(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】改善された流体ガン供給システムのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B05B 15/63 20180101AFI20240110BHJP
B05B 7/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B05B15/63
B05B7/02
(21)【出願番号】P 2022525296
(86)(22)【出願日】2020-10-30
(86)【国際出願番号】 US2020058426
(87)【国際公開番号】W WO2021087410
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-28
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515198670
【氏名又は名称】カーライル フルイド テクノロジーズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ピーター デイビッド バーン
(72)【発明者】
【氏名】ブルース アール ネルソン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/204231(WO,A1)
【文献】実開昭55-155558(JP,U)
【文献】特開平06-047318(JP,A)
【文献】米国特許第06070809(US,A)
【文献】特開昭48-055182(JP,A)
【文献】国際公開第2005/018900(WO,A1)
【文献】米国特許第06158624(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129685(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0012677(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0061725(US,A1)
【文献】特表2018-507774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/00-9/08
12/16-12/36
14/00-16/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーガンを備える流体供給システムであって、
前記スプレーガンは、
第1の流体及び第2の流体を受け入れるように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体的に結合されたチャンバであって、前記第1の流体及び前記第2の流体を混合するように構成される、チャンバと、
ハンドルと、
操作者がハンドルを介して前記スプレーガンを保持する際に、操作者の手
の甲の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部と、を有し、
前記スプレーガンはストラップを備え、前記翼状拡張部は前記ストラップの第1の先端を受け入れるように構成された第1の開口を備え、前記ストラップの第2の先端は前記ハンドルの下部に取り付けられる、
流体供給システム。
【請求項2】
前記翼状拡張部は、50.8~152.4mmとの間の横方向長さを含む、請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項3】
前記翼状拡張部は、前記操作者の親指の上部に形式的に適合するように構成された第1の下側溝を備える、請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項4】
前記翼状拡張部は、前記操作者の人差し指の上部に適合するように構成された第2の下側溝を備える、請求項3に記載の流体供給システム。
【請求項5】
前記翼状拡張部は前記ストラップの前記第1の先端を受け入れるように構成された第2の開口を含み、前記ストラップの前記第1の先端は前記第1の開口又は前記第2の開口に挿入可能である、請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項6】
前記スプレーガンは、前記少なくとも2つの孔に含まれる第1の孔に流体的に結合され、第1のホースに結合するように構成された第1のホースカプラと、前記少なくとも2つの孔に含まれる第2の孔に流体的に結合され、第2のホースに結合するように構成された第2のホースカプラとを備える、請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項7】
第1のねじ付き混合チップを有し、前記混合チャンバアセンブリは、
前記チャンバに通じる溝付き開口
を有し、前記溝付き開口は、前記第1のねじ付き混合チップを受け入れるように寸法決めされ、前記ねじ付き混合チップは前記チャンバに流体的に結合されて、前記チャンバ内での前記第1の流体と前記第2の流体との混合から生じる混合流体をスプレーする第1のスプレー開口を備える、請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項8】
前記第1のねじ付き混合チップの前記第1のスプレー開口とは異なる寸法に形成された第2のスプレー開口を有する第2のねじ付き混合チップを含み、前記第1のねじ付き混合チップは、前記混合チャンバアセンブリから取り外され、前記第2のねじ付き混合チップによって置き換えられるように構成される、請求項7に記載の流体供給システム。
【請求項9】
前記スプレーガンはエアキャップを含まない、請求項1に記載の流体供給システム。
【請求項10】
スプレーガンの製造方法であって、
第1の流体及び第2の流体を受容するように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体的に結合されたチャンバと、を製造するステップであって、前記チャンバは前記第1の流体及び前記第2の流体を混合するように構成された、ステップと、
ハンドルを製造するステップであって、該ハンドルは操作者がハンドルを介して前記スプレーガンを保持するときに、操作者の手
の甲の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部を有する、ステップと、
スプレーガン本体を製造するステップと、
