(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】空調連携システムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/64 20180101AFI20240111BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20240111BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20240111BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240111BHJP
F24F 8/95 20210101ALI20240111BHJP
F24F 8/96 20210101ALI20240111BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240111BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20240111BHJP
F24F 110/70 20180101ALN20240111BHJP
F24F 110/30 20180101ALN20240111BHJP
F24F 110/65 20180101ALN20240111BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F11/46
F24F11/72
F24F7/007 B
F24F8/95
F24F8/96
F24F110:10
F24F110:20
F24F110:70
F24F110:30
F24F110:65
(21)【出願番号】P 2023057663
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2022088844
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚利
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/64
F24F 11/46
F24F 11/72
F24F 7/007
F24F 8/95
F24F 8/96
F24F 110/10
F24F 110/20
F24F 110/70
F24F 110/30
F24F 110/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(S)の空気状態を調整する空調連携システム(1)であって、
前記対象空間(S)に外気を導入することによって前記対象空間(S)の対象状態量を調整する外気導入機(2)と、
前記対象空間(S)の空気を処理することによって前記対象状態量を調整する処理部を有する空気処理機(3)と、
前記外気導入機(2)の第1風量(W1)および前記空気処理機(3)の第2風量(W2)を設定する制御部(10)と、
前記対象状態量と異なる前記対象空間(S)の状態量であって前記外気導入機(2)
のみによって変化する
第1選定状態量と、前記第1風量(W1)と、前記第2風量(W2)と、の関係を示す関係情報を記憶する記憶部(11)と、を備え、
前記関係情報は、前記第1選定状態量に基づいて前記第1風量(W1)を導出する第1導出情報と、前記第1風量(W1)に基づいて前記第2風量(W2)を導出する第2導出情報と、を含み、
前記制御部(10)は、前記
第1選定状態量に基づいて前記関係情報から前記第1風量(W1)および前記第2風量(W2)を設定し、
前記第1風量(W1)は、前記外気導入機(2)が前記対象空間(S)に導入する風量であり、
前記第2風量(W2)は、前記空気処理機(3)が処理する風量である、
空調連携システム。
【請求項2】
前記制御部(10)は、前記第1選定状態量が第1基準を満たすように設定される風量範囲を有し、
前記制御部(10)は、前記対象空間(S)の前記第1選定状態量について設定される風量範囲の最小量を前記第1風量(W1)に設定する、
請求項1に記載の空調連携システム。
【請求項3】
前記第1選定状態量は、前記対象空間(S)の二酸化炭素濃
度である、
請求項2に記載の空調連携システム。
【請求項4】
前記空気処理機(3)は、前記処理部(6B)を有する空気清浄機(5)と、前記対象空間(S)の温度を調整する空調部(7)および前記処理部(6A)を有する空気調和機(4)とを含み、
前記第2風量(W2)は、前記空気清浄機(5)の風量と、前記空気調和機(4)の風量とを含む、
請求項1に記載の空調連携システム。
【請求項5】
対象空間(S)の空気状態を調整する空調連携システム(1)であって、
前記対象空間(S)に外気を導入することによって前記対象空間(S)の対象状態量を調整する外気導入機(2)と、
前記対象空間(S)の空気を処理することによって前記対象状態量を調整する処理部を有する空気処理機(3)と、
前記外気導入機(2)の第1風量(W1)および前記空気処理機(3)の第2風量(W2)を設定する制御部(10)と、
前記対象状態量と異なる前記対象空間(S)の状態量であっ
て前記空気処理機(3)
のみによって除去される第2選定状態量と、前記第1風量(W1)と、前記第2風量(W2)と、の関係を示す関係情報を記憶する記憶部(11)と、を備え、
前記関係情報は、前記第2選定状態量に基づいて前記第2風量(W2)を導出する第3導出情報と、前記第2風量(W2)に基づいて前記第1風量(W1)を導出する第4導出情報とを含み、
前記制御部(10)は、前記
第2選定状態量に基づいて前記関係情報から前記第1風量(W1)および前記第2風量(W2)を設定し、
前記第1風量(W1)は、前記外気導入機(2)が前記対象空間(S)に導入する風量であり、
前記第2風量(W2)は、前記空気処理機(3)が処理する風量である、
空調連携システム。
【請求項6】
前記対象状態量は、前記対象空間(S)における、病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度である
請求項1~5のいずれか一項に記載の空調連携システム。
【請求項7】
対象空間(S)の空気状態を調整する機器を制御する制御装置(20)であって、
前記機器は、前記対象空間(S)に外気を導入することによって前記対象空間(S)の対象状態量を調整する外気導入機(2)と、前記対象空間(S)の空気を処理することによって前記対象状態量を調整する処理部を有する空気処理機(3)と、を含み、
前記外気導入機(2)の第1風量(W1)および前記空気処理機(3)の第2風量(W2)を設定する制御部(10)と、
前記対象状態量と異なる前記対象空間(S)の状態量であって前記外気導入機(2)
のみによって変化する
第1選定状態量と、前記第1風量(W1)と、前記第2風量(W2)と、の関係を示す関係情報を記憶する記憶部(11)と、を備え、
前記関係情報は、前記第1選定状態量に基づいて前記第1風量(W1)を導出する第1導出情報と、前記第1風量(W1)に基づいて前記第2風量(W2)を導出する第2導出情報と、を含み、
前記制御部(10)は、前記
第1選定状態量に基づいて前記関係情報から前記第1風量(W1)および前記第2風量(W2)を設定し、
前記第1風量(W1)は、前記外気導入機(2)が前記対象空間(S)に導入する風量であり、
前記第2風量(W2)は、前記空気処理機(3)が処理する風量である、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調連携システムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象空間には、対象空間の快適化のため、換気装置および空気調和機が取り付けられる。対象物質(有害物質または病原体)の濃度を基準以下に低下させる観点から、一定量以上の換気が求められる。
【0003】
一方、省エネの観点から、消費エネルギーを低減する換気装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来、換気装置および空気調和機がそれぞれ独自の制御によって動作する。対象空間において、対象物質の濃度を基準以下に低下させる場合に、個々の装置が独自にこの条件をみたすように動作する場合、システム全体でみると、この条件を満たすという目的に対して必要以上に動作している虞がある。この点は、対象物質の濃度を基準以下に低下させる場合に限らない。そこで、省エネの観点からこれら設備の動作に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決する第1観点の空調連携システムは、対象空間の空気状態を調整する空調連携システムであって、前記対象空間に外気を導入することによって前記対象空間の対象状態量を調整する外気導入機と、前記対象空間の空気を処理することによって前記対象状態量を調整する処理部を有する空気処理機と、前記外気導入機の第1風量および前記空気処理機の第2風量を設定する制御部と、前記対象状態量と異なる前記対象空間の状態量であって前記外気導入機および前記空気処理機の少なくとも一方によって変化する選定状態量と、前記第1風量と、前記第2風量と、の関係を示す関係情報を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記選定状態量に基づいて前記関係情報から前記第1風量および前記第2風量を設定し、前記第1風量は、前記外気導入機が前記対象空間に導入する風量であり、前記第2風量は、前記空気処理機が処理する風量である。
【0007】
この構成によれば、対象空間における対象状態量を調整する場合において、外気導入機と空気処理機とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0008】
第2観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記選定状態量として前記外気導入機によって変化する第1選定状態量を有し、前記関係情報は、前記第1選定状態量に基づいて前記第1風量を導出する第1導出情報と、前記第1風量に基づいて前記第2風量を導出する第2導出情報と、を含む。
【0009】
この構成によれば、第1選定状態量に基づいて第1風量を設定できる。そして、第1風量に基づいて第2風量を設定できる。
【0010】
第3観点の空調連携システムは、第2観点の空調連携システムであって、前記制御部は、前記第1選定状態量が第1基準を満たすように設定される風量範囲を有し、前記制御部は、前記対象空間の前記第1選定状態量について設定される風量範囲の最小量を前記第1風量に設定する。
【0011】
この構成によれば、第1風量は最小量に設定される。これによって、対象状態量を調整するとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間の空気状態を調整する場合に、外気の導入によって生じ得る室内環境の変化を抑えながら、省エネを図ることができる。
【0012】
第4観点の空調連携システムは、第3観点の空調連携システムであって、前記第1選定状態量は、前記対象空間の二酸化炭素濃度、温度、または湿度である。
この構成によれば、外気導入機によって二酸化炭素濃度、温度、または湿度が調整される場合において、対象状態量を調整するとともに二酸化炭素濃度、温度、または湿度が基準を満たすように対象空間の空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0013】
第5観点の空調連携システムは、第2観点の空調連携システムであって、前記空気処理機は、前記処理部を有する空気清浄機と、前記対象空間の温度を調整する空調部および前記処理部を有する空気調和機とを含み、前記第2風量は、前記空気清浄機の風量と、前記空気調和機の風量とを含む。
【0014】
この構成によれば、空気清浄機と空気調和機とが動作する場合に、両装置の風量の合計を調整できる。
【0015】
第6観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記選定状態量として、前記空気処理機の空気処理によって除去される第2選定状態量を有し、前記関係情報は、前記第2選定状態量に基づいて前記第2風量を導出する第3導出情報と、前記第2風量に基づいて前記第1風量を導出する第4導出情報とを含む。
【0016】
この構成によれば、対象状態量を調整するとともに第2選定状態量が第2基準を満たすように対象空間の空気状態を調整する場合に、省エネを図ることができる。
【0017】
第7観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記選定状態量として前記外気導入機によって変化する第1選定状態量を有し、前記関係情報は、前記第1選定状態量と前記第1風量と前記第2風量との関係を示す第3関係情報、を含む。この構成によれば、第1選定状態量と第3関係情報とに基づいて、前記第1風量と前記第2風量とを導出できる。
【0018】
第8観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記選定状態量として、前記空気処理機の空気処理によって除去される第2選定状態量を有し、前記関係情報は、前記第2選定状態量と前記第1風量と前記第2風量との関係を示す第4関係情報を含む。この構成によれば、第2選定状態量と第4関係情報とに基づいて、前記第1風量と前記第2風量とを導出できる。
【0019】
