IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オーセンアライアンスの特許一覧

<>
  • 特許-水濾過システム及び水濾過方法 図1
  • 特許-水濾過システム及び水濾過方法 図2
  • 特許-水濾過システム及び水濾過方法 図3
  • 特許-水濾過システム及び水濾過方法 図4
  • 特許-水濾過システム及び水濾過方法 図5
  • 特許-水濾過システム及び水濾過方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】水濾過システム及び水濾過方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20240111BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20240111BHJP
   B01D 61/46 20060101ALI20240111BHJP
   B01D 61/54 20060101ALI20240111BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20240111BHJP
   C02F 1/469 20230101ALI20240111BHJP
   C02F 1/60 20230101ALI20240111BHJP
   C02F 9/00 20230101ALI20240111BHJP
【FI】
C02F1/44 H
B01D61/02
B01D61/46
B01D61/54 500
B01D61/58
C02F1/469
C02F1/60
C02F9/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021160696
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2022063235
(43)【公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2020170976
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517363838
【氏名又は名称】株式会社オーセンアライアンス
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匡也
(72)【発明者】
【氏名】田村 紘史
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-290775(JP,A)
【文献】特開昭57-171485(JP,A)
【文献】特開2015-029934(JP,A)
【文献】特開2015-029931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
C02F 1/469
C02F 1/60
C02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過システムであって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と
前記濾過部で生成される前記濾過排水を前記電気透析部の前段で貯留する濾過排水槽と、
前記電気透析部で生成される再生水を流す経路である再生水経路を分岐する分岐部と
を備え、
前記電気透析部は、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である前記再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ
前記電気透析部は、
極性転換方式での電気透析を行うEDR装置と、
前記EDR装置の電極へ電力を供給する電源部と
を有し、
前記分岐部は、前記再生水経路について、
前記再生水を前記原水と合流させる経路である合流経路と、
前記再生水を前記原水と合流させずに前記濾過排水槽に戻す経路である戻経路と
に分岐させ、
前記電源部は、予め設定されたタイミング毎に、前記EDR装置の電極へ供給する電力の極性を反転し、
前記電源部が前記電力の極性を反転した後、予め設定された期間の間、前記分岐部は、前記再生水について、前記合流経路には流さずに、前記戻経路に流すことを特徴とする水濾過システム。
【請求項2】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過システムであって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と、
前記濾過部で生成される前記濾過排水を前記電気透析部の前段で貯留する濾過排水槽と、
前記電気透析部で生成される再生水を流す経路である再生水経路を分岐する分岐部と
を備え、
前記電気透析部は、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である前記再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ、
前記電気透析部は、極性転換方式での電気透析を行うEDR装置を有し、
前記分岐部は、前記再生水経路について、
前記再生水を前記原水と合流させる経路である合流経路と、
前記再生水を前記原水と合流させずに前記濾過排水槽に戻す経路である戻経路と
に分岐させ、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行している濾過実行時において、前記分岐部は、前記再生水を前記合流経路に流すことで、前記濾過部での濾過が行われる前の前記原水に合流させ、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行していない濾過非実行時において、前記分岐部は、前記再生水について、前記合流経路には流さずに、前記戻経路に流すことを特徴とする水濾過システム。
【請求項3】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過システムであって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と、
前記原水に合流する前再生水を濾過する再生水濾過部と、
前記電気透析部と前記再生水濾過部との間で前記再生水にシリカ分散剤を投入する分散剤投入部と
を備え、
前記電気透析部は、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である前記再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ、