前記チャンバを受け入れるように構成されたスプレーガンヘッドを製造するステップと、を備え、
前記翼状拡張部は、ストラップの第1の先端を受け入れるように構成された第1の開口及び第2の開口を有し、前記ストラップの第1の先端は前記第1の開口又は前記第2の開口に挿入可能である、製造方法。
【請求項11】
前記翼状拡張部は50.8~152.4mmとの間の横方向長さを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記翼状拡張部は前記操作者の親指の上部に形式的に適合するように構成された第1の下側溝を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記翼状拡張部は前記操作者の人差し指の上部に適合するように構成された第2の下側溝を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
スプレーガン装置であって、
第1の流体及び第2の流体を受け入れるように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体的に結合されたチャンバであって、前記第1の流体及び前記第2の流体を混合するように構成されたチャンバと、
ハンドルと、
操作者がハンドルを介してスプレーガンを保持する際に、前記操作者の手
の甲の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部と、
を備え
、
前記翼状拡張部はストラップの第1の先端を受け入れるように構成された第1の開口及び第2の開口を有し、前記ストラップの前記第1の先端は前記第1の開口又は前記第2の開口に挿入可能である、スプレーガン装置。
【請求項15】
前記翼状拡張部は、操作者の親指の上部に形式的に適合するように構成された第1の下側溝と、操作者の人差し指の上部に形式的に適合するように構成された第2の下側溝とを備える、請求項14に記載のスプレーガン装置。
【請求項16】
前記混合チャンバアセンブリは、
前記チャンバに通じる溝付き開口
を備え、前記溝付き開口はねじ付き混合チップを受け入れる寸法であり、前記ねじ付き混合チップは、前記チャンバに流体的に結合されて、前記チャンバ内での前記第1の流体と前記第2の流体との混合から生じる混合流体をスプレーするスプレー開口を備える、請求項14に記載のスプレーガン装置。
【請求項17】
前記スプレーガン装置はエアキャップを含まない、請求項14に記載のスプレーガン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は供給システム及び方法に関し、より具体的には、流体ガン供給システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレーポリウレタンフォーム(SPF)システムなどのいくつかの流体供給システムは、住宅又は商業構造物にフォーム断熱材を適用するために使用される。これらのシステムは固定ポンピングシステム(例えば、プロポーショナシステム)から、構造体に材料を適用するために使用される流体ガン又はスプレーフォームガンに、ホースを通して2つ以上の材料を供給する。プロポーショナシステムは、実際のフォーム塗布作業エリア及びスプレー発泡ガンから離れた場所に配置することができる。流体ガン供給システムを改善することは有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
最初に特許請求された発明の技術的範囲に相応する特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は特許請求される本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は本発明の可能な形態の簡潔な要約を提供することのみを意図する。実際、本発明は、以下に記載される実施形態と同様であっても異なっていてもよい様々な形態を包含してもよい。
【0004】
第1の実施形態では、流体供給システムがスプレーガンを含む。スプレーガンは第1の流体及び第2の流体を受け入れるように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体結合されたチャンバとを含み、チャンバは、第1の流体及び第2の流体を混合するように構成される。スプレーガンはハンドルと、操作者がハンドルを介してスプレーガンを保持するときに、操作者の手の甲の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部とを更に含む。
【0005】
第2の実施形態ではスプレーガンを製造する方法が第1の流体及び第2の流体を受け入れるように構成された少なくとも2つの孔と、少なくとも2つの孔に流体結合されたチャンバとを有する混合チャンバアセンブリを製造することを含み、チャンバは第1の流体及び第2の流体を混合するように構成される。この方法はさらに、操作者がハンドルを介してスプレーガンを保持するときに、操作者の手の甲の少なくとも一部に接触するように配置された翼状拡張部を有するハンドルを製造するステップを含む。この方法はさらに、スプレーガン本体を製造するステップと、混合チャンバを受け入れるように構成されたスプレーガンヘッドを製造するステップとを含む。
【0006】
第3の実施形態では、スプレーガン装置が提供される。スプレーガン装置は第1の流体及び第2の流体を受け入れるように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体結合されたチャンバとを含み、チャンバは、第1の流体及び第2の流体を混合するように構成される。スプレー装置はさらに、ハンドルと、操作者がハンドルを介してスプレーを保持するときに、操作者の手の甲の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部とを含む。
【0007】
最初に特許請求された発明の技術的範囲に相応する特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は特許請求される本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は本発明の可能な形態の簡潔な要約を提供することのみを意図する。実際、本発明は、以下に記載される実施形態と同様であっても異なっていてもよい様々な形態を包含してもよい。