第9観点の空調連携システムは、第1~第8観点のいずれか1つの空調連携システムであって、前記対象状態量は、前記対象空間における、病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度である。この構成によれば、病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度を調整できる。
【0020】
課題を解決する第10観点の制御装置は、対象空間の空気状態を調整する機器を制御する制御装置であって、前記機器は、前記対象空間に外気を導入することによって前記対象空間の対象状態量を調整する外気導入機と、前記対象空間の空気を処理することによって前記対象状態量を調整する処理部を有する空気処理機と、を含み、前記外気導入機の第1風量および前記空気処理機の第2風量を設定する制御部と、前記対象状態量と異なる前記対象空間の状態量であって前記外気導入機および前記空気処理機の少なくとも一方によって変化する選定状態量と、前記第1風量と、前記第2風量と、の関係を示す関係情報を記憶する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記選定状態量に基づいて前記関係情報から前記第1風量および前記第2風量を設定し、前記第1風量は、前記外気導入機が前記対象空間に導入する風量であり、前記第2風量は、前記空気処理機が処理する風量である。
【0021】
この構成によれば、対象空間における対象状態量を調整する場合において、外気導入機と空気処理機とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0022】
<別の観点>
本明細書は、次の観点の技術を開示する。
第1観点の空調連携システムは、対象空間の空気状態を調整する空調連携システムであって、前記対象空間に外気を導入することによって前記対象空間の対象物質濃度を調整する外気導入機と、前記対象空間の空気を処理することによって前記対象物質濃度を調整する処理部を有する空気処理機と、前記外気導入機の第1風量および前記空気処理機の第2風量を設定する制御部と、を備え、前記制御部は、前記対象物質濃度を目標濃度に導くために必要とされる必要風量と、前記第1風量および前記第2風量のうちの一方の風量とに基づいて、前記第1風量および前記第2風量のうちの他方の風量を設定し、前記第1風量は、前記外気導入機が前記対象空間に導入する風量であり、前記第2風量は、前記空気処理機が処理する風量である。
【0023】
この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づける場合において、外気導入機と空気処理機とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0024】
第2観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記外気導入機の外気の導入によって調整される状態量は、第1選定状態量として定義され、前記制御部は、前記対象空間の前記第1選定状態量が第1基準を満たすように前記第1風量を設定し、前記第1風量に基づいて前記第2風量を設定する。
【0025】
この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間の空気状態を調整する場合に、省エネを図ることができる。
【0026】
第3観点の空調連携システムは、第2観点の空調連携システムであって、前記制御部は、前記第1選定状態量が第1基準を満たすように設定される風量範囲を有し、前記制御部は、前記対象空間の前記第1選定状態量について設定される風量範囲の最小量を前記第1風量に設定する。
【0027】
この構成によれば、第1風量は最小量に設定される。これによって、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間の空気状態を調整する場合に、外気の導入によって生じ得る室内環境の変化を抑えながら、省エネを図ることができる。
【0028】
第4観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記空気処理機の空気処理によって除去される状態量は、第2選定状態量として定義され、前記制御部は、前記対象空間の前記第2選定状態量が第2基準を満たすように前記第2風量を設定し、前記第2風量に基づいて前記第1風量を設定する。
【0029】
この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第2選定状態量が第2基準を満たすように対象空間の空気状態を調整する場合に、省エネを図ることができる。
【0030】
第5観点の空調連携システムは、第2観点または第3観点の空調連携システムであって、前記第1選定状態量は、前記対象空間の二酸化炭素濃度である。
【0031】
この構成によれば、外気導入機によって二酸化炭素濃度が調整される場合において、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに二酸化炭素濃度が基準を満たすように対象空間の空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0032】
第6観点の空調連携システムは、第2観点、第3観点、および第5観点のいずれか1つの空調連携システムであって、前記空気処理機は、前記処理部を有する空気清浄機と、前記対象空間の温度を調整する空調部および前記処理部を有する空気調和機とを含み、前記第2風量は、前記空気清浄機の風量と、前記空気調和機の風量とを含み、前記第1選定状態量は、前記対象空間の二酸化炭素濃度である。
【0033】
この構成によれば、外気導入機によって二酸化炭素濃度が調整される場合において、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに二酸化炭素濃度が基準を満たすように対象空間の空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0034】
第7観点の空調連携システムは、第6観点の空調連携システムであって、前記空気清浄機において前記処理部で処理される風量は、第3風量と定義され、前記空気調和機において前記空調部および前記処理部で処理される風量であって、前記対象空間の温度に基づいて設定される風量は第4風量と定義され、前記制御部は、前記第2風量および前記第4風量に基づいて前記第3風量を設定する。
【0035】
この構成によれば、風量について、空気清浄機の動作と空気調和機の動作との連携がとられるため、このような連携が行われない場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0036】
第8観点の空調連携システムは、第2観点、第3観点、第5観点~第7観点のいずれか1つの空調連携システムであって、前記第1選定状態量は、前記対象空間の温度または湿度である。
【0037】
この構成によれば、外気導入機によって対象空間の温度または湿度が調整される場合において、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに、外気導入によって対象空間の温度または湿度が基準を満たすように対象空間の空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0038】
第9観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記対象空間に単位量の外気を導入する場合において、前記外気の導入に要する前記外気導入機の消費エネルギーと前記単位量の前記外気が導入された前記対象空間を前記外気の導入前の温度まで戻すために要する前記空気処理機の消費エネルギーとの合計は、第1消費エネルギーとして定義され、前記対象空間の単位量の空気を処理する場合において、前記単位量の空気を処理するために要する前記空気処理機の消費エネルギーは、第2消費エネルギーとして定義され、前記空気処理機は、前記処理部と、前記対象空間の温度を調整する空調部と、を有し、前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギーよりも大きいか否かを判定し、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギーよりも大きい場合、前記第1消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように前記第1風量を設定し、前記第1風量に基づいて前記第2風量を設定し、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギー以下である場合、前記第2消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように前記第2風量を設定し、前記第2風量に基づいて前記第1風量を設定する。
【0039】
この構成によれば、空気処理機が対象空間を空調する場合において、外気導入機による外気導入に基づく第1消費エネルギーと空気処理機の空気処理に基づく第2消費エネルギーとの比較において、消費エネルギーが大きい方の機器のエネルギーが判定時よりも小さくなるように風量を設定する。これによって、外気導入機の消費エネルギーと空気処理機の消費エネルギーとの総和である総和消費エネルギーを小さくできる。
【0040】
第10観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記対象空間に単位量の外気を導入する場合において、前記外気の導入に要する前記外気導入機の消費エネルギーと前記単位量の前記外気が導入された前記対象空間を前記外気の導入前の温度まで戻すために要する前記空気処理機の消費エネルギーとの合計は、第1消費エネルギーとして定義され、前記対象空間の単位量の空気を処理する場合において、前記単位量の空気を処理するために要する前記空気処理機の消費エネルギーは、第2消費エネルギーとして定義され、前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記外気導入機の外気の導入によって調整される状態量は、第1選定状態量として定義され、前記制御部は、前記対象空間において、前記第1選定状態量が第1基準を満たすために必要とされる前記外気導入機の風量として、予め設定される所定風量を有し、前記空気処理機は、前記処理部と、前記対象空間の温度を調整する空調部と、を有し、前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギーよりも大きい場合、前記対象空間の前記第1選定状態量が第1基準を満たすように前記所定風量以上の風量となるように前記第1風量を設定し、前記第1風量に基づいて前記第2風量を設定する。
【0041】
外気導入機でしか調整できない第1選定状態量を調整する必要があり、かつ、対象空間の空調において外気導入機による外気導入が消費エネルギーとして不利になる状況がある。上記の構成によれば、このような状況において、外気導入機の第1風量を上記のように所定風量以上の風量に設定することによって、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間の空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0042】
第11観点の空調連携システムは、第1観点の空調連携システムであって、前記対象空間に単位量の外気を導入する場合において、前記外気の導入に要する前記外気導入機の消費エネルギーと前記単位量の前記外気が導入された前記対象空間を前記外気の導入前の温度まで戻すために要する前記空気処理機の消費エネルギーとの合計は、第1消費エネルギーとして定義され、前記対象空間の単位量の空気を処理する場合において、前記単位量の空気を処理するために要する前記空気処理機の消費エネルギーは、第2消費エネルギーとして定義され、前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記空気処理機の空気処理によって調整できる状態量は、第2選定状態量として定義され、前記制御部は、前記対象空間において、前記第2選定状態量が第2基準を満たすために必要とされる前記空気処理機の風量として、予め設定される所定風量を有し、前記空気処理機は、前記処理部と、前記対象空間の温度を調整する空調部と、を有し、前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギー以下である場合、前記対象空間の前記第2選定状態量が第2基準を満たすように前記所定風量以上の風量となるように前記第2風量を設定し、前記第2風量に基づいて前記第1風量を設定する。
【0043】
空気処理機でしか構成できない第2選定状態量を調整する必要があり、かつ、対象空間の空調において空気処理機を動作させることが消費エネルギーとして不利になる状況がある。上記の構成によれば、このような状況において、空気処理機の第2風量を上記のように所定風量以上の風量に設定することによって、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第2選定状態量が第2基準を満たすように対象空間の空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0044】
