(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】業務支援システム、業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/13 20180101AFI20240111BHJP
【FI】
G16H20/13
(21)【出願番号】P 2019230237
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】森 和明
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特許第6619113(JP,B1)
【文献】特開2005-316967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0324936(US,A1)
【文献】国際公開第2019/151300(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方薬の情報を含む処方箋データに対応する患者の年齢が第1特定年齢以上であるか否かを判定する第1判定処理部と、
前記第1判定処理部により前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合に、前記患者の処方薬が、報知対象となる薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第1判定用データにおける前記薬品グループのうち前記対象患者条件が全患者であることが設定されている全対象薬品グループに属するか否かを判定する第2判定処理部と、
少なくとも前記第2判定処理部により前記患者の処方薬が前記全対象薬品グループに属すると判定された場合に、前記第2判定処理部による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第1特定報知情報を報知可能な第1報知処理部と、
を備える、業務支援システム。
【請求項2】
前記第1特定年齢は、75歳であり、
前記第1判定用データの前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせは、高齢者の安全な薬物療法ガイドラインにおける特に慎重な投与を要する薬物のリストに対応するものである、
請求項1に記載の業務支援システム。
【請求項3】
前記対象患者条件は、前記患者の疾患及び前記患者の服薬状況の少なくとも一方に関する条件を含む、
請求項1に記載の業務支援システム。
【請求項4】
前記第1特定報知情報は、前記処方薬の識別情報、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度のいずれか一つ又は複数を含む、
請求項1~3のいずれかに記載の業務支援システム。
【請求項5】
前記第1判定用データで設定された前記対象患者条件の選択候補を表示可能な第1表示処理部と、
前記第1表示処理部によって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける第1受付処理部と、
前記第1判定処理部により前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合に、前記患者の処方薬が、前記第1受付処理部で受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属するか否かを前記第1判定用データに基づいて判定する第3判定処理部と、
少なくとも前記第3判定処理部により前記患者の処方薬が前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属すると判定された場合に、前記第3判定処理部による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第2特定報知情報を報知可能な第2報知処理部と、
を備える、
請求項1~4のいずれかに記載の業務支援システム。
【請求項6】
前記第2特定報知情報は、前記処方薬の識別情報、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度のいずれか一つ又は複数を含む、
請求項5に記載の業務支援システム。
【請求項7】
第2特定年齢以上の患者の服用開始を考慮するべき薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第2判定用データで設定された前記対象患者条件の選択候補を表示可能な第2表示処理部と、
前記第2表示処理部によって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける第2受付処理部と、
前記患者の年齢が前記第2特定年齢以上である場合に、前記患者の処方薬に、前記第2受付処理部で受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれているか否かを前記第2判定用データに基づいて判定する第4判定処理部と、
少なくとも前記第4判定処理部により前記患者の処方薬に前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれないと判定された場合に、前記第4判定処理部による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第3特定報知情報を報知する第3報知処理部と、
を備え、
前記第2特定年齢は、前記第1特定年齢未満である、
請求項1~6のいずれかに記載の業務支援システム。
【請求項8】
前記第2特定年齢は、65歳であり、
前記第2判定用データの前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせは、高齢者の安全な薬物療法ガイドラインにおける開始を考慮するべき薬物のリストに対応するものである、
請求項7に記載の業務支援システム。
【請求項9】
前記第3特定報知情報は、前記薬品グループの識別情報、前記薬品グループの主な副作用・理由、前記薬品グループについて推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度のいずれか一つ又は複数を含む、
請求項7又は8に記載の業務支援システム。
【請求項10】
第2特定年齢以上の患者の服用開始を考慮するべき薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第2判定用データで設定された前記対象患者条件の選択候補を表示可能な第2表示処理部と、
前記第2表示処理部によって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける第2受付処理部と、
前記患者の年齢が前記第2特定年齢以上である場合に、前記患者の処方薬に、前記第2受付処理部で受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれているか否かを前記第2判定用データに基づいて判定する第4判定処理部と、
少なくとも前記第4判定処理部により前記患者の処方薬に前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれないと判定された場合に、前記第4判定処理部による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第3特定報知情報を報知する第3報知処理部と、
を備える、
業務支援システム。
【請求項11】
プロセッサーに、
処方薬の情報を含む処方箋データに対応する患者の年齢が第1特定年齢以上であるか否かを判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにより前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合に、前記患者の処方薬が、報知対象となる薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第1判定用データにおける前記薬品グループのうち前記対象患者条件が全患者であることが設定されている全対象薬品グループに属するか否かを判定する第2判定ステップと、
少なくとも前記第2判定ステップにより前記患者の処方薬が前記全対象薬品グループに属すると判定された場合に、前記第2判定ステップによる判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第1特定報知情報を報知する第1報知ステップと、
を実行させるための業務支援プログラム。
【請求項12】
プロセッサーに、
第2特定年齢以上の患者の服用開始を考慮するべき薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第2判定用データで設定された前記対象患者条件の選択候補を表示可能な第2表示ステップと、
前記第2表示ステップによって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける第2受付ステップと、
