(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】トレーラ連結透視図
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240110BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240110BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20240110BHJP
B60R 1/25 20220101ALI20240110BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20240110BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20240110BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60K35/00 Z
B60R1/20 100
B60R1/25
B60R1/26
G09G5/36 400
G09G5/00 550C
(21)【出願番号】P 2022514630
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 US2020049447
(87)【国際公開番号】W WO2021046379
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-01
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517323038
【氏名又は名称】コンチネンタル アドヴァンスド ライダー ソリューションズ ユーエス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Continental Advanced Lidar Solutions US, LLC
【住所又は居所原語表記】6307 Carpinteria Avenue, Suite A, Carpinteria, CA 93013, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アランザ イノホサ カストロ
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-119526(JP,A)
【文献】特開2012-105158(JP,A)
【文献】国際公開第2018/108211(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/037266(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/104860(WO,A1)
【文献】特表2018-531530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0280091(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60K 35/00
B60R 1/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両-トレーラシステム(100)のトレーラ(106)の後方の環境のパノラマビュー(152)を決定する方法であって、前記方法は、
データ処理ハードウェア(140,142)で、前記トレーラ(106)の後部に配置されている後部トレーラカメラ(132,132b)から第1の画像(133,133b)を受け取るステップと、
前記データ処理ハードウェア(140,142)で、前記トレーラ(106)の右側部分に配置されている右側トレーラカメラ(132,132c)から第2の画像(133,133c)を受け取るステップと、
前記データ処理ハードウェア(140,142)で、前記トレーラ(106)の左側部分に配置されている左側トレーラカメラ(132,132d)から第3の画像(133,133d)を受け取るステップと、
前記データ処理ハードウェア(140,142)で、前記第1の画像(133,133b)、前記第2の画像(133,133c)および前記第3の画像(133,133d)に基づいてパノラマビュー(152)を決定するステップと、
前記データ処理ハードウェア(140,142)で、センサシステム(130)から受け取ったセンサシステムデータ(131)に基づいてトレーラ角度(α)を求めるステップと、
前記データ処理ハードウェア(140,142)で、前記トレーラ角度(α)に基づいて前記パノラマビュー(152)内の表示領域(154)を決定するステップと、
