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特許7417005粒状難燃剤組成物および熱可塑性樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】粒状難燃剤組成物および熱可塑性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 21/08 20060101AFI20240110BHJP
   C08K 5/136 20060101ALI20240110BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C09K21/08
C08K5/136
C08L101/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023170551
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-10-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】星 銀河
(72)【発明者】
【氏名】森下 健
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-77030(JP,A)
【文献】特開平6-256763(JP,A)
【文献】特開平6-313036(JP,A)
【文献】特開2010-242102(JP,A)
【文献】特開2001-72797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09L21; C08K; C08L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含臭素有機化合物(A)およびバインダー(B)を含有する粒状難燃剤組成物であって、前記含臭素有機化合物(A)が、2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-1)および2,3-ジブロモプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-2)からなる群より選択される少なくとも1つの含臭素有機化合物(A1)を含有し、
前記含臭素有機化合物(A1-1)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、
前記含臭素有機化合物(A1-2)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、
前記バインダー(B)が、融点が40~90℃である炭素数16~22の脂肪酸(B1)を含有することを特徴とする粒状難燃剤組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸(B1)の含有量が、前記粒状難燃剤組成物の1~20重量%である、請求項1に記載の粒状難燃剤組成物。
【請求項3】
前記含臭素有機化合物(A1)の含有量が、前記粒状難燃剤組成物の20~99重量%である、請求項1に記載の粒状難燃剤組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の粒状難燃剤組成物と熱可塑性樹脂とを含有する熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状難燃剤組成物および熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
含臭素有機化合物は、ポリスチレン樹脂やABS樹脂などの熱可塑性樹脂の難燃剤として広く利用されている。しかしながら、たとえば難燃剤が粉体の場合、計量時や樹脂への投入時に飛散しやすく、作業環境を悪化させて作業者の健康に悪影響を及ぼすことや、粉塵爆発の恐れがあること等が問題となる。また、難燃剤の粒度や比重によっては、流動性が悪く、ホッパーから投入する際のホッパーの閉塞や、難燃剤の空気輸送が困難であること等が問題となる。そこで、飛散しにくく、流動性に優れ取り扱いやすい粒状難燃剤組成物が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1では、臭素系難燃剤のバインダーとして、エチレン酢酸ビニル共重合体を用いた粒状難燃剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-70586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粒状難燃剤組成物が造粒された直後に粒同士が互いに付着し、粒状難燃剤組成物の使用が困難になるという問題があった。(以下、造粒後、冷却固化前に粒状難燃剤組成物同士が付着し、その後分離できなくなる性質を「互着性」とも称する。)
【0006】
また、粒状難燃剤組成物には、速い造粒速度でも造粒可能であることすなわち高い生産性や、容易に崩れない程度の強度を有することが求められていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、互着性が低く、ある程度の強度を有し、生産性を高めることが可能な粒状難燃剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、たとえば、以下に示される実施形態を含む。
【0009】
[1]含臭素有機化合物(A)およびバインダー(B)を含有する粒状難燃剤組成物であって、前記含臭素有機化合物(A)が、2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-1)および2,3-ジブロモプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-2)からなる群より選択される少なくとも1つの含臭素有機化合物(A1)を含有し、前記含臭素有機化合物(A1-1)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記含臭素有機化合物(A1-2)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記バインダー(B)が、融点が40~90℃である炭素数16~22の脂肪酸(B1)を含有することを特徴とする粒状難燃剤組成物。
