(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20240111BHJP
F24H 15/00 20220101ALI20240111BHJP
【FI】
F24H15/196 301Z
F24H15/196 301H
F24H15/196 301X
F24H15/196 301Y
F24H15/00
(21)【出願番号】P 2020035587
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 諭
(72)【発明者】
【氏名】中野 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】輿水 連太郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 艶隆
(72)【発明者】
【氏名】大西 兼造
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-138678(JP,A)
【文献】特開2006-022970(JP,A)
【文献】特開平02-304126(JP,A)
【文献】特開2016-070520(JP,A)
【文献】特開2019-132529(JP,A)
【文献】特開2002-005528(JP,A)
【文献】特開2004-060981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
F24H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクを含む貯湯ユニットを備え、
前記貯湯ユニットは、
前記貯湯タンクと連結された出湯路と、
前記出湯路から浴槽への注湯路に配設された注湯開閉弁と、
前記注湯開閉弁の開閉指令を生成する制御装置とを更に含み、
前記制御装置は、前記貯湯ユニットの運転状態と連動させて、前記浴槽の自動排水栓の開閉指令を更に生成
し、
前記貯湯ユニットは、
前記注湯路に設けられた流量検出器を更に含み、
前記貯湯タンクは、前記注湯開閉弁の開放時に、入水路の水圧に応じて前記入水路の低温水が導入されるように構成され、
前記制御装置は、前記貯湯ユニットの施工時における、前記貯湯タンクへの水張り運転を含む前記貯湯ユニットの試運転時に、前記注湯開閉弁の開指令と、前記自動排水栓の開指令とを生成した後、前記流量検出器によって前記注湯路の水流が検知されると、前記貯湯タンクが満水となって前記水張り運転が完了したことを検知して前記貯湯ユニットの試運転を終了する、給湯システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記貯湯ユニットの試運転中に前記浴槽への湯張りを含むふろ自動試運転が起動された場合には、前記貯湯ユニットの試運転の終了まで前記ふろ自動試運転の開始を待機するとともに、前記貯湯ユニットの試運転の終了に応じて前記自動排水栓の閉指令を生成する、請求項
1記載の給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システムに関し、より特定的には、貯湯タンクを備える給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯タンクを備えた給湯システムが公知である。特許第6385184号公報(特許文献1)には、燃料電池の冷却の際の排熱回収によって加熱された高温水を貯湯タンクに蓄える貯湯システムが開示される。特許文献1の貯湯システムでは、貯湯タンクが満畜であるか否かにかかわらず、排水部を作動させて貯湯タンク内の湯水を排出する制御、特に、排水部による排水先を浴槽とする制御が記載されている。
【0003】
又、特開2011-174626号公報(特許文献2)には、貯湯タンクを備えた燃料電池システムにおいて、貯湯タンク内の湯水の使用(給湯)がない状態が続くことによる発電の停止を回避するために、貯湯タンク内の下部の湯水の温度が上昇すると、ユーザに対して給湯動作を行うことを促すようにリモコンの報知手段を制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6385184号公報
