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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】予混合装置およびこれを備えた燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/64 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
F23D14/64 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020107690
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003283
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】唐木 竜也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬一
(72)【発明者】
【氏名】船引 恒男
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭平
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-502278(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0161028(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0326221(US,A1)
【文献】特開2003-130312(JP,A)
【文献】実公昭31-013178(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00 - 14/84
B01F 21/00 - 25/90
F02C 1/00 - 9/58
F02M 1/00 - 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するx,y,z方向のうち、x方向が軸長方向とされ、かつ外部から空気が流入可能なベンチュリ状の気体流通路が内部に形成されている管状部材と、
前記気体流通路内に位置してy方向に延び、かつ気体流れ方向下流寄り部分に燃料ガス流出口が設けられているブレード部と、
を備えており、
前記気体流通路に流入した空気が前記ブレード部の周囲を通過するときに発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記気体流通路に燃料ガスが流出し、前記空気と混合することが可能とされている、予混合装置であって、
前記ブレード部として、z方向に間隔を隔てるようにして略平行に並んだ第1および第2のブレード部を備え、かつこれら第1および第2のブレード部と前記気体流通路の内壁面との相互間には、前記空気の一部が流通する一対の端寄り空気流路が形成されており、
前記第1および第2のブレード部のそれぞれは、これらの前端部および後端部よりも前記内壁面寄りに膨出する膨出部を有しており、この膨出部により、前記一対の端寄り空気流路のそれぞれの一部が絞られていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記ベンチュリ状の気体流通路は、開口部を含み、かつ後部側ほど内径が漸次減少する上流側テーパ状領域と、この上流側テーパ状領域の後側に繋がり、かつ内径が最小とされている小径部と、この小径部の後側に繋がり、かつ後部側ほど内径が漸次拡大する下流側テーパ状領域と、を含んでおり、
前記一対の膨出部は、前記小径部に位置している、予混合装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の予混合装置であって、
前記第1および第2のブレード部のそれぞれは、
気体流れ方向上流側の前寄り領域に設けられ、かつ気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが増加するように後広がり状に傾斜し、夾角が鋭角である一対の前側傾斜面と、
前記一対の前側傾斜面の後側に設けられ、かつ気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが減少するように後狭まり状に傾斜し、その傾斜角が前記一対の前側傾斜面の傾斜角よりも小さい一対の後側傾斜面と、
を備えており、
前記一対の前側傾斜面と前記一対の後側傾斜面との境界部分は、ブレード厚みの最大箇所であり、かつ前記膨出部に相当する、予混合装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記第1および第2のブレード部の相互間には、前記空気の他の一部が流通する中央寄り空気流路が形成されており、