処方薬の情報を含む処方箋データに対応する患者の年齢が前記第2特定年齢以上である場合に、前記患者の処方薬に、前記第2受付ステップで受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれているか否かを前記第2判定用データに基づいて判定する第4判定ステップと、
少なくとも前記第4判定ステップにより前記患者の処方薬に前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれないと判定された場合に、前記第4判定ステップによる判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第3特定報知情報を報知する第3報知ステップと、
を実行させるための業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方内容の適否検討を支援する業務支援システム及び業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等では、診察記録及び処方内容が電子カルテシステムなどに入力されることにより処方箋データが発行される。また、前記処方箋データの適否を自動的に判断する処方チェックが実行可能なシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば日本老年医学会から発行されている「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」のように、高齢者についての処方内容の適否検討で用いられる薬物療法ガイドラインが存在する。しかしながら、薬剤師又は医師などの医療従事者が、前記薬物療法ガイドラインを参照して、高齢者についての処方内容の適否検討を行うためには手間がかかり作業効率が低下する。
【0005】
本発明の目的は、患者の年齢を考慮した処方内容の適否検討を支援することのできる業務支援システム、業務支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る業務支援システムは、処方薬の情報を含む処方箋データに対応する患者の年齢が第1特定年齢以上であるか否かを判定する第1判定処理部と、前記第1判定処理部により前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合に、前記患者の処方薬が、報知対象となる薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第1判定用データにおける前記薬品グループのうち前記対象患者条件が全患者であることが設定されている全対象薬品グループに属するか否かを判定する第2判定処理部と、少なくとも前記第2判定処理部により前記患者の処方薬が前記全対象薬品グループに属すると判定された場合に、前記第2判定処理部による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第1特定報知情報を報知可能な第1報知処理部と、を備える。
【0007】
本発明に係る業務支援プログラムは、プロセッサーに、処方薬の情報を含む処方箋データに対応する患者の年齢が第1特定年齢以上であるか否かを判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップにより前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合に、前記患者の処方薬が、報知対象となる薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第1判定用データにおける前記薬品グループのうち前記対象患者条件が全患者であることが設定されている全対象薬品グループに属するか否かを判定する第2判定ステップと、少なくとも前記第2判定ステップにより前記患者の処方薬が前記全対象薬品グループに属すると判定された場合に、前記第2判定ステップによる判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第1特定報知情報を報知する第1報知ステップと、を実行させるための業務支援プログラムである。
【0008】
本発明に係る業務支援システムは、第2特定年齢以上の患者の服用開始を考慮するべき薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第2判定用データで設定された前記対象患者条件の選択候補を表示可能な第2表示処理部と、前記第2表示処理部によって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける第2受付処理部と、前記患者の年齢が前記第2特定年齢以上である場合に、前記患者の処方薬に、前記第2受付処理部で受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれているか否かを前記第2判定用データに基づいて判定する第4判定処理部と、少なくとも前記第4判定処理部により前記患者の処方薬に前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれないと判定された場合に、前記第4判定処理部による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第3特定報知情報を報知する第3報知処理部と、を備える。
【0009】
本発明に係る業務支援プログラムは、プロセッサーに、第2特定年齢以上の患者の服用開始を考慮するべき薬品グループ及び対象患者条件の組み合わせが予め設定された第2判定用データで設定された前記対象患者条件の選択候補を表示可能な第2表示ステップと、前記第2表示ステップによって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける第2受付ステップと、処方薬の情報を含む処方箋データに対応する患者の年齢が前記第2特定年齢以上である場合に、前記患者の処方薬に、前記第2受付ステップで受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれているか否かを前記第2判定用データに基づいて判定する第4判定ステップと、少なくとも前記第4判定ステップにより前記患者の処方薬に前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれないと判定された場合に、前記第4判定ステップによる判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第3特定報知情報を報知する第3報知ステップと、を実行させるための業務支援プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、患者の年齢を考慮した処方内容の適否判定を支援することのできる業務支援システム、業務支援プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る業務支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで用いられる第1判定用データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで用いられる第2判定用データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで実行される高齢者アラート処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る業務支援システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0013】
[業務支援システム10]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る業務支援システム10は、本発明に係る業務支援システムの一例であり、業務支援装置1及び調剤機器2などを備える。前記業務支援装置1及び前記調剤機器2は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどの通信網3を介して無線又は有線で通信可能に接続される。なお、本発明に係る業務支援システムは、医療機関又は調剤薬局で用いられるレセプトシステム、或いは、薬歴を電子的に管理する電子薬歴システムであってもよい。
【0014】
前記業務支援装置1は、当該業務支援装置1に入力される処方箋データに基づいて、前記調剤機器2などを用いて薬品を調剤するための調剤用データを生成して当該調剤機器2に送信する。そして、前記調剤機器2は、前記業務支援装置1から入力される前記調剤用データに基づいて薬品の調剤処理を実行する。
【0015】
前記処方箋データは、医療機関で発行される処方箋に対応する情報を含む。具体的に、本実施形態において、前記処方箋データには、処方識別情報(処方IDなど)、処方発行日、患者識別情報(氏名、患者IDなど)、患者の性別、患者の年齢、薬品識別情報(薬品名、薬品コード、YJコードなど)、用量、用法、担当医師、診療科などの情報が含まれる。
【0016】
なお、前記処方箋データには、少なくとも患者識別情報、薬品識別情報、用量、及び用法の情報が含まれていればよい。例えば、患者の年齢は、前記処方箋データとは別に、前記業務支援装置1におけるユーザー操作によって入力され、当該処方箋データの一部として記憶され、又は前記処方箋データに対応付けて記憶されてもよい。
