(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240111BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
B23Q11/00 D
B23Q11/08 Z
(21)【出願番号】P 2019115578
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】河住 雅広
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特許第2830450(JP,B2)
【文献】特開2003-251578(JP,A)
【文献】特開2017-144513(JP,A)
【文献】特開2015-013335(JP,A)
【文献】実公平06-037442(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工領域を囲むスプラッシュガードと、該スプラッシュガードの開口部を開閉可能な
スライドドアと、を含む機械本体と、
該機械本体に対して配置を変更可能に取り付けられた踏み台と、を備え、
前記踏み台は、
前記スライドドアがスライドする方向に沿って水平位置を変更可能に前記機械本体に取り付けられ、前記
スライドドアが閉じている時に前記機械本体に取り付けられている状態で前記機械本体の外部に配置され、前記
スライドドアが開いている時に前記機械本体に取り付けられている状態のまま前記機械本体の外部から前記開口部を通って前記加工領域に入る段取り用配置に変更可能である、工作機械。
【請求項2】
前記踏み台は、前記段取り用配置において作業者が乗ることが可能な踏み板面であって前記
スライドドアが閉じている時の収納用配置から前記段取り用配置になると向きが変わる踏み板面を有する、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
加工領域を囲むスプラッシュガードと、該スプラッシュガードの開口部を開閉可能なドアと、を含む機械本体と、
該機械本体に対して配置を変更可能に取り付けられた踏み台と、を備え、
前記踏み台は、前記ドアが閉じている時に前記機械本体に取り付けられている状態で前記機械本体の外部に配置され、前記ドアが開いている時に前記機械本体に取り付けられている状態のまま前記機械本体の外部から前記開口部を通って前記加工領域に入る段取り用配置に変更可能であり、
前記踏み台は、前記ドアが閉じている時の収納用配置とされている状態で水平位置を変更可能である
、工作機械。
【請求項4】
前記踏み台は、前記段取り用配置とされている状態で
前記方向に沿って水平位置を変更可能である、請求項1
又は請求項2に記載の工作機械。
【請求項5】
前記踏み台は、前記機械本体に対して配置を変更可能に取り付けられた踏み板と、前記段取り用配置において作業者が乗ることができるように前記踏み板を支持可能な脚部と、前記踏み板に対して前記脚部を傾動させる傾動機構と、を備え、
前記傾動機構は、前記踏み板を支持する使用状態と、前記踏み板に沿った非使用状態と、に前記脚部を傾動可能であり、
前記機械本体は、前記踏み台が前記段取り用配置とされ、且つ、前記脚部が前記使用状態とされている時に前記脚部の先端を載せる載置部を備える、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段取り用の踏み台を備える工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の旋盤等では、段取り時に作業者が加工領域に入って部品を着脱したり切り屑を排出したりすることがある。これらの作業をするため、作業者が乗ることが可能な踏み台が加工領域内においてスプラッシュガードの開口部の近くに設けられることがある。特許文献1に開示された工作機械は、加工用形態と段取り用形態とに変形可能な踏み台を備えている。この踏み台は、加工用形態にあるときも段取り用形態にあるときもスプラッシュガードの開口部内側の加工領域でかつ該開口部の近くに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加工時にも踏み台が加工領域内にあると、踏み台が切削油や切り屑に曝される。このため、段取り時に作業者が清掃しないで踏み台に乗ると、切削油や切り屑が靴に付着して機械本体の周囲に汚れを付着させる等の可能性がある。工場を清潔に保つ等のためには、踏み台を清掃する作業が生じる。
一方、段取り時に作業者が機械本体の外部から加工領域内に踏み台を入れ、加工時に作業者が機械本体から遠ざける作業を行うことは、煩わしい。
【0005】
本発明は、踏み台の汚れを抑制しながら段取り時の作業性を向上させることが可能な工作機械を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の工作機械は、加工領域を囲むスプラッシュガードと、該スプラッシュガードの開口部を開閉可能なスライドドアと、を含む機械本体と、
