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特許7416886広範囲のワンピースタイストラップ厚さのために最適化された自動結束ツール装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】広範囲のワンピースタイストラップ厚さのために最適化された自動結束ツール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/22 20060101AFI20240110BHJP
   B65B 13/18 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65B13/22 A
B65B13/18 G
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022158665
(22)【出願日】2022-09-30
(65)【公開番号】P2023053938
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】20 2021 105 310.0
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】20 2022 101 064.1
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522160103
【氏名又は名称】ヘラマンタイトン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】福田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・シュヴィン
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-110010(JP,A)
【文献】特表2001-501563(JP,A)
【文献】特表2016-537272(JP,A)
【文献】実開昭61-180903(JP,U)
【文献】米国特許第04516488(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/22
B65B 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動結束ツール装置、すなわちATD(1)であって、前記ATD(1)によってワンピースタイ、すなわちOPT(14)を自動的に締めることで、前記OPT(14)によって結束商品(2)を結束するための、特に、前記ATD(1)によってケーブルタイを自動的に締めることで、前記ケーブルタイによって結束商品(2)を結束するためのものであり、
締結ギア(11a)を備えた締結ギアユニット(11)と、2つの締結ローラ(12a、12b)を備えた締結ローラユニット(12)と、を備え、締結ギア(11a)と締結ローラ(12a、12b)との間にギャップ(13)を形成している締結機構(10)であって、前記ギャップ(13)は、前記ATD(1)によって処理されるそれぞれのOPT(14)のストラップ(14a)を保持するように構成され、前記締結ギアユニット(11)の前記締結ギア(11a)は、前記OPTの前記ストラップ(14a)のセレーション(14b)内へフィットするように構成されている歯(11b)を含む、締結機構(10)
を含む、ATD(1)において、
前記締結ローラユニット(12)はレバー(12c)を含み、前記レバーが、当該レバー(12c)に配置された前記2つの締結ローラ(12a、12b)と前記ギャップ(13)の幅(w)を調整するために構成されている調整要素(12e)とを有し、
前記2つの締結ローラ(12a、12b)は前記レバー(12c)の第1の端部(12’)において前記レバー(12c)上に配置され、前記レバー(12c)の転回点(12d)が前記レバー(12c)の中間部(12’’)に配置され、
記締結ローラユニット(12)の調整要素(12e)が、前記レバー(12c)の主要伸長方向に沿って前記第1の端部(12’)の反対に配置されている前記レバー(12c)の第2の端部(12’’’)に機械的に接触しており、
前記調整要素(12e)は、前記レバー(12c)の前記第2の端部(12’’’)と機械的に接触している偏心シャフト(12e*)を含み、前記調整要素(12e)は、前記偏心シャフト(12e*)の回転によって前記締結ローラ(12a、12b)の前記締結ギア(11a)までの最小距離を調整するように構成されていることを特徴とする、ATD(1)。
【請求項2】
