ベース501を介して設置面5900に取り付けられるものであり、より詳細には、
図34の裏ケース521、及び表ケース522を備える。
【0106】
(構成‐ケース‐裏ケース)
図38は、裏ケースの底面図であり、
図39は、裏ケースの平面図であり、
図40は、裏ケースの正面図である。これら各図の裏ケース521は、
図34に示すように、取付ベース501側(つまり、上側(+Z方向))から「収容対象物」を収容する第1収容手段であり、表ケース522と結合されることにより、当該表ケース522との間に
図32の後述する外部流入開口523としての隙間を形成するものである。また、この裏ケース521は、
図33のケース502の外部を移動する気体(なお、設置面5900に沿って移動する気体を含む)をケース502の内部へ誘導する外部誘導手段であり、また、ケース502の内部を移動する気体を、後述する検出空間534に誘導する内部誘導手段であり、具体的には、検出部本体504との間において気体の流路を形成するものである。
【0107】
この
図38~
図40の裏ケース521は、例えば、XY平面に沿う方向において広がっており、取付ベース501よりも大径の円盤形状を呈しているものであって、(後述する「裏ケース521の内部部材」も含んで)全体として一体的に形成されている樹脂製のものであり、より詳細には、裏ケース側対向壁5211、及び裏ケース側外周壁5212を備える。
図33の裏ケース側対向壁5211は、裏ケース521におけるXY平面に沿う方向において広がっている部分を形成するものであり、つまり、取付ベース501と対向するものであり、
図34の誘導凹部5211aを備える。この誘導凹部5211aは、
図33の検出空間534に対して気体を誘導する誘導手段であるが、その詳細については後述する。また、裏ケース側外周壁5212は、裏ケース521における高さ方向(Z方向)に延びている部分(外壁)を形成する第1外壁であって、裏ケース側対向壁5211の外縁部から外側に向かって広がりつつ、下側(-Z方向)に向かって延びているものである。
【0108】
また、
図38の裏ケース521は、より詳細には、構成品ケース5611~5616、短フィン5621~5623、長フィン5631、5632、防止片5641、5642、及びリブ5651~5659(以下、「構成品ケース5611~5616、短フィン5621~5623、長フィン5631、5632、防止片5641、5642、及びリブ5651~5659」を、「裏ケース521の内部部材」と総称する)を備える。まず、構成品ケース5611~5616は、警報装置5100を構成するものである構成品を収容する収容手段であり、具体的には、構成品を収容する空間である構成品収容空間を区画する収容壁を有するものである。また、この構成品ケース5611~5616(具体的には、構成品ケース5611~5616の収容壁)は、気体を
図33の検出空間534に誘導する誘導手段であり、誘導手段として機能するように、構成品の配置場所等を考慮しつつ設けられている。また、短フィン5621~5623は、気体を
図33の検出空間534に誘導する誘導手段であり、具体的には、
図38の構成品ケース5611~5623から突出して延びる突片である。また、長フィン5631、5632は、気体を
図33の検出空間534に誘導する誘導手段であり、具体的には、後述する
図38のリブ5657、5659から延びる片であって、短フィン5621よりも充分に長いものである。また、防止片5641、5642は、気体を
図33の検出空間534に誘導する誘導手段であり、また、
図38の後述するスリット5213a、5213bを介して内部に流入する気体に含まれている塵埃が、
図33の検出空間534に侵入するのを防止するための防止手段である。
図38のリブ5651~5659は、気体を検出空間534に誘導する誘導手段であり、また、裏ケース521を補強する補強手段であり、また、
図35の表ケース522と裏ケース521との間の高さ方向(Z方向)の相対的な位置関係(つまり、
図32の外部流入開口523の幅)を定める位置決定手段であり、具体的には、
図32の外部流入開口523及ケース502の内部を区画するものであり、例えば、裏ケース側対向壁5211に設けられているものである。なお、「外部流入開口523の幅」とは、外部流入開口523における上側の端から下側の端までの距離を示している。また、以下の説明では、リブ5651~5659を互いに区別する必要が無い場合には、適宜「リブ565」と総称し、「裏ケース521の内部部材」の詳細については、後述する。
【0109】
(構成‐ケース‐表ケース)
図41は、表ケースの平面図であり、
図42は、表ケースの正面図である。これら各図の表ケース522は、
図34に示すように、「収容対象物」を挟んで取付ベース501側とは反対側(つまり、下側(+Z方向))から「収容対象物」を収容する第2収容手段であり、具体的には、裏ケース521と結合されることにより、当該裏ケース521との間に
図32の外部流入開口523としての隙間を形成するものである。ここで、「外部流入開口」23とは、ケース502の外部の気体をケース502の内部に流入させる流入手段であり、特に、ケース502の外部において設置面5900に沿って移動する気体を、ケース502の内部に流入させる第1流入開口であって、XY平面に沿う方向に延在するようにケース502の裏ケース521と表ケース522との間に形成される隙間である。この外部流入開口523の幅については、塵埃、外乱光、又はユーザの指の侵入を防止すること、警報装置5100の外観が与えるユーザへの印象等を考慮して任意に設定することができるが、ここでは、例えば、3~5(mm)に設定されているものとして、以下説明する。また、表ケース522は、
図33のケース502の外部を移動する気体(なお、設置面5900に沿って移動する気体を含む)をケース502の内部へ誘導する外部誘導手段である。
【0110】
この
図41及び
図42の表ケース522は、例えば、XY平面に沿う方向において広がっており、裏ケース521よりも大径の円盤形状を呈しているものであって、全体として一体的に形成されている樹脂製のものであり、より詳細には、表ケース側露出壁5221、及び表ケース側外周壁5222を備える。まず、表ケース側露出壁5221は、表ケース522におけるXY平面に沿う方向において広がっている部分を形成するものであって、つまり、ユーザによって主に視認されるように露出するものである。また、
図33の表ケース側外周壁5222は、表ケース522における高さ方向(Z方向)に延びている部分(外壁)を形成する第2外壁であって、表ケース側露出壁5221の外縁部から外側に向かって広がりつつ、上側(+Z方向)に向かって延びているものである。
【0111】
また、
図35の表ケース522は、より詳細には、押しボタン5223、ねじボス5224、及び支持部5225を備える。まず、押しボタン5223は、警報装置5100を操作する操作手段であり、具体的には、
図34の後述する回路部505のスイッチ5555を表ケース522の外側から押すためのものである。また、
図35のねじボス5224は、表ケース522と裏ケース521との間の高さ方向(Z方向)の相対的な位置関係(つまり、
図32の外部流入開口523の幅)を定める位置決定手段であり、また、
図35の表ケース522と裏ケース521とを互いに固定する固定手段であり、具体的には、表ケース側露出壁5221における上側(+Z)の面に設けられているものであり、例えば、所定のねじ孔が設けられており、高さ方向(Z方向)において立設する柱形状を呈しているものである。また、支持部5225は、検出部本体504を支持する支持手段であり、具体的には、表ケース側露出壁5221における上側(+Z)の面の表ケース側外周壁5222側に複数設けられている突片である。
【0112】
(構成‐検出部カバー)
次に、
図43は、検出部カバーの底面図であり、
図44は、防虫網が省略された状態の検出部カバーの正面図である。これら各図の検出部カバー503は、散乱光を用いて煙を検出するためのものであり、具体的には、
図33の検出空間534を区画するものであって、検出部本体504の上側(+Z)に設けられるものである。なお、検出部カバー503、検出空間534、検出部本体504の一部、後述する発光部552、及び受光部553が検出手段に対応する。この検出部カバー503は、
図34に示すように、一方の開口が塞がれた円筒形状を呈しているものであり、より詳細には、天井板531、ラビリンス532、防虫網533を備える。ここで、
図33の「検出空間」534とは、煙を検出する空間である。
図34の天井板531は、検出空間534を覆うものであり、具体的には、ケース502より小径の円盤状に形成されており、下側(-Z方向)の面にはラビリンス532が一体的に形成されている。ラビリンス532は、検出空間534を区画する区画壁であり、具体的には、検出空間534に外乱光が入射するのを防止ものであり、例えば、
図43に示すように、天井板531の縁に沿って複数設けられているものである。このように構成することにより、ラビリンス532における互いに隣り合うもの同士の間に、内部流入開口535が形成されることになる。ここで、「内部流入開口」535とは、検出空間534に気体を流入させる第2流入開口であって、ラビリンス532の間の隙間として形成されるものである。なお、以下では、複数の内部流入開口535各々を区別する場合には、符号「535」の次に英字「a」、「b」等を付して例えば符号「535a」、符号「535b」等を用いて説明し、複数の内部流入開口535各々を区別しない場合には、符号「535」を用いて説明することとする(なお、ラビリンス532についても、同様とする)。