前記第1および第2のブレード部は、これらの前端部および後端部よりも前記中央寄り空気流路の中央寄りに膨出する一対の追加の膨出部を有しており、これら一対の追加の膨出部により、前記中央寄り空気流路の一部が絞られている、予混合装置。
【請求項5】
請求項4に記載の予混合装置であって、
前記一対の端寄り空気流路のそれぞれの前記膨出部によって絞れた箇所の流路面積と、前記中央寄り空気流路の前記一対の追加の膨出部によって絞られた箇所の流路面積とは、略同一に揃えられている、予混合装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の予混合装置であって、
前記第1および第2のブレード部のそれぞれの後端部には、気体流れ方向上流側に向けて部分的に窪んだ凹状部が設けられ、
この凹状部に、前記燃料ガス流出口が設けられている、予混合装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の予混合装置を備えていることを特徴とする、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合装置およびこれを備えた燃焼装置に関する。
ここで、「予混合」とは、予混合燃焼(Premixing combustion)を行なうことを目的として、空気と燃料ガスとを予め混合させ、可燃混合ガスを生成する処理である。
【背景技術】
【0002】
予混合装置の具体例として、特許文献1に記載のものがあり、これを図9に示す。
同図に示す予混合装置Aeは、ベンチュリ状の気体流通路40を内部に形成している管状部材4eと、この管状部材4eに取り付けられた縦横2つのブレード部9A,9Bと、を備えている。気体流通路40の下流側(図9(a)の右側)には、不図示のファンの吸気側が接続され、気体流通路40には空気が流入する。気体流通路40は、その上流域の流路面積が徐々に減少する一方、下流域には、流路面積が徐々に増大する部分が繋げられたベンチュリ状である。縦横2つのブレード部9A,9Bは、同図(b)に示すように、側面視十字状に繋がった状態に設けられており、これらの気体流れ方向下流側の後端部には、燃料ガス流出口60が設けられている。ブレード部9A,9Bは、内部空洞状であり、管状部材4eの周囲からブレード部9A,9B内に燃料ガスが供給される。
この予混合装置Aeにおいては、気体流通路40に空気が流れ、燃料ガス流出口60の付近に負圧が発生することにより、燃料ガス流出口60から気体流通路40に燃料ガスが流出し、空気と混合される。気体流通路40は、ベンチュリ状であるため、空気の流速を速くし、前記負圧を発生させ得る。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地がある。
【0004】
一般的に、予混合装置に求められる性能として、気体の圧力損失を小さくすること、および高いターンダウン比が得られるようにすることなどが挙げられる。
ここで、前記した予混合装置Aeは、気体流通路40における空気流量が多量である場合には、燃料ガス流出用の負圧を適切に発生させ、燃料ガスと空気とを一定の割合以上に混合させることは可能であるものの、空気流量が少量とされた場合には、前記した負圧が十分な状態には発生せず、燃料ガス流出口60から燃料ガスを適当量だけ流出させて空気と混合させることは難しいものとなる。したがって、このようなことをできる限り改善し、高いターンダウン比が得られるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表平11-502278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、圧力損失が小さく、かつ高いターンダウン比を得ることが可能な予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される予混合装置は、互いに交差するx,y,z方向のうち、x方向が軸長方向とされ、かつ外部から空気が流入可能なベンチュリ状の気体流通
路が内部に形成されている管状部材と、前記気体流通路内に位置してy方向に延び、かつ気体流れ方向下流寄り部分に燃料ガス流出口が設けられているブレード部と、を備えており、前記気体流通路に流入した空気が前記ブレード部の周囲を通過するときに発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記気体流通路に燃料ガスが流出し、前記空気と混合することが可能とされている、予混合装置であって、前記ブレード部として、z方向に間隔を隔てるようにして略平行に並んだ第1および第2のブレード部を備え、かつこれら第1および第2のブレード部と前記気体流通路の内壁面との相互間には、前記空気の一部が流通する一対の端寄り空気流路が形成されており、前記第1および第2のブレード部のそれぞれは、これらの前端部および後端部よりも前記内壁面寄りに膨出する膨出部を有しており、この膨出部により、前記一対の端寄り空気流路のそれぞれの一部が絞られていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、空気が流通する気体流通路がベンチュリ状とされていることに加え、第1および第2のブレード部のそれぞれと気体流通路の内壁面との相互間に形成された一対の端寄り空気流路は、その一部が絞られているため、このことによっても空気の流速を速めることができる。