第12観点の空調連携システムは、第1観点~第11観点のいずれか1つの空調連携システムであって、前記対象物質濃度は、前記対象空間における、病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度である。
【0045】
この構成によれば、対象空間の病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度を目標濃度に近づける場合において、省エネを図ることができる。
【0046】
課題を解決する第13観点の制御装置は、対象空間の空気状態を調整する機器を制御する制御装置であって、前記機器は、前記対象空間に外気を導入することによって前記対象空間の対象物質濃度を調整する外気導入機と、前記対象空間の空気を処理することによって前記対象物質濃度を調整する処理部を有する空気処理機と、を含み、前記対象物質濃度を目標濃度に導くために必要とされる必要風量と、前記外気導入機の第1風量および前記空気処理機の第2風量のうちの一方の風量とに基づいて、前記第1風量および前記第2風量のうちの他方の風量を設定し、前記第1風量は、前記外気導入機が前記対象空間に導入する風量であり、前記第2風量は、前記空気処理機が処理する風量である。
【0047】
この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づける場合において、外気導入機と空気処理機とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】第1実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【
図2】必要風量と第1風量と第2風量との関係を示す図である。
【
図3】第2実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【
図4】第3実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【
図5】第4実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【
図6】必要風量と第1風量~第4風量との関係を示す図である。
【
図7】第5実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【
図8】第6実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【
図9】第7実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【
図10】第8実施形態に係る空調連携システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
<第1実施形態>
図1を参照して、空調連携システム1について説明する。
空調連携システム1は、複数の装置間で対象空間Sの空気状態を調整する。空調連携システム1は、複数の装置の協働によって対象空間Sにおける対象状態量を調整する。対象状態量の一例は、対象空間Sにおける対象物質濃度である。以下の例では、対象状態量は、対象物質濃度である。本実施形態は、空調連携システム1は、複数の装置の協働によって対象空間Sにおける対象物質濃度を調整する。対象空間Sは、空調の対象とされる空間である。対象空間Sとして例えば、ビルの室内の空間、住宅の室内空間、工場内の空間、施設内の空間、が挙げられる。
【0050】
対象物質Tは、空気中に浮遊する物質である。対象物質Tは、空気中に浮遊する物質であって、人体に影響を与えるものであってもよい。対象物質Tとして取り扱われ得るものとして、病原体、花粉、PM(Particulate matter)、埃、または、有害化学物質が挙げられる。本実施形態において、空調連携システム1の対象物質Tは、後述の外気導入機2および空気処理機3のいずれによっても対象空間Sから除去され得る物質である。空調連携システム1の対象物質Tは、空調連携システム1の構成または対象空間Sの周辺環境によって変わり得る。空調連携システム1において対象物質Tは予め設定される。
【0051】
病原体の例として、コロナウィルス、インフルエンザウィルス、風疹ウィルス、ライノウィルス、RSウィルス、アデノウィルス、結核菌が挙げられる。
【0052】
花粉として、スギ花粉、ヒノキ花粉、ブタクサ花粉、ハンノキ花粉、イネ花粉が挙げられる。
【0053】
PMとして、直径10μm以下の固体粒子または液体粒子が挙げられる。固体粒子には、煤、土壌粒子、工場から出る粉塵、黄砂、石油関連物質、アスベストの粒子が含まれる。
【0054】
有害化学物質として、揮発性有機化合物が挙げられる。揮発性有機化合物として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、クロルピリホス、が挙げられる。
【0055】
対象物質濃度としては、例えば、対象空間Sにおける、病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、有害化学物質濃度である。
【0056】
<空調連携システムの構成>
空調連携システム1は、外気導入機2と、空気処理機3と、制御部10とを備える。空調連携システム1は、記憶部11を備えてもよい。外気導入機2は、対象空間Sに外気を導入することによって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。外気導入機2の例として、換気装置、および、全熱交換器が挙げられる。換気装置は、第1種換気を行う装置であってもよいし、第2種換気を行う装置であってもよいし、第3種換気を行う装置であってもよい。第1種換気は、給気および排気ともにファンで行う換気である。第2種換気は、給気をファンで行い、隙間または排気口から排気する換気である。第3種換気は、排気をファンで行い、隙間または給気口から給気する換気である。第1種換気の場合において、外気導入の風量は給気の風量と定義される。第2種換気の場合において、外気導入の風量は給気の風量と定義される。第3種換気の場合において、排気の風量は給気の風量と同等と見做すことができるため、外気導入の風量は排気の風量と定義される。
【0057】
空気処理機3は、処理部6を有する。処理部6は、対象空間Sの空気を処理することによって対象物質濃度を調整する装置である。空気処理機3は、吸い込んだ空気を処理部6で処理した後、吹き出す。処理部6は、対象物質Tを除去する。処理部6の例として、フィルタ、UV装置、イオナイザー装置、除ウィルスの散布装置、および、ストリーマ装置が挙げられる。
【0058】
空気処理機3の例として、処理部6Aを有する空気調和機4(以下では、単に「空気調和機4」という。)、および、空気清浄機5が挙げられる。空気処理機3は、空気調和機4および空気清浄機5の両機器を含んでもよい。
【0059】
空気調和機4は、処理部6Aによって対象物質Tを処理する。さらに、空気調和機4は、対象空間Sの温度または湿度を調整する。空気調和機4は、送風機であってもよい。送風機は、対象空間Sの空気を移動させることによって対象空間Sの温度を調整するため、空気調和機4の一形態に該当する。空気調和機4は、温風のみを出す温風器であってもよい。空気調和機4は、加湿器または除湿器であってもよい。
【0060】
制御部10は、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部10は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。記憶部11は、制御部10と別に設けられる。記憶部11は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。記憶部11は、RAM及びROM等のメモリを含む。記憶部11は、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、または、磁気ディスクによって構成されてもよい。記憶部11には、第1風量W1と、第2風量W2と、の関係を示す関係情報を記憶する。関係情報は、制御部10のメモリに記憶されてもよい。
【0061】
一例では、制御部10は、基板上に設けられる。制御部10は、外気導入機2に取り付けられてもよい。制御部10は、空気処理機3に取り付けられてもよい。制御部10は、外気導入機2および空気処理機3と独立した装置として構成されてもよい。制御部10は、ネットワークに接続されてもよい。制御部10は、ネットワークを介して外部の端末から管理されてもよい。
【0062】
制御部10は外気導入機2と通信する。一例では、制御部10は、外気導入機2の制御ユニット2Aと通信する。制御ユニット2Aは、制御部10の指令に基づいて外気導入機2のファンを制御することによって、外気導入機2の風量を指令の風量に調整する。
【0063】
制御部10は空気処理機3と通信する。一例では、制御部10は、空気処理機3の制御ユニット3Aと通信する。制御ユニット3Aは、制御部10の指令に基づいて空気処理機3のファンを制御することによって、空気処理機3の風量を指令の風量に調整する。
【0064】
制御部10は、外気導入機2の第1風量W1および空気処理機3の第2風量W2を設定する。制御部10は、対象物質濃度を目標濃度に導くために必要とされる必要風量WAと、第1風量W1および第2風量W2のうちの一方の風量とに基づいて、第1風量W1および第2風量W2のうちの他方の風量を設定する。第1風量W1は、外気導入機2が対象空間Sに導入する風量であり、第2風量W2は、空気処理機3が処理する風量である。
【0065】
図2は、必要風量WAと第1風量W1と第2風量W2との関係を示す図である。
図2に示される必要風量WAと第1風量W1と第2風量W2との関係は、上記の関係情報の一例である。ここで、中間風量WXは、空気処理機3から出される対象物質Tを含まない空気の風量である。第1風量W1は、外気であるため対象物質Tを含まない空気であると仮定されている。
【0066】
図2に示されるように、制御部10は、第1風量W1と中間風量WXとの合計が必要風量WAとなるように、外気導入機2および空気処理機3それぞれの風量を調整し、各機器に所定風量で動作させるための指令を出す。必要風量WAは、ユーザの操作によって設定される固定値であってもよい。必要風量WAは、随時更新される値であってもよい。一例では、制御部10は、対象空間Sに出入りする利用者の数によって必要風量WAを更新する。対象空間Sに出入りする利用者は、例えばセンサーによって検出される。
【0067】
<必要風量>
必要風量WAは、予め設定される風量レベルの選択によって設定されてもよい。一例では、風量レベルの選択は、制御部10に対するユーザの操作によって行われる。
【0068】
必要風量WAは、対象物質Tごとに設定されてもよい。例えば、必要風量WAは、コロナウィルスに対してX1、インフルエンザに対してX2、PM2.5に対してX3、のように設定される。この場合、必要風量WAは、対象物質Tの選択によって設定される。対象物質Tの選択は、制御部10に対するユーザの操作によって行われる。
【0069】
制御部10が必要風量WAを算出してもよい。例えば、制御部10は、設定情報に基づいて必要風量WAを算出する。設定情報は、対象空間Sを利用する利用者の数(以下、利用者数)、または、感染者の想定数である。設定情報は、感染予防度を含んでもよい。設定情報は、危険度を含んでもよい。
【0070】
第1例では、制御部10は、対象空間Sを利用する利用者の数(以下、利用者数)に基づいて必要風量WAを算出する。具体的には、制御部10は、感染者1人あたりに必要な病原体除去能力と利用者数とに基づいて必要風量WAを算出する。一例では、制御部10は、感染者1人あたりに必要な病原体除去能力と利用者数との乗算によって必要風量WAを算出する。
【0071】
第2例では、制御部10は、感染者1人あたりに必要な病原体除去能力と感染者の想定数とに基づいて必要風量WAを算出する。一例では、制御部10は、感染者1人あたりに必要な病原体除去能力と感染者の想定数との乗算によって必要風量WAを算出する。
【0072】
感染者1人あたりに必要な病原体除去能力は風量で表される。感染者1人あたりに必要な病原体除去能力は、WHO基準に基づいて定められてもよい。WHOは、世界保健機関の略称である。例えば、感染者1人あたりに必要な病原体除去能力は、WHOが医療施設に対して推奨する基準に基づいて設定される。WHOが医療施設に対して推奨する基準は、2009年発行の「Natural Ventilation for Infection Control in Health-Care Settings」というガイドラインに示されている。感染者1人あたりに必要な病原体除去能力は、WHOが医療施設に対して推奨する基準と異なる値であってもよい。
【0073】
第3例では、制御部10は、感染予防度に応じて、上記第1例または上記第2例で算出された必要風量WAを補正する。感染予防度が高い場合、感染が広がり難い。このため制御部10は、感染予防度が高い場合、必要風量WAを小さくする。具体的には、制御部10は、第1例または第2例で算出された必要風量WAが小さくなるように、必要風量WAを補正する。一例では、制御部10は、感染予防度に対応する第1係数を有する。第1係数は、感染予防度が高いほど小さい値を有する。第1係数は、0以上1以下の値をとる。制御部10は、第1係数によって必要風量WAを補正する。制御部10は、第1例または上記第2例で算出された必要風量WAと第1係数との乗算によって、新たな必要風量WAを導出する。