該機械本体に対して配置を変更可能に取り付けられた踏み台と、を備え、
前記踏み台は、前記スライドドアがスライドする方向に沿って水平位置を変更可能に前記機械本体に取り付けられ、前記スライドドアが閉じている時に前記機械本体に取り付けられている状態で前記機械本体の外部に配置され、前記スライドドアが開いている時に前記機械本体に取り付けられている状態のまま前記機械本体の外部から前記開口部を通って前記加工領域に入る段取り用配置に変更可能である、態様を有する。
また、本発明の工作機械は、加工領域を囲むスプラッシュガードと、該スプラッシュガードの開口部を開閉可能なドアと、を含む機械本体と、
該機械本体に対して配置を変更可能に取り付けられた踏み台と、を備え、
前記踏み台は、前記ドアが閉じている時に前記機械本体に取り付けられている状態で前記機械本体の外部に配置され、前記ドアが開いている時に前記機械本体に取り付けられている状態のまま前記機械本体の外部から前記開口部を通って前記加工領域に入る段取り用配置に変更可能であり、
前記踏み台は、前記ドアが閉じている時の収納用配置とされている状態で水平位置を変更可能である、態様を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、踏み台の汚れを抑制しながら段取り時の作業性を向上させる工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2Aは加工時の工作機械の例を模式的に示す正面図、
図2Bは段取り時の工作機械の例を模式的に示す正面図である。
【
図3】踏み台が収納用配置である場合の工作機械の要部を模式的に例示する図である。
【
図4】踏み台が段取り用配置である場合の工作機械の要部を模式的に例示する図である。
【
図5】収納用配置の踏み台の例を模式的に示す斜視図である。
【
図8】踏み台の位置決め構造の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~8に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0011】
[態様1]
本技術の一態様に係る工作機械(例えば旋盤1)は、機械本体10と踏み台50を備えている。前記機械本体10は、加工領域21を囲むスプラッシュガード20と、該スプラッシュガード20の開口部22を開閉可能なドア25と、を含んでいる。前記踏み台50は、前記機械本体10に対して配置を変更可能に取り付けられている。当該踏み台50は、前記ドア25が閉じている時に前記機械本体10に取り付けられている状態で前記機械本体10の外部O1に配置され、前記ドア25が開いている時に前記機械本体10に取り付けられている状態のまま前記機械本体10の外部O1から前記開口部22を通って前記加工領域21に入る段取り用配置52に変更可能である。
【0012】
機械本体10に取り付けられている踏み台50は、ドア25が閉じている状態で加工が行われる時に機械本体10の外部O1に配置されているので、切削油や切り屑の付着が抑制され、良好な安全性も維持される。ドア25が開けられて段取り作業が行われる時、踏み台50の配置は、機械本体10に取り付けられている状態のまま機械本体10の外部O1から開口部22を通って加工領域21に入る段取り用配置52に変更可能である。このため、作業者Pは、踏み台50を機械本体外に待機させている状態から容易に段取り用配置52に変えることができる。従って、本態様は、踏み台の汚れを抑制しながら段取り時の作業性を向上させる工作機械を提供することができる。また、段取り用配置52の踏み台50が開口部22を横切っているので、ドア25の閉じ動作が阻害されることでドアインターロック機能が有効になり、段取り時に作業者の安全性が維持される。
【0013】
[態様2]
図4等に例示するように、前記踏み台50は、前記段取り用配置52において作業者Pが乗ることが可能な踏み板面61であって前記ドア25が閉じている時の収納用配置51から前記段取り用配置52になると向きが変わる踏み板面61を有していてもよい。これにより、段取り時には踏み台50の踏み板面61に作業者Pが乗ることができる。また、踏み台収納時には踏み板面61の向きが段取り時とは異なるので、本態様は、踏み台の収納性を向上させることが可能となる。
【0014】
ここで、踏み板面の向きを変える機構には、踏み板面を有する踏み板を回動させる機構、踏み板をスライド及び回動させる機構(
図6参照)、曲線状ガイドに沿って踏み板を案内する機構(不図示)、等が含まれる。この付言は、以下の態様においても適用される。
尚、上記態様2には含まれないが、
図7に例示するように収納用配置から段取り用配置になっても踏み板面の向きが変わらない場合も、本技術に含まれる。
【0015】
[態様3]
