(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】需給制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240111BHJP
H02J 3/28 20060101ALI20240111BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240111BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240111BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/28
H02J3/38 110
H02J3/38 180
H02J3/46
H02J13/00 311T
H02J13/00 311R
(21)【出願番号】P 2020021116
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】宇田 怜史
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 吉則
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-126157(JP,A)
【文献】特開2019-213364(JP,A)
【文献】特開2019-187096(JP,A)
【文献】特開2019-080487(JP,A)
【文献】特開2013-240154(JP,A)
【文献】特開2007-097304(JP,A)
【文献】特開2014-033594(JP,A)
【文献】国際公開第2014/102894(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/158794(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/063739(WO,A1)
【文献】特開2017-011793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
H02J 3/28
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家設備の負荷に対する電力系統の電圧異常を補償する電圧補償動作と、前記電力系統に対する前記需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作とを行う複数の電源システムと、
前記電力系統の需給調整要求に基づいて、前記複数の電源システムを制御する需給調整コントローラとを備え、
前記需給調整コントローラは、
前記電力系統の需給調整要求を取得する需給調整要求取得部と、
前記複数の電源システムに供給される潮流値を取得する潮流値取得部と、
前記複数の電源システムの運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記需給調整要求の需給調整量、前記潮流値取得部により取得された潮流値及び前記運転情報取得部により取得された運転情報を用いて、前記複数の電源システムのうちピークカット動作を行わせる前記電源システムの組み合わせを決定する組み合わせ決定部と、
ピークカット動作を行わせる前記電源システムに対してピークカット指令を出力するピークカット指令出力部とを備える、需給制御システム。
【請求項2】
前記需給調整コントローラは、ピークカット動作の対象となる負荷を容量毎に分類した負荷分類情報を格納する負荷分類情報格納部をさらに備え、
前記組み合わせ決定部は、前記負荷分類情報を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定する、請求項
1に記載の需給制御システム。
【請求項3】
前記運転情報取得部は、前記複数の電源システムそれぞれの負荷容量を取得するものであり、
前記組み合わせ決定部は、前記運転情報取得部により取得された負荷容量を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定する、請求項
1に記載の需給制御システム。
【請求項4】
前記需給調整コントローラは、前記運転情報取得部により取得された負荷容量を組み合わせて各需給調整量を実現するための電源システムの組み合わせパターンを生成するパターン生成部をさらに備え、
前記組み合わせ決定部は、前記負荷の組み合わせパターンを用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定する、請求項
3に記載の需給制御システム。
【請求項5】
前記運転情報取得部は、前記複数の電源システムそれぞれの累積稼働時間を取得するものであり、
前記組み合わせ決定部は、前記運転情報取得部により取得された累積稼働時間を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定する、請求項
1乃至
4の何れか一項に記載の需給制御システム。
【請求項6】
前記電源システムは、
前記電力系統から前記負荷に給電するための電力線に接続された電力変換器及びエネルギー貯蔵部を有する電源装置と、
前記電力線において前記電源装置よりも前記電力系統側に設けられ、前記電力線を開閉する遮断器とを有する、請求項1乃至
5の何れか一項に記載の需給制御システム。
【請求項7】
前記電源システムは、前記電源
装置とは別に前記電力線に接続された発電機を有する、請求項