図34に戻って、防虫網533は、外気が防虫網533の小孔を介して検出空間534に入ることを許容する一方で、検出空間534に虫が入ることを防止する防虫手段であり、ラビリンス532の外周を囲繞する円環状に形成されており、その側面には、虫が侵入困難な大きさの多数の小孔を有するものである。
【0113】
(構成‐検出部本体)
次に、
図45は、検出部本体の底面図であり、
図46は、検出部本体の平面図であり、
図47は、検出部本体の正面図である。これら各図の検出部本体504は、
図33に示すように、検出部カバー503を配置する配置手段であり、また、検出部カバー503と共に検出空間534を区画する区画手段である。また、検出部本体504は、回路基板551を被覆する被覆手段であって、検出部本体504を挟んで回路基板551と反対側に検出部カバー503が配置された被覆手段である。具体的には、外部流入開口523からケース502に流入した気体が検出部本体504と表ケース522との間に入り込まないように遮蔽した上で、裏ケース521との間において気体の流路を形成するものである。この検出部本体504は、例えば、XY平面に沿う方向において
図33の検出部カバー503側から外部流入開口523側まで広がっており、
図35に示すように、検出部カバー503の天井板531よりも大径であり、且つ、表ケース522よりも僅かに小径であり、一部が切り欠かれた円盤形状を呈しているものであって、更に、内側の一部が下側(-Z方向)から上側(+Z方向)に向かって隆起している形状を呈しているものであって、全体として一体的に形成されている樹脂製のものである。なお、「表ケース522よりも僅かに小径」であるとは、検出部本体504の径が、
図33に示すように、検出本体側端部5400aが内側から表ケース側端部5222aに当接(又は、接近)する程度の「径」であることを示している。なお、「検出本体側端部」5400aとは、検出部本体504における外側の縁であって、外部流入開口523側の縁である。
【0114】
この
図35の検出部本体504は、より詳細には、
図45~
図47のフランジ部541、傾斜部542、隆起部543、検出部本体切り欠き部544、スピーカ収納部545、及び素子カバー546を備える。フランジ部541は、検出部本体504における外側寄りのXY平面に沿う方向において広がっている部分であり、位置決め凹部411を備える。この位置決め凹部411は、検出部本体504に対する裏ケース521のリブ565の位置決めを行うための位置決め手段であり、具体的には、フランジ部541における外縁部に複数設けられているものであり、上側(+Z側)から下側(-Z側)に向かって窪んでいるものである。また、傾斜部542は、フランジ部541から連続する部分であって、
図33の検出空間534を外部流入開口523よりも上側(+Z方向)に設けるために、フランジ部541(XY平面に沿う方向)に対して上側(+Z方向)に向かって傾斜している部分である。また、隆起部543は、検出部カバー503が設けられる部分であって、フランジ部541よりも上側(+Z方向)に位置しており、傾斜部542から連続して、XY平面に沿う方向において広がっている部分である。この隆起部543における上側(+Z方向)の面には、
図35の配置凹部5431が形成されている。この配置凹部5431は、検出部カバー503が配置される部分であり、具体的には、円状の凹部であり検出部カバー503の外径に対応する径の凹部である。また、検出部本体切り欠き部544は、警報装置5100に対して後述する構成品ケース5616を設けるために、当該構成品ケース5616の外形に対応する形状に切り欠かれた部分である。また、スピーカ収納部545は、検出部本体504と表ケース522との間に不図示のスピーカを収容するために、収容するスピーカの外形に対応するように、下側(-Z方向)から上側(+Z方向)に向かって隆起している部分である。なお、スピーカは、受光部553が受光した反射光の光量に基づいて警報出力する出力手段である。スピーカより出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声又は警報音等を出力することができる。また、素子カバー546は、回路部505における後述の発光部552及び受光部553を上側(+Z方向)から覆って、発光部552及び受光部553に塵埃が堆積するのを防止するものであって、隆起部543における配置凹部5431の中央付近に、配置凹部5431と一体的に形成されている。また、フランジ部541及びスピーカ収納部545の詳細については後述する。
【0115】
(構成‐回路部)
次に、
図48は、回路部の底面図であり、
図49は、回路部の平面図であり、
図50は、回路部の正面図である。これら各図の回路部505は、警報を行うための電気回路を形成する回路手段であり、より詳細には、回路基板551、発光部552、受光部553、シールド554、スイッチ555、及び電源コネクタCN1を備える。回路基板551は、警報装置5100の各素子が実装される実装手段であり、特に、発光部552及び受光部553が取り付けられた基板であり、具体的には、上側(+Z方向)の実装面(以下、上側実装面)又は下側(-Z方向)の実装面(以下、下側実装面)に各素子がはんだ等を用いて実装されるように、所定位置にスルーホール及び当該スルーホールを取り囲む端子等が設けられているものである。発光部552は、具体的には、
図33に示すように、発光部552よりも上側(+Z方向)に設けられる検出空間534に向かって発光できるように、回路基板551の上側実装面に実装される素子であって、例えば、発光ダイオードである。受光部553は、発光部552によって発光された光が煙の粒子によって散乱されることによって生じる散乱光を受光する受光手段であり、具体的には、受光部553よりも上側(+Z方向)に設けられる検出空間534からの光を受光できるように、回路基板551の上側実装面に実装される素子であって、例えば、フォトダイオードである。
図50のシールド554は、受光部553を電磁的に遮蔽するための遮蔽手段であり、また、受光部553を回路基板551に対して支持する支持手段であり、具体的には、回路基板551の上側実装面に実装される導電性素子であって、例えば、金属により形成されるものである。
図48のスイッチ555は、警報装置5100を操作するための操作手段であり、具体的には、回路基板551の下側実装面に実装される素子であって、例えば、プッシュスイッチである。
図49の電源コネクタCN1は、警報装置5100に対して電源電圧を供給するための供給手段であり、具体的には、電源としての不図示の電池からの電源電圧を供給するためのものであって、回路基板551の上側実装面に実装されるものである。
【0116】
(構成‐詳細)
次に、本実施形態5に係る警報装置5100の構成を一層詳細に説明する。具体的には、検出部本体504、回路基板551、及び表ケース522の構成について詳細に説明する。
【0117】
(構成‐詳細‐検出部本体)
まずは、検出部本体504におけるフランジ部541、電池保持バネ548、及びスピーカ収納部545の詳細について説明する。
図51は、検出部本体504の拡大斜視図である。
【0118】
(構成‐詳細‐検出部本体‐フランジ部)
フランジ部541は、検出空間534への気体の流入を促進するためのフランジであって、検出部本体504の外縁部に一体形成されたフランジである。具体的には、このフランジ部541は、
図33に示すように、表ケース522の内周面に当接する位置まで延設されており、このフランジ部541によって検出部本体504の外縁と表ケース522の内周面との隙間が密閉されている。このことにより、外部流入開口523から、上記隙間を介して、検出部本体504と表ケース522との間の空間に煙が侵入してしまうことを防止でき、検出空間534に流入する煙の量を増大できる。なお、フランジ部541の厚みや素材等は任意で、本実施形態5では検出部本体504の他の部分と同一厚みかつ同一素材(樹脂)で形成されている。
【0119】
(構成‐詳細‐検出部本体‐電池保持バネ)
電池保持バネ548は、警報装置5100に電源を供給する電源部を付勢して保持するための電源付勢手段であって、検出部本体504と一体形成された電源付勢手段である。具体的には、この電池保持バネ548は、図示のように、検出部本体504の下側(-Z方向)の面における検出部本体切り欠き部544の縁沿いに、所定の間隔を空けて2箇所に形成されている。ここで、この電池保持バネ548は、配置箇所から下側(-Z方向)に突出してから外側(-X方向)に折り曲げられた後に、上側(+Z方向)に突出するような略U字形状を呈しており、検出部本体切り欠き部544から外側(-X方向)に向けて電源部を付勢可能な形状に構成されている。なお、この電池保持バネ548の付け根部分と先端部分との隙間の空間を以下では「付勢空間」549と称して説明する。
【0120】
ここで、
図34、
図35、及び