前記再生水濾過部は、前記再生水を濾過することで、前記再生水に含まれるシリカの除去を行うことを特徴とする水濾過システム。
【請求項4】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過システムであって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と、
前記濾過部に供給される前の前記原水を貯留する原水槽と、
前記濾過部で生成される前記濾過排水を前記電気透析部の前段で貯留する濾過排水槽と
を備え、
前記電気透析部は、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行する前に、
前記濾過排水槽は、外部から供給される前記原水を貯留し、
前記電気透析部は、前記濾過排水槽から供給される前記原水に対して電気透析を行うことで、前記原水に含まれる不純物を減少させ、かつ、不純物が減少した前記原水を、前記原水槽へ供給し、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行する濾過実行時において、
前記濾過部は、前記原水槽から供給される前記原水を濾過し、前記濾過排水について、前記濾過排水槽へ供給し、
前記電気透析部は、前記濾過排水槽から供給される前記濾過排水から前記再生水を生成して、前記再生水を前記原水槽へ供給することで、前記再生水を前記原水に合流させることを特徴とする水濾過システム。
【請求項5】
前記電気透析部は、極性転換方式での電気透析を行うEDR装置を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の水濾過システム。
【請求項6】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過方法であって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と
前記濾過部で生成される前記濾過排水を前記電気透析部の前段で貯留する濾過排水槽と、
前記電気透析部で生成される再生水を流す経路である再生水経路を分岐する分岐部と
を用い、
前記電気透析部において、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である前記再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ
前記電気透析部は、
極性転換方式での電気透析を行うEDR装置と、
前記EDR装置の電極へ電力を供給する電源部と
を有し、
前記分岐部において、前記再生水経路について、
前記再生水を前記原水と合流させる経路である合流経路と、
前記再生水を前記原水と合流させずに前記濾過排水槽に戻す経路である戻経路と
に分岐させ、
前記電源部において、予め設定されたタイミング毎に、前記EDR装置の電極へ供給する電力の極性を反転し、
前記電源部が前記電力の極性を反転した後、予め設定された期間の間、前記分岐部において、前記再生水について、前記合流経路には流さずに、前記戻経路に流すことを特徴とする水濾過方法。
【請求項7】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過方法であって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と、
前記濾過部で生成される前記濾過排水を前記電気透析部の前段で貯留する濾過排水槽と、
前記電気透析部で生成される再生水を流す経路である再生水経路を分岐する分岐部と
を用い、
前記電気透析部において、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である前記再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ、
前記電気透析部は、極性転換方式での電気透析を行うEDR装置を有し、
前記分岐部において、前記再生水経路について、
前記再生水を前記原水と合流させる経路である合流経路と、
前記再生水を前記原水と合流させずに前記濾過排水槽に戻す経路である戻経路と
に分岐させ、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行している濾過実行時に、前記分岐部において、前記再生水を前記合流経路に流すことで、前記濾過部での濾過が行われる前の前記原水に合流させ、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行していない濾過非実行時に、前記分岐部において、前記再生水について、前記合流経路には流さずに、前記戻経路に流すことを特徴とする水濾過方法。
【請求項8】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過方法であって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と、
前記原水に合流する前の再生水を濾過する再生水濾過部と、
前記電気透析部と前記再生水濾過部との間で前記再生水にシリカ分散剤を投入する分散剤投入部と
を用い、
前記電気透析部において、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である前記再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ、
前記再生水濾過部において、前記再生水を濾過することで、前記再生水に含まれるシリカの除去を行うことを特徴とする水濾過方法。
【請求項9】
逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過方法であって、
濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、
前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部と、
前記濾過部に供給される前の前記原水を貯留する原水槽と、
前記濾過部で生成される前記濾過排水を前記電気透析部の前段で貯留する濾過排水槽と
を用い、
前記電気透析部において、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、
前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、
前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である再生水と
