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特許7417104スタンド、及びこれを備えた飛沫防止スクリーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】スタンド、及びこれを備えた飛沫防止スクリーン
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20240111BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20240111BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47G5/00 G
A47B96/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020104062
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021194320
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 攻一郎
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-21183(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189095(JP,U)
【文献】登録実用新案第3209690(JP,U)
【文献】特開2013-92728(JP,A)
【文献】特開2013-94283(JP,A)
【文献】登録実用新案第3115190(JP,U)
【文献】特開平7-319384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00
A47G 5/00
A47B 96/04
G09F 1/06-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体を支持するスタンドであって、
薄板状の底壁と、一対の挟持壁とを備え、
前記底壁は、両端部に対して中央部が高くなるよう折り曲げられており、
前記一対の挟持壁は、前記中央部近傍から上方に向かって延びており、
前記板状体が前記中央部に載置されて当該中央部が沈むことによって、前記一対の挟持壁が前記板状体を挟持するよう構成される、スタンド。
【請求項2】
請求項1に記載のスタンドであって、
一対の補強壁を備え、
前記一対の補強壁はそれぞれ、前記底壁の端部と、対応する挟持壁の上端部とを接続するよう構成される、スタンド。
【請求項3】
請求項2に記載のスタンドであって、
前記一対の挟持壁の下端近傍にはそれぞれ係合部が形成され、
前記中央部には、前記係合部と係合する被係合部が形成されており、
1枚の帯状の板材を折り曲げ、前記係合部と前記被係合部とを係合させることで形成される、スタンド。
【請求項4】
請求項3に記載のスタンドであって、
前記係合部の前記一対の挟持壁の下端からの距離は、前記板状体を載置する前の、前記中央部の載置面からの距離よりも小さい、スタンド。
【請求項5】
対面するユーザ間の飛沫の飛散を防止する飛沫防止スクリーンであって、
請求項1~請求項4のいずれかに記載のスタンドを備えるとともに、透明な板状体を備え、
前記板状体は、前記スタンドにより支持される、飛沫防止スクリーン。
【請求項6】
請求項5に記載の飛沫防止スクリーンであって、
前記スタンドを一対備えており、
前記板状体は、一対の前記スタンドにより支持される、飛沫防止スクリーン。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の飛沫防止スクリーンであって、
湾曲手段を備え、
前記湾曲手段は、前記板状体を幅方向において湾曲させた状態に維持するよう構成され、
前記板状体は、前記湾曲手段により湾曲した状態で前記スタンドにより支持される、飛沫防止スクリーン。
【請求項8】
請求項7に記載の飛沫防止スクリーンであって、
前記湾曲手段は、紐状体と、前記板状体の幅方向の両端部に形成された一対の貫通孔とから構成され、
前記湾曲手段は、前記一対の貫通孔間に前記紐状体を張設することで、前記板状体を湾曲させる、飛沫防止スクリーン。
【請求項9】
請求項5~請求項8のいずれかに記載の飛沫防止スクリーンであって、
