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特許7416958圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法
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  • 特許-圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/28 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
C30B15/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022539735
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 CN2021074827
(87)【国際公開番号】W WO2022160361
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】202110114721.5
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522256912
【氏名又は名称】ティーディージー ホールディング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TDG HOLDING CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.129, Shuanglian Road, Economic Development Zone, Haining, Zhejiang 314400 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ チィウフォン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ユィフォン
(72)【発明者】
【氏名】ユェン チャオ
(72)【発明者】
【氏名】シェン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ワンドゥン
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0114283(US,A1)
【文献】特開2000-153441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶成長炉筐体の外側の上部に設けられるバランスレバー(3)を備え、前記バランスレバー(3)の下部に支点(12)が設けられ、
前記支点(12)の左側の前記バランスレバー(3)の下方に回転モーター(2)が取り付けられ、前記回転モーター(2)の下部が種結晶棒(13)に接続され、前記種結晶棒(13)の下端は種結晶(14)であり、
前記支点(12)の右側の前記バランスレバー(3)の上方にリニアガイドレール(11)が取り付けられ、前記リニアガイドレール(11)にスライダ(10)が取り付けられ、前記スライダ(10)にカウンターウェイト(9)が配置されてもよく、
前記支点(12)の右側の前記バランスレバー(3)の上方には、さらに前記リニアガイドレール(11)の左側に位置するモーター(5)が取り付けられ、前記モーター(5)は軸継手(6)によってリードスクリュー(7)に接続され、前記リードスクリュー(7)はリードスクリューナット(8)に接続されて前記スライダ(10)に固定され
前記バランスレバー(3)の上部の前記支点(12)に向き合う位置に水平角度センサー(4)が設けられる、
ことを特徴とする圧電結晶秤量結晶成長装置。
【請求項2】
前記種結晶(14)の下方は結晶(1)である、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電結晶秤量結晶成長装置。
【請求項3】
前記バランスレバー(3)の長さは0.5メートル~2メートルである、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電結晶秤量結晶成長装置。
【請求項4】
前記カウンターウェイト(9)は前記スライダ(10)に従って左右に移動することができ、前記カウンターウェイト(9)の重量は0.1kg~10kgである、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電結晶秤量結晶成長装置。
【請求項5】
