(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20240110BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240110BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240110BHJP
H04R 7/04 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
H04R17/00
G09F9/00 350Z
G09F9/30 365
H04R7/04
(21)【出願番号】P 2022150995
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2019219414の分割
【原出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】▲イェ▼ 載 憲
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-520540(JP,A)
【文献】特表2007-505539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
G09F 9/00
G09F 9/30
H04R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された音声信号に応じて振動する圧電素子と、
画像を表示する表示パネルと、
前記圧電素子の振動を前記表示パネルに伝達するように前記圧電素子の一部と前記表示パネルとを接続する弾性部材と、
を備え、
前記圧電素子の少なくとも1つの端部は、前記弾性部材に接続されていない、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記圧電素子は、平板状であり、
前記弾性部材は前記圧電素子の主面に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記圧電素子の中心を含む位置に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記圧電素子は、平面視において円形をなしており、
前記弾性部材は、前記圧電素子の前記円形の中心を含む位置に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記圧電素子は、厚さ方向に屈曲するように振動する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記圧電素子は、互いに積層された第1圧電層、第1電極及び第2電極を含み、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1圧電層を厚さ方向に挟むように配されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記圧電素子は、互いに積層された第1圧電層、第2圧電層、第1電極、第2電極及び第3電極を含み、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1圧電層を厚さ方向に挟むように配されており、
前記第2電極及び前記第3電極は、前記第2圧電層を厚さ方向に挟むように配されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1圧電層及び前記第2圧電層の分極方向は同一である、
ことを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1電極及び前記第3電極には同相の前記音声信号が入力される、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記圧電素子は、互いに積層された第1圧電層、第2圧電層、第1電極、第2電極、第3電極及び第4電極を含み、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記第1圧電層を厚さ方向に挟むように配されており、
前記第3電極及び前記第4電極は、前記第2圧電層を厚さ方向に挟むように配されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1圧電層及び前記第2圧電層の分極方向は逆である、
ことを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1電極及び前記第3電極には同相の前記音声信号が入力される、
ことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2電極及び前記第4電極には同相の前記音声信号が入力される、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の表示装置。
【請求項14】
入力された音声信号に応じて振動する複数の圧電素子と、
画像を表示する表示パネルと、
前記複数の圧電素子の各々の振動を前記表示パネルに伝達するように前記複数の圧電素子の各々の一部と前記表示パネルとを接続する弾性部材と
を備え、
前記複数の圧電素子のうちの第1圧電素子と第2圧電素子の周波数特性が互いに異なり、
前記圧電素子の少なくとも1つの端部は、前記弾性部材に接続されていない、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記第1圧電素子と前記第2圧電素子の固有周波数が互いに異なる、