【0017】
ところで、例えば日本老年医学会から発行されている「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」のように、高齢者についての処方内容の適否検討で用いられる薬物療法ガイドラインが存在する。しかしながら、薬剤師又は医師などの医療従事者が、前記薬物療法ガイドラインを参照して、高齢者についての処方内容の適否検討を行うためには手間がかかり作業効率が低下する。これに対し、以下に説明するように、本実施形態に係る業務支援システム10では、患者の年齢を考慮した処方内容の適否検討を支援することができる。
【0018】
[調剤機器2]
前記調剤機器2各々は、前記業務支援システム10が使用される医療機関又は調剤薬局において、薬品の調剤作業で使用される。例えば、前記調剤機器2各々は、錠剤分包機、散薬分包機、水剤分注機、PTPシート払出装置、ピッキング支援装置などである。例えば、前記錠剤分包機は、複数種類の錠剤が収容された複数の薬品カセットを有し、前記業務支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記薬品カセットから錠剤を払い出して1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記散薬分包機は、前記業務支援装置1から入力される調剤用データに従って、投入された散薬を1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、前記業務支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記PTPシート払出装置は、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットを有し、前記業務支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記シートカセットから前記PTPシート又は前記ヒートシールを払い出す。前記ピッキング支援装置は、作業者が薬品棚等から薬品を取り揃えるピッキング作業を支援するものであり、例えば取り揃え対象の薬品について薬品名及び薬品棚の場所などの各種の情報を表示する。また、前記ピッキング支援装置は、取り揃え対象の薬品と前記調剤用データとの照合処理などの各種の処理を実行可能であってもよい。
【0019】
[業務支援装置1]
前記業務支援装置1は、制御部11、記憶部12、通信I/F13、表示部14、操作部15、ドライブ装置16、処方箋入力部17などを備えるコンピュータである。なお、本実施形態に係る前記業務支援装置1の単体を本発明に係る業務支援システムの一例として捉えてもよい。また、前記業務支援装置1は、スマートフォン又はタブレット端末などのモバイル端末であってもよい。
【0020】
前記通信I/F13は、前記通信網3を介して前記調剤機器2などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行する通信インターフェースである。
【0021】
前記表示部14は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作部15は、前記業務支援装置1に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。
【0022】
具体的に、前記操作部15は、前記表示部14に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作部15は、前記表示部14に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
【0023】
前記ドライブ装置16は、本発明に係る業務支援プログラムを含む調剤支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体161から前記調剤支援プログラムを読み取ることが可能である。前記業務支援プログラムは、後述の高齢者アラート処理(
図4参照)などの各種の処理を前記制御部11に実行させるための制御プログラムである。
【0024】
前記記録媒体161は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、前記記録媒体161から情報を読取可能なCDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。そして、前記業務支援装置1では、前記制御部11が、前記ドライブ装置16を用いて前記記録媒体161から前記調剤支援プログラムを読み取り、前記記憶部12にインストールする。また、前記制御部11は、前記ドライブ装置16を用いて前記記録媒体161から後述の第1判定用データD11及び第2判定用データD21を読み取り、前記記憶部12に記憶する。
【0025】
前記処方箋入力部17は、医療機関で発行される処方箋に対応する前記処方箋データを前記業務支援装置1に入力するために用いられる。具体的に、前記処方箋入力部17は、処方箋に印刷された一次元コード又は二次元コードなどのコードから当該処方箋に対応する前記処方箋データを読み取るために用いられるバーコードリーダーである。前記制御部11は、前記処方箋入力部17によって読み取られる前記処方箋データを前記情報記憶部12Bに記憶させる。また、前記処方箋入力部17は、前記業務支援装置1におけるユーザー操作に応じて前記処方箋データの手動入力を受け付けることも可能である。
【0026】
なお、前記処方箋入力部17は、処方箋に対応する前記処方箋データを入力可能なものであれば、例えば処方箋に付されたICタグ又はICチップなどの記録媒体から前記処方箋データを読み取るものであってもよい。さらに、前記処方箋入力部17は、処方箋から処方箋識別情報を読み取り、前記通信網3を介して接続可能なサーバー装置などから当該処方箋識別情報に対応する前記処方箋データをダウンロードしてもよい。
【0027】
前記制御部11は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0028】
前記記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部12には、プログラム記憶部12A、情報記憶部12B、及びマスター記憶部12Cが含まれる。
【0029】
前記プログラム記憶部12Aは、前記業務支援プログラムなどの制御プログラムが記憶される記憶領域である。前記情報記憶部12Bは、前記処方箋データなどの各種の情報が記憶される記憶領域である。前記マスター記憶部12Cは、薬品マスター、病名マスター、薬品グループマスター、第1判定用データD11、及び第2判定用データD21などの各種のマスター情報が記憶される記憶領域である。
【0030】
前記薬品マスターには、各種の薬品について、薬品コード(YJコード等)、薬品名、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項などの情報が含まれる。なお、前記薬品マスターには、前記薬品各々について当該薬品の添付文書の内容も対応付けて記憶されている。また、前記病名マスターには、病気又は外傷などの疾患を識別するための情報として、レセ電算コード及び疾患名などが登録されている。
【0031】
前記薬品グループマスターでは、各種の薬品について、当該薬品が属する薬品グループが対応付けて記憶されている。なお、前記薬品グループマスターは、前記薬品マスターに含まれてもよい。また、前記薬品グループマスターに、前記薬品マスターに登録された薬品の前記薬品コード(YJコード等)に基づいて当該薬品が属する薬品グループを特定可能な情報が記憶されており、前記制御部11が前記薬品グループマスターに基づいて前記薬品各々の前記薬品グループを特定可能であってもよい。例えば、前記薬品グループマスターでは、前記薬品コードのうち薬効を示す桁数分の情報と、当該情報に対応する前記薬品グループとが対応付けられていてもよい。これにより、前記制御部11は、前記薬品グループマスターに基づいて薬品各々が属する薬品グループを特定することが可能である。なお、前記薬品グループマスターは、前記制御部11が、当該薬品グループマスターと前記処方箋データとに基づいて当該処方箋データに含まれる処方薬が属する前記薬品グループを特定可能な形式のデータであればそのデータ構造は特に限定されない。
【0032】
前記第1判定用データD11は、日本老年医学会から発行の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」における「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」(以下、「ガイドライン第1リスト」と称することがある)に対応して生成されたデータベースである。具体的に、前記ガイドライン第1リストは、第1特定年齢以上の患者が使用する場合に使用法について注意が必要である薬品の情報を含むものである。本実施形態において、前記第1特定年齢は75歳である。
【0033】
ここに、
図2は、前記第1判定用データD11の一例を示す図である。