前記転回点(12d)は前記2つの締結ローラ(12a、12b)の回転軸(R1、R2)と本質的に整列されていることを特徴とする、請求項1に記載のATD(1)。
【請求項3】
前記締結ギア(11a)の回転軸(T)と前記2つの締結ローラ(12a、12b)の回転軸(R1、R2)を接続している直線(l)の中間点(M)とが、前記転回点(12d)から本質的に同じ距離を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のATD(1)。
【請求項4】
前記2つの締結ローラ(12a、12b)と前記転回点(12d)との間の第1の距離(d1)が、前記転回点(12d)と前記調整要素(12e)および前記第2の端部(12’’’)の機械的接触の点(C)との間の第2の距離(d2)より小さいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のATD(1)。
【請求項5】
前記第2の距離(d2)は、前記第1の距離(d1)の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍であることを特徴とする、請求項4に記載のATD(1)。
【請求項6】
前記締結機構(10)は、前記レバー(12c)の前記第2の端部(12’’’)と機械的に接触し、前記締結ローラ(12a、12b)を前記締結ギア(11a)の近くに保持するために前記第2の端部(12’’’)にばね力を加えるように構成されているばね要素(16)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のATD(1)。
【請求項7】
前記ばね要素(16)は調整可能ばね要素であり、前記レバー(12c)の前記第2の端部(12’’’)に対する前記調整可能ばね要素の位置は、前記締結ギア(11a)に対する前記締結ローラ(12a、12b)の位置を調整するために調整可能であることを特徴とする、請求項6に記載のATD(1)。
【請求項8】
自動結束ツール装置、すなわちATD(1)であって、前記ATD(1)によってワンピースタイ、すなわちOPT(14)を自動的に締めることで、前記OPT(14)によって結束商品(2)を結束するための、特に、前記ATD(1)によってケーブルタイを自動的に締めることで、前記ケーブルタイによって結束商品(2)を結束するためのものであり、
締結ギア(11a)を備えた締結ギアユニット(11)と、2つの締結ローラ(12a、12b)を備えた締結ローラユニット(12)と、を備え、締結ギア(11a)と締結ローラ(12a、12b)との間にギャップ(13)を形成している締結機構(10)であって、前記ギャップ(13)は、前記ATD(1)によって処理されるそれぞれのOPT(14)のストラップ(14a)を保持するように構成され、前記締結ギアユニット(11)の前記締結ギア(11a)は、前記OPTの前記ストラップ(14a)のセレーション(14b)内へフィットするように構成されている歯(11b)を含む、締結機構(10)
を含む、自動結束ツール装置、ATD(1)において、
前記締結ローラユニット(12)は、前記締結ギアまでのそれぞれの距離、ひいては前記ギャップ(13)の幅(w)を調整するように構成されたそれぞれの個別の調整要素を備えた前記2つの締結ローラ(12a、12b)を含み、
前記締結機構(10)は、制御ユニット(5)の制御信号に応答して前記締結ギア(11a)に対する前記締結ローラ(12a、12b)の位置を、および/または対応する制御信号に応答して前記締結ローラ(12a、12b)の前記締結ギア(11a)までの最小距離を、自動的に調整するためのモータを含むことを特徴とする、ATD(1)。
【請求項9】
前記締結機構(10)は、制御ユニット(5)の制御信号に応答して前記締結ギア(11a)に対する前記締結ローラ(12a、12b)の位置を、および/または対応する制御信号に応答して前記締結ローラ(12a、12b)の前記締結ギア(11a)までの最小距離を、自動的に調整するためのモータを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のATD(1)。
【請求項10】