前記板状体の厚みが1.5mm以下である、飛沫防止スクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体を支持するスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種用途に用いるため板状体を接地面に対して略垂直となるよう支持するスタンドがある。例えば、特許文献1には、接着せず、組み込み固定だけで立体的に組み立てられるボードスタンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-319384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるスタンドは、表示ボードを単に天溝に差し込むことで自立させる構成であり、表示ボードの厚みによっては表示ボードを安定して支持することができなかった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、板状体を安定して支持することの可能なスタンドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、板状体を支持するスタンドであって、薄板状の底壁と、一対の挟持壁とを備え、前記底壁は、両端部に対して中央部が高くなるよう折り曲げられており、前記一対の挟持壁は、前記中央部近傍から上方に向かって延びており、前記板状体が前記中央部に載置されて当該中央部が沈むことによって、前記一対の挟持壁が前記板状体を挟持するよう構成される、スタンドが提供される。
【0007】
本発明によれば、板状体が載置されると一対の挟持壁が板状体を挟持するよう構成されているため、板状体を安定して支持することが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、一対の補強壁を備え、前記一対の補強壁はそれぞれ、前記底壁の端部と、対応する挟持壁の上端部とを接続するよう構成される。
【0010】
好ましくは、前記一対の挟持壁の下端近傍にはそれぞれ係合部が形成され、前記中央部には、前記係合部と係合する被係合部が形成されており、1枚の帯状の板材を折り曲げ、前記係合部と前記被係合部とを係合させることで形成される。
【0011】
好ましくは、前記係合部の前記一対の挟持壁の下端からの距離は、前記板状体を載置する前の、前記中央部の載置面からの距離よりも小さい。
【0012】
また、本発明によれば、対面するユーザ間の飛沫の飛散を防止する飛沫防止スクリーンであって、上述したスタンドを備えるとともに、透明な板状体を備え、前記板状体は、前記スタンドにより支持される、飛沫防止スクリーンが提供される。
【0013】
好ましくは、前記スタンドを一対備えており、前記板状体は、一対の前記スタンドにより支持される。
【0014】
好ましくは、湾曲手段を備え、前記湾曲手段は、前記板状体を幅方向において湾曲させた状態に維持するよう構成され、前記板状体は、前記湾曲手段により湾曲した状態で前記スタンドにより支持される。
【0015】
好ましくは、前記湾曲手段は、紐状体と、前記板状体の幅方向の両端部に形成された一対の貫通孔とから構成され、前記湾曲手段は、前記一対の貫通孔間に前記紐状体を張設することで、前記板状体を湾曲させる。
【0016】
好ましくは、前記板状体の厚みが1.5mm以下である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る飛沫防止スクリーン1の全体図である。
図2図1の飛沫防止スクリーン1のスタンド3を示す斜視図である。
図3図2のスタンド3の展開図である。
図4図2のスタンド3の折り溝44を示す説明図である。
図5図5Aは、図3のA部拡大図であり、図5Bは、図3のB部拡大図である。
図6図2のスタンド3を組み立てる際の途中図である。
図7図2のスタンド3を載置面Fに載置した状態を示す説明図である。
図8図1の飛沫防止スクリーン1の板状体2が、湾曲手段50により湾曲させられた様子を示す説明図である。
図9図9A及び図9Bは、本発明の変形例に係るスタンド3の挟持作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0019】
<飛沫防止スクリーン1>
本発明の一実施形態に係る飛沫防止スクリーン1は、対面するユーザ間の直接的な飛沫の飛散を防止するため、デスク上に設置されるものである。飛沫防止スクリーン1は、例えば、デスクを挟んで対面して打ち合わせを行う、対面打ち合わせブースにおいて用いられる。本実施形態の飛沫防止スクリーン1は、図1に示すように、板状体2と、板状体2を支持する一対のスタンド3とを備える。
【0020】
<板状体2>
