(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】グレーチングユニット
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
E03F5/04 E
(21)【出願番号】P 2019148290
(22)【出願日】2019-08-13
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593159903
【氏名又は名称】株式会社宝機材
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 寛栄
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-231460(JP,A)
【文献】特開2019-019461(JP,A)
【文献】実開昭60-169379(JP,U)
【文献】特開2002-070140(JP,A)
【文献】実公昭47-032730(JP,Y1)
【文献】特開平09-013484(JP,A)
【文献】特開2011-231476(JP,A)
【文献】特開2008-255612(JP,A)
【文献】特開2008-050826(JP,A)
【文献】特開2007-277832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水用ブロックの蓋掛部に載置される嵩上部と、グレーチング部とを備えた、前記排水用ブロックに配置されるグレーチングユニットであって、
前記嵩上部は、
前記排水用ブロックの蓋掛部に載置される基底部と、
前記排水用ブロックの排水空間側の内端部と、当該内端部の反対側の外端部とを有し、前記グレーチング部の下端を載置する平坦な載置部と、
当該載置部の外端部側に連続し、前記グレーチング部の側端と連結される立壁部と、を備え、
前記グレーチング部は、前記立壁部の内側に配置され、
前記立壁部の内部には、前記グレーチング部を固定するための固定部材を配置可能な空間が設けられ、
前記立壁部と前記グレーチング部の側端は横並びに配置され、
前記立壁部の内部の前記固定部材は側方から取り付けられ
て前記グレーチング部を固定し、
前記立壁部の横幅は、前記基底部の横幅の半分以上である、ことを特徴とするグレーチングユニット。
【請求項2】
前記載置部の内端部は、前記基底部の排水空間側の内端部よりも、前記排水空間側へ延出していることを特徴とする請求項1に記載のグレーチングユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、道路の側溝や集水桝等の蓋や床板として用いられるグレーチングユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンクリート製の側溝や集水桝等の蓋や床板として用いられる様々なグレーチングユニットが提案されており、例えば、
図5に示すようなグレーチングユニット800が知られている。このグレーチングユニット800は、排水用ブロック700の側壁720の蓋掛部730に載置される嵩上部500と、嵩上部500の上に固定されているグレーチング部600とを備えている。そして、グレーチングユニット800は、排水空間710を覆う様に、排水空間710の両側の側壁720の蓋掛部730に載置されている。さらに、嵩上部500によって、グレーチング部600を嵩上げし、グレーチング部600の上面と排水用ブロック700の側壁720の上面との間に段差が出来ないように、同一平面としている。なお、グレーチング部600の下端と嵩上部500の上面との接触箇所を互いに溶接することで、グレーチング部600と嵩上部500は一体化されている。または、グレーチング部600の下端と嵩上部500の上面との接触箇所に、ボルトやナット等の固定部材を用いて、グレーチング部600と嵩上部500とを一体化してもよい。
【0003】
ところで、グレーチングユニット800には、上方を通過する車両等の重量がかかるため、嵩上部500から蓋掛部730へは大きな負荷がかかる。そのため、負荷に十分に耐えることができると共に、グレーチングユニット800を安定して載置させるために、一般的に、嵩上部500の横幅L1は約40mm(ミリメートル)、蓋掛部730の横幅は約55mmとしている。そして、グレーチング部600の横幅L2は、排水空間710を完全に覆うことができると共に、グレーチングユニット800の側方と排水用ブロック700の内側面721との間に、大きな隙間が出来ない程度に決められている。なお、グレーチングユニット800の着脱のし易さとゴミ等の詰まり防止を考慮して、グレーチングユニット800と排水用ブロック700の内側面721の間には、約15mm程度の小さな隙間が設けられている。
【0004】
