(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】波長分解され角度分解されたカソードルミネッセンスのための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/244 20060101AFI20240110BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01J37/244
H01J37/28 B
(21)【出願番号】P 2022196823
(22)【出願日】2022-12-09
(62)【分割の表示】P 2020566607の分割
【原出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511314887
【氏名又は名称】ガタン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GATAN,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーティルソン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハント、ジョン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ストウ、デイビッド ジェイ.
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-249478(JP,A)
【文献】特表2013-534692(JP,A)
【文献】特開2007-010392(JP,A)
【文献】特開2014-025936(JP,A)
【文献】特表2009-540322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0068966(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0027632(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長分解及び角度分解されたカソードルミネッセンス(CL)光の、集光及び分析のための装置であって、
集光ミラーであって、前記集光ミラーによって集光されたCL光が、光強度を前記CL光の放出の角度の関数として表す2次元光パターンを形成するように、構成されており、前記集光ミラーは、シンメトリック軸及びアシンメトリック軸を有する、集光ミラーと、
イメージコンジットであって、前記2次元光パターンが、前記イメージコンジット上に投射され、前記イメージコンジットは、前記2次元光パターンの狭い範囲のみ
が分光器に受け入れられ得るように構成されている、イメージコンジットと
を備える、装置。
【請求項2】
前記イメージコンジットは、前記2次元光パターンから前記アシンメトリック軸に沿って光を受け入れるように向き付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記イメージコンジット上にわたって前記2次元光パターンを走査し、波長分解及び角度分解されたCL光データセットを収集するように構成された、平行移動フォールドミラーをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
平行移動フォールドミラーが、前記イメージコンジット上にわたって前記2次元光パターンを走査し、波長分解及び角度分解されたCL光データセットを収集するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
波長分解及び角度分解されたカソードルミネッセンス(CL)光を集光及び分析する方法であって、
集光ミラーによって集光されたCL光が、光強度を前記CL光の放出の角度の関数として表す2次元光パターンを形成するように、前記CL光を集光ミラーに導くステップであって、前記集光ミラーは、シンメトリック軸及びアシンメトリック軸を有する、ステップと、
前記2次元光パターンをイメージコンジットに投射するステップと、
前記イメージコンジットを、前記2次元光パターンの狭い範囲のみが分光器によって受け入れられ得るように構成するステップと
を備える、方法。
【請求項6】
前記イメージコンジットを、前記シンメトリック軸に沿って前記2次元光パターンからの光を受け入れるように向き付けるステップをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記2次元光パターンを前記イメージコンジット上で平行移動フォールドミラーにより走査し、波長分解及び角度分解されたCL光データセットを収集するステップをさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記2次元光パターンを前記イメージコンジット上で平行移動フォールドミラーにより走査し、波長分解及び角度分解されたCL光データセットを収集するステップをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
波長分解及び角度分解されたカソードルミネッセンス(CL)光の、集光及び分析のための装置であって、
