(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】ジョイントコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 31/08 20060101AFI20240111BHJP
H01R 13/514 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
H01R31/08 N
H01R13/514
(21)【出願番号】P 2020145163
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏 綾那
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】浅野 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-150055(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170958(WO,A1)
【文献】特開2003-346968(JP,A)
【文献】特開2004-31178(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208369(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/08
H01R 13/514
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の並び方向に並列する複数のタブと、前記複数のタブを並列状態で連結し、隣り合う任意の前記タブの間において切断が可能な雄側キャリアとを有する雄端子金具と、
前記第1の並び方向と直交する第2の並び方向に並列する複数の雌側接続部と、前記複数の雌側接続部を並列状態で連結し、隣り合う任意の前記雌側接続部の間において切断が可能な雌側キャリアとを有する雌端子金具とを備え、
複数の前記雄端子金具が前記第2の並び方向と平行に並ぶように配置され、
複数の
前記雌端子金具が、複数の前記雌側接続部を複数の前記タブに接続した状態で前記第1の並び方向と平行に並ぶように配置されて
おり、
前記雌端子金具は、金属板材を曲げ加工成形して成形されたものであり、
前記雌側キャリアは、前記第2の並び方向に隣り合う前記雌側接続部同士を接近させるように山形に屈曲されており、
前記第1の並び方向に積層された前記雌側キャリア同士の間では、一方の前記雌側キャリアが他方の前記雌側キャリアの内側に収容されているジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記複数の雄端子金具を、前記第2の並び方向に並列させた状態で保持する雄側ハウジングと、
前記複数の雌端子金具を、前記第1の並び方向に並列させた状態で保持する雌側ハウジングとを備えている請求項1に記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記雌側ハウジングは、前記雌端子金具を保持する偏平形状のハウジング構成体を有し、
複数の前記ハウジング構成体が、前記第1の並び方向に積層されている請求項2に記載のジョイントコネクタ。
【請求項4】
積層方向に隣接する前記ハウジング構成体には、互いに係止することによって前記ハウジング構成体同士を積層状態に保持する係止部が形成され、
前記係止部が、前記第1の並び方向及び前記第2の並び方向の両方向と平行な仮想平面上において、点対称となるように配置されている請求項3に記載のジョイントコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジョイントコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリント回路基板に、複数本のオス端子をマトリックス状に配置して立設し、プリント回路基板に形成した回路パターンによって、所望のオス端子同士を短絡させる構造のジョイントコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このジョイントコネクタは、オス端子同士の短絡パターンが異なる毎に、その短絡パターンと同じ回路パターンを有するプリント回路基板を用意する必要がある。即ち、オス端子の短絡パターンの種類数が増えると、その分、プリント回路基板の種類数が増大する。プリント回路基板は比較的高価な部品である。そのため、短絡パターンが増えるほど、必要なプリント回路基板の種類数も増えるので、コストが高くなっていく。
【0005】
本開示のジョイントコネクタは、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、短絡パターンが増えてもコストの上昇を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のジョイントコネクタは、