ことを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第1圧電素子と前記第2圧電素子の形状が互いに異なる、
ことを特徴とする請求項14又は15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1圧電素子を構成する材料と前記第2圧電素子を構成する材料の音速、弾性率及び密度の少なくとも1つが互いに異なる、
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記表示パネルは、前記画像が表示される画像表示面と、前記画像表示面に対向する裏面とを有し、
前記圧電素子の振動は、前記表示パネルの前記裏面に伝達される、
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項19】
前記表示パネルは、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode;OLED)を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示パネルと、アクチュエータとを備える表示装置が開示されている。特許文献1の表示装置は、アクチュエータを制御して表示パネルを振動させる機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0077582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
臨場感の向上等のため、表示パネル自体をスピーカとして機能させて音を発する表示装置が検討されている。しかしながら、特許文献1に記載されている構造を用いて表示パネルをスピーカとして機能させたとしても、音質が十分ではない場合がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、表示パネルから音を発する表示装置において、音質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、入力された音声信号に応じて振動する圧電素子と、画像を表示する表示パネルと、前記圧電素子の振動を前記表示パネルに伝達するように前記圧電素子の一部と前記表示パネルとを接続する弾性部材と、を備え、前記圧電素子の少なくとも1つの端部は、前記弾性部材に接続されていないことを特徴とする表示装置が提供される。
【0007】
本発明の他の一観点によれば、平面視において互いに異なる方向に延在する第1振動部及び第2振動部を有し、入力された音声信号に応じて振動する圧電素子と、画像を表示する表示パネルと、前記圧電素子の振動を前記表示パネルに伝達するように前記第1振動部の一部と前記表示パネルとを接続する弾性部材と、を備えることを特徴とする表示装置が提供される。
【0008】
本発明の他の一観点によれば、入力された音声信号に応じて振動する複数の圧電素子と、画像を表示する表示パネルと、前記複数の圧電素子の各々の振動を前記表示パネルに伝達するように前記複数の圧電素子の各々の一部と前記表示パネルとを接続する弾性部材とを備え、前記複数の圧電素子のうちの第1圧電素子と第2圧電素子の周波数特性が互いに異なり、前記圧電素子の少なくとも1つの端部は、前記弾性部材に接続されていないことを特徴とする表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表示パネルから音を発する表示装置において、音質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る圧電素子の構造をより詳細に示す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る圧電素子に電圧が印加されたときの変形を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る圧電素子に電圧が印加されたときの変形を示す模式図である。
【
図7】比較例に係る圧電素子の構造を示す断面図である。
【
図8】比較例に係る振動モデルを示す模式図である。
【
図9】第1実施形態に係る振動モデルを示す模式図である。
【
図10】第2実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す平面図である。
【
図11】第3実施形態に係る圧電素子の構造を示す断面図である。
【
図12】第4実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す平面図である。
【
図13】第4実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す断面図である。
【
図14】第4実施形態に係る圧電素子の構造をより詳細に示す断面図である。
【
図15】第5実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す平面図である。
【
図16】第6実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す平面図である。
【
図17】第7実施形態に係る圧電素子の概略構成を示す平面図である。
【