前記締結機構(10)は、前記ギャップ(13)の前記幅(w)について、固定された第1の限界、すなわち下限事前決定する第1のストッパ(15a)および/または固定された第2の限界、すなわち上限を事前決定する第2のストッパ(15b)を特徴とすることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のATD(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワンピースタイ、すなわちOPTによって結束商品を結束するための自動結束ツール装置、すなわちATDであって、ATDによってOPTを自動的に締めるものに関する。特に、この自動結束ツール装置は、OPTの特別な場合として、ATDによってケーブルタイを自動的に締めることで、ケーブルタイによって結束商品を結束するために構成されている。上記ATDは、締結ギアを備えた締結ギアユニットと、2つの締結ローラを備えた締結ローラユニットと、を備え、締結ギアと締結ローラとの間にギャップを形成している締結機構を含む。ギャップは、ATDによって処理されるそれぞれのOPTのストラップを保持するように構成され、締結ギアユニットの締結ギアは、OPTのストラップのセレーション内へフィットするように構成されている歯を含む。
【背景技術】
【0002】
ケーブルタイの一般化された概念であるワンピースタイによって結束商品を結束するため、多くの非据え付け型自動結束ツールが利用可能である。特許文献1は、たとえば、材料を張るための装置であって、材料と相互作用してこれをハウジングに引き込む2つのギアによって材料を締めつけてから材料の緩い端部を切断する装置を記載している。特許文献2は、結束商品を結束するために用いられるケーブルタイの尾と相互作用する1つのみのギアを用いる自動タイツールの頭部のための詰まり防止テンショニングギア機構を記載している。同様の機構が特許文献3において携帯ケーブルタイツールについて開示されている。
【0003】
特許文献4は、スライダ、ガイドレール、第1のガイドクロー、第2のガイドクロー、フレーム、テンショニングホイール、カッタ、段階的材料供給機構、および材料押し出しロッドを備えた自動結束ツールを記載している。第1および第2のガイドクローが中央ピンの回転を介してフレーム上に搭載されている。カッタおよびテンショニングホイールがフレームに搭載されている。ガイドレールがフレームに隣接して配置されている。スライダはガイドレールと係合している。結束は、段階的材料供給機構にケーブルタイを積載すること、各結合サイクルにおける固定間隔でケーブルタイを運搬すること、所定の位置から結合位置までスライダによってケーブルタイをガイドすること、第1および第2のガイドクローにおけるガイドスロットにおいてタイの結合体を巻くこと、尾部分に、ケーブルタイの頭部における穴、窓を通過させること、テンションホイールを回転させることによってケーブルタイを締めること、そして締められたケーブルタイをカッタで切断することを含む。ここにおいて、テンショニングホイールと相互作用してタイを締めるいくつかのロールが提供される。
【0004】
特許文献5は、ケーブルタイのようなストラップによって、物体、特にケーブルハーネスを結合するための携帯ツールを記載しており、この携帯ツールは、サイクルコントロールを備えたツール本体およびその中に配置されたテンション装置と、これのためのドライブと、を有し、ドライブは、サイクルコントロールおよびテンション装置がそれぞれ、制御装置によって独立して制御されるこれら自体のドライブを有するような方法で二重ドライブとして設計されている。ここにおいて、テンションホイールおよび2つの支持ホイールが、ケーブルタイを締めるためにテンションホイールによってケーブルタイストラップが引っ張られるギャップを形成する。支持ローラおよびテンションホイールが互いに固定された相対位置で配置されているため、ギャップの幅は固定されている。元々ケーブルタイストラップ上にテンションホイールのグリップを確保するためのばね力で支持ローラがテンションホイールに対して押され、実際にはギアがストラップ内へこすれるという結果になって、自動結束ツール装置のハウジングにおいて細塵(ケーブルタイストラップの)が生成され、最終的に上記自動化結合ツールの機械的な問題および故障を引き起こしてきた、先行設計の不利点を克服するように、この設計は選択された。
【0005】
しかしながら、特許文献5の自動結束ツールによって達成することができる高プロセス能力は、ケーブルタイが閉じられ、あらかじめ調整されたテンションまたは締結力でさらに全く引っ張ることができないとき、テンションギアがケーブルタイによって止められる機構に依存する。この機構は、ストラップとギアとのフォームフィット係合を可能にするため、テンションギアと固定テンションローラとの間に非常に正確なギャップ幅を必要とする。ギャップが小さすぎれば、タイはブロックされる。ギャップが大きすぎれば、テンションギアはケーブルタイストラップのセレーション上でスリップすることがある。したがって、特許文献5の自動結束ツール装置はそれぞれのケーブルタイストラップの非常に特殊な厚さについてのみ用いることができ、必要な公差は通常およそ0.1mmである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第9 701 428号明細書