このように、排水空間710を覆うのみならず、グレーチングユニット800の側方に大きな隙間が出来ないようにするため、グレーチング部600の横幅L2を大きくしなければならなかった。そして、グレーチング部600の横幅L2が大きい分、グレーチングユニット800の材料コストが上がり、また、グレーチングユニット800の重量が重くなる問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は上記問題に鑑み、グレーチング部の横幅を狭くして、重量を軽くすると共に材料コストを削減できるグレーチングユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のグレーチングユニットは、排水用ブロックの蓋掛部に載置される嵩上部と、グレーチング部とを備えた、前記排水用ブロックに配置されるグレーチングユニットであって、前記嵩上部は、前記排水用ブロックの蓋掛部に載置される基底部と、前記排水用ブロックの排水空間側の内端部と、当該内端部の反対側の外端部とを有し、前記グレーチング部の下端を載置する載置部と、当該載置部の外端部側に連続し、前記グレーチングの側端と連結される立壁部と、を備え、前記グレーチング部は、前記立壁部の内側に配置されることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、排水用ブロックの蓋掛部に載置する基底部と、当該基底部の外端部側に連続し、グレーチング部の側端と連結される立壁部とを備え、グレーチング部は立壁部の内側に配置されるように構成されているため、グレーチング部の側方には、隙間が出来ないように立壁部が位置しており、さらに、グレーチング部の横幅は、従来のグレーチング部の横幅よりも、立壁部の横幅の分だけ短くすることが出来る。その結果、グレーチングユニットのグレーチング部の材料コストが下がり、重量も軽くすることが出来るのである。
【0008】
さらに、本願発明のグレーチングユニットは、前記載置部の内端部は、前記基底部の排水空間側の内端部よりも、前記排水空間側へ延出していることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、嵩上部の載置部の内端部は、基底部の内端部よりも排水空間側へ延出しているため、その延出した分だけ、載置部の横幅は長くなっている。これにより、グレーチング部の上を通過する車両等の負荷を、長くなった載置部によって、十分に支持することが出来るのである。
【0010】
さらに、本願発明のグレーチングユニットは、前記立壁部の内部には、前記グレーチングを固定するための固定部材を配置可能な空間が設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、グレーチング部の横幅を短くするために設けた立壁部を有効活用して、内部に空間を設けることで、この空間内に、グレーチング部を嵩上部に固定するための固定部材を配置できる。
【0012】
さらに、本願発明のグレーチングユニットは、前記立壁部の横幅は、前記基底部の横幅の半分以上であることを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、グレーチング部の横幅をより狭くすることができ、グレーチングユニットのグレーチング部の材料コストと重量を下げる効果をより一層顕著に奏するのである。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本願発明のグレーチングユニットは、グレーチング部の横幅を狭くして、重量を軽くすると共に材料コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)は、本願発明の実施形態1に係るグレーチングユニットの嵩上部の全体斜視図、(b)は、当該嵩上部の平面図、(c)は当該嵩上部の側面図である。
【
図2】(a)は、排水用ブロックに、本願発明の実施形態1に係るグレーチングユニットを載置した状態の平面図、(b)はB―B断面図、(c)はB-B断面図において、嵩上部周辺を拡大した断面図である。
【
図3】(a)は、排水用ブロックに、本願発明の実施形態2に係るグレーチングユニットを載置した状態の平面図、(b)はC―C断面図、(c)はC-C断面図において、嵩上部周辺を拡大した断面図である。
【
図4】(a)は、排水用ブロックに、本願発明の実施形態3に係るグレーチングユニットを載置した状態の平面図、(b)はD―D断面図である。
【
図5】(a)は、排水用ブロックに、本願発明の従来技術に係るグレーチングユニットを載置した状態の平面図、(b)はA―A断面図である。
【符号の説明】
【0016】
100 嵩上部
110 基底部
120 立壁部
130 載置部
131 内端部
132 外端部
200 グレーチング部
211 側端
700 排水用ブロック
710 排水空間
730 蓋掛部
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態1)
