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特許7417119情報処理システム、情報処理システムの制御方法、電子機器、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理システムの制御方法、電子機器、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240111BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021174872
(22)【出願日】2021-10-26
(65)【公開番号】P2023064538
(43)【公開日】2023-05-11
【審査請求日】2022-03-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592135203
【氏名又は名称】キヤノンITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100227857
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 圭
(72)【発明者】
【氏名】片岡 新
(72)【発明者】
【氏名】布施 竜一
(72)【発明者】
【氏名】石井 信吾
(72)【発明者】
【氏名】高見澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】田路 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】村上 新
(72)【発明者】
【氏名】藤井 義晴
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-096791(JP,A)
【文献】特開2003-256705(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045816(WO,A1)
【文献】特開2010-277256(JP,A)
【文献】特開2008-090745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が陳列された陳列場所に商品が返却されることに対応する現象である返却対応現象と、前記陳列場所から商品が取り出されることに対応する現象である取り出し対応現象とを検知する検知手段と、
前記検知手段で取り出し対応現象を検知した場合に、当該取り出し対応現象の対象となる取り出し対象商品に関する第1の情報を電子機器から出力するよう制御し、前記第1の情報の出力を行っている間に、当該取り出し対象商品と同一の商品に関する返却対応現象を検知した場合、当該返却対応現象の対象となる返却対象商品に関する第2の情報を前記電子機器から出力するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検知手段で前記取り出し対応現象を検知してから所定時間が経過した後で、検知された現象における取り出しの対象となる取り出し対象商品に関する前記第1の情報を前記電子機器から出力するように制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記検知手段で第1の取り出し対象商品が取り出されることに対応した前記取り出し対応現象を検知してから前記所定時間が経過する前に、第2の取り出し対象商品が取り出されることに対応した取り出し対応現象を検知した場合、前記第1の取り出し対象商品に関する第1の情報を前記電子機器から出力しないように制御することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記電子機器は、前記電子機器からの出力を、前記陳列場所へ商品を返却したユーザーが認識できる位置に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記出力は、前記電子機器の表示手段に表示することで出力されることを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記出力は、前記電子機器の音声出力手段から発音されることで出力されることを特徴とする請求項4または5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第1の情報に含まれず、前記第2の情報に含まれる情報として、期間限定であるイベントの期間に関する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第1の情報に含まれず、前記第2の情報に含まれる情報として、価格または還元に関する優遇情報を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記第1の情報に含まれず、前記第2の情報に含まれる情報として、前記返却対象商品と同じ種別における異なる商品の情報を含む請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第2の情報に、前記異なる商品に関する陳列場所を案内する情報がさらに含まれることを特徴とする請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の情報として前記取り出し対象商品に関する動画を再生するように制御し、
前記返却対応現象の検知があっても前記動画の再生は停止されないことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記取り出し対象商品に関する情報には、前記取り出し対象商品の関連商品の陳列場所を案内する情報を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
商品が陳列された陳列場所に商品が返却されることに対応する現象である返却対応現象と、前記陳列場所から商品が取り出されることに対応する現象である取り出し対応現象とを検知する検知ステップと、
前記検知ステップで取り出し対応現象を検知した場合に、当該取り出し対応現象の対象となる取り出し対象商品に関する第1の情報を電子機器から出力するよう制御し、前記第1の情報の出力を行っている間に、当該取り出し対象商品と同一の商品に関する返却対応現象を検知した場合、当該返却対応現象の対象となる返却対象商品に関する第2の情報を前記電子機器から出力するよう制御する制御ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項14】
少なくとも1つのコンピュータを、請求項1乃至12のいずれか1項に記載された情報処理システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の販売現場における案内を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動販売機や無人店舗など、商品の販売に要する人件費を削減した販売システムが提案されている。
【0003】
特許文献1には、来店者が商品棚に陳列されている第1商品に手を伸ばしたことを示す動作を検出した場合、その時点からカウントされた時間が所定時間に達した場合、手を伸ばした商品を対象とする商品演出を実行させることが提案されている。これにより、商品棚の前で興味を持っているが購入するかを迷っていると推測される来店者のみを狙って商品をアピールし、商品演出の実効性を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-156211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の商品演出の方法であっても商品購入に結び付くとは限らず、商品の演出、宣伝、アピールに改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、商品に関する案内をより効果的に行うことができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理システムは、
商品が陳列された陳列場所に商品が返却されることに対応する現象である返却対応現象と、前記陳列場所から商品が取り出されることに対応する現象である取り出し対応現象とを検知する検知手段と、
前記検知手段で取り出し対応現象を検知した場合に、当該取り出し対応現象の対象となる取り出し対象商品に関する第1の情報を電子機器から出力するよう制御し、前記第1の情報の出力を行っている間に、当該取り出し対象商品と同一の商品に関する返却対応現象を検知した場合、当該返却対応現象の対象となる返却対象商品に関する第2の情報を前記電子機器から出力するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、商品に関する案内をより効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の販売システムのシステム構成図である。
図2】本実施形態の販売システムに含まれる各装置のハードウェア構成図である。
図3】購入者端末100aにおける処理フローチャートである。
図4】サーバ装置100bにおける処理フローチャートである。
図5】サーバ装置100bで管理している情報を説明する図である。
図6】エッジPC100cにおける処理フローチャートである。
図7】サイネージ制御処理のフローチャートである。
図8】購入者端末100aにおける画面表示例である。
図9】サイネージ装置100dにおける応答の表示例である。
図10】サイネージ装置100dにおける応答の他の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特許文献1に記載のシステムは、例えば、商品毎にRFIDタグを添付する、合計金額を表示する表示部を設置する、精算のための装置を設置する、といったことが必要であり、商品棚を設置するためにコストと設置スペースの増大を招いていた。すなわち、販売システムの導入コスト及び/または設置スペースに改善の余地があった。コストやスペースの削減などのために、各購入者が所有するユーザー端末を利用することも考えられるが、その場合は、より多くのユーザーが利用できるように、ユーザー端末で利用する機能はより汎用的であることが好ましい。さらに、無人あるいは店員を少なくした販売システムでは店員による案内が無い、または少ないため、購入者が適切に、あるいは簡単に、または気軽に買い物を行うことについても改善の余地があった。
【0011】
本実施形態では上記課題の少なくとも1つに鑑み、商品の管理や販売に関するより好適なシステムを提供する技術を提供することを目的とする。
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
図1に、本実施形態の情報処理システム(販売システム)のシステム構成の一例を示す。本実施形態の販売システムは販売員を置かずとも販売が可能な無人販売システムである。本実施形態の販売システムには、購入者端末100a(電子機器)、サーバ装置100b(情報処理装置)、エッジPC100c(情報処理装置としての端末装置)、サイネージ装置100dが含まれる。購入者端末100aはインターネットを介して、あるいは直接、サーバ装置100bと通信可能である。また、エッジPC100cもインターネットを介して、あるいは直接、サーバ装置100bと通信可能である。一方、購入者端末100aとエッジPC100cは直接通信を行う必要はない。サイネージ装置100dは棚130の付近(陳列場所)に設置されており、エッジPC100cから出力された映像(静止画、動画)の表示、エッジPC100cから出力された音声の出力(発音)が可能である。また、ユーザー(購入者120)からの音声入力や操作入力を受け付けて、エッジPC100cに入力する。
