(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】マーチングキャリア
(51)【国際特許分類】
G10G 7/00 20060101AFI20240111BHJP
G10D 13/10 20200101ALI20240111BHJP
G10D 13/02 20200101ALN20240111BHJP
【FI】
G10G7/00
G10D13/10 140
G10D13/02 100
(21)【出願番号】P 2021085274
(22)【出願日】2021-05-20
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000195018
【氏名又は名称】星野楽器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 秀幸
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-146122(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0133505(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0233148(US,A1)
【文献】特開2008-275907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 1/00- 7/02
G10D 13/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演奏者の身体に着用されると共に前記身体の前方で楽器を支持するマーチングキャリアであって、
前記演奏者の腹を覆うと共に、前記腹と接する部分に腹当てを有する腹板と、
前記演奏者の両方の肩に掛けられると共に前記腹板に固定され、前記肩と接する部分に肩当てを有するキャリア本体と
、
前記キャリア本体の形状を調節するための本体調節機構と、を備え、
前記キャリア本体は、前記両方の肩から前記腹に向けて延びる一対の前延長部を有する棒状部材からなり、かつ前記腹当ての前後方向の位置を調節可能に構成され
、
前記本体調節機構は、前記一対の前延長部のそれぞれに設けられ、
前記キャリア本体は、
前記肩当てを含む上胴体部と、
前記腹板に固定される下胴体部と、
前記演奏者の背面に掛けられ、前記背面と接する部分に背面当てを有する背面部と、
前記背面部の形状を調節するための背面部調節機構と、を備え、
前記キャリア本体は、前記本体調節機構により、前記上胴体部に対する前記下胴体部の位置を調整可能に構成され、
前記背面部は、前記両方の肩から前記背面に向けて延びる一対の後延長部を有する棒状部材からなり、
前記背面部調節機構は、前記一対の後延長部のそれぞれに設けられると共に、前記背面当ての前後方向の位置を調節可能に構成されていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項2】
請求項
1に記載のマーチングキャリアにおいて、
前記本体調節機構は、前記上胴体部に対して前記下胴体部を回動可能に連結すると共に、前記上胴体部に対する前記下胴体部の回動位置を固定可能に構成されていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項3】
請求項
1に記載のマーチングキャリアにおいて、
前記背面部調節機構は、前記上胴体部に対して前記背面部を回動可能に連結すると共に、前記上胴体部に対する前記背面部の回動位置を固定可能に構成されていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項4】
請求項
1~3のうちいずれか一項に記載のマーチングキャリアにおいて、
前記本体調節機構は、前記上胴体部を構成する第1の棒状部材と前記下胴体部を構成する第2の棒状部材とを同一直線上に配置した状態で回動可能に連結していることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項5】
請求項
4に記載のマーチングキャリアにおいて、
前記本体調節機構は、前記第1の棒状部材に対する前記第2の棒状部材の回動軸方向に複数の摩擦板を重ねて構成した多板クラッチを備えていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項6】
請求項1~
5のうちいずれか一項に記載のマーチングキャリアにおいて、
前記キャリア本体は、前記棒状部材からなりかつ環状をなす骨格部分を有していることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項7】
請求項1~
6のうちいずれか一項に記載のマーチングキャリアは、更に、
前記身体の前方で楽器を支持する楽器支持部材を備え、
前記楽器支持部材は、前記キャリア本体に固定されていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項8】
請求項
7に記載のマーチングキャリアは、更に、
前記楽器支持部材を前記キャリア本体に固定するための固定アッセンブリを備え、
前記固定アッセンブリは、
前記楽器支持部材が固定される固定ベースと、
前記固定ベースに固定される固定具とを備え、
前記固定アッセンブリは、前記固定ベースと前記固定具との間に前記一対の前延長部を固定可能に構成されていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項9】
請求項
8に記載のマーチングキャリアにおいて、
前記固定アッセンブリは、前記固定具により前記腹板に対して固定可能に構成されていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項10】
請求項
9に記載のマーチングキャリアにおいて、
前記腹板には、前記固定具が挿通される挿通孔が形成され、
前記挿通孔は、上下方向に延びていることを特徴とするマーチングキャリア。
【請求項11】
演奏者の身体に着用されると共に前記身体の前方でドラムを支持するマーチングキャリアであって、
前記ドラムは、
筒状のシェルと、
前記シェルの開口端に取着されるヘッドとを備え、
前記ドラムは、前記シェルの軸線を水平にして配置されると共に、前記シェル上の第1の位置と、前記第1の位置よりも下方の第2の位置とで、前記マーチングキャリアによって支持され、
前記マーチングキャリアは、
前記演奏者の腹を覆う共に、前記腹と接する部分に腹当てを有する腹板と、
前記演奏者の両方の肩に掛けられると共に前記腹板に固定されるキャリア本体と、
前記シェル上の前記第1の位置で前記ドラムを支持する上支持部材と、
前記シェル上の前記第2の位置で前記ドラムを支持する下支持部材とを備え、
前記キャリア本体は、前記両方の肩から前記腹に向けて延びる一対の前延長部を有する棒状部材からなり、
前記上支持部材は、前記一対の前延長部に対して摺動可能に取り付けられ
、
前記上支持部材は、
前記ドラムが連結される表面部材と、
前記表面部材が固定される裏面部材と、を備え、
前記上支持部材は、前記表面部材と前記裏面部材との間に前記一対の前延長部を固定可能に構成されていることを特徴とするマーチングキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーチングキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
マーチングドラム等を演奏する打楽器奏者は、身体の前方で楽器を支持しながら演奏する。このため、打楽器奏者は、身体に楽器を装着するための器具として、マーチングキャリアを着用している。
【0003】
