特許7417228IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

卵アレルギーの予防および治療のために用いることのできる経口免疫寛容剤、およびそれを含有する食品組成物

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明は、乳幼児の卵アレルギーを予防または治療することができる、従来よりも有効性が高く、危険性の低い手段を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者らは、卵のうち卵白だけを加熱変性した後、特定の食品用タンパク質分解酵素を用いて処理したもの(本明細書において「PEW」(protease-digested egg white)と称する。)が、経口摂取したときに、卵アレルギー、特に卵白に含まれるオボムコイドおよびオボアルブミンによるアレルギーを予防することができ、しかも皮膚バリア機能が傷害されていても経皮膚感作を起こしにくい、高い有効・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る

発明の効果[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の経口免疫寛容剤およびそれを含む食品は、卵アレルギー発症のリスクが高い対象者、特に乳幼児に摂取させることにより、安定的に経口免疫寛容を誘導して卵アレルギーを予防または治療することができる一方、皮膚からの侵入による経皮膚感作は起こしにくいので、これまでにない水準で有効性と安全性を両立させることのできる剤および食品として極めて有用である。また、本発明の経口免疫寛容剤およびそれを含む食品は、すでに卵に感作されている幼児に対しても、経口摂取によっては卵アレルギーの症状を誘発しにくいことが予想されるので、安全性が高いといえる。

なお、本発明では「特定の食品用タンパク質分解酵素」(アスパルティックプロテアーゼ、金属プロテアーゼ等)を用いることにより、卵アレルギーの予防等のために好適な剤が得られるが、その理由としては、例えば、加熱変性卵白を「特定の食品用タンパク質分解酵素」処理することにより得られる分解物(PEW)は、適度な分子量のペプチドを含んでいること、あるいは生成した様々なペプチドの混合物として適度な分子量の分布を有するものを含んでいることが考えられる。すなわち、PEWに含まれるペプチド(混合物)は、Treg細胞(制御性T細胞)に対しては免疫寛容を誘導するのに適した抗原となる(T細胞エピトープを有する)一方、B細胞に対しては抗体を産生させる抗原とはならず、経皮膚感作を防ぐことができ、またS-IgE(特異的IgE)に対する抗原ともならず、アレルギー症状を起こさないことが考えられる。

これに対して、食品用タンパク質分解酵素で分解されていない加熱変性卵白(EW)は、Treg細胞に作用して一定程度の免疫寛容を誘導することはできるかもしれないが、Th2細胞への分化誘導(Th2細胞の増殖)を抑制し、サイトカイン(IL-13等)の産生を抑制する効果は、PEWの方が優れている(実施例4参照)。EWには、B細胞に作用して抗体を産生させ、経皮膚感作を引き起こしたり、S-IgEに作用してアレルギー症状を引き起こしたりするおそれもある。

また、「特定の食品用タンパク質分解酵素」以外の食品用タンパク質分解酵素を用いた場合は、Treg細胞に対して必要なT細胞エピトープまで分解されてしまい、免疫寛容を誘導できない、または免疫寛容の誘導の安定性に欠ける場合がある。

但し、本発明はこのような推察によって不当に制約されるものではなく、仮に他の理由によって、アスパルティックプロテアーゼ(例えばペプシン)または金属プロテアーゼ(例えばサーモライシン)を用いることにより本発明の作用効果が奏されるとしても、本発明は本明細書の記載により担保されるものである。

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】 図1は、実施例3における、加熱変性卵白に含まれるタンパク質(ペプチド)の分子量分布[A]、ペプシン処理PEW(PEW1)に含まれるペプチドの分子量分布[B]、サモアーゼ(登録商標)PC10F処理PEW(PEW2)に含まれるペプチドの分子量分布[C]、プロテアーゼP『アマノ』3SD処理PEW(R-PEW1)に含まれるペプチドの分子量分布[D]、およびプロチンSD-AY10処理PEW(R-PEW2)に含まれるペプチドの分子量分布[E]の測定結果を表す。
【図2】 図2[A]-[B]は、実施例4における、それぞれOVAまたはOVMに特異的な、IgEの血中濃度の測定結果を表す。また、図2[C]-[D]は、実施例3における、腸間膜リンパ節から分離し培養した細胞の細胞増殖率[C]と、培養上清中のIL-13濃度[D]の測定結果を表す。***:p<0.001, **:p<0.01,*:p<0.05,ノンパラメトリック検定:Kruskal-Wallis test,多重比較:Dunn’s multiplecomparisons test,n=7-8。
【図3】 図3は、PEW1等を用いた実施例5における、アナフィラキシーショックを反映する体温変化[A]、およびmMCP-1のサンプル投与前の血中濃度[B]と投与後の血中濃度[C]の測定結果を表す。***:p<0.001,**:p<0.01,*:p<0.05,ノンパラメトリック検定:Kruskal-Wallis test,多重比較:Dunn’s multiple comparisons test,n=13-15(血清中OVAsIgEが50ng/ml以上)。
【図4】 図4は、PEW2等を用いた実施例6における、アナフィラキシーショック誘発を反映する体温変化[A]、およびmMCP-1のサンプル投与前の血中濃度[B]と投与後の血中濃度[C]の測定結果を表す。****:p<0.0001,*:p<0.05,ノンパラメトリック検定:Kruskal-Wallis test,多重比較:Dunn’s multiplecomparisons test,n=13(血清中OVAsIgEが50ng/ml以上)。
【図5】 図5[A]-[B]は、PEW1等を用いた実施例7における、OVA特異的IgEの血中濃度[A]およびOVM特異的IgEの血中濃度[B](25倍希釈した血清の光学濃度(OD))の測定結果を表す。また、図5[C]-[D]は、実施例7における、脾臓から分離し培養した細胞の、OVA刺激[C]およびOVM刺激[D]それぞれにおける、細胞増殖率の測定結果を表す。****:p<0.0001,***:p<0.001,ノンパラメトリック検定:Kruskal-Wallis test,多重比較:Dunn’s multiplecomparisons test,n=19-20。
【図6】 図6[A]-[B]は、PEW2等を用いた実施例8における、OVA特異的IgEの血中濃度[A]およびOVM特異的IgEの血中濃度[B](25倍希釈した血清の光学濃度(OD))の測定結果を表す。また、図6[C]-[D]は、実施例8における、脾臓から分離し培養した細胞の、OVA刺激[C]およびOVM刺激[D]それぞれにおける、細胞増殖率の測定結果を表す。****:p<0.0001,**:p<0.01,ノンパラメトリック検定:Kruskal-Wallis test,多重比較:Dunn’s multiplecomparisons test,n=19-20。

代表図 図1本件の代表的な図

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