図2に示されるように、前記第1判定用データD11には、「薬品グループ」、「対象患者条件」、「主な副作用・理由」、「推奨される使用法」、「エビデンスの質」、「エビデンスの推奨度」などの情報が対応付けて記憶されている。なお、前記第1判定用データD11は、少なくとも報知対象となる前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせが予め設定されているものであればよい。
【0034】
前記第1判定用データD11における「薬品グループ」は、前記ガイドライン第1リストにおける「薬物(クラスまたは一般名)」に相当する。また、前記第1判定用データD11における「対象患者条件」は、前記ガイドライン第1リストにおける「対象となる患者群(すべて対象となる場合は無記名)」に相当するものであって、患者の疾患及び患者の服薬状況の少なくとも一方に関する条件を含むものである。前記第1判定用データD11は、前記対象患者条件を満たす患者について、当該対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が処方される場合には注意を要することを示すものである。
【0035】
前記第1判定用データD11における「主な副作用・理由」は、前記ガイドライン第1リストにおける「主な副作用・理由」に相当するものであって、薬品を使用することで発現する可能性のある副作用の情報、及び当該薬品を使用することに注意を要する理由などの情報を含むものである。前記第1判定用データD11における「推奨される使用法」は、前記ガイドライン第1リストにおける「推奨される使用法」に相当するものであって、薬品が使用される際に推奨される使用法の情報を含むものである。
【0036】
前記第1判定用データD11における「エビデンスの質」及び「エビデンスの推奨度」は、前記ガイドライン第1リストにおける「エビデンスの質と推奨度」に相当するものであって、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせのエビデンスに関する情報である。例えば、「エビデンスの質」は、「高」、「中」、「低」などの複数段階で予め設定され、「エビデンスの推奨度」は、「強」、「弱」などの複数段階で予め設定される。
【0037】
なお、前記第1判定用データD11において、「対象患者条件」の欄で対象患者条件が設定されていない前記薬品グループは、前記対象患者条件が全患者である旨を示す。例えば、
図2に示されるように、前記第1判定用データD11における薬品グループのうち、「三環系抗うつ薬」の薬品グループは、「対象患者条件」の欄に対象患者条件が設定されていないため、前記対象患者条件が全患者である全対象薬品グループである。なお、対象患者条件が全患者である前記薬品グループに対応する「対象患者条件」の欄には、「全患者」の情報が対象患者条件として設定されていてもよい。
【0038】
一方、前記第1判定用データD11において、「対象患者条件」の欄で対象患者条件が設定されている薬品グループは、前記第1特定年齢以上であって前記対象患者条件を満たす患者が、当該薬品グループに属する薬品を使用する場合に、当該薬品グループの薬品の使用法について注意が必要である薬品グループである。例えば、
図2に示されるように、前記第1判定用データD11において、「SSRI」の薬品グループについては、「対象患者条件」に対象患者条件として「消化管出血」が設定されているため、当該薬品グループは、疾患が「消化管出血」の条件を満たす患者が対象となる。また、
図2に示されるように、前記第1判定用データD11において、「ジゴキシン」の薬品グループについては、「対象患者条件」に対象患者条件として「>0.125mg/日での使用」が設定されているため、当該薬品グループは、服薬状況が「>0.125mg/日での使用」の条件を満たす患者が対象となる。なお、「>0.125mg/日での使用」は、1日にジゴキシンの配薬グループに属する薬品を0.125mgよりも多く使用していることを表している。
【0039】
前記第2判定用データD21は、日本老年医学会から発行の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」における「開始を考慮するべき薬物のリスト」(以下、「ガイドライン第2リスト」と称することがある)に対応して生成されたデータベースである。具体的に、前記ガイドライン第2リストは、第2特定年齢以上の患者が服用の開始を考慮するべき薬品の情報を含むものである。本実施形態において、前記第2特定年齢は65歳である。
【0040】
ここに、
図3は、前記第2判定用データD21の一例を示す図である。
図3に示されるように、前記第2判定用データD21には、「薬品グループ」、「対象患者条件」、「主な副作用・理由」、「推奨される使用法」、「エビデンスの質」、「エビデンスの推奨度」などの情報が対応付けて記憶されている。なお、前記第2判定用データD21は、少なくとも患者の服用開始を考慮するべき前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせが予め設定されているものであればよい。
【0041】
前記第2判定用データD21における「薬品グループ」は、前記ガイドライン第2リストにおける「薬物(クラスまたは一般名)」に相当する。また、前記第2判定用データD21における「対象患者条件」は、前記ガイドライン第2リストにおける「推奨される使用法(対象となる病態・疾患名)」から抽出して定められた情報である。なお、前記対象患者条件は、患者の疾患及び患者の服薬状況の少なくとも一方に関する条件を含むものである。前記第2判定用データD21は、前記対象患者条件を満たす患者が服用の開始を考慮するべき薬品が属する前記薬品グループを示すものである。
【0042】
前記第2判定用データD21における「主な副作用・理由」は、前記ガイドライン第2リストにおける「推奨される使用法(対象となる病態・疾患名)」又は「注意事項」から抽出して定められた情報であって、薬品を使用することで発現する可能性のある副作用の情報、及び当該薬品を使用することに注意を要する理由などの情報を含むものである。前記第2判定用データD21における「推奨される使用法」は、前記ガイドライン第2リストにおける「推奨される使用法」から抽出して定められた情報であって、薬品が使用される際に推奨される使用法の情報を含むものである。
【0043】
前記第2判定用データD21における「エビデンスの質」及び「エビデンスの推奨度」は、前記ガイドライン第2リストにおける「エビデンスの質と推奨度」に相当するものであって、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせのエビデンスに関する情報である。例えば、「エビデンスの質」は、「高」、「中」、「低」などの複数段階で予め設定され、「エビデンスの推奨度」は、「強」、「弱」などの複数段階で予め設定される。
【0044】
前記第2判定用データD21では、「対象患者条件」の欄で設定された対象患者条件を満たす患者について服用の開始を考慮するべきである薬品が属する薬品グループが、当該対象患者条件に対応付けて設定されている。例えば、
図3に示されるように、前記第2判定用データD21において、「対象患者条件」の欄で対象患者条件として「呼吸・循環系基礎疾患」が設定されている「肺炎球菌ワクチン」の薬品グループは、「呼吸・循環系基礎疾患」の疾患を有する患者が服用の開始を考慮するべき薬品が属する薬品グループである。
【0045】
そして、前記業務支援システム10において、前記業務支援装置1の前記制御部11は、第1判定処理部111、第2判定処理部112、第1報知処理部113、第1表示処理部114、第1受付処理部115、第3判定処理部116、第2報知処理部117、第2表示処理部118、第2受付処理部119、第4判定処理部120、第3報知処理部121などの各種の処理部を含む。具体的に、前記制御部11は、前記業務支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記各種の処理部として機能する。なお、前記各種の処理部は、複数のプロセッサーによって各種の処理が分散して実行されることによって実現されてもよい。また、前記各種の処理部のいずれか一又は複数がASIC又はDSPなどの電子回路であってもよい。
【0046】
前記第1判定処理部111は、処方薬の情報を含む処方箋データに対応する患者の年齢が前記第1特定年齢以上であるか否かを判定する。具体的に、前記第1判定処理部111は、前記処方箋入力部17によって処方箋から読み取られる前記処方箋データに含まれる患者の年齢が前記第1特定年齢以上であるか否かを判定する。なお、前述したように、本実施形態において、前記第1特定年齢は75歳である。また、前記第1判定処理部111は、前記業務支援装置1において、ユーザーによって前記操作部15に手動で入力される前記処方箋データに対応する患者の年齢が前記第1特定年齢以上であるか否かを判定してもよい。
【0047】
前記第2判定処理部112は、前記第1判定処理部111により前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合に、前記患者の処方薬が、前記第1判定用データにおける前記薬品グループのうち前記対象患者条件が全患者であることが設定されている全対象薬品グループに属するか否かを判定する。具体的に、前記対象患者条件は、少なくとも、前記患者の疾患及び前記患者の服薬状況の少なくとも一方に関する条件を含むものである。
