(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】薬品払出装置、薬品払出プログラム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310F
(21)【出願番号】P 2022119548
(22)【出願日】2022-07-27
(62)【分割の表示】P 2021040072の分割
【原出願日】2013-12-03
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2013007722
(32)【優先日】2013-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2013190091
(32)【優先日】2013-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】湯山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 知大
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】三輪 研人
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-118532(JP,A)
【文献】特開2005-288011(JP,A)
【文献】特開2005-342122(JP,A)
【文献】特開2011-060300(JP,A)
【文献】米国特許第04811764(US,A)
【文献】国際公開第2011/102491(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品が収容される複数の薬品カセット又は前記薬品カセットが装着可能な複数の装着部にそれぞれ対応して設けられた複数の表示手段と、
処方データに基づいて前記薬品カセットから薬品を自動的に払い出す処理を実行する制御手段と、
前記払い出す処理が完了した場合に、払い出しが完了した前記薬品カセットに対応する前記表示手段に
当該薬品カセットに割り当てられた払出対象の薬品の識別情報が表示されたまま払出完了の表示を行う表示制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記薬品カセットから払い出される薬品の数である排出数を計数し、当該排出数に基づいて、前記処方データに示された処方量の薬品のみが払い出されるまで当該薬品を自動的に払い出す、
薬品払出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記薬品カセットにおける薬品の払出経路の高さ及び幅のいずれか一方又は両方を、払出対象の薬品に対応する払出経路の高さ及び幅に変更した後、当該薬品カセットからの薬品の払い出しを実行する、
請求項1に記載の薬品払出装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記薬品カセットから前記処方データに示された処方量の薬品の払い出しが完了した後、当該薬品カセットに残存する薬品を排出する処理が実行される前に、前記表示手段への払出完了の表示を行う、
請求項1又は2に記載の薬品払出装置。
【請求項4】
薬品が収容される複数の薬品カセット又は前記薬品カセットが装着可能な複数の装着部に対応してそれぞれ設けられた複数の表示手段を備える薬品払出装置の制御部に、
処方データに基づいて前記薬品カセットから薬品を自動的に払い出すステップと、
前記ステップが完了した場合に、払い出しが完了した前記薬品カセットに対応する前記表示手段に
当該薬品カセットに割り当てられた払出対象の薬品の識別情報が表示されたまま払出完了の表示を行うステップと、
を実行させるための薬品払出プログラムであって、
前記払い出すステップは、前記薬品カセットから払い出される薬品の数である排出数を計数し、当該排出数に基づいて、前記処方データに示された処方量の薬品のみが払い出されるまで当該薬品を自動的に払い出す、
薬品払出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の薬品カセットから自動的に薬品を払い出す薬品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め定められた種類の錠剤が収容される複数の錠剤カセットを備えており、その錠剤カセット各々に収容された錠剤を処方データに基づいて自動的に払い出す薬品払出装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この種の薬品払出装置では、錠剤カセットごとに払出可能な錠剤の種類が予め定められているため、多種類の錠剤に対応するためには多数の錠剤カセットが必要となり装置が大型化する。
【0003】
一方、マトリクス状に配置された複数のマスに投入された錠剤を前記マス単位で払出可能な手撒きユニットを備える薬品払出装置も知られている(例えば特許文献1参照)。この種の薬品払出装置では、手撒きユニットを用いて任意の種類の錠剤をマス単位で自動的に払い出すことができるため、多数の錠剤カセットを備えることなく多種類の錠剤に対応することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記手撒きユニットのマス各々に錠剤を投入する作業はユーザーにとって煩雑でありユーザーの作業負担が大きいという問題がある。特に、服用時期が異なる複数種類の錠剤を服用時期ごとに対応する前記マス各々に投入する作業は非常に煩雑である。さらに、ユーザーが前記マス各々に錠剤を投入する作業を行うため、人為的ミスにより処方間違いが発生するおそれもある。
【0006】
従って、本発明の目的は、任意の種類の薬品を払い出すためのユーザーの作業を軽減することのできる薬品払出装置、薬品払出方法、薬品払出プログラム、及び薬品払出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薬品払出装置は、複数の薬品カセット、割当手段、及び駆動制御手段を備える。前記薬品カセットは、任意の種類の錠剤を払出可能である。前記割当手段は、払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を前記薬品カセットのいずれかに割り当てる。前記駆動制御手段は、前記薬品カセットを前記割当手段により割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動させ、前記薬品カセットから薬品を払い出させる。前記薬品は、例えば錠剤である。
【0008】
本発明に係る薬品払出方法は、払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を、任意の種類の薬品を払出可能な複数の薬品カセットのいずれかに割り当てる割当ステップと、前記薬品カセットを前記割当ステップにより割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動させ、前記薬品カセットから薬品を払い出させる駆動制御ステップと、を含む。
【0009】
本発明に係る薬品払出プログラムは、コンピュータに、払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を、任意の種類の薬品を払出可能な複数の薬品カセットのいずれかに割り当てる割当ステップと、前記薬品カセットを前記割当ステップにより割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動させ、前記薬品カセットから薬品を払い出させる駆動制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【0010】
本発明に係る記録媒体は、前記薬品払出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、任意の種類の薬品を払い出すためのユーザーの作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置の外観図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る薬品払出装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、固定カセットの構成を説明するための斜視図である。
【
図4】
図4は、可変カセットの構成を説明するための斜視図である。
【
図5】
図5は、可変カセットの構成を説明するための斜視図である。
【
図6】
図6は、可変カセットの構成を説明するための斜視図である。
【
図7】
図7は、可変カセットの装着部の構成を説明するための斜視図である。
【
図8】
図8は、錠剤の分包結果の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、薬品払出処理及び分包制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、可変カセットの表示部の表示例を示す図である。
【
図13】
図13は、薬品払出処理の手順の他の例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、薬品割当処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図15は、薬品払出処理の手順の他の例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図16は、本発明の第4実施形態に係る薬品払出装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、次処方割当処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図18】
図18は、次処方割当処理の実行時における割当情報の遷移を説明するための図である。
【
図19】
図19は、次処方割当処理の実行時における割当情報の遷移を説明するための図である。
【
図20】
図20は、次処方割当処理の実行時における割当情報の遷移を説明するための図である。
【
図21】
図21は、次処方割当処理の実行時における割当情報の遷移を説明するための図である。
【
図22】
図22は、表示制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図23】
図23は、表示制御処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図24】
図24は、表示制御処理の実行時における表示例を示す図である。
【
図25】
図25は、可変カセットの割当状態の変化タイミングの一例を示す図である。
【
図26】
図26は、継続使用表示処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図27】
図27は、継続使用表示処理の実行時における表示例を示す図である。
【
図28】
図28は、例外表示処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図29】
図29は、例外表示処理の実行時における表示例を示す図である。
【
図30】
図30は、可変カセットの状態及び表示部の表示状態の遷移例を示す図である。
【
図31】
図31は、可変カセットの表示部の表示例を示す図である。
【
図32】
図32は、分包ユニットから払い出される薬包シートの一例を示す図である。
【
図33】
図33は、残薬再利用処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図34】
図34は、残薬再利用処理の実行結果の一例を説明するための図である。
【
図37】
図37は、使用確認画面及び照合画面の表示例を示す図である。
【
図39】
図39は、使用確認画面及び照合画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
<第1実施形態>
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る薬品払出装置100の概略構成について説明する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、前記薬品払出装置100は、処方制御ユニット1、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、手撒きユニット4、分包ユニット5、分包制御ユニット6、及びバーコードリーダー7などを備えている。なお、前記処方制御ユニット1、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、前記手撒きユニット4、前記分包ユニット5、及び前記分包制御ユニット6は内部バスN1によって接続されている。また、前記処方制御ユニット1及び前記バーコードリーダー7は、無線LAN又はBluetooth(登録商標)などの通信規格に従って無線通信可能である。そして、前記薬品払出装置100は、前記処方制御ユニット1及び前記分包制御ユニット6によって制御され、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、及び前記手撒きユニット4から供給される錠剤及び散薬を服用時期などの分包単位で前記分包ユニット5により分包して払い出す。
【0016】
なお、前記薬品払出装置100は、前記散薬供給ユニット3及び前記手撒きユニット4を備えているが、前記散薬供給ユニット3及び手撒きユニット4のいずれか一方又は両方を具備しない構成も他の実施形態として考えられる。
【0017】
[錠剤供給ユニット2]
前記錠剤供給ユニット2は、予め定められた特定種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の固定カセット21(薬品特定カセットに相当)と、任意の種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の可変カセット22(薬品カセットに相当)とを備えている。具体的に、
図1に示す例では、前記固定カセット21が縦6×横9の合計54台設けられ、前記可変カセット22が縦1×横4の合計4台設けられている。なお、前記固定カセット21及び前記可変カセット22により払出可能な前記錠剤には、円盤状、球状、又はカプセル状などの各種形態の固形薬品が含まれる。
【0018】
前記固定カセット21各々は、前記錠剤供給ユニット2に設けられた装着部211各々に着脱可能に構成されている。前記装着部211各々は、前記固定カセット21を個別に駆動させる固定駆動部23を備えている。前記固定駆動部23各々は、前記固定カセット21の駆動機構に駆動力を供給する駆動モーター231及び前記固定カセット21に設けられたRFIDタグ(不図示)に対してRFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して情報を読み書きする情報読取手段であるRFIDリーダライタ232を備えている。
【0019】
なお、前記RFIDタグ(不図示)及び前記RFIDリーダライタ232の設置箇所は、前記固定カセット21が前記装着部211に装着された状態で前記RFIDリーダライタ232による前記RFIDタグ(不図示)の情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。
【0020】
前記RFIDタグ(不図示)は、前記固定カセット21各々を識別するためのカセット識別情報などが記憶される不揮発性の記録媒体であり、前記カセット識別情報は前記薬品払出装置100の初期設定などにおいて前記処方制御ユニット1により書き込まれる。なお、前記錠剤供給ユニット2が、前記固定カセット21を有さず、複数の前記可変カセット22のみを有することも他の実施形態として考えられる。
【0021】
また、前記可変カセット22各々は、前記錠剤供給ユニット2に設けられた装着部221各々に着脱可能に構成されている。なお、前記可変カセット22各々が前記装着部221に対して引き出し可能な構成も他の実施形態として考えられる。前記装着部221各々は、前記可変カセット22を個別に駆動させる可変駆動部24を備えている。前記可変駆動部24各々は、前記可変カセット22の駆動機構に駆動力を供給する複数の駆動モーター241~244(駆動手段の一例)及び前記可変カセット22に設けられたRFIDタグ26(
図6参照)に対してRFIDの無線通信技術を利用して情報を読み書きする情報読取手段であるRFIDリーダライタ245を備えている。
【0022】
なお、前記RFIDタグ26及び前記RFIDリーダライタ245の設置箇所は、前記可変カセット22が前記装着部221に装着された状態で前記RFIDリーダライタ245による前記RFIDタグ26の情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。
【0023】
前記RFIDタグ26は、前記可変カセット22各々を識別するためのカセット識別情報、及び後述の薬品払出処理(
図11参照)において前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報などが記録される不揮発性の記録媒体である。
【0024】
前記薬品情報は、錠剤(薬品)の種類を識別可能な情報であって、例えば薬品名、薬ID、薬品コード、JANコード、RSSコード、QRコード(登録商標)などである。なお、前記JANコード及び前記RSSコードは、一次元コード(バーコード)で表現される数値又は文字の情報であり、前記QRコード(登録商標)は、二次元コードで示される数値又は文字の情報である。
【0025】
ところで、前記可変カセット22の数と前記装着部221の数とは一致していなくてもよい。例えば、ユーザーが、前記装着部221の数よりも多い数の前記可変カセット22から任意の前記可変カセット22を選択して前記装着部221に装着可能であることが考えられる。特に、一つの前記装着部221ごとに対応して装着可能な複数の前記可変カセット22を備える構成が考えられる。この点は、前記固定カセット21及び前記装着部211についても同様である。
【0026】
[固定カセット21]
ここで、
図3を参照しつつ、前記固定カセット21の一例について説明する。なお、ここで説明する前記固定カセット21の構造は一例に過ぎず、同様の機能を有するものであれば他の構造であってもよい。なお、
図3は、前記固定カセット21の上部を覆うカバー部材を省略した図である。
【0027】
前記固定カセット21各々では、収容される錠剤の種類が予め定められているため、例えば前記固定カセット21各々の前面には、前記固定カセット21に収容される錠剤の薬品情報が予め記載されている。
【0028】
図3に示すように、前記固定カセット21は、多数の錠剤が収容される錠剤収容部212、及び前記錠剤収容部212に収容された錠剤を個別に排出する錠剤排出部213を備えている。前記錠剤排出部213は、前記錠剤収容部212の略中央部に形成された凹部に設けられており、前記錠剤収容部212内の錠剤は前記錠剤排出部213に向けて順次下降する。
【0029】
前記錠剤排出部213は、前記固定カセット21の筐体で回転可能に支持されたローター214と、前記ローター214の外周を覆う内壁214Aとを備えている。前記ローター214は、前記固定カセット21が前記装着部211に装着されたときに、各種のギアなどの駆動伝達系(不図示)を介して前記固定駆動部23の前記駆動モーター231に連結される。また、前記ローター214の外周面には、予め定められた配置間隔でリブ215及びリブ216が形成されている。これにより、前記ローター214の外周には、前記リブ215、前記リブ216、及び前記内壁214Aによって囲まれた間隙217が間欠的に形成されている。前記間隙217の幅は、前記固定カセット21に収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められており、前記錠剤の1錠分の幅に相当する。
【0030】
また、前記リブ215及び前記リブ216の間には前記ローター214の外周面全体に亘る間隙218が形成されている。ここで、前記リブ215及び前記リブ216各々の上端の高さは、前記固定カセット21に収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められている。具体的に、
図3に示す前記リブ215の上端の高さは前記錠剤の3錠分の高さに相当するものであり、前記ローター213の前記間隙217各々には前記錠剤が3錠ずつ挿入される。また、前記リブ216の上端の高さは、前記錠剤の1錠分の高さに相当する。
【0031】
一方、前記内壁214Aには、前記ローター214から錠剤を排出するための排出口219が形成されており、前記排出口219には前記間隙218に挿入される仕切板220が設けられている。これにより、前記排出口219では、前記間隙217に挿入されている3錠の錠剤のうち、上の2錠は前記仕切板220によって落下が規制され、下の1錠のみが排出される。従って、前記固定カセット21では、前記駆動モーター231によって前記ローター214が駆動されることにより、前記錠剤収容部212に収容された錠剤が1錠単位で払い出される。
【0032】
[可変カセット22]
次に、
図4~
図7を参照しつつ、前記可変カセット22の一例について説明する。なお、ここで説明する前記可変カセット22の構造は一例に過ぎず、任意の錠剤を1錠ずつ払い出すことが可能なものであれば他の構造であってもよい。例えば、特表2010-535683号公報又は特開2010-115493号公報には、前記可変カセット22の他の例が開示されている。
【0033】
図4~
図6に示すように、前記可変カセット22は、多数の錠剤が収容される錠剤収容部222と、前記錠剤収容部222から錠剤を払い出す第1回転体223及び第2回転体224とを備えている。ここに、前記第1回転体223及び前記第2回転体224が払出手段及び駆動機構の一例である。なお、
図4~
図6は、前記可変カセット22の上部を覆うカバー部材を省略した図である。また、前記可変カセット22は、予め定められた単位量ごとに錠剤を払い出すことが可能であればよく、例えば1錠単位ではなく複数錠ごとの払い出しが可能な構成であってもよい。
【0034】
前記第1回転体223は、前記錠剤収容部222の底面を構成する円盤状の部材である。前記第1回転体223の回転軸は鉛直方向に対して予め定められた所定角度だけ傾斜しており、前記第1回転体223の上面が水平面に対して前記所定角度だけ傾斜している。また、前記第1回転体223の上面には放射状のリブ223Aが所定間隔ごとに形成されている。そして、前記第1回転体223は、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、
図5及び
図6に示す駆動ギア223Bに連結されている。
【0035】
前記第2回転体224は、平面視で前記第1回転体223の周囲に配置された中空環状の部材であって、前記錠剤収容部222の錠剤を払出口225に搬送して前記払出口225から払い出す搬送部材の一例である。また、前記第1回転体223の上端部は、前記第2回転体224と同一水平面上に位置している。そして、前記第2回転体224は、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、
図6に示す駆動ギア224Aが外周面に形成されている。
一方、
図7に示すように、前記装着部221は、前記可変カセット22が装着されたときに前記第1回転体223の前記駆動ギア223Bに連結される駆動ギア221A、及び前記第2回転体224の前記駆動ギア224Aに連結される駆動ギア221Bを備える。前記駆動ギア221Aは、前記可変駆動部24の前記駆動モーター241に連結されており、前記駆動ギア221Bは、前記可変駆動部24の前記駆動モーター242に連結されている。
【0036】
さらに、
図4及び
図5に示すように、前記可変カセット22は、前記第2回転体224により前記排出口225まで搬送される前記錠剤の払出経路上に配置された高さ規制部材226及び幅規制部材227を備えている。
【0037】
前記高さ規制部材226は、前記第2回転体224により前記排出口225まで搬送可能な錠剤の高さ方向のサイズを規制し、前記幅規制部材227は、前記第2回転体224により前記排出口225まで搬送可能な錠剤の幅方向のサイズを規制する。これにより、前記可変カセット22では、前記第2回転体224に載置された錠剤のうち前記高さ規制部材226により規制される高さh1及び前記幅規制部材227により規制される幅w1に収まる錠剤のみが前記排出口225から払い出される。従って、前記可変カセット22では、前記高さh1及び前記幅w1が前記錠剤収容部222に収容される錠剤の1錠分の高さ及び幅である場合に、その錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。
【0038】
そして、前記可変カセット22は、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1を変更するための高さ調整部226Aと、前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を変更するための幅調整部227Aとを備えている。ここに、前記高さ調整部226A及び前記幅調整部227Aが経路調整手段及び駆動機構の一例である。前記幅調整部227Aの外周面には、前記幅規制部材227に形成された長穴227Bの内周面に形成されたラック(ギア)に噛合されたピニオンギアが形成されている。
【0039】
前記高さ調整部226Aは、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、
図6に示す駆動ギア226Bに連結されている。前記高さ調整部226Aは、回転駆動されることにより前記高さ規制部材226の下端部の位置を上下に移動させ、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1を変更する。
【0040】
前記幅調整部227Aは、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、
図6に示す駆動ギア227Cに連結されている。前記幅調整部227Aは、回転駆動されることにより前記幅規制部材227の前記錠剤収容部222側への突出量を変更し、前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を変更する。具体的に、前記幅規制部材227の前記錠剤収容部222側への突出量は、前記幅調整部227Aの回転により前記幅調整部227A及び前記長穴227B各々が矢印R3方向(
図4参照)に相対的に移動することによって変更される。
【0041】
一方、
図7に示すように、前記装着部221は、前記可変カセット22が装着されたときに前記駆動ギア226Bに連結される駆動ギア221C、及び前記駆動ギア227Cに連結される駆動ギア221Dを備えている。前記駆動ギア221Cは、前記可変駆動部24の前記駆動モーター243に連結されており、前記駆動ギア221Dは、前記可変駆動部24の前記駆動モーター244に連結されている。
【0042】
なお、
図6及び
図7に示すように、前記可変カセット22及び前記装着部221は、前記可変カセット22が前記装着部221に装着されたときに連結される駆動ギア228A及び駆動ギア228Bを備えている。前記駆動ギア228Aは、前記第1回転体223を上下方向に昇降させる不図示の昇降機構に連結されており、前記駆動ギア228Bは不図示の駆動モーターに連結されている。これにより、前記駆動モーターが駆動されると、前記駆動ギア228Bから前記駆動ギア228Aに駆動力が伝達され、前記昇降機構により前記第1回転体223が昇降可能である。従って、前記薬品払出装置100では、前記第1回転体223を昇降させることにより、前記錠剤収容部222内に収容可能な錠剤数を任意に調整することが可能である。
【0043】
そして、前記可変カセット22では、前記第1回転体223が回転方向R1(
図4及び
図5参照)に回転されると、前記錠剤収容部222の錠剤が前記第1回転体223から前記第2回転体224に排出される。また、前記可変カセット22では、前記第2回転体224が回転方向R2(
図4及び
図5参照)に回転されると、前記第2回転体224上の錠剤が前記排出口225に向けて搬送される。
【0044】
但し、前記第2回転体224により搬送される錠剤のうち高さ方向に積み重なった錠剤は前記高さ規制部材226に接触して前記錠剤収容部222に戻される。また、前記第2回転体224により搬送される錠剤のうち幅方向に並んで搬送されている錠剤は前記幅規制部材227に接触して前記錠剤収容部222に戻される。
【0045】
これにより、前記可変カセット22では、前記高さ規制部226により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材227により規制される前記幅w1に対応するサイズの錠剤は、前記第2回転体224上の周方向に1錠ずつ並んだ状態で前記排出口225まで搬送される。そのため、前記可変カセット22では、前記錠剤収容部222に収容された錠剤を1錠単位で払い出すことが可能であり、前記錠剤の払出量を制御することが可能である。
【0046】
このように、前記可変カセット22を用いれば、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材227により規制される前記幅w1が変更可能であるため、任意の種類の錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。
【0047】
また、前記可変カセット22各々には、
図1及び
図4に示すように、表示内容が変更可能な表示部25(薬品表示手段の一例)が設けられている。ここに、前記表示部25は、通電により表示内容が書き込まれると、その後は無通電状態でも前記表示内容の表示が維持される電子ペーパーである。
【0048】
具体的に、前記可変カセット22及び前記装着部221各々には前記可変カセット22が前記装着部221に装着されたときに接続される接点式のコネクタ(不図示)が設けられている。ここで、前記可変カセット22側の前記コネクタには前記表示部25が接続されており、前記装着部221側の前記コネクタには前記処方制御ユニット1が接続されている。そして、前記可変カセット22が前記装着部221に装着されると、前記表示部25及び前記処方制御ユニット1が前記コネクタによって電気的に接続される。これにより、前記処方制御ユニット1は、前記表示部25各々の表示を変更することが可能になる。なお、前記表示部25は、電子ペーパーに限らず、液晶ディスプレイ等の他の表示手段であってもよい。また、前記表示部25は、前記可変カセット22各々に対応して前記可変カセット22が装着される前記装着部221に設けられることも考えられる。
【0049】
さらに、前記可変カセット22各々には、
図6に示すように、各種の情報を記憶するRFIDタグ26が内蔵されている。前記RFIDタグ26は、前記RFIDリーダライタ245により記憶情報の書き換えが可能な不揮発性の記録媒体であって、前述したように前記可変カセット22各々のカセット識別情報、及び前記可変カセット22各々に割り当てられた前記薬品情報などの記憶に用いられる。前記RFIDタグ26は、前記可変カセット22各々に設けられる制御基板に搭載されたものであり、前記制御基板は前記処方制御ユニット1からの制御信号に従って前記可変カセット22の前記表示部25の表示を変更する機能も有している。なお、前記制御基板には、前記コネクタを介して供給される電力、前記制御基板に搭載された電池などの蓄電部から供給される電力、又は前記RFIDタグ26への情報の書き込み時に供給される電力により駆動する電気回路が搭載されている。また、前記可変カセット22各々が、前記RFIDタグ26に代えて、前記処方制御ユニット1が前記コネクタを介して情報を読み書きすることのできるEEPROM等の他の記録媒体を有することも他の実施形態として考えられる。
【0050】
[散薬供給ユニット3]
図1に示すように、前記散薬供給ユニット3は、二つの投入部31、32を備えており、前記投入部31、32各々に投入された散薬を、前記処方制御ユニット1により予め設定される服用時期などの分包単位で前記分包ユニット5に供給する。
【0051】
具体的に、前記散薬供給ユニット3は、前記投入部31に投入された散薬を円盤上に均等に展開して前記分包単位に相当する所定角度ごとに掻き出す払出部、及び前記投入部32に投入された散薬を円盤上に均等に展開して前記分包単位に相当する所定角度ごとに掻き出す払出部の二組の払出部を備えている。なお、前記散薬供給ユニット3に投入される散薬は、患者に処方する処方薬の総量として予め秤量装置を用いて計量されたものである。
【0052】
[手撒きユニット4]
前記手撒きユニット4は、予め設定された服用時期などの分包単位で錠剤が投入されるマスが複数設けられた手撒き収容部と、前記マス各々に収容された前記錠剤を前記マスごとに前記分包ユニット5に払い出す手撒き払出部とを備える。前記手撒き収容部では、複数の前記マスがマトリクス状に配置されている。前記手撒き払出部は、例えば前記手撒き収容部の前記マスの底面を個別に開閉することにより前記マスに収容された錠剤を払い出すことが可能な構成が考えられる。前記薬品払出装置100において、前記手撒きユニット4は、例えば1錠より小さい半錠などの錠剤を払い出すために用いられるものであり、従来周知であるためここでは説明を省略する。なお、従来、前記手撒きユニット4は、前記固定カセット21に予め収容されていない任意の錠剤を払い出す際にも用いられていたが、前記薬品払出装置100では、任意の錠剤は前記可変カセット22を利用して払い出すことが可能である。もちろん、前記固定カセット21に収容されていない任意の錠剤の払い出しに前記手撒きユニット4を用いることも可能である。
【0053】
[分包ユニット5]
前記分包ユニット5は、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、及び前記手撒きユニット4から供給された薬品を服用時期などの分包単位で一つの分包紙に収容する分包手段の一例である。例えば、前記分包ユニット5は、透明又は半透明のロール状の薬包シートにより前記分包単位で薬品を包装して溶着等により封止する。これにより、前記分包単位で薬品が収容された前記薬包シートが前記分包ユニット5から排出される。
【0054】
ここに、
図8は、前記分包ユニット5から排出される薬包シート51の一例を示す図である。
図8に示すように、前記薬包シート51には、前記分包単位で複数の錠剤が包装された複数の分包紙52が連続して形成されており、前記分包紙52各々の間には前記分包紙52各々を容易に切り離すための切り取り点線52A(ミシン目)が形成されている。なお、処方データに散薬が含まれている場合には、前記分包ユニット5において、前記散薬供給ユニット3から供給された散薬を前記分包紙52に合包することも可能である。また、前記分包ユニット5には、前記分包紙52各々に情報を印刷する印刷部(不図示)が設けられており、前記分包紙52各々の表面には、前記印刷部(不図示)によって患者の氏名、服用時期、処方薬、又は処方量などの処方情報が印刷可能である。
【0055】
[分包制御ユニット6]
前記分包制御ユニット6は、
