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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240110BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240110BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101B
C23C16/46
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023000236
(22)【出願日】2023-01-04
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0081709
(32)【優先日】2022-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518162784
【氏名又は名称】セメス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】キム,グァン リョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン サン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジン イ
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-049449(JP,A)
【文献】特表2016-530708(JP,A)
【文献】特開平11-204439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0127877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/3065
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板がプラズマ処理される処理空間を有し、透明窓が形成された工程チャンバーと、
前記工程チャンバーに処理ガスを供給及び排出するガス流動部と、
前記基板に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように前記基板を加熱するレーザを、前記工程チャンバーの外側から前記透明窓を介して前記基板に照射するレーザ照射部と、を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記レーザ照射部は、前記複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザを照射する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数個の薄膜は、金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜を含み、
前記レーザは吸収率が前記金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜の順に大きい、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記レーザ照射部は、紫外線レーザ発振器または可視光線レーザ発振器である、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ガス流動部は、
前記工程チャンバー内に設けられ、前記処理ガスを供給するガス供給部と、
前記工程チャンバーまたは前記ガス供給部の一側部に形成されたガス排出部と、を含む、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記レーザ照射部は、前記工程チャンバーの上側に配置され、
前記透明窓は、前記工程チャンバーの上部に形成され、
前記ガス供給部は、前記工程チャンバー内に配置され、プラズマ生成用の電極として機能し、前記工程チャンバーの上部の前記透明窓と前記基板との間に配置され、透明材質からなる、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板を支持するように前記工程チャンバー内に配置され、プラズマ生成用の電極として機能する基板支持部と、を含み、
前記レーザ照射部は、前記工程チャンバーの上側と下側に配置され、
前記透明窓は、前記工程チャンバーの上部と下部に形成され、
前記基板支持部は、前記工程チャンバーの下部の前記透明窓と前記基板との間に配置され、透明材質からなる、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
基板がプラズマ処理される処理空間を有し、透明窓が形成された工程チャンバーと、
前記工程チャンバー内に配置されて処理ガスを供給し、プラズマ生成用の上部電極として機能するガス供給部と、
前記工程チャンバーまたは前記ガス供給部の一側部に形成されたガス排出部と、
前記工程チャンバー内に配置されて前記基板を支持し、プラズマ生成用の下部電極として機能する基板支持部と、