前記データ処理ハードウェア(140,142)から、前記データ処理ハードウェア(140,142)と通信するディスプレイ(122)に、前記表示領域(154)を表示するための命令(156)を送るステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の画像(133,133b)、前記第2の画像(133,133c)および前記第3の画像(133,133d)に基づいて前記パノラマビュー(152)を決定するステップは、前記第1の画像(133,133b)、前記第2の画像(133,133c)および前記第3の画像(133,133d)をつなぎ合わせるステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記車両-トレーラシステム(100)の車両(102)の後部に配置されている後部車両カメラ(132,132a)から、前記トレーラ(106)のトレーラ表現(126)を含む第4の画像(133,133a)を受け取るステップと、
前記第4の画像(133,133a)の前記トレーラ表現(126)の境界(124)内に前記パノラマビュー(152)または前記パノラマビュー(152)の前記表示領域(154)を投影するステップと、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記パノラマビュー(152)の前記表示領域(154)を表示するための前記命令(156)は、前記第4の画像(133,133a)の前記トレーラ表現(126)の前記境界(124)内に前記パノラマビュー(152)の前記表示領域(154)を表示することを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記後部トレーラカメラ(132,132b)、前記右側トレーラカメラ(132,132c)、前記左側トレーラカメラ(132,132d)はそれぞれ魚眼レンズを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ユーザインタフェース(120)を介して、前記パノラマビュー(152)を閲覧するための運転者リクエストを示す運転者入力を受け取るステップと、
前記運転者入力に基づいて前記パノラマビュー(152)を含むように前記表示領域(154)を調節するステップと、
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
車両-トレーラシステム(100)のトレーラ(106)の後方の環境のパノラマビュー(152)を提供するシステムであって、前記システムは、
ディスプレイ(122)と、
前記ディスプレイと通信するデータ処理ハードウェアと、
前記データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアとを含み、前記メモリハードウェアは、前記データ処理ハードウェア上で実行されると、前記データ処理ハードウェアに動作を実行させる命令を格納しており、前記動作は、
前記トレーラ(106)の後部に配置されている後部トレーラカメラ(132,132b)から第1の画像(133,133b)を受け取ること、
前記トレーラ(106)の右側部分に配置されている右側トレーラカメラ(132,132c)から第2の画像(133,133c)を受け取ること、
前記トレーラ(106)の左側部分に配置されている左側トレーラカメラ(132,132d)から第3の画像(133,133d)を受け取ること、
前記第1の画像(133,133b)、前記第2の画像(133,133c)および前記第3の画像(133,133d)に基づいてパノラマビュー(152)を決定すること、
センサシステム(130)から受け取ったセンサシステムデータ(131)に基づいてトレーラ角度(α)を求めること、
前記トレーラ角度(α)に基づいて前記パノラマビュー(152)内の表示領域(154)を決定すること、および
前記ディスプレイ(122)に、前記表示領域(154)を表示するための命令(156)を送ること、
を含む、
システム。
【請求項8】
前記第1の画像(133,133b)、前記第2の画像(133,133c)および前記第3の画像(133,133d)に基づいて前記パノラマビュー(152)を決定することは、前記第1の画像(133,133b)、前記第2の画像(133,133c)および前記第3の画像(133,133d)をつなぎ合わせることを含む、請求項
7記載のシステム。
【請求項9】
前記動作はさらに、
前記車両-トレーラシステム(100)の車両(102)の後部に配置されている後部車両カメラ(132,132a)から、前記トレーラ(106)のトレーラ表現(126)を含んでいる第4の画像(133,133a)を受け取ること、および
前記第4の画像(133,133a)の前記トレーラ表現(126)の境界(124)内に前記パノラマビュー(152)または前記パノラマビュー(152)の前記表示領域(154)を投影すること、
を含む、請求項
7記載のシステム。
【請求項10】
前記パノラマビュー(152)の前記表示領域(154)を表示するための前記命令(156)は、前記第4の画像(133,133a)の前記トレーラ表現(126)の前記境界(124)内に前記パノラマビュー(152)の前記表示領域(154)を表示することを含む、請求項
9記載のシステム。
【請求項11】
前記後部トレーラカメラ(132,132b)、前記右側トレーラカメラ(132,132c)、前記左側トレーラカメラ(132,132d)はそれぞれ魚眼レンズを含む、請求項
