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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】コードレス電話装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/10 20090101AFI20240111BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20240111BHJP
   H04W 80/10 20090101ALI20240111BHJP
【FI】
H04W84/10
H04W36/08
H04W80/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013411
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119654
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】横田 憲
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/094056(WO,A1)
【文献】特開2014-183539(JP,A)
【文献】特開2009-188616(JP,A)
【文献】特開2014-192667(JP,A)
【文献】特開2004-328170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とが無線接続されるコードレス電話装置を複数接続して構成される電話システムで用いられる前記コードレス電話装置であって、
前記親機は、
前記子機との間で無線通信を行い、コードレス電話装置として機能できるようにするペアリング処理時に、子機識別情報を含むペアリング情報を生成して、ペアリング情報記憶手段に記録するペアリング情報生成手段と、
前記ペアリング情報生成手段で生成された前記ペアリング情報を、前記電話制御装置に接続された他の親機に対して送信するペアリング情報送信手段と、
前記電話制御装置に接続された他の親機からの前記ペアリング情報を受信した場合に、受信した前記ペアリング情報を前記ペアリング情報記憶手段に追加記録するペアリング情報追加手段と、
ペアリングされて通信が可能になった前記子機との間に、前記ペアリング情報記憶手段の前記ペアリング情報に基づいて、仮想リンクを接続する第1の仮想リンク接続手段と、
子機からの当該子機の子機識別情報を含む接続要求を受け付けた場合に、前記ペアリング情報記憶手段の前記子機識別情報により特定される前記ペアリング情報に基づいて、接続要求元の前記子機との間に仮想リンクを接続する第2の仮想リンク接続手段と、
第2の仮想リンク接続手段により仮想リンクを接続した場合に、仮想リンクを接続した子機の子機識別情報を含む仮想リンク接続通知を前記電話制御装置に接続された他の親機に対して送信する接続通知送信手段と、
前記仮想リンク接続通知を受信した場合に、前記ペアリング情報記憶手段の前記ペアリング情報に基づいて、同一の子機について自機においても仮想リンクを接続していた場合に、これを解除する仮想リンク解除手段と
を備え、
前記子機は、
接続中の親機よりも、他の親機からの信号が良好に受信できるようになった場合に、自機の子機識別情報を含む接続要求を生成して、当該他の親機に対して送信する接続要求送信手段
を備えることを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコードレス電話装置であって、
前記親機は、
受信した前記接続要求が、前記電話制御装置及び他の親機を通じた通信状態にある子機からの当該子機の子機識別情報を含むハンドオーバ要求である場合に、自機の識別情報を含み、前記子機を通じた通信の継続に必要な子機接続情報の提供を要求する提供要求を形成し、前記電話制御装置に接続された他の親機に対して送信する提供要求送信手段と、
他の親機からの前記提供要求を受信した場合であって、通信状態にある前記子機が自機を通じて通信を行っている場合に、IPアドレスに関する情報を含む前記子機接続情報を生成し、要求元の前記親機に対して送信する子機接続情報送信手段と、
前記提供要求に応じて、前記子機と通信状態にある前記他の親機から自機宛てに送信されてきた前記子機接続情報を受信して、子機接続情報記憶手段に記録する子機接続情報記録手段と、
前記子機接続情報記録手段により、前記子機接続情報を前記子機接続情報記憶手段に記録した場合に、前記ハンドオーバ要求の送信元の前記子機に対して、ハンドオーバが可能である旨を通知するハンドオーバ応答を生成し、当該子機に対して送信するハンドオーバ応答送信手段と
を備え、
前記子機の前記接続要求送信手段は、前記電話制御装置及び他の親機を通じた通信状態にある場合に、接続中の親機よりも、他の親機からの信号が良好に受信できるようになった場合には、自機の子機識別情報を含むハンドオーバ要求を生成して、当該他の親機に対して送信する
ことを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項3】
請求項1に記載のコードレス電話装置であって、
前記電話制御装置を介して、IP(Internet Protocol)網に接続し、通信を行うようする場合には、前記親機の前記ペアリング情報生成手段は、IPアドレス関連情報を含む前記ペアリング情報を生成することができるものであり、
前記親機は、
前記第1の仮想リンク接続手段により接続された前記仮想リンクに対して、前記ペアリング情報の前記IPアドレス関連情報に基づいて、IPアドレスを設定する第1のIPアドレス設定手段と、
前記第2の仮想リンク接続手段により接続された前記仮想リンクに対して、IPアドレスを設定する第2のIPアドレス設定手段と
を備えることを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコードレス電話装置であって、
前記親機において、受信した前記接続要求が、待機状態にある子機からの移動に応じて接続先の親機を切り替えるためのローミング要求の場合には、前記第2のIPアドレス設定手段は、前記第2の仮想リンク接続手段により接続された前記仮想リンクに対して、前記ペアリング情報の前記IPアドレス関連情報に基づいて、IPアドレスを設定するものであり、
前記子機において、前記接続要求送信手段は、待機状態にある場合に、接続中の親機よりも、他の親機からの信号が良好に受信できるようになった場合に、自機の子機識別情報を含むローミング要求を生成して、当該他の親機に対して送信する
ことを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項5】
請求項3に記載のコードレス電話装置であって、
前記親機は、
受信した前記接続要求が、前記電話制御装置及び他の親機を通じた通信状態にある子機からの当該子機の子機識別情報を含むハンドオーバ要求である場合に、自機の識別情報を含み、前記子機を通じた通信の継続に必要な子機接続情報の提供を要求する提供要求を形成し、前記電話制御装置に接続された他の親機に対して送信する提供要求送信手段と、
他の親機からの前記提供要求を受信した場合であって、通信状態にある前記子機が自機を通じて通信を行っている場合に、IPアドレスに関する情報を含む前記子機接続情報を生成し、要求元の前記親機に対して送信する子機接続情報送信手段と、
前記提供要求に応じて、前記子機と通信状態にある前記他の親機から自機宛てに送信されてきた前記子機接続情報を受信して、子機接続情報記憶手段に記録する子機接続情報記録手段と、
前記子機接続情報記録手段により、前記子機接続情報を前記子機接続情報記憶手段に記録した場合に、前記ハンドオーバ要求の送信元の前記子機に対して、ハンドオーバが可能である旨を通知するハンドオーバ応答を生成し、当該子機に対して送信するハンドオーバ応答送信手段と
を備え、
前記親機の前記第2のIPアドレス設定手段は、前記第2の仮想リンク接続手段により接続された前記仮想リンクに対して、前記子機接続情報記憶手段の前記子機接続情報に基づいて、IPアドレスを設定するものであり、
前記子機の前記接続要求送信手段は、前記電話制御装置及び他の親機を通じた通信状態にある場合に、接続中の親機よりも、他の親機からの信号が良好に受信できるようになった場合には、自機の子機識別情報を含むハンドオーバ要求を生成して、当該他の親機に対して送信する
ことを特徴とするコードレス電話装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、主装置などの電話制御装置に対して接続してビジネスホンシステムを構築する場合に用いられるコードレス電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、主装置やSIP(Session Initiation Protocol)サーバなどの電話制御装置に対して、コードレス電話装置を接続してビジネスホンシステム(ボタン電話システム)が構成されるようになってきている。コードレス電話装置は、親機と子機とが無線接続されて、1台の電話装置として機能するものである。コードレス電話装置を構成する親機と子機との間では、例えば、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunication)規格の通信方式が用いられる場合がある。
【0003】
DECT規格においては、親機から子機へのダウンリンクでの通信方式は時分割多重方式を使用する時分割複信方式であること、子機から親機へのアップリンクの通信方式は時分割多元接続方式であることが定められている。また、DECT規格において、使用周波数帯は、「1.9GHz帯」を使用すること、チャネル(channel)数は、最大5チャネルであることなどが定められている。
【0004】
また、DECT規格では、符号化データの1チャネルにおける1フレームは10ミリ秒(ms)であり、図10に示すように、24タイムスロットに分割されている。なお、以下においては、タイムスロットを単にスロットと記載する。そして、1フレームの前半の1/2フレーム期間の12スロットS0~S11は、親機から子機へのダウンリンクに用いられ、後半の1/2フレーム期間の12スロットS12~S23は、子機から親機へのアップリンクに用いられる。