【0010】
[2]前記脂肪酸(B1)の含有量が、前記粒状難燃剤組成物の1~20重量%である、上記[1]に記載の粒状難燃剤組成物。
【0011】
[3]前記含臭素有機化合物(A1)の含有量が、前記粒状難燃剤組成物の20~99重量%である、上記[1]または[2]に記載の粒状難燃剤組成物。
【0012】
[4]上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の粒状難燃剤組成物と熱可塑性樹脂とを含有する熱可塑性樹脂組成物。
【0013】
[5]含臭素有機化合物(A)およびバインダー(B)を含有する組成物であって、前記含含臭素有機化合物(A)が、2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-1)および2,3-ジブロモプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-2)からなる群より選択される少なくとも1つの含臭素有機化合物(A1)を含有し、前記含臭素有機化合物(A1-1)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記含臭素有機化合物(A1-2)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記バインダー(B)が、融点が40~90℃である炭素数16~22の脂肪酸(B1)を含有することを特徴とする組成物の、粒状難燃剤組成物としての使用。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粒状難燃剤組成物によれば、難燃剤として2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル基を有する含臭素有機化合物および2,3-ジブロモプロピル基を有する含臭素有機化合物の少なくとも一方を用いた場合において、互着性が低く、ある程度の強度を有し、生産性を高めることが可能な粒状難燃剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0016】
本発明に係る粒状難燃剤組成物は、含臭素有機化合物(A)およびバインダー(B)を含有する粒状難燃剤組成物であって、前記含臭素有機化合物(A)が、2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-1)および2,3-ジブロモプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1-2)からなる群より選択される少なくとも1つの含臭素有機化合物(A1)を含有し、前記含臭素有機化合物(A1-1)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記含臭素有機化合物(A1-2)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つであり、前記バインダー(B)が、融点が40~90℃である炭素数16~22の脂肪酸(B1)を含有する。以下、各成分について説明する。
【0017】
本発明の含臭素有機化合物(A)は、例えば、2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1―1)を含有するものである。具体的には、含臭素有機化合物(A1―1)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つである。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
また、本発明の含臭素有機化合物(A)は、例えば、2,3-ジブロモプロピル基を有する含臭素有機化合物(A1―2)を含有するものである。具体的には、含臭素有機化合物(A1―2)は、テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール-S-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)およびテトラブロモビスフェノール-F-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1つである。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本発明の含臭素有機化合物(A)は、前記含臭素有機化合物(A1)以外の含臭素有機化合物(A2)が含まれていてもよい。このような化合物としては、例えば、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよびトリス(2,3-ジブロモプロピル)シアヌレート、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1, 3,5-トリアジン、テトラブロモビスフェノール-A、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ポリブロモジフェニルエーテル、ポリブロモジフェニルエタン、ビスポリブロモフェノキシエタン、トリスポリブロモフェノキシトリアジン、ポリブロモフェニルインダン、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、エチレンビステトラブロモフタルイミド、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、臭素化エポキシオリゴマーなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
本発明の含臭素有機化合物(A)の含有量は、粒状難燃剤組成物を100重量部とした場合に、70~98重量部であることが好ましく、80~98重量部であることがより好ましい。含臭素有機化合物(A)の含有量が上記範囲内であることにより、粒状難燃剤組成物の添加量が比較的少量であっても熱可塑性樹脂の難燃性がより優れるという利点がある。
【0021】