以下に、本願発明の実施形態1について、
図1及び
図2を用いて説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本願発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、本願明細書では、「上下方向」とは、水平面に設置された排水用ブロックに取り付けられたグレーチングユニットにおいて、垂直方向に沿った方向のことであり、「側方」とは、上下方向に対して直交する方向のことである。
【0018】
まず、
図1には、本実施形態1に係るグレーチングユニット400の嵩上部100を示す。なお、
図1(a)は、嵩上部100の全体斜視図、(b)は、当該嵩上部100の平面図、(c)は当該嵩上部100の側面図である。
【0019】
嵩上部100は、金属製で内部に空洞を備えた長尺状部材であり、具体的には、基底部110と、当該基底部110から上方へ立ち上がる立壁部120と、立壁部120より内側に段状の載置部130とを備え、側面視略L字形状をしている。そして、この嵩上部100は内部が空洞になっているので、重量が軽くなり、グレーチングユニット800全体の重量を軽くするのに寄与している。
【0020】
また、基底部110は、後述する排水用ブロック700の排水空間710側に位置する内端部111と、当該内端部111の反対側の外端部112とを備え、基底部110は、後述する排水用ブロック700の蓋掛部730に安定して載置出来るように平坦な形状をしている。
【0021】
さらに、立壁部120は、基底部110の外端部112側から上方へ略直角に立ち上がる外壁122と、当該外壁122から基底部110と略平行に内側へ延びる上壁121と、当該上壁121から下方へ延びる内壁123とを備える。また、本実施形態では、立壁部120の横幅L4は、約20mmとなっている。さらに、立壁部120内には、上壁121と内壁123と外壁122とで囲まれた空間X2が形成されている。この空間X2を設けることで、立壁部120は軽くなり、グレーチングユニット400全体の重量の軽減に寄与する。また、この空間X2には、後述するグレーチング部200を固定するための固定部材300を任意に配置してもよい。また、本実施形態では、基底部110の横幅L3は、
図5に示す従来の嵩上部500の横幅L1と同一となっており、排水用ブロック700の蓋掛部730に安定して載置出来るようになっている。
【0022】
また、載置部130は、後述する排水用ブロック700の排水空間710側に位置する内端部131と、当該内端部131の反対側の外端部132とを備え、載置部130は、後述するグレーチング部200を安定して載置出来るように平坦な形状をしている。また、載置部130は、内端部131から下方へ略垂直に延びる内壁133を備えており、基底部110の内端部111と連結されている。また、載置部130の外端部132は、立壁部120の内壁123と連結されている。そして、立壁部120の内壁123と載置部130は、互いに略直角に交わるようになっており、後述するグレーチング部200のメインバー210の側端211に対応した形状をしている。このように、立壁部120は、載置部130の外端部132側に連続すると共に、内側にグレーチング部200を配置できるようになっている。なお、本実施形態では、載置部130の横幅L6は、約20mmとなっている。
【0023】
また、嵩上部100は、厚さが約3~6mm程度の平板状の薄いめっき鋼板を、所定幅に切断して屈曲形成しているが、これに限定されず、基底部110と立壁部120と載置部130とを個別に製造しておき、各部材を互いに溶接等で連結固定するなど、任意の方法で製造してもよい。また、嵩上部100は、平板状の薄いめっき鋼板を利用しているが、これに限定されず、嵩上部100を鋼板によって
図1に示す形状に形成した後、めっき槽に浸して溶融亜鉛めっき処理(いわゆる、ドブメッキ)を施してもよい。さらに、嵩上部100は金属製であるが、これに限定されず、実際の使用に耐えうる強度を備える他の素材で形成してもよい。また、嵩上部100は、側面視略L字形状をしているが、これに限定されず、任意の形状とすることが出来る。さらに、基底部110の横幅L3を約40mm、立壁部120の横幅L4を約20mm、載置部130の横幅L6を約20mmとしているが、これに限定されず、各横幅は任意に設定することができる。
【0024】
では次に、
図2を参照して、本願発明のグレーチングユニット400の構成、及び使用態様について説明する。なお、
図2(a)は、排水用ブロック700にグレーチングユニット400を載置した状態の平面図、(b)はB―B断面図、(c)はB-B断面図において、嵩上部100周辺を拡大した断面図である。
【0025】
