(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】水の処理方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C02F 1/52 20230101AFI20240111BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20240111BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240111BHJP
【FI】
C02F1/52 H
C02F1/28 A
C02F1/44 D
(21)【出願番号】P 2021516335
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2020018044
(87)【国際公開番号】W WO2020218621
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2019085981
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平良 隆博
(72)【発明者】
【氏名】林 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】吹田 延夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕俊
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-078034(JP,A)
【文献】特開2016-144800(JP,A)
【文献】特開2003-225680(JP,A)
【文献】特開2003-285076(JP,A)
【文献】特開2002-058966(JP,A)
【文献】特開2009-167184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/52 - 1/56
1/00
1/28
1/42
1/44
B01D 61/00 - 71/82
C07B 31/00 - 61/00
63/00 - 63/04
C07C 1/00 - 409/44
C08F 2/00 - 2/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)を含有する水から前記重合体(I)を除去する除去工程を含み、前記除去工程は、
前記重合体(I)を含有する水に無機凝集剤および高分子凝集剤を添加することにより、前記重合体(I)を含有する水に凝集を行う工程であり、前記重合体(I)の数平均分子量が、1.0×10
4以上であり、前記重合体(I)の重合単位(I)の含有量が、前記重合体(I)の全重合単位に対して、40モル%以上100モル%以下であることを特徴とする水の処理方法。
CX
1X
3=CX
2R(-CZ
1Z
2-A
0)
m (I)
(式中、X
1及びX
3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF
3であり;X
2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A
0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z
1及びZ
2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
【請求項2】
前記重合体(I)が、水溶性重合体である、請求項1記載の処理方法。
【請求項3】
前記無機凝集剤は、アルミニウム塩、鉄塩、カルシウム塩、並びに、2価以上の金属元素およびケイ素を含むケイ酸塩鉱物からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩である請求項
1または2記載の処理方法。
【請求項4】
前記無機凝集剤は、硫酸アルミニウム及びポリ塩化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルミニウム塩である請求項
1~3のいずれかに記載の処理方法。
【請求項5】
前記高分子凝集剤は、アニオン性高分子凝集剤である請求項
1~4のいずれかに記載の処理方法。
【請求項6】
前記除去工程は、前記重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加し、その後、高分子凝集剤を添加する工程である請求項1~
5のいずれかに記載の処理方法。
【請求項7】
前記重合体(I)を含有する水は、フルオロポリマーの重合工程を経た水である請求項1~
6のいずれかに記載の処理方法。
【請求項8】
下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)、水、及び、53より高いイオン交換率を有する含フッ素ポリマー(ただし、前記重合体(I)を除く)を含み、前記重合体(I)の含有量が250ppm以下であり、前記重合体(I)の数平均分子量が、1.0×10
4以上であり、前記重合体(I)の重合単位(I)の含有量が、前記重合体(I)の全重合単位に対して、40モル%以上100モル%以下であることを特徴とする組成物。
CX
1X
3=CX
2R(-CZ
1Z
2-A
0)
m (I)
(式中、X
1及びX
3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF
3であり;X
2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A
0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z
1及びZ
2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
【請求項9】
前記重合体(I)は、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体である請求項
8記載の組成物。
【請求項10】
前記重合体(I)は、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、アニオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体である請求項
8又は
9記載の組成物。
【請求項11】
炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、数平均分子量が、1.0×10
4以上である水溶性重合体、水、及び、53より高いイオン交換率を有する含フッ素ポリマー(ただし、前記水溶性重合体を除く)を含み、前記水溶性重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物。
【請求項12】
炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、数平均分子量が、1.0×10
4以上であり、かつ、アニオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体、水、及び、53より高いイオン交換率を有する含フッ素ポリマー(ただし、前記重合体を除く)を含み、前記重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物。
【請求項13】
前記含フッ素ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンである請求項
8~
12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記含フッ素ポリマーの含有量が、1~5000ppmである請求項
8~
13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
さらに、2価以上の金属イオンを含み、2価以上の金属イオンは、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種の金属のイオンである請求項
8~
14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
2価以上の金属イオンの含有量が、0.05~1000mg/Lである請求項
15に記載の組成物。
【請求項17】
下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記重合体(I)の含有量が250ppm以下であり、2価以上の金属イオンは、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種の金属のイオンであり、前記重合体(I)の数平均分子量が、1.0×10
4以上であり、前記重合体(I)の重合単位(I)の含有量が、前記重合体(I)の全重合単位に対して、40モル%以上100モル%以下であることを特徴とする組成物。
CX
1X
3=CX
2R(-CZ
1Z
2-A
0)
m (I)
(式中、X
1及びX
3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF
3であり;X
2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A
0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z
1及びZ
2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
【請求項18】
炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、数平均分子量が、1.0×10
4以上である水溶性重合体、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記水溶性重合体の含有量が250ppm以下であり、2価以上の金属イオンは、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種の金属のイオンであることを特徴とする組成物。
【請求項19】
炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、数平均分子量が、1.0×10
4以上であり、かつ、アニオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記重合体の含有量が250ppm以下であり、2価以上の金属イオンは、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種の金属のイオンであることを特徴とする組成物。
【請求項20】
2価以上の金属イオンの含有量が、0.05~1000mg/Lである請求項
17~
19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、数平均分子量が、1.0×10
4以上である水溶性重合体を含有する水から前記水溶性重合体を除去する工程を含み、前記工程は、
前記水溶性重合体を含有する水に無機凝集剤および高分子凝集剤を添加することにより、前記水溶性重合体を含有する水に凝集を行う工程であることを特徴とする水の処理方法。
【請求項22】
炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、数平均分子量が、1.0×10
4以上であり、かつ、アニオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体を含有する水から前記重合体を除去する工程を含み、前記工程は、
前記重合体を含有する水に無機凝集剤および高分子凝集剤を添加することにより、前記重合体を含有する水に凝集を行う工程であることを特徴とする水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水の処理方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
工業生産に伴って発生する排水には、生産工程で使用された各種化学物質が含まれている場合があり、排水の処理方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フッ素含有排水に、フッ素イオン1mgに対して15~70mgのアルミニウムイオンを添加する工程、及び、凝集剤を添加する工程を含むことを特徴とするフッ素含有排水の処理方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、硫酸塩含有排水からフッ素を除去する排水処理装置において、前記硫酸塩含有排水とアルミ系無機凝集剤とを混合する混合部と、前記混合部で混合された混合液を固液分離する固液分離部と、前記固液分離部で固液分離して得た固形分を前記混合部に供給するための供給手段と、を備える排水処理装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、フッ素含有排水にカルシウムを添加して前記排水中のフッ素をフッ化カルシウム不溶化物として固液分離するフッ素含有排水の処理方法において、前記排水中にカルシウムを添加し、生成する不溶性析出物を分離することなくリン酸化合物を含む薬剤を添加し、次いで塩基度が20~80%のアルミニウム塩を添加することを特徴とするフッ素含有排水の処理方法が記載されている。
【0006】
非特許文献1には、フッ素を含有する排水からフッ素を除去する排水処理装置として、排水にアルミ系無機凝集剤を混合して水酸化アルミニウム(Al2(OH)3)のフロックを生成させ、当該フロックによってフッ素を吸着し共沈させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-241011号公報
【文献】特開2016-187779号公報
【文献】国際公開第2017-017833号
【非特許文献】
【0008】
【文献】和田祐司、「フッ素含有排水の高度処理法」、科学と工業、2002年、第76巻、p.557-564
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、水から特定の重合体を除去する新規の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)を含有する水から前記重合体(I)を除去する除去工程を含むことを特徴とする水の処理方法(以下「本開示の第1の処理方法」ともいう)を提供する。
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
【0011】
上記重合体(I)は、水溶性重合体であることが好ましい。
【0012】
上記除去工程は、上記重合体(I)を含有する水に、濾過、吸着及び凝集のうち少なくとも1つを行う工程であることが好ましい。
【0013】
上記除去工程は、上記重合体(I)を含有する水に凝集を行う工程であることが好ましい。
【0014】
上記除去工程は、前記重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加する工程であることが好ましい。
【0015】
上記無機凝集剤は、アルミニウム塩、鉄塩、カルシウム塩、並びに、2価以上の金属元素およびケイ素を含むケイ酸塩鉱物からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩であることが好ましい。
【0016】
上記無機凝集剤は、硫酸アルミニウム及びポリ塩化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルミニウム塩であることが好ましい。
【0017】
上記除去工程は、前記重合体(I)を含有する水に高分子凝集剤を添加する工程であることが好ましい。
【0018】
上記高分子凝集剤は、アニオン性高分子凝集剤であることが好ましい。
【0019】
上記除去工程は、上記重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加し、その後、高分子凝集剤を添加する工程であることが好ましい。
【0020】
上記重合体(I)を含有する水は、フルオロポリマーの重合工程を経た水であることが好ましい。
【0021】
本開示はまた、下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)、水、及び、含フッ素ポリマー(ただし、前記重合体(I)を除く)を含み、前記重合体(I)の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物を提供する。
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
【0022】
前記重合体(I)は、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であってもよい。
前記重合体(I)は、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体であってもよい。
【0023】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体、水、及び、含フッ素ポリマー(ただし、前記水溶性重合体を除く)を含み、前記水溶性重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物を提供する。
【0024】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体、水、及び、含フッ素ポリマー(ただし、前記重合体を除く)を含み、前記重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物を提供する。
【0025】
前記含フッ素ポリマーは、53より高いイオン交換率を有することが好ましい。
前記含フッ素ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
本開示の組成物において、前記含フッ素ポリマーの含有量が、1~5000ppmであることが好ましい。
本開示の組成物は、さらに、2価以上の金属イオンを含むことが好ましい。
本開示の組成物において、2価以上の金属イオンの含有量が、0.05~1000mg/L以上であることが好ましい。
【0026】
本開示は更に、下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記重合体(I)の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物を提供する。
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
【0027】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記水溶性重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物を提供する。
【0028】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物を提供する。
【0029】
本開示の組成物において、2価以上の金属イオンの含有量が、0.05~1000mg/L以上であることが好ましい。
【0030】
本開示はそして、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含有する水から前記水溶性重合体を除去する工程を含むことを特徴とする水の処理方法を提供する。
【0031】
本開示は更に、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体を含有する水から前記重合体を除去する工程を含むことを特徴とする水の処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本開示の処理方法は、新規な方法で、上記重合体(I)等の特定の重合体を除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示を具体的に説明する前に、本明細書で使用するいくつかの用語を定義又は説明する。
【0034】
本明細書中、特に断りのない限り、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO-、
RaCO-、
RaSO2-、
RaCOO-、
RaNRaCO-、
RaCONRa-、
RaOCO-
RaOSO2-、及び、
RaNRbSO2-
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、Hまたは1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
本明細書中、特に断りのない限り、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、及び、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられる。
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6~12、好ましくは総炭素原子数6~10のアリール基、例えば、フェニル基、4-ニトロフェニル基、4-アセチルアミノフェニル基、4-メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~10の5~6員ヘテロ環、例えば2-テトラヒドロフリル基、2-ピリミジル基等が挙げられる。
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3-ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~8のアシルアミノ基、総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(t)-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基などを有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2~9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2~5のアルキルカルバモイル基、例えばN-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1~6、好ましくは総炭素原子数1~4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル等が挙げられる。
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6~10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル基等が挙げられる。
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは総炭素原子数2~8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2-ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1~9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2~10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7~13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1~7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3~6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6~11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4-ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
上記芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1~4の脂肪族基、総炭素原子数1~4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1~4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2~4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1~8、より好ましくは総炭素原子数1~6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t-ブチルチオ基等が挙げられる。
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N-ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、4-ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
本開示において、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(たとえば、1~10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)。
本開示において、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(たとえば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)。
本開示において、ppmおよびppbは特に記載のない限り、質量換算で求める値である。
以下、本開示の処理方法について詳細に説明する。
【0035】
本開示の第1の処理方法は、下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)を含有する水から重合体(I)を除去する除去工程を含むことを特徴とする。
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
【0036】
上記除去工程は、重合体(I)を含有する水に、濾過、吸着及び凝集のうち少なくとも1つを行う工程であることが好ましい。上記濾過、吸着及び凝集のそれぞれは組み合わせて実施してもよく、濾過、吸着及び凝集のそれぞれを複数回繰り返してもよい。
【0037】
(濾過)
上記濾過の方法は限定されないが、例えば、重合体(I)を含有する水を濾過助剤と接触させる方法、重合体(I)を含有する水を濾過膜に通す方法等が挙げられる。濾過における温度は特に限定されないが、例えば、0~50℃であってよい。
【0038】
(重合体(I)を含有する水を濾過助剤と接触させる方法)
上述した重合体(I)を含有する水は、例えば、濾過助剤と接触させた後に濾過すると、または、濾過助剤を保持した濾過助剤保持部材と接触させると、ろ濾過助剤に捕捉された重合体(I)と、濾液とに分離される。濾過助剤は一般に、濾過抵抗の低減やろ材の目詰まり防止等、濾過特性向上を目的として用いられるものであり、通常は粒子状、粉状または繊維状の物質である。
濾過助剤は、水中の重合体(I)を捕捉する働きをする。
【0039】
上記濾過助剤は特に限定されるものではなく、例えば、珪藻土、濾過砂(マンガン砂、マンガンゼオライト、活性炭、アンスラサイト、セラミックサンド等)、パーライト及びセルロースからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、硅藻土がより好ましい。
【0040】
濾過助剤の粒径が大きいほど濾過圧力の上昇が抑制され、濾過速度が速くなるので、単位時間当たりの水の処理量は増大し得る。一方、濾過助剤の粒径が小さいほど、重合体(I)を捕捉する効果が高くなるので、濾液中の重合体(I)の濃度をより一層低減することができる。
