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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】トルク変換装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 35/00 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
F16H35/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020551109
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2019039286
(87)【国際公開番号】W WO2020071533
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-11-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2018189736
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518355043
【氏名又は名称】高田 知明
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】弁理士法人アイリンク国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 知明
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】内田 博之
【審判官】小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-30982(JP,U)
【文献】特公昭44-19486(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 35/00 F03G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転体と、
前記第1回転体の回転軸に対し回転軸が平行に位置される第2回転体と、
前記第1回転体及び前記第2回転体の何れかの外周面に接触させた回転軸である入力部と、
一方の第1取付部が前記第1回転体に取り付けられかつ他方の第2取付部が前記第2回転体に取り付けられて前記第1回転体と前記第2回転体にかけ渡されたリンク部と、
前記リンク部から前記第1取付部に対し左右何れかに延びるアーム部と、
前記アーム部に取り付けられて前記第1取付部に対し左右何れかに位置される錘部と、を有し、
前記リンク部は、前記第1取付部と前記第2取付部との距離が前記第1回転体の回転軸と前記第2回転体の回転軸との距離と同じでかつ前記第1回転体の回転軸と前記第1取付部との距離と前記第2回転体の回転軸と前記第2取付部との距離が同じであり、
前記第1取付部は、前記第1回転体及び前記リンク部の少なくとも何れかに回転自在に取り付けられ、前記第2取付部は、前記第2回転体及び前記リンク部の少なくとも何れかに回転自在に取り付けられ、
前記入力部から回転させる力が入力されて前記第1回転体及び前記第2回転体の何れか一方が回転すると、前記第1回転体及び前記第2回転体の何れか他方が回転し、前記第1回転体の回転軸及び前記第2回転体の回転軸も回転し、かつ前記リンク部及び錘も予め決められている軌道を移動し、前記第1回転体の回転軸及び前記第2回転体の回転軸の少なくとも何れかからトルクが取り出されるトルク変換装置。
【請求項2】
前記第1回転体の回転軸に対し前記第2回転体の回転軸が斜め下に位置され、前記錘部は、前記第1取付部に対して位置する側が、左右方向で、前記第1回転体の回転軸に対して左右方向で前記第2回転体の回転軸が位置される側と同じ側に位置される請求項1に記載のトルク変換装置。
【請求項3】
前記アーム部を介して前記錘部が取り付けられた前記リンク部を複数有し、各リンク部それぞれの前記第1取付部は前記第1回転体に当該第1回転体の周方向で等間隔に取り付けられ、各リンク部それぞれの前記第2取付部は前記第2回転体に当該第2回転体の周方向で等間隔に取り付けられる請求項1又は2に記載のトルク変換装置。
【請求項4】
前記第1及び第2回転体は、円盤形状をなし、中央に前記回転軸が形成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のトルク変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクを変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力トルクに比べて出力トルクを大きくする機構は数多く存在している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-180285号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、入力トルクに比べて出力トルクをより大きくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