前記水平角度センサー(4)は前記バランスレバー(3)の水平からの傾斜角度データを検出し、結晶成長システム全体の平衡状態を監視するために用いられる、ことを特徴とする請求項に記載の圧電結晶秤量結晶成長装置。
【請求項6】
前記モーター(5)はサーボモーター、直流モーターまたは交流モーターである、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電結晶秤量結晶成長装置。
【請求項7】
結晶成長の過程で、前記モーターによって絶えず前記カウンターウェイトの前記支点に対する位置を調整するとともに、前記水平角度センサー(4)の検出結果に基づいて結晶成長の過程を制御することにより、前記結晶を前記カウンターウェイトの前記支点に対する位置の変化に応じて同期して成長させ、最終的に所望の形状の結晶を得る、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の圧電結晶秤量結晶成長装置の動作方法。
【請求項8】
結晶成長製造工程に従って、結晶成長前に、成長速度、結晶形状、結晶の総量、カウンターウェイトの移動速度を含む対応するパラメータを決定し、
坩堝内の結晶粉末原料が融点に達すると、完全に溶融した状態下で、種結晶棒に種結晶を取り付けて種付けを行い、前記モーターの回転を制御することにより、リードスクリューを回転させて前記カウンターウェイトを連れて左右に移動させ、
前記種結晶棒が取り付けられた側の方が重く、バランスレバーが左に傾く場合は、前記バランスレバーが基本的に水平状態になるまで、前記カウンターウェイトを右側に移動して調整し、前記種結晶棒が取り付けられた側の方が軽く、前記バランスレバーが右に傾く場合は、前記バランスレバーが基本的に水平状態になるまで、前記カウンターウェイトを左側に移動して調整し、
前記バランスレバーが基本的に水平状態となる時、水平角度センサーの表示数値がゼロではなく、クリア動作により、前記水平角度センサーの表示と出力をゼロにすることができ、これにより、バランスシステム全体の初期水平基準の検証が完了となり、
結晶成長制御スイッチによって、圧電結晶秤量結晶成長装置全体を下降させ、前記種結晶を完全に溶融する液面にゆっくりと接触させて種付けを完了し、この時に、前記水平角度センサーによるクリア動作で、再びクリアし、自動結晶成長プログラムに切り替え、自動結晶成長過程が開始された後、圧電結晶秤量結晶成長装置が同期して上方に引き上げられ、ゆっくりと結晶成長を進めていき、
結晶成長過程全体で、レバーのオフセット角度の数値を検出して、結晶外観の直径の変化をフィードバックし、且つ、加熱温度を制御することにより結晶成長の速度を制御して、結晶成長の要件を満たす、
ことを特徴とする請求項に記載の圧電結晶秤量結晶成長装置の動作方法。
【請求項9】
請求項に記載の水平角度センサー(4)を抵抗ひずみセンサーまたはロードセルに置き換える、ことを特徴とする圧電結晶秤量結晶成長装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電結晶の技術分野に関し、具体的には、圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法である。
【背景技術】
【0002】
圧電結晶成長の技術分野において、特に、圧電結晶成長方法においては、引上げと秤量により結晶の成長を制御するのが一般的である。結晶成長過程の全体で、主に結晶の重量を測定することにより、結晶成長の過程を全体的に制御する。
【0003】
従来、通常の結晶成長方法は、高精度センサーを利用して結晶の重量を測定することであり、種結晶を秤量センサーに吊るし、成長過程で絶えず結晶重量信号を読み取ることにより、成長結晶の外観を制御することである。当該秤量結晶成長技術の欠点は、秤量センサーの精度が低く、測定範囲が狭く、価格が高く、コストが大きく、信頼性が悪いことである。また、結晶に直接的に接続されている秤量センサーは、炉体内に取り付けられているため、常に機械的損傷を受け、損傷しやすく、耐用年数が短いという問題点がある。
【0004】
上記の問題点に対し、特許公告番号がCN105177704Bである特許文献では、『安定性の高い結晶成長炉用結晶秤量装置』が開示されている。当該装置は、結晶成長炉筐体と秤量真空密閉ボックスとを備え、前記秤量真空密閉ボックスは結晶成長炉筐体の上方に設けられ、前記秤量真空密閉ボックスと結晶成長炉筐体の間にコルゲートパイプが設けられて封止接続され、前記秤量真空密閉ボックス内にステッピングモーターが設けられ、前記ステッピングモーターの出力端にはコルゲートパイプを通って結晶成長炉筐体内まで延在する種結晶棒が接続して設けられ、前記結晶成長炉筐体内には種結晶棒に接続される結晶が設けられ、前記コルゲートパイプ内に複数の気圧支持棒が設けられる。