第1の並び方向に並列する複数のタブと、前記複数のタブを並列状態で連結し、隣り合う任意の前記タブの間において切断が可能な雄側キャリアとを有する雄端子金具と、
前記第1の並び方向と直交する第2の並び方向に並列する複数の雌側接続部と、前記複数の雌側接続部を並列状態で連結し、隣り合う任意の前記雌側接続部の間において切断が可能な雌側キャリアとを有する雌端子金具とを備え、
複数の前記雄端子金具が前記第2の並び方向と平行に並ぶように配置され、
複数の前記雌側端子金具が、複数の前記雌側接続部を複数の前記タブに接続した状態で前記第1の並び方向と平行に並ぶように配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、短絡パターンが増えてもコストの上昇を抑えることかできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、雄側キャリアと雌側キャリアを切断せずに雄側ハウジングと雌側ハウジングを組み付けた状態をあらわす正断面図である。
【
図2】
図2は、雄側キャリアと雌側キャリアを切断して雄側ハウジングと雌側ハウジングを組み付けた状態をあらわす正断面図である。
【
図3】
図3は、雄側ハウジングと雌側ハウジングを組み付けた状態をあらわす側断面図である。
【
図4】
図4は、雄側ハウジングと雌側ハウジングを組み付けた状態をあらわす平断面図である。
【
図6】
図6は、雌側コネクタの組付け状態の斜視図である。
【
図8】
図8は、雌側ハウジングの分解状態をあらわす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のジョイントコネクタは、
(1)第1の並び方向に並列する複数のタブと、前記複数のタブを並列状態で連結し、隣り合う任意の前記タブの間において切断が可能な雄側キャリアとを有する雄端子金具と、前記第1の並び方向と直交する第2の並び方向に並列する複数の雌側接続部と、前記複数の雌側接続部を並列状態で連結し、隣り合う任意の前記雌側接続部の間において切断が可能な雌側キャリアとを有する雌端子金具とを備え、複数の前記雄端子金具が前記第2の並び方向と平行に並ぶように配置され、複数の前記雌側端子金具が、複数の前記雌側接続部を複数の前記タブに接続した状態で前記第1の並び方向と平行に並ぶように配置されている。本開示の構成によれば、雄側キャリアと雌側キャリアのうち一方又は両方のキャリアを切断することによって、所望の短絡パターンを得ることができる。短絡パターンの種類数が増えても、雄端子金具と雌端子金具を共用できるので、部品の種類数が増えることがない。したがって、本開示によれば、短絡パターンが増えてもコストの上昇を抑えることができる。
【0010】
(2)前記複数の雄端子金具を、前記第2の並び方向に並列させた状態で保持する雄側ハウジングと、前記複数の雌端子金具を、前記第1の並び方向に並列させた状態で保持する雌側ハウジングとを備えていることが好ましい。この構成によれば、雄側ハウジングと雌側ハウジングを組み付けるというワンアクションの作業によって、複数のタブと複数の雌側接続部を接続させることができる。
【0011】
(3)(2)において、前記雌側ハウジングは、前記雌端子金具を保持する偏平形状のハウジング構成体を有し、複数の前記ハウジング構成体が、前記第1の並び方向に積層されていることが好ましい。この構成によれば、タブの数が異なる複数種類の雄端子金具に対して、ハウジング構成体と雌端子金具を共用することができるので、雌側ハウジングと雌端子金具の種類数が少なくて済む。
【0012】
(4)(3)において、積層方向に隣接する前記ハウジング構成体には、互いに係止することによって前記ハウジング構成体同士を積層状態に保持する係止部が形成され、前記係止部が、前記第1の並び方向及び前記第2の並び方向の両方向と平行な仮想平面上において、点対称となるように配置されていることが好ましい。この構成によれば、ハウジング構成体を反転させた状態でも積層することができるので、ハウジング構成体同士を組み付ける際の作業性が良い。
【0013】
(5)前記雌側接続部は、金属板材を曲げ加工して成形されたものであり、前記雌側キャリアは、前記第2の並び方向に隣り合う前記雌側接続部同士を接近させるように屈曲されていることが好ましい。金属板材を曲げ加工した雌側接続部は展開状態の面積が大きいので、第2並び方向に隣り合う雌側接続部を連結する雌側キャリアが長くなることが懸念される。しかし、雌側キャリアを屈曲させることによって、第2並び方向に隣り合う雌側接続部のピッチを狭めることができるので、小型化を図ることが可能である。
【0014】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のジョイントコネクタを具体化した実施例1を、
図1~
図8を参照して説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本実施例1において、前後の方向については、
図3,4における左方、及び
図5~8における斜め左下方を前方と定義する。上下の方向については、