【0014】
商品131を含む1つ以上(少なくとも1つ)の商品が、商品の陳列場所(載置する場所を含む)の一例としての商品棚である棚130に載置(陳列)されている。また、棚130自体、あるいは棚130の近傍に、棚130の識別情報(棚ID)を持つQRコード(商標)160が掲示されている。本実施形態では棚130には扉や蓋、カバーなどの購入者とを仕切る仕切り部材を設けず、購入者が扉を開けたりしなくても直接商品を手で取り出せるようにしている。このようにすることで購入者が商品を手に取る物理的及び心理的ハードルが下がるため、購入者にとっては気軽に購買を行うことができ、販売者にとっては販売量の増加につながる。なお、扉や蓋、カバーなどを設けたとしても後述する本実施形態は適用可能である。また、販売促進などのために店員をおいていたとしても後述する本実施形態は適用可能である。
【0015】
棚130に陳列された商品が取り出された、あるいは戻されたことを検知するための情報を取得するセンサーとして、本実施形態の販売システムに含まれる装置としてカメラ140が設置される。カメラ140は、カメラ140で棚130からの商品の出し入れの様子が撮影できる撮影範囲となるように設置されている。エッジPC100cは棚130に対応付けられており、カメラ140で撮影された画像を取得可能なように、有線または無線通信でカメラ140と接続されている。本実施形態ではエッジPCと商品棚を1対1で対応づけて処理する例を説明するが、エッジPC1台に対して複数の商品棚を対応付けて処理してもよい。
【0016】
エッジPC100cは、カメラ140から送信された撮影画像(映像)を解析し、棚130から商品が取り出された、戻された、などを検知する。そして商品が取り出されたあるいは戻されたという情報をサーバ装置100bに送信する。
【0017】
購入者120は、自身の保有するスマートフォンなどの購入者端末100aでQRコード160を撮影することで、棚IDを取得する。そして棚IDと購入者120の識別情報(ユーザーID)とをサーバ装置100bに送信する。
【0018】
サーバ装置100bでは、購入者端末100aから受信した棚IDとユーザーIDに基づき、購入者120のユーザーIDと、棚130の棚IDとを関連付ける(すなわち、購入者120と棚130を関連付ける)。以下、ユーザーIDと棚IDとを関連付ける(関連付けて記憶する)処理をチェックイン処理、関連付いた状態をチェックイン状態(チェックインされた状態)と称する。チェックイン処理が完了すると、チェックインが完了した旨をサーバ装置100bから購入者端末100aとエッジPC100bに通知する。この状態で購入者120が棚130に置かれた商品を取り出して良い状態となる。購入者120が棚130に置かれた商品を手に取って取り出すと、それをエッジPC100cがカメラ140で撮影された画像に基づいて検知し、サーバ装置100bに検知結果を送信する。サーバでは取り出された商品を特定し、棚130と関連付けられた購入者120の仮想のカート(買い物かご。以下、単にカートと称する)に取り出された商品を追加する。カートの状態はサーバ装置100bから購入者端末100aに送信され、購入者端末100aで表示されるため、購入者120は自身が手に取った商品がカートに入っていることを確認できる。そして、ユーザーが購入者端末100aを操作して決済処理を行うと、サーバ装置100bはインターネット上の決済サービス170を呼び出して決済を行う。このようにして、購入者120は購入者端末100aでQRコード160を読み込み、商品を手に取り、決済操作を行うという、気軽で簡単な工程によって商品を購入することができる。
【0019】
図2(a)に、本発明を適用可能な装置の一例としての購入者端末100aの構成の一例を示す。購入者端末100aは購入者であるユーザーが持つ電子機器であり、スマートフォン(携帯電話端末)やタブレットPCなどを用いて構成可能なものである。
【0020】
図2において、内部バス150aに対してCPU101a、メモリ102a、不揮発性メモリ103a、画像処理部104a、ディスプレイ105a、操作部106a、記録媒体I/F107a、外部I/F109a、通信I/F110aが接続されている。内部バス150aに接続される各部は、内部バス150aを介して互いにデータのやりとりを行うことができるようにされている。
【0021】
メモリ102aは、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。CPU101aは、例えば不揮発性メモリ103aに格納されるプログラムに従い、メモリ102aをワークメモリとして用いて、購入者端末100aの各部を制御する。不揮発性メモリ103aには、画像データや音声データ、その他のデータ、CPU101aが動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ103aは例えばフラッシュメモリやROMなどで構成される。
【0022】
画像処理部104aは、CPU101aの制御に基づいて、不揮発性メモリ103aや記録媒体108aに格納された画像や、外部I/F109aや通信I/F110aを介して取得した画像、撮像された画像などに対して各種画像処理を施す。画像処理部104aが行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、画像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理などが含まれる。画像処理部104aは特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成しても良い。また、画像処理の種別によっては画像処理部104aを用いずにCPU101aがプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0023】
ディスプレイ105aは、CPU101aの制御に基づいて、画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。CPU101aは、プログラムに従い表示制御信号を生成し、ディスプレイ105aに表示するための映像信号を生成してディスプレイ105aに出力するように購入者端末100aの各部を制御する。ディスプレイ105は出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、購入者端末100a自体が備える構成としてはディスプレイ105に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェースまでとし、ディスプレイ105aは外付けのモニタ(テレビなど)で構成してもよい。
【0024】
操作部106aは、ユーザー操作を受け付けるための入力デバイスである。操作部1006aには、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネル70aといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサー、タッチパッドなどを含む。タッチパネル70aは、ディスプレイ105aに重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。
【0025】
記録媒体I/F107aは、メモリーカードなどの記録媒体108aが装着可能とされ、CPU101aの制御に基づき、装着された記録媒体108aからのデータの読み出しや、当該記録媒体108aに対するデータの書き込みを行う。外部I/F109aは、外部機器と有線ケーブルや無線によって接続し、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。通信I/F110aは、外部機器やインターネット111などと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。
【0026】
カメラ部112aは、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(撮像センサー)等で構成されるカメラユニットである。カメラ部112aには、ズームレンズやフォーカスレンズを含むレンズ群(撮影レンズ)、絞り機能を備えるシャッター、撮像素子、撮像素子から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、撮像系を覆って汚れや破損を防止するバリアを含む。画像処理部104aは、カメラ部112aで撮像して取得したデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。画像処理部104aにより得られた演算結果に基づいてCPU101aが露光制御、測距制御、AWB(オートホワイトバランス)処理を行う。カメラ部112aで撮像され、画像処理部104aで画像処理された表示用の画像データはディスプレイ105aにより表示される。カメラ部112aで撮像され、A/D変換器によって一度A/D変換されメモリ102aに蓄積されたデジタル信号をD/A変換器でアナログ変換し、ディスプレイ105aに逐次転送して表示することで、ライブビュー表示(LV表示)を行える。ライブビューは、静止画の撮影待機状態、動画の撮影待機状態、動画の記録時に表示可能であり、撮像された被写体像がほぼリアルタイムに表示される。CPU101aは、操作部106aで行われたユーザー操作に基づく撮影準備指示に応じて、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB処理等の動作を開始するように、カメラ部112a、画像処理部104aを制御する。CPU101aは、撮影指示に応じて、本露光して撮像部素子からの信号を読み出し、撮像された画像を画像処理部104aで画像処理して画像ファイルを生成し、記録媒体108aに記録するまでの一連の撮影処理(本撮影)の動作を開始ように制御する。撮影指示は、操作部106aに対するユーザー操作によって行うことができる。カメラ部112aは、静止画及び動画の撮影が可能である。
【0027】
図2(b)に、本発明を適用可能な装置の一例としてのサーバ装置100bの構成の一例を示す。サーバ装置100bは購入者端末100a及びエッジPC100cと通信可能な情報処理装置であり、パーソナルコンピュータ(PC)などを用いて構成可能なものである。サーバ装置100bが有する構成である、符号101b~104b、106b~110b、150bが示す構成は、前述した購入者端末100aが有する符号101a~104a、106a~110a、150aが示す構成と同様である。従って詳細な説明を省略する。また、サーバ装置100bはディスプレイとカメラ部を有さないものとして説明するが、ディスプレイとカメラ部を有する装置をサーバ装置100bとして用いてもよい。
【0028】
