(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電装箱及び給水装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240111BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20240111BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20240111BHJP
【FI】
H02K5/22
F04B53/00 J
H02K11/30
(21)【出願番号】P 2019214417
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】502002407
【氏名又は名称】川本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】飯見 一真
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】深川 豊明
(72)【発明者】
【氏名】坂藤 優介
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-099202(JP,A)
【文献】国際公開第2019/194311(WO,A1)
【文献】特開2018-148606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/22
F04B 53/00
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するケースと、
前記ケースに収容され、前記開口と一部が対向する基板と、
前記基板の前記開口に対向する領域に設けられ、モータに電気的に接続されるケーブルが着脱可能に接続されるモータ電源用接続部と、
前記基板の前記領域の外に実装された電子部品と、
前記ケースに着脱可能に固定され、前記開口を閉じるカバーと、
前記カバーと前記ケースの間に形成され、前記ケーブルの一部を配置する孔と、
前記ケースの表面に形成され、前記孔と連続し、内部に前記ケーブルの一部を配置する溝と、
を備え
、
前記ケースは、箱型に構成され、ケース用端壁及びケース用側壁を有し、
前記開口は、前記ケースの上部の少なくとも1つの角部に形成され、
前記カバーは、カバー用端壁及びカバー用側壁を有し、
前記ケースに固定されたときに、前記カバー用端壁は、前記ケース用端壁と連続し、
前記カバー用側壁は、前記ケース用側壁と連続する、電装箱。
【請求項2】
前記溝は、前記ケース用端壁の上端から下端まで延びる、請求項1に記載の電装箱。
【請求項3】
前記溝の底面は、前記カバーの前記孔に連続する上端から上下方向の中途部までがテーパ面に構成される、請求項1又は請求項2に記載の電装箱。
【請求項4】
前記基板の前記領域に設けられ、外部機器が着脱可能に接続される外部入出力接続部を具備する、
請求項1に記載の電装箱。
【請求項5】
前記モータ電源用接続部は複数設けられて並んで配置され、
前記カバーの内面に少なくとも一部が設けられ、前記カバーが前記ケースに固定された状態にあるときに前記複数のモータ電源用接続部のそれぞれを囲む囲い部を具備する、
請求項1に記載の電装箱。
【請求項6】
ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電装箱と、
を具備する給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装箱及び水を増圧して給水する給水装置に用いられる給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸水の揚水に用いられる給水装置として、井戸に配置される水中ポンプと、地上に配置され、水中ポンプを制御する電装箱と、等を備える構成が知られている。電装箱は、水中ポンプのモータに電力を供給するインバータや、モータを制御するためのプログラムが記憶された記憶部が収容されている。
【0003】