図38に示すように、裏ケース521の構成品ケース5616には、上記の電池保持バネ548と対応する位置に、下方向(-Z方向)に切り欠かれた2つの構成品ケース切欠き5617が設けられている。なお、この構成品ケース切欠き5617は高さ方向(Z方向)に通しで設けられてはおらず、構成品ケース5616の半分程度の高さの切欠きとなっている。なお、構成品ケース5616における構成品ケース切欠き5617よりも上方(+Z方向)の部分を、以下では「ストッパー部」5618と称する。
【0121】
そして、裏ケース521と検出部本体504とを組み合わせた場合、上記の電池保持バネ548は構成品ケース切欠き5617に挿通されて、電池保持バネ548の付勢空間549内部にストッパー部5618が介在する。このように付勢空間549の内部にストッパー部5618が介在することにより、電池保持バネ548の内側方向(+X方向)への撓みが当該ストッパー部5618により規制されるため、電池収納時に電池保持バネ548が過度に撓むことにより塑性変形してしまうことを防止できる。このように、本実施形態5では、電池保持バネ548を、ストッパー部5618と一体に裏ケース521に設けることはせず、裏ケース521とは分離構成された検出部本体504に設けている。したがって、電池保持バネ548を裏ケース521の構成品ケース5616に設ける場合と比べて、電池保持バネ548の先端位置(-X方向端部の位置)を内側(+X方向)に抑えることができ、構成品ケース5616を小型化できる。このように、検出空間534への気流を阻害してしまう部品である構成品ケース5616を小型化できることにより、検出空間534への気流の流入を増大でき、検出精度を向上できる。また、電池保持バネ548のように電池収納時に常に電池から応力が作用する部品を、外部から視認できない検出部本体504に形成することにより、ケース502に電池保持バネ548を形成する場合と比べて上記応力に基づく変形に伴う外観不良を防止できる。
【0122】
(構成‐詳細‐検出部本体‐スピーカ収納部)
スピーカ収納部545は、警報出力を行うスピーカを収納する収納手段であって、検出部本体504と一体形成された収納手段である。このスピーカ収納部545は、検出部本体504におけるスピーカと対応する位置に形成された下方向(-Z方向)に突出する板状の部材であり、スピーカの外形よりもわずかに大きい内径を有する円環状の部材である。ここで、「わずかに大きい」とは、少なくともスピーカを収納可能な大きさである限り任意であり、例えばスピーカの外周とスピーカ収納部545の内周との間に数ミリの隙間が形成される程度の大きさでも構わない。ここで、検出部本体504におけるスピーカ収納部545が形成された位置には、
図50に示すように複数のスピーカ孔が形成されており、スピーカから発せられた警報音は、当該スピーカ孔を介して上方(+Z方向)にも流れるようになっている。
【0123】
(構成‐詳細‐配置凹部)
次に、検出部本体504における配置凹部5431の周辺の詳細について説明する。
図52は、
図32のB-B矢視断面図、
図53は、
図52のC-C矢視断面図である。これらの
図52及び
図53や、上述した
図45から
図47に示すように、検出部本体504における上面(+Z側の面)には、概略的に、発光窪み部5432、受光窪み部5433、溝部5434、及び外縁壁5435が設けられており、また、上述した
図51に示すように、検出部本体504における下側の面(回路基板551と対向する側の面。-Z側の面)には、遮光枠部5438が設けられている。なお、
図53においては、発光部552の光軸を一点鎖線、受光部553の光軸を二点鎖線で図示している。
【0124】
(構成‐詳細‐配置凹部‐発光窪み部)
発光窪み部5432は、発光部552の光軸上に塵埃が位置してしまうことに伴う検出精度の低下を抑止する検出精度低下抑止手段である。具体的には、この発光窪み部5432は、配置凹部5431の中央よりも発光部552側の位置に配置凹部5431と一体形成された窪みであって、具体的な形状は任意であるが、本実施形態5においては
図53に示すように最も外側の面が斜面となっている断面視台形状の窪みを呈している。
【0125】
ここで、この斜面の部分には、検出部本体504を貫通する発光孔5436が形成されている。この発光孔5436は、発光部552から、検出部本体504を通過して検出空間534へと光を導入するための孔である。具体的には、発光窪み部5432における発光部552の光軸上に設けられた孔であって、発光窪み部5432の斜面を貫通するように形成されている。この発光孔5436の径の大きさや形状は、発光部552の光を検出空間534に導入可能である限り任意であり、例えば発光部552の光の投射角度や光量等に基づいて、実験や解析等により適切な大きさや形状を決定することができる。
【0126】
発光窪み部5432の説明に戻り、このように発光窪み部5432を設けて、発光孔5436よりも内側の位置(
図53における右方)を窪ませることにより、発光窪み部5432の底面に塵埃が多少蓄積したとしても、蓄積した塵埃が発光孔5436の高さに至るまでは光軸上に塵埃が位置しない。そのため、発光部552の光軸上に塵埃が位置してしまうことに伴う検出精度の低下を抑止できる。ここで、この発光窪み部5432の深さは、塵埃の蓄積による検出精度の低下を防止するためには深い程好ましい。すなわち、発光窪み部5432が浅いと、発光窪み部5432の底面に微かに塵埃が蓄積しただけで、当該塵埃が発光部552の光軸上に位置してしまい、光が塵埃に反射されてしまって煙を誤検出してしまう可能性があるが、発光窪み部5432を深くして塵埃を多く蓄積可能とすることにより、このような事態を防止できる。ただし、深すぎると検出部本体504の全体の厚みが大きくなり、ひいては警報装置5100の全体が大型化してしまうため好ましくない。なお、本実施形態5においては深さ3mm程度の窪みを呈している。
【0127】
(構成‐詳細‐配置凹部‐受光窪み部)
受光窪み部5433は、受光部553の光軸上に塵埃が位置してしまうことに伴う検出精度の低下を抑止する検出精度低下抑止手段である。具体的には、この受光窪み部5433は、配置凹部5431の中央よりも受光部553側の位置に配置凹部5431と一体形成された窪みであって、具体的な形状は任意であるが、本実施形態5においては
図50に示すように最も外側の面が斜面となっている断面視台形状の窪みを呈している。
【0128】
ここで、この斜面の部分には受光孔5437が形成されている。この受光孔5437は、検出空間534から検出部本体504を通過して受光部553へと光を導入するための孔である。具体的には、受光窪み部5433における受光部553の光軸上に設けられた孔であって、受光窪み部5433の斜面を貫通するように形成されている。この受光孔5437の径の大きさや形状は、受光部553に光を導入可能である限り任意であり、例えば、受光部553の検出空間534側の面に設けられて集光機能を有するレンズ部(符号省略)と同一の大きさや形状で形成しても構わない。
【0129】
受光窪み部5433の説明に戻り、このように受光窪み部5433を設けて、受光孔5437よりも内側の位置(
図53における左方)を窪ませることにより、受光窪み部5433の底面に塵埃が多少蓄積したとしても、蓄積した塵埃が受光孔5437の高さに至るまでは光軸上に塵埃が位置しない。そのため、受光部553の光軸上に塵埃が位置してしまうことに伴う検出精度の低下を抑止できる。ここで、この受光窪み部5433の深さは、上述した発光窪み部5432と同様に、塵埃の蓄積による検出精度の低下を防止するためには深い程好ましい。なお、本実施形態5においては深さ3mm程度の窪みを呈している。
【0130】
(構成‐詳細‐配置凹部‐溝部)
溝部5434は、検出部本体504のうち検出空間534と対向する面における発光孔5436及び受光孔5437の周囲に形成された溝部5434であって、検出空間534と反対側に向けて凹んだ溝である。具体的には、具体的には、溝部5434は、発光窪み部5432及び受光窪み部5433の周囲を覆うように、配置凹部5431と一体に形成された溝であって、配置凹部5431よりもさらに検出空間534と反対側(すなわち、下側)に向けて一段低くなった部分である。このように配置凹部5431おいて一段低くなっている溝部5434を設けることにより、検出空間534に浸入した塵埃が当該溝部5434に蓄積するので、素子カバー546の表面に塵埃が高く積み上げられてしまうことを防止できる。したがって、蓄積した塵埃が発光部552や受光部553の光軸上に位置してしまうことにより、検出精度が低下してしまう事態を防止できる。なお、溝部5434の深さについては任意であるが、例えば1mmから2mm程度の深さでも構わない。
【0131】
(構成‐詳細‐配置凹部‐外縁壁)
外縁壁5435は、検出部本体504の検出空間534側の面における発光窪み部5432及び受光窪み部5433の周囲に、検出部本体504から検出空間534側に向けて立ち上げられた壁部である。具体的には、外縁壁5435は、溝部5434の表面に設けられた樹脂製の壁であって、発光窪み部5432及び受光窪み部5433の取付面側(すなわち、上面側)の外縁に沿って形成された壁である。この外縁壁5435の厚みは十分な強度を維持できる限り任意であるが、本実施形態5では約1mm程度の厚みの板状体を呈している。また、外縁壁5435の高さは光軸に干渉しない限り任意であり、例えば本実施形態5では1.5mm程度の均一高さに形成されているが、これに限らず不均一の高さに形成しても構わない。
【0132】
このように外縁壁5435を設けることにより、