板状体2は、薄板状であり、矩形に形成される。板状体2は、対面する相手が見えるよう、無色透明とされる。板状体2の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル樹脂(PVC)とされる。板状体2の厚みは、1.5mm以下とすることが好ましい。板状体2の厚みは、0.5mm~1.5mmとすることが好ましく、0.8mm~1.2mmとすることがより好ましい。板状体2の厚みは、具体的には例えば、0.5,0.6,0.7,0.8,0.9,1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
<スタンド3>
スタンド3は、板状体2をデスク等の載置面F(図7参照)上で略垂直に支持するために用いられる。スタンド3は、図2に示すように、底壁30と、一対の補強壁31と、一対の挟持壁32とを備える。本実施形態において、スタンド3は、図3に示す1枚の矩形かつ帯状の板材100を折り曲げることで形成される。つまり、底壁30、一対の補強壁31及び一対の挟持壁32は、全て連続している。そして板材100は、一対の第1折り曲げ部41、一対の第2折り曲げ部42及び一対の第3折り曲げ部43において、上記底壁30、一対の補強壁31及び一対の挟持壁32に区画されている。
【0022】
各折り曲げ部41,42,43には、図4に示すように、板材100の一方の面に、断面が略V字形状の折り溝44が設けられており、板材100が他方側へ折り曲がりやすい構造となっている。折り溝44を設ける面は、折り曲げ部41と、折り曲げ部42,43とで異なっており、図3の展開図においては、折り曲げ部41が山折りであり、折り曲げ部42,43が谷折りとなっている。
【0023】
また、板材100は、折り溝44のある各折り曲げ部41,42,43を除いて、その厚みt1(図4及び図7参照)は一様となっている。なお、スタンド3の素材、つまり、板材100の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、発泡ポリプロピレンとされる。また、以下の説明では、帯状の板材100の長手方向及び短手方向を単に長手方向、短手方向と呼ぶ。
【0024】
底壁30は、図3の展開図及び図5Aの拡大図に示すように、その長手方向の中央部分に一対の第1折り曲げ部41を備える。底壁30は、一対の第1折り曲げ部41により、中央部30aと、中央部30aから両側に延びる一対の脚部30bとに区画される。
【0025】
底壁30は、図2及び図7に示すように、スタンド3を組み立てた状態において、一対の第1折り曲げ部41において折り曲げられており、中央部30aは両端部である脚部30b対して高くなっている。言い換えると、底壁30は、側面視において上に凸になるよう折り曲げられている。第1折り曲げ部41の折り曲げる角度は、5度~25度が好ましく、10度~20度がより好ましい。第1折り曲げ部41の折り曲げる角度は、具体的には例えば、5,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,25度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。これにより、スタンド3は、脚部30bの端部のみが載置面Fに接地し、底壁30は、一対の第1折り曲げ部41において折り曲げられることで、中央部30aが載置面Fから浮いた状態となる。
【0026】
また、図5Aに示すように、中央部30aは、脚部30bに対して短手方向の幅が狭くなっている。具体的には、底壁30には、その一部が一方の長辺から短手方向に向かって矩形状に切り欠かれた凹部30cが形成されている。そして、底壁30には、この凹部30cにより、後述する一対の挟持壁32の係合部32eと係合する被係合部30eが構成されている。
【0027】
一対の補強壁31は、図2及び図7に示すように、スタンド3を組み立てた状態において、底壁30の脚部30bの両端から一対の第2折り曲げ部42を挟んで上方且つ中央部30aの方向に延びる。補強壁31は、底壁30の両端部(一対の脚部30bの端部)と、挟持壁32の上端部とを接続するよう構成される。
【0028】
一対の挟持壁32は、スタンド3を組み立てた状態において、補強壁31の上端から一対の第3折り曲げ部43を挟んで下方に向かって延びる。各挟持壁32の下端近傍には、図5Bに示すように、その一部が他方の長辺(上述した底壁30の凹部30cとは反対側の長辺)から短手方向に向かって矩形状に切り欠かれた凹部32aが形成されている。挟持壁32には、この凹部32aにより、底壁30の被係合部30eと係合する係合部32eが構成されている。
【0029】
なお、挟持壁32は、凹部32aの位置において、板状体2を挟持する挟持部32bと、底壁30よりも下方に位置付けられる下端部32cとに区画される。また、凹部32aの到達していない箇所、すなわち挟持部32bと下端部32cを連結している箇所を、連結部32dと呼ぶ。