、第1回転体と、前記第1回転体の回転軸に対し回転軸が平行に位置される第2回転体と、前記第1回転体及び前記第2回転体の何れかの外周面に接触させた回転軸である入力部と、一方の第1取付部が前記第1回転体に取り付けられかつ他方の第2取付部が前記第2回転体に取り付けられて前記第1回転体と前記第2回転体にかけ渡されたリンク部と、前記リンク部から前記第1取付部に対し左右何れかに延びるアーム部と、前記アーム部に取り付けられて前記第1取付部に対し左右何れかに位置される錘部と、を有し、前記リンク部は、前記第1取付部と前記第2取付部との距離が前記第1回転体の回転軸と前記第2回転体の回転軸との距離と同じでかつ前記第1回転体の回転軸と前記第1取付部との距離と前記第2回転体の回転軸と前記第2取付部との距離が同じであり、前記第1取付部は、前記第1回転体及び前記リンク部の少なくとも何れかに回転自在に取り付けられ、前記第2取付部は、前記第2回転体及び前記リンク部の少なくとも何れかに回転自在に取り付けられ、前記入力部から回転させる力が入力されて前記第1回転体及び前記第2回転体の何れか一方が回転すると、前記第1回転体及び前記第2回転体の何れか他方が回転し、前記第1回転体の回転軸及び前記第2回転体の回転軸も回転し、かつ前記リンク部及び錘も予め決められている軌道を移動し、前記第1回転体の回転軸及び前記第2回転体の回転軸の少なくとも何れかからトルクが取り出されるトルク変換装置である。
【0006】
本発明の第2の態様では、前記第1回転体の回転軸に対し前記第2回転体の回転軸が斜め下に位置され、前記錘部は、前記第1取付部に対して位置する側が、左右方向で、前記第1回転体の回転軸に対して左右方向で前記第2回転体の回転軸が位置される側と同じ側に位置されることが好ましい。
【0007】
本発明の第3の態様では、前記アーム部を介して前記錘部が取り付けられた前記リンク部を複数有し、各リンク部それぞれの前記第1取付部は前記第1回転体に当該第1回転体の周方向で等間隔に取り付けられ、各リンク部それぞれの前記第2取付部は前記第2回転体に当該第2回転体の周方向で等間隔に取り付けられることが好ましい。
【0008】
本発明の第4の態様では、前記第1及び第2回転体は、円盤形状をなし、中央に前記回転軸が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の前記第1の態様によれば、トルク変換装置は、前記第1回転体及び前記第2回転体を回転させる力が前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方から入力されると、前記第1回転体の回転軸及び第2回転体の回転軸の少なくとも一方からトルクを取り出せる。このとき、トルク変換装置は、第1及び第2回転体並びに錘部が発生する回転モーメントや遠心力の作用によって、大きいトルクを取り出すことができる。
【0010】
本発明の前記第2の態様によれば、トルク変換装置は、さらに大きいトルクを取り出すことができる。
【0011】
本発明の前記第3の態様によれば、トルク変換装置は、さらに大きいトルクを取り出すことができる。
【0012】
本発明の前記第4の態様によれば、第1及び第2回転体は、簡易に構成され、トルク変換装置が簡易な構成になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態のトルク変換装置の構成例を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態のトルク変換装置の構成例を示す正面図である。
図3図3は、本実施形態のトルク変換装置の構成例を示す側面図である。
図4図4は、トルク変換装置の一部をなす第1及び第2回転体、並びに第1乃至第3アームリンク部の回転時の構成例を示す図である。
図5図5は、トルク変換装置の一部をなす第1及び第2回転体、並びに第1乃至第3アームリンク部の回転時の構成例を示す他の図である。
図6図6は、トルク変換装置の一部をなす第1及び第2回転体、並びに第1乃至第3アームリンク部の回転時の構成例を示すさらに他の図である。
図7図7は、本実施形態のトルク変換装置の原理を説明するための図である。
図8図8は、本実施形態のトルク変換装置の原理を説明するための他の図である。
図9図9は、本実施形態のトルク変換装置における錘の移動を説明する図である。
図10図10は、本実施形態のトルク変換装置におけるトルクの関係式の導出過程を説明する図である。
図11図11は、第2トルクTgの導出で使用する値を示す図である。
図12図12は、本実施形態のトルク変換装置での回転体の回転数(RPM)とトルク(Nm)との関係の一例を示す図である。
図13図13は、錘の質量を様々な値にして、回転体の回転数を変化させたときの出力の結果を示す図である。
図14図14は、図13の結果をグラフに示す図である。
図15図15は、瞬間中心を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、トルク変換装置を挙げている。
【0015】
(構成)
図1乃至図3は、本実施形態のトルク変換装置1の構成例を示す図である。図1は斜視図であり、図2は正面図であり、図3は側面図である。
【0016】