例えば、特許文献1に開示のマーチングキャリアは、演奏者の腹を覆う腹板と、両方の肩に掛けられると共に腹板に固定されるキャリア本体とを備えている。キャリア本体は、背中から両方の肩を経て腹にまで延びる略U字状の棒状部材からなる。キャリア本体の背中や肩と接する部分や、腹板の腹と接する部分には、マーチングキャリアからの荷重による演奏者への負担を軽減するため、クッション材がそれぞれ設けられている。
【0004】
打楽器奏者の体格は様々である。このため、演奏者の体格によっては、マーチングキャリアからの荷重が身体の特定箇所に集中することがある。しかしながら、特許文献1に開示のマーチングキャリアのように、クッション材だけでは、マーチングキャリアからの荷重による演奏者への負担を十分に軽減することができない。そこで、特許文献2又は3に開示されるように、キャリア本体の形状を調節可能に構成したマーチングキャリアが提案されている。
【0005】
特許文献2に開示のマーチングキャリアは、演奏者の腹を覆う腹板と、背中と両方の肩に掛けられるストラップと、腹板とストラップとを繋ぐ一対の棒状部材とを備えている。一対の棒状部材は、ストラップの両側部前端に対して回動可能に連結されている。これにより、マーチングキャリアは、演奏者の胸に対応する1箇所でキャリア本体の形状を調節可能に構成されている。
【0006】
特許文献3に開示のマーチングキャリアは、演奏者の腹を覆うと共に腹クッションを有する腹板と、背中と両方の肩に掛けられると共に肩クッションを有するフレームとを備えている。また、マーチングキャリアは、腹板の上部に固定されるプレートと、プレートとフレームとを繋ぐ一対の棒状部材とを備えている。一対の棒状部材は、プレートの両側部上端とフレームの両側部前端とに対してそれぞれ回動可能に連結されている。これにより、マーチングキャリアは、演奏者の胸と肩とに対応する2箇所でキャリア本体の形状を調節可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第7671261号明細書
【文献】米国特許第6323407号明細書
【文献】米国特許第7554024号明細書
【発明の概要】
【0008】
マーチングバンドでは、演奏者が、管楽器や打楽器を、立ち止まって演奏するだけでなく、歩いたり走ったりしながら演奏することもある。特に打楽器奏者は、打楽器による荷重だけでなく、マーチングキャリアの自重による荷重も、マーチングキャリアと接触する背中や両方の肩や腹等の部位から受けている。このため、マーチングキャリアを着用して動きながら打楽器を演奏することは、演奏者にとってかなりの負担となっている。よって、マーチングキャリアには、演奏者が受ける負担を更に軽減することが求められている。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担を軽減することのできるマーチングキャリアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、演奏者の身体に着用されると共に前記身体の前方で楽器を支持するマーチングキャリアであって、前記演奏者の腹を覆うと共に、前記腹と接する部分に腹当てを有する腹板と、前記演奏者の両方の肩に掛けられると共に前記腹板に固定され、前記肩と接する部分に肩当てを有するキャリア本体と、前記キャリア本体の形状を調節するための本体調節機構と、を備え、前記キャリア本体は、前記両方の肩から前記腹に向けて延びる一対の前延長部を有する棒状部材からなり、かつ前記腹当ての前後方向の位置を調節可能に構成され、前記本体調節機構は、前記一対の前延長部のそれぞれに設けられ、前記キャリア本体は、前記肩当てを含む上胴体部と、前記腹板に固定される下胴体部と、前記演奏者の背面に掛けられ、前記背面と接する部分に背面当てを有する背面部と、前記背面部の形状を調節するための背面部調節機構と、を備え、前記キャリア本体は、前記本体調節機構により、前記上胴体部に対する前記下胴体部の位置を調整可能に構成され、前記背面部は、前記両方の肩から前記背面に向けて延びる一対の後延長部を有する棒状部材からなり、前記背面部調節機構は、前記一対の後延長部のそれぞれに設けられると共に、前記背面当ての前後方向の位置を調節可能に構成されていることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、演奏者の両方の肩から腹に向けて延びる棒状部材を用いることで、キャリア本体のほぼ全体を棒状部材のみから形成することができる。これにより、キャリア本体の一部にストラップやプレートを用いる従来構成と比較して、キャリア本体の重量を軽減することができ、マーチングキャリアの軽量化が可能となる。また、腹当ての前後方向の位置を調節することで、演奏者の体格、特に身体の厚みに合わせて、キャリア本体の形状を調節することができる。これにより、演奏者の体格によらず、マーチングキャリアからの荷重が身体の特定箇所に集中することを抑制できる。よって、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担を軽減することができる。
また、この構成によれば、演奏者の両方の肩から腹に向けて延びる一対の前延長部のそれぞれに本体調節機構を設けることで、本体調節機構よりも上方の部位と下方の部位との位置関係を調節することができる。これにより、腹当ての前後方向の位置を調節することができ、キャリア本体の形状を調節することができる。
また、この構成によれば、本体調節機構により上胴体部に対する下胴体部の位置を調節することで、演奏者の体格に合わせて、キャリア本体の形状を調節することができる。これにより、肩当て及び腹当ての各位置を適切な位置に調節することができる。よって、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担をより一層軽減することができる。
また、この構成によれば、演奏者の両方の肩から背面に向けて延びる一対の後延長部に背面部調節機構をそれぞれ設けると共に、背面部調節機構により背面当ての前後方向の位置を調節することで、演奏者の体格に合わせて、キャリア本体の背面部付近の形状を調節することができる。これにより、演奏者の体格によらず、マーチングキャリアからの荷重が身体の特定箇所に集中することを更に抑制できる。よって、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担を更に軽減することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体調節機構は、前記上胴体部に対して前記下胴体部を回動可能に連結すると共に、前記上胴体部に対する前記下胴体部の回動位置を固定可能に構成されていることを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、上胴体部に対して下胴体部を回動させたり、上胴体部に対する下胴体部の回動位置を固定したりすることで、演奏者の体格に合わせて、キャリア本体の形状を容易に変更することができる。よって、肩当て及び腹当ての各位置を適切な位置へと容易に調節することができ、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担をより一層軽減することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記背面部調節機構は、前記上胴体部に対して前記背面部を回動可能に連結すると共に、前記上胴体部に対する前記背面部の回動位置を固定可能に構成されていることを要旨とする。
【0021】