【0048】
前記第1報知処理部113は、少なくとも前記第2判定処理部112により前記患者の処方薬が前記全対象薬品グループに属すると判定された場合に、前記第2判定処理部112による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第1特定報知情報を報知可能である。なお、前記第1報知処理部113は、前記第2判定処理部112の判定結果に応じて前記第1特定報知情報を報知することが可能であればよく、当該第1特定報知情報の報知の有無は、初期設定などにおいて前記制御部11がユーザー操作に応じて設定可能であってもよい。また、前記第1報知処理部113、前記第2報知処理部117、前記第3報知処理部121による報知手法は、表示、データ送信、又は印刷などである。
【0049】
前記第1特定報知情報には、前記処方薬の識別情報、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度のいずれか一つ又は複数が含まれる。なお、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度は、当該処方薬が属する前記薬品グループに対応付けて前記第1判定用データD11に記憶されている情報である。
【0050】
前記第1表示処理部114は、前記第1判定用データD11で設定された前記対象患者条件の選択候補を表示することが可能である。前記第1受付処理部115は、前記第1表示処理部114によって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける。
【0051】
前記第3判定処理部116は、前記第1判定処理部111により前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合に、前記患者の処方薬が、前記第1受付処理部115で受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属するか否かを前記第1判定用データD11に基づいて判定する。
【0052】
前記第2報知処理部117は、少なくとも前記第3判定処理部116により前記患者の処方薬が前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属すると判定された場合に、前記第3判定処理部116による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第2特定報知情報を報知可能である。なお、前記第2報知処理部117は、前記第3判定処理部116の判定結果に応じて前記第2特定報知情報を報知することが可能であればよく、当該第2特定報知情報の報知の有無は、初期設定などにおいて前記制御部11がユーザー操作に応じて設定可能であってもよい。
【0053】
前記第2特定報知情報には、前記処方薬の識別情報、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度のいずれか一つ又は複数が含まれる。なお、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度は、当該処方薬が属する前記薬品グループに対応付けて前記第1判定用データD11に記憶されている情報である。
【0054】
また、前記業務支援システム10において報知される前記第1特定報知情報又は前記第2特定報知情報の内容は、本実施形態で説明する情報に限らない。例えば、前記第1特定報知情報又は前記第2特定報知情報の内容は、前記第2判定処理部112又は前記第3判定処理部116による判定結果のみであってもよい。また、前記第1特定報知情報又は前記第2特定報知情報の内容は、前記判定結果をユーザーが理解し得る他の情報であれば、当該判定結果に基づく他の情報であってもよい。例えば、前記第1特定報知情報又は前記第2特定報知情報は、前記第1判定用データD11の一部又は全部であってもよい。
【0055】
前記第2表示処理部118は、前記第2判定用データD21で設定された前記対象患者条件の選択候補を表示することが可能である。前記第2受付処理部119は、前記第2表示処理部118によって表示される前記選択候補から前記対象患者条件の選択操作を受け付ける。なお、前記第1表示処理部114及び前記第2表示処理部118は、同一画面に前記第1判定用データD11で設定された前記対象患者条件の選択候補と前記第2判定用データD21で設定された前記対象患者条件の選択候補とを表示してもよい。例えば、前記第1表示処理部114及び前記第2表示処理部118は、患者の年齢が前記第2特定年齢以上である場合に、同一画面に前記第1判定用データD11で設定された前記対象患者条件の選択候補と前記第2判定用データD21で設定された前記対象患者条件の選択候補とを表示することが考えられる。
【0056】
前記第4判定処理部120は、前記患者の年齢が前記第2特定年齢以上である場合に、前記患者の処方薬に、前記第2受付処理部119で受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれているか否かを前記第2判定用データD21に基づいて判定する。このように、前記業務支援システム10では、前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上である場合には、前記第2判定処理部112、前記第3判定処理部116、前記第4判定処理部120による判定が実行され、前記患者の年齢が前記第2特定年齢以上であって前記第1特定年齢未満である場合には、前記第4判定処理部120による判定が実行される。
【0057】
前記第3報知処理部121は、少なくとも前記第4判定処理部120により前記患者の処方薬に前記対象患者条件に対応する前記薬品グループに属する薬品が含まれないと判定された場合に、前記第4判定処理部120による判定結果又は当該判定結果に基づく報知情報を含む第3特定報知情報を報知可能である。なお、前記第3報知処理部121は、前記第4判定処理部120の判定結果に応じて前記第3特定報知情報を報知することが可能であればよく、当該第3特定報知情報の報知の有無は、初期設定などにおいて前記制御部11がユーザー操作に応じて設定可能であってもよい。
【0058】
また、前記業務支援システム10において報知される前記第3特定報知情報の内容は、本実施形態で説明する情報に限らない。例えば、前記第3特定報知情報の内容は、前記第4判定処理部120による判定結果のみであってもよい。また、前記第3特定報知情報の内容は、前記判定結果をユーザーが理解し得る他の情報であれば、当該判定結果に基づく他の情報であってもよい。例えば、前記第3特定報知情報は、前記第2判定用データD21の一部又は全部であってもよい。
【0059】
前記第3特定報知情報には、前記第2判定用データD21において前記第2受付処理部119で受け付けられた前記対象患者条件に対応する前記薬品グループの識別情報、前記薬品グループについて主な副作用・理由、前記薬品グループについて推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度のいずれか一つ又は複数が含まれる。なお、前記薬品グループについて主な副作用・理由、前記薬品グループについて推奨される使用法、又は、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度は、前記薬品グループに対応付けて前記第2判定用データD21に記憶されている情報である。
【0060】
なお、他の実施形態として、前記業務支援装置1に前記通信網3を介して一又は複数のクライアント端末が接続されてサーバークライアントシステムが構成されてもよい。この場合、前記業務支援装置1が前記クライアント端末のユーザー操作に応じて各種の情報の入力及び表示などの処理を実行する。即ち、前記クライアント端末各々が、前記業務支援装置1の操作端末として利用され、以下に説明する「操作」及び「表示」などが、前記クライアント端末の操作部及び表示部を用いて行われてもよい。また、本実施形態では、前記業務支援装置1単体が本発明に係る業務支援システムとして動作するが、前記業務支援装置1及び前記クライアント端末が協働して本実施形態で説明する前記業務支援装置1と同様の処理を実行してもよい。
【0061】
[高齢者アラート処理]
以下、
図4を参照しつつ、前記業務支援装置1の前記制御部11によって実行される高齢者アラート処理について説明する。例えば、前記高齢者アラート処理は、前記業務支援装置1に前記処方箋データが入力されたタイミング、前記業務支援装置1が前記処方箋データについて調剤開始指示を前記調剤機器2に送信する前のタイミング、又は前記処方箋データについての前記高齢者アラート処理の実行要求操作がユーザーによって行われたタイミングなどの任意のタイミングで前記制御部11によって実行される。なお、以下では、前記高齢者アラート処理の対象となる前記処方箋データを対象処方箋データと称することがある。
【0062】