濾過助剤の平均粒径は、好ましくは1~1000μm、より好ましくは1~500μm、より一層好ましくは1~200μm、更に好ましくは10~100μm、特に好ましくは20~60μmである。また、濾過助剤の平均粒径が20μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上、更に好ましくは80μm以上であると、濾過速度をより速くすることができ、単位時間当たりの水の処理量をより増大させることができる。
また、濾過助剤の平均粒径が80μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下であると、重合体(I)を捕捉する効果がより一層高くなり、濾液に含まれる重合体(I)の濃度をより一層低減することができる。
なお、濾過助剤の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定した、体積基準の平均粒子径(体積平均粒子径)を意味する。
上記濾過助剤としては、平均粒径が20~60μmの珪藻土であることが特に好ましい。
【0041】
濾過助剤は重合体(I)を含有する水に添加されてよい。このように、濾過対象の液体に濾過助剤を直接添加しながら濾過を行うことを一般に「ボディフィード」とよぶ。ボディフィードは、濾過圧力の上昇を効果的に抑制し得るので、単位時間当たりの水の処理量を増大させることができ、速い濾過速度を維持しつつ長時間の濾過操作を行うことができるという利点を有する。
【0042】
上記濾過助剤は、濾過助剤保持部材に保持されて使用されてもよい。濾過助剤保持部材は、濾過助剤を保持することで、水を、濾過助剤に捕捉された重合体(I)と濾液とに分離(固液分離)する働きを有する。濾過助剤保持部材は、例えば、濾布、濾紙および金属メッシュ等の布状の部材、焼結金属およびスポンジ等の多孔質体、砂利および砂等の充填物であってよい。使用する濾過助剤保持部材の種類は、処理する水等の条件に応じて適宜選択することができる。
【0043】
例えば、濾過助剤保持部材の表面に濾過助剤の層が形成されていてもよい。このように、濾過前に、濾過助剤保持部材の表面に濾過助剤の層を形成することを、一般に「プレコート」とよぶ。プレコートは、濾過助剤保持部材の目詰まりを効果的に防止し得るので、濾過圧力の上昇を抑制することができ、その結果、単位時間当たりの水の処理量を増大させることができる。
【0044】
濾過助剤保持部材の孔径は、使用する濾過助剤の粒径に応じて適宜設定することができる。濾過助剤保持部材の孔径は、例えば1~1000μmであってよい。濾過助剤保持部材の孔径が小さいほど、濾過助剤をより確実に保持することができる。一方、濾過助剤保持部材の孔径が大きいほど、濾過を行う際の圧力損失を低減することができる。珪藻土を濾過助剤として用いる場合、濾過助剤保持部材の孔径は、濾過助剤の平均粒径より小さいことが好ましく、例えば、濾過助剤の平均粒径の60%以下であることが好ましい。濾過助剤保持部材を構成する材料は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、塩化ビニリデン、ビニロン等の合成繊維、ガラス繊維、綿等であってよい。
【0045】
本開示の第1の処理方法において、ボディフィードまたはプレコートをそれぞれ単独で行ってよく、あるいはボディフィードおよびプレコートを組み合わせてもよい。ボディフィードとプレコートを組み合わせることにより、水中の重合体(I)をより一層効率よく捕捉し得、さらに、濾過圧力の上昇をより一層抑制し得るので、長時間にわたって高効率で重合体(I)の除去を行うことができる。
【0046】
濾過助剤の量は、処理される水や用いられる濾過助剤の種類等に応じて適宜設定することができ、特定の量に限定されるものではない。一例として、ボディフィードにおいて水に添加される濾過助剤の量は、重合体(I)を含有する水における濾過助剤の濃度が1~10000ppm、好ましくは10~1000ppm、より好ましくは20~100ppmになるような量であってよい。プレコートにおいて用いられる濾過助剤の量は、濾過助剤保持部材の表面に形成される濾過助剤の層の厚さが0.5~10mm、好ましくは1~7mmになるような量であってよい。
【0047】
(重合体(I)を含有する水を濾過膜に通す方法)
重合体(I)を含有する水を濾過膜に通すことにより、上記水に含まれる重合体(I)を除去することができる。
上記濾過膜の種類は特に限定されるものではなく、重合体(I)を含有する水や濾過条件等に応じて適宜選択してよい。濾過膜としては、逆浸透膜、ナノ濾過膜、フィルター濾紙、精密濾過膜または限外濾過膜のいずれか1つを用いてよく、あるいは2種類以上の濾過膜を組み合わせて用いてもよい。具体的には、孔径が0.05nm~25μmの濾過膜を用いることができる。また、逆浸透膜、ナノ濾過膜、または限外濾過膜としては、孔径が0.05nm~0.5μmの濾過膜を用いることができる。
上記濾過膜は、例えば10%以上のNaCl阻止率を有するものであってよい。なお、NaCl阻止率は、NaCl溶液(原水)を濾過膜で濾過して透過水を得て、原水および透過水のNaCl濃度を測定し、下記式で算出した値である。
NaCl阻止率(%)=(1-(透過水のNaCl濃度)/(原水のNaCl濃度))×100
濾過膜の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、平膜であってよく、スパイラル状であってよく、あるいは管状であってよい。また、複数の濾過膜を組み合わせて用いる場合、単膜を直列に配置してよく、予め複数の膜が積層されたいわゆる複合膜を用いてもよい。膜濾過において、濾過圧力は、処理対象の水や使用する濾過膜の種類等に応じて適宜設定してよい。
【0048】
上記濾過は、加圧濾過であることも好ましい。加圧濾過を行うことで、重合体(I)をより効率よく除去することができる。加圧濾過には公知の装置を適宜使用することができる。例えば、キャンドル型フィルタを備える加圧濾過機を用いて加圧濾過を行ってよい。加圧濾過装置を用いた場合、内圧をかけることにより、濾過助剤保持部材の表面に形成されたケーキ層を定期的に剥がすことができ、長時間にわたって安定して水の処理を行うことができる。別法として、水は、減圧濾過によって重合体(I)と分離してもよい。加圧濾過または減圧濾過を行う場合、濾過圧力は、処理対象の水や使用する濾過助剤および濾過助剤保持部材ならびに濾過装置の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0049】
(吸着)
上記吸着は、重合体(I)を含有する水を吸着剤に接触させることにより行うことができる。重合体(I)を含有する水を吸着剤に接触させる方法としては、常套的に採用されている方法を採用できる。例えば、重合体(I)を含有する水に吸着剤を添加し、攪拌する方法、吸着剤を充填したカラムに上記重合体(I)を含有する水を流すカラム法等によって実施できる。カラム法で使用する充填カラムは移動式、固定層式、又は、流動層式のいずれであってもよい。
重合体(I)を含有する水に吸着剤を添加し、攪拌する方法を用いる場合、攪拌後に、重合体(I)を吸着した吸着剤と、吸着を行った後の水とを分離することが好ましい。上記分離する方法は限定されず、例えば、濾過等を用いることができる。濾過の方法としては、重合体(I)を含有する水に濾過を行う方法として上述した方法を用いることができる。
【0050】
上記吸着剤は特に限定されるものではないが、例えば、イオン交換樹脂、キレート剤、合成吸着剤、活性炭、シリカゲル、クレイ、及び、ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。また、吸着剤としては、アルミナやカーボンナノチューブ等も用いることができる。
上記吸着剤は、イオン交換樹脂、キレート剤、合成吸着剤及び活性炭からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。吸着剤としてイオン交換樹脂、キレート剤、合成吸着剤または活性炭を使用することで、重合体(I)の吸着率が向上し得る。吸着剤として、より好ましくはイオン交換樹脂である。イオン交換樹脂を用いることにより、重合体(I)の吸着率を更に高くすることができる。
上記吸着には、1種類の吸着剤を単独で用いてよく、2種類以上の吸着剤を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
上記イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂のいずれであってもよい。陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてアミノ基および/または四級アンモニウム基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。イオン交換樹脂は、好ましくは強塩基性陰イオン交換樹脂である。陰イオン交換樹脂の塩基性度は、ポリマー骨格および/または官能基の種類によって種々設定することができる。陰イオン交換樹脂として市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商標)SAシリーズなど、ピュロライト株式会社製のA200、A300、PFA694Eなど、オルガノ株式会社製のアンバーライト(商標)シリーズ、IRA4002OH等のアンバージェット(商標)シリーズ、を用いることができる。陽イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてカルボン酸基および/またはスルホン酸基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。陽イオン交換樹脂の酸性度は、ポリマー骨格および/または官能基の種類によって種々設定することができる。陽イオン交換樹脂として市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商標)SKシリーズなど、ピュロライト株式会社製のC100など、オルガノ株式会社製のアンバーライト(商標)シリーズ等を用いることができる。
イオン交換樹脂は、細孔径が1~5000Åであることが好ましい。除去効率の観点から、細孔径が50Å以上であることが好ましく、100Å以上がより好ましく、150Å以上が更に好ましい。また、200Å以上であってもよく、250Å以上であってもよい。
また、細孔径1000Å以下であってもよい。細孔径は、例えば、ガス吸着法で比表面積と全細孔容積を測定し、算出することができる。
イオン交換樹脂は、除去効率の観点から、総交換容量が0.1eq/L-Resin以上が好ましい。より好ましくは、0.5eq/L-Resin以上であり、更に好ましくは、0.9eq/L-Resin以上である。また、総交換容量は大きいほどよいが、例えば、上限は5.0eq/L-Resinであってよい。
また、イオン交換樹脂は、通常、球状であり、300~1300μm程度の平均粒子径を有している。
【0052】
上記キレート剤は、通常、金属イオンに配位してキレート化合物を形成しうる多座配位子を有する化合物である。材質やゲル型かMR型かは限定されず、例えば、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、フェノール重合体等に官能基を導入した樹脂が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、イミノジ酢酸型、イミノプロピオン酸型、アミノメチレンホスホン酸型等のアミノホスホン酸型、ポリアミン型、アミノカルボン酸型、ジチオカルバミン酸型、チオール型、アミドキシム型、ピリジン型等が挙げられる。
上記キレート剤は、球状であることが好ましく、300~1300μm程度の平均粒子径を有していてよい。
キレート剤の具体例としては、「ユニセレック」(商品名)シリーズ(ユニチカ(株)製)、「レバチット」(商品名)シリーズ(ランクセス(株)製)、「エポラス」(登録商標)(商品名) シリーズ(ミヨシ油脂(株)製)(Z-7、Z-100、SE-3、AS-4)などが挙げられる。
【0053】
上記合成吸着剤は、イオン交換基を持たない多孔質樹脂であり、合成吸着剤として知られている公知のものを採用することができる。イオン交換基としては、アミノ基、四級アンモニウム基、カルボン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。合成吸着剤として具体的には、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等のスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル-エチレングリコールジメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、デキストラン系樹脂等が挙げられる。合成吸着剤として商業的に入手可能なものとしては、具体的には、スチレン系樹脂として、ダイヤイオンHP10、ダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、ダイヤイオンHP40、ダイヤイオンHP50、セパピーズSP207、セパピーズSP70、セパピーズSP825、セパピーズSP850、セパピーズSP207(以上、三菱ケミカル社製)、アンバーライトXAD1180N、アンバーライトXAD2000、アンバーライトXAD4、アンバーライトFPX66(以上、オルガノ社製)等;アクリル系樹脂として、ダイヤイオンHP2MG(三菱ケミカル社製)、アンバーライトHXAD-7HP(オルガノ社製)等が挙げられる。
合成吸着剤は、細孔径が1~5000Åであることが好ましい。除去効率の観点から、細孔径が50Å以上であることが好ましく、100Å以上がより好ましく、150Å以上が更に好ましい。また、200Å以上であってもよく、250Å以上であってもよい。また、細孔径1000Å以下であってもよい。細孔径は、例えば、ガス吸着法で比表面積と全細孔容積を測定し、算出することができる。
合成吸着剤は、比表面積が300m2/g以上であることが好ましい。比表面積は400m2/g以上がより好ましく、500m2/g以上が更に好ましく、600m2/g以上が殊更に好ましい。比表面積の上限は限定されないが、例えば2000m2/g以下であってよく、1500m2/g以下であってよく、1000m2/g以下であってもよい。
また、合成吸着剤は、通常、球状であり、200~1300μm程度の平均粒子径を有している。
【0054】
上記活性炭は炭素質材料から製造できる。炭素質材料としては、炭化、賦活などにより活性炭を生成するものであればよく、木材、鋸屑、木炭、ヤシ殻、クルミ殻などの果実殻、果実種子などの植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭などの石炭、石油ピッチ、石炭ピッチなどのピッチ、コークス、コールタール、石油タールなどのタール、石油蒸留残渣などの鉱物系、木綿、レーヨンなどのセルロース系繊維などの天然素材、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルなどの合成素材などを例示することができる。形状としては、粉末状、粒状、繊維状いずれでもよく、またそれらを成形したものであってもよい。
【0055】
上記活性炭は、比表面積が500m2/g以上であることが好ましい。比表面積は1000m2/g以上がより好ましく、1500m2/g以上が更に好ましく、1800m2/g以上が殊更に好ましく、2000m2/g以上が特に好ましい。比表面積の上限は限定されないが、例えば2500m2/gであってよい。
活性炭の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、ペレット状、顆粒状、粉末状、球状粒子の形状であってよい。活性炭は市販品であってもよい。活性炭の市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル株式会社製の白鷺(商標)など、カルゴン・カーボン・ジャパン株式会社製のFiltrasorb(商標)CAL、ダイアホープ(商標)、ダイアソーブ(商標)など、水ing株式会社製のエバダイヤ(商標)シリーズなどが挙げられる。
【0056】
吸着剤として活性炭を用いる場合、活性炭は高賦活活性炭であることが好ましい。高賦活活性炭を用いることにより、通常の活性炭と比較して重合体(I)の吸着率を高くすることができる。上記活性炭は、水蒸気賦活処理を行うことによって向上した吸着性能を有することが好ましい。水蒸気賦活処理において、活性炭を120℃以上、例えば130~350℃、特に150~1000℃の温度、および0.2MPa以上、例えば0.5~15MPa、特に1MPa~15MPaの圧力のスチームにさらすことが好ましい。水蒸気賦活処理時間は、一般に10秒~50時間、例えば10分~10時間であってよい。賦活において、炉内での加温を行ってもよい。
活性炭の表面にカチオンを添着させてもよい。カチオンの例としては、金属イオン、金属酸化物イオン、アンモニウムイオンなどが挙げられる。金属の例としては、周期表の1~13族の金属原子(例えば、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属(例えば、Mg、Ca)、Ti、Zr、V、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn)が挙げられる。
【0057】
上記吸着において、重合体(I)を含有する水に対する吸着剤の量は限定されないが、例えば、重合体(I)を含有する水1000gに対して0.01~1000gであってよい。重合体(I)を含有する水1000gに対して、0.1g以上が好ましく、1g以上がより好ましく、5g以上が更に好ましい。また、500g以下が好ましい。
【0058】
上記吸着における温度は特に限定されないが、例えば、0~50℃であってよい。
【0059】
上記吸着において使用可能な吸着装置は、上述した吸着剤を備える吸着装置であれば特に限定されるものでなく、目的に応じて種々の吸着装置を適宜使用してよい。吸着装置は、例えば、吸着剤が充填された充填塔であってよく、具体的にはイオン交換塔または活性炭塔であってよい。
【0060】
本開示の第1の処理方法は、重合体(I)を吸着剤に吸着させた後、吸着剤を回収することが好ましい。上記回収方法は特に限定されず従来公知の方法を用いてよい。例えば、重合体(I)が吸着した吸着剤を上述した濾過により分離してもよい。
【0061】
(凝集)
上記濾過、吸着及び凝集の中でも、重合体(I)の除去効率をより一層向上できることから、凝集が好ましい。上記凝集は、例えば、重合体(I)を含有する水に凝集剤を添加することにより行うことができる。上記除去工程は、重合体(I)を含有する水に凝集剤を添加する工程であることが好ましい。上記除去工程では、重合体(I)を含有する水に凝集剤を添加した後、攪拌することが好ましい。攪拌時間は限定されず、水中の重合体(I)の量、凝集剤の添加量に応じて適宜設定すればよい。攪拌時間は、例えば、0分~100時間の範囲で適宜設定してよい。
【0062】
上記凝集剤としては、例えば、無機凝集剤、有機凝集剤、高分子凝集剤等が挙げられる。
上記凝集剤の添加量は、水に含有される重合体(I)の量、凝集剤の種類等によって適宜選択すればよいが、例えば、重合体(I)に対して300重量%以下であってよく、0.01重量%以上であってよい。なお、50重量%以上であってよく、また、0.01重量%以下であってよい。
【0063】
上記除去工程は特に、重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加する工程であることが好ましい。上記除去工程は、重合体(I)に凝集を行うものであり、該重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加する工程であることが好適な態様の一つである。
上記無機凝集剤としては、金属塩等が挙げられ、市販品を用いてもよい。Mg2+、Ca2+等を含む海水、低分子量のカチオン性高分子凝集剤も使用可能である。
上記無機凝集剤の添加量は、重合体(I)に対して0.01重量%以上が好ましく、0.04重量%以上がより好ましく、0.1重量%以上が更に好ましく、1重量%以上が殊更に好ましく、5重量%以上が特に好ましく、10重量%以上が最も好ましい。また、重合体(I)に対して300重量%以下が好ましく、50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下が更に好ましい。
上記無機凝集剤の添加量は、重合体(I)を含有する水に対しては、1重量ppm以上が好ましく、10重量ppm以上がより好ましく、20重量ppm以上が更に好ましい。また、15000重量ppm以下が好ましく、10000重量ppm以下がより好ましく、5000重量ppm以下が更に好ましい。
【0064】
上記無機凝集剤としては金属塩が好ましい。上記金属塩である無機凝集剤としては、2価以上の金属元素を含む金属塩が好ましい。金属塩を構成する金属元素の価数は、2価以上であることが好ましく、3価以上であることがより好ましく、3価であってよい。金属塩を構成する金属元素の価数の上限は、特に限定されないが、たとえば6価以下であってよい。ここで、金属塩を構成する2価以上の金属元素は、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素がより好ましく、Fe、Alからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素がさらに好ましく、Alが特に好ましい。また、金属塩を構成する金属元素の対イオンとしては、硫酸イオン、水酸化物イオン、フッ素イオン、硝酸イオンおよび塩素イオンからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、硫酸イオン、塩素イオンからなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましく、硫酸イオンが特に好ましい。
本明細書において「金属塩」とは、単塩、複塩および/または錯塩を意味する。また、「2価以上の金属元素を含む塩」とは、2価以上の金属元素を含む単塩、複塩および/または錯塩を意味する。
【0065】
上記金属塩としては、例えば、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウムなど)、鉄塩(例えば、水酸化第一鉄、水酸化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄など)、カルシウム塩(例えば、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、フッ化カルシウムなど)、並びに、2価以上の金属元素およびケイ素を含むケイ酸塩鉱物(例えば、カオリナイト、モンモリロナイト、ゼオライトなど)からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩が好ましい。
上記ケイ酸塩鉱物としては、市販の凝集剤として、シリカアルミナ系凝集剤が挙げられる。例えば、日本活性白土社製のフロナイト723、フロナイト113、フロナイト101、フロナイトS、フロナイトDなどが挙げられる。
なお、凝集剤として用いることができる金属塩は、凝集剤を添加する工程において、金属塩を生成させる、または、金属塩の金属元素の対イオンを変換する態様であってもよい。
このような態様として、例えば、重合体(I)を含有する水中に、金属水酸化物等の対イオンを有する金属塩を加える態様などが挙げられる。このような態様においては、金属塩の対イオンの変換が生じる。金属塩の対イオンの変換が生じることによって、より良好な不純物除去効果が得られる場合がある。
【0066】
上記無機凝集剤としては、鉄塩及びアルミニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩が好ましく、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム及びポリ塩化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属塩がより好ましく、硫酸アルミニウム及びポリ塩化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種のアルミニウム塩が更に好ましく、硫酸アルミニウムが特に好ましい。
【0067】
上記高分子凝集剤としては、例えば、アルギン酸ソーダ、キチン・キトサン凝集剤、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤などが挙げられ、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤、及び、ノニオン性高分子凝集剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0068】
上記高分子凝集剤の添加量は、重合体(I)に対して0.001重量%以上であることが好ましく、0.004重量%以上であることがより好ましく、0.01重量%以上であることが特に好ましい。高分子凝集剤の添加量の上限値は特に制限はなく、重合体(I)に対して50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが特に好ましい。
上記高分子凝集剤の添加量は、重合体(I)を含有する水に対しては、0.1重量ppm以上が好ましく、1重量ppm以上がより好ましく、2重量ppm以上が更に好ましい。
また、15000重量ppm以下が好ましく、10000重量ppm以下がより好ましく、5000重量ppm以下が更に好ましい。
【0069】
上記カチオン性高分子凝集剤としては、ジメチルアミノエチルメタアクリレート等のポリアミノアルキルメタクリレート、ポリエチレンイミン、ハロゲン化ポリジアリルアンモニウム、キトサン、尿素-ホルマリン樹脂等が挙げられる。
カチオン性高分子凝集剤の市販品としては、多木化学社製のタキフロックC-403、C-408、C-805、C-806、C-809;MTアクアポリマー社製のアロンフロックEC-509L、C-508、CX-400、C-303、CX-333等が挙げられる。
【0070】
上記アニオン性高分子凝集剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、部分スルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリ(2-アクリルアミド)-2-メチルプロパン硫酸塩等のポリアクリルアミド系の高分子凝集剤が挙げられる。
アニオン性高分子凝集剤の市販品としては、片山ナルコ社製のフロクランA1210;多木化学社製のタキフロックA-102、A-103、A-177T、A-108T、A-142、A-50;MTアクアポリマー社製のアコフロックA-95、A-110、A-150;MTアクアポリマー社製のスミフロックFA-40、FA-50;三菱ケミカル社製のダイヤフロックAP199、Ap120C、Ap784、DF732B等が挙げられる。
【0071】
上記ノニオン性高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
ノニオン性高分子凝集剤の市販品としては、多木化学社製のタキフロックN-100T、N-131、A-122T;MTアクアポリマー社製のアコフロックN-100、N-210;MTアクアポリマー社製のスミフロックFN-10H、FN-20H;三菱ケミカル社製のダイヤフロックNP500、NP780、DF500等が挙げられる。
【0072】
上記両性高分子凝集剤としてはアクリルアミドとアミノアルキルメタクリレートとアクリル酸ナトリウムの共重合体等が挙げられる。
両性高分子凝集剤の市販品としては、多木化学社製のタキフロックMC-601、MC-602、MC-603;三菱ケミカル社製のダイヤフロックKA003、KA606A等が挙げられる。
【0073】
上記高分子凝集剤の中でも、アニオン性高分子凝集剤が好ましい。
【0074】
上記凝集における温度は特に限定されないが、例えば、0℃以上が好ましく、5℃以上がより好ましく、10℃以上が更に好ましい。また、50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。