前記ガス供給部と前記基板支持部のそれぞれに連結された電源部と、
前記基板に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように前記基板を加熱するレーザを、前記工程チャンバーの外側から前記透明窓を介して前記基板に照射するレーザ照射部と、を含む、基板処理装置。
【請求項9】
前記レーザ照射部は、前記複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザを照射する、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記複数個の薄膜は、金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜を含み、
前記レーザは、吸収率が前記金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜の順に大きい、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記レーザ照射部は、紫外線レーザ発振器または可視光線レーザ発振器である、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記レーザ照射部は、前記工程チャンバーの上側に配置され、
前記透明窓は、前記工程チャンバーの上部に形成され、
前記ガス供給部は、前記工程チャンバーの上部の前記透明窓と前記基板との間に配置され、透明材質からなる、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記レーザ照射部は、前記工程チャンバーの上側と下側に配置され、
前記透明窓は、前記工程チャンバーの上部と下部に形成され、
前記基板支持部は、前記工程チャンバーの下部の前記透明窓と前記基板との間に配置され、透明材質からなる、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記電源部は、
前記ガス供給部に第1電源を印加する第1電源部材と、
前記基板支持部に前記第1電源の周波数よりも低い周波数を有する第2電源を印加する第2電源部材と、を含む、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように前記基板を加熱するレーザを、工程チャンバーの外側から前記工程チャンバーの透明窓を介して前記基板にレーザを照射する基板加熱段階と、
前記複数個の薄膜別に選択的に原子層処理を行う基板処理段階と、を含む、基板処理方法。
【請求項16】
前記基板加熱段階において、前記基板に前記複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザを照射する、請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記基板加熱段階において、前記基板に紫外線レーザまたは可視光線レーザを照射する、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記基板加熱段階において、前記複数個の薄膜のうち金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜の順に吸収率の大きいレーザが用いられる、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記基板処理段階において、前記複数個の薄膜別に選択的に原子層蒸着(ALD)が行われる、請求項16に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記基板処理段階において、前記複数個の薄膜別に選択的に原子層エッチング(ALE)が行われる、請求項16に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積技術の発達により高純度、高品質の薄膜を蒸着させる工程は、半導体製造工程の中で重要な部分を占めるようになった。薄膜形成の代表的な方法として、化学蒸着(Chemical Vapour Deposition、CVD)法及び物理蒸着(Physical Vapour Deposition、PVD)法がある。このとき、物理蒸着法は、形成された薄膜の段差被覆性(step coverage)が悪いため、凹凸のある表面に均一な厚さの膜を形成するためには使用できない。化学蒸着法は、加熱された基板の表面上で気体状態の物質が反応し、その反応で生成された化合物が基板表面に蒸着する方法である。化学蒸着法は、物理蒸着法に比べて段差被覆性が良く、薄膜が蒸着する基板の損傷が少なく、薄膜の蒸着費用が少なく、薄膜を大量生産することができるため、多く適用されている。
【0003】
しかし最近、半導体素子の集積度がサブミクロン(sub-micron)単位にまで向上するにつれて、従来方式の化学蒸着法だけでは、ウエハー基板でサブミクロン単位の均一な厚さを得たり、優れた段差被覆性(step coverage)を得ることが限界に至っており、ウエハー基板にサブミクロンサイズのコンタクトホール(contact hole)、ビア(via)、または溝(trench)のような段差が存在する場合に、位置に関わらず、一定の組成を有する物質膜を得ることにも困難性を伴うようになった。