図1乃至図3に示すように、トルク変換装置1は、支持部10、第1及び第2回転体20,30、並びに第1乃至第3アームリンク部40,50,60を有している。
【0017】
支持部10は、第1及び第2回転体20,30を回転可能に支持している。支持部10は、脚部11、及び第1及び第2回転支持部12,13を有している。脚部11は、第1及び第2回転体20,30を囲みつつ当該第1及び第2回転体20,30を支持するように、複数の棒状の躯体を組み合わせて構成されている。支持部10の上端側の躯体に、第1及び第2回転支持部12,13が設けられている。
【0018】
第1回転支持部12は、第1回転体20の第1回転軸21を回転可能に支持している。また、第2回転支持部13は、第2回転体30の第2回転軸31を回転可能に支持している。第1及び第2回転支持部12,13は、例えば、ベアリングによって第1及び第2回転体20,30を回転可能に支持している。
【0019】
第1及び第2回転体20,30は、互いに同じ形状とされており、略板状の略円盤形状をなしている。第1回転体20と第2回転体30とは、互いに対向し平行に配置されている。第1及び第2回転体20,30には、互いに対向する面とは反対側の面(以下、表面という。)でかつその円盤の中心に第1及び第2回転軸21,31がそれぞれ設けられている。この回転軸21,31を基準にして見ると、第1回転軸21に対し第2回転軸31が斜め下(図2では、右斜め下)に位置されるように、第2回転体30は配置されている。第1回転体20の表面側に対向する躯体に取り付けられている第1回転支持部12に第1回転軸21が回転自在に支持され、第1回転体20は回転可能とされている。また、第2回転体30の表面側に対向する躯体に取り付けられている第2回転支持部13に第2回転軸31が回転自在に支持され、第2回転体30は回転可能とされている。また、本例では、第1及び第2回転体20,30は、重心が回転中心からずれないように適宜肉抜きされて複数の孔が形成されている。
【0020】
3つの第1乃至第3アームリンク部40,50,60は、第1回転体20と第2回転体30とで挟まれるようにして当該第1及び第2回転体20,30に取り付けられている。第1乃至第3アームリンク部40,50,60は、略板形状をなし、リンク部41,51,61及びアーム部42,52,62が一体に形成されている。リンク部41,51,61では、第1回転体20と第2回転体30との間に略三角形状の本体部41a,51a,61aが位置している。リンク部41,51,61は、本体部41a,51a,61aの裏面側に第1取付部41b,51b,61bが直立して設けられ、本体部41a,51a,61aの表面側に第2取付部41c,51c,61cが直立して設けられている。ここで、第1及び第2取付部41b,51b,61b,41c,51c,61cは、本体部41a,51a,61aに回転可能に取り付けられている。例えば、第1及び第2取付部41b,51b,61b,41c,51c,61cは、ベアリングによって本体部41a,51a,61aに回転可能に取り付けられている。そして、第1取付部41b,51b,61bの先端が第1回転体20の裏面で固定されている。また、第2取付部41c,51c,61cの先端が第2回転体30の裏面で固定されている。リンク部41,51,61は、このような構造によって、第1回転体20と第2回転体30にかけ渡されて取り付けられている。
【0021】
ここで、第1及び第2取付部41b,51b,61b,41c,51c,61cが本体部41a,51a,61aに回転可能に取り付けられることによって、アームリンク部40,50,60が第1及び第2回転体20,30に対して相対的な姿勢変化が可能になる。
【0022】
また、第1乃至第3アームリンク部40,50,60の各第1取付部41b,51b,61bは、第1回転体20に当該第1回転体20の周方向で等間隔に取り付けられている。また、第1乃至第3アームリンク部40,50,60の各第2取付部41c,51c,61cも、第2回転体30に当該第2回転体30の周方向で等間隔に取り付けられている。これによって、第1乃至第3アームリンク部40,50,60はそれぞれ、第1及び第2回転体20,30それぞれにおいて周方向で等間隔に配置されている。
【0023】
ここで、トルク変換装置1を正面から見た(図2を正面から見たと)投影面上、又はトルク変換装置1を第1回転軸21や第2回転軸31の軸方向に視点をおき見た投影面上で、第1取付部41b,51b,61bと第2取付部41c,51c,61cとの距離が第1回転軸21と第2回転軸31との距離と同じで、かつ第1回転軸21と第1取付部41b,51b,61bとの距離と第2回転軸31と第2取付部41c,51c,61cとの距離が同じである。第1取付部41b,51b,61bと第2取付部41c,51c,61cとがこのような位置関係になっていることで、第1及び第2回転体20,30の何れか一方が回転すると、第1及び第2回転体20,30の何れか他方も回転する。
【0024】