【0075】
上記除去工程では、凝集剤として、無機凝集剤のみを添加してもよいし、高分子凝集剤のみを添加してもよいし、無機凝集剤と高分子凝集剤の両方を添加してもよい。また、無機凝集剤と高分子凝集剤を同時に添加してもよいし、無機凝集剤を添加した後に高分子凝集剤を添加してもよいし、高分子凝集剤を添加した後に無機凝集剤を添加してもよい。更に、高分子凝集剤と無機凝集剤を、複数回に分けて添加してもよいし、高分子凝集剤と無機凝集剤を交互に添加してもよい。
【0076】
上記除去工程は、重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加し、その後、高分子凝集剤を添加する工程であることが特に好ましい。無機凝集剤を添加することによって、重合体(I)の表面電荷を反対電荷によって中和することで凝集させてフロックを形成する。
その後、高分子凝集剤を添加することによってフロックを粗大化させることによって無機凝集剤で凝集したフロックを架橋して粗大なフロックを形成することができ、これによって、重合体(I)をより効率的に除去することができる。
この場合、無機凝集剤の添加量は、重合体(I)に対して0.01重量%以上であることが好ましく、0.04重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることが更に好ましく、1重量%以上が殊更に好ましく、5重量%以上が特に好ましく、10重量%以上が最も好ましい。また、300重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることが更に好ましく、20重量%以下であることが殊更に好ましい。
上記無機凝集剤の添加量は、重合体(I)を含有する水に対しては、1重量ppm以上が好ましく、10重量ppm以上がより好ましく、20重量ppm以上が更に好ましい。また、15000重量ppm以下が好ましく、10000重量ppm以下がより好ましく、5000重量ppm以下が更に好ましい。
高分子凝集剤の添加量は、重合体(I)に対して0.001重量%以上であることが好ましく、0.004重量%以上であることがより好ましく、0.01重量%以上であることが特に好ましい。また、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが更に好ましい。
上記高分子凝集剤の添加量は、重合体(I)を含有する水に対しては、0.1重量ppm以上が好ましく、1重量ppm以上がより好ましく、2重量ppm以上が更に好ましい。
また、15000重量ppm以下が好ましく、10000重量ppm以下がより好ましく、5000重量ppm以下が更に好ましい。
【0077】
上記除去工程において、重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加した後、高分子凝集剤を添加する前に、重合体(I)を含有する水にpH調整剤を添加してpHを調整することも好ましい。pHを調整することによって、より効率的に重合体(I)を除去することができる。
上記除去工程においては、高分子凝集剤を添加する前に、上記pHを4.0以上にすることが好ましく、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは6.0以上である。また、上記pHを11.0以下にすることが好ましく、より好ましくは9.0以下であり、更に好ましくは8.0以下である。
pH調整剤としては限定されず、例えば、酸化合物又はアルカリ化合物を用いることができる。上記酸化合物としては、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、りん酸(H3PO4)等が挙げられ、特に、塩酸(HCl)又は硝酸(HNO3)が好ましい。アルカリ化合物としては、例えば、NaOH、KOH等のアルカリ金属の水酸化物;Mg(OH)2、Ca(OH)2等のアルカリ土類金属の水酸化物;リン酸水素二ナトリウム等の緩衝作用のある塩等が挙げられ、有機化合物としては、例えば、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
上記pHは、pHメーター(例えば、Horiba社製pHメーターD-20)により測定することができる。
【0078】
本開示の第1の処理方法は、重合体(I)を含有する水に凝集を行い、重合体(I)を凝集した後、凝集した重合体(I)を、重合体(I)を含有する水から除去することが好ましい。凝集した重合体(I)を、重合体(I)を含有する水から除去する方法は、限定されないが、例えば、濾過等が挙げられる。上記濾過の方法は限定されず、上述した方法を適宜採用できる。
本開示の第1の処理方法は、上記重合体(I)を凝集した後、凝集した重合体(I)を回収することが好ましい。回収の方法は限定されないが、例えば、濾過等が挙げられる。上記濾過の方法は限定されず、上述した方法を適宜採用できる。
【0079】
上記除去工程は、重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加し、その後、高分子凝集剤を添加し、凝集した重合体(I)を含有する水を濾過する工程であることが特に好ましい。この態様において、重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加した後、高分子凝集剤を添加する前に、重合体(I)を含有する水にpH調整剤を添加してpHを調整してよい。上記pHとしては上記範囲を採用することができ、例えば、pHを5.0~9.0(好ましくは6.0~8.0)に調整することも好ましい。
【0080】
上記除去工程は、重合体(I)を含有する水における重合体(I)の濃度を、除去工程前の濃度に対して、50%以下にする工程であることが好ましい。より好ましくは40%以下であり、更により好ましくは30%以下であり、殊更に好ましくは20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
【0081】
上記除去工程はまた、処理された水中の重合体(I)の濃度を250ppm以下にする工程であることが好ましい。より好ましくは200ppm以下であり、更に好ましくは100ppm以下であり、更により好ましくは80ppm以下であり、殊更に好ましくは60ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。
【0082】
上記除去工程によって、重合体(I)を含有する水から、重合体(I)を構成する構造単位を形成する単量体のダイマーおよびトリマーを除去することもできる。
【0083】
ダイマーおよびトリマーとしては、一般式(I)で表される単量体(以下、単量体(I)ということがある)のダイマーおよびトリマーであってもよい。ダイマーおよびトリマーは、一般式(I)で表される単量体(I)として、1種の単量体(I)から形成される重合体であってもよいし、構造の異なる2種以上の単量体(I)から形成される共重合体であってもよい。また、ダイマーおよびトリマーとしては、重合体(I)を構成する好適な構造単位を形成する単量体として、後述する単量体のダイマーおよびトリマーが挙げられる。
【0084】
上記重合体(I)は、下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む。重合体(I)は重合単位(I)を2以上含むことが好ましい。
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
X2としては、F、Cl、H又はCF3が好ましい。また、Z1及びZ2としては、FまたはCF3が好ましい。
本開示において、アニオン性基には、サルフェート基、カルボキシレート基などのアニオン性基に加えて、-COOHのような酸基、-COONH4のような酸塩基などのアニオン性基を与える官能基が含まれる。上記アニオン性基は、サルフェート基、カルボキシレート基、ホスフェート基、ホスホネート基、スルホネート基、又は、-C(CF3)2OM(式中、Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基である。)が好ましく、サルフェート基、カルボキシレート基、ホスフェート基、ホスホネート基又はスルホネート基がより好ましい。
重合体(I)は、一般式(I)で表される1種の単量体に基づく重合単位(I)のみを含むものであってもよいし、一般式(I)で表される2種以上の単量体に基づく重合単位(I)を含むものであってもよい。
【0085】
上記Rは、連結基である。本開示において「連結基」は、(m+1)価連結基であり、mが1の場合は二価連結基を指す。連結基は、単結合であってもよく、少なくとも1個の炭素原子を含むことが好ましく、炭素原子の数は、2以上であってよく、4以上であってよく、8以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってもよい。上限は限定されないが、例えば、100以下であってよく、50以下であってよい。
連結基は、鎖状又は分岐鎖状、環状又は非環状構造、飽和又は不飽和、置換又は非置換であってよく、所望により硫黄、酸素、及び窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、所望によりエステル、アミド、スルホンアミド、カルボニル、カーボネート、ウレタン、尿素及びカルバメートからなる群から選択される1つ以上の官能基を含んでよい。上記連結基は、炭素原子を含まず、酸素、硫黄又は窒素等のカテナリーヘテロ原子であってもよい。
mは1以上の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。mが2以上の整数である場合、Z1、Z2およびA0は、同一であっても、異なっていてもよい。
次に、一般式(I)においてmが1である場合の好適な構成について説明する。
【0086】
上記Rは、例えば、酸素、硫黄、窒素等のカテナリーヘテロ原子、又は、2価の有機基であることが好ましい。
Rが2価の有機基である場合、炭素原子に結合する水素原子は、フッ素以外のハロゲン、例えば塩素等で置き換えられてもよく、二重結合を含んでも含まなくてもよい。また、Rは、鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよく、環状及び非環状のいずれでもよい。また、Rは、官能基(例えば、エステル、エーテル、ケトン、アミン、ハロゲン化物等)を含んでもよい。
Rはまた、非フッ素の2価の有機基であってもよいし、部分フッ素化又は過フッ素化された2価の有機基であってもよい。
Rとしては、例えば、炭素原子にフッ素原子が結合していない炭化水素基、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭化水素基、又は、炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子で置換された炭化水素基であってもよく、これらは酸素原子を含んでいてもよく、二重結合を含んでいてもよく、官能基を含んでいてもよい。
【0087】
Rは、エーテル結合を含んでいてもよい炭素数1~100の炭化水素基であることが好ましく、該炭化水素基は、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されていてもよい。
Rとして好ましくは、-(CH2)a-、-(CF2)a-、-O-(CF2)a-、-(CF2)a-O-(CF2)b-、-O(CF2)a-O-(CF2)b-、-(CF2)a-[O-(CF2)b]c-、-O(CF2)a-[O-(CF2)b]c-、-[(CF2)a-O]b-[(CF2)c-O]d-、-O[(CF2)a-O]b-[(CF2)c-O]d-、-O-[CF2CF(CF3)O]a-(CF2)b-、-[CF2CF(CF3)O]a-、-[CF(CF3)CF2O]a-、-(CF2)a-O-[CF(CF3)CF2O]a-、-(CF2)a-O-[CF(CF3)CF2O]a-(CF2)b-、及び、これらの組み合わせから選択される少なくとも1種である。
式中、a、b、c及びdは独立して少なくとも1以上である。a、b、c及びdは独立して、2以上であってよく、3以上であってよく、4以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってよい。a、b、c及びdの上限は、例えば、100である。
【0088】
Rとしては、下記一般式(r1):
-CF2-O-(CX6
2)e-{O-CF(CF3)}f-(O)g- (r1)
(式中、X6はそれぞれ独立してH、F又はCF3であり、eは0~3の整数であり、fは0~3の整数であり、gは0又は1である)で表される2価の基が好ましく、下記一般式(r2):
-CF2-O-(CX7
2)e-(O)g- (r2)
(式中、X7はそれぞれ独立してH、F又はCF3であり、eは0~3の整数であり、gは0又は1である)で表される2価の基が好ましい。
【0089】
Rとして好適な具体的としては、-CF2-O-、-CF2-O-CF2-、-CF2-O-CH2-、-CF2-O-CH2CF2-、-CF2-O-CF2CF2-、-CF2-O-CF2CH2-、-CF2-O-CF2CF2CH2-、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。中でも、上記Rは、酸素原子を含んでもよい、パーフルオロアルキレン基が好ましく、具体的には、-CF2-O-、-CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF2CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-、又は、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-が好ましい。
【0090】
上記一般式(I)の-R-CZ1Z2-としては、下記式(s1):
-CF2-O-(CX6
2)e-{O-CF(CF3)}f-(O)g-CZ1Z2- (s1)
(式中、X6はそれぞれ独立してH、F又はCF3であり、eは0~3の整数であり、fは0~3の整数であり、gは0又は1であり、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基である)で表される2価の基が好ましく、式(s1)において、Z1及びZ2は、FまたはCF3がより好ましく、一方がFで他方がCF3であることがさらに好ましい。
また、上記一般式(I)において、-R-CZ1Z2-としては、下記式(s2):
-CF2-O-(CX7
2)e-(O)g-CZ1Z2- (s2)
(式中、X7はそれぞれ独立してH、F又はCF3であり、eは0~3の整数であり、gは0又は1であり、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、F又はCF3である)で表される2価の基が好ましく、式(s2)において、Z1及びZ2は、一方がFで他方がCF3であることがより好ましい。
【0091】
上記一般式(I)の-R-CZ1Z2-としては、-CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-C(CF3)2-、-CF2-O-CF2-CF2-、-CF2-O-CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2-C(CF3)2-、-CF2-O-CF2CF2-CF2-、-CF2-O-CF2CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2CF2-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-C(CF3)2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF2-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)-、又は、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-C(CF3)2-が好ましく、-CF2-O-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF2CF2-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)-CF(CF3)-、-CF2-O-CF(CF3)CF2-CF(CF3)-、又は、-CF2-O-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)-がより好ましい。
【0092】
上記重合体(I)は、高度にフッ素化されていることも好ましい。例えば、ホスフェート基部分(例えば、CH2OP(O)(OM)2)及びサルフェート基部分(例えば、CH2OS(O)2OM)のようなアニオン性基(A0)を除き、重合体(I)中のC-H結合の80%以上、90%以上、95%以上、又は100%がC-F結合で置換されていることが好ましい。
【0093】
上記重合体(I)は、アニオン性基(A0)を除いて、C-F結合を有し、C-H結合を有していないことも好ましい。すなわち、一般式(I)において、X1、X2、及びX3の全てがFであり、Rは炭素数が1以上のパーフルオロアルキレン基であることが好ましく、上記パーフルオロアルキレン基は、鎖状及び分岐鎖状のいずれでもよく、環状及び非環状のいずれでもよく、少なくとも1つのカテナリーヘテロ原子を含んでもよい。上記パーフルオロアルキレン基の炭素数は、2~20であってよく、4~18であってもよい。
【0094】
上記重合体(I)は、部分フッ素化されたものであってもよい。すなわち、重合体(I)は、アニオン性基(A0)を除いて、炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子を有し、炭素原子に結合した少なくとも1つのフッ素原子を有することも好ましい。
【0095】
上記アニオン性基(A0)は、-SO3M、-OSO3M、-COOM、-SO2NR’CH2COOM、-CH2OP(O)(OM)2、[-CH2O]2P(O)(OM)、-CH2CH2OP(O)(OM)2、[-CH2CH2O]2P(O)(OM)、-CH2CH2OSO3M、-P(O)(OM)2、-SO2NR’CH2CH2OP(O)(OM)2、[-SO2NR’CH2CH2O]2P(O)(OM)、-CH2OSO3M、-SO2NR’CH2CH2OSO3M、又は、-C(CF3)2OMであってよい。中でも、-SO3M、-COOM又は-P(O)(OM)2が好ましく、-SO3M、又は、-COOMがより好ましく、-COOMが更に好ましい。
上記Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基である。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記Mとしては、-H、金属原子又は-NR7
4が好ましく、-H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は-NR7
4がより好ましく、-H、-Na、-K、-Li又は-NH4が更に好ましく、-Na、-K又は-NH4が更により好ましく、-Na又は-NH4が特に好ましく、-NH4が最も好ましい。
上記重合体(I)において、各重合単位(I)で異なるアニオン性基を有してもよいし、同じアニオン性基を有してもよい。
【0096】
上記重合体(I)は、下記式(Ia)で示される単量体に基づく重合単位(Ia)を含む重合体であることも好ましい。
CF2=CF-O-Rf0-A0 (Ia)
(式中、A0はアニオン性基であり、Rf0は、過フッ素化されており、鎖状又は分岐鎖状、環状又は非環状構造、飽和又は不飽和、置換又は非置換であってもよく、硫黄、酸素、及び窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意追加的に含有する過フッ素化二価連結基である。)
【0097】
上記重合体(I)は、下記式(Ib)で示される単量体に基づく重合単位(Ib)を含む重合体であることも好ましい。
CH2=CH-O-Rf0-A0 (Ib)
(式中、A0はアニオン性基であり、Rf0は式(Ia)で定義される過フッ素化二価連結基である。)
【0098】
一般式(I)において、A0はサルフェート基であることが好ましい形態の一つである。A0は、例えば、-CH2OSO3M、-CH2CH2OSO3M、又は、-SO2NR’CH2CH2OSO3Mであり、式中、R’はH、又は炭素数1~4のアルキル基であり、Mは上記と同じである。
A0がサルフェート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、例えば、CF2=CF(OCF2CF2CH2OSO3M)、CH2=CH((CF2)4CH2OSO3M)、CF2=CF(O(CF2)4CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2OSO3M)、CH2=CH((CF2)4CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OSO3M)、CH2=CH(CF2CF2CH2OSO3M)、CF2=CF(OCF2CF2CF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OSO3M)、CH2=CH(CF2CF2CF2CH2OSO3M)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
【0099】
一般式(I)において、A0はスルホネート基であることも好ましい形態の一つである。A0としては例えば、-SO3Mであり、式中、Mは上記と同じである。
A0がスルホネート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2SO3M)、CF2=CF(O(CF2)3SO3M)、CF2=CF(O(CF2)4SO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)SO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3M)、CH2=CH(CF2CF2SO3M)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2CF2SO3M)、CH2=CH((CF2)4SO3M)、CH2=CH(CF2CF2SO3M)、CH2=CH((CF2)3SO3M)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
【0100】
式(I)において、A0はカルボキシレート基であることも好ましい形態の一つである。A0としては、例えば-COOM又は-SO2NR’CH2COOMであり、式中、R’はH又は炭素数1~4のアルキル基であり、Mは上記と同じである。A0がカルボキシレート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2COOM)、CF2=CF(O(CF2)3COOM)、CF2=CF(O(CF2)4COOM)、CF2=CF(O(CF2)5COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)O(CF2)nCOOM)(nは1より大きい)、CH2=CH(CF2CF2COOM)、CH2=CH((CF2)4COOM)、CH2=CH(CF2CF2COOM)、CH2=CH((CF2)3COOM)、CF2=CF(OCF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(O(CF2)4SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH(CF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH((CF2)4SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH(CF2CF2SO2NR’CH2COOM)、CH2=CH((CF2)3SO2NR’CH2COOM)等が挙げられる。上記式中、R’はH又はC1-4アルキル基であり、Mは上記と同じである。
【0101】
式(I)において、A0はホスフェート基であることも好ましい形態の一つである。A0としては、例えば、-CH2OP(O)(OM)2、[-CH2O]2P(O)(OM)、-CH2CH2OP(O)(OM)2、[-CH2CH2O]2P(O)(OM)、[-SO2NR’CH2CH2O]2P(O)(OM)又は-SO2NR’CH2CH2OP(O)(OM)2であり、式中、R’は炭素数1~4のアルキル基であり、Mは上記と同じである。
A0がホスフェートである場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(O(CF2)4CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OP(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF2CF2CF2SO2N(CH3)CH2CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)4CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2CH2OP(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)3CH2OP(O)(OM)2)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
【0102】
式(I)において、A0はホスホネート基であることも好ましい形態の一つである。A0がホスホネート基である場合、一般式(I)で表される単量体としては、CF2=CF(OCF2CF2P(O)(OM)2)、CF2=CF(O(CF2)4P(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)P(O)(OM)2)、CF2=CF(OCF2CF(CF3)OCF2CF2P(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2P(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)4P(O)(OM)2)、CH2=CH(CF2CF2P(O)(OM)2)、CH2=CH((CF2)3P(O)(OM)2)が挙げられ、式中、Mは上記と同じである。
【0103】
上記重合体(I)は、下記一般式(1)で表される単量体に基づく重合単位(1)を含む重合体(1)であることが好ましい。
CX2=CY(-CZ2-O-Rf-A) (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又はC(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。但し、X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。)
なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
【0104】
上記一般式(1)において、Xは-H又は-Fである。Xは、両方が-Fであってもよいし、少なくとも1つが-Hであってよい。例えば、片方が-Fで他方が-Hであってもよいし、両方が-Hであってもよい。
【0105】
上記一般式(1)において、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Yとしては、-H、-F又は-CF3が好ましく、-Fがより好ましい。
【0106】
上記一般式(1)において、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Zとしては、-H、-F又は-CF3が好ましく、-Fがより好ましい。
【0107】
上記一般式(1)において、上記X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含む。例えば、Xが-Hであり、Y及びZが-Fであってよい。