【0004】
したがって、全てのプロセスガスを同時に注入する従来の化学蒸着法とは異なり、所望の薄膜を得るのに必要な2つ以上のプロセスガスが気相で会わないように時間ごどに順次分割して供給するが、これらの供給周期を周期的に繰り返して薄膜を形成する原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)方式は新しい薄膜形成方法として適用されることができる。
【0005】
そして、半導体装置の製造工程のうちエッチング工程は、所望の構造を作るために標的物質を選択的に除去する工程である。一例として、原子層エッチング(Atomic Layer Etching、ALE)は、標的物質を目標とする量(厚さ)の分だけ除去するために研究されてきた。このような原子層エッチング工程は、標的物質の表面を改質する段階及び改質された表面を除去する段階において設定されたサイクルを繰り返す工程である。さらに、原子層エッチング工程は、目標物質を除去するにあたり原子レベルの制御が可能であるため、増々微細化する半導体装置の製造工程において活発に応用されている。
【0006】
一方、基板に形成された複数個の薄膜のうち選択された薄膜に原子層処理(原子層蒸着または原子層エッチング)を行うためには、マスクが用いられる。すなわち、従来技術では、複数個の薄膜のうち選択的に一部の薄膜のみに対して原子層処理を行うために、マスクを必要とする限界点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許公報第10-1702869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような限界点を解決するために創案されたものであり、マスクなしでも複数個の薄膜別に選択的に原子層処理を行うことができる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明による基板処理装置は、基板がプラズマ処理される処理空間を有し、透明窓が形成された工程チャンバーと、上記工程チャンバーに処理ガスを供給及び排出するガス流動部と、上記基板に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように上記基板を加熱するレーザを、上記工程チャンバーの外側から上記透明窓を介して上記基板に照射するレーザ照射部と、を含む。
【0010】
上記レーザ照射部は、上記複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザを照射することができる。
【0011】
上記複数個の薄膜は、金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜を含み、上記レーザは、吸収率が上記金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜の順に大きいことができる。
【0012】
上記レーザ照射部は、紫外線レーザ発振器または可視光線レーザ発振器であることができる。
【0013】
上記ガス流動部は、上記工程チャンバー内に設けられ、上記処理ガスを供給するガス供給部と、上記工程チャンバーまたは上記ガス供給部の一側部に形成されたガス排出部と、を含むことができる。
【0014】
上記レーザ照射部は、上記工程チャンバーの上側に配置され、上記透明窓は上記工程チャンバーの上部に形成され、上記ガス供給部は、上記工程チャンバー内に配置され、プラズマ生成用の電極として機能し、上記工程チャンバーの上部の上記透明窓と上記基板との間に配置され、透明材質からなることができる。
【0015】
本発明は、上記基板を支持するように、上記工程チャンバー内に配置され、プラズマ生成用の電極として機能する基板支持部を含み、上記レーザ照射部は、上記工程チャンバーの上側及び下側に配置され、上記透明窓は、上記工程チャンバーの上部及び下部に形成され、上記基板支持部は、上記工程チャンバーの下部の上記透明窓と上記基板との間に配置され、透明材質からなることができる。
【0016】
一方、本発明の他の側面によると、基板がプラズマ処理される処理空間を有し、透明窓が形成された工程チャンバーと、上記工程チャンバー内に配置されて処理ガスを供給し、プラズマ生成用の上部電極として機能するガス供給部と、上記工程チャンバーまたは上記ガス供給部の一側部に形成されたガス排出部と、上記工程チャンバー内に配置されて上記基板を支持し、プラズマ生成用の下部電極として機能する基板支持部と、上記ガス供給部と上記基板支持部とのそれぞれに連結された電源部と、上記基板に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように上記基板を加熱するレーザを、上記工程チャンバーの外側から上記透明窓を介して上記基板に照射するレーザ照射部と、を含む基板処理装置が提供されることができる。
【0017】
上記電源部は、上記ガス供給部に第1電源を印加する第1電源部材と、上記基板支持部に上記第1電源の周波数より低い周波数を有する第2電源を印加する第2電源部材と、を含むことができる。