図2A等に例示するように、前記踏み台50は、前記ドア25が閉じている時の収納用配置51とされている状態で水平位置(例えば水平位置P1,P2)を変更可能でもよい。この場合、作業者Pは、ドア25が閉じている状態で加工が行われる時に収納用配置51の踏み台50の水平位置を変えることができる。従って、本態様は、収納用配置の踏み台を加工時に邪魔にならない水平位置にすることが可能となる。
【0016】
ここで、踏み台の水平位置は、踏み台の水平成分の位置を意味する。従って、収納用配置の踏み台は、水平方向へ移動してもよいし、移動に水平成分が含まれていれば水平方向から上又は下へずれた方向へ移動してもよい。この付言は、以下の態様においても適用される。
尚、上記態様3には含まれないが、収納用配置の踏み台の水平位置が変わらない場合も、本技術に含まれる。
【0017】
[態様4]
図2B等に例示するように、前記踏み台50は、前記段取り用配置52とされている状態で水平位置(例えば水平位置P2,P3)を変更可能でもよい。この場合、作業者Pは、ドア25が開いている状態で機械本体10の外部O1から開口部22を通って加工領域21に入っている踏み台50の水平位置を変えることができる。例えば、工作機械(1)が互いに対向する第一主軸及び第二主軸を有する旋盤であるとする。この場合、第一主軸に近い水平位置に段取り用配置52の踏み台50を設置することにより第一主軸の周辺の段取り作業を行うことができ、第二主軸に近い水平位置に段取り用配置52の踏み台50を設置することにより第二主軸の周辺の段取り作業を行うことができる。従って、本態様は、段取り時の作業性をさらに向上させることができる。
尚、上記態様4には含まれないが、段取り用配置の踏み台の水平位置が変わらない場合も、本技術に含まれる。
【0018】
[態様5]
図4,5等に例示するように、前記踏み台50は、前記機械本体10に対して配置を変更可能に取り付けられた踏み板60と、前記段取り用配置52において作業者Pが乗ることができるように前記踏み板60を支持可能な脚部70と、前記踏み板60に対して前記脚部70を傾動させる傾動機構75と、を備えていてもよい。前記傾動機構75は、前記踏み板60を支持する使用状態71と、前記踏み板60に沿った非使用状態72と、に前記脚部70を傾動可能でもよい。前記機械本体10は、前記踏み台50が前記段取り用配置52とされ、且つ、前記脚部70が前記使用状態71とされている時に前記脚部70の先端70aを載せる載置部(例えば後傾斜部18)を備えていてもよい。これにより、段取り時には、機械本体10の載置部に載った使用状態71の脚部70によって踏み板60が支持され、踏み台50の耐久性を向上させることができる。また、踏み台収納時に脚部70を踏み板60に沿った邪魔にならない傾きにすることができるので、本態様は、踏み台の収納性を向上させることが可能となる。
むろん、踏み台が踏み板と脚部と傾動機構とを備えていることは、本技術の一例に過ぎない。
【0019】
[態様6]
図1等に例示するように、前記機械本体10は、前記ドア25が存在する外面15における下部に奥へ凹んだ退避部16を有していてもよい。前記踏み台50は、前記ドア25が閉じている時の収納用配置51において前記退避部16に収納されてもよい。本態様は、機械本体10の外部O1に配置された踏み台50が機械本体10下部の退避部16に収納されるので、踏み台を収納する専用のスペースが不要となる。
尚、上記態様6には含まれないが、機械本体に退避部が無い場合も、本技術に含まれる。
【0020】
(2)工作機械の具体例:
図1は、工作機械の例として主軸固定型のNC(数値制御)旋盤1の構成を模式的に例示している。本旋盤1は、大型であるので、段取り時に作業者Pが加工領域21に入るための作業用の踏み台50を備えている。
図2Aは、加工時の旋盤1の正面を模式的に例示している。
図2Bは、段取り時の旋盤1の正面を模式的に例示している。
図3は、踏み台50が収納用配置51である場合の旋盤1の要部を模式的に例示している。
図4は、踏み台50が段取り用配置52である場合の旋盤1の要部を模式的に例示している。
図5は、収納用配置51の踏み台50の外観を模式的に例示している。尚、本明細書において参照される図面は、本技術を説明するための例を示しているに過ぎず、本技術を限定するものではない。また、各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右を逆にしたり、回転方向を逆にしたり等することも、本技術に含まれる。また、方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。
【0021】
図1,2B等に示す旋盤1は、主軸41,42や刃物台43,44や操作部45や不図示のNC装置等を有する機械本体10と、該機械本体10に対して配置を変更可能に取り付けられている踏み台50と、を備えている。正面主軸41と背面主軸42とは、
図2Bの左右方向であるZ軸方向において互いに対向し、ワークW1を把持して回転可能である。旋盤1が主軸固定型である場合、正面主軸41はZ軸方向へ移動しない。正面加工後のワークW1を正面主軸41から背面主軸42に渡す場合、背面主軸42がZ軸方向へ移動してワークW1を受け取ってもよい。ワークW1を加工するための工具を保持する刃物台43,44は、