【文献】米国特許第6 981 528号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/248 521号明細書
【文献】米国特許出願公開第2020/391 891号明細書
【文献】独国特許出願公開10 2013 222 924号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、既知の技術の現状の限界を克服する、特にワンピースタイストラップ厚さに対して公差を増加させてワンピースタイを確実に締めることができる、改善された自動結束ツール装置を提供することが、目下の本発明によって解決されるべき目的の技術的課題と見なすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的の課題は独立請求項によって解決される。従属請求項、説明、および図から、有利な実施形態が明白である。
【0009】
一態様が、自動結束ツール装置、すなわちATDであって、ATDによってワンピースタイ、すなわちOPTを自動的に締めることで、OPTによって結束商品を結束するためのものに関する。特に、上記自動結束ツール装置は、ATDによってケーブルタイを自動的に締めることで、ケーブルタイによって結束商品を結束するために構成されている。
【0010】
一般的に言って、OPTは標準的なケーブルタイの一般化された概念であり、これは、窓を備えたケーブルタイ頭部分、ならびにケーブルタイストラップまたは尾部分を有し、これは、ケーブルなどを結束するために用いることができるループを構成するために窓を通して摺動させるものであり、ワンピース固定タイは首部分も含み、これは足部分を頭部分に接続するものであり、足部分は、OPTを物体に、たとえば物体の穴に固定するために用いることができるある種の、たとえばマッシュルーム頭部分における固定手段を含む。首部分/足部分がないOPTが標準的なケーブルタイである。OPTは1つまたは複数の所与のタイプのものとすることができ、異なるタイプに属するOPTの物は、足部分形状および/または首部分形状および/または頭部分形状および/またはストラップ部分形状、特にストラップ部分長さおよび/またはストラップ部分厚さが異なる。このようなOPTは固定タイまたはワンピース固定タイと呼ぶこともできる。
【0011】
ATDは、締結ギアを備えた締結ギアユニットと、2つの締結ローラを備えた締結ローラユニットと、を備えた締結機構を含む。締結ギアユニットはテンションギアを備えたテンションギアユニットとも、締結ローラユニットは2つのテンションローラを備えたテンションローラユニットとも呼ぶことができる。締結(またはテンション)機構は締結ギアと締結ローラとの間にギャップを形成する。ギャップは、ATDによって処理される、すなわち、上記結束商品を意図されたように結束するために用いられる、それぞれのOPTの、タイ部分と呼ぶこともできる、ストラップ部分を保持するように構成されている。締結ギアユニットの締結ギアは、OPTのストラップ部分のセレーション内へ、好ましくはフォームフィット配置でフィットするように構成されている歯を含む。したがって、自動結束ツール装置は、ストラップ上に対応するセレーションを備えた特定の所与のOPTを用いて結束商品を結束するために構成されている。ケーブルタイのようなOPTが非常に高度に標準化されているため、この必要条件は市場で利用可能な多様なOPTによって満たすことができる。加えて、この自動結束ツール装置は、たとえば特定の会社のOPTに特に合うように適合させることができる。ここで、締結ローラおよび締結ギアは、OPTを締める、すなわち、OPTストラップを引っ張ってこれを切断するためにストラップと機械的に接触している必要があるため、OPTストラップの厚さはギャップの幅に対応する。ギャップの幅ならびにOPTの厚さは、締結ギアおよび締結ローラの回転軸に垂直な面において測定される。
【0012】
締結ローラユニットはレバーを含み、2つの締結ローラ、締結ホイールは、レバーの第1の端部においてレバー上に配置され、レバーの転回点がレバーの中間部に配置され、ギャップの幅を調整するために構成されている、締結ローラユニットの調整要素が、レバーの第2の端部に機械的に接触している。ここにおいて、レバーの第2の端部はレバーの主要伸長方向に沿って第1の端部の反対に配置されている。そのため、第1および第2の端部がそれぞれレバーのそれぞれの第1/第2の端を含み、これらはレバーの上記主要伸長方向において完全に反対の端である。