【0108】
上記一般式(1)において、上記Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、上記含フッ素アルキレン基の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、-CF2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CF2CH2-、-CF2CF2CH2-、-CF(CF3)-、-CF(CF3)CF2-、-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0109】
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は3以上が好ましい。また、上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
例えば、下記式:
【化1】
(式中、Z
1はFまたはCF
3;Z
2及びZ
3はそれぞれHまたはF;Z
4はH、FまたはCF
3;p1+q1+r1が1~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数)で表される2価の基であることも好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基として具体的には、-CF(CF
3)CF
2-O-CF(CF
3)-、-(CF(CF
3)CF
2-O)
n-CF(CF
3)-(式中、nは1~10の整数)、-CF(CF
3)CF
2-O-CF(CF
3)CH
2-、-(CF(CF
3)CF
2-O)
n-CF(CF
3)CH
2-(式中、nは1~10の整数)、-CH
2CF
2CF
2O-CH
2CF
2CH
2-、-CF
2CF
2CF
2O-CF
2CF
2-、-CF
2CF
2CF
2O-CF
2CF
2CH
2-、-CF
2CF
2O-CF
2-、-CF
2CF
2O-CF
2CH
2-等が挙げられる。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0110】
上記一般式(1)において、Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3M又は-C(CF3)2OM(Mは、-H、金属原子、-NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基)である。
R7としては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記Mとしては、-H、金属原子又は-NR7
4が好ましく、-H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は-NR7
4がより好ましく、-H、-Na、-K、-Li又は-NH4が更に好ましく、-Na、-K又は-NH4が更により好ましく、-Na又は-NH4が特に好ましく、-NH4が最も好ましい。
上記Aとしては、-COOM又は-SO3Mが好ましく、-COOMがより好ましい。
【0111】
一般式(1)で表される単量体としては、例えば、下記式(1a):
CX2=CFCF2-O-(CF(CF3)CF2O)n5-CF(CF3)-A (1a)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は0又は1~10の整数を表し、Aは、上記定義と同じ。)で表されるフルオロアリルエーテル化合物が好適なものとして例示される。
上記式(1a)において、上記n5は一次粒子径が小さいPTFE粒子を得ることができる点で0又は1~5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。上記Aは、-COOMであることが好ましく、上記Mは、H又はNH4であることが好ましい。
上記重合体(1)は、一般式(1a)で表されるフルオロアリルエーテル化合物の単独重合体であってもよいし、他の単量体との共重合体であってもよい。
【0112】
上記重合単位(1)は、下記一般式(1A)で表される単量体に基づく重合単位(1A)であることが好ましい。
CH2=CF(-CF2-O-Rf-A) (1A)
(式中、Rf及びAは前記と同じ。)
上記重合体(1)は、一般式(1A)で表される単量体の単独重合体であってもよいし、他の単量体との共重合体であってもよい。
【0113】
式(1A)で表される単量体として具体的には、下記式
【0114】
【0115】
(式中、Z1はFまたはCF3;Z2及びZ3はそれぞれHまたはF;Z4はH、FまたはCF3;p1+q1+r1が0~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数、ただし、Z3及びZ4がともにHの場合、p1+q1+r1+s1が0でない)で表される単量体が挙げられる。より具体的には、
【0116】
【0117】
などが好ましく挙げられ、なかでも
【0118】
【0119】
であることが好ましい。
【0120】
上記一般式(1A)で表される単量体としては、式(1A)中のAが-COOMであることが好ましく、特に、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOM、及び、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOMがより好ましい。
【0121】
また、一般式(1)で表される単量体としては、下記式で表される単量体等も挙げられる。
【0122】
CF2=CFCF2-O-Rf-A
(式中、Rf及びAは上記と同じ)
【0123】
【0124】
重合体(I)は、一般式(2)で表される単量体に基づく重合単位(2)を含む重合体(2)であることも好ましい。
CX2=CY(-O-Rf-A) (2)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又はFであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、前記と同じである。)
【0125】
一般式(2)において、Xは-H又は-Fである。Xは、両方が-Fであってもよいし、少なくとも1つが-Hであってよい。例えば、片方が-Fで他方が-Hであってもよいし、両方が-Hであってもよい。
【0126】
一般式(2)において、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
Yとしては、-H、-F又は-CF3が好ましく、-Fがより好ましい。
【0127】
上記一般式(2)において、上記X及びYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。例えば、Xが-Hであり、Y及びZが-Fであってよい。
【0128】
上記一般式(2)において、上記Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、-CF2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CF2CH2-、-CF2CF2CH2-、-CF(CF3)-、-CF(CF3)CF2-、-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0129】
一般式(2)で表される単量体は、一般式(2a)、(2b)、(2c)、(2d)および(2e)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
CF2=CF-O-(CF2)n1-A (2a)
(式中、n1は、1~10の整数を表し、Aは前記と同じ。)
CF2=CF-O-(CF2C(CF3)F)n2-A (2b)
(式中、n2は、1~5の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
CF2=CF-O-(CFX1)n3-A (2c)
(式中、X1は、F又はCF3を表し、n3は、1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)
CF2=CF-O-(CF2CFX1O)n4-(CF2)n6-A (2d)
(式中、n4は、1~10の整数を表し、n6は、1~3の整数であり、A及びX1は、前記定義と同じ。)
CF2=CF-O-(CF2CF2CFX1O)n5-CF2CF2CF2-A (2e)
(式中、n5は、0~10の整数を表し、AおよびX1は、前記定義と同じ。)
【0130】
上記式(2a)において、上記n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。
【0131】
上記式(2a)で表される単量体としては、例えば、CF2=CF-O-CF2COOM、CF2=CF(OCF2CF2COOM)、CF2=CF(O(CF2)3COOM)(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
【0132】
上記式(2b)において、n2は、得られる組成物の分散安定性の点で、3以下の整数であることが好ましい。
【0133】
上記式(2c)において、n3は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Aは、-COOMであることが好ましく、上記Mは、H又はNH4であることが好ましい。
【0134】
上記式(2d)において、X1は、分散安定性の点で、-CF3であることが好ましく、n4は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、H又はNH4であることが好ましい。
【0135】
上記式(2d)で表される単量体としては、例えば、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2COOM(式中、Mは、H、NH4又はアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
上記式(2e)において、n5は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、HまたはNH4であることが好ましい。
上記式(2e)で表される単量体としては、たとえば、CF2=CFOCF2CF2CF2COOM(式中、Mは、H、NH4またはアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
【0136】
重合体(I)は、一般式(3)で表される単量体に基づく重合単位(3)を含む重合体(3)であることも好ましい。
CX2=CY(-Rf-A) (3)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、前記と同じである。)
なお、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
【0137】
一般式(3)において、Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基であることが好ましい。一般式(3)において、X及びYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。
【0138】
一般式(3)で表される単量体は、一般式(3a):
CF2=CF-(CF2)n1-A (3a)
(式中、n1は、1~10の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)で表される単量体、及び、一般式(3b):
CF2=CF-(CF2C(CF3)F)n2-A (3b)
(式中、n2は、1~5の整数を表し、Aは、前記定義と同じ。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記式(3a)および上記式(3b)において、上記Aは、-SO3M又は-COOMが好ましく、Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであることが好ましい。R7は、H又は有機基を表す。
【0139】
上記式(3a)において、n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、H又はNH4であることが好ましい。
上記式(3a)で表される単量体としては、たとえば、CF2=CFCF2COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
【0140】
上記式(3b)において、n2は、得られる水性分散液の分散安定性の点で、3以下の整数であることが好ましく、Aは、-COOMであることが好ましく、Mは、HまたはNH4であることが好ましい。
【0141】
次に、一般式(I)においてmが2以上の整数である場合の好適な構成について説明する。
【0142】
重合体(I)は、一般式(4a)および一般式(4b)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体に基づく重合単位(4)を含む重合体(4)であることも好ましい。
CF2=CF-CF2-O-QF1-CF(-QF2-CZ1Z2-A)2 (4a)
(式中、Z1、Z2およびAは上記定義と同じ、QF1およびQF2は、同一又は異なって、単結合、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素アルキレン基または炭素炭素間にエーテル結合を含んでいてもよい含フッ素オキシアルキレン基である)
CF2=CF-O-QF1-CF(-QF2-CZ1Z2-A)2 (4b)
(式中、Z1、Z2、A、QF1およびQF2は上記定義と同じ)
【0143】
一般式(4a)および一般式(4b)で表される単量体としては、
【化6】
等が挙げられる。
【0144】
重合体(I)は、重合体(1)、重合体(2)及び重合体(3)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、重合体(1)がより好ましい。
【0145】
上記重合体(I)は、上記重合単位(I)のみからなる単独重合体であってもよいし、上記重合単位(I)と、一般式(I)で表される単量体と共重合可能な他の単量体に基づく重合単位とを含む共重合体であってもよい。重合媒体への溶解性の観点からは、重合単位(I)のみからなる単独重合体が好ましい。重合単位(I)は、各出現において、同一または異なっていてもよく、重合体(I)は、2種以上の異なる一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含んでいてもよい。
【0146】
上記他の単量体としては、炭素数2又は3の含フッ素エチレン性単量体が好ましく、例えば、CF2=CF2、CF2=CFCl、CH2=CF2、CFH=CH2、CFH=CF2、CF2=CFCF3、CH2=CFCF3、CH2=CHCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)などが挙げられる。
なかでも、共重合性が良好である点で、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2)、クロロトリフルオロエチレン(CF2=CFCl)及びフッ化ビニリデン(CH2=CF2)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、テトラフルオロエチレンがより好ましい。従って、上記他の単量体に基づく重合単位は、テトラフルオロエチレンに基づく単量体単位(重合単位)であることが好ましい。上記他の単量体に基づく重合単位は、各出現において、同一または異なっていてもよく、重合体(I)は、2種以上の異なる他の単量体に基づく重合単位を含んでいてもよい。
【0147】
上記他の単量体としては、また、下記式(n1-2):
【0148】
【0149】
(式中、X1、X2は同じかまたは異なりHまたはF;X3はH、F、Cl、CH3またはCF3;X4、X5は同じかまたは異なりHまたはF;aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rf3は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される単量体が挙げられる。
【0150】
具体的には、CH2=CFCF2-O-Rf3、CF2=CF-O-Rf3、CF2=CFCF2-O-Rf3、CF2=CF-Rf3、CH2=CH-Rf3、CH2=CH-O-Rf3(式中、Rf3は前記式(n1-2)と同じ)などが好ましく挙げられる。
【0151】
上記他の単量体としては、式(n2-1):
【0152】
【0153】
(式中、X9はH、FまたはCH3;Rf4は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素アクリレート単量体も挙げられる。上記Rf4基は、
【0154】
【0155】
(式中、d3は1~4の整数;e3は1~10の整数)などが挙げられる。
【0156】
上記他の単量体としては、式(n2-2):
CH2=CHO-Rf5 (n2-2)
(式中、Rf5は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素ビニルエーテルも挙げられる。
【0157】
式(n2-2)の単量体として具体的には、
【0158】
【0159】
(式中、e6は1~10の整数)などが好ましく挙げられる。
【0160】
より具体的には、
【0161】
【0162】
などが挙げられる。
【0163】
その他、式(n2-3):
CH2=CHCH2O-Rf6 (n2-3)
(式中、Rf6は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素アリルエーテル、式(n2-4):
CH2=CH-Rf7 (n2-4)
(式中、Rf7は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される含フッ素ビニル単量体等も挙げられる。
【0164】
上記式(n2-3)、(n2-4)で表される単量体として具体的には、
【0165】
【0166】
などの単量体が挙げられる。
【0167】
上記重合体(I)は、通常、末端基を有する。末端基は、重合時に生成する末端基であり、代表的な末端基は、水素、ヨウ素、臭素、鎖状又は分岐状のアルキル基、及び、鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基から独立に選択され、任意追加的に少なくとも1つのカテナリーヘテロ原子を含有してもよい。上記アルキル基又はフルオロアルキル基は、炭素数が1~20であることが好ましい。
これらの末端基は、一般的には、重合体(I)の形成に使用される開始剤又は連鎖移動剤から生成するか、又は連鎖移動反応中に生成する。
【0168】
重合体(I)は、重合単位(I)の含有量が全重合単位に対して1.0モル%以上が好ましく、3.0モル%以上がより好ましく、5.0モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が更により好ましく、20モル%以上が殊更好ましく、30モル%以上が特に好ましい。より好ましくは、40モル%以上であり、更に好ましくは、60モル%以上であり、更により好ましくは、80モル%以上であり、特に好ましくは、90モル%以上であり、実質的に100モル%であることが殊更に好ましく、重合単位(I)のみからなることが最も好ましい。
重合体(I)において、一般式(I)で表される単量体と共重合可能な他の単量体に基づく重合単位の含有量は、全重合単位に対して99.0モル%以下が好ましく、97.0モル%以下がより好ましく、95.0モル%以下が更に好ましく、90モル%以下が更により好ましく、80モル%以下が殊更好ましく、70モル%以下が特に好ましい。より好ましくは、60モル%以下であり、更に好ましくは40モル%以下であり、更により好ましくは20モル%以下であり、特に好ましくは10モル%以下であり、実質的に0モル%が殊更に好ましく、他の単量体に基づく重合単位を含まないことが特に殊更好ましい。
【0169】
上記重合体(I)の数平均分子量は、0.1×104以上が好ましく、0.2×104以上がより好ましく、0.3×104以上が更に好ましく、0.4×104以上が特に好ましく、0.5×104以上が殊更に好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、3.0×104以上が殊更特に好ましく、3.1×104以上が最も好ましい。また、75.0×104以下が好ましく、50.0×104以下がより好ましく、40.0×104以下が更に好ましく、30.0×104以下が殊更に好ましく、20.0×104以下が特に好ましい。上記数平均分子量及び後述の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、単分散ポリスチレンを標準として分子量を算出する値である。また、GPCによる測定ができない場合には、NMR、FT-IR等により得られた末端基数から計算された数平均分子量とメルトフローレートとの相関関係により、重合体(I)の数平均分子量を求めることができる。メルトフローレートは、JIS K 7210に準拠して測定できる。
【0170】
上記重合体(I)の重量平均分子量は、0.2×104以上が好ましく、0.4×104以上がより好ましく、0.6×104以上が更に好ましく、0.8×104以上が特に好ましく、1.0×104以上が殊更に好ましく、5.0×104以上がより特に好ましく、10.0×104以上が更に特に好ましく、15.0×104以上が殊更に好ましく、20.0×104以上が殊更特に好ましく、25.0×104以上が最も好ましい。また、150.0×104以下が好ましく、100.0×104以下がより好ましく、60.0×104以下が更に好ましく、50.0×104以下が特に好ましく、40.0×104以下が特に好ましい。
【0171】
重合体(I)は、水溶性を有していることが好ましい。水溶性とは、容易に水に溶解または分散する性質を意味する。水溶性を有する重合体(I)は、たとえば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定できない。一方、非水溶性を有する重合体(I)は、たとえば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定することができる。
重合体(I)は、水溶性の観点から、53以下のイオン交換率(IXR)を有することが好ましい。上記IXRは、イオン性基に対するポリマー主鎖中の炭素原子数と定義される。加水分解によりイオン性となる前駆体基(例えば、-SO2F)は、IXRを決定する目的ではイオン性基と見なされない。
IXRは、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が更により好ましく、5以上が殊更に好ましく、8以上が特に好ましい。また、IXRは43以下がより好ましく、33以下が更に好ましく、23以下が特に好ましい。
重合体(I)において、イオン性基(アニオン性基)は、典型的に、ポリマー主鎖に沿って分布している。上記重合体(I)は、ポリマー主鎖を、この主鎖に結合された繰り返し側鎖とともに含み、この側鎖はイオン性基を有することが好ましい。
重合体(I)は、10未満、より好ましくは7未満のpKaを有するイオン性基を含むことが好ましい。重合体(I)のイオン性基は、好ましくは、スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、及び、ホスファートからなる群から選択される。
用語「スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、およびホスファート」は、それぞれの塩、または塩を形成し得るそれぞれの酸をいうことが意図される。塩が用いられる場合、好ましくは、その塩はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。好ましいイオン性基は、スルホナート基である。
重合体(I)のイオン交換容量としては、好ましい順に、0.80meg/g以上、1.50meg/g以上、1.75meg/g以上、2.00meg/g以上、2.50meg/g以上、2.60meg/g以上、3.00meg/g以上、3.50meg/g以上である。イオン交換容量は、重合体(I)のイオン性基(アニオン性基)の含有量であり、重合体(I)の組成から計算により求められる。
【0172】
上記重合体(I)は上記の単量体を用いること以外は従来公知の方法により製造することができる。
単量体(I)の重合は、実質的に、後述する含フッ素界面活性剤(ただし、一般式(I)で表される単量体(I)を除く)の非存在下に、行うことが好ましい。「実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に」とは、単量体(I)の重合に用いる媒体に対する含フッ素界面活性剤の量が10質量ppm以下であることを意味する。媒体に対する含フッ素界面活性剤の量としては、好ましくは1質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppb以下であり、更に好ましくは10質量ppb以下であり、更により好ましくは1質量ppb以下である。
【0173】
上記重合体(I)を含有する水において、重合体(I)の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、除去効率を高める観点から、10質量%以下であることが好ましい。
上記重合体(I)を含有する水において、重合体(I)の含有量は、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。また、0質量%超であってよく、0.005質量%超であってよく、0.006質量%超であってよく、0.008質量%超であってよく、0.010質量%以上であってよく、0.020質量%超であってよく、0.025質量%超であってよく、0.1質量%以上であってよい。
上記重合体(I)の含有量は、固体NMRから測定することができる。
上記重合体(I)の含有量の測定方法としては、国際公開第2014/099453号、国際公開第2010/075497、国際公開第2010/075496号、国際公開第2011/008381、国際公開第2009/055521号、国際公開第1987/007619号、特開昭61-293476号公報、国際公開第2010/075494号、国際公開第2010/075359号、国際公開第2012/082454号、国際公開第2006/119224号、国際公開第2013/085864号、国際公開第2012/082707号、国際公開第2012/082703号、国際公開第2012/082454号、国際公開第2012/082451号、国際公開第2006/135825号、国際公開第2004/067588号、国際公開第2009/068528号、特開2004-075978号公報、特開2001-226436号公報、国際公開第1992/017635号、国際公開第2014/069165号、特開平11-181009号公報などに記載のそれぞれの重合体の測定方法が記載されている。
上記重合体(I)を含有する水は、1種の単一の重合体(I)を含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体(I)を含んでいてもよい。
【0174】
上記重合体(I)を含有する水は、重合体(I)及び水以外の物質を含んでいてもよく、分散液、水溶液等であってもよい。
重合体(I)及び水以外の物質としては、重合体(I)以外の非フッ素ポリマー、重合体(I)以外の含フッ素ポリマー(フルオロポリマー)、オリゴマー等が挙げられる。
重合体(I)以外の非フッ素ポリマーおよび含フッ素ポリマーは、一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含まないことも好ましい。