このように空気の流速を速めれば、気体流通路内における静圧を低くし、燃料ガス流出口から燃料ガスを流出させるように作用する負圧を強くすることが可能となる。その結果、空気流量が少ない場合であっても、燃料ガス流出を適切に行なわせることが可能となり、ターンダウン比を高めることができる。
第1および第2のブレード部は、気体流通路内に位置してy方向に延びているものの、これらはいわゆる薄肉状とし、空気流に対して大きな抵抗にならない構成とすることが可能である。したがって、圧力損失も小さくすることが可能である。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記ベンチュリ状の気体流通路は、開口部を含み、かつ後部側ほど内径が漸次減少する上流側テーパ状領域と、この上流側テーパ状領域の後側に繋がり、かつ内径が最小とされている小径部と、この小径部の後側に繋がり、かつ後部側ほど内径が漸次拡大する下流側テーパ状領域と、を含んでおり、前記一対の膨出部は、前記小径部に位置している。
【0011】
このような構成によれば、気体流通路における空気の流速を速め、気体流通路内における静圧(負圧)を低くする上で一層好ましいものとなる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記第1および第2のブレード部のそれぞれは、気体流れ方向上流側の前寄り領域に設けられ、かつ気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが増加するように後広がり状に傾斜し、夾角が鋭角である一対の前側傾斜面と、前記一対の前側傾斜面の後側に設けられ、かつ気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが減少するように後狭まり状に傾斜し、その傾斜角が前記一対の前側傾斜面の傾斜角よりも小さい一対の後側傾斜面と、を備えており、前記一対の前側傾斜面と前記一対の後側傾斜面との境界部分は、ブレード厚みの最大箇所であり、かつ前記膨出部に相当する。
【0013】
このような構成によれば、空気が第1および第2のブレード部に沿って流れる際の抵抗を小さくし、圧力損失を減少させる上で、より好ましいものにしつつ、端寄り空気流路の一部を絞る構成を適切に実現することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記第1および第2のブレード部の相互間には、前記空気の他の一部が流通する中央寄り空気流路が形成されており、前記第1および第2のブレード部は、これらの前端部および後端部よりも前記中央寄り空気流路の中央寄りに膨出する一対の追加の膨出部を有しており、これら一対の追加の膨出部により、前記中央寄り空気流路の一部が絞られている。
【0015】
このような構成によれば、第1および第2のブレード部の相互間に形成されている中央寄り空気流路を通過する空気の流速をも速めることが可能となる。したがって、空気流量が少ない場合に気体流通路の静圧(負圧)を低くし、ターンダウン比を高くする上で一層好ましいものとなる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記一対の端寄り空気流路のそれぞれの前記膨出部によって絞れた箇所の流路面積と、前記中央寄り空気流路の前記一対の追加の膨出部によって絞られた箇所の流路面積とは、略同一に揃えられている。
【0017】
このような構成によれば、気体流通路において、空気が、端寄り空気流路および中央寄り空気流路のいずれかに大きく偏った流量で流れることを抑制し、本発明が意図する作用をより的確に得ることが可能となる。
【0018】
本発明において、好ましくは、前記第1および第2のブレード部のそれぞれの後端部には、気体流れ方向上流側に向けて部分的に窪んだ凹状部が設けられ、この凹状部に、前記燃料ガス流出口が設けられている。
【0019】
このような構成によれば、第1および第2のブレード部の気体流れ方向下流側に空気の渦流が発生する場合に、この渦流による悪影響を受けないようにして、燃料ガス流出口から気体流通路内に燃料ガスを適切に流出させることができる。
【0020】
本発明の第2の側面により提供される燃焼装置は、本発明の第1の側面により提供される予混合装置を備えていることを特徴としている。
【0021】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される予混合装置について述べたのと同様な効果が得られる。