図18】第8実施形態に係る圧電素子の配列を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面を通じて共通する機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略又は簡略化することがある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置1の概略構成図である。本実施形態の表示装置1の用途は、例えば、コンピュータの画像出力装置、テレビジョン受像機、スマートフォン、ゲーム機等であり得るが、特に限定されるものではない。
【0013】
図1に示されているように表示装置1は、圧電素子10、表示パネル20、弾性部材30、第1制御部40、第2制御部50、データ駆動回路60及びゲート駆動回路70を有する。表示装置1は、入力されたRGBデータ等に基づいて表示パネル20に画像を表示し、入力された音声信号等に基づいて音声を発する装置である。
【0014】
表示パネル20は、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の画素Pを含む。表示装置1は、例えば、画素Pの発光素子として有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode;OLED)を用いたOLEDディスプレイであり得る。表示装置1がカラー画像を表示可能である場合には、画素Pは、カラー画像を構成する複数の色(例えばRGB)のいずれかを表示する副画素であり得る。
【0015】
圧電素子10は、入力された音声信号に基づく電圧が印加されると、逆圧電効果により変位する素子である。圧電素子10は、例えば、バイモルフ(Bimorph)、ユニモルフ(Unimorph)等の電圧に応じて屈曲変位する素子であり得る。入力される音声信号は通常は交流電圧であるため、圧電素子10は、入力された音声信号に応じて振動する振動素子として機能する。
【0016】
弾性部材30は、弾性を有する材料により構成された部材である。弾性部材30の材料には、典型的には、圧電素子10及び表示パネル20よりも小さい弾性率を有する、ゴム等の材料が用いられる。圧電素子10の一部と、表示パネル20の一部とは、弾性部材30により接続されている。これにより、圧電素子10の振動が表示パネル20に伝達され、表示パネル20は、入力された音声信号に基づく音を発する。
【0017】
ホストシステム2は、画像信号(例えばRGBデータ)、音声信号及びタイミング信号(垂直同期信号、水平同期信号、データイネーブル信号等)を供給することにより表示装置1を制御する装置又は複数の装置を含むシステムである。ホストシステム2は、例えば、テレビシステム、セットトップボックス、ナビゲーションシステム、光ディスクプレーヤー、コンピュータ、ホームシアターシステム、ビデオ電話システム等であり得る。なお、表示装置1とホストシステム2は一体の装置であってもよく、別の装置であってもよい。
【0018】
第1制御部40は、ホストシステム2から入力された音声信号及びタイミング信号に基づいて、圧電素子10に電圧を供給する。
【0019】
第2制御部50は、ホストシステム2から入力された画像データ及びタイミング信号に基づいてデータ駆動回路60及びゲート駆動回路70を制御する。データ駆動回路60は、複数の画素Pの列ごとに配された駆動線61を介して複数の画素Pにデータ電圧等を供給する。ゲート駆動回路70は、複数の画素Pの行ごとに配された駆動線71を介して複数の画素Pに制御信号を供給する。なお、駆動線61及び駆動線71の各々は、複数の配線により構成されていてもよい。
【0020】
第1制御部40、第2制御部50、データ駆動回路60及びゲート駆動回路70の各々は、1又は複数の半導体集積回路によって構成され得る。また、第1制御部40、第2制御部50、データ駆動回路60及びゲート駆動回路70のうちの一部又は全部は、1つの半導体集積回路として一体に構成されていてもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す平面図である。
図3は、第1実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す断面図である。
図2及び
図3を相互に参照しつつ、圧電素子10の配置を説明する。
図2における表示パネル20の矩形の外枠は、表示パネル20の外形を模式的に示している。
【0022】
図3に示されているように、表示パネル20の画像が表示される面を画像表示面20a、画像表示面20aに対向する面を裏面20bとする。このとき、
図2は裏面20b側から表示パネル20を見た平面図として図示されている。
図2には、画像表示面20aの水平方向をx軸、画像表示面20aの垂直方向をz軸、画像表示面20aの奥行方向をy軸とした座標軸が示されている。また、裏面20bから画像表示面20aに向かう方向をy軸の正方向としている。
図3は、
図2におけるA-A’線における断面図である。
【0023】
圧電素子10は平板状をなしている。
図2に示されているように、圧電素子10は平面視において、長手方向(図中のz方向)及び短手方向(図中のx方向)を有する矩形をなしている。これにより、長手方向に沿う断面(A-A’線)から見て屈曲するような変形が生じる。圧電素子10の長手方向は、表示パネル20の端部と垂直になるように配置されている。
【0024】
弾性部材30は、圧電素子10の長手方向の中心を含む位置に接続されている。圧電素子10の長手方向の中心は振動の腹になる部分であるため、振動が効率よく表示パネル20に伝達される。
【0025】
