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特許7417071プログラム、情報作成装置、及び情報作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】プログラム、情報作成装置、及び情報作成方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20240111BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240111BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20240111BHJP
【FI】
H04W16/18 110
H04W84/12
H04W24/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020018533
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021125811
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 良和
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/135773(WO,A1)
【文献】特開2012-199727(JP,A)
【文献】特開2016-005215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントと、前記アクセスポイントの無線通信を中継する中継機を含む通信装置とが存在する領域について、
前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記中継機が測定した前記アクセスポイントから受信強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された各情報に基づいて、前記アクセスポイントからの距離と前記アクセスポイントからの受信強度との関係を示す情報と、前記中継機からの距離と前記中継機からの受信強度との関係を示す情報と、を算出し、算出した各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成工程と、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項2】
請求項1記載のプログラムであって、
前記取得工程では、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報として予め定められた電波強度を示す情報を取得する、
プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のプログラムであって、
前記取得工程では、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報として、前記アクセスポイントが測定した前記通信装置からの受信強度を示す情報を取得する、
プログラム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のプログラムであって、
前記作成工程では、前記アクセスポイントの無線通信の電波強度の前記領域における分布を示す情報を作成する、
プログラム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のプログラムであって、
前記作成工程によって作成された情報を表示する表示工程、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のプログラムであって、
前記通信装置は、前記領域内の位置に固定されている装置である、
プログラム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のプログラムであって、
前記アクセスポイントは、前記コンピュータとは異なる装置であり、
前記取得工程では、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を前記アクセスポイントから受信することにより取得する、
プログラム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載のプログラムであって、
前記取得工程では、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報をユーザからの入力操作により取得する、
プログラム。
【請求項9】
アクセスポイントと、前記アクセスポイントの無線通信を中継する中継機を含む通信装置と、が存在する領域について、
前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記中継機が測定した前記アクセスポイントからの受信強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された各情報に基づいて、前記アクセスポイントからの距離と前記アクセスポイントからの受信強度との関係を示す情報と、前記中継機からの距離と前記中継機からの受信強度との関係を示す情報と、を算出し、算出した各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成部と、
を備える情報作成装置。
【請求項10】
アクセスポイントと、前記アクセスポイントの無線通信を中継する中継機を含む通信装置と、が存在する領域について、
前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記中継機が測定した前記アクセスポイントからの受信強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された各情報に基づいて、前記アクセスポイントからの距離と前記アクセスポイントからの受信強度との関係を示す情報と、前記中継機からの距離と前記中継機からの受信強度との関係を示す情報と、を算出し、算出した各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントとの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成工程と、