第1乃至第3アームリンク部40,50,60の各アーム部42,52,62は、リンク部41,51,61と一体に形成されており、先端部42a,52a,62aが斜め下方向に屈曲した形状をなしている。各アーム部42,52,62は、第1回転軸21に対して(その軸方向から見て)左右方向で第2回転軸31が位置される側と同じ側(図2では右側)の斜め上方向に延びる形状をなしている。各アーム部42,52,62には、先端部42a,52a,62aに錘43,53,63が設けられている。これにより、錘43,53,63は、第1回転体20の回転軸に対して左右方向で第2回転体30の回転軸が位置される側(図2では右側)と同じ側に位置されている。
【0025】
(動作、作用等)
次に、トルク変換装置1の動作、及びその作用等の一例について説明する。図4乃至図6は、トルク変換装置1の一部をなす第1及び第2回転体20,30、並びに第1乃至第3アームリンク部40,50,60の構成例を示しており、動作、及びその作用等を説明する図である。
【0026】
トルク変換装置1では、当該トルク変換装置1への入力部となる回転モータの回転軸100を第2回転体30の外周面に接触させて第2回転体30を回転させ、第2回転体30とともに回転する第2回転軸31からトルクを取り出している。例えば、回転モータの回転軸100にギア等の回転部を取り付けて、その回転部を第2回転体30の外周面30aに接触させて、回転モータの回転軸100を回転させて第2回転体30を回転させる。
【0027】
第2回転体30が回転すると、その回転力がアームリンク部40,50,60を介して第1回転体20に伝わるため、第2回転体30の回転に連動して第1回転体20も回転する。このとき、例えば、第1及び第2取付部41b,51b,61b,41c,51c,61cが本体部41a,51a,61aに回転可能に取り付けられている等の構造によって、アームリンク部40,50,60は、姿勢を維持しつつも、つまり、各アーム部42,52,62が斜め上方向に向く姿勢を維持しつつも、第1及び第2回転体20,30に対して相対位置を変化させて特定の円形軌道上を移動する。錘43,53,63の移動に着目すると、図4から図6への変化(第1及び第2回転体20,30が120°ずつ回転する変化)として示すように、第1及び第2回転体20,30が回転すると、錘43,53,63は、同図に二点鎖線で示す円形の予め決められている軌道に沿って移動する。同様に、第1乃至第3アームリンク部40,50,60も、錘43,53,63の移動軌道とは異なるが、円形の予め決められている軌道に沿って移動する。
【0028】
このとき、円軌道上を移動する第1及び第2回転体20,30(第1及び第2回転体20,30における回転軸21,31以外の部位)、並びに第1乃至第3アームリンク部40,50,60で発生する遠心力及び慣性モーメントが、回転モータからの入力をアシストするため、回転モータからの入力から直接得られるトルクよりも大きいトルクを第2回転軸31から得られるようになる。
【0029】
(本実施形態における効果)
(1)トルク変換装置1は、第2回転体30を回転させる力が当該第2回転体30から入力されると、第2回転体30の第2回転軸31からトルクを取り出せる。このとき、トルク変換装置1は、第1及び第2回転体20,30(第1及び第2回転体20,30における回転軸21,31以外の部位)、並びに錘43,53,63を含むアームリンク部40,50,60が発生する回転モーメントや遠心力の作用によって、大きいトルクを取り出すことができる
【0030】
(2)トルク変換装置1は、第1回転軸21に対し第2回転軸31が斜め下に位置され、錘43,53,63が第1回転軸21に対して左右方向で第2回転軸31が位置される側と同じ側に位置されることによって、さらに大きいトルクを取り出すことができる。
【0031】
(3)トルク変換装置1は、複数のアームリンク部40,50,60を有することによって、さらに大きいトルクを取り出すことができる。
【0032】
(4)第1及び第2回転体20,30を円盤形状の簡易に構成されるため、トルク変換装置1が簡易な構成になる。
【0033】
(原理の考察)
以下に、本実施形態のトルク変換装置1から得られるトルクを考察する。図7は、本実施形態のトルク変換装置1の原理を説明するための図である。
【0034】
図7に示すように、円盤(回転体)200の外周に錘210を取り付け、円盤200の外周が描く外周軌道の最も高い位置付近から錘210を自由に移動できるようにすると、錘210は、円盤200の外周軌道に沿って下方向に移動する。そして、円盤200の外周軌道上で真下に錘210が位置したときのエネルギーは、位置エネルギーmghになる。そして、この位置エネルギーによって、今度は、錘210は、円盤200の外周軌道に沿って上方向に移動する。しかし、円盤200の回転軸の摩擦等によるエネルギー損失により、円盤200の外周軌道の頂点付近に戻ることはない。
【0084】
(本実施形態の変形例等)
本実施形態の変形例として、第1及び第2回転体20,30は、前述の大きさ、形状と異なる大きさ、形状に形成されることもできる。これにより、第1及び第2回転体20,30の重さも様々になる。例えば、第1及び第2回転体20,30は、重心が回転中心からずれないように、前述の肉抜きの孔の形状や孔の数と異なる形状、数に形成されることもできる。また、例えば、第1及び第2回転体20,30は、円盤板形状に限らず他の形状に形成されることもできる。例えば、第1及び第2回転体20,30は、球体等の立体形状とされることもできる。
【0085】