図3に示されているように、圧電素子10は、第1主面10a及び第2主面10bを有している。弾性部材30は、圧電素子10の第1主面10aと、表示パネル20の裏面20bとを接続している。このように、圧電素子10及び弾性部材30は、ユーザが画像表示面20aを見る際の妨げにならないように、表示パネル20の裏面20bに配されている。
【0026】
弾性部材30は、圧電素子10の第1主面10aのうちの一部のみに接続されている。圧電素子10の長手方向の両端部を浮いた状態とすることにより、屈曲振動の変位が大きい長手方向の両端部において、圧電素子10の振動が阻害されにくくなる。
【0027】
図4は、第1実施形態に係る圧電素子10の構造をより詳細に示す断面図である。
図4は、
図3とは向きが異なっているが、
図3と同様に
図2におけるA-A’線における断面図を示している。また、
図4では、圧電素子10への音声信号の入力方法を説明するため、圧電素子10に含まれる各電極の接続関係を回路図により模式的に示している。
【0028】
図4に示されている圧電素子10は、2層の圧電層が積層されたバイモルフと呼ばれる構造をなしている。圧電素子10は、電極101、103、105及び圧電層102、104を含む。最も表示パネル20に近い側に設けられている電極101(第1電極)は、弾性部材30に接続されている。電極101及び電極103(第2電極)は、圧電層102(第1圧電層)を厚さ方向に挟むように配されている。電極103及び電極105(第3電極)は、圧電層104(第2圧電層)を厚さ方向に挟むように配されている。圧電層102、104の内部に図示されている矢印は、圧電層102、104の分極方向を示している。すなわち、圧電層102及び圧電層104の分極方向は同一である。なお、電極101、103、105には、ハンダ付けなどにより各電極に電圧を印加するための配線が接続され得るが、
図4においては配線の図示は省略されている。
【0029】
圧電素子10に印加される電圧は、音声信号に基づくものであるため、生成すべき音声の周波数に応じた交流電圧と考えることができる。
図4では、この交流電圧を交流電源Vの回路記号で示している。交流電源Vの一方の端子は、電極101、105に接続されており、他方の端子は、電極103に接続される。言い換えると、電極101と電極105には同相の電圧が印加され、電極101と電極103には逆相の電圧が印加され、電極103と電極105にも逆相の電圧が印加される。これにより、圧電層102と圧電層104には逆向きの電圧が印加される。
【0030】
圧電層102、104の材料は、特に限定されるものではないが、変位量を大きくすることができるため、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電性が良好な材料であることが望ましい。また、
図4の構成では不図示であるが、圧電素子10の外周は他の部材とのショートを避けるために樹脂等の絶縁体で覆われていてもよい。
【0031】
図5及び
図6は、第1実施形態に係る圧電素子10に電圧が印加されたときの変形を示す模式図である。
図4に示されているように圧電層102、104の分極方向は同じ向きであり、圧電層102、104の印加電圧は逆向きである。これにより、圧電層102と圧電層104の伸縮方向は逆になる。
【0032】
図5に示されているように、圧電層102が横方向に収縮するように変形するタイミングでは、圧電層104は、横方向に伸長する方向に変形する。これにより、圧電素子10の端部は、表示パネル20に近づく方向に屈曲する。このとき、表示パネル20は、圧電素子10の側に向かう応力を受けて変形する。
【0033】
図6に示されているように、圧電層102が横方向に伸張するように変形するタイミングでは、圧電層104は、横方向に収縮する方向に変形する。これにより、圧電素子10の端部は、表示パネル20から離れる方向に屈曲する。このとき、表示パネル20は、圧電素子10から離れる方向に向かう応力を受けて変形する。
【0034】
音声信号に基づく交流電圧が圧電素子10に印加されると、音声の周波数で
図5の状態と
図6の状態が交互に繰り返される。このようにして、圧電素子10の振動が表示パネル20に伝達され、表示パネル20が振動する。したがって、表示パネル20からは音声信号に基づく音が発せられるため、表示パネル20はスピーカとして機能する。
【0035】
図7乃至
図9を参照して、本実施形態において、圧電素子10の一部と表示パネル20とが弾性部材30により接続されていることにより得られる効果をより詳細に説明する。
図7は、比較例に係る圧電素子10の構成を示す断面図である。
図8は、比較例に係る振動モデルを示す模式図である。
図9は第1実施形態に係る振動モデルを示す模式図である。
【0036】
図7に示されるように比較例では、圧電素子10の全面が表示パネル20に直接接続されている。このような構成においても圧電素子10の変位を表示パネル20に伝達させて表示パネル20をスピーカとして機能させることができる。
【0037】
比較例に係る振動モデルは、
図8に示されるように、圧電素子10及び表示パネル20を示す質点の両端にスプリングS1、S2が接続された構成をなしている。質量m
1を有する圧電素子10と質量m
2を有する表示パネル20とが直接接続されている。
【0038】
圧電素子10にはバネ定数k1を有するスプリングS1が接続されており、表示パネル20にはバネ定数k2を有するスプリングS2が接続されている。スプリングS1は、圧電素子10の弾性をモデル化したものである。スプリングS2は、表示パネル20自体、あるいは筐体等の表示パネル20を拘束する部材をモデル化したものである。なお、本振動モデルにおける両端は、典型的には固定端である。