【0008】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、より良く理解されるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、多成分流体供給システム(例えばSPFシステム)のようなインピンジメントシステムの実施形態のブロック図である。
【
図2】
図2は
図1の流体供給システムの制御に適したプロセスの一実施形態のフローチャートである。
【
図3】
図3は
図1の流体供給システムに含まれるスプレーガンの実施形態の側面斜視図である。
【
図4】
図4は
図1の流体供給システムに含まれるスプレーガンの実施形態の裏面斜視図である。
【
図5】
図5は
図1の流体供給システムに含まれるスプレーガンの実施形態の正面斜視図である。
【
図6】
図6はスプレーガントリガーが休止位置にあるときの混合チャンバアセンブリを示す、
図1の流体供給システムに含まれるスプレーガンシステムの実施形態の正面部分の概略側面図である。
【
図7】
図7は、「スプレー」位置にある混合チャンバアセンブリを示す、
図1の流体供給システムに含まれるスプレーガンシステムの実施形態の正面部分の概略側面図である。
【
図8】
図8は、混合チャンバアセンブリの一実施形態を示す正面図であって、流体を混合するのに適したチャンバ内に通じる2つの横方向の孔を示す図である。
【
図9】
図9は、ねじ付き混合チャンバアセンブリ及び混合チップの一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つ以上の特定の実施形態について以下に記載する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装のすべての特徴は、本明細書で説明されないことがある。全てのそのような実際の実施例の開発において、全ての技術又は設計の計画におけるのと同様に、システム関連の制約、又はビジネス関連の制約へ追従することなどの開発者に特有の目標を成し遂げるために、多くの実施例特有の決定がなされなければならず、これは実施例によって異なってもよいことが認識されよう。更に、この種の開発作業は複雑かつ時間がかかるものでありうるが、本開示の利益を受ける当業者にとって、設計、作製及び製造の日常的な作業であるということが理解されよう。
【0011】
本発明の様々な態様の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1つ又は複数が存在することを意味することが意図される。用語「comprising」、「including」、及び「having」は包括的であることを意図し、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0012】
本開示の実施形態は、2液型スプレーポリウレタンフォーム(SPF)システムを含む、インピンジメントシステムにおける流体供給を改善することができるシステム及び方法を対象とする。多くのスプレーポリウレタンフォーム(SPF)及び同様の2成分(2K)分配システムは2つの流体成分を高圧でスプレーガン又は他の分配装置に供給し、ここで、材料はガンから基板上に噴射されてフォーム断熱層又は他のコーティングを形成する前に、チャンバ又はノズル内でインピンジメント混合を受ける。インピンジメント混合は基材上に発泡体又は被膜を生成するために必要とされる化学反応を開始するために、反応性流体の2つ以上の流れの慣性に依存する。インピンジメント混合処理の効率は、流体ストリームの圧力及び温度、ストリームのサイズ、混合チャンバ及びノズルの幾何学形状、及び2つのインピンジメントストリームの相対軌道を含む多くの要因に依存する。衝突する成分流の圧力が著しく異なるか、又は一定の処理限界外である場合、反応性流体の不十分な混合が起こり得る。これは、不十分なフォーム又はコーティング品質、基板上の不規則な、又は望ましくない堆積パターン、及び/又はガン又は分配装置内の材料の蓄積につながる可能性がある。極端な圧力不均衡状態では成分流の1つが、反対側の流れのオリフィス内に「クロスオーバー」し、ガン又は装置自体内の材料の重合及び硬化をもたらす可能性がある。これは、1つのストリームの部分的又は完全な遮蔽をもたらし、システムを使用不能にする。クロスオーバーは2Kシステムにおける一般的な故障モードであり、この出来事を検出し、防止する手段はこの課題を低減又は排除し、結果として、より短いダウンタイムをもたらす。
【0013】
衝突する流体流の温度はまた、化学反応速度及び効率を制御するための重要なパラメータであり得る。流体温度が低すぎると、化学反応が不完全になるか、又は発泡体又はコーティング材料がターゲット基板に適切に付着するには遅すぎることがある。それらが高すぎると、反応が速すぎて、脆い発泡体又はコーティング、多量のオーバースプレー及びスプレー、又はガン/分配システムの目詰まりをもたらすことがある。
【0014】
2K装置の大部分の原料供給メーカーは、良好な出力を生み出すように流体原料の「目標」圧力と温度を提供する。あるSPFシステムでは、スプレーガン又はその近傍の両方において流体の圧力及び温度は分かっていない。代わりに、流体ポンプ又はその近くで圧力が測定され、その場所でのみ2つの材料の圧力を制御するために使用される。これらのポンプは、油圧ホースを介してポンプに接続されているスプレーガンからかなりの距離にある。ホースの形状、ホースの長さ、流量、流体の特性により、ホースの長さにわたって不明な圧力低下が発生する。その結果、スプレーガン又はその近傍における2つの流体の実際の圧力は未知であり、制御されず、場合によっては等しくない。さらに、ほとんどのSPFは、単一のアクチュエータによって駆動される「ヨーク付き」ピストンポンプを採用している。アクチュエータは、電気モータ又は油圧又は空気圧ピストンのいずれかである。ヨークポンプを使用するシステムは本質的に、2つの流体の独立した圧力制御を提供する能力を欠いている。
【0015】
ほとんどのSPFシステムでは、両方の流体流の温度が測定され、プロポーショニング(プロポーショナ)システムの一部として独立した加熱システムで制御される。プロポーショナは通常、作業現場ではトラック又はトレーラに収容されるが、断熱されている構造物の外部に収容される。ほとんどのシステムでは、1つの流体流がホース内に電子温度センサを含み、流体材料と接触している。この温度センサは両方の材料についてホース構造内の加熱要素を制御するために使用され、これはプロポーショナとスプレーガンとの間の流体の冷却を防止又は低減するために必要とされる。
【0016】
