(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ワイヤレス心臓圧センサシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0215 20060101AFI20240110BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20240110BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B5/0215 C
A61B5/33 200
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2022553108
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(86)【国際出願番号】 US2021020825
(87)【国際公開番号】W WO2021178636
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-10-05
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェイ.マイナー
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-500806(JP,A)
【文献】特開2014-151049(JP,A)
【文献】国際公開第2019/126721(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/0538
5/24- 5/398
9/00-10/06
A61F 2/82- 2/97
A61M 1/00- 1/38
25/00-29/04
35/00-36/08
37/00
60/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある病状を有する患者の治療計画を決定するための医療システムであって、
ある期間にわたって右心室の心圧を表すRVP情報をモニタリングしそして提供するための圧力センサを含む検出デバイス、
前記RVP情報を受信するように結合され、および前記RVP情報に基づいて右心房充満圧を決定するようにかつ前記RVP情報に基づいて左心房充満圧を決定するように構成された、1つ以上のプロセッサ、及び、
前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を表示する表示デバイス、
を含み、
少なくとも前記圧力センサは、患者の心臓の右心室内にインプラント処置されるように構成されており、
前記病状は、左心不全、右心不全及び原発性肺疾患からなる群より選ばれる少なくとも1つである、医療システム。
【請求項2】
前記患者の前記右心房充満圧、前記左心房充満圧及び前記病状を格納するように構成されたメモリユニットをさらに含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記患者の前記右心房充満圧、前記左心房充満圧及び前記病状に基づいて、患者の治療計画を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサは、無線通信リンクによって前記検出デバイスから前記RVP情報を受信するように結合されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項4】
前記検出デバイスは、前記RVP情報を無線で送信するための無線トランスミッタを含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記検出デバイスによって無線で送信された前記RVP情報を受信するように結合されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項5】
前記検出デバイスは、心臓の右心室内の
壁に取り付けるように構成されたハウジングを含む、請求項1記載の医療システム。
【請求項6】
前記検出デバイスは、前記検出デバイスを心臓の右心室の壁に取り付けるためのアンカーを
含む、請求項5記載の医療システム。
【請求項7】
前記検出デバイスは、完全に右心室内に配置されるように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項8】
前記検出デバイスは、
電磁エネルギーを受信するアンテナ、及び、
無線トランスミッタ、
を含み、
前記検出デバイスは、前記アンテナによって受信された電磁エネルギーによってエネルギーを与えられ、エネルギーが与えられたときに無線トランスミッタによって前記RVP情報を送信するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項9】
前記検出デバイスは、エネルギーを与えられるまで前記RVP情報を送信しない、請求項8記載の医療システム。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサは、右心房充満圧の代理として前記RVP情報を使用して前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項12】
前記1つ以上のプロセッサは、拡張終期の前記RVP情報に基づいて前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサは、
心臓の電気的活動を表す電気情
報を受信するように、
前記電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定するように、そして、
心臓の拡張終期の特定された時点でのRVP情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報を前記左心房充満圧の代理として使用して前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の勾
配に
基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項16】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の最大勾配又はピーク勾配に対応する時点における前記RVP情報によって表される右心室圧を推定肺動脈拡張期圧の代理として使用し、そして前記推定肺動脈拡張期圧を前記左心房充満圧の代理として使用して、前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項15記載の医療システム。
【請求項17】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項18】
前記システムは
、右心房内の圧力を直接モニタリングすることなく前記右心房充満圧を決定し
、左心房内の圧力を直接モニタリングすることなく前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項19】
前記検出デバイスは、拡張期及び収縮期の1つ以上の周期にわたって前記RVP情報を提供するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項20】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報に関連する心臓を含む患者の体から離れている、請求項1記載の医療システム。
【請求項21】
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記右心房充満圧をベースライン右心房圧と比較するように、そして
前記左心房充満圧をベースライン左心房圧と比較するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項22】
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を比較するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項23】
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記治療計画の投与量を増加する通知を提供するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項24】
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記治療計画の投与量を減少する通知を提供するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項25】
前記1つ以上のプロセッサはインプラント可能なメディカルデバイスに組み込まれている、請求項1記載の医療システム。
【請求項26】
前記1つ以上のプロセッサは、前記患者の外部に配置されたデバイスに組み込まれている、請求項1記載の医療システム。
【請求項27】
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、以下の群の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬から選ばれる少なくとも1つの治療薬を増加する通知を提供するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項28】
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、以下の群の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬から選ばれる少なくとも1つの治療薬を減少する通知を提供するように構成されている、請求項1記載の医療システム。
【請求項29】
前記検出デバイスは、100Hzよりも高い周波数
で前記RVP情報を取得する、請求項1記載の医療システム。
【請求項30】
ある期間にわたって右心室の心圧に関連付けられたRVP情報を受信するように構成されたレシーバ、ここで、前記RVP情報は、心臓の右心室内に配置された圧力センサを含む検出デバイスから受信される、
受信されたRVP情報を格納するように構成されたメモリユニット、
表示デバイス、及び、
1つ以上のプロセッサであって、
前記RVP情報に基づいて右心房充満圧を決定し、そして前記RVP情報に基づいて左心房充満圧を決定するように、
前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を比較するように、そして
比較を前記表示デバイスに出力するように構成されたプロセッサ、
を含む、モニタリングシステム。
【請求項31】
前記1つ以上のプロセッサは、前記比較に基づいて
、患者の治療計画を決定するようにさらに構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項32】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報を前記右心房充満圧の代理として使用して前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項33】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項34】
前記1つ以上のプロセッサは、拡張終期のRVP情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項35】
前記1つ以上のプロセッサは、
心臓の電気的活動を表す電気情
報を受信し、
前記電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定し、そして
前記心臓の拡張終期の特定された時点でのRVP情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項36】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報を前記左心房充満圧の代理として使用して、前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項37】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の勾
配に基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項38】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の最大勾配又はピーク勾配に対応する時点における前記RVP情報によって表され
る右心室圧を、推定肺動脈拡張期圧の代理として使用し、そして前記推定肺動脈拡張期圧を前記左心房充満圧の代理として使用して、
前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
37記載のモニタリングシステム。
【請求項39】
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項40】
前記システムは
、右心房内のモニタリングされた圧力に関する直接的な情報なしに前記右心房充満圧を決定し
、左心房内のモニタリングされた圧力に関する直接的な情報なしに前記左心房充満圧を決定するように構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項41】
治療は、以下の群の治療から選ばれる治療:診断、薬物用量設定、高度治療、IV投薬、ライフスタイルの変更、心房内シャント、弁の修復/交換、ICD、CRT及びアブレーションを少なくとも含む、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項42】
前記薬物用量設定は、血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び変力薬の用量設定からなる群より選ばれる少なくとも1つの用量設定を含む、請求項
41記載のモニタリングシステム。
【請求項43】
前記高度治療は、心室補助デバイス(VAD)のインプラント処置、機械的循環器支持体(MCS)のインプラント処置、移植、又はその両方からなる群より選ばれる1つ以上を含む、請求項
41記載のモニタリングシステム。
【請求項44】
前記ライフスタイルの変更は、以下のライフスタイルの変更:食事の変更、活動の増加、又はその両方からなる群より選ばれる少なくとも1つのライフスタイルの変更を含む、請求項
41記載のモニタリングシステム。
【請求項45】
前記1つ以上のプロセッサは、決定された治療を前記表示デバイスに出力するようにさらに構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項46】
前記1つ以上のプロセッサは、前記比較に基づいて患者を診断するようにさらに構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項47】
前記モニタリングシステムは
、測定値の傾向データが薬剤の自動分配への変化を知らせる閉ループシステムである、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項48】
前記薬剤は利尿薬、血管拡張薬又はその両方である、請求項
47記載のモニタリングシステム。
【請求項49】
前記モニタリングシステムは
、測定値の傾向データが心室補助デバイスへ変化を知らせる閉ループシステムである、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項50】
前記モニタリングシステムは、心室補助デバイスのRPM変化を決定するために使用される、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項51】
前記1つ以上のプロセッサは、機械学習を使用して治療計画を変更する、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項52】
処理デバイスは、以下の1つ以上:左心房圧、左心房圧平均値、右心房圧、右心房圧平均値、測定値の傾向矢印、測定値の時間に対する線グラフ、測定値の波形、及び、測定値に関連付けられた患者の1つ以上の投薬を前記表示デバイスに出力するようにさらに構成されている、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【請求項53】
前記レシーバは、100Hzよりも高い周波
数で取得されたRVP情報を受信する、請求項
30記載のモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月6日に出願された仮出願第62/986,355号の利益を主張し、その全体をすべての目的のために参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、概して、心腔圧力を検出するためのシステム及び方法ならびに関連する診断及び治療方法に関する。開示される実施形態は、左心圧及び右心圧を取得するためのインプラント可能なワイヤレスセンサ及び方法を含む。
【背景技術】
【0003】
背景
過去10年間、米国における冠動脈疾患による死亡数は、医学及び治療の進歩により着実に減少したが、心不全による死亡の相対数は増加しており、より多くの人々がこれまで以上に高い心不全のリスクを抱えて生活していることを示している。一般に、心不全は、心臓が体に十分な血液を供給できないときに発生する。結果として、より少ない量の出力は左心臓のより高い充満圧力につながり、出力の不足を補うのに役立つ。より少ない体積の出力は、腎臓又は腎灌流の減少を含む、臓器灌流の低下も引き起こす。腎臓の灌流が減少すると、余分な体液が滞留する可能性がある。急性代償不全発症は、体液レベルが上昇し及び/又は血管血液分布が低下して、患者に疲労及び呼吸困難(息苦しさ)を引き起こす状態であり、したがって、病院に搬送される。治療せずに放置すると、重篤な合併症を引き起こし、最終的には死に至る可能性がある。
【0004】
心不全は、主に左側の心臓の問題の結果として始まることが観察されている。正常な健康な心臓において、酸素化された血液は、まず肺静脈から左心房を通って左心室、大動脈に運ばれ、その後、血液は全身に運ばれる。その後、脱酸素化された血液は、2つの大静脈から右心房に運ばれ、右心室を通り、肺動脈に運ばれ、次いで、肺動脈は、酸素化のために肺に血液を運ぶ。左心室のポンプ性能は、左心室壁の肥厚/薄化、又は大動脈/僧帽弁の損傷によって影響を受ける可能性があり、体の残りの部分に送り出される血液が少なくなる。
【0005】
心不全には少なくとも2つのカテゴリーがある:HFrEF(駆出率が低下した心不全)及びHFpEF(駆出率が保持された心不全)。HFrEFにおいて、左心室は十分な血液で満たされるが、心筋の収縮が不十分なために十分な血液を送り出すことができない。これは収縮期心不全とも呼ばれる。HFpEFにおいて、心臓は正常に血液を送り出すことができるが、心筋の弛緩が不十分なため、左心室に充満する血液が少なくなり、心室の血液体積が減少する。これは拡張期心不全とも呼ばれる。どちらの場合にも、一般に、体に送り出される血液は十分でない。あまり一般的ではないが、左心が体に十分な血液を送り出すことができず、右心が肺に十分な血液を送り出すことができないときに、両心室不全が発生する可能性がある。
【0006】
薬理学的治療は、心臓の圧力を低下させ、急性代償不全発症を予防するために一般的に使用されている。遠隔では、使用される特定の薬剤は、しばしば、体重増加などの徴候/症状を使用した試行錯誤のアプローチによって、又は単一の心臓内血圧測定によって決定される。心臓の圧力を下げ、急性代償不全発症を予防するために今日使用されている薬剤としては、主に利尿薬及び血管拡張薬(硝酸塩、ヒドララジン、アンジオテンシン阻害剤など)が挙げられ、一方、他の薬はベータ遮断薬、強心薬などであることができる。利尿薬は、主に過剰な体液の蓄積(体液貯留)を対象とし、腎臓から尿中により多くのナトリウムを放出させることによって機能する。ナトリウムは血流から水分を取り込み、それによって血管を流れる流体の量を減少させ、最終的に心臓内の血圧を低下させる。慢性心不全で一般的であるループ利尿薬は、静脈血管系に血管拡張作用をもたらし、静脈静電容量を増加させることも知られている。したがって、利尿薬は、主に、循環からの血液体積を減らすことによって心臓の前負荷を下げるのに役立つ。