【0039】
比較例の振動モデルでは、圧電素子10と表示パネル20は質量(m1+m2)を有する1つの質点に置き換えることができる。圧電素子10に電圧を印加すると、圧電素子10で生じた力は、質量(m1+m2)を有する圧電素子10と表示パネル20の全体をまとめて振動させる。ここで、表示パネル20は圧電素子10よりもはるかに大きいため、質量(m1+m2)は質量m1よりもはるかに大きい。圧電素子10で生じた力は、非常に大きな質量の物体に対して及ぼされるため、この力により圧電素子10と表示パネル20が受ける加速度は小さい。したがって、圧電素子10と表示パネル20の変位量はさほど大きなものにはならず、比較例の構成においては表示パネル20から発せられる音の音圧が十分ではない場合がある。
【0040】
これに対し本実施形態に係る振動モデルは、
図9に示されるように、圧電素子10及び表示パネル20を示す質点の間にバネ定数k
3を有するスプリングS3が接続された構成をなしている。スプリングS1は、弾性部材30の弾性をモデル化したものである。質量m
1を有する圧電素子10と質量m
2を有する表示パネル20とがスプリングS3を介して接続されている。
【0041】
本実施形態の振動モデルでは、圧電素子10と表示パネル20は独立に変位する。圧電素子10に電圧を印加したときに生じる力は、質量m1を有する圧電素子10を振動させる。力が及ぼされる物体の質量が比較例の場合と比べて小さいため、この力により圧電素子10が受ける加速度は比較例の場合に比べて大きい。これにより、圧電素子10は大きな変位で共振した状態となる。圧電素子10の変位がスプリングS3を介して表示パネル20に徐々に伝達されるため、比較例の場合のように表示パネル20の質量による変位の阻害も生じにくい。そのため、本実施形態では、比較例の場合と比べて変位を大きくすることができ、音圧が向上する。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、表示パネル20をスピーカとして機能させた場合において、表示パネル20が発する音の音圧を向上させることにより音質を向上させることができる表示装置1が提供される。
【0043】
なお、本実施形態では、振動源は圧電素子10であるが、音の発生源は質量が大きく固有周波数が低い表示パネル20である。そのため、圧電素子10から直接音を発する構成、あるいは表示パネル20とは別の小さな振動板に圧電素子10を接続する等の固有周波数が高い部材から音を発する構成と比べて、低音域の音圧を向上させることができる。
【0044】
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態に係る圧電素子10の配置の変形例を説明する。表示装置1の基本構成、圧電素子10の構造等は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0045】
図10は、第2実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す平面図である。
図10に示されているように、本実施形態では、圧電素子10の長手方向が表示パネル20の端部のいずれとも垂直にならないように圧電素子10が配されている。
【0046】
圧電素子10の形状が矩形である場合には、表示パネル20に生じる振動の分布は、圧電素子10の長手方向に向かう成分が主となる。第1実施形態のように、圧電素子10の長手方向が表示パネル20の端部に垂直である場合には、圧電素子10で生じる振動と表示パネル20の端部で反射された振動とが強め合って共振を生じることがある。この共振は、ノイズの原因となり得る。これに対し、本実施形態では、圧電素子10の長手方向が表示パネル20の端部のいずれとも垂直にならないようにすることで、上述の要因による共振が起こりにくくなるため、ノイズが低減され得る。
【0047】
したがって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、表示パネル20の端面での反射により生じた共振に起因するノイズが低減され、音質が向上された表示装置1が提供される。
【0048】
なお、第1実施形態の構成においては、振動の強め合いが生じるため、これを利用して音圧の向上、周波数特性の調整等が可能である場合もある。したがって、要求特性、設計制約等の設計条件によっては、第1実施形態のように圧電素子10の長手方向が表示パネル20の端部に垂直にすることが望ましい場合もあり得る。
【0049】
[第3実施形態]
本実施形態では、第1実施形態に係る圧電素子10の断面構造の変形例を説明する。表示装置1の基本構成、圧電素子10の配置等は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0050】
図11は、第3実施形態に係る圧電素子10の構造を示す断面図である。断面の位置は、
図3及び
図4と同様である。
【0051】