また、本実施形態の変形例として、第1回転体20の第1回転軸21と第2回転体30の第2回転軸31との距離、特に、トルク変換装置1を正面から見た(図2を正面から見たと)投影面上での距離、又はトルク変換装置1を第1回転軸21や第2回転軸31の軸方向に視点をおき見た投影面上での距離は、前述の距離と異なる距離とされることもできる。
【0086】
また、本実施形態の変形例として、第1回転体20の第1回転軸21と第2回転体30の第2回転軸31との位置関係、特に、トルク変換装置1を正面から見た(図2を正面から見たと)投影面上での位置関係、又はトルク変換装置1を第1回転軸21や第2回転軸31の軸方向に視点をおき見た投影面上での位置関係は、前述の位置関係と異なる位置関係とされることもできる。すなわち、第1回転軸21と第2回転体30とは、互い左右方向にずれて配置されている限り、どちらに位置されても良い。この場合、アームリンク部40,50,60において少なくとも錘43,53,63の円形の移動軌道の中心は、第1回転軸21及び第2回転体30に対して左右何れかに位置される。
【0087】
また、本実施形態の変形例として、アームリンク部40,50,60は、前述の大きさ、形状、長さ、傾いている角度と異なる大きさ、形状、長さ、傾き角度に形成、構成されることもできる。例えば、トルク変換装置1は、アームリンク部40,50,60が移動する際に当該トルク変換装置1の構造物と接触しない限り、例えば、第1及び第2取付部41b,51b,61b,41c,51c,61cと接触しない限り、アーム部42,52,62を可能な限り長くされることもできる。これにより、トルク変換装置1は、大きいトルクを取り出すことができる。
【0088】
また、本実施形態の変形例として、アームリンク部40,50,60は、当該アームリンク部40,50,60が移動する際にトルク変換装置1の構造物と接触しない限り、伸縮されることもできる。
【0089】
また、本実施形態の変形例として、アームリンク部40,50,60は、3個に限らず、3個未満や4個以上とされることができる。
【0090】
また、本実施形態の変形例として、アームリンク部40,50,60の錘43,53,63は、前述の大きさ、形状と異なる大きさ、形状に形成されることもできる。これにより、錘43,53,63の重さも様々になる。
【0091】
また、本実施形態の変形例として、アームリンク部40,50,60は、前述のようなアーム部42,52,62が重量を有していれば錘43,53,63を実際に設けない構造とされることもできる。この場合、アーム部42,52,62が錘43,53,63としての機能を有する。
【0092】
また、本実施形態の変形例として、第1取付部41b,51b,61bは、第1回転体20及びリンク部41,51,61の少なくとも何れかに回転可能に取り付けられる構造とされることもできる。同様に、第2取付部41c,51c,61cも、第2回転体30及びリンク部41,51,61の少なくとも何れかに回転可能に取り付けられる構造とされることもできる。
【0093】
また、本実施形態の変形例として、トルク変換装置1は、第1回転体20及び第2回転体30を回転させる力が第1回転体20及び第2回転体30の少なくとも一方から入力され、第1回転体20の第1回転軸21及び第2回転体30の第2回転軸31の少なくとも一方からトルクが取り出されるようにすることができる。
【0094】
また、本実施形態の変形例として、トルク変換装置1は、第1回転体20及び第2回転体30を回転させる力が第1回転体20や第2回転体30の外周面30aの側面(表面や裏面)から入力されるようにすることもできる。
【0095】
また、本実施形態の変形例として、トルク変換装置1は、第1回転体20及び第2回転体30を回転させる力が回転軸21,31から入力されるようにすることもできる。
【0096】
また、本実施形態の変形例として、トルク変換装置1は、アームリンク部40,50,60の少なくとも1つから入力されるようにすることもできる。この場合、第1及び第2回転体20,30が回転するように、例えば、錘43,53,63に当該錘43,53,63の移動方向に入力が与えられる。
【0097】
また、本実施形態の変形例として、トルク変換装置1は、図1図3に示す構成を1組をとして、複数組を連結されることもできる。この場合、入力場所、トルクの取り出し場所は、適宜決定される。
【0098】
また、本実施形態のトルク変換装置1は、小型の構造から大型の構造まで幅広く構成可能とされる。
【0099】
また、本実施形態のトルク変換装置1は、入力側に大きさが小さい装置を繋げ、出力側(トルクの取り出し側)に大きさが大きい装置を繋げられることもできる。この場合、例えば、トルク変換装置1は、小型モータの入力で大型装置を駆動させることができる。
【0100】
また、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0101】
1 トルク変換装置、20 第1回転体、21 第1回転軸、30 第2回転体,31 第2回転軸、41b,51b,61b 第1取付部、41c,51c,61c 第2取付部、43,53,63 錘
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