(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/182 20190101AFI20240111BHJP
H04L 67/10 20220101ALI20240111BHJP
【FI】
G06F16/182
H04L67/10
(21)【出願番号】P 2019191721
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【氏名又は名称】木村 友輔
(72)【発明者】
【氏名】千徳 渉
(72)【発明者】
【氏名】大沼 夏美
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-104235(JP,A)
【文献】特開2014-238824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/10-16/188
H04L 67/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイル格納装置とクライアント端末と接続可能な、前記ファイル格納装置に格納されているファイルの一部を記憶する記憶手段を有する情報処理装置であって、
前記ファイル格納装置に格納されているファイルの情報を
第1クライアント端末に送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された情報に係るファイルであって、前記
第1クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されている場合、該記憶手段から該ファイルを取得し、前記
第1クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されていない場合、前記ファイル格納装置からファイルを取得し、前記
第1クライアント端末に送信するファイル送信手段と、
前記ファイル格納装置のファイルが第2クライアント端末から前記記憶手段を経由せずに更新された場合は、更新された該ファイルを取得する取得手段と、
前記記憶手段は、前記取得手段で取得したファイルを記憶する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段で前記ファイル格納装置のファイルが前記第2クライアント端末から前記記憶手段を経由せずに更新されたかの判断は、前記ファイル格納装置の前記ファイルの最終更新日が、前記記憶手段に記憶されている前記ファイルに対応するファイルの最終更新日より新しい場合であること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ファイルの情報とは、前記ファイル格納装置に格納されているファイルの属性である第1の属性と、前記記憶手段に記憶されたファイルの属性である第2の属性とを含む
こと
を特徴とする請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の属性の前記取得手段により受信されたファイルの情報を前記第2の属性に反映する反映手段と
を有することを特徴とする請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶されるファイルを、前記
ファイル格納装置にも格納させる格納手段と、
前記記憶手段に記憶されているファイルのうち、所定の条件を満たすファイルを削除する削除手段と、
を有することを特徴とする請求項
3乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記削除手段は、前記所定の条件を満たすファイルを削除するとともに、該ファイルに関する前記第2の属性のレコードを削除すること
を特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定の条件を満たすファイルとは、登録指示を受け付けたファイルが登録されると記憶容量の上限を超えると判定される場合に前記記憶手段に記憶されているファイルへのアクセス日時から特定されるファイルであること
を特徴とする請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記
第1クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されているかの判断は、該ファイルの第1の属性と該ファイルの第2の属性との関係から判断すること
を特徴とする請求項
3乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記
第1クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されているかの判断は、該ファイルの第1の属性に該当するレコードが前記第2の属性にあるかにより判断すること
を特徴とする請求項
3乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記記憶手段に登録されるファイルに関するファイルの属性を前記第1の属性及び前記第2の属性として登録する登録手段 を有することを特徴とする請求項
3乃至9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1の属性には、前記記憶手段に記憶されているファイルと前記記憶手段に記憶されていないファイルとを識別可能に表示させるため情報を含むこと
を特徴とする請求項
3乃至10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記記憶手段を構成する外部記憶部はSSDであること
を特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
ファイル格納装置とクライアント端末と接続可能な、前記ファイル格納装置に格納されているファイルの一部を記憶する記憶手段を有する情報処理装置の情報処理方法であって、
前記ファイル格納装置に格納されているファイルの情報を前記クライアント端末に送信する送信ステップと、