圧電素子10は、電極111、113、115、117、圧電層112、116及び絶縁層114を含む。最も表示パネル20に近い側に設けられている電極111(第1電極)は、弾性部材30に接続されている。電極111及び電極113(第2電極)は、圧電層112(第1圧電層)を厚さ方向に挟むように配されている。電極115(第3電極)及び電極117(第4電極)は、圧電層116(第2圧電層)を厚さ方向に挟むように配されている。絶縁層114は、電極113と電極115の間に配されている。絶縁層114は、電極113と電極115の間の絶縁性を確保する層である。圧電層112、116の内部に図示されている矢印は、圧電層112、116の分極方向を示している。すなわち、圧電層112及び圧電層116の分極方向は逆方向である。
【0052】
音声信号に基づく電圧を示す交流電源Vの一方の端子は、電極111、115に接続されており、他方の端子は、電極113、117に接続されている。言い換えると、電極111と電極115には同相の電圧が印加される。電極113と電極117には、電極111と電極115に入力される電圧とは逆相の電圧が印加される。これにより、圧電層112と圧電層116には同一の向きの電圧が印加される。
【0053】
本実施形態においても、2つの圧電層の一方が横方向に収縮するときに他方が横方向に伸張するため、第1実施形態と同様の態様の屈曲振動が生じる。したがって、本実施形態においても第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。このように、圧電素子10の中の圧電層、電極等の構造は、第1実施形態のものに限定されるものではなく、種々のものが適用可能である。
【0054】
例えば、圧電素子10は、1層の圧電層と、圧電層を挟む1対の電極と、振動板とを積層したユニモルフと呼ばれる構造であってもよい。しながら、電圧と変位の変換効率を向上させるため、
図4又は
図11のようなバイモルフの構造を採用することが望ましい。
【0055】
[第4実施形態]
本実施形態では、第1実施形態に係る圧電素子10の構造の変形例を説明する。表示装置1の基本構成等は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0056】
図12は、第4実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す平面図である。
図13は、第4実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す断面図である。
図12及び
図13を相互に参照しつつ、圧電素子10の配置を説明する。
【0057】
図12に示されているように、本実施形態の圧電素子10は、平面視において互いに異なる方向に延在する第1振動部12及び第2振動部14を有する。第1振動部12の構成は第1実施形態の圧電素子10と同様である。すなわち、第1振動部12は、平面視において、長手方向(図中のz方向)及び短手方向(図中のx方向)を有する矩形をなしている。第2振動部14は第1振動部12とは異なる方向に延存している。すなわち、第2振動部14は、平面視において、長手方向(図中のx方向)及び短手方向(図中のz方向)を有する矩形をなしている。第1振動部12の長手方向と第2振動部14の長手方向とは互いに垂直である。また、第1振動部12の長手方向と第2振動部14の長手方向とは、いずれも表示パネル20の端部と垂直になるように配置されている。
【0058】
図13に示されているように、第1振動部12は、第1主面12a及び第2主面12bを有している。弾性部材30は、第1振動部12の第1主面12aと、表示パネル20の裏面20bとを接続している。弾性部材30は、第1振動部12の第1主面12aのうちの一部のみに接続されている。このように、圧電素子10及び弾性部材30は、ユーザが画像表示面20aを見る際の妨げにならないように、表示パネル20の裏面20bに配されている。
【0059】
第2振動部14は、第1振動部12の第2主面12bのうちの一部のみに接続されている。これにより、第1振動部12の長手方向の両端部が浮いた状態となっており、更に、第2振動部14の長手方向の両端部が浮いた状態となっている。圧電素子10の長手方向の両端部を浮いた状態とすることにより、屈曲振動の変位が大きい長手方向の両端部において、圧電素子10の振動が阻害されにくくなる。
【0060】
図14は、第4実施形態に係る圧電素子10の構造をより詳細に示す断面図である。
図14は、
図13とは向きが異なっているが、
図13と同様に
図12におけるB-B’線における断面図を示している。また、
図4では、圧電素子10への音声信号の入力方法を説明するため、圧電素子10に含まれる各電極の接続関係を回路図により模式的に示している。
【0061】
図14に示されている圧電素子10は、バイモルフを2つ積層した構造をなしている。圧電素子10は、第1振動部12と第2振動部14を含む。第1振動部12の構造は、第1実施形態の圧電素子10と同様である。
図14では、第1振動部12と第2振動部14の間に絶縁層120が設けられているが、これは必須ではない。
【0062】
第2振動部14は、電極121、123、125及び圧電層122、124を含む。最も第1振動部12に近い側に設けられている電極121は、絶縁層120に接続されている。電極121及び電極123は、圧電層122を厚さ方向に挟むように配されている。電極123及び電極125は、圧電層124を厚さ方向に挟むように配されている。圧電層122、124の内部に図示されている矢印は、圧電層122、124の分極方向を示している。すなわち、圧電層122及び圧電層124の分極方向は同一である。
【0063】