【0007】
血管拡張薬は血管を開く又は拡張する薬剤であり、数例を挙げると、硝酸塩、ヒドララジン、アンジオテンシン阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断剤を挙げることができる。その結果、血液は血管、主に動脈抵抗血管をより容易に流れ、心臓はそれほど強くポンプ送りする必要がなくなり、心臓内血圧が低下する。例えば、硝酸塩は非常に低い初期用量での静脈拡張薬であるが、主に中程度から高用量(心不全の典型的な用量)でますます動脈拡張に影響を与える。利尿薬とは異なり、血管拡張薬療法は主に心臓の血管抵抗及び後負荷を軽減するために使用される。これにより、1回拍出量及び心拍出量が増加し、左心室前負荷及び静脈圧が二次的に低下し、左側の充満圧が低下する。ベータ遮断薬は、心臓のポンプを遅くするように作用し、つまり、心拍数を下げ、力を弱めることで心臓内の血圧を下げる。強心薬は、心室収縮の強度を高め、したがって心拍数を増加させる作用をする。この薬は、灌流が非常に悪く、心室補助デバイス(VAD)又は心臓移植が必要である重篤な場合に使用されることがある。
【0008】
遠隔肺動脈圧モニタリング及びガイドライン投薬を利用する対応する投薬治療アルゴリズムは、心不全による入院を減らすのに有効であることが証明されている。
図1Aに示されるように、正確な予測バイオマーカをモニタリングし、適切な早期介入を実施することにより、患者の入院のリスクは有意に低下する。例えば、潜在的な入院事象に先立つ最も初期の段階で、心臓の充満圧力の増加を測定する測定デバイスにより、タイムリーな治療が可能になり、差し迫った入院を防ぐことができる。充満圧力の増加が発生した後に、心臓が発症前のうっ血を経験すると、胸腔内インピーダンスが変化する。その後、急激な体重増加、足及び足首のむくみ、脱力感又は息切れ(呼吸困難)、排尿頻度の変化などの他の徴候は、体が体液を保持していることを示す。しかしながら、これらの時点では、うっ血は、通常、代償不全発症に危険なほど近い後期段階にある。したがって、代償不全発症が発生する前に、後期の症状が発生するまでには、器官に永久的な損傷がすでに生じている可能性があるため、すでに手遅れである可能性があるため、最も初期の症状を治療することが最善である。
【0009】
患者の心不全を理解し治療するために、病院は様々な測定手段を使用して多くの急性分析を行う。これらには、医療サービス提供者が患者の病気をよりよく理解できるように、非侵襲的な測定及び侵襲的な測定が挙げられる。非侵襲的な測定としては、疾患の診断、血流のモニタリング及び生理学的変化の視覚化に使用される心エコー図、体液貯留の変化を決定する体重増加、体液貯留状態を判断する頸静脈の目視検査、体の血流、心拍数を評価する血圧測定値、心電図(ECG)及び酸素飽和度が挙げられる。侵襲的測定としては、右心カテーテル法及び左心カテーテル法が挙げられる。
【0010】
Swan-Ganzカテーテル法を使用して行われる右心カテーテル法は、中心静脈圧、右心房圧(RAP)、右心室の拡張期圧及び収縮期圧、肺動脈の拡張期圧及び収縮期圧、ならびに肺動脈楔入圧(PAWP)を測定することができる。また、この方法では、患者の酸素状態、体温及び心拍数を測定できるだけでなく、心拍出量、全身血管抵抗及び肺血管抵抗を計算することもできる。右心カテーテル法は、主に心臓の圧力、心拍出量、抵抗及び体液の状態をチェックするために使用される。左心カテーテル法は、左心房圧ならびに左心室の拡張期圧及び収縮期圧を測定することができる。右心カテーテルは、医療サービス提供者が薬を使用して患者の心臓内の血液充満圧を許容レベルに低減して戻そうとする間の数日間、患者内に留置することができる。これは急性設定に有用な実施である。ESCAPE臨床試験中において、圧力測定の使用は急性設定の患者の全体的な状態を改善するための実行可能な手段として決定され、例えば、RAPを8mmHg以下、PAWPとして15mmHg以下を標的にすることによるものであった。しかしながら、これは継続的な解決策ではなく、退院後に比較的に短期間で圧力が変化すると想定されていたため、入院を防ぐことはできなかった。したがって、右心カテーテルは主に、急性設定の症状及び圧力を軽減するための治療を導くために使用される。
【0011】
現在の診断アプローチは、急性及び遠隔の2つの広い設定に分けることができる。急性設定は、患者が病院で様々な方法(侵襲的又は非侵襲的)を使用して評価されるときに行われる。遠隔設定は、病院の外で遠隔で取得された患者の生理学的パラメータに対応している。
【0012】
急性設定において、適切な薬剤を選択するための情報を医療サービス提供者に提供するために、右心カテーテル法を使用することができる。一般に、右心カテーテル法は、体積と血管抵抗の影響を分離するのに役立つと考えられている(例えば、PAWPと右心房圧の両方を観察することによる)。医療サービス提供者は、絶対値と比率を調べて、特に左心不全の2つの問題を区別し、その結果、流体がいつオフロードされるかがわかり、血液分布の状態を決定できる。現在の診療では、心臓内の様々な場所からの圧力測定値が同時に考慮されるため、急性設定は、典型的に、心臓の健康状態のより正確な測定を可能にする。
【0013】
図1Bは、右心カテーテル法の実施を示している。測定デバイス40は、右心房1、三尖弁7、右心室2、肺動脈弁58を通り、肺動脈16に入る肺動脈カテーテル18の端部に取り付けられ、ここで、デバイス40は脱酸素化された血液が肺22に運ばれるときの血圧の測定を取る。次に、新鮮な空気は気管23から肺22に運ばれ、その後に、酸素化された血液が肺静脈17、左心房3、僧帽弁6、左心室4及び大動脈弁57を通って運ばれる。カテーテル18はまた、冷生理食塩水ボーラス20を右心房に注入する近位注入ポート、及びカテーテルの遠位端に配置されて、肺動脈16内の血液の温度を測定するサーミスタ21を有する。この測定方法は熱希釈法として知られており、循環血液に冷生理食塩水ボーラスを加えると、血流速度が経時にわたる冷生理食塩水ボーラスにより生じる血液温度の変化の速度に反比例するという前提に基づいて血流を測定する。これにより、心拍出量の測定値が提供される。
【0014】
肺動脈楔入圧及び肺動脈拡張期圧は、左心房内の圧力及び左心室の充満圧の代理測定値として使用することができ、これは心不全における典型的な関心領域である。肺動脈と左心室の充満圧は、原発性肺動脈高血圧症などの特定の合併症を除いて、ほとんどの場合に相関することが示されている。このような圧力は、循環体積の増加 (例えば、体液貯留)又は左心室のポンプ効率の低下(例えば、末梢抵抗血管の肥厚、拡張又は血管収縮)のために変化する。
【0015】
より効果的な薬理学的治療プログラムを特定するために、心臓の圧力を遠隔モニタリングするための様々な試みがなされてきた。これらのシステムは、心臓内圧の増加をモニタリングして、心不全の既往歴のある患者に差し迫った急性代償不全の早期予測因子を提供しようとする(例えば、体重増加、胸部インピーダンスなどの他の測定値よりもはるかに信頼性の高い指標として)。例えば、アボットによるCardioMEMS(商標)心不全モニタリングシステムは、肺動脈内に存在し、左心房圧の代理として肺動脈圧を効果的にモニタリングしようとしている。遠隔モニタリングシステムの他の例としては、MedtronicのChronicle(登録商標)及びAbbott/St. JudeのHeartPOD(商標)が挙げられる。CardioMEMS, Chronicle及びHeartPODデバイスは、De Rosaらの、Transcatheter Implantable Devices To Monitoring Of Elevated Left Atrial Presses In Patients With Chronic Heart Failure, Universita degli Studi di Salerno, Translational Medicine, 2017, 17(4): 19-21 (ISSN 2239-9747)というタイトルの論文に記載されている。
【0016】
Chronicle(登録商標)では、測定デバイスは右心室にあり、推定肺動脈拡張期圧(ePAD)を受信デバイスに報告する。測定値は右心室拡張期圧、右心室収縮期圧及びePADの間の相関関係を示し、これらすべての圧力測定値の増加は差し迫った入院の指標として機能すると述べられている。
【0017】
HeartPOD(商標)は、心房中隔に留まり、左心房圧を測定する測定デバイスを用いて、中隔穿刺法による測定デバイスのデリバリーを伴うリード・アンド・カン設計を使用する。
【0018】
別の例としては、圧力センサを使用して左心房内の血圧を測定する、Vectorious Medical TechnologiesによるVectorious(商標)左心房圧(LAP)モニタリングシステムが挙げられる。
【0019】
過去数十年にわたって、遠隔システムの開発は、来るべき入院事象の信頼できる予測因子を見つけることに焦点を当ててきた。左側の充満圧力及び代理指標を測定することは、最も信頼性が高く、予測的で効果的な遠隔モニタリングの形式であることが示されている。しかしながら、これらのシステムは急性右心カテーテル法よりも少ない情報を示し、例えば、圧力上昇の根本原因を正確に検出するためのデータが限られている。限られたデータの影響の1つは、遠隔であろうと急性状況であろうと、医療サービス提供者が患者の治療に試行錯誤の投薬技術を利用する必要があることである。この遠隔での試行錯誤の実施は、腎臓の損傷、心不全のさらなる進行、又は検出されない併存症を含む、患者に不必要な害を及ぼす可能性がある。このため、医師は用量設定の増加(緩やかな増加/減少)に注意を払い、過剰利尿による腎臓の損傷を検出するための遅延測定基準としてクレアチニンの実験室検査を使用し、合併症(検出されない右心不全など)の発生を心配し、さらに分析するために患者を診療室に連れて行き、これには、安全で効果的な治療の変更を決定するために、右心カテーテル法の必要性を含むことがある。
【0020】
例えば、医療サービス提供者は、圧力上昇が体液貯留の問題によるものであると仮定するならば、モニタリングされる血圧を下げるために最初に利尿薬を試みることができる。これがうまくいかないならば、利尿薬の投与量を再び増やすことができる。これでもうまくいかないならば、医療サービス提供者は、問題は体液貯留ではなく血管抵抗にあると判断し、その後、血管拡張薬などの薬の使用を試みることができる。研究室のクレアチニン試験では、過剰な利尿(循環血液量減少)が腎臓の損傷を増加させることをさらに明らかにすることがある。言い換えれば、治療方法は、しばしば、個々の医療サービス提供者の個人的な経験及び直感に大きく依存しており、医療サービス提供者ごと、患者ごとに異なるだけでなく、正しい診断に確実に到達するまでに必要な時間が長くなる可能性もある。
【0021】
心不全のリスクがある患者のための生理学的測定及び関連する診断及び治療計画のための改善されたデバイス、システム及び方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
要旨
本明細書に開示されるのは、心臓内で測定を行うための方法及びインプラント可能な測定装置などのメディカルデバイスである。
【0023】
1つの例示的な実施形態は、病態を有する患者の治療計画を決定するための医療システムである。医療システムは、ある期間にわたって右心室の心圧を表すRVP情報をモニタリングしそして提供するための圧力センサを含む検出デバイス、ここで、少なくとも、前記圧力センサは、患者の心臓の右心室にインプラント処置されるように構成されている、RVP情報を受信するように結合され、RVP情報に基づいて右心房充満圧を決定しそしてRVP情報に基づいて左心房充満圧を決定するように構成された1つ以上のプロセッサ、及び、場合により、右心房充満圧及び左心房充満圧を表示する表示デバイスを含み、前記病状は、左心不全、右心不全及び原発性肺疾患からなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【0024】
医療システムの実施形態は、患者の右心房充満圧、左心房充満圧及び病態を格納するように構成されたメモリユニットをさらに含むことができ、そして1つ以上のプロセッサは、患者の右心房充満圧、左心房充満圧及び病態に基づいて、患者の治療計画を決定するように構成されている。1つ以上のプロセッサは、ワイヤレス通信リンクによって検出デバイスからRVP情報を受信するように結合されうる。
【0025】
医療システムの検出デバイスは、RVP情報をワイヤレス送信するためのワイヤレストランスミッタを含むことができ、1つ以上のプロセッサは、検出デバイスによってワイヤレス送信されたRVP情報を受信するように結合されうる。検出デバイスは、心臓の右心室における壁(場合によっては、自由壁、心尖、中隔又は流出路)に取り付けるように構成されたハウジングを含むことができる。検出デバイスは、検出デバイスを心臓の右心室の壁に取り付けるためのアンカーを含むことができ、アンカーは、場合により、1つ以上のコイルばね又はとげのあるフックを含む。検出デバイスは、完全に右心室内に位置するように構成されうる。検出デバイスは、電磁エネルギーを受信するためのアンテナ、ワイヤレストランスミッタを含み、検出デバイスは、アンテナによって受信された電磁エネルギーによってエネルギーを与えられ、エネルギーを与えられたときにワイヤレストランスミッタによってRVP情報を送信するように構成されうる。実施形態において、検出デバイスは、エネルギーを与えられるまでRVP情報を送信しない。
【0026】
実施形態において、医療システムの1つ以上のプロセッサは、RVP情報を右心房充満圧の代理として使用して右心房充満圧を決定するように構成されている。実施形態において、1つ以上のプロセッサは、RVP情報からなる心圧情報に基づいて右心房充満圧を決定するように構成されている。実施形態において、1つ以上のプロセッサは、拡張終期におけるRVP情報に基づいて右心房充満圧を決定するように構成されている(例えば、右心房充満圧の代理として右心室拡張終期圧を使用する)。実施形態において、1つ以上のプロセッサは、心臓の電気的活動を表す電気情報、場合によりECG情報を受信し、電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定し、そして特定された心臓拡張終期の時点でのRVP情報に基づいて右心房充満圧を決定するように構成されている。1つ以上のプロセッサは、RVP情報を左心房充満圧の代理として使用して、左心房充満圧を決定するように構成されうる。1つ以上のプロセッサは、RVP情報の傾き、及び、場合により、勾配の最大値又はピークに基づいて、左心房充満圧を決定するように構成されうる。1つ以上のプロセッサは、推定肺動脈拡張期圧の代理として、RVP情報の最大又はピーク勾配に対応する時点におけるRVP情報によって表される右心室圧を使用して、そして推定肺動脈拡張期圧を左心房充満圧の代理として使用して、左心房充満圧を決定するように構成されうる。1つ以上のプロセッサは、RVP情報からなる心圧情報に基づいて左心房充満圧を決定するように構成されうる。実施形態において、システムは、右心房内の圧力を直接モニタリングすることなく右心房充満圧を決定し、そして左心房内の圧力を直接モニタリングすることなく左心房充満圧を決定するように構成されている。検出デバイスは、拡張期及び収縮期の1つ以上の周期にわたってRVP情報を提供するように構成されうる。実施形態において、1つ以上のプロセッサは、RVP情報に関連付けられた心臓を含む患者の身体から離れていることができる。実施形態において、検出デバイスは、100Hzを超える周波数、場合により200Hzを超える周波数でRVP情報を取得する。
【0027】
医療システムの実施形態において、患者の治療計画を決定するために、1つ以上のプロセッサは、右心房充満圧をベースライン右心房圧と比較し、そして左心房充満圧をベースライン左心房圧と比較するように構成されうる。患者の治療計画を決定するために、1つ以上のプロセッサは、右心房充満圧及び左心房充満圧を比較するように構成されうる。患者の治療計画を決定するために、1つ以上のプロセッサは、治療計画の投薬量を増加させるための通知を提供するように構成されうる。患者の治療計画を決定するために、1つ以上のプロセッサは、治療計画の投薬量を減らすための通知を提供するように構成されうる。
【0028】
医療システムの実施形態において、1つ以上のプロセッサはインプラント可能なメディカルデバイスに組み込まれる。1つ以上のプロセッサは、患者の外部に配置されたデバイスに組み込むことができる。患者の治療計画を決定するために、1つ以上のプロセッサは、以下の群の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬から選ばれる少なくとも1つの治療薬を増加させるための通知を提供するように構成されうる。患者の治療計画を決定するために、1つ以上のプロセッサは、以下の群の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬から選ばれる少なくとも1つの治療薬を減少させるための通知を提供するように構成されうる。
【0029】
別の例示的な実施形態は、ある病態の患者の治療計画を決定するためのコンピュータ実装方法である。この方法の実施形態は、右心室の圧力をモニタリングし、そして右心室の圧力を表すRVP情報をある期間にわたって送信するために、患者の心臓の右心室に配置された圧力センサを含む検出デバイスを操作すること(場合により、右心室に圧力センサをインプラント処置することを含む)、1つ以上のプロセッサによってRVP情報を処理して、RVP情報に基づいて患者の右心房充満圧を決定し、RVP情報に基づいて患者の左心房充満圧を決定すること、及び、場合により、右心房充満圧及び左心房充満圧を表示デバイスに表示することを含み、前記病状は、左心不全、右心不全及び原発性肺疾患からなる群より選ばれる少なくとも1つである。実施形態において、方法は、患者の右心房充満圧、左心房充満圧及び病状に基づいて、患者の治療計画を決定することをさらに含む。
【0030】
実施形態において、右心房充満圧を決定することは、RVP情報を右心房充満圧の代理として使用することを含むことができる。右心房充満圧を決定することは、RVP情報からなる心圧情報に基づいて右心房充満圧を決定することを含むことができる。右心房充満圧を決定することは、拡張終期におけるRVP情報に基づいて右心房充満圧を決定すること(例えば、右心房充満圧の代理として右心室拡張終期圧を使用すること)を含むことができる。
【0031】
方法の実施形態は、さらに、心臓の電気的活動を表す電気情報、場合によりECG情報を受信すること、及び、電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定することを含み、そして右心房充満圧を決定することは、心臓の拡張終期の特定された時点におけるRVP情報に基づいて右心房充満圧を決定することを含む(例えば、右心房充満圧の代理として右心室拡張終期圧を使用する)。左心房充満圧を決定することは、左心房充満圧の代理としてRVP情報を使用することを含むことができる。左心房充満圧を決定することは、RVP情報の勾配、及び場合により、勾配の最大値又はピークに基づいて左心房充満圧を決定することを含むことができる。左心房充満圧を決定することは、推定肺動脈拡張期圧の代理としてRVP情報の最大又はピーク勾配に対応する時点におけるRVP情報によって表される右心室圧を使用すること、及び、左心房充満圧の代理として推定肺動脈拡張期圧を使用することを含むことができる。左心房充満圧を決定することは、RVP情報からなる心圧情報に基づいて左心房充満圧を決定することを含むことができる。圧力をモニタリングするために検出デバイスを動作させることは、実施形態において、100Hzを超える周波数、そして場合により200Hzを超える周波数でRVP情報を取得することを含む。
【0032】
この方法の実施形態において、RVP情報を受信することは、右心室に単一の圧力センサを含む検出デバイスからRVP情報を受信することを含む。RVP情報を受信することは、完全に右心室に位置する検出デバイスからRVP情報を受信することを含むことができる。左心房充満圧を決定することは、単一の圧力センサから受信されるRVP情報に基づいて、右心房充満圧を決定し、そして左心房充満圧を決定することを含むことができる。実施形態において、RVP情報を受信することは、RVP情報をワイヤレスで受信することを含む。