重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとしては、53より高いイオン交換率(IXR)を有する含フッ素ポリマーが好ましい。好ましい重合体(I)以外の含フッ素ポリマーは、イオン性基を全く有さないか、または約100より高いイオン交換率をもたらす限られた数のイオン性基を有する。好ましい重合体(I)以外の含フッ素ポリマーのイオン交換率は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。上記重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとしては、PTFE、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0重量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記含フッ素ポリマーとしては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、PTFEがより好ましい。
上記重合体(I)を含有する水は、重合体(I)と、重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとを含んでよく、重合体(I)と、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種とを含むことがより好ましく、重合体(I)とPTFEとを含むことが更に好ましい。
【0175】
上記重合体(I)を含有する水は、重合体(I)及び水以外の物質の含有量が1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。重合体(I)及び水以外の物質の含有量の下限は限定されないが、例えば、0質量%であってよく、0.1質量%であってよい。
【0176】
上記重合体(I)を含有する水は、水の含有量が99.0質量%以上であることが好ましい。より好ましくは99.5質量%以上であり、更に好ましくは99.8質量%以上である。
【0177】
上記除去工程に供される上記重合体(I)を含有する水(除去工程前、例えば、上記無機凝集剤を添加する前の重合体(I)を含有する水)のpHは、例えば1.5~13.5であってよく、2~13であってよい。
上記重合体(I)を含有する水のpHは、pH調整剤によって調整することができる。pH調整剤としては限定されず、例えば、上述した酸化合物、アルカリ化合物等を使用できる。
【0178】
上記重合体(I)を含有する水は、重合体(I)を含有するものであれば特に限定されず、例えば、工業生産で生じた水(排水)であってよい。上記重合体(I)を含有する水は排水であることも本開示の好適な形態の一つである。本開示の除去方法は、例えば、後述するポリマー製造工程で生じた水を処理するのに有効であり、特に、重合工程を経た水を処理するのに有効である。そのため、上記重合体(I)を含有する水は、ポリマー製造工程で生じた水であることも本開示の好適な形態の一つである。上記重合体(I)を含有する水は、重合工程を経た水であることが好ましく、含フッ素ポリマー(フルオロポリマー)の重合工程を経た水であることがより好ましい。上記重合工程は、例えば、重合体(I)の存在下、水性媒体中でモノマー(例えば、下記含フッ素モノマー)を重合する工程であってよい。
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
【0179】
上記ポリマー製造工程で生じた水としては、1以上のモノマーを重合する重合工程を経た水に加えて、重合工程前の前処理工程(例えば、所定濃度の乳化剤を調製する工程等)で生じる水、および、重合工程後の後処理工程(例えば、水性分散液の濃縮工程、固液分離工程、凝析工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程、熱処理工程等)で生じる水も含まれ得る。上記重合工程を経た水としては、ポリマー製造工程、特に、後述の含フッ素ポリマー製造工程で生じた水が挙げられる。上記重合体(I)を含有する水としては、例えば、ポリマー製造工程で生じた水をそのまま用いてもよいし、ポリマー製造工程で生じた水を希釈又は濃縮して用いてもよい。
上記重合体(I)を含有する水には、水溶液、分散液、およびガス(後述する乾燥工程等で生じる排ガス等)を液化して得られる液体が含まれる。
以下、含フッ素ポリマー製造工程を例に挙げて説明するが、上記重合工程を経た水は、含フッ素ポリマー製造工程で生じた水に限らず、どのようなポリマー製造工程で生じた水も含まれる。
【0180】
本明細書において、「含フッ素ポリマー製造工程」は、含フッ素モノマーを含む1種類以上のモノマーを重合して含フッ素ポリマーを製造する工程全般を意味し、特定の製造工程に限定されるものではない。含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーを重合体(I)の存在下で重合することによっても製造することができる。
上記重合体(I)を含有する水は、重合体(I)を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた水を含むことが好ましい。
【0181】
本明細書において、「含フッ素モノマー」は、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等を含んでよい。
含フッ素モノマーは、一般式(I)で表される単量体以外のモノマーであることが好ましい。
【0182】
本明細書において、「含フッ素ポリマー」(フルオロポリマー)は、上述した1以上の含フッ素モノマーを含むモノマーを重合して得られるものであってよく、例えば重合体(I)及び水以外の物質として例示した含フッ素ポリマーであってよいが、これに限定されるものではない。本開示の第1の処理方法において、上記含フッ素ポリマーは、PTFEであってもよい。
上記PTFEは、TFE単独重合体であってもよいし、TFE単位とTFEと共重合可能な変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含む変性PTFEであってもよい。また、高分子量PTFEであってもよいし、低分子量PTFEであってもよい。
高分子量PTFEは、通常、非溶融加工性及びフィブリル化性を有するものであり、例えば、標準比重(SSG)が2.130~2.280である。上記標準比重は、ASTM D4895-89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D-792に準拠した水置換法により測定する。本開示において、「高分子量PTFE」とは、標準比重が上記の範囲内にあることを意味する。
【0183】
本開示の第1の処理方法は、下記の含フッ素ポリマー製造工程を含むものであってよい。
本明細書において、「含フッ素ポリマー製造工程」は、含フッ素ポリマーの製造プロセスに含まれる工程であれば特に限定されるものではなく、公知の含フッ素ポリマー製造プロセスを構成する1以上の工程を含んでよい。「含フッ素ポリマー製造工程」には、含フッ素モノマーを含む1以上のモノマーを重合する重合工程に加えて、重合工程前の前処理工程(例えば、所定濃度の乳化剤を調製する工程等)および重合工程後の後処理工程(例えば、水性分散液の濃縮工程、固液分離工程、凝析工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程、熱処理工程等)も含まれ得る。以下、「含フッ素ポリマー製造工程」の具体例について説明するが、本実施形態に係る方法は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0184】
上述したように、含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーを含む1種類以上のモノマーを重合することにより製造される。この重合工程において、モノマーを水性媒体中で重合することが好ましく、これにより、ポリマー粒子が水性媒体中に分散した水性分散液が得られる。上記重合工程は、重合体(I)の存在下で行うことが好ましい。上記重合体(I)を含有する水は、重合体(I)を用いた重合で得られたものであってよい。
水性分散液の状態で使用する場合には、得られた水性分散液は、濃縮工程(例えば、相分離濃縮、電気濃縮、限外濾過膜を用いた濾過処理、逆浸透膜(RO膜)を用いた濾過処理、ナノ濾過処理等)によって濃縮してもよい。その場合、濃縮した水性分散液を回収した後に残る重合体(I)を含有する液は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
重合工程の後、凝析工程において、水性分散液に塩または酸を添加して、含フッ素ポリマーを凝集させることが好ましい。次いで、固液分離工程において、凝集した含フッ素ポリマーを分離して回収することが好ましい。含フッ素ポリマーを分離回収した後に残る重合体(I)を含有する液は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
【0185】
固液分離工程で分離回収された含フッ素ポリマーは、洗浄工程において、水性媒体等の洗浄液で洗浄してよい。洗浄工程において発生する、重合体(I)を含有する排水は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。洗浄工程において使用した重合体(I)を含有する洗浄液は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
固液分離工程で分離回収された含フッ素ポリマーは、脱水工程において、機械的に脱水してよい。脱水工程において含フッ素ポリマーから除去された重合体(I)を含有する液は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
脱水後の含フッ素ポリマーを、洗浄液で洗浄してもよく、この洗浄工程において発生する、重合体(I)を含有する排水は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。この洗浄工程で使用した重合体(I)を含有する洗浄液もまた、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
【0186】
上述の洗浄工程および/または脱水工程の後に得られる含フッ素ポリマーは、乾燥工程において加熱乾燥して、残留する水分や有機溶媒を排ガスとして除去してよい。乾燥工程で生じる排ガスを液化した重合体(I)を含有する液は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
乾燥工程で生じる排ガスには、水蒸気および有機溶媒に加えて、含フッ素ポリマーに同伴された重合体(I)が含まれ得る。そのため、この排ガスを、水またはアルカリ水溶液等の洗浄液で洗浄することが好ましい。排ガスの洗浄に用いた重合体(I)を含有する洗浄液もまた、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
【0187】
乾燥工程の後に得られる含フッ素ポリマーは、熱処理工程において、ペレット等の所望の形状に成形してよい。熱処理工程で生じる排ガスを液化した重合体(I)を含有する液は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
熱処理工程で生じる排ガスには、含フッ素ポリマーに同伴された重合体(I)が含まれ得る。そのため、この排ガスを、水またはアルカリ水溶液等の洗浄液で洗浄することが好ましい。この排ガスの洗浄により発生する、重合体(I)を含有する排水は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。排ガスの洗浄に用いた重合体(I)を含有する洗浄液もまた、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
【0188】
なお、乾燥工程で生じる排ガスおよび熱処理工程で生じる排ガスの両方を一緒に洗浄して単一の洗浄液を得てもよい。乾燥工程で生じる排ガスおよび熱処理工程で生じる排ガスの両方を一緒に洗浄することにより発生する、重合体(I)を含有する排水(水)は、本明細書における「重合体(I)を含有する水」に含まれ得る。
【0189】
上記重合体(I)を含有する水は、1種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる水であってよく、あるいは複数の異なる種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる水を含んでもよい。例えば、上記重合体(I)を含有する水は、フッ素ゴムの製造工程から生じる水およびPTFE(低分子量PTFE等)の製造工程から生じる水を含む混合物であってよく、本開示の第1の処理方法によって、2種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる水を同時に処理することができる。また、重合体(I)を含有する水は、含フッ素ポリマーの製造プロセスに含まれる工程のうち1つの工程から生じる水であってよく、あるいは複数の異なる工程から生じる水を含んでもよい。
例えば、上記重合体(I)を含有する水は、重合体(I)を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた水と、含フッ素界面活性剤を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた水とを混合したものであってもよい。
また、重合体(I)を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた水と、炭化水素系界面活性剤を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた水とを混合したものであってもよい。上記炭化水素系界面活性剤としては限定されず、同じ分子上に親水性部分及び疎水性部分を有する界面活性剤であってよい。これらは、カチオン性、非イオン性またはアニオン性であってよい。
例えば、アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、R-L-M(式中、Rが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価または2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Lが、-ArSO3
-、-SO3
-、-SO4-、-PO3
-又はCOO-であり、Mが、H、金属原子、NR5
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5は、H又は有機基、-ArSO3
-は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
具体的には、ラウリル酸、ラウリル硫酸に代表されるようなCH3-(CH2)n-L-M(式中、nが、6~17の整数である。LおよびMが、上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
Rが、12~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、L-Mが、硫酸塩であるものの混合物も使用できる。
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、R6(-L-M)2(式中、R6が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキレン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Lが、-ArSO3
-、-SO3
-、-SO4-、-PO3
-又はCOO-であり、Mが、H、金属原子、NR5
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5は、H又は有機基、-ArSO3
-は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
また、アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、R7(-L-M)3(式中、R7が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキリジン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキリジン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Lが、-ArSO3
-、-SO3
-、-SO4-、-PO3
-又はCOO-であり、Mが、H、金属原子、NR5
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5はH又は有機基である。-ArSO3
-は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Resolution Performance ProductsのVersatic(登録商標)10、BASF社製のAvanel Sシリーズ(S-70、S-74等)等が挙げられる。
【0190】
また、アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、シロキサン炭化水素系界面活性剤も挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤としては、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0-8247-00104に記載されているものが挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含む。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み、ここで、シリコーン原子上の置換基が、完全に炭化水素である。ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界系面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
【0191】
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含んでもよい。イオン性疎水性部分は、イオン的に官能化されたシロキサングラフトも含み得る。このようなシロキサン炭化水素系界面活性剤としては、たとえば、ポリジメチルシロキサン-グラフト-(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン-グラフト-ポリアクリレート塩およびポリジメチルシロキサングラフト化第4級アミンが挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分の極性部分は、ポリエチレンオキシド(PEO)、および混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテル(PEO/PPO)などのポリエーテル;単糖類および二糖類;およびピロリジノンなどの水溶性複素環によって形成される非イオン性基を含み得る。エチレンオキシド対プロピレンオキシド(EO/PO)の比率は、混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルにおいて変化され得る。
【0192】
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分との組合せも含み得る。このような部分としては、たとえば、イオン的に末端官能化されたまたはランダムに官能化されたポリエーテルまたはポリオールが挙げられる。好ましくは、非イオン性部分を有するシロキサン、すなわち、非イオン性シロキサン界面活性剤である。
【0193】
シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造の疎水性および親水性部分の配置は、ジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)(ここで、「B」は、分子のシロキサン部分を表す)、またはマルチブロックポリマーの形態をとってもよい。あるいは、シロキサン界面活性剤は、グラフトポリマーを含んでいてもよい。
【0194】
シロキサン炭化水素系界面活性剤については、米国特許第6,841,616号明細書にも開示されている。
【0195】
シロキサンベースのアニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Lubrizol Advanced Materials,Inc.のNoveon(登録商標)Consumer Specialtiesから入手可能なSilSenseTMPE-100シリコーン、SilSenseTMCA-1シリコーン等が挙げられる。
【0196】
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCのスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300等も挙げられる。スルホサクシネート界面活性剤としては、スルホコハク酸ジイソデシルNa塩、(ClariantのEmulsogen(登録商標)SB10)、スルホコハク酸ジイソトリデシルNa塩(Cesapinia ChemicalsのPolirol(登録商標)TR/LNA)等が挙げられる。
【0197】
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、Omnova Solutions,Inc.のPolyFox(登録商標)界面活性剤(PolyFoxTMPF-156A、PolyFoxTMPF-136A等)も挙げられる。
【0198】
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、たとえば、一般式(α):
R10-COOM (α)
(式中、R10は、1個以上の炭素原子を含有する1価の有機基である。Mは、H、金属原子、NR11
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R11はHまたは有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)で示される化合物(α)が挙げられる。R11としてはHまたはC1-10の有機基が好ましく、HまたはC1-4の有機基がより好ましい。界面活性能の観点から、R10の炭素数は2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、水溶性の観点から、R10の炭素数は、29個以下であることが好ましく、23個以下がより好ましい。上記Mの金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、KまたはLiが好ましい。Mとしては、H、金属原子またはNR11
4が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)またはNR11
4がより好ましく、H、Na、K、LiまたはNH4が更に好ましく、Na、KまたはNH4が更により好ましく、NaまたはNH4が特に好ましく、NH4が最も好ましい。
【0199】
化合物(α)としては、R12-COOM(式中、R12が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基またはアルケニレン基、若しくは、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基またはアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。炭素数が3以上の場合は1価または2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Mは上記と同じ。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。具体的には、CH3-(CH2)n-COOM(式中、nが、2~28の整数である。Mは上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
【0200】
化合物(α)は、乳化安定性の観点で、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を含まないものであってもよい。上記カルボニル基を含まない炭化水素含有界面活性剤としては、たとえば、下記式(A):R-COO-M (A)(式中、Rは、6~17個の炭素原子を含有するアルキル基、アルケニル基、アルキレン基またはアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。Mは、H、金属原子、NR11
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、または、置換基を有していてもよいホスホニウムである。R11は、同一または異なって、Hまたは炭素数1~10の有機基である。)の化合物が好ましく例示される。上記式(A)において、Rは、アルキル基またはアルケニル基(これらはエーテル基を含んでいてもよい)であることが好ましい。上記Rにおけるアルキル基またはアルケニル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。上記Rの炭素数は限定されないが、たとえば、2~29である。
【0201】
上記式(A)において、Rがアルキル基が直鎖状である場合、Rの炭素数は3~29であることが好ましく、5~23であることがより好ましい。上記アルキル基が分岐鎖状である場合、Rの炭素数は5~35であることが好ましく、11~23であることがより好ましい。上記アルケニル基が直鎖状である場合、Rの炭素数は2~29であることが好ましく、9~23であることがより好ましい。上記アルケニル基が分岐鎖状である場合、Rの炭素数は2~29であることが好ましく、9~23であることがより好ましい。
【0202】
アルキル基およびアルケニル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ビニル基等が挙げられる。
【0203】
また、アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤も挙げられる。カルボン酸型炭化水素系界面活性剤としては、たとえば、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)-リノレン酸、(6,9,12)リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8、11-エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、およびこれらの塩が挙げられる。特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、および、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR11
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、または、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
【0204】
また、アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、たとえば国際公開第2013/146950号や国際公開第2013/146947号に記載されているアニオン性炭化水素系界面活性剤を用いることができる。たとえば、炭素数6~40、好ましくは炭素数8~20、より好ましくは炭素数9~13の飽和または不飽和の脂肪族鎖を有するものが挙げられる。上記飽和または不飽和の脂肪族鎖は、直鎖または分岐鎖の何れであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。上記炭化水素は、芳香族性であってもよいし、芳香族基を有するものであってもよい。上記炭化水素は、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