集光ミラーであって、前記集光ミラーによって集光されたCL光が、光強度を前記カソードルミネッセンス光の放出の角度の関数として表す2次元光パターンを形成するように、配置されている、集光ミラーと、
ハイパースペクトル・イメージング・フィルタであって、前記2次元光パターンが、前記ハイパースペクトル・イメージング・フィルタ上に投射され、前記ハイパースペクトル・イメージング・フィルタは、前記2次元光パターンを2次元イメージ検出器上にイメージングされるように実質的に保存する一方、狭い範囲の波長だけが伝達されることを許すように配置されている、ハイパースペクトル・イメージング・フィルタと、
を備え、
前記ハイパースペクトル・イメージング・フィルタは、前記狭い範囲の波長をフィルタリングして、波長分解及び角度分解されたCL光を表すデータセットを収集するように配置されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月30日に出願された米国特許仮出願第62/677,871号に基づく、合衆国法典第35巻第119条に基づく優先権を主張し、その開示がここに、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電子又はイオンビームなどの、高エネルギー荷電粒子が、試料に衝突するとき、光子が、試料物質に応じて放出される場合がある。この放出現象は、カソードルミネッセンス(cathodoluminescence:CL)として知られている。紫外(ultraviolet:UV)から可視を含んで赤外(infrared:IR)までの波長範囲でこれらの光子を集光及び検出することによって、調査される試料に関する豊富な情報を提供することができる。CLは、典型的には、電子顕微鏡で試料を使用して、かつCL放出された光子を例えば光センサ、イメージアレイ、又は分光法の装置に向けることによって、調査される。これらのいずれか又はすべてが、電子顕微鏡のビームカラムの外側に配置され得る。電子顕微鏡のビームカラムの内側は、低圧に保たれているため、電子は、電子ビームカラム内の気体によるかなりの散乱を伴わずに、試料へと移動できる。光が集光された後、その光は、低圧環境から光学窓を通して、CL光を分析する機器へと伝達されることができる。
【0003】
CLによって放出された光子を集光する一般的な方法は、電子ビーム(eビーム)と同軸、かつ試料の上(より典型的である)か下、もしくは、試料の上と下の両方に配置された、集光ミラーによるものである。当該集光ミラーは、放物面ミラーであり得る。集光ミラーが、試料より上方、eビームと同軸に配置されている場合、ミラーは、eビームが遮られずに試料へとミラーを通過できるようにするための、孔を有する。
【発明の概要】
【0004】
CL信号は、試料に関する多くの情報を含み、当該CL信号は、当該試料から放出される。CL信号の分析は、CLの全強度、スペクトル情報、偏波情報、及び角度分解された光の放出を利用し得る。CL光は、試料表面に対して多くの角度で、試料によって放出され得る。CL光が放出される角度、並びに様々な放出角度における光の強度及び分光学的な内容は、精査されている試料の特徴付け及び分析に役立つ情報である可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】励起源によってもたらされる、試料におけるカソードルミネッセンス光の放出を示す図である。
【
図2】電子顕微鏡におけるカソードルミネッセンス光の集光のための装置の図である。
【
図3】集光ミラーで反射し、平面αβを通過して、イメージング検出器へのものとなる、CLの放出を示す等角図である。
【
図4】集光ミラーで反射してから、平面αβを通過してイメージング検出器へのものとなる前に光学フィルタによって波長フィルタリングされる、CLの放出を示す等角図である。
【
図5】集光ミラーで反射してから、平面αβを通過して検出器へのものとなる前にピンホールによって角度分解される、CLの放出を示す等角図である。
【
図6】集光ミラーで反射してから、信号を波長スペクトルに分光する分光計を通過して1D又は2Dイメージング検出器へのものとなる前にピンホールによって角度分解される、CLの放出を示す等角図である。
【
図7】集光ミラーで反射してから、信号を波長-角度イメージに分光する分光器を通過して2Dイメージング検出器へのものとなる前にα選択スリットによって角度分解される、CLの放出を示す等角図である。
【
図8】集光ミラーで反射してから、信号を波長-角度イメージに分光する分光器を通過して2Dイメージング検出器へのものとなる前にβ選択スリットによって角度分解される、CLの放出を示す等角図である。
【
図9a】
図8のスリットによって又は
図11及び
図12のイメージコンジットによって角度分解される角度の範囲を変更するために使用されることができる、マルチミラー走査光学系の実施形態を示す図である。
【
図9b】
図8のスリットによって又は
図11及び
図12のイメージコンジットによって角度分解される角度の範囲を変更するために使用されることができる、マルチミラー走査光学系の実施形態を示す図である。
【
図10a】
図8のスリットによって又は
図11及び
図12のイメージコンジットによって角度分解される角度の範囲を変更することができる、シングルミラー走査光学系の実施形態を示す図である。