を生成し、
前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させ、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行する前に、
前記濾過排水槽において、外部から供給される前記原水を貯留し、
前記電気透析部において、前記濾過排水槽から供給される前記原水に対して電気透析を行うことで、前記原水に含まれる不純物を減少させ、かつ、不純物が減少した前記原水を、前記原水槽へ供給し、
前記濾過部において前記原水に対する濾過を実行する濾過実行時に、
前記濾過部において、前記原水槽から供給される前記原水を濾過し、前記濾過排水について、前記濾過排水槽へ供給し、
前記電気透析部において、前記濾過排水槽から供給される前記濾過排水から前記再生水を生成して、前記再生水を前記原水槽へ供給することで、前記再生水を前記原水に合流させることを特徴とする水濾過方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水濾過システム、水濾過方法、及び排水濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な分野で、水を濾過する水処理システムが用いられている。また、このような水処理システムに関し、従来、逆浸透膜を用いて水を濾過する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-151623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
逆浸透膜を用いて水を濾過する場合、逆浸透膜の構成上、逆浸透膜を透過する水以外に、不純物が濃縮された排水が発生することになる。また、この排水の量は、逆浸透膜を透過する水の量に対し、例えば2~3割程度以上の多くの量になる。そして、この場合、逆浸透膜での濾過対象の水である原水の量に対し、濾過で得られる水の量が小さくなることで、原水の利用効率が低下することになる。また、例えば原水の水質等によっては、多くの排水が生じることで、様々な問題が生じる場合もある。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる水濾過システム、水濾過方法、及び排水濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の発明者は、逆浸透膜を用いて水を濾過する構成において、逆浸透膜で生じる排水をそのままシステムの外部へ排出するのではなく、少なくとも排水の一部について、システム内で再利用することを考えた。また、このような構成に関し、例えばEDR装置等の電気的な透析を行う装置を用いて、逆浸透膜で生じる排水を濃縮することを考えた。この場合、例えば、濃縮された後の排水のみをシステムの外部へ排出することで、原水として供給された水の中から利用されずに廃棄される排水の量を適切に低減することができる。また、この場合、EDR装置等で排水を濃縮する動作に伴い、不純物が濃縮された排水の他に、不純物が減らされた水が生成されることになる。そして、この水については、例えば、原水に合流させることで、逆浸透膜での濾過用の水として再利用することが可能になる。そのため、このように構成すれば、例えば、原水の利用効率を適切に高めることが可能になる。
【0006】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過システムであって、濾過対象の水である原水に対して前記逆浸透膜を用いて濾過を行う濾過部と、前記濾過部において前記逆浸透膜を透過しなかった水である濾過排水に対して電気透析を行う電気透析部とを備え、前記電気透析部は、前記濾過排水に対して電気透析を行うことで、前記濾過排水に含まれる不純物が濃縮された排水である濃縮排水と、前記濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である再生水とを生成し、前記再生水について、前記濾過部へ供給される前記原水に合流させることを特徴とする。
【0007】
このように構成すれば、例えば、水を濾過するシステムの外部へ排出される排水の量を適切に低減することができる。また、これにより、例えば、原水の利用効率を適切に高めることができる。また、この構成において、電気透析部は、例えば、極性転換方式での電気透析を行うEDR装置を有する。このように構成すれば、例えば、電気透析部において、濾過排水の濃縮等を適切に行うことができる。
【0008】
この構成において、水濾過システムは、例えば、濾過部に供給される前の原水を貯留する原水槽を備えることが好ましい。また、水濾過システムは、例えば、濾過部で生成される濾過排水を電気透析部の前段で貯留する濾過排水槽を更に備えることが好ましい。原水槽を用いることで、例えば、濾過部に対し、原水を安定かつ適切に供給することができる。また、濾過排水槽を用いることで、例えば、電気透析部に対し、濾過排水を安定かつ適切に供給することができる。
【0009】
また、電気透析部において、極性転換方式での電気透析を行う場合、例えば極性を切り替わった直後等の一部のタイミングにおいて、再生水に含まれる不純物が一時的に多くなること等も考えられる。そして、この場合、例えば、再生水について、一時的に、原水に合流させるのではなく、濾過排水槽へ戻すこと等も考えられる。より具体的に、この場合、水濾過システムは、例えば、電気透析部で生成される再生水を流す経路である再生水経路を分岐する分岐部を更に備える。分岐部は、再生水経路について、例えば、再生水を原水と合流させる経路である合流経路と、再生水を原水と合流させずに濾過排水槽に戻す経路である戻経路とに分岐させる。また、この場合、電気透析部は、例えば、EDR装置と、EDR装置の電極へ電力を供給する電源部を有する。そして、電源部は、例えば、予め設定されたタイミング毎に、EDR装置の電極へ供給する電力の極性を反転する。また、電源部が電力の極性を反転した後、予め設定された期間の間、分岐部は、再生水について、合流経路には流さずに、戻経路に流す。このように構成すれば、例えば、不純物の多い再生水が原水に混ざることを適切に防止することができる。また、不純物が多い再生水について、濾過排水槽に戻すことで、その後に改めて、EDR装置での不純物の除去を行うことができる。
【0010】