図2に示すように、制御部61及び記憶部62を備え、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、前記手撒きユニット4、及び前記分包ユニット5などを制御することにより前記薬品払出装置100に分包動作を実行させる。なお、前記分包制御ユニット6は、前記薬品払出装置100に内蔵されている。
【0056】
前記制御部61は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する制御手段である。前記制御部61は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部62などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部61は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
【0057】
前記記憶部62は、各種のデータを記憶するハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部62には、前記制御部61等のコンピュータに後述の分包制御処理(
図11右側参照)を実行させるための分包制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記分包制御プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部12にインストールされる。本発明は、前記分包制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明として捉えることができる。
【0058】
[バーコードリーダー7]
前記バーコードリーダー7は、薬品を識別するコードを読み取るものであり、薬局の薬品棚などに設けられた錠剤の収容容器(箱、瓶など)又はPTPシートなどに記載されたJANコード、RSSコード、又はQRコード(登録商標)を読み取るコード読取手段であって、例えばPDAなどの携帯端末である。なお、前記バーコードリーダー7は、例えば薬剤師などが薬品のピッキングに使用する従来周知のピッキング補助装置などであってもよい。前記ピッキング補助装置は、薬剤師等が処方箋に従って薬品棚から薬品を取り出して手動で調剤する際に用いられ、例えば、前記収容容器に記載されたJANコードから薬品を読み取って、その読み取られた薬品と処方データとの照合を行う。
【0059】
そして、前記バーコードリーダー7により読み取られた情報は、前記バーコードリーダー7から無線通信により前記処方制御ユニット1に入力される。このように無線通信を利用すれば、前記バーコードリーダー7を前記薬品払出装置100又は前記薬品棚などに自由に持ち運び可能であり、前記可変カセット22への錠剤の投入作業を任意の場所で行うことも可能となる。もちろん、前記バーコードリーダー7が前記処方制御ユニット1に有線接続されることも考えられる。なお、薬局内に前記薬品払出装置100が複数台設けられる場合には、前記薬品払出装置100各々に予め対応付けられた前記バーコードリーダー7が個別に設けられる。
【0060】
[処方制御ユニット1]
前記処方制御ユニット1は、前記薬品払出装置100を統括的に制御するコンピュータである。
図1及び
図2に示すように、前記処方制御ユニット1は、制御部11、記憶部12、モニター13、操作部14、及び通信IF15等を備える。
【0061】
前記制御部11は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する制御手段である。前記制御部11は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部11は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
【0062】
前記記憶部12は、各種のデータを記憶するハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部12には、前記制御部11等のコンピュータに後述の薬品払出処理(
図11左側参照)を実行させるための薬品払出プログラムが予め記憶されている。
【0063】
なお、前記薬品払出プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部12にインストールされる。本発明は、前記薬品払出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明として捉えることができる。
【0064】
また、前記記憶部12には、例えば医薬品マスター、患者マスター、カセットマスター、及び薬局マスターなどの各種のデータベースも記憶されている。なお、前記制御部11は、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどの記録媒体から不図示のディスクドライブなどの読取装置によって読み取られたデータに基づいて、前記記憶部12に記憶されている前記各種のデータベースを更新することが可能である。また、前記制御部11は、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記各種のデータベースの内容を変更することも可能である。
【0065】
前記医薬品マスターには、薬ID、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤のサイズ(高さ及び幅)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの医薬品各々に関する情報が含まれる。前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。前記薬局マスターには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のIDなどの薬局に関する情報が含まれる。また、前記カセットマスターは、前記固定カセット21各々のカセット識別情報と前記固定カセット21各々に割り当てられた前記薬品情報との対応関係を示す情報である。前記カセットマスターは、例えば前記薬品払出装置100の初期設定における前記操作部14のユーザー操作に応じて前記制御部11によって登録される。
【0066】
さらに、前記記憶部12には、前記可変カセット22と前記薬品情報との割当状態を示す割当情報121、及び前記薬品情報と前記可変カセット22の駆動条件との対応関係を示す駆動対応情報122が記憶されている。なお、前記記憶部12が割当情報記憶手段及び駆動対応情報記憶手段の一例である。前記割当情報121及び前記駆動対応情報122は、前記制御部11によって実行される後述の薬品払出処理で用いられる。
【0067】
ここに、
図9は前記割当情報121の一例を示す図であり、
図10は前記駆動対応情報12の一例を示す図である。
【0068】
図9に示すように、前記割当情報121では、前記可変カセット22各々に現在割り当てられている錠剤の種類を示す薬IDが薬品情報として記憶されている。もちろん、前記薬IDに代えて錠剤名称、薬品コード、JANコード(又はRSSコード)などの薬品情報が記憶されていてもよい。また、ここでは前記錠剤供給ユニット2において左から右に向かって順に並べられた4つの前記可変カセット22に、カセット番号「C1」~「C4」が前記カセット識別情報として予め設定されているものとする。前記カセット識別情報は、前記可変カセット22各々の前記RFIDタグ26にも記憶されている。なお、前記割当情報121において、現在薬品情報が割り当てられていない前記可変カセット22には未割当である旨が記憶されている。具体的に、
図9に示す前記割当情報121では、前記可変カセット22のうちカセット番号「C1」には薬ID「M1」の薬品情報、カセット番号「C3」には薬ID「M2」の薬品情報が割り当てられており、カセット番号「C2」及び「C4」には、まだ薬品情報が割り当てられていない旨が示されている。なお、
図9に示す前記割当情報121のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記割当情報121は、例えば前記薬品マスターの一つの項目として前記記憶部12に記憶されたものであってもよい。この場合、前記薬品マスターに含まれる薬品各々に対応付けて、その薬品に割り当てられた前記可変カセット22の前記カセット識別情報が記憶される。
【0069】
また、
図10に示すように、前記駆動対応情報122では、前記薬品情報ごとに対応して予め設定された駆動条件が記憶されている。前記駆動条件には、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを開始する前の前記可変カセット22の調整に関する事前駆動条件、前記可変カセット22からの錠剤の払い出し中の駆動制御に関する駆動中条件、及び前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを停止する際の駆動制御に関する駆動停止時条件の3種類の条件が含まれる。
【0070】
具体的に、
図10に示す前記駆動対応情報122の例では、薬IDが「M1」、「M2」、「M3」、「M4」である錠剤ごとに対応する前記駆動条件として、払出経路の高さ、払出経路の幅、払出速度、及び逆回転制御の各項目に関する情報が記憶されている。なお、前記駆動条件は一例に過ぎず、例えば前記可変カセット22が振動により錠剤を1錠ごとに払い出すものである場合にはその振動の振動周波数又は振幅などが前記駆動条件として定められていることが考えられる。
【0071】
前記払出経路の高さ及び前記払出経路の幅は、前記事前駆動条件の一例であって、前記可変カセット22の前記第2回転体224により錠剤を1錠ずつ前記払出口225から払い出すことが可能な値として予め設定された前記高さh1及び前記幅w1(
図5参照)の値である。
【0072】
前記払出速度は、前記駆動中条件の一例であって、前記可変カセット22から錠剤を払い出す際の前記第2回転体224の回転速度として薬品情報ごとに適した回転速度である。例えば、前記錠剤のサイズが小さければ、前記駆動モーター242の回転速度が速い場合、前記駆動モーター242が停止するまでの間に前記錠剤が余分に払い出されにくい。一方、前記錠剤のサイズが大きければ、前記駆動モーター242の回転速度が速くても、前記駆動モーター242が停止するまでの間に前記錠剤が余分に払い出されない。そのため、例えば前記駆動条件として設定されている錠剤の払出速度、即ち前記第2回転体224による錠剤の搬送速度が前記錠剤のサイズによって異なることが考えられる。具体的には、前記錠剤のサイズが大きい場合の前記払出速度は前記錠剤のサイズが小さい場合の前記払出速度に比べて遅い値に設定されていることが考えられる。なお、前記払出速度は、
図10に示す[錠/min]の形式に限らず、前記第2回転体224の回転速度、又は前記駆動モーター242の回転速度などの形式で記憶されていてもよい。さらに、前記第2回転体224の回転速度だけでなく、前記第1回転体223の回転速度も前記駆動条件として設定されることも考えられる。
【0073】
また、前記逆回転制御の項目は、前記駆動停止時条件の一例であって、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを停止する際に前記第2回転体224による錠剤の搬送方向を逆方向に切り替える逆回転動作の実行の有無に関する情報である。例えば、前記第2回転体224の駆動を停止させるだけでは、前記第2回転体224上に残存した錠剤が転がって余分に払い出されるおそれがある球状などの転がりやすい形状の錠剤については前記逆回転動作が「有」に設定される。これにより、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しの停止時に錠剤が余分に払い出されることが防止される。なお、前記第2回転体224の駆動が停止された場合に転がりにくい形状の錠剤については前記逆回転動作が「無」に設定され、不要な前記逆回転動作は実行されない。
【0074】
なお、
図10に示す前記駆動対応情報122のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記駆動対応情報122で定められた前記駆動条件は、例えば前記薬品マスターの一つの項目として前記記憶部12に記憶されたものであってもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、前記駆動対応情報122において、前記薬品情報ごとに対応する駆動条件(
図10参照)として、払出経路の高さ、払出経路の幅、払出速度、及び逆回転制御の各項目が含まれている場合を例に挙げて説明する。
【0076】
一方、前記薬品払出装置100が、払出経路の高さ、払出経路の幅、払出速度、及び逆回転制御の項目のいずれか一つ又は複数を前記駆動条件として用いることも他の実施形態として考えられる。
【0077】
即ち、前記薬品払出装置100では、前記薬品情報ごとに対応する前記駆動条件として前記事前駆動条件、前記駆動中条件、及び前記駆動停止時条件のいずれか一つ又は複数が予め設定されていることが考えられる。
【0078】
また、前記薬品情報ごとに対応する前記駆動条件として前記事前駆動条件、前記駆動中条件、及び前記駆動停止時条件などの複数の条件が予め設定されており、前記薬品払出装置100において、使用する前記駆動条件として、前記事前駆動条件、前記駆動中条件、及び前記駆動停止時条件などの条件いずれか一つ又は複数を選択可能な構成も考えられる。
【0079】
前記モニター13は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶モニター等の表示手段である。例えば、前記モニター13には、処方データの入力画面及び処方データの選択画面などの各種情報が表示される。
【0080】
前記操作部14は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作手段であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部11に入力する。前記操作部14は、例えば前記モニター13に表示された前記入力画面における処方データの入力操作、前記選択画面における処方データの選択操作、及び前記処方データの分包開始を要求する処方データの発行操作などの各種操作入力を受け付ける。
【0081】
前記通信IF15は、前記薬品払出装置100をLAN等の通信網N2に接続するための通信インターフェースであって、前記通信網N2を介して接続された処方入力端末200などの上位システムとの間でデータ通信を実行する。なお、前記処方入力端末200は、例えば病院及び老健施設などに配置される電子カルテシステム、院内又は院外の薬局に配置される調剤管理システムなどである。また、前記通信IF15は、前記バーコードリーダー7等の各種の無線通信機器との間で無線データ通信を行う無線通信カードなどの無線通信インターフェースも備えている。
【0082】
そして、前記通信IF15は、前記処方入力端末200から処方データを取得し、前記処方データを前記制御部11に入力する。例えば、前記通信IF15は、前記処方入力端末200に設けられた記憶手段の所定の記憶領域に処方データが記憶されたか否かを監視しており、前記所定の記憶領域に前記処方データが記憶された場合に前記処方データを前記所定の記憶領域から読み出す。もちろん、前記通信IF15は、前記処方入力端末200から送信された前記処方データを受信するものであってもよい。
【0083】
[薬品払出処理及び分包制御処理]
以下、
図11を参照しつつ、前記薬品払出装置100において、前記処方制御ユニット1の前記制御部11により実行される薬品払出処理及び前記分包制御ユニット6の前記制御部61により実行される分包制御処理の手順の一例について説明する。ここに、前記制御部11が実行する処理手順(ステップ)をステップS1、S2、・・・と称し、前記制御部61が実行する処理手順(ステップ)をステップS11、S12、・・・と称する。なお、前記制御部11及び前記制御部61のいずれか一方により前記薬品払出処理及び前記分包制御処理の処理結果と同様の処理結果が得られる一連の処理が実行されることも考えられる。
【0084】
(処方制御ユニット1側:ステップS1)
まず、ステップS1において、前記制御部11は、処方データの発行要求があったか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、予め登録された処方データを発行するための発行操作が前記操作部14に対して行われた場合に前記処方データの発行要求が行われたと判断する。前記処方データは、前記処方入力端末200等の上位システムから取得され、又は前記操作部14に対するユーザー操作により登録されて、前記記憶部12に記憶された処方データである。
【0085】
ここで、前記制御部11は、前記処方データの発行要求がなされるまでの間(S1のNo側)、処理を前記ステップS1で待機させる。一方、前記制御部11は、前記処方データの発行要求があったと判断すると(S1のYes側)、処理をステップS2に移行させる。なお、前記制御部11が、前記処方入力端末200等の上位システムから前記処方データを受信した場合に、前記発行操作を要することなく前記処方データの発行要求があったと判断して処理をステップS2に移行させることも他の実施形態として考えられる。
【0086】
(処方制御ユニット1側:ステップS2)
次に、ステップS2において、前記制御部11は、前記処方データにより払出対象の錠剤を示す薬品情報として入力された全ての薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在するか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記記憶部12に記憶されている前記カセットマスターに基づいて、前記固定カセット21各々にない錠剤が処方薬として前記処方データに含まれているか否かを判断する。なお、前記カセットマスターは、前記装着部211各々に設けられた前記RFIDリーダライタ232などの読取装置によって、前記固定カセット21各々に設けられたRFIDタグ(不図示)から読み取られる薬品情報に基づいて前記制御部11によって更新される。また、前記制御部11は、前記カセットマスターを編集するための編集画面を前記モニター13に表示させ、前記編集画面における前記操作部14のユーザー操作に応じて前記カセットマスターを更新することも可能である。
【0087】
ここで、前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在しないと判断された場合(S2のNo側)、即ち前記処方データに含まれた処方薬に前記固定カセット21に収容されていない種類の錠剤が含まれている場合、前記制御部11は処理をステップS3に移行させる。
【0088】
一方、全ての前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在すると判断した場合(S2のYes側)、即ち前記処方データに処方薬として含まれた全ての種類の錠剤が前記固定カセット21に収容されている場合、前記制御部11は処理をステップS7に移行させる。この場合、前記ステップS7では、前記固定カセット21各々を用いて従来同様の分包動作の開始要求が前記制御部61に送信され、前記制御部61により前記分包動作を実行するための処理が実行される。
【0089】
なお、前記薬品払出装置100が、前記固定カセット21を具備しない構成では、前記ステップS2の処理を省略し、前記制御部11が、前記ステップS1で前記処方データの発行要求があったと判断された場合に処理をステップS3に移行させることも可能である。
【0090】
また、前記可変カセット22への割り当てを実行しない薬品情報として予め設定された割当除外薬品情報が前記記憶部12に記憶されていることが考えられる。そして、前記制御部11が、前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在せず、且つ前記払出対象の薬品情報が前記割当除外薬品情報に該当する場合に、前記可変カセット22への割り当てを実行することなく前記手撒きユニット4を使用すべき旨を前記モニター13に表示させることが考えられる。例えば、前記可変カセット22内に有色の粉末が付着する可能性の高い錠剤が前記割当除外薬品情報として設定されていれば、その有色の粉末が次に前記可変カセット22に収容される錠剤に付着することなどを防止することができる。また、前記可変カセット22での払い出しが適切でない形状の薬品なども、前記手撒きユニット4を使用すべき旨を前記モニター13に表示させることが考えられる。なお、前記制御部11が、前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在するか否かを判断することなく、前記払出対象の薬品情報が前記割当除外薬品情報に該当するか否かを判断することも他の実施形態として考えられる。この場合、前記制御部11は、前記払出対象の薬品情報が前記割当除外薬品情報に該当する場合に、前記可変カセット22への割り当てを実行することなく前記手撒きユニット4を使用すべき旨を前記モニター13に表示させることも他の実施形態として考えられる。
【0091】
(処方制御ユニット1側:ステップS3)
ステップS3において、前記制御部11は、前記処方データにより入力された払出対象の薬品情報のうち対応する前記固定カセット21が存在しない薬品情報を未割当の前記可変カセット22に割り当てる。なお、前記制御部11は、対応する前記固定カセット21が存在しない薬品情報が前記処方データに複数含まれている場合には、その薬品情報各々について前記可変カセット22の割り当てを実行する。このように、前記処方データにより払出対象の薬品情報が入力された場合に、前記薬品情報を前記可変カセット22に割り当てるための処理(割当ステップ)を実行するときの前記制御部11が割当手段の一例である。
【0092】
具体的に、前記制御部11は、前記可変カセット22各々のうち現在通信可能(制御可能)な前記可変カセット22を特定する処理を実行する。例えば、前記制御部11は、前記可変カセット22のうち前記RFIDリーダライタ232による前記RFIDタグ26からの情報の読み出しに成功した前記可変カセット22を通信可能な状態であると判断する。
【0093】
そして、前記制御部11は、現在通信可能である前記可変カセット22各々に対する現在の薬品情報の割り当ての有無を、前記割当情報121(
図9参照)に基づいて判断し、前記払出対象の薬品情報を未割当の前記可変カセット22に割り当てる。このとき、前記制御部11は、前記薬品情報を割り当てる前記可変カセット22を決定すると、その割当結果に応じて前記割当情報121の内容を更新する。このように前記薬品情報に割り当てられた前記可変カセット22は、前記制御部11との間で通信可能であり、前記制御部11による前記電子ペーパー25への情報の書き込みが可能である。なお、前記制御部11が、前記可変カセット22各々の通信の可否を判断することなく前記可変カセット22各々を割当対象の候補としてもよい。
【0094】
ここで、前記薬品情報を割り当てる前記可変カセット22の候補が複数存在することが考えられる。この場合、前記制御部11は、例えば前記可変カセット22各々のうち予め設定された優先順位に基づいて前記薬品情報の割り当ての有無を判断し、最初に未割当であると判断された前記可変カセット22に前記薬品情報を割り当てることが考えられる。また、前記制御部11は、前記可変カセット22各々の使用回数が均等になるように、前記可変カセット22の使用回数が低いものから順に前記薬品情報の割り当ての有無を判断し、最初に未割当であると判断された前記可変カセット22に前記薬品情報を割り当てることも考えられる。さらに、前記制御部11は、前記可変カセット22各々のうち直前に割り当てられていた薬品情報が、今回の割当対象の薬品情報と同じ又は錠剤サイズが近い薬品情報である前記可変カセット22を選択することも考えられる。なお、未割当の前記可変カセット22が存在しない場合、前記制御部11は、その旨を前記モニター13に表示させることによりユーザーに報知する。
【0095】
また、前記ステップS3において、前記制御部11は、前記RFIDリーダライタ232を制御することにより、前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22各々の前記RFIDタグ26に前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報を記録する。このとき、前記制御部11は、前記薬品情報と共に、前記薬品情報が示す錠剤の払出量、患者名、割当日時、担当薬剤師名、及び処方箋の識別情報などの各種の情報を前記処方データに基づいて記録することも考えられる。
【0096】
一方、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26に前記薬品情報が記録されないことも他の実施形態として考えられる。具体的に、前記RFIDタグ26に前記カセット識別情報が予め記録されており、前記RFIDリーダライタ245が情報の読み取りのみが可能なRFIDリーダーであることが考えられる。この場合でも、前記制御部11は、前記RFIDタグ26から読み取った前記カセット識別情報と前記割当情報(
図9参照)とに基づいて、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報を認識することが可能である。
【0097】
(処方制御ユニット1側:ステップS4)
ステップS4において、前記制御部11は、前記払出対象の薬品情報に対応する駆動条件を前記駆動対応情報122(
図10参照)に基づいて特定し、前記駆動条件と前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22のカセット識別情報とを前記制御部61に送信する。これにより、前記制御部61は、前記駆動条件に従って前記可変カセット22を駆動させることになる。このように前記ステップS4の処理を実行することにより前記可変カセット22を前記駆動条件に従って駆動させるときの前記制御部11を駆動制御手段として捉えてもよい。
【0098】
なお、前記制御部11が、前記可変カセット22各々のカセット識別情報及び前記可変カセット22各々に対応する前記駆動条件の設定内容を前記モニター13に表示し、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記駆動条件の設定内容を変更することも他の実施形態として考えられる。なお、前記駆動条件の変更内容は、前記制御部11から前記制御部61に通知される。これにより、ユーザーの任意の操作入力により前記可変カセット22から錠剤を払い出す際の前記可変カセット22の駆動条件を変更することが可能である。また、ユーザーは前記モニター13を参照することにより前記払出対象の薬品情報に対応する前記駆動条件の設定内容を確認することができる。
【0099】
(分包制御ユニット6側:ステップS11)
一方、前記分包制御ユニット6では、前記制御部61が、ステップS11において、前記制御部11からの前記駆動条件の受信の有無を判断する。ここで、前記制御部61は、前記駆動条件が受信された場合には(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させ、前記駆動条件が受信されていない間は(S11のNo側)、処理をステップS13に移行させる。なお、前記制御部61は、前記制御部11から受信した前記駆動条件を、前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22のカセット識別情報と対応付けて前記記憶部62に記憶する。
【0100】
(分包制御ユニット6側:ステップS12)
ステップS12において、前記制御部61は、前記駆動条件と共に受信した前記カセット識別情報に対応する前記可変カセット22を、前記駆動条件のうち前記事前駆動条件に従って駆動させ、前記払出経路の高さ及び前記払出経路の幅を変更する。このように、前記薬品払出装置100では、前記駆動条件に前記事前駆動条件が含まれている場合、前記制御部61が、前記事前駆動条件(払出経路の高さ及び幅)に従って前記可変カセット22を駆動させ、その後に、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを実行することになる(S14)。
【0101】
具体的に、前記制御部61は、前記駆動条件に従って前記高さ調整部226A及び前記幅調整部227Aを制御することにより、前記可変カセット22から1錠単位で払出可能な錠剤の種類を前記ステップS3で割り当てられた前記薬品情報が示す錠剤に変更する。まず、前記制御部61は、前記駆動モーター233及び前記駆動モーター234を駆動させることにより前記高さ規制部材226及び前記幅規制部材227の位置を初期状態に戻す。そして、前記制御部61は、前記駆動モーター233により前記高さ調整部226Aを駆動させ、前記可変カセット22の前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1を、前記駆動条件で定められた前記払出経路の高さに変更する。また、前記制御部61は、前記駆動モーター234により前記幅調整部227Aを駆動させ、前記可変カセット22の前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を、前記駆動条件で定められた前記払出経路の幅に変更する。もちろん、前記高さ規制部材226及び前記幅規制部材227の現在の状態が検出可能な構成であれば、前記制御部61は、その検出結果に基づいて前記駆動モーター233及び前記駆動モーター234を駆動すればよい。
【0102】
このように前記駆動条件に従って前記払出経路の高さh1及び幅w1が変更されると、前記可変カセット22では、前記ステップS3で割り当てられた前記薬品情報が示す錠剤を1錠単位で払い出すことが可能となり、前記錠剤の払出量が制御可能となる。ここに、前記ステップS12の処理(駆動制御ステップ)を実行するときの前記制御部61が駆動制御手段の一例である。
【0103】
なお、前記薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられる際に、前記可変カセット22が前記装着部221に装着されていない状態も考えられる。この場合、前記ステップS12では、前記事前駆動条件に従って前記可変カセット22を駆動させることができない。そこで、前記制御部61は、前記制御部11から受信した前記駆動条件の前記可変カセット22への反映の有無を示すフラグ情報を前記記憶部62に記憶させて随時更新する。そして、前記制御部61は、後述のステップS14における分包動作の開始時に前記フラグ情報を参照し、その分包動作で使用する前記可変カセット22について前記駆動条件の反映が行われていない場合には、その分包動作を実行する前に前記事前駆動条件に従って前記可変カセット22を駆動させ、前記払出経路の高さh1及び幅w1を変更する。
【0104】
また、前記駆動条件に前記事前駆動条件が含まれておらず、前記可変カセット22の前記高さ調整部226A及び前記幅調整部227Aを手動で作動させて前記払出経路の高さh1及び幅w1を任意に調整することが可能な構成も他の実施形態として考えられる。この場合、ユーザーは、前記可変カセット22の前記払出経路の高さh1及び幅w1を調整した後、前記可変カセット22を前記錠剤供給ユニット2の前記装着部221に装着する。なお、前記高さ調整部226A及び前記幅調整部227Aは、例えばドライバー等の工具を用いた回転操作により作動可能な構成であることが考えられる。
【0105】
(処方制御ユニット1側:ステップS5)
次に、ステップS5において、前記制御部11は、前記ステップS3で薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22の前記表示部25に、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報を表示させる。ここに、前記表示処理を実行するときの前記制御部11が表示制御手段の一例である。
【0106】
例えば、前記制御部11は、前記処方データから予め設定された表示項目の情報を抽出して前記表示部25に表示させる。ここに、
図12(A)は、前記表示部25における薬品情報の表示例を示す図である。
図12(A)に示すように、前記表示部25には、前記可変カセット22に割り当てられた錠剤の薬品名称(薬ID)である「A錠剤(M1)」、払出量である「15錠」、及びJANコード(バーコード)が表示されている。なお、
図12(A)に示した前記薬品情報の表示例は一例に過ぎず、患者氏名、割当日時、又は割当担当者などの各種の情報が前記表示部25に表示されてもよい。
【0107】
ここで、前記表示部25は電子ペーパーであるため、前記ステップS5で前記薬品情報が表示された後、前記可変カセット22が前記装着部221から取り外されても、前記表示部25の表示状態は維持される。そのため、ユーザーは、例えば前記可変カセット22を薬品棚などに移動させても、前記表示部25の表示により前記可変カセット22に投入するべき前記薬品情報を確認することができる。従って、前記可変カセット22への錠剤投入時におけるユーザーの人為的ミスを抑制することができる。また、前記制御部11は、前記可変カセット22の前記表示部25に前記薬品情報を表示するまでの間、前記装着部221に設けられたロック機構より前記可変カセット22の取り外しが禁止される構成も考えられる。なお、前記制御部11が、前記可変カセット22における前記事前駆動条件に従って前記可変カセット22における前記払出経路の高さ及び前記払出経路の幅の調整が完了したことを条件に前記ステップ5を実行することも考えられる。
【0108】
(処方制御ユニット1側:ステップS6)
その後、ステップS6において、前記制御部11は、前記可変カセット22に対する錠剤の充填が完了した旨を示す充填完了操作が前記操作部14に対して行われたか否かを判断する。具体的に、ユーザーは、前記ステップS3で前記薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられ、前記可変カセット22の前記表示部25に前記薬品情報が表示されると、前記可変カセット22を前記錠剤供給ユニット2から取り外す。そして、ユーザーは、前記可変カセット22に、前記処方データに対応する処方箋、又は前記表示部25に表示された前記薬品情報を参照しながら必要な錠数の錠剤を前記可変カセット22に投入する。その後、ユーザーは、前記可変カセット22を前記錠剤供給ユニット2に装着し、前記操作部14に対して前記充填完了操作を行う。なお、前記ステップS3で複数の薬品情報が複数の前記可変カセット22に割り当てられた場合、前記ステップS6では、前記薬品情報各々に対応する全ての前記可変カセット22への前記錠剤の充填完了操作が行われたか否かを判断する。
【0109】
ここで、前記充填完了操作が行われるまでの間(S6のNo側)、前記制御部11は処理を前記ステップS6で待機させる。一方、前記充填完了操作が行われたと判断すると(S6のYes側)、前記制御部11は処理をステップS7に移行させる。
【0110】