図2に示すように、グレーチングユニット400は、嵩上部100とグレーチング部200とから構成されている。具体的には、まず、グレーチング部200は、複数のメインバー(主部材)210を立てた状態で平行に並べ、当該メインバー210の上端側を長尺状のクロスバー230で連結することで、格子状に組まれて形成されている。そして、各メインバー210の両側の側端211の側端面212を、嵩上部100の立壁部120の内壁123に当接させて、互いの接触箇所を溶接する。また、各メインバー210の両側の側端211の下端213を、嵩上部100の載置部130に載置し、互いの接触箇所を溶接する。このようして、グレーチング部200の両端の側端211は、嵩上部100の載置部130上に載置されて、グレーチング部200と嵩上部100の互いの接触箇所を溶接することで、嵩上部100とグレーチング部200は強固に固定された状態となる。なお、グレーチング部200は金属製の格子形状であるが、これに限定されず、排水空間710を覆うことが出来て、嵩上部100に固定可能な形状であれば、任意の形状であってもよい。
【0026】
また、
図2では、グレーチング部200の側端211の側端面212を嵩上部100の内壁123へ溶接して固定し、さらに、グレーチング部200の側端211の下端213を嵩上部100の載置部130へ溶接して固定しているが、これに限定されず、グレーチング部200の側端211の側端面212、又は、側端211の下端213の一方のみを嵩上部100に溶接して固定してもよい。また、嵩上部100の内壁123は平面状となっているので、内壁123の平面上の任意の箇所に、グレーチング部200の側端211の側端面212を溶接することができ、組み立て作業が行いやすい。さらに、嵩上部100の内壁123は平面状となっているので、グレーチング部200の側端211の側端面212が内壁123に隙間無く当接することができ、より強固に溶接固定できる。同様に、嵩上部100の載置部130は平坦面となっているので、載置部130の平面上の任意の箇所に、グレーチング部200の側端211の下端213を溶接することができ、組み立て作業が行いやすい。さらに、嵩上部100の載置部130は平坦面となっているので、グレーチング部200の側端211の下端213が載置部130に隙間無く当接することができ、より強固に溶接固定できる。
【0027】
そして、グレーチングユニット400の嵩上部100の基底部110は、排水用ブロック700の両側の側壁720の蓋掛部730上に載置され、グレーチングユニット400のグレーチング部200が排水空間710を上方から覆う様に、グレーチングユニット400は排水用ブロック700に設置される。なお、排水用ブロック700は、
図5に示すような、従来から利用されているコンクリート製の側溝や集水桝であり、底壁(不図示)と、当該底壁の両側の側壁720と、底壁と側壁720とで囲まれた排水空間710を備えている。そして、従来から利用されているグレーチングや、本願発明のグレーチングユニット400等の蓋部材を載置できるように、側壁720には平坦状の蓋掛部730が形成されている。
【0028】
ここで、グレーチング部200の横幅L7は、
図5に示す従来のグレーチング部600と同様に、排水空間710を覆うことが出来て、なおかつ、グレーチング部200の側方に出来るだけ隙間が出来ないように、設定されている。そして、本願発明のグレーチングユニット400によれば、排水用ブロック700の蓋掛部730に載置する基底部110と、当該基底部110の外端部112側に連続し、グレーチング部200の側端211と連結される立壁部120とを備え、グレーチング部200は立壁部120の内側に配置されるように構成されている。そのため、グレーチング部200の側方には、隙間が出来ないように立壁部120が位置しており、さらに、グレーチング部200の横幅L7は、
図5に示す従来のグレーチング部600の横幅L2よりも、立壁部120の横幅L4の分だけ短くすることが出来る。その結果、グレーチングユニット400のグレーチング部200の材料コストが下がり、重量も軽くすることが出来るのである。
【0029】
なお、
図2(c)に示すように、嵩上部100の立壁部120の外壁122は平面状となっており、排水用ブロック700の側壁720の内側面721と対応する形状をしているため、嵩上部100の立壁部120と排水用ブロック700の側壁720の内側面721との間には大きな隙間が出来ないようになっている。ただし、従来と同様に、グレーチングユニット400の着脱のし易さを考慮して、約15mm程度の小さな隙間が設けられている。
【0030】
また、
図5に示すように、従来のグレーチングユニット800では、嵩上部500の横幅L1全体にわたりグレーチング部600が載置されていたので、グレーチング部600の格子状部分と嵩上部500とで囲まれた空間X1が広くなることから、この空間X1にゴミ等が溜まりやすくなる問題があった。しかしながら、