また、前記制御部11は、前記高齢者アラート処理とは別に、例えば「相互作用」、「重複(同薬効、同薬品、同成分)」、「投与量」、「配合変化」などの各種のチェック項目について前記対象処方箋データの適否を判定する処方チェック処理を実行することが可能であってもよいが、当該処方チェック処理は従来周知であるため、ここでは説明を省略する。
【0063】
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11は、前記対象処方箋データに基づいて、当該対象処方箋データに対応する患者の年齢が第1特定年齢以上であるか否かを判定する。なお、本実施形態において、前記第1特定年齢は75歳である。前記ステップS11は、本発明に係る第1判定ステップの一例であり、前記制御部11の第1判定処理部111によって実行される。そして、前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定されると(S11:Yes)、処理がステップS12に移行し、前記患者の年齢が前記第1特定年齢以上ではないと判定されると(S11:No)、処理がステップS17に移行する。
【0064】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部11は、前記対象処方箋データに含まれる処方薬各々について、前記第1判定用データD11で設定されている前記薬品グループのうち全患者が対象となる前記全対象薬品グループに属する薬品であるか否かを判定する。前記ステップS12は、本発明に係る第2判定ステップの一例であり、前記制御部11の第2判定処理部112によって実行される。
【0065】
具体的に、前記制御部11は、前記対象処方箋データと前記薬品グループマスターに基づいて、当該対象処方箋データに含まれる処方薬各々の前記薬品グループを特定する。その後、前記制御部11は、前記処方薬各々の前記薬品グループが前記第1判定用データD11で設定されている前記全対象薬品グループと一致する場合に、当該処方薬が前記第1判定用データD11で設定されている前記全対象薬品グループに属すると判定する。そして、前記対象処方箋データに含まれる少なくとも一つの前記処方薬が前記全対象薬品グループに属する薬品であると判定されると(S12:Yes)、処理がステップS13に移行し、全ての前記処方薬が前記全対象薬品グループに属する薬品ではないと判定されると(S12:No)、処理がステップS14に移行する。
【0066】
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部11は、予め設定された前記第1特定報知情報
を報知するための第1アラート情報を前記対象処方箋データと対応付けて前記記憶部12に記憶する記憶処理を実行する。なお、前記第1アラート情報は、前記対象処方箋データに含まれる処方薬ごとに対応付けて記憶される。
【0067】
例えば、前記第1アラート情報には、前記対象処方箋データの前記処方薬について、前記第1アラート情報を報知する旨を示す第1フラグ情報と、前記第1特定報知情報の内容とが含まれる。本実施形態において、前記第1特定報知情報は、前記処方薬の識別情報、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、及び、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度を含む。なお、本実施形態において、前記第1特定報知情報は、前記ステップS12において前記全対象薬品グループに属すると判定された処方薬及び当該処方薬が属する前記薬品グループなどに関する情報である。
【0068】
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部11は、前記第1判定用データD11で設定されている前記対象患者条件の中から前記対象処方箋データに対応する前記患者に該当すると推定される対象患者条件を選択するための対象患者条件選択処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記第1判定用データD11で設定されている前記対象患者条件を選択するための選択画面P11を前記表示部14に表示する。
【0069】
ここに、
図5は、前記選択画面P11の一例を示す図である。
図5に示されるように、前記選択画面P11には、操作部K11及び操作部K12が表示されている。前記制御部11は、前記操作部15を用いて前記操作部K11が操作されると、
図5に示されるように、前記第1判定用データD11で設定されている前記対象患者条件各々を選択候補としてプルダウンメニューで表示するための表示処理を実行する。なお、前記表示処理は、前記制御部11の第1表示処理部114によって実行される。
【0070】
そして、前記制御部11は、前記プルダウンメニューから前記対象患者条件のいずれかを選択するための操作を前記操作部15で受け付ける受付処理を実行する。なお、前記受付処理は、前記制御部11の第1受付処理部115によって実行される。例えば、調剤薬局において、薬剤師は、患者又は患者の家族などから問診によって取得した情報に基づいて前記対象患者条件を選択する操作を行う。また、薬剤師は、前記通信網3を介して接続可能な外部のサーバー装置などに記憶されている患者の疾患などの医療情報へのアクセスが許可されている場合には、当該医療情報を見て前記対象患者条件を選択してもよい。その後、前記制御部11は、前記操作部K12が操作されると、前記操作部K11で選択されている前記対象患者条件を前記患者に対応付けて前記記憶部12に記憶する。
【0071】
なお、前記制御部11は、複数の前記対象患者条件の入力を受け付けてもよい。例えば、前記制御部11は、前記選択画面P11に複数の前記操作部K11を表示させ、当該操作部K11各々における前記対象患者条件の選択操作を受け付けてもよい。また、
図6に示されるように、複数の前記対象患者条件の選択状態を個別に切り替え可能なチェックボックス等の操作部K13が表示され、当該操作部K13の操作に応じて複数の前記対象患者条件の選択を受け付けてもよい。
【0072】
また、前記制御部11は、前記ステップS14において前記対象患者条件選択処理をユーザー操作に応じて省略することが可能であってもよい。例えば、
図5又は
図6の前記選択画面P11に表示されている操作部K14の操作に応じて、前記対象患者条件選択処理を省略することが考えられる。なお、前記対象患者条件選択処理が省略される場合には、後述のステップS15及びS16の処理も省略される。
【0073】
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部11は、前記対象処方箋データに対応する患者が前記第1判定用データD11で設定された慎重投与対象患者に該当するか否かを判定する。前記ステップS15は、本発明に係る第3判定ステップの一例であり、前記制御部11の第3判定処理部116によって実行される。
【0074】
具体的に、前記制御部11は、前記対象処方箋データに含まれる処方薬の薬品グループと前記ステップS14で選択された前記対象患者条件との組み合わせが、前記第1判定用データD11で設定されている前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせと一致する場合に、前記患者が前記慎重投与対象患者に該当すると判定する。ここで、前記患者が前記慎重投与対象患者に該当すると判定されると(S15:Yes)、処理がステップS16に移行し、前記患者が前記慎重投与対象患者に該当しないと判定されると(S15:No)、処理がステップS17に移行する。
【0075】
なお、本実施形態において、前記制御部11は、前記ステップS12において前記処方薬が前記全対象薬品グループに属する薬品であるか否かを判定した後、当該ステップS12における判定結果にかかわらず、前記ステップS14~S15の処理を実行する。これにより、例えば前記処方箋データに含まれる複数の処方薬のうちいずれかの処方薬が前記ステップS12において前記全対象薬品グループに属する薬品であると判定された後であっても、前記処方箋データに含まれる全ての処方薬を前記ステップS14~S15の処理対象にすることが可能である。一方、他の実施形態として、前記制御部11は、前記ステップS12において前記処方薬のいずれかが前記全対象薬品グループに属する薬品であると判定した場合に前記第1特定報知情報などを報知して当該高齢者アラート処理を終了してもよい。
【0076】
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部11は、予め設定された前記第2特定報知情報
を報知するための第2アラート情報を前記対象処方箋データと対応付けて前記記憶部12に記憶する記憶処理を実行する。なお、前記第2アラート情報は、前記対象処方箋データに含まれる処方薬ごとに対応付けて記憶される。
【0077】