図2(c)に、本発明を適用可能な装置の一例としてのエッジPC100cの構成の一例を示す。エッジPC100cはサーバ装置100bと通信可能な端末装置(情報処理装置)であり、パーソナルコンピュータ(PC)などを用いて構成可能なものである。エッジPC100cが有する構成である、符号101c~104c、106c~110c、150cが示す構成は、前述した購入者端末100aが有する符号101a~104a、106a~110a、150aが示す構成と同様である。従って詳細な説明を省略する。また、エッジPC100cはディスプレイとカメラ部を有さないものとして説明する。すなわち、デスクトップ型のPC本体部分だけのような装置に適用することができ、ディスプレイとカメラ部の少なくとも一方を有さなくても構成できる分、コストや設置スペースを削減することができる。ただし、ディスプレイとカメラ部を有する装置をエッジPC100cとして用いてもよい。音声出力部113cはスピーカーに有線または無線通信によって音声信号を送信して発音させる出力部、あるいはスピーカー自体である。音声出力部113cから出力する通知音または音声メッセージによって、購入者120に各種ガイダンスや警告などの情報を通知する(認識させる)ことができる。
【0029】
図2(d)に、本発明を適用可能な装置の一例としてのサイネージ装置100dの構成の一例を示す。サイネージ装置100dは、エッジPC100cと通信可能な端末装置(情報処理装置、電子機器)であり、タブレットPCなどを用いて構成可能なものである。サイネージ装置100dが有する構成である、符号101d~106d、109d、110d、150dが示す構成は、前述した購入者端末100aが有する符号101a~106a、109a、110a、150aが示す構成と同様である。従って詳細な説明を省略する。また、音声出力部113dはスピーカーに有線または無線通信によって音声信号を送信して発音させる出力部、あるいはスピーカー自体である。ディスプレイ105dが棚130の前に立つ購入者120から視認可能な位置に設置されており、また、音声出力部113dから出力する音が、棚130の前に立つ購入者120に聞こえるように配置されているものとする。すなわち、サイネージ装置100dは、サイネージ装置100dからの出力内容を陳列場所付近にいる客が認識できるような位置に設置されている。タッチパネル70d(TP70d)は、ディスプレイ105dに重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。音声入力部114dは購入者120(客)の発っした言葉を収集するための収音部であり、例えばマイクである。
【0030】
図3に、購入者端末100aにおける販売システムに関する処理のフローチャートを示す。この処理は、不揮発性メモリ103aに記録されたプログラムをメモリ102aに展開し、CPU101aが実行することにより実現する。購入者120が棚130の商品を購入するべく、購入者端末100aにおけるQRコードを読取可能なアプリケーションプログラムを起動するか、本システム用のアプリケーションプログラム(以下、単に購入アプリと称する)を起動すると図3の処理が開始される。
【0031】
S301では、CPU101aは、QRコードの読み取り画面にカメラ部112aで撮影したLV画像を表示する。図8(a)に、購入アプリによる、ディスプレイ105a(タッチパネル70a)におけるQRコードの読み取り画面の表示例を示す。メッセージ801はQRコード160を購入者端末100aに読み取らせる(撮影範囲にQRコード160を収めるようにフレーミングする)ことを購入者120に促すガイダンスメッセージである。例えば、「商品棚に貼られているQRコードを読み取らせてください」と表示される。枠802は、QRコードを撮影範囲に収めるようにフレーミングするための目安のガイド枠である。カートアイコン803は、カート画面への遷移指示を受け付けるためのタッチアイコンである。カートアイコン803は、購入者120のユーザーIDに対応するカートに商品が入っている場合に表示され、そうでない場合には表示されない。すなわち、初期起動時には表示されない。図示を省略しているが、QRコードの読み取り画面にはカメラ部112aで撮影されているLV画像が表示され、メッセージ801、枠802、カートアイコン803はLV画像に重畳して表示される。
【0032】
S302では、CPU101aは、不揮発性メモリ103aに記録したカート情報を参照し、カートに商品があるか否かを判定する。カートに商品があると判定した場合にはS303に進み、そうでない場合(カートが空、あるいはカート情報が生成されていない初期状態)にはS304へ進む。
【0033】
S304では、CPU101aは、カート画面への遷移指示があったか否かを判定する。カート画面への遷移指示があった、すなわちカートアイコン803へのタッチ操作があった場合にはS330へ進み、そうでない場合にはS304へ進む。
【0034】
S304では、CPU101aは、QRコードが撮影されてQRコードの持つ情報を取得できたか否かを判定する。購入者120が購入者端末100aをフレーミングしたことにより撮影範囲内にQRコード160が収まり、LV画像として撮影された画像からQRコード160を取得し、解析して、QRコード160の持つ情報を取得できた場合にはS310に進む。そうでない場合にはS305に進む。
【0035】
S305では、CPU101aは、終了イベント(例えば、QRコードの読み取り画面を閉じる操作)があったか否かを判定する。終了イベントが無い場合にはS302に戻って処理を繰り返し、終了イベントがあった場合には図3の処理を終了する。
【0036】
S310では、CPU101aは、S304で取得したQRコードの情報が棚IDを含むか否かを判定する。QRコードの情報が棚IDを含まない場合とは、撮影されたQRコードが本実施形態の販売システムとは関係のないQRコードであった場合である。棚IDを含む場合はS312に進み、棚IDを含まない場合はS311に進んでエラー表示を行う、あるいは、本システムとは別の処理(QRコードに基づく処理)を行う。
【0037】
S312では、CPU101aは、S304で取得したQRコードの情報が示す処理の実行を決定する操作があったか否かを判定する。例えば、撮影されたQRコードが棚IDの情報を持っていた場合、ディスプレイ105aに「67890番の棚にチェックインしますか?」というメッセージと、「はい」、「いいえ」の選択肢を表示する。「67890番の」というのは例であって、チェックインする対象の棚がどの棚であるかユーザーが識別できる識別情報であればよい。「はい」が選択された場合に、QRコードの情報が示す処理の実行を決定する操作があったと判定してS313に進む。「いいえ」が選択されるとS302に戻る。なお、QRコード160に、購入アプリを起動する、あるいはインターネット上のWEBアプリにアクセスするための情報を持たせておいてもよい。その場合、汎用のQRコードリーダーでQRコード160を読み取り、決定指示を受け付けた場合に購入アプリまたはWEBアプリに従ってS313以降の処理を行う。また、S312の処理を省き、読み取ったQRコードに棚IDが含まれていると判定した場合(S310Yes)に、購入者120からの操作(決定指示の操作)を待つことなくS313の処理を行ってもよい。
【0038】
S313では、CPU101aは、読み取ったQRコードから取得した棚IDと、購入者120を識別するためのユーザーIDを含む、チェックインのリクエスト情報をサーバ装置100bに送信する。棚IDは、陳列場所である棚130を識別するための陳列場所情報である。ユーザーIDは本実施形態では、購入アプリへのログインID(予め記憶されていたもの、あるいは購入アプリ起動時に購入者120が入力したもの)とする。ユーザーIDはこれに限るものではなく、棚130にチェックインしている購入者120を他のユーザーと識別できる情報であれば他の情報を用いてもよい。ユーザーIDとして例えば、購入者端末100aのSSID、SNSなどの連携している他のサービスのアカウント情報、購入者端末100aのログインアカウントの情報などを用いてもよい。すなわち、ユーザーIDは、購入者端末100aあるいは購入者120を識別するためのユーザー情報である。購入者端末100aからサーバ装置100bに棚IDとユーザーIDを送信すると、サーバ装置100bにおいてチェックインを試み、サーバ装置100bからチェックインできたかどうかの情報が返送されてくる。
【0039】
なお、本実施形態では購入者端末100aでの棚IDの取得方法として、二次元コードであるQRコード160を撮影する方法を説明したが、これに限るものではない。バーコードなどの一次元コードを撮影することによって取得してもよいし、文字列として掲示された棚IDを撮影し、画像からの文字認識によって取得してもよい。また、文字列として掲示された棚IDを、購入者端末100aのディスプレイ105aに表示される棚IDの入力画面からユーザーが操作入力することにより取得してもよい。あるいは、購入者端末100aのGPS測位ユニットなどの位置情報取得部(不図示)から取得された購入者端末100aの位置情報に基づいて取得してもよい。撮像画像から取得した情報、操作入力されることで取得した情報、位置情報との少なくとも2つを組み合わせて棚IDを取得してもよい。
【0040】
S314では、CPU101aは、サーバ装置100bから、チェックインができなかったことを示すチェックイン不可通知があったか否かを判定する。例えば購入者120とは別のユーザーがすでに棚130にチェックインしていた場合、購入者120は棚130にはチェックインできないものとする。チェックイン不可通知を受信した場合にはS315に進み、そうでない場合には316に進む。
【0041】
S315では、CPU101aは、現在チェックインができないことを示すチェックインエラー情報をディスプレイ105aに表示する。例えば、「他の方が利用中のため、チェックインできません。前の方の御利用が終わってからチェックインしてください」といったメッセージを表示する。すなわち、他のユーザーがチェックインしていること示す情報、及び/または、時間をおいてから再びチェックインのリクエスト情報を送信することを促す情報を表示する。棚130に扉などがあれば、扉の開閉状態によって他の購入者が購入行為の途中であるのかどうかを判断できるが(すなわち他の人物が扉を開いていればその人物に優先権があるとわかるが)、本実施形態では扉を設けていない。そのため棚130の外観では他の利用者がいるのかどうかがわかりにくいケースがある。例えば棚130の付近に別の人物がいたとしてもその人物が購入するかどうかを決めていない、あるいは購入とは別の用事でそこにいるのか、購入の途中であるのかを判断することができないことがある。しかし本実施形態のように、チェックインエラー表示をすることで、他の利用者が購入動作の途中であるため待つべきであることを購入者120が認識することができる。また、本実施形態のように、1人の購入者がチェックインしている場合に他の利用者がチェックインできないようにすることで、棚130から商品を取り出した利用者が誰なのか判別できなくなる(購入者の混同が起こる)ことも抑止することができる。
【0042】
S316では、CPU101aは、サーバ装置100bから、チェックインができたことを示すチェックイン完了通知があったか否かを判定する。チェックイン完了通知を受信した場合にはS317に進み、そうでない場合には314に戻る。
【0043】
S317では、CPU101aは、S302と同様に、カートに商品があるか否かを判定する。カートに商品がある場合にはS330へ進み、そうでない場合にはS320に進む。
【0044】