【0022】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る予混合装置を備えた燃焼装置、およびこれを利用した給湯装置の一例を示す説明図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図1の要部拡大図である。
図4図2の第1および第2のブレード部の燃料ガス流出口が形成されていない箇所の断面図である(第1および第2のブレード部の端部の丸み付け部の図示を省略している)。
図5図1に示す予混合装置の管状部材の一部破断要部概略斜視図である。
図6図1のVI-VI断面図である。
図7図1のVII-VII断面図である。
図8】中央寄り空気流路と端寄り空気流路との面積比と燃料ガスの吸引負圧との関係を示すグラフである。
図9】(a)は、従来技術の一例を示す要部断面図であり、(b)は、(a)の要部左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
なお、図9に示した従来技術と同一または類似の要素には、同一の符号を適宜付してい
る。
【0025】
図1は、予混合装置A、この予混合装置Aにファン1および燃焼プレート2を組み合わせて構成された燃焼装置B(予混合燃焼装置)、およびこの燃焼装置Bに熱交換器3を組み合わせて構成された給湯装置WHを示している。
図に示すx,y方向は、ともに水平方向であって、互いに交差する方向である。z方向は、上下高さ方向である。
【0026】
予混合装置Aの詳細は後述するが、この予混合装置Aを利用して空気と燃料ガスとの混合ガス(可燃混合ガス)が生成され、かつこの混合ガスが、ファン1を経由して燃焼プレート2に向けて吐出される。燃焼プレート2は、複数の通気孔20を有する多孔状プレートであって、ケース10内に収容されており、前記混合ガスは、燃焼プレート2を通過し、その下方において燃焼する。このことにより発生する燃焼ガスは、熱交換器3に作用し、熱交換器3内を通過する湯水は加熱される。このことにより、温水が生成され、この温水は所望の給湯先に供給される。
【0027】
予混合装置Aは、ファン1の吸気口に接続された管状部材4、この管状部材4を囲むハウジング部材5、および第1および第2のブレード部6A,6Bを備えている。
【0028】
管状部材4は、ベンチュリ状の気体流通路40(予混合室に相当)が内部に形成されている部材であり、その軸長方向はx方向である。ファン1が駆動されることにより、気体流通路40には、外部から開口部40a’を介して空気が流入する。気体流通路40は、気体流れ方向(空気流れ方向)の上流側から下流側にかけて、開口部40a’を含み、かつ内径が漸次減少する上流側テーパ状領域40a、内径が最も小さく、かつ略一定とされている小径部40b、および内径が漸次拡大する下流側テーパ状領域40cに区分される。
ただし、本実施形態とは異なり、小径部40bの幅(x方向の幅)をゼロまたはそれに近い寸法とすることもできる(上流側テーパ状領域40aの後端に、下流側テーパ状領域40cの前端を直接繋げることにより、これら2つの領域40a,40cの境界部を小径部40bとした構成とすることもできる)。
【0029】
第1および第2のブレード部6A,6Bは、気体流通路40に燃料ガスを流出させるためのノズルとしての役割を果たすことに加え、気体流通路40における空気流を、燃料ガスの流出に適したものにコントロールする役割をも果たすものである。これら第1および第2のブレード部6A,6Bは、燃料ガスが内部を通過し、後述する燃料ガス流出口60に導かれるように構成された内部空洞状の部位であり、気体流通路40の内壁面41(管状部材4の周壁部の内面)に橋渡し状に連設された状態で気体流通路40に位置し、かつy方向に延びている(図2図5図7も参照)。
好ましくは、第1および第2のブレード部6A,6Bの両端部と、気体流通路40の内壁面41との接続箇所には、形状の急変を抑制するための丸み付け部69が設けられている。この丸み付け部69は、空気流が乱流になることを抑制する効果をもたらせる。
【0030】
ハウジング部材5は、第1および第2のブレード部6A,6Bへの燃料ガス供給部材としての役割を果たす部材である。
具体的には、このハウジング部材5は、管状部材4の外周の前部および後部に設けられている段部42a,42bに外嵌し、シール用リング49によって気密シールが図られた状態で管状部材4を囲んでいる。ハウジング部材5には、燃料ガス供給口50が設けられており、この燃料ガス供給口50に供給された燃料ガスは、管状部材4とハウジング部材5との相互間に形成された燃料ガス供給路51に供給される。一方、図5および図6に示すように、管状部材4には、第1および第2のブレード部6A,6Bの内部に連通する開
口部43が形成されている。前記した燃料ガス供給路51に供給された燃料ガスは、その開口部43を通過して第1および第2のブレード部6A,6B内に流入し、その後に燃料ガス流出口60から流出するようになっている。