図2Bに示すようにタレット刃物台でもよいし、くし形刃物台等でもよい。工具には、突っ切りバイトを含むバイト、ドリルやエンドミルといった回転工具、等が含まれる。操作部45は、表示パネルや各種ボタンを有し、各種操作を受け付ける。NC装置は、不図示の不揮発性半導体メモリーに記憶されているNCプログラムを実行する。
尚、便宜上、Z軸方向と直交する水平方向をX軸方向とし、Z軸方向と直交する鉛直方向をY軸方向とする。各図には、必要に応じて、X軸方向を示す「X」、Y軸方向を示す「Y」、及び、Z軸方向を示す「Z」を示している。また、旋盤1においてドア25が存在する外面を前面として、各図には、必要に応じて、前方向D1、後方向D2、上方向D3、下方向D4、左方向D5、及び、右方向D6を示している。断りが無い限り、これらの方向D1~D6に合わせて旋盤1における位置関係を説明する。尚、図面の中における左右や上下等の位置関係を説明する場合には、図番を示したうえで位置関係を記載することにする。
【0022】
主軸41,42や刃物台43,44が配置された加工領域21は、開口部22を有するスプラッシュガード20に囲まれている。機械本体10は、スプラッシュガード20の前面の開口部22を開閉可能なドア25を備えている。スプラッシュガード20とドア25は、ワークW1の加工時に作業者Pから加工領域21を隔離することにより作業者Pの安全性を確保する機能を有し、さらに、加工時に発生する切り屑や加工時に使用するクーラントが旋盤1の外部O1に飛散することを防ぐ機能を有する。スプラッシュガード20の開口部22は、機械本体10の正面における左右の中程に配置されている。ドア25は、
図2Aに示すように開口部22を閉塞する位置と
図2Bに示すように開口部22を開放する位置との間でZ軸方向へスライド可能なスライドドアである。
図3に示すように、機械本体10は、長手方向をZ軸方向へ向けて配置されたドアレール12を有している。ドア25は、ドアレール12に沿ってZ軸方向へ移動する。ドア25は、加工時に加工領域21を見ることができるように透明板である窓26を有している。
【0023】
機械本体10は、切り屑やクーラントを内部30aに溜めるクーラントタンク30を下部に備えている。
図3に示すように、機械本体10は下向きの下部開口11を有し、クーラントタンク30は、下部開口11に合わせられる上部開口31を有している。機械本体10は、加工領域21の下部近傍において加工領域21を区画する前傾斜部17及び後傾斜部18を有している。前傾斜部17は、加工領域21の前にあり、下になるほど後ろになる傾斜を有している。後傾斜部18は、加工領域21の後ろにあり、下になるほど前になる傾斜を有している。前傾斜部17及び後傾斜部18に付着した切り屑やクーラントは、前傾斜部17及び後傾斜部18に沿って下部開口11の方へ誘導され、上部開口31からクーラントタンク30の内部30aに入る。内部30aの切り屑やクーラントは、
図1に示すチップコンベヤー38により機械本体10の外部O1に排出される。尚、足元に前傾斜部17及び後傾斜部18のようなスラント構造を有する旋盤では、傾斜部に沿って切り屑やクーラントを誘導するため、踏み台50が無ければ、加工領域21に足を入れると切り屑やクーラントで靴が汚れてしまう。そこで、本旋盤1は、足元のスラント構造に設置可能な踏み台50を備えている。
クーラントタンク30の前板部32の上縁部32aには、外部O1において踏み台50をZ軸方向へスライドさせるためのレール33が設けられている。レール33は、ドアレール12よりも外側にある。
【0024】
機械本体10は、ドア25が存在する外面15における下部に奥へ凹んだ退避部16を有している。機械本体10に取り付けられている踏み台50は、加工領域21に入っていない時に収納用配置51となって退避部16に収納される。
【0025】
図4,5に示すように、踏み台50は、踏み板60、該踏み板60の回動機構63、Z軸方向へのガイド構造65、脚部70、該脚部70の傾動機構75、及び、一対の補助脚80を備えている。
踏み板60は、機械本体10に対して配置を変更可能に取り付けられ、踏み台50が段取り用配置52である場合に作業者Pが乗ることが可能な踏み板面61を有している。踏み板面61の向きは、段取り用配置52において略水平であり、踏み台50が収納用配置51である場合に略鉛直となる。踏み板60の裏面62には、脚部70と傾動機構75と補助脚80が配置されている。
【0026】
踏み板60の回動機構63は、踏み板60の基端部60aに取り付けられた一対のブラケット64、及び、一対の締結具FA1を含んでいる。踏み板60の基端部60aは、踏み板60において回動軸AX1に沿った縁部であり、回動軸AX1に最も近い縁部である。各ブラケット64は、回動軸AX1に沿った長手状の基端部60aにおける端部にねじで固定されている。各締結具FA1は、例えばボルトとナットの組合せで構成され、前述のブラケット64とガイド構造65のブラケット67とを相対的に回動可能に締結している。回動機構63により、踏み板60は、一対の締結具FA1を通る回動軸AX1を中心として回動する。