また、このような電装箱は、電子部品等を収容する筐体として、ケースと、このケースに設けられてケースの開口を覆うカバーと、を備え、ケースに、モータのケーブルを接続する端子が設けられる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の、カバーを備える電装箱には、以下の問題があった。すなわち、端子部にケーブルを接続する為にカバーをケースから取り外すと、ケースに設けられた端子部以外の部品も露出する。端子部にケーブルを接続する作業時には、他の部品に対して注意が届かない場合も想定される。この為、他の部品に周囲の水が付着する等、安全性が低下するという虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、安全性を向上できる電装箱及び給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電装箱は、開口を有するケースと、前記ケースに収容され、前記開口と一部が対向する基板と、前記基板の前記開口に対向する領域に設けられ、モータに電気的に接続されるケーブルが着脱可能に接続されるモータ電源用接続部と、前記基板の前記領域の外に実装された電子部品と、前記ケースに着脱可能に固定され、前記開口を閉じるカバーと、前記カバーと前記ケースの間に形成され、前記ケーブルの一部を配置する孔と、前記ケースの表面に形成され、前記孔と連続し、内部に前記ケーブルの一部を配置する溝と、を備え、前記ケースは、箱型に構成され、ケース用端壁及びケース用側壁を有し、前記開口は、前記ケースの上部の少なくとも1つの角部に形成され、前記カバーは、カバー用端壁及びカバー用側壁を有し、前記ケースに固定されたときに、前記カバー用端壁は、前記ケース用端壁と連続し、前記カバー用側壁は、前記ケース用側壁と連続する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、安全性を向上できる電装箱及び給水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給水装置の構成を示す説明図。
【
図2】同給水装置に用いられる電装箱の構成を示す斜視図。
【
図4】同電装箱に用いられるケースの構成を示す正面図。
【
図8】同電装箱の変形例に用いられるケースの構成を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る給水装置10を、
図1乃至
図7を用いて説明する。
図1は、給水装置10の構成を示す説明図である。
図2は、給水装置10に用いられる電装箱40の構成を示す斜視図である。
図3は、電装箱40の構成を示すブロック図である。
図4は、電装箱40に用いられるケース46の構成を示す正面図である。
図5は、ケース46の溝56の構成を示す断面図である。
図6は、電装箱40に用いられる囲い部71を示す断面図である。
図7は、電装箱40の変形例の構成を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、給水装置10は、井戸等の水源に配置される水中ポンプ20と、陸上に設置される給水ユニット30と、を備える。本実施形態では、給水装置10が設置されたときの姿勢に基づいて、上下方向を設定する。
【0012】
水中ポンプ20は、ポンプ21と、モータ22と、を備える。モータ22は、ポンプ21を駆動する。モータ22は、電源供給の為のケーブルが複数接続される構成であり、例として、例えば三相モータである。
【0013】
給水ユニット30は、ベース31と、ベース31に一体に設けられた連結管32と、連結管32の一次側に設けられた吸込フランジ33と、連結管32の二次側に設けられた吐出フランジ34と、連結管32及び吸込フランジ33の間に設けられた逆止弁35と、逆止弁35の二次側に設けられたセンサ部36と、センサ部36の二次側に設けられたアキュムレータ37と、モータ22に接続されるケーブル38と、ベース31に設けられた電装箱40と、を備える。
【0014】
給水ユニット30は、その一次側が配管5を介して流体的にポンプ21に接続される。給水ユニット30は、ケーブル38を介して、モータ22に電気的に接続される。給水ユニット30は、二次側に配管6を介して流体的に給水先7に接続される。給水先7は、例えば、建造物に設けられた蛇口等である。
【0015】
ケーブル38は、U相ケーブル38aと、V相ケーブル38bと、W相ケーブル38cと、を備える。U相ケーブル38a、V相ケーブル38b、及びW相ケーブル38cは、それぞれ、電装箱40の後述するモータ電源用接続部69に着脱可能に接続される。
【0016】
電装箱40は、例えば、ベース31上に固定される。電装箱40は、
図2乃至
図4に示すように、筐体41と、筐体41内に収容される、基板42を含む基板装置43と、を備える。
【0017】
筐体41は、例えば矩形の箱形に構成される。筐体41は、開口45を有するケース46と、ケース46に着脱可能に固定され、開口45を閉じるカバー47と、ベース31に固定される脚部48と、を備える。
【0018】