【0205】
アニオン性炭化水素系界面活性剤としては、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェートおよびそれらの塩;脂肪族(カルボン)酸およびその塩;リン酸アルキルエステル、リン酸アルキルアリールエステルまたはそれらの塩;等が挙げられるが、中でも、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、脂肪族カルボン酸またはそれらの塩が好ましい。
【0206】
アルキルサルフェートまたはその塩としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
脂肪族カルボン酸またはその塩としては、コハク酸、デカン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸、ラウリン酸、ハイドロドデカン酸、またはそれらの塩が好ましい。
【0207】
上記含フッ素界面活性剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤等が挙げられる。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤は、例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよい。
【0208】
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよい。
なお、上記「アニオン性部分」は、上記含フッ素界面活性剤のカチオンを除く部分を意味する。例えば、後述する式(IA)で表されるF(CF2)n1COOMの場合には、「F(CF2)n1COO」の部分である。
【0209】
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤が挙げられる。上記LogPOWは、1-オクタノールと水との分配係数であり、LogP[式中、Pは、含フッ素界面活性剤を含有するオクタノール/水(1:1)混合液が相分離した際のオクタノール中の含フッ素界面活性剤濃度/水中の含フッ素界面活性剤濃度比を表す]で表されるものである。
上記LogPOWは、カラム;TOSOH ODS-120Tカラム(φ4.6mm×250mm、東ソー(株)製)、溶離液;アセトニトリル/0.6質量%HClO4水=1/1(vol/vol%)、流速;1.0ml/分、サンプル量;300μL、カラム温度;40℃、検出光;UV210nmの条件で、既知のオクタノール/水分配係数を有する標準物質(ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸)についてHPLCを行い、各溶出時間と既知のオクタノール/水分配係数との検量線を作成し、この検量線に基づき、試料液におけるHPLCの溶出時間から算出する。
【0210】
上記含フッ素界面活性剤として具体的には、米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003-119204号公報、国際公開第2005/042593号、国際公開第2008/060461号、国際公開第2007/046377号、国際公開第2007/119526号、国際公開第2007/046482号、国際公開第2007/046345号、米国特許出願公開第2014/0228531号、国際公開第2013/189824号、国際公開第2013/189826号に記載されたもの等が挙げられる。
【0211】
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、下記一般式(N0):
Xn0-Rfn0-Y0 (N0)
(式中、Xn0は、H、Cl又は及びFである。Rfn0は、炭素数3~20で、鎖状、分枝鎖状または環状で、一部または全てのHがFにより置換されたアルキレン基であり、該アルキレン基は1つ以上のエーテル結合を含んでもよく、一部のHがClにより置換されていてもよい。Y0はアニオン性基である。)で表される化合物が挙げられる。
Y0のアニオン性基は、-COOM、-SO2M、-SO3M又は-C(CF3)2OMであってよく、-COOM、又は、-SO3Mであってよい。
Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基である。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、例えば、Na、K又はLiである。
R7としては、H又はC1-10の有機基であってよく、H又はC1-4の有機基であってよく、H又はC1-4のアルキル基であってよい。
Mは、H、金属原子又はNR7
4であってよく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR7
4であってよく、H、Na、K、Li又はNH4であってよい。
上記Rfn0は、Hの50%以上がフッ素に置換されているものであってよい。
【0212】
上記一般式(N
0)で表される化合物としては、
下記一般式(N
1):
X
n0-(CF
2)
m1-Y
0 (N
1)
(式中、X
n0は、H、Cl及びFであり、m1は3~15の整数であり、Y
0は、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N
2):
Rf
n1-O-(CF(CF
3)CF
2O)
m2CFX
n1-Y
0 (N
2)
(式中、Rf
n1は、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基であり、m2は、0~3の整数であり、X
n1は、F又はCF
3であり、Y
0は、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N
3):
Rf
n2(CH
2)
m3-(Rf
n3)
q-Y
0 (N
3)
(式中、Rf
n2は、炭素数1~13のエーテル結合を含み得る、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、m3は、1~3の整数であり、Rf
n3は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のパーフルオロアルキレン基であり、qは0又は1であり、Y
0は、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N
4):
Rf
n4-O-(CY
n1Y
n2)
pCF
2-Y
0 (N
4)
(式中、Rf
n4は、炭素数1~12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y
n1及びY
n2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、pは0又は1であり、Y
0は、上記定義したものである。)で表される化合物、及び、一般式(N
5):
【化13】
(式中、X
n2、X
n3及びX
n4は、同一若しくは異なってもよく、H、F、又は、炭素数1~6のエーテル結合を含んでよい直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基である。Rf
n5は、炭素数1~3のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキレン基であり、Lは連結基であり、Y
0は、上記定義したものである。但し、X
n2、X
n3、X
n4及びRf
n5の合計炭素数は18以下である。)で表される化合物が挙げられる。
【0213】
上記一般式(N0)で表される化合物としてより具体的には、下記一般式(IA)で表されるパーフルオロカルボン酸(IA)、下記一般式(II)で表されるω-Hパーフルオロカルボン酸(II)、下記一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、下記一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、下記一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、下記一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、下記一般式(VII)で表されるω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)、下記一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、下記一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、下記一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、下記一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、下記一般式(XII)で表される化合物(XII)、下記一般式(XIII)で表される化合物(XIII)などが挙げられる。
【0214】
上記パーフルオロカルボン酸(IA)は、下記一般式(IA)
F(CF2)n1COOM (IA)
(式中、n1は、3~14の整数であり、Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、H又は有機基である。)で表されるものである。
【0215】
上記ω-Hパーフルオロカルボン酸(II)は、下記一般式(II)
H(CF2)n2COOM (II)
(式中、n2は、4~15の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0216】
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)は、下記一般式(III)
Rf1-O-(CF(CF3)CF2O)n3CF(CF3)COOM (III)
(式中、Rf1は、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基であり、n3は、0~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0217】
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)は、下記一般式(IV)
Rf2(CH2)n4Rf3COOM (IV)
(式中、Rf2は、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基であり、Rf3は、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~3のパーフルオロアルキレン基、n4は、1~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0218】
上記アルコキシフルオロカルボン酸(V)は、下記一般式(V)
Rf4-O-CY1Y2CF2-COOM (V)
(式中、Rf4は、炭素数1~12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y1及びY2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0219】
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)は、下記一般式(VI)
F(CF2)n5SO3M (VI)
(式中、n5は、3~14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0220】
上記ω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)は、下記一般式(VII)
H(CF2)n6SO3M (VII)
(式中、n6は、4~14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0221】
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)は、下記一般式(VIII)
Rf5(CH2)n7SO3M (VIII)
(式中、Rf5は、炭素数1~13のパーフルオロアルキル基であり、n7は、1~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0222】
上記アルキルアルキレンカルボン酸(IX)は、下記一般式(IX)
Rf6(CH2)n8COOM (IX)
(式中、Rf6は、炭素数1~13のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、n8は、1~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0223】
上記フルオロカルボン酸(X)は、下記一般式(X)
Rf7-O-Rf8-O-CF2-COOM (X)
(式中、Rf7は、炭素数1~6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rf8は、炭素数1~6の直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0224】
上記アルコキシフルオロスルホン酸(XI)は、下記一般式(XI)
Rf9-O-CY1Y2CF2-SO3M (XI)
(式中、Rf9は、炭素数1~12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状であって、塩素を含んでもよい、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y1及びY2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
【0225】
上記化合物(XII)は、下記一般式(XII):
【化14】
式中、X
1、X
2及びX
3は、同一若しくは異なってもよく、H、F及び炭素数1~6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rf
10は、炭素数1~3のパーフルオロアルキレン基であり、Lは連結基であり、Y
0はアニオン性基である。)で表されるものである。
Y
0は、-COOM、-SO
2M、又は、-SO
3Mであってよく、-SO
3M、又は、COOMであってよい(式中、Mは上記定義したものである。)。
Lとしては、例えば、単結合、炭素数1~10のエーテル結合を含みうる部分又は完全フッ素化されたアルキレン基が挙げられる。
【0226】
上記化合物(XIII)は、下記一般式(XIII):
Rf11-O-(CF2CF(CF3)O)n9(CF2O)n10CF2COOM (XIII)
(式中、Rf11は、塩素を含む炭素数1~5のフルオロアルキル基であり、n9は、0~3の整数であり、n10は、0~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。化合物(XIII)としては、CF2ClO(CF2CF(CF3)O)n9(CF2O)n10CF2COONH4(平均分子量750の混合物、式中、n9およびn10は上記定義したものである。)が挙げられる。
【0227】
上述したように上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が挙げられる。
【0228】
本開示の第1の処理方法は、上記重合体(I)を含有する水が、固体成分を含む場合には、更に、上記除去工程の前に、重合体(I)を含有する水から固体成分を除去する前処理工程を含むことも好ましい。固体成分としては、未凝析ポリマー、凝集剤、微粒子状ポリマー等が挙げられる。
上記固体成分は、例えば、上述したポリマー製造工程において製造されるポリマーを分離回収した後の水中に残存し得る成分である。例えば、上述したポリマー製造工程としての固液分離工程において、ポリマーを分離回収した後に残る重合体(I)を含有する液、すなわち、ポリマーを分離回収した後の水は、固液分離工程で回収しきれなかった未凝析ポリマーを含み得る。ポリマーを分離回収した後に残る重合体(I)を含有する液から、重合体(I)を除去する際において、このような固体成分は、重合体(I)を除去するプロセスに悪影響を及ぼし得るので、除去工程の前に水から除去することが望ましい。
本明細書において、未凝析ポリマーは、ポリマーの重合工程の後、凝集剤を添加し、固液分離工程を行ってポリマーを分離回収した後に残る水中に分散して存在するポリマー成分であって、フィルタ等のろ材の表面にゲル状物質となって堆積するものを意味する。未凝析ポリマーの粒径は、0.01μm~5.0μm程度であってよい。
重合体(I)を含有する水に含まれ得る微粒子状ポリマーは、その粒径が限定されるものではないが、例えば、粒径が約0.1μm~0.2μm程度のポリマーであってもよい。
すなわち、上記重合体(I)を含有する水は固体成分を含むものであってよく、固体成分として未凝析ポリマー及び/または微粒子状ポリマーを含むものであってよい。
本開示の第1の処理方法において、重合体(I)を含有する水中の固体成分の濃度は特に限定されず、任意の固体成分濃度の水を処理することができる。
重合体(I)を含有する水中の固体成分の濃度は、ポリマー製造工程に応じて変化し得るが、例えば、0.1ppm~50000ppmであってもよい。
また、上記前処理工程によって、例えば、重合体(I)を含有する水中の固体成分を0.05ppm~500ppmにすることが好ましく、0.05ppm~50ppmにすることがより好ましく、0.05ppm~10ppmにすることが更に好ましい。固体成分の下限は、0.1ppmであってもよい。
固体成分を除去する方法としては限定されず、ろ過等が挙げられる。ろ過の方法としては、UF膜、MF膜により固体成分を分離する方法、ろ過助剤を使用する方法、液体サイクロンを使用する方法等が挙げられる。
上記MF膜としては、保安フィルターや中空糸膜、平膜、スパイラル等が挙げられる。
上記ろ過助剤としては、珪藻土、ろ過砂(マンガン砂、マンガンゼオライト、アンスラサイト、セラミックサンド等)、パーライト、セルロース等が挙げられる。
【0229】
重合体(I)としては、また、後述する炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体であってもよいし、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体(重合体α)であってもよい。
【0230】
本開示はまた、下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)、水、及び、含フッ素ポリマー(ただし、前記重合体(I)を除く)を含み、前記重合体(I)の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第1の組成物」ともいう)を提供する。
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
本開示の第1の組成物は、重合体(I)の水溶液であってもよいし、重合体(I)の分散液であってもよい。
【0231】
本開示の第1の組成物において、重合体(I)は本開示の第1の処理方法で記載したものと同じであり、適宜好適な態様を採用することができる。中でも、上述した重合体(1)が好ましい。
【0232】
本開示の第1の組成物は、重合体(I)の含有量が、組成物の質量に対して250ppm以下である。重合体(I)の含有量は200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が更により好ましく、25ppm以下が殊更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。上記含有量の下限値は特に限定されないが、0.1ppm以上が好ましく、0.5ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、2ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が特に好ましい。
本開示の第1の組成物に含まれる重合体(I)の含有量は、重合体(I)を含有する水と同じ方法で測定できる。例えば、固体NMR測定より求められる。
本開示の第1の組成物は、1種の単一の重合体(I)を含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体(I)を含んでいてもよい。
【0233】
本開示の第1の組成物は、重合体(I)以外の含フッ素ポリマーを含有する。
重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとしては、本開示の第1の処理方法にて記載した重合体(I)以外の含フッ素ポリマーを適宜採用することができ、適宜好適な態様を採用することができる。重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとしては、53より高いイオン交換率(IXR)を有する含フッ素ポリマーが好ましい。また、重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとしては、PTFEが好ましい。
本開示の第1の組成物がPTFEを含有する場合において、PTFEはTFE単独重合体であってもよいし、TFE単位とTFEと共重合可能な変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含む変性PTFEであってもよく、また、高分子量PTFEであってもよいし、低分子量PTFEであってもよい。本開示の組成物におけるPTFEとしては、本開示の第1の処理方法にて記載したPTFEを適宜採用することができる。
【0234】
本開示の第1の組成物において、重合体(I)以外の含フッ素ポリマーの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。
重合体(I)以外の含フッ素ポリマーの含有量は、MF膜により固体成分(重合体(I)以外の含フッ素ポリマー)を分離する方法で求めることができる。
本開示の第1の組成物がPTFEを含有する場合において、PTFEの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。
上記PTFEの含有量は、MF膜により固体成分(PTFE)を分離する方法で求めることができる。
【0235】
本開示の第1の組成物は、重合体(I)、水及び含フッ素ポリマー以外の物質を含んでもよい。本開示の第1の組成物は、例えば、本開示の第1の処理方法にて記載した凝集剤等を含んでもよい。また、本開示の第1の組成物は、金属イオンを含有してもよく、2価以上の金属イオンを含有してもよい。2価以上の金属イオンとしては、後述する本開示の第3の組成物が含有するものを適宜含有することができる。
2価以上の金属イオンの含有量は、好ましくは、組成物に対して0.05mg/L以上であり、より好ましくは、0.1mg/L以上であり、更に好ましくは0.15mg/L以上であり、特に好ましくは0.2mg/L以上である。また、2価以上の金属イオンの含有量は、1000mg/L以下が好ましく、500mg/L以下がより好ましく、250mg/L以下が更に好ましく、100mg/L以下が更により好ましく、50mg/L以下が殊更に好ましく、10mg/L以下が特に好ましく、5mg/L以下が最も好ましい。
【0236】
本開示の第1の組成物において、重合体(I)、水及び重合体(I)以外の含フッ素ポリマーの合計量は95.0質量%以上が好ましく、99.0質量%以上が好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、実質的に重合体(I)、水及び重合体(I)以外の含フッ素ポリマーのみからなることが特に好ましい。
【0237】
本開示の第1の組成物は、上述した含フッ素ポリマー製造工程で生じた水から重合体(I)を除去することによって得ることができる。上記除去の方法は、上述した本開示の第1の処理方法で記載した態様を適宜採用することができる。特に、除去工程として、重合体(I)に凝集を行うものであり、該重合体(I)を含有する水に無機凝集剤を添加する工程を採用する方法によって本開示の第1の組成物を好適に得ることができる。
【0238】
本開示はまた、下記一般式(I)で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む重合体(I)、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記重合体(I)の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第2の組成物」ともいう)を提供する。
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
本開示の第2の組成物は、重合体(I)の水溶液であってもよいし、重合体(I)の分散液であってもよい。
【0239】
本開示の第2の組成物において、重合体(I)は本開示の第1の処理方法で記載したものと同じであり、適宜好適な態様を採用することができる。中でも、上述した重合体(1)が好ましい。
【0240】
本開示の第2の組成物は、重合体(I)の含有量が、組成物の質量に対して、250ppm以下である。重合体(I)の含有量は200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が更により好ましく、25ppm以下が殊更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。上記含有量の下限値は特に限定されないが、0.1ppm以上が好ましく、0.5ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、2ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が特に好ましい。
本開示の第2の組成物に含まれる重合体(I)の含有量は、重合体(I)を含有する水と同じ方法で測定できる。例えば、固体NMR測定より求められる。
本開示の第2の組成物は、1種の単一の重合体(I)を含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体(I)を含んでいてもよい。
【0241】
本開示の第2の組成物は、2価以上の金属イオンを含む。2価以上の金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、上述した無機凝集剤として記載した金属塩を構成する金属のイオンであることが好ましく、例えば、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示の第2の組成物は、上記2価以上の金属イオンの含有量が組成物に対して0.05mg/L以上であることが好ましい。より好ましくは、0.1mg/L以上であり、更に好ましくは0.15mg/L以上であり、特に好ましくは0.2mg/L以上である。また、上記2価以上の金属イオンの含有量は、1000mg/L以下が好ましく、500mg/L以下がより好ましく、250mg/L以下が更に好ましく、100mg/L以下が更により好ましく、50mg/L以下が殊更に好ましく、10mg/L以下が特に好ましく、5mg/L以下が最も好ましい。
上記2価以上の金属イオンの含有量は、パックテスト(共立理化学研究所製)の方法により測定する。
【0242】
本開示の第2の組成物は、重合体(I)、水、及び2価以上の金属イオン以外の物質を含んでもよい。例えば、本開示の第1の処理方法にて記載した凝集剤等を含んでもよい。また、本開示の第2の組成物は、重合体(I)以外の含フッ素ポリマーを含んでも良い。重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとしては、本開示の第1の組成物に含まれるものを適宜採用することができる。重合体(I)以外の含フッ素ポリマーとしては、53より高いイオン交換率(IXR)を有する含フッ素ポリマーが好ましい。また、本開示の第2の組成物は、PTFEを含んでもよい。上記PTFEとしては、本開示の第1の組成物に含まれ得るものと同じである。