【
図10b】
図8のスリットによって又は
図11及び
図12のイメージコンジットによって角度分解される角度の範囲を変更することができる、シングルミラー走査光学系の実施形態を示す図である。
【
図11】集光ミラーで反射してから、角度分解された光を波長-角度イメージに分光する分光器を通過して2Dイメージング検出器へのものとなる前に可動イメージコンジットによって角度分解される、CLの放出を示す等角図である。
【
図12】集光ミラーで反射し、ミラー走査光学系によって平行移動され、角度分解された光を波長-角度イメージに分光する分光器を通過して2Dイメージング検出器へのものとなる前に固定位置イメージコンジットによって角度分解される、CLの放出を示す等角図である。
【
図13】集光ミラーで反射してから、平面αβを通過してイメージング検出器へのものとなる前にハイパースペクトル・イメージング・フィルタによって波長フィルタリングされる、CLの放出を示す等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
当業者は、本発明の教示を採用して開発することができる、他の詳細な設計及び方法を認識するであろう。ここに提供される例は、例示的であり、本発明の範囲を限定せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じ又は類似の要素を特定する場合がある。
【0007】
図1に示されるように、電子ビーム10、イオンビーム、又は光子ビームなどの励起ビーム源が、試料にエネルギーを伝達するとき、CL光が、試料30から放出され得る。放出されるCL光光子34は、波長、及び励起源ビームに対する角度θ、φを有し得、これらは、試料10の分析される領域の元素特性、化学的特性、又は誘電特性に固有のものである。これらの特性に関する重要な情報は、放出される光子の、波長に関する強度(I)分布I(λ)、角度に関する強度(I)分布I(θ,φ)、又は波長-角度に関する強度(I)分布I(θ,φ,λ)の分析によって得ることができる。これらの分布の光偏波を調べることによって、さらなる情報を得ることができる。
【0008】
この情報がどのように役立ち得るかを示す1つの実用的な例は、発光ダイオードの研究におけるものである。そこでは、強度分布I(θ,φ)が、放出される光を見ることができる角度の範囲に関わっている。さらにまた、発光ダイオードから出る光の波長(λ)は、角度の関数として変化し得、それ故、I(θ,φ,λ)を調べ又は分析することは、有用である。
【0009】
典型的なCL機器では、
図2に示されるように、磁極片12を出て試料30に向けられる電子ビーム(eビーム)10を生成する、走査型電子顕微鏡(図示せず)などの電子顕微鏡がある。eビーム10が試料30に衝突する点32で、カソードルミネッセンス(CL)光34が、生成され得る。CL光34を、電子顕微鏡の外側に配置され得る検出器(図示せず)へと反射するために、集光ミラー20が、設けられる。集光ミラー20は、放物面ミラーであり得る。集光ミラー20は、典型的には、eビーム10が通過できるようにするためのアパーチャ22を有するであろう。さもなければeビームを遮る材料(例えば、ダイヤモンド研磨されたアルミニウム)で、ミラーが作られている場合があるからである。CLミラー20によって集光されたCL光34は、試料30上に適切に集束されている場合、ミラー20の出口光軸(ラベル付けされていない)に沿ってコリメートされる光パターン35を生成する。典型的なCL機器では、集光ミラー20によって集光される光は、1つ以上のCL分析機器に送られる。
【0010】
図3は、集光ミラー320で反射し、2次元(two-dimensional:2D)アレイイメージング検出器に伝播する光パターン335を生成する、CL310の放出を示す等角図である。光パターン335は、強度分布I(θ,φ)とは異なる強度分布I(α,β)を有する。ただし、これら2つの分布は、数学的に関連しており、どちらの一方も、他方から計算されることができる。典型的には、イメージング検出器は、強度分布I(α,β)を記録するのであり、集光ミラー320の形状に関連する幾何学的アルゴリズムが、強度分布I(θ,φ)を計算するために使用される。I(θ,φ)とI(α,β)の両方が、角度分解されたCL(angle-resolved CL:ARCL)パターンと呼ばれる。光パターン335は、
図3のβに平行な、シンメトリーの軸を有し、本明細書ではシンメトリック軸と呼ばれる。
図3のαに平行な、シンメトリック軸に垂直な軸は、本明細書ではアシンメトリック軸と呼ばれる。
【0011】
図4は、集光ミラー420で反射し、光学フィルタ組立体430に伝播する光パターンを生成する、CL410の放出を示す等角図である。光学フィルタ組立体430は、典型的には、波長λ
fを中心とする狭い範囲の波長Δλ
fを除くすべてを、波長フィルタリングする。光学フィルタ組立体430に入る光は強度分布I
0(α,β,λ)を有しており、I
1(α,β,λ=λ
f)で出る。典型的には、イメージング検出器(図示せず)は、I
1(α,β,
λ=λ
f)をARCLパターンI
1(α,β)435として記録し、集光ミラー420の形状に関連する幾何学的アルゴリズムが、波長λ