特定の実施形態では、本明細書に記載の技術がインピンジメントチャンバに通じる非接線チャネル内に流体を導入することによる改善されたインピンジメント技術を含むスプレーガンの実施形態を提供する。スプレーガンの実施形態は以下でさらに説明するように、例えばガンを洗浄するために、ガンを通る空気の流れを形成又は方向付けるために使用されるエアキャップ機構を含まないエアキャップレスガンをさらに含むことができる。エアキャップレスガンはエアキャップガンよりも少ない構成要素を含むことができ、したがって、メンテナンスを容易にし、製造コストを下げることができる。スプレーガンはまた、使用者の手に適合するようにガン上に配置された「翼」を含んでもよい。翼は、ユーザの手のより広い領域にわたってガン重量を広げるのに適している。したがって、スプレーガンは、使用者によってより容易かつ快適に操作され得る。
【0017】
本明細書に記載される技術はまた、ガン(例えば、スプレーガン)において、又はその近傍でのそれらの差を最小限に抑えるために、2つ以上のホース間の圧力に対する制御を提供する。制御装置は、ガンにおける、/ガン近傍の圧力の間の所望の差を導出するか、さもなければ得ることができる。所望の圧力差は、ゼロであってもよく、他の何らかのユーザ入力値であってもよく、及び/又は導出された値であってもよい。導出された値は例えば、導出された値の圧力差が例えば、ガンでのインピンジメント混合を改善することができるように、コントローラを介して導出されてもよく、種々の圧力差での混合を、シミュレーション(例えば、流体モデル化シミュレーション)などを介して、テストベンチでモデル化することによって提供されてもよい。
【0018】
本明細書に記載されるようなインピンジメント混合のための改善された制御を適用し得るシステムを記載することは有用であり得る。従って、ここで
図1を参照すると、図は、1つ以上の液体ポンプ12、14を含むことができるスプレー塗布システム10の実施形態を示すブロック図である。スプレー塗布システム10はスプレーフォーム断熱材を塗布する際に使用される化学薬品などの様々な化学薬品を混合し、分配するのに適していてもよい。図示の実施形態では、化合物A及びBがそれぞれタンク16及び18に貯蔵することができる。タンク16及び18は、導管又はホース20及び22を介してポンプ12及び14に流体的に連結することができる。スプレー塗布システム10の図示された実施形態は混合及びスプレーに使用される2つの化合物を示すが、他の実施形態は単一の化合物、又は3、4、5、6、7、8又はそれ以上の化合物を使用してもよいことを理解されたい。ポンプ12及び14は、独立して制御されてもよい。
【0019】
スプレー塗布システム10の作動中、ポンプ12、14は、それぞれモータ24、26によって機械的に動力を供給することができる。好ましい実施形態では、モータは電気モータであってもよい。しかしながら、内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)、空気圧モータ、又はそれらの組み合わせである。モータコントローラ27及び29は、例えばプロセッサ40から送信される信号に基づいて、モータの始動/停止、ローディング、及び制御を行うために使用することができる。モータ24は、モータ26と同じタイプのものであっても、異なるタイプのものであってもよい。同様に、ポンプ12は、ポンプ14と同じタイプであっても、異なるタイプであってもよい。実際に、本明細書に記載される技術は、複数のポンプ12、14、及び異なるタイプであってもよい複数のモータ24、26と共に使用されてもよい。
【0020】
ポンプ12、14は、化合物A、Bをスプレーガンシステム28内に移動させるのに適した流体力学的力を提供する。より具体的には、化合物Aがポンプ12を通り、導管20を通り、次に加熱された導管30を通り、スプレーガンシステム28に入り、衝突を介して化合物Bと混合され得る。同様に、化合物Bはポンプ14を通り、導管22を通り、次に加熱された導管32を通ってスプレーガンシステム28に入り、化合物Aと衝突することによって混合され、加熱された導管30、32を加熱するために、加熱システム34が提供されてもよい。加熱システム34は混合及びスプレーの前に化合物A及びBを予熱し、混合及びスプレー中に化合物A及びBを加熱するのに適した、加熱された流体などの熱エネルギーを提供することができる。
【0021】
スプレーガンシステム28は化合物A及びBを混合するための混合チャンバを含むことができ、スプレーフォーム断熱用途では化合物Aがイソシアネートを含むことができ、一方、化合物Bはポリオール、難燃剤、発泡剤、アミン又は金属触媒、界面活性剤、及び他の化学物質を含むことができる。混合されると、発熱化学反応が起こり、発泡体35がターゲット上にスプレーされる。次いで、発泡体は化合物A及びB中に見出される化学物質に基づいて、様々な熱抵抗(すなわち、R値)で断熱特性を提供する。
【0022】
スプレー塗布システム10に対する制御は、制御システム36によって提供することができる。制御システム36は工業用コントローラを含むことができ、したがって、メモリ38及びプロセッサ40を含むことができる。プロセッサ40は、複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数の「汎用」マイクロプロセッサ、1つ又は複数の専用マイクロプロセッサ、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASICS)、及び/又は1つ又は複数の縮小命令セット(RISC)プロセッサ、又はそれらの何らかの組合せを含むことができる。メモリ38はランダム・アクセス・メモリのような揮発性メモリ、及び/又はROM、ハード・ドライブ、メモリ・カード、メモリ・スティック(例えば、USBスティック)のような不揮発性メモリを含んでもよい。メモリ38はプロセッサ40によって実行可能であり、スプレー塗布システム10を制御するのに適したコンピュータプログラム又は命令を含むことができる。メモリ38はさらに、プロセッサ40によって実行可能であり、ポンプ12、14のスリップを検出し、以下でさらに説明するように、スリップの存在下で化合物A及びBに対して所望の比率(例えば、1:1)を提供し続けるための比率制御動作を提供するのに適したコンピュータプログラム又は命令を含むことができる。
【0023】