S320では、CPU101aは、ディスプレイ105aに空カート表示を行う。空カート表示の表示例を図8(b)に示す。
【0045】
表示アイテム810は、現在表示している画面が、カートに商品があるかの状態を示すカート表示の画面であることを示す画面タイトル部分である。本実施形態では「カートに入っている商品」と表示される。
【0046】
ガイダンス811は、ユーザーである購入者120に、棚130から商品を取り出すことを促すガイド表示である。図8(b)の例では、「商品棚から商品を取り出してください」との文字列(メッセージ)が表示される。本実施形態の販売システムにおいては、商品棚130に扉やカバーを設けていない。従って、外観上は商品棚130を取り出して良い状態であるか否かを購入者120(ユーザー)が判別することが難しい。特に無人店舗であれば、無断で商品を取り出すことには躊躇してしまう可能性がある。これに対し、ガイダンス811を表示することで、購入者120は商品を棚130から取り出して良い状態であることが認識でき、安心して商品を取り出し、買い物を行うことができる。また、購入者端末100aのディスプレイ105aにガイダンス811を表示することで、エッジPC100cの音声出力部113cでの音声通知に頼らなくとも取り出して良い状態であることを通知できる。従って音声による通知が難しい環境(静かにすべき環境、あるいは逆に雑音の大きい環境)であっても、購入者120に商品を取り出して良い状態であることを確実に通知することができる。また、エッジPC100cにディスプレイを接続したり、棚130付近に通知用のモニタ等を設置する必要もないため、設置コストや設置スペースの増大も抑えて、購入者120に商品を取り出して良い状態であることを確実に通知することができる。すなわち、本実施形態の販売システムを、商品を購入するユーザーがより簡単に利用可能となる。なお、ガイダンス811は、購入者120に棚130からの商品の取り出しを促すものであれば図示の例に限るものではない。例えば、別の文字列によるメッセージや、アイコン表示、アニメーション表示、動画再生、購入者端末100aからの音声出力によるガイダンスでもよい。
【0047】
表示アイテム812はカートにある商品の合計金額を示す。図8(b)の例では、カートに商品は無いので0円である旨が表示される。
【0048】
購入指示アイコン813は、カートに入っている商品の購入を実行して決済を行う指示を行うためのタッチアイコン(表示アイテム)である。図8(b)の例では、カートに商品が無く、何も購入できないため、グレーアウト(非アクティブ表示)されており、タッチしても操作を受け付けない状態となっている。カートに商品が入ったことに応じてグレーアウトが解除され、アクティブ表示となり、タッチによる操作受付が可能な状態となる。
【0049】
中止指示アイコン814は、購入動作(買い物)のキャンセル指示を受け付けるタッチアイコン(表示アイテム)である。
【0050】
棚移動アイテム815は、現在チェックインしている棚とは別の棚にチェックインする指示を行うためのタッチアイコン(表示アイテム)である。
【0051】
S321では、CPU101aは、中止操作(中止指示アイコン814へのタッチ)があったか否かを判定する。中止指示があった場合にはS322に進み、そうでない場合にはS325に進む。
【0052】
S322では、CPU101aは、中止操作が行われたことを示す中止指示をサーバ装置100bに送信する。
【0053】
S323では、CPU101aは、サーバ装置100bからチェックアウト完了通知を受信したか否かを判定する。チェックアウト完了通知を受信した場合にはS324にすすみ、そうでない場合にはS323でチェックアウト完了通知を受信するのを待つ。
【0054】
S324では、CPU101aは、メモリ102aに保持したカート情報をクリア(消去)し、ディスプレイ105aにチェックアウト表示を行う。また、メモリ102aに保持したカート情報を消去(クリア)する。図8(d)にチェックアウト表示の表示例を示す。チェックアウト表示には、購入(買い物)に関する処理を終了したことを示す「ご利用ありがとうございました」といったメッセージ830が表示される。チェックアウト表示を所定時間(例えば5秒)表示した後、S301のLV表示(QRコードの読み取り画面)に戻る。
【0055】
S325では、棚移動操作(棚移動アイテム815へのタッチ)があったか否かを判定する。棚移動操作があった場合にはS326へ進み、そうでない場合にはS328へ進む。
【0056】
S326では、CPU101aは、棚移動操作が行われたことを示す棚移動指示をサーバ装置100bに送信する。
【0057】
S327では、CPU101aは、サーバ装置100bからチェックアウト完了通知を受信したか否かを判定する。チェックアウト完了通知を受信した場合には、他の棚のQRコードを読み取るため、S301のLV表示(QRコードの読み取り画面)に戻る。そうでない場合にはS323でチェックアウト完了通知を受信するのを待つ。
【0058】
S328では、CPU101aは、サーバ装置100bからカート情報の更新通知を受信したか否かを判定する。更新通知を受信した場合には受信した更新通知に含まれる最新のカートの状態を示す情報をメモリ102aに記憶し(すなわちメモリ102aに記憶されたカート情報を更新する)、S317へ進む。更新通知を受信していない場合にはS321へ進む。
【0059】
なお、本実施形態では、空のカート表示を行っている場合には、購入指示アイコン813へのタッチ操作を受け付けない(無視する)例を説明したが、これに限るものではない。例えば、空のカート表示中に購入指示アイコン813へのタッチ操作を検知した場合には、棚から商品を取り出すことを改めて促す表示(S320の表示とは異なる第2の表示)を行ってもよい。例えば、ガイダンス811を点滅させたり色を変えたりするなどしてS320とは異なる表示形態で強調表示したり、ガイダンス811とは別の表示で棚から商品を取り出すことを促す表示を行ってもよい。特に、決済前に棚から商品を取り出して良い旨を表示すると良い。カートに商品が無い状態、すなわち商品が取り出されていない状態で購入指示アイコン813が操作された場合、購入者120が、決済を行わないと棚から商品を取り出してはいけないと誤認している可能性がある。従って棚から商品を取り出すことを改めて促す表示を行うことで、購入者の誤認を解消してスムーズな購入動作を行えるようにすることができる。
【0060】
S330では、CPU101aは、表示部に商品ありの場合のカート表示を行う。商品ありのカート表示の表示例を図8(c)に示す。図8(b)と同じ表示物については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
商品一覧820は、サーバ装置100bから受信した更新通知に含まれる商品情報を含む情報であって、メモリ102aに保持した最新のカートの状態を示すカート情報基づく、カートに入っている商品の一覧表である。商品一覧820は行毎に1つの商品の情報を表しており、列821~列824を含む。列821は各行の商品の外観を示す表示物であり、取り出した商品の写真、あるいは取り出した商品の種別を表すアイコン(例えば、飲料であれば図示のようなペットボトルを模したアイコン、食品であれば食品を模したアイコンなど)が表示される。商品の種別を写真で表す場合は、購入アプリのデータとして購入者端末100aの不揮発性メモリ103aに予め記憶されていた画像か、サーバ装置100bから受信した画像を表示する。列822は各行の商品の名前(商品名)を表しており、列823は各行の商品の価格を表している。列824は各行の商品についての修正指示の操作を受け付けるための表示アイテムである。図8(c)の例では、購入指示アイコン813は、カートに商品が有り購入が可能であるため、タッチ操作を受け付け可能な表示形態で表示されている(アクティブ表示)。一方、中止指示アイコン814はグレーアウトして表示している。これは。このケースはカートに商品が入っており、カートに入っている商品を棚130に戻さないと購入のキャンセルが完了できないためである。ただし本実施形態ではグレーアウトしていても中止指示アイコン814へのタッチ操作は受け付けるものとする。ただしこれに限るものではなく、カートに商品が入っている場合には、中止指示アイコン814へのタッチ操作を受け付けないようにしてもよい。
【0062】
S331では、CPU101aは、修正操作があったか否かを判定する。修正操作とは、いずれかの行の列824に表示された表示アイテムへタッチ操作が行われ、その後に表示される修正内容入力画面(タッチされた行の商品について修正する画面)での操作が完了し、修正内容を確定する操作である。修正内容入力画面は例えば、棚130に置かれている販売中の商品の一覧を表示し、一覧からいずれかの商品の選択を受け付ける画面である。このように、商品の修正操作を受け付けることで、画像解析での商品判定で判定された商品が実際に取り出した商品と異なっていることが万が一あった場合に、購入者120が正しい内容に修正することができる。
【0063】
S332では、CPU101aは、修正内容入力画面で入力された修正内容である、修正後の商品を示す情報をサーバ装置100bに送信する。
【0064】
S333では、CPU101aは、サーバ装置100bからの更新通知を待ち、更新通知があると通知に基づいてメモリ102aに保持したカート情報を更新してS317に進む。こうして、ディスプレイ105aのカート表示も修正を反映したものが表示される。
【0065】
S334では、CPU101aは、中止操作(中止指示アイコン814へのタッチ)があったか否かを判定する。中止指示があった場合にはS335に進み、そうでない場合にはS340に進む。
【0066】
S335では、CPU101aは、中止操作が行われたことを示す中止指示をサーバ装置100bに送信する。
【0067】
S336では、CPU101aは、ディスプレイ105aに返却メッセージを表示する。返却メッセージは、棚130から購入者120が取り出した商品を、棚130に戻すことを促す表示であり、例えば、「商品をもとの位置に戻してください」といった文字列(メッセージ)が表示される。これによって購入者120は、取り出した商品を棚130に戻さないと買い物の中止(キャンセル)ができないことを認識することができ、手に持っている商品を棚130に戻そうとする。この結果、カートに入っていた商品(購入者120が取り出した商品)が棚130に戻されると、カメラ140によって戻した様子の映像から商品が戻されたことが検知され、エッジPC100cからサーバ装置100bに商品が戻された旨の情報が送信される。サーバ装置100bは、商品戻された旨の情報を受信すると、サーバ装置100bに保持したカート情報を更新し、更新通知として購入者端末100aに送信する。
【0068】
S337では、CPU101aは、サーバ装置100bから更新通知を受信したか否かを判定する。更新通知を受信した場合には、受信した更新通知に含まれる最新のカート情報でメモリ102aのカート情報を更新し、S338に進む。更新通知を受信できない場合はS337で更新通知の受信を待ち、チェックアウト表示には進まない。
【0069】
S338では、CPU101aは、S337で受信した更新通知に基づいて更新した最新のカート情報に基づき、カートに商品があるか否かを判定する。カートに商品が無い場合は、購入者120が棚130から取り出した商品がすべて棚130に戻された場合である。カートに商品が無い場合にはS339に進み、そうでない場合(まだカートに商品がある場合)にはS336へ進む。