【0013】
これにより、ギャップ幅の調整のための任意の所望の公差に達するようにレバーの関係を容易に調整することができるため、非常に高精度でギャップの幅を調整することができるという利点がある。転回点が中間に配置されているため、レバーの形状、したがってスペースが少ない、残りの結束ツール装置の全体構造にあまり多くの変更を要求することなく、ATDの設計中、非常に容易にてこの力を調整することもできる。このセットアップにより、以下でより詳細に説明するように、幅の正確な自動調整も可能になる。したがって、締結ギアと締結ローラとの間の正確に調整可能なギャップで、異なるタイプのOPT、すなわち異なる厚さのストラップ部分を備えたOPTについてさえ、締結ギアと締結ローラとの間のOPTストラップのフォームフィット、特にまたピンチフリー配置を達成することができる。このように、締結ギアがストラップ部分内へこすれることなく広範囲のストラップ部分厚さを備えたOPTについてストラップ上の締結ギアの最適なグリップを達成することができる。提案された設計により、意図された使用中のギャップ幅の調整が、これが手動でも自動でも、可能になるため、さまざまな厚さを備えた一連の異なるOPTで商品を結束するためにこのような自動結束ツール装置を用いることもできる。すなわち、ATDによって処理されるそれぞれありとあらゆるOPTにギャップを個々に調整することができ、たとえばハーネスを、別個のATDを要求する必要性なく、ハーネスの異なる領域において異なるストラップ厚さのOPTで結ぶことができるようになる。
【0014】
レバー上のこの配置の代わりに、締結ローラユニットは、締結ギアまでのそれぞれの距離、したがってギャップ幅を調整するように構成されたそれぞれの個別の調整要素を備えた2つの締結ローラを含むことができる。それぞれの調整要素は、それぞれの締結ローラを線形移動させる線形調整要素とする、またはこれを含むことができる。あるいは、または加えて、それぞれの調整要素は、各締結ローラが偏心的に搭載されている偏心要素とする、またはこれを含むことができ、偏心要素、すなわち偏心器を回転させることによって締結ギアまでの距離を変化させることができる。このように締結ローラのそれぞれを、好ましくは互いに独立して、締結ギアまでの距離において調整することができ、結果、締結ギアと締結ローラとの間のOPTストラップのフォームフィット、特にまたピンチフリー配置でOPTストラップの異なる厚さにギャップが正確で確実に、動的に適合される。レバーに関連しない、次に説明する特徴を用いて、レバーなしのこの説明した代替例を強化することができる。
【0015】
有利な一実施形態において、転回点は2つの締結ローラのそれぞれの回転軸と本質的に整列されている。このように、転回点は、2つの締結ローラの回転軸と整列される、すなわち2つの締結ローラの回転軸とともに一本の直線上にある、または2つの締結ローラの回転軸との事前設定された偏差まで整列されることができる。特に、事前設定された偏差は5°、2°、または1°とすることができる。偏差を測定するため、回転軸に垂直な面において、転回点および転回点に近い方の回転軸を通る第1の直線、および2つの締結ローラの2つの回転軸を通る第2の直線を描くことができる。第1および第2の直線間の角度は調整の偏差であろう。この位置合わせは特に有用であり、ストラップ部分および締結ギア上への締結ローラの圧力が改善されるという結果になることが証明された。
【0016】
他の有利な一実施形態において、締結ギアの回転軸と2つの締結ローラの回転軸を接続している直線の中間点とが、上記回転軸に垂直な面において、転回点から本質的に同じ距離で配置されている。そのため、上記中間点および締結ギアの回転軸は、最も好ましくは、転回点を中心とする円上に配置されている。転回点からの距離は、すでに大部分が有利な改善されたグリップを達成するために正確に同じである必要がない。特に、これらは、2つの締結ローラの回転軸間の距離の10%未満、5%未満、または2%未満の事前設定された偏差だけ互いから偏向することができる。そのため、たとえば、特定のセットアップにおいて、2つの締結ローラの回転軸は直線に配置することができ、締結ギアの回転軸は、2つの締結ローラの回転軸を接続している直線上への直交投影において、ギャップの所与の幅について2つの締結ローラの回転軸間の中間に配置することができる。この特定の配置によりケーブルタイ上の力の分布がさらに最適化される。
【0017】