【0033】
方法の実施形態において、右心房充満圧を決定することは、右心房内の圧力を直接モニタリングすることなく右心房充満圧を決定すること、及び、左心房充満圧を決定することは、左心房内の圧力を直接モニタリングすることなく左心房充満圧を決定することを含む。この方法は、右心室に配置された圧力センサを含む、インプラント処置された検出デバイスにエネルギーを与えることをさらに含むことができ、エネルギーを与えられた検出デバイスはRVP情報を送信する。実施形態において、インプラント処置された検出デバイスは、エネルギーを与えられるまでRVP情報を送信しない。ある期間にわたって右心室の心圧を表すRVP情報を受信することは、拡張期及び収縮期の1つ以上の周期にわたって右心室の心圧を表すRVP情報を受信することを含むことができる。実施形態において、1つ以上のプロセッサは、RVP情報に関連する心臓を含む患者の身体から遠隔であることができる。
【0034】
方法の実施形態において、患者の治療計画を決定することは、右心房充満圧をベースライン右心房圧と比較すること、及び、左心房充満圧をベースライン左心房圧と比較することを含む。患者の治療計画を決定することは、右心房充満圧及び左心房充満圧を比較することを含むことができる。患者の治療計画を決定することは、治療計画の投薬量を増加するための通知を提供することを含むことができる。患者の治療計画を決定することは、治療計画の投薬量を減少するための通知を提供することを含むことができる。患者の治療計画を決定することは、以下の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬の群から選ばれる少なくとも1つの治療薬を増加するための通知を提供することを含むことができる。患者の治療計画を決定することは、以下の治療薬:血管拡張薬、利尿薬及び肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬の群から選ばれる少なくとも1つの治療薬を減少するための通知を提供することを含むことができる。
【0035】
さらに他の例示的な実施形態はモニタリングシステムを含み、前記モニタリングシステムは、ある期間にわたって右心室の心圧に関連するRVP情報を受信するように構成されたレシーバ、ここで、RVP情報は、心臓の右心室に配置された圧力センサを含む検出デバイスからから受信される、及び、受信されたRVP情報を格納するように構成されたメモリユニット、場合により表示デバイス、及び、RVP情報に基づいて右心房充満圧を決定し、RVP情報に基づいて左心房充満圧を決定し、右心房充満圧及び左心房充満圧を比較し、そして比較結果を表示デバイスに出力するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。実施形態において、1つ以上のプロセッサは、比較に基づいて、患者の治療計画を決定するようにさらに構成されている。実施形態において、レシーバは、100Hzを超える周波数、そして場合により200Hzを超える周波数で取得されたRVP情報を受信する。
【0036】
モニタリングシステムの実施形態において、1つ以上のプロセッサは、右心房充満圧の代理としてRVP情報を使用して右心房充満圧を決定するように構成されうる。1つ以上のプロセッサは、RVP情報からなる心圧情報に基づいて右心房充満圧を決定するように構成されうる。1つ以上のプロセッサは、拡張終期におけるRVP情報に基づいて右心房充満圧を決定するように構成されうる(例えば、右心房充満圧の代理として右心室拡張終期圧を使用する)。1つ以上のプロセッサは、心臓の電気的活動を表す電気情報、場合によりECG情報を受信し、電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定し、そして心臓の拡張終期の特定された時点におけるRVP情報に基づいて右心房充満圧を決定するように構成されうる。
【0037】
モニタリングシステムの実施形態において、1つ以上のプロセッサは、RVP情報を左心房充満圧の代理として使用して左心房充満圧を決定するように構成されうる。1つ以上のプロセッサは、RVP情報の勾配、及び場合により勾配の最大値又はピークに基づいて左心房充満圧を決定するように構成されうる。1つ以上のプロセッサは、推定肺動脈拡張期圧の代理として、RVP情報の最大又はピーク勾配に対応する時点におけるRVP情報によって表される右心室圧を使用して、そして推定肺動脈拡張期圧を左心房充満圧の代理として使用して、左心房充満圧を決定するように構成されうる。実施形態において、1つ以上のプロセッサは、RVP情報からなる心圧情報に基づいて左心房充満圧を決定するように構成されている。システムは、右心房内のモニタリングされた圧力に関する直接的な情報なしに右心房充満圧を決定し、左心房内のモニタリングされた圧力に関する直接的な情報なしに左心房充満圧を決定するように構成されうる。
【0038】
モニタリングシステムの実施形態において、治療は、以下の治療群から選ばれる治療を少なくとも含む:診断、薬物用量設定、高度治療、IV投薬、ライフスタイルの変更、心房内シャント、弁修復/交換、ICD、CRT及びアブレーション。薬物用量設定は、以下の群の用量設定から選ばれる少なくとも1つの用量設定を含むことができる:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬。高度治療は、心室補助デバイス(VAD)のインプラント処置、機械的循環器サポート(MCS)のインプラント処置、移植又はその両方の群より選ばれる1つ以上を含むことができる。ライフスタイルの変更は、以下のライフスタイルの変更:食事の変更、活動の増加又はその両方の群から選ばれる少なくとも1つのライフスタイルの変更を含むことができる。
【0039】
モニタリングシステムの実施形態において、1つ以上のプロセッサは、決定された治療を表示デバイスに出力するようにさらに構成されている。1つ以上のプロセッサは、比較に基づいて患者を診断するようにさらに構成されうる。実施形態において、モニタリングシステムは測定の傾向データが薬剤の自動分配への変更を通知する閉ループシステムである。薬剤は、利尿薬、血管拡張薬又はその両方であることができる。実施形態において、モニタリングシステムは、測定値の傾向データが心室補助デバイスへの変更を知らせる閉ループシステムである。モニタリングシステムは、心室補助デバイスのRPM変更を決定するために使用されうる。
【0040】
実施形態において、1つ以上のプロセッサは、機械学習を使用して治療計画を変更することができる。処理デバイスは、以下の1つ以上:左心房圧、左心房圧平均、右心房圧、右心房圧平均、測定値の傾向矢印、経時にわたる測定値の線グラフ、測定値の波形及び測定値に関連する患者の1つ以上の薬剤を表示デバイスに出力するようにさらに構成されうる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0042】
【
図1A】
図1Aは、心不全による入院の減少における左心房圧の代理測定からのデータの有用性を示すグラフである。
【0043】
【
図1B】
図1Bは、本明細書で論じられるとおりの従来技術の測定デバイス(スワン・ガンツ右心カテーテル)を使用した患者の心臓及び肺の概略図である。
【0044】
【
図2】
図2は、幾つかの実施形態による医療システムの概略図である。
【0045】
【
図3】
図3は、患者の心臓の右心室にインプラント処置された実施形態による検出デバイスの図である。
【0046】
【
図4】
図4は、実施形態による検出デバイスの概略図である。
【0047】
【
図5】
図5は、実施形態によるモニタリングデバイスの概略図である。
【0048】
【
図6】
図6は、実施形態による外部充電器及び通信リレーの図である。
【0049】
【
図7A】
図7Aは、実施形態による、右心室圧情報から右心房充満圧を決定する方法を説明するフローダイアグラムである。
【0050】
【
図7B】
図7Bは、実施形態による、右心室圧情報から左心房充満圧を決定する方法を説明するフローダイアグラムである。
【0051】
【
図8】
図8は、幾つかの実施形態による、圧力測定値に基づいて取られる必要がある動作を決定するための方法のブロックダイアグラムを示す。
【0052】
【
図9】
図9は、
図8の方法によって実施される2セットの測定データを使用する投薬管理参照表を示す。
【0053】
【
図10】
図10は、幾つかの実施形態による、患者の治療計画を決定するための方法のフローダイアグラムを示す。
【0054】
【
図11】
図11は、左心不全と診断された患者について、
図10の方法によって参照される例示的な診断表及び例示的な治療計画表を示す。
【0055】
【
図12】
図12は、右心不全と診断された患者について、
図10の方法によって参照される例示的な診断表及び例示的な治療計画表を示す。
【0056】
【
図13】
図13は、原発性肺疾患と診断された患者について、
図10の方法によって参照される例示的な診断表及び例示的な治療計画表を示す。
【0057】
【
図14】
図14は、左心不全及び右心不全と診断された患者について、
図10の方法によって参照される例示的な診断表及び例示的な治療計画表を示す。
【0058】
【
図15】
図15は、左心不全及び原発性肺疾患と診断された患者について、
図10の方法によって参照される例示的な診断表及び例示的な治療計画表を示す。
【0059】
【
図16】
図16は、右心不全及び原発性肺疾患と診断された患者について、
図10の方法によって参照される例示的な診断表及び例示的な治療計画表を示す。
【0060】
【
図17】
図17は、左心不全、右心不全及び原発性肺疾患と診断された患者について、
図10の方法によって参照される例示的な診断表及び例示的な治療計画表を示す。
【0061】
【
図18】
図18は、幾つかの拡張期及び収縮期心臓周期にわたる例示的なRVP(右心室圧)、ならびに関連する肺動脈圧(PAP)、RVdp/dt(時間に対する右心室圧変化)、及びECG(心電図)のグラフである。
【0062】
【
図19】
図19は、実施形態による、取り付け構造を含む別の検出デバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
詳細な説明
本開示は、限定的に読まれることを意図していない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰属する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0064】
測定値の範囲に関して本明細書で用語が使用されるときに、「約」及び「およそ」は、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い任意の測定値をも含む測定値を指すために交換可能に使用されうるが、測定誤差、測定及び/又は製造装置の校正の違い、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的エラー、性能を最適化するためになされた調整及び/又は他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した構造パラメータ、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作などに起因することが関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるような、合理的に少量の違いがある可能性がある。
【0065】
本明細書では、便宜上でのみ、特定の用語を使用する。例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「左(left)」、「右(right)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「上向き(upward)」、「下向き(downward)」などの用語は、図に示されている構成を単に記載し、又は取り付け位置での部品の向きを記載する。実際、参照される構成要素は、任意の方向に向けることができる。同様に、本開示を通じて、プロセス又は方法が示され又は記載されている場合に、方法が最初に実行される特定の動作に依存することが関係から明らかでない限り、方法は任意の順序で又は同時に実行されうる。
【0066】
様々な実施形態は、生理学的測定を実行して心臓の左側及び右側の特性に関する情報を取得するためのデバイスなどのインプラント可能なメディカルデバイスを対象とする。特定の例において、本開示の様々な態様は、圧力測定を実行するための方法及びデバイスに関する。さらに、本開示は、実行された測定に基づいて患者への薬剤の投与を決定するための医療システムも含む。
【0067】
図2は、左心不全、右心不全又は原発性肺疾患などの心疾患の患者の治療計画を決定するための実施形態による医療システム60の概略図である。示されるように、医療システム60は、検出デバイス61(すなわち、測定デバイス)及びモニタリングシステム62を含む。以下でより詳細に記載されるように、検出デバイス61は、患者の心臓の右心室にインプラント処置されるように構成されている圧力センサ(
図2には図示せず)を含む。
図3は、検出デバイス全体が患者の心臓の右心室に配置され、インプラント処置される検出デバイス61の実施形態の図である。例えば、検出デバイス61、又は少なくとも圧力センサは、右心室自由壁、右心室尖部、右心室中隔又は右心室流出路にインプラント処置されることができる。検出デバイスは、経カテーテルデリバリー(例えば、大静脈、右心房、肺動脈弁を含む血管系を通る右心室へのデリバリーカテーテル59による)又は開胸手術的アプローチなどの従来の方法を使用して、右心室にデリバリー及びインプラント処置されることができる。検出デバイス61のインプラント処置に続いて、ペーシングリード、ワイヤレスペースメーカー、CRTリード、ICDリード、リードレスペースメーカーなどの他の構造、又はワイヤレスペースメーカーのリードと組み合わされた他の構造のための空間が右心室に残ることができる。これら及びこれらのタイプの他の構造は、本明細書に記載の検出デバイス61及び方法と組み合わせて使用することができる。例えば、ペースメーカー及び/又はICDは、本明細書に記載の実施形態に従って、右心室拡張終期(RVEDP)及び右心房圧を特定するために使用されるECG信号の入力として使用されうる。
【0068】
検出デバイス61は、患者の右心室の圧力をある期間(例えば、1つ以上の心拍、又は、拡張期及び収縮期の周期)にわたってモニタリングする。モニタリングシステム62は、測定された右心室圧を表すデータ又は情報(本記載ではRVP情報と呼ばれる)を受信するように結合される。実施形態において、モニタリングシステム62は、検出デバイス61によって送信されたRVP情報を無線で受信するように構成されている。モニタリングシステム62はまた、受信されたRVP情報を処理し、RVP情報に基づいて患者の心臓の右心房充満圧(RAP)を決定し、そしてRVP情報に基づいて患者の心臓の左心房充満圧(LAP)を決定するように構成されている。以下でより詳細に記載されるように、モニタリングシステム62の実施形態は、代理としてRVP情報によって表される右心室圧を使用して、患者の心臓の右心房充満圧及び左心房充満圧の両方を決定する。モニタリングシステム62の実施形態は、決定された右心房充満圧及び決定された左心房充満圧を表示する表示デバイス(
図2に図示せず)を含む。モニタリングシステム62の実施形態は、決定された患者の右心房充満圧及び左心房充満圧に少なくとも部分的に基づいて、患者の心臓の病状及び/又は患者の治療計画を決定及び表示するように構成されうる。
【0069】
図4は、実施形態による検出デバイス61の概略図である。図示の実施形態は、圧力センサ65、電源66、トランスミッタ67、メモリ68、充電コイル69及び電気センサ70を含む構成要素に結合されたコントローラユニット64を囲むハウジング63を含む。ハウジング63上の取り付け構造71を使用して、検出デバイス61を患者の心臓の組織に(例えば、
図3に示されるように右心室の底部に)固定することができる。ハウジング63は、生体適合性金属(例えば、ステンレス鋼又はチタン)及び/又はポリマーなどの適切な既知の又はさもなければ従来の材料から形成することができる。コントローラユニット64は、ディスクリート回路コンポーネント、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はプログラムされたプロセッサなどの適切な既知の又はさもなければ従来の電子構造で具現化されうる。同様に、メモリ68は、コントローラユニット64で動作するように構成された適切な既知の又はさもなければ従来の構造で具現化されうる。圧力センサ65は、例えば、限定するわけではないが、容量センサ又は圧電センサなどのMEMS技術、又は心内圧レベルの測定に適した他の圧力測定技術などを組み込むことができる。圧力センサ65によってモニタリングされた圧力を表す信号又は他の情報(例えば、RVP情報)は、コントローラユニット64に結合され、場合により、メモリ68に格納されうる。他の実施形態(図示せず)において、圧力センサ65以外の検出デバイス61の構成要素は、患者の心臓の外側に(例えば、患者の胸部の皮膚の下に配置されたハウジング内に)配置され、インプラント処置された圧力センサ65に(例えば、リードによって)結合されることができる。
【0070】
トランスミッタ67の実施形態は、コントローラユニット64によって(例えば、無線周波数(RF)によって)提供されるRVP情報を無線で送信するためのアンテナ(個別には図示せず)を含む。トランスミッタ67の実施形態は、例えば、近距離場(例えば、ブルートゥース(登録商標))又は他の適切な既知の又は従来の技術を含むことができる。電源66は、任意の適切な電源とすることができる。実施形態において、電源66は、エネルギー貯蔵デバイスに結合された充電コイル69を含み、外部デバイスによる電源の誘導充電を可能にする。このような誘導電源66を含む実施形態において、検出デバイス61は、外部デバイスによってエネルギーを与えられ、それによって、右心室圧を測定し、そしてRVP情報を送信するように動作することができる。このタイプの誘導充電の実施形態において、検出デバイス61は、電源66がエネルギーを与えられているときにのみ圧力を測定し、RVP情報を送信することができる。このような誘導充電電源66の利点は、電源が切れたときに電源を交換する必要性が減少することである。誘導充電電源66を有する実施形態において、充電コイル69及びトランスミッタ67のアンテナは同じ構造であることができる。あるいは、又はさらに、電源66の実施形態はバッテリを含むことができる。
【0071】
検出デバイス61の図示された実施形態は、電気センサ70を含む。電気センサ70は、心臓の電気的活動を表す信号を測定しそして提供するように構成されている。実施形態において、例えば、電気センサ70は、患者の心臓における心電図(ECG)信号を表す情報を測定しそして提供することができる。電気センサ70の実施形態は、ハウジング63上に陽極端子及び陰極端子を含むことができる(個別に図示せず)。電気センサ70によって測定された電気情報は、コントローラユニット64に結合され、トランスミッタ67によって送信されうる。電気センサ70によって測定された電気情報はまた、メモリ68に格納されうる。検出デバイス61及び/又は医療システム60の他の実施形態は、70などの電気センサを含まない。以下に記載されるように、医療システム60の幾つかの実施形態は、心臓のECGなどの電気情報を利用しない。医療システム60のさらに他の実施形態は、他の源(例えば、患者の体上の電極及び/又は患者内のインプラント処置された他のデバイス)から得られる患者の心臓のECGなどの電気情報を利用する。
【0072】
取り付け構造71は、患者の心臓の右心室内に検出デバイス61(又は実施形態において圧力センサ65)を固定するための既知の又はさもなければ従来の構造を含むことができる。
図3に示される実施形態において、例えば、取り付け構造71は、検出デバイス61の回転時に心臓組織に係合し、心臓組織に入るように構成されたらせんコイルばねを含む。取り付け構造71の他の実施形態は、例えば、場合により棘を含む1つ以上のフックなどの他の構造を含む。