この構成によれば、上胴体部に対して背面部を回動させたり、上胴体部に対する背面部の回動位置を固定したりすることで、演奏者の体格に合わせて、キャリア本体の背面部付近の形状を容易に変更することができる。これにより、背面当ての位置を適切な位置へと容易に調節でき、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担を更に軽減することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記本体調節機構は、前記上胴体部を構成する第1の棒状部材と前記下胴体部を構成する第2の棒状部材とを同一直線上に配置した状態で回動可能に連結していることを要旨とする。
【0023】
この構成によれば、演奏者の両方の肩から腹に向けて延びる一対の延長部の途中に、本体調節機構がそれぞれ設けられる。これにより、キャリア本体の本体調節機構付近の形状が、平面視で直線形状となり、コンパクトになる。また、キャリア本体に要する棒状部材の使用量を低減できるため、マーチングキャリアの軽量化が容易となる。よって、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担を更に軽減することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記本体調節機構は、前記第1の棒状部材に対する前記第2の棒状部材の回動軸方向に複数の摩擦板を重ねて構成した多板クラッチを備えていることを要旨とする。
【0025】
この構成によれば、本体調整機構に多板クラッチを採用することで、第1の棒状部材に対する第2の棒状部材の固定力が向上する。このため、マーチングキャリアを着用して動きながら楽器を演奏する場合であっても、上胴体部に対する下胴体部の回動位置を固定できると共に、肩当て及び腹当ての各位置を適切な位置に固定することができる。また、多板クラッチを構成する複数の摩擦板を第2の棒状部材の回動軸方向に重ねて配置することで、第1の棒状部材と第2の棒状部材との連結部付近の形状をコンパクトにすることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記キャリア本体は、前記棒状部材からなりかつ環状をなす骨格部分を有していることを要旨とする。
【0027】
この構成によれば、キャリア本体を構成する棒状部材が環状であるため、略U字状の棒状部材からなるキャリア本体と比較して、ねじれに対する強度が向上する。これにより、左右一対の本体調節機構の回動軸がずれ難くなるため、上胴体部に対する下胴体部の回動位置を調節する操作がスムーズに行える。同様に、左右一対の背面部調節機構の回動軸もずれ難くなるため、上胴体部に対する背面部の回動位置を調節する操作もスムーズに行える。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記身体の前方で楽器を支持する楽器支持部材を備え、前記楽器支持部材は、前記キャリア本体に固定されていることを要旨とする。
【0029】
この構成によれば、楽器支持部材を腹板に固定する従来構成に代えて、楽器支持部材をキャリア本体に固定することで、腹板に要求される強度を下げることができる。これにより、腹板の薄肉化や材料選択が容易となり、マーチングキャリアの軽量化が容易となる。また、楽器支持部材をキャリア本体に固定することで、楽器支持部材が演奏者の身体の中心付近に配置される。このため、マーチングキャリアを着用して動きながら楽器を演奏する場合に、楽器支持部材により演奏者の脚の動きが妨げられることもない。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記楽器支持部材を前記キャリア本体に固定するための固定アッセンブリを備え、前記固定アッセンブリは、前記楽器支持部材が固定される固定ベースと、前記固定ベースに固定される固定具とを備え、前記固定アッセンブリは、前記固定ベースと前記固定具との間に前記一対の前延長部を固定可能に構成されていることを要旨とする。
【0031】
この構成によれば、固定ベースに対する固定具の固定力を弱めることで、一対の前延長部に対して固定アセンブリを楽器支持部材と共に移動させることができる。また、固定ベースと固定具との間に前延長部を固定することで、前延長部に対して固定アセンブリを楽器支持部材と共に固定することができる。このようにして、固定ベースに対する固定具の固定力を調整することで、楽器を身体の前方で支持した状態で、楽器の上下方向の位置を調整することができる。また、固定ベースと固定具との間に前延長部を固定することで、キャリア本体の構造が補強されるため、ねじれに対する強度がより一層向上する。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記固定アッセンブリは、前記固定具により前記腹板に対して固定可能に構成されていることを要旨とする。
この構成によれば、固定アッセンブリにより、楽器支持部材をキャリア本体に固定するだけでなく、キャリア本体を腹板に固定することもできる。これにより、楽器支持部材とキャリア本体と腹板とを組み付けるのに要する部品の数を少なくすることができる。よって、マーチングキャリアの軽量化が容易となる。
【0033】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記腹板には、前記固定具が挿通される挿通孔が形成され、前記挿通孔は、上下方向に延びていることを要旨とする。
【0034】
この構成によれば、腹板に対する固定具の固定力を弱めることで、一対の前延長部に対して、固定孔が延びる上下方向に、腹板を移動させることができる。また、腹板に固定具を固定することで、一対の前延長部に対して腹板を固定することができる。このようにして、腹板に対する固定具の固定力を調整することで、楽器の上下方向の位置を維持したまま、腹板の上下方向の位置を調整することができる。
【0035】
請求項11に記載の発明は、演奏者の身体に着用されると共に前記身体の前方でドラムを支持するマーチングキャリアであって、前記ドラムは、筒状のシェルと、前記シェルの開口端に取着されるヘッドとを備え、前記ドラムは、前記シェルの軸線を水平にして配置されると共に、前記シェル上の第1の位置と、前記第1の位置よりも下方の第2の位置とで、前記マーチングキャリアによって支持され、前記マーチングキャリアは、前記演奏者の腹を覆う共に、前記腹と接する部分に腹当てを有する腹板と、前記演奏者の両方の肩に掛けられると共に前記腹板に固定されるキャリア本体と、前記シェル上の前記第1の位置で前記ドラムを支持する上支持部材と、前記シェル上の前記第2の位置で前記ドラムを支持する下支持部材とを備え、前記キャリア本体は、前記両方の肩から前記腹に向けて延びる一対の前延長部を有する棒状部材からなり、前記上支持部材は、前記一対の前延長部に対して摺動可能に取り付けられ、前記上支持部材は、前記ドラムが連結される表面部材と、前記表面部材が固定される裏面部材とを備え、前記上支持部材は、前記表面部材と前記裏面部材との間に前記一対の前延長部を固定可能に構成されていることを要旨とする。
【0036】
この構成によれば、身体の前方でシェルの軸線を水平にして支持するバスドラム等の縦置きドラムについて、ドラムの口径に合わせて、一対の前延長部に対して上支持部材を摺動させることができる。つまり、ドラムの口径に合わせて、上支持部材の上下方向の位置を調整することができ、マーチングキャリアにより支持されるシェル上の第1の位置を調整することができる。これにより、マーチングキャリアからの荷重が身体の特定箇所に集中しないように、マーチングキャリアにより支持されるシェル上の第1の位置と第2の位置との間隔を調整することができる。よって、マーチングキャリアを着用してバスドラムを演奏する場合であっても、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担を軽減することができる。