ケース46は、例えば矩形の箱型に構成される。ケース46は、具体的には、第1のケース用端壁49と、第1のケース用端壁49の周縁に形成されるケース用側壁50と、第2のケース用端壁51と、を有する。第2のケース用端壁51により構成される一方の開口が第1のケース用端壁49により閉じられ、他方の開口の一部が第2のケース用端壁51により閉じられて他部が開口45を構成する。
【0019】
開口45は、具体的には、第2のケース用端壁51により形成される他方の開口の上下方向の中央より上側であって、かつ、幅方向の中央から一端側までの領域により構成される。なお、ここで言う幅方向は、上下方向及びケース46の厚み方向のそれぞれに直交する方向である。
【0020】
このように構成されるケース46は、例えば複数の部材から構成され、具体例として、第1のケース52と、第2のケース53と、を備える。
第1のケース52は、例えば、一面に開口52aを有する矩形の箱状に形成される。第1のケース52は、具体的には、第1のケース用端壁49と、ケース用側壁50の一部50aと、を有する。第1のケース52は、例えば、水平方向に開口52aを配置する姿勢で、例えばベース31上に、脚部48を介して固定される。
【0021】
また、第1のケース52の上部の少なくとも1つの角部には、カバー47の固定に用いられるねじ54が螺合するねじ穴52bが形成される。ねじ穴52bは、例えば、第1のケース52の1つの角部に形成される。
【0022】
第2のケース53は、第1のケース52に固定されて、第1のケース52の開口52aの一部を覆う。第2のケース53は、第2のケース用端壁51と、ケース用側壁50の他部50bと、を有する。
【0023】
第2のケース用端壁51の上縁には、カバー47の後述する係合部60が係合可能な被係合部55が形成される。また、第2のケース用端壁51の外面には、カバー47及び第2のケース53の間から出たケーブル38a,38b,38cの一部を配置する溝56が形成される。溝56は、例えば、第2のケース用端壁51の一部がケース46の第1のケース用端壁49に向かって屈曲して突出する形状に形成されることで、構成される。
【0024】
溝56は、第2のケース用端壁51の上端から下端まで延びる。
図5に示すように、溝56の底面57の、上端から上下方向の中途部のまでの範囲は、中途部に向かって溝56の深さが漸次浅くなるテーパー面に構成される。
【0025】
底面57のテーパーは、例えば、ケーブル38a,38b,38cの、後述する孔47bの近傍に配置される部分の屈曲の程度を、ケーブル38a,38b,38cが断線しない程度の屈曲とすることが可能なテーパー面に構成される。
【0026】
カバー47は、カバー用端壁58と、カバー用側壁59と、を有する。カバー用端壁58は、カバー47がケース46に固定されたときに、第2のケース用端壁51と連続する。カバー用側壁59は、カバー47がケース46に固定されたときに、ケース用側壁50と連続する。
【0027】
また、カバー47は、ねじ54により、ケース46に固定される。具体的には、カバー47の、ケース46のねじ穴52bと対向する角部には、ねじ54が挿通する孔47aが形成される。カバー47は、孔47aを挿通したねじ54がねじ穴52bに螺合することで、ケース46に固定される。
【0028】
また、カバー47は、第2のケース53の被係合部55に係合する係合部60を有する。係合部60は、例えば、カバー47をケース46の開口45に沿って上から下へスライドすることで被係合部55に係合する爪部に構成される。係合部60は、例えば、カバー用端壁58の下縁に形成される。
【0029】
また、カバー47及び第2のケース53の間には、ケーブル38a,38b,38cの一部を配置し、ケーブル38a,38b,38cを筐体41の内外に配線可能とする孔47bが形成される。孔47bは、例えば、カバー47のカバー用端壁58の下端縁と、溝56の上端縁と、により構成される。
【0030】
基板装置43は、接続部61と、制御部62と、記憶部63と、コンバータ部64と、を備える。
接続部61は、基板42の開口45と対向する領域に端子が実装されることで構成される。接続部61は、給水装置10の使用に際して、作業者によりケーブルが接続可能に構成される。接続部61は、例えば、モータ電源用接続部69と、外部入出力接続部70と、を含む。
【0031】
モータ電源用接続部69は、基板42に端子が実装されることで構成される。モータ電源用接続部69は、基板42の上端の近傍に構成される。モータ電源用接続部69は、水中ポンプ20のモータ22を駆動する際に、ケーブル38a,38b,38cが接続される。モータ電源用接続部69は、具体的には、U相接続部69aと、V相接続部69bと、W相接続部69cと、を備える。接続部69a,69b,69cは、幅方向に並んで配置される。また、接続部69a,69b,69cの幅方向で両側方には、接続部69a,69b,69cを隔てる隔壁72が設けられている。