本開示の第2の組成物において、重合体(I)以外の含フッ素ポリマーの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。
重合体(I)以外の含フッ素ポリマーの含有量は、MF膜により固体成分(重合体(I)以外の含フッ素ポリマー)を分離する方法で求めることができる。
本開示の第2の組成物がPTFEを含有する場合において、PTFEの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。上記PTFEの含有量は、MF膜により固体成分(PTFE)を分離する方法で求めることができる。
【0243】
本開示の第2の組成物において、重合体(I)、水及び2価以上の金属イオンの合計量は95.0質量%以上が好ましく、99.0質量%以上が好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、実質的に重合体(I)、水及び2価以上の金属イオンのみからなることが特に好ましい。
【0244】
本開示の第2の組成物は、上述した含フッ素ポリマー製造工程で生じた水から重合体(I)を除去することによって得ることができる。上記除去の方法は、上述した本開示の第1の処理方法で記載した態様を適宜採用することができる。特に、除去工程として、重合体(I)に凝集を行うものであり、該重合体(I)を含有する水に無機凝集剤(好ましくは金属塩)を添加する工程を採用する方法によって本開示の第2の組成物を好適に得ることができる。
【0245】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含有する水から該水溶性重合体を除去する工程を含むことを特徴とする水の処理方法(以下「本開示の第2の処理方法」ともいう)をも提供する。
水溶性とは、容易に水に溶解または分散する性質を意味する。水溶性重合体は、たとえば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定できない。一方、非水溶性を有する重合体は、たとえば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定することができる。
本開示の第2の処理方法において、上記除去工程は、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体を含有する水を用いること以外は、本開示の第1の処理方法と同じ方法を全て採用できる。
なお、「炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合」は、炭素原子に結合する水素原子と、炭素原子に結合するハロゲン原子(フッ素原子を含む)との合計数に対するフッ素原子数の割合として求められる。
上記除去工程は、水溶性重合体を含有する水に凝集を行う工程であることが好ましく、水溶性重合体を含有する水に凝集剤を添加する工程であることがより好ましく、水溶性重合体を含有する水に無機凝集剤を添加する工程であることが更に好ましく、水溶性重合体を含有する水に無機凝集剤を添加し、その後、高分子凝集剤を添加する工程であることが特に好ましい。凝集剤、無機凝集剤、高分子凝集剤としては、本開示の第1の処理方法で記載したものを適宜採用することができる。
【0246】
本開示の第2の処理方法において、上記除去工程は、水溶性重合体を含有する水における水溶性重合体の濃度を、除去工程前の濃度に対して、50%以下にする工程であることが好ましい。より好ましくは40%以下であり、更により好ましくは30%以下であり、殊更に好ましくは20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
上記除去工程はまた、処理された水中の水溶性重合体の濃度を250ppm以下にする工程であることが好ましい。より好ましくは200ppm以下であり、更に好ましくは100ppm以下であり、更により好ましくは80ppm以下であり、殊更に好ましくは60ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。
【0247】
上記水溶性重合体としては特に限定されず、上述した重合体(I)の中から炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性の重合体を用いることができるし、上述した重合体(I)以外の炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性の重合体を用いることもできる。
【0248】
上記水溶性重合体としては、例えば、下記一般式(I):
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む水溶性の重合体が挙げられる。
上記水溶性重合体において、重合単位(I)の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更により好ましく、90質量%以上が殊更に好ましく、95質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が最も好ましい。
【0249】
上記水溶性重合体は、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等に基づく含フッ素モノマーに基づく重合単位を含んでよい。
【0250】
上記水溶性重合体はまた、非含フッ素モノマーに基づく重合単位を含んでもよい。非含フッ素モノマーとしては、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体であればよく、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、加水分解性シリル基含有単量体、水酸基含有アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、α-オレフィン類等が挙げられる。上記非含フッ素モノマーとしては、なかでも、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、及び、加水分解性シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
また、非含フッ素モノマーとして、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種の単量体、不飽和カルボン酸類、並びに、加水分解性シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
そのほか、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体を併用してもよい。
【0251】
上記アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1~10のアクリル酸アルキルエステル、又は、アルキル基の炭素数が1~10のメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2-エチルへキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。また、上記アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの分子中に水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有アクリル単量体であってもよい。
これらのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、n-ブチルアクリレート、及び、メチルメタクリレートであることが好ましい。
【0252】
上記非含フッ素モノマーとしては、なかでも、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、2-エチルへキシルメタクリレート、及び、シクロヘキシルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。なお、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルは、加水分解性シリル基を含有しないものである。
【0253】
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、n-ブチルアクリレートとメチルメタクリレートとの組合せ又はn-ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2-エチルへキシルメタクリレートとの組合せが更に好ましく、n-ブチルアクリレートとメチルメタクリレートと2-エチルへキシルメタクリレートとの組合せが特に好ましい。加えて、水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有アクリル単量体を組み合わせることも好ましい。
【0254】
上記不飽和カルボン酸類の具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3-アリルオキシプロピオン酸、3-(2-アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、ウンデシレン酸などがあげられる。なかでも、単独重合性が低く単独重合体ができにくい点、カルボキシル基の導入を制御しやすい点から、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、3-アリルオキシプロピオン酸、及び、ウンデシレン酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0255】
上記加水分解性シリル基含有単量体としては、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(OC2H5)3、
CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OC2H5)2、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OC2H5)2、
CH2=C(CH3)COO(CH2)2O(CH2)3Si(OCH3)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)11Si(OCH3)3、
CH2=C(CH3)COO(CH2)11Si(CH3)(OCH3)2、
などがあげられる。これらの加水分解性シリル基含有単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0256】
上記加水分解性シリル基含有単量体としては、なかでも、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランがより好ましい。
【0257】
上記水酸基含有アルキルビニルエーテル類としては、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシ-2-メチルブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、4-ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどが挙げられる。重合反応性が優れる点で、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、及び、2-ヒドロキシエチルビニルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0258】
カルボン酸ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキシルカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ-t-ブチル安息香酸ビニルなどが挙げられる。
【0259】
α-オレフィン類としては、たとえばエチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブテン、スチレンなどがあげられる。
【0260】
上記水溶性重合体の数平均分子量は、0.1×104以上が好ましく、0.2×104以上がより好ましく、0.3×104以上が更に好ましく、0.4×104以上が特に好ましく、0.5×104以上が殊更に好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、3.0×104以上が殊更特に好ましく、3.1×104以上が最も好ましい。また、75.0×104以下が好ましく、50.0×104以下がより好ましく、40.0×104以下が更に好ましく、30.0×104以下が更に好ましく、20.0×104以下が特に好ましい。上記水溶性重合体の重量平均分子量は、0.2×104以上が好ましく、0.4×104以上がより好ましく、0.6×104以上が更に好ましく、0.8×104以上が更により好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、5.0×104以上がより特に好ましく、10.0×104以上が更に特に好ましく、15.0×104以上が殊更に好ましく、20.0×104以上が殊更特に好ましく、25.0×104以上が最も好ましい。また、150.0×104以下が好ましく、100.0×104以下がより好ましく、60.0×104以下が更に好ましく、50.0×104以下が特に好ましく、40.0×104以下が殊更に好ましい。
上記数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、単分散ポリスチレンを標準として分子量を算出する値である。また、GPCによる測定ができない場合には、NMR、FT-IR等により得られた末端基数から計算された数平均分子量とメルトフローレートとの相関関係により、水溶性重合体の数平均分子量を求めることができる。メルトフローレートは、JIS K 7210に準拠して測定できる。
【0261】
上記水溶性重合体は、53以下のイオン交換率(IXR)を有することが好ましい。上記IXRは、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が更により好ましく、5以上が殊更に好ましく、8以上が特に好ましい。また、IXRは43以下がより好ましく、33以下が更に好ましく、23以下が特に好ましい。
上記水溶性重合体において、イオン性基(アニオン性基)は、典型的に、ポリマー主鎖に沿って分布している。上記水溶性重合体は、ポリマー主鎖を、この主鎖に結合された繰り返し側鎖とともに含み、この側鎖はイオン性基を有することが好ましい。
水溶性重合体は、10未満、より好ましくは7未満のpKaを有するイオン性基(アニオン性基)を含むことが好ましい。水溶性重合体のイオン性基は、好ましくは、スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、ホスファート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
用語「スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、およびホスファート」は、それぞれの塩、または塩を形成し得るそれぞれの酸をいうことが意図される。塩が用いられる場合、好ましくは、その塩はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。好ましいイオン性基は、スルホナート基である。
【0262】
上記水溶性重合体を含有する水は特に限定されず、上記水溶性重合体の製造工程、上記水溶性重合体を用いたポリマー重合工程等のポリマー製造工程で生じた水等が挙げられる。上記水溶性重合体を含有する水は排水であってよい。
【0263】
上記水溶性重合体を含有する水において、水溶性重合体の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、除去効率を高める観点から、10質量%以下であることが好ましい。
上記水溶性重合体を含有する水において、水溶性重合体の含有量は、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。また、0質量%超であってよく、0.005質量%超であってよく、0.006質量%超であってよく、0.008質量%超であってよく、0.010質量%以上であってよく、0.020質量%超であってよく、0.025質量%超であってよく、0.1質量%以上であってよい。
上記水溶性重合体の含有量は、例えば、固体NMRから測定することができる。
上記水溶性重合体を含有する水は、1種の単一の水溶性重合体を含んでいてもよいし、2種以上の異なる水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0264】
上記水溶性重合体を含有する水は、水溶性重合体及び水以外の物質を含んでいてもよく、分散液、水溶液等であってもよい。
水溶性重合体及び水以外の物質としては、水溶性重合体以外の非フッ素ポリマー、水溶性重合体以外の含フッ素ポリマー、オリゴマー等が挙げられる。
水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとは、含フッ素ポリマーのうち、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%未満であるか、または、非水溶性の含フッ素ポリマーである。
水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとしては、53より高いイオン交換率(IXR)を有する含フッ素ポリマーが挙げられる。
好ましい水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーは、イオン性基を全く有さないか、または約100より高いイオン交換率をもたらす限られた数のイオン性基を有する。
水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーのイオン交換率は、53超が好ましく、100以上がより好ましく、1000以上が更に好ましく、2000以上が殊更に好ましく、5000以上が特に好ましい。
上記水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとしては、本開示の第1の処理方法にて記載したものが挙げられる。例えば、PTFE、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0重量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとしては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、PTFEがより好ましい。
【0265】
上記水溶性重合体を含有する水は、水溶性重合体及び水以外の物質の含有量が1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。水溶性重合体及び水以外の物質の含有量の下限は限定されないが、例えば、0質量%であってよく、0.1質量%であってよい。
上記水溶性重合体を含有する水は、水の含有量が99.0質量%以上であることが好ましい。より好ましくは99.5質量%以上であり、更に好ましくは99.8質量%以上である。
【0266】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体、水、及び、含フッ素ポリマー(ただし、前記水溶性重合体を除く)を含み、前記水溶性重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第3の組成物」ともいう)を提供する。
本開示の第3の組成物は、水溶性重合体の水溶液であることが好ましい。
【0267】
本開示の第3の組成物において、水溶性重合体は本開示の第2の処理方法で記載したものと同じであり、適宜好適な態様を採用することができる。
【0268】
本開示の第3の組成物は、水溶性重合体の含有量が、組成物の質量に対して、250ppm以下である。水溶性重合体の含有量は200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が更により好ましく、25ppm以下が殊更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。上記含有量の下限値は特に限定されないが、0.1ppm以上が好ましく、0.5ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、2ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が特に好ましい。
本開示の第3の組成物に含まれる水溶性重合体の含有量は、水溶性重合体を含有する水と同じ方法で測定できる。例えば、固体NMR測定より求められる。
本開示の第3の組成物は、1種の単一の水溶性重合体を含んでいてもよいし、2種以上の異なる水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0269】
本開示の第3の組成物は、水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーを含有する。水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとしては、本開示の第2の処理方法にて記載した水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーを適宜採用することができ、適宜好適な態様を採用することができる。
水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーのイオン交換率は、53超が好ましく、100以上がより好ましく、1000以上が更に好ましく、2000以上が殊更に好ましく、5000以上が特に好ましい。
水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとしては、PTFEが好ましい。
【0270】
本開示の第3の組成物において、水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。
水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーの含有量は、MF膜により固体成分(水溶性重合体以外の含フッ素ポリマー)を分離する方法で求めることができる。
【0271】
本開示の第3の組成物は、水溶性重合体、水及び水溶性重合体以外の含フッ素ポリマー以外の物質を含んでもよい。例えば、本開示の第2の処理方法にて記載した凝集剤等を含んでもよい。また、本開示の第3の組成物は、金属イオンを含有してもよく、2価以上の金属イオンを含有してもよい。2価以上の金属イオンとしては、本開示の第2の組成物が含有するものを適宜含有することができる。
2価以上の金属イオンの含有量は、好ましくは、組成物に対して0.05mg/L以上であり、より好ましくは、0.1mg/L以上であり、更に好ましくは0.15mg/L以上であり、特に好ましくは0.2mg/L以上である。また、2価以上の金属イオンの含有量は、1000mg/L以下が好ましく、500mg/L以下がより好ましく、250mg/L以下が更に好ましく、100mg/L以下が更により好ましく、50mg/L以下が殊更に好ましく、10mg/L以下が特に好ましく、5mg/L以下が最も好ましい。
【0272】
本開示の第3の組成物において、水溶性重合体、水及び水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーの合計量は95.0質量%以上が好ましく、99.0質量%以上が好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、実質的に水溶性重合体、水及び水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーのみからなることが特に好ましい。
【0273】
本開示の第3の組成物は、本開示の第2の処理方法で記載した水溶性重合体を含有する水から、水溶性重合体を除去することによって得ることができる。上記除去の方法は、上述した本開示の第2の処理方法で記載した態様を適宜採用することができる。特に、除去工程として、水溶性重合体に凝集を行うものであり、該水溶性重合体を含有する水に無機凝集剤を添加する工程を採用する方法によって本開示の第3の組成物を好適に得ることができる。
【0274】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上である水溶性重合体、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記水溶性重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第4の組成物」ともいう)を提供する。
本開示の第4の組成物は、水溶性重合体の水溶液であることが好ましい。
【0275】
本開示の第4の組成物において、水溶性重合体は本開示の第2の処理方法で記載した水溶性重合体と同じであり、適宜好適な態様を採用することができる。
【0276】
本開示の第4の組成物は、水溶性重合体の含有量が、組成物の質量に対して、250ppm以下である。水溶性重合体の含有量は200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が更により好ましく、25ppm以下が殊更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。上記含有量の下限値は特に限定されないが、0.1ppm以上が好ましく、0.5ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、2ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が特に好ましい。
本開示の第4の組成物に含まれる水溶性重合体の含有量は、水溶性重合体を含有する水と同じ方法で測定できる。例えば、固体NMR測定より求められる。
本開示の第4の組成物は、1種の単一の水溶性重合体を含んでいてもよいし、2種以上の異なる水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0277】
本開示の第4の組成物は、2価以上の金属イオンを含む。2価以上の金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、上述した無機凝集剤として記載した金属塩を構成する金属のイオンであることが好ましく、例えば、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示の第4の組成物は、上記2価以上の金属イオンの含有量が組成物に対して0.05mg/L以上であることが好ましい。より好ましくは、0.1mg/L以上であり、更に好ましくは0.15mg/L以上であり、特に好ましくは0.2mg/L以上である。また、上記2価以上の金属イオンの含有量は、1000mg/L以下が好ましく、500mg/L以下がより好ましく、250mg/L以下が更に好ましく、100mg/L以下が更により好ましく、50mg/L以下が殊更に好ましく、10mg/L以下が特に好ましく、5mg/L以下が最も好ましい。
上記2価以上の金属イオンの含有量は、パックテスト(共立理化学研究所製)の方法により測定する。
【0278】