図1~3,5~8にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、
図1,2,4にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0015】
本実施例1のジョイントコネクタは、1つの雄側コネクタ10と、
1つの雌側コネクタ30とを備えている。雄側コネクタ10は、合成樹脂製の雄側ハウジング11と、複数の雄端子金具20とを備えている。
図3,4に示すように、雄側ハウジング11は、平板状の端子保持部12と、端子保持部12の外周縁から後方へ突出した角筒状のフード部13とを有する。端子保持部12には、端子保持部12を前後方向に貫通した形態の複数(本実施例1では15)の圧入孔15が形成されている。フード部13には、突起状のロック部14が形成されている。
【0016】
複数の圧入孔15は、第1の並び方向(上下方向)及び第2の並び方向(左右方向)において整列するように配置されている。つまり、複数の圧入孔15は、第1の並び方向において5段に分かれて一直線状に配置され、第2の並び方向において3列に分かれて一直線状に配置されている。
【0017】
雄端子金具20は、プレス加工によって所定形状に打ち抜いた金属板材からなる。
図5に示すように、1つの雄端子金具20は、複数本(本実施例1では5本)の細長いタブ21と、1本の雄側キャリア22とを有する単一部品である。5本のタブ21は、長さ方向を前後方向(第1の並び方向及び第2の並び方向の両方向に対して直交する方向)に向けて、第1の並び方向と平行に一定ピッチで並列するように配置されている。雄側キャリア22は、第1の並び方向と平行な方向に細長い形状であり、5本のタブ21の前端部同士を連結している。雄側キャリア22は、隣り合う任意のタブ21同士の間において切断することが可能である。
【0018】
各雄端子金具20は、雄側ハウジング11に対し、5本のタブ21が第1の並び方向と平行に並ぶ向きで取り付けられている。雄端子金具20を取り付ける際には、5つのタブ21が、雄側ハウジング11の前方から5つの圧入孔15に個別に圧入される。複数の圧入孔15は、左右3列に分かれて整列されているので、3つの雄端子金具20が第2の並び方向に並列した状態で雄側ハウジング11に取り付けられている。
【0019】
雌側コネクタ30は、合成樹脂製の1つの雌側ハウジング31と、複数(本実施例1では5つ)の雌端子金具50とを備えている。
図6,8に示すように、雌側ハウジング31は、1つのアッパハウジング32と、雌端子金具50と同数(本実施例1では5つ)のハウジング構成体35と、1つのロアハウジング39とを組み付けて構成されている。アッパハウジング32とハウジング構成体35とロアハウジング39は、いずれも、前後方向の寸法及び左右方向の寸法に対して、上下方向の寸法が小さい偏平な形状をなす。アッパハウジング32と5つのハウジング構成体35とロアハウジング39を、上から順に積層した状態で組み付けることによって、雌側ハウジング31が構成されている。
【0020】
アッパハウジング32の上面にはロックアーム33が形成されている。
図1,3に示すように、アッパハウジング32の下面には、上側収容凹部34が形成されている。アッパハウジング32(雌側ハウジング31)を前方から見た正面視において、アッパハウジング32の前端部左側面には下方へ突出する係止突起41が形成され、アッパハウジング32の前端部右側面には係止凹部42が形成されている。正面視において、アッパハウジング32の後端部左側面には係止凹部42が形成され、アッパハウジング32の後端部右側面には下方へ突出する係止突起41が形成されている。
【0021】
ハウジング構成体35の内部には、端子収容室36が形成されている。端子収容室36は、ハウジング構成体35の上面に開口している。ハウジング構成体35の前面壁には、ハウジング構成体35の前面から端子収容室36へ貫通する3つの挿入口37が、第2の並び方向と平行に並ぶように形成されている。ハウジング構成体35の底壁部における前端部は、端子収容室36からハウジング構成体35の下面に連通する左右一対の連通孔38が形成されている。
【0022】
ハウジング構成体35(雌側ハウジング31)を前方から見た正面視において、ハウジング構成体35の前端部左側面には、係止凹部42と、下方へ突出する係止突起41とが形成されている。正面視において、ハウジング構成体35の前端部右側面には、係止凹部42と、上方へ突出する係止突起41が形成されている。ハウジング構成体35の前端部の左右両係止突起41同士は、正面視において点対称の位置関係であり、ハウジング構成体35の前端部の左右両係止凹部42同士も、正面視において点対称の位置関係である。
【0023】
正面視において、ハウジング構成体35の後端部左側面には、係止凹部42と、上方へ突出する係止突起41とが形成されている。正面視において、ハウジング構成体35の後端部右側面には、係止凹部42と、下方へ突出する係止突起41が形成されている。ハウジング構成体35の後端部の左右両係止突起41同士は、正面視において点対称の位置関係であり、ハウジング構成体35の後端部の左右両係止凹部42同士も、正面視において点対称の位置関係である。