7記載のシステム。
【請求項12】
前記動作はさらに、
ユーザインタフェース(120)を介して、前記パノラマビュー(152)を閲覧するための運転者リクエストを示す運転者入力を受け取ること、および
前記運転者入力に基づいて前記パノラマビュー(152)を含むように前記表示領域(154)を調節すること、
を含む、請求項
7記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、牽引車両に取り付けられているトレーラの後方環境のトレーラ連結透視図を提供するトレーライメージングシステムに関する。
【0002】
背景技術
トレーラは、動力を有する牽引車両によって牽引される、通常は動力を有していない車両である。トレーラは、ユーティリティトレーラ、ポップアップキャンピングカー、トラベルトレーラ、家畜用トレーラ、フラットベッドトレーラ、密閉型自動車運搬車およびボートトレーラ等であってよい。牽引車両は、自動車、クロスオーバ、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)、レクリエーショナルビークル(RV)またはトレーラに取り付けてトレーラを牽引するように構成されている他の任意の車両であってよい。トレーラは、トレーラヒッチを使用して、動力を有する車両に取り付けられてよい。レシーバヒッチが牽引車両に取り付けられており、これがトレーラヒッチに接続されて、接続部を形成する。トレーラヒッチは、ボールおよびソケット、第五輪およびグースネックまたはトレーラジャッキであってよい。その他の取り付け機構が使用されてもよい。トレーラと、動力を有する車両との間の機械的接続に加えて、幾つかの例では、トレーラは牽引車両と電気的に接続されている。したがって、この電気的な接続によって、トレーラは動力を有する車両の後部ライト回路から給電を受けることができ、これによってトレーラは、動力を有する車両のライトと同期するテールライト、方向指示灯およびブレーキライトを有することができる。
【0003】
牽引車両の運転者が直面する難題の一部は、特に後退方向において、トレーラの後方を見ることができないのに、車両-トレーラシステムを操縦することである。したがって、運転者にトレーラの後方環境のパノラマビューを提供するシステムを設けることが望ましい。
【0004】
概要
本開示の1つの態様は、車両-トレーラシステムのトレーラの後方の環境のパノラマビューを提供する方法の動作の例示的な構成を提供する。この方法は、データ処理ハードウェアで、トレーラの後部に配置されている後部トレーラカメラから第1の画像を受け取ることを含んでいる。第1の画像は、トレーラの後方環境を捕捉する。この方法は、データ処理ハードウェアで、トレーラの右側部分に配置されている右側トレーラカメラから第2の画像を受け取ることを含んでいる。第2の画像は、トレーラの右側環境を捕捉する。この方法は、データ処理ハードウェアで、トレーラの左側部分に配置されている左側トレーラカメラから第3の画像を受け取ることを含んでいる。第3の画像は、トレーラの左側環境を捕捉する。この方法は、データ処理ハードウェアで、第1の画像、第2の画像および第3の画像に基づいてパノラマビューを決定することを含んでいる。幾つかの例では、この方法は、第1の画像、第2の画像および第3の画像をつなぎ合わせることによってパノラマビューを決定する。パノラマビューを決定するための他の方法も使用することができる。この方法700は、データ処理ハードウェアで、センサシステムから受け取ったセンサシステムデータに基づいてトレーラ角度を求めることを含んでいる。トレーラ角度は、車両前後軸線とトレーラ前後軸線との間の角度である。この方法はまた、データ処理ハードウェアで、このトレーラ角度に基づいてパノラマビュー内の表示領域を決定することを含んでいる。この方法は、データ処理ハードウェアから、データ処理ハードウェアと通信するディスプレイに、表示領域を表示するための命令を送ることを含んでいる。
【0005】
開示の実施形態は、次の任意の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。幾つかの実施形態では、この方法は、車両-トレーラシステムの車両の後部に配置されている後部車両カメラから第4の画像を受け取ることも含んでいる。第4の画像133,133aは、トレーラのトレーラ表現を捕捉し、これを含んでいる。この方法は、第4の画像のトレーラ表現の境界内にパノラマビューまたはパノラマビューの表示領域を投影することを含んでいてもよい。したがって、幾つかの例では、パノラマビューの表示領域を表示するための命令は、第4の画像のトレーラ表現の境界内にパノラマビューの表示領域を表示することを含んでいる。
【0006】
幾つかの例では、後部トレーラカメラ、右側トレーラカメラ、左側トレーラカメラおよび後部車両カメラはそれぞれ魚眼レンズを含んでいる。カメラ132は、他のタイプのカメラを含んでいてよい。
【0007】