【0032】
また、
図6に示すように、カバー47及びケース46側の少なくとも一方には、カバー47がケース46に固定された状態にあるときに、接続部69a,69b,69cを囲む囲い部71が設けられる。囲い部71は、カバー47がケース46に固定され、かつ、電装箱40がベース31に固定された状態で、接続部69a,69b,69cの、少なくとも、上方、幅方向で両側方、並びに、上下方向及び幅方向のそれぞれに直交する方向でカバー47側を覆う。
【0033】
ここで上方を覆うとは、上方から下方に向かって見たときに、接続部69a,69b,69cが覆われている状態であることである。両側方を覆うとは、幅方向で両側方のそれぞれから見たときに接続部69a,69b,69cが覆われている状態であることである。上下方向及び幅方向のそれぞれに直交する方向でカバー47側から覆うとは、カバー47側から見たときに、接続部69a,69b,69cが覆われていることである。
【0034】
囲い部71は、
図4及び
図6に示すように、例えば、カバー47に形成され、カバー47がケース46に固定された状態でケース46側に突出する壁部により構成される。具体的には、囲い部71は、幅方向に延びる第1の縦壁75と、上下方向に延びる2つの第2の縦壁76と、を有する。なお、囲い部71は、
図4では2点鎖線で示されている。
【0035】
第1の縦壁75は、カバー47がケース46に固定された状態で、接続部69a,69b,69cの上方に位置し、接続部69a,69b,69cの上方を覆う。第1の縦壁75は、例えば幅方向に長い矩形状に構成される。第1の縦壁75の幅方向で一端は、例えば、幅方向で一端に配置される隔壁72より幅方向に外側に配置され、第1の縦壁75の幅方向で他端は、例えば、幅方向で他端に配置される隔壁72よりも幅方向で外側に配置される。第1の縦壁75は、例えば矩形の板状に構成される。カバー47がケース46に固定された状態で、第1の縦壁75の基板42側の先端となる縁が、例えば、基板42に当接する。
【0036】
一方の第2の縦壁76は、第1の縦壁75の幅方向で一端に設けられる。他方の第2の縦壁76は、第1の縦壁75の幅方向で他端に設けられる。2つの第2の縦壁76は、第1の縦壁75から下方に延出する。2つの第2の縦壁76は、例えば矩形の板状に構成される。2つの第2の縦壁76は、カバー47がケース46に固定された状態で、幅方向でその間に、隔壁72、及び接続部69a,69b,69cを配置する。2つの第2の縦壁76は、カバー47がケース46に固定された状態で、幅方向で、接続部69a,69b,69cを覆う。
【0037】
2つの第2の縦壁76は、例えば、カバー47がケース46に固定された状態で、基板42側の先端となる縁が、基板42に当接可能に構成される。2つの第2の縦壁76は、カバー47がケース46に固定された状態で、少なくとも、基板接続部69a,69b,69cよりも下側の位置まで延びる。
【0038】
このように構成される囲い部71は、カバー47がケース46に固定された状態では、第1の縦壁75が接続部69a,69b,69cの上方に配置される。そして、第1の縦壁75の幅方向の両端が、接続部69a,69b,69cよりも幅方向で外側に位置することで、第1の縦壁75が接続部69a,69b,69cの上方を覆う。
【0039】
また、2つの第2の縦壁76間に、接続部69a,69b,69cが配置される。そして、2つの第2の縦壁76が接続部69a,69b,69cよりも下方の位置まで延びることで、2つの第2の縦壁76が接続部69a,69b,69cの幅方向で両側方を覆う。
【0040】
また、カバー47の内面に第1の縦壁75及び2つの第2の縦壁76が形成されることで、カバー47の内面の第1の縦壁75及び2つの第2の縦壁76で囲まれる領域が、接続部69a,69b,69cの、上下方向及び幅方向のそれぞれに直交する方向でカバー47側を覆う。
【0041】
このように、第1の縦壁75、2つの第2の縦壁76、及びカバー74の内面の一部により、接続部69a,69b,69cを内側に配置する、下方に開口する凹状の囲い部71が構成されることで、カバー47をケース46に固定するだけで、囲い部71により接続部69a,69b,69cを覆うことが可能となる。この下方の開口に、ケーブル38a,38b,38cの一部が配置される。
【0042】