含臭素有機化合物(A1)の含有量は、生産性および強度を高める観点から、粒状難燃剤組成物全体の20~99重量%であることが好ましく、40~97重量%であることがより好ましく、60~95重量%であることがよりに好ましく、80~93重量%であることがよりに好ましく、86重量%~92重量%であることがさらに好ましい。
【0022】
含臭素有機化合物(A1)の含有量は、生産性および強度を高める観点から、含臭素有機化合物(A)の30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。この比率は、70重量%以上でもよく、80重量%以上でもよく、90重量%以上でもよい。
【0023】
本発明のバインダー(B)は、融点が40~90℃であり炭素数16~22の脂肪酸(B1)を含有するものである。脂肪酸(B1)の融点としては、生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、50~80℃であることがより好ましく、55~75℃であることより好ましく、60~72℃であることがさらに好ましい。また、脂肪酸(B1)が有する炭素数としては、生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、16~20であることがより好ましく、16~18であることがさらに好ましい。ここで、脂肪酸(B1)の融点は、JIS K0064に従って測定した融点である。
【0024】
脂肪酸(B1)としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、2-ヒドロキシパルミチン酸、10-ヒドロキシパルミチン酸、12‐ヒドロキシステアリン酸、2-ヒドロキシアラキジン酸、2-ヒドロキシべヘン酸などが挙げられる。生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、これらのうちステアリン酸とパルミチン酸が好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
脂肪酸(B1)の含有量は、生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、粒状難燃剤組成物全体の1~20重量%であることが好ましく、2~20重量%であることがより好ましく、4~15重量部であることがより好ましく、5~11重量部であることがより好ましく、6~8重量部であることがさらに好ましい。
【0026】
脂肪酸(B1)の含有量は、生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、バインダー(B)中に20~100重量%であることが好ましく、40~100重量%であることがより好ましく、60~100重量%であることがよりに好ましく、65~100重量%であることがさらに好ましい。
【0027】
本発明のバインダー(B)の含有量は、生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、粒状難燃剤組成物全体の1~20重量%であることが好ましく、3~20重量%であることが好ましく、5~15重量%であることがより好ましく、6~10重量%であることがより好ましい。
【0028】
本発明のバインダー(B)は、脂肪酸(B1)以外のバインダー(B2)が含まれていてもよい。このような化合物としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0029】
含臭素有機化合物(A1)と、前記脂肪酸(B1)との重量比(A1/B1)は、生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、0.5~50であることが好ましく、1~40であることがより好ましく、2~35であることがより好ましく、5~30であることがより好ましく、8~20であることがさらに好ましい。
【0030】
含臭素有機化合物(A1)中に含まれる含臭素有機化合物(A1-1)は、生産性および強度を高め、互着性を低下させる観点から、30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。
【0031】
本発明の粒状難燃剤組成物は、さらに安定剤(C)を含有することができる。安定剤(C)は、具体的には、たとえば熱安定剤であり、熱可塑性樹脂の耐久性を向上させるものである。
【0032】
このような安定剤(C)としては、例えば、ホスファイト化合物、チオエーテル化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、スズ化合物、天然鉱物または合成鉱物などが挙げられる。
【0033】
ホスファイト化合物としては、例えば、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビスステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、テトラ(トリデシル)-4,4’-ブチリデン-ビス(2-t-ブチル-5-メチルフェニル)ジホスファイト、ヘキサトリデシル-1,1,3-トリス(3-t-ブチル-6-メチル-4-オキシフェニル)-3-メチルプロパントリホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)モノ-p-ノニルフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、テトラアルキル(C=12~16)-4,4’-イソプロピリデン-(ビスフェニル)ジホスファイト、亜リン酸モノ又はジフェニルモノ又はジアルキル(又はアルコキシアルキル,C=8~13)、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリスデシルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。
チオエーテル化合物としては、例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリストリルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、2-メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0034】
ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、グリセリントリス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、カルシウムジエチルビス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,6-ジ-t-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールなどが挙げられる。
ヒンダードアミン化合物としては、例えば、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
【0035】
スズ化合物としては、例えば、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズマレートなどが挙げられる。
【0036】
天然鉱物または合成鉱物としては、例えば、ハイドロタルサイト、ゼオライトなどが挙げられる。
【0037】
安定剤(C)の含有量は、粒状難燃剤組成物を100重量部とした場合に、0.1~20重量部であることが好ましく、0.3~15重量部であることがより好ましく、0.8~10重量部であることがより好ましい。
【0038】
本発明の粒状難燃剤組成物は、さらにリン酸エステル(D)を含有してもよい。このようなリン酸エステルとしては、たとえば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェートなどが挙げられる。
【0039】
また、本発明の粒状難燃剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸、ワックス、顔料などが挙げられる。当該脂肪酸は、たとえば脂肪酸(B1)以外の脂肪酸である。
【0040】
脂肪酸アミドとしては、例えば、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、アラキジンアミド、ベヘン酸アミド、リグノセリン酸アミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、オレイン酸アミド、リノール酸アミドおよびアラキドン酸アミドなどの脂肪酸モノアミド、エチレンビスカプリル酸アミド、ブチレンビスカプリル酸アミド、ヘキサメチレンビスカプリル酸アミド、m-キシリレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、ブチレンビスカプリン酸アミド、ヘキサメチレンビスカプリン酸アミド、m-キシリレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ブチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスラウリン酸アミド、m-キシリレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスアラキジン酸アミド、ブチレンビスアラキジン酸アミド、ヘキサメチレンビスアラキジン酸アミド、m-キシリレンビスアラキジン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ブチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、m-キシリレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスリグノセリン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスリグノセリン酸アミド、m-キシリレンビスリグノセリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、m-キシリレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスリノール酸アミド、ブチレンビスリノール酸アミド、ヘキサメチレンビスリノール酸アミド、m-キシリレンビスリノール酸アミド、エチレンビスアラキドン酸アミド、ブチレンビスアラキドン酸アミド、ヘキサメチレンビスアラキドン酸アミドおよびm-キシリレンビスアラキドン酸アミドなどの脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。
【0041】
添加剤として使用される、脂肪酸(B1)以外の脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、リグノセリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0042】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、粒状難燃剤組成物と熱可塑性樹脂とを含有する。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂等の各種樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂が好ましい。ポリスチレン樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物は発泡体であっても非発泡体であってもよい。
【0043】
本発明の粒状難燃剤組成物は、例えば、含臭素有機化合物(A)、バインダー(B)、および、必要によりその他の化合物を混合し、従来公知の押出造粒機や混練造粒機を用いて、例えば40~80℃で混練することにより得ることができる。押出造粒機としては、例えば、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ブレード型押出造粒機、打錠型押出造粒機、ブリケット型押出造粒機等が挙げられる。
【実施例
【0044】
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
【0045】