なお、前記装着部221に、前記可変カセット22の着脱を検知する着脱検知センサーが設けられており、前記制御部11が、前記着脱検知センサーの検知結果に基づいて前記可変カセット22への錠剤の充填が行われていない旨を報知する構成も考えられる。即ち、前記制御部11は、前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられてから前記充填完了操作がなされるまでの間に前記可変カセット22の脱着が前記着脱検知センサーにより一度も前記可変カセット22の取り外しが検知されていない状態で前記充填完了操作が行われた場合にエラーをユーザーに報知する。なお、前記報知は、例えば前記モニター13又は不図示のスピーカーなどの報知手段によって行われる。また、前記ステップS6において、前記制御部11が、前記可変カセット22の抜き差しが前記着脱検知センサーによって検知された場合に、前記可変カセット22に対する錠剤の充填が終了したと判断し、処理をステップS7に移行させることも考えられる。
【0111】
(処方制御ユニット1側:ステップS7)
ステップS7において、前記制御部11は、前記処方データに基づく分包動作の開始要求を前記制御部61に送信する。
【0112】
特に、前記処方データに払出対象として含まれた薬品情報が示す錠剤のうち、前記固定カセット21に存在しない錠剤の分包動作について、前記制御部11は、例えば以下の手順で開始要求を送信する。
【0113】
まず、前記制御部11は、前記装着部221各々に装着された前記可変カセット22の前記RFIDタグ26から前記可変カセット22のカセット識別情報を読み出し、前記装着部221各々に現在装着されている前記可変カセット22を特定する。これにより、前記制御部11は、前記装着部221各々に装着された前記可変カセット22を特定することができるため、ユーザーは前記可変カセット22各々を任意の前記装着部221に装着することが可能である。例えば、前記ステップS3で複数の薬品情報が複数の前記可変カセット22に割り当てられ、前記可変カセット22各々が取り外された後、前記可変カセット22各々が装着場所を入れ替えて装着された場合でも、前記制御部11は、前記可変カセット22各々が装着された前記装着部221を判断することができる。なお、前記錠剤供給ユニット2の他の例として、前記装着部221各々と前記可変カセット22各々とが構造的に1対1の関係で装着可能な構成も考えられる。例えば、前記装着部221及び前記可変カセット22各々に相互に嵌合する凹凸形状が形成されており、特定の前記装着部221に対して特定の前記可変カセット22のみが装着可能であることが考えられる。この場合、前記装着部221に装着可能な前記可変カセット22が定まるため、前記割当情報122(
図9参照)として前記装着部221各々と前記薬品情報との対応関係を示す情報が前記記憶部12に記憶されることが考えられる。
【0114】
そして、前記制御部11は、前記処方データに基づいて、前記可変カセット22のうち前記薬品情報各々が示す錠剤が収容された前記可変カセット22各々を前記割当情報121に基づいて特定する。その後、前記制御部11は、前記処方データに示された前記薬品情報各々について、前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22のカセット識別情報、前記可変カセット22が装着された前記装着部221の識別情報、及び錠剤の払出量などの分包動作に必要な情報を前記制御部61に送信する。
【0115】
(分包制御ユニット6側:ステップS13)
一方、前記分包制御ユニット6では、前記制御部61が、ステップS13において、前記制御部11からの前記分包動作の開始要求の有無を判断する。ここで、前記制御部61は、前記分包動作の開始要求が受信された場合には(S13のYes側)、処理をステップS14に移行させ、前記分包動作の開始要求が受信されていない間は(S13のNo側)、処理をステップS14に移行させる。
【0116】
(分包制御ユニット6側:ステップS14)
ステップS14において、前記制御部61は、前記分包動作の開始要求に従って、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、及び前記手撒きユニット4により必要な薬品を払い出し、前記分包ユニット5により服用時期などの分包単位で分包する分包動作を実行する。なお、前記散薬供給ユニット3、前記手撒きユニット4、及び前記分包ユニット5の制御については従来と同様であるためここでは説明を省略し、前記錠剤供給ユニット2による錠剤の払い出し動作のみについて説明する。
【0117】
前記制御部61は、前記錠剤供給ユニット2について、前記ステップS3で割り当てられた前記薬品情報に対応する前記駆動条件に従って、前記可変カセット22から錠剤を払い出す際に駆動される前記可変駆動部24の前記駆動モーター242の回転速度を変更する。即ち、前記可変カセット22から前記錠剤を払い出す際の前記第2回転体224の回転速度が変更され、前記可変カセット22からの錠剤の払出速度が前記錠剤の種類に応じて変更される。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部11が駆動制御手段の一例である。
【0118】
具体的に、前記制御部61は、払出対象の薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22に対応する前記駆動モーター241及び前記駆動モーター242を駆動させ、前記第1回転体223及び前記第2回転体224を回転させることにより錠剤を払い出させる。このとき、前記制御部61は、前記駆動対応情報122において前記薬品情報に対応する前記駆動条件として定められた払出速度に従って、前記駆動モーター242を駆動させる。これにより、前記可変カセット22では、前記第2回転体224による前記錠剤の払出速度が前記錠剤に適した速度に変更される。このように、前記薬品払出装置100では、前記駆動条件に前記駆動中条件が含まれている場合、前記制御部61が、前記駆動中条件(払出速度)に従って前記可変カセット22を駆動させることにより、前記可変カセット22から錠剤を払い出させる。なお、前記可変カセット22が前記高さ規制部材226及び前記幅規制部材227を具備しない構成であれば、前記可変カセット22からの錠剤の払出速度のみを変更させることも考えられる。また、前記駆動モーター231の駆動速度は一定であっても、或いは錠剤の種類に応じて変更してもよい。なお、前記分包動作において、前記可変カセット22から払い出される錠剤の数は、前記可変カセット22の前記払出口225に設けられた不図示の光学式センサーを有するカウンター(計数手段の一例)によって計数されて前記制御部61に排出数として入力される。これにより、前記制御部61は、前記カウンターから入力される排出数に基づいて前記可変カセット22の駆動を制御し、予め設定された払出量(処方量)のみを前記可変カセット22から払い出す。
【0119】
また、前記制御部61は、前記駆動対応情報122において前記薬品情報に対応する前記駆動条件として定められた逆回転動作の有無に従って、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しの停止制御を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部11が駆動制御手段の一例である。このように、前記薬品払出装置100では、前記駆動条件に前記駆動停止時条件が含まれている場合、前記制御部61は、前記処方データで定められた前記処方量の払い出しが終了するときに、前記駆動停止時条件(逆回転動作の有無)に従って前記可変カセット22を駆動させた後、前記可変カセット22の駆動を停止させる。
【0120】
具体的に、前記駆動対応情報122において前記逆回転動作が「有」に設定されている場合、前記制御部61は、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを停止する際に前記第2回転体224による状態の搬送方向を逆方向に切り替える逆回転動作を実行する。例えば、前記制御部61は、前記払出口225に設けられた前記光学式センサー(不図示)を用いて前記カウンターによって計数された錠数が前記払出量に達した場合に、前記駆動モーター242を予め設定された所定時間だけ逆回転させる。これにより、前記第2回転体224上に転がりやすい錠剤が載置されている場合に、その錠剤が前記払出口225から余分に払い出されることが防止される。なお、前記払出口225に開閉シャッターが設けられており、前記カウンターによって計数された錠数が前記払出量に達した場合に前記開閉シャッターが閉鎖される構成であってもよい。
【0121】
一方、前記駆動対応情報122において前記逆回転動作が「無」に設定されている場合、前記制御部61は、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを停止する際には不要な前記逆回転動作を実行しない。また、前記逆回転動作を開始するタイミングは、前記カウンターによって計数された錠数が前記払出量から予め定められた所定数だけ少ない値に達したときでもよい。このようなタイミングで前記逆回転動作を開始する場合は、前記駆動対応情報122において、前記薬品情報ごとに対応する前記所定数を予め記憶しておけばよい。これにより、例えば前記カウンターによって計数された錠数が前記払出量に達する前に前記逆回転動作を開始させることができ、前記払出口225からの錠剤の余分な払い出しを防止することができる。さらに、前記カウンターによって計数された錠数が前記払出量よりも前記所定数だけ少ない値に達した後は、錠剤が一錠払い出される度に前記逆回転動作を開始させることが考えられる。
【0122】
ところで、本実施の形態では、前記ステップS4において前記可変カセット22における前記高さ規制部材226の高さh1及び前記幅規制部材227の幅w1を前記駆動条件に従って変更する場合を例に挙げて説明した。一方、前記制御部61が、前記高さ規制部材226の高さh1及び前記幅規制部材227の幅w1を前記ステップS7における前記分包動作の開始直前に実行することも他の実施形態として考えられる。即ち、前記可変カセット22への前記事前駆動条件の反映は、前記分包動作が開始されるまでの任意のタイミングで実行されるものであればよい。
【0123】
(分包制御ユニット6側:ステップS15)
その後、前記制御部61は、前記ステップS14における前記分包動作が終了すると、続くステップS15において、前記制御部11に分包動作の完了通知を送信する。
【0124】
(処方制御ユニット1側:ステップS8)
これに対し、前記処方制御ユニット1では、前記制御部11が、前記制御部61からの前記分包動作の完了通知を待ち受けている(S8のNo側)。そして、前記分包動作の完了通知を受信すると(S8のYes側)、前記制御部11は処理をステップS9に移行させる。
【0125】
(処方制御ユニット1側:ステップS9)
続くステップS9において、前記制御部11は、払い出しが完了した前記可変カセット22の前記表示部25に払出完了の表示を行う。
【0126】
ここに、
図12(B)は、前記払出完了の表示例を示す図である。
図12(B)に示す例では、前記表示部25に前記薬品情報が表示されたまま、前記表示部25全体に大きく×印が表示されている。これにより、ユーザーに対して前記表示部25が設けられた前記可変カセット22の前記錠剤の払出が完了している旨を通知することができる。なお、
図12(B)に示すように、前記表示部25に表示された前記払出完了を示す×印はJANコードに干渉していなければ、前記払出完了後にJANコードを前記バーコードリーダー7などで読み取ることも可能である。
【0127】
また、前記払出完了の他の表示例として、前記表示部25に「払出終了」の文字が表示されること、又は前記表示部25の前記薬品情報の表示が消去されること等も考えられる。
【0128】
(処方制御ユニット1側:ステップS10)
前記分包動作が完了すると、前記分包動作で使用された前記可変カセット22各々には錠剤は残存していないはずである。但し、ユーザーにより余分な錠数の錠剤が前記可変カセット22に誤って、又は意図的に投入されていた場合には、前記可変カセット22が次に使用される場合にその残存した錠剤が払い出される。そのため、前記可変カセット22内に錠剤が残存している場合にはその錠剤を回収しておく必要がある。
【0129】
そこで、ステップS10において、前記制御部11は、前記分包動作で使用した前記可変カセット22から錠剤を排出させる残薬回収処理の実行要求を前記制御部61に送信する。なお、前記制御部11は、前記分包動作において前記可変カセット22を使用していない場合には前記残薬回収処理の実行要求を前記制御部61に送信しない。また、前記制御部11が、前記分包動作で使用した前記可変カセット22について前記残薬回収処理の実行要求の有無を選択させるための選択画面を前記モニター13に表示させ、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記残薬回収処理の実行要求の有無を切り替えることも考えられる。
【0130】
(分包制御ユニット6側:ステップS16)
一方、前記制御部61は、ステップS16において、前記残薬回収処理の実行要求の有無を判断しており、前記残薬回収処理の実行要求を前記制御部11から受信した場合(S16のYes側)、処理をステップS17に移行させる。一方、前記残薬回収処理の実行要求を前記制御部11から受信されていない間は(S16のNo側)、処理を前記ステップS11に移行させる。
【0131】
(分包制御ユニット6側:ステップS17)
ステップS17において、前記制御部61は、予め設定された所定時間だけ前記可変カセット22の前記第1回転体223及び前記第2回転体224を駆動させて前記可変カセット22から前記錠剤を払い出す残薬回収処理を実行する。ここに、係る残薬回収処理を実行するときの前記制御部61が残薬回収手段の一例である。このとき、前記制御部61は、前記可変カセット22から払い出される前記錠剤の排出先を、前記分包ユニット5から、前記薬品払出装置100内に設けられた不図示の薬品排出トレイに変更することが考えられる。これにより、前記可変カセット22に錠剤が残存している場合には、その錠剤を前記所定時間の間に前記薬品払出トレイに排出させることができ、前記可変カセット22内における錠剤の残留を防止することができる。また、前記可変カセット22を前記所定時間だけ駆動した後、前記制御部61は、前記可変カセット22からの錠剤の回収が完了した旨を前記可変カセット22の前記表示部25に表示させることも考えられる。なお、前記可変カセット22からの前記錠剤の回収が完了した旨を表示するだけであれば、その旨を点灯方法又は点灯色で表示可能なLEDなどの簡易的な表示手段を用いてもよい。
【0132】
また、前記薬品排出トレイに排出するのではなく、前記可変カセット22内に残存した前記錠剤が前記分包ユニット5により分包紙に包装した状態で排出されることも考えられる。この場合、前記制御部61は、前記分包ユニット5に設けられた不図示の印刷部を制御することにより、前記分包紙に前記錠剤の名称、薬ID、薬品コード、JANコード、患者名、回収日時、及び回収担当者のいずれか一つ又は複数を印刷することが考えられる。ここで、複数の前記可変カセット22から錠剤を回収する場合には、一つの前記分包紙に一種類の前記錠剤のみが包装されることが望ましい。これにより、前記制御部61は、前記バーコードリーダー7を用いて読み取られた前記分包紙のJANコードと前記錠剤を戻す薬品棚の錠剤の収容容器に記載されたJANコードとの内容を照合することが可能である。従って、ユーザーは、前記分包紙に包装された前記錠剤を正確に前記薬品棚に戻すことができる。なお、前記制御部61は、前記照合結果を前記処方制御ユニット1の前記モニター13に表示させ、前記照合結果を前記錠剤の返却履歴として前記記憶部12に記憶する。また、前記照合結果の表示は、前記モニター13に限られず、例えば前記薬品払出装置100又は前記バーコードリーダー7に設けられた不図示のスピーカーからの音声出力によって前記照合結果を表示することも考えられる。さらに、前記薬品払出装置100と通信可能に接続されたコンピュータ等の情報処理装置が前記薬品棚に設けられている場合には、前記制御部61が、前記情報処理装置が備える表示部に前記照合結果を表示させることも考えられる。
【0133】
ところで、前記分包動作の完了後に前記可変カセット22に多数の錠剤が残存していることも考えられる。この場合、一つの前記分包紙52に錠剤が収まらない可能性がある。そのため、前記制御部61は、前記可変カセット22に残存する錠剤を前記分包紙52で回収する場合には、前記可変カセット22に残存する錠剤を予め設定された数ごとに一つの前記分包紙52に包装させることが考えられる。また、前記制御部61は、前記可変カセット22から回収される錠剤の数が予め設定された所定数に達した場合には、前記残薬回収処理を停止することが考えられる。これにより、前記可変カセット22に多数の錠剤が残存している場合に、その錠剤を回収するための時間の無駄、及び前記分包紙52の無駄を抑制することができる。なお、この場合、前記制御部61は、前記可変カセット22に多数の錠剤が残存している旨を示す制御信号を前記制御部11に送信する。これにより、前記制御部11は、前記可変カセット22に残存する錠剤が前記所定数以上であることが原因で前記残薬回収処理が終了した旨を認識することができ、例えば前記モニター13を用いてユーザーに報知することが可能である。
【0134】
以上説明したように、前記薬品払出装置100では、ユーザーは、前記固定カセット21各々に予め収容されていない任意の錠剤についても、その錠剤をまとめて前記可変カセット22に投入するだけで前記錠剤の自動払出が可能となる。従って、従来のように前記手撒きユニット4の前記マス各々に錠剤を投入する場合に比べてユーザーの作業負担が軽減され、ユーザーによる投入ミスも防止される。
【0135】
また、前記薬品払出装置100には複数の前記可変カセット22が設けられているため、前記可変カセット22各々に異なる薬品情報を割り当てることが可能である。そのため、前記薬品払出装置100では、前記処方データに前記固定カセット21にない錠剤が払出対象として複数含まれている場合でも、前記処方データに基づく分包動作を複数の前記可変カセット22を用いて実行することができる。また、前記薬品払出装置100では、複数の前記処方データに基づく分包動作を複数の前記可変カセット22を用いて連続して実行することも可能である。
【0136】
[薬品払出装置100を用いた調剤方法]
ここで、前記薬品払出装置100を用いてユーザーにより行われる調剤方法の具体例について説明する。なお、ここでは前記固定カセット21に収容されている一種類の錠剤と前記固定カセット21に収容されていない二種類の錠剤が処方薬として含まれる処方データLP1について調剤を行う場合を例に挙げて説明する。
【0137】
まず、ユーザーは、前記操作部14を操作することにより、前記薬品払出装置100に入力されている前記処方データLP1を選択し、前記処方データLP1の発行操作を行う。これにより、前記薬品払出装置100では、前記処方データLP1に含まれた薬品情報のうち前記固定カセット21に収容されていない二種類の錠剤の薬品情報が前記可変カセット22のうち未割当の二つの前記可変カセット22に割り当てられる。このとき、前記可変カセット22各々における前記高さ規制部材226の高さh1及び前記幅規制部材227の幅w1も前記薬品情報に対応する前記駆動条件に従って変更される。そして、前記可変カセット22各々の前記表示部25には、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報が表示される。
【0138】
次に、ユーザーは、前記表示部25に表示された薬品情報を確認して前記可変カセット22を前記薬品払出装置100から取り外す。そして、薬品棚から取り出した前記錠剤を必要数量だけ前記可変カセット22に投入し、前記可変カセット22を前記薬品払出装置100の前記装着部221に装着する。この作業は二つの前記可変カセット22について行われる。このとき、ユーザーは、前記薬品払出装置100が有する後述の照合機能を利用して前記表示部25に表示された薬品情報が示す錠剤と薬品棚から取り出した錠剤との照合を行うことも可能である。
【0139】
その後、ユーザーは、前記操作部14を操作することにより、前記可変カセット22各々に対する錠剤の充填が完了した旨の充填完了操作を行う。これにより、前記薬品払出装置100では、前記処方データLP1に基づいて前記固定カセット21に収容された一種類の錠剤と二つの前記可変カセット22に収容された二種類の錠剤とが服用時期などの分包単位で前記分包ユニット5に払い出され、前記分包ユニット5によって前記分包単位で分包紙に分包される。
【0140】
[薬品払出装置100の他の機能]
以下、前記薬品払出装置100が有する他の機能について説明する。なお、以下に説明する各種の機能の実現手法は一例に過ぎず同様の機能を達成することができれば、その実現手法はここで説明するものに限らない。
【0141】
[錠剤充填時の照合機能]
前記薬品払出装置100は、前記表示部25に表示されるJANコード(バーコード)を利用して、薬品棚から取り出した錠剤を照合する照合機能を有する。
具体的に、ユーザーは、前記可変カセット22に錠剤を充填するに際して、前記バーコードリーダー7により、前記表示部25に表示されたJANコードと、薬品棚から取り出した錠剤の収容容器又はPTPシートなどに記載されたJANコードとを読み取る。これにより、前記制御部11は、前記バーコードリーダー7により読み取られた両者の前記JANコードの情報を照合する。そして、前記制御部11は、前記照合結果を前記処方制御ユニット1の前記モニター13に表示させる。例えば、前記処方制御ユニット1の前記モニター13に前記処方データが表示されている場合、前記制御部11は、前記処方データに含まれた薬品情報のうち前記照合結果が一致であった薬品情報の表示領域に前記照合結果が一致である旨を識別するための着色を施すことが考えられる。
【0142】
このように、前記薬品払出装置100では、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報が示す錠剤と前記可変カセット22に投入する錠剤との照合を行うことができるため、前記可変カセット22への錠剤投入時におけるユーザーの人為的ミスを抑制することができる。なお、前記表示部25にJANコードが表示されない構成では、前記制御部11が、錠剤の収容容器又はPTPシートなどから前記バーコードリーダー7によって読み取られたJANコードが示す錠剤が前記処方データに含まれた薬品情報が示す錠剤と一致するか否かを照合することも考えられる。
【0143】
[可変カセット22の固定化機能]
前記薬品払出装置100は、前記可変カセット22を前記固定カセット21と同様に扱うための固定化機能を備える。
【0144】
具体的に、前記制御部11は、前記操作部14に対して予め設定された所定の操作入力が行われた場合に、前記可変カセット22各々に対応する薬品情報を予め設定するための初期設定画面を前記モニター13に表示させる。そして、前記初期設定画面において、前記可変カセット22各々のいずれかに対応する薬品情報を選択するための操作入力が行われると、前記制御部11は、前記選択された薬品情報を前記可変カセット22に割り当てる。このとき、前記制御部11は、前記薬品払出処理の前記ステップS4及び前記ステップS5と同様に、前記可変カセット22の駆動条件の変更及び前記表示部25への前記薬品情報の表示を実行する。また、前記制御部11は、前記可変カセット22の前記表示部25に払い出す錠剤が固定された旨の錠剤固定表示を行う。
【0145】
ここに、
図12(C)は、前記錠剤固定表示の一例を示す図である。
図12(C)に示す例では、前記表示部25に錠剤の名称及び薬IDとJANコードとが表示されると共に、前記表示部25の縁部に黒枠251が前記錠剤固定表示として表示されている。なお、前記固定錠剤表示の他の例としては、「固定」の文字が表示されること、予め設定された固定マークが表示されること、又は白黒表示が反転されることなどが考えられる。
【0146】
このようにして前記初期設定画面において予め対応する薬品情報が設定された前記可変カセット22(以下、「疑似固定カセット22A」と称する。)は、前記薬品払出処理の前記ステップS3における割当対象から除外される。
【0147】
具体的に、前記制御部11は、前記記憶部12に記憶されている前記割当情報121において、前記可変カセット22のうち前記疑似固定カセット22Aの割当状態を「固定」に更新する。これにより、前記薬品払出処理の前記ステップS3では、前記制御部11は、前記薬品情報を割り当てる前記可変カセット22の候補から前記疑似固定カセット22Aを除外する。
【0148】
もちろん、前記制御部11は、前記初期設定画面における前記操作部14に対する操作入力に応じて、前記疑似固定カセット22Aに対する前記薬品情報の割り当てを解除して前記可変カセット22の割当状態を初期状態に戻すことも可能である。
【0149】
以上説明したように、前記薬品払出装置100では、前記可変カセット22を必要に応じて前記固定カセット21と同様に扱うことができる。従って、例えば前記可変カセット22の使用頻度が低いユーザーは、前記可変カセット22の一部を前記疑似固定カセット22Aとして有効に利用することができる。また、前記薬品払出装置100が、前記固定カセット21を有さず前記可変カセット22のみを有する構成である場合に、前記固定カセット21の利点と前記可変カセット22の利点とのバランスを任意に設定することができるためシステムの柔軟性が高まる。
【0150】
ところで、前記薬品払出処理の前記ステップS9では、前記可変カセット22からの払い出しが完了した場合に、前記可変カセット22の前記表示部25には前記払出完了の表示が行われる。これに対し、前記可変カセット22を前記疑似固定カセット22Aとして利用する場合には、前記疑似固定カセット22Aからの錠剤の払い出しが完了しても、前記疑似固定カセット22Aは前記固定カセット21と同様にその後も他の分包動作で用いられる。そのため、前記制御部11は、前記可変カセット22のうち前記疑似固定カセット22Aについては払い出しが完了しても前記表示部25に前記払出完了の表示を行わない。
【0151】
[カセット報知機能]
前記薬品払出装置100は、前記可変カセット22に錠剤を充填する際に充填先の前記可変カセット22を容易に判別するためのカセット報知機能を備える。
具体的に、前記制御部11は、前記モニター13に表示された前記処方データに含まれた薬品情報のいずれかが前記操作部14のユーザー操作により選択された場合に、その薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22の前記表示部25の表示を変更する。例えば、前記制御部11は、前記表示部25の表示画面を点滅させること、又は前記表示部25の表示画面の白黒を反転表示させること等が考えられる。
【0152】
これにより、ユーザーは、前記表示部25を目視することにより、前記錠剤を投入するべき前記可変カセット22を容易に判断することができる。なお、前記可変カセット22又は前記可変カセット22の前記装着部221などに前記可変カセット22に対応するLEDなどの発光部が個別に設けられており、前記制御部11が前記発光部の点灯方法(点灯、点滅)又は点灯色などを変更することも考えられる。
【0153】
[ステータス表示機能]
前記薬品払出装置100は、前記可変カセット22各々の前記表示部25に、対応する前記可変カセット22の使用状態を示すステータス情報を表示するステータス表示機能を有する。
【0154】
具体的に、前記制御部11は、前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられていない場合には「未割当」、前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられている場合には「割当済」、前記可変カセット22の駆動条件の変更中は「キャリブレーション中」、前記可変カセット22を用いた分包動作が実行されている場合には「払出中」、前記分包動作が完了した場合には「払出完了」など、前記可変カセット22の使用状態を前記表示部25に表示させる。ここに、係る表示処理を実行するときの前記制御部11が表示制御手段の一例である。これにより、ユーザーは、前記可変カセット22各々の使用状態を前記可変カセット22各々の前記表示部25を目視することにより容易に認識することができる。なお、前記各種のステータス情報の表示方法は文字であってもよいが、前記各状態を示す表示形態として予め設定された表示マーク、数字、又は点滅などの各種の表示形態を用いることが考えられる。
【0155】
[キャリブレーション機能]
前記薬品払出装置100は、前記可変カセット22各々から錠剤を1錠ずつ払い出すための前記事前駆動条件である前記払出経路の高さ及び幅を登録するキャリブレーション機能を有する。
【0156】
具体的に、前記制御部11は、前記薬品払出装置100の初期設定におけるキャリブレーション動作の実行要求に応じてキャリブレーション処理を実行する。また、前記制御部11が、前記ステップS4において、前記薬品情報に対応する前記払出経路の高さ及び幅が前記駆動対応情報122に登録されていないと判断した場合に、前記キャリブレーション処理の実行の有無を前記モニター13に表示させ、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記キャリブレーション処理を実行することも考えられる。なお、前記キャリブレーション処理は、前記制御部61によって実行されてもよい。
【0157】
前記キャリブレーション処理において、前記制御部11は、まず前記モニター13に前記可変カセット22を選択するための選択画面を表示させ、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記キャリブレーション処理で用いる前記可変カセット22を選択する。そして、前記制御部11は、前記可変カセット22のいずれかが選択されると、その選択された前記可変カセット22に錠剤を投入すべき旨を前記モニター13に表示させ、前記操作部14に対するユーザー操作により錠剤の投入完了操作を待ち受ける。
【0158】
その後、前記投入完了操作が行われると、前記制御部11は、選択された前記可変カセット22の前記高さ調整部226A及び前記幅調整部227Aを駆動させ、前記高さ規制部材226で規制される前記高さh1を予め設定された最小サイズに、前記幅規制部材227で規制される前記幅w1を予め設定された最大サイズに遷移させる。そして、前記制御部11は、前記第1回転体223及び前記第2回転体224を駆動させる。このとき、前記高さh1は前記最小サイズであるため、前記第2回転体224上の錠剤の搬送は、前記高さ規制部材226で規制される。
【0159】
続いて、前記制御部11は、前記第1回転体223及び前記第2回転体224を駆動させた状態で、前記高さ調整部226Aを制御して、前記高さ規制部材226で規制される前記高さh1を徐々に大きくする。このとき、前記幅規制部材227で規制される前記幅w1は前記最大サイズであるため、前記高さ規制部材226を通過した錠剤は前記払出口225まで搬送される。そして、前記高さh1が、前記錠剤収容部223に収容された錠剤の1錠分の高さ寸法に達すると、前記錠剤が前記高さ規制部材226を通過して前記払出口225から払い出される。これにより、前記制御部11は、前記払出口225から前記錠剤が払い出されたことが、前記払出口225に設けられた前記光学式センサー(不図示)によって検出されると、前記第1回転体223及び前記第2回転体224を停止させる。このとき、前記制御部11は、前記光学式センサー(不図示)によって前記錠剤の通過が検知されるまでの前記高さ調整部226Aの駆動時間に対応する前記高さh1の値を前記錠剤の薬品情報に対応する前記駆動条件として登録する。もちろん、前記駆動時間を前記駆動条件として登録してもよい。
【0160】
次に、前記制御部11は、前記幅調整部227Aを制御して、前記幅規制部材227で規制される前記幅w1を予め設定された最小サイズに遷移させ、前記第1回転体223及び前記第2回転体224を駆動させる。このとき、前記高さh1は前記錠剤が通過可能な高さであるため、前記第2回転体224上の錠剤は前記幅規制部材227まで搬送される。一方、前記幅w1は前記最小サイズであるため、前記第2回転体224上の錠剤の搬送は、前記幅規制部材227で規制される。続いて、前記制御部11は、前記第1回転体223及び前記第2回転体224を駆動させた状態で、前記幅調整部227Aを制御して、前記幅規制部材227で規制される前記幅w1を徐々に大きくする。そして、前記幅w1が、前記錠剤収容部223に収容された錠剤の1錠分の幅寸法に達すると、前記錠剤が前記幅規制部材227を通過して前記払出口225から払い出される。これにより、前記制御部11は、前記払出口225から前記錠剤が払い出されたことが前記払出口225に設けられた前記光学式センサー(不図示)によって検出されると、前記第1回転体223及び前記第2回転体224を停止させる。このとき、前記制御部11は、前記光学式センサー(不図示)によって前記錠剤の通過が検知されるまでの前記幅調整部227Aの駆動時間に対応する前記幅w1の値を前記錠剤の薬品情報に対応する前記駆動条件として登録する。もちろん、前記駆動時間を前記駆動条件として登録してもよい。
【0161】
以上、説明したように、前記薬品払出装置100では、前記キャリブレーション機能により、前記駆動対応情報122に前記事前駆動条件が登録されていない薬品情報について前記事前駆動条件を自動的に登録することができる。
【0162】
<第2実施形態>
当該第2実施形態では、
図13を参照しつつ、前記制御部11によって実行される前記薬品払出処理の他の例について説明する。具体的に、当該第2実施形態に係る薬品払出処理(
図13左側参照)では、前記バーコードリーダー7で読み取られた薬品情報が払出対象の薬品情報として入力され、前記可変カセット22に割り当てられる。ここに、前記制御部11が実行する処理手順(ステップ)をステップS21、S22、・・・と称する。なお、
図11に示した前記薬品払出処理及び前記分包制御処理と同様の処理については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0163】
(ステップS21)
まず、ステップS21において、前記制御部11は、払出対象の薬品情報としてJANコードが前記バーコードリーダー7から入力されたか否かを判断する。即ち、ユーザーは、初めに前記処方データを発行するための発行操作を行うのではなく、前記処方データが記載された処方箋などを参照して薬品棚などから錠剤を取り出し、その錠剤の薬品情報を前記薬品棚の収容容器又はPTPシート等から前記バーコードリーダー7を用いて読み取らせる。
【0164】
ここで、前記制御部11は、払出対象の錠剤の薬品情報が前記バーコードリーダー7から入力されるまでの間(S21のNo側)、処理をステップS25に移行させる。一方、前記制御部11は、払出対象の錠剤の薬品情報が前記バーコードリーダー7から入力された場合(S21のYes側)、処理をステップS22に移行させる。
【0165】
(ステップS22)
次に、ステップS22において、前記制御部11は、前記ステップS21で入力された払出対象の薬品情報を未割当の前記可変カセット22に割り当てる。このように、払出対象の薬品情報が前記バーコードリーダー7による前記薬品情報の読み取りにより入力された場合に前記薬品情報を前記可変カセット22に割り当てるための処理を実行するときの前記制御部11が割当手段の一例である。なお、前記可変カセット22の割り当ては、前記ステップS3(
図11参照)と同様の手法で行われるためここでは説明を省略する。
【0166】