【0005】
ビジネスホンシステムで用いられるDECT規格のコードレス電話装置においては、電源がオフの状態でなければ、待機状態(アイドル状態)で1台のコードレス電話装置が12スロット中の1スロットを使用して、親機から子機へ、同期信号などを含め、種々の制御情報を送信している。この時のスロット(制御信号用スロット)をダミーベアラという。なお、通常、親機に対しては複数台の子機が接続可能にされているが、親機に対して、1台の子機だけが接続されている場合にも、また、複数台の子機が接続されている場合にも、待機状態では1つのスロット(ダミーベアラ)を使用して各子機に対して制御情報などが送信される。この場合、子機から親機へ情報の送信は行われない。
【0006】
このような待機状態から、例えば着信があり、電話制御装置から親機に対して着信が通知されると、親機はダミーベアラを使用して各子機に対してデータセッション接続要求を通知し、子機が空きスロットをサーチして親機に働きかけ、通信に使用するスロットの取得を試みる。データセッション接続要求は、親機と子機とが相互に通信できる環境を整えるための要求であり、着信通知がなされるものではない。そして、データセッション接続要求に応じて、親機と子機との間で相互に通信を行うためのスロットが取得できたら、親機はダミーベアラを解放し、取得したダウンリンクのスロットを用いて着信を通知する。同時に親機は、アップリンクのスロットも特定して子機からの情報の受信もできるようにする。
【0007】
このように、ビジネスホンシステムの構築にコードレス電話装置を用いるようにした場合は、子機を持って移動することが可能になるので、ローミングやハンドオーバを行えるようにするかどうかが問題になる。ここで、ローミングは、通話やデータ通信は行っていない待機状態にある子機が、移動することによって接続先の親機を変えることを意味する。また、ハンドオーバは、通話やデータ通信を行っている子機が、移動することによって接続先の親機を変えても、通話やデータ通信を維持できるようにすることを意味する。また、待機状態(アイドル状態)は、親機と子機とのそれぞれに電源が投入され、電話を受けたり、電話を掛けたりすることができる状態であるが、通話やデータ通信は行われていない、いわゆる待ち受け状態であることを意味する。
【0008】
コードレス電話装置の場合には、上述したように、例えばDECT規格の通信方式により接続されて通信が可能になるため、親機にIPアドレスが設定され、子機はIPアドレスを持たない。このため、コードレス電話装置を用いて構成されるビジネスホンシステムで、コードレス電話装置の子機のローミングやハンドオーバを実現するためには、何等かの方策が必要になる。簡単には、後に記す特許文献1に記載されているように、携帯通信端末にIPアドレスを割り当てるのと同様に、コードレス電話装置の子機にもIPアドレスを割り当てることが考えられる。また、特許文献1に開示されているように、親機間(基地局間)で子機へのデータの伝送を可能にし、複数の親機を経由して通信を行うようにすることも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許岱453331号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、コードレス電話装置の子機に対してIPアドレスを割り当てるようにした場合には、既存のコードレス電話装置の通信規格、例えばDECT規格を変更しなければならなくなり、簡単には実現できない。また、親機間で子機へのデータの伝送するようにした場合には、移動により経由する親機が増えることも考えられ、制御が複雑になったり、データ転送の遅延が発生したりするなどの懸念もあり、現実的ではない。
【0011】
以上のことに鑑み、この発明は、電話制御装置に対してコードレス電話装置を接続して構成するビジネスホンシステムにおいても、子機のローミングやハンドオーバを簡単かつ確実に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のコードレス電話装置は、
広域ネットワークに接続される電話制御装置に対して、親機と子機とが無線接続されるコードレス電話装置を複数接続して構成される電話システムで用いられる前記コードレス電話装置であって、
前記親機は、
前記子機との間で無線通信を行い、コードレス電話装置として機能できるようにするペアリング処理時に、子機識別情報を含むペアリング情報を生成して、ペアリング情報記憶手段に記録するペアリング情報生成手段と、
前記ペアリング情報生成手段で生成された前記ペアリング情報を、前記電話制御装置に接続された他の親機に対して送信するペアリング情報送信手段と、
前記電話制御装置に接続された他の親機からの前記ペアリング情報を受信した場合に、受信した前記ペアリング情報を前記ペアリング情報記憶手段に追加記録するペアリング情報追加手段と、
ペアリングされて通信が可能になった前記子機との間に、前記ペアリング情報記憶手段の前記ペアリング情報に基づいて、仮想リンクを接続する第1の仮想リンク接続手段と、
子機からの当該子機の子機識別情報を含む接続要求を受け付けた場合に、前記ペアリング情報記憶手段の前記子機識別情報により特定される前記ペアリング情報に基づいて、接続要求元の前記子機との間に仮想リンクを接続する第2の仮想リンク接続手段と、
第2の仮想リンク接続手段により仮想リンクを接続した場合に、仮想リンクを接続した子機の子機識別情報を含む仮想リンク接続通知を前記電話制御装置に接続された他の親機に対して送信する接続通知送信手段と、
前記仮想リンク接続通知を受信した場合に、前記ペアリング情報記憶手段の前記ペアリング情報に基づいて、同一の子機について自機においても仮想リンクを接続していた場合に、これを解除する仮想リンク解除手段と
を備え、
前記子機は、
接続中の親機よりも、他の親機からの信号が良好に受信できるようになった場合に、自機の子機識別情報を含む接続要求を生成して、当該他の親機に対して送信する接続要求送信手段
を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載の発明のコードレス電話装置によれば、電話制御装置に対して複数のコードレス電話装置が接続されて電話システムを構築する場合の当該コードレス電話装置として用いられる。親機のペアリング情報生成手段と、ペアリング情報送信手段と、ペアリング情報追加手段とは、電話制御装置に接続された複数のコードレス電話装置の親機において、親機と子機のペアリングのために必要になるペアリング情報を共有できるようにする。ペアリング情報は、子機識別情報を含む。なお、ペアリングは、ペア(組)になって機能する親機と子機とを組み合わせることを意味し、相互に通信を行って親機と子機の接続設定を行うことを意味する。
【0014】
親機の第1の仮想リンク接続手段は、ペアリングされた親機と子機との間を仮想リンクにより接続し、通信が可能な状態にする。同様に、親機の第2の仮想リンク接続手段は、子機から接続要求を受信した親機と、当該接続要求の送信元の子機との間を仮想リンクにより接続し、通信が可能な状態にする。親機の接続通知送信手段と仮想リンク解除手段とは、子機から接続要求を受信した親機と当該接続要求の送信元の子機との間に仮想リンクを接続した場合に、当該接続の前に接続要求元の子機と仮想リンクを接続して親機との仮想リンクの接続を解除する。また、子機の接続要求送信手段は、接続先の親機の変更が必要な場合に、目的とする親機に対して、接続要求を生成して送信する。
【0015】
なお、仮想リンクは、仮想的(論理的)な接続を意味し、仮想LAN(Virtual Local Area Network)、仮想イーサーネット(登録商標)と等価である。従って、親機と子機とが物理的に無線通信が可能な状態において、更に仮想リンクが接続された場合に、親機と子機との無線通信を可能にする構成を形成する。このように、物理的な無線通信環境が整った上で、更に仮想的なリンクを接続することによって、ローミングやハンドオーバを行うことができるようにする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、電話システム内の親機同士でペアリング情報等の必要情報を共有し、子機の移動先の親機において、移動してきた子機に対応した仮想リンクを形成できる。これにより、物理的な通信環境の変化に応じて、移動した子機と当該子機の移動先の親機との間で、論理的な通信環境をも整えて、ローミングやハンドオーバを確実かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態の電話システムの全体の構成例を説明するための図である。
図2】実施の形態の主装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態の親機の構成例を示すブロック図である。
図4】ペアリング情報、子機接続情報、仮想リンク接続情報について説明するための図である。
図5】実施の形態の子機の構成例を示すブロック図である。
図6】ペアリング情報の登録処理と削除処理について説明するための図である。
図7】ローミング時の処理について説明するための図である。
図8】通話中のハンドオーバ時の処理について説明するための図である。
図9】データ通信中のハンドオーバ時の処理について説明するための図である。
図10】DECT規格のフレームとスロットについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しながら、この発明のコードレス電話装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明のコードレス電話装置を、電話制御装置としての主装置に対して複数接続することにより、ビジネスホンシステムを構築した場合を例にして具体的に説明する。
【0019】
[電話システムの構成例]
図1は、この実施形態の電話システム10の全体の構成例を示すブロック図である。電話システム10においては、電話制御装置の例としての主装置1に対して、内線電話装置として、複数のコードレス電話装置21、22、23が接続されている。なお、この実施の形態においては、説明を簡単にするため、図1に示したように、3組のコードレス電話装置21、22、23が、主装置1に接続されて電話システム10が構成される場合を例にして説明する。しかし、これに限るものではなく、更に多くのコードレス電話装置を主装置1に接続して、より規模の大きな電話システムを構築することももちろん可能である。