幾つかの実施形態では、この方法は、ユーザインタフェースを介して運転者入力を受け取ること、およびこの運転者入力に基づいてディスプレイ上に表示されるパノラマビューの表示領域を調節することも含んでいる。この方法は、ユーザインタフェースを介して、パノラマビューを閲覧するための運転者リクエストを示す運転者入力を受け取ること、およびこの運転者入力に基づいてパノラマビューを含むように表示領域を調節することを含むことができる。
【0008】
本開示の別の態様は、データ処理ハードウェアと、データ処理ハードウェアと通信するメモリハードウェアとを含んでいるシステムを提供する。メモリハードウェアは、データ処理ハードウェア上で実行されると、データ処理ハードウェアに動作を実行させる命令を格納している。これらの動作は、上述の方法を含んでいる。
【0009】
本開示の1つまたは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および次の説明に示されている。その他の態様、特徴および利点は、説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】トレーラを牽引する牽引車両を有している例示的な車両-トレーラシステムの上面図である。
【
図1B】牽引車両とトレーラとの間の、あるトレーラ角度での、
図1Aに示した例示的な車両-トレーラシステムの上面図である。
【
図2】
図1Aの例示的な車両-トレーラシステムの概略図である。
【
図3】取り付け位置に基づいて後部トレーラカメラおよび側方トレーラカメラによって捕捉された画像の斜視図である。
【
図4】
図3に示された画像のパノラマビューの例示的な表現の斜視図である。
【
図5A】
図3に示されたパノラマビューの表示領域の例示的な表現の斜視図である。
【
図5B】
図3に示されたパノラマビューの表示領域の例示的な表現の斜視図である。
【
図6】画像内のトレーラ表現の境界内に投影されたパノラマビューを伴う、後部車両カメラによって捕捉された画像の例示的な表現の斜視図である。
【
図7】牽引車両に取り付けられているトレーラの後方環境のパノラマビューを生成する方法の動作の例示的な構成の概略図である。
【0011】
種々の図面における同じ参照符号は同じ要素を表す。
【0012】
詳細な説明
牽引車両は、以下に限定されるものではないが、たとえば自動車、クロスオーバ、トラック、バン、スポーツユーティリティビークル(SUV)およびレクリエーショナルビークル(RV)であり、トレーラを牽引するように構成されていてよい。牽引車両は、トレーラヒッチを介してトレーラに接続される。車両-トレーラシステムを後退方向において運転することが困難であることがある。したがって、運転者が見ることができる領域によって運転者がより広い可動範囲を有することを可能にする、トレーラの後部および側面のパノラマビューを運転者に提供するシステムを有することが望ましい。
【0013】
図1A、
図1Bおよび
図2を参照する。幾つかの実施形態において、車両-トレーラシステム100は、トレーラ106に取り付けられている牽引車両102を含んでいる。牽引車両102は、車両ヒッチバー105によって支持されている車両牽引ボール104を含んでいる。車両牽引ボール104は、トレーラ106のトレーラヒッチバー109によって支持されているトレーラヒッチカプラ108を介してトレーラ106に結合されている。牽引車両102は、たとえばx成分、y成分およびz成分を有するドライブコマンドに基づき、路面を横断して牽引車両102を操縦するドライブシステム110を含むことができる。図示されているように、ドライブシステム110は、右前輪112,112a、左前輪112,112b、右後輪112,112cおよび左後輪112,112dを含んでいる。ドライブシステム110は、その他の車輪構成も同様に含み得る。ドライブシステム110は、各車輪112,112a~112dに関連するブレーキを含んでいるブレーキシステム(図示せず)と、牽引車両102の速度および方向を調節するように構成されている加速システム(図示せず)とを含むこともできる。さらに、ドライブシステム110は、サスペンションシステム(図示せず)を含むことができ、このサスペンションシステムは、各車輪112,112a~112dに関連するタイヤ、タイヤ空気、バネ、緩衝器およびリンク機構を含み、リンク機構は牽引車両102をその車輪112,112a~112dに接続し、牽引車両102と車輪112a~112dとの間の相対運動を可能にする。
【0014】
牽引車両102によって定義される、相互に垂直な3つの軸線、すなわち横軸線XV、前後軸線YVおよび中央垂直軸線ZVに対する移動の様々な組み合わせによって、牽引車両102は、路面を横断して移動することができる。横軸線XVは、牽引車両102の右側と左側との間に延在する。前後軸線YVに沿った前進ドライブ方向はFVとされ、これは前進運動とも称される。これに加えて、前後軸線YVに沿った後ろ向きドライブ方向または後退ドライブ方向はRVとされ、これは後退運動とも称される。幾つかの実施例では、牽引車両102は、サスペンションシステム(図示せず)を含んでおり、サスペンションシステムは、調節されて、牽引車両102をXV軸線および/またはYV軸線を中心に傾斜させるか、または中央垂直軸線ZVに沿って移動させる。
【0015】