前記送信ステップにより送信された情報に係るファイルであって、前記クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されている場合、該記憶手段から該ファイルを取得し、前記クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されていない場合、前記ファイル格納装置からファイルを取得し、前記クライアント端末に送信するファイル送信ステップと、
前記ファイル格納装置のファイルが第2クライアント端末から前記記憶手段を経由せずに更新された場合は、更新された該ファイルを取得する取得ステップと、
前記記憶手段に、前記取得ステップで取得したファイルを登録させる登録ステップと
を
情報処理装置に実行させることを特徴とする
情報処理方法。
【請求項14】
少なくとも1つのコンピュータを請求項1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウドストレージとNASサーバとを利用したファイル管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のクラウドコンピューティングの特長は、インターネットを利用する環境があれば、高価なソフトウェアやサーバを導入することなく、ユーザが利用したい時に、利用したいサービスやコンピュータリソースを利用できることである。
【0003】
特にクラウドストレージは、クラウドを利用して提供されるオンラインストレージサービスであり、ストレージ容量をフレキシブルに変更することができるため、必要に応じて容量を増減することが可能となっている。
【0004】
特許文献1には、企業内にNAS(Network Attached Storage)サーバを設置することなく、かつ、NASサーバを企業内に設置したのと同等の作業性を、パブリックドメイン上のオンラインストレージ上で実現できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、企業内にNAS(Network Attached Storage)サーバを設置することなく、オンラインストレージを使用してファイルを管理しているが、オンラインストレージと企業間とのネットワーク帯域には上限があるため、通信速度に限界が生じ、企業内のNASサーバのようなファイルアクセスのレスポンスを得ることが難しい場合がある。
【0007】
本発明の目的は、クラウドストレージとNASサーバを併用する場合において、NASサーバへのファイルアクセスのレスポンスが良くする仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ファイル格納装置とクライアント端末と接続可能な、前記ファイル格納装置に格納されているファイルの一部を記憶する記憶手段を有する情報処理装置であって、
前記ファイル格納装置に格納されているファイルの情報を第1クライアント端末に送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された情報に係るファイルであって、前記第1クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されている場合、該記憶手段から該ファイルを取得し、前記第1クライアント端末から取得要求を受け付けたファイルが前記記憶手段に記憶されていない場合、前記ファイル格納装置からファイルを取得し、前記第1クライアント端末に送信するファイル送信手段と、
前記ファイル格納装置のファイルが第2クライアント端末から前記記憶手段を経由せずに更新された場合は、更新された該ファイルを取得する取得手段と、
前記記憶手段は、前記取得手段で取得したファイルを記憶する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、クラウドストレージとNASサーバを併用して、NASサーバのファイルアクセスのレスポンスの良さとクラウドストレージの記憶容量のフレキシブルさを兼ね備え、かつユーザにはクラウドストレージかNASサーバかどちらにアクセスするかを区別させることなく利用できるファイルシステムを提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るNASサーバ100、クライアント端末101、クラウドストレージ102に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るファイル登録処理手順の一例を説明する第1のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態に係るファイル参照処理手順の一例を説明する第2のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係るファイル同期処理手順の一例を説明する第3のフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係るファイル構成、ユーザ構成、並びにそれぞれを構成するデータベースの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、
図1を参照して、本発明のシステム構成を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムのシステム構成を示すブロック図である。
【0013】
図1のクラウドストレージ(ファイル格納装置)102は、ユーザが管理するファイルを格納しており、その記憶容量はフレキシブルに変更することできる。
【0014】
NASサーバ100は、クラウドストレージ102のファイルの一部、特に最終アクセス日時が新しいファイルを優先して記憶している。このことにより、イントラネット内104にあるクライアント端末101a~cは、近頃使っているファイルなどを優先的にNASサーバ100から取得、管理することができ、クラウドストレージ102からインターネット103を介せず、ファイルアクセス(ファイル送受信)が可能となる。
【0015】
また、NASサーバ100は、クラウドストレージ102が有するファイル構成を記憶するフォルダ・ファイル情報テーブル(ファイルの属性)600も有しており、さらにクラウドストレージ102の中でNASサーバ100が記憶しているファイルのリストをキャッシュテーブル(ファイルの属性)610として保持している(ファイル属性記憶部)。
【0016】