図19は、例えば、患者の右心室の組織表面の下に検出デバイスを固定するように構成された複数のアンカー71’(例として2つが示されている)を含む検出デバイス61’を示している。図示の実施形態において、アンカー71’のそれぞれは、ハウジング63’の遠位端からハウジングの長手方向軸にほぼ平行に延在している実質的に線形のセクション71a’、及び、前記実質的に線形のセクションから延在している湾曲セクション71b’を含む。各アンカー71'の湾曲セクション71b'は、デリバリー構成において、ハウジング63'の長手方向軸に対して実質的に線形のセクション71a'と整列し、そして展開構成において、ハウジングの長手方向軸に対して半径方向外向きに、遠位端に向かって湾曲するように構成されうる。
【0073】
図5は、実施形態によるモニタリングシステム62の概略図である。図示の実施形態は、レシーバ77、メモリ78及びディスプレイ79に結合された処理システム76を含む。実施形態において、処理システム76はプログラム可能なマイクロプロセッサベースのシステムである。例えば、ROM及びRAMを含むことができるメモリ78は、処理システム76に結合され、処理システムによって実行されるプログラムなどのデータ及び情報を格納することができる。例えば、以下でより詳細に記載されるように、処理システム76は、メモリ78に格納されたプログラムを実行することができ、これらは、検出デバイス61によって送信されたRVP情報に基づいて、患者の心臓の右心房充満圧及び左心房充満圧を生成する方法又はアルゴリズムを特徴とする。処理システム76はまた、メモリ78に格納されたプログラムを実行して、以下に記載される方法及びアルゴリズムに従って、患者の心臓の右心房充満圧及び左心房充満圧などの情報に基づいて、心臓の病状及び治療計画を決定することができる。代替的又は追加的に、処理システム76は、ディスクリート回路要素及びASICなどの他の適切な構造によって実施することができる。実施形態において、モニタリングシステム62は、スマートフォン又はタブレットなどの従来のモバイルデバイス内のアプリ(すなわち、アプリケーションソフトウェア)として具現化されうる。他の実施形態において、モニタリングシステム62のすべて又は構成要素(例えば、処理システム76、メモリ78及びディスプレイ79)は、(例えば、通信ネットワークを介して)レシーバ77に結合された「デスクトップ」コンピュータシステムとして具現化されうる。モニタリングシステム62のさらに他の実施形態は、ディスプレイを含む、携帯電話又はタブレットなどのユーザデバイスに結合されたクラウド内のコンピューティング構成要素を含む。
【0074】
レシーバ77は、検出デバイス61からRVP情報などの情報を受信し、受信された情報を処理システム76に結合するように構成されている。レシーバ77は、無線で、実施形態において(例えば、RFによって)情報を受信する。患者の心臓のECG又は他の電気情報を利用する実施形態において、電気情報はまた、レシーバ77によって受信され、処理システム76に結合されうる。
【0075】
ディスプレイ79は、処理システム76によって動作され、処理システムによって受信及び/又は生成された情報を表示することができる。実施形態において、例えば、ディスプレイ79は、RVP情報、右心房充満圧及び/又は左心房充満圧、決定された心臓の病状、決定された治療計画及び/又は心臓電気情報のうちの1つ以上を表示することができる。ディスプレイ79はまた、例えば血圧、体温及び/又は酸素飽和度など、患者から測定又は別の方法で得られた他の情報を表示するように構成されうる。患者が視覚障害を持っているか、又は音声による通知を好むならば、モニタリングシステム62は音声出力を提供して、患者の心臓に急性代償不全発症のリスクがある可能性があることを測定値が示している場合に患者に警告し、その結果、患者がさらなる検査のために病院に行くことができる。モニタリングシステム62はまた、測定及び/又は生成されたデータ及び情報を遠隔サーバ(図示せず)にアップロードして、医療サービス提供者又はデータベースによって収集し、患者の心臓の病状を遠隔モニタリングすることもできる。
【0076】
図6は、幾つかの例による外部充電器及び通信リレー80の例を示す。示されるように、外部充電器及び通信リレー80は、電磁誘導を介して検出デバイス61の66などの電源(例えば、電池又はコンデンサ)を充電し又はエネルギーを与え、検出デバイスと通信して、測定データ又はRVP情報などの情報を取得することができるデバイスである。1つの例において、外部充電器及び通信リレー80は、検出デバイス61と誘導結合して、検出デバイスに直接的にエネルギーを与え、その結果、オンボード電源、例えば電池が必要とされないようにするデバイスである。1つの例において、外部充電器及び通信リレー80は、無線周波数(RF)電磁線を介して検出デバイス61に無線でエネルギーを与える。外部充電器及び通信リレー80は、充電器及びリレー80の位置が、充電器及びリレーが検出デバイス61から充電してデータを取得するための動作可能な位置に配置されるように(例えば、ハーネス81を使用して)装着されることができる。モニタリングシステム62は、外部充電器及び通信リレー80を介して測定データに関する情報を受信するために、患者又は他の当事者(例えば、医療サービス提供者又は遠隔モニタリング施設)によって使用されうる。他の実施形態において、RVP情報を含む検出デバイス61によって測定されるデータ及び他の情報は、検出デバイスによってモニタリングシステム62に直接送信されうる(例えば、検出デバイスが電池式である場合)。
【0077】
図7A及び7Bは、患者の右心房充満圧及び左心房充満圧を生成又は決定するために、RVP情報及び場合により心臓電気情報を使用して、モニタリングシステム62によって実装できる方法及びアルゴリズムを示すフローチャートである。
図18は、2つの拡張周期及び収縮周期を含む期間にわたって患者内でモニタリングされた右心室圧(RVP)の例のグラフである。
図7A及び
図7Bの方法によって使用されるRVP情報は、図示された右心室圧を表すデータ又は他の情報であることができる。
図18はまた、例示的な肺動脈圧(PAP)、経時的な右心室圧の変化(すなわち、勾配)(RVdP/dt)、及び右心室圧RVPに関連付けられ、それに対応する患者のECG信号を示す。
図18に示される圧力、圧力変化及び電気信号は、
図7A及び7Bに示される方法の説明に関連して使用される。実施形態において、検出デバイス61のデータ取得周波数は、推定肺動脈拡張期圧(ePAD)を得る目的で最大dP/dtを決定するために100Hzよりも大きい。実施形態において、例えば、データ取得周波数は200Hz~250Hz、又はそれ以上である。データ取得周波数が低すぎると、RVP情報によって表される、右心室圧波形上のePADの決定又は位置の精度が悪影響を受ける可能性がある。
【0078】
図7Aに示される方法110は、RVP情報によって表される右心室圧RVPを、右心房充満圧を決定するための代理として使用する。右心房充満圧又は右心房圧(RAP) は、一般に、右心室拡張終期圧(RVEDP)に等しく、これは心臓の拡張周期の終わりにおける右心室圧である(例えば、三尖弁の問題がない場合)。したがって、方法110によって、モニタリングシステム62は、工程112によって示されるようにRVP情報をモニタリングし、工程114によって示されるように拡張周期の終了時を決定する。右心室が血液で充満される拡張周期の終わりは、心臓が収縮して、脱酸素化された血液を右心室から肺動脈弁を通って肺に送り出す収縮周期の始まりを規定する。したがって、
図18に示すように、一般に0.25秒~1.0秒に相当する時間で、右心室圧RVP、したがってRVP情報は、拡張終期の直後に比較的に迅速かつ実質的に増加する。また、
図18に示されるように、ECG信号は収縮周期の開始時に比較的に迅速かつ実質的に減少する。方法110は、工程114に関連して、心臓のこれらの生理学的及び/又は電気的特性を利用することができる。
【0079】
1つの実施形態において、モニタリングシステム62は、工程114によって示されるように、RVP情報の勾配をモニタリングして、拡張周期の終了時を決定する。例えば、モニタリングシステム62は、RVP情報の勾配が、所定の期間内に所定の量だけ増加する(例えば、閾値を超える)時点として拡張周期の終了時を特定することができる。工程116及び118によって示されるように、モニタリングシステム62は、次いで、決定された拡張周期の終了時の右心室圧を決定し、拡張周期の終了時の右心室圧を右心房圧として使用する。この実施形態により、モニタリングシステム62は、ECG又は他の電気的情報を使用することなく、右心房充満圧を決定することができる。したがって、この実施形態は、(例えば、
図4の実施形態に示されるように)70などの電気センサを含まない検出デバイス61を使用して実施することができる。
【0080】
モニタリングシステム62がECGなどの心臓電気情報を受信する実施形態(例えば、電気センサ70を含む検出デバイス61を有する実施形態)において、モニタリングシステム62は、工程114によって、電気情報を使用して拡張周期の終了時を決定することができる。例えば、モニタリングシステム62は、ECG情報の勾配が所定の期間内に所定の量だけ減少する(例えば、閾値を超える)時点として拡張周期の終了時を特定することができる。次いで、モニタリングシステム62は、工程116及び118によって示されるように、決定された拡張周期の終了時における右心室圧を決定し、決定された拡張周期の終了時における右心室圧を右心房圧として使用する。勾配の決定及び検出、フィルタリング、比較及び閾値処理を含む従来のシグナル処理アプローチを、方法110のこれらの実施形態に関連して使用することができる。この方法110によって、モニタリングシステム62は、右心房内の圧力を直接モニタリングすることなく右心房充満圧を決定する(例えば、右心房に圧力センサがない)。代わりに、右心房圧は、RVP情報のみからなる心圧情報を使用して決定される。他の実施形態は、他の信号処理アプローチ及びアルゴリズムを使用して、RVP情報に基づいて右心房充満圧を決定することができる。例えば、他の実施形態において、RVP波形に基づいて右心房充満圧を取得することは、2005年7月5日に付与された「心室圧を測定するためのインプラント可能なメディカルデバイス」という発明の名称の米国特許第6,915,162号明細書に記載されているシステム及び方法を使用して行うことができ、その全内容をあらゆる目的のためにその全体として本明細書に組み込む。追加的に又は代替的に、他の実施形態において、RVP波形及び/又はECG情報に基づいて右心房充満圧を取得することは、1994年11月29日に付与された「単一の長期的にインプラントされた絶対圧センサから複数の血行動態変数を決定するための装置及び方法」という発明の名称の米国特許第5,368,040号明細書に記載されたシステム及び方法を使用して行うことができ、その全内容をあらゆる目的のためにその全体として本明細書に組み込む。
【0081】
図7Bに示される方法120は、RVP情報によって表されるとおりの右心室圧RVPを、左心房充満圧(LAP)を決定するための代理として使用する。左心房圧は、一般に、推定肺動脈拡張期圧(ePAD又はPADP)に等しい。肺動脈拡張期圧は、一般に、肺動脈弁開放時の右心室圧に等しい。肺動脈弁は、収縮期中の右心室圧の圧力変化又は勾配を増加する最大又はピークの時点にほぼ対応する時点で開く。したがって、方法120によって、モニタリングシステム62は、工程122によって示されるようにRVP情報をモニタリングし、工程124によって示されるように収縮周期中にRVPがその最大増加変化又は増加勾配(dP/dt)を有する時点を決定する。工程126及び128によって示されるように、モニタリングシステム62は、次いで、RVP勾配の最大変化時の右心室圧(肺動脈弁開放時の肺動脈拡張期圧に対応する)を決定し、その右心室圧を左心房圧LAPとして使用する。実施形態において、収縮周期中にRVPがその最小勾配(dP/dt)を有する時点での右心室圧RVPもまた、左心房充満圧LAPの代理として使用することができる(例えば、上記のアプローチに加えて又はその代替として)。
図18は、例えば、RVPの最小勾配(dP/dt min )及び関連するRVPを示すために注釈が付けられている。傾きの決定及び検出、フィルタリング、比較及び閾値処理を含む従来のシグナル処理アプローチを、方法120のこれらの実施形態に関連して使用することができる。この方法により、モニタリングシステム62は、左心房内の圧力を直接モニタリングすることなく左心房充満圧を決定する(例えば、左心房内に圧力センサを使用しない)。代わりに、RVP情報のみからなる心圧情報を使用して、左心房圧は決定される。他の実施形態は、他のシグナル処理アプローチ及びアルゴリズムを使用して、RVP情報に基づいて左心房充満圧を決定することができる。
【0082】
他の実施形態において、検出デバイス61は、RVP情報を使用して右心房圧及び左心房圧を決定するように構成されている。これらのタイプの検出デバイス61の実施形態は、例えば、方法110及び120に従ってRVP情報を処理する76などの処理システムを含むことができる。これらのタイプの実施形態において、検出デバイス61は、決定された右心房圧及び決定された左心房圧をモニタリングシステム62へ送信し又はさもなければ結合させることができる。
【0083】
実施形態において、検出デバイス61及び/又はモニタリングシステム62は、他のメディカルデバイスと組み合わせて使用することができる。このようなメディカルデバイスの例としては、限定するわけではないが、幾つかを挙げれば、血圧カフ、パルス酸素濃度計、体重計、クレアチニン試験デバイス、スマートデバイス、ウェアラブル医療追跡デバイスなどが挙げられる。検出デバイス61はまた、例えば心室補助デバイス(VAD)、ドラッグデリバリーシャント又はシステムなどの他のインプラント可能なデバイスと組み合わせることができる。検出デバイス61は、閉ループ又は開ループフィードバックシステムの一部として、他のインプラント可能なデバイスにフィードバックを提供することができる。VADは、右VAD、左VAD又は両VADであることができる。
【0084】
本明細書に記載のとおりの検出デバイス61を使用して得られた圧力測定データは、患者の心拍出量を測定するために使用される別の方法である脈拍輪郭法を実行するために使用することができる。この方法は、連続的な圧力測定データを使用して、患者の心臓の圧力対時間グラフをプロットし、その後、圧力積分、すなわち、圧力対時間グラフでのプロットされた線の下の面積を使用して、測定されている心臓の部分のストローク体積(SV)を決定する。SVに心拍数を掛けた値は心拍出量である。
【0085】
図8は、モニタリングシステム62などの1つ以上の電子デバイスを使用して、例えば検出デバイス61又は本明細書に記載のセンサ要素のいずれかから受信された測定データ(例えば、本明細書に記載のように決定されたRAP及びLAP)を使用して実施できる遠隔医療モニタリング方法99を示すフローチャートである。幾つかの例において、方法99を左心不全(LHF)の病歴を有する患者に使用し、測定された右心生理学的指標及び左心生理学的指標(例えば、圧力、温度及び/又は酸素飽和度)によって導かれる治療プロトコルを決定する。
【0086】
いずれにせよ、幾つかの実施形態において、場合により行う第一の工程90において、サービス提供者は、治療を受ける患者が左心(LH)又は右心(RH)/両心室不全のいずれかの病歴を有するかどうかを決定する。方法99は、病歴に関係なく、医療サービス提供者によって決定されるLH又はRH/両心室不全のリスクを有する患者に使用することができる。場合により行う工程91において、医療サービス提供者は、正常レベル(圧力、心拍出量及び/又は酸素飽和度)が幾つであるかを、患者の現在の状態に基づいて決定するために、患者に対して様々な試験を実行することによって、急性設定において適用可能な生理学的指標(例えば、左心房圧及び右心房圧)のベースライン「正常」レベルを設定する。次に、ベースライン値をシステムに入力することができ、データをモニタリングシステム62に転送する。この図に示される例において、測定される圧力は左心房圧(LAP)及び右心房圧(RAP)である。他の実施形態は、医療サービス提供者によって適切であると見なされる、心臓の他の部分の他の測定値を含むことができる。
【0087】
幾つかの例において、モニタリングシステム62は、工程92でRAP及びLAP測定値を受信又は決定する。1つの実施形態において、測定値は、右心房及び左心房の圧力値が、正常レベルよりも下、正常レベルに又は正常レベルより上に傾向があるかどうかを含む。別の例において、この方法は、全体的な評価への追加の入力として、圧力値が増加しているか、減少しているか、又は安定しているかを考慮することもできる。
【0088】
場合により行う工程93において、モニタリングシステム62は、患者がLH又はRH/両心室不全の病歴を有するかどうかを確認する。モニタリングシステム62は、場合により、
図9の投薬管理参照表100を使用して、特定の投薬用量が工程94で増加されるか又は減少されるかを決定しそして指示する。あるいは、医療サービス提供者(例えば、医師)は、場合により、データを直接使用して、どの治療計画(例えば、薬理学的)が表100の方法を使用してデータに基づいて適切であるかを評価する。
【0089】
示されるように、表100は3つの列と3つの行を有し、列は「RAP傾向が正常を下回る」101、「RAP傾向が正常である」102、「RAP傾向が正常を上回る」103に関係し、列は「LAP傾向が正常を下回る」104、「LAP傾向が正常である」105、「LAP傾向が正常を上回る」106に関係する。例えば、RAPが正常を下回る傾向にあるが、LAPが正常を上回る傾向にあるならば、方法は表100による「血管拡張薬を増加する」の工程を含む。自動化されるならば、一貫した「メッセージ」又は通信がモニタリングシステムのユーザに中継されうる。一方、RAPも正常を上回る傾向にあるならば、この方法は「利尿薬を増加する」工程を含む。繰り返しになるが、自動化されるならば、一貫した「メッセージ」又は通信がモニタリングシステムのユーザに中継されうる。LAP値とRAP値が両方とも正常レベル(すなわち、「LAP正常」行及び「RAP正常」列により規定されたボックス)にあるならば、1つの方法は、薬剤を変更しないことを含む。
【0090】
最初の薬剤が投与された後に、方法99は、工程95において、RAPが依然として正常値を上回る傾向にあるかどうか、及びRAP値が利尿薬の影響を受けていないかどうかを確認することを含む。このことは、上記の第二の例において行われることができ、ここで、LAP及びRAPはどちらも正常値を上回る傾向にあるため、患者に投与される利尿薬の量を増加するが、続いて行うRAPの測定値は、この圧力が依然として正常値を上回っていることを示す。この例において、モニタリングシステム62は、RH不全の可能性のある診断のために患者を連れて行くように医療サービス提供者に命じる指示を工程96で表示することができる(又は医療サービス提供者はデータに基づいて工程96を実行することができる)。高RAPの他の可能性のある原因には、原発性肺動脈高血圧症がある。医療サービス提供者がこれらの病状の診断の可能性について患者を試験するときに、医療サービス提供者は「RAP正常」レベルの新しいベースライン値範囲を設定し、患者の病状をRH/両心室不全の病歴があるとして更新することができ、その結果、方法は、先に進めて、将来、工程95の代わりに工程97に進む。さもなければ、RAPが正常レベルまで低下するならば、モニタリングシステム62は、場合により、工程92に戻り、その後のRAP及びLAP測定値を取る。
【0091】