制御システム36は、1つ又は複数のセンサ42に通信可能に結合され、1つ又は複数のアクチュエータ44に動作可能に結合されてもよい。センサ42は圧力センサ、流量センサ、温度センサ、化学組成センサ、速度(例えば、回転速度、線速)センサ、電気測定センサ(例えば、電圧、アンペア数、抵抗、静電容量、インダクタンス)、レベル(例えば、流体レベル)センサ、リミットスイッチなどを含んでもよい。アクチュエータ44はバルブ、作動可能スイッチ(例えば、ソレノイド)、ポジショナ、加熱要素などを含んでもよい。
【0024】
1人又は複数のユーザは、タッチスクリーン、ディスプレイ、キーボード、マウス、拡張現実/仮想現実システム、ならびにタブレット、スマートフォン、ノートブックなどを含むことができる入力/出力(I/O)システム38を介して制御システム36とインターフェースすることができる。利用者は所望の圧力、流量、温度、化合物Aと化合物Bとの間の比率(例えば、1:1)、アラーム閾値(例えば、タンク16、18内の化合物A、Bの閾値流体レベル)などを入力することができる。次いで、ユーザはスプレーガンシステム28を介してスプレーすることができ、制御システム36はプロセッサ40を使用して、センサ42を介してシステム10の状態を感知し、ユーザ入力に基づいてアクチュエータ44を介してシステム10の様々なパラメータを調整するのに適した、メモリ38に記憶された1つ又は複数のプログラムを実行することができる。次いで、I/Oシステム38は、感知された条件のいくつか、ならびに調整されたパラメータを表示することができる。スプレー塗布システム10の特定の構成要素はプロポーショニングシステム41に含まれていてもよいし、それとインターフェースしていてもよい。配合システム41は化合物A、Bを特定の比率(例えば、1:1)で「配合」又は供給して、スプレー発泡体35を達成することができる。このようにして、使用者は化合物A及びBなどの化学薬品を混合し、スプレーして、断熱スプレー発泡体などの特定のコーティングを提供することができる。
【0025】
先に述べたように、ポンプ12、14は独立して制御することができる。システム10は、以下を有することによって制御を改善する。
スプレーガン又はその近傍の独立した圧力及び温度を感知すること。
スプレーガンへのプロポーショナからの2つの流体の独立した圧力と温度を制御すること。
スプレーガン又はその近傍での感知する圧力及び温度に基づいて、流体の圧力及び温度を独立して制御すること。
【0026】
現在のシステムを改善するために、システム10はスプレーガン又はスプレーガンの近くで感知する圧力及び温度を使用することができ、これらの感知信号を使用して、独立したポンプアクチュエータ及び加熱システムを制御することができる。次に、圧力、流量、及び/又はスプレーガンの近くの温度に基づいて、独立した制御のこのレベルは、スプレーガン内のインピンジメント混合の改善された制御をもたらす。
【0027】
我々のアプローチではスプレーガン(ホース30、32内、ポンプ12、14の排出口内)に、又はその近くに配置された独立した圧力センサは圧力信号をプロポーショナ41に送信することができ、そこで、それらはスプレーガン28で所望の出力を達成するために、ポンプアクチュエータ制御システム(例えば、制御システム36)内で使用される。制御システム36はガン又はその近傍の2つの原料における独立した圧力制御を達成するように、又はガン又はその近傍の2つの原料の間の圧力差を最小化又は排除するように構成することができる。さらに、圧力制御アルゴリズムは、ガン又はその近傍の2つの流れのインピンジメントモーメントのより良い均等化及び制御を提供するように構成することができる。インピンジメントストリームモーメントに影響を及ぼす2つの流体又はノズルの幾何学的形状の間に既知の差異がある場合(例えば、2つの材料の流体密度、ガン内の2つの側面のノズルサイズなど)、運動量均等化制御は重要であり得る。モーメンタムイコライゼーション制御の実例は、「疑似モーメンタム」パラメータMAとMBの間の差を、所望のPA又はPB(A又はBの流体圧)で最小化することである
MA=PA × ρA × DA
2
MB=PB × ρB × DB
2
MA=混合チャンバ内のA流の疑似運動量
MB=混合チャンバ内のB流の疑似運動量
PA=スプレーガンにおいて、/ガン近傍のホース内のA材料の液圧
PB=スプレーガンにおいて、/ガン近傍のホース内のB材料の液圧
PB=スプレーガン付近のホース内のB材の液圧
ρA=A流体の密度
ρB=B流体の密度
DA=ガンのAオリフィスの直径
DB=ガンのBオリフィスの直径
【0028】
スプレーガンの近傍に位置する独立した圧力センサ100であって、スプレーガンの近傍からスプレー領域の外側に位置する比例ユニットに信号を伝達する。プロポーショニングユニットはスプレーガンの近傍に位置する独立した圧力センサ100間の圧力差を最小化するように、一つのポンプ又は複数のポンプを制御する。これらの圧力センサ100は、ガン内にあっても、2つのホースのためのホースカップリング又はフィッティングの部分に取り付けられても、又は2つの原料のための独立した入口及び出口流体通路を有するガンの近くの流体マニホルド構造内にあっても、及び/又はポンプ12、14の出口内にあってもよい。
【0029】
スプレーガンの近傍に位置する独立した圧力センサ100であって、スプレーガンの近傍からスプレー領域の外側に位置するプロポーショニングユニットに信号を伝達する。プロポーショニングシステム41は2つの流体流れの間で異なる他の既知の流体及び幾何学的パラメータを含む計算レベルに2つの流れの圧力を制御することによって、ガンミックスチャンバ内の流体の2つの衝突する流れの間の運動量差を最小にするように、一つのポンプ又は複数のポンプを制御する。圧力センサ100は、ガン内にあっても、2つのホース用のホースカップリング又は継手に取り付けられても、2つの原料用の独立した入口流体通路及び出口流体通路を有するガン近傍の流体マニホルド構造内にあってもよい。
【0030】
スプレーガンの近傍に位置する独立した温度センサ102であって、スプレーガンの近傍からスプレー領域の外側に位置するプロポーショニングユニットに信号を通信する。比例配分システム41はスプレーガンにおいて所望の温度を達成するために、流体の温度を独立して制御する。これらの温度センサ102は、ガン内、2つのホースのためのホースカップリング又はフィッティングに取り付けることができ(ならびにホース内又はホースの周り)、又は2つの原料のための独立した入口及び出口流体通路を有するガンの近くの流体マニホルド構造内に取り付けることができる。ガン上又はその近傍、及び流体導管30、32などの流体導管(例えば、センサ100、102)上又はその近傍のセンサは、有線手段を介して制御システム36と通信してもよい。例えば、導管30、32は、流体導管として動作することに加えて、電気信号及び/又は電力を伝送することができる。例えば、導管30、32は、ホースに埋め込まれた導電性要素を含むスマートホースであってもよい。センサ、例えば、センサ100、102はワイヤレス手段(例えば、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、網目状ネットワークなど)を介して通信することもできることを理解されたい。