また、この構成によれば、表面部材と裏面部材との固定力を弱めることで、一対の前延長部に対して上支持部材を移動させることができる。また、表面部材と裏面部材との間に一対の前延長部を固定することで、一対の前延長部に対して上支持部材を固定することができる。このようにして、身体の前方で支持されるドラムの口径に合わせて、マーチングキャリアにより支持されるシェル上の第1の位置と第2の位置との間隔を容易に調整することができる。また、キャリア本体の両側部に左右一対の上支持部材を設けた構成と比較して、部品の数を少なくすることができる。よって、マーチングキャリアの軽量化が容易となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、演奏者がマーチングキャリアから受ける負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るマーチングキャリアの斜視図。
【
図4】(a)
図3の4a-4a線に沿った部分断面図、(b)
図3の4b-4b線に沿った部分断面図。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るマーチングキャリアの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1実施形態)
以下、本発明のマーチングキャリア10を具体化した第1実施形態について
図1~
図6を参照して説明する。
【0042】
図1及び
図2に示すように、マーチングキャリア10は、腹板12と、キャリア本体13と、楽器支持部材14と、固定アッセンブリ15とを備えている。マーチングキャリア10は、演奏者の身体に着用されると共に、身体の前方でマーチングドラム等の打楽器を支持するための器具として用いられている。マーチングキャリア10は、固定アッセンブリ15を用いて、腹板12とキャリア本体13と楽器支持部材14とを一体に組み付けることにより構成されている。
【0043】
腹板12は、演奏者の腹を覆う部分を構成している。腹板12は、金属や樹脂等の剛性を有する材料からなる。腹板12の中央には、キャリア本体13との組み付けに用いられる挿通孔12aが形成されている。挿通孔12aは、腹板12の上端付近から下端付近にまで直線状に延びている。腹板12は、腹と接する部分に腹当て21を有している。腹当て21には、演奏者がマーチングキャリア10から受ける荷重や衝撃等の負担を低減するため、板状のクッションが用いられている。腹当て21は、腹板12とほぼ同じ形状である。
【0044】
キャリア本体13は、演奏者の両方の肩に掛けられると共に、マーチングキャリア10における腹板12よりも上方の部分を構成している。キャリア本体13は、固定アッセンブリ15によって、腹板12の腹当て21と反対側の面、即ち、腹板12の前面中央に固定されている。キャリア本体13は、複数本の棒状部材からなる骨格部分30と、両方の肩から背面を覆う一枚のクッション40とを有している。クッション40は、平面視で略U字状である。クッション40の両方の肩と接する部分が肩当て38であり、背面と接する部分が背面当て39である。
【0045】
骨格部分30は、左右一対の第1の棒状部材31と、第1の棒状部材31の前端部に連結される第2の棒状部材32と、第1の棒状部材31の後端部に連結される第3の棒状部材33とを備えている。クッション40は、骨格部分30を構成する棒状部材に対して、棒状部材の軸線周りに回動可能に取り付けられている。ここで、クッション40においては、肩当て38が第1の棒状部材31に対して回動可能であり、背面当て39が第3の棒状部材33に対して回動可能である。
【0046】
また、骨格部分30は、左右一対の本体調節機構34と、左右一対の背面部調節機構35とを備えている。本体調節機構34は、第1の棒状部材31と第2の棒状部材32との連結部に設けられている。両本体調節機構34は、マーチングキャリア10を側方から見た側面視で、それぞれが同軸線上に配置されている。背面部調節機構35は、第1の棒状部材31と第3の棒状部材33との連結部に設けられている。両背面部調節機構35は、マーチングキャリア10の側面視で、それぞれが同軸線上に配置されている。
【0047】
第1~第3の棒状部材31~33は、金属や樹脂等の剛性を有する材料からなり、具体的には、金属製パイプや樹脂製パイプからなる。第1の棒状部材31は、両肩に掛けられる部分、即ち、本体調節機構34よりも上方の部位である上胴体部13aを構成している。第1の棒状部材31は、肩の形状に沿って緩やかに湾曲している。第2の棒状部材32は、身体の前面に配置される部分、即ち、本体調節機構34よりも下方の部位である下胴体部13bを構成している。第2の棒状部材32は、縦長のU字状である。第2の棒状部材32は、左右対称にS状に屈曲された一対の上端部32aを有している。第3の棒状部材33は、演奏者の背面に掛けられる部分、即ち、背面部調節機構35よりも後方の部位である背面部13cを構成している。第3の棒状部材33は、横長のU字状である。
【0048】
骨格部分30は、全体として環状である。本体調節機構34は、骨格部分30の前部、即ち、両方の肩から腹に向けて延びる左右一対の前延長部のそれぞれに設けられている。前延長部は、第1の棒状部材31の前方に延びる部分と第2の棒状部材32とからなる。背面部調節機構35は、骨格部分30の後部、即ち、両方の肩から背面に向けて延びる左右一対の後延長部にそれぞれ設けられている。後延長部は、第1の棒状部材31の後方に延びる部分と第3の棒状部材33とからなる。
【0049】
本体調節機構34は、第1の棒状部材31と第2の棒状部材32とを回動可能に連結することで、上胴体部13aに対して下胴体部13bを回動可能に連結している。キャリア本体13は、本体調節機構34を有することで、上胴体部13aに対する下胴体部13bの位置を調整可能に構成されている。即ち、キャリア本体13は、本体調節機構34を有することで、肩当て38の位置を固定したまま腹当て21の前後方向の位置を調節可能に構成されている。
【0050】
背面部調節機構35は、第1の棒状部材31と第3の棒状部材33とを回動可能に連結することで、上胴体部13aに対して背面部13cを回動可能に連結している。キャリア本体13は、背面部調節機構35を有することで、上胴体部13aに対する背面部13cの位置を調整可能に構成されている。即ち、キャリア本体13は、背面部調節機構35を有することで、肩当て38の位置を固定したまま背面部13cの前後方向の位置を調節可能に構成されている。
【0051】
図2及び
図3に示すように、本体調節機構34は、マーチングキャリア10を正面から見た平面視で、第1の棒状部材31と第2の棒状部材32とを同一直線上に配置した状態で連結している。本体調節機構34は、第1の棒状部材31の前端に装着される第1の筒状部材41と、第2の棒状部材32の上端部32aに装着される第2の筒状部材42とを備えている。また、本体調節機構34は、6枚の摩擦板46からなる多板クラッチ43と、ボルト44及びナット45とを備えている。背面部調節機構35は、第1の棒状部材31に対する第3の棒状部材33の回動位置を調整すること以外は、本体調節機構34と同じ構成を備えている。よって、背面部調節機構35における本体調節機構34と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0052】
図3、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、第1の筒状部材41は、第1の棒状部材31に固定される第1の固定部41aと、第2の筒状部材42に連結される第1の連結部41bとを有している。第1の固定部41aには、第1の棒状部材31が固定される固定孔41cと、多板クラッチ43が固定される固定孔41dとが形成されている。両固定孔41c、41dは、同軸上に配置されると共に、互いに連通している。第1の連結部41bには、ボルト44が挿通される挿通孔41eが形成されている。また、第1の連結部41bの外側面には、ナット45が嵌め込まれる凹部41fが形成されている。挿通孔41e及び凹部41fは、同軸上に配置されると共に、互いに連通している。