踏み板60において基端部60aと直交する側端部60b,60cには、締結具FA2により脚部70の基端70bが傾動軸AX2を中心として傾動可能に取り付けられ、締結具FA3により開き止め76の基端76bが回動軸AX3を中心として回動可能に取り付けられている。各締結具FA2,FA3は、例えばボルトとナットの組合せで構成される。
【0027】
ガイド構造65は、クーラントタンク30に配置されたレール33に対してスライド可能に嵌合しているガイド66、及び、このガイド66に取り付けられた一対のブラケット67を含んでいる。各ブラケット67は、回動軸AX1に沿った長手状のガイド66の上面における端部にねじで固定されている。ガイド66に取り付けられたブラケット67、及び、締結具FA1を介してブラケット64に踏み板60が取り付けられていることにより、回動可能な踏み板60を備える踏み台50がレール33に沿ってZ軸方向へスライド可能となっている。
【0028】
脚部70は、
図4に示すように段取り用配置52において作業者Pが乗ることができるように踏み板60を支持可能である。脚部70の基端70bが踏み板60の側端部60b,60cに対して傾動軸AX2を中心として傾動可能に取り付けられていることにより、脚部70は踏み板60に対して傾動可能である。脚部70の先端70aには、滑り止め部材73が設けられている。
図4に示すように踏み台50が段取り用配置52であって脚部70が踏み板60の裏面62に沿った位置から引き出されている使用状態71である場合、滑り止め部材73が機械本体10の後傾斜部18に乗っている状態となる。この場合、後傾斜部18は載置部の例である。滑り止め部材73には、ゴム、エラストマー、等を用いることができる。脚部70において基端70bと先端70aとの間の途中位置には、開き止め76のスリット76cを通したねじSC1が固定されている。
【0029】
脚部70の傾動機構75は、一対の開き止め76、各開き止め76の基端76bに設けられた締結具FA3、及び、各開き止め76のスリット76cを通っているねじSC1を含んでいる。開き止め76は、該開き止め76の長手方向に沿った向きに長いスリット76cを有している。開き止め76の先端76aは開き止め76の長手方向からずれた方向へ曲がり、この形状に合わせてスリット76cの端部は開き止め76の長手方向からずれた方向D7へ曲がったロック部76dとされている。ロック部76dにねじSC1が入ることにより、脚部70の使用状態71が維持される。上述したように、開き止め76の基端76bは、締結具FA3により踏み板60の側端部60b,60cに対して回動軸AX3を中心として回動可能に取り付けられている。このことに加えて、脚部70の途中位置に固定されているねじSC1がスリット76cを通っていることにより、傾動機構75は、踏み板60に対して傾動軸AX2を中心として脚部70を傾動させる。傾動機構75により、脚部70は、
図4に示すように踏み板60を支持する使用状態71と、
図5に示すように踏み板60に沿った非使用状態72と、に傾動可能である。
尚、ロック部76dが向いている方向D7は、作業者Pが
図4に示す状態の踏み板面61に乗った時にねじSC1に加わる荷重の方向に合わせられている。従って、方向D7は、作業者Pが踏み板面61に乗っている時にねじSC1がロック部76dから外れ難い好ましい方向である。
【0030】
一対の補助脚80は、踏み板60の裏面62に対して側端部60b,60cに沿った傾動軸AX4を中心として傾動可能に取り付けられている。各傾動軸AX4は、補助脚80の基端80bにある。
図5に示すように非使用状態において、両補助脚80は、踏み板60に沿った配置であり、先端80a同士が対向している。
図4に示すように、踏み板60の裏面62に対して補助脚80を立てると、補助脚80の前部(
図4における左部)が機械本体10のドアレール12に突き当たる。これにより、後傾斜部18に乗っている斜めの脚部70に支持されている踏み板60の踏み板面61に作業者が乗っても踏み板60が前方へ移動しない。
【0031】
(3)踏み台の使用例及び収納例:
次に、踏み台50の使用例及び収納例を説明する。
ワークW1の加工時、
図2Aに示すように、ドア25は閉じており、機械本体10に取り付けられている踏み台50は収納用配置51とされている状態で水平位置P1にある。ここで、収納用配置51の踏み台50は、