f+/-Δλ
fの強度分布I
1(θ,φ)を計算するために使用される。これは、I
1(θ,φ,λ)に関する情報を構築するために複数のフィルタについて繰り返されてもよいが、しかし波長λに関する分解能は、実際には、多数のフィルタを操作することの不便と費用によって制限される。
【0012】
図5は、集光ミラー520で反射し、ピンホールフィルタ組立体530に伝播する光パターンを生成する、CL510の放出を示す等角図である。ピンホールフィルタ組立体530は、α及びβの狭い範囲の角度を除くすべてを、フィルタリングする。光強度は、シングルチャネル検出器(図示せず)で検出できる。ARCLパターンI(α,β)535は、α及びβの範囲にわたってピンホールを走査することによって、測定できる。図示しないが
図4に示すものに類似する、光学フィルタ組立体が、測定される波長をλ
f+/-Δλ
fに制限するために、使用されることができる。
【0013】
図6は、集光ミラー620で反射し、ピンホールフィルタ組立体640に伝播する光パターンを生成する、CL610の放出を示す等角図である。ピンホールフィルタ組立体640は、α及びβの狭い範囲の角度を除くすべてを、フィルタリングする。残りの光強度635は、次に、光強度Iを波長λの関数として分光する、光学分光計650に連結される。分光された光は、次に、検出器660上でI(λ)として記録される。波長分解されたARCLパターン(wavelength-resolved ARCL pattern:WRARCL)I(α,β,λ)は、αとβの範囲にわたってピンホール640を走査することによって、測定できる。
【0014】
図7は、集光ミラー720で反射し、光パターンを生成する、CL710の放出を示す等角図である。当該光パターンは、レンズ平行移動システム770によって平行移動され得、次にスリット組立体740に伝播する。スリット組立体740は、αに関して狭い範囲の角度を除くすべてを、フィルタリングする。残りの光強度は、次に、光強度Iを波長λ対角度βの関数として分光する、光学分光器750に連結される。分光された光は、次に、2D検出器760上でI(β,λ)として記録される。この方法でI(β,λ)を記録することは、
図6に示す方法及び装置よりも大幅に、高速かつ一回分で効果的である(つまり、試料への高エネルギー曝露あたり、より多くの光が集光される)。レンズ平行移動システム770はまた、WRARCLパターンI(α,β,λ)を得る目的で、光強度をスリット740上でα方向に平行移動させるためにも使用され得る。しかしながら、これは、著しい角度収差を生じさせるであろう。I(β,λ)を記録するためにそれぞれ異なるαの値を選択する別の方法は、スリット740をα方向に走査することであるが、しかしこれは、著しい波長収差を生じさせるであろう。I(β,λ)を記録するためにそれぞれ異なるαの値を選択するための、さらに別の方法は、試料705を励起ビームに対して垂直に回転させることであるが、しかしこれは、誤りが起きやすく時間がかかる、ナノメートル精度での試料の移動を必要とする。
【0015】
本発明の態様の実施形態は、
図8に示され、それは、集光ミラー820で反射し、光パターンを生成する、CLの放出を示す等角図である。当該光パターンは、レンズ平行移動システム870によって平行移動され得、次にスリット組立体840に伝播する。スリット組立体840は、βの狭い範囲の角度を除くすべてを、フィルタリングする。残りの光強度は、次に、光強度I855を波長λ対角度αの関数として分光する、光学分光器850に連結される。分光された光は、次に、2D検出器860上でI(α,λ)として記録される。ミラー平行移動装置870は、WRARCLパターンI(α,β,λ)を得る目的で、光強度をスリット840上でβ方向に平行移動させるために使用され得る。走査のためのミラー平行移動装置870の使用は、分光法収差、角度収差、又は試料を回転させる必要性を生じさせないという利点を有する。
図7のようなα方向ではなくβ方向に平行移動させることの利点は、走査される角度空間が、半分の大きさになり、かつ半分の時間で走査されることができることである。例示的なミラー平行移動装置は、Cathodoluminescence Optical Hubという発明の名称の、2018年5月14日に出願された関連する米国特許仮出願第62/671152号に記載されている。出願番号62/671151の開示全体は、参照により本出願に組み込まれる。
【0016】
図9a及び
図9bは、本発明の態様の実施形態を示し、それは、走査のためのミラー平行移動装置である。当該ミラー平行移動装置は、例えば
図8に示されるような、スリットによって、又は例えば
図11及び
図12に示されるような、イメージコンジットによって角度分解される角度の範囲を変更するために使用されることができる。
図9aの下側フォールドミラー910に入射する光パターン900は、光線901がスリット930を通過するように、上側フォールドミラー920へと反射される。
図9bに示されるようなミラー910、920のいずれの平行移動も、光線の異なる範囲、例えば光線902がスリット930を今度は通過するように、光パターンの本質的に収差のない平行移動をもたらす。
【0017】
図10a及び