例えば、前記第2アラート情報には、前記対象処方箋データの前記処方薬について、前記第2アラート情報を報知する旨を示す第2フラグ情報と、前記第2特定報知情報の内容とが含まれる。本実施形態において、前記第2特定報知情報は、前記処方薬の識別情報、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、及び、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度を含む。なお、前記第2特定報知情報は、前記ステップS15において患者が前記慎重投与対象患者に該当すると判定された原因となった処方薬及び当該処方薬が属する前記薬品グループなどに関する情報である。また、本実施形態では、前記制御部11が、前記第1フラグ情報及び前記第2フラグ情報に基づいて前記第1アラート情報及び前記第2アラート情報を識別可能であるが、他の実施形態として、前記第1アラート情報及び前記第2アラート情報が共通の情報であってもよい。
【0078】
<ステップS17>
ステップS17において、前記制御部11は、前記対象処方箋データに基づいて、患者の年齢が前記第2特定年齢以上であるか否かを判定する。なお、本実施形態において、前記第2特定年齢は65歳である。そして、患者の年齢が前記第2特定年齢以上であると判定されると(S17:Yes)、処理がステップS18に移行し、患者の年齢が前記第2特定年齢以上ではないと判定されると(S17:No)、処理がステップS21に移行する。また、前記ステップS11において患者の年齢が前記第1特定年齢以上であると判定された場合には(S11:Yes)、前記ステップS16の実行後にステップS18以降の処理が実行され、前記ステップS17が省略されてもよい。
【0079】
<ステップS18>
ステップS18において、前記制御部11は、前記第2判定用データD21で設定されている前記対象患者条件の中から前記対象処方箋データに対応する前記患者に該当すると推定される対象患者条件を選択するための対象患者条件選択処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記第2判定用データD21で設定されている前記対象患者条件を選択するための選択画面P21を前記表示部14に表示する。即ち、前記ステップS14で表示される前記選択画面P11と、前記ステップS18で表示される前記選択画面P21とでは、選択候補として表示される前記対象患者条件が異なる。
【0080】
ここに、
図7は、前記選択画面P21の一例を示す図である。
図7に示されるように、前記選択画面P21には、操作部K21及び操作部K22が表示されている。前記制御部11は、前記操作部15を用いて前記操作部K21が操作されると、
図7に示されるように、前記第2判定用データD21で設定されている前記対象患者条件各々を選択候補としてプルダウンメニューで表示するための表示処理を実行する。なお、前記表示処理は、本発明に係る第2表示ステップの一例であり、前記制御部11の第2表示処理部118によって実行される。
【0081】
そして、前記制御部11は、前記プルダウンメニューから前記対象患者条件のいずれかを選択するための操作を前記操作部15で受け付ける受付処理を実行する。なお、前記受付処理は、本発明に係る第2受付ステップの一例であり、前記制御部11の第2受付処理部119によって実行される。例えば、調剤薬局において、薬剤師は、患者又は患者の家族などから問診によって取得した情報に基づいて前記対象患者条件を選択する操作を行う。その後、前記制御部11は、前記操作部K22が操作されると、前記操作部K21で選択されている前記対象患者条件を前記患者に対応付けて前記記憶部12に記憶する。なお、前記制御部11は、前記ステップS18において、前記ステップS14で説明したように複数の前記対象患者条件の入力を受け付けてもよい。
【0082】
また、前記制御部11は、前記ステップS18において前記対象患者条件選択処理をユーザー操作に応じて省略することが可能であってもよい。例えば、
図7の前記選択画面P21に表示されている操作部K23の操作に応じて、前記対象患者条件選択処理を省略することが考えられる。なお、前記対象患者条件選択処理が省略される場合には、後述のステップS19及びS20の処理も省略される。
【0083】
また、他の実施形態として、前記制御部11は、患者が前記第1特定年齢以上であると判定した場合、前記ステップS14において、前記第1判定用データD11で設定された前記対象患者条件が表示される際に、前記第2判定用データD21で設定された前期対象患者条件を同時に表示して選択を受け付け、当該ステップS18を省略してもよい。
【0084】
<ステップS19>
ステップS19において、前記制御部11は、前記対象処方箋データに対応する患者が前記第2判定用データD21で設定された開始考慮投与対象患者に該当するか否かを判定する。前記ステップS19は、本発明に係る第4判定ステップの一例であり、前記制御部11の第4判定処理部120によって実行される。
【0085】
具体的に、前記制御部11は、前記第2判定用データD21において、前記ステップS18で選択された前記対象患者条件に対応付けられた前記薬品グループに属する薬品が、前記対象処方箋データに処方薬として含まれていない場合に、前記患者が前記開始考慮投与対象患者に該当すると判定する。ここで、前記患者が前記開始考慮投与対象患者に該当すると判定されると(S19:Yes)、処理がステップS20に移行し、前記患者が前記開始考慮投与対象患者に該当しないと判定されると(S19:No)、処理がステップS21に移行する。
【0086】
<ステップS20>
ステップS20において、前記制御部11は、予め設定された前記第3特定報知情報
を報知するための第3アラート情報を前記対象処方箋データと対応付けて前記記憶部12に記憶する記憶処理を実行する。
【0087】
例えば、前記第3アラート情報には、前記対象処方箋データについて、前記第3アラート情報を報知する旨を示す第3フラグ情報と、前記第3特定報知情報の内容とが含まれる。本実施形態において、前記第3特定報知情報は、開始を考慮するべき薬品グループについて、前記薬品グループの識別情報、前記薬品グループについて主な副作用・理由、前記薬品グループについて推奨される使用法、及び、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度を含む。なお、前記第3特定報知情報は、前記ステップS19において患者が前記開始考慮投与対象患者に該当すると判定された原因となった薬品グループなどに関する情報である。
【0088】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部11は、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報のいずれか一又は複数を必要に応じて報知する報知処理を実行する。なお、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報のうち複数の情報を表示する必要がある場合には、当該情報がそれぞれ順次表示される報知画面に個別に表示される。例えば、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報を全て報知する場合には、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報の順で個別に報知画面に表示される。
【0089】
また、前記制御部11は、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報の報知が不要である場合、前記対象処方箋データについて前記第2判定処理部112、前記第3判定処理部116、前記第4判定処理部120による判定結果などを報知してもよいが、報知しなくてもよい。なお、前記制御部11は、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報の報知の有無を前記第1アラート情報、前記第2アラート情報、及び前記第3アラート情報に基づいて判断する。
【0090】
具体的に、前記制御部11は、前記第1特定報知情報を報知する旨を示す前記第1フラグ情報が前記対象処方箋データに対応付けられている場合に、前記第1特定報知情報の報知が必要であると判断し、前記第1特定報知情報を報知するための報知画面P31を前記表示部14に表示する。前記第1特定報知情報の報知は、本発明に係る第1報知ステップの一例であり、前記制御部11の前記第1報知処理部113によって実行される。
【0091】
図8は、前記報知画面P31の一例を示す図である。
図8に示されるように、前記報知画面P31では、例えば、前記第2判定処理部112による判定結果を示す情報として、「患者の処方薬が、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」で定められた「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」の「三環系抗うつ薬」の薬品グループに該当し、当該薬品グループは全患者が対象です。」のメッセージが表示されている。そして、前記報知画面P31では、前記第1特定報知情報である、前記処方薬の識別情報(薬品名)、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、及び、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度が表示される。なお、前記処方箋データに含まれる複数の処方薬について前記第1特定報知情報が記憶されている場合には、前記報知画面P31に、複数の処方薬についての前記第1特定報知情報が表示される。