【文献】特開2011-174626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、貯湯タンクの排水先として浴槽が用いられる一方で、浴槽に排出された湯水の取り扱いには、特に言及されていない。このため、状況によっては、浴槽に排出された湯水が、浴槽内に滞留することにより、或いは、反対に浴槽から排出されることによって、ユーザの利便性が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、貯湯タンクを有する給湯システムのユーザ利便性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面では、給湯システムは、貯湯タンクを含む貯湯ユニットを備える。貯湯ユニットは、貯湯タンクと連結された出湯路と、注湯開閉弁と、制御装置とを更に含む。注湯開閉弁は、出湯路から浴槽への注湯路に配設される。制御装置は、注湯開閉弁の開閉指令を生成する。制御装置は、貯湯ユニットの運転状態と連動させて、浴槽の自動排水栓の開閉指令を更に生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、貯湯ユニットの運転状態と連動させて、浴槽の自動排水栓の開閉制御により、貯湯タンクから浴槽に排出された湯水を適切に取り扱うことで、貯湯タンクを有する給湯システムのユーザ利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る給湯システムの構成例を説明する概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る給湯システムにおける貯湯ユニットの試運転時の制御処理を説明するフローチャートである。
【
図3】実施の形態2に係る給湯システムの構成例を説明する概略図である。
【
図4】実施の形態2に係る給湯システムにおける発電ユニットの自立運転開始時の制御処理を説明するフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る給湯システムにおける発電ユニットの自立運転中の強制注湯制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0011】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る給湯システムの構成例を説明する概略図である。
【0012】
図1を参照して、実施の形態1に係る給湯システム10aは、リモコン20と、貯湯ユニット100とを備える。
【0013】
貯湯ユニット100は、コントローラ107と、貯湯タンク110と、循環ポンプ120と、バックアップ熱源機130と、混合弁140と、注湯開閉弁150と、流量センサ160とを含む。
【0014】
リモコン20は、ユーザ等が給湯システム10aを制御するための操作入力を受けるように構成される。操作入力には、給湯システム10aの運転/停止指令、給湯設定温度、及び、タイマー設定等が含まれる。更に、リモコン20には、図示しない表示画面(例えば、タッチパネル)及びスピーカが設けられており、ユーザに対して視覚又は聴覚による報知を行うことが可能である。
【0015】
コントローラ107は、代表的には、マイクロコンピュータによって構成される。コントローラ107は、予め格納されたプログラムの実行により、リモコン20への操作入力に応じて給湯システム10aが動作するように、貯湯ユニット100を含む、給湯システム10aの構成機器の制御指令を生成する。コントローラ107には、各種試運転の開始指令を入力するための操作スイッチ(図示せず)が設けられており、当該操作スイッチが操作されると、試運転の運転/停止指令を生成する。
【0016】
貯湯ユニット100の出湯路104は、給湯栓190と接続される。給湯栓190が開放されると、貯湯ユニット100からの湯水が給湯栓190へ供給される。
【0017】
注湯路105は、出湯路104から分岐して、浴槽200に設けられたアダプタ202と接続される。ユニット100内において、注湯路105には、浴槽200内の水位(浴槽水位)を検出する水位センサ204が配置される。水位センサ204は、代表的には圧力センサによって構成されて、浴槽水面に作用する圧力に応じて、浴槽200内の水位を検知する。水位センサ204の入力は、コントローラ107へ入力される。
【0018】
注湯開閉弁150は、代表的には、コントローラ107からの電気信号に応じて開閉される電磁弁によって構成されて、注湯路105に介挿接続される。従って、注湯開閉弁150が開放されると、貯湯ユニット100の出湯路104の湯水が浴槽200に供給される。本実施の形態では、浴槽200への給湯を「注湯」と称して、給湯栓190等への給湯と区別する。注湯路105には、流量センサ160が配置される。流量センサ160の検出値は、コントローラ107に入力される。これにより、コントローラ107は、注湯路105の流量の有無、或いは、定量的な流量値を検知することができる。
【0019】
貯湯タンク110の下部は、低温水を導入する入水路101と連結される。更に、貯湯タンク110の上部は出湯経路103と連結される。貯湯タンク110の貯留水の一部は、点線で示した循環経路51,52を経由して、熱源50によって加熱された後、貯湯タンク110に戻される。これにより、タンク内部での対流を伴って、貯湯タンク110の水温は、主に上部側から上昇する。尚、熱源50は、例えば、発熱を伴って発電する発電ユニット、或いは、ヒートポンプユニットによって構成することができる。