他の有利な一実施形態において、2つの締結ローラと転回点との間の第1の距離が、転回点と調整要素および第2の端部の機械的接触の点との間の第2の距離より小さい。特に、第2の距離は、第1の距離の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍である。これにより、OPTのストラップが引っ張られるギャップを非常に細かく調整することができるという利点がある。
【0018】
他の有利な一実施形態において、締結機構は、ギャップの幅について、固定された第1の限界、下限、および/または、それぞれ、固定された第2の限界、上限をそれぞれ事前決定する第1のストッパおよび/または第2のストッパを特徴とする。これにより、適切な上限を設定することによってストラップ部分のスリッピングを防止するため、そして適切な下限を設定することによってギアホイールがストラップ内へこすれることを防止するために用いることができる境界条件を非常に正確に設定するという利点があり、これは、目下の特定の用途において用いられるようにATDが設定されている特定のOPTに適している。
【0019】
更なる有利な一実施形態において、締結機構は、レバーの第2の端部と機械的に接触し、締結ローラを締結ギアの近くに保持するために第2の端部にばね力を加えるように構成されているばね要素を含む。そのため、ばね要素は効果的に締結ローラをストラップに向かって押し、ストラップにかかる過度な力の否定的な副作用を、たとえば、上で参照したストッパ、または次の段落で説明するような、それぞれの調整可能なばね要素によって防止することができる。さらに、ばね要素の使用により、それぞれのOPTのストラップの厚さにおける不規則性に対するギャップ幅の自動的自己調整が可能になり、これによりATDの性能がさらに強化される。
【0020】
好ましくは、ばね要素は調整可能ばね要素であり、レバーの第2の端部に対する調整可能ばね要素の位置は、締結ローラの相対位置を締結ギアの近くに調整するために調整可能である。さらに、上述のストッパ要素と適切に連携して調整可能ばね要素の位置を変化させることによって、ギャップの幅についての上記下限の下方にギャップ幅を落とすことなくケーブルタイストラップに加えられたばね力を調整することもできる。このように、ATDは、独立したパラメータとしてATDストラップにおける厚さの不規則性またはばらつきに所望の方法で適合させるように構成することができる。
【0021】
特に有利な一実施形態において、調整要素は、レバーの第2の端部と機械的に接触している偏心シャフトを含み、調整要素は、偏心シャフトの回転によって締結ローラの締結ギアローラまでの最小および/または最大距離を調整し、こうして偏心シャフトの回転軸およびレバーの接触面からの距離を調整し、最終的に締結ローラの締結ギアまでの距離、したがってギャップの幅を調整するという結果になるように構成されている。これにより特に最小距離、したがってギャップの幅についての下限を正確に調整することができるという利点があり、これを用いて可変の厚さのストラップを備えたOPTのためのピンチフリー配置を保証することができる。
【0022】
更なる有利な一実施形態において、締結機構は、調整可能ばね要素の位置を調整することを介して締結ギアに対する締結ローラの相対位置を自動的に調整するための、および/または制御ユニットの制御信号に応答して偏心シャフトを回転させることを介して締結ローラの締結ギアまでの最小距離を自動的に調整するためのモータを含む。これにより、ATDはOPTストラップの異なる厚さに対処することができ、そうするための対応する制御信号のみが要求されるという利点がある。
【0023】
説明の一般的な部分を含む、上述した特徴および特徴の組み合わせ、ならびに図の説明または図単独において開示された特徴および特徴の組み合わせは、単独で、または記載された組み合わせでだけでなく、本開示の範囲を逸脱することなく他の特徴とともに、または開示された特徴のいくつかなしで用いることができる。したがって、図によって明示的に図示および記載されていないが、図に開示された個々の特徴を別々に組み合わせることによって生成することができる実施形態も本開示の一部である。したがって、元々策定された独立請求項のすべての特徴を含まない実施形態および特徴の組み合わせが、開示されたとして見なされるべきである。さらに、請求項の従属性によって説明される特徴の組み合わせとは異なる、またはこれを超えて広がる実施形態および特徴の組み合わせが、開示されたとして見なされるべきである。
【0024】
次に概略図によって例示的な実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】自動結束ツール装置、すなわちATDの例示的な一実施形態を示す図である。
図2】ATDの例示的な締結機構の詳細を示す図である。