を含む情報作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報作成装置、及び情報作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自宅等の無線LAN(Local Area Network)の電波範囲や強度を調べる方法が知られている。例えば、特許文献1には、家電機器が所望の親機と無線通信できるか否かを容易に判断するために、家電機器から送信された電波強度リストをスマートフォン等の端末が受信して表示する方法が開示されている。また、その他の方法として、電波強度の測定結果に応じて測定点を中心とする円を表示し、ヒートマップを作成する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-36945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、無線通信の電波強度の分布を容易に観察することができない。
【0005】
例えば、特許文献1の構成では、無線チャネルごとの電波強度を示す方法であるため、自宅内等における無線通信の電波強度の分布を観察することができない。
【0006】
また、電波強度の測定結果に応じて測定点を中心とする円を表示する方法では、ヒートマップを作成するには多くの測定点が必要になる。このため、例えば歩き回りながら何度も測定を行う必要があり、自宅内等における電波強度の分布の観察を容易にすることができない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電波強度の分布の観察を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプログラムは、アクセスポイントと通信装置とが存在する領域について、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成工程と、をコンピュータに実行させるためのものである。
【0009】
本発明の情報作成装置は、アクセスポイントと通信装置とが存在する領域について、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得部と、前記取得部によって取得された各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成部と、を備えるものである。
【0010】
本発明の情報作成方法は、アクセスポイントと通信装置とが存在する領域について、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントとの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電波強度の分布の観察を容易にすることのできるプログラム、情報作成装置、及び情報作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の情報作成装置を適用可能な通信システム10の一例を示す図である。
図2】アクセスポイント11のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】ユーザ端末12のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】ユーザ端末12による測定処理の一例を示すフローチャートである。
図5】ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図(その1)である。
図6】ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図(その2)である。
図7】ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図(その3)である。
図8】ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図(その4)である。
図9】ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図(その5)である。
図10】ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図(その6)である。
図11】ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図(その7)である。
図12】ユーザ端末12が表示する測定結果画面の他の一例を示す図である。
図13図12に示す測定結果画面120の生成方法の一例を示す図である。
図14】測定結果画面120の生成方法の他の一例を示す図である。
図15】任意の点における電波強度の推定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(実施形態)
<本発明の情報作成装置を適用可能な通信システム10>
図1は、本発明の情報作成装置を適用可能な通信システム10の一例を示す図である。図1に示す通信システム10は、例えば、アクセスポイント11と、ユーザ端末12と、通信装置13aと、を含む。また、通信システム10は、さらに、中継機14と、通信装置13bと、を含んでもよい。通信システム10において、本発明の情報作成装置は、例えばユーザ端末12に適用することができる。
【0015】
アクセスポイント11は、無線LAN1を形成する基地局である。アクセスポイント11は、アクセスポイントとしての機能に加えてルータの機能を有する、いわゆる無線LANルータであってもよい。アクセスポイント11は、直接、又はLAN等のネットワークを介して、WAN(Wide Area Network)2に接続されている。
【0016】
ユーザ端末12は、例えばアクセスポイント11を管理するユーザが所持する端末であり、アクセスポイント11との間で無線通信を行う機能を有する通信機器である。図1に示す例では、ユーザ端末12は、アクセスポイント11の近くに位置しており、アクセスポイント11と直接無線通信を行うことにより無線LAN1にアクセスすることができる。また、ユーザ端末12は、移動体通信網やWAN2を介して、アクセスポイント11との間で通信可能であってもよい。
【0017】
ユーザ端末12は、一例としてはスマートフォンである。ただし、ユーザ端末12は、スマートフォンに限らず、タブレット端末、PC(Personal Computer)、ウェアラブル端末など各種の端末とすることができる。
【0018】