以下に、粒状難燃剤組成物を製造するための原料の詳細について説明する。
【0046】
<使用原料>
[含臭素有機化合物(A1)]
(A1-1):テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)(商品名:ピロガードSR-130、第一工業製薬社製、臭素含有量:66重量%)
(A1-2):テトラブロモビスフェノール-A-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)(商品名:ピロガードSR-720N、第一工業製薬社製、臭素含有量:67重量%)
【0047】
[含臭素有機化合物(A2)]
(A2-1):2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン(商品名:ピロガードSR-245、第一工業製薬社製、臭素含有量:67重量%)
(A2-2):トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート(商品名:ピロガードSR-750、第一工業製薬社製、臭素含有量:65重量%)
(A2-3):トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(商品名:CR-900、大八化学工業株式会社製、臭素含有量:73重量%)
【0048】
[脂肪酸(B1)]
(B1-1):ステアリン酸(商品名:ステアリン酸98、ミヨシ油脂株式会社製、融点68℃、炭素数18)
(B1-2):パルミチン酸(商品名:パルミチン酸98、ミヨシ油脂株式会社製、融点61℃、炭素数16)
(B1-3):アラキジン酸(商品名:アラキジン酸、東京化成株式会社製、融点77℃、炭素数20)
(B1-4):べヘン酸(商品名:べヘン酸85、ミヨシ油脂株式会社製、融点76℃、炭素数22)
(b1-1):ラウリン酸(商品名:ラウリン酸98、ミヨシ油脂株式会社製、融点43℃、炭素数12)(比較用材料)
(b1-2):ミリスチン酸(商品名:ミリスチン酸98、ミヨシ油脂株式会社製、融点53℃、炭素数14)(比較用材料)
(b1-3):オレイン酸(商品名:オレイン酸D-100、新日本理化株式会社製、融点17℃、炭素数18)(比較用材料)
(b1-4):リグノセリン酸(商品名:リグノセリン酸、東京化成株式会社製、融点84℃、炭素数24)(比較用材料)
【0049】
[脂肪酸(B1)以外のバインダー(B2)]
(B2-1):エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン684、東ソー株
式会社製、VA(酢酸ビニル)=20モル%、MI(メルトインデックス)=2000)
(B2-2):エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン735、東ソー株
式会社製、VA=28モル%、MI=1000)
(B2-3):エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン720、東ソー株
式会社製、VA=28モル%、MI=150)
(B2-4):エチレン-酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン760、東ソー株
式会社製、VA=42モル%、MI=70)
(B2-5):エチレン-エチルメタクリレート共重合体(商品名:NUC-6940、ENEOS株式会社製、EA(エチルメタクリレート)=35モル%、MI=20)
(B2-6):エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(商品名:アクリフトCM5021、住友化学株式会社製、MMA(メタクリル酸メチル)=28モル%、MI=450)
(B2-7):エチレン-メタクリル酸共重合体(商品名:ニュクレルN0200H、三井・ダウ ポリケミカル株式会社製、MA(メタクリル酸)=2モル%,MI=130)
【0050】
[安定剤(C)]
(C-1):トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:アデカ
スタブ2112、株式会社ADEKA製)
(C-2):テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-1,2
,3,4-ブタンテトラカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA-57、株式会社
ADEKA製)
(C-3):ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート(商品名:ラスミットSG
、第一工業製薬株式会社製)
(C-4):ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート](商品名:IRGANOX 1010、BASF社
製)
(C-5):ジオクチルスズジラウレート(商品名:OL-1、東京ファインケミカル株
式会社製)
(C-6):ハイドロタルサイト(商品名:STABIACE HT-1、堺化学工業株
式会社製)
【0051】
[リン酸エステル(D)]
(D-1):トリフェニルホスフェート(商品名:TPP、大八化学工業株式会社製)
【0052】
<粒状難燃剤組成物の評価>
各実施例および各比較例における原料の配合量(重量基準)、配合量の比率、および評価結果を後掲の表に示す。
【0053】
表に示す配合量に従い、含臭素有機化合物(A)およびバインダー(B)、および、必要によりその他の化合物をミキサー(商品名:ハイスピードミキサー、深江パウテック株式会社製)で、回転数600rpmにて5分間混合した。以下、このようにして得られた混合物を「評価用組成物」とも称する。各実施例および各比較例の評価用組成物を用いて、生産性、互着性および強度の評価を行った。また、各評価用組成物を熱可塑性樹脂に添加して得られた熱可塑性樹脂組成物の難燃性の評価を行った。
【0054】
(生産性)
設定温度70℃とした押出造粒機(商品名:EXDF-100、ダルトン株式会社製)を使用し、評価用組成物を材料として用いて、押出造粒機からの吐出速度を調整しながら造粒を行い、粒状難燃剤組成物の生産性を判定した。具体的には、造粒することが可能な吐出速度の範囲のうち、最も高い吐出速度(以下、「最大吐出速度」とも称する)を生産性の判定に用いた。