クライアント端末101a~cは、NASサーバ100と同じ社内などのイントラネット104内にある情報処理装置であり、ユーザからのファイルの参照、登録、更新、削除などの処理を受け付ける(アクセス要求)。NASサーバ100に存在するファイルの場合は、NASサーバ100のSSDからファイルを取得し、NASサーバ100には存在しないファイルの場合は、クラウドストレージ102からNASサーバ100を経由してファイルを受信する(ファイル転送)。またクライアント端末101dは、インターネット103経由でクラウドストレージ102にアクセスすることにより、ユーザからのファイルの参照、登録、更新、削除などの処理を受け付ける。
【0017】
なお、本実施例ではNASサーバ100の記憶媒体をSSD(Solid State Drive)と記載している場合があるが、必ずしもSSDである必要はなく、HDD(Hard Disk Drive)であっても良いし、他の記憶媒体であっても構わない。
【0018】
NASサーバ100は、複数の筐体から構成されていても良し、クライアント端末101と同一でも良い。たとえば、NASサーバ100の実体ファイル105を記憶する記憶媒体はSSD(Solid State Drive)を有する筐体と、フォルダ・ファイル情報テーブル600やキャッシュテーブル610を有するデータベースの筐体と、別に構成されていてもよい。
【0019】
次に、
図2を参照して、本発明で利用する情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
【0020】
図2は、本発明の実施形態に係るNASサーバ100、クライアント端末101、クラウドストレージ102に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0021】
図2において、201はCPUで、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM203あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、画像管理を実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0022】
202はRAMで、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM203あるいは外部メモリ211からRAM202にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0023】
また、205は入力コントローラで、キーボードやポインティングデバイス等の入力装置209からの入力を制御する。206はビデオコントローラで、ディスプレイ装置210等の表示器への表示を制御する。これらは必要に応じて操作者が使用するものである。
【0024】
207はメモリコントローラで、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0025】
また、外部メモリ211のハードディスク(HD)は、情報処理装置において、録画された音声付動画や音声ファイルを記憶する大容量のメモリ領域を有している。
【0026】
208は通信I/F(インタフェース)コントローラで、ネットワーク(例えば、無線LANなど)を介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0027】
なお、CPU201は、例えばRAM202内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ装置210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ装置210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0028】
本発明を実現するための後述するフローチャートに示す各ステップの処理は、コンピュータで読み取り実行可能なプログラムにより実行され、そのプログラムは外部メモリ211に記録されている。そして、必要に応じてRAM202にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられる定義ファイル及び各種情報テーブル等も、外部メモリ211に格納されており、これらについての詳細な説明も後述する。
【0029】
次に、
図3~
図5のフローチャートを参照して、本発明のファイル管理処理について説明する。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係るファイル登録処理手順の一例を説明する第1のフローチャートであり、S301~S308の各ステップは、NASサーバ100上のCPU201で実施される各処理である。
【0031】
図3のフローチャートは、たとえば、ユーザの使用するクライアント端末101からNASサーバ100とクラウドストレージ102にファイルを登録する処理を受け付けたときのNASサーバ100の処理の流れである。
【0032】
図3のフローチャートは、NASサーバ100がクライアント端末101からファイルを受信すると処理が開始される(ステップS301)。
【0033】
次に、ステップS302において、ファイルを受信したNASサーバ100は、そのファイルをNASサーバ100のSSDに記憶する。
【0034】
NASサーバ100は、ステップS302でファイルを登録する際に、SSDに記憶しているファイルの総容量が所定容量(たとえば、SSDの全容量)を超えるかどうかの判断を行う(ステップS303)。所定容量を超える場合は、ステップS304へと処理を遷移し、所定容量を超えない場合はステップS306へと処理を遷移する。
【0035】
ステップS304の処理に遷移すると、NASサーバ100は、所定容量(たとえば、SSDの全容量)を超えるファイルを記憶できないので、ステップS302で記憶するとオーバする容量の分のSSD内のファイルを削除する。削除するファイルの選択基準は、キャッシュテーブル610の最終アクセス日時(
図6の611)が古い順のファイルからオーバする容量分を選択してもよいし、最終アクセス日時が所定期間以上(たとえば3ヶ月以上)前のファイルの中でオーバする容量分より大きい容量のファイルを選択してもよい。削除するファイルの選択基準は他の方法でもよく、たとえば、所定期間以上(たとえば3ヶ月以上)前のファイルは強制的に削除する構成でも良い。なお、ここで選択されたファイルは、NASサーバ100からは削除されるが、同じファイルはクラウドストレージ102には存在している。次に、ステップS305へと処理を進める。