通信装置13a,13bのそれぞれは、アクセスポイント11との間で無線通信を行う機能を有する通信機器である。通信装置13a,13bのそれぞれは、例えば、Webカメラやマイク等の各種センサー機器、テレビや冷蔵庫などのスマート家電、NAS(Network Attached Storage)、プリンタ、スキャナ、コンピュータゲーム機、デスクトップ型のPCなど、位置を固定して設置できる通信機器である。
【0019】
通信装置13aは、図1に示す例では、アクセスポイント11の近くに位置しており、アクセスポイント11と直接無線通信を行うことにより無線LAN1にアクセスすることができる。
【0020】
中継機14は、アクセスポイント11や他の通信機器からの無線信号を受信し、受信した無線信号を再送信することにより、アクセスポイント11と他の通信機器との間の通信を中継する。アクセスポイント11の電波が届く範囲に中継機14を設置することで、アクセスポイント11の無線LAN1の範囲が拡張される。
【0021】
通信装置13bは、図1に示す例では、アクセスポイント11から離れた場所に位置しており、アクセスポイント11との間で直接無線通信を行うことができない。これに対して、中継機14は、アクセスポイント11と通信装置13bとの間の無線通信を中継する。これにより、通信装置13bは、アクセスポイント11から離れていても、中継機14を介してアクセスポイント11の無線LAN1にアクセスすることができる。
【0022】
通信システム10においては、アクセスポイント11が設置される自宅やオフィス等の対象領域における、無線LAN1の電波強度の分布を測定してユーザに表示することが可能である。この電波強度は、アクセスポイント11や中継機14から送信される無線信号をどの程度の強度で受信可能であるかを示す無線品質であり、例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator)等により表される。
【0023】
無線LAN1の電波強度の分布をユーザに表示することにより、ユーザは、例えば、所望の各位置で十分な電波強度が得られるように、アクセスポイント11や中継機14の位置を変更したり、新たな中継機を追加したりといった対応が容易になる。あるいは、ユーザは、自宅やオフィス等の対象領域内のいずれの位置に行けば十分な電波強度が得られるかを容易に把握することができる。
【0024】
<アクセスポイント11のハードウェア構成例>
図2は、アクセスポイント11のハードウェア構成の一例を示す図である。図1に示したアクセスポイント11は、例えば、プロセッサ21と、メモリ22と、無線通信インタフェース23と、有線通信インタフェース24と、を備える。これらのアクセスポイント11の構成は、例えばバス29によって互いに接続される。
【0025】
プロセッサ21は、信号処理を行う回路であり、例えばアクセスポイント11の全体の制御を行うCPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサ21は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processor)などの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ21は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0026】
メモリ22には、例えばメインメモリ及び補助メモリが含まれる。メインメモリは、例えばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリは、プロセッサ21のワークエリアとして使用される。
【0027】
補助メモリは、例えば磁気ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリには、アクセスポイント11を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリに記憶されたプログラムは、メインメモリにロードされてプロセッサ21によって実行される。
【0028】
また、補助メモリは、アクセスポイント11から取り外し可能な可搬型のメモリを含んでもよい。可搬型のメモリには、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブやSD(Secure Digital)メモリカードなどのメモリカードや、外付けハードディスクドライブなどがある。
【0029】
無線通信インタフェース23は、アクセスポイント11の外部(例えばユーザ端末12、中継機14、又は通信装置13a,13b)との間で無線通信を行う通信インタフェースである。無線通信インタフェース23は、プロセッサ21によって制御される。
【0030】
有線通信インタフェース24は、アクセスポイント11の外部(例えばWAN2)との間で有線通信を行う通信インタフェースである。有線通信インタフェース24は、プロセッサ21によって制御される。
【0031】
<ユーザ端末12のハードウェア構成例>
図3は、ユーザ端末12のハードウェア構成の一例を示す図である。図1に示したユーザ端末12は、例えば、プロセッサ31と、メモリ32と、ユーザインタフェース33と、無線通信インタフェース34と、を備える。これらのユーザ端末12の構成は、例えばバス39によって互いに接続される。
【0032】
プロセッサ31、メモリ32、及び無線通信インタフェース34については、それぞれ図2に示したプロセッサ21、メモリ22、及び無線通信インタフェース23と同様の構成である。
【0033】
ユーザインタフェース33は、例えば、ユーザからの操作入力を受け付ける入力デバイスや、ユーザへ情報を出力する出力デバイスなどを含む。入力デバイスは、例えばキー(例えばキーボード)やリモコンなどにより実現することができる。出力デバイスは、例えばディスプレイやスピーカなどにより実現することができる。また、指示パネルなどによって入力デバイス及び出力デバイスの両方を実現してもよい。ユーザインタフェース33は、プロセッサ31によって制御される。なお、ユーザ端末12はユーザインタフェース33を備えない構成であってもよい。
【0034】
<ユーザ端末12による測定処理>
図4は、ユーザ端末12による測定処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ユーザ端末12は、電波強度の測定の対象領域のレイアウト画像を取得する(ステップS41)。レイアウト画像は、例えば対象領域の間取り図などの2次元マップである。また、対象領域が3次元で設定されている場合、レイアウト画像は、3次元マップ、又は複数の高さについての2次元マップ(例えば階層ごとの2次元マップ)でもよい。