【0020】
コードレス電話装置21、22、23のそれぞれは、親機としてのベースセットBS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機としてのハンドセットHS1、HS2、HS3のそれぞれとからなる。また、ベースセットは、「セルステーション(Cell Station)」あるいは「CS」と呼ばれたり、ハンドセットは、「パーソナルステーション(Personal Station)」あるいは「PS」と呼ばれたりする場合もある。以下においては、ベースセットBS1、BS2、BS3は、親機BS1、BS2、BS3と記載し、ハンドセットHS1、HS2、HS3は、子機HS1、HS2、HS3と記載する。親機BS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとは、無線接続される。
【0021】
なお、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれに対しては、複数の子機を無線接続(ペアリング)することも可能であるが、この例では、1台の親機に対して、1台の子機が接続(ペアリング)される構成とされているものとする。また、図示は省略するが、主装置1に接続される内線電話装置としては、コードレス電話装置21、22、23のみではなく、通常のビジネスホンシステムと同様に、デジタルボタン電話端末を接続することも可能である。
【0022】
この実施形態では、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとの間の無線接続は、前述したデジタルコードレス電話のDECT規格(方式)を用いたTDMA/TDD方式により行う。主装置1は、1又は複数の電話回線L1~Lm(mは2以上の整数)を収容可能である。コードレス電話装置21、22、23のそれぞれの親機BS1、BS2、BS3が、主装置1に接続されている。図1の例では、親機BS1、BS2、BS3と主装置1とは有線で接続されているが、無線であってもよい。
【0023】
主装置1は、複数のコードレス電話装置21、22、23についての呼制御及び回線交換制御、その他のビジネスホンとしての制御を行うと共に、基準同期信号SYNCを複数のコードレス電話装置21、22、23のそれぞれに供給する機能を備えている。基準同期信号SYNCは、この例では、130ミリ秒(ms)周期の信号とされている。このように、主装置1は、内線と外線間や内線間をつなぐ小型の交換機として機能するものであり、また、インターネットなどIP(Internet Protocol)網を通じた通信についても可能にすることができるものである。
【0024】
コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期して、DECT規格のデジタルコードレス電話の単位通信期間である1フレーム(10ミリ秒(ms))の周期の同期信号としてのフレーム同期信号を生成し、その生成したフレーム同期信号に基づいて、DECT規格を用いたTDMA/TDD方式の無線通信を子機HS1、HS2、HS3との間で実行する。したがって、複数のコードレス電話装置21、22、23の全ては、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期した動作をする。
【0025】
図1に示したように、コードレス電話装置21、22、23のそれぞれは、主装置1に接続されてビジネスホンシステムを構成する電話端末である。このため、着信通知や発信要求といった呼制御信号やその他の制御信号が、主装置1との間で送受される。なお、その他の制御信号には、例えば、主装置1に接続された他のコードレス電話装置の動作状態を使用者に通知するためにコードレス電話装置21、22、23のLCD(Liquid Crystal Display)やLED(Light Emitting Diode)を制御するための制御信号などがある。
【0026】
コードレス電話装置においては、親機が、リンガ、LCD、LED、操作部といったユーザインターフェースを備えるものもある。しかし、親機が主装置と子機との間を接続する機能だけを実現し、子機がリンガ、LCD、LED、操作部といったユーザインターフェースを備える場合もある。この場合には、親機と子機との間でも、相互に種々の制御信号が送受される。この実施の形態においても、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3は、基本的にユーザインターフェースは備えず、主装置1と子機HS1、HS2、HS3との間を接続する機能を実現するものである。
【0027】
親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、オフィス内の決められた位置に設置される。これにより、図1に示すように、親機BS1は、無線通信可能エリアAr1内において子機HS1等との通信が可能にされ、親機BS2は、無線通信可能エリアAr2内において子機HS2等との通信が可能にされる。また、親機BS3は、無線通信可能エリアAr3内において、子機HS3等との通信が可能にされる。
【0028】
このように、親機BS1、BS2、BS3のそれぞれと、子機HS1、HS2、HS3のそれぞれとは、そのそれぞれの通信機能に基づいて、無線通信が可能な無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3を形成する。無線通信可能エリアAr1、Ar2、Ar3は、少しずつ重複するように設けられることにより、基本的には、ローミングもハンドオーバも可能な環境が形成される。
【0029】
しかし、上述もしたように、IPアドレスは親機に設定され、子機には設定されないため、簡単にはローミングやハンドオーバはできない。そこで、この実施の形態のコードレス電話装置21、22、23は、電話システム10内のコードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれで、必要な情報を共有し、仮想的なリンク(仮想リンク)の制御を行うことによって、ローミングとハンドオーバとを確実かつ簡単に行えるようにしている。
【0030】
以下においては、この実施の形態の電話システムを構成する、主装置1と、コードレス電話装置21、22、23の構成例について説明する。なお、コードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、同様に構成されるものである。また、コードレス電話装置21、22、23の子機HS1、HS2、HS3のそれぞれは、同様に構成されるものである。このため、コードレス電話装置21、22、23の構成については、コードレス電話装置21の場合を例にして説明する。
【0031】
[主装置1の構成例]
図2は、主装置1の構成例を示すブロック図である。主装置1は、電話回線L1~Lmが接続される回線インターフェース11と、コンピュータを搭載して、主装置1の全体を制御するための制御回路12と、回線LSI(Large Scale Integrated Circuit)部13と、基準発振器14とを備えて構成されている。
【0032】
回線インターフェース11は、制御回路12からの制御により、回線L1~Lmからの音声信号(受話音声信号)を、回線LSI部13に供給し、回線からの呼制御信号などの制御信号を、制御回路12に供給する。また、回線インターフェース11は、制御回路12からの制御により、回線LSI部13からの音声信号(送話音声信号)を、回線L1~Lmを通じて相手方に送信し、制御回路12からの呼制御信号などの制御信号も、回線L1~Lmを通じて相手方に送信する。
【0033】
回線LSI部13は、n個の内線電話装置に対応して、n個の内線処理回路131、132、…、13nと、タイミング信号生成部130を備える。なお、添え字としての文字nは、基本的には1以上の整数を意味する。しかし、図2においては既に内線処理回路131、132が存在するため、図2において文字nは3以上の整数を意味している。
【0034】
タイミング信号生成部130には、水晶振動子を用いた高精度の基準発振器14からの基準クロック信号から伝送用クロック信号CK及び多重化/分割化用タイミング信号TMを生成し、n個の内線処理回路131~13nに供給する。n個の内線処理回路131~13nは、全く同一の構成を備えるもので、それぞれ、音声信号処理部31と、制御信号処理部32と、同期信号処理部33と、多重化/分割化処理部34とからなる。
【0035】
音声信号処理部31は、回線インターフェース11に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、回線インターフェース11からの受話音声信号及び多重化/分割化処理部34からの送話音声信号の処理回路である。音声信号処理部31には、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
【0036】
制御信号処理部32は、制御回路12の制御信号入出力端に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、発信時及び着信時、また、終話時などにおける呼制御信号などの制御信号の処理回路である。すなわち、制御信号処理部32は、主装置1からコードレス電話装置への制御信号と、コードレス電話装置から主装置1への制御信号との両方の処理回路である。制御信号処理部32にも、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
【0037】
同期信号処理部33は、制御回路12の同期信号出力端に接続されると共に、多重化/分割化処理部34に接続されており、制御回路12からの所定の同期信号パターンを有する基準同期信号SYNCの処理回路である。同期信号処理部33にも、同様に、タイミング信号生成部130からの伝送用クロック信号CKが供給されている。
【0038】