本開示の第4の組成物は、水溶性重合体、水、及び2価以上の金属イオン以外の物質を含んでもよい。例えば、本開示の第1の処理方法にて記載した凝集剤等を含んでもよい。また、本開示の第4の組成物は、水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーを含んでも良い。水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとしては、本開示の第2の処理方法で記載したものを適宜採用することができる。水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーとしては、53より高いイオン交換率(IXR)を有する含フッ素ポリマーが好ましい。また、本開示の第4の組成物は、PTFEを含んでもよい。上記PTFEとしては、本開示の第2の処理方法で記載したものを適宜採用することができる。
本開示の第4の組成物において、水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。
水溶性重合体以外の含フッ素ポリマーの含有量は、MF膜により固体成分(水溶性重合体以外の含フッ素ポリマー)を分離する方法で求めることができる。
【0279】
本開示の第4の組成物において、水溶性重合体、水及び2価以上の金属イオンの合計量は95.0質量%以上が好ましく、99.0質量%以上が好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、実質的に水溶性重合体、水及び2価以上の金属イオンのみからなることが特に好ましい。
【0280】
本開示の第4の組成物は、本開示の第2の処理方法で記載した水溶性重合体を含有する水から、水溶性重合体を除去することによって得ることができる。上記除去の方法は、上述した本開示の第2の処理方法で記載した態様を適宜採用することができる。特に、除去工程として、水溶性重合体に凝集を行うものであり、該水溶性重合体を含有する水に無機凝集剤(好ましくは金属塩)を添加する工程を採用する方法によって本開示の第4の組成物を好適に得ることができる。
【0281】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体を含有する水から該重合体を除去する工程を含むことを特徴とする水の処理方法(以下「本開示の第3の処理方法」ともいう)をも提供する。
本開示の第3の処理方法において、上記除去工程は、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体(以下「重合体α」とも記載する)を含有する水を用いること以外は、本開示の第1の処理方法と同じ方法を全て採用できる。
上記除去工程は、重合体αを含有する水に凝集を行うものであることが好ましく、重合体αを含有する水に凝集剤を添加する工程であることがより好ましく、重合体αを含有する水に無機凝集剤を添加する工程であることが更に好ましく、重合体αを含有する水に無機凝集剤を添加し、その後、高分子凝集剤を添加する工程であることが特に好ましい。凝集剤、無機凝集剤、高分子凝集剤としては、本開示の第1の処理方法で記載したものを適宜採用することができる。
上記重合体αを含有する水は特に限定されず、上記重合体αの製造工程、上記重合体αを用いたポリマー重合工程等のポリマー製造工程で生じた水等が挙げられる。上記重合体αを含有する水は排水であってよい。
【0282】
本開示の第3の処理方法において、上記除去工程は、重合体αを含有する水における重合体αの濃度を、除去工程前の濃度に対して、50%以下にする工程であることが好ましい。より好ましくは40%以下であり、更により好ましくは30%以下であり、殊更に好ましくは20%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
上記除去工程はまた、処理された水中の重合体αの濃度を250ppm以下にする工程であることが好ましい。より好ましくは200ppm以下であり、更に好ましくは100ppm以下であり、更により好ましくは80ppm以下であり、殊更に好ましくは60ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。
【0283】
上記重合体αとしては特に限定されず、上述した重合体(I)の中から炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体である水溶性又は非水溶性の重合体を用いることができるし、上述した重合体(I)以外の炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体を用いることもできる。
【0284】
上記重合体αとしては、例えば、下記一般式(I):
CX1X3=CX2R(-CZ1Z2-A0)m (I)
(式中、X1及びX3は、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCF3であり;X2は、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;A0は、アニオン性基であり;Rは連結基であり;Z1及びZ2は、それぞれ独立して、H、F、アルキル基または含フッ素アルキル基であり;mは1以上の整数である。)
で表される単量体に基づく重合単位(I)を含む水溶性又は非水溶性の重合体が挙げられる。
上記重合体αにおいて、上記重合単位(I)の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更により好ましく、90質量%以上が殊更に好ましく、95質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が最も好ましい。
【0285】
上記重合体αは、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、フルオロビニルエーテル(FVE)、CH2=CFCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)等に基づく含フッ素モノマーに基づく重合単位を含んでよい。
【0286】
上記重合体αはまた、非含フッ素モノマーに基づく重合単位を含んでもよい。非含フッ素モノマーとしては、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体であればよく、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、加水分解性シリル基含有単量体、水酸基含有アルキルビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、α-オレフィン類等が挙げられる。上記非含フッ素モノマーとしては、なかでも、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸類、及び、加水分解性シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
また、非含フッ素モノマーとして、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種の単量体、不飽和カルボン酸類、並びに、加水分解性シリル基含有単量体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
そのほか、ラジカル重合性のエチレン性不飽和結合をもつ単量体を併用してもよい。
上記非含フッ素モノマーとしては、上記水溶性重合体において記載したものを使用することができる。
【0287】
上記重合体αの数平均分子量は、0.1×104以上が好ましく、0.2×104以上がより好ましく、0.3×104以上が更に好ましく、0.4×104以上が特に好ましく、0.5×104以上が殊更に好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、3.0×104以上が殊更特に好ましく、3.1×104以上が最も好ましい。また、75.0×104以下が好ましく、50.0×104以下がより好ましく、40.0×104以下が更に好ましく、30.0×104以下が更に好ましく、20.0×104以下が特に好ましい。上記重合体αの重量平均分子量は、0.2×104以上が好ましく、0.4×104以上がより好ましく、0.6×104以上が更に好ましく、0.8×104以上が更により好ましく、1.0×104以上が特に好ましく、5.0×104以上がより特に好ましく、10.0×104以上が更に特に好ましく、15.0×104以上が殊更に好ましく、20.0×104以上が殊更特に好ましく、25.0×104以上が最も好ましい。
また、150.0×104以下が好ましく、100.0×104以下がより好ましく、60.0×104以下が更に好ましく、50.0×104以下が特に好ましく、40.0×104以下が殊更に好ましい。
上記数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、単分散ポリスチレンを標準として分子量を算出する値である。また、GPCによる測定ができない場合には、NMR、FT-IR等により得られた末端基数から計算された数平均分子量とメルトフローレートとの相関関係により、水溶性重合体の数平均分子量を求めることができる。メルトフローレートは、JIS K 7210に準拠して測定できる。
【0288】
重合体αは、水溶性を有していることが好ましい。水溶性とは、容易に水に溶解または分散する性質を意味する。水溶性を有する重合体αは、たとえば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定できない。一方、非水溶性を有する重合体αは、たとえば、動的光散乱法(DLS)によって、粒子径を測定することができる。
上記重合体αは、53以下のイオン交換率(IXR)を有する。上記IXRは、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が更により好ましく、5以上が殊更に好ましく、8以上が特に好ましい。また、IXRは43以下がより好ましく、33以下が更に好ましく、23以下が特に好ましい。
上記重合体αにおいて、イオン性基は、典型的に、ポリマー主鎖に沿って分布している。
上記重合体αは、ポリマー主鎖を、この主鎖に結合された繰り返し側鎖とともに含み、この側鎖はイオン性基を有することが好ましい。
重合体αは、10未満、より好ましくは7未満のpKaを有するイオン性基を含むことが好ましい。重合体αのイオン性基は、好ましくは、スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、ホスファート、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
用語「スルホナート、カルボキシラート、ホスホナート、およびホスファート」は、それぞれの塩、または塩を形成し得るそれぞれの酸をいうことが意図される。塩が用いられる場合、好ましくは、その塩はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩である。好ましいイオン性基は、スルホナート基である。
【0289】
上記重合体αを含有する水において、重合体αの含有量は特に限定されるものではないが、例えば、除去効率を高める観点から、10質量%以下であることが好ましい。上記重合体αを含有する水において、重合体αの含有量は、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以下が特に好ましい。また、0質量%超であってよく、0.005質量%超であってよく、0.006質量%超であってよく、0.008質量%超であってよく、0.010質量%以上であってよく、0.020質量%超であってよく、0.025質量%超であってよく、0.1質量%以上であってよい。
上記重合体αの含有量は、例えば、固体NMRから測定することができる。
上記重合体αを含有する水は、1種の単一の重合体αを含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体αを含んでいてもよい。
【0290】
上記重合体αを含有する水は、重合体α及び水以外の物質を含んでいてもよく、分散液、水溶液等であってもよい。
重合体α及び水以外の物質としては、非フッ素ポリマー、重合体α以外の含フッ素ポリマー、オリゴマー等が挙げられる。
重合体α以外の含フッ素ポリマーとは、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%未満であるか、イオン性基を含まないか、または、イオン交換率が53より高い含フッ素ポリマーである。
重合体α以外の含フッ素ポリマーとしては、53より高いイオン交換率(IXR)を有する含フッ素ポリマーが挙げられる。
好ましい重合体α以外の含フッ素ポリマーは、イオン性基を全く有さないか、または約100より高いイオン交換率をもたらす限られた数のイオン性基を有する。好ましい重合体α以外の含フッ素ポリマーのイオン交換率は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、5000以上が更に好ましい。
上記重合体α以外の含フッ素ポリマーとして具体的には、本開示の第1の処理方法にて記載した含フッ素ポリマーのうち、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%未満のもの、イオン性基を含まないもの、または、53より高いイオン交換率(IXR)を有するものが挙げられる。例えば、PTFE、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。
上記PTFEは、TFEの単独重合体でもよいし、99.0質量%以上のTFEと、1.0重量%以下の変性モノマーとを含有する変性PTFEであってもよい。
上記重合体α以外の含フッ素ポリマーとしては、PTFE及び60.0~98.0質量%のTFE単位および2.0~40.0質量%の他のモノマーを含む溶融加工性フッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、PTFEがより好ましい。
【0291】
上記重合体αを含有する水は、重合体α及び水以外の物質の含有量が1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下が更に好ましい。重合体α及び水以外の物質の含有量の下限は限定されないが、例えば、0質量%であってよく、0.1質量%であってよい。
上記重合体αを含有する水は、水の含有量が99.0質量%以上であることが好ましい。
より好ましくは99.5質量%以上であり、更に好ましくは99.8質量%以上である。
【0292】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体、水、及び、含フッ素ポリマー(ただし、前記重合体を除く)を含み、前記重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第5の組成物」ともいう)を提供する。
【0293】
本開示の第5の組成物において、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体(重合体α)は、本開示の第3の処理方法で記載したものと同じであり、適宜好適な態様を採用することができる。
本開示の第5の組成物は、重合体αの水溶液であってもよいし、重合体αの分散液であってもよい。
【0294】
本開示の第5の組成物は、重合体αの含有量が、組成物の質量に対して、250ppm以下である。重合体αの含有量は200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が更により好ましく、25ppm以下が殊更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。上記含有量の下限値は特に限定されないが、0.1ppm以上が好ましく、0.5ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、2ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が特に好ましい。
本開示の第5の組成物に含まれる重合体αの含有量は、重合体αを含有する水と同じ方法で測定できる。例えば、固体NMR測定より求められる。
本開示の第5の組成物は、1種の単一の重合体αを含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体αを含んでいてもよい。
【0295】
上記重合体αを含有する水は、重合体α以外の含フッ素ポリマーを含有する。
重合体α以外の含フッ素ポリマーとしては、本開示の第3の処理方法にて記載したものを適宜採用することができ、適宜好適な態様を採用することができる。
重合体α以外の含フッ素ポリマーのイオン交換率は、53超が好ましく、100以上がより好ましく、1000以上が更に好ましく、2000以上が殊更に好ましく、5000以上が特に好ましい。
重合体α以外の含フッ素ポリマーとしては、PTFEが好ましい。
【0296】
本開示の第5の組成物において、重合体α以外の含フッ素ポリマーの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。
重合体α以外の含フッ素ポリマーの含有量は、MF膜により固体成分(重合体α以外の含フッ素ポリマー)を分離する方法で求めることができる。
【0297】
本開示の第5の組成物は、重合体α、水及び重合体α以外の含フッ素ポリマー以外の物質を含んでもよい。例えば、本開示の第3の処理方法にて記載した凝集剤等を含んでもよい。また、本開示の第5の組成物は、金属イオンを含有してもよく、2価以上の金属イオンを含有してもよい。2価以上の金属イオンとしては、本開示の第2の組成物が含有するものを適宜含有することができる。
2価以上の金属イオンの含有量は、好ましくは、組成物に対して0.05mg/L以上であり、より好ましくは、0.1mg/L以上であり、更に好ましくは0.15mg/L以上であり、特に好ましくは0.2mg/L以上である。また、2価以上の金属イオンの含有量は、1000mg/L以下が好ましく、500mg/L以下がより好ましく、250mg/L以下が更に好ましく、100mg/L以下が更により好ましく、50mg/L以下が殊更に好ましく、10mg/L以下が特に好ましく、5mg/L以下が最も好ましい。
【0298】
本開示の第5の組成物において、重合体α、水及び重合体α以外の含フッ素ポリマーの合計量は95.0質量%以上が好ましく、99.0質量%以上が好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、実質的に重合体α、水及び重合体α以外の含フッ素ポリマーのみからなることが特に好ましい。
【0299】
本開示の第5の組成物は、本開示の第3の処理方法で記載した重合体αを含有する水から、重合体αを除去することによって得ることができる。上記除去の方法は、上述した本開示の第3の処理方法で記載した態様を適宜採用することができる。特に、除去工程として、重合体αに凝集を行うものであり、該重合体αを含有する水に無機凝集剤を添加する工程を採用する方法によって本開示の第5の組成物を好適に得ることができる。
【0300】
本開示はまた、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体、水、及び、2価以上の金属イオンを含み、前記重合体の含有量が250ppm以下であることを特徴とする組成物(以下「本開示の第6の組成物」ともいう)を提供する。
【0301】
本開示の第6の組成物において、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換された割合が50%以上であり、かつ、イオン性基を含み、イオン交換率が53以下である重合体(重合体α)は、本開示の第3の処理方法で記載したものと同じであり、適宜好適な態様を採用することができる。
本開示の第6の組成物は、重合体の水溶液であってもよいし、重合体の分散液であってもよい。
【0302】
本開示の第6の組成物は、重合体αの含有量が、組成物の質量に対して、250ppm以下である。重合体αの含有量は200ppm以下が好ましく、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下が更に好ましく、50ppm以下が更により好ましく、25ppm以下が殊更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。上記含有量の下限値は特に限定されないが、0.1ppm以上が好ましく、0.5ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、2ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が特に好ましい。
本開示の第6の組成物に含まれる重合体αの含有量は、重合体αを含有する水と同じ方法で測定できる。例えば、固体NMR測定より求められる。
本開示の第6の組成物は、1種の単一の重合体αを含んでいてもよいし、2種以上の異なる重合体αを含んでいてもよい。
【0303】
本開示の第6の組成物は、2価以上の金属イオンを含む。2価以上の金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、上述した無機凝集剤として記載した金属塩を構成する金属のイオンであることが好ましく、例えば、Fe、AlおよびCaからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本開示の第6の組成物は、上記2価以上の金属イオンの含有量が組成物に対して0.05mg/L以上であることが好ましい。より好ましくは、0.1mg/L以上であり、更に好ましくは0.15mg/L以上であり、特に好ましくは0.2mg/L以上である。また、上記2価以上の金属イオンの含有量は、1000mg/L以下が好ましく、500mg/L以下がより好ましく、250mg/L以下が更に好ましく、100mg/L以下が更により好ましく、50mg/L以下が殊更に好ましく、10mg/L以下が特に好ましく、5mg/L以下が最も好ましい。
上記2価以上の金属イオンの含有量は、パックテスト(共立理化学研究所製)の方法により測定する。
【0304】
本開示の第6の組成物は、重合体α、水、及び2価以上の金属イオン以外の物質を含んでもよい。例えば、本開示の第3の処理方法にて記載した凝集剤等を含んでもよい。また、本開示の第6の組成物は、重合体α以外の含フッ素ポリマーを含んでも良い。重合体α以外の含フッ素ポリマーとしては、本開示の第3の処理方法で記載したものを適宜採用することができる。重合体α以外の含フッ素ポリマーとしては、53より高いイオン交換率(IXR)を有する含フッ素ポリマーが好ましい。また、本開示の第4の組成物は、PTFEを含んでもよい。上記PTFEとしては、本開示の第3の処理方法で記載したものを適宜採用することができる。
本開示の第6の組成物において、重合体α以外の含フッ素ポリマーの含有量は、組成物の質量に対して、5000ppm以下であることが好ましい。より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下である。上記含有量の下限値は特に限定されないが、実質的に0ppmであってよく、0ppm超であってよく、1ppm以上であってよく、100ppm以上であってもよい。
重合体α以外の含フッ素ポリマーの含有量は、MF膜により固体成分(重合体α以外の含フッ素ポリマー)を分離する方法で求めることができる。
【0305】
本開示の第6の組成物において、重合体α、水及び2価以上の金属イオンの合計量は95.0質量%以上が好ましく、99.0質量%以上が好ましく、99.9質量%以上が更に好ましく、実質的に重合体α、水及び2価以上の金属イオンのみからなることが特に好ましい。
【0306】
本開示の第6の組成物は、本開示の第3の処理方法で記載した重合体αを含有する水から、重合体αを除去することによって得ることができる。上記除去の方法は、上述した本開示の第3の処理方法で記載した態様を適宜採用することができる。特に、除去工程として、重合体αに凝集を行うものであり、該重合体αを含有する水に無機凝集剤(好ましくは金属塩)を添加する工程を採用する方法によって本開示の第6の組成物を好適に得ることができる。
【実施例】
【0307】
つぎに本開示を実験例をあげて説明するが、本開示はかかる実験例のみに限定されるものではない。
【0308】
下記実験例では、下記式:
CH2=CF(CF2OCFCF3COOH)
で表される単量体の単独重合体(数平均分子量9万、重量平均分子量19万)(以下「重合体A」という)を用いた。
上記数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、東ソー(株)製のGPC HLC-8020を用い、Shodex社製のカラム(GPC KF-801を1本、GPC KF-802を1本、GPC KF-806Mを2本直列に接続)を使用し、溶媒としてテトラハイドロフラン(THF)を流速1ml/分で流して測定し、単分散ポリスチレンを標準として分子量を算出した。
【0309】
実験例の各数値は以下の方法により測定した。
【0310】
処理水溶液中の重合体A含有量
処理水溶液中の重合体A含有量は以下の方法により測定した。
【0311】
重合体Aの検量線の作成
濃度既知のトリフルオロ酢酸ナトリウムおよび重合体Aを含む水溶液を5水準調整し、19F NMR測定を行った。それぞれのサンプル中のトリフルオロ酢酸ナトリウムおよび重合体Aの濃度とトリフルオロ酢酸ナトリウムおよび重合体Aのピーク面積値から一次近似を用い、下記関係式(1)によりaを求めた。
A=a×5×B×W×136.00/(3×X×256.08) (1)
A:重合体AのCF2および、CF3由来のピーク面積値(δFppm:-78~-88(-CF-CF2-O-、>CF-CF3))
W:重合体Aの濃度(ppm)
B:トリフルオロ酢酸のピーク面積値(δFppm:-76(CF3-))
X:トリフルオロ酢酸の濃度(ppm)
ケミカルシフトはトリフルオロ酢酸ナトリウムのCF3由来のピークを-76.0ppmとした際の値を用いた。
【0312】
エバポレーターを用いて処理水溶液を濃縮した。濃縮後処理水溶液にトリフルオロ酢酸ナトリウムを加え、19F NMR測定を行った。測定サンプル中のトリフルオロ酢酸ナトリウムの濃度とトリフルオロ酢酸ナトリウムおよび重合体Aのピーク面積値から下記関係式(2)により、処理水溶液中の重合体A含有量を求めた。
Y=3×C×Z×P×256.08/(a×5×D×Q×136.00) (2)
C:重合体Aのピーク面積値(δFppm:-78~-88(-CF-CF2-O-、>CF-CF3))
Y:処理水溶液中の重合体A含有量(ppm)
D:トリフルオロ酢酸のピーク面積値(δFppm:-76(CF3-))
Z:トリフルオロ酢酸の濃度(ppm)
P:濃縮前処理水溶液の質量(g)
Q:濃縮後処理水溶液の質量(g)
ケミカルシフトはトリフルオロ酢酸ナトリウムのCF3由来のピークを-76.0ppmとした際の値を用いた。
【0313】
pH
Hоriba社製pHメーターD-20により測定した。
【0314】
処理水溶液中の溶存アルミニウム濃度
簡易水質分析製品であるパックテスト アルミニウム(共立理化学研究所製、型式WAK-AI、測定限界0.05mg/L)を用いて測定した。
【0315】
実施例1
モデル水溶液として、重合体Aを500ppm含む水溶液(水溶液A)100gに、26.8質量%の硫酸アルミニウム水溶液0.37gを添加した。重合体A含有水溶液(水溶液A)を容器中で温度25℃で30分間攪拌した。攪拌後、pHは3.2であった。重合体A含有水溶液(水溶液A)にpH調整剤として、NaOH水溶液(25%)を添加してpHを7.3に調整した。
pH調整後の水溶液に、ポリアクリルアミド部分加水分解物(商品名:フロクランA1210 片山ナルコ社製)の0.07質量%水溶液を0.34g添加した。温度25℃で30分間攪拌したところ、アルミニウム沈殿物が沈殿した。
沈殿したアルミニウム沈殿物をフィルター濾紙で濾過し、処理水溶液を得た。得られた処理水溶液中の重合体Aの濃度は、42ppmであった。得られた処理水溶液中の溶存アルミニウム濃度は、1mg/Lであった。
【0316】
実施例2
硫酸アルミニウム水溶液の添加量を0.05g、pH調整前のpHを2.9、pH調整したpHを6.8に変更した以外は、実験例1と同様にして処理水溶液を得た。得られた処理水溶液中の重合体Aの濃度は、90ppmであった。得られた処理水溶液中の溶存アルミニウム濃度は、0.5mg/Lであった。