【0036】
レイアウト画像は、例えばユーザ端末12のユーザが事前に作成し、ユーザ端末12のメモリ32に記憶されている。この場合に、ユーザ端末12は、メモリ32からレイアウト画像を取得する。
【0037】
次に、ユーザ端末12は、対象領域に配置された各通信機器の位置を取得する(ステップS42)。対象領域に配置された各通信機器には、少なくとも、アクセスポイント11と、アクセスポイント11以外の1つの通信装置(例えばユーザ端末12、通信装置13a,13b、又は中継機14)が含まれる。
【0038】
通信機器の位置は、その通信機器が配置されている位置を、上記のレイアウト画像上の位置で表したものである。各通信機器の位置は、例えばユーザ端末12のユーザが事前に設定し、ユーザ端末12のメモリ32に記憶されている。この場合に、ユーザ端末12はメモリ32からこれらの位置を取得する。
【0039】
次に、ユーザ端末12は、対象領域に配置された各通信機器の位置における、無線LAN1の無線通信の電波強度を取得する(ステップS43)。無線通信の電波強度の取得方法については後述する。
【0040】
次に、ユーザ端末12は、ステップS43により取得した電波強度を、ステップS42により取得した各通信機器の位置に基づいて、ステップS41により取得したレイアウト画像上にマッピングして表示し(ステップS44)、一連の処理を終了する。
【0041】
なお、ステップS41~S43は、順序を入れ替えて実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0042】
<アクセスポイント11の位置における無線通信の電波強度の取得方法>
まず、上記のステップS43について、対象領域に配置された各通信機器のうちアクセスポイント11の位置における、アクセスポイント11との間の無線通信の電波強度の取得方法について説明する。
【0043】
アクセスポイント11の位置におけるアクセスポイント11との間の無線通信は、距離がゼロの無線通信であるため、減衰がない。
【0044】
例えば、アクセスポイント11の運用前に、アクセスポイント11又はアクセスポイント11と同等の機能を有する無線通信装置の無線通信の電波強度を実測やシミュレーション等により導出しておき、導出した電波強度をユーザ端末12のメモリ32に記憶しておく。この場合、ユーザ端末12は、ステップS43において、このメモリ32に記憶された電波強度を、対象領域に配置された各通信機器の1つ(アクセスポイント11)の位置における、アクセスポイント11との間の無線通信の電波強度として取得する。
【0045】
<アクセスポイント11以外の通信機器の位置における無線通信の電波強度の取得方法>
次に、上記のステップS43について、対象領域に配置された各通信機器のうちアクセスポイント11以外の通信機器の位置における、アクセスポイント11との間の無線通信の電波強度の取得方法について説明する。
【0046】
例えば、ユーザ端末12は、第1の方法として、対象領域に配置されたある通信機器と通信を行うことにより、アクセスポイント11からの無線信号の電波強度の測定をその通信機器に実行させ、測定の結果をその通信機器から受信する。これにより、その通信機器の位置における電波強度の実測値を得ることができる。ユーザ端末12と通信機器との間の通信は、例えばアクセスポイント11を介して行われる。
【0047】
又は、ユーザ端末12は、第2の方法として、対象領域に配置されたある通信機器について、その通信機器から送信される無線信号の電波強度の測定をアクセスポイント11に実行させ、その測定の結果をアクセスポイント11から受信してもよい。
【0048】
通信機器からアクセスポイント11へ送信される無線信号と、アクセスポイント11から通信機器へ送信される無線信号と、は同等の無線伝搬路を経由するとみなすことができる。したがって、第2の方法において、ユーザ端末12は、例えば、アクセスポイント11から受信した測定結果をそのまま、通信機器の位置における電波強度とみなして取得する。
【0049】
又は、第2の方法において、ユーザ端末12は、アクセスポイント11から受信した測定結果の補正した値を、通信機器の位置における電波強度として取得してもよい。この補正は、例えば、通信機器の送信強度とアクセスポイント11の送信強度との相違等に基づいて行われる。
【0050】
第2の方法によれば、通信機器が、電波強度を測定する機能や、電波強度の測定結果を送信する機能を有していなくても、ユーザ端末12が、その通信機器の位置における電波強度の推定値を取得することができる。
【0051】
<ユーザ端末12の画面遷移>
図5図11は、ユーザ端末12の画面遷移の一例を示す図である。図5図10に示す例では、ユーザ端末12は、図3に示したユーザインタフェース33としてタッチパネル33aを有し、タッチパネル33aによりユーザとの間で情報の入出力を行う。
【0052】
まず、ユーザ端末12は、例えば図5に示す基本画面50をタッチパネル33aに表示する。基本画面50には、ユーザ端末12の各機能を呼び出すためのボタン群(図5に示す例では7個のボタン)が配置されており、このボタン群には電波強度測定を行うための電波強度測定ボタン51が含まれる。
【0053】
なお、この時点でユーザ端末12に連携対象としてアクセスポイント11が登録されていない場合、ユーザ端末12は、アクセスポイント11の登録をユーザから受け付けてもよい。
【0054】
ユーザが電波強度測定ボタン51を指示(例えばタッチ)すると、ユーザ端末12は、測定の対象領域のレイアウト画像がユーザ端末12に登録されているか否かを判断する。そして、測定の対象領域のレイアウト画像がユーザ端末12に登録されていない場合、ユーザ端末12は、基本画面50に代えて、図6に示すレイアウト追加画面60をタッチパネル33aに表示する。レイアウト追加画面60には、「レイアウトが登録されていません。」とのメッセージと、レイアウトの追加を行うためのレイアウト追加ボタン61と、が含まれる。
【0055】
ユーザがレイアウト追加ボタン61を指示すると、ユーザ端末12は、レイアウト追加画面60に代えて、図7に示すレイアウト作成画面70をタッチパネル33aに表示する。レイアウト作成画面70は、ユーザ操作により、測定の対象領域を示す、間取り図などのレイアウト画像72を作成可能な画面である。
【0056】