さらに、トレーラ106によって定義される、相互に垂直な3つの軸線、すなわちトレーラ横軸線ΧT、トレーラ前後軸線YTおよびトレーラ中央垂直軸線ΖTに対する移動の様々な組み合わせによって、トレーラ106は、路面を横断して牽引車両102に追従する。トレーラ横軸線ΧΤは、トレーラ旋回車軸107に沿ってトレーラ106の右側と左側との間に延在している。幾つかの例では、トレーラ106は前車軸(図示せず)および後車軸107を含んでいる。この場合、トレーラ横軸線ΧΤは、前車軸および後車軸(すなわち仮想の旋回車軸)の中心点に沿ってトレーラ106の右側と左側との間に延在している。トレーラ前後軸線YTに沿った前進ドライブ方向はFTとされ、これは前進運動とも称される。これに加えて、前後軸線YTに沿ったトレーラ後ろ向きドライブ方向またはトレーラ後退ドライブ方向はRTとされ、これは後退運動とも称される。したがって、車両-トレーラシステム100の移動には、牽引車両102が自身の横軸線XV、前後軸線YVおよび中央垂直軸線ZVに沿って移動すること、ならびにトレーラ106が自身のトレーラ横軸線ΧΤ、トレーラ前後軸線YTおよびトレーラ中央垂直軸線ZTに沿って移動することが含まれる。したがって、牽引車両102が前進方向FVに移動しながら旋回するとき、トレーラ106はそれに追従する。旋回中、牽引車両102とトレーラ106とは、車両前後軸線YVと、トレーラ前後軸線YTとの間の角度であるトレーラ角度αを形成する。
【0016】
牽引車両102は、ユーザインタフェース120を含むことができる。ユーザインタフェース120は、入力機構として使用されるディスプレイ122、つまみおよびボタンを含んでいてよい。幾つかの例では、ディスプレイ122はつまみおよびボタンを表示することができる。他の例では、つまみおよびボタンは、つまみとボタンとの組み合わせである。幾つかの例では、ユーザインタフェース120は、1つまたは複数の入力機構またはタッチスクリーンディスプレイ122を介して運転者から1つまたは複数の運転者コマンドを受け取り、かつ/または1つまたは複数の通知を運転者に表示する。ユーザインタフェース120は、コントローラ140と通信する。幾つかの例では、ディスプレイ122は、
図6に示されたトレーラ連結
図152を含んでいる、牽引車両102の環境の画像133を表示する。
【0017】
牽引車両102は、信頼性の高い、ロバストなドライビングを提供するためにセンサシステム130を含むことができる。センサシステム130は、牽引車両102およびトレーラ106の環境を認知するために別々にまたは互いに使用可能な異なるタイプのセンサを含むことができ、これは、センサシステム130によって検出された物体および障害物に基づいて運転者がインテリジェントな決定を下すことを促すかつ支援するために、牽引車両102に対して使用される。センサシステム130は、車両-トレーラシステム100によって支持されている1つまたは複数のカメラ132,132a~132dを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、牽引車両102は、牽引車両102の後方ドライビング経路の光景を提供するために取り付けられている後部車両カメラ132a(すなわち第1のカメラ)を含んでおり、または言い換えれば、後部車両カメラ132aは、牽引車両102の後方環境の画像133を捕捉する。さらに、センサシステム130は、トレーラ106の後方ドライビング経路の光景を提供するために取り付けられている後部トレーラカメラ132b(すなわち第2のカメラ)を含んでおり、または言い換えれば、後部トレーラカメラ132bは、トレーラ106の後方環境の画像133を捕捉する。幾つかの例では、センサシステム130はまた、トレーラ106の側方環境の側方画像133を提供するためにそれぞれ取り付けられている側方トレーラカメラ132c,132d(すなわち第3のカメラおよび第4のカメラ)を含んでいる。幾つかの例では、付加的な1つまたは複数のカメラ132が、牽引車両102の前方ドライビング経路を捕捉するために牽引車両102の前部に配置されており、かつ/または牽引車両102の側方環境を捕捉するために牽引車両102の側面に配置されている。
【0018】
幾つかの実施形態では、後部車両カメラ132a、後部トレーラカメラ132bおよび側方トレーラカメラ132c,132dは魚眼レンズを含んでおり、魚眼レンズは、広角のパノラマ画像または半球画像を生成することを意図した強力な視覚的な歪みを生じさせる超広角レンズを有している。魚眼カメラは、極めて広い画角を有する画像を捕捉する。また、魚眼カメラによって捕捉された画像は、特徴的な凸状の非直線的な見た目を有している。画像133を捕捉するために他のタイプのカメラも使用されてよい。
【0019】