【0005】
上記の問題点に対し、特許公告番号がCN102392295Bである特許文献では、『サファイア単結晶炉用秤量装置』が開示されている。当該装置は秤量センサーを備え、前記秤量センサーはセンサーサポートによって下筐体内に取り付けられ、前記下筐体内には秤量センサーの秤量信号を伝送するための信号伝送装置が設けられ、秤量センサーおよび信号伝送装置がいずれも封止されて下筐体内に取り付けられる。当発明は秤量センサーが信号伝送装置に対応して動作することによりサファイア結晶成長過程で必要とする重量信号を提供することができ、所定の精度を有し、秤量センサーおよび信号伝送装置が封止されて下筐体内に取り付けられ、上筐体は下筐体の上方に位置し、下筐体は上筐体から分離されている。下筐体がサファイア結晶成長時の回転機構の回転に従うことができるため、回転過程中の信号の伝送が実現され、サファイア単結晶炉に必要とする封止条件も満たされる。構造がシンプルでコンパクトであり、取付けと使用が便利であり、測定精度が上がり、適応性に優れ、サファイアの成長の安定性および信頼性が向上する。
【0006】
上記の問題点に対し、特許公告番号がCN105821477Bである特許文献では、『キロプロス法サファイア結晶成長装置の高精度全範囲秤量システム』が開示されている。当該装置は、キャビティとトップカバーとが設けられ、キャビティの底部に円形の開口が設けられ、かつ種結晶棒スリーブが接続され、種結晶棒スリーブには円形支持台が設けられ、さらに結晶引上げプラットフォームを備え、キャビティ内に高精度秤量センサーが設けられ、さらに吸着装置と種結晶棒サポートとを備え、吸着装置の上面は首長ボルトによってトップカバーに接続され、上下に移動することができ、吸着装置の底面に前記高精度秤量センサーが固定して接続され、高精度秤量センサーの底面に種結晶棒サポートが固定して接続され、さらに少なくとも2つの低精度の広範囲秤量センサーが設けられ、結晶引上げプラットフォームに円形貫通穴が設けられ、広範囲秤量センサーは対称的に結晶引上げプラットフォームの円形貫通穴の周りに設けられ、種結晶スリーブが前記結晶引上げプラットフォームの円形貫通穴の真ん中を通っており、種結晶棒スリーブの円形支持台が広範囲秤量センサーに取り付けられ、さらに電子装置と吸着装置とが設けられ、高精度秤量センサーは広範囲秤量センサーに接続される。
【0007】
上記のいくつかの発明はいずれも内部に設けられた秤量センサーによって結晶の重量を監視して、結晶の成長過程を制御するものである。その原理は依然として成長過程において秤量センサーを用いて結晶の重量を測定して、結晶の成長を実現することである。上記の発明は秤量センサーに特定の機械的構造を組み合わせて、装置の構造を最適化したものに過ぎない。実質的には依然としてセンサーを用いて検出・秤量するもので、秤量という重要な技術的ポイントに関しては飛躍的なブレークスルーと革新が遂げられなかった。秤量センサーが炉体の内部に取り付けられ、結晶性の揮発性物質や高温などに長時間に接触し、センサーは厳しい環境にあるため、耐用年数が非常に短い。また、センサーが直接的に結晶に接続され、結晶成長の過程で、さまざまな結晶が接着してしいること、過度に引き上げられることなどの現象がよくあり、機械的衝撃などを受けて損傷しやすい。以上から分かるように、上記の発明は依然として従来の秤量結晶成長の構造法に基づいて最適化を行うものであり、明らかな技術的なブレークスルーがなかった。
【0008】
秤量センサーについては、世界で現行の最高精度クラスが1万分の1で、つまり、100kgの結晶を成長させる場合に、検出精度が10gであり、数値が10g単位で跳ね上がるということである。このようなセンサーは精度クラス付きの検出に該当し、検出数値が連続的ではなく跳ね上がるものである。これを例として、結晶成長の初期で、結晶の重量が非常に小さく、10g以内の結晶成長量をセンサーが検出できないため、検出不感領域となり、制御不感領域ともなる。こうなると、10g~20gの重量検出も制御不感領域となる。実際の生産データによれば、結晶成長の過程で結晶の底部接触、範囲外引上げ、誤動作などの状況があるため、秤量センサーを用いる場合に、センサーの故障率が2%以上である。また、高精度秤量センサーが高価であり、現在の市場価格によると、測定範囲を50kgとし、精度を1万分の1とする秤量センサーの価格が5万元以上で、製造コストが非常に高い。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法を提供することである。