工程93に戻ると、モニタリングシステム62(又は医療サービス提供者)が、患者がRH/両心室不全の病歴を有することを確認したならば、方法99は、表100に示された分析に基づいてどの薬剤を増加させ又は減少させるかを決定した後に、工程97に進む。工程97において、方法99は、工程94で投与された薬剤が有効であるかどうかを決定することを含む。例えば、方法99は、以前のLAP及びRAP値を、薬剤投与後に取った新しいLAP及びRAP値と比較することを含むことができる。比較により、投与された薬剤が無効であることを示すような状態の変化が不十分であることが示されるならば(例えば、LAP又はRAPがまだ正常値を下回っており、薬剤によって正常レベルに向かって上昇していない場合、又は、LAP又はRAPがまだ正常値を超えており、薬剤によって正常レベルにまで低下していない場合など)、医療サービス提供者は、治療を調整するために患者を連れてくることができ、及び/又は、モニタリングシステム62はさらなる診断/治療が工程98で保証されることを示すメッセージ又は他の通信を提供することができる。薬剤の有効性が欠如している可能性は、緊急性が高まっていることの兆候である可能性があり、さもなければ直ちに医師の診察を是認する可能性がある。そうではなく、投与された薬剤が、LAP及びRAPを公称レベル又は所望のレベルに向けて動かす明らかな有効性を示しているならば、方法は工程92に戻り、モニタリングシステム62は、患者の健康を評価するための新しい測定値を受け取り、そして評価し続ける。
【0092】
心機能を評価する際に、本明細書に記載のデバイス及び方法によって得られた少なくとも2組の測定データ(この例では、LAP及びRAP測定値)を使用することは、様々な理由から1組の測定データしか用いない先行技術の方法よりも有利である。その理由は第二の組が、より正確な根本原因の診断及び治療を容易にするのに役立つことを含む。
【0093】
別の実施形態において、方法99は、実際に測定されたLAP及びRAP値を使用する代わりに、LAP対RAPの比(又はRAP対LAPの比)を使用して、どの薬剤をどの量で投与するかを決定できるようにプログラムすることができる。この方法は、左心房及び右心房内の圧力が健康な心臓の望ましい比率(例えば、2:1のLAP:RAP)に対応すべきであるという理解に基づいている可能性があるため、LAP対RAPの理想的な比を決定でき(例えば、2:1の圧力の理想的な比が望ましい)、望ましい比(例えば、2:1) よりも有意に小さい又は大きい比は、患者の健康に脅威を与える可能性がある。
【0094】
幾つかの例において、LAP対RAPの比が閾値を上回り(すなわち、LAPがRAPよりもはるかに高く)、LH不全の病歴を有する患者において増加し続けるならば、方法は、投与される血管拡張薬の量を増加すべきであるとの決定を含むことができる。そのような決定を引き起こすLAP対RAPの閾値比の値は、医療サービス提供者によって定期的に(例えば、患者に対して実施された検査の後に)決定及び更新されうる。言い換えれば、様々な方法としては、1人以上の医療サービス提供者が「正常な」ベースライン比の範囲を決定することが挙げられ、それは、次いで、投薬管理参照表で使用される。あるいは、適切なベースラインに関して、一般化された一連のガイドラインを医療サービス提供者に提供することができる。
【0095】
方法99は、薬理学的計画又は投薬計画をどれだけ増加する又は減少する必要があるかに関して、より具体的になるように調整することができ、それはLAP及びRAPが正常レベルをどれだけ上回る又は下回る傾向があるかに基づいて変更されうる。これは、投与される薬剤の量を示す別の表又は表100内のガイドラインのセットを実装することによって行うことができる(例えば、医療サービス提供者の直接の介入を必要とせずに患者の治療用量を調整できるようにするため)。表100は、例えば、表100の特定の生理学的測定値及び関連するガイダンスのセットによって示されるように、β遮断薬及び強心薬などの様々な医学的推奨/指示のいずれかを含むことができる。選択する薬剤及びその投与量を患者に通知するために、投与する必要のある薬剤の種類(例えば、利尿薬及び血管拡張薬)及びその投与量を、例えば、患者が使用するコンピュータのスクリーン又はスマートデバイスのディスプレイに表示できる。
【0096】
上記で参照したように、測定データ及び関連するモニタリング及び治療方法は、必ずしもLAP及びRAP測定に限定されない。幾つかの例において、追加又は代替の場所(例えば、肺動脈、心室、肺静脈、大動脈及びその他)及び/又は追加又は代替の指標(例えば、温度及び/又は酸素飽和度)は、方法99などのモニタリング及び治療方法を実施する際に利用されうる。
【0097】
上記で説明したように、方法99は、手動で実行することも、又は、検出デバイス61からの測定データを受信しそして処理することができる任意のデバイスを使用して部分的又は完全に自動化することもできる。例えば、モニタリングシステム62(例えば、スマートデバイスなど)で完全に方法99を実施することができ、検出デバイス61からのLAP及びRAP測定データを受信した後に、すべての比較、計算及び決定を実行する。幾つかの例において、方法は、モニタリングシステム62において部分的に実施され、通信リレー80で部分的に実施され、それは、圧力センサからLAP及びRAP測定データを受信し、LAP及びRAPが正常レベルを上回り/正常レベルであり/正常レベルを下回るかどうか、減少/定常/増加しているかどうかを判定し、次いで、この情報をモニタリングシステム62に中継して、方法の残りを実行するための処理ユニットを含むことができる。さらに別の例において、検出デバイス61は適切な構造を有し、方法の一部又は全体を実行するようにプログラムされうる。
【0098】
さらに別の例において、方法99は、患者が方法の結果に従って薬剤を投与することを可能にするユーザインターフェースを備えたデバイスで実施することができる。この方法は、各患者の必要な記録を追跡する医療サービス提供者の電子健康記録(EHR)又は電子医療記録(EMR)システムでも実施されうる。そのため、EHR又はEMRシステムは、ローカル又は遠隔データベースを使用して、とりわけ、患者のLH又はRH/両心室不全の病歴及び医療サービス提供者が患者にそのような不全のリスクがあると認められたかどうかなどにアクセスすることができる。この方法から得られたデータは、ユーザインターフェースのダッシュボードに表示でき、ユーザ(例えば、患者及び医療サービス提供者)向けの複数の選択肢を含み、それは、LAP及びRAP平均値、傾向矢印、経時的な線グラフ、波形、及び、患者が取った薬の履歴などを含むことができる。ダッシュボードはまた、ユーザが最初に平均値及び傾向などの最も意味のある情報を引き出してから、波形などのより詳細な分析をさらに掘り下げることができるように構成されうる。これは、各選択肢の重要性に基づいて複数の選択肢を階層的に編成することによって実装されうる。1つの例において、選択肢のこの階層的な順序は、最も好ましい情報を最初に引き出すことができるように、ユーザの選好に従ってカスタマイズ可能である。
【0099】
図10は、幾つかの実施形態による、患者の治療計画を決定するための方法200のフローダイアグラムを示している。少なくとも幾つかの実施形態において、患者の治療計画は、患者の投薬計画を維持すること、患者の投薬計画を増加すること、患者の投薬計画を減少すること、患者の投薬の種類を変更すること、患者の心臓波形を確認し及び/又はチェックすること、及び/又は患者がさらなる試験及び/又は診断のための医療専門家を訪問することを提案することを含むことができる。少なくとも幾つかの実施形態において、患者の治療計画は、モニタリングシステム62によって患者に通信されうる。幾つかの実施形態において、患者の投薬の種類を変更するための以下で記載される実施形態は、機械学習技術を使用する処理デバイスによって決定されうる。
【0100】
例えば、方法200は、例えば、検出デバイス61又は本明細書に記載のセンサ要素のいずれかから受信された測定データを使用して、モニタリングシステム62などの1つ以上の電子デバイスを使用して実施することができる。少なくとも幾つかの実施形態において、方法200は、LHF、右心不全(RHF)及び/又は原発性肺疾患の病歴を有する患者に使用して、検出された左心圧測定値(例えば、左心房圧測定値)及び/又は右心圧測定値(例えば、右心房圧測定値)によって導かれる治療計画を決定することができる。
【0101】
少なくとも幾つかの実施形態において、方法200(及び/又はアルゴリズム99)を閉ループシステム(例えば、利尿薬及び/又は血管拡張薬ポンプ)で使用して、患者のコンプライアンスに依存する必要性を低減することができる。追加的に又は代替的に、方法200(及び/又はアルゴリズム99)は、投薬に加えてデバイス設定(例えば、VAD RPM)を調整するために、治療デバイス(例えば、VAD)とともに使用され及び/又は組み込まることができる。
【0102】
幾つかの実施形態において、方法200は、患者がLHF、RHF及び/又は原発性肺疾患状態を有するかどうかを決定することを含む(ブロック202)。少なくとも幾つかの実施形態において、医療サービス専門家は、患者の病歴、家族歴、身体検査、胸部X線撮影、心電図などのうちの1つ以上に基づいて決定を行うことができる。実施形態において、方法200は、患者の病状を1つ以上のデバイスに入力及び/又は通信することを含むことができる(ブロック204)。例えば、病状をモニタリングシステム62に入力することができる。
【0103】
方法200の幾つかの実施形態はまた、1つ以上のベースライン心圧測定値を決定することを含むことができる(ブロック206)。例えば、少なくとも幾つかの実施形態において、ベースライン心圧測定値は、ベースライン左心圧測定値及び/又はベースライン右心圧測定値であることができる。例えば、左心圧測定値は左心房圧測定値(LAP)であり、右心圧測定値は右心房圧測定値(RAP)であることができる。追加的に又は代替的に、左心圧及び/又は右心圧を表すために、他の測定値を検出することができる。例えば、上述のように、左心圧の代理を使用することができる。別の例として、上述のように、右心圧の代理を使用することができる。
【0104】
少なくとも幾つかの実施形態において、圧力読み取り値がセンサドリフトの疑いがあるならば、バルサルバ圧測定技術(遠隔又はオフィス内)を使用して、圧力検出デバイス61を再較正することができる。例えば、バルサルバ気道圧は検出デバイス61のRVEDPと等しくし、再較正のために比較することができる。
【0105】
少なくとも幾つかの実施形態において、ベースライン心圧測定値は、健康な心圧測定値に基づいて決定されうる。例えば、健康な心臓は、およそL1である左心圧測定値、及び、およそR1である右心圧測定値を有することができる。実施形態において、ベースライン心圧測定値は、L1及びR1+/-の適切な変動に設定されうる。少なくとも幾つかの実施形態において、変動は+/-10%、20%などであることができる。そのため、ベースライン心圧測定値は、L1及びR1+/-10%、20%などに設定されうる。
【0106】
追加的に又は代替的に、ベースライン心圧測定値は、患者の病状に基づいて医療サービス提供者によって決定されうる。例えば、医療サービス提供者は、患者の病状(例えば、LHR、RHF及び/又は原発性肺疾患)に基づいてベースライン心圧測定値を割り当てることができ、及び/又は、患者の現在の病状に基づいて、正常心圧測定値がいくつであるかを決定するために、患者に様々な試験を実行することによって患者のベースライン心圧測定値を急性設定で試験することができる。次いで、ベースライン心圧測定値をモニタリングシステム62に入力し、受信することができる(ブロック208)。
【0107】
方法200はまた、ベースライン圧力が確立された後に、LAP及び/又はRAPを検出又は決定することを含むことができる(ブロック210)。少なくとも幾つかの実施形態において、LAP及び/又はRAPは規則的な間隔で検出又は決定される。例えば、LAP及び/又はRAPは、毎分、毎時、毎日、毎週、毎月などに検出されうる。本記載全体を通して使用されるときに、方法200及び/又はアルゴリズム99に関連して使用されるものを含むLAP及びRAPのいずれか又は両方は、本明細書に記載の方法によって(例えば、検出デバイス61及びモニタリングシステム62を使用することによって)決定された圧力であることができる。
【0108】
方法200は、検出又は決定されたLAP及び/又は検出又は決定されたRAPがベースライン心圧測定値から変化するかどうかを決定することをさらに含むことができる(ブロック214)。例えば、モニタリングシステム62は、ブロック210で検出されたLAP及び/又はRAPを、ブロック208で確立されたベースライン測定値と比較することができる。次いで、モニタリングシステム62は、LAP及び/又はRAPが、ブロック208で確立されたベースライン心圧測定値を下回るか、ベースライン測定値であるか、又は、ベースライン測定値を上回るかを決定することができる。例えば、LAP及び/又はRAPがベースライン心圧測定値の閾値内にあるならば、方法200はブロック210に戻り、LAP及び/又はRAPをモニタリングし続ける。あるいは、LAP及び/又はRAPがベースライン心圧測定値より閾値だけ上回る又は下回るならば、方法200はブロック216に進むことができる。
【0109】
少なくとも幾つかの実施形態において、閾値は、ベースライン心圧測定値の百分率差であることができる。幾つかの実施形態において、百分率差をモニタリングシステム62に入力することができる。例えば、閾値は、ベースライン心圧測定値の+/-5%、+/-10%、+/-15%、+/-20%、+/-25%などであることができる。そして、百分率閾値が選択されてモニタリングシステム62に入力されると、検出されたLAP及び/又は検出されたRAPがベースライン心圧測定値の選択された百分率内にあるならば、方法200はブロック210に進むことができる。あるいは、検出されたLAP及び/又は検出されたRAPが、ベースライン心圧測定値から選択された百分率だけ異なるか、又は選択された百分率を超えて異なるならば、方法200はブロック216に進むことができる。
【0110】
少なくとも幾つかの他の実施形態において、閾値は定数であることができる。幾つかの実施形態において、百分率差をモニタリングシステム62に入力することができる。例えば、閾値は水銀柱X1ミリメートル(mmHg)とすることができる。そして、検出されたLAP及び/又は検出されたRAPがベースライン心圧測定値のX1以内にあるならば、方法200はブロック210に進むことができる。あるいは、ベースライン心圧測定値よりもX1だけ異なり又はX1を超えて異なるならば、方法200はブロック216に進むことができる。
【0111】
追加的又は代替的に、方法200はまた、検出されたLAP及び/又は検出されたRAPの傾向を決定することを含むことができる。例えば、モニタリングシステム62は、全体的な評価への追加の入力として、圧力値が増加しているか、減少しているか又は安定したままであるかを決定することができる。
【0112】
方法200がブロック216に進行する事象において、方法200は、患者の病状に基づいて、
図11~17の適切な図に進む。すなわち、方法200が、ブロック202で患者がLHFのみを有すると決定するならば、方法200は、
図11に示される表300、350に進む。方法200が、ブロック202で患者がRHFのみを有すると決定するならば、方法200は、
図12に示される表400、450に進む。方法200が、ブロック202で患者が原発性肺疾患のみを有すると決定するならば、方法200は、
図13に示される表500、550に進む。方法200が、ブロック202で患者がLHF及びRHFのみを有すると決定するならば、方法200は、
図14に示される表600、650に進む。方法200が、ブロック202で患者がLHF及び原発性肺疾患のみを有すると決定するならば、方法200は、
図15に示される表700、750に進む。方法200が、ブロック202で患者がRHF及び原発性肺疾患のみを有すると決定するならば、方法200は、
図16に示される表800、850に進む。そして、方法200が、ブロック202で患者がLHF、RHF及び原発性肺疾患を有すると決定するならば、方法200は、
図17に示される表900、950に進む。適切な表が参照されると、方法200は、検出されたLAP及び/又は検出されたRAPを使用して、表から推奨される治療計画に基づいて患者の治療計画を決定する(ブロック218)。少なくとも幾つかの実施形態において、モニタリングシステム62は、
図11~17に示される表のうちの適切な表を参照することができ、そして適切な表により提案された治療計画に従うように患者及び/又は医療専門家に(通知及び/又はその他の通信を介して)指示することができる。ブロック218で治療計画を決定し、投薬し及び/又は通信すると、方法200は、ブロック210に戻ってLAP及び/又はRAPを検出し、方法200を継続して治療計画が有効であるかどうかを決定することができる。少なくとも幾つかの実施形態において、治療としては、限定するわけではないが、診断、薬物用量設定、高度治療、IV投薬、ライフスタイルの変更、心房内シャント、弁の修復/交換、ICD、CRT及びアブレーションが挙げられる。例示的な薬物用量設定としては、限定するわけではないが、血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬が挙げられる。例示的な高度治療としては、限定するわけではないが、心室補助デバイス(VAD)のインプラント処置、移植又はその両方が挙げられる。例示的なライフスタイルの変更としては、限定するわけではないが、食事の変更、活動の増加又はその両方が挙げられる。
【0113】
方法200は、LAP及びRAPがベースラインレベルをどれだけ上回っているか又は下回っているかに基づいて変化させることができる、薬理学的計画又は投薬計画をどれだけ増加又は減少させる必要があるかに関して、より特定的になるように調整することができる。これは、別の表、又は
図1~
図17に示される表内のガイドラインのセットを実装することによって行うことができる。ガイドラインのセットは、投与される薬剤の量を示す(例えば、直接の医療サービス提供者の介入を必要とせずに、治療投薬計画を患者に合わせて調整できるようにするため)。さらに、どの薬剤を選択するか及びその投与量について患者に知らせるために、投与する必要がある薬剤の種類(例えば、利尿薬又は血管拡張薬)及びその投与量を、例えば、患者が使用するコンピュータのスクリーン又はスマートデバイスのディスプレイに表示することができる。
【0114】
上記に説明したように、方法200は手動で実行することもでき、又は、検出デバイス61から測定データを受信しそして処理できる任意のデバイスを使用して部分的又は完全に自動化することもできる。例えば、方法200はモニタリングシステム62(例えば、スマートデバイスなど)で全体として実施され、これは、検出デバイス61からLAP及びRAP測定データを受信した後に、すべての比較、計算及び決定を実行する。幾つかの例において、方法200は、部分的に、モニタリングシステム62、及び、部分的に、通信リレー80において実行されることができ、それは、センサからLAP及びRAP測定データを受信し、LAP及びRAPが正常レベルを上回る/正常レベルである/正常レベルを下回るかどうか、及び、減少している/定常である/増加しているかどうかを決定し、次に、この情報をモニタリングシステム62に中継して、方法の残りを実行するための処理ユニットを含むことができる。さらに別の例において、検出デバイス61は、方法200の一部又は全体を実行するように適切に構成及びプログラムされうる。
【0115】
さらに別の例において、方法200は、方法200の結果に従って患者が薬剤を投与することを可能にするユーザインターフェースを備えたデバイスで実施することができる。方法200は、各患者の必要な記録を追跡する医療サービス提供者の電子健康記録(EHR)又は電子医療記録(EMR)システムで行うこともできる。そのため、EHR又はEMRシステムは、ローカル又は遠隔のデータベースを使用して、とりわけ、患者のLHF又はRHFの病歴、及び医療サービス提供者が患者にそのような不全のリスクがあると認めたかどうかにアクセスすることができる。方法200から得られたデータは、ユーザ(例えば、患者及び医療サービス提供者)のための複数の選択肢とともにユーザインターフェースのダッシュボードに表示されることができ、これには、LAP及びRAP平均、傾向矢印、経時的な線グラフ及び波形ならびに患者により取られた医薬の履歴などを挙げることができる。ダッシュボードは、ユーザが最初に平均値及び傾向などの最も意味のある情報を引き出し、その後、波形などのより詳細な分析を表示できるように構成することもできる。これは、各選択肢の重要性に基づいて複数の選択肢を階層的に編成することによって実施できる。1つの例において、選択肢のこの階層的な順序は、最も好ましい情報を最初に引き出すことができるように、ユーザの選好に従ってカスタマイズ可能である。