センサシステム130は、車両の動き、すなわち速度、角速度、位置等を検出する他のセンサ134を含むこともできる。これらの他のセンサ134は、(1つまたは複数の加速度計を使用して)車両の線加速度および(1つまたは複数のジャイロスコープを使用して)回転速度を測定するように構成されている慣性計測装置(IMU)を含んでいてよい。幾つかの例では、IMUは、牽引車両102の進路基準も決定する。したがって、IMUは、牽引車両102のピッチ、ロールおよびヨーを決定する。他のセンサ134は、レーダ、ソナー、LIDAR(遠く離れたターゲットのレンジおよび/または他の情報を見つけるために散乱光の特性を測定する光学的なリモートセンシングを必然的に伴い得るLight Detection and Ranging)、LADAR(Laser Detection and Ranging)、超音波、HFL(High Resolution 3D Flash LIDAR)等も含み得るが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、センサシステム130は、他のシステムまたは車両から、たとえばV2X通信または任意の他の通信を介して受け取った外部センサデータを提供することができる。
【0020】
コントローラ140は、コンピューティングプロセッサ142上で実行可能な命令を格納することができる、非一時的なメモリ144(たとえばハードディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ)と通信するコンピューティングデバイス(またはプロセッサ)142(たとえば1つまたは複数のコンピューティングプロセッサを有する中央処理装置)を含んでいる。コントローラは、牽引車両102によって、トレーラ106によって、または牽引車両102とトレーラ106との両方によって支持されていてよい。幾つかの例では、コントローラ140はイメージングシステム150を実行し、これによって牽引車両102の運転者に、トレーラ106の後方の環境のパノラマビュー152が提供される。
【0021】
イメージングシステム150は、1つまたは複数のカメラ132から画像133を受け取り、トレーラ106の後方環境のパノラマビュー152を提供する。イメージングシステム150は、ディスプレイ122上にトレーラ106の後方環境のパノラマビュー152を表示することによって、車両-トレーラシステム100を後退させる際に運転者が直面する困難を解決する。パノラマビュー152は、後部トレーラカメラ132bおよび側方トレーラカメラ132c,132dによって捕捉された画像133を含んでいる。パノラマビュー152は、
図6に示されているように、ディスプレイ122上のトレーラ表現126の境界124内で、後部車両カメラ132aによって捕捉された画像133aにつなぎ合わされてよい、または画像133aの上に置かれてよい。
【0022】
図3を参照する。イメージングシステム150は、後部トレーラカメラ132b(すなわち第2のカメラ)から画像133,133bを受け取り、右側トレーラカメラ132cから画像133,133cを受け取り、左側トレーラカメラ132dから画像133,133dを受け取る。イメージングシステム150は、受け取った画像133b,133c,133dをつなぎ合わせ、これによって、
図4に示されているパノラマビュー152を生成する。幾つかの例では、パノラマビュー152はディスプレイ122上に表示される。他の例では、パノラマビュー152は、
図6に示されているように、ディスプレイ122上に、後部車両カメラ132aによって捕捉された画像133aのトレーラ表現126の境界124内に表示される。言い換えれば、ディスプレイ122は、後部車両カメラ132aによって捕捉された画像133aを示し、この画像133a内のトレーラ106のトレーラ本体の表現上にパノラマビュー152を投影する。
【0023】
図5Aおよび
図5Bを参照する。幾つかの実施形態では、コントローラ140は、センサシステム130からのセンサシステムデータ131に基づいて、トレーラ角度αを求める。たとえば、コントローラ140は、後部車両カメラ132aから受け取った1つまたは複数の画像133aおよび/またはトレーラ106の前部に配置されているカメラから受け取った画像に基づいて、トレーラ角度αを求める。付加的または択一的に、コントローラ140は、後部車両および/またはトレーラ106の前部によって支持されている1つまたは複数のセンサ134から受け取ったセンサデータ135に基づいてトレーラ角度αを求めることができる。
【0024】
幾つかの実施形態では、イメージングシステム150は、トレーラ角度αに基づいて、表示されるパノラマビュー152の表示領域154を選択する。たとえば、
図5Aを参照すると、牽引車両102が直線方向(前方または後方)に移動している場合、イメージングシステム150は、後部トレーラカメラ132bからの画像133bと、側方トレーラカメラ132c,132dによって捕捉された各側方画像133c,133dの一部とを含んでいるパノラマビュー152の表示領域154を選択する。
図5Bを参照すると、牽引車両102が右に向かって(前方または後方に)旋回している場合、イメージングシステム150は、右側トレーラカメラ132cからの画像133c(またはその一部)と後部トレーラカメラ132bからの画像133bの一部とを含んでいるパノラマビュー152の表示領域154を選択する。同様に、牽引車両102が左に向かって(前方または後方)に旋回している場合、イメージングシステム150は、左側トレーラカメラ132dからの画像133d(またはその一部)と、後部トレーラカメラ132bからの画像133bの一部とを含んでいるパノラマビュー152の表示領域154を選択する。イメージングシステム150は、