【0070】
ここで、S337で更新通知を受信しない場合、あるいはS338でカートに商品があると判定された場合は、購入者120がまだ棚130から取り出した商品を棚130に戻していない場合である。従って、S334で中止指示があってから、S337で更新通知を受信しない場合、あるいはS338でカートに商品があると判定される場合には、S336で表示した返却メッセージを表示し続けることにより、購入者120に確実な商品の返却を促す。また、返却メッセージを表示してからS337で更新通知を受信しない場合、あるいはS338でカートに商品があると判定される場合には、段階的に返却メッセージを強調してもよい。例えば、所定時間が経過したら返却メッセージを点滅表示する、警告音を発音する、等をしてもよい。
【0071】
S339では、CPU101aは、S324と同様にチェックアウト表示を行う。また、メモリ102aに保持したカート情報を消去(クリア)する。これによって購入者120は、取り出した商品を棚130に戻したことが正しく認識され、購入のキャンセルが正しく行われたことがわかり、決済をせずに立ち去っても問題がないことを認識することができる。
【0072】
S340では、CPU101aは、購入指示の操作(購入指示アイコン813へのタッチ)があったか否かを判定する。購入指示の操作は決済をするための操作であり、決済操作の一種である。購入指示の操作があった場合にはS341へ進み、そうでない場合にはS344へ進む。
【0073】
S341では、CPU101aは、購入指示の操作が行われたことを示す購入指示の通知をサーバ装置100bに送信する。
【0074】
S342では、CPU101aは、サーバ装置100bと連携した処理により、決済処理を行う。例えば、クレジットカートによる決済画面や、電子マネーによる決済画面などが表示され、これらの決済画面に対する操作(タッチパネル70aに対する決済操作)に応じて、カートに入った商品に対する支払い(決済、課金)が行われる。決済が完了するとS339へ進む。S339でのチェックアウト表示により、決済が正常に完了し、棚130から取り出した商品(購入済みの商品)をもってその場を立ち去ってもよいことを購入者120が認識できる。
【0075】
S344では、CPU101aは、棚移動操作(棚移動アイテム815へのタッチ)があったか否かを判定する。棚移動操作があった場合にはS326へ進み、そうでない場合にはS345へ進む。
【0076】
S345では、CPU101aは、サーバ装置100bからカート情報の更新通知を受信したか否かを判定する。更新通知を受信した場合には受信した更新通知に含まれる最新のカートの状態を示す情報をメモリ102aに記憶し(すなわちメモリ102aに記憶されたカート情報を更新する)、S317へ進む。更新通知を受信していない場合にはS331へ進む。
【0077】
図4に、サーバ装置100bにおける販売システムに関する処理のフローチャートを示す。この処理は、不揮発性メモリ103aに記録されたプログラムをメモリ102aに展開し、CPU101aが実行することにより実現する。この処理は、本実施形態における販売システムによる販売が開始されるタイミング(営業時間の開始時間など)で、手動で開始される、あるいは所定の時間(営業時間の開示時間など)になったことに応じて自動的に開始される。
【0078】
S401では、CPU101bは、メモリ102bに保持された各種変数、情報(カート情報)などを初期化する。また、不揮発性メモリ103bには、サーバ装置100bで管理している複数の商品棚のIDが記憶されている。この管理対象の商品棚のIDをすべて読み込み、チェックイン状態の管理情報をメモリ102bに作成したうえで、すべての棚について状態を非チェックインに設定する。チェックイン状態の管理情報の例を図5(a)に示す。管理情報には、管理対象となる棚のIDと、チェックイン状態と、チェックイン状態である場合にはチェックイン(CI)しているユーザーのIDとが対応付けて記憶される。S401においては、チェックイン状態は全て非チェックイン、CIユーザーはすべての棚において無しとなる。
【0079】
S402では、CPU101bは、購入者端末100aから送信された棚IDを受信したか否かを判定する。これは前述の図3のS313で購入者端末100aから送信された棚IDとユーザーIDを受信したか否かの判定である。棚IDを受信した場合にはS402に進み、そうでない場合にはS407に進む。
【0080】
S403では、メモリ102bに保持したチェックイン状態の管理情報を参照し、受信した棚IDの棚がすでにチェックイン中である(チェックイン状態である)か否かを判定する。チェックイン状態であればS404に進み、そうでない場合(非チェックイン状態である場合)にはS405に進む。
【0081】
S404では、チェックインできない旨を示すチェックイン不可通知を、S402で受信した棚IDの送信元の購入者端末100aに送信する。また、メモリ102bに保持したチェックイン状態の管理情報は更新しない。すなわち、この場合は受信した棚IDでのチェックイン処理は行わない。こうしてS404で送信されたチェックイン不可通知が前述した図3のS314で受信され、S315でチェックインエラーが表示される。
【0082】
S405では、CPU101bは、チェックイン処理を行う。具体的には、メモリ102bに保持されたチェックイン状態の管理情報において、S402で受信した棚IDの棚について、チェックイン状態を「チェックイン」とし、CIユーザーに、棚IDとともに受信したユーザーIDを関連付けて記憶する。すなわち、チェックイン処理は、棚ID(陳列場所情報)とユーザーID(ユーザー情報)とを関連付ける関連付け処理である。この場合の管理情報の例を図5(a)に示す。棚ID「678ユーザーID90」の棚について、チェックイン状態を「チェックイン」とし、CIユーザーのID「12345」を関連付けて記憶している。
【0083】
また、S405において、受信したCIユーザーのカート情報が生成されていなかった場合には、メモリ102bにCIユーザーのカート情報を生成する。図5(b)に、ユーザーID「12345」のカート情報の例を示す。カート情報には、ユーザーID毎に生成される情報である。カート情報には、ユーザーID、チェックインしている棚ID、商品棚から取り出した商品(カートに入っている商品)の商品名(あるいは商品の識別情報)、価格、数量、小計、商品の取出元の棚IDと、カート内の全商品の合計価格が関連付けて記憶される。図5(a)の例は、ユーザーが棚ID「67890」の棚にチェックインした直後の状態の例であり、カート内の商品が無い状態である。
【0084】
なお、S402で受信した棚IDとユーザーIDのうち、該当するユーザーIDのカート情報がメモリ102bにすでに記憶されている場合には、新たにカート情報を生成することはしない。この場合、既存の該当ユーザーIDのカート情報におけるチェックイン中の棚IDを受信した棚IDで更新する。このケースは第1の棚からの棚移動指示があり、決済することなく第1の棚からのチェックアウトが行われた後に、別の棚(第2の棚)にチェックインするケースである。第2の棚にチェックインした後に、第2の棚から商品を取り出すと、取り出した商品がカートに追加される。図5(c)に、棚ID「67890」の棚(第1の棚)で商品Aと商品Bを取り出した後に棚移動の指示が行われ、棚ID「67891」の棚(第2の棚)にチェックインして商品Cが取り出された場合のカート情報を示す。第1の棚で取り出した商品Aと商品Bに加え、第2の棚で取り出された商品Cが記録されており、合計価格は商品A,B,Cの合計となっている。
【0085】
S406では、CPU101bは、チェックインが完了した旨を示すチェックイン完了通知を、購入者端末100aと、エッジPC100cとの双方に送信する。ここで送信したチェックイン完了通知が、購入者端末100aにおいては前述の図3のS316で受信され、エッジPC100cにおいては後述する図6のS603で受信される。
【0086】
S407では、CPU101bは、エッジPC100cから送信された棚IDと商品認識スコア、及び取り出し通知または返却通知を受信したか否かを判定する。受信した場合にはS408に進み、そうでない場合にはS411へ進む。
【0087】
S408では、CPU101bは、エッジPC100cから受信した商品認識スコアに基づいて、棚からの取り出し/戻しが行われた対象の商品が何であるかを判定する。本実施形態ではこのように、商品の最終判定をエッジPC100cでなくサーバ装置100b側で行う。これにより、機械学習などの高機能な、あるいは最新の判定方法を用いたり、新商品の情報をエッジPCに反映することなくサーバ装置100bに反映するだけで商品判定を行うことができるといった効果がある。すなわち、エッジPC100cの高機能化に伴う設置コスト増加や、エッジPC100cの更新作業などの管理負荷を軽減することができる。エッジPCから受信する商品認識スコアは、商品をある程度推定した結果の情報(推論スコア)であってもよいし、商品を推定する前の、形状、色、大きさのパラメータなどの情報であってもよい。カメラ140で撮影された画像自体ではなく、ある程度パラメータ化した商品認識スコアを受信することによって、エッジPC100cとサーバ装置100bとの通信量を抑制し、高速な判定、応答を可能としている。
【0088】
なお、エッジPC100cからサーバ装置100bに商品認識スコアを送信するものに限るものではない。例えば、エッジPC100c側では商品が何であるかの判定のための処理を行わずに、商品の取り出し/戻しがあったと推定される場面についてカメラ140で撮影された画像自体(動画または静止画)を送信してもよい。この場合、受信したカメラ140での撮影画像に基づいてサーバ装置100bで商品を判定する。また逆に、エッジPC100c側で、取り出し/戻しがあったこと、及び対象の商品が何であるかの判定を行い、判定結果のみをサーバ装置100bに送信するようにしてもよい。この場合はS408の処理は省略される。
【0089】
S409では、CPU101bは、S408で判定された商品に基づき、メモリ102bに保持したカート情報を更新する。すなわち、S408で商品が棚から取り出されたと判定した場合は、受信した棚IDに関連付いたユーザーIDのカート情報にS408で判定した商品の情報を追加する。逆に、S408で商品が棚に戻されたと判定した場合は、チェックイン中のユーザーのカート情報のうち、受信した棚IDが取り出し元として記録されているカート情報から、S408で判定した商品を削除する。図5(b)に、元々カート情報に商品Aが入っている状態から、S407で、棚ID「67890」の棚IDと商品認識スコアを受信し、S408で商品Bが棚から取り出されたと判定された場合のカート情報の例を示す。商品Aに加えて商品Bの情報が追加されている。
【0090】
S410では、CPU101bは、カート情報を更新したことを示す更新通知を購入者端末100aに送信する。更新通知にはメモリ102bに保持した最新のカート情報も含まれる。すなわち、商品棚130からの商品の取り出しが行われた場合には、S408で判定された取り出された商品情報を含むカート情報も送信する。S410の処理の後、S430へ進む。
【0091】
S430では、CPU101bは、サイネージ制御処理を行う。サイネージ制御処理の詳細は図7を用いて後述する。
【0092】