好ましくは、ハウジング部材5には、ボルト挿通用孔52を備えたフランジ部53が具備されている。このような構成によれば、フランジ部53を利用して、予混合装置Aを所望の部位に簡易かつ適切に接続可能である。
【0031】
第1および第2のブレード部6A,6Bどうしは、上下高さ方向(z方向)に間隔を隔てて略平行に並んでいる。このことにより、第1および第2のブレード部6A,6Bの相互間には、中央寄り空気流路40Aが形成されている。第1のブレード部6Aと内壁面41の上部との相互間、および第2のブレード部6Bと内壁面41の下部との相互間には、上下一対の端寄り空気流路40Bが形成されている。
【0032】
本実施形態においては、第1および第2のブレード部6A,6Bは、形状およびサイズが同一に揃えられており、燃料ガス流出口60が形成されていない箇所は、図4に示すような断面形状とされている。
すなわち、同図において、第1および第2のブレード部6A,6Bのそれぞれは、気体流れ方向上流側の前寄り領域に、一対の前側傾斜面61を有し、かつその後側に一対の後側傾斜面62を有している。一対の前側傾斜面61は、気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが増加するように後広がり状に傾斜しており、その夾角αは、鋭角である。これに対し、一対の後側傾斜面62は、気体流れ方向下流側ほどブレード厚みが減少するように後狭まり状に傾斜しており、水平方向(x方向)に対する傾斜角β2は、各前側傾斜面61の傾斜角β1(β1=α/2)よりも小さい。第1および第2のブレード部6A,6Bの前端面63は、一対の前側傾斜面61の互いに接近している前側部分どうしを滑らかに繋ぐ曲面とされている。第1および第2のブレード部6A,6Bの後端面64は、一対の後側傾斜面62の後端部どうしを滑らかに繋ぐ曲面とされている。
【0033】
第1および第2のブレード部6A,6Bのうち、一対の前側傾斜面61と一対の後側傾斜面62との境界部分は、第1および第2のブレード部6A,6Bの前端部および後端部に相対して上方および下方に部分的に膨出した膨出部65(65a,65b)となっており、ブレード厚みの最大箇所となっている。このブレード厚みの最大箇所(膨出部65)は、気体流通路40の内径が最も小さい小径部40bに位置するように設定されている。
【0034】
また、膨出部65が位置する箇所においては、図7に示すように、中央寄り空気流路40Aの流路面積A1と、一対の端寄り空気流路40Bの流路面積A2(A2a,A2b)とは、A1≒A2(A1≒A2a≒A2b)の関係に設定されている。
【0035】
中央寄り空気流路40Aは、既述したように、第1および第2のブレード部6A,6Bの相互間に形成されているが、この中央寄り空気流路40Aには、一対の膨出部65(本発明でいう一対の追加の膨出部に相当)が対面している。このことにより、中央寄り空気流路40Aは、一対の膨出部65によって挟まれている領域が、その上流域および下流域よりも小面積の領域として部分的に絞られた構成となっている。
また、一対の端寄り空気流路40Bにも、膨出部65が対面している。このことにより、一対の端寄り空気流路40Bのそれぞれは、膨出部65が対面している領域が、その上流域および下流域よりも小面積の領域として部分的に絞られた構成となっている。
【0036】
燃料ガス流出口60は、第1および第2のブレード部6A,6Bのそれぞれの長手方向(y方向)中央部の後端部に設けられている。ただし、本実施形態においては、第1および第2のブレード部6A,6Bの後端部には、気体流れ方向上流側に向けて部分的に窪んだ凹状部66が設けられており、この凹状部66の奥部(上流側)に、燃料ガス流出口6
0が設けられている。この構成は、後述するように、第1および第2のブレード部6A,6Bの気体流れ方向下流側に空気の渦流が発生する場合に、燃料ガス流出が悪影響を受け難くする効果をもたらせる。燃料ガス流出口60は、気体流れ方向下流側を向いて開口しており、燃料ガス流出口60からの燃料ガス流出による圧力損失ができる限り生じないようにされている。
【0037】
次に、前記した予混合装置Aおよび燃焼装置Bの作用について説明する。
【0038】
まず、ファン1を駆動させると、気体流通路40には開口部40a’から空気が流入し、中央寄り空気流路40A、および一対の端寄り空気流路40Bを通過する。ここで、気体流通路40は、小径部40bを有するベンチュリ状であるため、この小径部40bにおいて、空気の流速が速められる。また、中央寄り空気流路40Aは、前記したように第1および第2のブレード部6A,6Bの一対の膨出部65によって絞られているため、この部分において空気の流速は一層速められる。各端寄り空気流路40Bにおいても、第1および第2のブレード部6A,6Bの膨出部65によって絞られているため、この部分においても空気の流速は一層速められる。このようなことから、たとえばファン1の回転速度が低速とされ、気体流通路40における空気流量が少量とされた場合であっても、空気の流速を速くし、負圧を適切に発生させることが可能となる。したがって、燃料ガス流出口60からは、前記負圧を利用した燃料ガス流出を行なわせ、燃料ガスと空気とを適切な比率で混合させた可燃混合気体を生成することが可能となり、ターンダウン比を高くすることができる。