【0053】
第2の筒状部材42は、第2の棒状部材32に固定される第2の固定部42aと、第1の筒状部材41に連結される第2の連結部42bとを有している。第2の固定部42aには、第2の棒状部材32が固定される固定孔42cと、多板クラッチ43が固定される固定孔42dとが形成されている。両固定孔42c、42dは、同軸上に配置されると共に、互いに連通している。第2の連結部42bには、ボルト44が挿通される挿通孔42eが形成されている。また、第2の連結部42bの外側面には、ボルト44の頭部が配置される凹部42fが形成されている。挿通孔42e及び凹部42fは、同軸上に配置されると共に、互いに連通している。
【0054】
各摩擦板46は、円形状のディスク部46aと、長方形状の固定片部46bとを有している。ディスク部46aの中央には、ボルト44が挿通される挿通孔46cが形成されている。固定片部46bは、ディスク部46aの外周縁から径方向外側に延びている。各摩擦板46は、第1の連結部41bと第2の連結部42bとの間に配置されている。各摩擦板46は、第1の棒状部材31に対する第2の棒状部材32の回動軸方向に重ねられた状態で配置されている。6枚の摩擦板46のうち、
図3に示す左側から奇数番目の摩擦板46の固定片部46bは第1の連結部41bの固定孔41dに固定され、左側から偶数番目の摩擦板46の固定片部46bは第2の連結部42bの固定孔42dに固定されている。
【0055】
ボルト44は、第2の連結部42b、摩擦板46及び第1の連結部41bの各挿通孔42e、46c、41eを挿通すると共に、ナット45に螺合されている。ボルト44を締め付けたり緩めたりすることで、第1の連結部41bと第2の連結部42bとにより各摩擦板46を挟持する力が強められたり弱められたりする。これにより、第1の棒状部材31に対する第2の棒状部材32の位置が固定されたり、第1の棒状部材31に対する第2の棒状部材32の固定が解除されたりする。
【0056】
図1及び
図2に示すように、楽器支持部材14は、一対の支持ロッド50と、両支持ロッド50の先端に固定された一対のフック51と、両フック51を繋ぐように設けられた架橋部材52とを備えている。各支持ロッド50は、先端を上方に向けて略J字状に形成されている。各フック51の上面には、マーチングキャリア10により支持される打楽器が取り付けられる。楽器支持部材14は、両フック51に打楽器が連結されると共に両支持ロッド50がキャリア本体13に固定されることで、演奏者の身体の前方で打楽器を支持するように構成されている。また、楽器支持部材14は、支持ロッド50を介して固定アッセンブリ15に固定されることで、キャリア本体13の下胴体部13bに直接取り付けられている。
【0057】
固定アッセンブリ15は、略長方形状の固定ベース55と、固定ベース55の前面中央に固定される第1の固定具56とを備えている。また、固定アッセンブリ15は、固定ベース55の裏面両端部に固定される一対の第2の固定具57と、腹板12の裏側から固定ベース55に固定される第3の固定具58とを備えている。固定アッセンブリ15は、複数の部品が組み合わされた部品アッセンブリであり、楽器支持部材14をキャリア本体13に固定すると共に、キャリア本体13を腹板12に固定するように構成されている。
【0058】
図2及び
図5に示すように、固定ベース55の中央には、上下一対の挿通孔55aが形成されている。また、固定ベース55の前面中央付近には、左右一対のキャリア本体固定凹部55bが形成されている。両キャリア本体固定凹部55bは、互いに平行に配置されると共に上下方向にそれぞれ延びている。両固定ベース55の両端部には、挿通孔55cがそれぞれ形成されている。また、固定ベース55の裏面両端部には、左右一対の支持ロッド固定凹部55dが形成されている。両支持ロッド固定凹部55dは、互いに平行に配置されると共に、上下方向にそれぞれ延びている。
【0059】
第1の固定具56の中央には、上下一対の挿通孔56aが形成されている。第1の固定具56の両端部には、湾曲凹部56bがそれぞれ形成されている。第3の固定具58の中央には、上下一対の挿通孔58aが形成されている。第1の固定具56、固定ベース55、腹板12及び第3の固定具58は、挿通孔56a、55a、12a、58aを同軸線上にそれぞれ配置されている。この状態で、2本のボルト61が、挿通孔56a、55a、12a、58aを挿通すると共に、第3の固定具58の裏側でナット62に螺合されている。これにより、固定ベース55に第1の固定具56が固定されると共に、固定ベース55と第3の固定具58とが腹板12に固定される。この状態では、キャリア本体固定凹部55bと湾曲凹部56bとの間に、キャリア本体13の第2の棒状部材32が配置される空間が形成されている。
【0060】
第2の固定具57は、ボルト63が挿通される挿通孔57aを有している。第2の固定具57は、挿通孔57aと反対側に湾曲凹部57bを有している。第2の固定具57及び固定ベース55は、挿通孔57a、55cを同軸上に配置してそれぞれ配置されている。この状態で、ボルト63が、挿通孔57a、55cを挿通すると共に、第2の固定具57の裏側でナット64に螺合されている。これにより、固定ベース55に第2の固定具57が固定される。この状態では、支持ロッド固定凹部55dと湾曲凹部57bとの間に、楽器支持部材14の支持ロッド50が配置される空間が形成されている。
【0061】
次に、マーチングキャリア10の作用について、
図1、
図3、
図5及び
図6を参照して説明する。
図1及び
図6に示すように、マーチングキャリア10は、演奏者の両方の肩から腹に向けて延びる一対の前延長部、即ち、両第1の棒状部材31と第2の棒状部材32との連結部のそれぞれに本体調節機構34を有している。また、マーチングキャリア10は、両方の肩から背面に向けて延びる一対の後延長部、即ち、両第1の棒状部材31と第3の棒状部材33との連結部のそれぞれに背面部調節機構35を有している。演奏者は、以下の手順に従って、自身の体格に合わせて、キャリア本体13の形状を調節したり、腹板12の上下方向の位置を調節したりする。また、演奏者は、打楽器を演奏し易い位置に調整するため、楽器支持部材14の上下方向の位置を調整する。
【0062】
図1、
図3及び
図6に示すように、キャリア本体13の形状を調節するため、左右一対の本体調節機構34のボルト44をそれぞれ緩める。すると、本体調節機構34においては、第1の連結部41bと第2の連結部42bとにより摩擦板46を挟持する力が弱められる。これにより、摩擦板46のディスク部46a同士が、ボルト44の軸線周りに摺動可能となる。このため、第1の棒状部材31に対して第2の棒状部材32が回動可能となり、上胴体部13aに対する下胴体部13bの回動位置が調整可能となる。
【0063】
左右一対の背面部調節機構35においても、上記と同様の操作を行うことで、第1の棒状部材31に対して第3の棒状部材33が回動可能となり、上胴体部13aに対する背面部13cの回動位置が調整可能となる。例えば、大柄な体格の演奏者がマーチングキャリア10を着用する場合には、以下のようにして、キャリア本体13の形状が調節される。例えば、
図6の実線及び二点鎖線に示すように、両本体調節機構34により第1の棒状部材31と第2の棒状部材32との角度が小さくなるように調整される。また、両背面部調節機構35により第1の棒状部材31と第3の棒状部材33との角度が大きくなるように調整される。
【0064】