【0030】
<スタンド3の組み立て>
図3に示す板材100からスタンド3を形成するには、図6に示すように、まず、各折り曲げ部41,42,43において、板材100を折り溝44のない側に向かって折り曲げる。そして、一対の挟持壁32の各係合部32eと底壁30の被係合部30eとを係合させることで、底壁30と挟持壁32とを連結させる。係合部32eと底壁30の被係合部30eとを係合させると、底壁30の凹部30cに挟持壁32の連結部32dが位置付けられ、挟持壁32の凹部32aに底壁30の中央部30aが位置付けられることになる(図2参照)。
【0031】
なお、底壁30の凹部30cは、その長手方向の幅t2(図5A参照)が板材100の厚みt1(図4及び図7参照)の2倍よりわずかに広くなっている。これにより、一対の挟持壁32の各連結部32dを底壁30の凹部30cに位置付けることが可能となっている。凹部30cの幅t2が板材100の厚みt1よりもわずかに広くなっているのは、一対の挟持壁32の間に板状体2を挟持させるためである。
【0032】
また、挟持壁32の凹部32aは、その長手方向の幅t3(図5B参照)が板材100の厚みt1(図4及び図7参照)と略同一になっている。これにより、底壁30の中央部30aを挟持壁32の凹部32aに位置付け、中央部30aと強固に係合させることが可能となっている。
【0033】
上記のようにして組み立てた状態のスタンド3は、図7に示すように、上記一対の挟持壁32(一対の挟持部32b)が載置面Fに対して略垂直となるよう構成されている。言い換えると、本実施形態では、挟持壁32の挟持部32bは底壁30の中央部30a近傍から上方に向かって延びている。
【0034】
ここで、一対の挟持壁32は、板状体2を載置する前において、載置面Fに対してそれぞれ完全に垂直であるか、又は上方に向かって間隔がわずかに広がっていることが好ましい。つまり、一対の挟持壁32同士(特に、一対の挟持部32bの上方)が接触せず、図7に示すように、一対の挟持部32bの間に隙間Rが形成されていることが好ましい。隙間Rが形成されていることで、板状体2を一対の挟持部32bの間に容易に挿入することが可能となる。このような理由により、隙間Rの幅(一対の挟持部32bの間隔)が板状体2の厚さと略同一となるよう、各寸法を設定することが好ましい。
【0035】
また、組み立てた状態のスタンド3を各折り曲げ部41,42,43に垂直な方向から見ると、図7に示すように、底壁30の一対の脚部30b、一対の補強壁31、及び一対の挟持壁32の各挟持部32bによって、一対の三角形Tが形成された状態となる。
【0036】
ここで、この三角形Tは、挟持部32bが略垂直であり且つ脚部30bが傾斜していることから、脚部30bと挟持部32bによってなす角αが鈍角である鈍角三角形となる。また、脚部30bと挟持部32bの長さは略同一であり、三角形Tは二等辺三角形でもある。なお、本実施形態において、底壁30の一対の脚部30bと、一対の補強壁31と、一対の挟持壁32とはそれぞれ線対称に構成されており、一対の三角形Tも線対称に位置付けられる。
【0037】
本実施形態において、板材100は、組み立てた状態のスタンド3の一対の挟持壁32(一対の挟持部32b)が略垂直となり、角αが鈍角になるとともに、脚部30bと挟持部32bの長さが略同一となるよう、第1折り曲げ部41、一対の第2折り曲げ部42及び第3折り曲げ部43の位置が設定される。
【0038】
加えて、図7に示すように、組み立てた状態のスタンド3において、挟持壁32の下端から係合部32eまでの距離、言い換えると挟持壁32の下端部32cの長手方向の長さを距離t4とし、スタンド3を組み立てた状態であって且つ板状体2を載置していない状態の中央部30aの高さ(中央部30aの載置面Fからの距離)を高さHとする。すると、中央部30aの高さHのほうが、下端部32cの長さt4よりも長くなっている(H>t4)。これにより、スタンド3を載置面Fに載置した状態において、挟持壁32の下端部32cが載置面Fに接触しないようになっている。
【0039】
<飛沫防止スクリーン1の組み立て>
上記のようにして形成されるスタンド3を一対用意し、これら一対のスタンド3に板状体2を載置することで、図1に示す飛沫防止スクリーン1が組み立てられる。具体的に説明すると、まず、組み立てたスタンド3の一対の挟持壁32の間、より具体的には一対の挟持部32b間の隙間R(図7参照)に板状体2を挿入し、底壁30の中央部30aに載置する。すると、板状体2の荷重により中央部30aがわずかに沈むことで、一対の挟持壁32(挟持部32b)が板状体2を挟持する。