外部入出力接続部70は、端子70aが基板42に実装されることで構成される。外部入出力接続部70は、モータ電源用接続部69と上下方向に重ならない位置に構成される。外部入出力接続部70は、例えば、ケース46内の上端の近傍であって、かつ幅方向の中央近傍に配置される。外部入出力接続部70は、プログラムを書き換える等のための外部機器に、例えばケーブルを介して接続可能に構成される。
【0043】
制御部62は、基板42に電子部品62aが実装されて構成されるマイコン等である。制御部62は、基板42の、開口45と対向する領域以外の領域に配置される。換言すると、制御部62は、基板42の、第2のケース用端壁51と対向する領域に構成される。制御部62は、記憶部63に記憶されるプログラムに基づいて、モータ22を制御する。
【0044】
記憶部63は、基板42に電子部品63aが実装されることで構成される。記憶部63は、モータ22を駆動する為のプログラム等が記憶される。記憶部63は、基板42の第2のケース用端壁51と対向する領域に構成される。
【0045】
コンバータ部64は、整流器64aと、スイッチング回路64bと、共振回路64cと、等の電子部品が基板42に実装されることで構成される。コンバータ部64は、基板42の第2のケース用端壁51と対向する領域に構成される。コンバータ部64は、モータ電源用接続部69に接続される。コンバータ部64は、モータ電源用接続部69を介して、ケーブル38a,38b,38cが電気的に接続される。
【0046】
このように構成される給水装置10のモータ電源用接続部69にケーブル38を接続する作業の一例を説明する。
作業者は、まず、カバー47をケース46から取り外す。次に、作業者は、露出した接続部69のU相接続部69aにU相ケーブル38aを接続し、V相接続部69bにV相ケーブル38bを接続し、W相接続部69cにW相ケーブル38cを接続する。
【0047】
次に、作業者は、ケーブル38a,38b,38cの一部を、溝56に収容する。そして、作業者は、ケーブル38a,38b,38cを、溝56の下端56aを通す。
次に、作業者は、カバー47を、ケース46の開口45に配置し、係合部60を上下方向で第2のケース53の被係合部55と対向させる。次に、作業者は、カバー47を下方にスライドすることで、係合部60を被係合部55に係合させる。このとき、作業者は、ケーブル38a,38b,38cを、カバー47の孔47bに配置する。係合部60が被係合部55に係合した状態では、接続部69a,69b,69cは、囲い部71内に収容される。また、第1の縦壁75の基板42側の先端となる縁、及び2つの第2の縦壁76の基板42側となる縁は、基板42に当接する。
【0048】
次に、作業者は、ねじ54により、カバー47をケース46に固定する。具体的には、作業者は、ねじ54を、カバー47の孔47aを挿通させてケース46のねじ穴46bに固定する。
【0049】
次に、記憶部63に記憶されたプログラムを書き換える作業の一例を説明する。まず、作業者は、カバー47をケース46から取り外す。次に、作業者は、外部機器のケーブルを、外部入出力接続部70に接続する。
【0050】
次に、作業者は、外部機器を操作することで、記憶部63に記憶されたプログラムを書き換える。プログラムの書き換え作業が完了すると、作業者は、ケーブルを外部入出力接続部70から取り外す。
【0051】
次に、作業者は、カバー47を、ケース46の開口に配置し、係合部60を上下方向で第2のケース53の被係合部55と対向させる。次に、作業者は、カバー47を下方にスライドすることで、係合部60を被係合部55に係合させる。このとき、作業者は、ケーブル38a,38b,38cを、カバー47の孔47bに配置する。
次に、作業者は、ねじ54を、カバー47の孔47aを挿通させてケース46のねじ穴46bに固定する。
【0052】
このように構成される給水装置10によれば、モータ電源用接続部69及び外部入出力接続部70は、基板42の開口45に対向する領域に配置され、他の電子部品、例えば、制御部62を構成する電子部品62a、記憶部63を構成する電子部品63a、及びコンバータ部64を構成する電子部品64a,64b,64cは、基板42の第2のケース53に対向する領域に配置される。この為、モータ電源用接続部69にモータケーブル38を接続する際、及び、外部入出力接続部70に外部機器を接続する際には、カバー47のみを取り外せばよく、カバー47が取り外された状態であっても、他の電子部品は第2のケース53により覆われている。結果、ケーブル38の接続作業時、及び外部機器による作業時に他の電子部品が露出することを防止できるので、安全性を向上できる。
【0053】