6に記載の需給制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需給制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、需要家の消費電力量に合わせて電力会社が電力供給量を調整するのではなく、特許文献1に示すように、電力会社の電力供給量に需要家の消費電力量(需要量)を合わせる仕組み(需給調整)が確立されつつある。
【0003】
一方で、本願出願人は、特許文献2に示すように、電力系統から負荷への給電を遮断する遮断器と、当該遮断器よりも負荷側に接続されてエネルギー貯蔵部のエネルギーを交流電力に変換する電力変換器とを備え、電力系統の電圧異常を補償する電圧補償動作及び電力系統に対する需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作を行う電源システムの開発を進めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平4-117144号公報
【文献】特許第6338131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、上記の電源システムにおいて、デマンドレスポンス(DR)指令を受けて、ピークカット動作を行わせれば、電力系統側から見て需給調整電源として活用できることに着想した。
【0006】
ところが、上記の電源システムをDR対応などの需給調整に活用する場合、調整容量は、当該電源システムによってピークカットする負荷容量に依存するため、需給調整指令に柔軟に対応することが難しい。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、電力系統の電圧異常を補償する電圧補償動作及び電力系統に対する需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作を行う複数の電源システムを用いて、電力系統の需給調整要求に対応しやすくすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る需給制御システムは、需要家設備の負荷に対する電力系統の電圧異常を補償する電圧補償動作と、前記電力系統に対する前記需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作とを行う複数の電源システムと、前記電力系統の需給調整要求に基づいて、前記複数の電源システムを制御する需給調整コントローラとを備え、前記需給調整コントローラは、前記電力系統の需給調整要求を取得する需給調整要求取得部と、前記需給調整要求の需給調整量に基づいて、前記複数の電源システムのうちピークカット動作を行わせる前記電源システムの組み合わせを決定する組み合わせ決定部と、ピークカット動作を行わせる前記電源システムに対してピークカット指令を出力するピークカット指令出力部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような本発明であれば、電力系統の電圧異常を補償する電圧補償動作及び電力系統に対する需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作を行う複数の電源システムを用いて、電力系統の需給調整要求に対応することができる。ここで、需給調整要求の需給調整量に基づいて、複数の電源システムのうちピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定するので、需給調整要求の需給調整量に対して最適な電源システムの組み合わせにより対応することができる。
【0010】
複数の電源システムを用いて需給調整するための具体的な実施の態様としては、前記需給調整コントローラは、前記複数の電源システムに供給される潮流値を取得する潮流値取得部と、前記複数の電源システムの運転情報を取得する運転情報取得部とをさらに備え、前記組み合わせ決定部は、前記需給調整量、前記潮流値取得部により取得された潮流値及び前記運転情報取得部により取得された運転情報を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定することが望ましい。
【0011】
前記需給調整コントローラは、ピークカット動作の対象となる負荷を容量毎に分類した負荷分類情報を格納する負荷分類情報格納部をさらに備え、前記組み合わせ決定部は、前記負荷分類情報を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定することが望ましい。
ピークカット動作の対象となる負荷を容量毎に、それらの容量比が例えば、1:2:4:・・・:2Nとなるように分類することが考えられる。1:2:4:8の負荷容量の組み合わせとしては15パターンあり、需給調整量に対してきめ細かに調整することができる。また、ピークカット動作の対象となる負荷の数(需給調整に対応する需要家数)を少なくすることができる。
【0012】
需給調整要求に対して現在の負荷の状態に基づいて精度良く対応するためには、前記運転情報取得部は、前記複数の電源システムそれぞれの負荷容量を取得するものであり、前記組み合わせ決定部は、前記運転情報取得部により取得された負荷容量を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定することが望ましい。
【0013】