【0024】
ロアハウジング39の前端部には、ロアハウジング39を上下方向に貫通した形態の下側収容凹部40が形成されている。ロアハウジング39(雌側ハウジング31)を前方から見た正面視において、ロアハウジング39の前端部右側面には上方へ突出する係止突起41が形成され、ロアハウジング39の前端部左側面には係止凹部42が形成されている。正面視において、ロアハウジング39の後端部右側面には係止凹部42が形成され、ロアハウジング39の後端部左側面には上方へ突出する係止突起41が形成されている。
【0025】
雌端子金具50は、プレス加工によって所定形状に打ち抜いた金属板材に曲げ加工等を施して成形したものである。1つの雌端子金具50は、複数本(本実施例1では3つ)の雌側接続部51と、1本の雌側キャリア52とを有する単一部品である。3つの雌側接続部51は、長さ方向を前後方向(第1の並び方向及び第2の並び方向の両方向に対して直交する方向)に向けて、第2の並び方向と平行に一定ピッチで並列するように配置されている。各雌側接続部51の後端部には、電線53が接続されている。
【0026】
雌側キャリア52は、第2の並び方向と平行な方向に細長い平板状の部位を、屈曲した形状に曲げ加工したものであり、3つの雌側接続部51の前端部同士を連結している。正面視において、雌側キャリア52は、山形(逆V字形)に屈曲した形状である。山形に屈曲させることにより、屈曲していない平板状をなしている状態と比較すると、雌側キャリア52で連結されて隣り合う雌側接続部51同士のピッチが狭くなっている。雌側キャリア52は、隣り合う任意の雌側接続部51同士の間において切断することが可能である。
【0027】
各雌端子金具50は、雌側ハウジング31に対し、3つ雌側接続部51が第2の並び方向と平行に並ぶ向きで取り付けられている。1つの雌端子金具50は1つのハウジング構成体35に取り付けられる。雌端子金具50をハウジング構成体35に取り付けた状態では、雌側接続部51が端子収容室36内に収容され、各雌側接続部51と挿入口37とが前後方向に対向する位置関係となる。雌側キャリア52は、ハウジング構成体35の上面よりも上方へ突出した形態か、連通孔38からハウジング構成体35の下方へ突出した形態となる。
【0028】
雌端子金具50が取り付けられた5つのハウジング構成体35は、上下に積層される。最上段のハウジング構成体35の上面には、アッパハウジング32が積層され、最下段のハウジング構成体35の下面にはロアハウジング39が積層される。最下段以外のハウジング構成体35に取り付けた雌端子金具50の雌側キャリア52は、いずれも、上向きに突出する形態であり、上段側の雌側キャリア52の内側に、下段側の雌側キャリア52の上端部が収容される。最上段のハウジング構成体35に取り付けた雌端子金具50の雌側キャリア52は、アッパハウジング32の上側収容凹部34内に収容される。最下段のハウジング構成体35に取り付けた雌端子金具50の雌側キャリア52は、ロアハウジング39の下側収容凹部40内に収容される。
【0029】
積層したハウジング構成体35同士は、係止突起41と係止凹部42との係止によって積層状態に保持される。アッパハウジング32と最上段のハウジング構成体35も、係止突起41と係止凹部42との係止によって積層状態に保持される。最下段のハウジング構成体35とロアハウジング39も、係止突起41と係止凹部42との係止によって積層状態に保持される。
【0030】
以上により、雌側ハウジング31が組み付けられると同時に、雌側ハウジング31に5つの雌端子金具50が取り付けられる。各雌端子金具50は、雌側ハウジング31に対し、3つの雌側接続部51が第2の並び方向と平行に並ぶ向きで取り付けられている。各雌端子金具50を保持するハウジング構成体35は、上下5段に積層されているので、5つの雌端子金具50が第1の並び方向に並列した状態で雌側ハウジング31に取り付けられている。
【0031】
雄側コネクタ10と雌側コネクタ30は、雌側ハウジング31をフード部13に収容することによって組み付けられている。雄側コネクタ10と雌側コネクタ30を組み付けた状態では、ロックアーム33がフード部13のロック部14に係止することによって、雄側ハウジング11と雌側ハウジング31が嵌合状態にロックされる。両コネクタ10,30を組み付けた状態では、各タブ21が、挿入口37から雌側ハウジング31内に挿入され、対応する雌側接続部51に個別に接続される。
【0032】
本実施例1のジョイントコネクタは、雄側キャリア22と雌側キャリア52の一部を切断することによって、任意の短絡パターンを得ることができる。雄側キャリア22の切断は、雄端子金具20を雄側ハウジング11に取り付ける前に行っておく。雌側キャリア52の切断も、雌端子金具50を雌側ハウジング31に取り付ける前に行っておく。
【0033】