【0031】
図2を参照すると、図は、本明細書で説明される技術のうちのいくつかを実施するために使用され得る処理200を示す。処理200は、例えばプロセッサ40を介して実行可能なコンピュータコード又は命令として実現することができる。処理200のブロックは任意の順序で、又は同時に(例えば、互いに並列に)実行され得ることに留意されたい。図示の例では、処理200が圧力を最初に感知し、又は制御することができる。例えば、スプレーガン、ホース(又はホース取付具)30、32、ポンプ12、14の排出口に又はその付近に配置された圧力センサ100は、圧力信号をプロセッサ40に送信することができる。次いで、プロセッサ40はA及びB化合物(及び/又は任意の他の2つ以上の流体)の圧力を独立して制御して、例えば、ポンプ速度、温度、流量などを調節して、A及びB化合物間の等しい圧力に到達することによって、上記のように、スプレーガン28又はその近くの2つ(又はそれ以上)の材料間の圧力差を最小化又は排除し得る。
【0032】
処理200は、温度を測定及び/又は制御することもできる(ブロック204)。例えば、温度センサ102を使用して、ガン又はその近傍、ホース又はその近傍、我々の近くのポンプ(例えば、ポンプ出口)における温度を導出することができる。次いで、温度は例えば、圧力×体積=n(モル)×R(ガス定数)×温度(ケルビン)となるように、理想的なガス法則によって使用することができる。この場合も、ホース、タンク(例えば、化合物A及び/又は化合物Bタンク)の温度、及び/又はガン温度の独立した制御を使用して、ガンに入る流体の圧力を等しくすることができる。また、流量を温度及び/又は圧力と共に感知して、スプレーガン28に供給される流体の圧力を等しくすることができることにも留意されたい。
【0033】
図3を参照すると、図は、スプレーガンシステム28の一実施形態の側面斜視図である。図示の実施形態では、スプレーガンシステム28がガン本体300及びガンハンドル302を含むことができる。特定の実施形態では、翼状拡張部304をガン本体300とガンハンドル302との間に配置することができる。翼状拡張部304は例えば、使用者によって保持されているときのスプレーガンシステム28の重量分布を改善するために使用することができる。すなわち、翼状拡張部304は親指の上面、人差し指の上面、親指と人差し指との間の上面、及び利用者の手の
甲の一部の上面に適合可能に嵌合し、したがって、スプレーガンシステム28と利用者の手との間の接触面積を増加させることができる。翼状拡張部304は、ガンハンドル302、ガン本体300、又はそれらの組み合わせの構成要素であってもよいことに留意されたい。同様に、翼状拡張部304は、独立した構成要素であってもよい。翼状拡張部304はまた、様々なサイズ、例えば、小型、中型、大型、超大型で提供されて、様々な手のサイズにより適合することができる。翼状拡張部304は上から見たときに使用者の手を完全に覆うように、又は使用者の手を部分的に覆うように、寸法決めされてもよい。翼状拡張部304は側面間寸法(例えば、翼状拡張部304の左端と右端との間の距離)が50.8~152.4mm(2~6インチ)であってもよい。
【0034】
スプレーガンシステム28はまた、スプレーガンシステム28間のより強固な接触を維持すること、ならびにスプレーガン28を運ぶためのさらなる表面積を追加することを補助し得るストラップ306を含み得る。ストラップ306は不織布(例えば、ナイロン)、皮革、プラスチック、ゴム、又はそれらの組み合わせを含む、様々な材料で製造されてもよい。ストラップ306は開口308、310を介して翼状拡張部304に、また取付け部材312を介してスプレーガンシステム28の下面に取り付けることができる。ストラップ306は例えば、ストラップを右側開口308又は左側開口310に取り付けることによって、右手又は右手用に再配置することができる。ストラップ306はまた、スプレーガンシステム28がストラップ306なしで使用され得るように、取り外し可能であってもよい。図示のように、スプレーガンシステム28は、両面使用を可能にする。すなわち、スプレーガンシステム28は、右手又は左手のいずれかによって保持され得る。
【0035】
使用時に、操作者は例えば、左側カプラ314のような急速着脱ホースカプラのようなホースカプラを使用することによって、ホース30、32をスプレーガンシステム28と機械的に連結するのであろう。ホース30及び32がスプレーガン28に取り付けられているとき、操作者は次に、トリガ316に指圧をかけることができ、これによって、スプレーガンシステム28内へ、タンク16から流体Aの流れとタンク18から流体Bの流れを可能にすることができる。次に、流体A及び流体Bは以下でさらに説明されるように、インピンジメントチャンバ内で混合されてもよく、次いで、混合された流体は、所望の標的領域上にスプレーされてもよい。
【0036】
図4は、スプレーガンシステム28の一実施形態を示す裏面斜視図である。図示の実施形態では、翼状拡張部304が湾曲した下面350を含むものとして示されている。湾曲した下面350はスプレーガンシステム28がユーザによって保持されるときに、親指、人差し指、及び手
の甲に対する翼状拡張部304の快適性及び適合性を人間工学的に高めることができる。他の人間工学的特徴は、手の平部352、及び/又はストラップ306の使用を含み得る。また、左側カプラ314と、ホース30及び32を接続(例えば、クイック接続)するために使用される右側カプラ354とが示されている。
【0037】
図5は、スプレーガンシステム28の一実施形態を示す正面斜視図である。図示の実施形態では、左側カプラ314及び右側カプラ354が翼状拡張部304の上に配置されて示されている。従って、ホース30及び32はユーザの手の上に運ぶことができ、スプレー作業中の快適性を高める。操作者は特定の手、例えば、左手又は右手用にストラップ306を位置決めすることができる。利用者はさらに、手袋を着用するときに使用するための調整を含む、自分の特定の手のサイズに適合するようにストラップ306を調整することができる。
