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  • 特許-抵抗線異常検知装置 図1
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  • 特許-抵抗線異常検知装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】抵抗線異常検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/54 20200101AFI20240111BHJP
【FI】
G01R31/54
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020029977
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021135112
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 広
(72)【発明者】
【氏名】福本 眞介
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-121099(JP,A)
【文献】特開2017-44662(JP,A)
【文献】特開2009-294101(JP,A)
【文献】特開2009-250761(JP,A)
【文献】特開平8-75690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/50-31/74
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の曲がり部を含む抵抗線の異常を検知する抵抗線異常検知装置であって、
前記抵抗線にパルス信号を入力するパルスジェネレータと、
前記抵抗線と前記パルスジェネレータとの間を接続する接続線の間に設けられて前記パルスジェネレータから前記抵抗線に入力された前記パルス信号の前記抵抗線の前記複数の曲がり部からの複数の個別反射波が重ね合わされた複合反射波を取り出す方向性結合器と、
前記方向性結合器に接続され、前記方向性結合器から入力される前記複合反射波の高周波ノイズを除去して検知用反射波とするローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタに接続されて前記ローパスフィルタから入力される前記検知用反射波を処理して前記抵抗線の異常を検知する検知ユニットと、を備え、
前記検知ユニットは、前記抵抗線と同一の形状で異常のない基準抵抗線に前記パルス信号を入力した際に前記方向性結合器から入力される基準反射波の波形情報を格納した記憶部と、
前記抵抗線に前記パルス信号を入力した際に前記方向性結合器から入力される前記検知用反射波の波形情報と前記記憶部に格納された前記基準反射波の波形情報とを比較することにより、前記抵抗線の異常を検知する演算部と、を備え、
前記演算部は、
前記検知用反射波の大きさと前記基準反射波の大きさとの差が所定の第1範囲を超えている場合に、前記抵抗線の異常を検知し、
前記検知用反射波の大きさと前記基準反射波の大きさとの差が前記第1範囲よりも大きい第2範囲を超えている場合に、前記抵抗線の完全断線を検知し、
前記検知用反射波の大きさと前記基準反射波の大きさとの差が、前記第1範囲を超えて前記第2範囲よりも小さい場合に、前記抵抗線の部分断線を検知すること、
を特徴とする抵抗線異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗線の異常を検知する抵抗線異常検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ内の配線部と基板との間にハンダバンプや金バンプ等の導電性ボンディング材を置き、ヒータにより導電性ボンディング材を加熱溶融して半導体チップと基板とをボンディングするフリップチップボンディング方法が用いられている。この方法には、金バンプが存在するボンディング部分全体を加熱により急速に昇温して導電性ボンディング材を熱溶融させ、そしてボンディング部分を冷却により急速に降温して導電性ボンディング材を固化させることが可能なパルスヒータが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、パルスヒータは急速昇温、急速降温を繰り返すことにより劣化し、抵抗線が断線する場合がある。そこで、パルスヒータの抵抗線の抵抗値を検出し、抵抗値の上昇により断線を検知する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-275833号公報