【0036】
ステップS305において、NASサーバ100は、ステップS304で削除したファイルのキャッシュテーブル610のレコードを削除し、ステップS306へと処理を遷移する。
【0037】
ステップS306へと処理を遷移すると、NASサーバ100は、キャッシュテーブル610にステップS302で記憶されたファイルのレコードを追加する。
【0038】
次に、ステップS307において、NASサーバ100は、フォルダ・ファイル情報テーブル600を追加、もしくは最終更新日を更新する。
【0039】
次に、ステップS308において、NASサーバ100は、ステップS302で記憶したファイルをクラウドストレージ102にアップロードし(ファイル格納装置への格納指示)、NASサーバ100とクラウドストレージ102は同期をとる。なお、ステップS302以降の処理は、NASサーバ100で実施されており、クライアント端末101はイントラネット内のNASサーバ100にステップS301においてファイルを送信する処理だけなので、ユーザは、インターネットの帯域制限などによるレスポンスの悪さを感じることはほとんどない。
【0040】
次に、
図4を参照して、本発明の実施形態に係るファイル参照処理手順の一例を説明する。
【0041】
図4は、本発明の実施形態に係るファイル参照処理手順の一例を説明する第2のフローチャートであり、S401~S412の各ステップは、NASサーバ100上のCPU201で実施される各処理である。
【0042】
図4のフローチャートは、クライアント端末101からファイルの参照依頼が来た際に開始される処理のフローチャートである。
【0043】
まず、ステップS401において、NASサーバ100は、NASサーバ100が有するフォルダ・ファイル情報テーブル600を取得し、次のステップS402において、クライアント端末101にフォルダ・ファイル構成を表示させる情報を送信する(ファイル構成表示制御部)。情報を送信した結果、クライアント端末101で表示されるフォルダ・ファイル構成を
図6を参照して具体的に説明する。
【0044】
図6の620は、クライアント端末101のディスプレイ210に表示される具体的な表示画面のイメージである。620のようなフォルダ構成を生成するために、NASサーバ100は、フォルダ・ファイル情報テーブル600(ファイル構成記憶部)のフォルダ・ファイル構成表示のための情報601を取得して、620のようなイメージを生成し、クライアント端末101に送信する。具体的には、フォルダ・ファイル構成表示のための情報601内のフォルダ・ファイルIDとそのレコードの親フォルダIDを紐つけてツリー構造を生成する。なお、クライアント端末101で620のようなイメージを生成できる場合は、フォルダ・ファイル構成表示のための情報601をクライアント端末101に送信してもよい。
図4のフローチャートの説明に戻る。
【0045】
図4のステップS402において、フォルダ・ファイル構成表示情報をクライアント端末101に送信すると、次のステップS403において、NASサーバ100は、クライアント端末101から参照するファイルの選択を受け付ける。具体的には、たとえばクライアント端末101のディスプレイ210に
図6の620画面イメージのようなフォルダ・ファイル構成が表示されている場合に、620画面内のファイル622(7月2日_営業日報.xls)やファイル623(6月1日_営業日報.xls)が図示しないマウスなどでダブルクリックされて選択されたとする。
【0046】
次のステップS404において、NASサーバ100は、ステップS403で選択されたファイルがNASサーバ100のSSDにあるかどうかを判断する為、NASサーバ100が有するキャッシュテーブル610を取得する。取得したキャッシュテーブル610から、ステップS403で選択されたファイルに該当するレコードがあるかを判断し(ステップS405)、処理を分ける。ステップS405において、キャッシュテーブル610にステップS403で選択されたファイルに該当するレコードがある場合、ステップS406へと処理を遷移し、キャッシュテーブル610にステップS403で選択されたファイルに該当するレコードがない場合、ステップS408へと処理を遷移する。
【0047】
ステップS406へと処理を遷移した場合は、キャッシュテーブル610にステップS403で選択されたファイルに該当するレコードがある場合なので、NASサーバ100に選択されたファイルが存在している。そのため、ステップS406において、NASサーバ100は、SSDに存在するステップS403で選択されたファイルを取得する。620画面内のファイルの例としては、ファイル622(7月2日_営業日報.xls)が選択された場合の例である。選択されたファイル622のファイルIDはフォルダ・ファイル情報テーブル600によると452であり、ファイルIDが452であるレコードはキャッシュテーブル610に存在する(612行)。キャッシュテーブル610に存在するため、NASサーバ100のSSDに記憶されているファイル622(7月2日_営業日報.xls)をSSDから取得する。
【0048】
次に、ステップS407において、ステップS406で取得されたファイルの最終アクセス日時をキャッシュテーブル610に更新する処理を行う。この処理により、ファイルが頻繁にアクセスされるファイルは、最終アクセス日時が頻繁に更新されるため、SSDから削除される可能性が下がり、クラウドストレージ102までファイルを取得する処理を省略することができる。次にステップS411へと処理を遷移する。
【0049】
一方、ステップS405で、キャッシュテーブル610にステップS403で選択されたファイルに該当するレコードがないと判断された場合は、ステップS408へと処理を遷移し、NASサーバ100は、クラウドストレージ102からステップS403で選択したファイルを取得する。620画面内のファイルの例としては、ファイル623(6月1日_営業日報.xls)が選択された場合の例である。選択されたファイル623のファイルIDはフォルダ・ファイル情報テーブル600によると401であり、ファイルIDが401であるレコードはキャッシュテーブル610には存在しない。キャッシュテーブル610に存在しないため、NASサーバ100のSSDには記憶されておらず、ファイル623(6月1日_営業日報.xls)はクラウドストレージ102から取得する。