音声信号に基づく電圧を示す交流電源Vの一方の端子は、電極101、105、121、125に接続されており、他方の端子は、電極103、123に接続されている。言い換えると、電極101、105、121、125には同相の電圧が印加される。電極103、123には、電極101、105、121、125に入力される電圧とは逆相の電圧が印加される。これにより、圧電層102、104、122、124には同一の向きの電圧が印加される。
【0064】
第1振動部12及び第2振動部14のいずれにおいても、2つの圧電層の一方が横方向に収縮するときに他方が横方向に伸張する。したがって、第1振動部12及び第2振動部14は、いずれも第1実施形態と同じ態様で屈曲振動する。また、分極方向及び電圧の方向を上述のようにすることにより、第1振動部12と第2振動部14とは、音声信号に応じて同相で振動する。これにより、第1振動部12で生じた振動と第2振動部14で生じた振動とが強め合うため、振動効率が向上する。
【0065】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に表示パネル20が発する音の音圧を向上させることにより音質を向上させることができる表示装置1が提供される。また、本実施形態の圧電素子10は2つの振動部を用いているため、振動部が1つである第1実施形態の構成よりも更に音圧を向上させることができる。
【0066】
また、第1実施形態では、振動部が1つであるため振動の分布は、圧電素子10の長手方向、すなわち1次元的に集中したものとなる。そのため、表示パネル20での共振が生じやすく、共振に起因するノイズが大きくなる場合がある。これに対し、本実施形態では、圧電素子10が互いに異なる方向に延在する第1振動部12と第2振動部14を有しているため、振動の分布が2次元的になり、特定の箇所に集中しにくくなる。そのため、表示パネル20での共振が生じにくくなる。したがって、本実施形態では、表示パネル20での共振に起因するノイズが低減され、音質が更に向上された表示装置1が提供される。
【0067】
[第5実施形態]
本実施形態では、第4実施形態に係る圧電素子10の配置の変形例を説明する。表示装置1の基本構成、圧電素子10の構造等は第4実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0068】
図15は、第5実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す平面図である。
図15に示されているように、本実施形態では、第1振動部12と第2振動部14の長手方向が表示パネル20の端部のいずれとも垂直にならないように圧電素子10が配されている。
【0069】
第2実施形態の説明の中で述べたとおり、第1振動部12及び第2振動部14で生じる振動と表示パネル20の端部での反射する振動とが強め合って共振を生じる場合がある。この共振は、ノイズの原因となり得る。これに対し、本実施形態では、第1振動部12と第2振動部14の長手方向が表示パネル20の端部のいずれとも垂直にならないようにすることで、共振が起こりにくくなるため、ノイズが低減され得る。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果が得られるとともに、表示パネル20の端面での反射により生じた共振に起因するノイズが低減され、音質が向上された表示装置1が提供される。
【0071】
なお、第4実施形態の構成において、振動の強め合いを利用して音圧の向上、周波数特性の調整等の設計が可能である場合もある。したがって、要求特性、設計制約等の設計条件によっては、第4実施形態のように圧電素子10の長手方向が表示パネル20の端部に垂直にすることが望ましい場合もあり得る。
【0072】
[第6実施形態]
本実施形態では、第4実施形態に係る圧電素子10の構造の変形例を説明する。表示装置1の基本構成等は第4実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0073】
図16は、第6実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す平面図である。
図16に示されているように、本実施形態の圧電素子10は、平面視において互いに異なる方向に延在する第1振動部12、第2振動部14及び第3振動部16を有する。圧電素子10の断面構造は、
図14の構造に第3振動部16に対応する圧電層及び電極を追加して層数を増加させただけであるため説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、第1実施形態と同様に表示パネル20が発する音の音圧を向上させることができる表示装置1が提供される。また、本実施形態の圧電素子10は3つの振動部を用いているため、振動部が2つである第4実施形態の構成よりも更に音圧を向上させることができる。このように、振動部の個数は1つ又は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。振動部の個数が多いほど音圧が向上する。
【0075】
また、本実施形態では、第4実施形態の構成よりも振動の分布が2次元的に均一になる。そのため、表示パネル20での共振がより生じにくくなる。したがって、本実施形態によれば、表示パネル20での共振に起因するノイズが更に低減され、音質が向上された表示装置1が提供される。
【0076】
[第7実施形態]
本実施形態では、第1実施形態に係る圧電素子10の構造の変形例を説明する。表示装置1の基本構成等は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0077】