多重化/分割化処理部34は、音声信号処理部31、制御信号処理部32、同期信号処理部33に接続されると共に、コードレス電話装置21~2nの親機BS1~BSnのそれぞれに接続される。そして、多重化/分割化処理部34は、タイミング信号生成部130からのタイミング信号TMに基づいて、音声信号処理部31からの音声信号と、制御信号処理部32からの制御信号と、同期信号処理部33からの基準同期信号SYNCとを多重化(時分割多重)して多重化信号を生成し、その生成した多重化信号を親機BS1~BSnのそれぞれに供給する。また、多重化/分割化処理部34は、タイミング信号生成部130からのタイミング信号TMに基づいて、親機BS1~BSnのそれぞれからの多重化信号を音声信号と制御信号とに分割して、音声信号は音声信号処理部31に、制御信号は制御信号処理部32に、それぞれ供給する。
【0039】
また、図2には図示しないが、主装置1には、アドレス管理部も接続されている。アドレス管理部は、主装置1に接続されているコードレス電話装置21,22,23の内線番号などの端末識別情報と内線処理回路131~13nのそれぞれとの対応を記憶管理する。このアドレス管理部の情報に基づいて、主装置1に接続されたコードレス電話装置の動作状況などを適切に把握することができると共に、主装置1に接続されたコードレス電話装置のそれぞれを適切に制御できる。
【0040】
なお、ここでは、通話機能を実現する場合の構成について説明したが、上述もしたように、主装置1は、IP網への接続も可能なものである。すなわち、制御回路12は、パケットの分解/生成部としても機能して、IP電話網を通じて通話を行うようにしたり、インターネットに接続し、Webページの閲覧や電子メールの送受信を行うようにしたりすることもできる。この場合、音声信号処理部31が、送受信データ処理部としても機能することになる。
【0041】
[コードレス電話装置21、22、23の構成例]
次に、親機と子機とから構成される、この実施の形態のコードレス電話装置21、22、23の構成例について説明する。ここでは、上述もしたように、親機BS1と子機HS1とから構成されるコードレス電話装置21の場合を例にして説明する。
【0042】
<親機の構成例>
図3は、親機BS1の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、親機BS1は、親機BS1の全体を制御するための制御回路41と、回線LSI部42と、同期信号発生回路43と、無線通信回路44と、発振器45及び46とを備えて構成されている。
【0043】
制御回路41は、コンピュータを搭載して構成され、親機BS1における呼制御などの制御を行う機能を備える。また、制御回路41は、情報メモリ411、情報管理制御部412、情報送信制御部413、仮想リンク制御部414、アドレス設定部415を備える。これらの各部が機能することにより、詳しくは後述するが、子機のローミングやハンドオーバを確実に行うことができるようにしている。
【0044】
回線LSI部42は、主装置1との間で音声信号、制御信号及び同期信号のやり取りをするための回路である。回線LSI部42は、分割化/多重化処理部421と、制御信号処理部422と、音声信号処理部423と、同期信号検出部424と、PLL(Phase locked Loop)部425とからなる。PLL部425には、発振器45からの基準周波数の発振信号が供給されると共に、主装置1からの多重化信号が供給される。この例では、発振器45の発振信号の周波数は、例えば2048MHz(0.488ナノ秒(ns))とされている。
【0045】
PLL部425は、主装置1からの多重化信号から、いわゆるセルフクロッキングにより、主装置1のタイミング信号生成部からのクロック信号CK成分を抽出する。PLL部425は、抽出した当該クロック信号CK成分と発振器45からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づき、発振器45の発振信号からクロック信号CK成分に同期する親機BS1のシステムクロック信号SCKを生成する。PLL部425は、生成したシステムクロック信号SCKを分割化/多重化処理部421、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424のそれぞれに、信号処理用クロック信号として供給すると共に、同期信号発生回路43に供給する。
【0046】
分割化/多重化処理部421は、主装置1に接続されると共に、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424に接続される。分割化/多重化処理部421は、主装置1からの多重化信号から制御信号と音声信号と基準同期信号SYNCを分割(分離)する。分割化/多重化処理部421において分割(分離)された、制御信号は制御信号処理部422に、音声信号は音声信号処理部423に、基準同期信号SYNCは同期信号検出部424に、それぞれ供給される。
【0047】
また、分割化/多重化処理部421は、制御信号処理部422からの制御信号と、音声信号処理部423からの音声信号とを多重化して多重化信号を生成し、その生成した多重化信号を主装置1に供給する。制御信号処理部422は、制御回路41の制御信号入出力端に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されている。制御信号処理部422は、発信時及び着信時、また、終話時などにおける呼制御信号などの制御信号(主装置1からコードレス電話装置21への制御信号と、コードレス電話装置21から主装置1への制御信号の両方)の処理回路である。
【0048】
音声信号処理部423は、無線通信回路44に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されており、無線通信回路44からの子機HS1から受信した送話音声信号及び分割化/多重化処理部421からの受話音声信号の処理回路である。同期信号検出部424は、分割化/多重化処理部421からの基準同期信号SYNCを受けて、当該基準同期信号SYNCが備える所定の同期信号パターンを検出する。これにより、同期信号検出部424は、その検出時点の信号として、基準同期信号SYNCと同期する、基準同期信号SYNCと同一周期(130ms)の基準同期パルスPSを発生する。同期信号検出部424は、発生した基準同期パルスPSを同期信号発生回路43に供給する。
【0049】
同期信号発生回路43は、カウンタ431と、同期信号生成部432とからなる。カウンタ431には、回線LSI部42の同期信号検出部424からの130msの周期の基準同期パルスPSがプリセット端子PREに供給されると共に、PLL部425からのシステムクロック信号SCKがカウント入力として供給される。カウンタ431の出力カウント値CNTが同期信号生成部432に供給される。同期信号生成部432は、カウンタ431の出力カウント値CNTから、DECT規格のフレーム周期(10ms)の同期信号FLを発生する。同期信号発生回路43は、同期信号生成部432で生成したフレーム同期信号FLを無線通信回路44に供給する。
【0050】
無線通信回路44は、制御部441と、TDMA変復調部442と、無線通信部(図3では、「RF」と記載。)443とを備えて構成されている。無線通信部443は、子機HS1との間で、無線通信を行うための回路部である。制御部441は、TDMA変復調部442及び無線通信部443に接続されると共に、制御回路41に接続されている。制御部441は、この無線通信回路44の全体の動作を制御すると共に、制御回路41から得た制御信号に基づく制御信号をTDMA変復調部442に供給する。また、制御部441は、TDMA変復調部442から得た情報を制御回路41に供給する機能も備える。
【0051】
TDMA変復調部442は、制御部441及び回線LSI部42の音声信号処理部423に接続されると共に、無線通信部443に接続されており、制御部441からの制御信号と音声信号処理部423からの音声信号を子機HS1に送信するために変調を行う。このTDMA変復調部442で変調された信号は、無線通信部443を通じて子機HS1に送信される。また、TDMA変復調部442は、無線通信部443で受信された子機HS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号は音声信号処理部423に供給し、復調した制御信号は、制御部441に供給する。
【0052】
TDMA変復調部442は、クロック生成用のPLL部4421を備える。PLL部4421には、発振器46からの発振信号が供給されると共に、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLが供給される。PLL部4421は、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLと発振器46からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づいて、発振器46の発振信号から、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を生成する。TDMA変復調部442は、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を用いて、割り当て使用可能となるダウンリンクでのスロットに相当する期間で子機HS1への送信信号を生成すると共に、アップリンクでのスロットを用いて、子機HS1からの受信信号の処理を行うようにする。
【0053】
このような構成を備えることにより、親機BS1は、後述する子機HS1と共に、いわゆる内線電話機として機能を実現する。すなわち、主装置1を通じて、外線電話や内線電話をかけることができる。また、子機HS1が比較的に大きな表示画面を備えることにより、主装置1を通じてインターネットに接続し、電子メールの送受やWebページの閲覧などもできるようにされる。この場合、音声信号処理部423が、送受信データ処理部としても機能する。更に、この実施の形態の親機BS1は、子機を持った使用者が移動することによって、子機が接続先の親機を切り替えるようにして、ローミングやハンドオーバを可能にする機能を、主に制御回路41の機能によって実現する。
【0054】