図53に示すように発光部552と受光部553の相互間に外縁壁5435が位置するため、検出空間534を介さずに直接受光部553に受光されてしまうことを防止でき、誤検出を防止できる。また、この外縁壁5435によって、溝部5434に蓄積した塵埃が発光孔5436や受光孔5437を介して発光部552や受光部553へと落下してしまうことを防止でき、発光部552や受光部553の表面に塵埃が蓄積することに伴う検出精度の低下を防止することが可能となる。さらに、溝部5434に蓄積した塵埃が、溝部5434から発光窪み部5432の底面や受光窪み部5433の底面に落下して蓄積してしまうことを防止でき、発光窪み部5432の底面や受光窪み部5433の底面に蓄積した塵埃が発光部552や受光部553の光軸上に位置してしまうことに伴う検出精度の低下を防止できる。
【0133】
(構成‐詳細‐配置凹部‐遮光枠部)
遮光枠部5438は、検出部本体504のうち回路基板551と対向する面における発光孔5436又は受光孔5437の周囲に形成された遮光手段であって、基板に向けて立ち上げられるように配置され、発光部552及び受光部553の周囲を覆う遮光手段である。この遮光枠部5438は、具体的には、下面を開放面とする枠状体であって、検出部本体504の下面(-Z方向の面)から下方に突出するように形成されている。そして、検出部本体504と回路基板551とを組み合わせた際には、回路基板551に取り付けられた発光部552及び受光部553が、遮光枠部5438の内部に収容されて、発光部552及び受光部553の前後左右を覆うように配置される。
【0134】
このように、遮光枠部5438で発光部552及び受光部553を覆うことにより、検出空間534を介することなく(すなわち検出部本体504の下方を回り込んで)発光部552から受光部553に検出光が至ってしまうことを防止でき、正しいルート(発光部552からの光が、発光孔5436、検出空間534、受光孔5437を順次介して受光部553に至るルート)へ光を通すことができ、誤検出を防止できる。なお、本実施形態5では、遮光枠部5438は、発光部552及び受光部553の両方を覆うような形状としたが、これに限らず、いずれか一方のみを覆う形状としても構わない。
【0135】
(構成‐詳細‐回路基板)
続いて、回路基板551の詳細について説明する。
図54は、回路基板551の斜視図である。この
図54に示すように、回路基板551は、概略的に、発光部552、受光部553、シールド554、及び基板孔556を備えている。
【0136】
まず、発光部552は、検出空間534に対して発光する発光手段(発光側検出手段)であって、警報装置5100の取付面に向かう方向に光を投光する投光手段であり、公知の発光ダイオードとして形成されており、二本の接続線(足)を所定角度で折り曲げた状態で回路基板551に実装されることにより、所定角度の光軸を確定している。
【0137】
また、受光部553は、発光部552から検出空間534に投光された光の反射光を受光する受光手段であり、また、受光した光の光量に基づいて被検出物質が含まれているか否かを検出する受光手段(受光側検出手段)であり、公知のフォトダイオードとして形成されており、シールド554と一体形成されている。
【0138】
また、シールド554は、受光部553へのノイズを防止するノイズ防止手段であって、受光部553が所定方向を向くように受光部553と一体的に形成されることにより、受光部553の光軸を確定するノイズ防止手段である。具体的には、このシールド554は、回路基板551の上側(+Z方向)の面に、発光部552と対向するように配置されており、シールド554における底面は回路基板551と平行であり、シールド554における発光部552と対向する側の面が鉛直よりも所定角度だけ傾斜した傾斜面(受光部553が実装された面)であり、これらの底面と傾斜面とが鋭角を成している。すなわち、シールド554を回路基板551に実装した時点で、シールド554の形状により、受光部553の光軸が確定する。
【0139】
また、基板孔556は、発光部552における折り曲げられた部分と対応する位置に設けられた孔であって、発光部552の回路基板551に対する取り付け角度を確定するための光軸調整ピン5701を挿通可能な孔である。具体的には、基板孔556は、発光部552の接続線の取り付け位置より受光部553側に形成された孔であって、この孔の形状や径は光軸調整ピン5701を挿通可能な限り任意であるが、本実施形態5では直径約5mm程度の円形の孔である。ここで、「光軸調整ピン」5701とは、発光部552の回路基板551に対する取り付け角度を確定する際に用いる角度確定器具であって、例えば任意の棒状の治具を含む概念である。なお、発光部552における基板孔556と対向する側の面は曲面であるため、光軸調整ピン5701の先端は、発光部552を保持し易いように当該曲面に対応する形状の凹面であることが好ましい。
【0140】
(構成‐詳細‐表ケース)
次に、表ケース522の詳細について説明する。ここで、表ケース522の上面(+Z方向側の面)には、上方向(+Z方向)に向けて突出する閉塞突起5226(
図35や
図41参照)が形成されている。この閉塞突起5226は、発光部552、受光部553、及び検出部本体504を収容した状態で基板孔556を塞ぐ閉塞手段であると共に、発光部552を支持可能な支持手段である。具体的には、この閉塞突起5226は、表ケース522における回路基板551の基板孔556に対応する位置(基板孔556の真下方向(-Z方向)の位置)に設けられており、基板孔556に対して挿通可能な径を有する突起である。ここで、「挿通可能」とは、基板孔556の内径よりも小さい外径を有することであるが、基板孔556の内径に近い大きさの外径である程好ましい。このように閉塞突起5226により基板孔556を閉塞することにより、発光部552の光が基板孔556を通って回路基板551の下方(-Z方向)に回り込んでしまうことを防止でき、受光部553が当該回り込みの光を受けて煙の発生を誤検出してしまう可能性を低減できる。さらに、発光部552の光として可視光を用いる場合には、当該可視光が基板孔556を通って表ケース522に移りこんでしまうことに伴う外観不良を防止できる。
【0141】
ここで、閉塞突起5226の高さ(Z方向の長さ)は、少なくとも、表ケース522に回路基板551を設置した際に閉塞突起5226の先端が基板孔556に挿通される程度の長さを有する限り任意であるが、発光部552を支持可能な長さであるとより好ましい。「発光部552を支持可能」とは、発光部552を支持することにより、発光部552に衝撃等が加わった際に発光部552の接続線が曲がってしまうことを防止可能であることを示し、例えば、閉塞突起5226の先端が発光部552に干渉していることにより、発光部552を固定支持することや、閉塞突起5226の先端が発光部552に干渉しておらず、発光部552のわずか下方(-Z方向)に位置していることにより、発光部552の許容範囲を超えた折り曲がりを防止することを含む。なお、閉塞突起5226の先端形状は任意であり、例えば曲面形状である発光部552を支持し易いように、当該曲面形状に対応する凹面形状を呈していても構わない。
【0142】
(回路基板に対する実装方法)
続いて、本実施形態5に回路基板551に対して、上記の発光部552、受光部553、及びシールド554を実装する実装方法について説明する。
【0143】
まずは、実装方法に用いる実装用治具5700の構成について、簡略的に説明する。
図55は、回路基板551及び実装用治具5700を示す断面図である。この
図55に示すように、実装用治具5700は、土台5710、及び上蓋5720を備えており、土台5710と上蓋5720との間に回路基板551を介装可能に構成されている。
【0144】
まずは土台5710の構成について説明する。土台5710は、発光部ポケット5711、及び受光部ポケット5712を備えている。
【0145】
発光部ポケット5711は、発光部552を収容可能な大きさ及び形状の凹部であって、発光部552を発光部ポケット5711に収容した状態において、発光部552と回路基板551との位置関係が、発光部552を回路基板551に最終的に実装した際の位置関係となる。ここで、当該発光部ポケット5711の底面(+Z方向端面)は、発光部552の接続線の折曲角度に対応する角度(発光部552の光軸と平行の角度)の斜面形状を呈している。なお、このように斜面形状を有する理由については後述する。
【0146】
また、受光部ポケット5712は、受光部553が一体形成されたシールド554を収容可能な大きさ及び形状の凹部であって、受光部553(及びシールド554)を受光部ポケット5712に収容した状態において、受光部553と回路基板551との位置関係が、受光部553を回路基板551に最終的に実装した際の位置関係となる。ここで、当該受光部ポケット5712の底面(+Z方向端面)は、シールド554の傾斜角度に対応する角度の斜面形状を呈している。なお、このように斜面形状を有する理由については後述する。
【0147】