【0020】
給湯栓190の開放、又は、注湯開閉弁150の開放に応じて、入水路101の水圧によって、貯湯タンク110から出湯経路103へ、貯湯タンク110内の湯水が出力される。出湯経路103から、貯湯タンク110の上部の高温水が出力されると、入水路101から同量の低温水が貯湯タンク110に導入される。これにより、貯湯タンク110から出湯経路103への出湯に応じて、貯湯タンク110の水温(平均値)は低下する。
【0021】
一方で、貯湯タンク110から出湯経路103への出湯が無い状態が継続して、貯湯タンク110全体の水温が上昇すると、熱源50からの熱量の受け入れ余地がなくなるので、コントローラ107からの制御指令に応じて、熱源50に対して停止指令を出力する。これにより、熱源50による貯湯タンク110の貯留水の加熱が停止される。
【0022】
出湯経路103は、循環ポンプ120及びバックアップ熱源機130を通過して混合弁140へ至る経路と、循環ポンプ120及びバックアップ熱源機130をバイパスして混合弁140に至る経路とに分岐される。混合弁140は、バイパス経路102の低温水と、出湯経路103の高温水とを混合して、貯湯ユニット100の出湯路104へ出力する。例えば、バックアップ熱源機130は、燃料(代表的には、ガス)の燃焼によって流体を加熱する給湯器によって構成される。循環ポンプ120及びバックアップ熱源機130は、コントローラ107からの制御指令に応じて、作動又は停止される。
【0023】
貯湯タンク110からの出力温度が高い場合には、循環ポンプ120は停止されて、貯湯タンク110上部の高温水が、バックアップ熱源機130によって加熱されずに混合弁140へ入力される。即ち、貯湯タンク110の高温水をそのまま用いて、給湯栓190からの給湯、又は、浴槽200への注湯を行うことができる。
【0024】
一方で、貯湯タンク110からの出力温度が低い場合には、コントローラ107からの制御指令により、循環ポンプ120及びバックアップ熱源機130が作動する。循環ポンプ120が作動すると、貯湯タンク110から出力された湯水を、バックアップ熱源機130の通流後に混合弁140へ入力する経路が形成される。従って、貯湯タンク110から出力された湯水を加熱して、混合弁140に高温水を入力することができる。
【0025】
このように、必要に応じてバックアップ熱源機130での加熱を組み合わせることで、貯湯ユニット100は、出湯路104から適温の湯を出力することができる。即ち、出湯路104は、貯湯タンク110と連結されており、貯湯タンク110の貯留水(高温又は低温)を出力するために設けられる。
【0026】
浴槽200の排水口205は、下水道に至る排水路300と連通する。排水口205には、コントローラ107からの電気信号に応じて開閉制御可能な自動排水栓210が設けられる。即ち、自動排水栓210の開閉は、コントローラ107によって制御される。
【0027】
給湯システム10aの施工時には、貯湯ユニット100の試運転と、ふろ注湯の試運転とが実行される。貯湯ユニット100の試運転では、貯湯タンク110本体、並びに、周辺の経路及び回路に対するエア抜き及び水張りのための水張り運転が実行される。当該水張り試運転では、注湯開閉弁150の開放によって、入水路101から貯湯タンク110に低温水を導入する。そして、貯湯タンク110が満水となって、出湯経路103、出湯路104、注湯開閉弁150(開)、及び、注湯路105を経由した、浴槽200への水流が流量センサ160によって検出されると、貯湯タンク110の水張り運転完了が検知される。
【0028】
又、貯湯ユニット100から浴槽200への注湯の試運転(以下、単に「ふろ自動試運転」とも称する)では、自動排水栓210を閉止し、かつ、注湯開閉弁150を開放した状態で、貯湯ユニット100からの注湯が自動的に実行される。この際には、流量センサ160によって検出される流量の積算値(注湯水量)と、水位センサ204による検出水位とに基づいて、ふろ自動運転が正常に実行されたか否かが判定される。
【0029】
通常は、水張り運転を含む貯湯ユニット100の試運転の完了後に、ふろ自動試運転が実行される。このため、貯湯ユニット100の試運転中に、ふろ自動試運転の開始指示がリモコン20に入力されると、コントローラ107は、ふろ自動試運転の入力を受け付けた上で、その開始を待機する。通常、コントローラ107は、ふろ自動試運転の入力受付けに連動して、自動排水栓210を閉止する。
【0030】