親機BS1において、制御回路41の情報メモリ411は、ペアリング情報と、子機接続情報と、仮想リンク接続情報とを記憶保持する。図4は、情報メモリ411に記憶されるペアリング情報の例(図4(A))と、子機接続情報の例(図4(B))と、仮想リンク接続情報の例(図4(C))とを説明するための図である。図4(A)に示すように、ペアリング情報は、子機ID(IPUI)と、認証鍵(UAK)と、仮想ID番号と、IPアドレス関連情報と、子機MAC(Media Access Control address)アドレスとからなる。
【0055】
子機ID(IPUI)は、子機を一意に特定することが可能な子機識別情報である。認証鍵(UAK)は、親機と子機との間での通信用鍵であり、有効期限の設定されたアップデートアクセスキーが用いられる。仮想ID番号は、子機に割り付ける登録番号であり、仮想リンクを接続した子機を特定する場合に使用される。IPアドレス関連情報は、親機に設定されたIPアドレスと、当該IPアドレスが、固定的に設定されたものか、必要になる都度、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバから取得するものかを示す情報を含む。必要になる都度とは、例えば、電源の再投入時や仮想リンクの接続時などを含む。子機MAC(Media Access Control address)アドレスは、ネットワーク上で子機に一意に割り当てられる物理アドレスである。
【0056】
親機BS1は、子機HS1との間で無線通信を行うことによって、ペアリング処理を行った場合に、後述の情報管理制御部412により生成されて、情報メモリ411に記憶保持するようにされ、他の親機に対してもマルチキャストで送信される。このため、例えば、親機BS1の情報メモリ411には、図4(A)に示すように、他の親機で生成されたペアリング情報も記憶保持される。
【0057】
すなわち、図4(A)において、1番目のペアリング情報は、親機BS1で生成されて親機BS1の情報メモリ411に記録されたものである。2番目のペアリング情報は、親機BS2で生成されて、親機BS2から他の親機に送信され、親機BS1において受信され親機BS1の情報メモリ411に記録されたものである。同様に、3番目のペアリング情報は、親機BS3で生成されて、親機BS3から他の親機に送信され、親機BS1において受信され親機BS1の情報メモリ411に記録されたものである。このようにして、この実施の形態の電話システム10において、親機BS1、BS2、BS3においては、各親機で生成されたペアリング情報を共有する。
【0058】
子機接続情報は、主装置1及び親機BS1を通じて、例えば、子機HS1が、通話を開始したり、データ通信を開始したりした場合に、親機BS1において形成される情報である。子機接続情報は、図4(B)に示すように、通信相手のIPアドレス、通信中である自機、即ち親機BS1のIPアドレス、当該通信で用いているプロトコル情報等からなる。プロトコル情報は、通話であればUPD(User Datagram Protocol)が用いられる。また、Webページの閲覧などのデータ通信であれば、TCP(Transmission Control Protocol)が用いられ、音声データや映像データのストリーミングであればRTP(Real-time Transport Protocol)が用いられる。
【0059】
仮想リンク接続情報は、図4(C)に示すように、自機、この例の場合には親機BS1との間に仮想リンクを生成(接続)している子機を特定するための仮想ID番号と、親機BS1のIPアドレスと、その他の情報からなる。仮想リンクは物理的な接続形態とは別に、仮想的なネットワークによって親機と子機とを接続するためのものである。すなわち、仮想リンクは、仮想的(論理的)な接続を意味する。従って、親機と子機とが物理的に無線通信が可能な状態において、更に仮想リンクが接続された場合に、親機と子機との無線通信を可能にする構成を形成する。このように、物理的な無線通信環境が整った上で、更に仮想的なリンクを接続することによって、ローミングやハンドオーバを行うことができるようにする。
【0060】
図4(C)に示した仮想リンク接続情報によって、親機BS1は、仮想ID番号で特定される子機と仮想リンクを生成(接続)していることが管理される。また、その場合において、親機BS1を通じて行う通信で用いられるIPアドレスが、仮想リンク接続情報のIPアドレスであることが管理される。その他の情報としては、例えば、生成(接続)日時情報や子機の子機IDなど、必要となる種々の情報を持つことが可能である。
【0061】
このように、情報メモリ411には、ペアリング情報の記憶領域と、子機接続情報の記憶領域と、仮想リンク接続情報の記憶領域とが設けられ、ペアリング情報(図4(A))、子機接続情報(図4(B))、仮想リンク接続情報(4(C))が管理される。従って、情報メモリ411は、ペアリング情報記憶手段、子機接続情報記憶手段、仮想リンク接続情報記憶手段としての機能を実現する。なお、子機接続情報は、後述もするように、ハンドオーバが行われた場合には、移動元の親機から移動先の親機に提供されることになる。
【0062】
情報管理制御部412は、上述したペアリング情報の生成と情報メモリ411への記録、他の親機からのペアリング情報の情報メモリ411への追加記録、子機接続情報の生成と情報メモリ411への記録といった必要情報の生成、記録、追加記録を行う。従って、情報管理制御部412は、ペアリング情報生成手段、ペアリング情報追加手段、子機接続情報記録手段としての機能を実現する。
【0063】
情報送信制御部413は、情報管理制御部412において生成されたペアリング情報を、電話システム10の他の親機に送信するように制御する。また、情報送信制御部413は、後述もするように、子機との間に仮想リンクを接続した場合に、仮想リンクを接続したことを通知するための仮想リンク接続通知を生成して、電話システム10の他の親機に送信するように制御する。また、他の親機を通じて通信状態にあった子機からハンドオーバ要求を受信した場合に、情報送信制御部413は、当該子機についての子機接続情報の提供を要求する提供要求を形成し、電話システム10の他の親機に送信するように制御する。
【0064】
また、情報送信制御部413は、自機を通じて通信状態にあった子機についての子機接続情報の提供要求を受信した場合に、情報メモリ411に記憶されている当該子機についての子機接続情報を読み出して、要求元の親機に送信するように制御する。また、情報送信制御部413は、自機から提供要求を送信して、目的とする子機接続情報を取得し、ハンドオーバが可能な状態になった場合に、ハンドオーバ要求の送信元の子機に対して、ハンドオーバ応答を生成し、これをハンドオーバ要求元の子機に送信するように制御する。このように、情報送信制御部413は、ペアリング情報送信手段、接続通知送信手段、提供要求送信手段、子機接続情報送信手段、ハンドオーバ応答送信手段として機能するものとなる。なお、子機や他の親機との間で行う種々のデータの送受信は、上述したように、無線通信回路44を介して行われる。
【0065】
仮想リンク制御部414は、情報メモリ411のペアリング情報に基づき、図4(C)を用いて説明した仮想リンク接続情報を生成し、情報メモリ411に記録することにより、仮想リンクを生成(接続)する処理を行う。また、仮想リンク制御部414は、他の親機からの要求に応じて、仮想リンク接続情報を情報メモリ411から削除し、仮想リンクを解除(切断)する処理を行う。
【0066】
具体的に、仮想リンク制御部414は、ペアリングされて通信が可能になった子機との間に、情報メモリ411に格納したペアリング情報に基づいて、仮想リンクを接続する第1の仮想リンク接続手段としての機能を実現する。また、仮想リンク制御部414は、子機からの当該子機の子機IDを含む接続要求を受け付けた場合に、情報メモリ411のペアリング情報に基づき、仮想リンクを接続する第2の仮想リンク接続手段としての機能を実現する。当該接続要求は、ローミング要求やハンドオーバ要求である。また、仮想リンク制御手段は、仮想リンク接続通知を受信した場合に、前記ペアリング情報記憶手段の前記ペアリング情報に基づいて、同一の子機について自機においても仮想リンクを接続していた場合に、これを解除する仮想リンク解除手段としての機能を実現する。
【0067】
アドレス設定部415は、当該親機BS1において、仮想リンクを接続した場合に、情報メモリ411のペアリング情報や子機接続情報に基づいて、IPアドレスを設定する処理を行う。アドレス設定部415は、ペアリング処理が行われて親機と子機の通信が可能な状態になって、仮想リンクを接続した場合には、ペアリング情報のIPアドレス関連情報に基づいて、IPアドレスを設定する第1のIPアドレス設定手段としての機能を実現する。また、アドレス設定部415は、接続要求に応じて仮想リンクを接続した場合には、ペアリング情報のIPアドレス関連情報や子機接続情報の親機のIPアドレスに従って、IPアドレスを設定する第2のIPアドレス設定手段としての機能を実現する。
【0068】
このように、制御回路41が備える各部が機能することによって、子機を所持する使用者が移動することによって接続先の親機が変わる、ローミングやハンドオーバを、使用者が特に意識することなく、確実かつ簡単に行うことができるようにしている。
【0069】
<子機の構成例>
図5は、子機HS1の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、子機HS1は、無線通信回路51と、制御回路52と、コーデック回路53と、発振器54と、マイクロホン55と、スピーカ56とを備えて構成されている。マイクロホン55は送話器を構成し、スピーカ56は受話器を構成する。無線通信回路51は、制御部511と、TDMA変復調部512と、無線通信部(図5では、「RF」と記載。)513とを備えて構成されている。無線通信部513は、親機BS1との間で、無線通信を行うための回路部である。
【0070】
制御部511は、TDMA変復調部512及び無線通信部513に接続されると共に、制御回路52に接続されている。制御部511は、この無線通信回路51の全体の動作を制御すると共に、制御回路52から得た制御信号に基づく制御信号をTDMA変復調部512に供給する。
【0071】