図3】第2の構成における図2の例示的な締結機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
異なる図において、同一または機能上同一の特徴は同じ参照符号を有する。
【0027】
図1は、ワンピースタイ、すなわちOPT14(図2)によって結束商品2を結束するための自動結束ツール装置1、すなわちATD1の例示的な一実施形態を示す。ここにおいて、2つのクロー3a、3bが、結束商品2の周囲を把持し、締結機構10(図2)によってATD1のハウジング4に引き戻される前に結束商品2の周囲に上記ワンピースタイをガイドするように構成されている。クローはジョーと呼ぶこともできる。本例において、ATD1は、本例において、ATDおよび締結機構10に制御信号を提供する制御ユニット5とも接続されている。
【0028】
図2は、締結ギア11aを含む締結ギアユニット11と、2つの締結ローラ12a、12bを備えた締結ローラユニット12と、を備え、締結ギア11aと締結ローラ12a、12bとの間にギャップ13を形成している、締結機構10の例示的な一実施形態を示す。ギャップ13は、ATD1によって処理されるべきであるOPT14のストラップ14aを保持するように構成されている。締結ギア11aは、OPTストラップ14aのセレーション14bにフィットするように構成されている歯11bを含む。
【0029】
締結ローラユニット12はレバー12cを含み、2つの締結ローラ12a、12bがレバー12cの第1の端部12’においてレバー12c上に配置され、転回点12dがレバー12cの中間部12’’にあり、調整要素12eがレバー12cの第2の端部12’’’に機械的に接触している。第2の端部12’’’はレバー12cの主要伸長方向に沿って第1の端部12’の反対に配置されている。調整要素12eは、ギャップ13の幅wを調整するように構成されている。
【0030】
本例において、ギャップ13の幅wのこの調整は、レバー12cの第2の端部12’’’と機械的に接触している調整要素12eの一部としての偏心シャフト12eによって達成され、本例において、偏心シャフト12eの回転軸Eを中心とする偏心シャフト12eの回転によって、締結ローラ12a、12bの締結ギア11aまでの最小距離を調整することができる。
【0031】
さらに、本例において、転回点12dは、2つの締結ローラ12a、12bの回転軸R1、R2と整列されている。ここにおいて、2つの締結ローラ12a、12bと転回点12dとの間の第1の距離d1が、転回点12dと調整要素12eおよび第2の端部12’’’の機械的接触の点Cとの間の第2の距離d2より小さい。
【0032】
図示の例において、締結機構は、ギャップ13の幅wについて、それぞれ、固定された下方および固定された上方の限界をそれぞれ事前決定する第1のストッパ15aおよび第2のストッパ15bも含む。加えて、本例において、締結機構10は、レバー12cの第2の端部12’’’と機械的に接触し、締結ギア11aの近く、本例において調整要素12eが許すだけ締結ギア11aの近くに、締結ローラ12a、12bを保持するために第2の端部12’’’にばね力を加えるように構成されているばね要素16を含む。
【0033】
図3は、異なる、図2より小さな幅wのためにギャップ13が調整された図2の締結機構10を示す。図2と比較して、転回点12dを中心にレバー12cを回し、したがって図2に示すより締結ギア11aの近くに締結ローラ12a、12bを動かし、特に、ばね要素16にさらに締結ギア11aに向かって締結ローラ12a、12bを押させるため、調整要素12eの偏心シャフト12eを回転させることに留意されたい。本例において、転回点12dは、2つの締結ローラ12a、12bの回転軸R1、R2と整列されており、これらがすべて同じ線l上にあることに留意されたい。さらに、締結ギア11aの回転軸Tの上記線l上の直交投影において、回転軸Tは、線l上の回転軸R1、R2間の中間の線l上の中間点M上へ投影される。このように、上記中間点Mおよび回転軸Tは、およそ、所与の半径と転回点12dとしての中心とを備えた円上にある。
【符号の説明】
【0034】
1 自動結束ツール装置
2 結束商品
3a クロー
3b クロー
4 ハウジング
5 制御ユニット
10 締結機構
11 締結ギアユニット
11a 締結ギア
11b 歯
12 締結ローラユニット
12’ 第1の端部
12’’ 中間部
12’’’ 第2の端部
12a 締結ローラ
12b 締結ローラ
12c レバー
12d 転回点
12e 調整要素
12e 偏心シャフト
13 ギャップ
14 ワンピースタイ
14a ストラップ
14b セレーション
15a 第1のストッパ
15b 第2のストッパ
16 ばね要素
図1
図2
図3