さらに、第2のケース53の表面に、ケーブル38a,38b,38cの一部を配置する溝56が形成され、カバー47には、溝56に連通する孔47bが形成される。この為、ケーブル38a,38b,38cの断線を防止できる。具体的に説明すると、ケーブル38a,38b,38cのカバー47の孔47bの近傍に配置される部分は、屈曲される。しかしながら、溝56が形成されることで、ケーブル38a,38b,38cの屈曲の程度を、溝56が形成されない構成に比較して、小さくできる。このように、溝56によりケーブル38a,38b,38cの屈曲の程度を小さくできるので、ケーブル38a,38b,38cの断線を防止できる。
【0054】
さらに、溝56の底面57の、カバー47の孔47bに連続する上端から上下方向の中途部までがテーパー面に構成されることで、ケーブル38a,38b,38cの屈曲の程度を、テーパーを有さない構成に比較して小さくできるので、ケーブル38a,38b,38cの断線を防止できる。
【0055】
さらに、モータ電源用接続部69及び外部入出力接続部70を、他の電子部品に比較して上方に配置する構成であることで、モータ電源用接続部69及び外部入出力接続部70が他の部品により上方から覆われることがない。この為、モータ電源用接続部69及び外部入出力接続部70に対するケーブルの着脱作業の効率を向上できる。
【0056】
さらに、開口45が、筐体41の上部の少なくとも1つの角に形成され、かつ、この角部にねじ穴52bが形成される。この為、カバー47をケース46に固定する際に、ねじ54をねじ穴52bに螺合する作業をしやすい。
【0057】
さらに、囲い部71が設けられることで、囲い部71により、接続部69a,69b,69cの上方、幅方向で両側方、及びカバー47側が覆われる。この為、カバー47をケース46に固定した状態で、例えば筐体41内に金属部品等が紛れ込んでいても、囲い部71により、この金属部品が、囲い部71内に入り込むことが防止されるので、この金属部品が、接続部69a,69b,69cのいずれか2つにわたって配置されることが防止される。結果接続部69a,69b,69cが短絡することを防止できる。さらに、カバー47を、囲い部71に一体に形成することで、電装箱40の部品数の増加を防止できる。
【0058】
上述したように、本発明の一実施形態に係る給水装置10によれば、安全性を向上できる。
なお、上述の例では、電装箱40は、接続部61以外の電子部品として、制御部62を構成する電子部品62a、記憶部63を構成する電子部品63a、及びコンバータ部64を構成する電子部品64a,64b,64cを備え、これらが、基板42の、ケース46の開口45と対向する領域の外に配置されることで、第2のケース用端壁51に対向して開口45に対向しない配置構成が一例として説明されたが、これに限定されない。
【0059】
他の例では、電装箱40は、上述以外の電子部品を備える構成であってもよく、これら電子部品が、基板42の開口45と対向しない領域に配置されることで、同様の効果が得られる。
【0060】
また、上述の例では、電装箱40がベース31上に固定される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、電装箱40は、地面に設置されてもよい。
また、上述の例では、カバー47は、1部材で構成される例が説明されたが、これに限定されない。他の例では、カバー47は、複数のカバー部材から構成されてもよい。例えば、カバー47は、モータ電源用接続部69を覆う1つのカバー部材と、外部入出力接続部70を覆う1つのカバー部材と、を含む構成であってもよい。
【0061】
また、上述の例では、囲い部71は、カバー47に設けられた構成が一例として説明されたが、これに限定されない。
【0062】
例えば、囲い部71は、一部がカバー47に設けられ、他部がカバー47側に設けられる構成であってもよい。この一例を、
図8及び
図9を用いて説明する。囲い部71は、
図8に示すように、例えば、基板42に形成され、接続部69a,69b,69cの幅方向で両側部にそれぞれ配置される複数の隔壁72と、カバー47の内面に設けられるカバー部73及び第3の縦壁74と、を備える。
【0063】
複数の隔壁72のそれぞれは、接続部69a,69b,69cの上端よりも上方の位置から、接続部69a,69b,69cの下端よりも下方の位置まで延びる例えば矩形の板状に構成される。また、複数の隔壁72のそれぞれは、接続部69a,69b,69cの、基板42に対する高さよりも高い板状に構成される。
【0064】
カバー部73は、カバー47がケース46に固定された状態にあるときに複数の隔壁72のそれぞれの基板42に対する突出方向で先端となる縁に当接可能に構成される。カバー部73は、カバー47の内面のカバー部73の周囲よりも突出する突出部に構成される。