【0039】
第1および第2のブレード部6A,6Bは、既述したように、中央寄り空気流路40Aおよび端寄り空気流路40Bのそれぞれの一部を絞る機能を果たすものであるが、図4を参照して説明したような断面形状とされていることにより、これら第1および第2のブレード部6A,6Bの空気抵抗は小さくすることが可能である。したがって、圧力損失を小さくすることもできる。
【0040】
図8は、図7を参照して述べた中央寄り空気流路40Aおよび各端寄り空気流路40Bのそれぞれの流路面積A1,A2の比率を、1:2、1:1、2:1に変化させた場合に発生する吸引負圧を示している。
図8に示すデータによれば、流路面積A1,A2の比率を、1:1に設定した場合が、吸引負圧を最も低圧にすることができることが理解される。これは、前記比率が、1:1の場合には、中央寄り空気流路40Aおよび各端寄り空気流路40Bのそれぞれに対して空気が大きく偏った量で流れないようにし、中央寄り空気流路40Aおよび各端寄り空気流路40Bの各所におけるベンチュリ効果が効率よく得られることによると推測される。
【0041】
これに対し、本実施形態の予混合装置Aにおいては、既述したように、流路面積A1,A2が略等しい状態に設定されており、前記した1:1の比率に近い構成とされている。したがって、ベンチュリ効果による燃料ガスの吸引負圧作用を優れたものとする上で、より好ましく、ターンダウン比を一層高くすることができる。
【0042】
第1および第2のブレード部6A,6Bの気体流れ方向下流側の近傍域においては、空気の渦流が発生する虞がある。これに対し、燃料ガス流出口60は、第1および第2のブレード部6A,6Bの後端部の凹状部66に設けられているため、この燃料ガス流出口60付近には、渦流が作用し難い。したがって、燃料ガス流出口60からの燃料ガス流出が渦流によって阻害されることを抑制し、燃料ガス流出の円滑化を図ることができる。このことによってもターンダウン比が高められる。
【0043】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る予混合装置、および
これを備えた燃焼装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0044】
上述の実施形態においては、各端寄り空気流路40Bを絞ることに加え、中央寄り空気流路40Aをも絞った構成としているため、燃料ガス流出用の負圧を強める上で一層好ましいが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、中央寄り空気流路40Aが絞られていない構成とされていてもよい。端寄り空気流路40Bが絞られた構成とされていれば、特許文献1と比較して、燃料ガス流出用の負圧を強めることができ、本発明が意図する作用を得ることが可能である。
【0045】
本発明においては、ブレード部として、3以上のブレード部を設けた構成とすることもできる。この場合、3以上のブレード部のうち、少なくとも2つのブレード部が、本発明が意図する第1および第2のブレード部に相当する構成にあれば、本発明の技術的範囲に包摂される。
【0046】
上述の実施形態においては、本発明でいうx,y方向が水平方向とされ、z方向が上下高さ方向とされているものの、本発明はこれ限定されない。x,y,z方向は、これらが互いに交差する関係にあればよく、上述した実施形態とは異なる方向に設定することができる。
【0047】
本発明に係る燃焼装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば暖房用や焼却用などの他の用途の燃焼装置とすることもできる。また、燃焼ガスを下向きに進行させるタイプに限らず、燃料ガスをたとえば上向きに進行させるタイプとすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
A 予混合装置
B 燃焼装置
1 ファン
4 管状部材
40 気体流通路
40a 上流側テーパ状領域(気体流通路の)
40b 小径部(気体流通路の)
40c 下流側テーパ状領域(気体流通路の)
40A 中央寄り空気流路
40B 端寄り空気流路
41 内壁面
5 ハウジング部材
6A,6B 第1および第2のブレード部
60 燃料ガス流出口
61 前側傾斜面
62 後側傾斜面
65 膨出部
66 凹状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9