【文献】特許第3277862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パルスヒータの抵抗線は、通電により発熱すると抵抗値が上昇することから、特許文献2に記載されているような方法では、部分的に断線している異常状態の場合には、通電の際の発熱による抵抗値の上昇にパルスヒータの異常による抵抗値の上昇が紛れてしまい、パルスヒータの異常を早期に検出することができない場合があった。また、急激な温度上昇と冷却を繰り返すパルスヒータでは、断線した場合に急激な温度上昇が発生する虞があるため、早期に異常を検出する要求がある。
【0006】
そこで、本発明は、抵抗線の異常を早期に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の抵抗線異常検知装置は、複数の曲がり部を含む抵抗線の異常を検知する抵抗線異常検知装置であって、前記抵抗線にパルス信号を入力するパルスジェネレータと、前記抵抗線と前記パルスジェネレータとの間を接続する接続線の間に設けられて前記パルスジェネレータから前記抵抗線に入力された前記パルス信号の前記抵抗線の前記複数の曲がり部からの複数の個別反射波が重ね合わされた複合反射波を取り出す方向性結合器と、前記方向性結合器に接続され、前記方向性結合器から入力される前記複合反射波の高周波ノイズを除去して検知用反射波とするローパスフィルタと、前記ローパスフィルタに接続されて前記ローパスフィルタから入力される前記検知用反射波を処理して前記抵抗線の異常を検知する検知ユニットと、を備え、前記検知ユニットは、前記抵抗線と同一の形状で異常のない基準抵抗線に前記パルス信号を入力した際に前記方向性結合器から入力される基準反射波の波形情報を格納した記憶部と、前記抵抗線に前記パルス信号を入力した際に前記方向性結合器から入力される前記検知用反射波の波形情報と前記記憶部に格納された前記基準反射波の波形情報とを比較することにより、前記抵抗線の異常を検知する演算部とを備え、前記演算部は、前記検知用反射波の大きさと前記基準反射波の大きさとの差が所定の第1範囲を超えている場合に、前記抵抗線の異常を検知し、前記検知用反射波の大きさと前記基準反射波の大きさとの差が前記第1範囲よりも大きい第2範囲を超えている場合に、前記抵抗線の完全断線を検知し、前記検知用反射波の大きさと前記基準反射波の大きさとの差が、前記第1範囲を超えて前記第2範囲よりも小さい場合に、前記抵抗線の部分断線を検知すること、を特徴とする。
【0008】
このように、複数の曲がり部を含む抵抗線にパルス信号を入力し、複数の曲がり部で反射した複数の個別反射波が重ね合わされた複合反射波をローパスフィルタに通した検知用反射波の波形情報と基準反射波の波形情報とを比較することにより抵抗線の異常の検知を行うので、抵抗線の温度上昇による抵抗値の変化の影響を受けずに異常検知を行うことができる。これにより、通電の際の発熱による抵抗値の上昇に抵抗線の異常による抵抗値の上昇が紛れてしまう部分断線のような異常を早期に検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、電気回路の異常を早期に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の電気回路異常検知装置の構成を示す系統図である。
図2】実施形態の電気回路異常検知装置が異常検知を行うパルスヒータの電気回路を示す平面図である。
図3】パルスヒータにパルス信号を入力した際に実施形態の電気回路異常検知装置の検知ユニットに入力されるパルスヒータからの反射波の時間変化を示すグラフである。