【0074】
第4例では、制御部10は、危険度の分類に応じて、上記第1例、第2例、または第3例で算出された必要風量WAを補正する。危険度が高い場合、重症化リスクが高くなる。このため制御部10は、危険度が高い場合、必要風量WAを大きくする。具体的には、制御部10は、第1例、第2例または第3例で算出された必要風量WAが大きくなるように、必要風量WAを補正する。一例では、制御部10は、危険度に対応する第2係数を有する。第2係数は、危険度が高いほど大きい値を有する。第2係数は、0以上の値をとる。制御部10は、第2係数によって必要風量WAを補正する。制御部10は、第1例、第2例または第3例で算出された必要風量WAと第2係数との乗算によって、新たな必要風量WAを導出する。
【0075】
<空調連携システムの第1例>
空調連携システム1の第1例は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を導出する。この例では、第1風量W1が第2風量W2に対して優先的に設定にされる。対象空間Sは室内空間である。対象物質Tは病原体である。外気導入機2は換気装置である。空気処理機3は空気調和機4である。空気処理機3は処理部6Aを有する。
【0076】
制御部10は、ユーザの操作によって必要風量WAを受け付ける。制御部10は、ユーザの操作によって第1風量W1を受け付ける。制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。例えば、制御部10は、必要風量WAから第1風量W1を引いた値を中間風量WXとして算出する。制御部10は、中間風量WXを換算値によって補正する。制御部10は、補正によって得られた値を第2風量W2に設定する。
【0077】
換算値は、空気処理機3の処理風量に対する対象物質Tの除去された風量の比率を示す。例えば、空気処理機3が空気を処理する場合において、吹き出される空気における対象物質Tの濃度が、吸い込み時の100から30に変化する場合、換算値は0.7に設定される。これは、吸い込み時の100から30に変化する場合、吸い込み時の空気の70%は対象物質Tが除去されている、と見做した計算方法である。換算値が0.7である場合、制御部10は、中間風量WXを換算値(0.7)で割った値を第2風量W2として出力する。
【0078】
<空調連携システムの第2例>
空調連携システム1の第2例は、必要風量WAと第2風量W2とに基づいて第1風量W1を導出する。この例では、第2風量W2が第1風量W1に対して優先的に設定にされる。対象空間Sは室内空間である。対象物質Tは病原体である。外気導入機2は換気装置である。空気処理機3は、空気調和機4である。空気処理機3は処理部6Aを有する。
【0079】
空気処理機3は、室内温度TAおよび設定温度に基づいて第2風量W2を設定する。設定温度は、ユーザが設定する室内の目標温度である。ユーザは、室内の利用者または室内の空調を管理する空調管理者である。
【0080】
制御部10は、ユーザの操作によって必要風量WAを受け付ける。制御部10は、空気処理機3から第2風量W2を受け付ける。制御部10は、必要風量WAと第2風量W2とに基づいて第1風量W1を設定する。例えば、制御部10は、第2風量W2を換算値によって補正する。制御部10は、補正によって得られた値を補正風量に設定する。換算値が0.7である場合、制御部10は、第2風量W2と換算値(0.7)との乗算で得られた値を補正風量として出力する。そして、制御部10は、必要風量WAから補正風量を引いた値を第1風量W1として出力する。
【0081】
<作用>
従来、外気導入機2および空気処理機3それぞれには独自の設置目的があるため、外気導入機2および空気処理機3はそれぞれの独自に動作する。外気導入機2は換気のために建築物に設置される。空気処理機3は空調のために建築物に設置される。一方、所定空間に設けられる外気導入機2および空気処理機3は、共通の空間を作用の対象とする。すなわち、外気導入機2および空気処理機3の対象となる対象空間Sは、両機器から作用を受ける。この結果、対象空間Sの所定の状態量は両機器の動作によって変化する。この結果、所定の状態量は、目標から大きくずれる場合がある。または、所定の状態量は、両機器の過剰動作によって均衡が保たれている場合もある。このように、両機器のいずれかまたは両方が無駄な動作を行っている可能性がある。この点で、空調連携システム1の制御部10は、両機器の風量を調整する。これによって空調における省エネを図ることができる。また、制御部10は、両機器の一方の風量を優先的に設定した上で、他方の風量を設定する。これによって、連携制御の複雑化を抑制できる。
【0082】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)空調連携システム1は、外気導入機2と、空気処理機3と、制御部10とを備える。制御部10は、外気導入機2の第1風量W1および空気処理機3の第2風量W2を設定する。制御部10は、必要風量WAと、第1風量W1および第2風量W2のうちの一方の風量とに基づいて、第1風量W1および第2風量W2のうちの他方の風量を設定する。第1風量W1は、外気導入機2が対象空間Sに導入する風量である。第2風量W2は、空気処理機3が処理する風量である。この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づける場合において、外気導入機2と空気処理機3とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0083】
(2)対象物質濃度は、対象空間Sにおける、病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度である。この構成によれば、対象空間Sの病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度を目標濃度に近づける場合において、省エネを図ることができる。
【0084】
<第2実施形態>
図3を参照して、第2実施形態に係る空調連携システム1について説明する。本実施形態の空調連携システム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0085】
本実施形態に係る空調連携システム1は、第1実施形態の第1例を含む。本実施形態に係る空調連携システム1は、次の点で第1例と異なる。第1例では、第1風量W1はユーザの操作によって設定されている。これに対して、本実施形態では、所定のルールに基づいて第1風量W1が設定される。
【0086】
空調連携システム1は、外気導入機2と空気処理機3との連携によって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。対象物質Tは、例えば、病原体である。空調連携システム1は、さらに、対象空間Sの第1選定状態量を調整する。第1選定状態量は、対象物質濃度と異なる対象空間Sの状態量であって外気導入機2および空気処理機3の少なくとも一方によって変化する。
【0087】
第1選定状態量は、対象物質濃度と異なる状態量であって、外気導入機2の外気の導入によって調整される状態量である。第1選定状態量は、空気処理機3によって調整し難い量である。例えば、第1選定状態量は、対象空間Sの二酸化炭素濃度である。二酸化炭素CO2は所定の化学的処理によって除去できるものの、その処理のための装置は大型になる。このため、二酸化炭素CO2は、外気導入機2によってのみ調整可能な量として第1選定状態量として選定される。
【0088】
制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定する。
【0089】
制御部10は、第1選定状態量が第1基準を満たすように設定される風量範囲を有する。第1基準は予め設定される。例えば、第1基準は、対象空間Sで人が快適に過ごせる第1選定状態量を示す。本実施形態では、第1基準は、対象空間Sで人が快適に過ごせる二酸化炭素濃度の範囲として設定される。以下、制御部10が実行する制御の例を2つ説明する。
【0090】
<第1例>
制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすか否かについて、第1選定状態量を検出するセンサーに基づいて判定する。例えば、第1選定状態量が二酸化炭素濃度である場合、制御部10は、対象空間Sに設けられる二酸化炭素センサーの濃度検出値に基づいて対象空間Sの第1選定状態量が第1基準値以下であるか否かを判定する。二酸化炭素センサーの濃度検出値が第1基準値よりも大きい場合、制御部10は、二酸化炭素センサーの濃度検出値が第1基準値に近づくように第1風量W1を設定する。一例では、制御部10は、二酸化炭素センサーの濃度検出値と第1基準値との差分に基づいて第1風量W1を設定する。このような制御によって、二酸化炭素センサーの濃度検出値が第1基準値よりも大きく、かつ、差分が大きいほど、第1風量W1が大きくなる。二酸化炭素センサーの濃度検出値が第1基準値に近づくと、徐々に、第1風量W1が小さくなり、その後、一定の風量に収束する。また、制御部10は、第1風量W1の設定の都度、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。
【0091】
<第2例>
第1基準は、ユーザによって選択される異なるレベルを有してよい。第1基準のレベルは、ユーザによって選択される。第1基準の各レベルには、各レベルに対応して風量範囲が設定される。第1基準のレベルが低い場合、すなわち、濃度が低い場合、濃度を低くする必要があるため第1風量W1は大きい値に設定される。第1基準のレベルが高い場合、すなわち、濃度が高い場合、濃度を低くする必要が乏しいため第1風量W1は小さい値に設定される。例えば、第1選定状態量が二酸化炭素濃度である場合、次のように設定される。二酸化炭素濃度が第1レベル(A1ppm以上A2ppm未満)の場合、風量範囲はB2以上B3未満と設定される。二酸化炭素濃度が第2レベル(A2ppm以上A3ppm未満)の場合、風量範囲はB1以上B2未満と設定される。このような場合において、制御部10は、ユーザによって選択されたレベルに対応する風量範囲において、最小量を第1風量W1に設定する。このように最小量の設定において、ユーザによって設定された第1基準のレベルを満たしながら、外気導入量を抑制できる。
【0092】
例えば、ユーザによって第1基準のレベルが第1レベルに設定されている場合、制御部10は、風量範囲はB2以上B3未満の範囲において最小量であるB2を第1風量W1に設定する。そして、制御部10は、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。
【0093】
<第3例>
第1例では、制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定する。制御部10は、第1風量W1の設定の都度、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。
【0094】
これに対して、制御部10は、次の関係情報に基づいて、第1風量W1および第2風量W2を設定する。関係情報は、記憶部11に予め記憶されている。関係情報は、対象物質濃度と異なる対象空間Sの状態量であって外気導入機2および空気処理機3の少なくとも一方によって変化する第1選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2と、の関係を示す。
【0095】
<第3例-1>
関係情報は、第1選定状態量に基づいて第1風量W1を導出する第1導出情報と、第1風量W1に基づいて第2風量W2を導出する第2導出情報と、を含む。例えば、第1導出情報は、第1選定状態量が大きい値であるほど第1風量W1が大きい値をとるように、第1選定状態量と第1風量W1とか関係付けられた情報である。第2導出情報は、第1風量W1と第2風量W2との関係が第1実施形態に示される関係を満たすように構成される。第1実施形態に示される関係は、第1風量W1と中間風量WXとの合計が必要風量WAとなる関係である。これによって、対象空間Sが十分に換気される。
【0096】
制御部10は、第1選定状態量が第1基準を満たすように設定される風量範囲を有してもよい。風量範囲は予め設定される。風量範囲は、記憶部11に記憶される。制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量について設定される風量範囲の最小量を第1風量W1に設定する。最小量の一例は、好ましい換気に必要な最小の値として設定される。最小量は、任意に設定できる。最小量は、対象空間Sにいる人の数によって変更されてもよい。この構成によれば、対象空間Sにおいて第1選定状態量が第1基準を満たすことができる。
【0097】
<第3例-2>
関係情報の一例は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように構成される。関係情報は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすことを目的として、第1選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2との関係が設定されている。例えば、第1選定状態量の値が第1基準値よりも大きく、かつ、第1選定状態量と第1基準値との差が大きいほど、第1風量W1が第2風量W2よりも大きく、その差が大きくなるように設定されている。そして、第1選定状態量の値ごとに、第1風量W1の値と、第2風量W2の値とが設定されている。すなわち、第1選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2とは、テーブルのデータ形式で構成されている。この場合、制御部10は、関係情報を参照して、選定状態量に基づいて第1風量W1および第2風量W2を設定する。