キャリア本体13の形状を調節した後、両本体調節機構34のボルト44をそれぞれ締め付ける。すると、本体調節機構34においては、第1の連結部41bと第2の連結部42bとにより各摩擦板46を挟持する力が強められる。これにより、摩擦板46のディスク部46a同士が、ボルト44の軸線周りに摺動できなくなる。このため、第1の棒状部材31に対する第2の棒状部材32の回動位置が固定されて、上胴体部13aに対する下胴体部13bの回動位置が固定される。背面部調節機構35においても、上記と同様の操作を行うことで、第1の棒状部材31に対する第3の棒状部材33の回動位置が固定されて、上胴体部13aに対する背面部13cの回動位置が固定される。続いて、腹板12及び楽器支持部材14の上下方向の位置をそれぞれ調整する。
【0065】
図1及び
図5に示すように、固定アッセンブリ15の上下一対のボルト61を緩める。すると、固定ベース55と第1の固定具56とにより第2の棒状部材32を挟持する力が弱められると共に、固定ベース55と第3の固定具58とにより腹板12を挟持する力も弱められる。この場合、第1の固定具56による押さえが解除されることで、第2の棒状部材32に対して固定アッセンブリ15が移動可能となり、固定アッセンブリ15と共に腹板12及び楽器支持部材14の上下方向の位置が調整可能となる。また、この場合、第3の固定具58による押さえが解除されることで、腹板12の挿通孔12aをボルト61が移動できる範囲内で、固定アッセンブリ15に対して腹板12が移動可能となる。これにより、挿通孔12aの全長と同じ距離だけ、腹板12の上下方向の位置を調整することができる。このとき、固定アッセンブリ15を第2の棒状部材32に固定したまま、即ち、楽器支持部材14の上下方向の位置を維持したまま、腹板12の上下方向の位置を単独で調整することができる。腹板12の上下方向の位置を調節した後、両ボルト61をそれぞれ締め付けることで、第2の棒状部材32に対して固定アッセンブリ15を固定すると共に、固定ベース55と第3の固定具58とを腹板12に固定する。
【0066】
楽器支持部材14の上下方向の位置を更に調整するには、固定アッセンブリ15のボルト63を緩める。すると、固定ベース55と第2の固定具57とにより支持ロッド50を挟持する力が弱められる。これにより、固定アッセンブリ15に対して支持ロッド50が移動可能となり、楽器支持部材14の上下方向の位置が更に調整可能となる。調整後、固定アッセンブリ15のボルト63を締め付けることで、固定ベース55と第2の固定具57とにより支持ロッド50を挟持する力が強められる。このため、楽器支持部材14の上下方向の位置が固定されて、打楽器の上下方向の位置が固定される。
【0067】
従って、第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)キャリア本体13の骨格部分30は、左右一対の第1の棒状部材31と、第1の棒状部材31の前端部に連結される第2の棒状部材32と、第1の棒状部材31の後端部に連結される第3の棒状部材33とを備えている。前延長部は、第1の棒状部材31の前方に延びる部分と第2の棒状部材32とからなる。本体調節機構34は、第1の棒状部材31と第2の棒状部材32との連結部に設けられている。キャリア本体13は、本体調節機構34を有することで、腹当て21の前後方向の位置を調節可能に構成されている。
【0068】
この構成によれば、演奏者の両方の肩から腹に向けて延びる棒状部材を用いることで、キャリア本体13のほぼ全体を棒状部材のみから形成することができる。これにより、キャリア本体13の一部にストラップやプレートを用いる従来構成と比較して、キャリア本体13の重量を軽減することができ、マーチングキャリア10の軽量化が可能となる。また、腹当て21の前後方向の位置を調節することで、演奏者の体格、特に身体の厚みに合わせて、キャリア本体13の形状を調節することができる。これにより、演奏者の体格によらず、マーチングキャリア10からの荷重が身体の特定箇所に集中することを抑制できる。よって、演奏者がマーチングキャリア10から受ける負担を軽減することができる。
【0069】
(2)本体調節機構34は、骨格部分30の前部、即ち、両方の肩から腹に向けて延びる一対の前延長部のそれぞれに設けられている。この構成によれば、キャリア本体13において、本体調節機構34よりも上方の部位と下方の部位との位置関係を調節することができる。これにより、腹当て21の前後方向の位置を調節することができ、キャリア本体13の形状を調節することができる。
【0070】
(3)キャリア本体13は、本体調節機構34により、上胴体部13aに対する下胴体部13bの位置を調整可能に構成されている。この構成によれば、上胴体部13aに対する下胴体部13bの位置を調節することで、演奏者の体格に合わせて、キャリア本体13の形状を調節することができる。これにより、肩当て38及び腹当て21の各位置を適切な位置に調節することができる。よって、演奏者がマーチングキャリア10から受ける負担をより一層軽減することができる。
【0071】
(4)本体調節機構34は、上胴体部13aに対して下胴体部13bを回動可能に連結すると共に、上胴体部13aに対する下胴体部13bの回動位置を固定可能に構成されている。この構成によれば、上胴体部13aに対して下胴体部13bを回動させたり、上胴体部13aに対する下胴体部13bの回動位置を固定したりすることで、演奏者の体格に合わせて、キャリア本体13の形状を容易に変更することができる。よって、肩当て38及び腹当て21の各位置を適切な位置へと容易に調節することができ、演奏者がマーチングキャリア10から受ける負担をより一層軽減することができる。
【0072】
(5)背面部調節機構35は、骨格部分30の後部、即ち、両方の肩から背面に向けて延びる一対の後延長部にそれぞれ設けられている。この構成によれば、演奏者の体格に合わせて、背面部調節機構35により背面当て39の前後方向の位置が調節されることで、キャリア本体13の背面部13c付近の形状を調節することができる。これにより、演奏者の体格によらず、マーチングキャリア10からの荷重が身体の特定箇所に集中することを更に抑制できる。よって、演奏者がマーチングキャリア10から受ける負担を更に軽減することができる。
【0073】
(6)背面部調節機構35は、上胴体部13aに対して背面部13cを回動可能に連結すると共に、上胴体部13aに対する背面部13cの回動位置を固定可能に構成されている。この構成によれば、上胴体部13aに対して背面部13cを回動させたり、上胴体部13aに対する背面部13cの回動位置を固定したりすることで、演奏者の体格に合わせて、キャリア本体13の背面部13c付近の形状を容易に変更することができる。これにより、背面当て39の位置を適切な位置へと容易に調節でき、演奏者がマーチングキャリア10から受ける負担を更に軽減することができる。
【0074】
(7)本体調節機構34は、マーチングキャリア10を正面から見た平面視で、第1の棒状部材31と第2の棒状部材32とを同一直線上に配置した状態で回動可能に連結している。この構成によれば、演奏者の両方の肩から腹に向けて延びる両前延長部の途中に、本体調節機構34がそれぞれ設けられる。これにより、キャリア本体13の本体調節機構34付近の形状を、平面視で直線形状にすることができ、コンパクトにすることができる。また、キャリア本体13に要する棒状部材の使用量を低減できるため、マーチングキャリア10の軽量化が容易となる。よって、演奏者がマーチングキャリア10から受ける負担を更に軽減することができる。
【0075】
(8)本体調節機構34は、多板クラッチ43を備えている。この構成によれば、多板クラッチ43を採用することで、第1の棒状部材31に対する第2の棒状部材32の固定力が向上する。このため、マーチングキャリア10を着用して動きながらマーチングドラム等の打楽器を演奏する場合であっても、上胴体部13aに対する下胴体部13bの回動位置を固定できると共に、肩当て38及び腹当て21の各位置を適切な位置に固定することができる。また、多板クラッチ43を構成する複数の摩擦板46を第2の棒状部材32の回動軸方向に重ねて配置することで、第1の棒状部材31と第2の棒状部材32との連結部付近の形状をコンパクトにすることができる。