図3に示すレール33に沿ってZ軸方向へスライド可能である。従って、ドア25が閉じていても、作業者Pは、水平位置P1,P2を通るZ軸方向へ収納用配置51の踏み台50を容易にスライドさせることができる。例えば、作業者Pは、閉じたドア25の窓26を覗いて試し削りをすることがある。踏み台50がドア25の直ぐ下の水平位置P2にあると、作業者Pが窓26を覗く時の邪魔になることがある。踏み台50を水平位置P2から水平位置P1に退避させると、作業者Pは、ドア25の直ぐ下につま先を入れることにより、窓越しであるが少しでも加工領域21に近付いて加工領域21を見ることができる。従って、機械本体10の外部O1にある踏み台50が作業者Pの邪魔にならず、試し削りの作業性が向上する。特に、機械本体10の正面の下部に退避部16がある場合、作業者Pは、ドア25の直ぐ下の退避部16につま先を入れることにより、加工領域21に近付き易い。このように、本旋盤1は、収納用配置51の踏み台50を加工時に邪魔にならない水平位置にすることができ、作業者Pの作業性が向上する。なお、ドア25の直ぐ下の退避部16に作業者Pのつま先が入るだけの窪みを設けても良い。この窪みにつま先を入れることで、作業者Pはさらに加工領域21に近づきやすくなる。
【0032】
段取り時、作業者Pは、まず、ドア25を開けることになる(
図2B参照)。スプラッシュガード20の開口部22が開放された時に収納用配置51の踏み台50が水平位置P1にある場合、作業者Pは、踏み台50を開口部22の直ぐ下までZ軸方向へ移動させることになる。例えば、踏み台50が水平位置P2に配置されたとする。ここで、
図4に示すように、作業者Pが回動軸AX1を中心として踏み板60を
図4の右回りに略270°回動させると、収納用配置51では略鉛直向きであった踏み板面61が上を向いた略水平となる。このように、収納用配置51であった踏み台50は、ドア25が開いている時に機械本体10に取り付けられている状態のまま機械本体10の外部O1から開口部22を通って加工領域21に入る段取り用配置52に変わる。段取り用配置52において踏み板60が開口部22を横切っているので、踏み板60がドア25の閉じ動作を阻害する干渉部材となることによりドアインターロック機能が有効になる。従って、段取り時に作業者の安全性が維持される。
【0033】
ただ、踏み板60の裏面62から脚部70が出ていなければ、踏み板60は片持ち状態となり、作業者Pが踏み板面61に乗ると回動機構63に強い応力が加わる。そこで、作業者Pは、踏み台50が収納用配置51である時に、非使用状態72の脚部70を踏み板60の裏面62から
図4に示す使用状態71となるまで傾動させて引き出し、非使用状態の補助脚80を踏み板60の裏面62から
図4に示す使用状態となるまで傾動させて引き出せばよい。ねじSC1がロック部76dに入ると脚部70が使用状態71に維持され、脚部70の先端70aが後傾斜部18に乗っている状態となり、脚部70が踏み板60を支持し、補助脚80が踏み板60の前方への移動を抑制する。
踏み板60が回動機構63と脚部70とで両持ち状に支持されることにより、踏み台50の耐久性が向上する。これにより、踏み板60を薄くすることができ、踏み台50を軽量化させることができる。
【0034】
踏み台50が段取り用配置52である場合、作業者Pは、
図1に示すように踏み板面61に乗って加工領域21に入り、部品を着脱したり切り屑を排出したりする段取り作業を行うことができる。踏み台50は、収納時に機械本体10の外部O1にあるので、加工時に切削油や切り屑に曝されない。従って、踏み板面61は清潔に維持され、段取り時に作業者Pが踏み板面61に乗っても切削油や切り屑が靴に付着することが抑制され、機械本体10の周囲が清潔に保たれ、安全性も良好である。
【0035】
また、旋盤1を正面から見て開口部22の幅が踏み板60の幅よりも広い場合、踏み板60がスプラッシュガード20及びドア25と干渉しない範囲において、作業者Pは、段取り用配置52の踏み台50を
図3に示すレール33に沿ってZ軸方向へ容易にスライドさせることができる。
図2Bを参照して説明すると、段取り用配置52の踏み台50を比較的左側の水平位置P2にすると、作業者Pは、正面主軸41と刃物台43に容易に近付くことができる。この場合は、正面主軸41と刃物台43の周辺の段取り作業に好適である。また、段取り用配置52の踏み台50を比較的右側の水平位置P3にすると、作業者Pは、背面主軸42と刃物台44に容易に近付くことができる。この場合は、背面主軸42と刃物台44の周辺の段取り作業に好適である。段取り用配置52の踏み台50が開口部22の幅の範囲でZ軸方向へ移動可能であることにより、段取り時の作業性が向上する。また、レール33とガイド構造65が加工領域外に設けられているため、レール33とガイド66との間に切り屑が入ることが抑制される。これにより、踏み台50のZ軸方向への円滑な移動が保たれ、レール33とガイド構造65のメンテナンスが容易である。
【0036】
段取り作業終了後、作業者Pは、まず、回動軸AX1を中心として踏み板60を
図4の左回りに略270°回動させることになる。これにより、段取り用配置52では略水平向きであった踏み板面61が背後に隠れた略鉛直向きとなる。また、作業者Pは、脚部70と補助脚80を踏み板60に沿った邪魔にならない傾きに変更してもよい。次に、作業者Pは、ドア25を閉めることになる(