TDMA変復調部512は、制御部511及び無線通信部513に接続されると共に、コーデック回路53と接続されており、制御部511からの制御信号とコーデック回路53からの音声信号を親機BS1に送信するために変調を行う。TDMA変復調部512で変調された信号は、無線通信部513を通じて親機BS1に送信される。また、TDMA変復調部512は、無線通信部513で受信された親機BS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号はコーデック回路53に供給し、復調した制御信号は、制御部511に供給する。
【0072】
TDMA変復調部512は、クロック生成用のPLL部5121を備える。PLL部5121には、発振器54からの発振信号が供給されると共に、無線通信部513からの受信信号の復調信号が供給され、PLL部5121からは、発振器54からの発振信号から、受信信号の復調信号のクロック成分に同期したクロック信号が生成される。PLL部5121からのクロック信号は、TDMA変復調部512における処理用クロック信号とされる。
【0073】
コーデック回路53は、TDMA変復調部512で復調された音声信号を復号して、アナログ音声信号に変換し、そのアナログ音声信号をスピーカ56に供給して、受話音声として放音する。また、コーデック回路53は、マイクロホン55で収音したアナログ音声信号を符号化して、TDMA変復調部512に供給する。なお、制御回路52は、この子機HS1からの発呼時には、発呼時の呼制御信号を、無線通信回路51を通じて親機BS1に送信し、また、親機BS1からの着信時の呼制御信号を受けた時には、着信音をスピーカ56から放音するなどの処理を行う。
【0074】
なお、無線通信回路51の制御部511は、自機に対応する親機BS1からの制御信号に応じてTDMA変復調部512を制御し、ダウンリンクとアップリンクとで、通信に用いるスロットをサーチして特定し、受信/送信の処理を行うことができるようにしている。例えば、一斉着信が発生し、主装置1からの着信通知が親機BS1を介して子機HS1に通知されると、子機HS1では空きスロットのサーチ処理を行って、通話に用いる空きスロットを取得する。子機HS1は、親機BS1と協働し、取得した空きスロットをトラフィックベアラとして用いて、通話を行うことができるようにしている。
【0075】
上述したように、待ち受け時において、子機HS1は、ダウンリンクにおいて予め決められる1つのスロット(ダミーベアラ)を通じて、同期信号や制御信号の提供を親機から受けることができるようにしている。着信や発信が発生すると、上述もしたように、ダミーベアラをトラフィックベアラにマージする処理を行い、ダウンリンクとアップリンクとで、通信に用いるスロットを特定して通話を行うことになる。
【0076】
また、この実施の形態の子機HS1においては、無線通信部513とTDMA変復調部512が協働し、周辺に位置する親機からの信号を受信し、それぞれの親機からのそれぞれの信号の受信強度を検出し、検出結果を制御部511に通知する。制御部511は、現在通信を行っている基地局からの信号よりも、より受信強度が強い信号を送信している親機が存在するか否かを確認する。この確認により、現在通信を行っている基地局からの信号よりも、より受信強度が強い信号を送信している親機が存在することが確認できたとする。
【0077】
この場合には、制御部511は、より受信強度が強い信号を送信している親機に対する接続要求を形成し、これを当該親機に対して送信する処理を行う。当該接続要求は、子機HS1が待機中であれば、ローミング要求となり、通信中であれば、ハンドオーバ要求となる。このように、子機HS1の無線通信回路51は、接続中の親機よりも、他の親機からの信号が良好に受信できるようになった場合に、自機の子機識別情報を含む接続要求を生成して、当該他の親機に対して送信する接続要求送信手段としての機能を実現する。
【0078】
以上の説明は、コードレス電話装置21の親機BS1及び子機HS1についての説明であるが、前述したように、その他のコードレス電話装置22~2nの親機BS2~BSn及び子機HS2~HSnについても同様の構成を有するものである。
【0079】
[電話システムの動作]
上述した構成の主装置1と、コードレス電話装置21、22、23とによって構成される電話システム10で行われる処理について説明する。以下においては、ペアリング情報の登録処理と削除処理、ローミング時の処理、通話中のハンドオーバ時の処理、データ通信中のハンドオーバ時の処理のそれぞれについて説明する。
【0080】
<ペアリング情報の登録処理と削除処理>
図6は、ペアリング情報の登録処理と削除処理を説明するためのシーケンス図である。ここでは、親機BS1と子機HS1との間でペアリング処理を行う場合を例にして説明する。主装置1に親機BS1、BS2、BS3が接続され、親機BS1、BS2、BS3に電源が投入されて、更に、親機BS1の近隣に位置する子機HS1に電源が投入されたとする。この場合、親機BS1と子機HS1とは、相互に無線通信を行い、必要な情報を交換して接続設定を行い、親機BS1と子機HS1とがペアになって電話機として機能することができるようにペアリング処理を行う(ステップST1)。
【0081】
ステップST1のペアリング処理が終了すると、親機BS1の制御回路41の情報管理制御部412が機能して、図4(A)を用いて説明したペアリング情報を生成し、これを情報メモリ411に記録する(ステップST2)。この後、親機BS1においては、情報送信制御部413が機能し、ステップST2で生成して記録したペアリング情報を、無線通信回路44を通じて、電話システム10の他の親機BS2、BS3にマルチキャストで送信する(ステップST3)。親機BS1からのペアリング情報を受信した他の親機BS2、BS3では、制御回路41の情報管理制御部412が機能し、受信したペアリング情報を自機の情報メモリ411に追加記録する(ステップST4)。
【0082】
このステップST1~ステップST4の処理は、他の親機BS2、BS3において、ペアリング処理が行われた場合にも、同様に行われる。すなわち、ペアリング処理が行われた親機において、ペアリング情報が生成されて記憶され、更に他の親機に送信されて、当該他の親機においても記憶される。これにより、電話システム10を構成するコードレス電話装置21、21、23の各親機BS1、BS2、BS3のそれぞれにおいて、各親機BS1、BS2、BS3において生成したペアリング情報を共有できる。
【0083】
一方、親機BS1において、ペアリング情報の削除トリガ(契機)が発生したとする(ステップST11)。当該削除トリガは、仮想リンクが接続された子機HS1の電源が落とされるなどして、所定時間以上、子機HS1との間で通信が無いことが確認できた場合である。この場合、情報管理制御部412は、子機HS1とのペアリング情報を削除する(ステップST12)。このステップST12では、仮想ID番号がイニシャライズされて空きとされた場合に、ペアリング情報が削除されたと見做す。子機HS1に再び電源が投入された場合には、仮想ID番号を設定し、必要に応じてIPアドレスを取得し直し、IPアドレス関連情報を修正すれば、有効なペアリンク情報の再形成(再登録)ができる。
【0084】
この後、親機BS1の情報送信制御部413は、子機HS1との間のペアリング情報が削除されたことを示すペアリグ削除通知を生成し、これを電話システム10の他の親機BS2、BS3にマルチキャストで送信する(ステップST13)。ペアリグ削除通知を受信した親機BS2、BS3では、情報管理制御部412が機能し、子機HS1についてのペアリング情報を削除する(ステップST14)。このステップST14でも、ステップST2の処理と同様に、該当するペアリング情報の仮想ID番号がイニシャライズされて空きとなる。
【0085】
このステップST11~ステップST14の処理もまた、他の親機BS2、BS3において、ペアリング情報の削除トリガが発生した場合にも、同様に行われる。すなわち、ペアリング情報の削除トリガが発生した場合には、ペアリング情報の削除処理が行われ、当該ペアリング情報が削除されたことが他の親機にも通知されて、当該他の親機においても当該ペアリング情報の削除処理が行われる。これにより、電話システム10を構成するコードレス電話装置21、22、23の各親機において、記憶保持されるペアリング情報の整合性が保たれる。
【0086】
<ローミング時の処理>
図7は、ローミング時の処理について説明するための図である。ここでは、図1に示したように、無線通信可能エリアAr1に設置された親機BS1に対してペアリングされた子機HS1が待機時に移動し、無線通信可能エリアAr2に設置された親機BS3に接続される場合を例にして説明する。図6を用いて説明したように、親機BS1と子機HS1とがペアリングされた後、子機HS1が自己の子機IDを含む接続要求を形成して親機BS1に送信し、親機BS1に対して接続を要求したとする(ステップST21)。
【0087】
この場合、親機BS1においては、制御回路41の仮想リンク制御部414が機能し、仮想リンクを生成(接続)する(ステップST22)。ステップST22において、仮想リンク制御部414は、子機からの要求に含まれる子機IDに基づいて情報メモリ411のペアリング情報を参照し、子機HS1の仮想ID番号を特定し、仮想リンク接続情報(図4(C))を生成して、情報メモリ411に記録する。この段階では、まだ、仮想リンク接続情報のIPアドレスは設定されていない。
【0088】
ステップST22の処理の後、親機BS1の情報送信制御部413は、子機HS1の仮想ID番号を含む仮想リンク接続通知を形成し、これをマルチキャストで電話システム10の他の親機BS2、BS3に送信する(ステップST23)。これにより、仮に他の親機BS2、BS3のいいずれかに、何等かの原因によって子機HS1と仮想リンクを生成した状態が不適切に残ってしまっている場合には、これを削除し、正常な状態に戻すことができる。この例の場合には、仮想リンクを生成した状態が不適切に残ってはいなかったものとする。
【0089】
この後、親機BS1のアドレス設定部415は、情報メモリ411に記憶されている子機HS1のペアリング情報のIPアドレス関連情報を参照し、実際に使用されるIPアドレスを仮想リンク接続情報のIPアドレスの欄に設定する(ステップST24)。具体的に、アドレス設定部415は、子機HS1のペアリング情報のIPアドレス関連情報に、固定的に使用されるIPアドレスが設定されている場合には、これを仮想リンク接続情報のIPアドレスの欄に記録する。また、当該ペアリング情報のIPアドレス関連情報が、仮想リンクの接続時などにおいて、IPアドレスを取得することを指示するものであったとする。この場合、アドレス設定部415は、DHCPクライアント機能を実行し、主装置1を介して、DHCPサーバよりIPアドレスを取得し、これを仮想リンク接続情報のIPアドレスの欄に記録する。