図2に示す本願発明のグレーチングユニット400では、立壁部120の横幅L4の分だけ、グレーチング部200が嵩上部100に載置される部分の横幅L5を狭く出来る。そのため、グレーチング部200の格子状部分と嵩上部100の載置部130とで囲まれた空間X3は、
図5に示す従来の空間X1よりも小さくなり、その結果、本願発明のグレーチングユニット400では、グレーチング部200の格子状部分と嵩上部100の載置部130とで囲まれた空間X3にゴミが溜まりにくくなるのである。また、空間X3にゴミが溜まったとしても、グレーチング部200が載置されている部分の横幅L5は狭いので、空間X3では上下に水が流れやすく、ゴミは排水空間710へ排出されるのである。
【0031】
なお、嵩上部100の形状は、
図2に示す形状に限定されず、任意の形状とすることができるが、立壁部120の横幅L4を、基底部110の横幅L3の半分以上とすることが望ましい。立壁部120の横幅L4を基底部110の横幅L3の半分以上とすることで、グレーチング部200の横幅L7をより狭くすることができ、グレーチングユニット400のグレーチング部200の材料コストと重量を下げる効果をより一層顕著に奏するのである。また、
図2に示すグレーチングユニット400では、両側の嵩上部100は互いに独立した状態であるが、これに限定されず、両側の嵩上部100を横方向に延びるパイプ材等で連結して受け枠のような態様とし、その上からグレーチング部200を載置して固定してもよい。
【0032】
(実施形態2)
以下では、本願発明の実施形態2に係るグレーチングユニット400Aについて説明する。なお、
図3(a)は、排水用ブロック700にグレーチングユニット400Aを載置した状態の平面図、(b)はC―C断面図、(c)はC-C断面図において、嵩上部100A周辺を拡大した断面図である。また、グレーチングユニット400Aの嵩上部100Aは、立壁部120Aの内壁123Aに貫通孔124Aを設けた点で、実施形態1のグレーチングユニット400の嵩上部100と異なるが、その他の構成は実施形態1の嵩上部100と同じなので、同一の箇所については詳細な説明は省略する。
【0033】
まず、
図3に示すように、グレーチングユニット400Aのグレーチング部200Aは、従来から利用されている既存のグレーチングと基本的な構造は同じであり、グレーチング部200Aは、複数のメインバー(主部材)210Aを立てた状態で平行に並べ、当該メインバー210Aの端部をエンドバー220Aで連結し、さらに、メインバー210Aの上端側を長尺状のクロスバー230Aで連結することで、格子状に組まれて形成されている。そして、グレーチング部200Aの四隅のエンドバー220Aには貫通孔221Aが形成されており、さらに、エンドバー220Aの内側の表面にはナット310Aが溶接されている。
【0034】
そして、グレーチング部200Aを嵩上部100Aに固定する際は、嵩上部100Aを載置部130Aに載置させる。次に、
図3(c)に示すように、ナット310Aの螺孔はエンドバー220Aの貫通孔221Aと一致しているので、ボルト320Aの先端321Aが、ナット310Aの螺孔と貫通孔221Aとを貫通するように、ボルト320Aをナット310Aに螺号させる。すると、ボルト320Aの先端321Aは、嵩上部100Aの内壁123Aの貫通孔124Aを貫通して、空間X2A内に突出している。このように、ナット310A及びボルト320Aによって、グレーチング部200Aは嵩上部100Aに固定されているのである。
【0035】
なお、グレーチング部200Aを嵩上部100Aに固定する手段として、ナット310Aとボルト320Aとから構成される固定部材300Aを採用しているが、これに限定されず、グレーチング部200Aを嵩上部100Aに固定できるのであれば、固定部材300Aはピンやフック等の任意の手段で構成してもよい。例えば、固定部材300Aが棒状のピンであれば、ピンの一端をグレーチング部200A側に固定し、ピンの他端を嵩上部100Aの空間X2A内に突出させて配置する。すると、ピンの他端が、嵩上部100Aの上壁121A裏面に係止するので、グレーチング部200Aが嵩上部100Aに固定されるのである。なお、グレーチングユニット400Aが固定部材300Aを備えることは必須ではなく、グレーチング部200Aを嵩上部100Aに固定できるのであれば、グレーチング部200Aと嵩上部100Aとの接触箇所を溶接固定するなど、仕様や目的に応じて任意の手段を適宜採用することが出来る。
【0036】
このように、本実施形態2に係る本願発明のグレーチングユニット400Aによれば、グレーチング部200Aの横幅を短くするために設けた立壁部120Aを有効活用して、内部に空間X2Aを設けることで、この空間X2A内に、グレーチング部200Aを嵩上部100Aに固定するための固定部材300Aを配置できるようにしたのである。また、空間X2Aは、固定部材300Aを設置する上で制約が少なく、目的や仕様に応じて、多様な固定部材300を設置することが出来る。