【0018】
一方、本発明のまた他の側面によると、基板に形成された複数個の薄膜のうち選択された薄膜に原子層処理が行われるように上記基板を加熱するレーザを、工程チャンバーの外側から上記工程チャンバーの透明窓を介して上記基板にレーザを照射する基板加熱段階及び上記複数個の薄膜別に選択的に原子層処理を行う基板処理段階と、を含む基板処理方法が提供されることができる。
【0019】
上記基板加熱段階において、上記基板に上記複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザを照射することができる。
【0020】
上記基板加熱段階において、上記基板に紫外線レーザまたは可視光線レーザを照射することができる。
【0021】
上記基板加熱段階において、上記複数個の薄膜の中から金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜の順に吸収率の高いレーザが用いられることができる。
【0022】
上記基板処理段階において、上記複数個の薄膜別に選択的に原子層蒸着(ALD)が行われることができる。
【0023】
上記基板処理段階において、上記複数個の薄膜別に選択的に原子層エッチング(ALE)が行われることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、基板に形成された複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザを照射して基板を加熱するように構成することで、マスクを用いずとも複数個の薄膜別に選択的に原子層処理を行うことができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態による基板処理装置を示した図面である。
図2】基板に対するレーザの種類による吸収率を示したグラフである。
図3図1の基板処理装置から照射されたレーザが基板に形成された複数個の薄膜別に吸収または反射されることを示した図面である。
図4図3の複数個の薄膜別に表面温度を示したグラフである。
図5図4の表面温度によって複数個の薄膜のうち選択的に金属膜のみに原子層蒸着が行われたことを示した図面である。
図6図4の表面温度によって複数個の薄膜のうち選択的に金属膜のみに原子層エッチングが行われたことを示した図面である。
図7】複数個の薄膜のうち選択的に金属膜とシリコン膜のみに原子層蒸着が行われたことを示した図面である。
図8】複数個の薄膜のうち選択的に金属膜とシリコン膜のみに原子層エッチングが行われたことを示した図面である。
図9】本発明の第2実施形態による基板処理装置を示した図面である。
図10】本発明の第3実施形態による基板処理装置を示した図面である。
図11】本発明の一実施形態による基板処理方法を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように好ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するに当たり、関連する公知の機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。なお、類似した機能及び作用をする部分については、図面全体にわたって同一符号を付与する。なお、本明細書において、「上」、「上部」、「上面」、「下」、「下部」、「下面」、「側面」などの用語は図面を基準としたものであり、実際には構成要素が配置される方向によって変わることができる。
【0027】
なお、明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その間に他の構成要素を挟んで「間接的に連結」されている場合も含まれる。さらに、ある構成要素を「含む」とは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態による基板処理装置を示した図面である。
【0029】
図面を参照すると、本発明による基板処理装置は、工程チャンバー100、ガス流動部200、基板支持部300、電源部400、レーザ照射部500を含む。
【0030】
上記工程チャンバー100は、基板10がプラズマ処理される処理空間を有するチャンバーである。代表的な例として、工程チャンバー100は、基板10が原子層単位で蒸着される原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工程または基板10が原子層単位でエッチングされる原子層エッチング(Atomic Layer Etch、ALE)工程で活用されることができる。さらに、工程チャンバー100は、本発明によって限定されず、基板10の高温状態を必要としながら、ともに、プラズマ処理が含まれる工程で活用されることができる。具体的には、工程チャンバー100は、CCP(Capacitively Coupled Plasma)チャンバーとして活用されることができ、さらに、透明窓100aを有するTCCP(Transparent Capacitively Coupled Plasma)チャンバーとして活用されることができる。