例えば、レイアウト作成画面70には、レイアウト画像72を作成するための作成部71と、作成部71のレイアウト画像72を登録するためのレイアウト登録ボタン73と、が含まれる。図8に示す例では、作成部71において、3つの四角形が隣接してなる簡易的な間取り図がレイアウト画像72として作成されている。
【0057】
作成部71におけるレイアウト画像72の作成方法は、各種の方法とすることができる。例えば、作成部71において、ユーザが直線や四角形等の基本図形を配置することによりレイアウト画像72を作成できるように構成する。又は、ユーザに対してレイアウト画像72のテンプレートを表示し、ユーザがそのテンプレートの中からレイアウト画像72を選択したり、ユーザがそのテンプレートに変更を加えたりすることによりレイアウト画像72を作成できるように構成してもよい。又は、既存の間取り図や写真等を読み込むことによりレイアウト画像72を作成できるように構成してもよい。
【0058】
ユーザが、レイアウト画像72を作成した後、レイアウト登録ボタン73を指示すると、ユーザ端末12は、作成部71において作成されたレイアウト画像72を、ユーザ端末12のメモリ32に記憶することにより登録する。このとき、ユーザ端末12は、ユーザからレイアウト名(例えば「レイアウト01」)の入力を受け付け、入力されたレイアウト名とともにレイアウト画像72を登録してもよい。
【0059】
図4に示したステップS41においては、例えばレイアウト作成画面70において作成されてユーザ端末12のメモリ32に記憶されたレイアウト画像72が取得される。
【0060】
また、レイアウト作成画面70は、測定の対象領域に配置された各通信機器の位置を、作成済みのレイアウト画像72上で指定する機能を有していてもよい。例えば、ユーザは、対象領域に配置された各通信機器をユーザ端末12に登録しておく。又は、例えばユーザ端末12に連携対象としてアクセスポイント11が登録されている場合、ユーザ端末12が、アクセスポイント11及び、アクセスポイント11に接続される全ての中継器14、通信機器13の情報を自動的又は手動で取得し、登録しておいてもよい。
【0061】
ユーザ端末12は、登録された各通信機器を示すアイコンや機器名等を、作成済みのレイアウト画像72に重ねて表示する。ユーザは、表示されたアイコンや機器名等をレイアウト画像72上で移動させる入力操作を行うことにより、対象領域に配置された各通信機器の位置をレイアウト画像72上で指定することができる。ユーザ端末12は、指定された各通信機器の位置を、メモリ32に記憶する。
【0062】
図4に示したステップS42においては、例えばレイアウト作成画面70において指定されてユーザ端末12のメモリ32に記憶された各通信機器の位置が取得される。ただし、対象領域に配置された各通信機器の位置の指定は、レイアウト作成画面70とは異なる画面により行われてもよい。
【0063】
図5に示した基本画面50において、レイアウト画像72がユーザ端末12に登録された状態でユーザが電波強度測定ボタン51を指示すると、ユーザ端末12は、基本画面50に代えて、図8に示すレイアウト選択画面80をタッチパネル33aに表示する。
【0064】
レイアウト選択画面80は、ユーザ端末12に登録済みのレイアウト画像を選択するためのレイアウト選択ボタンが含まれる。図8に示す例では、ユーザ端末12には、レイアウト名が「レイアウト01」であるレイアウト画像72が登録されており、そのレイアウト画像72を選択するための1つのレイアウト選択ボタン81が表示されている。なお、ユーザが新たなレイアウト画像を登録可能なように、レイアウト選択画面80にレイアウト追加ボタン61を含めてもよい。
【0065】
ユーザがレイアウト選択ボタン81を指示すると、ユーザ端末12は、レイアウト選択画面80に代えて、図9に示す測定開始画面90をタッチパネル33aに表示する。測定開始画面90は、「レイアウト01」のレイアウト画像72についての測定を開始するための測定開始ボタン91が含まれる。
【0066】
なお、測定開始画面90には、「レイアウト01」のレイアウト画像72についての過去の測定結果を表示するための測定結果表示ボタンが含まれていてもよい。図9に示す例では、「レイアウト01」のレイアウト画像72について過去に2回の測定が行われており、この2回の測定結果を表示するための測定結果表示ボタン92,93を測定開始画面90に含めてもよい。また、ユーザが新たなレイアウト画像を登録可能なように、レイアウト追加ボタン61を測定開始画面90に含めてもよい。
【0067】
ユーザが測定開始ボタン91を指示すると、ユーザ端末12は、測定開始画面90に代えて、図10に示す測定中画面100を表示するとともに、「レイアウト01」のレイアウト画像についての測定(例えば図4に示したステップS41~S43)を開始する。測定には時間がかかるため、測定中画面100には「しばらくお待ちください。」とのメッセージが含まれる。なお、図示を省略するが、測定中画面100には、「レイアウト01」のレイアウト画像72や、測定の経過を示す情報や、測定を停止するためのボタン等を含めてもよい。
【0068】
測定が終了すると、ユーザ端末12は、測定中画面100に代えて、図11に示す測定結果画面110をタッチパネル33aに表示する。図4に示したステップS44において、ユーザ端末12は例えば測定結果画面110を表示する。
【0069】
ここでは、測定の対象領域に配置された通信機器として、アクセスポイント11及び通信装置13aが登録されていたとする。測定結果画面110には、レイアウト画像72と、電波強度画像111,112と、が重ねて表示されている。
【0070】
電波強度画像111は、レイアウト画像72上のアクセスポイント11の位置を中心とする円であり、アクセスポイント11の位置における電波強度を示す。電波強度画像112は、レイアウト画像72上の通信装置13aの位置を中心とする円であり、通信装置13aの位置における電波強度を示す。
【0071】
電波強度画像111,112により、ユーザは、レイアウト画像72が示す対象領域において、電波強度の分布をおおまかに把握することができる。また、電波強度画像111,112のそれぞれは、図11に示す例のように、中心が最も色が濃く、中心から離れるほど色が薄くなるグラデーションを有していてもよい。
【0072】
また、例えば、電波強度画像111の色を、アクセスポイント11の位置について取得された電波強度に応じた色にしてもよい。同様に、電波強度画像112の色を、通信装置13aの位置について取得された電波強度に応じた色にしてもよい。
【0073】