図17は、第7実施形態に係る圧電素子10の概略構成を示す平面図である。圧電素子10は平板状をなしている。
図17に示されているように、本実施形態の圧電素子10は、平面視において円形をなしている。弾性部材30は、圧電素子10の円の中心を含む位置に接続されている。圧電素子10の断面構造は
図3及び
図4と同様であるため説明を省略する。
【0078】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に表示パネル20が発する音の音圧を向上させることができる表示装置1が提供される。
【0079】
また、本実施形態では、圧電素子10が円形であるため、振動の分布が2次元的に均一になる。そのため、第4実施形態の場合と同様の理由により、表示パネル20での共振が生じにくくなる。したがって、本実施形態によれば、表示パネル20での共振に起因するノイズが低減され、音質が向上された表示装置1が提供される。
【0080】
[第8実施形態]
本実施形態では、第8実施形態に係る圧電素子10の構造の変形例を説明する。表示装置1の基本構成等は第5実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0081】
図18は、第8実施形態に係る圧電素子10の配列を示す平面図である。
図18に示されるように本実施形態では、表示パネル20に圧電素子10が複数個、配されている。複数の圧電素子10は、x方向及びz方向に行列状に配されている。圧電素子10は第5実施形態のものと同様である。表示パネル20に圧電素子10が複数個配置することにより、1個の場合と比べて表示パネル20が発する音の音圧が向上する。
【0082】
表示パネル20は、領域R1と領域R2を含む。領域R1内の圧電素子10(第1圧電素子)と領域R2内の圧電素子10(第2圧電素子)とでは、周波数特性が互いに異なっている。例えば、両者の周波数特性を異ならせることにより、表示パネル20が発する音の周波数特性の偏りを低減させることができる。
【0083】
圧電素子10は、形状等に起因する固有周波数を有するため、特定の周波数の音圧が大きくなる等の偏った周波数特性を有している場合がある。表示パネル20の圧電素子10の特性がすべて同じである場合、複数の圧電素子10の周波数特性の偏りが重畳して表示パネル20全体の周波数特性も偏ったものになる場合がある。本実施形態では、領域R1内の圧電素子10と領域R2内の圧電素子10とで周波数特性を異ならせて平準化することにより、上述の要因により生じ得る周波数特性の偏りを低減させることができる。
【0084】
圧電素子10の周波数特性の偏りは主として圧電素子10の固有周波数に起因するものである。したがって、領域R1内の圧電素子10と領域R2内の圧電素子10とで固有周波数を異ならせることが望ましい。例えば、領域R2内の圧電素子10の固有周波数を領域R1内の圧電素子10の固有周波数よりも低くすることにより、領域R1が高音発生領域として機能し、領域R2が低音発生領域として機能する。これにより、高音域と低音域をバランス良く発することができる表示装置1が提供される。
【0085】
圧電素子10の固有周波数は、圧電素子10の形状又は材料に依存する。したがって、領域R1内の圧電素子10と領域R2内の圧電素子10とでは、形状又は音速を異ならせることで固有周波数を異ならせることができる。材料中の音速に影響する材料物性の例としては、弾性率及び密度が挙げられる。したがって、音速、弾性率及び密度のいずれかが異なる材料を用いることが望ましい。また、領域R1内の圧電素子10と領域R2内の圧電素子10とで形状のみを異ならせることも、材料を共通化できるため利点があるため望ましい。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、表示パネル20が発する音の周波数特性の偏りを低減させることにより音質を向上させることができる表示装置1が提供される。
【0087】
なお、本実施形態に適用可能な圧電素子10の例として第5実施形態の圧電素子10を例示したが、これに限定されるものではない。第1乃至第7実施形態のうちのどの構造又は配置の圧電素子10を用いてもよく、第1乃至第7実施形態に述べたものとは異なる構造又は配置の圧電素子を用いてもよい。
【0088】
[その他の実施形態]
上述の実施形態は、本発明を適用しうるいくつかの態様を例示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲は、上述の実施形態によって限定的に解釈されてならない。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜修正や変形を行って様々な態様で実施可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本発明を適用し得る実施形態であると理解されるべきである。
【0089】
上述の実施形態において、表示装置1等の装置構成は一例であり、図示したものに限定されるものではない。例えば、表示装置1は、OLEDディスプレイではなく、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等であってもよい。しかしながら、表示装置1は、圧電素子10からの振動を効率よく表示パネル20に伝達できるものであることが望ましいため、空洞の少ないOLEDディスプレイであることが特に望ましい。
【符号の説明】
【0090】
1 表示装置
10 圧電素子
20 表示パネル
30 弾性部材