また、前記制御部11が、前記ステップS21で入力された前記薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在するか否かを判断し、前記薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在しない場合にのみ前記ステップS22以降の処理を実行することも考えられる。なお、前記薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在すると判断された場合、前記制御部11は、例えば前記処方制御ユニット1のモニター13にその旨を表示し、処理を前記ステップS21に戻すことが考えられる。
【0167】
(ステップS23~S24)
ステップS23~S24において、前記制御部11は、前記ステップS4~S5(
図11参照)と同様の処理を実行する。即ち、前記制御部11は、前記ステップS22で薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22各々の駆動条件を前記可変カセット22各々のカセット識別情報と共に前記制御部61に送信する(S23)。また、前記制御部11は、前記ステップS22で薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22各々の前記表示部25に、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報などを表示させる(S24)。
【0168】
(ステップS25)
そして、ステップS25において、前記制御部11は、前記ステップS1(
図11参照)と同様に処方データの発行要求があったか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、予め登録された処方データを発行するための発行操作が前記操作部14に対して行われた場合に前記発行要求が行われたと判断する。
【0169】
ここで、前記制御部11は、前記処方データの発行要求がなされていないと判断すると(S25のNo側)、処理を前記ステップS21に移行させる。一方、前記制御部11は、前記処方データの発行要求があったと判断すると(S25のYes側)、処理を前記ステップS6に移行させ、その後の処理を実行する。なお、前記装着部221に、前記可変カセット22の着脱を検知する着脱検知センサーが設けられており、前記制御部11が、前記着脱検知センサーの検知結果に基づいて前記可変カセット22への錠剤の充填が行われていない旨を報知する構成も考えられる。即ち、前記制御部11は、前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられてから前記処方データの発行操作がなされるまでの間に前記可変カセット22の脱着が前記着脱検知センサーにより検知されていない状態で前記処方データの発行操作が行われた場合にエラーをユーザーに報知する。なお、前記報知は、例えば前記モニター13又は不図示のスピーカーなどの報知手段によって行われる。
【0170】
[第2実施形態に係る薬品払出装置100を用いた調剤方法]
ここで、前記第2実施形態に係る前記薬品払出装置100を用いてユーザーにより行われる調剤方法の具体例について説明する。なお、ここでは前記固定カセット21に収容されている一種類の錠剤と前記固定カセット21に収容されていない二種類の錠剤が処方薬として含まれる処方データLP1について調剤を行う場合を例に挙げて説明する。
【0171】
まず、ユーザーは、前記バーコードリーダー7を用いて、前記固定カセット21に収容されていない二種類の錠剤のJANコードを前記錠剤各々が収容された収容棚の収容容器又はPTPシートなどから読み取らせる。これにより、前記薬品払出装置100では、前記処方データLP1に含まれた薬品情報のうち対応する前記固定カセット21が存在しない二種類の薬品情報が二つの前記可変カセット22に割り当てられる。このとき、前記可変カセット22各々の前記表示部25には、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報が表示される。
【0172】
次に、ユーザーは、前記表示部25に表示された薬品情報を確認して前記可変カセット22を前記薬品払出装置100から取り外す。そして、薬品棚から取り出した前記錠剤を必要数量だけ前記可変カセット22に投入し、前記可変カセット22を前記薬品払出装置100の前記装着部221に装着する。この作業は二つの前記可変カセット22について行われる。
【0173】
その後、ユーザーは、前記操作部14を操作することにより、前記薬品払出装置100に入力されている前記処方データLP1を選択し、前記処方データLP1の発行操作を行う。これにより、前記薬品払出装置100では、前記処方データLP1に基づいて前記固定カセット21に収容された一種類の錠剤と二つの前記可変カセット22に収容された二種類の錠剤とが服用時期などの分包単位で前記分包ユニット5に払い出され、前記分包ユニット5によって前記分包単位で分包紙に分包される。
【0174】
<第3実施形態>
当該第3実施形態では、前記第1実施形態で説明した前記薬品払出装置100の変形例である薬品払出装置300について説明する。なお、前記薬品払出装置300について前記薬品払出装置100と同様の構成については説明を省略する。
【0175】
前記薬品払出装置300は、前記可変カセット22に充填される前の錠剤が収容されている薬品棚の載置台に設けられたRFIDリーダライタ28を備えている。前記RFIDリーダライタ28は、前記薬品払出装置300の前記処方制御ユニット1との間で前記通信IF15を介して無線通信によるデータ通信を行う無線通信機能を有している。そして、前記RFIDリーダライタ28は、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26を検知し、前記可変カセット22が前記載置台に載置されていることを検知して前記処方制御ユニット1に通知する。また、前記処方制御ユニット1から送信される情報を受信し、前記RFIDタグ26に書き込む。
【0176】
なお、前記可変カセット22及び前記載置台各々における前記RFIDタグ26及び前記RFIDリーダライタ28の設置箇所は、前記可変カセット22が前記載置台に載置された状態で前記RFIDリーダライタ28による前記RFIDタグ26の情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。また、前記RFIDリーダライタ28に接続された情報処理装置などが前記薬品棚に設けられる場合、前記薬品払出装置300及び前記情報処理装置を含むシステムを本発明に係る薬品払出装置として捉えてもよい。
【0177】
そして、当該第3実施形態に係る前記薬品払出装置300では、前記制御部11により後述の薬品割当処理(
図14参照)、及び薬品払出処理(
図15左側参照)が実行される。なお、前記制御部11は、
図14及び
図15に示す処理手順を並行して実行する。
【0178】
以下、
図14及び
図15を参照しつつ、前記薬品払出装置300で前記制御部11により実行される薬品割当処理及び薬品払出処理の手順の一例について説明する。ここに、前記制御部11が実行する処理手順(ステップ)をステップS31、S32、・・・及びステップS41、S42、・・・と称する。なお、
図11に示した前記薬品払出処理及び前記分包制御処理と同様の処理については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0179】
また、
図14に示す処理手順が前記薬品棚に設けられた前記情報処理装置で実行され、
図15に示す処理手順が前記薬品払出装置300の前記制御部11により実行されることも他の実施形態として考えられる。この場合、前記情報処理装置は、前記薬品払出装置300の前記記憶部12に記憶された前記割当情報121を参照及び編集する。
【0180】
[薬品割当処理]
(ステップS31)
まず、
図14に示す前記薬品割当処理では、ステップS31において、前記制御部11は、前記可変カセット22が前記薬品棚の前記載置台に載置されているか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26が前記薬品棚の前記RFIDリーダライタ28によって検知されている場合に、前記可変カセット22が前記載置台に載置されていると判断する。なお、前記薬品払出装置300では、未割当の前記可変カセット22のみが前記装着部221から取り外し可能であり、割当済の前記可変カセット22は機械的にロックされて取り外しができないことも考えられる。
【0181】
ここで、前記制御部11は、前記可変カセット22が前記薬品棚の載置台に載置されていない場合には(S31のNo側)、処理を前記ステップS31で待機させる。一方、前記制御部11は、前記可変カセット22が前記薬品棚の載置台に載置されていると判断すると(S31のYes側)、処理をステップS32に移行させる。
【0182】
(ステップS32)
ステップS32において、前記制御部11は、前記ステップS21(
図13参照)と同様に、払出対象の薬品情報としてJANコードが前記バーコードリーダー7で読み取られたか否かを判断する。即ち、ユーザーは、前記処方データが記載された処方箋などを参照して薬品棚などから錠剤を取り出し、その錠剤の薬品情報を前記薬品棚の収容容器又はPTPシート等から前記バーコードリーダー7を用いて読み取らせる。
【0183】
ここで、前記制御部11は、払出対象の錠剤の薬品情報が前記バーコードリーダー7から入力されていないと判断すると(S32のNo側)、処理を前記ステップS31に戻す。一方、前記制御部11は、払出対象の錠剤の薬品情報が前記バーコードリーダー7から入力されたと判断すると(S32のYes側)、処理をステップS33に移行させる。
【0184】
(ステップS33)
ステップS33において、前記制御部11は、前記ステップS32で入力された払出対象の薬品情報を、前記薬品棚の載置台に載置された前記可変カセット22に割り当てる。このように、払出対象の薬品情報が前記バーコードリーダー7により読み取られた場合に前記薬品情報を前記可変カセット22に割り当てるための処理を実行するときの前記制御部11も割当手段の一例である。このとき、前記制御部11は、前記薬品情報と前記可変カセット22との割当状態を前記割当情報121に反映させる。
【0185】
(ステップS34)
そして、ステップS34において、前記制御部11は、前記通信IF15を介して前記RFIDリーダライタ28とデータ通信を行うことにより、前記薬品棚の載置台に載置された前記可変カセット22の前記RFIDタグ26に前記薬品情報を記録させる。このとき、前記可変カセット22では、前記RFIDタグ26が搭載された前記制御基板が、前記RFIDタグ26に記録された前記薬品情報の一部又は全部を前記表示部25に表示させる(
図12(A)参照)。
【0186】
[薬品払出処理]
(ステップS41)
一方、
図15に示す前記薬品払出処理では、ステップS41において、前記制御部11は、前記薬品払出装置300の前記装着部221に対して前記可変カセット22が装着されたか否かを判断する。即ち、前記制御部11は、前記装着部221各々について前記可変カセット22の未装着状態から装着状態への変化の有無を判断する。なお、前記可変カセット22の前記装着部221への装着の有無は、例えば前記装着部221に設けられた前記RFIDリーダライタ245による前記可変カセット22の前記RFIDタグ26の検知の有無によって判断される。もちろん、前記装着部221に設けられた着脱検知センサーにより機械的又は光学的に前記可変カセット22の着脱が検知されることも考えられる。
【0187】
ここで、前記制御部11は、前記可変カセット22の装着が検知されなければ(S41のNo側)、処理をステップS44に移行させる。一方、前記制御部11は、前記可変カセット22の装着が検知されたと判断すると(S41のYes側)、処理をステップS42に移行させる。なお、前記制御部11は、前記可変カセット22の装着が検知されない場合には、既に前記可変カセット22が装着されている状態も含まれる。
【0188】
(ステップS42)
次に、ステップS42において、前記制御部11は、前記ステップS41で装着されたと判断した前記可変カセット22の前記RFIDタグ26から前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報を読み取る。このとき、前記制御部11は、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報と前記割当情報121の内容とに差異が生じている場合には、前記モニター13にエラー表示を行って当該薬品払出処理を中断する。なお、前記制御部11は、前記RFIDリーダライタ26から読み取られた前記薬品情報を優先し、前記割当情報121を更新することも考えられる。
【0189】
(ステップS43)
そして、ステップS43において、前記制御部11は、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報に対応する駆動条件を前記可変カセット22各々のカセット識別情報と共に前記制御部61に送信する。これにより、前記制御部61は、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報に対応する前記駆動条件のうち前記事前駆動条件に従って、前記可変カセット22の前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を変更する。
【0190】
(ステップS44)
その後、ステップS44において、前記制御部11は、前記ステップS25(
図13参照)と同様に前記処方データの発行要求が行われたか否かを判断する。ここで、前記制御部11は、前記処方データの発行要求が行われていないと判断すると(S44のNo側)、処理を前記ステップS41に戻す。一方、前記制御部11は、前記処方データの発行要求があったと判断すると(S44のYes側)、処理を前記ステップS7に移行させる。なお、前記薬品払出装置300では、前記薬品棚において前記可変カセット22への錠剤の投入が行われると考えられるため、
図15に示す前記薬品払出処理において前記ステップS6を省略しているが、前記ステップS7の前に前記ステップS6が実行されてもよい。
【0191】
[薬品払出装置300を用いた調剤方法]
ここで、前記薬品払出装置300を用いてユーザーにより行われる調剤方法の具体例について説明する。なお、ここでは前記固定カセット21に収容されている一種類の錠剤と前記固定カセット21に収容されていない二種類の錠剤が処方薬として含まれる処方データLP1について調剤を行う場合を例に挙げて説明する。
【0192】
まず、ユーザーは、前記薬品払出装置300から未割当の二つの前記可変カセット22を取り外して前記薬品棚に移動させ、一つ目の前記可変カセット22を前記RFIDリーダライタ28が設けられた前記載置台に載置させる。そして、ユーザーは、前記バーコードリーダー7を用いて、前記固定カセット21に収容されていない二種類の錠剤のうち一つ目の錠剤のJANコードを、前記錠剤が収容された収容棚の収容容器又はPTPシートなどから読み取らせる。これにより、前記薬品払出装置300では、前記一つ目の錠剤が前記載置台に載置された前記可変カセット22に割り当てられる。このとき、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26には前記薬品情報が記録され、前記表示部25には前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報が表示される。そして、ユーザーは、前記薬品棚から取り出した前記一つ目の錠剤を必要数量だけ前記可変カセット22に投入する。
【0193】
続いて、ユーザーは、二つ目の前記可変カセット22を前記RFIDリーダライタ28が設けられた前記載置台に載置させる。そして、前記バーコードリーダー7を用いて、前記固定カセット21に収容されていない二種類の錠剤のうち二つ目の錠剤のJANコードを、前記錠剤が収容された収容棚の収容容器又はPTPシートなどから読み取らせる。これにより、前記薬品払出装置300では、前記二つ目の錠剤が前記載置台に載置された前記可変カセット22に割り当てられる。このとき、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26には前記薬品情報が記録され、前記表示部25には前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報が表示される。そして、ユーザーは、前記薬品棚から取り出した前記二つ目の錠剤を必要数量だけ前記可変カセット22に投入する。
【0194】
その後、ユーザーは、前記可変カセット22各々を前記薬品払出装置300の前記装着部221各々に装着させる。これにより、前記薬品払出装置300では、前記可変カセット22各々の前記RFIDタグ26に記録された前記薬品情報が読み出される。
【0195】
そして、ユーザーは、前記操作部14を操作することにより、前記薬品払出装置300に入力されている前記処方データLP1を選択し、前記処方データLP1の発行操作を行う。これにより、前記薬品払出装置300では、前記処方データLP1に基づいて前記固定カセット21に収容された一種類の錠剤と二つの前記可変カセット22に収容された二種類の錠剤とが服用時期などの分包単位で前記分包ユニット5に払い出され、前記分包ユニット5によって前記分包単位で分包紙に分包される。
【0196】
[第4実施形態]
ここに、
図16は、前記第1実施形態で説明した前記薬品払出装置100の変形例である薬品払出装置400の概略構成を示すブロック図である。なお、前記薬品払出装置400について前記薬品払出装置100と同様の構成については説明を省略する。例えば、前記薬品払出装置400では、後述の次処方割当処理(
図17参照)などが実行されることにより、前記薬品払出装置400を使用するユーザーの作業効率の向上などが図られる。
【0197】
図16に示すように、前記薬品払出装置400において、前記制御部11は、払出制御部111及び割当制御部112を含む。なお、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12などの記憶手段に予め記憶されている各種のプログラムに従った処理を実行することにより、前記払出制御部111及び前記割当制御部112として機能する。なお、前記払出制御部111は、前記薬品払出処理(
図11参照)を実行する。そして、前記割当制御部112は、後述の次処方割当処理(
図17参照)を実行する。なお、前記薬品払出処理及び前記次処方割当処理は略並行して実行される。
【0198】
[次処方割当処理]
前記次処方割当処理は、前記薬品払出装置400において、先に発行された前記処方データについての薬品の払い出しが完了する前に、次の前記処方データの発行が行われた場合に、前記次の処方データについての前記可変カセット22への割り当てを制御するための処理である。ここに、
図17は、前記薬品払出装置400において、前記割当制御部112によって実行される次処方割当処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0199】
<ステップS51>
まず、ステップS51において、前記割当制御部112は、現在発行されている前記処方データの次の前記処方データについて発行要求が行われているか否かを判断する。なお、以下では、現在発行されている前記処方データを現在処方データと称し、次の前記処方データを次処方データと称する。ここで、前記割当制御部112は、前記次処方データの発行要求が行われていると判断すると(S51のYes側)、処理をステップS52に移行させる。また、前記割当制御部112は、前記次処方データの発行要求が行われていない場合には(S51のNo側)、処理を前記ステップS51で待機させる。なお、複数の前記処方データについて同時に発行要求を行うことが可能な構成では、前記割当制御部112は、発行順番が2番目以降の前記処方データが存在する場合に処理をステップS52に移行させる。また、前記次処方データの後に他の前記処方データが発行されている場合も同様に処理はステップS52に移行する。
【0200】
<ステップS52>
ステップS52において、前記割当制御部112は、前記現在処方データについて、前記可変カセット22に対する前記薬品情報の割当が完了しているか否かを判断する。ここで、前記割当制御部112は、前記薬品情報の割当が完了していると判断すると(S52のYes側)、処理をステップS53に移行させる。なお、前記割当制御部112は、前記薬品情報の割当が完了するまでの間(S52のNo側)、処理を前記ステップS52で待機させる。なお、前記ステップS52で処理が待機している間に、前記現在処方データの払出が終了した場合、前記割当制御部112は処理を前記ステップS51に移行させる。
【0201】
<ステップS53>
ステップS53において、前記割当制御部112は、前記次処方データにより払出対象の錠剤を示す薬品情報として入力された全ての薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在するか否かを判断する。即ち、前記ステップS53では、前記次処方データに含まれる処方薬に前記固定カセット21に収容されていない種類の錠剤が含まれているか否かが判断される。ここで、前記次処方データに含まれる全ての薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在しないと判断された場合(S53のNo側)、前記割当制御部112は処理をステップS54に移行させる。一方、前記次処方データに含まれる全ての薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在すると判断した場合(S53のYes側)、前記割当制御部112は処理を前記ステップS51に戻す。即ち、前記処方データに処方薬として含まれた全ての種類の錠剤が前記固定カセット21に収容されている場合には、前記可変カセット22に対する薬品情報の割当が必要ないと判断される。
【0202】
<ステップS54>
ステップS54において、前記割当制御部112は、前記可変カセット22の中に未割当の前記可変カセット22が存在するか否かを判断する。なお、前記割当制御部112は、前記割当情報121(
図9参照)を参照することにより未割当の前記可変カセット22の有無を判断可能である。ここで、前記割当制御部112は、未割当の前記可変カセット22が存在していると判断すると(S54のYes側)、処理をステップS55に移行させる。なお、前記割当制御部112は、未割当の前記可変カセット22が存在していないと判断すると(S54のNo側)、処理を前記ステップS51に戻す。即ち、前記割当制御部112は、前記可変カセット22への割り当てを要する前記薬品情報が存在する場合であって、未割当の前記可変カセット22が存在しない場合には、前記可変カセット22が使用されて未割当となるまで処理を前記ステップS51で待機させる。そして、前記次処方データよりも前の前記処方データで使用されて前記可変カセット22が未割当になると(S54のYes側)、前記割当制御部112は処理をステップS55に移行させる。なお、前記ステップS54で処理が待機している間に、前記現在処方データの払出が終了した場合、前記割当制御部112は処理を前記ステップS51に移行させる。
【0203】
<ステップS55>
ステップS55において、前記割当制御部112は、前記次処方データにより入力された前記薬品情報のうち、対応する前記固定カセット21が存在しない薬品情報を未割当の前記可変カセット22に割り当てる。このとき、前記次処方データに前記可変カセット22に対する割り当てを要する薬品情報が複数存在する場合、前記割当制御部112は、予め設定された優先条件に従って、前記可変カセット22に割り当てられていない前記薬品情報のうち現時点で最も優先順位の高い前記薬品情報を未割当の前記可変カセット22に割り当てる。即ち、同じ前記次処方データについては、前記ステップS55が実行される度に、その時点で最も優先順位の高い一つの前記薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられる。
【0204】
ここで、前記優先条件の例について説明する。例えば、前記割当制御部112は、後述の第1優先条件~第4優先条件のいずれかの優先条件のうち予め初期設定などにおいて前記操作部14に対するユーザー操作により選択された優先条件を用いて前記ステップS55を実行する。なお、前記第1優先条件~前記第4優先条件のいずれか二つ以上の条件を組み合わせることも考えられる。例えば、前記第2優先条件に従って最も優先順位が高いと判断された前記薬品情報が二つ存在する場合に、その二つの前記薬品情報について前記第1優先条件に従って優先順位の高低を判断することが考えられる。
【0205】
ここに、
図18~
図21は、前記第1優先条件~前記第4優先条件を使用する場合の前記割当情報121の遷移を示す図である。なお、前述したように、前記割当情報121では、前記錠剤供給ユニット2において左から右に向かって順に並べられた4つの前記可変カセット22に、カセット番号「C1」~「C4」が前記カセット識別情報として予め設定されているものとする。また、
図18~
図21において、前記現在処方データの薬品情報の薬IDには「RP1」を付し、前記次処方データの薬品情報の薬IDには「RP2」を付している。
【0206】
<第1優先条件>
まず、前記優先条件の一例である第1優先条件として、前記処方データにおける表記順が早い前記薬品情報を優先して前記可変カセット22に割り当てる旨が定められていることが考えられる。例えば、前記現在処方データに薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報が含まれ、前記次処方データに薬ID「M4」、「M5」の薬品情報が含まれる場合を考える。ここで、前記次処方データにおける表記順は、薬ID「M4」の薬品情報が薬ID「M5」の薬品情報よりも早く、薬ID「M4」の薬品情報の払出量が10錠、薬ID「M5」の薬品情報の払出量が30錠であるとする。
【0207】
この場合、
図18(A)に示すように、カセット番号「C1」~「C3」の前記可変カセット22に薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報がそれぞれ割り当てられた後、
図18(B)に示すように、カセット番号「C4」の前記可変カセット22には、表記順が早い薬ID「M4」の薬品情報が先に割り当てられる。その後、
図18(C)に示すように、薬ID「M1」、「M2」、「M3」の払い出しが完了すると、
図18(D)に示すように、「M5」の薬品情報が、未割当となったカセット番号「C1」の前記可変カセット22に割り当てられる。従って、前記第1優先条件を用いれば、前記可変カセット22に割り当てられる順が前記次処方データに含まれる薬品情報の表記順と一致するためユーザーにわかりやすい運用が実現される。
【0208】
<第2優先条件>
また、前記優先条件の他の例である第2優先条件として、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち払出量が多い前記薬品情報を優先して前記可変カセット22に割り当てる旨が定められていることが考えられる。例えば、前記現在処方データに薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報が含まれ、前記次処方データに薬ID「M4」、「M5」の薬品情報が含まれる場合を考える。ここで、前記次処方データにおける表記順は、薬ID「M4」の薬品情報が薬ID「M5」の薬品情報よりも早く、薬ID「M4」の薬品情報の払出量が10錠、薬ID「M5」の薬品情報の払出量が30錠であるとする。
【0209】
この場合には、
図19(A)に示すように、カセット番号「C1」~「C3」の前記可変カセット22に薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報がそれぞれ割り当てられた後、
図19(B)に示すように、カセット番号「C4」の前記可変カセット22には、払出量が多い薬ID「M5」の薬品情報が先に割り当てられる。その後、
図19(C)に示すように、薬ID「M1」、「M2」、「M3」の払い出しが完了すると、
図19(D)に示すように、薬ID「M4」の薬品情報が、未割当となったカセット番号「C1」の前記可変カセット22に割り当てられる。従って、前記第2優先条件を用いれば、前記現在処方データについての薬品の払出実行中に、払出量の多い薬ID「M5」の薬品情報に対応する薬品を前記可変カセット22に充填することが可能となり、ユーザーの作業効率を高めることができる。
【0210】
<第3優先条件>
さらに、前記優先条件の他の例である第3優先条件として、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち、前記現在処方データにも含まれる前記薬品情報を除く薬品情報を優先して前記可変カセット22に割り当てる旨が定められていることが考えられる。例えば、前記現在処方データに薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報が含まれ、前記次処方データに薬ID「M4」、「M2」の薬品情報が含まれる場合を考える。
【0211】
この場合には、
図20(A)に示すように、カセット番号「C1」~「C3」の前記可変カセット22に薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報がそれぞれ割り当てられた後、
図20(B)に示すように、カセット番号「C4」の前記可変カセット22には、薬ID「M4」の薬品情報が先に割り当てられる。即ち、前記現在処方データに含まれる薬ID「M2」の薬品情報を除く薬ID「M4」の薬品情報が優先的に前記可変カセット22に割り当てられる。その後、
図20(C)に示すように、薬ID「M1」、「M2」、「M3」の払い出しが完了すると、
図20(D)に示すように、薬ID「M2」の薬品情報が、未割当となったカセット番号「C1」~「C3」のうち薬ID「M2」の薬品情報が割り当てられていたカセット番号「C2」の前記可変カセット22に割り当てられる。従って、前記第3優先条件を用いれば、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち前記現在処方データと同じ前記薬品情報は、同じ前記可変カセット22に割り当てられることになる。これにより、例えば前記可変カセット22に前の薬品とは異なる色の薬品が充填されて前の薬品の粉末などが後の薬品に付着することが防止される。
【0212】
<第4優先条件>
また、前記優先条件の他の例である第4優先条件として、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち、前記現在処方データにも含まれる前記薬品情報を優先して未割当の前記可変カセット22に割り当てる旨が定められていることが考えられる。例えば、前記現在処方データに薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報が含まれ、前記次処方データに薬ID「M4」、「M2」の薬品情報が含まれる場合を考える。
【0213】
この場合には、
図21(A)に示すように、カセット番号「C1」~「C3」の前記可変カセット22に薬ID「M1」、「M2」、「M3」の薬品情報がそれぞれ割り当てられた後、
図21(B)に示すように、カセット番号「C4」の前記可変カセット22には、薬ID「M2」の薬品情報が先に割り当てられる。即ち、前記現在処方データに含まれる薬ID「M2」の薬品情報が優先的に前記可変カセット22に割り当てられる。その後、
図21(C)に示すように、薬ID「M1」、「M2」、「M3」の払い出しが完了すると、
図21(D)に示すように、薬ID「M4」の薬品情報が、未割当となったカセット番号「C1」の前記可変カセット22に割り当てられる。従って、前記第4優先条件を用いれば、前記現在処方データに含まれる薬ID「M2」の薬品情報に対応する薬品をカセット番号「C2」の前記可変カセット22に充填する際に、前記次処方データに含まれる薬ID「M2」の薬品情報が割り当てられたカセット番号「C4」の前記可変カセット22にも同じ薬品を充填することが可能となりユーザーの作業効率を高めることができる。
【0214】
なお、前記次処方データに含まれる前記薬品情報の前記可変カセット22に対する割り当ては、前記次処方データにおいて前記可変カセット22の割り当てが必要な全ての前記薬品情報に対応する数の前記可変カセット22が未割当である場合にのみ実行されることも他の実施形態として考えられる。これにより、前記薬品払出装置100では、一つの前記処方データについて異なるタイミングで前記可変カセット22への割り当てが行われず、ユーザーは、前記処方データの単位で前記可変カセット22への薬品の充填を行うことができる。
【0215】
<ステップS56>
その後、ステップS56において、前記割当制御部112は、前記ステップS55で前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報に対応する駆動条件を前記制御部61に送信する。なお、前記ステップS56は、前記ステップS4(
図11参照)と同様の処理である。
【0216】
<ステップS57>
ステップS57において、前記割当制御部112は、前記可変カセット22の前記表示部25に、前記ステップS55で前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報を表示させる。これにより、ユーザーは、前記可変カセット22への薬品の充填を行うことが可能になる。なお、前記ステップS57は、前記ステップS5(
図11参照)と同様の処理である。ところで、ここで説明する前記次処方割当処理では、前記割当制御部112が、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち前記可変カセット22への割り当てを要する薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられる度に前記ステップS56~S57を実行する。一方、前記割当制御部112が、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち前記可変カセット22への割り当てを要する全ての薬品情報の前記可変カセット22への割り当てが終了した時点で前記ステップS56~S57の処理を実行することも考えられる。
【0217】
<ステップS58>
次に、ステップS58において、前記割当制御部112は、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち、対応する前記固定カセット21が存在しない全ての前記薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられたか否かを判断する。ここで、前記割当制御部112は、対応する前記固定カセット21が存在しない全ての前記薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられたと判断すると(S58のYes側)、処理を前記ステップS54に戻す。また、前記割当制御部112は、対応する前記固定カセット21が存在しない全ての前記薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられていないと判断すると(S58のNo側)、処理をステップS54に移行させる。これにより、前記次処方データに含まれる薬品情報のうち前記可変カセット22への割り当てを要する薬品情報が複数存在する場合には、未割当の前記可変カセット22が存在する限り前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当て(S55)が繰り返し実行される。なお、前記割当制御部112が、前記可変カセット22への割り当てを要する薬品情報が複数存在し、且つ未割当の前記可変カセット22が複数存在する場合に、前記ステップS55において前記薬品情報各々を前記可変カセット22各々に割り当てることも考えられる。