S411では、CPU101bは、購入者端末100aから送信された修正指示(前述の図3のS332で購入者端末100aから送信した修正内容)を受信したか否かを判定する。修正指示を受信したと判定した場合は、S439へ進み、修正指示として受信した修正内容に基づいてメモリ102bに保持したカート情報を更新する。そして、S440でカート情報を更新したことを示す更新通知を購入者端末100aに送信する。修正指示を受信していない場合にはS412に進む。
【0093】
S412では、CPU101bは。購入者端末100aから送信された中止指示を受信したか否かを判定する。中止指示を受信した場合にはS413へ進み、そうでない場合にはS417へ進む。
【0094】
S413では、CPU101bは、S412で受信した中止指示を行ったユーザーのユーザーIDのカート情報に、商品が入っているか否かを判定する。商品が入っている場合にはS414に進み、そうでない場合にはS419に進む。
【0095】
S414~S416の処理は、S408~S410の処理と同様である。これによって中止指示を行ったユーザーのカート内から商品がなくなるとS413でNoと判定され、チェックアウト処理を伴う中止の処理(S419~S422の処理)が行われる。中止指示を行ったユーザーのカート内にまだ商品があるうちはS413でNoと判定されないため、チェックアウト処理を伴う中止の処理は行われない。
【0096】
S417では、CPU101bは、購入者端末100aから送信された決済指示(前述の図3のS341で購入者端末100aから送信した決済指示)を受信したか否かを判定する。決済指示を受信したと判定した場合は、S418へ進み、そうでない場合はS423に進む。
【0097】
S418では、CPU101bは、決済サービス170を呼び出し、決済サービス170に基づく決済処理を行う。
【0098】
S419では、CPU101bは、S412で中止指示を受け付けたユーザーIDまたはS417で決済指示を受け付けたユーザーIDについてのメモリ102bに保持したカート情報をクリア(消去)する。
【0099】
S420では、CPU101bは、チェックアウト処理を行う。具体的には、CPU101bは、S412で中止指示を受け付けたユーザーIDまたはS417で決済指示を受け付けたユーザーIDでチェックインしていた商品棚について、状態をチェックアウト状態に更新する。すなわち、チェックイン状態の管理情報(図5(a))における該当の棚IDについて、状態をチェックアウト状態とし、CIユーザーを消去する。これによって、棚とユーザー(購入者)との関連付けが消去される。
【0100】
S421では、CPU101bは、チェックアウトが完了した旨を示すチェックアウト完了通知を、購入者端末100aとエッジPC100cに送信する。
【0101】
S422では、CPU101bは、購入者端末100aから送信された棚移動指示(前述の図3のS328で購入者端末100aから送信した棚移動指示)を受信したか否かを判定する。棚移動指示を受信したと判定した場合は、S423へ進み、そうでない場合はS424に進む。
【0102】
S423では、CPU101bは、前述のS420と同様、チェックアウト処理を行う。
【0103】
S424では、CPU101bは、図4の処理の終了イベントがあったか否かを判定する。営業時間終了やユーザーからの終了指示、電源オフなどの終了イベントがあった場合には図4の処理を終了し、終了イベントが無い場合にはS402に進んで処理を繰り返す。
【0104】
図6に、エッジPC100cにおける販売システムに関する処理のフローチャートを示す。この処理は、不揮発性メモリ103cに記録されたプログラムをメモリ102cに展開し、CPU101cが実行することにより実現する。この処理は、本実施形態における販売システムによる販売が開始されるタイミング(営業時間の開始時間など)で、手動で開始される、あるいは所定の時間(営業時間の開示時間など)になったことに応じて自動的に開始される。図6は個別の棚に関する処理であり、本実施形態では棚130(棚ID:67890)の棚に関する処理として説明する。
【0105】
S601では、CPU101cは、棚130の状態としてメモリ102cまたは不揮発性メモリ103cに記憶している状態情報を、非チェックインに対応する情報に設定して記憶する。すなわち、非チェックイン状態とする。
【0106】
S602では、CPU101cは、カメラ140からの映像を取得する。ここで取得する映像は、棚130の商品の取り出し口が写った動画であるものとする。なお、商品の取り出し/戻しの検知にカメラ140以外のセンサーを用いる場合には、そのセンサーからの出力値を得る処理となる。
【0107】
S603では、CPU101cは、サーバ装置100bから送信されたチェックイン完了通知を受信したか否かを判定する。チェックイン完了通知を受信した場合にはS604へ進み、そうでない場合にはS606に進む。
【0108】
S604では、CPU101cは、棚130の状態としてメモリ102cまたは不揮発性メモリ103cに記憶して管理している状態情報を、チェックインに対応する情報に設定して記憶する。すなわち、チェックイン状態(棚130と購入予定者が関連付いた状態)とする。
【0109】
S605では、CPU101cは、音声出力部113cから、棚130から商品を取り出して良いことになった旨を示す音声を出力する。例えば、「ポーン」という効果音や「いらっしゃいませ」という音声メッセ―ジを鳴らし、購入者端末100aでQRコード160を読み取ったことに応じて棚130にチェックインできた(棚130が応答した)ことをユーザーに通知する。あるいは、「棚から商品を取り出してください」、「棚から商品を取り出した後、お手持ちの端末で決済を行ってください」といった、購入者120に棚から商品と取り出すことを促す音声(音声ガイダンス)や、買い物の仕方を説明する音声を鳴らしてもよい。すなわち、非チェックイン状態からチェックイン状態になったことに応じて、状態が変化したことを通知する、及び/または、商品棚130から商品を取り出すことを促す。
【0110】
S606では、CPU101cは、カメラ140から取得した映像に基づいて、棚130からの商品の取り出し、あるいは、棚130への商品の返却(戻し)があったか否かを判定する。すなわち、カメラ140で商品棚130を撮影した画像に基づいて、陳列場所から商品が取り出されたか否かを検知する。例えば、画像に基づいて、商品棚130の手前の基準位置から手が進入し、商品が置かれていた場所の被写体が変化し、基準位置から手が抜けたことを、商品を取り出した現象があったものとして検知する。取り出したまた返却された現象を検知した場合は取り出しまたは返却があったものとしてS607に進み、そうでない場合にはS610へ進む。
なお、本実施形態では、カメラ140で撮影された映像に基づいて商品の取り出し/戻しを検知する例を説明したが、検知する方法はこれに限るものではない。例えば、棚130の棚板などの陳列場所に陳列された物の重量を検知する重量センサーを陳列場所に取り付け、重量センサーから出力に基づく重量の変化によって商品の取り出し/戻しを検知してもよい。また、商品毎にICタグなどのRFID(radio frequency identifier)タグを取り付けておき、このタグとの無線通信によって商品の取り出し/戻しを検知してもよい。さらに、赤外線センサーを備え、赤外線センサーで棚130の手前(取り出し口)の基準線を越えて商品が移動したり、商品が置いてあった位置から無くなる、商品が無かった位置に商品が置かれる、などを検知してもよい。このような検知を示す赤外線センサーからの出力に基づいて商品の取り出し/戻しを検知してもよい。複数の検知方法の1つを採用してもよいし、複数を組み合わせて商品の取り出し/戻しを検知してもよい。
【0111】
S607では、CPU101cは、棚130の状態としてメモリ102cまたは不揮発性メモリ103cに記憶している状態情報を参照し、チェックイン状態であるか否かを判定する。チェックイン状態である場合にはS608へ進み、そうでない場合にはS609に進む。
【0112】
S608では、CPU101cは、管理対象である棚130の棚ID(本実施形態では67890)と、S606で取り出しまたは返却があった旨(取り出し通知または返却通知)、及び取り出しまたは返却の現象が検知された商品の商品認識スコアをサーバ装置100bに送信する。すなわち、商品の取り出し/返却の検知に関する検知内容を送信する。なお、商品認識スコアは、例えば、カメラ140で撮影された画像を、機械学習で学習された学習済みモデルに入力し、推論処理を行った結果として出力される情報である。また、商品認識スコアは、カメラ140で撮影された画像に基づき、外観・形状から商品の類推を行い候補となる商品のスコア付けを行った結果ともいえる。
【0113】
S609では、CPU101cは、音声出力部113cから音声でエラー通知(エラー出力)を行う。この場合、エッジPC100cからはサーバ装置100bに対しての商品スコアの送信は行わない。サーバ装置100bと通信することなくエラー通知を行うことで、より素早くエラー通知を行え、購入者120により早くエラーとなる行為であることを認識させることができる。なお、チェックインせずに取り出された商品が何であるかを管理するために、この場合にも商品スコアをサーバ装置100bに送信するようにしてもよいが、送信のタイミングはエラー通知よりも後であるものである。すなわち、エラー通知を出力するタイミングにおいては、サーバ装置100bへの検知結果の送信をすることなくエラー通知を出力する。また、エラー通知を出力するトリガーは、S606で説明した商品が取り出されたことを検知したことではなく、例えば、手が商品棚130に進入してきたという現象を検知したこととしてもよい。このトリガーでエラー通知を出力することで、より早いタイミングで購入者120にエラーとなる行動であることを認識させることができ、商品が取り出されることを未然に防ぐことができる可能性もある。この現象は、商品が取り出される可能性のある現象であり、商品の取り出しの準備動作である。このように、商品が取り出される現象としての商品の取り出しの準備動作を検知することで、商品の取り出しがあったことを検知した場合と同様の処理をしてもよい。この場合、検知の対象は、商品が取り出される現象であり、当該現象の検知により、商品の取り出しがあったものとして処理される。返却についても同様であり、商品が返却された現象のみならず、商品が返却される現象としての商品の返却の準備動作を検知することで、商品の返却があったことを検知した場合と同様の処理をしてもよい。この場合、検知の対象は、商品が返却される現象であり、当該現象の検知により、商品の返却があったものとして処理される。
【0114】
エラー通知は、非チェックイン状態で取り出された商品が棚130に戻された、もしくは所定時間(例えば1分)が経過したことに応じて自動で解除される。取られた商品が返却されない場合にもエラー通知を所定時間出力した後に自動的に解除することで、不正な操作によって、無人である棚130でエラー通知が長く継続してしまい、別の購入者の購買機会が損なわれてしまうことを防止することができる。
【0115】