ここで、この受光部ポケット5712に受光部553が収容される状態において、受光部553は回路基板551に対して押圧されている。具体的には、土台5710には付勢穴5716が設けられており、この付勢穴5716の内部にはスライド部材5713が上下にスライド可能に格納されており、受光部ポケット5712は当該スライド部材5713の-Z方向端部に形成されている。そして、付勢穴5716の底面(+Z方向端面)にはバネ5714が配置されており、スライド部材5713を回路基板551に向かう方向(-Z方向)へ付勢しており、このことによって、受光部ポケット5712に収容された受光部553が回路基板551に圧しつけられている。なお、受光部553を回路基板551に圧し付ける具体的な方法はこれに限らず、例えば上述したバネ5714の代わりにゴム等の弾性部材を適用しても構わない。
【0148】
次に、上蓋5720の構成について説明する。上蓋5720は、全体として土台5710に対して一端部を基点として回動可能に取り付けられている。そして、この上蓋5720の平面視における中央部には、回路基板551より僅かに小さい平面形状の露出孔5721が設けられており、上蓋5720を閉じた状態では、この露出孔5721を介して回路基板551の中央付近(上述した発光部ポケット5711及び受光部ポケット5712を含む部分)は外部に露出し(後述する
図59等参照)、回路基板551の外縁部は上蓋5720によって抑えられて固定される。
【0149】
上記のような実装用治具5700を用いた実装方法について以下で説明する。
図56は、初期状態の実装用治具5700を示す斜視図である。この状態では上蓋5720は開状態となっている。
図57は、発光部552、受光部553、及びシールド554を実装用治具5700に配置した状態の実装用治具5700を示す斜視図である。このように、まず、発光部ポケット5711の内部に発光部552を収容し、受光部ポケット5712の内部にシールド554(受光部553が一体に形成されたシールド554)を収容する。ここで、発光部552については、予め他の公知の治具(フォーミング治具等)を用いて発光部552の接続線を所定角度曲げた状態にて収容する。なお、上述したように発光部ポケット5711の底面(+Z方向端面)は斜面形状となっており、発光部552を収容した際には発光部552が所定角度を成すように配置されるが、この底面(+Z方向端面)の斜面の角度は上記接続線の折曲げ角度と対応するため、発光部552を収容した状態において発光部552の接続線は鉛直方向に沿うように配置される。また、シールド554の+Z方向端部は上述したように斜面形状となっており、受光部ポケット5712の底面(+Z方向端面)もこの形状と対応する斜面形状となっているため、シールド554を収容した際にはシールド554の回路基板551側の端面(-Z方向の端面)が回路基板551に沿うように水平になる。
【0150】
続いて、実装用治具5700の土台5710に回路基板551を載置する(検出空間534に流入した気体に被検出物質が含まれているか否かを検出する発光部552及び受光部553を、素子を実装可能な回路基板551に対して所定角度で取り付ける取付工程)。
図58は、回路基板551を載置した状態の実装用治具5700を示す斜視図である。ここで、実装用治具5700には位置決め用突起5715が形成されており、当該位置決め用突起5715が回路基板551に形成された位置決め用孔557を貫通するように回路基板551を載置することにより、土台5710に対する回路基板551の位置を一意に確定できる。この際に、回路基板551に設けられた各スルーホールに発光部552、シールド554、及び受光部553の接続線が挿通される。
【0151】
続いて、上蓋5720を閉状態にして回路基板551を固定する。
図59は、上蓋5720を閉状態にした実装用治具5700を示す斜視図である。なお、回路基板551をさらに動かないようにするためには公知のピン等で上蓋5720を抑え付けても良い。
【0152】
最後に、
図59に示す状態において、回路基板551に対して発光部552、受光部553、及びシールド554を電気的に実装する(取付工程において回路基板551に取り付けた発光部552及び受光部553を、所定角度(取付時の角度)を維持した状態で回路基板551に対して電気的に実装する実装工程)。なお、図示のように上蓋5720の露出孔5721によって、回路基板551の一部が露出しているので、上蓋5720が閉状態でも回路基板551に直接ハンダ付け等が可能である。具体的には、まず、回路基板551に設けられた基板孔556に光軸調整ピン5701(
図55参照)を挿通して発光部552を発光部ポケット5711の+Z方向端面に抑え付けて固定した状態で、回路基板551のスルーホールから突出した発光部552の接続線を回路基板551に対してハンダ付けして実装する。このように、発光部552は光軸調整ピン5701で押圧する力によって発光部ポケット5711の内部に斜め向きに抑え付けられることによって、設置位置及び角度が一意に決められている。続いて、回路基板551のスルーホールから突出した受光部553の接続線を回路基板551に対してハンダ付けして実装する。なお、受光部553は、上述したように-Z向きの付勢力によって回路基板551に対して抑え付けられることによって、設置位置及び角度が一意に決められている。
【0153】
以上にて、回路基板551に対して、上記の発光部552、受光部553、及びシールド554を実装する実装方法についての説明を終了する。そして、回路基板551、及び回路基板551に実装された発光部552及び受光部553を覆うように、回路基板551と検出空間534との間に介装される検出部本体504を設置し(被覆手段設置工程。
図35等参照)、ケース502の間に各部品を収納することで、警報装置5100を製造できる。
【0154】
(実施形態5の効果)
このように本実施形態5によれば、検出部本体504が回路基板551、発光部552、及び受光部553に対して干渉しないので、検出部本体504に発光部552及び受光部553をセットしてから当該検出部本体504に回路基板551を被せて回路基板551のスルーホールに発光部552及び受光部553の接続線を同時に挿通するという作業を省略でき、発光部552及び受光部553の実装作業を簡素化することができると共に、発光部552及び受光部553を取り付けるための機構を検出部本体504に設ける必要がなくなり、検出部本体504の機構を簡素化して警報装置5100の生産性を向上することが可能となる。
【0155】
また、検出手段は受光部553を備え、シールド554を受光部553と一体的に形成するので、受光部553及びシールド554の実装作業を簡素化することができると共に、検出部本体504に受光部553及びシールド554を取り付けるための機構を検出部本体504に設ける必要がなくなり、検出部本体504の機構を簡素化して警報装置5100の生産性を向上することが可能となる。
【0156】
また、検出部本体504の外縁部に検出空間534への気体の流入を促進するためのフランジ部541を備えるので、検出空間534への気体の流入量を増大でき、検出精度を向上させることが可能となる。
【0157】
また、電源部からの応力が常時作用する電池保持バネ548を、外部から視認不可能な検出部本体504と一体形成したので、ケース502のように外部から視認可能な機構に設ける場合と比較して当該応力による変形が目立たなくなり、外観不良を防止できる。
【0158】
また、回路基板551に接続されるスピーカを収納するスピーカ収納部545を検出部本体504と一体に形成するので、検出部本体504における回路基板551と同一面側に出力手段を配置でき、スピーカの回路基板551に対する接続を簡素化して警報装置5100の生産性を向上することが可能となる。
【0159】
また、回路基板551に光軸調整ピン5701を挿通可能な基板孔556を備えるので、光軸調整ピン5701を挿通して発光部552を抑え付けるという極めて容易な方法により発光部552の取り付け角度を容易に確定することができ、警報装置5100の生産性を向上することが可能となる。
【0160】
また、基板孔556を塞ぐ閉塞突起5226をケース502に備えるので、発光部552の光が基板孔556から回り込んで受光部553にて受光されてしまうことによる誤検出を防止することができ、検出精度を向上させることが可能となる。
【0161】
また、閉塞突起5226は発光部552を支持可能であるので、発光部552に何等かの理由で外力が加わった際に発光部552の角度が変わってしまって検出精度が低下してしまうことを防止することが可能となる。
【0162】
また、検出部本体504が発光孔5436と受光孔5437とを備えるので、検出部本体504で回路基板551を被覆して回路基板551への塵埃の蓄積を抑止しつつ、発光孔5436及び受光孔5437により発光部552及び受光部553の光軸を阻害しない構成とすることができる。
【0163】
また、発光孔5436及び受光孔5437の周囲に、検出空間534と反対側に向けて凹んだ溝部5434を備えるので、当該溝部5434に塵埃を蓄積させることにより塵埃が検出部本体504の上に高く蓄積してしまうことを防止でき、検出部本体504における発光孔5436又は受光孔5437の周囲に蓄積した塵埃が発光軸上や受光軸上に位置してしまうことによって検出精度が低下してしまう事態を防止できる。
【0164】