図10bは、本発明の態様の実施形態を示し、それは、走査のためのミラー平行移動装置である。当該ミラー平行移動装置は、
図8のスリットによって、又は
図12のイメージコンジットによって角度分解される角度の範囲を変更するために使用されることができる。
図10aのシングル・フォールド・ミラー1010に入射する光パターン1000は、光線1001がスリット1020を通過するように反射される。
図10bに示されるようなこのミラー1010の平行移動は、光線の異なる範囲、例えば光線1002がスリット1020を今度は通過するように、光パターン1000の本質的に収差のない平行移動をもたらす。
図9及び
図9bに示されるような複数のミラーではなくシングル・フォールド・ミラー1010を使用することは、反射の回数を減らすという重要な利点を有する。反射の回数を減らすことによって、システムを透過する光子の割合が、最大化される。
図7に示されるレンズ平行移動システムではなく、平行移動のためのミラーを使用することは、レンズによる色収差を生じさせないとともに、平行移動プロセスによる軸外収差を生じさせないという重要な利点を有する。
【0018】
図11は、本発明の態様の実施形態の等角図である。この等角図は、集光ミラー1110で反射し、光パターン1135を生成してから、角度分解された光を波長-角度イメージ1155に分光する分光器1150を通過して2Dイメージング検出器1160へのものとなる前にイメージコンジット1120によって角度分解される、CL1100の放出を示す。イメージコンジット1120は、コンジットの第1フェースに入射するイメージを、コンジットの第2フェースへと近似的に伝達する、光ファイバイメージ保存タイプであってもよい。イメージコンジット1120による平行移動は、光強度の本質的に収差のない平行移動をもたらし、それは次に、光強度Iを波長λ対角度の関数として分光する光学分光器1150に連結され、それから2D検出器1160に記録される。
図11は、WRARCLパターンI(α,β,λ)を得るための走査の時間を短縮するために最適である、β方向のコンジットの平行移動を示すが、しかしコンジット1120の平行移動は、α方向であることもできる。イメージコンジットの使用は、システムの複雑さを軽減することができるが、しかしそれは、
図8に示すように、コンジットへの及びコンジット内での信号損失並びに潜在的にコンジット内での解像度の損失などの、不利な点を自由空間結合に関して有する。例示的な実施形態では、イメージコンジットは、イメージコンジット入力面に入射する光の空間的な分布を、光が現れるイメージコンジット出口面へと実質的に伝達するように配置された、光ファイバから製造される。ファイバが一緒になって融着されているイメージコンジットは、しばしば光ファイバ・フェース・プレートと呼ばれる。
【0019】
図12は、固定イメージコンジット1220が、WRARCLパターンI(α,β,λ)を得る目的でイメージコンジット1220上で光強度を平行移動させるために、ミラー平行移動装置1230と組み合わされている、本発明の態様の実施形態を示す。ミラー平行移動装置1230の例は、
図9a/
図9b及び
図10a/
図10bに示されている。
【0020】
図13は、本発明の態様の実施形態を示す等角図であり、それは、集光ミラー1310で反射してから、平面αβ1335を通過してイメージング検出器(図示せず)へのものとなる前にハイパースペクトル・イメージング・フィルタ1320によって波長フィルタリングされる、CL1300の放出である。WRARCLパターンI(α,β,λ)は、ハイパースペクトル・イメージング・フィルタ1320のバンドパス波長λ+/-Δλを走査することによって得られる。ハイパースペクトル・イメージング・フィルタの使用により、システムの複雑さが、
図7、
図8、
図11、及び
図12に示されるものなどのデバイスに関して、大幅に軽減される。現在のハイパースペクトル・イメージング・フィルタ技術は、スペクトル分解能が劣ること及び空間分解能が劣ることなどの、重大な性能上の不利な点を、
図7、
図8、
図11、及び
図12に示される実施形態に関して有する。しかしながら、ハイパースペクトル・イメージング・フィルタ技術の改善によってこの実施形態がいくつかの用途について実用的になるであろうということが、期待される。
【0021】
本発明は、上記で詳細に説明されているが、本発明が本発明の精神から逸脱することなく修正され得ることが当該技術分野の当業者に明らかであることは、明確に理解される。形態、設計、又は配置の様々な変更は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して行われ得る。したがって、上記の説明は、限定的ではなく例示的なものと考えられるべきであり、本発明の真の範囲は、以下の特許請求の範囲で定義されるものである。
【0022】
本出願の説明において使用される如何なる要素、行為、又は指示も、明示的にそのように説明されない限り本発明にとって重要又は必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、1つ以上の事項を含むように意図されている。さらに、句「に基づく(based on)」は、別段明示的に述べられていない限り、「に少なくとも部分的に基づく」を意味するように意図されている。