【0092】
また、前記報知画面P31には、前記対象処方箋データについて、医療機関の医師に疑義照会をする旨又は疑義照会をした旨を記録するための操作部K31が表示されている。そして、前記制御部11は、前記操作部K31が操作されると、疑義照会が行われた旨を前記対象処方箋データに対応付けて前記記憶部12に記憶させる。
【0093】
また、前記報知画面P31には、前記対象処方箋データについて調剤を継続する旨の操作を受け付ける操作部K32と、前記対象処方箋データについて調剤をキャンセルする旨の操作を受け付ける操作部K33と表示されている。そして、前記制御部11は、前記操作部K32が操作されると、前記対象処方箋データに基づいて前記調剤用データを生成し、前記調剤機器2に送信する。なお、前記制御部11は、前記操作部K32が操作された場合であっても、前記処方チェック処理においてエラーが生じる場合には、前記調剤用データを前記調剤機器2に送信しない。一方、前記制御部11は、前記操作部K33が操作されると、前記対象処方箋データに基づく前記調剤用データを生成せず、前記高齢者アラート処理を終了する。
【0094】
同様に、前記制御部11は、前記第2特定報知情報を報知する旨を示す前記第2フラグ情報が前記対象処方箋データに対応付けられている場合に、前記第2特定報知情報の報知が必要であると判断し、前記第2特定報知情報を報知するための報知画面P32を前記表示部14に表示する。前記第2特定報知情報の報知は、前記制御部11の前記第2報知処理部117によって実行される。
【0095】
図9は、前記報知画面P32の一例を示す図である。
図9に示されるように、前記報知画面P32では、例えば、前記第3判定処理部116による判定結果を示す情報として、「患者の処方薬が、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」で定められた「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」の「SSRI」の薬品グループに該当し、患者が、当該薬品グループの対象患者条件である「消化管出血」を有しています。」のメッセージが表示されている。そして、前記報知画面P32では、前記第2特定報知情報である、前記処方薬の識別情報(薬品名)、前記処方薬の主な副作用・理由、前記処方薬の推奨される使用法、及び、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度が表示される。また、前記処方箋データに含まれる複数の処方薬について前記第2特定報知情報が記憶されている場合には、前記報知画面P32に、複数の処方薬についての前記第2特定報知情報が表示される。なお、前記報知画面P32にも、前記報知画面P31と同様に、前記操作部K31~K33が表示されている。
【0096】
さらに、前記制御部11は、前記第3特定報知情報を報知する旨を示す前記第3フラグ情報が前記対象処方箋データに対応付けられている場合に、前記第3特定報知情報の報知が必要であると判断し、前記第3特定報知情報を報知するための報知画面P41を前記表示部14に表示する。前記第3特定報知情報の報知は、本発明に係る第3報知ステップの一例であり、前記制御部11の前記第3報知処理部121によって実行される。
【0097】
図10は、前記報知画面P41の一例を示す図である。
図10に示されるように、前記報知画面P41では、例えば、前記第4判定処理部120による判定結果を示す情報として、「患者が、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」で定められた「開始を考慮するべき薬物のリスト」の「呼吸・循環系基礎疾患」を有する患者に該当します。」のメッセージが表示されている。そして、前記報知画面P41では、開始を考慮するべき薬品グループについて、前記第3特定報知情報である、前記薬品グループの識別情報、前記薬品グループについて主な副作用・理由、前記薬品グループについて推奨される使用法、及び、前記薬品グループと前記対象患者条件との組み合わせについて予め定められた推奨度が表示される。また、前記処方箋データに対応する患者について開始を考慮するべき薬品グループが複数存在する場合は、前記報知画面P41に、複数の前記薬品グループについての前記第3特定報知情報が表示される。なお、前記報知画面P41にも、前記報知画面P31と同様に、前記操作部K31~K33が表示されている。
【0098】
なお、ここでは、前記制御部11が、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報を異なる報知画面で順に表示する場合について説明した。一方、他の実施形態として、前記制御部11は、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報を同一画面に表示してもよい。なお、前記制御部11は、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報を同一画面に表示する場合でも、前記第1特定報知情報、前記第2特定報知情報、及び前記第3特定報知情報が識別可能な態様で表示する。
【0099】
以上説明したように、前記業務支援システム10では、前記報知画面P31、前記報知画面P32、又は前記報知画面P41などが必要に応じて表示される。そのため、薬剤師などのユーザーは、前記報知画面P31、前記報知画面P32、又は前記報知画面P41を見ることにより、前記対象処方箋データについて、患者の年齢を考慮した処方内容の適否を検討することが容易に可能となり作業効率が高まる。即ち、前記業務支援システム10によれば、患者の年齢を考慮した処方内容の適否検討を支援することが可能である。より具体的に、ユーザーは、前記報知画面P31、前記報知画面P32を見ることにより、前記第1特定年齢以上の高齢者の前記対象処方箋データに含まれる処方薬について、主な副作用・理由及び推奨される使用法などを容易に把握することが可能である。また、ユーザーは、前記報知画面P41を見ることにより、前記第2特定年齢以上の高齢者に使用が推奨される薬品が前記対象処方箋データの処方薬に含まれていないことを容易に把握することが可能である。
【0100】
なお、他の実施形態として、前記業務支援システム10では、前記高齢者アラート処理において、前記第1判定用データD11に基づく前記ステップS11~S16の判定処理と、前記第2判定用データD21に基づく前記ステップS17~S20の判定処理とのいずれか一方のみを実行してもよい。この場合でも、前記業務支援システム10では、患者の年齢を考慮した処方内容の適否を検討することが容易に可能となり作業効率が高まる。
【0101】
また、他の実施形態として、前記制御部11が、前記ステップS21に代えて、前記第1特定報知情報を前記ステップS13で表示し、前記第2特定報知情報を前記ステップS16で表示し、前記第3特定報知情報を前記ステップS20で表示することも考えられる。
【0102】
さらに、前記制御部11は、前記報知画面P31、前記報知画面P32、前記報知画面P41のいずれかにおいて、前記操作部K31が操作され、前記疑義照会の実行履歴が記録された前記処方箋データについて、修正後の処方箋データが入力された場合に、当該処方箋データの数を所定期間ごとにカウントし、当該カウント値を表示出力又は印刷出力することが可能であってもよい。これにより、ユーザーは、前記高齢者アラート処理における疑義照会に起因して修正された可能性のある前記処方箋データの数を把握することが可能である。なお、前記処方箋データの修正の有無は、例えば当該処方箋データに含まれる処方箋識別情報などに基づいて判定される。具体的に、前記制御部11は、処方IDが同じで枝番が異なる処方箋データが入力された場合に当該処方箋データは、当該処方IDが同じ他の処方箋データの修正後のデータであると判断することが可能である。なお、他の実施形態として、前期制御部11が、前記処方箋データが新規の処方箋データである場合にのみ前記高齢者アラート処理を実行し、前記処方箋データが修正後の処方箋データである場合には前記高齢者アラート処理を実行しないことも考えられる。
【0103】
ところで、本実施形態では、本発明に係る業務支援システムとして、調剤薬局における薬剤師による業務を支援するために用いられる前記業務支援システム10を例に挙げて説明した。一方、前記業務支援システム10に代えて、医師などのユーザーの操作に応じて患者の診察記録及び処方内容などを電子カルテに登録可能な電子カルテシステムが本発明に係る業務支援システムであってもよい。この場合、前記電子カルテシステムに含まれるコンピュータなどの制御部が、患者に対応する処方内容を示す処方箋データを前記電子カルテに登録するためのユーザー操作が行われた場合に、当該患者に対応する前記処方箋データを処理対象として前記高齢者アラート処理(
図4)を実行してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 業務支援装置
2 調剤機器
10 業務支援システム
11 制御部
12 記憶部
13 通信I/F
14 表示部
15 操作部
16 ドライブ装置
17 処方箋入力部