運転情報取得部により取得された負荷容量を用いてピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定する具体的な実施の態様としては、前記需給調整コントローラは、前記運転情報取得部により取得された負荷容量を組み合わせて各需給調整量を実現するための電源システムの組み合わせパターンを生成するパターン生成部をさらに備え、前記組み合わせ決定部は、前記負荷の組み合わせパターンを用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定することが望ましい。
【0014】
前記運転情報取得部は、前記複数の電源システムそれぞれの累積稼働時間を取得するものであり、前記組み合わせ決定部は、前記運転情報取得部により取得された累積稼働時間を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システムの組み合わせを決定することが望ましい。
例えば、ピークカット指令を累積稼働時間が短い電源システム順に出力し、停止指令を累積稼働時間が長い電源システム順に出力することによって、電源システムそれぞれの稼働率を均等にすることができる。これにより、メンテナンスをバラつきなく一括で実施できるようになり、保守・メンテナンス性を向上させることができる。
【0015】
電圧異常を補償する電圧補償動作及び需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作の両方を実現する電源システムの具体的な構成としては、前記電源システムは、前記電力系統から前記負荷に給電するための電力線に接続された電力変換器及びエネルギー貯蔵部を有する電源装置と、前記電力線において前記電源装置よりも前記電力系統側に設けられ、前記電力線を開閉する遮断器とを有することが望ましい。
この構成であれば、需給調整要求によってピークカット指令又は停止指令が出力された場合に、遮断器を開放するだけで、当該指令を満たすことができるので、応答性に優れたものとなる。
【0016】
電圧補償動作又はピークカット動作を安定性を向上するためには、前記電源システムは、前記電源部とは別に前記電力線に接続された発電機を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、電力系統の電圧異常を補償する電圧補償動作及び電力系統に対する需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作を行う複数の電源システムを用いて、電力系統の需給調整要求に対応しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る需給制御システムの構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態の電源システムの通常の動作を示す図である。
【
図3】需給調整コントローラの機能ブロック図である。
【
図4】同実施形態の需給コントローラの動作を示すフローチャートである。
【
図5】変形実施形態の需給調整コントローラの機能ブロック図である。
【
図6】変形実施形態の需給コントローラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る需給制御システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<1.需給制御システム>
本実施形態の需給制御システム100は、
図1に示すように、需要家設備の負荷Lに対する電力系統PSの電圧異常を補償する電圧補償動作と、電力系統PSに対する需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作とを行う複数の電源システム10と、電力系統PSの需給調整要求に基づいて、複数の電源システム10を制御する需給調整コントローラ20とを備えている。なお、以下では、複数の電源システム10が同一の需要家内にある場合を想定するが、複数の電源システム10が互いに異なる需要家内にある場合であっても良い。
【0021】
<2.電源システム10>
電源システム10は、電力系統PSと負荷Lとの間に設けられた常時商用給電方式のものである。この電源システム10は、電力系統PSの正常時に電力系統PSから負荷Lに給電し、電力系統PSの短絡事故等により生じる電圧異常時に電力系統PSから負荷Lへの給電を遮断するとともに、電源装置12及び発電機13から負荷Lに給電する。
【0022】
具体的に電源システム10は、電力系統PSから負荷Lへの給電を遮断する遮断器11と、遮断器11よりも負荷L側に接続された電源装置12と、遮断器11よりも負荷L側に接続された例えば非常用の発電機13とを備えている。
【0023】
遮断器11は、電力系統PSから負荷Lに給電するための電力線PLに設けられている。この遮断器11は、例えば半導体スイッチ、又は、半導体スイッチと機械式スイッチとを組み合わせたハイブリッドスイッチなどの高速切り替えが可能な切替スイッチを用いることができる。例えば半導体スイッチを用いた場合には、遮断時間を2m秒以下にすることができ、ゼロ点関係なく遮断することができる。また、ハイブリッドスイッチを用いた場合には、遮断時間を2m秒以下にすることができ、ゼロ点関係なく遮断できるだけでなく、通電損失をゼロにすることができる。なお、この遮断器2は、制御装置(不図示)により開閉制御される。
【0024】