【0098】
<第3例-3>
関係情報の他の例は、第1設定情報と、第2設定情報とを有する。第1情報は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定するための情報である。第1設定情報は、対象空間Sの大きさごとに構成される。対象空間Sが大きくなるほど、第1風量W1は大きい値になる。また、第1設定情報は、自然風の入り易さと対象空間Sの大きさに基づいて構成されてもよい。第2設定情報は、第1風量W1と第2風量W2との関係を示す情報である。第2設定情報によれば、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定できる。この場合、制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定し、そして、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。
【0099】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)制御部10は、第1選定状態量に基づいて関係情報から第1風量W1および第2風量W2を設定する。この構成によれば、対象空間Sにおける対象物質濃度(対象状態量)を調整する場合において、第1風量W1と第2風量W2とが所定関係に設定されるため、外気導入機2と空気処理機3とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0100】
(2)関係情報は、第1選定状態量に基づいて第1風量W1を導出する第1導出情報と、第1風量W1に基づいて第2風量W2を導出する第2導出情報と、を含む。この構成によれば、第1選定状態量に基づいて第1風量W1を設定できる。そして、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定できる。
【0101】
(3)制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量について設定される風量範囲の最小量を第1風量W1に設定する。この構成によれば、第1風量W1は最小量に設定される。これによって、対象物質濃度(対象状態量)を調整するとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間Sの空気状態を調整する場合に、外気の導入によって生じ得る室内環境の変化を抑えながら、省エネを図ることができる。
【0102】
(4)第1選定状態量は、対象空間Sの二酸化炭素濃度である。第1選定状態量は、対象空間Sの温度、または湿度であってもよい。この構成によれば、外気導入機2によって二酸化炭素濃度、温度、または湿度が調整される場合において、対象状態量を調整するとともに二酸化炭素濃度、温度、または湿度が基準を満たすように対象空間Sの空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0103】
(5)空気処理機3は、処理部6B(後述参照)を有する空気清浄機5と、対象空間Sの温度を調整する空調部7(後述参照)および処理部6Aを有する空気調和機4とを含んでもよい。この場合、第2風量W2は、空気清浄機5の風量と、空気調和機4の風量とを含む。この構成によれば、空気清浄機5と空気調和機4とが動作する場合に、両装置の風量の合計を調整できる。
【0104】
(6)制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定する。制御部10は、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間Sの空気状態を調整する場合に、省エネを図ることができる。
【0105】
(7)制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量について設定される風量範囲の最小量を第1風量W1に設定する。この構成によれば、第1風量W1は最小量に設定される。この場合、対象空間Sへの外気導入量は抑えられる。これによって、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間Sの空気状態を調整する場合に、外気の導入によって生じ得る室内環境の変化を抑えながら、省エネを図ることができる。
【0106】
(8)例えば、第1選定状態量は、対象空間Sの二酸化炭素濃度である。この構成によれば、外気導入機2によって二酸化炭素濃度が調整される場合において、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに二酸化炭素濃度が基準を満たすように対象空間Sの空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0107】
<第3実施形態>
図4を参照して、第3実施形態に係る空調連携システム1について説明する。本実施形態の空調連携システム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0108】
本実施形態に係る空調連携システム1は、第1実施形態の第2例を含む。本実施形態に係る空調連携システム1は、次の点で第2例と異なる。第2例では、第2風量W2は、空気処理機3によって設定されている。これに対して、本実施形態では、他のルールに基づいて第2風量W2が設定される。
【0109】
空調連携システム1は、外気導入機2と空気処理機3との連携によって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。対象物質Tは、例えば、病原体である。空調連携システム1は、さらに、対象空間Sの第2選定状態量を調整する。
【0110】
第2選定状態量は、対象物質濃度と異なる状態量であって、空気処理機3の空気処理によって除去される状態量である。第2選定状態量は、外気導入機2によって調整し難い量である。例えば、第2選定状態量は、対象空間SのPM濃度である。対象空間Sを含むビルが幹線道路沿いにある場合、室外のPM濃度は、室内のPM濃度よりも高い場合がある。このような場合、外気導入機2によってPM濃度は調整され難い。このため、PMは、空気処理機3によってのみ調整可能な量として第2選定状態量として選定される。この場合、空気処理機3は、PM除去フィルタを有する。
【0111】
空気処理機3は、清浄機能付き空気調和機4である。空気処理機3は、対象物質Tを処理できる処理部6Aに加えて、第2選定状態量に係る物質Mを処理できる追加処理部6Cを有する。本実施形態では、第2選定状態量に係る物質MはPMである。追加処理部6Cは、空気からPMを除去する。例えば、追加処理部6Cは、PM除去フィルタを有する。
【0112】
制御部10は、対象空間Sの第2選定状態量が第2基準を満たすように第2風量W2を設定する。第2基準は予め設定される。例えば、第2基準は、対象空間Sで人が快適に過ごせる第2選定状態量を示す。本実施形態では、第2基準は、対象空間Sで人が快適に過ごせるPM濃度の範囲として設定される。以下、制御部10が実行する制御の例を説明する。
【0113】
制御部10は、対象空間Sの第2選定状態量が第2基準を満たすか否かについて、第2選定状態量を検出するセンサーに基づいて判定する。例えば、第2選定状態量がPM濃度である場合、制御部10は、対象空間Sに設けられるPM濃度センサーの濃度検出値に基づいて対象空間Sの第2選定状態量が第2基準値以下であるか否かを判定する。PM濃度センサーの濃度検出値が第2基準値よりも大きい場合、制御部10は、PM濃度センサーの濃度検出値が第2基準値に近づくように第2風量W2を設定する。一例では、制御部10は、PM濃度センサーの濃度検出値と第2基準値との差分に基づいて第2風量W2を設定する。このような制御によって、PM濃度センサーの濃度検出値が第2基準値よりも大きく、かつ、差分が大きいほど、第2風量W2が大きくなる。PM濃度センサーの濃度検出値が第2基準値に近づくと、徐々に、第2風量W2が小さくなり、その後、一定の風量に収束する。また、制御部10は、第2風量W2の設定の都度、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。具体的には、第1実施形態の第2例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第2風量W2とに基づいて第1風量W1を設定する。
【0114】
<他の例>
本実施形態における上述の例では、制御部10は、対象空間Sの第2選定状態量が第2基準を満たすように第2風量W2を設定する。制御部10は、第2風量W2の設定の都度、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。
【0115】
これに対して、制御部10は、次の関係情報に基づいて、第1風量W1および第2風量W2を設定してもよい。関係情報は、記憶部11に予め記憶されている。関係情報は、第2選定状態量に基づいて第2風量W2を導出する第3導出情報と、第2風量W2に基づいて第1風量W1を導出する第4導出情報と、を含む。例えば、第3導出情報は、第2選定状態量が大きい値であるほど第2風量W2が大きい値をとるように、第2選定状態量と第2風量W2とか関係付けられた情報である。第4導出情報は、第1風量W1と第2風量W2との関係が第1実施形態に示される関係を満たすように構成される。第1実施形態に示される関係は、第1風量W1と中間風量WXとの合計が必要風量WAとなる関係である。これによって、対象空間Sが十分に換気される。
【0116】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)関係情報は、第2選定状態量に基づいて第2風量W2を導出する第3導出情報と、第2風量W2に基づいて第1風量W1を導出する第4導出情報とを含む。この構成によれば、対象物質濃度(対象状態量)を調整するとともに第2選定状態量が第2基準を満たすように対象空間Sの空気状態を調整する場合に、省エネを図ることができる。
【0117】
(2)制御部10は、対象空間Sの第2選定状態量が第2基準を満たすように第2風量W2を設定し、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第2選定状態量が第2基準を満たすように対象空間Sの空気状態を調整する場合に、省エネを図ることができる。
【0118】
<第4実施形態>
図5を参照して、第4実施形態に係る空調連携システム1について説明する。本実施形態の空調連携システム1において第2実施形態と共通する構成については、第2実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0119】
本実施形態に係る空調連携システム1は、第2実施形態を含む。本実施形態に係る空調連携システム1は、次の点で第2実施形態と異なる。第2実施形態では、空気処理機3は、清浄機能付き空気調和機4である。これに対して、本実施形態では、空気処理機3は、複数の装置を含む。
【0120】
一例では、空気処理機3は、空気清浄機5と、空気調和機4とを含む。
空気清浄機5は、処理部6Bを有する。
空気調和機4は、対象空間Sの温度を調整する空調部7と、処理部6Aを有する。
このような空調連携システム1の場合、対象物質Tは、外気導入機2、空気清浄機5、および空気調和機4によって調整される。
【0121】
第1風量W1は、外気導入機2の風量を含む。
第2風量W2は、空気清浄機5の風量と、空気調和機4の風量とを含む。
第3風量W3は、空気清浄機5において処理部6Bで処理される風量と定義される。
第4風量W4は、空気調和機4において空調部7および処理部6Aで処理される風量であって、対象空間Sの温度に基づいて設定される風量と定義される。
【0122】
空調連携システム1は、外気導入機2と、空気処理機3の1つである空気清浄機5と、空気処理機3の他の1つである空気調和機4との連携によって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。
【0123】
制御部10は、外気導入機2の制御ユニット2Aと通信する。制御部10の指令に基づいて外気導入機2のファンを制御することによって、外気導入機2の風量を指令の風量に調整する。
【0124】
制御部10は、空気調和機4の制御ユニット4Aと通信する。制御ユニット4Aは、制御部10の指令に基づいて空気調和機4のファンを制御することによって、空気調和機4の風量を指令の風量に調整する。
【0125】
制御部10は、空気清浄機5の制御ユニット5Aと通信する。制御ユニット5Aは、制御部10の指令に基づいて空気清浄機5のファンを制御することによって、空気清浄機5の風量を指令の風量に調整する。
【0126】
対象物質Tは、例えば、病原体である。空調連携システム1は、さらに、対象空間Sの第1選定状態量を調整する。第1選定状態量は、対象空間Sの二酸化炭素濃度である。
【0127】