【0050】
以上のように、NASサーバ100のSSDに存在するファイルも、NASサーバ100に存在せずクラウドストレージ102にしかないファイルも、622や623のように区別なく表示することができ、ユーザはファイルの所在を気にすることなくアクセスすることができる効果を有する。なお、NASサーバ100のSSDに存在するファイルと存在しないファイルを識別可能に表示させても良く、その際も1つのフォルダ内にNASサーバ100のSSDに存在するファイル(たとえば、622)とクラウドストレージ102に存在するファイル(たとえば、623)とはあたかも同じフォルダにあるかのように表示することができる。
【0051】
次に、ステップS409において、NASサーバ100は、ステップS408で取得したファイルをNASサーバ100のSSDに記憶する。
【0052】
次に、ステップS410において、NASサーバ100は、ステップS408で取得したファイルをSSDに記憶したことを登録するために、キャッシュテーブル610に新たなレコードとして追加する。一度アクセスしたファイルは最終アクセス日時を更新してキャッシュテーブル610に登録し、SSDに記憶することにより、次回アクセスする際のレスポンスをよくすることができる。次にステップS411へと処理を遷移する。
【0053】
ステップS411へと処理を遷移すると、NASサーバ100は、NASサーバ100とクラウドストレージ102が有するフォルダ・ファイル情報テーブル600の最終アクセス日時を更新する。
【0054】
次に、ステップS412において、NASサーバ100は、ステップS403でクライアント端末101から選択を受け付けたファイル自体をクライアント端末101に送信する。
【0055】
以上の処理により、NASサーバ100のSSDに記憶しているファイルにアクセスする場合は、レスポンス良くファイルをクライアントに送信することができる。また、記憶しているファイルの容量が多くSSDに記憶できないほどの量になった場合にNASサーバ100から削除しても、ステップS308のようにクラウドストレージ102に同期してファイルを保存している。ファイル管理画面上は、
図6の620のように、NASサーバ100にあるファイルかクラウドストレージ102にあるファイルかを区別することなくアクセスできるので、ユーザはどちらにある場合でも同じようにアクセスしてファイルを取得することができるという効果を有する。
【0056】
次に、
図5を参照して、本発明の実施形態に係るNASサーバ100とクラウドストレージ102とのファイル同期処理手順の一例を説明する。
【0057】
図5は、本発明の実施形態に係るファイル同期処理手順の一例を説明する第3のフローチャートであり、S501~S506の各ステップは、NASサーバ100上のCPU201で実施される各処理である。
【0058】
図5のフローチャートは、NASサーバ100にて、定期的に実行される処理(例えば、3時間毎や1日おきなど)であってもよいし、クラウドストレージ102のファイルが更新されるタイミングで、更新されたファイルについて、NASサーバ100に通知が来て、
図5のフローチャートを開始することとしても良い。
【0059】
まず、ステップS501において、NASサーバ100は、クラウドストレージ102が有するフォルダ・ファイル情報テーブル600を取得する。
【0060】
次のステップS502とステップS503の処理は、クラウドストレージ102へ社内イントラを介さずインターネット経由でアクセスしてファイルが更新されていることを検出するための処理であり、インターネット103経由でクラウドストレージ102のファイルが更新されるとNASサーバ100に最新のファイルが反映されないため、ステップS504以降の処理を実行するための判断分岐である。なお、クライアント端末101dからインターネット103経由でクラウドストレージ102へファイルアクセスする場合、クライアント端末101dのディスプレイ210に
図6の620のような画面イメージを表示してアクセスさせても良い。
【0061】
ステップS502において、NASサーバ100は、ステップS501で取得したクラウドストレージ102のフォルダ・ファイル情報テーブル600と、NASサーバ100が有するフォルダ・ファイル情報テーブル600から、クラウドストレージの最終更新日とNASサーバの最終更新日とをファイル毎に比較する。クラウドストレージの最終更新日の方が新しい場合は、ステップS503へと処理を遷移し、クラウドストレージの最終更新日の方が古い場合は、
図5のフローチャートの処理を終える。
【0062】
ステップS503へと処理を遷移すると、NASサーバ100は、クラウドストレージ102から取得したフォルダ・ファイル情報テーブル600の最終更新者IDがNASユーザかどうかを判断する。最終更新者IDがNASユーザである場合(ステップS503でNo)は、
図5のフローチャートの処理を終え、NASユーザでない場合(ステップS503でYes)は、ステップS504へと処理を遷移する。最終更新者IDがNASユーザかどうかは、
図6の630に登録されているユーザ(たとえば、『911』や『912』、『961』など)であればNASユーザと判断しても良いし、それ以外のたとえばログインユーザが『kanon.ichiro@aaa.co.jp』などであれば、NASユーザ以外のたとえば、クラウド経由のユーザと判断できる。『kanon.ichiro@aaa.co.jp』ユーザは、ユーザ・グループテーブル630の『観音一郎』631のクラウド経由でのログインIDとする。なお、NASユーザかそれ以外のユーザかを識別する方法は、上記以外でもよく、フォルダ・ファイル情報テーブル600にクラウド経由でのアクセスの場合にフラグを立てる、もしくはNAS経由でアクセスされた場合にフラグを立てるなどで識別しても良い。
【0063】
ステップS503の判断分岐は、NASサーバ100で更新されクラウドストレージ102に同期されたものに対して、クラウドストレージ102からNASサーバ100に再同期してしまうという現象を防ぐための分岐である。
【0064】