また、分岐部については、例えば、濾過実行時と濾過非実行時とで再生水を流す経路を異ならせること等も考えられる。この場合、濾過実行時については、例えば、濾過部において原水に対する濾過を実行しているタイミング等と考えることができる。また、濾過非実行時については、例えば、濾過部において原水に対する濾過を実行していないタイミング等と考えることができる。より具体的に、この場合、濾過実行時において、分岐部は、例えば、再生水を合流経路に流すことで、濾過部での濾過が行われる前の原水に再生水を合流させる。また、濾過非実行時において、分岐部は、例えば、再生水について、合流経路には流さずに、戻経路に流して、濾過排水槽へ戻す。このように構成すれば、例えば、濾過非実行時に電気透析部に対して繰り返して水を通すことで、水中の不純物を除去しつつ、EDR装置におけるイオン交換膜を清浄化することができる。また、これにより、例えば、その後の濾過実行時において、再生水の生成をより適切に行うことができる。
【0011】
また、この構成において、電気透析については、例えば、陽イオン又は陰イオンのような極性を有する物質を除去するのに適した構成であると考えることができる。そして、この場合、再生水において、シリカ等の不純物の含有量が多めになること等も考えられる。そのため、再生水に対しては、例えば、原水と合流させる前に、シリカの除去を行うことがより好ましい。この場合、水濾過システムは、例えば、再生水濾過部及び分散剤投入部を更に備える。分散剤投入部は、例えば、電気透析部と再生水濾過部との間で、再生水にシリカ分散剤を投入する。再生水濾過部は、例えば、原水に合流する前の再生水を濾過して、再生水に含まれるシリカの除去を行う。このように構成すれば、例えば、シリカの含有量が多い再生水が原水に合流することを適切に防止することができる。
【0012】
また、原水槽及び濾過排水槽を用いる場合、原水について、水濾過システムの外部から原水槽へ直接供給するのではなく、例えば、電気透析部を介して、原水槽へ原水を供給すること等も考えられる。このように構成した場合、例えば、原水槽に原水を導入する前に、電気透析部で原水中の不純物の少なくとも一部を除去することができる。また、この場合、例えば、水濾過システムの外部から導入される原水を濾過排水槽に一旦貯留することで、例えば、濾過排水から再生水を生成する場合と同様にして、原水中の不純物を除去することができる。また、より具体的に、この場合、例えば、濾過部において原水に対する濾過を実行する前に、濾過排水槽は、外部から供給される原水を貯留する。そして、電気透析部は、例えば、濾過排水槽から供給される原水に対して電気透析を行うことで、原水に含まれる不純物を減少させ、かつ、不純物が減少した原水を、原水槽へ供給する。このように構成すれば、例えば、濾過部へ供給する原水として、より不純物が少ない水を使用することができる。また、この場合、濾過部において原水に対する濾過を実行する濾過実行時において、濾過部は、例えば、原水槽から供給される原水を濾過し、濾過排水について、濾過排水槽へ供給する。そして、電気透析部は、例えば、濾過排水槽から供給される濾過排水から再生水を生成して、再生水を原水槽へ供給することで、再生水を原水に合流させる。このように構成すれば、例えば、濾過実行時において、濾過排水から再生水を適切に生成することができる。また、この場合、濾過部での濾過を行う前に原水の清浄度を高めることが可能になるため、例えば原水槽へ直接に原水を導入する場合等と比べて、より清浄度が低い水を原水として使用すること等も可能になる。
【0013】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する水濾過方法や、水濾過システムにおける排水濃縮装置の構成等を考えることもできる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、逆浸透膜を用いて水を濾過する水濾過システムにおいて、原水の利用効率を適切に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る水処理システム10の要部の構成の一例を示す図である。
図2】逆浸透膜部20の構成の一例を示す図である。
図3】排水リカバリ部26の構成の一例を示す図である。
図4】EDR部202について更に詳しく説明をする図である。図4(a)、(b)は、EDR部202の要部の構成と、電極の極性毎のEDR部202の動作の例を示す。
図5】水処理システム10の構成の変形例を示す図である。
図6】水処理システム10の構成の更なる変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る水処理システム10の要部の構成の一例を示す。本例において、水処理システム10は、逆浸透膜(RO膜)を用いて水を濾過する水濾過システムの一例であり、原水槽12、ポンプ14、活性炭塔16、ポンプ18、逆浸透膜部20、処理水槽22、濃縮水回収槽24、及び排水リカバリ部26を備える。また、以下において説明をする点を除き、水処理システム10は、公知の水処理システムと同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、水処理システム10は、図示した構成以外に、公知の水処理システムと同一又は同様の構成を更に有してよい。
【0017】
原水槽12は、水処理システム10の外部から供給される原水を貯留する貯水槽である。また、本例において、原水槽12については、例えば、逆浸透膜部20に供給される前の原水を貯留する貯留部等と考えることができる。原水については、例えば、濾過対象の水等と考えることができる。原水としては、例えば、工業用水や水道水等を好適に用いることができる。また、原水槽12としては、例えば、10000L程度(例えば、5000~20000L程度)の水を貯留する貯水槽を用いることが考えられる。原水槽12を用いることで、例えば、逆浸透膜部20に対し、原水を安定かつ適切に供給することができる。ポンプ14は、原水槽12に貯留されている原水を活性炭塔16へ供給するポンプである。本例において、ポンプ14は、原水槽12に貯留されている水を上方へ汲み上げて、活性炭塔16の上方から活性炭塔16へ供給する。
【0018】
活性炭塔16は、内部に活性炭が充填された筒状体であり、ポンプ14によって原水槽12から供給される原水を通過させることで、原水中の不純物を除去する。活性炭塔16を用いることで、例えば、逆浸透膜部20において逆浸透膜を用いた濾過を行う前に、原水中の不純物を減らすことができる。また、本例において、活性炭塔16は、通過後の原水を、ポンプ18へ供給する。ポンプ18は、活性炭塔16を通過した後の原水を逆浸透膜部20へ送り出すポンプである。また、本例において、ポンプ18は、インバータ制御によって送水の圧力を調整可能なポンプであり、逆浸透膜部20における逆浸透膜に対して原水を透過させるための所定の圧力を加えつつ、原水を逆浸透膜部20へ供給する。