また、発光孔5436又は受光孔5437の周囲に立ち上げられるように配置され、発光部552又は受光部553の周囲を覆う遮光枠部435を備えるので、発光部552からの光が、検出空間534を介さずに直接受光部553に受光されてしまうことに伴う誤検出を防止できると共に、検出部本体504に蓄積した塵埃が、検出部本体504から発光孔5436や受光孔5437を介して発光部552や受光部553に落ちて、発光部552や受光部553の表面に蓄積してしまうことによって、検出精度が低下してしまう事態を防止することが可能となる。
【0165】
また、発光部552及び受光部553を回路基板551に対して取り付けて電気的に実装してから検出部本体504を設置するので、検出部本体504に発光部552及び受光部553をセットしてから当該検出部本体504に回路基板551を被せて回路基板551のスルーホールに発光部552及び受光部553の接続線を同時に挿通するという作業を省略でき、発光部552及び受光部553の実装作業を簡素化することができると共に、発光部552及び受光部553を取り付けるための機構を検出部本体504に設ける必要がなくなり、検出部本体504の機構を簡素化して警報装置5100の生産性を向上することが可能となる。
【0166】
(実施形態5に対する変形例)
以上、本発明に係る実施形態5について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0167】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の詳細に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0168】
(分散や統合について)
また、上述した構成は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、警報装置5100のケース502と取付ベース501とを一体的に構成して、この一体的に構成したものが、監視領域の設置面に直接取り付けられるようにしてもよい。
【0169】
(光軸調整ピンについて)
本実施形態5では、光軸調整ピン5701を基板孔556に挿通して発光部552を固定し、固定した状態でハンダ付けを行ってから光軸調整ピン5701を取り外すものとして説明したが、これに限らず、光軸調整ピン5701を回路基板551に公知の方法で接着しても構わない。
【0170】
(実装用治具について)
本実施形態5では実装用治具5700は、土台5710に対して上蓋5720を回動可能に取り付けて、土台5710と上蓋5720とで回路基板551を挟み込む構造としたが、回路基板551を固定可能である限りこれに限らず、例えば上蓋5720を省略しても構わず、土台5710に対して回路基板551を固定可能な部材(例えばフック等)を設けても良いし、回路基板551を土台5710に対してネジやボルト等で固定しても良いし、回路基板551が土台5710に嵌め込まれて固定されても良い。
【0171】
〔付記〕
付記1記載の機器取付構造は、取付板により機器本体を設置面に対して取付ける機器取付構造において、前記取付板は、前記設置面に対し固定するためのネジを挿通させるネジ孔部を有し、該ネジ孔部の周囲には、前記ネジの頭部以上の高さを有する立上がり部が形成されていることを特徴とする。
付記2記載の機器取付構造は、付記1記載の機器取付構造において、前記取付板は、前記機器本体を固定する機器固定面部を有し、該機器固定面部には、前記機器本体を係止させる係止片部と前記ネジ孔部とが形成されていると共に、前記機器固定面部から立ち上がるように前記立上がり部が形成されていることを特徴とする。
付記3記載の機器取付構造は、付記1または2記載の機器取付構造において、前記機器本体は電池を収納する電池収納部を有し、該電池収納部は前記取付板に向かって開口し、前記ネジ孔部は前記電池収納部と対向する位置に形成されていることを特徴とする。
付記4記載の機器取付構造は、付記1~3のいずれか一項記載の機器取付構造において、前記機器本体は火災の発生を検出して警報を発する火災警報器であることを特徴とする。
付記5記載の取付板は、機器本体を設置面に対して取付けるための取付板において、前記取付板は、前記設置面に対し固定するためのネジを挿通させるネジ孔部を有し、該ネジ孔部の周囲には、前記ネジの頭部以上の高さを有する立上がり部が形成されていることを特徴とする。
付記6記載の取付板は、付記5記載の取付板において、前記取付板は、前記機器本体を固定する機器固定面部を有し、該機器固定面部には、前記機器本体を係止させる係止片部と前記ネジ孔部とが形成されていると共に、前記機器固定面部から立ち上がるように前記立上がり部が形成されていることを特徴とする。
付記7記載の警報器は、正面から音声を発するスピーカーを筐体内に有する警報器において、前記筐体は、前記スピーカーを配置固定するスピーカー固定部を有する基板部を内部に有し、前記筐体の前面部には、前記スピーカーの正面と対向する位置に音響孔が形成され、前記スピーカー固定部は、前記スピーカーの背面と対向する基面部と、前記スピーカーの周囲部に係止される係止部とを有し、前記基面部は1つまたは複数の貫通部を有することを特徴とする。
付記8記載の警報器は、付記7記載の警報器において、前記基板部は、前記筐体の中空内部に納められ、前記基板部と前記筐体の後面部との間には空間部が形成されると共に、該空間部は少なくとも前記筐体の後面部側が閉塞されていることを特徴とする。
付記9記載の警報器は、付記7または8記載の警報器において、前記係止部は、略円形状に形成される前記スピーカーの周方向に沿って複数設けられる係止片部からなることを特徴とする。
付記10記載の警報器は、付記7または8記載の警報器において、前記係止部は、略円形状に形成される前記スピーカーの直径方向に対向する1対の係止片部からなることを特徴とする。
付記11記載の警報器は、付記9または10記載の警報器において、前記係止片部は、前記基板部に固定された固定係止片部と、前記基板部に対し弾性的に移動可能な移動係止片部とからなることを特徴とする。
付記12記載の警報器は、付記11記載の警報器において、前記移動係止片部は、前記基面部に片持ち状に支持された弾性片に形成されていることを特徴とする。
付記13記載の警報器は、付記7~12のいずれか一項記載の警報器において、前記貫通部は、前記基面部に形成される複数の小孔からなることを特徴とする。
付記14記載の警報器は、付記11記載の警報器において、前記移動係止片部は、前記基面部の一端部から少なくとも前記基面部の中央を越える位置まで達する2つのスリット部により弾性変形可能とされた弾性片に形成され、前記スリット部が前記貫通部となっていることを特徴とする。
付記15記載の警報器は、付記11記載の警報器において、前記移動係止片部は、前記基板部との間を細径のブリッジ部で接続された島状部に形成されており、該島状部と前記基面部との間の隙間が前記貫通部となっていることを特徴とする。
付記16記載の警報器は、筐体と、該筐体に設けられ押圧動作及び復帰動作可能な操作ボタンとを有する警報器において、前記操作ボタンは、外周部に回転軸部を有し、前記筐体は、前記操作ボタンを納める開口部を有すると共に、該開口部の縁部に前記回転軸部を保持する軸受け部を有し、前記操作ボタンは、前記筐体に対し前記操作ボタンの復帰動作方向に付勢された状態で係止される係止部を有することを特徴とする。
付記17記載の警報器は、付記16記載の警報器において、前記操作ボタンは、一端部近傍に前記回転軸部が設けられ、該回転軸部が設けられる一端部から他端部に向かって長い形状を有することを特徴とする。
付記18記載の警報器は、付記16または17記載の警報器において、前記操作ボタンは、前記開口部から露出する操作部と、該操作部の一端部より外方に延出される外方延出部とを有し、該外方延出部に前記回転軸部が設けられることを特徴とする。
付記19記載の警報器は、付記18記載の警報器において、前記操作ボタンは、前記操作部の一端部より前記外方延出部と同じ方向に延出されて前記外方延出部と並設される弾性片を有し、該弾性片の先端部に前記係止部が形成されることを特徴とする。
付記20記載の警報器は、付記16~19のいずれか一項記載の警報器において、前記操作ボタンは、後方に向かって延出される後方延出部を有し、該後方延出部は引き紐を挿通させるスリット部を有し、該スリット部は、幅が大きくなる方向に変形可能であることを特徴とする。
付記21記載の火災警報器は、筐体内に検煙部を有する火災警報器において、前記検煙部には、センサー部が配置される検煙領域を囲むように検煙部カバーが設けられ、該検煙部カバーは周方向に沿って複数の遮光壁部を有し、前記遮光壁部は単板形状を有し、隣接する前記遮光壁部間には前記検煙領域の内外を連通させる隙間が形成されると共に、前記センサー部の検知位置を中心とする放射線上には、前記遮光壁部のいずれかが位置するように、前記遮光壁部同士が径方向において重なり合うように配置されることを特徴とする。
付記22記載の火災警報器は、付記21記載の火災警報器において、前記遮光壁部は、前記検煙部カバーの基部から、前記検煙領域の周方向に沿い径方向に向かって傾斜するように配置立設されることを特徴とする。
付記23記載の火災警報器は、付記21または22記載の火災警報器において、前記遮光壁部は、前記検煙領域の外周面を形成する弧状面部を有することを特徴とする。
付記24記載の火災警報器は、付記21~23のいずれか一項記載の火災警報器において、前記検煙領域には発光部が配置され、前記遮光壁部のうち、少なくとも前記発光部からの光を受ける面には、凹凸形状が形成されていることを特徴とする。