制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量(例えば、二酸化炭素濃度)が第1基準を満たすように第1風量W1を設定する。
【0128】
制御部10は、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。一例では、制御部10は、必要風量WAから第1風量W1を引いた値として中間風量WXを導出する。制御部10は、中間風量WXと換算値とに基づいて第2風量W2を導出する。本実施形態では、空気調和機4の換算値と空気清浄機5の換算値とは等しい。第2風量W2は、空気調和機4と空気清浄機5とが処理すべき風量である。
【0129】
空気調和機4は、室内温度TAおよび設定温度に基づいて第4風量W4を設定する。設定温度は、ユーザが設定する室内の目標温度である。ユーザは、室内の利用者または室内の空調を管理する空調管理者である。
【0130】
制御部10は、第2風量W2および第4風量W4に基づいて第3風量W3を設定する。具体的には、制御部10は、空気調和機4から第4風量W4を取得する。制御部10は、第2風量W2から第4風量W4を引いた値を第3風量W3として出力する。
【0131】
図6は、必要風量WAと第1風量W1と第2風量W2と第3風量W3と第4風量W4との関係を示す図である。このように、制御部10は、第1風量W1と第3風量W3と第4風量W4との合計が必要風量WAとなるように、外気導入機2、空気調和機4、および、空気清浄機5それぞれの風量を調整し、各機器に所定風量で動作させるための指令を出す。
【0132】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)本実施形態では、空気処理機3は、処理部6Bを有する空気清浄機5と、対象空間Sの温度を調整する空調部7および処理部6Aを有する空気調和機4とを含む。第1選定状態量は、対象空間Sの二酸化炭素濃度である。第2風量W2は、空気清浄機5の風量と、空気調和機4の風量とを含む。制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定し、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。
【0133】
この構成によれば、外気導入機2によって二酸化炭素濃度が調整される場合において、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに二酸化炭素濃度が基準を満たすように対象空間Sの空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0134】
(2)制御部10は、第2風量W2および第4風量W4に基づいて第3風量W3を設定する。ここで、第3風量W3は、空気清浄機5において処理部6Bで処理される風量である。第4風量W4は、空気調和機4において空調部7および処理部6Aで処理される風量であって、対象空間Sの温度に基づいて設定される風量である。
【0135】
この構成によれば、風量について、空気清浄機5の動作と空気調和機4の動作との連携がとられるため、このような連携が行われない場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0136】
<第5実施形態>
図7を参照して、第5実施形態に係る空調連携システム1について説明する。本実施形態の空調連携システム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0137】
本実施形態に係る空調連携システム1は、第1実施形態の第1例を含む。本実施形態に係る空調連携システム1は、次の点で第1例と異なる。第1例では、第1風量W1はユーザの操作によって設定されている。これに対して、本実施形態では、所定のルールに基づいて第1風量W1が設定される。
【0138】
空調連携システム1は、外気導入機2と空気処理機3との連携によって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。空気処理機3は、空気清浄機5を含む。空気処理機3は、空気調和機4を含まないか、または、運転停止状態の空気調和機4を含む。対象物質Tは、例えば、病原体である。空調連携システム1は、さらに、対象空間Sの第1選定状態量を調整する。
【0139】
第1選定状態量は、対象物質濃度と異なる状態量であって、外気導入機2の外気の導入によって調整される状態量である。第1選定状態量は、空気処理機3によって調整し難い量である。本実施形態では、第1選定状態量は、対象空間Sの温度または湿度である。本実施形態では、空気処理機3は空気調和機4を含まない、または空気処理機3は運転停止状態である。このため、対象空間Sの温度または湿度は空気処理機3では調整され難い。このため、温度または湿度は、外気導入機2によってのみ調整可能な量として第1選定状態量として選定される。
【0140】
空気調和機4が設置されない対象空間Sとして、開放型のドーム空間が挙げられる。展示会が開催されるドーム空間では、人が密集するため感染対策が必要となるため、対象空間Sにおける対象物質濃度(例えば、病原体)が管理される。対象空間Sの温度または湿度は、外気の導入によって行われる。
【0141】
制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定する。
【0142】
制御部10は、第1選定状態量が第1基準を満たすように設定される風量範囲を有する。第1基準は予め設定される。例えば、第1基準は、対象空間Sで人が快適に過ごせる第1選定状態量を示す。本実施形態では、第1基準は、対象空間Sで人が快適に過ごせる温度または湿度の範囲として設定される。以下、制御部10が実行する制御の例を説明する。
【0143】
制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすか否かについて、第1選定状態量を検出するセンサーに基づいて判定する。例えば、第1選定状態量が温度である場合、制御部10は、対象空間Sに設けられる温度センサーの温度検出値に基づいて対象空間Sの第1選定状態量が第1基準の基準範囲内であるか否かを判定する。温度センサーの温度検出値が第1基準の基準範囲内の値でない場合、制御部10は、温度センサーの温度検出値が第1基準値に近づくように第1風量W1を設定する。基準範囲は、第1基準値を中心に設定される範囲であって、第1基準を満たすと看做す範囲であり、予め設定される。以下、本実施形態について、2つの例を挙げる。
【0144】
<第1例>
第1例では、外気導入機2は、外気の温度を調整する温度調整部を備える。外気は、外気導入機2内の温度調整部によって温度が調整される。温度調整部は、冷媒回路の熱交換器を有する。
【0145】
対象空間S内の温度が第1基準値の基準範囲の上限よりも高い場合、制御部10は、対象空間S内の温度が第1基準値に近づくように、外気の温度を第1基準値よりも低くなるように冷媒回路を制御し、かつ、第1風量W1を設定する。制御部10は、対象空間S内の温度と第1基準値との差分に基づいて第1風量W1を設定する。このような制御によって、対象空間S内の温度が第1基準値よりも高く、かつ、差分が大きいほど、第1風量W1が大きくなる。対象空間S内の温度が第1基準値に近づくと、徐々に、第1風量W1が小さくなり、その後、一定の風量に収束する。
【0146】
対象空間S内の温度が第1基準値の基準範囲の下限よりも低い場合、制御部10は、対象空間S内の温度が第1基準値に近づくように、外気の温度を第1基準値よりも高くなるように冷媒回路を制御し、かつ、第1風量W1を設定する。制御部10は、対象空間S内の温度と第1基準値との差分に基づいて第1風量W1を設定する。このような制御によって、対象空間S内の温度が第1基準値よりも低く、かつ、差分が大きいほど、第1風量W1が大きくなる。対象空間S内の温度が第1基準値に近づくと、徐々に、第1風量W1が小さくなり、その後、一定の風量に収束する。
【0147】
制御部10は、第1風量W1の設定の都度、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。
【0148】
第1選定状態量が湿度である場合の制御は、第1選定状態量が温度である場合の制御と同様である。
【0149】
<第2例>
第2例では、外気導入機2は、外気の温度を調整する機能を備えず、そのまま外気を導入する。制御部10は、温度センサーの温度検出値と第1基準値との差分に基づいて第1風量W1を設定する。また、制御部10は、外気を導入することによって対象空間Sの温度が第1基準を満たすようになる場合(以下、外気導入可能条件の成立)にのみ、対象空間Sの温度が第1基準を満たすように、第1風量W1をフィードバック制御する。制御部10は、外気導入によって対象空間Sの温度が第1基準を満たすようにならない場合、第1風量W1は、最小量に設定される。制御部10は、外気導入可能条件が成立するか否かについて、外気の温度と対象空間S内の温度との間に第1基準値があるか否かによって判定する。制御部10は、外気の温度と対象空間S内の温度との間に第1基準値がある場合、外気導入可能条件が成立すると判定する。
【0150】
外気導入可能条件の成立のときの制御部10のフィードバック制御によれば、温度センサーの温度検出値と第1基準値との差分が大きいほど、第1風量W1が大きくなる。温度センサーの温度検出値が第1基準値に近づくと、徐々に、第1風量W1が小さくなり、その後、一定の風量に収束する。また、制御部10は、第1風量W1の設定の都度、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。
【0151】
第1選定状態量が湿度である場合の制御は、第1選定状態量が温度である場合の制御と同様である。
【0152】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
制御部10は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように第1風量W1を設定し、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。ここで、第1選定状態量は、対象空間Sの温度である。第1選定状態量は、対象空間Sの湿度であってもよい。
【0153】
この構成によれば、外気導入機2によって対象空間Sの温度または湿度が調整される場合に次の効果がある。対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに、外気導入によって対象空間Sの温度または湿度が基準を満たすように対象空間Sの空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0154】
<第6実施形態>
図8を参照して、第6実施形態に係る空調連携システム1について説明する。本実施形態の空調連携システム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0155】
本実施形態に係る空調連携システム1は、第1実施形態の第1例または第2例を含む。本実施形態に係る空調連携システム1は、次の点で第1例または第2例と異なる。第1例または第2例では、第1風量W1または第2風量W2はユーザの操作に基づいて設定されている。これに対して、本実施形態では、所定のルールに基づいて第1風量W1または第2風量W2が設定される。
【0156】
空調連携システム1は、外気導入機2と空気処理機3との連携によって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。対象物質Tは、例えば、病原体である。空気処理機3は、処理部6Aと、対象空間Sの温度を調整する空調部7と、を有する。
【0157】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かの判定結果に基づいて、第1風量W1および第2風量W2の一方を優先的に先に設定する。
【0158】
第1消費エネルギーは、対象空間Sに単位量の外気を導入する場合における次の(1)の消費エネルギーと(2)の消費エネルギーの合計として定義される。(1)は、外気の導入に要する外気導入機2の消費エネルギーである。(2)は、単位量の外気が導入された対象空間Sを外気の導入前の温度まで戻すために要する空気処理機3の消費エネルギーである。
【0159】
第2消費エネルギーは、対象空間Sの単位量の空気を処理する場合において、単位量の空気を処理するために要する空気処理機3の消費エネルギーとして定義される。
【0160】
第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かの判定によって、外気を導入することが空調連携システム1の消費エネルギーとして有利であるか否かを判定できる。このため、判定結果に基づく制御によって消費エネルギーを抑制できる。
【0161】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かを判定する。
【0162】
第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいかについての判定方法の例を挙げる。例えば、制御部10は、室外温度TBと室内温度TAとの温度差に基づいて、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいかを判定できる。