【0116】
図11を参照すると、LHFの病状を有すると診断された患者について、例示的な診断計画探索表300及び例示的な治療計画探索表350が示されている。特に、表300は、3つの列302、304、306及び3つの行308、310、312を有し、各セルは、患者について対応する検出された心圧測定値に基づいて患者の病理を示す。同様に、表350は、3つの列352、354、356及び3つの行358、360、362を有し、各セルは、対応する検出された圧力測定値及び表300内の特定された病理に基づく患者の治療計画を示す。すなわち、列302、352は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ低いことに関係する。列304、354は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPの閾値内にあることに関係する。列306、356は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行308、358は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行310、360は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPの閾値内にあることに関係する。また、行312、362は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ低いことに関係する。
【0117】
列302、352を参照すると、検出されたRAPが、ベースラインRAPよりも閾値だけ低い。行308、358に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者の全身血管抵抗(SVR)が増加した可能性が高いため、患者の治療計画は、表350に従って患者の血管拡張薬投与計画を増加させることになる。別の例として、さらに列302、352を参照すると、行310、360に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のSVRが増加し、患者の血管内体積が減少した可能性が高いため、患者の血管拡張薬投与計画を増加させ、一方、患者の利尿薬投与計画を減少させる。さらに別の例として、さらに列302、352を参照すると、行312、362に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の血管内体積が減少した可能性が高く、表350に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少させることである。
【0118】
列304、354を参照すると、検出されたRAPはベースラインRAPの閾値内にある。検出されたLAPがベースラインLAPより閾値だけ高い事象において、患者のSVRが増加し、患者の血管内体積が増加した可能性が高い。この場合において、患者の血管拡張薬投与計画は増加され、患者の利尿薬投与計画は増加される。別の例として、さらに列304、354を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者の投薬計画が有効である可能性が高く、現在の治療計画は維持される。さらに別の例として、さらに列304、354を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の肺血管抵抗(PVR)が増加したか、又は患者がRHFを経験しそして患者の血管内体積が減少した可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。
【0119】
列306、356を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ高い。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者の血管内体積が増加した可能性が高いため、患者の利尿薬投与計画は増加される。別の例として、さらに列306、356を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者はRHFを経験しそして血管内体積が増加しているか、又は患者のPVRが増加しそして患者の血管内体積が増加している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。さらに別の例として、さらに列306、356を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPより閾値だけ低いならば、患者はRHFを経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断はモニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。これらの投与計画の変更のいずれかについて、モニタリングシステム62は通知を送り、及び/又は対応する指示を治療デバイスに送ることができる。
【0120】
図12を参照すると、RHFの病状を有すると診断された患者について、例示的な診断計画探索表400及び例示的な治療計画探索表450が示されている。特に、表400は、3つの列402、404、406及び3つの行408、410、412を有し、各セルは、患者について対応する検出された心圧測定値に基づいて患者の病理を示す。同様に、表450は、3つの列452、454、456及び3つの行458、460、462を有し、各セルは、対応する検出された圧力測定値及び表400内の特定された病理に基づく患者の治療計画を示す。すなわち、列402 、452は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ低いことに関係する。列404、454は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPの閾値内にあることに関係する。列406、456は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行408、458は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行410、460は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPの閾値内にあることに関係する。また、行412、462は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ低いことに関係する。
【0121】
列402、452を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ低い。行408、458に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者はLHFを経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。別の例として、さらに列402、452を参照すると、行410、460に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者はLHFを経験しており、患者の血管内体積は減少している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。さらに別の例として、さらに列402、452を参照すると、行412、462に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の血管内体積が減少した可能性が高く、対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少することである。
【0122】
列404、454を参照すると、検出されたRAPはベースラインRAPの閾値内にある。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者はLHF及び血管内体積の増加を経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。別の例として、さらに列404、454を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者の投与計画は有効である可能性が高く、現在の治療計画が維持される。さらに別の例として、さらに列404、454を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のRHFが悪化し、患者の血管内体積が減少している可能性が高い。この場合において、対応する治療計画は、肺血管拡張薬治療計画を増加し、そして利尿薬治療計画を減少することである。
【0123】
列406、456を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ高い。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高いならば、患者の血管内体積が増加した可能性が高いため、表450に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列406、456を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のRHFは悪化している可能性が高く、患者の血管内体積が増加している。この場合において、表450に示される対応する投与計画は、肺血管拡張薬を増加し、利尿薬を増加することである。さらに別の例として、さらに列406、456を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のRHFが悪化している可能性が高い。この場合において、表450に示される対応する治療計画は、肺血管拡張薬を増加することである。これらの投薬計画の変更のいずれについても、モニタリングシステム62は、通知を送り、及び/又は対応する指示を治療デバイスに送ることができる。
【0124】
図13を参照すると、原発性肺障害の病状を有すると診断された患者について、例示的な診断計画探索表500及び例示的な治療計画探索表550が示されている。特に、表500は、3つの列502、504、506及び3つの行508、510、512を有し、各セルは、患者について対応する検出された心圧測定値に基づいて患者の病理を示す。同様に、表550は、3つの列552、554、556及び3つの行558、560、562を有し、各セルは、対応する検出された圧力測定値及び表500内の特定された病理に基づく患者の治療計画を示す。すなわち、列502、552は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ低いことに関係する。列504、554は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPの閾値内にあることに関係する。列506、556は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行508、558は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行510、560は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPの閾値内にあることに関係する。また、行512、562は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ低いことに関係する。
【0125】
列502、552を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ低い。行508、558に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者はLHFを経験している可能性が高い。この場合に、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。別の例として、さらに列502、552を参照すると、行510、560に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者はLHFを経験しており、患者の血管内体積が減少している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。さらに別の例として、さらに列502、552を参照すると、行512、562に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の血管内体積が減少した可能性が高く、対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少することである。
【0126】
列504、554を参照すると、検出されたRAPはベースラインRAPの閾値内にある。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高いならば、患者はLHF及び血管内体積の増加を経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。別の例として、さらに列504、554を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者の投与計画は有効である可能性が高く、現在の治療計画が維持される。さらに別の例として、さらに列504、554を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のPVRが悪化している可能性が高い。この場合において、対応する治療計画は、肺血管拡張薬の治療計画を増加することである。
【0127】
列506、556を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ高い。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者の血管内体積が増加した可能性が高いため、表550に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列506、556を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者はRHFを経験しそして患者の血管内体積が増加しているか、又は患者のPVRが悪化しそして血管内体積が増加している。この場合において、表550に示される対応する投与計画は、肺血管拡張薬を増加させ、利尿薬を増加させることである。さらに別の例として、さらに列506、556を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPより閾値だけ低いならば、患者はRHFを経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断はモニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。これらの投与計画の変更のいずれかについて、モニタリングシステム62は通知を送り、及び/又は対応する指示を治療デバイスに送ることができる。
【0128】
図14を参照すると、LHF及びRHFの病態を有すると診断された患者について、例示的な診断計画探索表600及び例示的な治療計画探索表650が示されている。特に、表600は、3つの列602、604、606及び3つの行608、610、612を有し、各セルは、患者について対応する検出された心圧測定値に基づいて患者の病理を示す。同様に、表650は、3つの列652、654、656及び3つの行658、660、662を有し、各セルは、対応する検出された圧力測定値及び表600内の特定された病理に基づく患者の治療計画を示す。すなわち、列602、652は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ低いことに関係する。列604、654は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPの閾値内にあることに関係する。列606、656は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行608、658は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行610、660は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPの閾値内にあることに関係する。また、行612、662は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ低いことに関係する。
【0129】
列602、652を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ低い。行608、658に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者のSVRが増加した可能性が高いため、患者の治療計画は、表650に示されるように、患者の血管拡張薬の投与計画を増加することである。別の例として、さらに列602、652を参照すると、行610、660に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のSVRは増加し、患者の血管内体積は減少している可能性が高いため、表650に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少させながら、患者の血管拡張薬投与計画を増加させることである。さらに別の例として、さらに列602、652を参照すると、行612、662に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の血管内体積が減少した可能性が高く、表650に示された対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少させることである。
【0130】
列604、654を参照すると、検出されたRAPはベースラインRAPの閾値内にある。検出されたLAPがベースラインLAPより閾値だけ高い事象において、患者のSVRが増加し、患者の血管内体積が増加した可能性が高い。この場合において、患者の血管拡張薬投与計画は増加され、患者の利尿薬投与計画は増加される。別の例として、さらに列604、654を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者の投薬計画が有効である可能性が高く、現在の治療計画が維持される。さらに別の例として、さらに列604、654を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のRHFが悪化しており、患者の血管内体積が減少している可能性が高い。この場合において、表650に示される治療計画は、肺血管拡張薬投与計画を増加させ、利尿薬投与計画を減少させることである。
【0131】
列606、656を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ高い。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者の血管内体積が増加した可能性が高いため、表650に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列606、656を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のRHFは悪化し、そして患者の血管内体積が増加している可能性が高い。この場合において、表650に示される対応する投与計画は、肺血管拡張薬を増加させ、利尿薬を増加させることである。さらに別の例として、さらに列606、656を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のRHFが悪化している可能性が高い。この場合において、表650に示される対応する治療計画は、肺血管拡張薬を増加させることである。これらの投薬計画の変更のいずれについても、モニタリングシステム62は、通知を送り、及び/又は対応する指示を治療デバイスに送ることができる。