【0010】
本発明の圧電結晶秤量結晶成長装置は従来の結晶成長技術の秤量センサーの代わりに、レバーバランスの原理を利用して、レバーの両端の重量を同期して増加させることにより、結晶成長の初期と後期にいずれも高精度の重量検出が保たれる。つまり、レバーの両端に重量の差があると、レバーがそれに応じてオフセットされる。したがって、本装置は精度クラスなしの検出を実現できる。
【0011】
本発明は、上記の目的を達成するために、下記の技術案を提供する。
圧電結晶秤量結晶成長装置であって、結晶成長炉筐体の外側の上部に設けられるバランスレバーを備え、前記バランスレバーの下部に支点が設けられ、
支点の左側のバランスレバーの下方に回転モーターが取り付けられ、前記回転モーターの下部が種結晶棒に接続され、前記種結晶棒の下端は種結晶であり、
支点の右側のバランスレバーの上方にリニアガイドレールが取り付けられ、前記リニアガイドレールにスライダが取り付けられ、前記スライダにカウンターウェイトが配置されてもよく、
支点の右側のバランスレバーの上方には、さらにリニアガイドレールの左側に位置するモーターが取り付けられ、前記モーターは軸継手によってリードスクリューに接続され、前記リードスクリューはリードスクリューナットに接続されてからスライダに接続して固定される。
【0012】
そのうち、前記バランスレバーの上部の支点に向き合う位置に水平角度センサーが設けられる。
【0013】
そのうち、前記種結晶の下方は結晶である。
【0014】
そのうち、バランスレバーの長さは0.5メートル~2メートルである。
【0015】
そのうち、前記カウンターウェイトはスライダに従って左右に移動することができ、前記カウンターウェイトの重量は0.1kg~10kgである。
【0016】
そのうち、前記水平角度センサーはバランスレバーの水平からの傾斜角度データを検出し、結晶成長システム全体の平衡状態を監視するために用いられる。
【0017】
そのうち、前記モーターはサーボモーター、直流モーターまたは交流モーターである。
【0018】
本発明の圧電結晶秤量結晶成長装置の動作方法は下記のとおりである。結晶成長の過程で、モーターによって絶えずカウンターウェイトの支点に対する位置を調整して、基準重量を変え、結晶成長の過程を制御して、結晶を基準重量の変化に応じて同期して成長させ、最終的に所望の形状の結晶を得る。
【0019】
具体的には下記のとおりである。
最初に結晶成長製造工程に従って、結晶成長前に、成長速度、結晶形状、結晶の総量、カウンターウェイトの移動速度を含む対応するパラメータを決定し、
坩堝内の結晶粉末原料が融点に達すると、完全に溶融した状態下で、種結晶棒に種結晶を取り付けて種付けを行い、モーターの回転を制御することにより、リードスクリューを回転させてカウンターウェイトを連れて左右に移動させ、
種結晶棒が取り付けられた側の方が重く、バランスレバーが左に傾く場合は、バランスレバーが基本的に水平状態になるまで、カウンターウェイトを右側に移動するのに調整し、種結晶棒が取り付けられた側の方が軽く、バランスレバーが右に傾く場合は、バランスレバーが基本的に水平状態になるまで、カウンターウェイトを左側に移動するのに調整し、
バランスレバーが基本的に水平状態となる時、水平角度センサーの表示数値がゼロではなく、クリア動作により、水平角度センサーの表示と出力をゼロにすることができ、これまで、バランスシステム全体の初期水平基準の検証が完了となり、
結晶成長制御スイッチによって、圧電結晶秤量結晶成長装置全体を下降させ、種結晶を完全に溶融する液面にゆっくりと接触させて種付けを完了し、この時に、水平角度センサーによるクリア動作で、再びクリアし、自動結晶成長プログラムに切り替え、自動結晶成長過程が開始された後、圧電結晶秤量結晶成長装置が同期して上方に引き上げられ、ゆっくりと結晶成長を進めていき、
結晶成長過程全体で、レバーのオフセット角度の数値を検出して、結晶外観の直径の変化をフィードバックし、且つ、加熱温度を制御することにより結晶成長の速度を制御して、結晶成長の要件を満たす。
【0020】
圧電結晶秤量結晶成長装置であって、上記の装置の水平角度センサーを抵抗ひずみセンサーまたはロードセルなどの他の類似する監視機能を有するセンサーに置き換えてもよい。例えば、ロードセルとバランスロッドとの間の相対的運動関係により位置監視を行い、つまり、ロードセルを炉体に固定して、バランスレバーに接続させ、バランスレバーにオフセット角度が生じると、ロードセルの測定点とバランスレバーとの位置の偏差が形成され、ロードセルが固定されているため、ロードセルが一定の引張力または推力を受け、受ける力の大きさはバランスレバーのオフセット角度の大きさにより決定される。ロードセルが受ける力の方向および大きさをフィードバックすることにより、制御システムにフィードバックして加熱調整を行い、結晶成長の制御過程を実現できる。