例えば、電波強度画像111,112のそれぞれの色を、電波強度が最も低い場合に青色とし、電波強度が高くなるにつれて緑色、黄色とし、電波強度が最も高い場合に赤色としてもよい。又は、電波強度画像111,112を電波強度に応じた濃淡で表示してもよい。これにより、電波強度の分布をヒートマップのように表示することができる。また、各機器の種類や電波強度の数値を更に表示してもよい。
【0074】
電波強度画像111,112が互いに重なる部分については、電波強度画像111,112をブレンディング(例えばアルファブレンディング)して表示することにより、電波強度の分布をよりヒートマップらしく表示することができる。
【0075】
なお、アクセスポイント11のユーザ端末12への登録は、アクセスポイント11に関する情報を要する処理(例えば上記の測定の制御)が行われるより前の任意のタイミングで行うことができる。例えば、ユーザ端末12は、図7に示したレイアウト作成画面70によってレイアウト画像72が作成された直後に、アクセスポイント11の登録をユーザから受け付けてもよい。
【0076】
<ユーザ端末12が表示する測定結果画面の他の例>
図12は、ユーザ端末12が表示する測定結果画面の他の一例を示す図である。図13は、図12に示す測定結果画面120の生成方法の一例を示す図である。ユーザ端末12は、図11に示した測定結果画面110に代えて、図12に示す測定結果画面120を表示してもよい。
【0077】
測定結果画面120は、電波強度画像121を含む。電波強度画像121は、レイアウト画像72上のアクセスポイント11の位置を中心とする円であり、アクセスポイント11の位置における電波強度を示す。
【0078】
また、電波強度画像121は、アクセスポイント11の位置について取得された電波強度だけでなく、通信装置13aの位置について取得された電波強度に基づいて生成された画像である。この電波強度画像121の生成方法について、図13を用いて説明する。
【0079】
図13において、横軸は、レイアウト画像72上における、アクセスポイント11からの距離を示す。縦軸は電波強度を示す。
【0080】
測定点131は、アクセスポイント11の位置について取得された電波強度S1を示す。電波強度分布131aは、測定点131のみから推定される、無線LAN1の無線通信の電波強度の分布の一例を参考として示したものである。
【0081】
測定点132は、通信装置13aの位置について取得された電波強度S2を示す。電波強度分布132aは、測定点132のみから推定される、無線LAN1の無線通信の電波強度の分布の一例を参考として示したものである。
【0082】
ユーザ端末12は、アクセスポイント11及び通信装置13aの各位置と、電波強度S1,S2と、に基づいて、電波強度推定線133を算出する。図13に示す例では、電波強度推定線133は、測定点131,132を通る直線である。ただし、電波強度推定線133は、測定点131,132を通る、ベジェ曲線やスプライン曲線等の曲線であってもよい。電波強度推定線133は、アクセスポイント11の位置からの距離と、無線LAN1の無線通信の電波強度と、の関係を示す。
【0083】
ユーザ端末12は、レイアウト画像72における各位置について、その位置のアクセスポイント11の位置からの距離と電波強度推定線133とに基づいて、その位置における電波強度を推定することができる。これにより、例えば図12に示したような、アクセスポイント11及び通信装置13aの各位置について取得された電波強度に基づく電波強度画像121を生成することができる。なお、図12に示されるようにアクセスポイント11を中心とする電波強度画像121のみを表示する構成であってもよいし、電波強度画像121に加えて中継器14を中心とする電波強度画像をさらに表示する構成であってもよい。また、各通信装置13を中心とする電波強度画像をさらに表示する構成であってもよいし、各通信装置13の位置のみをさらに表示する構成であってもよい。
【0084】
<測定結果画面120の生成方法の他の例>
図14は、測定結果画面120の生成方法の他の一例を示す図である。図14に示す例では、アクセスポイント11及び通信装置13aの各位置に加えて、さらに第3の通信装置(例えば、ユーザ端末12、通信装置13b、又は中継機14)の位置について電波強度が取得されたとする。
【0085】
測定点141は、第3の通信装置の位置について取得された電波強度S3を示す。電波強度分布141aは、測定点141のみから推定される、第3の通信装置の位置における電波強度の分布の一例を参考として示したものである。図14に示す例において、第3の通信装置とアクセスポイント11との間の距離が、アクセスポイント11と通信装置13aとの間の距離よりも短くなっている。
【0086】
ユーザ端末12は、アクセスポイント11、通信装置13a、及び第3の通信装置の各位置と、電波強度S1~S3と、に基づいて、電波強度推定線133を算出する。これにより、図13に示した例よりも正確な電波強度推定線133を得ることができる。
【0087】
図14に示す例では、電波強度推定線133は、測定点131,132,141を通る直線的な推定線であるが、電波強度推定線133は、測定点131,132,141を通る、ベジェ曲線やスプライン曲線等の曲線であってもよい。
【0088】
この場合も、ユーザ端末12は、レイアウト画像72における各位置について、その位置のアクセスポイント11の位置からの距離と電波強度推定線133とに基づいて、その位置における電波強度を推定することができる。これにより、アクセスポイント11、通信装置13a、及び第3の通信装置の各位置について取得された電波強度に基づく電波強度画像121を生成することができる。
【0089】
なお、対象領域にはアクセスポイント11の他に3つ以上の通信装置が配置されてもよく、ユーザ端末12は、3つ以上の通信装置について位置及び電波強度の各情報を取得し、取得した各情報に基づいてレイアウト画像72及び電波強度画像を生成してもよい。
【0090】
<任意の点における電波強度の推定>
図15は、任意の点における電波強度の推定の一例を示す図である。
【0091】
図15に示す例では、対象領域に配置された各通信機器にアクセスポイント11及び中継機14が含まれ、中継機14によって測定されたアクセスポイント11からの無線信号の電波強度と、アクセスポイント11によって測定された中継機14からの無線信号の電波強度と、が得られたとする。
【0092】
また、図15において、AP1はアクセスポイント11を示し、AP2は中継機14を示している。また、図15において、これらの各通信機器の配置を、レイアウト画像72を用いて図示している。レイアウト画像72における中継機14(AP2)とアクセスポイント11(AP1)との間の距離を|AP1-AP2|とする。ここでいう距離とは、レイアウト画像72上の距離であり、例えば、ピクセルや、レイアウト画像72を格子状に区切った場合の格子の数などによって表される。