図4】実施形態の電気回路異常検知装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら実施形態の電気回路異常検知装置10について説明する。電気回路異常検知装置10は、図2に示すパルスヒータ30の抵抗線33の異常を検知する抵抗線異常検知装置であるが、これ以外の抵抗線の異常を検知することに適用することも可能である。
【0016】
図1に示すように、電気回路異常検知装置10は、パルスジェネレータ11と、方向性結合器12と、ローパスフィルタ13と、検知ユニット14とで構成される。
【0017】
パルスジェネレータ11は矩形又は三角形のパルス信号を電気回路であるパルスヒータ30の抵抗線33(図2参照)に出力する。方向性結合器12は、パルスヒータ30とパルスジェネレータ11との間を接続する接続線15の間に設けられてパルスジェネレータ11からパルスヒータ30に入力されたパルス信号のパルスヒータ30からの複合反射波を取り出す機器である。ローパスフィルタ13は、方向性結合器12から入力された複合反射波の高周波ノイズを除去して反射波として検知ユニット14に出力する。検知ユニット14は、ローパスフィルタ13から入力された反射波を処理してパルスヒータ30の抵抗線33の異常を検知する。
【0018】
検知ユニット14は、内部に情報処理を行うプロセッサであるCPU23を含む演算部21と、演算部21に接続されて動作プログラム24と基準反射波の波形情報を含む基準反射波データベース25とが格納されている記憶部22と、で構成されている。検知ユニット14は、例えば、汎用コンピュータで構成されてもよい。
【0019】
異常検知の対象となるパルスヒータ30の抵抗線33は、図2に示すように、入力端子31と出力端子32と間に多段折り返し配置されており、多数の曲がり部34を含んでいる。パルスジェネレータ11から出力されて抵抗線33の中に進入したパルス信号は、多数の曲がり部34でそれぞれ反射されて個別反射波となって抵抗線33からパルスジェネレータ11に向かって反射してくる。
【0020】
抵抗線33は、長さが長く、曲がり部34が多数存在しているので、抵抗線33からは、多数の個別反射波がパルスジェネレータ11に向かって反射してくる。これらの多数の個別反射波は、抵抗線33の中を進む間に重ね合わされた複合反射波となる。複合反射波は、大きな高周波ノイズを含んでいる。
【0021】
パルスヒータ30から方向性結合器12に進入した複合反射波は、方向性結合器12で取り出されてローパスフィルタ13に入力される。ローパスフィルタ13で高周波ノイズを除去された信号は、図3に示すような反射波として検知ユニット14に入力される。
【0022】
図3に示すように、反射波の波形は、異常の程度によって様々に変化する。図3に示す実線aは抵抗線33に異常のない場合を示し、一点鎖線bと二点鎖線cとは部分断線の異常の場合を示し、破線dは完全断線の異常の場合を示す。ここで、部分断線とは、抵抗線33の一部の断面積が正常状態よりも少なくなった場合であり、例えば、一点鎖線bは、抵抗線33を破断させない程度の微小なクラックが発生した状態の反射波の波形を示す。二点鎖線cは、一点鎖線bの場合よりも抵抗線33のクラックが大きく断面積の欠損が大きい状態の場合の反射波の波形を示す。
【0023】
図3の実線aに示すように、抵抗線33に破断などの異常が無い正常な状態では、反射波の出力電圧値は、時刻t0に所定の閾値Vsとなるまで上昇し、時刻t0から急速に出力電圧値が大きくなり、時間がたつと略一定の出力電圧値となる。一点鎖線bで示す微小クラックが入った抵抗線33の場合には、時刻t0の後、時刻t1までは、破断が無い実線aと同様に出力が増加し、時刻t1の後、実線aから少し遅れて階段状に出力電圧値が増加し、時間がたつと、実線aで示す異常がない場合よりも少し小さい略一定の出力電圧値となる。このため、実線aで示す異常のない正常な抵抗線33からの反射波の出力電圧値と、一点鎖線bで示す微小クラックによる部分断線の異常の場合の抵抗線33からの反射波の出力電圧値との差は、図3に示す時刻t1の後に大きくなり、その後、差は小さくなる。
【0024】