付記25に記載の警報装置は、素子を実装可能な基板と、前記基板に対して電気的に実装された検出手段であって、検出空間に流入した気体に被検出物質が含まれているか否かを検出する検出手段と、前記検出手段に対して干渉することなく前記基板及び前記検出手段を覆うように配置された被覆手段であって、前記基板と前記検出空間との間に介装された被覆手段と、を備える。
付記26に記載の警報装置は、付記25に記載の警報装置において、前記検出手段は、受光した光の光量に基づいて被検出物質が含まれているか否かを検出する受光手段を備え、当該警報装置は、前記受光手段へのノイズを防止するノイズ防止手段であって、前記受光手段が所定方向を向くように前記受光手段に固定されて形成されることにより、前記受光手段の光軸を確定するノイズ防止手段を備える。
付記27に記載の警報装置は、付記25又は26に記載の警報装置において、前記検出空間への前記気体の流入を促進するためのフランジであって、前記被覆手段の外縁部に一体形成されたフランジを備える。
付記28に記載の警報装置は、付記25から27のいずれか一項に記載の警報装置において、当該警報装置に電源を供給する電源部を付勢して保持するための電源付勢手段であって、前記被覆手段と一体形成された電源付勢手段を備える。
付記29に記載の警報装置は、付記25から28のいずれか一項に記載の警報装置において、警報出力を行う出力手段を収納する収納手段であって、前記被覆手段と一体形成された収納手段を備える。
付記30に記載の警報装置は、付記25から29のいずれか一項に記載の警報装置において、前記検出手段は、前記検出空間に対して発光する発光手段であって、前記基板に対する取り付け位置から所定方向に折り曲げられた状態で配置される発光手段を備え、
前記基板は、前記発光手段における折り曲げられた部分と対応する位置に設けられた基板孔であって、前記発光手段の基板に対する取り付け角度を確定するための角度確定器具を挿通可能な基板孔を備える。
付記31に記載の警報装置は、付記30に記載の警報装置において、前記検出手段及び前記被覆手段を内部に収容する収容手段であって、前記検出手段及び前記被覆手段を収容した状態で前記基板孔を塞ぐ閉塞手段を有する収容手段を備える。
付記32に記載の警報装置は、付記31に記載の警報装置において、前記閉塞手段は、前記検出手段を支持可能な支持手段である。
付記33に記載の警報装置は、付記25から32のいずれか一項に記載の警報装置において、前記検出手段は、前記検出空間に対して発光する発光側検出手段と、受光した光の光量に基づいて前記検出空間に流入した気体に前記被検出物質が含まれているか否かを検出する受光側検出手段と、を備え、前記被覆手段は、前記発光側検出手段から、当該被覆手段を通過して前記検出空間へと光を導入するための発光孔と、前記検出空間から、当該被覆手段を通過して前記受光側検出手段へと反射光を導入するための受光孔と、を有する。
付記34に記載の警報装置は、付記33に記載の警報装置において、前記被覆手段のうち前記検出空間と対向する面における前記発光孔又は前記受光孔の周囲に形成された溝部であって、前記検出空間と反対側に向けて凹んだ溝部を備える。
付記35に記載の警報装置は、付記33又は34に記載の警報装置において、前記被覆手段のうち前記基板と対向する面における前記発光孔又は前記受光孔の周囲に形成された遮光手段であって、前記基板に向けて立ち上げられるように配置され、前記発光側検出手段又は前記受光側検出手段の周囲を覆う遮光手段を備える。
付記36に記載の警報装置の製造方法は、検出空間に流入した気体に被検出物質が含まれているか否かを検出する検出手段を、素子を実装可能な基板に対して所定角度で取り付ける取付工程と、前記取付工程において前記基板に取り付けた前記検出手段を、前記所定角度を維持した状態で前記基板に対して電気的に実装する実装工程と、前記基板及び前記実装工程にて前記基板に実装された前記検出手段を覆うように、前記基板と前記検出空間との間に介装される被覆手段を設置する被覆手段設置工程と、を含む。
【0172】
〔付記の効果〕
付記1に係る発明によれば、ネジの頭部に正面から物が近づいても、立上がり部に当接してネジの頭部に当接することを防止できる。
また、取付板のネジの頭部がその正面側に影響を及ぼさないようにすることができる。また、立上がり部を、ネジを締め込む深さの目安として利用することもでき、取付板の厚さに応じ、適切な締め込み深さ及び強度とすることができるので、取付板と機器本体とを設置面に対し確実に固定することができる。
付記2に係る発明によれば、機器本体の取付板側が、ネジの頭部に近づいても、立上がり部に当接してネジの頭部には当接しないので、ネジが機器本体に影響を与えることを防止できる。
付記3に係る発明によれば、電池がネジの頭部に近づいても、立上がり部に当接してネジの頭部には当接しないので、ネジが電池に影響を与えることを防止できる。
付記4に係る発明によれば、火災警報器において、ネジの頭部が警報器本体に影響しないようにすることができる。
付記5に係る発明によれば、ネジの頭部に正面から機器本体が近づいても、立上がり部に当接してネジの頭部に当接しないので、ネジの頭部が機器本体に影響を及ぼさないようにすることができる。
また、取付板のネジの頭部が機器本体に対し影響を及ぼさないようにすることができる。また、立上がり部を、ネジを締め込む深さの目安として利用することもでき、取付板の厚さに応じ、適切な締め込み深さ及び強度とすることができるので、取付板と機器本体とを設置面に対し確実に固定することができる。
付記6に係る発明によれば、機器本体の取付板側が、ネジの頭部に近づいても、立上がり部に当接してネジの頭部には当接しないので、ネジが機器本体に影響を与えることを防止できる。
付記7に係る発明によれば、スピーカーの正面側での振動によって発生する音の一部を、貫通部を介してスピーカーの背面に伝え、筐体内で効率的に共鳴させることができ、音圧の向上を図ることができる。
また、スピーカーからの音の一部を筐体内で共鳴させることで、スピーカーからの音圧を向上させることができる。これにより、小径のスピーカーでも所定以上の音圧を得られるので、筐体の小型化を図ることができる。
付記8に係る発明によれば、基板部と筐体の後面部の間に、閉塞された空間部が形成され、貫通部を介して導かれるスピーカーからの音を、より共鳴しやすくでき、音圧の更なる向上を図ることができる。
付記9に係る発明によれば、スピーカーを周方向複数位置で係止片部により係止固定するので、スピーカーを安定的に基板部に固定でき、また、温度あるいは湿度等の環境変化により、スピーカーの固定状態が変化することを抑制することができる。
付記10に係る発明によれば、スピーカーを1対の係止片部で両側から挟むように係止固定するので、スピーカーを安定的に基板部に固定でき、また、温度あるいは湿度等の環境変化により、スピーカーの固定状態が変化することを抑制することができる。
付記11に係る発明によれば、スピーカーの一端部を固定係止片部に係止させてから、スピーカーの他端部を容易に移動係止片部に対し係止固定させることができ、スピーカーの固定作業を容易化できる。
付記12に係る発明によれば、簡単な構造で、移動係止片部を弾性的に移動可能とすることができる。
付記13に係る発明によれば、貫通部を介した虫等の侵入を防止でき、また、一部の小孔を塞ぐことで、スピーカーの音圧向上の最適化を図ることができる。
付記14に係る発明によれば、弾性片の変形量を大きくでき、スピーカーの係止固定をより容易化できると共に、スリット部が貫通部となるので、別に貫通部を形成する必要がなく、構造を簡易化できる。
付記15に係る発明によれば、簡単な構造で移動係止片部を弾性的に移動可能とできると共に、隙間が貫通部となるので、別に貫通部を形成する必要がなく、構造を簡易化できる。
付記16に係る発明によれば、操作ボタンを回転軸部を中心として傾倒させるように押圧可能となり、また、係止部が筐体に対し操作ボタンの復帰動作方向に付勢されているので、操作ボタンが筐体に対し確実に固定された状態とすることができる。
また、簡単な構造で操作ボタンの押圧動作及び復帰動作を可能とでき、また、部品点数が少ないので、部品公差による押圧操作のばらつきも抑制することができる。
付記17に係る発明によれば、押圧操作される部分と回転軸部との距離を大きくし、操作ボタンの押圧深さを十分に確保することができる。
付記18に係る発明によれば、回転軸部を操作部からより離すことができ、操作ボタンの押圧深さをより大きくすることができる。
付記19に係る発明によれば、操作ボタンの押圧に伴う弾性片の弾性変形により、操作ボタンを確実に復帰方向に動作させることができる。
付記20に係る発明によれば、スリット部に引き紐を設けた場合に、引き紐に大きな力が加わった際、スリット部が変形して引き紐が抜けるので、操作ボタンや筐体に大きな力が加わらないようにすることができる。
付記21に係る発明によれば、検煙部カバーを最低限の径としつつ、センサー部に対して外部から光が直接入射しないようにすることができる。
また、外部光からの遮光機能を維持しつつ検煙部を小型化でき、小型化された筐体内で検煙部カバーをスピーカーなどと重なり合わないように配置することができる。
付記22に係る発明によれば、遮光壁部間に隙間を設けつつ、隣接する遮光壁部同士が径方向において重なり合うように配置することができる。
付記23に係る発明によれば、遮光壁部の外周側に断続的な円周面を形成でき、網部材を外周側に配置することができる。