図2A参照)。このように、作業者Pは、踏み台50を加工領域21から容易に退避させて収納することができる。ここで、段取り用配置52では略水平向きであった踏み板60が収納時に略鉛直向きに変わるので、踏み台収納時にX軸方向におけるスペースが少なくて済む。また、脚部70と補助脚80を踏み板60に沿った邪魔にならない傾きにすることにより、踏み台収納時にX軸方向におけるスペースを少なくすることができる。さらに、収納用配置51の踏み台50が機械本体10の正面下部の退避部16に収納されると、踏み台を収納する専用のスペースが不要となる。
【0037】
機械本体10に取り付けられている踏み台50は、ワーク加工時に機械本体10の外部O1に配置されているので、切削油や切り屑の付着が抑制される。ここで、踏み台が機械本体に取り付けられていない場合、段取り時に作業者が機械本体から離れた保管場所から踏み台を搬入して加工領域内に入れる作業が必要であり、加工時には作業者が加工領域から踏み台を搬出して機械本体から離れた保管場所に戻る作業が必要である。これらの作業は、煩わしい。本旋盤1の踏み台50は加工時でも機械本体10に取り付けられているので、踏み台50の配置を簡単に変えることができる。作業者Pは、ドア25を開けて段取り作業を行う時、踏み台50を機械本体10に取り付けられている状態のまま機械本体10の外部O1から開口部22を通って加工領域21に入る段取り用配置52に変えることができる。本旋盤1は、踏み台50を機械本体外に待機させている状態から容易に段取り用配置52に変えることができるので、踏み台の汚れを抑制しながら段取り時の作業性を向上させることができ、作業者が清潔且つ安全に主軸や刃物台に接近することができる。また、作業者Pは、段取り作業後に踏み台50を収納する時、踏み台50を機械本体10に取り付けられている状態のまま容易に機械本体10の外部O1へ出して収納することができる。
【0038】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
本技術を適用可能な工作機械は、正面主軸がZ軸方向へ移動する旋盤でもよいし、旋盤以外の工作機械でもよい。
上述した例では踏み台50をZ軸方向へスライドさせるためのレール33がクーラントタンク30に設けられていたが、前述のレールはクーラントタンク以外の機械本体、例えば、外装に設けられてもよい。
上述した例では使用状態の脚部70が後傾斜部18に向かう斜めの向きであったが、脚部の先端を載せる載置部を確保することができる限り、脚部を略鉛直の向きにしてもよい。
【0039】
踏み台の配置の変更は、上述した例に限定されない。例えば、踏み台が収納用配置である場合の踏み板面61の向きは、略鉛直からずれた向きでもよい。
図6は、踏み台50の変形例を模式的に示している。
図6の上部は踏み台50の収納用配置51を示し、
図6の下部は踏み台50の段取り用配置52を示している。尚、上述した例と類似する要素については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0040】
図6に示す機械本体10は、外部O1において踏み台50をZ軸方向へスライドさせるためのレール133を備えている。踏み台50は、ガイド166とブラケット167を含むガイド構造65を備えている。ガイド166は、レール133に対してZ軸方向へスライド可能に嵌合している。ブラケット167は、踏み板60の側端部160cに設けられている長溝163に入っている支軸168を有し、ガイド166に取り付けられている。図示していないが、踏み板60において側端部160cとは反対の側端部にも長溝が設けられ、この長溝に入っている支軸を有するブラケットがガイド166に取り付けられている。回動軸AX1を中心として踏み板60を回動させる回動機構63は、支軸168と長溝163を含んでいる。また、長溝163に沿って支軸168が相対位置を変えるので、支軸168と長溝163は、踏み板60をスライド及び回動させる機構である。
以上より、踏み台50は、収納用配置51において水平位置P1,P2(
図2A参照)を通るZ軸方向へ容易にスライド可能であり、段取り用配置52において水平位置P2,P3(
図2B参照)を通るZ軸方向へ容易にスライド可能である。
【0041】
踏み台50を収納用配置51から段取り用配置52に切り替える時、作業者は、ドアを開け、水平位置P2等において踏み板60を上方へ持ち上げ(
図6下部の二点鎖線部参照)、回動軸AX1を中心として踏み板60を加工領域21の奥の方へ略90°倒せばよい。これにより、踏み台50は、ドアが開いている時に機械本体10に取り付けられている状態のまま機械本体10の外部O1から開口部22を通って加工領域21に入る段取り用配置52に変わる。踏み台50が傾動可能な脚部70を備えている場合、作業者は、脚部70を該踏み板60に沿った非使用状態から踏み板60を支持する使用状態71に切り替えてもよい。脚部70の先端70a、例えば、滑り止め部材73が機械本体10の載置部118に載せられると、脚部70は踏み板60を支持する。作業者は、踏み板面61に乗って段取り作業を行うことができる。