【0163】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きい場合、第1消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第1風量W1を設定する。具体的には、制御部10は、判定時の第1風量W1以下となるように、第1風量W1を設定する。一例では、制御部10は、判定時の第1風量W1から所定風量を差し引いた値を第1風量W1として設定する。他の例では、制御部10は、判定時の第1風量W1と1未満の係数との乗算によって得られた値を第1風量W1として設定する。
【0164】
制御部10は、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。
【0165】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギー以下である場合、第2消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第2風量W2を設定する。具体的には、制御部10は、判定時の第2風量W2以下となるように、第2風量W2を設定する。一例では、制御部10は、判定時の第2風量W2から所定風量を差し引いた値を第2風量W2として設定する。他の例では、制御部10は、判定時の第2風量W2と1未満の係数との乗算によって得られた値を第2風量W2として設定する。
【0166】
制御部10は、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。具体的には、第1実施形態の第2例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第2風量W2とに基づいて第1風量W1を設定する。
【0167】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かを判定する。制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きい場合、第1消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第1風量W1を設定し、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギー以下である場合、第2消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第2風量W2を設定し、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。
【0168】
この構成によれば、空気処理機3が対象空間Sを空調する場合において、第1消費エネルギーと第2消費エネルギーとの比較において、消費エネルギーが大きい方の機器のエネルギーが判定時よりも小さくなるように風量を設定する。これによって、外気導入機2の消費エネルギーと空気処理機3の消費エネルギーとの総和である総和消費エネルギーを小さくできる。
【0169】
<第7実施形態>
図9を参照して、第7実施形態に係る空調連携システム1について説明する。本実施形態の空調連携システム1において第6実施形態と共通する構成については、第6実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0170】
本実施形態に係る空調連携システム1は、次の点で第6実施形態と異なる。第6実施形態では、第1風量W1または第2風量W2は消費エネルギーに基づいて設定されている。これに対して、本実施形態では、消費エネルギーおよび第1選定状態量に基づいて第1風量W1または第2風量W2が設定される。
【0171】
空調連携システム1は、外気導入機2と空気処理機3との連携によって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。対象物質Tは、例えば、病原体である。第1選定状態量は二酸化炭素濃度である。空気処理機3は、処理部6Aと、対象空間Sの温度を調整する空調部7と、を有する。
【0172】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かの判定結果に基づいて、第1風量W1および第2風量W2の一方を優先的に先に設定する。
【0173】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かを判定する。
【0174】
制御部10は、対象空間Sにおいて、第1選定状態量が第1基準を満たすために必要とされる外気導入機2の風量として、予め設定される所定風量を有する。
【0175】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きい場合、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように所定風量以上の風量となるように第1風量W1を設定する。
【0176】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きい場合、第1消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第1風量W1を設定する。具体的には、制御部10は、判定時の第1風量W1以下となるように、第1風量W1を設定する。一例では、制御部10は、判定時の第1風量W1から所定風量を差し引いた値を第1風量W1として設定する。他の例では、制御部10は、判定時の第1風量W1と1未満の係数との乗算によって得られた値を第1風量W1として設定する。
【0177】
さらに、制御部10は、第1風量W1が所定風量以上であるか否かを判定し、第1風量W1が所定風量未満である場合、所定風量を第1風量W1に設定する。
【0178】
制御部10は、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。
【0179】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギー以下である場合、第2消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第2風量W2を設定する。具体的には、制御部10は、判定時の第2風量W2以下となるように、第2風量W2を設定する。一例では、制御部10は、判定時の第2風量W2から所定風量を差し引いた値を第2風量W2として設定する。他の例では、制御部10は、判定時の第2風量W2と1未満の係数との乗算によって得られた値を第2風量W2として設定する。
【0180】
制御部10は、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。具体的には、第1実施形態の第2例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第2風量W2とに基づいて第1風量W1を設定する。
【0181】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きい場合、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすように所定風量以上の風量となるように第1風量W1を設定し、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。
【0182】
外気導入機2でしか調整できない第1選定状態量を調整する必要があり、かつ、対象空間Sの空調において外気導入機2による外気導入が消費エネルギーとして不利になる状況がある。上記の構成によれば、このような状況において、外気導入機2の第1風量W1を上記のように所定風量以上の風量に設定する。これによって、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第1選定状態量が第1基準を満たすように対象空間Sの空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0183】
<第8実施形態>
図10を参照して、第8実施形態に係る空調連携システム1について説明する。本実施形態の空調連携システム1において第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0184】
本実施形態に係る空調連携システム1は、次の点で第6実施形態と異なる。第6実施形態では、第1風量W1または第2風量W2は消費エネルギーに基づいて設定されている。これに対して、本実施形態では、消費エネルギーおよび第2選定状態量に基づいて第1風量W1または第2風量W2が設定される。
【0185】
空調連携システム1は、外気導入機2と空気処理機3との連携によって対象空間Sの対象物質濃度を調整する。対象物質Tは、例えば、病原体である。第2選定状態量はPM濃度である。空気処理機3は、処理部6Aと、対象空間Sの温度を調整する空調部7と、を有する。空気処理機3は、さらに、第2選定状態量に係る物質Mを処理できる追加処理部6Cを有する。
【0186】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かの判定結果に基づいて、第1風量W1および第2風量W2の一方を優先的に先に設定する。
【0187】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きいか否かを判定する。
【0188】
制御部10は、対象空間Sにおいて、第2選定状態量が第2基準を満たすために必要とされる空気処理機3の風量として、予め設定される所定風量を有する。
【0189】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギーよりも大きい場合、第1消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第1風量W1を設定する。具体的には、制御部10は、判定時の第1風量W1以下となるように、第1風量W1を設定する。一例では、制御部10は、判定時の第1風量W1から所定風量を差し引いた値を第1風量W1として設定する。他の例では、制御部10は、判定時の第1風量W1と1未満の係数との乗算によって得られた値を第1風量W1として設定する。
【0190】
制御部10は、第1風量W1に基づいて第2風量W2を設定する。具体的には、第1実施形態の第1例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第1風量W1とに基づいて第2風量W2を設定する。
【0191】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギー以下である場合、対象空間Sの第2選定状態量が第2基準を満たすように所定風量以上の風量となるように第2風量W2を設定する。
【0192】
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギー以下である場合、第2消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように第2風量W2を設定する。具体的には、制御部10は、判定時の第2風量W2以下となるように、第2風量W2を設定する。一例では、制御部10は、判定時の第2風量W2から所定風量を差し引いた値を第2風量W2として設定する。他の例では、制御部10は、判定時の第2風量W2と1未満の係数との乗算によって得られた値を第2風量W2として設定する。
【0193】
さらに、制御部10は、第2風量W2が所定風量以上であるか否かを判定し、第2風量W2が所定風量未満である場合、所定風量を第2風量W2に設定する。
【0194】
制御部10は、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。具体的には、第1実施形態の第2例と同様に、制御部10は、必要風量WAと第2風量W2とに基づいて第1風量W1を設定する。
【0195】
<効果>
本実施形態の効果を説明する。
制御部10は、第1消費エネルギーが第2消費エネルギー以下である場合、対象空間Sの第2選定状態量が第2基準を満たすように所定風量以上の風量となるように第2風量W2を設定し、第2風量W2に基づいて第1風量W1を設定する。
【0196】
空気処理機3でしか構成できない第2選定状態量を調整する必要があり、かつ、対象空間Sの空調において空気処理機3を動作させることが消費エネルギーとして不利になる状況がある。上記の構成によれば、このような状況において、空気処理機3の第2風量W2を上記のように所定風量以上の風量に設定する。これによって、対象物質濃度を目標濃度に近づけるとともに第2選定状態量が第2基準を満たすように対象空間Sの空調を行いながら、省エネを図ることができる。
【0197】
(変形例)
本開示の空調連携システム1は、上記各実施の形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0198】
・本実施形態には、課題を解決する次の構成の制御装置20が開示される(
図1、
図3~
図5、
図7~
図10参照)。制御装置20は、対象空間Sの空気状態を調整する機器を制御する。機器は、対象空間Sに外気を導入することによって対象空間Sの対象物質濃度を調整する外気導入機2と、対象空間Sの空気を処理することによって対象物質濃度を調整する処理部6を有する空気処理機3と、を含む。制御装置20は、必要風量WAと、外気導入機2の第1風量W1および空気処理機3の第2風量W2のうちの一方の風量とに基づいて、第1風量W1および第2風量W2のうちの他方の風量を設定する。第1風量W1は、外気導入機2が対象空間Sに導入する風量である。第2風量W2は、空気処理機3が処理する風量である。