【0218】
ところで、前記薬品払出装置400は、前記可変カセット22への割り当てを要する薬品情報が前記次処方データに含まれており、前記可変カセット22の中に未割当の前記可変カセット22が存在しない場合に、その薬品情報を前記手撒きユニット4に自動的に割り当てる手撒き自動割当機能を有することも考えられる。
【0219】
具体的には、前記割当制御部112が、前記ステップS54において未割当の前記可変カセット22が存在しないと判断した場合に(S54のNo側)、前記手撒き自動割当機能の有効及び無効を判断することが考えられる。なお、前記手撒き自動割当機能の有効及び無効の設定は、前記薬品払出装置400の初期設定又は前記次処方データの発行時などにおいて前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記制御部11によって実行される。また、前記薬品情報ごとに前記手撒き自動割当機能の有効及び無効が予め定められていることも考えられる。そして、前記割当制御部112は、前記手撒き自動割当機能が有効に設定されている場合には、対応する前記固定カセット21が存在せず前記可変カセット22にも割り当てられなかった一又は複数の前記薬品情報を前記手撒きユニット4に割り当てる。なお、このとき前記割当制御部112は、前記薬品情報を前記手撒きユニット4に割り当てた結果を前記モニター13に表示させる。一方、前記割当制御部112は、前記手撒きユニット4に対する割当設定が無効に設定されている場合には、処理を前記ステップS54に戻す。また、前記現在処方データにおいて前記手撒きユニット4を使用する場合にも、前記割当制御部112は、前記薬品情報の前記手撒きユニット4への割当設定が無効であると判断し、処理を前記ステップS54に戻す。
【0220】
これにより、ユーザーは、前記現在処方データの払出実行中に、前記次処方データの前記薬品情報に対応する錠剤を前記手撒きユニット4に投入することができ、作業効率を高めることができる。また、前記割当制御部112は、前記ステップS55において、前記次処方データに含まれる前記薬品情報各々を払出量が多い方から優先して前記可変カセット22に割り当て、前記ステップS58において、残りの前記薬品情報を前記手撒きユニット4に割り当てることが考えられる。これにより、ユーザーが前記手撒きユニット4に手撒きする薬品量をできるだけ少なくすることができる。
【0221】
なお、前記第4実施形態に係る前記薬品払出装置400では、前記薬品払出処理(
図11参照)の前記ステップS1において、前記払出制御部111は、前記処方データの発行タイミングの他、前記現在処方データの払出が完了したときに前記次処方データが存在する場合にも、処理を前記ステップS2に移行させる。また、前記ステップS3~S5では、前記次処方データに含まれる前記薬品情報のうち前記次処方割当処理で前記可変カセット22又は前記手撒きユニット4に割り当てられていない薬品情報を対象に処理が実行される。その後、前記ステップS6では、前記次処方データに含まれる前記薬品情報各々に対応する前記可変カセット22各々について充填完了操作が行われた場合に、前記次処方データに基づく分包動作の開始要求を前記制御部61に送信する(S7)。ところで、前記払出制御部111は、前記ステップS6において、前記充填完了操作の有無を判断する他、前記着脱検知センサーによる検知結果に基づいて、前記可変カセット22が抜き差しされた場合に前記可変カセット22への薬品の充填が完了したと判断することも考えられる。
【0222】
以下、前記第4実施形態に係る前記薬品払出装置400が備える他の機能について説明する。
【0223】
[継続使用機能]
前記薬品払出処理(
図11参照)では、前記処方データについて分包動作が完了した後、処理が前記ステップS1に戻される。このとき、前記薬品払出処理(
図11参照)では、先の前記処方データの払い出し時に使用された前記可変カセット22を抜き差しすることなく、次の前記処方データの払い出し時に使用する可変カセット22として割り当てることが可能な構成が考えられる。以下では、このように前記可変カセット22の使用後に前記可変カセット22の抜き差しを必要としない継続使用が許可される機能を継続使用機能と称する。
【0224】
一方、前記薬品払出装置400では、前記制御部11が、前記薬品払出装置400の初期設定における前記操作部14のユーザー操作に応じて、前記継続使用機能の有効及び無効を設定することが可能である。また、前記薬品払出装置400では、前記制御部11が、前記処方データの発行時における前記操作部14のユーザー操作に応じて、前記可変カセット22ごと又は前記処方データごとに前記継続使用機能の有効及び無効を設定することも可能である。
【0225】
ここで、前記継続使用機能が無効である場合、前記払出制御部111は、前記薬品払出処理(
図11参照)の前記ステップS10の後、前記着脱検知センサーによって抜き差しが検知されていない前記可変カセット22は、次の前記処方データの払い出し時に使用する可変カセット22として割り当てない。即ち、この場合、ユーザーは、前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了した後、前記可変カセット22への次の前記薬品情報の割り当て前に一度前記可変カセット22を抜き差しし、前記可変カセット22への次の前記薬品情報の割当て後に薬品を充填するために前記可変カセット22を抜き差しすることになる。これにより、前記可変カセット22の使用後に前記可変カセット22を抜き差しする必要が生じるため、前記可変カセット22内の残薬の有無又は前記可変カセット22内の状態(例えば粉末の有無)などの確認をユーザーに促すことができる。
【0226】
また、前記薬品払出装置400が備える前記継続使用機能は、同種継続機能及び異種継続機能を含む。前記同種継続機能は、前記可変カセット22に直前に割り当てられていた薬品情報と前記可変カセット22に次に割り当てられる薬品情報とが同一である場合に前記可変カセット22の継続使用を許可する機能である。なお、前記同種継続機能が有効に設定されていても、前記可変カセット22に直前に割り当てられていた薬品情報と前記可変カセット22に次に割り当てられる薬品情報とが異なる場合は、前記継続使用機能が無効の場合と同様に処理される。また、前記異種継続機能は、前記可変カセット22に直前に割り当てられていた薬品情報と前記可変カセット22に次に割り当てられた薬品情報とが異なる場合に前記可変カセット22の継続使用を許可する機能である。
【0227】
そして、前記薬品払出装置400では、前記制御部11が、前記薬品払出装置400の初期設定における前記操作部14のユーザー操作に応じて、前記同種継続機能及び前記異種継続機能の有効及び無効の設定をそれぞれ個別に変更可能である。なお、前記同種継続機能が無効で前記異種継続機能が有効の組み合わせの設定を選択することができない構成も考えられる。以下、前記薬品払出装置400において、前記同種継続機能又は前記異種継続機能の少なくとも一方が有効に設定されている場合を、前記継続使用機能が有効に設定されているものとする。
【0228】
なお、前記同種継続機能が有効に設定されている場合であって、前記可変カセット22に直前に割り当てられていた薬品情報と、前記可変カセット22に次に割り当てられた薬品情報とが同一である場合、前記制御部11は、前記残薬回収処理を自動的に実行しないことが考えられる。即ち、前記払出制御部111は、前記薬品払出処理(
図11参照)において、前記制御部61に前記残薬回収要求を送信しない。従って、前記可変カセット22からの錠剤の払い出し後、前記制御部61により前記残薬回収処理が実行されないため、前記可変カセット22内の錠剤を次の前記処方データの払い出し時に継続して使用することが可能である。なお、この場合、前記払出制御部111は、前記薬品払出処理(
図11参照)の前記ステップS4~S6を省略する。これにより、連続する前記処方データについて前記可変カセット22が同じ前記薬品情報に割り当てられる場合、前記薬品払出処理(
図11参照)では、前記可変カセット22への薬品の充填完了操作を経ることなく分包動作が開始可能である。
【0229】
[ステータス表示機能]
次に、前記薬品払出装置400が備えるステータス表示機能について説明する。前述したように、前記ステータス表示機能によれば、ユーザーは、前記可変カセット22各々の使用状態を前記可変カセット22各々の前記表示部25を目視することにより容易に認識することができる。
【0230】
図16に示すように、前記薬品払出装置400において、前記可変カセット22各々は、前記表示部25と共に、状態表示灯27を備える。前記表示部25は、通電により表示内容が書き込まれると、その後は無通電状態でも前記表示内容の表示が維持される電子ペーパーである。前記状態表示灯27は、例えば前記可変カセット22の前面に前記表示部25と共に配置されている。なお、前記薬品払出装置400は、前記状態表示灯27を備えない構成であってもよい。
【0231】
前記状態表示灯27は、前記可変カセット22の使用状態を発光色又は発光態様によって表示するために使用されるLEDのような光源である。前記発光態様は、例えば消灯、点灯又は点滅などの状態を含む。なお、前記状態表示灯27は、前記表示部25と同様に前記可変カセット22側の前記コネクタに接続されており、前記可変カセット22が前記装着部221に装着されると、前記状態表示灯27及び前記処方制御ユニット1が前記コネクタによって電気的に接続される。これにより、前記処方制御ユニット1は、前記状態表示灯27の表示を変更することが可能になる。なお、前記状態表示灯27は、前記可変カセット22が装着される前記装着部221に設けられることも考えられる。
【0232】
また、前記薬品払出装置400において、前記制御部11は、前記表示部25及び前記状態表示棟27の表示内容を制御する表示制御部113を含む。なお、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12などの記憶手段に予め記憶されている各種のプログラムに従った処理を実行することにより、前記表示制御部113として機能する。ここに、前記表示制御部113が表示制御手段の一例である。なお、前記分包制御ユニット6の前記制御部61が前記表示制御部113を含むことも考えられる。
【0233】
前記表示制御部113は、後述の表示制御処理(
図22及び
図23参照)を実行することにより、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報に関する払出情報、及び前記可変カセット22の使用状態に関するステータス情報を前記表示部25及び前記状態表示灯27を用いて表示させる。前記払出情報には、例えば前記薬品情報に対応する薬品の薬品名、薬品コード、払出量、ロット番号、有効期限、残量、不足量、及び処方対象の患者名のいずれか一つ又は複数の情報が含まれる。特に、前記表示制御部113は、少なくとも前記薬品情報に対応する薬品の薬品名、払出量、処方対象の患者名、及び前記ステータス情報を前記表示部25に表示させることが望ましい。これにより、ユーザーが、前記可変カセット22の装着状態及び未装着状態にかかわらず各種の情報を参照することができ、作業効率が高まる。
【0234】
なお、前記表示制御部113は、前記払出量及び前記患者名の情報を、前記薬品情報が含まれる前記処方データから取得可能である。また、前記表示制御部113は、前記ロット番号及び前記有効期限などの情報を、前記可変カセット22の前記薬品が収容されていた元薬瓶などの収容容器に付されているバーコードなどが前記バーコードリーダー7によって読み取られたときに取得可能である。ところで、前記ステータス表示機能を有する前記薬品払出装置400では、前記表示制御部113により前記表示部25及び前記状態表示灯27が制御されるため、前記薬品払出処理(
図11参照)における前記ステップS5及び前記ステップS9は省略される。
【0235】
以下、
図22~
図24を参照しつつ、前記表示制御部113により実行される表示制御処理の一例について説明する。前記表示制御処理は、前記薬品払出処理(
図11参照)及び前記次処方割当処理(
図17参照)などと略並行して実行される。また、前記表示制御部113は、前記可変カセット22各々について前記表示制御処理を個別に実行する。なお、
図24は、前記表示制御処理における前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27の表示例を示す図である。また、
図24における前記状態表示灯27の模様の差異は前記状態表示灯27の表示色又は表示態様の違いを示している。
【0236】
<ステップS61>
まず、ステップS61において、前記表示制御部113は、前記薬品払出処理(
図11参照)又は前記次処方割当処理(
図17参照)における前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを待ち受ける(S61のNo側)。なお、前記薬品情報の割り当てを待ち受けている場合、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25に、前記薬品情報が割り当てられていない未割当状態である旨を示す後述の初期画面(
図24(A)又は
図24(B)参照)を表示させる。そして、前記表示制御部113は、前記薬品情報が割り当てられたと判断すると(S61のYes側)、処理をステップS62に移行させる。
【0237】
<ステップS62>
ステップS62において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記払出情報と前記可変カセット22が薬品充填待ち状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報とを表示させる。
【0238】
ここに、
図24(C)には、前記薬品充填待ち状態の表示例が示されている。
図24(C)に示されるように、前記表示部25には、前記払出情報が表示される表示領域252~25及び前記ステータス情報が表示される表示領域256が含まれる。前記表示領域252は、前記薬品情報に対応する薬品名が表示される領域であり、一例として「アリナミン」が表示されている。前記表示領域253は、前記薬品情報が含まれる前記処方データに示された患者名が表示される領域であり、一例として「湯山太郎」が表示されている。前記表示領域254は、前記薬品情報に対応する薬品のJANコードがバーコードにより表示される領域である。なお、前記JANコードは、前記薬品の識別情報を示す一次元コードの一例であり、前記JANコードに代えてRSSコード(GS1データバー)のような一次元コード、又はQRコード(登録商標)のような二次元コードを用いてもよい。前記表示領域255は、前記薬品情報が含まれる前記処方データに示された前記薬品情報に対応する薬品の払出量(処方量)が表示される領域であり、一例として「50錠」が表示されている。なお、前記表示制御部113は、前記表示領域252~256に表示させる各種の情報を、前記記憶部12又は前記RFIDタグ26から読み出して前記表示部25に表示させる。
【0239】
また、前記表示領域256には、前記ステータス情報が、前記可変カセット22の使用状態各々に対応して予め定められた数字、文字(漢字又はアルファベット)、記号、図形、又は配色によって表示される。
図24(C)では、前記表示領域256に、前記薬品充填待ち状態である旨が「D1」の文字で示されている。また、前記ステータス情報は、「D1」の文字に代えて、「充填」の文字列、又は薬品充填待ちである旨を示唆する「充」の一文字のように、ユーザーが一目で状態を想起可能な文字で表示されることが考えられる。なお、前記表示領域256を非表示にすることにより一つの使用状態(例えば薬品充填待ち状態)が示されることも考えられる。
【0240】
さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記薬品充填待ち状態である旨が示される。例えば、前記薬品充填待ち状態に対応する前記状態表示灯27の表示は緑色の点滅であることが考えられる。なお、ここでは、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様がある程度類似した状態について同じである場合について説明する。一方、前記可変カセット22の使用状態ごとに前記状態表示灯27の表示色及び表示態様の内容が異なることも考えられる。
【0241】
<ステップS63>
ステップS63において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22に薬品が充填されたか否かを判断する。例えば、前記表示制御部113は、前記操作部14に対する充填完了操作が行われた場合、又は前記可変カセット22の着脱を検出する前記着脱検知センサーにより前記可変カセット22の抜き差しが実行された場合に、前記可変カセット22に薬品が充填されたと判断する。ここで、前記表示制御部113は、前記薬品が充填されたと判断すると(S63のYes側)、処理をステップS64に移行させる。なお、前記表示制御部113は、前記薬品が充填されるまでの間は(S63のNo側)、処理を前記ステップS63で待機させる。
【0242】
<ステップS64>
ステップS64において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記可変カセット22が払出中の状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報を表示させる。
【0243】
ここに、
図24(D)には、前記払出中の状態の表示例が示されている。
図24(D)では、前記表示領域256に、前記払出中の状態である旨が「D2」の文字で表示されている。また、前記ステータス情報は、「D2」の文字に代えて、「払出」の文字列、又は薬品の払出中である旨を示唆する「払」の一文字であることが考えられる。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記払出中の状態が示されている。例えば、前記払出中の状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は緑色の点灯であることが考えられる。また、
図24(D)に示すように、前記払出中の状態でも、前記払出情報として、前記表示領域252に「アリナミン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコード、前記表示領域255に「50錠」がそれぞれ表示されている。
【0244】
<ステップS65>
ステップS65において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報が含まれる前記処方データに示された前記薬品情報に対応する薬品の払出量に対して前記可変カセット22の薬品が不足するか否かを判断する。例えば、前記表示制御部113は、前記可変カセット22から払い出された薬品量が前記払出量に達していない状態で、前記可変カセット22を所定時間駆動させたときに前記可変カセット22から薬品が払い出されない場合に薬品が不足していると判断する。ここで、前記表示制御部113は、前記薬品が不足すると判断すると(S65のYes側)、処理をステップS651に移行させる。なお、前記表示制御部113は、前記薬品が不足していなければ(S65のNo側)、処理をステップS66に移行させる。
【0245】
<ステップS651>
ステップS651において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記可変カセット22の薬品が不足している状態(使用状態の一例)である旨のステータス情報と前記薬品の不足量とを表示させる。その後、前記表示制御部113は、処理を前記ステップS63に移動させ、前記可変カセット22への薬品の充填を待ち受ける(S63のNo側)。
【0246】
ここに、
図24(E)には、前記薬品不足状態の表示例が示されている。
図24(E)では、前記表示領域256に、前記薬品不足状態である旨が「D3」の文字で表示されている。また、前記ステータス情報は、「D3」の文字に代えて、「欠品」の文字列、又は薬品が欠品している状態を示唆する「欠」の一文字であることが考えられる。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記薬品不足状態が示されている。例えば、前記薬品不足状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は緑色の点滅であり、前記薬品充填待ち状態と同じであることが考えられる。また、
図24(E)に示すように、前記薬品充填待ち状態でも、前記払出情報として、前記表示領域252に「アリナミン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコードがそれぞれ表示されている。
【0247】
一方、前記表示制御部113は、前記払出量に代えて、前記可変カセット22に充填が必要な薬品の数量、即ち薬品の不足量を前記表示領域255に表示させる。
図24(E)では、前記薬品の不足量として「15錠」が表示されている。具体的に、前記表示制御部113は、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報が含まれる前記処方データに示される払出量(処方量)と前記可変カセット22から既に払い出された払出量との差分を不足量として算出する。
【0248】
また、前記ステップS64における前記払出中の状態の表示が行われている場合に、前記表示制御部113が、前記表示領域255に表示される前記払出量を、前記カウンターにより前記薬品の払出が検知されるごとに減数することが考えられる。これにより、前記薬品不足状態に至った場合、前記表示領域255には前記払出量に対する不足量が表示されることになる。なお、前記表示制御部113が、前記薬品が不足している旨を表示させて前記薬品の不足量を表示しないこと、又は前記薬品が不足している旨を表示させずに前記薬品の不足量を表示させることも考えられる。また、前記薬品が不足している旨を表示させずに前記薬品の不足量を表示させる場合、前記表示制御部113は、前記不足量の表示を点滅させることなどにより前記薬品が不足している状態を示すことも考えられる。
【0249】
<ステップS66>
ステップS66において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22による薬品の払い出しが完了したか否かを判断する。例えば、前記表示制御部113は、前記可変カセット22から前記処方データに示された払出量の薬品が払い出された旨の制御信号を前記制御部61から受信したか否かに応じて、払い出しが完了したか否かを判断する。ここで、前記表示制御部113は、払い出しが完了したと判断すると(S66のYes側)、処理をステップS67に移行させる。なお、前記表示制御部113は、払い出しが完了していなければ(S66のNo側)、処理を前記ステップS65に戻す。
【0250】
<ステップS67>
ステップS67において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の薬品を自動的に回収する前記残薬回収処理の実行の有無に応じて処理を分岐する。なお、前記残薬回収処理の有無に関する設定は、前記薬品払出装置400の初期設定などにおいて前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記制御部11によって実行される。また、この時点で、前記表示制御部113が、前記同種継続機能が有効であって、先の前記処方データで割り当てられた薬品情報と次の前記処方データで割り当てられる薬品情報とが同じであると判断した場合に、前記残薬回収処理を実行しないと判断することも考えられる。ここで、前記表示制御部113は、前記残薬回収処理を実行する旨が設定されていると判断すると(S67のYes側)、処理をステップS671に移行させる。一方、前記表示制御部113は、前記残薬回収処理を実行しない旨が設定されていると判断すると(S67のNo側)、処理をステップS68に移行させる。
【0251】
<ステップS671>
ステップS671において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記可変カセット22が残薬回収中の状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報を表示させる。
【0252】
ここに、
図24(F)には、前記残薬回収中の状態の表示例が示されている。
図24(F)では、前記表示領域256に、前記残薬回収中の状態である旨が「D4」の文字で表示されている。また、前記ステータス情報は、「D4」の文字に代えて、「回収」の文字列、又は薬品が回収中である状態を示唆する「収」の一文字であることが考えられる。なお、前記残薬回収中の状態に対応する前記ステータス情報は、前記払出中の状態に対応する前記ステータス情報と同様であってもよい。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記残薬回収中の状態が示されている。例えば、前記回収中の状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は緑色の点灯であり、前記払出中の状態と同じであることが考えられる。また、
図24(F)に示すように、前記残薬回収中の状態でも、前記払出情報として、前記表示領域252に「アリナミン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコード、前記表示領域255に「50錠」がそれぞれ表示されている。
【0253】
<ステップS672>
そして、ステップS672において、前記表示制御部113は、前記残薬回収処理の終了を待ち受ける(S672のNo側)。そして、前記表示制御部113は、前記残薬回収処理が終了したと判断すると(S672のYes側)、処理をステップS68に移行させる。
【0254】
例えば、前記表示制御部113は、前記残薬回収処理の終了時に前記制御部61から送信される制御信号に基づいて前記残薬回収処理の終了を判断する。なお、前記制御部61は、前記残薬回収処理において、予め設定された回収時間だけ前記可変カセット22の前記第1回転体223及び前記第2回転体224を駆動させる。これにより、前記可変カセット22に錠剤が残存している場合には、前記可変カセット22から錠剤が払い出される。このとき、前記制御部61は、前記可変カセット22から予め設定された所定数の錠剤が払い出された場合に前記残薬回収処理を終了させることが考えられる。これにより、前記可変カセット22に多量の錠剤が残存しているような場合には前記残薬回収処理を途中で終了させることが可能である。そして、前記制御部61は、前記残薬回収処理の終了時に前記残薬回収処理を途中で終了したか否かを示す情報を前記制御信号と共に前記制御部11に送信する。これにより、前記制御部11の前記表示制御部113は、前記残薬回収処理が途中で終了したか否か、即ち前記可変カセット22に錠剤が残存している可能性の有無を判断することが可能である。
【0255】
<薬品情報の割当タイミング>
ところで、前記薬品払出装置400では、前記可変カセット22からの薬品の払い出し後又は前記残薬回収処理の終了後、前記可変カセット22に対する次の前記薬品情報の割当タイミングが、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が薬品単位及び処方単位のいずれであるかに応じて異なる。なお、前記割当状態の変更単位に関する設定は、前記薬品払出装置400の初期設定などにおいて前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記制御部11によって実行される。
【0256】
まず、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が薬品単位である場合、前記払出制御部111は、前記処方データで使用される複数の前記可変カセット22のうちある一つの前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了した場合に、当該可変カセット22の割当状態を未割当に変更する。この場合、前記薬品払出装置400では、前記制御部61により、前記可変カセット22各々からの払い出しの完了の有無が個別に前記制御部11に通知される。従って、一つの前記処方データで複数の前記可変カセット22が使用される場合でも、前記割当制御部112は、前記次処方割当処理において、複数の前記可変カセット22のうち薬品の払い出しが完了した前記可変カセット22から順に前記次処方データの前記薬品情報を割り当てることが可能である。なお、前記払出制御部11は、前記継続使用機能が無効に設定されている場合、前記可変カセット22の抜き差し操作を条件に前記可変カセット22の割当状態を個別に未割当にしてもよい。
【0257】
一方、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が処方単位である場合、前記払出制御部111は、前記処方データで使用される全ての前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了した場合に、前記可変カセット22各々の割当状態を未割当に変更する。この場合、前記割当制御部112は、前記次処方割当処理において、一つの前記処方データで使用される全ての前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了したときに前記次処方データの前記薬品情報を割り当てることになる。なお、前記払出制御部111は、前記継続使用機能が無効に設定されている場合、前記処方データで使用される全ての前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了した後において、前記可変カセット22の抜き差し操作を条件に前記可変カセット22の割当状態を個別に未割当にしてもよい。
【0258】
<ステップS68>
そして、前記表示制御処理では、
図23に示すように、ステップS68~S70において、前記可変カセット22への次の前記薬品情報の割当タイミングに応じて前記表示部25の表示が変更される。具体的に、まずステップS68において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22各々に対する薬品情報の割当状態の変更単位が薬品単位及び処方単位のいずれであるかに応じて処理を分岐する。ここで、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が処方単位である場合(S68のNo側)、処理をステップS69に移行させる。一方、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が薬品単位である場合(S68のYes側)、処理をステップS70に移行させる。
【0259】
<ステップS69>
ステップS69において、前記表示制御部113は、前記処方データの全ての薬品情報に対応する薬品の払い出しの完了を待ち受ける(S69のNo側)。例えば、前記表示制御部113は、前記制御部61から前記分包完了通知を受信した場合に、前記処方データについての払い出しが完了したと判断する。ここで、前記表示制御部113は、前記処方データについての払い出しが完了したと判断すると(S69のYes側)、処理をステップS70に移行させる。
【0260】
<ステップS70>
そして、ステップS70において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に前記可変カセット22が払出完了状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報を表示させる。即ち、前記表示制御処理では、薬品単位で前記可変カセット22の前記割当状態が変更される場合には、前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了したときに前記可変カセット22の前記表示部25に前記払出完了状態が表示される。一方、処方単位で前記可変カセット22の前記割当状態が変更される場合には、一つの前記処方データで使用された全ての前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了したときに前記可変カセット22各々の前記表示部25に前記払出完了状態が表示される。
【0261】
ここに、
図25(A)は、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が薬品単位である場合の割当状態の変更タイミングを示す概念図であり、
図25(B)は、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が処方単位である場合の割当状態の変更タイミングを示す概念図である。
図25(A)及び
図25(B)では、前記処方データでカセット番号「C1」、「C2」、「C3」の前記可変カセット22が使用される場合の前記割当状態の変更タイミングの一例が示されている。
【0262】
図25(A)に示すように、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が薬品単位である場合には、前記カセット番号「C1」の前記可変カセット22からの払い出しが完了した場合に、前記カセット番号「C1」の前記可変カセット22の前記表示部25に払出完了状態である旨が表示される。そして、前記カセット番号「C1」の前記可変カセット22が抜き差しされると、前記カセット番号「C1」の前記可変カセット22の割当状態が未割当に変更されて前記可変カセット22が使用可能な状態になる。前記カセット番号「C2」、「C3」の前記可変カセット22各々についても前記カセット番号「C1」の前記可変カセット22と同様に、他の前記可変カセット22とは独立して前記払出完了状態である旨の表示、及び前記可変カセット22の割当状態の変更が行われる。
【0263】
一方、
図25(B)に示すように、前記可変カセット22の割当状態の変更単位が処方単位である場合には、前記カセット番号「C1」の前記可変カセット22からの払い出しが完了しても、前記カセット番号「C1」の前記可変カセット22の前記表示部25に払出完了状態である旨は表示されない。そして、前記カセット番号「C2」及び前記カセット番号「C3」の前記可変カセット22各々についても払い出しが完了した場合に、前記カセット番号「C1」~「C3」の前記可変カセット22各々の前記表示部25に払出完了状態である旨が表示される。その後、前記カセット番号「C1」~「C3」の前記可変カセット22各々は、抜き差しされることにより前記割当状態が未割当に変更されて前記可変カセット22が使用可能な状態になる。