【0038】
操作者は、ホースカプラm及び354を介して、ホース30及び32をスプレーガンシステム28に取り付けることができる。次いで、使用者はスプレーガンシステム28を使用のための所望の領域に運び、圧力(例えば、指圧)をトリガ316に加えることができる。トリガ316は次いで、化合物A及び化合物Bがスプレーガンシステム316の混合チャンバに注入されることをもたらし、次いで、混合チャンバは化合物A及びBを混合することができ、次いで、混合流体は、混合チップ360を介してスプレーガンシステム28から出ることができる。特定の実施形態において、化合物A及び化合物Bは、同じ圧力で入るように制御され得る。すなわち、化合物A及びBがホースカプラ314及び354を介してスプレーガンシステム28に入るとき、化合物Aの圧力は、化合物Bの圧力に等しくてもよい。化合物A及びBの圧力がスプレーガンシステム28で等しいこと、例えばスプレーガンシステム28の混合チャンバで等しい圧力が、例えばスプレーガンシステム28を介した発泡体断熱材の改善された混合及び供給をもたらし得る。
【0039】
図6は、トリガ316が「休止」位置にあるときの混合チャンバアセンブリ362を示す、スプレーガンシステム28の一実施形態の正面部分の概略側面図である。図示の実施形態では、スプレーガン28はエアキャップを含まない。すなわち、エアキャップは流体の混合を助けるために、及び/又はスプレーガンの特定の部分を洗浄する流体流(例えば、補助的なクリーンオフ空気)を提供するために、空気の流れを方向付けるために、他のスプレーガンにおいて使用される。
図6に示すスプレーガンシステム28の実施形態は、エアキャップを含まない。代わりに、混合チャンバアセンブリ362はトリガ316の作動中にホースカプラ314及び354を介して2つの流体を受け取り、混合チャンバアセンブリ362は次に、流体を混合し、今混合された流体を混合チップ360を通して放出する。より具体的には、混合チャンバアセンブリ362がチャンバ404内に通じる孔400のような2つの横方向孔を含むことができる。流体は2つの孔を通って入り、チャンバ404内で混合されてもよい。
【0040】
任意のクリーンオフ空気も混合チャンバアセンブリ362に流入し、混合チップ360を通って出る。また、スプレーガンシステム28のフォント部分上に混合チップ360を保持するために使用される混合チップ保持部材364も示されている。混合チップ保持部材ガイドアセンブリ366も示されており、これは、混合チップ保持部材364をスプレーガンシステム28の前方部分に位置決めするために使用される。Oリング又はシール368は、混合チップ保持部材364と混合チップ保持部材ガイドアセンブリ366との間の界面を通しての不要な流体の漏出を防止することができる。
【0041】
図7は、トリガ316が押されたときの混合チャンバアセンブリ362を示す。より具体的には、
図7が「スプレー」位置にある混合チャンバアセンブリ362を示す、スプレーガンシステム28の一実施形態の正面部分の概略側面図である。図示の実施形態では、トリガ316が混合チャンバアセンブリ362及び相互接続された混合チップ保持部材364及び混合チップ360の後方への移動を生じさせるために押圧されている。混合チップ保持部材ガイドアセンブリ366は、所定の位置に留まる。混合チャンバアセンブリ362が混合チップ保持部材ガイドアセンブリ366から後方に移動すると、2つの流体がホースカプラ314及び354を介して混合チャンバアセンブリ362内に入る。次に、流体は、孔400のような孔を介して混合チャンバアセンブリ362内で混合され、チャンバ404内で混合され、次に混合チップ360から外側にスプレーされる。いくつかの実施形態では、例えば、スプレーガンシステム28の一時的な保管のために、混合チャンバアセンブリ362にグリース又は他の化合物を挿入するために、Zerk(グリース注入用の管継ぎ手)又はグリースフィッティング380が使用されてもよい。グリースは、その後、混合チャンバアセンブリ362に空気を加えることによって排出され、次いで、スプレー操作が再開されてもよい。
【0042】
図8は混合チャンバアセンブリ362の一実施形態を示す正面図であり、チャンバ404内に通じる2つの横方向孔400、402を示す。図示された実施形態では、横方向孔400、402の両方が横方向の内側及び横方向から離れてチャンバ404に入る。すなわち、横方向孔400及び402は、それぞれ接線406及び408の内側のチャンバ404に入る。化合物A及びBのような流体は横方向の孔400、402を通って入り、次いで、チャンバ404の内側で混合され得る。先に述べたように、横方向孔400及び402に入る流体の圧力は等しくてもよい。すなわち、化合物Aが横方向孔400を介して入り、化合物Bが横方向孔402を介して入る場合、横方向孔400及び402における圧力は同じであってもよい。次いで、流体はX軸に沿ってチャンバを出て混合チップ360に入り、スプレーガン28から出て所望のスプレー領域に入ることができる。
【0043】
図9は、ねじ付き混合チャンバアセンブリ450及び混合チップ452の一実施形態を示す斜視図である。図示の実施形態では、ねじ付き混合チャンバアセンブリ450及び混合チップ452が混合チップ保持部材364を使用しなくてもよく、したがって、より少ない構成部品でより単純な設計を提供する。さらに、混合チップ452の交換は混合チップ452のねじを緩めることによって、例えば、混合チップ452のヘッド部分454を介してレンチを使用して混合チップ452を取り外すことによって、より効率的に行うことができる。例えば、開口456に対して異なるサイズを有する各種混合チップ452を設けることができる。開口456は、様々な種類の化合物混合物及び/又はスプレーパターンをスプレーするのに適していてもよい。
【0044】
混合チップ452はねじ付き混合チャンバアセンブリ450の開口(例えば、溝付き開口)458を介して挿入することができる。次いで、ねじ付き部分460は、ねじ付き混合チャンバアセンブリ450内の溝と係合して、混合チップ452を所定の位置に確保することができる。トリガ316が押し下げられると、流体は孔462などの孔を介して入り、ねじ付き混合チャンバアセンブリ450のチャンバ内で混合され得る。次に、流体は、チャンバから混合チップ452内に出て、開口456から外側にスプレーされる。
【0045】