【0021】
本発明の圧電結晶秤量結晶成長装置の動作原理は下記のとおりである。
結晶成長の制御過程ではレバー原理が利用され、結晶成長部分の回転モーター、種結晶、種結晶棒などがバランスレバーの一端に取り付けられ、バランスレバーの他端にはモーター、リードスクリューでモーメントアームを調整するカウンターウェイトが設けられる。バランスレバーの両側の重力にモーメントアームを掛ける値が同じである場合に限って、バランスレバーが水平状態となる。
【0022】
結晶成長の初期で、最初にカウンターウェイトのバランスレバーにおける位置を調整して、バランスレバーを平衡状態とする。成長開始後、結晶が成長するのにつれて、結晶重量が徐々に増加するため、レバーの平衡が変わり、予め設定された速度でカウンターウェイトの位置を同期して調整するという方法でレバーの平衡状態を同期して安定的にする。また、結晶成長過程全体で、レバーのオフセット角度の数値を検出して、結晶外観の直径の変化をフィードバックする。且つ、加熱調整部分を制御して、結晶の成長速度を制御することにより、等径成長という結晶成長の要件を満たす。
【0023】
図1に示されるとおり、動力をF1、抗力をF2、動力のモーメントアームの長さをL1、抗力のモーメントアームの長さをL2と設定すると、レバー原理の関係式は、F1×L1=F2×L2となる。
【0024】
本発明は、従来の技術に比べて、下記の有益な効果を有する。
(1)圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法は秤量精度が高く、秤量範囲が広く、構造に信頼性があり、コストが安い。
(2)当該装置はカウンターウェイトで調整するため、さまざまな特殊形状の結晶の成長を実現できる。
(3)当該装置はデジタル化水平角度センサーを用いるため、結晶成長システムの平衡状態を直感的に、正確に観察することができ、リアルタイムに観察し、直感的で明瞭である。
(4)本発明の圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法はさまざまな結晶成長技術に用いることができ、明るい市場の見通しがある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の装置の原理概略図である。
図2】本発明の装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例の図面と合わせて、本発明の実施例に係る技術案を明瞭、かつ完全に説明し、もちろん、説明される実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づき、新規性のある作業をすることなく得られた他の実施例は、いずれも本発明の請求の範囲に属する。
【0027】
図2を参照されたし、本発明は下記の技術案を提供する。
圧電結晶秤量結晶成長装置および動作方法であって、結晶成長炉筐体の外側の上部に設けられるバランスレバー3を備え、前記バランスレバー3の下部に支点12が設けられ、
支点12の左側のバランスレバー3の下方に回転モーター2が取り付けられ、前記回転モーター2の下部が種結晶棒13に接続され、前記種結晶棒13の下端は種結晶14であり、
支点12の右側のバランスレバー3の上方にリニアガイドレール11が取り付けられ、前記リニアガイドレール11にスライダ10が取り付けられ、前記スライダ10にカウンターウェイト9が配置されてもよく、
支点12の右側のバランスレバー3の上方には、さらにリニアガイドレール11の左側に位置するモーター5が取り付けられ、前記モーター5は軸継手6によってリードスクリュー7に接続され、前記リードスクリュー7はリードスクリューナット8に接続されてスライダ10に固定される。
【0028】
バランスレバー3の上部の支点12に向き合う位置に水平角度センサー4が設けられる。前記水平角度センサー4はバランスレバー3の水平からの傾斜角度データを検出し、結晶成長システム全体の平衡状態を監視するために用いられる。
【0029】
モーター5はサーボモーター、直流モーターまたは交流モーターである。バランスレバー3の長さは0.5メートル~2メートルである。前記カウンターウェイト9はスライダ10に従って左右に移動することができ、前記カウンターウェイト9の重量は0.1kg~10kgである。種結晶14の下方は結晶1である。