【0264】
また、前記ステップS70において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22についての前記残薬回収処理が途中で終了したか否かに応じて前記払出完了状態に対応する前記表示部25の表示内容を切り換える。ここに、
図24(G)及び
図24(H)には、前記払出完了状態の表示例が示されている。
【0265】
具体的に、前記表示制御部113は、前記残薬回収処理が正常に終了した旨の通知を前記制御部61から受信していた場合には、
図24(G)に示すように、前記表示領域256に、前記残薬回収処理が正常に終了した場合に対応する前記払出完了状態を示す「D5」を表示させる。例えば、「D5」は、「払済」の文字列、又は払出済の状態を示唆する「済」の一文字であることが考えられる。
【0266】
一方、前記表示制御部113は、前記残薬回収処理が途中で終了した旨の通知を前記制御部61から受信していた場合には、
図24(H)に示すように、前記表示領域256に、前記残薬回収処理が途中で終了した場合に対応する前記払出完了状態を示す「D6」を表示させる。例えば、「D6」は、「残有」の文字列、又は残りが生じている可能性がある状態を示唆する「残」の一文字であることが考えられる。
【0267】
なお、
図24(G)及び
図24(H)に示すように、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記払出完了状態が示されている。例えば、前記払出完了状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は橙色の点灯であることが考えられる。また、
図24(G)及び
図24(H)に示すように、前記払出完了状態でも、前記払出情報として、前記表示領域252に「アリナミン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコード、前記表示領域255に「50錠」がそれぞれ表示されている。
【0268】
<ステップS71>
ステップS71において、前記表示制御部113は、前記継続使用機能の設定の有効及び無効に応じて処理を分岐する。なお、前記表示制御部113は、前記同種継続機能及び前記異種継続機能の少なくとも一方が有効である場合に前記継続使用機能が有効であると判断する。そして、前記表示制御部113は、前記継続使用機能が有効に設定されている場合(S71のYes側)、処理をステップS711に移行させ、後述の継続使用表示処理(
図26)を実行する。また、前記表示制御部113は、前記継続使用機能が無効に設定されている場合(S71のNo側)、処理をステップS72に移行させる。
【0269】
<ステップS72>
ステップS72において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の抜き差し操作を待ち受ける(S72のNo側)。前記ステップS72は、前記可変カセット22内に薬品が残存していないことがユーザーによって確認されたことを推定するための処理である。なお、前記払出制御部111が、前記装着部221に設けられた前記可変カセット22の着脱を検出する前記着脱検出センサーの検出結果に応じて前記可変カセット22の抜き差し操作の有無を判断する。ここで、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の抜き差し操作が行われたと判断すると(S72のYes側)、処理をステップS73に移行させる。
【0270】
<ステップS73>
ステップS73において、前記表示制御部113は、先の前記処方データについて前記可変カセット22に割り当てられていた薬品情報を前回薬品情報として前記表示部25に表示させる前回薬品表示設定の有無に応じて処理を分岐する。なお、前記前回薬品表示設定の有効及び無効に関する設定は、前記薬品払出装置400の初期設定などにおいて前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記制御部11によって実行される。ここで、前記表示制御部113は、前記表示制御部113は、前記前回薬品表示設定が無効に設定されていると判断した場合には(S73のNo側)、処理をステップS74に移行させる。また、前記前回薬品表示設定が有効に設定されていると判断した場合は(S73のYes側)、処理をステップS731に移行させる。
【0271】
<ステップS74>
ステップS74において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記可変カセット22が未割当状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報を表示させる。
【0272】
ここに、
図24(A)は、前記前回薬品表示設定が無効であって前記可変カセット22が前記未割当状態である場合に対応する初期画面が示されている。
図24(A)に示す初期画面では、前記表示領域252~256が表示されておらず、「登録なし」の文字列のみが表示されている。なお、前記表示制御部113が、前記表示部25を非表示状態にすることも考えられる。また、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記未割当の状態が示されている。例えば、前記未割当の状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は消灯であることが考えられる。
【0273】
<ステップS731>
一方、ステップS731において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記可変カセット22が未割当状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報を表示させる。
【0274】
ここに、
図24(B)は、前記前回薬品表示設定が有効である場合の表示例であり、前記未割当状態である旨が示されている。
図24(B)では、前記可変カセット22に直前に割り当てられていた薬品情報に対応する薬品名「アリナミン」が前記表示領域252に表示され、前記薬品情報に対応する前記JANコードが前記表示領域254に表示されている。また、
図24(B)では、前記表示領域256に、前記前回表示設定が有効である場合における前記未割当状態を示す前記ステータス情報として「D7」が表示されている。例えば、「D7」は、「前回」の文字列、又は前回薬品を示す状態を示唆する「前」の一文字であることが考えられる。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記未割当の状態が示されている。例えば、前記未割当の状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は消灯であることが考えられる。
【0275】
なお、前記薬品払出装置400が、前記可変カセット22に割り当てる薬品情報を固定する前記固定化機能を備える場合には、前記制御部11が、前記固定化機能により固定された前記薬品の名称及びJANコードなどを前記表示部25に表示させる構成が考えられる。これに対し、前記ステップS731では、前記可変カセット22の前記表示部25には、前記表示領域256に前回使用された薬品の情報が表示されている旨を示す「D7」が表示される。従って、前記表示部25に表示されている薬品情報が、前記固定化機能で前記可変カセット22に固定的に割り当てられた薬品と前回使用された薬品とのいずれが表示されているかが明確になる。なお、前記固定化機能により前記可変カセット22に固定的に薬品情報が割り当てられた場合には、前記表示制御部113は、前記固定化機能により薬品情報が固定された旨を示す前記ステータス情報を前記表示領域256に表示させることが考えられる。
【0276】
以上説明したように、前記薬品払出装置400では、前記ステータス表示機能により、前記可変カセット22各々の前記表示部25及び前記状態表示灯27の表示内容が適宜変更される。従って、ユーザーは、前記可変カセット22各々の前記表示部25及び前記状態表示灯27によって表示された前記可変カセット22各々の前記払出情報及び前記ステータス情報を参照することにより、前記可変カセット22各々の状態を容易に把握することができる。
【0277】
[継続使用表示処理]
次に、
図26及び
図27を参照しつつ、前記ステップS711において実行される前記継続使用表示処理について説明する。ここに、
図26は、前記継続使用表示処理の手順の一例を示すフローチャートであり、
図27は、前記継続使用表示処理における前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27の表示例を示す図である。
【0278】
<ステップS75>
ステップS75において、前記表示制御部113は、次の前記処方データが発行されているか否かを判断する。ここで、前記表示制御部113は、次の前記処方データが発行されていると判断すると(S75のYes側)、処理をステップS76に移行させる。一方、前記表示制御部113は、次の前記処方データが発行されていないと判断すると(S75のNo側)、当該継続使用表示処理を終了させて処理を前記ステップS72に移行させる。
【0279】
<ステップS76>
ステップS76において、前記表示制御部113は、次の前記処方データについて、先の前記処方データで前記可変カセット22に割り当てられていた薬品情報と同種の薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられるか否かを判断する。ここで、前記薬品払出装置400では、前記払出制御部111は、先の前記処方データについて前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報が次の前記処方データに含まれる場合、同じ前記可変カセット22に次の前記処方データの薬品情報が割り当てられるものとする。即ち、前記薬品払出装置400では、連続する前記処方データに含まれる同種の薬品情報については同じ前記可変カセット22に割り当てられる。なお、前記払出制御部111は、先の前記処方データで前記可変カセット22に割り当てられていた薬品情報を、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26又は前記記憶部12に記憶されている前記割当情報121から取得する。
【0280】
そして、前記表示制御部113は、前記可変カセット22に同種の薬品情報が割り当てられると判断すると(S76のYes側)、処理をステップS761に移行させる。また、前記表示制御部113は、前記可変カセット22に異なる種類の薬品情報が割り当てられると判断すると(S76のNo側)、処理をステップS77に移行させる。
【0281】
<ステップS761>
ステップS761において、前記表示制御部113は、前記ステップS64における前記払出中の状態の表示内容を、前記可変カセット22の継続使用時における払出中の状態(使用状態の一例)である旨を示す表示内容に変更する。その後、前記表示制御部113は、処理を前記ステップS64に移行させる。これにより、前記ステップS64において、前記表示制御部113により前記表示部25に表示される表示内容は、前記可変カセット22の継続使用時における払出中の状態に対応する表示内容となる。
【0282】
ここに、
図27(A)には、前記可変カセット22の継続使用時における払出中の状態の表示例が示されている。
図27(A)では、前記表示領域256に、前記可変カセット22の継続使用時における払出中の状態である旨が「D8」の文字で表示されている。また、前記ステータス情報は、「D8」の文字に代えて、「継続」の文字列、又は継続使用状態を示唆する「継」の一文字であることが考えられる。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記可変カセット22の継続使用時における払出中の状態が示される。例えば、前記可変カセット22の継続使用時における払出中の状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は緑色の点灯であることが考えられる。また、
図27(A)でも、前記払出情報として、前記表示領域252に「アリナミン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコード、前記表示領域255に「50錠」がそれぞれ表示されている。
【0283】
なお、前記ステップS761の後に実行される前記ステップS64で前記払出中の状態が表示された後、前記可変カセット22の薬品に欠品が生じた場合には、
図27(B)に示すように、前記ステップS651において前記薬品不足状態の表示が行われる。一方、前記薬品不足状態の表示が行われた後、前記可変カセット22に薬品が充填されると、前記表示制御部113は、
図27(A)に示すように、前記ステップS761で設定された前記可変カセット22の継続使用時における払出中の状態を示す表示内容を前記表示部25に表示させる。
【0284】
<ステップS77>
一方、前記可変カセット22に割り当てられる薬品情報が同種の薬品情報でない場合(S76のNo側)、ステップS77において、前記表示制御部113は、前記異種継続機能が有効に設定されているか否かを判断する。ここで、前記表示制御部113は、前記異種継続機能が有効であると判断すると(S77のYes側)、処理をステップS771に移行させる。また、前記表示制御部113は、前記異種継続機能が無効であると判断すると(S77のNo側)、当該継続使用表示処理を終了させて処理をステップS72に移行させる。
【0285】
<ステップS771>
ステップS771において、前記表示制御部113は、前記ステップS62における前記薬品充填待ち状態の表示内容を、前記可変カセット22の継続使用時における薬品充填待ち状態(使用状態の一例)である旨を示す表示内容に変更する。その後、前記表示制御部113は、処理を前記ステップS62に移行させる。これにより、前記ステップS62で表示される表示内容は、前記可変カセット22の継続使用時における薬品充填待ち状態に対応する表示内容となる。
【0286】
ここに、
図27(C)には、前記可変カセット22の継続使用時における薬品充填待ち状態の表示例が示されている。
図27(C)では、前記表示領域256に、前記可変カセット22の継続使用時における薬品充填待ち状態である旨が「D9」の文字で表示されている。また、前記ステータス情報は、「D9」の文字に代えて、「視認」の文字列、又は充填時に視認による確認を要する旨を示唆する「視」の一文字であることが考えられる。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記可変カセット22の継続使用時における前記薬品充填待ち状態が示されている。例えば、前記可変カセット22の継続使用時における前記薬品充填待ち状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は緑色の点灯であることが考えられる。また、
図27(C)でも、前記払出情報として、前記表示領域252に「バファリン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコード、前記表示領域255に「50錠」がそれぞれ表示されている。
【0287】
なお、前記ステップS771の後に実行される前記ステップS62で前記薬品充填待ち状態が表示されたとき、前記可変カセット22に薬品が充填された場合、前記表示制御部113は、前記ステップS771で変更された前記薬品充填待ち状態に対応する表示内容を初期化する。これにより、その後に前記薬品充填待ち状態が表示される場合には、
図27(D)に示すように、前記可変カセット22の継続使用時における前記薬品充填待ち状態に対応する「D9」ではなく、通常時の前記薬品充填待ち状態に対応する「D2」が表示される。
【0288】
[例外表示機能]
ところで、前記可変カセット22を用いて薬品の払い出しが実行されている途中に、前記薬品払出装置400の突発的な再起動のような異常が発生すること、又は前記処方データの削除操作などが行われることがある。なお、前記処方データの削除操作が行われた場合には、その操作対象の前記処方データが前記制御部11によって削除され、前記処方データについての薬品の払い出しが中止される。
【0289】
そこで、前記表示制御部113が、前記可変カセット22各々の前記表示部25及び前記状態表示灯27を用いてその例外的な状態を表示させる例外表示機能を有することが考えられる。ここで、
図28及び
図29を参照しつつ、前記例外的な状態を表示するために前記表示制御部113によって実行される例外表示処理の手順の一例について説明する。前記例外表示処理は、前記制御部11で実行される前記薬品払出処理、前記次処方割当処理、前記表示制御処理などの他の処理と並行して実行される。ここに、
図28は、前記例外表示処理の手順の一例を示すフローチャートであり、
図29は、前記例外表示処理における前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27の表示例を示す図である。
【0290】
<ステップS81>
まず、ステップS81において、前記表示制御部113は、前記薬品払出装置400の突発的な再起動のような異常の発生の有無を判断する。なお、前記異常の内容は、前記薬品払出装置400の再起動に限らず、前記薬品払出装置400において予め設定された各種の異常内容が含まれていてもよい。ここで、前記表示制御部113は、前記異常が発生したと判断すると(S81のYes側)、処理をステップS82に移行させる。また、前記表示制御部113は、前記異常が発生していなければ(S81のNo側)、処理をステップS811に移行させる。
【0291】
<ステップS811>
また、ステップS811において、前記表示制御部113は、前記薬品払出装置400における薬品の払い出し中に、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報を含む前記処方データの削除操作が行われたか否かを判断する。なお、前記処方データの削除操作は、例えば前記処方データの選択画面が前記モニター13に表示されている場合に行われる前記操作部14に対するユーザー操作である。ここで、前記表示制御部113は、前記処方データの削除操作が行われたと判断すると(S811のYes側)、処理をステップS812に移行させる。また、前記表示制御部113は、前記処方データの削除操作が行われていなければ(S811のNo側)、処理を前記ステップS81に移行させる。なお、ここで説明する前記処方データの削除操作には、前記処方データの発行前(可変カセット22の割当前)、又は前記処方データについての薬品の払い出しが開始される前に行われる削除操作を含まない。
【0292】
このように、前記表示制御部113は、前記表示制御処理(
図22及び
図23)を実行しつつ、前記異常の発生及び前記処方データの削除操作を割込事象として監視している。そして、前記表示制御処理113は、前記割込事象の発生に応じて、前記表示制御処理を中断して後述のステップS82又はステップS812以降の処理を実行する。
【0293】
<ステップS82>
ステップS82において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記異常の発生状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報を表示させる。
【0294】
ここに、
図29(A)には、前記異常の発生状態の表示例が示されている。
図29(A)では、前記表示領域256に、前記異常の発生状態である旨が「D10」の文字で表示されている。また、前記ステータス情報は、「D10」の文字に代えて、「回収」の文字列、又は異常の発生により前記可変カセット22内の薬品の手動回収を要する状態を示唆する「回」の一文字であることが考えられる。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記異常の発生状態が示されている。例えば、前記異常の発生状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は橙色(又は赤色)の点灯であることが考えられる。また、
図29(A)では、前記払出情報として、前記表示領域252に「アリナミン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコード、前記表示領域255に「50錠」がそれぞれ表示されている。
【0295】
また、
図29(B)及び
図29(C)には、前記異常の発生状態を示す他の表示例が示されている。
図29(B)に示す例では、前記表示部25の表示内容は、
図29(A)に示した表示内容と同じであるが、前記表示部25における前記表示領域252~256の文字色と背景色とが反転表示されることにより、前記異常の発生状態が強調して表示されている。なお、前記異常の発生状態を強調して表示する手法としては、前記表示部25の表示内容全体を点滅させるなどの表示態様も考えられる。また、
図29(C)に示す例では、前記表示部25の前記表示領域252~256が非表示であり、「異常発生」の文字列のみが強調して表示されている。このように、前記異常の発生時に、前記表示部25に通常時とは明確に異なる表示が行われることにより、ユーザーに前記異常の発生状態を容易に認識させることができる。
【0296】
<ステップS812>
また、ステップS812において、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に、前記処方データの削除状態(使用状態の一例)である旨を示す前記ステータス情報を表示させる。
【0297】
ここに、
図29(D)には、前記処方データの削除状態の表示例が示されている。
図29(D)では、前記表示領域256に、前記処方データの削除状態である旨が「D11」の文字で表示されている。また、前記ステータス情報は、「D11」の文字に代えて、「削除」の文字列、又は前記処方データが削除された状態を示唆する「削」の一文字であることが考えられる。さらに、前記状態表示灯27では、前記状態表示灯27の表示色及び表示態様により、前記処方データの削除状態が示されている。例えば、前記処方データの削除状態を示す前記状態表示灯27の表示状態は橙色(又は赤色)の点灯であることが考えられる。また、
図29(D)でも、前記払出情報として、前記表示領域252に「アリナミン」、前記表示領域253に「湯山太郎」、前記表示領域254に前記JANコード、前記表示領域255に「50錠」がそれぞれ表示されている。
【0298】
<ステップS83>
その後、ステップS83において、前記表示制御部113は、前記ステップS72と同様に、前記可変カセット22の抜き差し操作を待ち受ける(S83のNo側)。前記ステップS83は、前記異常の発生又は前記処方データの削除の後に、前記可変カセット22内の状態がユーザーによって確認されたことを推定するための処理である。ここで、前記表示制御部113は、前記可変カセット22の抜き差し操作が行われたと判断すると(S83のYes側)、処理をステップS84に移行させる。なお、前記薬品払出装置400において、前記払出制御部111は、前記異常の発生又は前記処方データの削除の後、前記可変カセット22各々が抜き差しされるまでの間は、次の前記処方データについて薬品の払い出しを実行しない。これにより、前記可変カセット22各々の状態が不定のまま次の前記処方データについての薬品の払い出しが開始されることが抑制される。
【0299】
<ステップS84>
ステップS84において、前記表示制御部113は、前記ステップS73と同様に、前記前回薬品表示設定の有効及び無効に応じて処理を分岐する。ここで、前記表示制御部113は、前記前回薬品表示設定が有効に設定されていると判断した場合には(S84のYes側)、処理をステップS841に移行させる。また、前記表示制御部113は、前記前回薬品表示設定が無効に設定されていると判断した場合には(S84のNo側)、処理をステップS85に移行させる。
【0300】
<ステップS841>
ステップS841において、前記表示制御部113は、前記ステップS731と同様に、前記未割当状態である旨を、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に表示させる(
図24(B)参照)。その後、前記表示制御部113は、処理を前記ステップS81に戻すと共に、前記表示制御処理を前記ステップS61から再開する。
【0301】
<ステップS85>
一方、ステップS85において、前記表示制御部113は、前記ステップS74と同様に、前記未割当状態である旨を、前記可変カセット22の前記表示部25及び前記状態表示灯27に表示させる(
図24(A)参照)。その後、前記表示制御部113は、処理を前記ステップS81に戻すと共に、前記表示制御処理を前記ステップS61から再開する。
【0302】
以上説明したように、前記薬品払出装置400では、前記例外表示機能により、前記異常の発生又は前記処方データの削除などのような例外的な状況が発生した場合に、その旨を前記表示部25及び前記状態表示灯27に表示させることが可能である。従って、前記例外的な状況が発生した場合に、ユーザーに前記可変カセット22の確認作業を促すことができる。
【0303】
[表示状態の遷移例]
ここで、
図30及び
図31を参照しつつ、前記薬品払出装置400における前記可変カセット22の状態と前記表示部25の表示内容との関係の具体例について説明する。ここに、
図30は、前記可変カセット22の状態及び前記表示部25の表示内容の遷移を示す遷移表であり、
図31は、前記遷移表の各状態における前記表示部25の具体的な表示例を示す図である。
【0304】
図30の遷移表に示すように、前記可変カセット22の状態は、大別すると状態ST0~状態ST10の11段階に分類され、前記状態ST0~ST10ごとに前記表示部25及び前記状態表示灯27の表示内容が割り当てられている。
【0305】
具体的に、前記状態ST0は、前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられていない「登録なし」の状態である。前記状態ST0に対応する前記表示部25の表示内容は「表示なし」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「消灯」である。そして、
図30に示す前記遷移表では、前記状態ST0において、処方データに対応する薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられる「処方登録」の事象が発生した場合に、前記状態ST2に移行する旨が示されている。
【0306】
次に、前記状態ST1は、前記状態ST7、前記状態ST9、又は前記状態ST10において、前記可変カセット22が抜き差しされ、前記可変カセット22内の残薬がないことが確認された状態である。また、前記状態ST1では、前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられていない「登録なし」の状態である。前記状態ST1に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(A)の表示例に対応する「(A)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「消灯」である。そして、前記状態ST1において、処方データに対応する薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられる「処方登録」の事象が発生した場合に、前記状態ST2に移行する旨が示されている。
【0307】
また、前記状態ST2は、前記可変カセット22に薬品が補充されるまでの「補充待ち」の状態である。前記状態ST2に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(B)の表示例に対応する「(B)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「緑点滅」である。そして、前記状態ST2において、前記薬品払出装置400の電源がリセットされる「電源起動」の事象が発生した場合は前記状態ST10に移行する。なお、「電源起動」については、他の前記状態ST3~ST6及び前記状態ST8についても同様である。また、前記可変カセット22が抜き差しされて薬品が補充されたと判断する「薬品補充」の事象が発生した場合は前記状態ST3に移行する。さらに、前記可変カセット22に割り当てられた薬品が含まれる処方データが削除された「処方削除」の事象が発生した場合は前記状態ST9に移行する。なお、「処方削除」については、他の前記状態ST3~ST5及び前記状態ST8についても同様である。
【0308】
前記状態ST3は、前記可変カセット22を使用した分包処理が実行されている「払い出し中」の状態である。前記状態ST3に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(B)の表示例に対応する「(B)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「緑点灯」である。そして、前記状態ST3において、前記可変カセット22の薬品が不足する「欠品発生」の事象が発生した場合は前記状態ST5に移行する。一方、前記状態ST3において、前記可変カセット22からの薬品の払い出しが完了する「払い出し完了」の事象が発生すると、前記残薬回収処理が実行される場合には前記状態ST6に移行し、前記残薬回収処理が実行されない場合には前記状態ST7に移行する。
【0309】
前記状態ST4は、前記状態ST7において、前記同種継続機能及び前記異種継続機能の少なくとも一方が有効であって、前回と同じ薬品が割り当てられる「連続処方登録」の事象が発生した状態である。また、前記状態ST4では、前記可変カセット22を使用した分包処理が実行されている「払い出し中」の状態である。前記状態ST4に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(F)の表示例に対応する「(F)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「緑点灯」である。そして、前記状態ST4では、前記状態ST3と同様に状態が移行する。
【0310】
前記状態ST5は、前記可変カセット22の薬品が不足した後に薬品が補充されるまでの「欠品補充待ち」の状態である。前記状態ST5に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(C)の表示例に対応する「(C)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「緑点滅」である。そして、前記状態ST5において、「薬品補充」の事象が発生した場合、前記状態ST5の前段が前記状態ST3であった場合は前記状態ST3に戻り、前記状態ST5の前段が前記状態ST4であった場合は前記状態ST4に戻る。
【0311】
前記状態ST6は、前記可変カセット22について前記残薬回収処理が実行されている「自動回収中」の状態である。前記状態ST6に対応する前記表示部25の表示内容は、前記状態ST6の前段が前記状態ST3であった場合は
図31(B)の表示例に対応する「(B)」であり、前記状態ST6の前段が前記状態ST4であった場合は
図31(F)の表示例に対応する「(F)」であって、いずれも前記状態表示灯27の点灯内容は「橙点灯」である。そして、前記状態ST6において、前記残薬回収処理が終了する「自動回収完了」の事象が発生した場合は前記状態ST7に移行する。
【0312】
前記状態ST7は、前記可変カセット22を使用する分包処理が完了した「分包完了」の状態である。なお、前記状態ST7の状態では、前記可変カセット22の抜き差しが未実施の状態である。前記状態ST7に対応する前記表示部25の表示内容は、前記残薬回収処理が正常に終了した場合には
図31(D)の表示例に対応する「(D)」であり、最大回収可能錠数が回収されたために前記残薬回収処理が終了した場合には、
図31(H)の表示例に対応する「(H)」であって、いずれも前記状態表示灯27の点灯内容は「橙点灯」である。
【0313】
前記状態ST7では、前記可変カセット22が抜き差しされ、前記可変カセット22内の残薬がないことが確認された「カセット内残薬確認」の事象が発生した場合、前記表示部25の待機中の表示パターンとして前記前回薬品表示設定の無効(「X」)又は有効(「Y」)に応じて、前記状態ST0又は前記状態ST1に移行する。
【0314】
また、前記状態ST7では、前記可変カセット22に割り当てられた薬品と同じ薬品が前記薬品カセット22に割り当てられる処方データが発行される「連続処方登録(前回と同じ薬品)」の事象が発生した場合は、前記同種継続機能及び前記異種継続機能の有効又は無効に応じて状態が遷移する。具体的に、前記同種継続機能及び前記異種継続機能の少なくとも一方が有効である場合「(b)、(c)」は前記状態ST4に移行する。一方、前記同種継続機能及び前記異種継続機能が共に「無効」である場合「(a)」は前記状態ST7が継続する。
【0315】
一方、前記状態ST7では、前記可変カセット22に割り当てられた薬品と異なる薬品が前記薬品カセット22に割り当てられる処方データが発行される「連続処方登録(前回と違う薬品)」の事象が発生した場合も、前記同種継続機能及び前記異種継続機能の有効又は無効に応じて状態が遷移する。具体的に、前記異種継続機能が有効である場合「(c)」は前記状態ST8に移行する。一方、前記異種継続機能が「無効」である場合「(a)、(b)」は前記状態ST7が継続する。
【0316】
前記状態ST8は、前記状態ST7において前記可変カセット22に割り当てられた薬品が補充されるまでの「補充待ち」の状態である。前記状態ST8に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(E)の表示例に対応する「(E)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「橙点灯」である。そして、前記状態ST8において、「薬品補充」の事象が発生した場合は前記状態ST3に移行する。
【0317】
前記状態ST9は、「処方削除」の事象が発生した後、前記可変カセット22が抜き差しされて前記可変カセット22内の残薬が確認されるまでの「処方削除錠剤確認待ち」の状態である。前記状態ST9に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(G)の表示例に対応する「(G)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「橙点灯」である。そして、前記状態ST9において、「カセット内残薬確認」の事象が発生した場合は、前記前回薬品表示設定の無効(「X」)又は有効(「Y」)に応じて、前記状態ST0又は前記状態ST1に移行する。
【0318】
前記状態ST10は、「電源起動」の事象が発生した後、前記可変カセット22が抜き差しされて前記可変カセット22内の残薬が確認されるまでの「手動回収待ち」の状態である。前記状態ST10に対応する前記表示部25の表示内容は
図31(I)の表示例に対応する「(I)」であり、前記状態表示灯27の点灯内容は「橙点灯」である。そして、前記状態ST10において、「カセット内残薬確認」の事象が発生した場合は、前記前回薬品表示設定の無効(「X」)又は有効(「Y」)に応じて、前記状態ST0又は前記状態ST1に移行する。