【0031】
このような工程チャンバー100は、レーザ照射部500から照射されるレーザが通過するように透明窓100aを含むことができる。レーザ照射部500が工程チャンバー100の外部に配置された構造において、レーザ照射部500から照射されるレーザが工程チャンバー100を透過するように工程チャンバー100の一部が透明窓100aの代わりになり得る。
【0032】
上記ガス流動部200は、処理ガスを供給及び排出する。ガス流動部200は、基板10を原子層処理するようにする処理ガスの供給及び排出を行う構造をとる。
【0033】
このようなガス流動部200は、ガス供給部210及びガス排出部を含む。
【0034】
ガス供給部210は、工程チャンバー100内に配置され、工程チャンバー100により処理ガスを供給する。一例として、ガス供給部210は、原子層蒸着または原子層エッチングのために、工程チャンバー100により処理ガスを供給することができる。原子層蒸着工程における処理ガスは、ソースガス(前駆体)、反応ガス及びパージガスを含むことができる。このとき、ガス供給部210は、ソースガス供給タンク、反応ガス供給タンク及びパージガス供給タンクと連結されることができる。また、原子層エッチング工程における処理ガスは、ソースガス(前駆体)、エッチングガス及びパージガスを含むことができる。このとき、ガス供給部210は、ソースガス供給タンク、エッチングガス供給タンク、及びパージガス供給タンクと連結されることができる。このようなガス供給部210には、工程チャンバー100内に処理ガスを供給するガス供給孔(図示せず)が形成されることができる。ガス排出部は、例えば、図面に示されてはいないが、ガス供給部210によって供給された処理ガスを排出するために、工程チャンバー100またはガス供給部210の一側部に形成されることができる。すなわち、ガス排出部は、工程チャンバー100の一側部に連結されることができ、またはガス供給部210の一側部に形成されたガス排出孔(図示せず)を含み、このようなガス排出孔を介して処理ガスが排出される構造を取ることができる。
【0035】
上記基板支持部300は、工程チャンバー100内に配置され、基板10を支持する。
【0036】
上述したガス供給部210は、プラズマ生成用の上部電極として機能することができ、基板支持部300は、プラズマ生成用の下部電極として機能することができる。すなわち、ガス供給部210及び基板支持部300は、工程チャンバー100の内部に供給された処理ガスをプラズマ状態にするために電極として活用されることができる。
【0037】
上記電源部400は、基板支持部300に連結された電源線に設けられることができる。このような電源部400は、基板支持部300に高周波電源を印加して、工程チャンバー100内に電場を印加することで、プラズマを形成させることができる。さらに、下部電極である基板支持部300の側に直流磁気バイアス(Self DC Bias)を形成させるように、電源線Lには、基板支持部300と電源部400との間にキャパシタ(図示せず)が設けられることもできる。キャパシタ、すなわち、ブロッキングキャパシタ(Blocking Capacitor)が通過する電子を捕捉(蓄積)して負電圧になるようにすることによって、プラズマのカチオンを基板10に加速させて蒸着またはエッチングを向上させることができる。
【0038】
上記レーザ照射部500は、工程チャンバー100の外側に配置され、工程チャンバー100の透明窓100aを介して基板10にレーザを照射する。
【0039】
具体的には、レーザ照射部500は工程チャンバー100の上側に配置され、透明窓100aは工程チャンバー100の上部に形成される。工程チャンバー100の上側に配置されたレーザ照射部500のレーザが工程チャンバー100の上部に形成された透明窓100aを介して基板10の上面に照射される。
【0040】
このとき、ガス供給部210は、工程チャンバー100の上部の透明窓100aと基板10との間に配置される。ガス供給部210は、レーザが通過するように透明材質からなる。これにより、レーザ照射部500から照射されたレーザは、工程チャンバー100の上部の透明窓100aと透明材質のガス供給部210を順次通過して基板10に照射される。
【0041】
一方、レーザ照射部500によって照射されるレーザは、基板10に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように基板10を加熱する役割を果たす。これらのレーザについて具体的に検討すると、次のとおりである。
【0042】
図2は、基板に対するレーザの種類による吸収率を示したグラフである。
【0043】
図面を参照すると、一例として半導体工程で多く用いられる銅の場合、紫外線レーザと可視光線レーザ(Green Laserを含む)に該当する波長では、レーザ吸収率が一定程度以上表れる。これに対し、比較的高い波長の赤外線レーザ(IR Laser)は銅にほとんど吸収されない。
【0044】
これに基づいて、本発明のレーザ照射部(図1の500)は、半導体に用いられる金属に吸収率の良いレーザを照射するレーザ発振器であることができる。具体的には、レーザ照射部500は、紫外線レーザを照射する紫外線レーザ発振器であるか、可視光線レーザを照射する可視光線レーザ発振器であることができる。