【0040】
より具体的には、底壁30の中央部30aは一対の第1折り曲げ部41を折り曲げることで載置面Fから浮いている状態であるため、中央部30aに荷重がかかると、第1折り曲げ部41の折り曲げ角度が小さくなって中央部30aがわずかに沈むことになる(図7の矢印X参照)。すると、底壁30の被係合部30eと係合している挟持壁32の係合部32eは下方に移動しようとし、底壁30の両端部は外側に広がろうとする。これにより、上述した三角形T(図3参照)は、その形状を維持してわずかに沈みながら、一対の挟持部32bの上端が近づくようわずかに回転することになる(図7の矢印Y参照)。このような作用により、本実施形態のスタンド3は、板状体2が載置されると、一対の挟持壁32(挟持部32b)が板状体2を挟持するようになっている。
【0041】
なお、本実施形態のスタンド3は、板状体2を載置して中央部30aが沈んだ状態でも、挟持壁32の下端部32cが載置面Fに接触しないようになっている。
【0042】
また、本実施形態のスタンド3において、補強壁31の材質を、補強壁31が可撓性を有するものとすることによって、補強壁31の弾性力によってさらに強力に板状体2を挟持させることも好適である。このような構成の場合、板状体2を中央部30aへ載置すると、一対の挟持部32bが板状体2を介して当接した後も、中央部30aへの荷重によって三角形Tが回転しようとする。しかしながら、三角形Tはこれ以上回転することができないため、可撓性を有する補強壁31が撓むことになる。すると、撓んだ補強壁31の弾性力によって挟持部32bの上端側が押圧され、板状体2をより強力に挟持することが可能となる。
【0043】
<作用効果>
以上のように、本実施形態のスタンド3は、板状体2が底壁30の中央部30aに載置されて中央部30aが沈むことによって、一対の挟持壁32(挟持部32b)が板状体2を挟持するよう構成されている。このような構成によって、板状体2を載置するという簡単な動作だけで、板状体2安定して支持することが可能となっている。
【0044】
また、本実施形態のスタンド3は、一枚の板材100を折り曲げ、挟持壁32の係合部32eと底壁30の被係合部30eとを係合させるだけで、接着剤等を使用することもなく簡単に組み立てることが可能である。本実施形態のスタンド3は、一枚の板材100から組み立て可能であることから、例えば2つ折りに折りたたんだ状態で輸送することが可能である。これにより、スタンド3をかさばることなく大量に輸送・保管することが可能である。
【0045】
加えて、本実施形態のスタンド3は、底壁30(脚部30b)の端部と、挟持壁32の上端部とを接続する補強壁31を備えていることから、挟持壁32による板状体2の挟持をサポートし、板状体2の重みによって挟持壁32が倒れてしまわないようになっている。
【0046】
また、本実施形態の飛沫防止スクリーン1は、上記構成のスタンド3を一対準備して板状体2を載置するだけで構成することができるため、簡易に組み立てることが可能であるとともに、使用しない場合には簡単に分解して収納することが可能である。
【0047】
<湾曲手段50>
ところで、本実施形態の飛沫防止スクリーン1において、板状体2の厚みを薄くすると、一対のスタンド3に載置した際に、板状体2の上部が垂れ下がってしまうおそれがある。そこで、板状体2の垂れ下がりを防止するため、本実施形態の飛沫防止スクリーン1に、垂れ下がりを防止するための湾曲手段50を設けることも好適である。
【0048】
湾曲手段50は、図8に示すように、板状体2の幅方向の両端部に一対の貫通孔51を設け、当該一対の貫通孔51の間に紐状体52を張設することで、板状体2を湾曲させるものである。板状体2は、紐状体52をピンと張ることでその幅方向の両端部が引っ張られ、湾曲する。なお、紐状体52は、端部に結び目を作ることで板状体2に固定してもよく、別途の固定部材によって固定しても良い。
【0049】
飛沫防止スクリーン1の板状体2を湾曲手段50によってわずかに湾曲させた状態で一対のスタンド3に載置することで、板状体2の上部が垂れ下がることを防止することが可能となる。
【0050】
<変形例>
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0051】
上記実施形態では、スタンド3は底壁30端部と挟持壁32の上端部とを接続する補強壁31を備えていたが、補強壁31を設けず、底壁30に直接挟持壁32を固定することも可能である。以下、一例として、図9A及び図9Bを用いて、補強壁31を設けない場合に挟持壁32が板状体2を挟持する原理を説明する。図9Aは、スタンド3が板状体2を載置していない状態であり、図9Bは、スタンド3に板状体2を載置した状態である(ただし、板状体2の記載を省略している)。