【0319】
[固定カセット表示機能]
また、
図16に示すように、前記固定カセット21各々に表示部291及び状態表示灯292が設けられており、前記表示制御部113が、前記表示部291及び前記状態表示灯292の表示を制御する固定カセット表示機能を有することが考えられる。なお、前記表示部291及び前記状態表示灯292は、前記固定カセット21各々に対応して、前記固定カセット21が装着される前記装着部211に設けられることも考えられる。ここに、前記表示部291が薬品特定表示手段の一例である。
【0320】
前記表示部291は、前記表示部25と同様に、前記固定カセット21の前面に設けられた電子ペーパーである。なお、前記表示部291は、液晶表示パネルなどであってもよい。前記状態表示灯292は、前記表示部291と共に前記固定カセット21の前面に設けられ、前記固定カセット21の使用状態を発光色又は発光態様によって表示するために使用されるLEDのような光源である。前記発光態様は、例えば消灯、点灯又は点滅などの状態を含む。そして、前記表示制御部113は、前記固定カセット21の使用状態に応じて前記状態表示灯292の表示を変更する。
【0321】
このように構成された前記薬品払出装置400では、前記表示制御部113が、前記表示部291に予め設定された各種の情報を必要に応じて表示させることが可能である。ここに、前記表示処理を実行するときの前記表示制御部113が特定表示制御手段の一例である。前記各種の情報には、前記固定カセット21に収容される薬品に関する情報であって、薬品の識別情報、残量、ロット番号、及び有効期限などが含まれる。前記薬品の識別情報は、薬品名、薬品コード、JANコード(バーコード)、RSSコード(GS1データバー)、又はQRコード(登録商標)などである。なお、JANコード(バーコード)、RSSコード(GS1データバー)、又はQRコード(登録商標)に、前記薬品のロット番号又は有効期限などの情報が含まれることも考えられる。これにより、ユーザーは、前記固定カセット21に収容されている薬品について前記薬品の識別情報、残量、ロット番号、及び有効期限などを容易に確認することができる。
【0322】
特に、前記表示制御部113は、前記固定カセット21に収容されている薬品の残量を前記表示部291に表示可能であることが望ましい。例えば、前記表示制御部113は、前記固定カセット21への薬品の充填時に、前記操作部14のユーザー操作などによる充填量の入力を受け付ける。なお、前記固定カセット21に充填する薬品の元薬瓶などの収容容器に記載されたバーコードが前記バーコードリーダー7によって読み取られた場合に、前記表示制御部113が、前記バーコードの情報に含まれた薬品量を前記充填量として受け付けることも考えられる。ここに、前記充填量の入力を受け付けるときの前記表示制御部113が充填量受付手段の一例である。
【0323】
そして、前記表示制御部113は、前記充填量に応じて、前記表示部291に表示される前記薬品の残量を増加させる。例えば、前記固定カセット21の現在の薬品の残量が0である場合には、前記充填量が前記薬品の残量として前記表示部291に表示される。また、前記固定カセット21の薬品の残量が0でない場合には、前記表示制御部113は、その薬品の残量に前記充填量を加算した値を前記薬品の残量として前記表示部291に表示させる。
【0324】
一方、前記表示制御部113は、前記固定カセット21から払い出された錠剤を光学式センサーなどを用いて検出してカウントするカウンター(特定計数手段の一例)から薬品の払出量を取得する。なお、前記表示制御部113が、前記薬品払出装置400で発行された前記処方データに基づいて、前記固定カセット21からの薬品の払出量を取得することも考えられる。そして、前記表示制御部113は、前記払出量に応じて、前記表示部291に表示される前記薬品の残量を減少させる。これにより前記固定カセット21の前記表示部291に現時点の薬品の残量が表示される。
【0325】
[散薬カセット表示機能]
また、
図16に示すように、前記薬品払出装置400では、前記散薬供給ユニット3が、予め充填された散薬を払出可能な複数の散薬カセット33を備えることも考えられる。このように構成された前記薬品払出装置400では、前記散薬カセット33各々から散薬を自動的に払い出すことが可能であるため、ユーザーによる散薬の計量及び散薬の投入の手間などが軽減される。
【0326】
具体的には、前記散薬供給ユニット3が、カセット載置部、カセット移動機構、及び散薬払出機構を更に備えることが考えられる。前記カセット載置部には、複数の前記散薬カセット33が載置される。前記カセット移動機構は、前記散薬カセット33のうち前記処方データの入力に応じて前記払出制御部111によって選択される前記散薬カセット33を前記カセット載置部から前記散薬供給ユニット3の前記投入部31又は前記投入部32に移動させる。前記カセット移動機構は、例えば前記散薬カセット33を把持して移動させるロボットアームである。前記散薬払出機構は、前記散薬カセット33各々から払い出される散薬の量を測定しつつ散薬を払い出す。前記散薬払出機構は、前記散薬カセット33を振動させることにより前記散薬カセット33から散薬を所定量ずつ払い出す振動フィーダーと、前記振動フィーダーで搬送される前記散薬の量を計量する秤量部とを含む。
【0327】
また、
図16に示すように、前記散薬カセット33各々に表示部331及び状態表示灯332が設けられており、前記表示制御部113が、前記表示部331及び前記状態表示灯332の表示を制御する散薬カセット表示機能を有することが考えられる。なお、前記表示部331及び前記状態表示灯332は、前記散薬カセット33各々に対応して、前記散薬カセット33が装着される装着部に設けられることも考えられる。
【0328】
前記表示部331は、前記表示部25と同様に、前記散薬カセット33の前面に設けられた電子ペーパーである。なお、前記表示部331は、液晶表示パネルなどであってもよい。前記状態表示灯332は、前記表示部331と共に前記散薬カセット33の前面に設けられ、前記散薬カセット33の使用状態を発光色又は発光態様によって表示するために使用されるLEDのような光源である。前記発光態様は、例えば消灯、点灯又は点滅などの状態を含む。そして、前記表示制御部113は、前記散薬カセット33の使用状態に応じて前記状態表示灯332の表示を変更する。
【0329】
このように構成された前記薬品払出装置400では、前記表示制御部113が、前記表示部331に予め設定された各種の情報を必要に応じて表示させることが可能である。ここに、前記表示処理を実行するときの前記表示制御部113も表示制御手段の一例である。前記各種の情報には、前記散薬カセット33に収容される薬品に関する情報であって、薬品の識別情報、残量、ロット番号、及び有効期限などが含まれる。前記薬品の識別情報は、薬品名、薬品コード、JANコード(バーコード)、RSSコード(GS1データバー)、又はQRコード(登録商標)などである。なお、JANコード(バーコード)、RSSコード(GS1データバー)、又はQRコード(登録商標)に、前記薬品のロット番号又は有効期限などの情報が含まれることも考えられる。
【0330】
特に、前記表示制御部113は、前記散薬カセット33に収容されている薬品の残量を前記表示部331に表示可能であることが望ましい。例えば、前記表示制御部113は、前記散薬カセット33への薬品の充填時に、前記操作部14のユーザー操作などによる充填量の入力を受け付ける。なお、前記散薬カセット33に充填する薬品の元薬瓶などの収容容器に記載されたバーコードが前記バーコードリーダー7によって読み取られた場合に、前記表示制御部113が、前記バーコードの情報に含まれた薬品量を前記充填量として受け付けることも考えられる。ここに、前記充填量の入力を受け付けるときの前記表示制御部113が充填量受付手段の一例である。
【0331】
そして、前記表示制御部113は、前記充填量に応じて、前記表示部331に表示される前記薬品の残量を増加させる。例えば、前記散薬カセット33の現在の薬品の残量が0である場合には、前記充填量が前記薬品の残量として前記表示部331に表示される。また、前記散薬カセット33の薬品の残量が0でない場合には、前記表示制御部113は、その薬品の残量に前記充填量を加算した値を前記薬品の残量として前記表示部331に表示させる。
【0332】
一方、前記表示制御部113は、前記散薬カセット33から払い出された散薬の払出量を前記散薬払出機構から取得する。なお、前記表示制御部113が、前記薬品払出装置400で発行された前記処方データに基づいて、前記散薬カセット33からの散薬の払出量を取得することも考えられる。そして、前記表示制御部113は、前記払出量に応じて、前記表示部331に表示される前記薬品の残量を減少させる。
【0333】
[残薬再利用機能]
前記薬品払出装置400では、前記残薬回収処理が実行されることにより、前記可変カセット22から必要量の薬品が払い出された後も前記可変カセット22に薬品が残存している場合に、その残薬を回収することが可能である。特に、前記薬品払出装置400では、前記制御部61が、前記残薬回収処理において、前記分包ユニット5を用いて前記可変カセット22各々の薬品を薬品種別ごとに異なる前記分包紙52に収容させる。具体的には、一つの前記可変カセット22の薬品が一つの前記分包紙52に収容して回収される。従って、前記残薬回収処理では、前記処方データについての薬品の払い出し時に使用された前記可変カセット22の数と同数の前記分包紙52が出力される。以下、前記可変カセット22から回収される残薬が収容される前記分包紙52を回収包521と称する。なお、ユーザーは、前記薬品払出装置400の近傍に設けられた容器などに前記回収包521を収容する。
【0334】
そして、前記薬品払出装置400は、以下で説明するように、前記残薬回収処理により前記回収包521に回収された残薬の再利用を支援する残薬再利用機能を有する。具体的に、前記薬品払出装置400では、
図16に示すように、前記制御部11が、前記残薬回収処理により前記分包紙52に回収された薬品の再利用を支援するための処理を実行する残薬制御部114を含む。なお、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12などの記憶手段に予め記憶されている各種のプログラムに従った処理を実行することにより、前記残薬制御部114として機能する。ここに、前記残薬制御部114が残薬制御手段の一例である。
【0335】
また、
図16に示すように、前記薬品払出装置400は、前記制御部11又は前記制御部61からの制御指示に基づいて前記分包ユニット5で使用される前記分包紙52に文字又は画像などの情報を印刷可能なプリンター53(印刷手段の一例)を備える。前記薬品払出装置400では、前記錠剤供給ユニット5から薬品が払い出された後、その薬品が前記分包紙52に収容されるまでの間に、前記プリンター53により前記薬品が収容される前記分包紙52に印刷を行うことが可能である。なお、このような構成は、例えば特開2008-62945号公報にも開示されている。
【0336】
具体的に、前記錠剤供給ユニット5には、前記固定カセット21又は前記可変カセット22から払い出される薬品を前記分包ユニット5の前段で一時的に貯留する一又は複数のバッファ部が設けられている。そして、前記制御部61は、前記固定カセット21又は前記可変カセット22から薬品が払い出された後、前記固定カセット21又は前記可変カセット22からの前記薬品の払出量などの情報を前記プリンター53によって前記分包紙52に印刷させる。その後、前記制御部61は、前記分包ユニット5を制御することにより、前記分包紙52が前記分包ユニット5における前記薬品の投入部に搬送されたときに前記バッファ部で待機していた前記薬品を前記分包紙52で包装させる。
【0337】
このとき、前記制御部61は、前記残薬回収処理により前記可変カセット22から前記回収包521に収容される前記薬品の薬品名、薬品コード、JANコード(バーコード)、回収量、及び回収No.などの情報を、前記プリンター53を用いて前記回収包521に印刷させる。これにより、ユーザーは、前記回収包521に収容された薬品又は回収量を容易に把握することができる。ここに、前記薬品名、前記薬品コード、及び前記JANコードは、前記薬品を識別するための識別情報の一例である。なお、前記JANコードは、前記薬品の識別情報を示す一次元コードの一例であり、前記JANコードに代えてRSSコード(GS1データバー)のような一次元コード、又はQRコード(登録商標)のような二次元コードを用いてもよい。また、前記制御部61は、前記薬品の回収量を、前記残薬回収処理において前記可変カセット22から払い出される薬品を計数する前記カウンターから取得する。なお、前記回収No.は、例えば前記制御部61により前記回収包521に対して連番で割り当てられる数字である。このように前記プリンター53を用いて前記回収包521に情報を印刷するための印刷処理を実行するときの前記制御部61が印刷制御手段の一例である。
【0338】
ここに、
図32(A)は、一つの前記処方データについて前記薬品払出装置400から出力される前記薬包シート51の印刷結果の一例を示す図である。
図32(A)に示すように、前記薬包シート51のうち前記処方データに基づいて分包された薬品が収容される前記分包紙52には、患者名、服用時期、薬品名、及び薬品数が印刷されている。また、前記薬包シート51のうち最初の前記分包紙52には、前記処方データに基づいて前記薬包シート51の前記分包紙52各々に分包された薬品の鑑査を行うための検薬印字情報522が印刷されている。
【0339】
そして、前記薬包シート51の最後には、前記処方データの薬品の払い出し時に使用された前記可変カセット22の数と同数の前記回収包521が含まれる。前記回収包521各々には、前記回収包521を識別するための回収No.と、前記可変カセット22から回収された残薬が収容されている旨を示す「回収包」の文字列とが印刷されている。また、前記回収包521には、前記回収包521に収容された残薬に対応する薬品名、前記残薬に対応するJANコードを示すバーコード、及び前記回収包521に収容された前記残薬の回収量が印刷されている。例えば、
図32(A)に示すように、前記回収No.が「1」である前記回収包521には、前記残薬の薬品名として「薬品M1」が印刷されており、前記回収量として「4錠」が印刷されている。同様に、前記回収No.が「2」である前記回収包521には、前記残薬の薬品名として「薬品M2」が印刷されており、前記回収量として「3錠」が印刷されている。
【0340】
以下、
図33を参照しつつ、前記残薬制御部114により実行される残薬制御処理の手順の一例について説明する。前記残薬制御処理は、前記制御部11により実行される前記薬品払出処理、前記次処方割当処理、前記表示制御処理、及び前記例外表示処理などの他の処理と略並行して実行される。
【0341】
なお、前記残薬再利用機能を有する前記薬品払出装置400では、前記薬品払出処理及び前記分包制御処理(
図11参照)における前記ステップS10、前記ステップS16、及び前記ステップS17が省略される。そして、前記薬品払出装置400では、前記払出制御部111が、前記ステップS7における前記分包動作の開始要求時に前記残薬回収処理の有無を通知する。また、前記制御部61は、前記残薬回収処理を実行する旨の通知を前記払出制御部111から受信した場合、前記ステップS14における前記分包動作に連続して前記残薬回収処理を実行する。そして、前記制御部61は、前記残薬回収処理において前記可変カセット22各々から払い出された残薬の薬品名、薬品コード、及び前記回収包521の包数を残薬情報として前記制御部11に送信する。なお、前記制御部61は、前記残薬回収処理において前記可変カセット22各々から残薬が払い出されなかった場合には、前記残薬情報を前記制御部11に送信しないことが考えられる。
【0342】
<ステップS91>
まず、ステップS91において、前記残薬制御部114は、前記制御部61からの前記残薬情報の受信を待ち受ける(S91のNo側)。そして、前記残薬制御部114は、前記残薬情報を受信すると(S91のYes側)、処理をステップS92に移行させる。
【0343】
<ステップS92>
ステップS92において、前記残薬制御部114は、前記残薬情報を前記残薬回収処理により回収された前記薬品に関する回収情報123として前記記憶部12に記憶させる。ここに、前記記憶処理を実行するときの前記残薬制御部114が記憶制御手段の一例である。なお、前記回収情報123には、前記薬品払出装置400において、前記残薬回収処理で回収された後、未使用のまま残っている前記回収包521の情報が含まれる。ここに、
図34(A)には、前記回収情報123の一例が示されている。
図34(A)に示す前記回収情報123には、未使用の前記回収包521の回収No.と、未使用の前記回収包521に収容されている残薬の薬品コードと、前記残薬の薬品名とが含まれる。これにより、前記残薬制御部114は、前記回収情報123に基づいて、薬品種別ごとに前記回収包521の有無及び前記回収包521の包数を判断することができる。具体的に、
図34(A)に示す例では、薬品名「薬品M1」の前記回収包521が2包、薬品名「薬品M2」の前記回収包521が1包残っていることがわかる。
【0344】
<ステップS93>
そして、ステップS93において、前記残薬制御部114は、前記回収情報123を前記モニター13に表示させる。ここに、前記回収情報123に関する情報を表示するための表示処理を実行するときの前記残薬制御部114が回収情報表示手段の一例である。具体的に、前記残薬制御部114は、前記回収情報123に基づいて、未使用の前記回収包521の情報を示す回収包モニター画面131を前記モニター13に表示させる。なお、前記回収包モニター画面131は、後述の分包モニター画面132(
図36参照)に重ねてポップアップ表示されてもよい。また、前記残薬制御部114は、前記分包モニター画面132(
図36参照)に前記回収情報123を表示させるために設けられた操作キーの操作に応じて、前記回収情報123を示す前記回収包モニター画面131を前記モニター13に表示可能である。これにより、ユーザーは、前記回収情報123を参照して、前記可変カセット22に薬品を充填する際に、前記回収包521の薬品を使用することができるか否かを判断することができる。
【0345】
ここに、
図35(A)及び
図35(B)は、前記回収包モニター画面131の一例を示す図である。具体的に、
図35(A)に示す前記回収包モニター画面131では、同種の残薬ごとに、前記残薬の薬品コード及び薬品名と、前記残薬が収容された前記回収包521の包数とが表示されている。ここで、前記残薬のいずれかが選択されて操作キーK1が操作されると、前記残薬制御部114は、
図35(B)に示す前記回収包モニター画面131を表示させる。
図35(B)に示す前記回収包モニター画面131では、同種の残薬が収容された前記回収包521ごとに、前記回収包521の回収No.と、前記残薬の薬品コード及び薬品名と、前記残薬が収容された前記回収包521の包数とが表示されている。
【0346】
なお、前記残薬制御部114は、
図35(A)及び
図35(B)の前記回収包モニター画面131に表示されている操作キーK2が操作された場合は、前記回収包モニター画面131を閉じる。また、
図35(B)の前記回収包モニター画面131に表示されている前記回収包521のいずれかが選択された後、前記操作キーK1が操作されると、前記残薬制御部114は、その選択された前記回収包521に関する詳細情報を表示させる。例えば、前記回数包521に関する詳細情報には、前記残薬が回収されたときの前記処方データの識別情報(処方IDなど)、前記処方データの患者名、前記残薬の回収時期、前記残薬のロット番号、及び前記残薬の有効期限などが含まれる。
【0347】
<ステップS94>
ステップS94において、前記残薬制御部114は、前記薬品払出処理(
図11参照)で薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられたか否かを判断する。ここで、前記残薬制御部114は、薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられたと判断すると(S94のYes側)、処理をステップS95に移行させる。一方、前記残薬制御部114は、薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられるまでの間は(S94のNo側)、処理を前記ステップS91に戻す。
【0348】
<ステップS95>
ステップS95において、前記残薬制御部114は、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記回収包521が存在するか否かを、前記記憶部12に記憶されている前記回収情報123に基づいて判断する。ここに、前記判断処理を実行するときの前記残薬制御部114が判断手段の一例である。そして、前記残薬制御部114は、前記薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記回収包521が存在すると判断すると(S95のYes側)、処理をステップS96に移行させる。また、前記残薬制御部114は、前記薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記回収包521が存在しないと判断すると(S95のNo側)、処理を前記ステップS91に戻す。
【0349】
<ステップS96>
ステップS96において、前記残薬制御部114は、前記処方データの情報が表示される処方表示部1321を含む分包モニター画面132に、前記薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記回収包521の存在を示す残薬表示部1322を表示させる。これにより、ユーザーは、前記可変カセット22に薬品を充填する際に、前記回収包521の薬品を使用することができるか否かを容易に判断することができる。即ち、前記薬品払出装置400では、前記可変カセット22への薬品の充填時における前記回収包521の薬品の再利用が支援される。なお、前記残薬表示部1322を表示するための表示処理を実行するときの前記残薬制御部114も回収情報表示手段の一例である。
【0350】
ここに、
図36は、前記分包モニター画面132の一例を示す図である。前記処方表示部1321には、発行された分包対象の前記処方データの内容として患者ID、患者名、診療科、包数、及び前記可変カセット22を使用する薬品数(FT薬品数)などの情報が表示される。また、前記残薬表示部1322には、前記処方データに含まれる薬品情報のうち未使用の前記回収包521と同種の薬品に対応する薬品情報が表示される。なお、前記処方データに、未使用の前記回収包521と同種の薬品に対応する薬品情報が複数含まれる場合には、前記残薬表示部1322に複数の薬品情報が表示される。
【0351】
<ステップS97>
ステップS97において、前記残薬制御部114は、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報のうち未使用の前記回収包521と同種の薬品に対応する薬品情報について、その未使用の前記回収包521を使用するか否かをユーザーに選択させるための使用確認画面133を前記モニター13に表示させる。例えば、前記使用確認画面133は、前記分包モニター画面132の表示中にポップアップ画面として表示される。なお、前記残薬制御部114が、前記残薬表示部1322に表示された前記薬品情報の選択操作が行われた場合に、前記使用確認画面133を表示させることも他の実施形態として考えられる。また、前記残薬制御部114は、前記回収包521が複数存在する場合には、前記回収包モニター画面131(
図35(B)参照)と同様の回収包選択画面を表示させ、前記回収包521をユーザーに選択させることも考えられる。
【0352】
ここに、
図37(A)は、前記使用確認画面133の一例を示す図である。
図37(A)に示す前記使用確認画面133には、前記可変カセット22で使用する薬品が前記回収包521として残っている旨のメッセージと、前記回収包521を使用するか否かの回答を求めるメッセージとが表示されている。また、前記使用確認画面133には、前記回収包521の使用の有無を選択するための操作キーK11及び操作キーK12が表示されている。
【0353】
<ステップS98>
そして、ステップS98において、前記残薬制御部114は、ユーザーによる前記回収包521の使用の有無の回答操作に応じて処理を分岐する。具体的に、前記残薬制御部114は、前記操作キーK11が操作されることにより前記回収包521を使用することが選択されたと判断すると(S98のYes側)、処理をステップS99に移行させる。また、前記残薬制御部114は、前記操作キーK12が操作されることにより前記回収包521を使用しないことが選択されたと判断すると(S98のNp側)、処理を前記ステップS91に移行させる。
【0354】
<ステップS99>
ステップS99において、前記残薬制御部114は、前記回収包521の照合作業を支援するための照合画面134を前記モニター13に表示させる。ここに、
図37(B)は、前記照合画面134の一例を示す図である。
図37(B)に示す前記照合画面134には、前記回収包521を照合するための手順が表示されている。具体的に、前記照合画面134には、まず前記可変カセット22の前記表示部25に表示されている前記バーコードを読み取り、その後に前記回収包521に印刷されている前記バーコードを読み取る必要がある旨が表示されている。これにより、ユーザーは、前記バーコードリーダー7を用いて前記表示部25に表示された前記バーコード及び前記回収包521に印刷されている前記バーコードを順に読み取らせる。
【0355】
<ステップS100>
ステップS100において、前記残薬制御部114は、前記バーコードリーダー7による前記バーコードからの情報の読み取りを待ち受ける(S100のNo側)。ここで、前記残薬制御部114は、前記バーコードリーダー7により前記バーコードから情報が読み取られたと判断すると(S100のYes側)、処理をステップS101に移行させる。
【0356】
<ステップS101>
ステップS101において、前記残薬制御部114は、前記バーコードから読み取られた情報に基づいて特定される薬品コード及び薬品名を、前記照合画面134の薬品コード及び薬品名の表示欄に表示させる。
【0357】
<ステップS102>
ステップS102において、前記残薬制御部114は、前記バーコードリーダー7による前記バーコードからの情報の読み取りを再度待ち受ける(S102のNo側)。ここで、前記残薬制御部114は、前記バーコードリーダー7により前記バーコードから情報が読み取られたと判断すると(S102のYes側)、処理をステップS103に移行させる。
【0358】
<ステップS103>
ステップS103において、前記残薬制御部114は、前記ステップS100で読み取られた前記バーコードが示す薬品情報と、前記ステップS102で読み取られた前記バーコードが示す薬品情報とが一致するか否かを照合する。ここに、前記照合処理を実行するときの前記残薬制御部114が照合手段の一例である。なお、前記残薬制御部114が、前記バーコードリーダー7を用いて順不同で読み取られた二つの前記バーコードから読み取られた薬品情報が一致するか否かを判断することも考えられる。
【0359】
また、前記表示部25に表示される前記バーコードが示す情報と前記回収包521に印刷される前記バーコードが示す情報とがそれぞれを識別可能な情報を含むことも考えられる。この場合、前記残薬制御部114は、前記バーコードリーダー7により読み取られた前記バーコードが前記表示部25又は前記回収包521のいずれから読み取られたかを判断可能である。例えば、前記残薬制御部114が、前記バーコードリーダー7により前記回収包521の前記バーコードが先に読み取られた場合にエラーを表示させることが考えられる。
【0360】
さらに、前記ステップS103において、前記残薬制御部114が、前記ステップS102で読み取られた前記バーコードに含まれた前記回収No.が前記回収情報123に記憶されていること、即ち前記回収No.に対応する前記回収包521が未使用であることを確認することも考えられる。また、前記残薬制御部114は、前記回収No.に対応する前記回収包521に収容された薬品のロット番号又は有効期限などの情報に基づいて前記回収包521が現時点で使用可能であることを確認することも考えられる。そして、前記残薬制御部114が、前記回収包521が使用済である場合、又は前記回収包521が使用可能でない場合に、前記モニター13にその旨を表示させてユーザーに報知することが考えられる。
【0361】
<ステップS104>
そして、ステップS104において、前記残薬制御部114は、前記ステップS103の照合結果に応じて処理を分岐する。具体的に、前記残薬制御部114は、前記照合結果が一致である場合(S104のYes側)、処理をステップS105に移行させる。また、前記照合結果が一致しなかった場合(S104のNo側)、前記残薬制御部114は、前記照合画面134の照合結果の表示欄に「NG」などを表示させた後、処理を前記ステップS97に移行させる。
【0362】
<ステップS105>
ステップS105において、前記残薬制御部114は、前記照合画面134の照合結果の表示欄に「OK」などを表示させ、前記回収包521が使用可能である旨をユーザーに報知する。これにより、ユーザーは、前記回収包521に収容された薬品を前記可変カセット22に充填する。従って、前記可変カセット22に誤った薬品が充填されることが防止される。
【0363】
<ステップS106>
また、ステップS106において、前記残薬制御部114は、前記ステップS102で読み取られた前記バーコードに対応する前記回収包521の情報を前記記憶部12の前記回収情報123から消去する。これにより、前記回収情報123には、未使用の前記回収包521の情報のみが残ることになる。
【0364】
例えば、前記回収情報123及び前記回収包521のバーコードに、前記回収包521各々を識別する前記回収No.のような情報が含まれていない場合、前記残薬制御部114は、前記ステップS102で読み取られた前記バーコードに対応する薬品が収容された前記回収包521の包数を一つ減少させることが考えられる。また、前記残薬制御部114は、前記ステップS92において、前記残薬情報に基づいて、同種の薬品に対応する前記回収包521の包数として前記回収情報123に記憶された数値を加算する。このような簡易的な管理手法によっても前記残薬再利用機能は実現可能である。
【0365】
また、前記回収包521の前記バーコードに前記回収包521の回収No.のような前記回収包521を識別可能な識別情報が含まれている場合、前記残薬制御部114は、前記ステップS106において、前記識別情報に基づいて特定される前記回収包521の情報を前記回収情報123から消去することが可能である。なお、前記残薬制御部114が、前記回収包521の使用後も前記回収包521の情報を使用時期及び使用対象の前記処方データなどの情報と共に履歴として保存することも考えられる。
【0366】
以上説明したように、前記薬品払出装置400では、前記残薬再利用機能により、過去に発行された前記処方データの薬品の払い出し時に前記残薬回収処理で回収された前記回収包521の薬品の再利用を支援することが可能である。従って、例えば前記回収包521の薬品の無駄を防止することができ、前記回収包521の薬品を薬品棚などに設けられた収容容器(箱、瓶など)に戻すユーザーの手間も軽減される。
【0367】
なお、前記残薬再利用機能の適用は、前記処方データの発行により前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられる、前記第1実施形態で説明した前記薬品払出処理(
図11参照)が実行される場合に限らない。例えば、前記残薬再利用機能は、前記第2実施形態及び前記第3実施形態のように前記処方データの発行前に前記可変カセット22に薬品情報が割り当てられる場合にも適用可能である。
【0368】
ところで、前記薬品払出装置400では、前記処方データについて薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22のうち前記残薬回収処理において残薬が払い出されなかった前記可変カセット22についても前記回収包521が出力されることが考えられる。しかしながら、前記薬品払出装置400では、前記可変カセット22から薬品が払い出された後、その薬品が前記回収包521に収容される前に、前記プリンター53により前記回収包521に情報を印刷することが可能である。そこで、前記制御部61は、前記残薬回収処理において残薬が払い出されなかった前記可変カセット22に対応する前記回収包521の出力を省略することも考えられる。これにより、前記回収包521の無駄が防止される。
【0369】
一方、前記薬品払出装置400として、前記可変カセット22から薬品が払い出された後、その薬品が前記回収包521に収容される前に、前記プリンター53によって前記回収包521に情報を印刷させることができない構成も考えられる。この場合、前記プリンター53による印刷時には、前記可変カセット22から払い出される薬品数が不明であるため、前記制御部61は、前記回収包521に対する前記回収量に関する情報の印刷は省略される。また、このような構成では、前記プリンター53による印刷時に前記可変カセット22から残薬が払い出されるか否かも不明であるため、前記薬包シート51には、前記処方データについて薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22の数と同数の前記回収包521が常に付加される。即ち、前記可変カセット22に薬品が残存していない場合、前記可変カセット22に対応する前記回収包521は空包として出力される。
【0370】
また、前記薬品払出装置400では、前記制御部61が、前記残薬回収処理において、前記分包ユニット5を用いて前記可変カセット22各々の薬品を纏めて一つの前記分包紙52に収容させることも可能である。前記残薬回収処理の内容に関する設定は、前記薬品払出装置400の初期設定における前記操作部14のユーザー操作に応じて前記制御部11によって設定される。例えば、前記制御部11は、前記残薬回収処理の内容を、前記可変カセット22各々の薬品を個別に前記分包紙52に分包する手法と、前記可変カセット22各々の薬品を纏めて前記分包紙52に分包する手法とのいずれかを前記操作部14のユーザー操作に応じて選択可能である。
【0371】
ここに、
図32(B)は、一つの前記処方データで使用される一又は複数の前記可変カセット22から回収される残薬が一つの回収包523に収容される場合の前記薬包シート51の一例を示す図である。
図32(B)に示すように、前記回収包523には、前記可変カセット22から回収された残薬が収容されている回収包である旨を示す「回収包」の文字列だけが印刷されている。即ち、前記回収包253には、薬品の薬品名、JANコード、及び回収量などの情報が印刷されない。このように、一つの前記処方データで使用される前記可変カセット22から回収される残薬が常に一つの前記回収包253で回収される構成では、前記回収包253の使用量が抑制される。
【0372】
[残薬制御処理の他の例]
ところで、前記残薬制御処理(