一方で、ふろ自動試運転が、浴槽200内に水が溜まっている状態から開始されると、流量センサ160によって検出される注湯水量と、水位センサ204による検出水位との対応関係が正常時とは異なることで、試運転結果が異常となることが懸念される。このような現象を回避するために、貯湯ユニット100の試運転終了後に、ふろ自動試運転の実行をリモコン20に入力する運用とすると、貯湯ユニット100の試運転の終了を待機する必要が生じることが懸念される。従って、実施の形態1に係る給湯システムでは、以下に説明するように、貯湯ユニット100の運転状態と連動させて、浴槽200の自動排水栓210を制御する。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る給湯システムにおける貯湯ユニットの試運転時の制御処理を説明するフローチャートである。
図2に示された制御処理は、コントローラ107によって実行される。
【0032】
図2を参照して、コントローラ107は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110では、貯湯ユニット100の試運転開始が指示されたか否かを判定する。例えば、試運転開始は、コントローラ107又はリモコン20に対する所定の操作によって入力される。当該試運転開始が入力されていない場合には、S120以降の処理は起動されない。
【0033】
コントローラ107は、貯湯ユニット100の試運転開始が指示されると(S110のYES判定時)、S120により、注湯開閉弁150の開指令を生成する。これにより、貯湯タンク110の水張りが開始される。更に、コントローラ107は、S130により、自動排水栓210の開指令を生成する。
【0034】
コントローラ107は、水張り運転中において、S140により、ふろ自動試運転の開始指示が入力されたか否かを判定する。ふろ自動試運転の開示指示が入力されると(S140のYES判定時)、S145により、待機フラグをオフ(デフォルト値)からオンに変更する。
【0035】
コントローラ107は、水張り運転中には、S150により、流量センサ160の流量検出値を監視する。そして、当該流量検出値が予め定められた判定値よりも高くなると、注湯路105の水流を検知して、S150をYES判定とする。注湯路105の水流が検知されるまで(S150のNO判定時)、S120~S145の処理が実行される。即ち、注湯開閉弁150及び自動排水栓210の開放が維持される。
【0036】
コントローラ107は、注湯路105の水量が検知されると(S150のYES判定時)、S160により、貯湯タンク110の水張り完了を検知し、S170により、注湯開閉弁150の閉指令を生成する。これにより、注湯路105による浴槽200への注湯(注水)は停止される。
【0037】
更に、コントローラ107は、S180により、ふろ自動試運転の待機フラグがオンされているかを確認し、待機フラグがオンされているとき(S180のYES判定時)には、S190により、自動排水栓210の閉指令を生成する。これに対して、待機フラグがオフのままであるとき(S180のNO判定時)には、S190はスキップされて、自動排水栓210の閉指令は生成されない。
【0038】
これにより、貯湯タンク110の試運転終了後に、自動排水栓210が閉止された状態で、待機されていたふろ自動試運転が開始される。更に、貯湯タンク110の水張り運転終了までは、自動排水栓210は開放状態であるので、浴槽200内に水が溜まっていない状態から、ふろ自動試運転を開始することができる。これにより、上述したような、浴槽200内に滞留した水の影響でふろ自動試運転の結果が異常となることを回避できる。
【0039】
このように、実施の形態1に係る給湯システムでは、貯湯ユニット100の試運転中にふろ自動試運転の実行が入力されても、貯湯ユニット100の運転状態と連動させた自動排水栓210を開閉制御によって、貯湯ユニット100の試運転終了後に、ふろ自動試運転を自動的かつ正常に実行することができる。これにより、給湯システム10aの試運転時のユーザ利便性を向上することができる。
【0040】
[実施の形態2]
図3は、実施の形態2に係る給湯システムの構成例を説明する概略図である。
【0041】
図3を参照して、実施の形態2に係る給湯システム10bは、貯湯タンク110の貯留水を加熱する熱源(
図1での熱源50相当)として、発電ユニット55を備える。発電ユニット55は、例えば、燃料電池ユニット、又は、エンジン及び発電機を有するエンジン発電ユニットとして構成することができる。
【0042】
発電ユニット55と、貯湯タンク110との間には、配管56及び57と、コントローラ107によって制御される循環ポンプ122及びバイパス弁125とが配置される。バイパス弁125の閉状態で循環ポンプ122が作動すると、配管56及び57により、