【0019】
逆浸透膜部20は、濾過部の一例であり、ポンプ14、活性炭塔16、及びポンプ18を介して原水槽12から供給される原水に対して、逆浸透膜を用いて、水の濾過を行う。この場合、逆浸透膜部20における逆浸透膜は、逆浸透膜部20へ供給される原水の一部を透過する。また、これにより、逆浸透膜は、逆浸透膜を透過しなかった水の中に不純物を濃縮する。この場合、この不純物については、例えば、逆浸透膜部20へ供給される原水が含む異物等と考えることができる。また、この不純物について、例えば、逆浸透膜を透過しない性質の異物等と考えることもできる。
【0020】
また、本例においては、逆浸透膜部20において逆浸透膜を透過した後の水について、逆浸透膜部20での濾過処理で生成される処理水と考えることができる。また、浸透膜を透過しなかった水について、逆浸透膜での濾過処理によって不純物が濃縮される濾過排水と考えることができる。また、本例において、逆浸透膜部20は、処理水を処理水槽22へ供給し、濾過排水を濃縮水回収槽24へ供給する。逆浸透膜部20の構成については、後に更に詳しく説明をする。
【0021】
処理水槽22は、逆浸透膜部20で生成される処理水を貯留する貯水槽である。処理水槽22としては、例えば、10000L程度(例えば、5000~20000L程度)の水を貯留する貯水槽を用いることが考えられる。また、本例において、処理水槽22は、処理水を利用する装置と接続されており、例えばその装置からの要求に応じて、処理水を送水する。処理水を利用する装置としては、例えば、処理水をボンベ等に充填する装置等を用いることが考えられる。
【0022】
濃縮水回収槽24は、逆浸透膜部20で生成される濾過排水を貯留する貯水槽である。濃縮水回収槽24としては、例えば、10000L程度(例えば、5000~20000L程度)の水を貯留する貯水槽を用いることが考えられる。また、本例において、濃縮水回収槽24は、濾過排水槽の一例であり、逆浸透膜部20で生成される濾過排水を排水リカバリ部26の前段で貯留して、順次、排水リカバリ部26へ濾過排水を供給する。濃縮水回収槽24を用いることで、例えば、排水リカバリ部26へ安定して濾過排水を供給することができる。
【0023】
排水リカバリ部26は、濾過排水の一部を再生するための構成であり、濾過排水に含まれる不純物が更に濃縮された排水である濃縮排水と、濾過排水に含まれる不純物が減らされた水である再生水とを生成する。また、本例において、排水リカバリ部26は、排水濃縮装置の一例であり、濃縮排水について、水処理システム10で生じる排水として、水処理システム10の外部へ排出する。また、排水リカバリ部26は、再生水を原水槽12へ供給する。これにより、排水リカバリ部26は、再生水について、逆浸透膜部20へ供給される原水に合流させる。また、本例において、排水リカバリ部26は、電気透析部の一例であり、濾過排水に対して電気透析を行うことで、濃縮排水及び再生水を生成する。排水リカバリ部26の構成については、後に更に詳しく説明をする。
【0024】
本例によれば、例えば、水処理システム10の外部へ排出する排水の量について、逆浸透膜部20で生じる濾過排水よりも少ない濃縮排水の量に低減することができる。また、これにより、例えば、原水の利用効率を適切に高めることができる。また、より具体的に、本例の水処理システム10で処理する水の量としては、例えば図1に一例として示すように、原水槽12から逆浸透膜部20へ供給する原水の量を13m/h程度とすることが考えられる。この場合、例えば、逆浸透膜部20で生成する処理水の量が10m/h程度になり、逆浸透膜部20で生じる濾過排水の量が3m/h程度になることが考えられる。また、排水リカバリ部26で生成する再生水の量については、例えば、2.7m/h程度にすることが考えられる。そして、この場合、排水リカバリ部26で生成する濃縮排水の量は、0.3m/h程度になる。このように、本例によれば、水処理システム10の外部へ排出する濃縮排水の量について、例えば、逆浸透膜部20で生じる濾過排水の量の1/10程度に低減することができる。
【0025】
また、この場合、排水リカバリ部26の動作について、例えば、逆浸透膜部20で生成される濾過排水の量の1割程度(例えば0.05~0.2倍程度、好ましくは、0.08~0.12倍程度)の量の濃縮排水を生成していると考えることができる。また、再生水の量に着目した場合、排水リカバリ部26の動作について、例えば、濾過排水の量の9割程度(例えば、0.8倍以上、好ましくは、0.85~0.95倍程度)の量の再生水を生成していると考えることができる。
【0026】
また、上記においても説明をしたように、水処理システム10は、図1に図示した構成以外の構成を更に備えてもよい。この場合、例えば、逆浸透膜部20へ供給される原水の流路において各種の薬剤等を投入する投入機やフィルタ等を更に用いること等が考えられる。また、このような投入機として、例えば、原水槽12とポンプ14との間の流路に次亜塩素化合物を投入する次亜塩素投入機や、ポンプ18と逆浸透膜部20との間の流路にシリカ分散剤を投入するシリカ分散投入機等を用いることが考えられる。また、フィルタとしては、例えば、活性炭塔16とポンプ18との間の流路に設けられるプレフィルタ等を用いることが考えられる。
【0027】
続いて、水処理システム10における逆浸透膜部20及び排水リカバリ部26の構成について、更に詳しく説明をする。図2は、逆浸透膜部20の構成の一例を示す。本例において、逆浸透膜部20は、前段で生じる排水を後段で濾過するように接続されている複数の濾過段102a~cを有し、複数の濾過段102a~cのそれぞれにおいて逆浸透膜112を用いて濾過を行う。また、これにより、逆浸透膜部20は、逆浸透膜部20へ供給される原水に対し、複数段階での濾過を行う。複数の濾過段102a~cのそれぞれにおける逆浸透膜112としては、公知の逆浸透膜を好適に用いることができる。
【0028】
また、複数の濾過段102a~cのうち、濾過段102aは、ポンプ18等を介して原水槽12(図1参照)から供給される原水を直接受け取って濾過する逆浸透膜112を有する。また、本例において、濾過段102aは、図中に示すように並列に接続された複数の逆浸透膜112を有する。そして、濾過段102aにおいていずれかの逆浸透膜112を透過した水は、処理水として、処理水槽22へ供給される。また、逆浸透膜112を透過しなかった排水は、次段の濾過段102bにおける逆浸透膜112へ供給される。
【0029】