付記24に係る発明によれば、発光部からの光が、遮光壁部の凹凸形状によって散乱されるので、センサー部に対して入射する発光部からの光の反射光を減少させ、センサー部における誤作動を防止できる。
付記25に記載の警報装置によれば、被覆手段が基板及び検出手段に対して干渉しないので、被覆手段に全ての検出手段をセットしてから当該被覆手段に基板を被せて基板のスルーホールに各検出手段の接続線を同時に挿通するという作業を省略でき、検出手段の実装作業を簡素化することができると共に、検出手段を取り付けるための機構を被覆手段に設ける必要がなくなり、被覆手段の機構を簡素化して警報装置の生産性を向上することが可能となる。
付記26に記載の警報装置によれば、検出手段は受光手段を備え、ノイズ防止手段を受光手段と一体的に形成するので、受光手段及びノイズ防止手段の実装作業を簡素化することができると共に、被覆手段に受光手段及びノイズ防止手段を取り付けるための機構を被覆手段に設ける必要がなくなり、被覆手段の機構を簡素化して警報装置の生産性を向上することが可能となる。
付記27に記載の警報装置によれば、被覆手段の外縁部に検出空間への気体の流入を促進するためのフランジを備えるので、検出空間への気体の流入量を増大でき、検出精度を向上させることが可能となる。
付記28に記載の警報装置によれば、電源部からの応力が常時作用する電源付勢手段を、外部から視認不可能な被覆手段と一体形成したので、収容手段のように外部から視認可能な機構に設ける場合と比較して当該応力による変形が目立たなくなり、外観不良を防止できる。
付記29に記載の警報装置によれば、基板に接続される出力手段を収納する収納手段を被覆手段と一体に形成するので、被覆手段における基板と同一面側に出力手段を配置でき、出力手段の基板に対する接続を簡素化して警報装置の生産性を向上することが可能となる。
付記30に記載の警報装置によれば、基板に角度確定器具を挿通可能な基板孔を備えるので、角度確定器具を挿通して発光手段を抑え付けるという極めて容易な方法により発光手段の取り付け角度を容易に確定することができ、警報装置の生産性を向上することが可能となる。
付記31に記載の警報装置によれば、基板孔を塞ぐ閉塞手段を収容手段に備えるので、発光手段の光が基板孔から回り込んで受光手段にて受光されてしまうことによる誤検出を防止することができ、検出精度を向上させることが可能となる。
付記32に記載の警報装置によれば、閉塞手段は検出手段を支持可能であるので、検出手段に何等かの理由で外力が加わった際に検出手段の角度が変わってしまって検出精度が低下してしまうことを防止することが可能となる。
付記33に記載の警報装置によれば、被覆手段が発光孔と受光孔とを備えるので、被覆手段で基板を被覆して基板への塵埃の蓄積を抑止しつつ、発光孔及び受光孔により発光側検出手段及び受光側検出手段の光軸を阻害しない構成とすることができる。
付記34に記載の警報装置によれば、発光孔及び受光孔の周囲に、検出空間と反対側に向けて凹んだ溝部を備えるので、当該溝部に塵埃を蓄積させることにより塵埃が被覆手段の上に高く蓄積してしまうことを防止でき、被覆手段における発光孔又は受光孔の周囲に蓄積した塵埃が発光軸上や受光軸上に位置してしまうことによって検出精度が低下してしまう事態を防止できる。
付記35に記載の警報装置によれば、発光孔又は受光孔の周囲に立ち上げられるように配置され、発光側検出手段又は受光側検出手段の周囲を覆う遮光手段を備えるので、発光側検出手段からの光が、検出空間を介さずに直接受光側検出手段に受光されてしまうことに伴う誤検出を防止できると共に、被覆手段に蓄積した塵埃が、被覆手段から発光孔や受光孔を介して発光側検出手段や受光側検出手段に落ちて、発光側検出手段や受光側検出手段の表面に蓄積してしまうことによって、検出精度が低下してしまう事態を防止することが可能となる。
付記36に記載の警報装置の製造方法によれば、検出手段を基板に対して取り付けて電気的に実装してから被覆手段を設置するので、被覆手段に全ての検出手段をセットしてから被覆手段に基板を被せて基板のスルーホールに各検出手段の接続線を同時に挿通するという作業を省略でき、検出手段の実装作業を簡素化することができると共に、検出手段を取り付けるための機構を被覆手段に設ける必要がなくなり、被覆手段の機構を簡素化して警報装置の生産性を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0173】
〔実施形態1〕
1 警報器本体
2 取付板
10 筐体
11 前面
12 煙流入口
13 操作ボタン
14 音響孔
15 取付板固定部
16 電池収納部
17 電池
20 警報器固定面部
21 上突出部
22 ネジ孔部
22a 挿通部
22b スライド部
23 立上がり部
24 係止片部
30 ネジ
31 頭部
〔実施形態2-1~2-3〕
201 警報器本体
210 筐体
211 前面部
212 後面部
214 操作ボタン
215 音響孔
216 基板部
217 スピーカー
217c スピーカー本体
217d 耳部
217e 係止凹部
218 電池収納部
219 電池
220 スピーカー固定部
221 立上がり部
222 基面部
223 固定係止片部
224 移動係止片部
225 弾性片
226 貫通部
230 基板部
231 スピーカー固定部
232 立上がり部
233 基面部
234 固定係止片部
235 移動係止片部
236 弾性片
237 スリット部
240 基板部
241 スピーカー固定部
242 立上がり部
243 基面部
244 固定係止片部
245 移動係止片部
246 島状部
247 ブリッジ部
248 隙間部
〔実施形態3〕
301 警報器本体
302 取付板
310 筐体
310a 開口部
310b 軸受け部
310c 係止受け部
310d 段部
311 前面
312 煙流入口
313 操作ボタン
314 音響孔
320 操作部
321 外方延出部
322 回転軸部
323 弾性片
324 係止部
325 後方延出部
326 スリット部
328 縁部
〔実施形態4〕
401 警報器本体
402 取付板
410 筐体
411 前面
412 煙流入口
413 操作ボタン
414 音響孔
416 電池収納部
417 電池
418 スピーカー
430 検煙部
431 検煙領域
432 基板部
433 検煙部カバー
434 網部材
435 発光部
436 センサー部
436a 検知位置
437 設置基部
440 基部
441 遮光壁部
441c 弧状面部
441d 凹凸面部
〔実施形態5〕
501 取付ベース
502 ケース
503 検出部カバー
504 検出部本体
505 回路部
511 取付フック
512 本体部
512A ケース側対向面
512B 設置面側対向面
521 裏ケース
522 表ケース
523 外部流入開口
531 天井板
532 ラビリンス
532d ラビリンス
532e ラビリンス
533 防虫網
534 検出空間
535 内部流入開口
535a 内部流入開口
535b 内部流入開口
535c 内部流入開口
535d 内部流入開口
535e 内部流入開口
541 フランジ部
542 傾斜部
543 隆起部
544 検出部本体切り欠き部
545 スピーカ収納部
546 素子カバー
547 挿通孔
548 電池保持バネ
549 付勢空間
551 回路基板
552 発光部
553 受光部
554 シールド
555 スイッチ
556 基板孔
557 位置決め用孔
565 リブ
5100 警報装置
5111 ねじ孔
5121 ねじ孔
5122 係合部
5211 裏ケース側対向壁
5211a 誘導凹部
5211b 対向面
5212 裏ケース側外周壁
5212a 裏ケース側端部
5213a スリット
5213b スリット
5214 係合部
5221 表ケース側露出壁
5222 表ケース側外周壁
5222a 表ケース側端部
5223 押しボタン
5224 ねじボス
5225 支持部
5226 閉塞突起
5400a 検出部本体側端部
5411 位置決め凹部
5431 配置凹部
5432 発光窪み部
5433 受光窪み部
5434 溝部
5435 外縁壁
5436 発光孔
5437 受光孔
5438 遮光枠部
55611 構成品ケース
55612 構成品ケース
55613 構成品ケース
55613a 固定ねじ
55613b 挿通孔
55614 構成品ケース
55614a 固定ねじ
55614b 挿通孔
55615 構成品ケース
55616 構成品ケース
55616a 外側収容壁
55616b 内側収容壁
5617 構成品ケース切欠き
5618 ストッパー部
55621 短フィン
55622 短フィン
55623 短フィン
55631 長フィン
55632 長フィン
55641 防止片
55642 防止片
55651 リブ
55652 リブ
55653 リブ
55654 リブ
55655 リブ
55656 リブ
55657 リブ
55658 リブ
55659 リブ
5700 実装用治具
5701 光軸調整ピン
5710 土台
5711 発光部ポケット
5712 受光部ポケット
5713 スライド部材
5714 バネ
5715 位置決め用突起
5716 付勢穴
5720 上蓋
5721 露出孔
5900 設置面
Ar1 領域
Ar2 領域
Ar3 領域
CN1 電源コネクタ
F1 矢印
F2 矢印
F3 矢印
F4 矢印
F5 矢印
F21 矢印
F22 矢印
P1 外部よどみ点
P2 内部よどみ点