図1の循環経路51,52を形成することができる。これにより、発電ユニット55を冷却に伴う排熱回収により、貯湯タンク110の貯留水の一部を加熱して、貯湯タンク110に戻すことができる。
【0043】
又、バイパス弁125の開状態で循環ポンプ122を作動すると、配管56及び57によって、貯湯タンク110をバイパスした循環経路を形成することができる。例えば、低温時等の発電ユニット55の暖機運転の際等、必要に応じて、当該循環経路を形成することができる。
【0044】
貯湯ユニット100及び浴槽200側の構成は、基本的には、
図1と同様である。即ち、出湯路104から分岐した注湯路105には、注湯開閉弁150が設けられる。更に、注湯路105には、
図1と同様の流量センサ160が設けられてもよい。
図1と同様に、注湯路105は、浴槽200のアダプタ202と連結されており、浴槽200の排水口205には、コントローラ107によって開閉制御される自動排水栓210が配置されている。
【0045】
又、貯湯タンク110からの出湯経路103と混合弁140との間には、
図1と同様の、循環ポンプ120及びバックアップ熱源機130を含む経路が更に設けられてもよい。
【0046】
給湯システム10bにおいて、コントローラ107は、発電ユニット55の作動、停止、及び、作動時の発電電力を制御する機能を有する。コントローラ107は、家庭内の消費電力の監視機能を有しており、当該消費電力に応じて、発電ユニット55の発電電力を制御する。
【0047】
更に、コントローラ107は、公知のように、商用系統からの供給電力を管理する機能も有しており、家庭内での消費電力に対する買電電力及び売電電力を管理するエネルギモニタ機能を有している。例えば、当該エネルギモニタの結果として、一定期間の買電電力量、売電電力量、及び、発電ユニット55での発電電力量のデータが、リモコン20の報知部を用いて、ユーザに通知することが行われている。従って、コントローラ107は、商用系統からの供給電力の監視により、当該商用系統での停電の発生を検知することが可能である。
【0048】
図4には、実施の形態2に係る給湯システムにおける発電ユニットの自立運転時の制御処理を説明するフローチャートである。
図4に示される制御処理は、コントローラ107によって実行される。
【0049】
図4を参照して、コントローラ107は、S210により、発電ユニット55の自立運転の開始指示が生成されたか否かを判定する。例えば、商用系統での停電発生を自動的に検知することによって、S210をYES判定とすることができる。例えば、発電ユニット55の発電電力よりも家庭内の消費電力が大きい場合に、商用系統からの供給電力の測定値がゼロであるときに、停電の発生を検知して、S210がYES判定とすることができる。或いは、商用系統側からコントローラ107に対して、停電を知らせる信号が入力されることに応じて、S210がYES判定とされてもよい。
【0050】
或いは、停電発生時には、ユーザがリモコン20に対して、所定の開始操作を入力することで自立運転を開始することも可能である。この場合には、ユーザの操作入力に応じて、S210がYES判定とされる。このように、自立運転の開始指示は、自動及び手動のいずれで生成されてもよい。
【0051】
コントローラ107は、自立運転の開始が指示されると(S210のYES判定時)、S220により、発電ユニット55の自立運転を開始する。更に、コントローラ107は、S230により、発電ユニット55の自立運転開始時には、自動排水栓210の閉指令を生成する。これにより、浴槽200の自動排水栓210が閉止された状態で、発電ユニット55の自立運転が実行される。一例として、自立運転では、発電ユニット55は、予め定められた一定電力を継続的に発電するように制御される。
【0052】
自立運転を行うためには、発電ユニット55を冷却するための排熱の回収先が必要である。従って、コントローラ107は、S220では、循環ポンプ122の作動指令を生成する。これにより、配管56及び57による循環経路によって、貯湯タンク110の貯留水を用いて、発電ユニット55を冷却することができる。
【0053】
発電ユニット55で加熱された貯留水は、貯湯タンク110へ戻される。従って、貯湯タンク110から高温水が出力されない状態が継続すると、貯湯タンク110の貯留水の温度(タンク温度)は、自立運転の継続に伴って上昇する。当該タンク温度が限界まで上昇すると、発電ユニット55の冷却が困難になるため、発電(自立運転)を停止する必要が生じる。このため、実施の形態2に係る給湯システムでは、以下のような強制注湯制御が実行される。
【0054】
図5は、実施の形態2に係る給湯システムにおける発電ユニットの自立運転中の強制注湯制御を説明するフローチャートである。
図5に示される制御処理は発電ユニット55の自立運転時に、コントローラ107によって繰り返し実行される。