【0132】
図15を参照すると、LHF及び原発性肺疾患の病状を有すると診断された患者について、例示的な診断計画探索表700及び例示的な治療計画探索表750が示されている。特に、表700は、3つの列702、704、706及び3つの行708、710、712を有し、各セルは、患者について検出された対応する心圧測定値に基づいて患者の病理を示す。同様に、表750は、3つの列752、754、756及び3つの行758、760、762を有し、各セルは、対応する検出された圧力測定値及び表700の特定された病理に基づく患者の治療計画を示す。すなわち、列702 、752は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ低いことに関係する。列704、754は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPの閾値内にあることに関係する。列706、756は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行708、758は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行710、760は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPの閾値内にあることに関係する。また、行712、762は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ低いことに関係する。
【0133】
列702、752を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ低い。行708、758に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者のSVRが増加した可能性が高いため、患者の治療計画は、表750に示されるように患者の血管拡張薬の投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列702、752を参照すると、行710、760に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のSVRが増加し、患者の血管内体積が減少した可能性が高いため、表750に示される対応する治療計画は、患者の血管拡張薬投与計画を増加させ、一方、患者の利尿薬投与計画を減少させることである。さらに別の例として、さらに列702、752を参照すると、行712、762に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の血管内体積が減少した可能性が高く、表750に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少させることである。
【0134】
列704、754を参照すると、検出されたRAPはベースラインRAPの閾値内にある。検出されたLAPがベースラインLAPより閾値だけ高い事象において、患者のSVRが増加し、患者の血管内体積が増加した可能性が高い。この場合において、表750に示される対応する治療計画は、患者の血管拡張薬投与計画を増加させ、患者の利尿薬投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列704、754を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者の投薬計画が有効である可能性が高く、現在の治療計画が維持される。さらに別の例として、さらに列704、754を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のPVRが悪化している可能性が高い。この場合において、表750に示される治療計画は、患者の肺血管拡張薬投薬計画を増加させることである。
【0135】
列706、756を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ高い。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者の血管内体積が増加した可能性が高いため、表750に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列706、756を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のPVRは悪化している可能性が高く、患者の血管内体積が増加している。この場合において、表750に示される対応する投与計画は、肺血管拡張薬を増加させ、利尿薬を増加させることである。さらに別の例として、さらに列706、756を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者はRHFを経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断はモニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。これらの投与計画の変更のいずれかについて、モニタリングシステム62は通知を送り、及び/又は対応する指示を治療デバイスに送ることができる。
【0136】
図16を参照すると、RHF及び原発性肺疾患の病状を有すると診断された患者について、例示的な診断計画探索表800及び例示的な治療計画探索表850が示されている。特に、表800は、3つの列802、804、806及び3つの行808、810、812を有し、各セルは、患者について対応する検出された心圧測定値に基づいて患者の病理を示す。同様に、表850は、3つの列852、854、856及び3つの行858、860、862を有し、各セルは、対応する検出された圧力測定値及び表800内の特定された病理に基づく患者の治療計画を示す。すなわち、列802、852は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ低いことに関係する。列804、854は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPの閾値内にあることに関係する。列806、856は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行808、858は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行810、860は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPの閾値内にあることに関係する。また、行812、862は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ低いことに関係する。
【0137】
列802、852を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ低い。行808、858に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者はLHFを経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。別の例として、さらに列802、852を参照すると、行810、860に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者はLHFを経験し、患者の血管内体積は減少している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。さらに別の例として、さらに列802、852を参照すると、行812、862に対応する、検出されたLAPが、ベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の血管内体積は減少した可能性が高く、対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少させることである。
【0138】
列804、854を参照すると、検出されたRAPはベースラインRAPの閾値内にある。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者はLHF及び血管内体積の増加を経験している可能性が高い。この場合において、モニタリングシステム62は、さらなる試験及び/又は診断のために医療専門家を訪問することを患者に提案することができる。追加的に又は代替的に、診断は、モニタリングシステム62によって自動的に行われることができる。別の例として、さらに列804、854を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者の投与計画が有効である可能性が高く、現在の治療計画が維持される。さらに別の例として、さらに列804、854を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のPVRが悪化しているか、又は、患者のRHFが悪化しており、患者の血管内体積が増加している可能性が高い。この場合において、表850に示される対応する治療計画は、患者の肺血管拡張薬治療計画を増加させ、利尿薬治療計画を減少させることである。
【0139】
列806、856を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ高い。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者の血管内体積が増加した可能性が高いため、表850に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列806、856を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のRHFは悪化し、患者の血管内体積が増加しているか、又は、患者のPVRが悪化し、患者の血管内体積が増加している可能性が高い。この場合において、表850に示される対応する投与計画は、肺血管拡張薬を増加させ、利尿薬を増加させることである。さらに別の例として、さらに列806、856を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のRHFが悪化している可能性が高い。この場合において、表850に示される対応する治療計画は、肺血管拡張薬を増加させることである。これらの投薬計画の変更のいずれについても、モニタリングシステム62は、通知を送り、及び/又は対応する指示を治療デバイスに送ることができる。
【0140】
図17を参照すると、LHF、RHF及び原発性肺疾患の病状を有すると診断された患者のための例示的な診断計画探索表900及び例示的な治療計画探索表950が示されている。特に、表900は、3つの列902、904、906及び3つの行908、910、912を有し、各セルは、患者について対応する検出された心圧測定値に基づいて患者の病理を示す。同様に、表950は、3つの列952、954、956及び3つの行958、960、962を有し、各セルは、対応する検出された圧力測定値及び表900内の特定された病理に基づく患者の治療計画を示す。すなわち、列902、952は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ低いことに関係する。列904、954は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPの閾値内にあることに関係する。列906、956は、(
図10の)ブロック210で検出されたRAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインRAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行908、958は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ高いことに関係する。行910、960は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPの閾値内にあることに関係する。また、行912、962は、(
図10の)ブロック210で検出されたLAPが、(
図10の)ブロック206で決定されたベースラインLAPよりも閾値だけ低いことに関係する。
【0141】
列902、952を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ低い。行908、958に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者のSVRが増加した可能性が高いため、患者の治療計画は、表950に示されるように、患者の血管拡張薬投与計画を増加することである。別の例として、さらに列902、952を参照すると、行910、960に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のSVRが増加し、患者の血管内体積が減少した可能性が高いため、表950に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少させながら、患者の血管拡張薬投与計画を増加させることである。さらに別の例として、さらに列902、952を参照すると、行912、962に対応する、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者の血管内体積が減少した可能性が高く、表950に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を減少させることである。
【0142】
列904、954を参照すると、検出されたRAPはベースラインRAPの閾値内にある。検出されたLAPがベースラインLAPより閾値だけ高い事象において、患者のSVRが増加し、患者の血管内体積が増加した可能性が高い。この場合において、患者の血管拡張薬投与計画は増加され、患者の利尿薬投与計画は増加される。別の例として、さらに列904、954を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者の投与計画が有効である可能性が高く、現在の治療計画が維持される。さらに別の例として、さらに列904、954を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のPVRが増加したか、又は患者のRHFが悪化しそして患者の血管内体積が減少した可能性が高い。この場合において、表950に示される治療計画は、肺血管拡張薬投与計画を増加させ、利尿薬投与計画を減少させることである。
【0143】
列906、956を参照すると、検出されたRAPは、ベースラインRAPよりも閾値だけ高い。検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ高い事象において、患者の血管内体積が増加した可能性が高いため、表950に示される対応する治療計画は、患者の利尿薬投与計画を増加させることである。別の例として、さらに列906、956を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPの閾値内にあるならば、患者のRHFは悪化し、患者の血管内体積が増加している可能性が高いか、又は患者のPVRが増加しそして患者の血管内体積が増加した可能性が高い。この場合において、表950に示される対応する投与計画は、肺血管拡張薬を増加させ、利尿薬を増加させることである。さらに別の例として、さらに列906、956を参照すると、検出されたLAPがベースラインLAPよりも閾値だけ低いならば、患者のRHFが悪化している可能性が高い。この場合において、表950に示される対応する治療計画は、肺血管拡張薬を増加させることである。これらの投薬計画の変更のいずれについても、モニタリングシステム62は、通知を送り、及び/又は対応する指示を治療デバイスに送ることができる。
【0144】
幾つかの実施形態において、方法200(及び/又はアルゴリズム99)は、血圧上昇に対処するための、利尿薬、血管拡張薬及び肺血管拡張薬以外の他の薬剤の追加を決定するために、全身血圧及び心拍数などの追加の指標を組み込むことができる。例えば、心拍数の増加は、高いLAP圧を下げるために、血管拡張薬の代わりにベータ遮断薬の投与量の増加の必要性を決定することができる。別の例として、高LAP及び高RAPと組み合わされた非常に低い血圧は、利尿薬の代わりに強心薬の必要性を決定することができる。さらに、少なくとも幾つかの実施形態において、方法200(及び/又はアルゴリズム99)を使用して、ライフスタイルの変更(食事、活動)、高度治療(VAD、移植)、又は治療的介入(心房内シャント、CRT、ICD、弁の修復/交換、アブレーションなど)を含む投薬用量設定以外の治療の必要性を示すことができる。
【0145】
開示された実施形態は、増強された有効性及び他の利点を提供する。例えば、左心処置又はインプラント又は右心房又は処置又はインプラントは必要ない可能性がある。単一の圧力検出デバイスを備えた実施形態は、効果的にインプラント処置されることができる。この方法は、有効性を高める。また、心房中隔の直接測定を回避すると、心房中隔が開いたままになるか、又は、心房シャント、閉塞、左心耳閉塞、僧帽弁の修復/交換、僧帽腱の修復/交換、及び/又は心房細動アブレーションなどの処置に利用できるようになる。
【0146】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定的であると解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0147】
本出願の発明を一般的にかつ特定の実施形態に関しての両方で記載してきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変形及び変更を加えることができることが当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内にある限り、本発明の変形及び変更を網羅することが意図されている。
【0148】
実施形態において、本明細書に記載の方法は、薬剤で治療することができる病状に関連して使用することができる。本明細書に記載されているタイプの方法を使用する前に、僧帽弁もしくは三尖弁逆流又は心房細動などの圧力上昇を引き起こす可能性のある疾患状態又は併存疾患の存在を除外することが有利である場合があり、薬剤ではなく手術などの他の治療アプローチ又は処置から利益を得ることができる。
(態様)
(態様1)
ある病状を有する患者の治療計画を決定するための医療システムであって、
ある期間にわたって右心室の心圧を表すRVP情報をモニタリングしそして提供するための圧力センサを含む検出デバイス、
前記RVP情報を受信するように結合され、および前記RVP情報に基づいて右心房充満圧を決定するようにかつ前記RVP情報に基づいて左心房充満圧を決定するように構成された、1つ以上のプロセッサ、及び、
前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を表示する表示デバイス、
を含み、
少なくとも前記圧力センサは、患者の心臓の右心室内にインプラント処置されるように構成されており、
前記病状は、左心不全、右心不全及び原発性肺疾患からなる群より選ばれる少なくとも1つである、医療システム。
(態様2)
前記患者の前記右心房充満圧、前記左心房充満圧及び前記病状を格納するように構成されたメモリユニットをさらに含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記患者の前記右心房充満圧、前記左心房充満圧及び前記病状に基づいて、患者の治療計画を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様3)
前記1つ以上のプロセッサは、無線通信リンクによって前記検出デバイスから前記RVP情報を受信するように結合されている、態様1記載の医療システム。