【0093】
また、ここでは電波強度がRSSIとして取得されるものとする。中継機14(AP2)における、アクセスポイント11(AP1)からの無線信号のRSSIの測定結果をAP1_RSSI(一例としては-50dB)とする。また、アクセスポイント11の位置からの単位距離(例えば1ピクセル又は1格子)あたりのRSSIをd_AP1_RSSIとする。この場合に、d_AP1_RSSIは例えば下記(1)式のように表される。d_AP1_RSSIは、アクセスポイント11からの距離とアクセスポイント11からの受信強度との関係を示す情報を構成する。
【0094】
d_AP1_RSSI=AP1_RSSI/|AP1-AP2| …(1)
【0095】
アクセスポイント11(AP1)における、中継機14(AP2)からの無線信号のRSSIの測定結果をAP2_RSSIとする(一例としては-50dB)。また、中継機14の位置からの単位距離あたりのRSSIをd_AP2_RSSIとする。この場合に、d_AP2_RSSIは例えば下記(2)式のように表される。d_AP2_RSSIは、中継機14からの距離と中継機14からの受信強度との関係を示す情報を構成する。
【0096】
d_AP2_RSSI=AP2_RSSI/|AP1-AP2| …(2)
【0097】
点Pは、レイアウト画像72における任意の点である。任意の点Pにおける無線LAN1の電波強度は、例えば下記(3)式のように表される。Nは、無線LAN1の通信先(アクセスポイント11や中継機14)の数であり、図15に示す例ではN=2である。
【0098】
【数1】
【0099】
すなわち、任意の点Pにおける無線LAN1の電波強度は、無線LAN1の通信先(アクセスポイント11や中継機14)のそれぞれからの無線信号のRSSIの平均値により導出することができる。この平均値は、加重平均値であってもよく、この場合の重み付け係数は、無線LAN1の各通信先と任意の点Pとの間の各距離に基づいて定めることができる。また、点Pにおける無線LAN1の電波強度は、平均値に限らず、無線LAN1の通信先のそれぞれからの無線信号のRSSIの中央値、最大値、最小値等の代表値や合計値や、点Pに最も近い、又は接続されているアクセスポイント11(AP1)、中継機14(AP2)に基づいて導出してもよい。
【0100】
ユーザ端末12は、レイアウト画像72の各位置について、上記(3)式により無線LAN1の電波強度を導出する。そして、ユーザ端末12は、レイアウト画像72の各位置について、導出した電波強度に応じた色や濃淡の電波強度画像をマッピングしたレイアウト画像72を表示する。
【0101】
このように、ユーザ端末12は、アクセスポイント11及びアクセスポイント11と異なる通信装置13aの対象領域における各位置の情報と、アクセスポイント11及び通信装置13aの各位置における無線通信の電波強度情報と、を取得する。ユーザ端末12は、これらの電波強度情報を、例えばアクセスポイント11から受信することにより取得する。そして、ユーザ端末12は、取得した各情報に基づいて、対象領域における電波強度の分布を示す電波強度分布情報(例えば電波強度画像121を重ねて表示したレイアウト画像72)を作成して表示することができる。
【0102】
これにより、アクセスポイント11の位置における無線通信の電波強度情報には予め定められた値を用いることができるため、通信装置13aの電波強度情報に加えて、アクセスポイント11の電波強度情報を得ることができる。
【0103】
例えば、アクセスポイント11と異なる通信装置が通信装置13aの1つだけであっても、取得した通信装置13aの位置における電波強度情報と、アクセスポイント11の位置について予め定められた電波強度情報と、の2つの電波強度情報が得られるため、電波強度分布情報を作成することが可能になる。
【0104】
また、アクセスポイント11と異なる通信装置がN個(N≧2)ある場合に、取得したN個の通信装置の各位置におけるN個の電波強度情報と、アクセスポイント11の位置について予め定められた電波強度情報と、のN+1個の電波強度情報が得られる。このため、アクセスポイント11と異なる通信装置が少なくても、より正確な電波強度分布情報を作成することができる。
【0105】
また、例えば通信装置13aの位置を動かさなくても、複数の位置における電波強度情報を取得して電波強度分布情報を作成することができるため、例えば歩き回りながら何度も測定を行う必要がなく、対象領域内における電波強度の分布の観察を容易にすることができる。
【0106】
また、ある時点における複数の位置における電波強度情報を取得して電波強度分布情報を作成することができるため、例えば歩き回りながら時間をかけて測定を行う場合に比べて、ある時点におけるより正確な電波強度の分布を示す電波強度分布情報を作成することができる。このため、対象領域内における電波強度の分布をより正確に観察することができる。
【0107】
さらに、複数の電波強度情報の取得を複数の時点において行うことで、複数の時点における電波強度分布情報を容易に作成することができる。このため、対象領域内における電波強度の分布の経時的な変化を容易に観察することができる。
【0108】
また、ユーザ端末12は、通信装置13aの位置における電波強度情報として、例えば通信装置13aが測定したアクセスポイント11からの受信強度を示す情報を取得する。これにより、通信装置13aの位置における正確な電波強度情報を得ることができる。
【0109】
又は、ユーザ端末12は、通信装置13aの位置における電波強度情報として、アクセスポイント11が測定した通信装置13aからの受信強度を示す情報を取得する。これにより、通信装置13aが受信強度を測定する機能や測定結果をフィードバックする機能を有していなくても、通信装置13aの位置における電波強度に近い電波強度を示す電波強度情報を得ることができる。
【0110】
また、アクセスポイント11と異なる通信装置に中継機14が含まれる場合に、ユーザ端末12は、中継機14の位置における電波強度情報として、例えば中継機14が測定したアクセスポイント11からの受信強度を示す情報を取得する。これにより、中継機14の位置における正確な電波強度情報を得ることができる。
【0111】
(変形例)