【0065】
第3の縦壁74は、カバー47がケース46に固定された状態にあるときに隣接する2つの隔壁72の上端間を覆う。なお、
図8中では、第3の縦壁74は、2点鎖線で示されている。第3の縦壁74は、複数の隔壁72の上端となる縁に、例えば当接可能に構成される。カバー74は、具体的には、複数の隔壁72の幅方向で一端に配置される隔壁72から多端に配置される縦壁まで延びる、例えば矩形の板状に構成される。また、第3の縦壁74は、例えば、基板42側の先端となる縁が、カバー47がケース46に固定された状態で、基板42に当接可能に構成される。
【0066】
カバー47がケース46に固定されることで、カバー部73が複数の隔壁72の突出端となる縁に当接し、第3の縦壁74が複数の隔壁72の上端となる縁に当接する。そして、第3の縦壁74の基板42側の先端となる縁が基板42に当接する。結果、接続部69a,69b,69cのそれぞれの上方及び幅方向で両側方は、個別に、隔壁72、カバー部73、及び第3の縦壁74に囲まれる。
【0067】
この変形例のさらなる変形例として、囲い部71は、カバー47のみに設けられてもよい。具体的には、複数の隔壁72、カバー部73、及び第3の縦壁74は、カバー47の内面に設けられてもよい。
【0068】
また、上述の例では、筐体41は、電装箱40が設置された状態で水平方向に開口するケース46、及びカバー47を備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、
図7に示す変形例のように、ケース46は、電装箱40が設置された状態で上方に開口する形状に構成されてもよい。
【0069】
また、上述の例では、電装箱40は、給水装置10に用いられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、電装箱40は、給水装置40以外の装置に用いられる構成であってもよい。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 開口を有するケースと、
前記ケースに収容され、前記開口と一部が対向する基板と、
前記基板の前記開口に対向する領域に設けられ、モータに電気的に接続されるケーブルが着脱可能に接続されるモータ電源用接続部と、
前記基板の前記領域の外に実装された電子部品と、
前記ケースに着脱可能に固定され、前記開口を閉じるカバーと、
を備える電装箱。
[2] 前記カバーと前記ケースの間に形成され、前記ケーブルの一部を配置する孔と、
前記ケースの表面に形成され、前記孔と連続し、内部に前記ケーブルの一部を配置する溝と、
を具備する、[1]に記載の電装箱。
[3] 前記基板の前記領域に設けられ、外部機器が着脱可能に接続される外部入出力接続部を具備する、[2]に記載の電装箱。
[4] 前記ケースは、箱型に構成され、
前記開口は、前記ケースの上部の少なくとも1つの角部に形成され、
前記カバーは、前記角部にねじにより固定される、
[1]に記載の電装箱。
[5] 前記モータ電源用接続部は複数設けられて並んで配置され、
前記カバーの内面に少なくとも一部が設けられ、前記カバーが前記ケースに固定された状態にあるときに前記複数のモータ電源用接続部のそれぞれを囲む囲い部を具備する、
[1]に記載の電装箱。
[6] ポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
基板、前記基板を収容し、前記基板の一部の領域と対向する開口を有するケース、前記基板の前記領域に設けられ、モータに電気的に接続されるケーブルが着脱可能に接続されるモータ電源用接続部、前記基板の前記領域の外に実装された電子部品、及び前記ケースに着脱可能に固定され、前記開口を閉じるカバーを備える電装箱と、
を具備する給水装置。
【符号の説明】
【0071】
10…給水装置、21…ポンプ、22…モータ、30…給水ユニット、38…ケーブル、40…電装箱、41…筐体、42…基板、45…開口、46…ケース、47…カバー、47b…孔、50…ケース用側壁、52…第1のケース、53…第2のケース、55…被係合部、56…溝、57…底面、60…係合部、61…接続部、62…制御部、63…記憶部、63a…電子部品、64…コンバータ部、64a…整流器、64b…スイッチング回路、64c…共振回路、69…モータ電源用接続部、69a…U相接続部、69b…V相接続部、69c…W相接続部、70…外部入出力接続部、70a…端子、71…囲い部、72…隔壁、73…カバー部、74…第3の縦壁、75…第1の縦壁、76…第2の縦壁。