【0045】
すなわち、レーザ照射部500から照射される紫外線レーザまたは可視光線レーザは、基板に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように、基板を加熱することができる。これに対する具体的な説明は後述する。
【0046】
図3は、図1の基板処理装置から照射されたレーザが基板に形成された複数個の薄膜別に吸収または反射されることを示した図面であり、図4は、図3の複数個の薄膜別に対する表面温度を示したグラフである。
【0047】
また、図5は、図4の表面温度によって複数個の薄膜のうち選択的に金属膜のみに原子層蒸着が行われたことを示した図面であり、図6は、図4の表面温度により複数個の薄膜のうち選択的に金属膜のみに原子層エッチングが行われたことを示した図面である。
【0048】
図面を参照すると、基板(図1の10)には複数個の薄膜が形成されることができるが、このような複数個の薄膜は、上側に露出した構造をとる。このとき、レーザ照射部500は、複数個の薄膜別に吸収率の異なる波長を有するレーザを照射する。
【0049】
具体的には、図3に示したように、複数個の薄膜は、金属膜11、シリコン膜12、及び誘電体膜13を含むことができ、このときレーザは吸収率が金属膜11、シリコン膜12、及び誘電体膜13の順に大きな特性を有する波長を有する。一例として、レーザ照射部500から照射されるレーザは金属膜11で強く吸収され、シリコン膜12で弱く吸収され、誘電体膜13では反射されて吸収がほとんど行われなかった。
【0050】
このようなレーザを一実施形態として一定時間の間、基板10に照射した場合、図4に示したように金属膜の表面温度は、工程適正温度である400℃以上に上がることができ、シリコン膜及び誘電体膜の表面温度は、工程適正温度である400℃に達することができない。これにより、一例として図5に示したように、複数個の薄膜のうち選択的に金属膜11のみに原子層蒸着が行われ、これに対して、シリコン膜12及び誘電体膜13には、原子層蒸着が行われなくなる。また、他の一例として、図6に示したように、複数個の薄膜のうち選択的に金属膜11のみに原子層エッチングが行われ、これに対して、シリコン膜12及び誘電体膜13には、原子層エッチングが行われなくなる。
【0051】
図7は、複数個の薄膜のうち選択的に金属膜とシリコン膜のみに原子層蒸着が行われたことを示した図面であり、図8は、複数個の薄膜のうち選択的に金属膜とシリコン膜のみに原子層エッチングが行われたことを示した図面である。
【0052】
他の実施形態として、レーザを一定時間より長く基板に照射したり、または上記実施形態よりもシリコン膜に対しても吸収率の大きいレーザを基板に照射することができる。このような場合、例えば、図面に示されてはいないが、金属膜及びシリコン膜の表面温度は、工程適正温度である400℃以上に上がることができ、誘電体膜の表面温度は、工程適正温度である400℃に達することができないことがある。これにより、一例として、図7に示したように、複数個の薄膜のうち選択的に金属膜11とシリコン膜12のみに原子層蒸着が行われ、これに対して、誘電体膜13には原子層蒸着が行われなくなる。また、他の一例として、図8に示したように、複数個の薄膜のうち選択的に金属膜11とシリコン膜12のみに原子層エッチングが行われ、これに対して、誘電体膜13には原子層エッチングが行われなくなる。
【0053】
図9は、本発明の第2実施形態による基板処理装置を示した図面である。
【0054】
図面を参照すると、本発明の第2実施形態による基板処理装置は、上述した第1実施形態による基板処理装置と比較して、電源部400がデュアル周波数(Dual Frequency)を用いるように2つの電源部材410、420で構成されることができる。
【0055】
具体的には、電源部400は、互いに異なる周波数を有する2つの電源部材410、420を含むことができる。すなわち、電源部400は、ガス供給部210と基板支持部300のそれぞれに連結された電源部材410、420を含むことができる。換言すると、電源部400は、第1電源部材410及び第2電源部材420を含むことができる。第1電源部材410は、ガス供給部210に第1電源を印加する。第2電源部材420は、基板支持部300に第2電源を印加する。このとき、第2電源は第1電源の周波数よりも低い周波数を有する。すなわち、第1電源の周波数は、第2電源の周波数よりも比較的高周波であるが、このような高周波によってプラズマを容易に制御することができる。また、第2電源の周波数は、第1電源の周波数より比較的低周波であるが、このような低周波によって陰極シース(Cathode sheath)のイオンエネルギーを容易に制御することができる。上述のように、本発明は、デュアル周波数を用いるように2つの電源部材410、420で構成されることで、プラズマ及びイオンエネルギーを円滑に制御することができる。
【0056】
一方、ガス供給部210とガス排出部を含むガス流動部200、基板支持部300及びレーザ照射部500は、図1の第1実施形態で詳述されたため、これに対する具体的な説明は省略する。