電源装置12は、分散型電源であり、エネルギー貯蔵部12a及び電力変換器12bを有する。エネルギー貯蔵部12aは、例えば二次電池等の蓄電池、フライホイール、燃料電池、電気二重層キャパシタ、揚水発電方式のもの、圧縮空気貯蔵方式のもの、超電導電力貯蔵方式のもの等のエネルギー貯蔵装置である。エネルギー貯蔵装置のエネルギーは、電力変換器12bにより交流電力に変換されて、負荷Lに給電される。なお、電力変換器12bは、半導体スイッチング素子を用いて構成されたものであり、制御装置(不図示)により制御される。
【0025】
以下、電源システム10の基本動作について
図2を参照して説明する。
【0026】
(1)通常時
電力系統PSから負荷Lに給電される。発電機13は停止しており、電源装置12のエネルギー貯蔵部12aは電力系統PSから充電され、満充電になると電力変換器12bは停止する。
【0027】
(2)瞬停・停電時及び負荷ピークカット時(
図2参照)
遮断器11を開放し、電源装置12を自立運転させて、負荷Lへの給電を電力系統PSから電源装置12に切り替える。その後、発電機13を起動して、負荷Lへの給電を電源装置12から発電機13に切り替える。復電又はピークカット終了時には、負荷Lへの給電を発電機13から電源装置12に切り替える。その後、遮断器11を投入して、負荷Lへの給電を電源装置12から電力系統PSに切り替える。
【0028】
<3.需給調整コントローラ20>
需給調整コントローラ20は、複数の電源システム10を用いて需給調整要求を満たすようにピークカット指令を出力するものである。具体的に需給調整コントローラ20は、CPU、内部メモリ、入出力インターフェイス、AD変換器、通信機器を有するコンピュータである。
【0029】
そして、需給調整コントローラ20は、内部メモリに格納された専用のプログラムに基づいて、CPU及び周辺機器が協働することによって、
図3に示すように、需給調整要求取得部20a、潮流値取得部20b、運転情報取得部20c、負荷分類情報格納部20d、組み合わせ決定部20e、ピークカット指令出力部20f等としての機能を発揮する。以下、各部について説明する。
【0030】
需給調整要求取得部20aは、電力事業者から電力系統PSの需給調整要求を取得するものである。ここで、需給調整要求は、デマンドレスポンス(DR:Demand Response)であり、市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時において、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力消費パターンを変化させることである。
【0031】
潮流値取得部20bは、複数の電源システム10に供給される潮流値を取得するものであり、電力系統PSから需要家設備への線路(受電点)における潮流値(有効電力や無効電力など)を取得する。なお、当該潮流値は図示しない計器によって計測される。
【0032】
運転情報取得部20cは、複数の電源システム10の運転情報を取得するものである。具体的に運転情報取得部20cは、負荷Lの消費電力、負荷容量、負荷Lの運転状態、電源装置12や発電機13の累積稼働時間などを取得する。これらの運転情報は、各電源システム10で計測され、電源システム10の制御装置から送信される。
【0033】
負荷分類情報格納部20dは、ピークカット動作の対象となる負荷Lを容量毎に分類した負荷分類情報を格納するものである。例えば、負荷分類情報格納部20dは、ピークカット動作の対象となる負荷Lを容量毎に、それらの容量比が例えば、1:2:4:・・・:2Nとなるように分類した情報が格納されている。これらの分類情報は、予めオペレータにより設定されても良いし、運転情報取得部20cにより得られた負荷容量に基づいて需給調整コントローラ20により自動的に設定されても良い。なお、各比率に分類される負荷は1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0034】
組み合わせ決定部20eは、需給調整要求の需給調整量に基づいて、複数の電源システム10のうちピークカット動作を行わせる電源システム10の組み合わせを決定するものである。具体的に組み合わせ決定部20eは、需給調整量、潮流値取得部により取得された潮流値及び運転情報取得部20cにより取得された運転情報を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システム10の組み合わせを決定する。
【0035】
ピークカット指令出力部20fは、組み合わせ決定部20eにより決定されたピークカット動作を行わせる電源システム10に対してピークカット指令を出力するものである。
【0036】
次に、需給調整コントローラ20の動作とともに需給調整手順について
図3を参照して説明する。
【0037】
需給調整コントローラ20は、潮流値取得部20b及び運転情報取得部20cにより、潮流値、負荷L(1~N)それぞれの消費電力、及び電源システム10(1~N)の運転状態などを常時又は定期的に取得する(ステップSa1)。また、需給調整コントローラ20は、容量毎に分類した負荷分類情報を負荷分類情報格納部20dに格納する(ステップSa2)。
【0038】
次に、需給調整コントローラ20は、電力事業者から電力系統PSの需給調整要求を取得した場合には(ステップSa3)、電力事業者から需給調整値を受信する(ステップSa4)。この需給調整値に基づいて、需給調整コントローラ20の組み合わせ決定部20eは、需給調整値に最も近い電源システム10の組み合わせを選択する(ステップSa5)。そして、需給調整コントローラ20のピークカット指令出力部20fは、ピークカット動作を行わせる組み合わせ対象の電源システム10に対してピークカット指令を出力する。