図5Aおよび
図5Bに示されているように、後退走行の間に、パノラマビュー152をスクロールし、運転者に対して自然の画像または表示領域154を表示するためにトレーラ角度αを利用する。
【0025】
幾つかの実施形態では、運転者は、ユーザ入力120を介してディスプレイ122上に表示される表示領域154を調節することができる。したがって運転者は、
図5Aに示されている表示領域154を調節して、
図5Bに示されているように、右側トレーラカメラ132cによって捕捉された画像133cをより多くを見ることができる。他の調節も可能であり得る。
【0026】
図7は、
図1A~
図6に示されている車両-トレーラシステム100のトレーラ106の後方の環境のパノラマビュー152を提供する方法700の動作の例示的な構成を提供する。ブロック702で、方法700は、データ処理ハードウェア140,142で、トレーラ106の後部に配置されている後部トレーラカメラ132,132bから第1の画像133,133bを受け取ることを含んでいる。第1の画像133,133bは、トレーラ106の後方環境を捕捉する。ブロック704で、方法700は、データ処理ハードウェア140,142で、トレーラ106の右側部分に配置されている右側トレーラカメラ132,132cから第2の画像133,133cを受け取ることを含んでいる。第2の画像133,133cは、トレーラ106の右側環境を捕捉する。ブロック706で、方法700は、データ処理ハードウェア140,142で、トレーラ106の左側部分に配置されている左側トレーラカメラ132,132dから第3の画像133,133dを受け取ることを含んでいる。第3の画像133,133dは、トレーラ106の左側環境を捕捉する。ブロック708で、方法700は、データ処理ハードウェア140,142で、第1の画像133,133b、第2の画像133,133cおよび第3の画像133,133dに基づいてパノラマビュー152を決定することを含んでいる。幾つかの例では、方法700は、第1の画像133,133b、第2の画像133,133cおよび第3の画像133,133dをつなぎ合わせることによってパノラマビュー152を決定する。パノラマビューを決定するための他の方法も使用することができる。ブロック710で、方法700は、データ処理ハードウェア140,142で、センサシステム130から受け取ったセンサシステムデータ131に基づいてトレーラ角度αを求めることを含んでいる。トレーラ角度αは、車両前後軸線Y
Vとトレーラ前後軸線Y
Tとの間の角度である。ブロック712で、方法700は、データ処理ハードウェア140,142で、このトレーラ角度αに基づいてパノラマビュー152内の表示領域154を決定することを含んでいる。ブロック714で、方法700は、データ処理ハードウェア140,142から、データ処理ハードウェア140,142と通信するディスプレイ122に、表示領域154を表示するための命令156を送ることを含んでいる。
【0027】
幾つかの実施形態では、方法700は、車両-トレーラシステム100の車両102の後部に配置されている後部車両カメラ132,132aから第4の画像133,133aを受け取ることも含んでいる。第4の画像133,133aは、トレーラ106のトレーラ表現126を捕捉し、これを含んでいる。方法700は、第4の画像133,133aのトレーラ表現126の境界124内にパノラマビュー152またはパノラマビュー152の表示領域154を投影することを含んでいてもよい。したがって、幾つかの例では、パノラマビュー152の表示領域154を表示するための命令156は、第4の画像133,133aのトレーラ表現126の境界124内にパノラマビュー152の表示領域154を表示することを含んでいる。
【0028】
幾つかの例では、後部トレーラカメラ132,132b、右側トレーラカメラ132,132c、左側トレーラカメラ132,132dおよび後部車両カメラ132,132aはそれぞれ魚眼レンズを含んでいる。カメラ132は、他のタイプのカメラ132を含んでいてよい。
【0029】
幾つかの実施形態では、方法700は、ユーザインタフェース120を介して運転者入力を受け取ること、およびこの運転者入力に基づいてディスプレイ122上に表示されるパノラマビュー152の表示領域154を調節することも含んでいる。方法700は、ユーザインタフェース120を介して、パノラマビュー152を閲覧するための運転者リクエストを示す運転者入力を受け取ること、およびこの運転者入力に基づいてパノラマビュー152を含むように表示領域154を調節することを含むことができる。
【0030】