濾過段102bは、複数の濾過段102a~cにおける中段の構成であり、前段の濾過段102aにおける逆浸透膜112で生じる排水を受け取って濾過する逆浸透膜112を有する。濾過段102bにおいても、逆浸透膜112を透過した水は、処理水として、処理水槽22へ供給される。また、逆浸透膜112を透過しなかった排水は、次段の濾過段102cにおける逆浸透膜112へ供給される。
【0030】
濾過段102cは、複数の濾過段102a~cにおける最終段の構成であり、前段の濾過段102bにおける逆浸透膜112で生じる排水を受け取って濾過する逆浸透膜112を有する。濾過段102cにおいても、逆浸透膜112を透過した水は、処理水として、処理水槽22へ供給される。また、逆浸透膜112を透過しなかった排水は、逆浸透膜部20で生じる濾過排水として、濃縮水回収槽24へ供給される。
【0031】
このように構成した場合、例えば、濾過段102aにおける逆浸透膜112で生じる排水の一部について、濾過段102b及び濾過段102cにおける逆浸透膜112を用いて、処理水に変えることができる。また、濾過段102bにおける逆浸透膜112で生じる排水の一部について、濾過段102cにおける逆浸透膜112を用いて、処理水に変えることができる。そのため、本例によれば、例えば、原水の利用効率をより適切に高めることができる。
【0032】
図3は、排水リカバリ部26の構成の一例を示す。本例において、排水リカバリ部26は、EDR部202、電源部204、及び複数のポンプ206、208を有する。EDR部202は、EDR装置の一例であり、ポンプ206を介して濃縮水回収槽24から供給される濾過排水に対して、極性転換方式での電気透析(electrodialysis reversal)を行う。これにより、EDR部202は、濾過排水から、濃縮排水及び再生水を生成する。また、上記においても説明をしたように、本例において、排水リカバリ部26は、再生水について、原水槽12へ供給する。また、濃縮排水について、水処理システム10の外部へ排出する。
【0033】
EDR部202としては、公知のEDR装置を好適に用いることができる。また、公知のEDR装置としては、例えば、スエズ社(Suez Water Technology & Solutions、米国オクラホマ)から販売されている電気透析脱塩装置EDR(例えば、GE 2020 EDR Systems)等を用いることが考えられる。極性転換方式での電気透析については、例えば、電極の極性を定期的に転換しつつ行う電気透析等と考えることができる。また、電気透析については、例えば、溶液中の溶解塩類をイオン交換膜で仕切られた部屋に供給し、他方の部屋にそのイオンを電気エネルギーにて移動させることで行う透析等と考えることができる。
【0034】
電源部204は、EDR部202へ電力を供給する電源である。EDR部202へ電力を供給することについては、例えば、EDR部202の電極へ電力を供給すること等と考えることができる。電源部204としては、例えば公知の直流電源ユニット等を好適に用いることができる。また、本例において、電源部204は、予め設定されたタイミング毎に、EDR部202の電極へ供給する電力の極性を定期的に反転する。この場合、例えば、一定の時間が経過する毎に、極性の反転をすることが考えられる。ポンプ206は、濃縮水回収槽24に貯留されている濾過排水をEDR部202へ供給するためのポンプである。ポンプ206としては、例えば、インバータ制御によって送水の圧力を調整可能なポンプを用いることが好ましい。また、ポンプ208は、必要に応じてEDR部202内にある水を循環させるためのポンプである。
【0035】
本例によれば、EDR部202を用いることで、例えば、逆浸透膜部20で生じる濾過排水について、適切に濃縮して、濃縮排水を生成することができる。また、濃縮排水中に不純物を濃縮することで、例えば、不純物が減らされた再生水を適切に生成することができる。また、この場合、再生水を原水槽12へ供給し、濃縮排水を水処理システム10の外部へ排出することで、例えば、水処理システム10の外部へ排出する排水の量を適切に低減することができる。また、これにより、例えば、原水の利用効率を適切に高めることができる。
【0036】
また、EDR部202としては、例えば、図4に示す構成の装置を用いることが考えられる。図4は、EDR部202について更に詳しく説明をする図であり、EDR部202の構成及び動作の一例を示す。図4(a)、(b)は、EDR部202の要部の構成と、電極の極性毎のEDR部202の動作の例を示す。上記においても説明をしたように、EDR部202としては、公知のEDR装置を好適に用いることができる。また、図4においては、公知のEDR装置と同一又は同様の構成のEDR部202を用いる場合について、EDR部202の構成及び動作を、適宜簡略化して示している。EDR部202は、図示した構成以外に、公知のEDR装置と同一又は同様の構成を更に有してよい。また、以下において説明をするEDR部202の動作については、例えば、公知のEDR装置と同一又は同様の動作と考えることができる。また、EDR部202については、例えば、電極の極性と水の流路とを定期的に反転する自己洗浄機能を搭載し、電気とイオン交換膜の特性を利用して水に含まれる塩を除去する装置等と考えることができる。より具体的に、本例において、EDR部202は、液槽300、複数の電極302、304、複数の陰イオン交換膜306、複数の陽イオン交換膜308、及び複数の液室310を有する。
【0037】
液槽300は、電気透析での通電がされる液体を貯留する液体貯留部であり、濃縮水回収槽24(図1参照)から供給される水(濾過排水)を貯留する。この場合、液槽300に貯留される水について、例えば、EDR部202での処理対象となる水等と考えることができる。また、本例において、液槽300には、液槽300に水が入れられた場合に水に浸漬されるように、複数の電極302、304、複数の陰イオン交換膜306、及び複数の陽イオン交換膜308が配設される。
【0038】
複数の電極302、304は、液槽300内で水に浸漬される電気透析用の電極であり、電源部204(図3参照)に電気的に接続される。また、本例において、複数の電極302、304は、電源部204から供給される電力の極性に応じて、一方がプラス電極(陽極)になり、他方がマイナス電極(陰極)になる。また、この場合、電源部204から供給される電力の極性が反転する毎に、複数の電極302、304の極性が反転する。より具体的に、図4(a)においては、電極302の側がマイナス電極になり、電極304の側がプラス電極になっている状態を図示している。また、図4(b)においては、電極302の側がプラス電極になり、電極304の側がマイナス電極になっている状態を図示している。本例において、複数の電極302、304の極性は、図4(a)に示す状態と、図4(b)に示す状態とを交互に繰り返すように、変化する。