【0042】
段取り作業後、作業者は、回動軸AX1を中心として踏み板60を略90°上方へ持ち上げ(
図6下部の二点鎖線部参照)、該踏み板60をそのまま下ろせばよい。これにより、踏み台50は、機械本体10に取り付けられている状態のまま機械本体10の外部O1、例えば、退避部16に収納される。また、脚部70を踏み板60に沿った邪魔にならない傾きにすることにより、踏み台収納時にX軸方向におけるスペースを少なくすることができる。ドアを閉めると、次のワーク加工を行うことができる。
図6に示す踏み台50も、汚れを抑制しながら段取り時の作業性を向上させることができる。
【0043】
また、
図7に例示するように、収納用配置51と段取り用配置52とで踏み板面61の向きが変わらない場合も、本技術に含まれる。
図7の上段及び中段は踏み台50の収納用配置51を示し、
図7の下段は踏み台50の段取り用配置52を示している。
図7に示す機械本体10も、外部O1において踏み台50をZ軸方向へスライドさせるためのレール133を備えている。踏み台50は、レール133に対してZ軸方向へスライド可能に嵌合しているガイド166を備えている。ガイド166の上面には、踏み板面61を上に向けた踏み板60をX軸方向へスライドさせるスライド機構164が設けられている。
以上より、踏み台50は、収納用配置51において水平位置P1,P2を通るZ軸方向へ容易にスライド可能であり、段取り用配置52において水平位置P2,P3を通るZ軸方向へ容易にスライド可能である。
【0044】
踏み台50を収納用配置51から段取り用配置52に切り替える時、作業者は、ドアを開け、水平位置P2等において踏み板60を奥の方へスライドさせる(
図7の上段から中段参照)。これにより、踏み台50は、ドアが開いている時に機械本体10に取り付けられている状態のまま機械本体10の外部O1から開口部22を通って加工領域21に入る段取り用配置52に変わる(
図7の下段参照)。踏み台50が傾動可能な脚部を備えている場合、作業者は、脚部を該踏み板60に沿った非使用状態から踏み板60を支持する使用状態に切り替えてもよい。作業者は、踏み板面61に乗って段取り作業を行うことができる。
【0045】
段取り作業後、作業者が踏み板60を手前にスライドさせると、
図7の中段に示すように、踏み台50が機械本体10に取り付けられている状態のまま機械本体10の外部O1に退避する。また、作業者は、踏み台50を開口部22の近傍(例えば水平位置P2)から邪魔にならない位置(例えば水平位置P1)までZ軸方向へスライドさせることができる。ドアを閉めると、次のワーク加工を行うことができる。
図7に示す踏み台50も、汚れを抑制しながら段取り時の作業性を向上させることができる。
【0046】
さらに、Z軸方向へ移動可能な踏み台が脚部を備えている場合、Z軸方向における踏み台の位置を決める構造を機械本体に設けてもよい。
図8は、Z軸方向へスライド可能な踏み台50の位置決め構造の例を模式的に示している。
図8に示す機械本体10の載置部118は、脚部70の先端70a(例えば滑り止め部材73)が入ることが可能な複数の位置決め部119を有している。複数の位置決め部119は、Z軸方向へ並んでいる。作業者は、複数の位置決め部119のいずれかに脚部70の先端70aを合わせるように段取り用配置の踏み台50をZ軸方向へ移動させ、位置決め部119のいずれかに脚部70の先端70aを入れることができる。位置決め部119のいずれかに脚部70の先端70aが入ると、位置決め部119と先端70aとが嵌合し、段取り用配置の踏み台50が移動しないように固定される。
【0047】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、踏み台の汚れを抑制しながら段取り時の作業性を向上させる工作機械等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…旋盤(工作機械の例)、
10…機械本体、11…下部開口、12…ドアレール、
15…外面、16…退避部、17…前傾斜部、18…後傾斜部(載置部の例)、
20…スプラッシュガード、21…加工領域、22…開口部、
25…ドア、26…窓、
30…クーラントタンク、32…前板部、32a…上縁部、33…レール、
50…踏み台、51…収納用配置、52…段取り用配置、
60…踏み板、61…踏み板面、62…裏面、63…回動機構、64…ブラケット、
65…ガイド構造、66…ガイド、67…ブラケット、
70…脚部、71…使用状態、72…非使用状態、73…滑り止め部材、
75…傾動機構、76…開き止め、76c…スリット、
AX1…回動軸、AX2…傾動軸、AX3…回動軸、AX4…傾動軸、
D1…前方向、D2…後方向、D3…上方向、D4…下方向、
D5…左方向、D6…右方向、
FA1~FA3…締結具、
P…作業者、
P1~P3…水平位置、
O1…外部、W1…ワーク。