ここで説明されたシステムおよび技術の様々な実施形態を、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはそれらの組み合わせで実現することができる。これらの様々な実装は、プログラミング可能なシステム上で実行可能かつ/または解釈可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムでの実装を含み得る。プログラミング可能なシステムは少なくとも1つのプログラミング可能なプロセッサを含んでおり、このプロセッサは、特殊な目的または一般の目的で、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイスおよび少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受け取るように、さらにそれらにデータおよび命令を伝送するように、結合されていてよい。
【0031】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、プログラミング可能なプロセッサのための機械命令を含み、高レベルの手続き型プログラミング言語および/またはオブジェクト指向プログラミング言語ならびに/またはアセンブリ言語/機械言語で実装可能である。本明細書で使用される用語「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」は、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含んでいる、プログラミング可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス(たとえば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指す。用語「機械可読信号」は、プログラミング可能なプロセッサへ機械命令および/またはデータを提供するために用いられる任意の信号を指す。
【0032】
本明細書で説明された主題および機能的動作の実施形態は、デジタル電子回路で、もしくはコンピュータソフトウェア、ファームウェアまたは本明細書で開示された構造およびそれらの構造的等価物を含んでいるハードウェアで、もしくはそれらのうちの1つもしくは複数の組み合わせで実装可能である。さらに、本明細書で説明された主題は、1つまたは複数のコンピュータプログラム製品として、すなわち、コンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装可能である。コンピュータプログラム命令は、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作をコントロールするためにコンピュータ可読媒体に符号化されている。コンピュータ可読媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号をもたらす組成物、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組み合わせであり得る。用語「データ処理装置」、「コンピューティングデバイス」および「コンピューティングプロセッサ」は、例として、プログラミング可能なプロセッサ、コンピュータまたは複数のプロセッサまたは複数のコンピュータを含んでいる、データを処理するためのすべての装置、デバイスおよび機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、当該のコンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、たとえば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステムまたはそれらの1つもしくは複数の組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝播信号は、適切な受信装置への伝送のために情報を符号化するために生成された、人工的に生成された信号であり、たとえば、機械によって生成された電気信号、光信号または電磁信号である。
【0033】
同様に、動作は、特定の順序で図面に示されているが、これは、所望の結果を得るために、このような動作を示された特定の順序で実行すること、または順次に実行すること、またはすべての図示された動作を実行することを要求するものとして理解されるべきではない。所定の周囲環境では、マルチタスキングおよび並列処理が有利となる可能性がある。さらに、上述した実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてこのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、説明されているプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に統合可能であるか、複数のソフトウェア製品にパッケージ化可能であることを理解されたい。
【0034】
幾つかの実施形態が説明されてきたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行い得ることが理解されよう。したがって、その他の実施形態は、以降の特許請求の範囲内にある。