【0039】
複数の陰イオン交換膜306は、陰イオンを選択的に透過させるイオン透過膜である。複数の陽イオン交換膜308は、陽イオンを選択的に透過させるイオン透過膜である。複数の陰イオン交換膜306及び複数の陽イオン交換膜308のそれぞれは、電極302と電極304との間において、陰イオン交換膜306と陽イオン交換膜308とが互いに隣接するように、交互に並ぶ。また、これにより、それぞれの陰イオン交換膜306及び陽イオン交換膜308は、液槽300内の空間を仕切って、複数の液室310に分割する。
【0040】
複数の液室310のそれぞれは、液槽300の一部を構成する領域である。また、本例において、それぞれの液室310は、隣接する液室310との間が陰イオン交換膜306又は陽イオン交換膜308のいずれかにより仕切られた状態で、電極302と電極304との間において並ぶ。また、この場合、それぞれの液室310は、電極302の側の面が陰イオン交換膜306及び陽イオン交換膜308のうちの一方で仕切られ、電極304側の面が陰イオン交換膜306及び陽イオン交換膜308のうちの他方で仕切られることで、陰イオン交換膜306と陽イオン交換膜308とに挟まれた領域になる。
【0041】
このような構成のEDR部202に対し、電極302及び電極304のうちの一方がプラス電極になり、他方がマイナス電極になるように電力を供給した場合、液槽300内の水に含まれる陽イオンは、マイナス電極側へ向かう方向の力を受けることになる。また、陰イオンは、プラス電極側へ向かう方向の力を受けることになる。しかし、上記のように、液槽300内において、電極302と電極304との間は、複数の陰イオン交換膜306及び複数の陽イオン交換膜308により、仕切られている。また、陰イオン交換膜306は、陽イオンを透過させずに、陰イオンのみを透過させる。陽イオン交換膜308は、陰イオンを透過させずに、陽イオンのみを透過させる。そして、この場合、一部の液室310においては、水中の塩が除去される脱塩が行われ、他の液室310においては、塩の濃縮が行われることになる。
【0042】
より具体的に、例えば、図4(a)に示すように、電極302の側をマイナス電極とし、電極304の側をプラス電極とした場合、電極302の側に陽イオン交換膜308があり、電極304の側に陰イオン交換膜306がある液室310では、塩の成分の陽イオンが電極302側で隣接する液室310に移動し、塩の成分の陰イオンが電極304側で隣接する液室310に移動することで、脱塩が行われることになる。これに対し、電極302の側に陰イオン交換膜306があり、電極304の側に陽イオン交換膜308がある液室310では、陰イオン交換膜306又は陽イオン交換膜308を介して、隣接する液室310から、陰イオン又は陽イオンが流入することになる。そして、この液室310から電極302へ向かう陽イオンの移動は、陰イオン交換膜306によって遮断される。また、この液室310から電極304へ向かう陰イオンの移動は、陽イオン交換膜308によって遮断される。そのため、この液室310では、塩の濃縮が行われることになる。この場合、複数の液室310のうち、脱塩が行われる液室310について、例えば、脱塩室として機能すると考えることができる。また、塩の濃縮が行われる液室310について、例えば、濃縮室として機能すると考えることができる。また、複数の液室310について、例えば、電極302と電極304との間で、濃縮室と脱塩室とが交互に並ぶ構成になっていると考えることができる。また、この場合、複数の電極302、304の極性を反転して、例えば、図4(b)に示すように、電極302の側をプラス電極とし、電極304の側をマイナス電極とした場合、陰イオン及び陽イオンの移動の向きが、図4(a)に示す場合と反対になる。また、その結果、極性の反転前には脱塩室として機能していた液室310が、濃縮室として機能する。また、極性の反転前には濃縮室として機能していた液室310が、脱塩室として機能する。
【0043】
また、図4(a)、(b)のいずれに示す場合でも、EDR部202は、脱塩室として機能する液室310において、再生水を生成することになる。また、濃縮室として機能する液室310において、濃縮排水を生成することになる。そのため、本例によれば、例えば、逆浸透膜部20(図1参照)で生じる濾過排水から、再生水及び濃縮排水を適切に生成することができる。また、EDR部202は、生成される再生水及び濃縮水について、それぞれの液室310から、EDR部202の外部へ排出する。この場合、それぞれの液室310から水(再生水又は濃縮排水)を排出する先については、複数の電極302、304の極性に合わせて、適宜変更することが考えられる。また、これにより、本例において、EDR部202は、再生水について、脱塩室として機能する液室310から、原水槽12(図1参照)へ供給する。また、濃縮排水について、濃縮室として機能する液室310から、水処理システム10(図1参照)で生じる排水として、水処理システム10の外部へ排出する。
【0044】
ここで、上記のように、EDR部202では、例えば定期的に、電極の極性を反転する。この点に関し、例えば複数の液室310を脱塩室と濃縮室とに分けて脱塩と濃縮とを行うことのみを考えるのであれば、一見、極性の反転を行わなくてもよいようにも思われる。しかし、電気透析による脱塩及び濃縮について、例えば極性を反転させずに長時間にわたって行った場合、EDR部202の内部において汚れが蓄積され、EDR部202の機能低下が生じることが考えられる。より具体的に、この場合、例えば、濃縮室となる液室310や電極の近傍に炭酸カルシウムが固着することで、その塊であるスケールが蓄積されることが考えられる。また、例えば、スライム状の汚れが蓄積すること等も考えられる。そして、この場合、イオン交換膜や電極が汚れに覆われることで、例えば、イオンの流れが阻害され、脱塩及び濃縮を適切に行うことが難しくなることが考えられる。また、その結果、再生水の品質が低下すること等も考えられる。これに対し、本例においては、電極の極性を反転することで、電極等に汚れが蓄積されることを適切に防止することができる。また、例えば、電極の極性の反転によって脱塩室と濃縮室とを入れ替えることで、極性の反転の前に一時的に液室310に溜まった汚れについても、極性の反転後の動作により、適切に除去することができる。
【0045】