【0199】
この構成によれば、対象物質濃度を目標濃度に近づける場合において、外気導入機2と空気処理機3とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0200】
・本実施形態には、課題を解決する次の構成の制御装置20が開示される。制御装置20は、対象空間Sの空気状態を調整する機器を制御する制御装置20である。機器は、対象空間Sに外気を導入することによって対象空間Sの対象状態量を調整する外気導入機2と、対象空間Sの空気を処理することによって対象状態量を調整する処理部6を有する空気処理機3と、を含む。制御装置20は、外気導入機2の第1風量W1および空気処理機3の第2風量W2を設定する制御部10と、記憶部11と、を備える。記憶部11は、対象状態量と異なる対象空間Sの状態量であって外気導入機2および空気処理機3の少なくとも一方によって変化する選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2と、の関係を示す関係情報を記憶する。制御部10は、選定状態量に基づいて関係情報から第1風量W1および第2風量W2を設定する。この構成によれば、対象空間Sにおける対象状態量を調整する場合において、外気導入機2と空気処理機3とが独立して動作する場合に比べて、省エネを図ることができる。
【0201】
・第2実施形態において関係情報について説明した。関係情報は、選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2とを関係づける。関係情報は、次のように構成されてもよい。第2実施形態の<第3例-2>において、関係情報は、第1選定状態量と第1風量W1と第2風量W2との関係を示す第3関係情報、を含む。第2実施形態の<第3例-2>では、関係情報は、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすことを目的として、第1選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2との関係が設定されている。これに対して、この例では、対象空間Sの第1選定状態量が第1基準を満たすことは条件とされない。この例では、所定目的に基づいて、第1選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2との関係が設定される。所定目的は、業務活動の快適性、リラクゼーションのための快適性、感染予防重視のための最適な空調、等が挙げられる。この構成によれば、第1選定状態量と第3関係情報とに基づいて、第1風量W1と第2風量W2とを導出できる。
【0202】
・第3実施形態において関係情報について説明した。関係情報は、選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2とを関係づける。第3実施形態において関係情報は、次のように構成されてもよい。第3実施形態において、関係情報は、第2選定状態量と第1風量W1と第2風量W2との関係を示す第4関係情報、を含む。この例では、所定目的に基づいて、第2選定状態量と、第1風量W1と、第2風量W2との関係が設定される。所定目的は、業務活動の快適性、リラクゼーションのための快適性、感染予防重視のための最適な空調、等が挙げられる。この構成によれば、第2選定状態量と第4関係情報とに基づいて、第1風量W1と第2風量W2とを導出できる。
【0203】
・第1実施形態~第2実施形態に示される関係情報は、どのような形態であってもよい。第1実施形態において、第1風量W1と第2風量W2との関係は、テーブル形式、数式、学習モデル、または、チャートによって構築され得る。第2実施形態または第3実施形態において、選定状態量と第1風量W1と第2風量W2との関係は、テーブル形式、数式、学習モデル、または、チャートによって構築され得る。
【0204】
本明細書には、以下の技術を開示する。
[付記1]
対象空間の空気状態を調整する空調連携システムである。空調連携システムは、前記対象空間に外気を導入することによって前記対象空間の対象物質濃度を調整する外気導入機と、前記対象空間の空気を処理することによって前記対象物質濃度を調整する処理部を有する空気処理機と、前記外気導入機の第1風量および前記空気処理機の第2風量を設定する制御部と、を備える。前記制御部は、前記対象物質濃度を目標濃度に導くために必要とされる必要風量と、前記第1風量および前記第2風量のうちの一方の風量とに基づいて、前記第1風量および前記第2風量のうちの他方の風量を設定する。前記第1風量は、前記外気導入機が前記対象空間に導入する風量である。前記第2風量は、前記空気処理機が処理する風量である。
【0205】
[付記2]
付記2の空調連携システムは、付記1に記載の空調連携システムである。前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記外気導入機の外気の導入によって調整される状態量は、第1選定状態量として定義される。空調連携システムにおいて前記制御部は、前記対象空間の前記第1選定状態量が第1基準を満たすように前記第1風量を設定し、前記第1風量に基づいて前記第2風量を設定する。
【0206】
[付記3]
付記3の空調連携システムは、付記2に記載の空調連携システムであって、前記制御部は、前記第1選定状態量が第1基準を満たすように設定される風量範囲を有する。そして、前記制御部は、前記対象空間の前記第1選定状態量について設定される風量範囲の最小量を前記第1風量に設定する。
【0207】
[付記4]
付記4の空調連携システムは、付記1に記載の空調連携システムである。前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記空気処理機の空気処理によって除去される状態量は、第2選定状態量として定義される。空調連携システムの制御部は、前記対象空間の前記第2選定状態量が第2基準を満たすように前記第2風量を設定し、前記第2風量に基づいて前記第1風量を設定する。
【0208】
[付記5]
付記5の空調連携システムは、付記2に記載の空調連携システムであって、前記第1選定状態量は、前記対象空間の二酸化炭素濃度である。
【0209】
[付記6]
付記6の空調連携システムは、付記2に記載の空調連携システムであって、前記空気処理機は、前記処理部を有する空気清浄機と、前記対象空間の温度を調整する空調部および前記処理部を有する空気調和機とを含む。前記第2風量は、前記空気清浄機の風量と、前記空気調和機の風量とを含む。前記第1選定状態量は、前記対象空間の二酸化炭素濃度である。
【0210】
[付記7]
付記7の空調連携システムは、付記6に記載の空調連携システムである。前記空気清浄機において前記処理部で処理される風量は、第3風量と定義される。前記空気調和機において前記空調部および前記処理部で処理される風量であって、前記対象空間の温度に基づいて設定される風量は第4風量と定義される。そして、空調連携システムにおいて、前記制御部は、前記第2風量および前記第4風量に基づいて前記第3風量を設定する。
【0211】
[付記8]
付記8の空調連携システムは、付記2に記載の空調連携システムであって、前記第1選定状態量は、前記対象空間の温度または湿度である。
【0212】
[付記9]
付記9の空調連携システムは、付記1に記載の空調連携システムである。
前記対象空間に単位量の外気を導入する場合において、前記外気の導入に要する前記外気導入機の消費エネルギーと前記単位量の前記外気が導入された前記対象空間を前記外気の導入前の温度まで戻すために要する前記空気処理機の消費エネルギーとの合計は、第1消費エネルギーとして定義される。また、前記対象空間の単位量の空気を処理する場合において、前記単位量の空気を処理するために要する前記空気処理機の消費エネルギーは、第2消費エネルギーとして定義される。空調連携システムにおいて、前記空気処理機は、前記処理部と、前記対象空間の温度を調整する空調部と、を有する。前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギーよりも大きいか否かを判定する。前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギーよりも大きい場合、前記第1消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように前記第1風量を設定し、前記第1風量に基づいて前記第2風量を設定する。前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギー以下である場合、前記第2消費エネルギーが判定時の大きさ以下となるように前記第2風量を設定し、前記第2風量に基づいて前記第1風量を設定する。
【0213】
[付記10]
付記10の空調連携システムは、付記1に記載の空調連携システムである。
前記対象空間に単位量の外気を導入する場合において、前記外気の導入に要する前記外気導入機の消費エネルギーと前記単位量の前記外気が導入された前記対象空間を前記外気の導入前の温度まで戻すために要する前記空気処理機の消費エネルギーとの合計は、第1消費エネルギーとして定義される。また、前記対象空間の単位量の空気を処理する場合において、前記単位量の空気を処理するために要する前記空気処理機の消費エネルギーは、第2消費エネルギーとして定義される。また、前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記外気導入機の外気の導入によって調整される状態量は、第1選定状態量として定義される。そして、空調連携システムにおいて、前記制御部は、前記対象空間において、前記第1選定状態量が第1基準を満たすために必要とされる前記外気導入機の風量として、予め設定される所定風量を有する。前記空気処理機は、前記処理部と、前記対象空間の温度を調整する空調部と、を有する。前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギーよりも大きい場合、前記対象空間の前記第1選定状態量が第1基準を満たすように前記所定風量以上の風量となるように前記第1風量を設定し、前記第1風量に基づいて前記第2風量を設定する。
【0214】
[付記11]
付記11の空調連携システムは、付記1に記載の空調連携システムである。前記対象空間に単位量の外気を導入する場合において、前記外気の導入に要する前記外気導入機の消費エネルギーと前記単位量の前記外気が導入された前記対象空間を前記外気の導入前の温度まで戻すために要する前記空気処理機の消費エネルギーとの合計は、第1消費エネルギーとして定義される。また、前記対象空間の単位量の空気を処理する場合において、前記単位量の空気を処理するために要する前記空気処理機の消費エネルギーは、第2消費エネルギーとして定義される。また、前記対象物質濃度と異なる状態量であって、前記空気処理機の空気処理によって調整できる状態量は、第2選定状態量として定義される。空調連携システムにおいて、前記制御部は、前記対象空間において、前記第2選定状態量が第2基準を満たすために必要とされる前記空気処理機の風量として、予め設定される所定風量を有する。前記空気処理機は、前記処理部と、前記対象空間の温度を調整する空調部と、を有する。前記制御部は、前記第1消費エネルギーが前記第2消費エネルギー以下である場合、前記対象空間の前記第2選定状態量が第2基準を満たすように前記所定風量以上の風量となるように前記第2風量を設定し、前記第2風量に基づいて前記第1風量を設定する。
【0215】
[付記12]
付記12の空調連携システムは、付記1~11のいずれか一項に記載の空調連携システムであって、前記対象物質濃度は、前記対象空間における、病原体濃度、花粉濃度、PM濃度、埃濃度、または、有害化学物質濃度である。
【0216】
[付記13]
付記13の制御装置は、対象空間の空気状態を調整する機器を制御する制御装置である。前記機器は、前記対象空間に外気を導入することによって前記対象空間の対象物質濃度を調整する外気導入機と、前記対象空間の空気を処理することによって前記対象物質濃度を調整する処理部を有する空気処理機と、を含む。制御装置は、前記対象物質濃度を目標濃度に導くために必要とされる必要風量と、前記外気導入機の第1風量および前記空気処理機の第2風量のうちの一方の風量とに基づいて、前記第1風量および前記第2風量のうちの他方の風量を設定する。前記第1風量は、前記外気導入機が前記対象空間に導入する風量である。前記第2風量は、前記空気処理機が処理する風量である。
【0217】
・以上、空調連携システム1について実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された空調連携システム1の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0218】
S…対象空間、W1…第1風量、W2…第2風量、W3…第3風量、W4…第4風量、WA…必要風量、1…空調連携システム、2…外気導入機、3…空気処理機、4…空気調和機、5…空気清浄機、6,6A,6B…処理部、7…空調部、10…制御部、11…記憶部、20…制御装置。