エラー通知は、例えば、「商品を取り出す前にチェックインを行ってください」、「棚に掲示されたQRコードをお手持ちの端末で読み取ってから商品を取り出してください」といったチェックインするための行動を促す音声メッセージや、効果音である。また、「一度商品を棚に戻してから棚のQRコードを読み取ってください」といったメッセージのより、一度商品をもとの位置に戻すことを促してもよい。エラー通知は、商品棚130から商品を取り出した人物、または取り出そうとした人物が聞くことが可能な音によって出力される。このエラー通知によって、購入者120(購入予定者)は、商品を取って良い状態でない場合に商品を取ってしまった場合に、それに気づいて元に戻せる。すなわち、本実施形態の販売システムを適切に利用することができる。
【0116】
S610では、CPU101cは、サーバ装置100bから送信されたチェックアウト完了通知を受信したか否かを判定する。チェックアウト完了通知を受信した場合はS611に進み、そうでない場合にはS613に進む。
【0117】
S611では、CPU101cは、棚130の状態としてメモリ102cまたは不揮発性メモリ103cに記憶して管理している状態情報を、非チェックインに対応する情報に設定して記憶する。すなわち、チェックアウトして非チェックイン(棚130と購入予定者が関連付いていない状態)とする。
【0118】
S612では、CPU101cは、音声出力部113cから、棚130からのチェックアウトに伴う音声を出力する。例えば、「ピロリン」という効果音や、「ご利用ありがとうございました」といった音声メッセ―ジを鳴らす。
【0119】
S613では、CPU101cは、サーバ装置100bからサイネージ制御指示を受信したか否かを判定する。サイネージ制御指示を受信した場合にはS614に進み、そうでない場合にはS615に進む。ここで受信されるサイネージ制御指示は、後述する図7のS708、S709、S711のいずれかで出力(送信)された各種応答の指示と、各種応答内容(画像、音声のデータを含む広告データなど)である。S614では、CPU101cは、S614で受信した指示に応じた応答をサイネージ装置100dに出力し、サイネージ装置100dから応答を出力するように制御する。すなわち、外部I/F109cを介して、サイネージ装置100dに、サーバ装置100bから指示された応答を出力するためのデータ(画像・音声)を出力する。
【0120】
S615では、CPU101cは、図6の処理の終了イベントがあったか否かを判定する。営業時間終了やユーザーからの終了指示、電源オフなどの終了イベントがあった場合には図6の処理を終了し、終了イベントが無い場合にはS02に進んで処理を繰り返す。
【0121】
図7に、図4のS430で前述したサイネージ制御処理の詳細フローチャートを示す。この処理は、棚130からの商品の取り出しを示す現象の検知及び取り出しの対象となる商品の特定、または、棚130への商品の返却を示す現象の検知及び返却の対象となる商品の特定に応じて実行される処理である。
【0122】
S701では、システム制御部50は、商品の取り出しを示す現象が検知されたのか、商品の返却を示す現象が検知されたのかを判定する。より具体的には、S407で受信したのが取り出し通知であったのか返却通知であったのかを判定する。取り出しであった場合はS702に進み、返却であった場合にはS710に進む。
【0123】
S702では、システム制御部50は、タイマーTをリセットしてスタートする。タイマーTは例えば6秒である。このタイマーTが満了するまでは、取り出された商品に関する後述の取り出し応答(S708またはS709で出力するもの)は出力しない。購入を迷っていない客にとっては商品を取り出すだけで毎回広告が表示されるのは煩わしいと感じる可能性があるため、購入を迷っていると想定される6秒経過後までは後述の取り出し応答を表示しない。なお、煩わしくない程度に、取り出した商品がなんであるかなどといった情報は、タイマーTの満了前にディスプレイ105dに表示してもよい。また、S702~S705を設けずに、取り出したらすぐ応答するようにS701で取り出しと判定された後にすぐS706以降の処理を行っても良い。
【0124】
S703では、システム制御部50は、エッジPC100cから送信された棚IDと商品認識スコア、及び取り出し通知または返却通知を受信したか否かを判定する。受信した場合にはS704に進み、そうでない場合にはS705へ進む。S704では、システム制御部50は、タイマーTをストップして前述の図4のS408に進む。
【0125】
S705では、システム制御部50は、タイマーTが満了したか否かを判定する。タイマーTが満了していない場合はS703に進み、タイマーTが満了した場合はS706に進む。このようにすることで、例えば商品Aが取り出されたあと、すぐに商品Bが取り出された場合には、商品Aの取り出しに応じてスタートしたタイマーTが満了する前にS703でYesと判定され、S706の処理は行われない。すなわち、商品Aの取り出し応答(S708またはS709で出力される応答)はサイネージ装置100dから出力されない。このケースは、購入者120は商品Aと取り出しあとにすぐ商品Bを取り出しているため、商品Aは迷いなく購入するつもりであると想定される。そしてこの場合には商品Aの取り出し応答による広告が表示されないため、購入者120が煩わしく感じる可能性を低減することができる。
【0126】
S706では、システム制御部50は、取り出しの対象となった商品(取り出された商品)の広告情報を、不揮発性メモリ103b、または、サーバなどの通信可能な外部の広告情報を記憶した記憶手段から検索する。外部の広告情報を記憶した記憶手段は、例えば広告情報を記憶したデータベースを記憶しており、期間限定のキャンペーン情報や、新製品や取扱終了製品の情報、店舗ごとの在庫や価格といった情報が逐次更新されて記憶されている。
【0127】
S707では、システム制御部50は、S706で検索した結果取得できた広告情報に動画が含まれているか否かを判定する。動画が含まれている場合はS708に進み、そうでない場合にはS709に進む。
【0128】
S708では、システム制御部50は、S706で検索した結果取得された広告情報に基づき、取り出しの対象となった商品に関する動画付きの取り出し応答をサイネージ装置100dから出力するように制御する。より詳しくは、動画付きの取り出し応答を出力する指示(サイネージ制御指示)と、動画付きの取り出し応答の内容(動画、静止画、商品情報、関連商品情報、価格情報、キャンペーン情報等)とを、エッジPC100cに送信する。
【0129】
図9(a)に、サイネージ装置100dのディスプレイ105dにおける、動画付きの取り出し応答の表示例を示す。領域901では、S706で検索した結果取得できた広告の動画を再生表示する。サイネージ装置100dの音声出力部113dから、再生している動画の音声を出力する。動画は視聴に時間がかかるため、店舗内を移動している来店客には立ち止まって視聴してもらうことができない場合がある。しかし、商品を取り出して手に取っているユ―ザーは立ち止まっている可能性が高く、さらにその商品に興味を持っていると思われる。そのため、商品を棚から取り出したタイミングで再生される動画は購入者120に視聴してもらえる可能性が高く、効果的な広告となる。領域902には、取り出しの対象となった商品に関する各種商品情報を表示する。領域902に表示される商品情報には以下の情報の少なくとも1つが含まれるものとする。商品の名称、商品の画像(動画または静止画)、商品の通常価格、商品の販売価格(通常価格からの割引済み価格)、現在適用されるキャンぺーン情報。商品の宣伝文句、訴求ポイント、特長、効能、効果、使用方法、推奨使用場面、配合成分、表示指定成分、アレルギー関連情報、ハラル情報(ハラムを含むか否かに関する情報)。さらに、取り出しの対象となった商品に関する電子クーポン(割引券、ポイント還元券)を表示してもよい。領域902に表示する商品情報には、商品自体のパッケージには表示されていないより詳細な情報、商品自体のパッケージでは字が小さくて見辛い情報の少なくとも1つを含む。領域903には、取り出しの対象となった商品とは異なる、関連商品を表示する。また、取り出しの対象となった商品とセットで購入することによる割引情報を表示する。さらに、領域904には、取り出しの対象となった商品の陳列棚の位置に相当する現在位置と、領域903に表示した関連商品の売り場(陳列棚)を示す表示を行う。図示の例は店内の見取り図(地図、マップ)で売り場の場所を示しているが、棚番号と何段目かなどの文字列による案内でもよい。領域904の表示によって、客が関連商品を探す手間が省け、関連商品の購買意欲を削ぐ要因(心理的ハードル)が減る。従って関連商品の売り上げ増に寄与する。
【0130】
S709では、システム制御部50は、S706で検索した結果取得された広告情報に基づき、取り出しの対象となった商品に関する動画なしの取り出し応答をサイネージ装置100dから出力するように制御する。より詳しくは、動画なしの取り出し応答を出力する指示(サイネージ制御指示)と、動画なしの取り出し応答の内容(静止画、商品情報、関連商品情報、価格情報、キャンペーン情報等)とを、エッジPC100cに送信する。動画無しの取り出し応答は、例えば、図9(a)の領域901の表示が静止画の広告画像となった表示が行われる。
【0131】
一方、返却を示す現象を検知した場合、S710では、システム制御部50は、返却の対象となった商品が、表示されている取り出し応答の対象の商品(取り出し応答の要因となった取り出しの対象の商品)と同一であるか否かを判定する。表示中の取り出し応答の対象商品と同じ商品が返却された場合はS711に進む。そうでない場合、すなわち表示中の取り出し応答と異なる商品が返却された場合には、返却応答をすることなく、図7の処理を終了する。また、前述のS708かS709で説明した取り出し応答がサイネージ装置100dに表示されていない場合にもS710はNoと判定し、返却応答をすることなく、図7の処理を終了するものする。
【0132】
S711では、システム制御部50は、返却の対象となった商品(返却された商品、返却対象商品)に関する返却応答をサイネージ装置100dから出力するように制御する。より詳しくは、返却応答を出力する指示(サイネージ制御指示)と、返却応答の内容(動画、静止画、商品情報、関連商品情報、価格情報、キャンペーン情報等)とを、エッジPC100cに送信する。
【0133】
図9(b)に、サイネージ装置100dのディスプレイ105dにおける、返却応答の表示例を示す。返却応答は、取り出し応答とは少なくとも一部が異なる表示内容とする。サイネージ装置100dの音声出力部113dからは、返却応答に対応する音声も出力する。
図9(b)において、領域901に表示していた動画は、返却に対応する現象の検知があっても、途中で停止することなく最後まで再生するものとする。これは、動画を途中で停止すると広告の品位が落ちる、返却を行った客以外の他の客が見ている可能性があることなどが理由である。なお、これに限るものではなく、領域901に表示していた動画を停止し、静止画ですばやく商品の特徴を伝える広告を表示し、「ちょっとお待ちください」など、客の注意を惹く音声を出力するようにしてもよい。
【0134】