例えば、NASサーバ100に新しいファイルがアップロードされたとき、NASサーバ100の更新日はアップロードした日時になる(ステップS302)。そのあと、NASサーバ100からクラウドストレージ102へNASユーザで同期処理が行われる(ステップS308)。NASサーバ100へのアップロードよりも少し時間が経過したあとにクラウドストレージ102に同期されるため、クラウドの最終更新日>NASの最終更新日の状態となり、かつ最終更新者IDがNASユーザとなる。しかし、このファイルはNASサーバ100、クラウドストレージ102ともに同期済みの最新ファイルのため、クラウドから同期する必要がないという判断になり、ステップS504以降の処理をスキップする。
【0065】
ステップS504へと処理を遷移すると、NASサーバ100は、クラウドストレージ102にある該当のファイルの実体をNASサーバ100にコピーする。
【0066】
次に、ステップS505において、NASサーバ100は、ステップS501で取得したフォルダ・ファイル情報テーブル600の該当ファイルのレコードの内容をNASサーバ100のフォルダ・ファイル情報テーブル600の該当レコードに反映する。
【0067】
次に、ステップS506において、NASサーバ100は、NASサーバ100が有するキャッシュテーブル610の該当ファイルのレコード欄を追加する。
【0068】
以上、ステップS504~S506の処理により、NASサーバ100を経由せずにクラウドストレージ102へ直接アクセスし、ファイルを更新、追加などを行ったユーザがいても、NASサーバ100に同期させることができる。
【0069】
以上の処理により、クラウドストレージとNASサーバを併用して、NASサーバのファイルアクセスのレスポンスの良さとクラウドストレージの記憶容量のフレキシブルさを兼ね備え、かつユーザにはクラウドストレージかNASサーバかどちらにアクセスするかを区別させることなく利用させることができる。
【0070】
上記実施形態では、複数台の情報処理装置に適用する場合を説明したが、1台で動作する情報処理装置であっても良いし、ネットワーク上の複数のサーバなどの処理主体を共通にしてもよい。
【0071】
なお、特に図示しないが、記録媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバ-ジョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0072】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記ディレクトリに管理されている。また、インスト-ルするプログラムやデータが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0073】
本実施形態に係る
図3~
図5に示す機能が外部からインスト-ルされるプログラムによって、ホストコンピュ-タにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD-ROMやフラッシュメモリやFD等の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0074】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコ-ドを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュ-タ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコ-ドを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0075】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコ-ド自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコ-ドを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0076】
プログラムコ-ドを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD-ROM,CD-R,DVD-ROM,磁気テ-プ,不揮発性のメモリカ-ド,ROM,EEPROM,シリコンディスク等を用いることができる。
【0077】
また、コンピュ-タが読み出したプログラムコ-ドを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコ-ドの指示に基づき、コンピュ-タ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0078】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコ-ドが、コンピュ-タに挿入された機能拡張ボ-ドやコンピュ-タに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコ-ドの指示に基づき、その機能拡張ボ-ドや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0079】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0080】
さらに、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムをネットワーク上のサーバ,データベ-ス等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0081】
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
100 NASサーバ
101 クライアント端末
102 クラウドサーバ
103 インターネット
104 イントラネット
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 システムバス
205 入力コントローラ
206 ビデオコントローラ
207 メモリコントローラ
208 通信I/Fコントローラ
209 入力装置
210 ディスプレイ装置
211 外部メモリ
600 フォルダ・ファイル情報テーブル
610 キャッシュテーブル