【0052】
本変形例に係るスタンド3は、図9A及び図9Bに示すように、底壁30と、底壁30に固定される一対の挟持壁32とを備える。本変形例においても、底壁30には一対の折り曲げ部41が形成されており、一対の脚部30b(両端部)に対して中央部30aが高くなるよう折り曲げられている。また、一対の挟持壁32は、それぞれL字状をなし、固定部32fと、これと略垂直な挟持部32bとを備える。挟持壁32の固定部32fは、底壁30の脚部30bに固定される。
【0053】
このような構成のスタンド3は、図9Aの板状体2を載置していない状態では、一対の挟持部32bが上方に向かって間隔が広がった状態となっている。そして、スタンド3に板状体2が載置され、中央部30aに荷重がかかると、図9Bに示すように、第1折り曲げ部41の折り曲げ角度が小さくなって中央部30aがわずかに沈むとともに、一対の脚部30bの傾斜が緩やかになる。すると、脚部30bに固定された挟持壁32の固定部32fも傾斜が緩やかになり、これによって一対の挟持部32bの上端側の距離が近接して、板状体2が挟持されることになる。
【0054】
本発明の本質は、上記のような底壁30の中央部30aの沈み込みによって生じる挟持壁32(挟持部32b)の挟持作用であると言える。したがって、本発明に係るスタンド3は、沈み込み動作が可能な底壁30と、当該底壁30に固定されるか、又は底壁30の沈み込みの動作に伴って動作する挟持壁32とを備えていれば良い。つまり、上記構成を備えていれば、挟持壁32の形状及び底壁30への取り付け構造は任意に選択することができる。具体的には、例えば、底壁30の一部を折り曲げることで挟持壁32を構成することも可能である。
【0055】
また、上記実施形態では、底壁30の脚部30b、補強壁31、及び、挟持壁32の挟持部32bによって形成される三角形Tは底壁30の脚部30bと挟持壁32の挟持部32bのなす角が鈍角である二等辺三角形であった。しかしながら、底壁30の脚部30bと挟持壁32の挟持部32bの長さは異なっていても良い。また、上記実施形態において、一対の補強壁31と、一対の挟持壁32とはそれぞれ線対称に構成されていたが、一対で異なる構成とすることも可能である。
【0056】
上記実施形態では、補強壁31は直線状であり三角形Tの1辺を構成していたが、補強壁31が折り曲げ部を有していても良い。すなわち、スタンド3が側面視において三角形Tを形成するのではなく、四角形又はそれ以上の辺を有する多角形を形成していても良い。
【0057】
上記実施形態では、補強壁31が可撓性を有していたが、補強壁31は可撓性を有していなくても良い。本発明のスタンド3は、補強壁31が可撓性を有していない場合であっても、挟持作用を奏することが可能である。
【0058】
上記実施形態では、スタンド3が1枚の帯状の板材100から構成されていたが、複数の部材を組み合わせて構成することも可能である。
【0059】
上記実施形態では、板状体2が一対のスタンド3によって支持される構成を説明したが、1つのスタンド3によって板状体2を支持する構成や、3つ以上のスタンドによって板状体2を支持する構成とすることも可能である。
【0060】
上記実施形態では、スタンド3が支持する板状体2は無色透明であり飛沫防止スクリーン1に用いられるものであったが、スタンド3が支持する板状体2は他の用途に用いられるものであっても良い。例えば、スタンド3が支持する板状体2は、パーティションに用いる有色不透明なものであってもよく、飲食店等におけるメニュー板であっても良い。スタンド3は、任意の用途・形状の板状体2を支持するために用いることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 :飛沫防止スクリーン
2 :板状体
3 :スタンド
30 :底壁
30a :中央部
30b :脚部
30c :凹部
30e :被係合部
31 :補強壁
32 :挟持壁
32a :凹部
32b :挟持部
32c :下端部
32d :連結部
32e :係合部
32f :固定部
41 :第1折り曲げ部
42 :第2折り曲げ部
43 :第3折り曲げ部
44 :折り溝
50 :湾曲手段
51 :貫通孔
52 :紐状体
100 :板材
F :載置面
H :高さ
R :隙間
T :三角形
X :矢印
Y :矢印
t1 :厚み
t2 :幅
t3 :幅
t4 :距離
α :角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9