【0055】
図5を参照して、コントローラ107は、S310では、貯湯タンク110に設けられた温度センサの検出温度に基づき、タンク水温が予め定められた上限温度Tupを超えたか否かが判定される。例えば、貯湯タンク110には、高さ方向の配置位置が異なる複数の温度センサ111a,111bが設けられており、そのうちの下部の温度センサ111bの検出温度を用いて、S310の判定を実行することができる。或いは、温度センサ111a,111b以外にも温度センサを設けることが可能であり、これら複数個の温度センサの検出温度を総合的に用いて、S310の判定を行うことも可能である。
【0056】
コントローラ107は、タンク温度が上限温度Tupよりも高いとき(S310のYES判定時)には、S320により、注湯開閉弁150の開指令を生成する。これにより、貯湯タンク110から浴槽200への強制注湯運転が実行される。強制注湯が行われると、貯湯タンク110から高温水が排出されるのに伴い、低温水が導入されることでタンク水温が低下する。これにより、発電ユニット55の冷却による排熱回収先を確保できるため、自立運転を継続することが可能となる。
【0057】
更に、強制注湯運転中には、自動排水栓210が開放されていると、浴槽200へ出力された適温の湯は排水口205から排出されてしまい、回収された熱エネルギが無駄になってしまう。これに対して、実施の形態2に係る強制注湯運転では、自動排水栓210が連動して自動的に閉止されるため、このようなエネルギの無駄が発生することを防止できる。尚、自動排水栓210は、少なくとも、注湯開閉弁150の開放期間において閉状態であればよいので、S230(
図4)による閉指令の生成は、S310のYES判定時に実行してもよい。
【0058】
一方で、コントローラ107は、タンク温度が上限温度Tup以下のとき(S310のNO判定時)には、S330により、注湯開閉弁150の閉指令を生成する。従って、貯湯タンク110から浴槽200への強制注湯運転は非実行とされる。
【0059】
コントローラ107は、強制注湯運転の実行中には、S320により、水位センサ204による検出水位が判定値Xtを超えたか否かを判定する。例えば、判定値Xtは、浴槽200の満水状態を検知できるように設定される。
【0060】
コントローラ107は、強制注湯運転中に浴槽水位が判定値Xtを超えると(S340のYES判定時)には、S350により、浴槽200が満水状態であることをユーザに報知する。例えば、リモコン20による視覚的及び聴覚的なメッセージ出力によって、ユーザへの報知を実現することが可能である。即ち、リモコン20を「報知器」の一実施例として用いることができる。一方で、浴槽水位が判定値Xt以下のときには(S340のNO判定時)には、S350の処理はスキップされるので、当該報知は非実行とされる。
【0061】
このように、実施の形態2に係る給湯システムでは、発電ユニット55の自立運転時において、貯湯ユニット100の運転状態と連動させた自動排水栓210を開閉制御によって、自立運転を継続するための強制注湯制御によって貯湯タンク110から排出された湯を、自動的に浴槽200に蓄積することができる。即ち、自立運転の開始に伴いユーザが自動排水栓210の操作(閉)を忘れることによって、熱エネルギが無駄になることを防止できるので、発電ユニット55の自立運転時のユーザ利便性を向上することができる。
【0062】
尚、本実施の形態において、貯湯ユニット100及び給湯システム10a,10bの構成は、
図1及び
図3の例に限定されるものではない。貯湯タンク110と、貯湯タンク110から浴槽200へ至る注湯経路と、当該注湯経路の形成及び非形成を制御する注湯開閉弁150を具備し、更に、浴槽200の自動排水栓210の開指令及び閉指令をコントローラ107によって生成可能であれば、任意のシステム構成に対して、本実施の形態で説明した、貯湯ユニット100の運転状態と連動させた自動排水栓210の開閉制御を適用することが可能である。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
10a,10b 給湯システム、20 リモコン、50 熱源、51,52 循環経路、55 発電ユニット、56,57 配管、100 貯湯ユニット、101 入水路、102 バイパス経路、103 出湯経路(貯湯タンク)、104 出湯路(貯湯ユニット)、105 注湯路、107 コントローラ、110 貯湯タンク、111a,111b 温度センサ、120,122 循環ポンプ、125 バイパス弁、130 バックアップ熱源機、140 混合弁、150 注湯開閉弁、160 流量センサ、190 給湯栓、200 浴槽、202 アダプタ、204 水位センサ、205 排水口、210 自動排水栓、300 排水路。