図33参照)において、前記残薬制御部114が、前記回収包521各々に収容されている残薬の錠数を管理することも考えられる。この場合、前記制御部61は、前記残薬回収処理において前記可変カセット22各々から払い出された残薬の薬品名、薬品コード、及び前記回収包521の包数に加えて、前記回収包521各々に収容されている錠数を前記残薬情報として前記制御部11に送信する。なお、前記制御部61は、前記可変カセット22各々から払い出される錠剤を計数する前記カウンターから前記残薬の錠数の情報を取得する。以下、前記回収包521各々に収容されている残薬を錠数単位で管理する場合の前記残薬制御処理の例について説明する。なお、前記残薬制御処理において、前記回収包521各々に収容されている残薬を包数単位で管理する場合と同様の処理について説明を省略する。
【0373】
<ステップS92>
前記残薬制御部114は、前記ステップS92において、前記残薬情報を前記残薬回収処理により回収された前記薬品に関する回収情報123として前記記憶部12に記憶させる。このとき、前記回収情報123には、前記可変カセット22から払い出された残薬の薬品名、薬品コード、前記回収包521の包数、及び前記回収包521各々に収容されている残薬の錠数の情報が含まれる。ここに、
図34(B)は、前記回収情報123の他の例を示す図である。
図34(B)に示す前記回収情報123では、未使用の前記回収包521各々の回収No.と、未使用の前記回収包521各々に収容されている残薬の薬品コード及び薬品名とに加えて、前記回収包521各々に収容された錠数が記憶されている。これにより、前記残薬制御部114は、前記回収情報123に基づいて、前記回収包521に収容された薬品の薬品種別ごとに、前記回収包521の有無、前記回収包521の包数、及び前記回収包521各々に収容された錠数の総数を判断することができる。
【0374】
<ステップS93>
次に、前記残薬制御部114は、前記ステップS93において、前記回収包モニター画面131に、前記回収情報123に基づいて、未使用の前記回収包521の情報として、前記残薬の薬品コード及び薬品名と、前記回収包521に収容された前記残薬の総数とを表示させる。ここに、
図38(A)及び
図38(B)は、前記回収包モニター画面131の他の例を示す図である。具体的に、
図38(A)に示す前記回収包モニター画面131では、前記回収情報123に基づいて、同種の残薬ごとに、前記残薬の薬品コード及び薬品名と、前記回収包521各々に収容されている前記残薬の総錠数とが表示されている。ここで、前記残薬のいずれかが選択されて前記操作キーK1が操作されると、前記残薬制御部114は、
図38(B)に示す前記回収包モニター画面131を表示させる。
図38(B)に示す前記回収包モニター画面131では、同種の残薬が収容された前記回収包521ごとに、前記回収包521の回収No.と、前記残薬の薬品コード及び薬品名と、前記回収包521に収容された前記残薬の錠数とが表示されている。
【0375】
<ステップS95>
前記残薬制御部114は、前記ステップS95において、予め設定された前記回収包521の使用条件に基づいて前記回収包521が使用可能であるか否かを判断することが考えられる。例えば、前記薬品払出装置400では、前記使用条件として、下記の第1使用条件、第2使用条件、及び第3使用条件が予め選択可能であることが考えられる。なお、前記使用条件は、前記薬品払出装置400の初期設定又は前記処方データの発行ごとの動作設定において、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記残薬制御部114が選択する。
【0376】
<第1使用条件>
まず、前記第1使用条件として、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記回収包521が少なくとも一つ存在する旨が定められていることが考えられる。
【0377】
例えば、前記可変カセット22に割り当てられた薬品名「薬品M2」の錠剤が収容されている前記回収包521が存在しない場合、前記残薬制御部114は、前記ステップS95において、前記回収包521が使用可能でないと判断する。一方、前記可変カセット22に割り当てられた薬品名「薬品M2」の錠剤が収容されている前記回収包521が少なくとも1包存在する場合、前記残薬制御部114は、前記ステップS95において、前記回収包521が使用可能であると判断し(S95のYes側)、前記ステップS96において前記使用確認画面133を表示させる。即ち、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報に対応する薬品が収容されている前記回収包521が1包でも存在する場合には、前記回収包521に収容されている薬品の錠数が必要な払出数に達しているか否かにかかわらず前記回収包521が使用可能であると判断される。
【0378】
ここに、
図39(A)は、前記第1使用条件を使用した場合に表示される前記使用確認画面133の一例を示す図である。
図39(A)では、前記使用確認画面133に、前記可変カセット22で使用する薬品が前記回収包521として残っている旨のメッセージと、前記回収包521を使用するか否かの回答を求めるメッセージとが表示されている。また、前記メッセージには、前記可変カセット22について使用可能な前記回収包521の包数(1包)、及び前記回収包521各々の総錠数(4錠)が含まれる。このように前記第1使用条件を使用する場合には、ユーザーに対して前記回収包521を極力使用させることを促して前記回収包521の長期の保存状態を防止することができる。
【0379】
<第2使用条件>
また、前記第2使用条件として、前記第1使用条件に加えて、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記回収包521各々の総錠数が前記処方データに示された薬品の払出量(処方量)に達している旨が定められていることが考えられる。
【0380】
例えば、前記処方データに含まれた前記薬品情報のうち前記可変カセット22に割り当てられた薬品名「薬品M1」の薬品情報に対応する払出量が9錠であり、前記回収包521各々に収容されている薬品名「薬品M1」の薬品の総錠数が8錠である場合、前記残薬制御部114は、前記ステップS95において、前記回収包521が使用可能でないと判断する。
【0381】
一方、前記処方データに含まれた前記薬品情報のうち前記可変カセット22に割り当てられた薬品名「薬品M1」の薬品情報に対応する払出量が9錠であり、前記回収包521各々に収容されている薬品名「薬品M1」の薬品の総錠数が12錠である場合、前記残薬制御部114は、前記ステップS95において、前記回収包521が使用可能であると判断し、前記ステップS96において前記使用確認画面133を表示させる。即ち、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報に対応する薬品が収容されている前記回収包521が存在し、且つ前記回収包521に収容されている薬品の錠数が必要な払出数に達していることを条件に、前記回収包521が使用可能であると判断される。
【0382】
ここに、
図39(B)は、前記第2使用条件を使用した場合に表示される前記使用確認画面133の一例を示す図である。
図39(B)では、前記使用確認画面133に、前記可変カセット22で使用する薬品が前記回収包521として残っている旨のメッセージと、前記回収包521を使用するか否かの回答を求めるメッセージとが表示されている。また、前記メッセージには、前記可変カセット22について使用可能な前記回収包521の包数(3包)、及び前記回収包521各々の総錠数(12錠)が含まれる。
【0383】
このように、前記第2使用条件を使用する場合には、一又は複数の前記回収包521を使用することにより前記可変カセット22に充填すべき払出量に達している場合にのみ前記回収包521が使用可能である旨が報知される。従って、例えば前記回収包521を使用しても、結局前記可変カセット22に充填する薬品を薬品棚などから別途取り出す必要がある場合には、前記回収包521の使用が促されず、前記可変カセット22に充填する薬品を薬品棚などから別途取り出す必要がない場合にのみ前記回収用521の使用が促される。
【0384】
<第3使用条件>
さらに、前記第3使用条件として、前記第1使用条件に加えて、前前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された記回収包521各々の総錠数が前記処方データに示された薬品の払出量(処方量)と一致する旨が定められていることが考えられる。
【0385】
例えば、前記処方データに含まれた前記薬品情報のうち前記可変カセット22に割り当てられた薬品名「薬品M1」の薬品情報に対応する払出量が9錠であり、同種の薬品が収容された一又は複数の前記回収包521のうち一又は複数の前記回収包521を組み合わせたときの薬品の総錠数が9錠にならない場合(9錠未満又は10錠以上)、前記残薬制御部114は、前記ステップS95において、前記回収包521が使用可能でないと判断する。
【0386】
一方、前記処方データに含まれた前記薬品情報のうち前記可変カセット22に割り当てられた薬品名「薬品M1」の薬品情報に対応する払出量が9錠であり、同種の薬品が収容された一又は複数の前記回収包521のうち一又は複数の前記回収包521を組み合わせたときの薬品の総錠数が9錠になる場合、前記残薬制御部114は、前記ステップS95において、前記回収包521が使用可能であると判断し、前記ステップS96において前記使用確認画面133を表示させる。即ち、前記可変カセット22に割り当てられた薬品情報に対応する薬品が収容されている前記回収包521が存在し、且つ一又は複数の前記回収包521に収容されている薬品の総錠数が必要な払出数と一致することを条件に、前記回収包521が使用可能であると判断される。
【0387】
ここに、
図39(C)は、前記第3使用条件を使用した場合に表示される前記使用確認画面133の一例を示す図である。
図39(C)では、前記使用確認画面133に、前記可変カセット22で使用する薬品が前記回収包521として残っている旨のメッセージと、前記回収包521を使用するか否かの回答を求めるメッセージとが表示されている。また、前記メッセージには、前記回収包521の包数(3包)、前記回収包521を組み合わせ数(2包)、及びその総錠数(9錠)が含まれる。
【0388】
このように、前記第3使用条件を使用する場合には、一の前記回収包521に収容されている薬品の錠数、又は複数の前記回収包521に収容された薬品の総錠数が、前記可変カセット22に充填すべき払出量と一致する場合にのみ前記回収包521が使用可能である旨が報知される。これにより、一又は複数の前記回収包521を使用した場合に余りが生じる場合には、前記回収包521の使用が促されず、一又は複数の前記回収包521に収容された錠剤を余りなく使用することができる場合にのみ前記回収用521の使用が促される。
【0389】
<第4実施形態>
前記残薬回収処理において、前記可変カセット22内の残薬を前記分包ユニット5を用いて自動的に分包紙に包装して回収することが可能な構成については既に説明した。このような残薬回収処理の実行の要否は、初期設定で予め設定されていることが考えられる。しかしながら、前記可変カセット22内に残存した錠剤の数が多い場合には、多量の分包紙が必要になるため、自動的に分包紙に包装した状態で回収することが望ましくないとも考えられる。以下、第4実施形態では、前記可変カセット22内の錠剤を分包紙に包装して回収する残薬回収処理を実行するか否かを適宜切替可能な構成について説明する。
【0390】
前記可変カセット22に充填される錠剤は、ユーザーによって、錠剤が個別に包装されるPTPシートのような個別包装容器、或いは、多数の錠剤が個別に収容されることなく纏めて収容される薬瓶のような多数包装容器から取り出される。ここで、前記可変カセット22に充填される錠剤が前記個別包装容器に収容されている場合には、今回の払い出しに必要な錠数の錠剤だけが前記個別包装容器から取り出されて前記可変カセット22に充填される可能性が高い。そのため、ユーザーが誤って前記可変カセット22に錠剤を余分に充填した場合でも、前記可変カセット22に残る余分な錠剤の数は少数(例えば1錠又は2錠など)であると考えられる。この場合には、前記可変カセット22内の残薬を1つの分包紙に収容して回収することが可能である。
【0391】
一方、前記可変カセット22に充填される錠剤が前記多数包装容器に収容されている場合には、必要な錠数を数えることなく多数の錠剤を前記多数包装容器から纏めて充填する方がユーザーの作業の手間が軽減される。しかしながら、この場合には、前記可変カセット22から必要数の錠剤が払い出された後、前記可変カセット22に多数の錠剤が残存する可能性が高い。そのため、前記可変カセット22に残存した錠剤を分包紙に収容して回収するためには、多数の分包紙が必要になる。また、一度の前記残薬回収処理で使用する分包紙の数に上限が定められている場合には、その上限数以上の分包紙は消費されない。しかしながら、前記分包紙を用いた回収作業と、その後のユーザーによる前記可変カセット22からの手動による錠剤の回収作業とが共に実行されることになるため作業効率が悪くなる。
【0392】
そこで、前記記憶部12に記憶されている前記医薬品マスターにおいて、各薬品が前記個別包装容器又は前記多数包装容器のいずれに収容されている錠剤であるかに関する情報が予め記憶されていることが考えられる。なお、前記多数包装容器に収容される錠剤はバラ錠とも称される。そして、前記制御部11は、前記可変カセット22に収容される錠剤が前記個別包装容器又は前記多数包装容器のいずれから供給される薬品であるかを前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報と前記医薬品マスターとに基づいて判断する。
【0393】
ここで、前記制御部11は、前記可変カセット22に割り当てられている錠剤が前記個別包装容器から供給される薬品であると判断した場合、前記可変カセット22についての前記残薬回収処理を実行させる。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS10(
図11参照)において、前記残薬回収処理の実行要求を前記制御部61に送信する。これにより、前記可変カセット22の錠剤は分包紙を用いて回収されることになる。このとき、前記可変カセット22内に残存する錠剤の数は少数である可能性が高いため、1つの分包紙によって残薬を回収することが可能である。
【0394】
一方、前記制御部11は、前記可変カセット22に割り当てられている錠剤が前記多数包装容器から供給される薬品であると判断した場合、前記可変カセット22についての前記残薬回収処理を実行させない。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS10(
図11参照)において、前記残薬回収処理の実行要求を前記制御部61に送信しない。このように、前記可変カセット22内に残存する錠剤の数が多数である可能性が高い場合には、前記可変カセット22の錠剤が分包紙を用いて回収されないため、前記分包紙の無駄又は前記残薬回収処理の実行時間の無駄が抑制される。この場合、ユーザーは、前記可変カセット22からの手動により錠剤を回収することになる。
【0395】
このように、前記制御部11は、前記可変カセット22に割り当てられている錠剤が前記個別包装容器及び前記多数包装容器のいずれから供給される錠剤であるかに応じて、前記残薬回収処理の有無を切り替える。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部11が回収切替手段の一例である。なお、前記可変カセット22について前記残薬回収処理が実行されない場合、前記制御部11は、前記可変カセット22に設けられた前記表示部25に、前記可変カセット22内の残薬の確認及び残薬の回収が必要である旨を促す情報を表示させることが考えられる。
【0396】
また、前記可変カセット22に充填された錠剤が前記個別包装容器及び前記多数包装容器のいずれに収容されているかについての判断手法は、前記薬品マスターに基づくものに限らない。例えば、前述したように、前記可変カセット22に錠剤を充填する際に、前記バーコードリーダー7などを用いて、錠剤が収容されている収容容器又はPTPシートに記載されたJANコードなどの識別情報が読み取られることがある。この場合、前記識別情報に、前記錠剤が収容されている容器が前記個別包装容器及び前記多数包装容器のいずれであるかを示す情報が含まれていることも考えられる。従って、前記制御部11は、前記識別情報に基づいて、前記可変カセット22に充填された錠剤が前記個別包装容器及び前記多数包装容器のいずれに収容されているかを判断し、前記可変カセット22について前記残薬回収処理の実行の要否を判断することが考えられる。
【0397】
なお、前記残薬回収処理の実行の要否は、前記分包制御ユニット6の前記制御部61によって判断されてもよい。この場合、前記制御部61が回収切替手段の一例である。例えば、前記制御部61が、前記ステップS16において、前記残薬回収処理の実行要求を受信した場合に、前記可変カセット22に割り当てられている錠剤が前記個別包装容器又は前記多数包装容器のいずれに収容されている錠剤であるかに応じて前記残薬回収処理の実行の有無を切り替えることが考えられる。
【0398】
<実施の形態の概要>
本発明に係る薬品払出装置は、複数の薬品カセット、割当手段、及び駆動制御手段を備える。前記薬品カセットは、任意の種類の錠剤を払出可能である。前記割当手段は、払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を前記薬品カセットのいずれかに割り当てる。前記駆動制御手段は、前記薬品カセットを前記割当手段により割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動させ、前記薬品カセットから薬品を払い出させる。前記薬品は、例えば錠剤である。
【0399】
本発明によれば、任意の種類の錠剤を払い出すためにユーザーは払出対象の錠剤を前記薬品カセットに投入するだけでよいため、従来のように前記手撒きユニットのマス各々に錠剤を投入する場合に比べてユーザーの作業を軽減することができる。また、前記マス各々に錠剤を投入する必要がないため人為的ミスに起因する処方間違いも防止される。
【0400】
例えば、前記薬品払出装置が、前記薬品カセットに設けられた駆動機構に駆動力を伝達する駆動手段を備え、前記駆動制御手段が、前記駆動条件に従って前記駆動手段を制御することにより前記薬品カセットを駆動させることが考えられる。
【0401】
ここで、前記割当手段は、前記割当手段が、処方データにより前記払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を前記薬品カセットのいずれかに割り当てることが考えられる。また、前記薬品払出装置が、前記薬品情報を一次元コード又は二次元コードから読み取るコード読取手段を更に備え、前記割当手段が、前記コード読取手段により前記払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を前記薬品カセットのいずれかに割り当てることも考えられる。
【0402】
ところで、前記薬品払出装置が、予め定められた特定種類の薬品を払出可能な複数の薬品特定カセットを更に備える構成が考えられる。この場合、前記割当手段が、前記払出対象の薬品情報に対応する前記薬品特定カセットが存在しない場合に前記薬品情報を前記薬品カセットのいずれかに割り当てることが考えられる。これにより、前記払出対象の薬品情報が示す薬品が前記薬品特定カセットに収容されている場合に、ユーザーが前記錠剤カセットにその薬品を投入する無駄な作業を防止することができる。
【0403】
さらに、前記薬品払出装置が、分包単位で薬品が投入されるマスが複数設けられた手撒き収容部と、前記マス各々に収容された前記薬品を前記マスごとに払い出す手撒き払出部と、を備える構成が考えられる。この場合、前記割当手段が、前記払出対象の薬品情報に対応する前記薬品特定カセットが存在せず、且つ前記払出対象の薬品情報が予め設定された割当除外薬品情報である場合に、前記薬品カセットへの割り当てを実行することなく前記手撒き収容部を使用すべき旨を表示することが考えられる。また、前記割当手段が、前記払出対象の薬品情報に対応する前記薬品特定カセットが存在するか否かにかかわらず、前記払出対象の薬品情報が予め設定された割当除外薬品情報である場合に、前記薬品カセットへの割り当てを実行することなく前記手撒き収容部を使用すべき旨を表示することも考えられる。
【0404】
また、前記薬品払出装置が、前記薬品情報と前記駆動条件との対応関係を示す駆動対応情報が記憶された駆動対応情報記憶手段を更に備え、前記駆動制御手段が、前記駆動対応情報に基づいて前記払出対象の薬品情報に対応する前記駆動条件を特定することが考えられる。
【0405】
さらに、前記薬品払出装置が、前記薬品カセットと前記薬品情報との割当状態を示す割当情報が記憶される割当情報記憶手段を備え、前記割当手段が、前記割当情報に基づいて未割当の前記薬品カセットに前記払出対象の薬品情報を割り当てることが考えられる。
【0406】
例えば、前記駆動条件は、前記薬品カセットからの薬品の払い出しを開始する前の前記薬品カセットの調整に関する事前駆動条件、前記薬品カセットからの薬品の払い出し中の駆動制御に関する駆動中条件、及び前記薬品カセットからの薬品の払い出しを停止する際の駆動制御に関する駆動停止時条件のいずれか一つ又は複数を含む。
【0407】
そして、前記薬品カセットが、前記薬品が収容された薬品収容部から前記薬品を払い出す払出手段を有してなり、前記駆動中条件が、前記払出手段による前記薬品の払出速度を含むことが考えられる。これにより、前記錠剤を前記錠剤ごとに適した払出速度で払い出すことが可能になる。
【0408】
また、前記薬品カセットが、前記薬品が収容された薬品収容部から前記薬品を払い出す払出経路の高さ及び幅のいずれか一方又は両方を変更する経路調整手段を有してなり、前記事前駆動条件が、前記払出経路の高さ及び幅のいずれか一方又は両方を含むことも考えられる。これにより、例えば前記払出経路を1錠ごとに前記錠剤の払い出しが可能なサイズに変更することで、前記薬品カセットから前記錠剤を1錠ごとに払い出すことが可能になる。
【0409】
さらに、前記薬品カセットが、前記薬品が収容された薬品収容部から払出口に向けて前記薬品を搬送する搬送部材の駆動により前記薬品を払い出す払出手段を有する構成では、前記駆動停止時条件が、前記薬品カセットからの前記薬品の払い出しを停止する際に前記払出手段による前記薬品の搬送方向を逆方向に切り替える逆回転動作の実行の有無に関する条件を含むことが考えられる。これにより、例えば転がりやすい薬品の払い出し時には前記逆回転動作を実行させ、前記払出手段による前記薬品の払い出しの停止時に余分な払い出しを防止することが可能になる。
【0410】
また、前記薬品払出装置が、前記薬品カセット各々に対応して前記薬品カセット又は前記薬品カセットの装着部に設けられた薬品表示手段と、前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報、及び前記薬品カセットの使用状態を示すステータス情報のいずれか一方又は両方を前記薬品カセットに対応する前記薬品表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えることが考えられる。これにより、前記薬品払出装置では、ユーザーは前記薬品表示手段により前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報、及び前記薬品カセットの使用状態を示すステータス情報のいずれか一方又は両方を容易に確認することができる。
【0411】
さらに、前記薬品カセットが前記薬品払出装置に着脱可能であり、前記薬品表示手段が前記薬品カセット各々に設けられた電子ペーパーであることが考えられる。そして、前記表示制御手段が、少なくとも前記薬品情報を前記電子ペーパーに表示させるものあることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記薬品カセットを前記薬品払出装置から取り外した後も前記電子ペーパーの表示により、前記薬品カセットに割り当てられた前記錠剤の情報を確認することができるため、前記錠剤の投入ミスを防止することができる。特に、前記表示制御手段が、前記薬品情報に対応する薬品の払出量を前記電子ペーパーに表示させることが考えられる。
【0412】
また、前記表示制御手段が、前記薬品情報が含まれる処方データに示された患者名を前記電子ペーパーに表示させることも考えられる。さらに、前記表示制御手段が、前記表示制御手段が、前記薬品情報が含まれる処方データに示された前記薬品情報に対応する薬品の払出量に対して前記薬品カセットの薬品が不足する場合に、前記薬品が不足する旨及び前記薬品の不足量のいずれか一方又は両方を前記電子ペーパーに表示させることが考えられる。また、前記表示制御手段が、前記薬品情報に対応する薬品の残量、ロット番号、及び有効期限の少なくとも一つの情報を前記電子ペーパーに表示させることも考えられる。このように各種の情報が前記電子ペーパーに表示されることにより、ユーザーが、前記薬品カセットの装着状態及び未装着状態にかかわらず各種の情報を参照することができ、作業効率が高まる。
【0413】
また、前記薬品払出装置は、前記駆動制御手段による前記薬品カセットからの薬品の払い出し後に、前記薬品カセットを駆動させて前記薬品を払い出させる残薬回収手段を更に備えることが考えられる。これにより、前記薬品カセット内の薬品の残留を防止することができる。
【0414】
ここで、前記薬品払出装置は、前記薬品カセットから供給された前記薬品を予め定められた分包単位で分包紙に収容する分包手段を備える構成が考えられる。この場合、前記残薬回収手段が、前記分包手段を用いて前記薬品カセット各々の薬品を薬品種別ごとに異なる前記分包紙に収容させることが考えられる。これにより、前記薬品が薬品種別ごとに一つの前記分包紙に収容されることになるため、例えばユーザーは、前記薬品を薬品棚などの薬品収容部に戻す作業を容易に行うことができる。
【0415】
また、前記薬品払出装置は、前記分包紙に情報を印刷する印刷手段と、前記残薬回収手段により前記分包紙に収容される前記薬品の識別情報を前記印刷手段を用いて前記分包紙に印刷させる印刷制御手段と、を備えることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記分包紙に収容された前記薬品を容易に把握することができる。
【0416】
さらに、前記薬品払出装置は、前記薬品カセットから払い出される薬品を計数する計数手段を備えることが考えられる。この場合、前記印刷制御手段が、前記残薬回収手段により前記薬品が前記分包紙に収容される際に前記計数手段により計数された前記薬品の回収量と前記薬品の識別情報とを前記印刷手段を用いて前記分包紙に印刷させることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記分包紙に収容された前記薬品の回収量を容易に把握することができる。
【0417】
また、前記薬品払出装置は、前記残薬回収手段により回収された前記薬品に関する回収情報を記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記回収情報を表示させる回収情報表示手段と、を備えることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記回収情報を参照して、前記薬品カセットに薬品を充填する際に、前記残薬回収手段により回収された前記薬品を使用することができるか否かを判断することができる。
【0418】
また、前記薬品払出装置が、前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記分包紙が存在するか否かを前記回収情報に基づいて判断する判断手段を備えることが考えられる。この場合、前記回収情報表示手段が、前記判断手段により前記薬品情報に対応する薬品と同種の薬品が収容された前記分包紙が存在すると判断された場合に前記分包紙の存在を表示させることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記薬品カセットに薬品を充填する際に、前記残薬回収手段により回収された前記薬品を使用することができるか否かを容易に判断することができる。即ち、前記薬品払出装置では、前記薬品カセットへの薬品の充填時における前記分包紙の薬品の再利用が支援される。
【0419】
さらに、前記薬品払出装置は、前記薬品カセット各々に対応して前記薬品カセット又は前記薬品カセットの装着部に設けられた薬品表示手段と、前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報に対応する薬品の識別情報を前記薬品表示手段に表示させる表示制御手段と、前記分包紙に情報を印刷する印刷手段と、前記残薬回収手段により前記分包紙に収容される前記薬品の識別情報を前記印刷手段を用いて前記分包紙に印刷させる印刷制御手段と、前記薬品表示手段及び前記分包紙から読み取られる前記薬品の識別情報を照合する照合手段と、を備えることが考えられる。なお、前記薬品表示手段に表示される前記薬品の識別情報及び前記分包紙に印刷される前記薬品の識別情報は一次元コード又は二次元コードであることが考えられる。これにより、前記薬品カセットに充填する薬品と前記分包紙に収容された薬品とが照合されるため、前記薬品カセットへの誤った薬品の充填を防止することが可能である。
【0420】
なお、前記薬品払出装置が、前記薬品カセットから供給された前記薬品を予め定められた分包単位で分包紙に収容する分包手段を備える構成では、前記残薬回収手段が、前記分包手段を用いて前記薬品カセット各々の薬品を纏めて前記分包紙に収容させることも考えられる。これにより、複数種類の薬品を纏めて一つの前記分包紙で回収することができるため、前記分包紙の使用量を抑制することができる。
【0421】
また、前記薬品払出装置が、前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報に対応する薬品が、薬品が個別に包装される個別包装容器及び多数の薬品が纏めて収容される多数包装容器のいずれから供給される薬品であるかに応じて、前記残薬回収手段による前記薬品カセットの薬品の回収の有無を切り替える回収切替手段を更に備えることが考えられる。これにより、前記残薬回収手段による前記薬品の回収時に使用される分包紙の消費が適宜抑制される。
【0422】
ところで、前記薬品払出装置が、予め定められた特定種類の薬品を払出可能な複数の薬品特定カセットと、前記薬品特定カセット各々に対応して前記薬品特定カセット又は前記薬品特定カセットの装着部に設けられた薬品特定表示手段と、前記薬品特定カセットに対応する前記薬品の識別情報、残量、ロット番号、及び有効期限のいずれか一つ又は複数の情報を前記薬品特定表示手段に表示させる特定表示制御手段と、を更に備えることが考えられる。ここに、前記薬品特定表示手段は、電子ペーパーであることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記薬品特定カセットに収容されている薬品について前記薬品の識別情報、残量、ロット番号、及び有効期限などを容易に確認することができる。
【0423】
具体的に、前記薬品払出装置が、前記薬品特定カセットに対する前記薬品の充填量の入力を受け付ける充填量受付手段を更に備える構成では、前記特定表示制御手段が、前記充填量受付手段により受け付けられた前記充填量に応じて、前記薬品特定表示手段に表示される前記薬品の残量を増加させることが考えられる。一方、前記薬品払出装置が、前記薬品特定カセットからの前記薬品の払出量を計数する特定計数手段を更に備える構成では、前記特定表示制御手段が、前記特定計数手段により計数される前記払出量に応じて、前記薬品特定表示手段に表示される前記薬品の残量を減少させることが考えられる。これにより前記薬品特定表示手段に現時点の薬品の残量が表示される。
【0424】
ところで、本発明は、払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を、任意の種類の薬品を払出可能な複数の薬品カセットのいずれかに割り当てる割当ステップと、前記薬品カセットを前記割当ステップにより割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動させ、前記薬品カセットから薬品を払い出させる駆動制御ステップと、を含む薬品払出方法として捉えてもよい。
【0425】
また、本発明は、コンピュータに、払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品情報を、任意の種類の薬品を払出可能な複数の薬品カセットのいずれかに割り当てる割当ステップと、前記薬品カセットを前記割当ステップにより割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動させ、前記薬品カセットから薬品を払い出させる駆動制御ステップと、を実行させるための薬品払出プログラムとして捉えてもよい。
【0426】
また、本発明は、前記薬品払出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
【0427】
本発明によれば、任意の種類の錠剤を払い出すためにユーザーは払出対象の錠剤を前記薬品カセットに投入するだけでよいため、従来のように前記手撒きユニットのマス各々に錠剤を投入する場合に比べてユーザーの作業を軽減することができる。また、前記マス各々に錠剤を投入する必要がないため人為的ミスに起因する処方間違いも防止される。
【0428】
さらに、前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報が前記薬品カセットに設けられた前記電子ペーパーに表示される構成では、前記薬品カセットが前記薬品払出装置から取り外された場合でも前記薬品情報を確認することができるため、前記錠剤の投入ミスを防止することができる。
【符号の説明】
【0429】
1 :制御ユニット
11:制御部
111:分包制御部
112:割当制御部
113:表示制御部
114:残薬制御部
12:記憶部
121:割当情報
122:駆動対応情報
123:回収情報
13:モニター
14:操作部
15:通信IF
2 :錠剤供給ユニット
21:固定カセット
211:装着部
22:可変カセット
221:装着部
222:錠剤収容部
223:第1回転体
224:第2回転体
225:払出口
226:高さ規制部材
226A:調整部
227:幅規制部材
227A:調整部
23:固定駆動部
231:駆動モーター
232:RFIDリーダライタ
24:可変駆動部
241:駆動モーター
242:駆動モーター
243:駆動モーター
244:駆動モーター
245:RFIDリーダライタ
25:表示部(電子ペーパー)
26:RFIDタグ
27:状態表示灯
291:表示部
292:状態表示灯
3 :散薬供給ユニット
33:散薬カセット
331:表示部
332:状態表示灯
4 :手撒きユニット
5 :分包ユニット
53:プリンター
6 :分包制御ユニット
61:制御部
62:記憶部
100:薬品払出装置
200:処方入力端末
400:薬品払出装置
S1、S2、・・・:処理手順(ステップ)番号
S11、S12、・・・:処理手順(ステップ)番号
S21、S22、・・・:処理手順(ステップ)番号
S31、S32、・・・:処理手順(ステップ)番号
S41、S42、・・・:処理手順(ステップ)番号