【0055】
ここで、吐出速度は、単位時間あたりに押出造粒機から吐出される難燃剤組成物(粒状か否かを問わない)の重量であり、その単位は[kg/h]である。また、押出造粒機により造粒されて得られる粒状難燃剤組成物は、多少のばらつきはあるが、代表的には円柱状であり、その底面の直径は3mmであり、高さは5mmである(後述の互着性および強度の評価においても同様)。生産性の判定基準を次に示す。なお、評価「A」が最も生産性が高く、好ましい。また、評価「D」の評価用組成物については、後述する互着性および強度等の評価を行わなかった
A:造粒可能であり、最大吐出速度が150kg/h以上
B:造粒可能であり、最大吐出速度が100kg/h以上150kg/h未満
C:造粒可能であり、最大吐出速度が50kg/h以上100kg/h未満
D:造粒可能であるが最大吐出速度が50kg/h未満または吐出速度に拠らず造粒できない
【0056】
(互着性)
粒状難燃剤組成物の互着性を次の方法により求めた。すなわち、設定温度70℃とした上記押出造粒機を使用し、評価用組成物を材料として用いて造粒を行った。このときの押出造粒機からの吐出速度は、上述の生産性の評価の際に得られた最大吐出速度とした。押出造粒機の吐出口の20cm下に水平にした木板を配置し、吐出された粒状難燃剤組成物が当該木板上に積み重なるようにした。この評価で使用した評価用組成物は1kgである。造粒から30分間室温(25℃)雰囲気下に静置して粒状難燃剤組成物を十分に冷却固化し、それを用いて互着性の判定を行った。互着性の判定基準を次に示す。なお、評価「A」が最も互着性が低く、好ましい。また、下記の「分離させることが可能」とは、たとえば塊状にまとまった粒状難燃剤組成物の各々を、本来の形状が維持された状態のままで、器具等を使わずにバラバラにすることができることをいう。
A:粒状難燃剤組成物同士が全く付着していない
B:粒状難燃剤組成物の一部または全部が互いに付着しているが分離させることが可能
C:粒状難燃剤組成物の一部または全部が互いに付着しており分離できない
【0057】
(強度)
粒状難燃剤組成物には容易に崩れない程度の強度を有することが求められる。粒状難燃剤組成物の強度は次の方法により求めた。すなわち、設定温度70℃とした上記押出造粒機を使用し、評価用組成物を材料として用いて造粒を行った。このときの押出造粒機からの吐出速度は、上述の生産性の評価の際に得られた最大吐出速度とした。得られた粒状難燃剤組成物20gを目開き1mmの篩いに乗せ振とう機(タップ式篩振とう機AS200tap、株式会社レッチェ製)を用いて10分間振とうさせた後、篩上に残った粒状難燃剤組成物の重量を測定し、試験前の重量(20g)に対する割合(重量%)を算出した。算出した当該割合を用いて、粒状難燃剤組成物の強度を次の基準で判定した。なお評価「A」が最も強度が高く、好ましい。
A:90重量%以上
B:80重量%以上90重量%未満
C:80重量%未満
【0058】
(熱可塑性樹脂組成物の難燃性)
それぞれの実施例および比較例に係る粒状難燃剤組成物を熱可塑性樹脂に添加して得られた熱可塑性樹脂組成物が、難燃性を有していることを確認した。
【0059】
具体的には、スチレン系樹脂(商品名:PSJポリスチレンG9305、PSジャパン社製)と粒状難燃剤組成物とを、口径65mmの押出機に投入し、機内を200℃に加熱して溶融して可塑化し、混練を続けることで、押出機内でスチレン系樹脂組成物を調製した。スチレン系樹脂と粒状難燃剤組成物との配合比率は、粒状難燃剤組成物中の含臭素有機化合物(A)が全体の3重量%となるように調整した。押出機は、口径65mmから口径90mmに直列連結した二段押出機を使用した。
【0060】
続いて、65mm押出機先端(口径90mmの押出機の口金と反対側)に別ラインで、所定量の発泡剤を圧入し、口径90mmの押出機で樹脂温度(機内温度)を120℃に冷却した。発泡剤としては、イソブタンを3重量部及びジメチルエーテルを3重量部(スチレン系樹脂100重量部あたり)用いた。その後、口径90mmの押出機の先端に設けた厚さ方向2.5mm、幅方向45mmの長方形断面のダイリップより大気中に樹脂組成物を押し出すことにより、直方体状であるスチレン系樹脂の押出発泡成形体を得た。得られた押出発泡成形体について、JIS K-7201に従って酸素指数を測定し、押出発泡成形体の難燃性を判定した。難燃性の判定基準を次に示す。なお、評価「A」の方が、難燃性が高く、好ましい。また、酸素指数が26以上の場合には日本の消防法における指定可燃物の適用を受けない。
A:酸素指数が26以上
B:酸素指数が26未満
【0061】
ここでは、一例として発泡スチレン樹脂の難燃性確認について記載したが、他の熱可塑性樹脂(非発泡のスチレン樹脂およびABS樹脂等)を使用した場合にも、同様に熱可塑性樹脂組成物が所望の難燃性を有することを確認できた。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
各表より、本発明の粒状難燃剤組成物すなわち各実施例に示す粒状難燃剤組成物は生産性に優れ、互着性が低く、強度に優れることがわかる。
【0066】
なお、本明細書において、たとえば「XX~YY」という記載は「XX以上YY以下」を意味する
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の粒状難燃剤組成物は、熱可塑性樹脂に用いる難燃剤として使用することができる。
【要約】
【課題】互着性が低く、ある程度の強度を有し、生産性を高めることが可能な粒状難燃剤組成物を提供する。
【解決手段】 含臭素有機化合物(A)およびバインダー(B)を含有する粒状難燃剤組成物であって、前記含臭素有機化合物(A)が、2,3-ジブロモ-2-アルキルプロピル基を有する特定の含臭素有機化合物(A1-1)および2,3-ジブロモプロピル基を有する特定の含臭素有機化合物(A1-2)からなる群より選択される少なくとも1つの含臭素有機化合物(A1)を含有し前記バインダー(B)が、融点が40~90℃である炭素数16~22の脂肪酸(B1)を含有することを特徴とする粒状難燃剤組成物。
【選択図】 なし