【0039】
複数の電源システム10においては、選択された組み合わせの電源システム10となるように、以下の制御が行われる(ステップSa6)。例えば、組み合わせ対象の電源システム10が停止している場合には、当該電源システム10を運転させる。また、組み合わせ対象外の電源システム10のうち、運転中の電源システム10は停止又は遮断器11を開放する。
【0040】
<4.本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の需給制御システム100によれば、電力系統PSの電圧異常を補償する電圧補償動作及び電力系統PSに対する需要家設備の消費電力を抑制するピークカット動作を行う複数の電源システム10を用いて、電力系統PSの需給調整要求に対応することができる。ここで、需給調整要求の需給調整量に基づいて、複数の電源システム10のうちピークカット動作を行わせる電源システム10の組み合わせを決定するので、需給調整要求の需給調整量に対して電源システム10の最適な組み合わせにより対応することができる。
【0041】
<5.変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0042】
例えば、組み合わせ決定部20eは、運転情報取得部20cにより取得された負荷容量を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システム10の組み合わせを決定しても良い。具体的に需給調整コントローラ20は、
図4に示すように、運転情報取得部20cにより取得された負荷容量を組み合わせて各需給調整量を実現するための電源システム10の組み合わせパターンを生成するパターン生成部20gをさらに備えている。そして、組み合わせ決定部20eは、電源システム10の組み合わせパターンを用いて、ピークカット動作を行わせる電源システム10の組み合わせを決定する。
【0043】
この場合、需給調整コントローラ20の動作及び需給調整手順は、
図5に示す通りとなる。
需給調整コントローラ20は、潮流値取得部20b及び運転情報取得部20cにより、潮流値、負荷L(1~N)それぞれの消費電力、及び電源システム10(1~N)の運転状態などを常時又は定期的に取得する(ステップSb1)。また、需給調整コントローラ20のパターン生成部20gは、運転情報取得部20cにより取得された負荷容量を組み合わせて各需給調整量を実現するための電源システム10の組み合わせパターンを生成する(ステップSb2)。
【0044】
次に、需給調整コントローラ20は、電力事業者から電力系統PSの需給調整要求を取得した場合には(ステップSb3)、電力事業者から需給調整値を受信する(ステップSb4)。この需給調整値に基づいて、需給調整コントローラ20の組み合わせ決定部20eは、組み合わせパターンの中から需給調整値に最も近い電源システム10の組み合わせを選択する(ステップSb5)。そして、需給調整コントローラ20のピークカット指令出力部20fは、ピークカット動作を行わせる組み合わせ対象の電源システム10に対してピークカット指令を出力する。
【0045】
複数の電源システム10においては、選択された組み合わせの電源システム10となるように、以下の制御が行われる(ステップSb6)。例えば、組み合わせ対象の電源システム10が停止している場合には、当該電源システム10を運転させる。また、組み合わせ対象外の電源システム10のうち、運転中の電源システム10は停止又は遮断器11を開放する。
【0046】
このように、運転情報取得部20cにより取得された負荷容量を組み合わせて電源システム10の組み合わせパターンを生成し、当該組み合わせパターンを用いて、ピークカット動作を行わせる電源システム10を選択しているので、需給調整要求に対して現在の負荷の状態に基づいて精度良く対応することができる。
【0047】
前記実施形態に加えて、組み合わせ決定部20eは、運転情報取得部20cにより取得された累積稼働時間を用いて、ピークカット動作を行わせる電源システム10の組み合わせを決定するように構成しても良い。例えば、ピークカット指令を累積稼働時間が短い電源システム順に出力し、停止指令を累積稼働時間が長い電源システム順に出力する。具体的には、上述したステップSa5において、各電源システム10の累積稼働時間を考慮しつつ、需給調整値に最も近い電源システム10の組み合わせを選択する。また、上述したステップSb5において、各電源システム10の累積稼働時間を考慮しつつ、組み合わせパターンの中から需給調整値に最も近い電源システム10の組み合わせを選択する。このように、各電源システム10の累積稼働時間を考慮することにより、電源システム10それぞれの稼働率を均等にすることができる。これにより、メンテナンスをバラつきなく一括で実施できるようになり、保守・メンテナンス性を向上させることができる。
【0048】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
100・・・無停電電源システム
L ・・・負荷
PS ・・・電力系統
10 ・・・電源システム
20 ・・・需給調整コントローラ
20a・・・需給調整要求取得部
20e・・・組み合わせ決定部
20f・・・ピークカット指令出力部
20b・・・潮流値取得部
20c・・・運転情報取得部
20d・・・負荷分類情報格納部
20g・・・パターン生成部
11 ・・・遮断器
12 ・・・電源装置
12b・・・電力変換器
12a・・・エネルギー貯蔵部
13 ・・・発電機