部分断線の異常の場合でも断線面積が大きくなると、二点鎖線cで示す様に、反射波の波形は、破線dで示す完全断線の異常の場合の反射波の波形に近づいてくる。この場合、出力電圧値は、時刻t0の後一端大きくなるが、時刻t1に減少に転じ、時間がたつと、異常がない正常状態の波形に比べてかなり小さい略一定の出力電圧値となる。また、完全に破断した場合も同様に、時刻t0の後一端大きくなり、時刻t1の後に減少に転じ、時間がたつと、異常がない正常状態の波形に比べてかなり小さい略一定の出力電圧値となる。この際の略一定の出力電圧値は、二点鎖線cの部分断線の場合よりも少し小さくなる。このため、実線aで示す異常のない正常な抵抗線33からの反射波の出力電圧値と、二点鎖線cで示す部分断線や破線dで示す完全断線のような異常のある場合の抵抗線33からの反射波の出力電圧値との差は、図3に示す時刻t1の後に次第に大きくなっていく。
【0025】
ここで、記憶部22に格納されている基準反射波データベース25について説明する。記憶部22に格納されている基準反射波データベース25は、異常検知の対象となるパルスヒータ30の抵抗線33と同一の配線パターンを有する異常のない基準パルスヒータを基準電気回路とし、この基準パルスヒータにパルスジェネレータ11からパルス信号を入力した際にローパスフィルタ13から入力される反射波の出力電圧値の時間変化を基準反射波の参照電圧値の時間変化として格納したものである。つまり、図3に実線aで示す反射波の波形の時間変化を波形情報として格納したものである。基準反射波データベース25は、例えば、基準反射波の参照電圧値が所定の閾値Vsよりも大きくなった時から、時間に対する基準反射波の参照電圧値の時間変化を格納したデータベースとしてもよい。なお、パルスヒータ30の抵抗線33の配線パターンが異なると反射波の波形が異なってくるので、基準反射波データベース25には、パルスヒータ30の抵抗線33の配線パターンの種類ごとに複数の基準反射波の波形情報が格納されている。
【0026】
以下、図4を参照しながら電気回路異常検知装置10の動作について説明する。図4のステップS101に示すように、パルスジェネレータ11からパルス信号を発信させる。すると、検知ユニット14には、図3の時刻0から時刻t0に示すようにローパスフィルタ13からの反射波の信号が入力される。
【0027】
図4のステップS102に示すように、検知ユニット14の演算部21は、入力された反射波の出力電圧値が所定の閾値Vsを超えるまで待機する。出力電圧値は、図3に示す時刻t0に閾値Vsに達するので、演算部21は、図3に示す時刻t0にステップS102でYESと判断し、図4のステップS103に進み、図3に示す検知期間を規定するタイマをスタートさせる。そして、演算部21は、図4のステップS104に進み、時刻t0における反射波の出力電圧値と基準反射波データベース25に格納されている基準反射波の参照電圧値との差ΔVを算出し、その差ΔVの絶対値が所定値ΔVsを超えているかどうか判断する。ここで、時刻t0における反射波の出力電圧値は時刻t0における反射波の波形情報であり、時刻t0における基準波の参照電圧値は時刻t0における基準波の波形情報である。
【0028】
図3に示す時刻t0では、一点鎖線b,二点鎖線c、破線dで示される3つの反射波の波形の出力電圧値は、基準反射波の波形と同様の実線aで示される波形の出力電圧値とほぼ同一であるから、演算部21は、図4のステップS104でNOと判断して図4のステップS106に進み、図3に示す検知インターバルΔtが経過するまで待機する。そして、時刻t0から検知インターバルΔt後の時刻t1となったら、図4のステップS107でタイマが終了していないか判断し、図4のステップS107でNOと判断した場合には、図4のステップS104に戻って、時刻t1における反射波の出力電圧値と基準反射波データベース25に格納されている基準反射波の参照電圧値との差ΔVを算出し、その差Δの絶対値が所定値ΔVsを超えているかどうか判断する。
【0029】
時刻t1では、一点鎖線b,二点鎖線c、破線dで示される3つの反射波の波形の出力電圧値は、基準反射波の波形と同様の実線aで示される波形の出力電圧値とわずかに差が出ているものの、所定値ΔVsまでは達してしないため、演算部21は、再度、図4のステップS104でNOと判断して図4のステップS106に進み、次の検知インターバルΔtが経過するまで待機して、ステップS107でタイマが終了していない場合には、図4のステップS104に戻る。
【0030】