【0030】
(実施例1)
当該圧電結晶秤量結晶成長装置の動作方法は、具体的には下記のとおりである。
結晶成長製造工程に従って、結晶成長前に、成長速度、結晶形状、結晶の総量、カウンターウェイトの移動速度を含む対応するパラメータを決定し、
坩堝内の結晶粉末原料が融点に達すると、完全に溶融した状態下で、種結晶棒に種結晶を取り付けて種付けを行い、モーターの回転を制御することにより、リードスクリューを回転させてカウンターウェイトを連れて左右に移動させ、
種結晶棒が取り付けられた側の方が重く、バランスレバーが左に傾く場合は、バランスレバーが基本的に水平状態になるまで、カウンターウェイトを右側に移動するのに調整し、種結晶棒が取り付けられた側の方が軽く、バランスレバーが右に傾く場合は、バランスレバーが基本的に水平状態になるまで、カウンターウェイトを左側に移動するのに調整し、
バランスレバーが基本的に水平状態となる時、水平角度センサーの表示数値がゼロではなく、クリア動作により、水平角度センサーの表示と出力をゼロにすることができ、これにより、バランスシステム全体の初期水平基準の検証が完了となり、
結晶成長制御スイッチによって、圧電結晶秤量結晶成長装置全体を下降させ、種結晶を完全に溶融する液面にゆっくりと接触させて種付けを完了し、この時に、水平角度センサーによるクリア動作で、再びクリアし、自動結晶成長プログラムに切り替え、自動結晶成長過程が開始された後、圧電結晶秤量結晶成長装置が同期して上方に引き上げられ、ゆっくりと結晶成長を進めていき、
結晶成長過程全体で、レバーのオフセット角度の数値を検出して、結晶外観の直径の変化をフィードバックし、且つ、加熱温度を制御することにより結晶成長の速度を制御して、結晶成長の要件を満たす。
【0031】
次に、例を挙げて説明する。
結晶成長の引上げ速度は5mm/h、即ち結晶が毎時5mmで成長すると仮定する。密度計算式により結晶重量の毎時の増加量を算出できる。
【0032】
密度計算式は、ρ=m/Vであり、ニオブ酸リチウム結晶の密度は4.3g/cmである。
【0033】
成長したのは4インチの結晶であると仮定すると、1ミリメートルの結晶の体積は、V=π×r×h=7.85cmであり、1ミリメートルの結晶の質量は、m=ρ×V=33.755gである。
【0034】
これにより、カウンターウェイトの毎時の移動距離を算出できる。
【0035】
カウンターウェイトの質量が1000gであると仮定すると、カウンターウェイトが毎時に6.751mm移動すると予め設定する。
【0036】
この引き上げて成長させる過程で、例えば何らかの原因で、結晶成長が早すぎる場合は、バランスレバーが左右に傾く。結晶成長が早すぎると、バランスレバーは左に傾き、この時に水平角度センサーはバランスレバーの水平オフセット角度を検出し、角度センサーが当該角度偏差値を制御システムに送信して計算させ、制御システムは設定された比率で熱場の加熱力を調整する。
【0037】
結晶成長の原理によると、結晶成長が早すぎる場合に、熱場の加熱力を上げる必要がある。このように、最終的に結晶が毎時33.755gの速度で成長し、最後に円柱状の結晶に成長した。
【0038】
成長した結晶の長さが所定の長さに達すると、自動制御が解除され、成長した結晶を結晶溶融液から引き出せば、結晶成長が完了する。
【0039】
成長過程で、カウンターウェイトの移動が連続的であり、カウンターウェイトの変化量の調整も連続的であるため、成長過程全体が高度に連続しており、成長した結晶は外観が滑らかで、ほぼ完璧な円柱となり、結晶の品質が優れる。
【0040】
(実施例2)
圧電結晶秤量結晶成長装置であって、実施例1の水平角度センサーを抵抗ひずみセンサーまたはロードセルに置き換え、他の部品は変わらない。
【0041】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者は、本発明の原理と趣旨を逸脱することなく、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置き換え、変形を行うことができ、本発明の範囲は添付された特許請求の範囲およびその等価物により限定されると理解すべきである。
【符号の説明】
【0042】
図において、1.結晶、2.回転モーター、3.バランスレバー、4.水平角度センサー、5.モーター、6.軸継手、7.リードスクリュー、8.リードスクリューナット、9.カウンターウェイト、10.スライダ、11.リニアガイドレール、12.支点、13.種結晶棒、14.種結晶。
図1
図2