本発明の情報作成装置をユーザ端末12に適用した構成について説明したが、本発明の情報作成装置をユーザ端末12以外の装置に適用してもよい。例えば、本発明の情報作成装置は、アクセスポイント11に適用してもよいし、アクセスポイント11やユーザ端末12がWAN2を介して接続可能なサーバに適用してもよい。この場合に、本発明の情報作成装置は、作成した電波強度の分布を示す情報を、ユーザに対する表示部を有する他の装置(例えばユーザ端末12)に送信して表示させてもよい。
【0112】
対象領域における電波強度の分布を示す電波強度分布情報を作成する構成について説明したが、アクセスポイント11及び通信装置13aの各位置と異なる領域における電波強度を示す情報は、電波強度分布情報に限らない。例えば、アクセスポイント11及び通信装置13aの各位置と異なる領域における電波強度を示す情報は、対象領域における、アクセスポイント11及び通信装置13aの各位置と異なる位置(例えばアクセスポイント11と通信装置13aとの中間点)における電波強度を示す情報であってもよい。
【0113】
(プログラムについて)
アクセスポイント11のメモリ22のROMに記憶されるプログラムや、ユーザ端末12のメモリ32のROMに記憶されるプログラムは、これらのプログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non-transitory)記憶媒体に記憶される。このような「コンピュータ読取可能な記憶媒体」は、例えば、CD-ROM(Compact Disc-ROM)等の光学媒体や、USBメモリ又はメモリカード等の磁気記憶媒体等である。また、このようなプログラムを、ネットワークを介したダウンロードによって提供することもできる。
【0114】
以上のように本明細書には以下の事項が開示されている。
【0115】
開示されたプログラムは、アクセスポイントと通信装置とが存在する領域について、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成工程と、をコンピュータに実行させるためのものである。
【0116】
開示されたプログラムは、前記取得工程で、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報として予め定められた電波強度を示す情報を取得するものである。
【0117】
開示されたプログラムは、前記取得工程で、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報として、前記アクセスポイントが測定した前記通信装置からの受信強度を示す情報を取得するものである。
【0118】
開示されたプログラムは、前記通信装置が、前記アクセスポイントの無線通信を中継する中継機を含み、前記取得工程で、前記中継機の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報として、前記中継機が測定した前記アクセスポイントからの受信強度を示す情報を取得するものである。
【0119】
開示されたプログラムは、前記作成工程で、前記取得工程によって取得された各情報に基づいて、前記アクセスポイントからの距離と前記アクセスポイントからの受信強度との関係を示す情報と、前記中継機からの距離と前記中継機からの受信強度との関係を示す情報と、を算出し、算出した各情報に基づいて、前記電波強度を示す情報を作成するものである。
【0120】
開示されたプログラムは、前記作成工程で、前記アクセスポイントの無線通信の電波強度の前記領域における分布を示す情報を作成するものである。
【0121】
開示されたプログラムは、前記作成工程によって作成された情報を表示する表示工程、を前記コンピュータに実行させるためのものである。
【0122】
開示されたプログラムは、前記通信装置が、前記領域内の位置に固定されている装置であるものである。
【0123】
開示されたプログラムは、前記アクセスポイントが、前記コンピュータとは異なる装置であり、前記取得工程で、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を前記アクセスポイントから受信することにより取得するものである。
【0124】
開示されたプログラムは、前記取得工程で、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報をユーザからの入力操作により取得するものである。
【0125】
開示された情報作成装置は、アクセスポイントと通信装置とが存在する領域について、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得部と、前記取得部によって取得された各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成部と、を備えるものである。
【0126】
開示された情報作成方法は、アクセスポイントと通信装置とが存在する領域について、前記アクセスポイント及び前記通信装置の前記領域における各位置を示す情報と、前記通信装置の位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、前記アクセスポイントの位置における前記アクセスポイントの無線通信の電波強度を示す情報と、を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された各情報に基づいて、前記領域のうち前記各位置と異なる領域における前記アクセスポイントとの無線通信の電波強度を示す情報を作成する作成工程と、を含むものである。
【符号の説明】
【0127】
1 無線LAN
2 WAN
10 通信システム
11 アクセスポイント
11 クセスポイント
12 ユーザ端末
13a,13b 通信装置
14 中継機
21,31 プロセッサ
22,32 メモリ
23,34 無線通信インタフェース
24 有線通信インタフェース
29,39 バス
33 ユーザインタフェース
33a タッチパネル
50 基本画面
51 電波強度測定ボタン
60 レイアウト追加画面
61 レイアウト追加ボタン
70 レイアウト作成画面
71 作成部
72 レイアウト画像
73 レイアウト登録ボタン
80 レイアウト選択画面
81 レイアウト選択ボタン
90 測定開始画面
91 測定開始ボタン
92,93 測定結果表示ボタン
100 測定中画面
110,120 測定結果画面
111,112,121 電波強度画像
131,132,141 測定点
131a,132a,141a 電波強度分布
133 電波強度推定線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15