【0037】
特に、本願発明のグレーチングユニット400Aによれば、立壁部120Aを設けたことで、グレーチング部200Aを載置する載置部130Aの横幅は狭くなる。そのため、グレーチング部200Aの下端と載置部130Aとの間に、グレーチング部200Aを固定するための固定部材を設けるスペースを確保するのは難しい。そこで、立壁部120A内に固定部材300Aを設置する空間X2Aを設けたことで、グレーチング部200Aの側方の空間X2Aに固定手段を設置できるようにしたのである。
【0038】
また、本願発明のグレーチングユニット400Aによれば、固定部材300Aが、取り扱いやすいナット310Aとボルト320Aとから構成されているので、グレーチング部200Aを嵩上部100Aに固定する作業が容易となる。さらに、嵩上部100Aの空間X2Aは、グレーチング部200Aの側方に設けられており、この空間X2Aに配置されたナット310Aとボルト320Aからなる固定部材300Aも、側方へ向けて配置されている。そして、
図3に示すように、固定部材300の一部(例えば、ボルト320Aの先端321A)が、空間X2内に配置されているので、固定部材300Aの一部は、グレーチング部200Aを開閉する軸部として機能することも出来る。例えば、
図3に示すグレーチング部200Aを開閉する際は、グレーチング部200Aの四隅の固定部材300Aのうち、相対する一組の固定部材300Aだけ残して、他の固定部材300Aを外しておけば、残る一組の固定部材300Aのボルト320Aが軸部となって、グレーチング部200Aを容易に開閉することができる。
【0039】
(実施形態3)
以下では、本願発明の実施形態3に係るグレーチングユニット400Bについて説明する。なお、
図4(a)は、排水用ブロック700にグレーチングユニット400Bを載置した状態の平面図、(b)はD―D断面図である。また、グレーチングユニット400Bは、嵩上部100Bの載置部130Bが、実施形態1の嵩上部100の載置部130と異なるが、その他の構成は実施形態1の嵩上部100と同じなので、同一の箇所については詳細な説明は省略する。
【0040】
図4に示すように、嵩上部100Bの載置部130Bの内端部131Bは、基底部110Bの内端部111Bよりも排水空間710側へ延出している。そのため、載置部130Bの横幅L5’は延長され、この横幅L5’は、
図1に示す実施形態1に係る嵩上部100の載置部130の横幅L6よりも長くなっている。また、排水空間710を狭くしないように、載置部130Bの内壁133Bは傾斜している。
【0041】
そして、グレーチング部200の各メインバー210の両側の側端211の側端面212は、嵩上部100Bの立壁部120Bの内壁123Bに当接され、互いの接触箇所が溶接されている。また、各メインバー210の両側の側端211の下端213は、嵩上部100Bの載置部130Bに載置され、互いの接触箇所が溶接されている。
【0042】
このように、本願発明の実施形態3に係るグレーチングユニット400Bによれば、嵩上部100Bの載置部130Bの内端部131Bは、基底部110Bの内端部111Bよりも排水空間710側へ延出しているため、延出した分だけ、載置部130Bの横幅L5’は長くなっている。これにより、グレーチング部200の上を通過する車両等の負荷を、長くなった載置部130Bによって、十分に支持することが出来るのである。
【0043】
特に、載置部130Bの横幅L5’が長くなることで、グレーチング部200を下方から十分に支持できることから、立壁部120Bの横幅L4’を長くする余裕も生まれる。そのため、嵩上部100Bの載置部130Bの内端部131Bを基底部110Bの内端部111Bよりも排水空間710側へ延出させることで、立壁部120Bの横幅L4’を長くすることができ、その結果、グレーチング部200の横幅L7’をより短くすることが出来る。これにより、グレーチングユニット400Bのグレーチング部200の材料コストがより下がり、重量もより軽くすることが出来るのである。
【0044】
また、嵩上部100Bの載置部130Bの内端部131Bを基底部110Bの内端部111Bよりも排水空間710側へ延出させることで、メインバー210の両端を両側から固定している載置部130B同士の間隔が狭くなる。その結果、グレーチング部200の上を通過する車両等によって負荷がかかる際に、メインバー210の中央付近に集中する応力が小さくなるので、メインバー210の高さH1を低くすることが出来る。その結果、メインバー210の高さH1が低くなった分、グレーチングユニット400Bのグレーチング部200の材料コストがより下がり、重量もより軽くすることが出来るのである。
【0045】
なお、本願発明のグレーチングユニットは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。