本明細書は最良の形態を含めて本発明を開示するために、また、任意のデバイス又はシステムを作製及び使用すること、ならびに任意の組み込まれた技術を実行することを含めて、任意の当業者が本発明を実施することを可能にするために、例を使用する。本発明の特許性のある技術的範囲は、特許請求の技術的範囲によって定義され、当業者に想起される他の例を含むことができる。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と異なる構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
なお、本発明の態様として以下に示すものがある。
[態様1]
スプレーガンを備える流体供給システムであって、
前記スプレーガンは、
第1の流体及び第2の流体を受け入れるように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体的に結合されたチャンバであって、前記第1の流体及び前記第2の流体を混合するように構成される、チャンバと、
ハンドルと、
操作者がハンドルを介して前記スプレーガンを保持する際に、操作者の裏面の手の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部と、
を有する、流体供給システム。
[態様2]
前記翼状拡張部は、50.8~152.4mmとの間の横方向長さを含む、態様1に記載の流体供給システム。
[態様3]
前記翼状拡張部は、前記操作者の親指の上部に形式的に適合するように構成された第1の下側溝を備える、態様1に記載の流体供給システム。
[態様4]
前記翼状拡張部は、前記操作者の人差し指の上部に適合するように構成された第2の下側溝を備える、態様3に記載の流体供給システム。
[態様5]
前記スプレーガンはストラップを備え、前記翼状拡張部は前記ストラップの第1の先端を受け入れるように構成された第1の開口を備え、前記ストラップの第2の先端は前記ハンドルの下部に取り付けられる、態様1に記載の流体供給システム。
[態様6]
前記翼状拡張部は前記ストラップの前記第1の先端を受け入れるように構成された第2の開口を含み、前記ストラップの前記第1の先端は前記第1の開口又は前記第2の開口に挿入可能である、態様5に記載の流体供給システム。
[態様7]
前記スプレーガンは、前記少なくとも2つの孔に含まれる第1の孔に流体的に結合され、第1のホースに結合するように構成された第1のホースカプラと、前記少なくとも2つの孔に含まれる第2の孔に流体的に結合され、第2のホースに結合するように構成された第2のホースカプラとを備える、態様1に記載の流体供給システム。
[態様8]
第1のねじ付き混合チップを有し、前記混合チャンバアセンブリは、チャンバと、該チャンバに通じる溝付き開口とを有し、前記溝付き開口は、前記第1のねじ付き混合チップを受け入れるように寸法決めされ、前記ねじ付き混合チップは前記チャンバに流体的に結合されて、前記チャンバ内での前記第1の流体と前記第2の流体との混合から生じる混合流体をスプレーする第1のスプレー開口を備える、態様1に記載の流体供給システム。
[態様9]
前記第1のねじ付き混合チップの前記第1のスプレー開口とは異なる寸法に形成された第2のスプレー開口を有する第2のねじ付き混合チップを含み、前記第1のねじ付き混合チップは、前記混合チャンバアセンブリから取り外され、前記第2のねじ付き混合チップによって置き換えられるように構成される、態様8に記載の流体供給システム。
[態様10]
前記スプレーガンはエアキャップを含まない、態様1に記載の流体供給システム。
[態様11]
スプレーガンの製造方法であって、
第1の流体及び第2の流体を受容するように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体的に結合されたチャンバと、を製造するステップであって、前記チャンバは前記第1の流体及び前記第2の流体を混合するように構成された、ステップと、
ハンドルを製造するステップであって、該ハンドルは操作者がハンドルを介して前記スプレーガンを保持するときに、操作者の背中の手の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部を有する、ステップと、
スプレーガン本体を製造するステップと、
前記チャンバを受け入れるように構成されたスプレーガンヘッドを製造するステップと、を備える製造方法。
[態様12]
前記翼状拡張部は50.8~152.4mmとの間の横方向長さを含む、態様11に記載の方法。
[態様13]
前記翼状拡張部は前記操作者の親指の上部に形式的に適合するように構成された第1の下側溝を備える、態様11に記載の方法。
[態様14]
前記翼状拡張部は、前記操作者の人差し指の上部に適合するように構成された第2の下側溝を備える、態様13に記載の方法。
[態様15]
前記翼状拡張部は、ストラップの第1の先端を受け入れるように構成された第1の開口及び第2の開口を有し、前記ストラップの第1の先端は前記第1の開口又は前記第2の開口に挿入可能である、態様14に記載の方法。
[態様16]
スプレーガン装置であって、
第1の流体及び第2の流体を受け入れるように構成された少なくとも2つの孔を有する混合チャンバアセンブリと、少なくとも2つの孔に流体的に結合されたチャンバであって、前記第1の流体及び前記第2の流体を混合するように構成されたチャンバと、
ハンドルと、
操作者がハンドルを介してスプレーガンを保持する際に、前記操作者の裏面の手の少なくとも一部と接触するように配置された翼状拡張部と、
を備える、スプレーガン装置。
[態様17]
前記翼状拡張部は、操作者の親指の上部に形式的に適合するように構成された第1の下側溝と、操作者の人差し指の上部に形式的に適合するように構成された第2の下側溝とを備える、態様16に記載のスプレーガン装置。
[態様18]
前記翼状拡張部はストラップの第1の先端を受け入れるように構成された第1の開口及び第2の開口を有し、前記ストラップの前記第1の先端は前記第1の開口又は前記第2の開口に挿入可能である、態様16に記載のスプレーガン装置。
[態様19]
前記混合チャンバアセンブリは、チャンバと、該チャンバに通じる溝付き開口と、を備え、前記溝付き開口はねじ付き混合チップを受け入れる寸法であり、前記ねじ付き混合チップは、前記チャンバに流体的に結合されて、前記チャンバ内での前記第1の流体と前記第2の流体との混合から生じる混合流体をスプレーするスプレー開口を備える、態様16に記載のスプレーガン装置。
[態様20]
前記スプレーガン装置はエアキャップを含まない、態様16に記載のスプレーガン装置。