【0090】
ステップST24において、アドレス設定部415は、IPアドレスを設定した時点で、GARP(Gratuitous Address Resolution Protocol)のパケットを、電話システム10を形成する他の親機BS2、BS3に送信する。これにより、電話システム10内でIPアドレスが競合しないかを確認できると共に、子機HS1が親機BS1を通じてネットワークに接続可能なようにルーティング更新(ARPキャッシュテーブルの更新)を行うことができる。なお、IPアドレスが重複していた場合には、IPアドレスを取得し直すといった対応を取ることができる。このようにして、仮想リンクが生成され、IPアドレスが設定されると、親機BS1と子機HS1との間で、相互に通信が可能な接続状態となる(ステップST25)。
【0091】
この後、子機HS1を所持する使用者が移動することにより、図1に示した親機BS1との通信が可能な無線通信可能エリアAr1から親機BS2と通信が可能な無線通信可能エリアAr2に入り、親機BS1とのデータリンクが切断されそうになってきたとする(ステップST26)。この場合、子機HS1は、上述もしたように、自機において受信強度の大きな信号を送信している親機を特定し、その親機に対して接続要求を形成してユニキャストで送信する(ステップST27)。
【0092】
なお、各親機から送信される信号には、送信元の親機IDが含まれるため、どの親機からの信号の受信強度が高いかを特定できる。この例の子機HS1は、通話やデータ通信は行っておらず、待機状態にある。このため、ステップST27で送信される接続要求は、子機HS1の子機IDと、ローミングであることを示す情報を含むローミング要求である。ここでは、上述したように、子機HS1からのローミング要求が、親機BS3に対して送信されたとする。
【0093】
この場合、親機BS3では、制御回路41の仮想リンク制御部414が機能し、仮想リンクを生成(接続)する(ステップST28)。ステップST28において、仮想リンク制御部414は、ローミング要求に含まれる子機IDに基づいて情報メモリ411のペアリング情報を参照し、子機HS1の仮想ID番号を特定する。仮想リンク制御部414は、特定した子機HS1の仮想ID番号を用いて、仮想リンク接続情報(図4(C))を生成し、これを情報メモリ411に記録する。この段階では、まだ、仮想リンク接続情報のIPアドレスは設定されていない。
【0094】
ステップST28の処理の後、親機BS3の情報送信制御部413は、子機HS1の仮想ID番号を含む仮想リンク接続通知を形成し、これをマルチキャストで電話システム10の他の親機BS1、BS2に送信する(ステップST29)。これにより、子機HS1の元の接続先である親機BS1においては、他の親機が子機HS1と仮想リンクを接続したことが認識できるので、親機BS1において、子機HS1との仮想リンクを解除する必要があることを認識できる。このため、親機BS1の仮想リンク制御部414は、情報メモリ411の子機HS1の仮想リンク接続情報(図4(C))を削除する処理を実行する(ステップST30)。
【0095】
この後、親機BS3のアドレス設定部415は、情報メモリ411に記憶されている子機HS1のペアリング情報のIPアドレス関連情報を参照し、実際に使用されるIPアドレスを仮想リンク接続情報のIPアドレスの欄に設定する(ステップST31)。具体的に、アドレス設定部415は、子機HS1のペアリング情報のIPアドレス関連情報に、固定的に使用されるIPアドレスが設定されている場合には、これを仮想リンク接続情報のIPアドレスの欄に記録する。また、当該ペアリング情報のIPアドレス関連情報が、仮想リンクの接続時などにおいて、IPアドレスを取得することを指示するものであったとする。この場合、アドレス設定部415は、DHCPクライアント機能を実行し、主装置1を介して、DHCPサーバよりIPアドレスを取得し、これを仮想リンク接続情報のIPアドレスの欄に記録する。
【0096】
ステップST31において、アドレス設定部415は、IPアドレスを設定した時点で、GARPのパケットを、電話システム10を形成する他の親機BS1、BS2に送信する。これにより、電話システム10内でIPアドレスが競合しないかを確認することができると共に、子機HS1が親機BS3を通じてネットワークに接続可能なようにルーティング更新(ARPキャッシュテーブルの更新)を行うことができる。なお、IPアドレスが重複していた場合には、IPアドレスを取得し直すといった対応を取ることができる。
【0097】
このように、図1において、無線通信可能エリアAr1に位置する親機BS1と仮想リンクを接続していた子機HS1が、これを所持する使用者の移動に伴って、無線通信可能エリアAr2に入ったとする。この場合には、上述した処理により、移動先の親機BS3と子機HS1との間に仮想リンクが生成され、移動元の親機BS1と子機HS1との仮想リンクは解除される。これにより、移動先の無線通信可能エリアAr2に位置する親機BS3と子機HS1との間で、相互に無線通信が可能な接続状態となる(ステップST32)。このように、親機BS1、BS2、BS3において、仮想リンクの生成(接続)の切り替えを行うことによって、ローミングを簡単に行うことが可能になる。
【0098】
<通話中のハンドオーバ時の処理>
図8は、通話中のハンドオーバ時の処理について説明するための図である。ここでは、図1に示したように、無線通信可能エリアAr1に設置された親機BS1に対してペアリングされた子機HS1が、通話中に移動して、無線通信可能エリアAr2に設置された親機BS3に接続される場合を例にして説明する。ここでは、図4(A)を用いて説明したように、各親機BS1、BS2、BS3において、これらの親機で生成されたペアリング情報が各親機の情報メモリ411に記憶されて共有されているものとする。
【0099】
この例では、図8に示すように、親機BS1と子機HS1とは、主装置1を通じて、通話中(外線通話中又は内線通話中)であるとする(ステップST41)。この場合、親機BS1の情報メモリ411には、通話状態を維持するために必要な情報である、図4(B)を用いて説明した子機接続情報が生成されて記憶されている。また、親機BS1の情報メモリ411には、親機BS1が子機HS1と仮想リンクを接続していることを示す情報である、図4(C)を用いて説明した仮想リンク接続情報が生成されて記憶されている。
【0100】
子機HS1を通じて通話中の子機HS1を所持する使用者が移動することにより、図1に示した無線通信可能エリアAr1から無線通信可能エリアAr2に入り、親機BS1からの信号よりも、親機BS3からの信号の方が、受信強度が大きくなったとする。この場合、子機HS1は、親機BS3に対して接続要求を形成して送信する(ステップST42)。この例の子機HS1は、通話であるため、ステップST42で送信される接続要求は、子機HS1の子機IDと、ハンドオーバであることを示す情報とを含むハンドオーバ要求である。
【0101】
ハンドオーバ要求を受信した親機BS3では、ハンドオーバに必要になる子機接続情報の提供要求を、マルチキャストで電話システム10の他の親機BS1、BS2に送信する(ステップST43)。子機接続情報の提供要求は、ハンドオーバ要求元の子機HS1の子機IDと、子機接続情報の提供要求元の親機BS3の親機IDとを含むものである。マルチキャストで送信するのは、親機BS3は、子機HS1がどの親機を通じて通話を行っていたのかを把握していないためである。
【0102】
子機HS1と仮想リンクを接続していた親機BS1は、提供要求の子機IDからペアリング情報を参照して仮想ID番号を特定し、その仮想ID番号の仮想リンク接続情報を自機が保持していることから、自機が子機接続情報を提供すべき親機であると認識する。親機BS1は、情報メモリ411に記憶している子機接続情報を、提供要求の親機IDによって特定される提供要求元の親機BS3にユニキャストで送信する(ステップST44)。ステップST44の送信処理において、移動元の親機BS1が持ち得る通話に関する情報の全てを送信すると、パケット数によってはハンドオーバに遅延が発生する可能性がある。このため、ハンドオーバ成立前の子機接続情報の送信は必要最小限にとどめる。このため、ステップST44においては、図4(B)に示した子機接続情報の送信にとどめる。
【0103】
移動先の親機BS3では、子機接続情報が取得できた場合には、ハンドオーバが可能であると判別できるため、ハンドオーバ応答を形成し、これをハンドオーバ要求元の子機HS1に送信する(ステップST45)。この後、親機BS3では、制御回路41の仮想リンク制御部414が機能し、仮想リンクを生成(接続)する(ステップST46)。ステップST46において、仮想リンク制御部414は、ハンドオーバ要求に含まれる子機IDに基づいて、情報メモリ411のペアリング情報を参照し、子機HS1の仮想ID番号を特定する。仮想リンク制御部414は、特定した子機HS1の仮想ID番号を用いて、仮想リンク接続情報(図4(C))を生成し、これを情報メモリ411に記録する。この段階では、まだ、仮想リンク接続情報のIPアドレスは設定されていない。
【0104】
ステップST46の処理の後、親機BS3の情報送信制御部413は、子機HS1の仮想ID番号を含む仮想リンク接続通知を形成し、これをマルチキャストで電話システム10の他の親機BS1、BS2に送信する(ステップST47)。これにより、子機HS1の接続元(元の接続先)である親機BS1においては、他の親機が子機HS1と仮想リンクを接続したことが分かるので、親機BS1において、子機HS1との仮想リンクを解除する必要があることを認識できる。
【0105】
このため、親機BS1の仮想リンク制御部414は、RTPソケットをクローズして、自機における通話処理を終了させるようにする(ステップST48)。この後、親機BS1の仮想リンク制御部414は、情報メモリ411の子機HS1の仮想リンク接続情報(図4(C))を削除する(ステップST49)。これにより、親機BS1と子機HS1との仮想リンクの接続は解除され、子機HS1は、親機BS1を通じての通話は不能になる。