【0076】
(9)キャリア本体13は、複数本の棒状部材からなりかつ全体として環状をなす骨格部分30を有している。この構成によれば、略U字状の棒状部材からなるキャリア本体13と比較して、ねじれに対する強度が向上する。これにより、左右一対の本体調節機構34の回動軸がずれ難くなるため、上胴体部13aに対する下胴体部13bの回動位置を調節する操作がスムーズに行える。同様に、左右一対の背面部調節機構35の回動軸もずれ難くなるため、上胴体部13aに対する背面部13cの回動位置を調節する操作もスムーズに行える。
【0077】
(10)楽器支持部材14は、支持ロッド50を介して固定アッセンブリ15に固定されることで、キャリア本体13の下胴体部13bに直接取り付けられている。この構成によれば、楽器支持部材14を腹板12に固定する従来構成に代えて、楽器支持部材14をキャリア本体13に固定することで、腹板12に要求される強度を下げることができる。これにより、腹板12の薄肉化や材料選択が容易となり、マーチングキャリア10の軽量化が容易となる。また、楽器支持部材14をキャリア本体13に固定することで、楽器支持部材14が演奏者の身体の中心付近に配置される。このため、マーチングキャリア10を着用して動きながら楽器を演奏する場合に、楽器支持部材14により演奏者の脚の動きが妨げられることもない。
【0078】
(11)固定アッセンブリ15は、固定ベース55と第1の固定具56との間に第2の棒状部材32を固定可能に構成されている。この構成によれば、固定ベース55に対する第1の固定具56の固定力を弱めることで、第2の棒状部材32に対して固定アッセンブリ15を楽器支持部材14と共に移動させることができる。また、固定ベース55と第1の固定具56との間に第2の棒状部材32を固定することで、第2の棒状部材32に対して固定アッセンブリ15を楽器支持部材14と共に固定することができる。このようにして、固定ベース55に対する第2の棒状部材32の固定力を調整することで、打楽器を身体の前方で支持した状態で、打楽器の上下方向の位置を調整することができる。また、固定ベース55と第1の固定具56との間に第2の棒状部材32を固定することで、キャリア本体13の構造が補強されるため、ねじれに対する強度がより一層向上する。
【0079】
(12)固定アッセンブリ15は、第3の固定具58により腹板12に対して固定可能に構成されている。この構成によれば、固定アッセンブリ15により、楽器支持部材14をキャリア本体13に固定するだけでなく、キャリア本体13を腹板12に固定することもできる。これにより、楽器支持部材14とキャリア本体13と腹板12とを組み付けるのに要する部品の数を少なくすることができる。よって、マーチングキャリア10の軽量化が容易となる。
【0080】
(13)腹板12の中央には、マーチングキャリア10との固定に用いられる挿通孔12aが形成されている。挿通孔12aは、腹板12の上端付近から下端付近かけて直線状に延びている。この構成によれば、腹板12に対する第3の固定具58の固定力を弱めることで、挿通孔12aが延びる上下方向に、第2の棒状部材32に対して腹板12を移動させることができる。また、腹板12に第3の固定具58を固定することで、第2の棒状部材32に対して腹板12を固定することができる。このようにして、腹板12に対する第3の固定具58の固定力を調整することで、楽器支持部材14の上下方向の位置を維持したまま、腹板12の上下方向の位置を単独で調整することができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明のマーチングキャリア70を具体化した第2実施形態について
図7~
図8(b)を参照して説明する。第2実施形態における第1実施形態と同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0082】
図7に示すように、マーチングキャリア70は、腹板12と、キャリア本体13と、上支持部材71と、下支持部材72と、固定アッセンブリ15とを備えている。腹板12、キャリア本体13及び下支持部材72は、固定アッセンブリ15を用いて一体に組み付けられている。上支持部材71は、キャリア本体13の下胴体部13bに直接組み付けられている。マーチングキャリア70は、演奏者の身体に着用されると共に、身体の前方でバスドラム等の縦置きドラムを支持するための器具として用いられている。
【0083】
図7、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、バスドラム80は、筒状のシェル81と、シェル81の開口端に取着されるヘッド82とを備えている。また、バスドラム80は、シェル81の外周面に、上支持部材71に連結される連結軸84を有している。マーチングキャリア70は、シェル81の軸線を水平にして配置すると共に、シェル81上の第1の位置P1と第2の位置P2との2箇所で、バスドラム80を支持するように構成されている。連結軸84は、シェル81上の第1の位置P1に固定されている。
【0084】
上支持部材71は、バスドラム80が連結される表面部材73と、表面部材73が固定される裏面部材77とを備えている。表面部材73は、長方形状のプレート73aと、プレート73aの両端部に固定された一対のフック74とを備えている。各フック74の上面には、上方に開口する嵌合凹部74aが形成されている。両嵌合凹部74aには、バスドラム80の連結軸84が嵌め込まれる。上支持部材71の中央には、上下一対のボルト76が挿入されている。両ボルト76は、裏面部材77の裏側に配置された図示しないナットに螺合されている。
【0085】
裏面部材77は、長方形状のプレートからなる。裏面部材77の中央付近には、第2の棒状部材32が配置される左右一対の棒状部材固定凹部77aが形成されている。両棒状部材固定凹部77aは、互いに平行に配置されると共に上下方向にそれぞれ延びている。棒状部材固定凹部77aは、裏面部材77の一部を第2の棒状部材32の外周面に沿って略半円状に曲げることにより形成されている。裏面部材77は、両ボルト76がナットに締め付けられることにより、両棒状部材固定凹部77aと上支持部材71との間に第2の棒状部材32を挟持した状態で、上支持部材71の裏面に固定されている。
【0086】
下支持部材72は、一対の支持ロッド78からなる。支持ロッド78は、軸方向の中央付近で略L字状に曲げられている。支持ロッド78の先端には、ゴム製のキャップ79が装着されている。支持ロッド78は、キャップ79が装着されていない方の端部を固定ベース55と第2の固定具57との間の空間に配置した状態で、キャリア本体13の下胴体部13bに直接取り付けられている。支持ロッド78の先端は、シェル81上の第2の位置P2に当接される。
【0087】
次に、マーチングキャリア70の作用について、
図7、
図8(a)及び
図8(b)を参照して説明する。
図7、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、マーチングキャリア70は、バスドラム80をシェル81上の第1の位置P1で支持する上支持部材71と、第1の位置P1よりも下方の第2の位置P2でバスドラム80を支持する下支持部材72とを備えている。演奏者Pは、以下の手順に従って、バスドラム80の口径に合わせて、上支持部材71の上下方向の位置を調整したり、下支持部材72の上下方向の位置を調整したりする。このとき、演奏者Pは、マーチングキャリア70から受ける負担を軽減するように、上支持部材71及び下支持部材72の各位置をそれぞれ調整する。
【0088】