図2には、短絡パターンの一例を示す。左側の雄端子金具20は、雄側キャリア22が切断されていないため、この左側の雄端子金具20のタブ21に接続された左側の5つの雌側接続部51が短絡している。また、上から2段目と4段目と5段目のハウジング構成体35に取り付けられた3つの雌端子金具50は、左側の雌側接続部51と中央の雌側接続部51が雌側キャリア52で接続された状態となっているので、上から2段目と4段目と5段目の左右方向中央の雌側接続部51も、左側の5つの雌側接続部51と短絡している。
【0034】
本実施例1のジョイントコネクタは、複数の雄端子金具20と複数の雌端子金具50を有する。雄端子金具20は、第1の並び方向に並列する複数のタブ21と、複数のタブ21を並列状態で連結する雄側キャリア22とを有する。雄側キャリア22は、隣り合う任意のタブ21の間において切断が可能である。雌端子金具50は、第1の並び方向と直交する第2の並び方向に並列する複数の雌側接続部51と、複数の雌側接続部51を並列状態で連結する雌側キャリア52とを有する。雌側キャリア52は、隣り合う任意の雌側接続部51の間において切断が可能である。複数の雄端子金具20は第2の並び方向と平行に並ぶように配置されている。複数の雌側端子金具は、複数の雌側接続部51を複数のタブ21に接続した状態で、第1の並び方向と平行に並ぶように配置されている。
【0035】
この構成によれば、雄側キャリア22と雌側キャリア52のうち一方又は両方のキャリアを切断することによって、所望の短絡パターンを得ることができる。短絡パターンの種類数が増えても、雄端子金具20と雌端子金具50を共用できるので、部品の種類数が増えることがない。したがって、本実施例1のジョイントコネクタによれば、短絡パターンが増えてもコストの上昇を抑えることができる。
【0036】
ジョイントコネクタは、複数の雄端子金具20を、第2の並び方向に並列させた状態で保持する雄側ハウジング11を有する。ジョイントコネクタは、複数の雌端子金具50を、第1の並び方向に並列させた状態で保持する雌側ハウジング31を有する。この構成によれば、雄側ハウジング11と雌側ハウジング31を組み付けるというワンアクションの作業によって、複数のタブ21と複数の雌側接続部51を接続させることができる。
【0037】
雌側ハウジング31は、前記雌端子金具50を保持する偏平形状のハウジング構成体35を有する。複数のハウジング構成体35は、第1の並び方向に積層されている。この構成によれば、タブ21の数が異なる複数種類の雄端子金具20に対して、ハウジング構成体35と雌端子金具50を共用することができるので、雌側ハウジング31と雌端子金具50の種類数が少なくて済む。
【0038】
積層方向に隣接するハウジング構成体35には、互いに係止することによってハウジング構成体35同士を積層状態に保持する係止部としての係止突起41と係止凹部42が形成されている。係止突起41は、第1の並び方向及び第2の並び方向の両方向と平行な仮想平面上、つまり雌側ハウジング31を前方から見た正面視において、点対称となるように配置されている。この構成によれば、ハウジング構成体35を反転させた状態でも積層することができるので、ハウジング構成体35同士を組み付ける際の作業性が良い。
【0039】
雌側接続部51は、金属板材を曲げ加工して成形されたものである。金属板材を曲げ加工した雌側接続部51は展開状態の面積が大きいので、第2並び方向に隣り合う雌側接続部51を連結する雌側キャリア52が長くなり、隣り合う雌側接続部51のピッチが大きくなることが懸念される。本実施例1のジョイントコネクタの雌側キャリア52は、第2並び方向に隣り合う雌側接続部51同士を接近させるように屈曲させている。したがって、第2並び方向に隣り合う雌側接続部51のピッチを狭めて、小型化を図ることができる。
【0040】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、複数の雄端子金具を雄側ハウジングに保持し、複数の雌端子金具を雌側ハウジングに保持したが、1つのハウジングに、複数の雄端子金具と複数の雌端子金具を保持してもよい。
上記実施例1では、雌側ハウジングが複数のハウジング構成体を積層して構成されているが、雌側ハウジングは単一の部品であってもよい。
上記実施例1では、ハウジング構成体同士を積層状態に保持する係止部が、点対称な形態であるが、係止部は点対称ではない形態であってもよい。
上記実施例1では、雌側キャリアがV字形に屈曲した形状であるが、雌側キャリアの屈曲形状は、U字形、S字形、N字形等であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…雄側コネクタ
11…雄側ハウジング
12…端子保持部
13…フード部
14…ロック部
15…圧入孔
20…雄端子金具
21…タブ
22…雄側キャリア
30…雌側コネクタ
31…雌側ハウジング
32…アッパハウジング
33…ロックアーム
34…上側収容凹部
35…ハウジング構成体
36…端子収容室
37…挿入口
38…連通孔
39…ロアハウジング
40…下側収容凹部
41…係止突起
42…係止凹部
50…雌端子金具
51…雌側接続部
52…雌側キャリア
53…電線