(態様4)
前記検出デバイスは、前記RVP情報を無線で送信するための無線トランスミッタを含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記検出デバイスによって無線で送信された前記RVP情報を受信するように結合されている、態様1記載の医療システム。
(態様5)
前記検出デバイスは、心臓の右心室内の壁(場合により、自由壁、心尖、中隔又は流出路)に取り付けるように構成されたハウジングを含む、態様1記載の医療システム。
(態様6)
前記検出デバイスは、前記検出デバイスを心臓の右心室の壁に取り付けるためのアンカーを含み、前記アンカーは、コイルばね又はとげフックのうちの1つ以上を場合により含む、態様5記載の医療システム。
(態様7)
前記検出デバイスは、完全に右心室内に配置されるように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様8)
前記検出デバイスは、
電磁エネルギーを受信するアンテナ、及び、
無線トランスミッタ、
を含み、
前記検出デバイスは、前記アンテナによって受信された電磁エネルギーによってエネルギーを与えられ、エネルギーが与えられたときに無線トランスミッタによって前記RVP情報を送信するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様9)
前記検出デバイスは、エネルギーを与えられるまで前記RVP情報を送信しない、態様8記載の医療システム。
(態様10)
前記1つ以上のプロセッサは、右心房充満圧の代理として前記RVP情報を使用して前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様11)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様12)
前記1つ以上のプロセッサは、拡張終期の前記RVP情報に基づいて前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様13)
前記1つ以上のプロセッサは、
心臓の電気的活動を表す電気情報、場合によりECG情報を受信するように、
前記電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定するように、そして、
心臓の拡張終期の特定された時点でのRVP情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様14)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報を前記左心房充満圧の代理として使用して前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様15)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の勾配、及び、場合により、前記勾配の最大値又はピーク、及び/又は、最小勾配に基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様16)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の最大勾配又はピーク勾配に対応する時点における前記RVP情報によって表される右心室圧を推定肺動脈拡張期圧の代理として使用し、そして前記推定肺動脈拡張期圧を前記左心房充満圧の代理として使用して、前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様15記載の医療システム。
(態様17)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様18)
前記システムは、前記右心房内の圧力を直接モニタリングすることなく前記右心房充満圧を決定し、前記左心房内の圧力を直接モニタリングすることなく前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様19)
前記検出デバイスは、拡張期及び収縮期の1つ以上の周期にわたって前記RVP情報を提供するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様20)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報に関連する心臓を含む患者の体から離れている、態様1記載の医療システム。
(態様21)
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、
前記右心房充満圧をベースライン右心房圧と比較するように、そして
前記左心房充満圧をベースライン左心房圧と比較するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様22)
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を比較するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様23)
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記治療計画の投与量を増加する通知を提供するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様24)
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、前記治療計画の投与量を減少する通知を提供するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様25)
前記1つ以上のプロセッサはインプラント可能なメディカルデバイスに組み込まれている、態様1記載の医療システム。
(態様26)
前記1つ以上のプロセッサは、前記患者の外部に配置されたデバイスに組み込まれている、態様1記載の医療システム。
(態様27)
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、以下の群の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬から選ばれる少なくとも1つの治療薬を増加する通知を提供するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様28)
前記患者の治療計画を決定するために、前記1つ以上のプロセッサは、以下の群の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬から選ばれる少なくとも1つの治療薬を減少する通知を提供するように構成されている、態様1記載の医療システム。
(態様29)
前記検出デバイスは、100Hzよりも高い周波数で、そして場合により200Hzよりも高い周波数で前記RVP情報を取得する、態様1記載の医療システム。
(態様30)
ある病状を有する患者のための治療計画を決定するためのコンピュータで実施される方法であって、
患者の心臓の右心室内に配置された圧力センサを含む検出デバイスを操作して、ある期間にわたって右心室内の圧力をモニタリングしそして右心室の圧力を表すRVP情報を送信すること、ここで、場合により、右心室に圧力センサをインプラント処置することを含む、
前記RVP情報を1つ以上のプロセッサによって処理して、前記RVP情報に基づいて患者の右心房充満圧を決定し、そして前記RVP情報に基づいて患者の左心房充満圧を決定すること、及び、
前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を表示デバイスに表示すること、
を含み、前記病状は、左心不全、右心不全及び原発性肺疾患からなる群より選ばれる少なくとも1つである、方法。
(態様31)
前記患者の前記右心房充満圧、前記左心房充満圧及び前記病状に基づいて、患者の治療計画を決定することをさらに含む、態様30記載の方法。
(態様32)
前記右心房充満圧を決定することは、前記RVP情報を前記右心房充満圧の代理として使用することを含む、態様30記載の方法。
(態様33)
前記右心房充満圧を決定することは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記右心房充満圧を決定することを含む、態様30記載の方法。
(態様34)
前記右心房充満圧を決定することは、拡張終期における前記RVP情報に基づいて前記右心房充満圧を決定すること(例えば、右心室拡張終期圧を前記右心房充満圧の代理として使用すること)を含む、態様30記載の方法。
(態様35)
前記方法は、
心臓の電気的活動を表す電気情報、場合によりECG情報を受信すること、及び、
前記電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定すること、
をさらに含み、
前記右心房充満圧を決定することは、心臓の拡張終期の特定された時点における前記RVP情報に基づいて前記右心房充満圧を決定することを含む(例えば、前記右心室拡張終期圧を前記右心房充満圧の代理として使用する)、態様30記載の方法。
(態様36)
前記左心房充満圧を決定することは、前記RVP情報を前記左心房充満圧の代理として使用することを含む、態様30記載の方法。
(態様37)
前記左心房充満圧を決定することは、前記RVP情報の勾配、及び、場合により、前記勾配の最大値もしくはピーク、及び/又は、最小勾配に基づいて前記左心房充満圧を決定することを含む、態様30記載の方法。
(態様38)
前記左心房充満圧を決定することは、前記RVP情報の最大勾配又はピーク勾配に対応する時点におけるRVP情報によって表される前記右心室圧を推定肺動脈拡張期圧の代理として使用すること、及び、前記推定肺動脈拡張期圧を前記左心房充満圧の代理として使用することを含む、態様37記載の方法。
(態様39)
前記左心房充満圧を決定することは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記左心房充満圧を決定することを含む、態様30記載の方法。
(態様40)
前記RVP情報を受信することは、右心室内に単一の圧力センサを含む検出デバイスから前記RVP情報を受信することを含む、態様30記載の方法。
(態様41)
前記RVP情報を受信することは、右心室内に完全に位置する検出デバイスから前記RVP情報を受信することを含む、態様30記載の方法。
(態様42)
前記右心房充満圧を決定すること及び前記左心房充満圧を決定することは、単一の圧力センサから受信された前記RVP情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定すること及び前記左心房充満圧を決定することを含む、態様30記載の方法。
(態様43)
前記RVP情報を受信することは、前記RVP情報を無線で受信することを含む、態様30記載の方法。
(態様44)
前記右心房充満圧を決定することは、右心房内の圧力を直接モニタリングすることなく前記右心房充満圧を決定すること、及び、
前記左心房充満圧を決定することは、左心房内の圧力を直接モニタリングすることなく前記左心房充満圧を決定することを含む、態様30記載の方法。
(態様45)
右心室に配置された圧力センサを含むインプラント処置された検出デバイスにエネルギーを与えることをさらに含み、前記エネルギーを与えられた検出デバイスは前記RVP情報を送信する、態様30記載の方法。
(態様46)
前記インプラント処置された検出デバイスは、エネルギーを与えられるまで前記RVP情報を送信しない、態様45記載の方法。
(態様47)
ある期間にわたって右心室の心圧を表すRVP情報を受信することは、拡張期及び収縮期の1つ以上の周期にわたって右心室の心圧を表すRVP情報を受信することを含む、態様30記載の方法。
(態様48)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報に関連する心臓を含む患者の身体から離れている、態様30記載の方法。
(態様49)
前記患者の治療計画を決定することは、
前記右心房充満圧をベースライン右心房圧と比較すること、及び、
前記左心房充満圧をベースライン左心房圧と比較すること、
を含む、態様30記載の方法。
(態様50)
前記患者の治療計画を決定することは、前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を比較することを含む、態様30記載の方法。
(態様51)
前記患者の治療計画を決定することは、治療計画の投与量を増加する通知を提供することを含む、態様30記載の方法。
(態様52)
前記患者の治療計画を決定することは、治療計画の投与量を減少する通知を提供することを含む、態様30記載の方法。
(態様53)
前記患者の治療計画を決定することは、以下の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬からなる群より選ばれる少なくとも1つの治療薬を増加する通知を提供することを含む、態様30記載の方法。
(態様54)
前記患者の治療計画を決定することは、以下の治療薬:血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び強心薬からなる群より選ばれる少なくとも1つの治療薬を減少する通知を提供することを含む、態様30記載の方法。
(態様55)
圧力をモニタリングするために前記検出デバイスを操作することは、100Hzよりも高い周波数で、場合により200Hzよりも高い周波数で前記RVP情報を取得することを含む、態様30記載の方法。
(態様56)
ある期間にわたって右心室の心圧に関連付けられたRVP情報を受信するように構成されたレシーバ、ここで、前記RVP情報は、心臓の右心室内に配置された圧力センサを含む検出デバイスから受信される、
受信されたRVP情報を格納するように構成されたメモリユニット、
表示デバイス、及び、
1つ以上のプロセッサであって、
前記RVP情報に基づいて右心房充満圧を決定し、そして前記RVP情報に基づいて左心房充満圧を決定するように、
前記右心房充満圧及び前記左心房充満圧を比較するように、そして
比較を前記表示デバイスに出力するように構成されたプロセッサ、
を含む、モニタリングシステム。
(態様57)
前記1つ以上のプロセッサは、前記比較に基づいて、前記患者の治療計画を決定するようにさらに構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様58)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報を前記右心房充満圧の代理として使用して前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様59)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様60)
前記1つ以上のプロセッサは、拡張終期のRVP情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様61)
前記1つ以上のプロセッサは、
心臓の電気的活動を表す電気情報、場合によりECG情報を受信し、
前記電気情報に基づいて心臓の拡張終期の時点を特定し、そして
前記心臓の拡張終期の特定された時点でのRVP情報に基づいて、前記右心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様62)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報を前記左心房充満圧の代理として使用して、前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様63)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の勾配、及び、場合により前記勾配の最大値又はピーク、及び/又は、最小勾配に基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様64)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報の最大勾配又はピーク勾配に対応する時点における前記RVP情報によって表される前記右心室圧を、推定肺動脈拡張期圧の代理として使用し、そして前記推定肺動脈拡張期圧を前記左心房充満圧の代理として使用して、
前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様63記載のモニタリングシステム。
(態様65)
前記1つ以上のプロセッサは、前記RVP情報からなる心圧情報に基づいて前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様66)
前記システムは、前記右心房内のモニタリングされた圧力に関する直接的な情報なしに前記右心房充満圧を決定し、前記左心房内のモニタリングされた圧力に関する直接的な情報なしに前記左心房充満圧を決定するように構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様67)
前記治療は、以下の群の治療から選ばれる治療:診断、薬物用量設定、高度治療、IV投薬、ライフスタイルの変更、心房内シャント、弁の修復/交換、ICD、CRT及びアブレーションを少なくとも含む、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様68)
前記薬物用量設定は、血管拡張薬、利尿薬、肺血管拡張薬、神経ホルモンアンタゴニスト、ベータ遮断薬及び変力薬の用量設定からなる群より選ばれる少なくとも1つの用量設定を含む、態様67記載のモニタリングシステム。
(態様69)
前記高度治療は、心室補助デバイス(VAD)のインプラント処置、機械的循環器支持体(MCS)のインプラント処置、移植、又はその両方からなる群より選ばれる1つ以上を含む、態様67記載のモニタリングシステム。
(態様70)
前記ライフスタイルの変更は、以下のライフスタイルの変更:食事の変更、活動の増加、又はその両方からなる群より選ばれる少なくとも1つのライフスタイルの変更を含む、態様67記載のモニタリングシステム。
(態様71)
前記1つ以上のプロセッサは、決定された治療を前記表示デバイスに出力するようにさらに構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様72)
前記1つ以上のプロセッサは、前記比較に基づいて患者を診断するようにさらに構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様73)
前記モニタリングシステムは、前記測定値の傾向データが薬剤の自動分配への変化を知らせる閉ループシステムである、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様74)
前記薬剤は利尿薬、血管拡張薬又はその両方である、態様73記載のモニタリングシステム。
(態様75)
前記モニタリングシステムは、前記測定値の傾向データが心室補助デバイスへ変化を知らせる閉ループシステムである、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様76)
前記モニタリングシステムは、心室補助デバイスのRPM変化を決定するために使用される、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様77)
前記1つ以上のプロセッサは、機械学習を使用して治療計画を変更する、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様78)
処理デバイスは、以下の1つ以上:左心房圧、左心房圧平均値、右心房圧、右心房圧平均値、測定値の傾向矢印、測定値の時間に対する線グラフ、測定値の波形、及び、測定値に関連付けられた患者の1つ以上の投薬を前記表示デバイスに出力するようにさらに構成されている、態様56記載のモニタリングシステム。
(態様79)
前記レシーバは、100Hzよりも高い周波数、そして場合により200Hzよりも高い周波数で取得されたRVP情報を受信する、態様56記載のモニタリングシステム。