【0057】
図10は、本発明の第3実施形態による基板処理装置を示した図面である。
【0058】
図面を参照すると、本発明の第3実施形態による基板処理装置は、上述した第1実施形態による基板処理装置と比較して、レーザ照射部500がさらに工程チャンバー100の下側に配置されることができる。
【0059】
具体的には、レーザ照射部500は、工程チャンバー100の上側と下側にそれぞれ配置されることができる。工程チャンバー100の上側に配置されたレーザ照射部500は、基板10の上面にレーザを照射する。工程チャンバー100の下側に配置されたレーザ照射部500は、基板10の下面にレーザを照射する。これにより、基板10の温度をより速い時間で工程適正温度まで上げることができる。
【0060】
工程チャンバー100は、レーザ照射部500から照射されるレーザが通過するように、上部と下部のそれぞれが透明窓100aからなることができる。すなわち、工程チャンバー100の上部に1つの透明窓100aが形成され、工程チャンバー100の上側に配置されたレーザ照射部500のレーザが透明窓100aを介して基板10の上面に照射される。そして、工程チャンバー100の下部にもう一つの透明窓100aが形成されて、工程チャンバー100の下側に配置されたレーザ照射部500のレーザが透明窓100aを介して基板10の下面に照射される。
【0061】
このとき、工程チャンバー100の下部の透明窓100aと基板10との間に配置された基板支持部300は、透明窓100aを通過したレーザが通過するように透明材質からなることができる。
【0062】
なお、ガス供給部210及びガス排出部を含むガス流動部200、基板支持部300及び電源部400は、図1の第1実施形態で詳述されたため、これに対する具体的な説明は省略する。
【0063】
図11は、本発明の一実施形態による基板処理方法を示した図面である。
【0064】
図面を参照すると、本発明による基板処理方法は、基板加熱段階(S100)及び基板処理段階(S200)を含む。
【0065】
上記基板加熱段階(S100)は、基板に形成された複数個の薄膜に対する選択的な原子層処理が行われるように基板を加熱するレーザを基板に照射する段階である。このとき、レーザは工程チャンバーの外側から工程チャンバーの透明窓を介して基板に照射される。
【0066】
具体的には、基板加熱段階(S100)では、基板に複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザを照射する。このような基板加熱段階(S100)でのレーザは、紫外線レーザ及び可視光線レーザに該当する波長範囲内のレーザであり、基板加熱段階(S100)では基板に紫外線レーザまたは可視光線レーザを照射する。
【0067】
さらに具体的に基板加熱段階(S100)では、複数個の薄膜のうち金属膜、シリコン膜、及び誘電体膜の順に吸収率の高いレーザが用いられることができる。一例として、基板加熱段階(S100)で照射されるレーザは、金属膜で強く吸収され、シリコン膜で弱く吸収され、誘電体膜では反射によって吸収がほとんど行われない。
【0068】
そして、基板処理段階(S200)は、複数個の薄膜別に選択的に原子層処理を行う段階である。具体的に基板処理段階(S200)では、基板加熱段階(S100)において、複数個の薄膜別に吸収率の異なるレーザによって基板が加熱されることで、複数個の薄膜別に選択的に原子層処理を行うことができる。一例として、基板処理段階(S200)において、基板の複数個の薄膜別に選択的に原子層蒸着(ALD)が行われることができる。他の一例として、基板処理段階(S200)において、複数個の薄膜別に選択的に原子層エッチング(ALE)が行われることができる。
【0069】
以上、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施されることができるということが理解できる。それ故に、以上で記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0070】
10 基板 11 金属膜
12 シリコン膜 13 誘電体膜
100 工程チャンバー 100a 透明窓
200 ガス流動部 210 ガス供給部
300 基板支持部 400 電源部
410 第1電源部材 420 第2電源部材
500 レーザ照射部
【要約】      (修正有)
【課題】マスクなしでも複数個の薄膜別に選択的に原子層処理を行うことができる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板支持部300に支持される基板10がプラズマ処理される処理空間を有し、透明窓100aが形成された工程チャンバー100と、工程チャンバーに処理ガスを供給するガス供給部210及び排出するガス排出部を含むガス流動部200と、基板に形成された複数個の薄膜別に選択的に原子層処理が行われるように基板を加熱するレーザを、工程チャンバーの外側から透明窓を介して基板に照射するレーザ照射部500と、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11