【0106】
次に、親機BS3のアドレス設定部415は、通話を継続させるため、ステップST44において、移動元の親機BS1から取得した子機接続情報の親機のIPアドレスをそのまま仮想リンク接続情報のIPアドレスの欄に設定する(ステップST50)。ステップST50において、アドレス設定部415は、IPアドレスを設定した時点で、GARPのパケットを、電話システム10を形成するネットワークに送出し、他の親機BS1、BS2に送信する。
【0107】
これにより、電話システム10内でIPアドレスが競合しないかを確認することができると共に、子機HS1が親機BS3を通じてネットワークに接続可能なようにルーティング更新(ARPキャッシュテーブルの更新)を行うことができる。なお、IPアドレスが重複していた場合には、IPアドレスを取得し直すといった対応を取ることができるが、親機BS1の仮想リンク接続情報は、ステップST49において削除されているので、通常ではIPアドレスの競合は生じない。
【0108】
この後、移動先の親機BS3では、制御回路41の仮想リンク制御部414が機能して、ステップST44で取得した子機接続情報の通信の相手先情報を用いてRTPソケットをオープンする(ステップST51)。また、ステップST44において、送れなかった情報であって、移動元の親機BS1が持ち、通話の継続のために必要な情報が有る場合には、移動元の親機BS1は、当該必要情報を移動先の親機BS3に送信し(ステップST52)、接続先の親機BS3で利用可能にする。これにより、移動先の親機BS3を通じて、子機HS1を用いた通話の継続が可能な環境が整えられ、親機BS3及び子機HS1を通じて通話を継続して行うことができるようになる(ステップST53)。
【0109】
なお、仮想リンクの生成に際して、IPアドレスをDHCPサーバから取得することが子機HS1のペアリング情報のIPアドレス関連情報により定められていたとする。この場合、移動先の親機BS3のアドレス設定部415は、通話の終了後、DHCPクライアントを機能させ、IPアドレスを取得して、情報メモリ411の仮想リンク接続情報のIPアドレス欄に更新する。これにより、通話の継続を阻害するIPアドレスの更新を避けることができると共に、通話終了後においては、親機BS3と子機HS1との仮想リンクの接続を維持することができる。従って、ローミングも可能になる。
【0110】
<データ通信中のハンドオーバ時の処理>
図9は、データ通信中のハンドオーバ時の処理について説明するための図である。ここでは、図1に示したように、無線通信可能エリアAr1に設置された親機BS1に対してペアリングされた子機HS1が、例えば、データ通信中(HTTP通信状態にあるとき)に移動して、無線通信可能エリアAr2に設置された親機BS3に接続される場合を例にして説明する。なお、データ通信中は、具体的には、Webページを閲覧しているなど、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)通信状態にあることを意味する。
【0111】
この場合、図4(A)を用いて説明したように、各親機BS1、BS2、BS3において、これらの親機で生成されたペアリング情報が各親機の情報メモリに記憶されて共有されている。また、この例では、図9に示すように、親機BS1と子機HS1とは、主装置1を通じて、データ通信中であるとする(ステップST61)。この場合、親機BS1の情報メモリ411には、データ通信状態を維持するために必要な情報である図4(B)を用いて説明した子機接続情報が記憶されている。また、親機BS1の情報メモリ411には、親機BS1が子機HS1と仮想リンクを接続していることを示す情報である図4(C)を用いて説明した仮想リンク接続情報が記憶されている。
【0112】
この例においても、図8を用いて説明した通話時のハンドオーバ処理時と同様に行われる処理ステップには、同じ参照符号(ステップ番号)付し、当該部分の詳細な説明は省略する。すなわち、この例においても、子機HS1が親機BS3にハンドオーバ要求を送信し(ステップST42)、これに応じて親機BS3が子機接続情報の提供要求をマルチキャストで送信する(ステップST43)。子機接続情報の提供要求を受信した移動元の親機BS1は、自機が保持する子機接続情報を親機BS3にユニットキャストで送信する(ステップST44)。子機接続情報の提供を親機BS1から受けた親機BS3は、ハンドオーバ要求元の子機HS1にハンドオーバ応答を返信する(ステップST45)。
【0113】
この後、移動先の親機BS3では、子機HS1との間に仮想リンクを接続し(ステップST45)、子機HS1と仮想リンクを接続したことを、他の親機BS1、BS2に対してマルチキャストで送信する(ステップST47)。移動元の親機BS1では、子機HS1が親機BS3との間に仮想リンクを接続したことの通知に応じて、Webページ閲覧のために接続していたHTTPセッションを切断し(ステップST62)、子機HS1との仮想リンク接続情報を削除する(ステップST49)。これにより、親機BS1を通じてのWebページへの接続は切断され、親機BS1と子機HS1との仮想リンクは解除される。
【0114】
次に、移動先の親機BS3では、仮想リンクにIPアドレスを設定する(ステップST50)。また、移動元の親機BS1では、ステップST44の処理では提供しきれなかった情報であって、目的とするWebページに接続するために必要な情報を移動先の親機BS3に送信する(ステップST51)。この後、移動先の親機BS3では、ステップST44において、移動元の親機BS1から取得した子機接続情報の通信の相手先情報を用いて、HTTPサーバに対して通信のリフレッシュを行う(ステップST63)。このステップST63の処理は、移動先の親機BS3では、HTTPセッションを張っていない(接続していない)ため、親機BS1を通じてセッションを張っていたHTTPサーバとの間に新規にセッションを形成する処理である。
【0115】
これにより、移動先の親機BS3を通じて、子機HS1を用いて、Webページの閲覧の継続が可能な環境が整えられ、親機BS3及び子機HS1を通じてWebページの得る欄を継続して行うことができるようになる(ステップST64)。
【0116】
また、この例においても、仮想リンクの生成に際して、IPアドレスをDHCPサーバから取得することが、子機HS1のペアリング情報のIPアドレス関連情報により定められていたとする。この場合、移動先の親機BS3のアドレス設定部415は、データ通信(HTTP通信状態)の終了後において、DHCPクライアントを機能させ、IPアドレスを取得して、情報メモリ411の仮想リンク接続情報のIPアドレス欄に更新する。これにより、データ通信の継続を阻害するIPアドレスの更新を避けることができると共に、データ通信の終了後においては、親機BS3と子機HS1との仮想リンクの接続を維持することができる。従って、ローミングも可能になる。
【0117】
[実施の形態の効果]
このように、この実施の形態の電話システム10を構成するコードレス電話装置21、22、23の親機BS1、BS2、BS3のそれぞれは、ペアリング情報等の必要情報を共有することができる。このペアリング情報を用いて、子機の移動先の親機において、移動してきた子機に対応した仮想リンクを形成できる。これにより、物理的な通信環境の変化に応じて、移動した子機と当該子機の移動先の親機との間で、論理的な通信環境をも整えて、ローミングやハンドオーバを確実かつ簡単に行うことができる。
【0118】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、コードレス電話装置21、22、23は、DECT規格の通信方式により、親機と子機とが接続されるものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、PHS(Personal Handy-phone System)規格の通信方式で親機と子機とが接続されるコードレス電話装置など、種々の通信方式で親機と子機とが接続されるコードレス電話装置にこの発明を適用できる。
【0119】
また、上述した実施の形態では、親機に必ずIPアドレスが設定されるものとして説明したが、これに限るものではない。通話だけを可能にするコードレス電話装置などのIPアドレスの設定の必要のないコードレス電話装置についてもこの発明を適用できる。この場合には、仮想リンクを接続した後に行っていた、IPアドレスの設定処理が必要なくなる。また、子機接続情報においても、相手先のIPアドレスや親機のIPアドレスを保持す必要はなく、例えば電話番号などの通信の相手先を特定する情報など通信の維持のための必要な情報が有ればよい。
【0120】
また、音声通話だけを可能にし、データ通信についてはできないコードレス電話装置についても、この発明を適用できる。この場合には、図9を用いて説明したデータ通信中のハンドオーバ処理は行われない構成となる。
【0121】
また、上述した実施の形態では、子機が無線通信可能エリアAr1から無線通信可能エリアAr2に移動した場合を例にして具体的な処理を説明したが、これに限るものではない。子機は、これを所持する使用者の移動に伴い、複数の無線通信可能エリアを渡り歩く場合もある。このような場合にも、仮想リンクの生成(接続)と仮想リンクの解除(削除)を順次に繰り返すことによって対応可能である。
【符号の説明】
【0122】
1…主装置、11…回線I/F、12…制御回路、13…回線LSI部、14…基準発振器、21、22、23…コードレス電話装置、BS1、BS2、BS3…親機、HS1、HS2、HS3…子機、41…制御回路、411…情報メモリ、412…情報管理制御部、413…情報送信制御部、414…仮想リンク制御部、415…アドレス設定部、42…回線LSI部、43…同期信号発生回路、44…無線通信回路、441…制御部、442…TDMA変復調部、443…無線通信部、51…無線通信回路、52…制御回路、53…コーデック回路、511…制御部、512…TDMA変復調部、513…無線通信部
図1
図2
図3
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図6
図7
図8
図9
図10