図9(b)の領域902は、図9(a)の領域901の表示内容と異なる内容を表示する。図9(a)の領域902では、「お手に取っている商品」としていたものを、図9(b)の領域902では、「お手にとっていた商品」と表示を変更し、返却という行為に応答した表示であることを示す。また、返却対象商品の割引のキャンペーン期間が「10/31まで」といったような限定期間情報902a(期間限定であるイベントの期間に関する情報)を表示する。これによって、後日購入するのではなく、すぐ購入したほうが良いという動機付けを客(購入者120)に与え、早期の購入、再度の取り出しを促す。さらに、クーポン情報902bを表示し、図9(a)で表示していた価格に対して更なる価格優遇(この例ではポイントによる還元)が可能である旨を表示する。図9(b)のクーポン情報902bは、価格優遇としてポイント還元のための表示であるが、価格優遇として価格割引が可能である旨の表示としてもよい。これによって、返却対象商品の購入の動機付けを客に与え、再度の取り出し、購入を促す。
【0135】
図9(b)の領域905には、返却対象商品の関連商品として、返却対象商品と同じ種別の他の商品に関する情報を表示する。領域905では例として、返却対象商品よりも高価な商品(ワンランク上の類似商品)と、安価な商品(お手頃な類似商品)を表示する。このようにすることで、返却対象商品を購入者120が返却した理由が、品質面での不満足であった場合に、より高品質(高価格)である商品を提案することで、客の満足する商品の購入に寄与することができる。逆に、返却対象商品を購入者120が返却した理由が、価格面での不満足であった場合に、より低価格である商品を提案することで、客の満足する商品の購入に寄与することができる。さらに、返却対象商品と同じ種別の商品のうち、最も人気のある商品、最も売り上げ数が大きい商品、インターネットなどでの「いいね」などの支持反応や口コミが多い商品などを表示するようにしてもよい。領域905に表示する商品についても、陳列場所情報905aや905bのようにそれぞれ陳列場所を示す情報を表示し、客が興味を持った場合に商品を探す手間を省く。陳列場所情報905a、905bとして文字列で陳列場所を示す例を説明したが、領域904に表示されたようなマップ(店内見取り図)上に示してもよい。
【0136】
なお、S710でYesと判定された場合に返却応答を出力する例を説明したが、これに限るものではない。S710の処理を省き、前述のS708かS709で説明した取り出し応答がサイネージ装置100dに表示されていない場合にも、返却応答を出力するようにしてもよい。さらに、S710の処理を省き、サイネージ装置100dに、返却の対象となった商品と異なる商品に関する取り出し応答が表示されていた場合にも、取り出し応答を中止するか並行して、返却対象の商品の返却応答を出力するように制御してもよい。この場合表示する内容は、図9(b)の表示でもよいし、それに限らず、図9(a)のような表示でもよい。このようにすることで、商品を一度取り出したが返却した客(購入者120)、すなわち購入を躊躇したユーザーに対して、より購入したくなるような効果的な広告を出力することができる。さらに、取り出し応答(S708、S709)の処理をしないように設計し、返却応答(S711)の処理だけを行うようにしてもよい。このようにすることで、取り出しの度に広告が表示されることが抑止されるため、ユーザー(購入者120)が煩わしく感じる可能性を低減することができる。また、商品を取り出して返却するといった、一度は購入を検討したがやめようとした素振りを見せた場合にだけというように頻度を減らして広告を表示することで、ユーザー(購入者120)がより印象的に感じるような効果的な案内とすることができる。
【0137】
あるいは、返却応答を、返却の対象となった商品にかかわらず、客が商品を取り出してくれたこと、購入を検討してくれたことに謝辞を伝える通知としてもよい。例えば、返却応答として、「ご検討ありがとうございます。またのご検討をよろしくお願い致します。」といったメッセージを表示または音声出力するようにしてもよい。このようにすることで、客の店舗に対する好感度を向上させることが期待でき、長期的な売り上げの増大に寄与することが可能となる。
【0138】
このように、本実施形態においては、商品の取り出しに応答して、取り出し応答を出力し、返却に応答して、返却応答を出力する。従って、客の動作に合わせてより効果的な宣言(商品の案内)を行うことができる。
【0139】
図10に、取り出し応答の他の例を説明する。S706~S709の代わりに、このタイミングでサイネージ装置100dのディスプレイ105dに、図10のような取り出し応答を表示するように制御してもよい。CPU101bは、商品の取り出しに対応する現象の検知に応じて、サイネージ装置100dにおける対話機能(音声対話機能、画面操作による対話機能、バーチャルアシスタント機能)を起動するように制御する。対話機能の起動に応じて、サイネージ装置100dのディスプレイ105d(タッチパネル70d)に図10のような画面が表示される。アバター1001は、対話相手を模したキャラクターである。商品の案内訳であり、店舗店員のような役割を果たす。アバター1001は、人物や動物などのキャラクターのアニメーションや静止図画としてもよいし、写真や動画としてもよい。吹き出し1002には、取り出しの対象商品と、取り出しを認識した旨(「お手に取って頂き」)が表示される。また、客に向けた商品や店舗に関する案内が可能である旨を客に通知する内容(「ご案内いたします」)を表示する。これによって購入者120は、表示部105dの表示内容が自分に向けたものであるということを認識することができる。吹き出し1003には、対話機能が起動されたため、音声または操作部の操作(この例では画面タッチ)による入力を促すメッセージが表示される。吹き出し1002、1003に表示した内容は、音声出力部113dから音声によって出力(読み上げ)してもよい。選択肢1004~1006は、画面タッチによる対話のためのユーザーからの入力を受け付けるタッチ操作アイテムである。図10が表示された状態でユーザーがなんらかの言葉を発言すると、それが音声入力部114dで収音され、音声入力として入力される。音声入力は外部I/F109dまたは通信I/F110dを介し、エッジPC100を経由して(経由しなくてもよい)サーバ装置100bに送信される。サーバ装置100bは受信した音声入力を解析し、解析結果に応じた応答情報を生成する応答生成処理を行い、生成された応答情報を、エッジPC100cを経由して(経由しなくてもよい)、サイネージ装置100dに送信する。サイネージ装置100dは、サーバ装置100bから送信されてきた応答情報に基づく情報を、ディスプレイ105dで表示したり、音声出力部113dから出力したりする。例えば、図10の画面が表示された状態で、ユーザーが、「この商品の成分を教えて」と発音すると、それに応じて、取り出しの対象となった商品(例えば「きらめきシャンプー」)の成分に関する情報が表示および音声出力される。例えば、図9(a)の領域902の「配合成分」、「表示指定成分」、「ハラル情報」のような内容を表示するとともに、音声として読み上げる。同様にして、取り出しの対象となった商品の詳細情報、関連商品の情報、取り出しの対象となった商品にかかわらない情報(他の商品や店舗案内など)に関して、ユーザーからの問いかけに応答して出力することが可能である。
【0140】
なお、上述のサイネージ装置100dにおける対話機能の起動と図10の表示は、取り出し応答に限らず、商品が返却されることに対応する現象(返却対応現象)の検知に応じた返却応答(図7のS711の処理)として行ってもよい。返却対応現象に応じて対話機能を表示する場合には、返却対応現象を認識した旨、返却対象商品を示す情報が出力(表示・音声出力)される。
【0141】
なお、本実施形態では、サーバー装置100bからエッジPC100cにサイネージ制御指示を送信し、これを受けてエッジPC100cからサイネージ装置100dに応答の内容を出力する例を説明したが、これに限るものではない。すなわち、エッジPC100cを介することなく、サーバ装置100bからサイネージ装置100dにサイネージ制御指示を送信して、サイネージ装置100dに各種応答を行わせるようにしても良い。また、図7の処理をサーバ装置100bで行うものとして説明したが、これに限るものではない。すなわち、エッジPC100cで取り出しまたは返却の対象となった商品を特定するものとし、サーバ装置100bを介することなく、エッジPC100cで図7のサイネージ制御処理を行うものとしてもよい。この場合、エッジPC100cで商品の取り出しまたは返却を検知した場合(S606Yes)に、エッジPC100cにおいて取り出しまたは返却の対象となった商品を特定する処理を行ったうえで、図7の処理をエッジPC100cのCPU101cが実行する。この場合、S708、S709、S711の各種応答の出力先はサイネージ装置100dとなる。また、この時、S708、S709、S711の各種応答の出力先を、エッジPC100cの備えるディスプレイ(不図示、購入者120から視認可能な位置に設置されるものとする)、音声出力部113cとすることも可能である。こうすると、エッジPC100cとサイネージ装置100dを別体の装置とすることなく、同一の装置で実現することができる。
【0142】
また、図7のサイネージ制御処理は、チェックイン/チェックアウトの制御を行わないシステムに対しても適用可能である。さらに、購入者端末100aを用いた購入システムに限らず、有人あるいはセルフサービスのレジにおいて購入の決済を行うような店舗に対しても適用可能である。すなわち、図1の購入者端末100a、サーバ装置100b、決済サービス170、QRコード160のうち少なくとも1つを省いたシステムにも適用可能である。
【0143】
以上説明した本実施形態によれば、商品に関する案内をより効果的に行うことができる。従来、店舗におけるデジタルサイネージなどの広告が来店客に対して効果が不十分であった要因は、例えば、店舗を動き回っている来店客に対して動画でアピールとしたとしても立ち止まって動画広告を見てくれるとは限らない点である。これに対し本実施形態によれば、商品を取り出した客、あるいは返却した客に対して図9図10で説明したような商品の案内を行うように制御する。商品と取り出した、あるいは返却したということは、その商品に対して来店客が少なくとも興味を示している状態である。しかも、取り出しまたは返却のために立ち止まっている可能性が高い。このような立ち止まっており、かつ、商品に興味を示している来店客に対して、興味を示している商品に関する案内を出力するため、来店客にその案内を見て貰える可能性が高まる。すなわち、本実施形態によれば、商品に関する案内をより効果的に来店客に認識させることができ、商品の売り上げの向上に寄与することができる。
【0144】
なお、上述の実施形態においては、商品の陳列場所として商品棚130を例に挙げたが、これに限るものではなく、陳列場所は、購入者が商品を取り出せる場所であれば棚以外の場所であってもよい。
【0145】
なお、CPU101a、101b、101cが行うものとして説明した上述の各種制御は、それぞれ1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0146】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能であ
【0147】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置の1つ以上のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0148】
100a:購入者端末 100b:サーバ装置 100c:エッジPC 130:棚
図1
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図10