上支持部材71の位置を調整するため、両ボルト76を緩めることで、裏面部材77と表面部材73とにより第2の棒状部材32を挟持する力が弱められる。これにより、第2の棒状部材32、即ち、両方の肩から腹に向けて延びる一対の前延長部に対して上支持部材71が摺動可能となり、上支持部材71の上下方向の位置が調整可能となる。例えば、口径の大きいバスドラム80Lを支持する場合には、
図8(b)に示すように、上支持部材71の位置が、
図8(a)に示す位置よりも上方に設定される。上支持部材71の位置を調整した後は、両ボルト76を締め付けることで、裏面部材77と上支持部材71とにより第2の棒状部材32を挟持する力が強められる。これにより、第2の棒状部材32に対して上支持部材71が固定されて、上支持部材71の上下方向の位置が固定される。
【0089】
また、下支持部材72の位置を調整するため、両ボルト63を緩めることで、固定ベース55と第2の固定具57とにより支持ロッド78を挟持する力が弱められる。これにより、固定アッセンブリ15に対して支持ロッド78が移動可能となり、支持ロッド78の上下方向の位置が調整可能となる。例えば、口径の大きいバスドラム80Lを支持する場合には、
図8(b)に示すように、支持ロッド78の位置が、
図8(a)に示す位置よりも下方に設定される。支持ロッド78の位置を調整した後は、両ボルト63を締め付けることで、固定ベース55と第2の固定具57とにより支持ロッド78を挟持する力が強められる。これにより、両支持ロッド78の上下方向の位置が固定される。
【0090】
従って、第2記実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)マーチングキャリア10は、バスドラム80をシェル81上の第1の位置P1で支持する上支持部材71と、第1の位置P1よりも下方の第2の位置P2でバスドラム80を支持する下支持部材72とを備えている。上支持部材71は、両ボルト76を緩めることで、両方の肩から腹に向けて延びる一対の前延長部、即ち、第2の棒状部材32に対して摺動可能となる。この構成によれば、マーチングキャリア70により身体の前方で支持されるバスドラム80の口径に合わせて、第2の棒状部材32に対して上支持部材71を摺動させることができる。つまり、バスドラム80の口径に合わせて、上支持部材71の上下方向の位置を調整することができ、マーチングキャリア10により支持されるシェル81上の第1の位置を調整することができる。これにより、マーチングキャリア10からの荷重が身体の特定箇所に集中しないように、マーチングキャリア10により支持されるシェル81上の第1の位置と第2の位置との間隔を調整することができる。よって、マーチングキャリア10を着用してバスドラム80を演奏する場合であっても、演奏者がマーチングキャリア10から受ける負担を軽減することができる。
【0091】
(2)上支持部材71は、表面部材73と裏面部材77との間に第2の棒状部材32を固定可能に構成されている。これにより、裏面部材77と表面部材73とにより第2の棒状部材32を挟持する力が弱められたり強められたりするため、第2の棒状部材32に対して上支持部材71を摺動させたり固定したりすることができる。また、これにより、身体の前方で支持されるバスドラム80の口径に合わせて、マーチングキャリア10により支持されるシェル81上の第1の位置と第2の位置との間隔を容易に調整することができる。また、この構成によれば、キャリア本体13の両側部に左右一対の上支持部材71を設けた構成と比較して、部品の数を少なくすることができる。よって、マーチングキャリア10の軽量化が容易となる。
【0092】
上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態において、キャリア本体13は、上胴体部13aに対する下胴体部13bの位置を調整可能に構成されている。これに代えて、上胴体部13aを2つ以上の胴体部に分割したり、下胴体部13bを2つ以上の胴体部に分割したりしてもよい。この場合、上胴体部13aにおいて、2つ以上の胴体部の各位置を調整可能に構成してもよい。また、下胴体部13bにおいて、2つ以上の胴体部の各位置を調整可能に構成してもよい。
【0093】
・上記各実施形態において、本体調節機構34は、上胴体部13aに対して下胴体部13bを回動可能に連結している。これに代えて、本体調節機構34は、上胴体部13aに対して下胴体部13bを、第2の棒状部材32の軸線に沿って摺動可能に連結してもよい。この場合、上胴体部13aに対する下胴体部13bの軸線方向の位置を調整することで、キャリア本体13の形状を変更することができる。
【0094】
・上記各実施形態において、キャリア本体13から、背面部13c及び背面部調節機構35を省略してもよい。つまり、キャリア本体13は、上胴体部13aと下胴体部13bとから構成してもよい。
【0095】
・上記各実施形態において、背面部調節機構35は、上胴体部13aに対して背面部13cを回動可能に連結している。これに代えて、背面部調節機構35は、上胴体部13aに対して背面部13cを、第3の棒状部材33の軸線に沿って摺動可能に連結してもよい。この場合、上胴体部13aに対する背面部13cの軸線方向の位置を調整することで、キャリア本体13の形状を変更することができる。
【0096】
・上記各実施形態において、本体調節機構34は、平面視で第1の棒状部材31と第2の棒状部材32とを同一直線上に配置した状態で連結している。これに代えて、本体調節機構34は、平面視で第1の棒状部材31と第2の棒状部材32とを同一直線上に配置せず、第2の棒状部材32の軸線と交差する方向にオフセットした状態で連結してもよい。
【0097】
・上記各実施形態において、本体調節機構34から多板クラッチ43を省略してもよい。例えば、本体調節機構34においては、第1の連結部41bと第2の連結部42bとの圧接により、第1の棒状部材31に対する第2の棒状部材32の回動位置を固定してもよい。
【0098】
・上記各実施形態において、骨格部分30は、全体として環状である。これに代えて、キャリア本体13から背面部13cを省略することで、骨格部分30は、全体としてU字状であってもよい。
【0099】
・上記各実施形態において、楽器支持部材14は、支持ロッド50を介して固定アッセンブリ15に固定されることで、キャリア本体13の下胴体部13bに直接取り付けられている。これに代えて、楽器支持部材14は、固定アッセンブリ15を用いずに、腹板12に取り付けてもよい。
【0100】
・上記各実施形態において、腹板12の中央に形成した挿通孔12aは、腹板12の上端付近から下端付近かけて直線状に延びている。これに代えて、挿通孔12aを丸孔としてもよい。この場合、マーチングキャリア10において、腹板12の上下方向の位置を調整する機構が省略される。
【0101】
・第2実施形態において、上支持部材71は、両ボルト76を緩めることで、第2の棒状部材32に対して摺動可能とした。これに代えて、第2の棒状部材32において、複数の異なる上下方向の位置に固定孔を形成し、第2の棒状部材32に対する上支持部材71の固定位置を変更可能としてもよい。
【0102】
・上記各実施形態において、マーチングキャリア10、70は、マーチングドラム等の打楽器以外の任意の楽器、例えば、木琴や鉄琴や鍵盤楽器を支持するための器具として用いてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10、70…マーチングキャリア、12…腹板、12a…挿通孔、13…キャリア本体、13a…上胴体部、13b…下胴体部、13c…背面部、14…楽器支持部材、15…固定アッセンブリ、21…腹当て、30…骨格部分、31…第1の棒状部材、32…第2の棒状部材、34…本体調節機構、35…背面部調節機構、38…肩当て、43…多板クラッチ、46…摩擦板、55…固定ベース、56…第1の固定具、71…上支持部材、72…下支持部材、73…表面部材、75…裏面部材、80…バスドラム、81…シェル。