図3に示す様に、時刻t2では、一点鎖線b,二点鎖線c、破線dで示される3つの反射波の波形の出力電圧値は、基準反射波の波形と同様の実線aで示される波形の出力電圧値との間に所定値ΔVs以上の差異があるから、演算部21は、図4のステップS104でYESと判断して図4のステップS105に進み、異常検知を出力する。
【0031】
また、演算部21は、図3に示す時刻t2でNOと判断した場合には、図4のステップS106、S107を実行し、図4のステップS107でYESと判断した場合には、検知期間の間、反射波の出力電圧値と基準反射波の参照電圧値と間に差異はなく、反射波の波形は基準反射波の波形と差異がなく、異常検知対象のパルスヒータ30の抵抗線33には異常がないと判断し、ステップS108において異常なし信号を出力する。
【0032】
以上説明したように、実施形態の電気回路異常検知装置10は、パルスヒータ30にパルス信号入力し、パルスヒータ30の抵抗線33で反射した反射波の波形情報と基準反射波の波形情報とを比較することによりパルスヒータ30の抵抗線33の異常検知を行うので、抵抗線33の温度上昇による抵抗値の変化の影響を受けずに抵抗線33の異常検知を行うことができる。これにより、通電の際の発熱による抵抗値の上昇にパルスヒータ30の異常による抵抗値の上昇が紛れてしまう部分断線のような異常を早期に検出することができる。
【0033】
また、実施形態の電気回路異常検知装置10は、抵抗線33がパルスジェネレータ11から入力されたパルス信号を反射する反射源である曲がり部34を多数含んでいる場合でも、検知ユニット14の演算部21は、多数の反射源で反射された多数の個別反射波が重ね合わされた複合反射波をローパスフィルタ13に通した後の反射波と基準反射波の大きさとの差が所定の範囲を超えている場合に異常を検知するので、抵抗線33に反射源となる曲がり部34が多く含まれていた場合でも誤検出を抑制し、抵抗線33の異常を確実に検出することができる。
【0034】
以上の説明では、所定値ΔVsは一つであることとして説明したがこれに限らず、複数設定してもよい。例えば、図3の時刻t2における一点鎖線bと実線aとの間の出力電圧差ΔVs2を所定値とし、図3の時刻t2における二点鎖線cと実線aとの間の出力電圧差をΔVs3を第2の所定値とし、反射波の出力電圧値と基準反射波データベース25に格納されている基準反射波の参照電圧値との差ΔVがΔVs2を超えている場合に異常を検知し、更に、ΔVがΔVs3よりも小さい場合には、完全断線ではなく部分断線が発生していると判断するようにしてもよい。また、ΔVがΔVs3を超えている場合に、完全断線と判断してもよい。
【0035】
以上説明した電気回路異常検知装置10は、方向性結合器12と検知ユニット14との間にローパスフィルタ13を接続してパルスヒータ30の抵抗線33からの複合反射波に含まれる高周波ノイズを除去した反射波を検知ユニット14に入力し、検知ユニット14は入力された反射波に基づいて抵抗線33の異常を検知することとして説明したが、ローパスフィルタ13を設けず、複合反射波をそのまま検知ユニット14に入力して抵抗線33の異常を検知するようにしてもよい。
【0036】
この場合、検知ユニット14の演算部21は、入力された複合反射波を演算処理して高周波ノイズを除去して反射波を生成し、生成した反射波に基づいて抵抗線33の異常を検知するようにしてもよい。また、予め高周波ノイズの波形、パターンを検出して基準反射波データベース中に格納しておき、このデータを用いて高周波ノイズを除去した反射波を生成し、生成した反射波を用いて抵抗線33の異常を検知してもよい。或いは、検知ユニット14の演算部21の演算速度を高周波ノイズの周波数を大きく超える周波数とした高速演算処理によって抵抗線33の異常を検知してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 電気回路異常検知装置、11 パルスジェネレータ、12 方向性結合器、13 ローパスフィルタ、14 検知ユニット、15 接続線、21 演算部、22 記憶部、23 CPU、24 動作プログラム、25 基準反射波データベース、30 パルスヒータ、31 入力端子、32 出力端子、33 抵抗線、34 曲り部。
図1
図2
図3
図4