また、電極の極性を反転させるタイミングについては、例えば、汚れが蓄積されるスピードや、脱塩及び濃縮に要する時間に応じて決定することが考えられる。一例として、極性の反転については、例えば、10~15分程度の一定の時間毎に行うこと等が考えられる。また、本例において、上記のように汚れの蓄積を防止することについて、例えば、EDR部202が自己洗浄機能を有していると考えることもできる。また、EDR部202については、例えば、自己洗浄機能を有していることで、塩濃度の高い水の連続処理を可能とした装置になっていると考えることもできる。また、上記のように、EDR部202としては、公知のEDR装置を好適に用いることができる。また、EDR部202は、図4に示した構成に限らず、例えば公知のEDR装置と同一又は同様の構成を更に有してもよい。より具体的に、例えば、それぞれの液室310に対して、イオン交換樹脂(イオン交換体)を充填すること等も考えられる。この場合、イオン交換樹脂については、例えば、液室310内で一時的にイオンを捕捉する部材等と考えることができる。また、このようなイオン交換樹脂としては、例えば、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂とを混合した混床式の構成を用いることが考えられる。また、液室310内のイオン交換樹脂については、例えば、電極302、304への通電時に液槽300内で発生する水素イオン及び水酸化イオンによって自動的に適宜再生されると考えることができる。このように構成した場合、液室310を仕切る陰イオン交換膜306及び陽イオン交換膜308に加えてイオン交換樹脂を更に用いることで、例えば、EDR部202で処理可能な水(濾過排水)の電気伝導度の範囲について、より適切に広げること等も可能になる。
【0046】
続いて、上記において説明をした構成に関する補足説明や、変形例の説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例の水処理システム10では、逆浸透膜部20での濾過処理によって、水処理システム10での生産物となる処理水を生成する。この場合、処理水としては、例えば、所定の要求水準で不純物が除去された純水を生成することが考えられる。この場合、不純物については、例えば、水中の溶解物質や懸濁物質等と考えることができる。また、この純水については、例えば、飲料製造の原料や、工業用の精製水(高純度精製水)として用いることが考えられる。また、このような純水として、例えば、いわゆる超純水を生成すること等も考えられる。この場合、超純水としては、例えば、電気抵抗率が18MΩcm以上の水を生成することが考えられる。
【0047】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、逆浸透膜部20で生じる濾過排水に対し、排水リカバリ部26(図1参照)におけるEDR部202で脱塩及び濃縮を行うことで、再生水及び濃縮排水を生成する。また、これにより、水処理システム10から排出される排水の量を低減して、原水の利用率を高めている。そのため、本例の水処理システム10については、例えば、SDGsへの貢献度が高い構成等と考えることもできる。
【0048】
また、この点に関し、逆浸透膜部20で生じる濾過排水に対する濃縮等を行うことを考えた場合、一見すると、例えば、EDR部202を用いるのではなく、排水リカバリ部26でも逆浸透膜を用いて排水の濃縮を行えばよいようにも思われる。しかし、この場合、排水を適切に濃縮するためには、例えば、逆浸透膜部20における逆浸透膜と比べてより高い品質の逆浸透膜を用いることが必要になる。また、このような逆浸透膜に対し、既に塩濃度が高くなっている濾過排水を通すためには、例えば高い性能のポンプを用いて、高い圧力での送水を行うことが必要になると考えられる。そして、この場合、排水を濃縮するためのコストが大きく増大することが考えられる。また、この場合、高いコストをかけたとしても、逆浸透膜を用いることで、多くの濃縮排水が生じることが考えられる。これに対し、本例においては、EDR部202を用いて濾過排水に対する濃縮を行うことで、濾過排水に対する濃縮等をより適切に行うことができる。また、これにより、例えば、水処理システム10から排出される排水の量をより適切に低減して、原水の利用率をより適切に高めることができる。
【0049】
また、EDR部202を用いることの様々な利点を考えた場合、一見すると、例えば、逆浸透膜部20等を用いることなく、EDR装置のみで純水の生成等を行えばよいようにも思われる。しかし、EDR装置については、通常、ある程度の濃度の塩を含む水の処理に適していると考えることができる。そのため、大量の原水に対してEDR装置での処理を行おうとすると、処理対象の水の品質とEDR装置の性能とのミスマッチが生じること等が考えられる。また、この場合、例えば所望の品質の水を生成することが可能になったとしても、水処理システム10について、コスト高な構成になること等も考えられる。これに対し、本例においては、逆浸透膜部20における逆浸透膜と処理水槽22におけるEDR部202とを組み合わせて用いることで、上記のように、処理水の生成をより適切に行うことができる。
【0050】
また、水処理システム10の構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変更することもできる。図5は、水処理システム10の構成の変形例を示す。以下に説明をする点を除き、図5において、図1~4と同じ符号を付した構成は、図1~4における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。また、本変形例において、水処理システム10は、図1に示す構成に加え、分岐部32、分散剤投入部34、及び再生水濾過部36を更に備える。
【0051】
分岐部32は、排水リカバリ部26で生成される再生水を流す経路(流路)である再生水経路を分岐させる構成である。分岐部32としては、公知の分岐バルブ等を好適に用いることができる。また、本変形例において、分岐部32は、再生水経路について、合流経路と戻経路とに分岐させる。この場合、合流経路とは、再生水を原水と合流させる経路である。合流経路については、例えば、分岐部32から原水槽12へ再生水を流す経路等と考えることもできる。また、戻経路とは、再生水を原水と合流させずに濃縮水回収槽24に戻す経路である。戻経路については、例えば、分岐部32から濃縮水回収槽24へ再生水を流す経路等と考えることもできる。
【0052】
また、図1~4を用いて上記において説明をした場合と同様に、本変形例においても、排水リカバリ部26は、濃縮水回収槽24を介して逆浸透膜部20から受け取る濃縮排水に対し、図3に示す構成により、極性転換方式での電気透析を行う。また、この場合、排水リカバリ部26における電源部204(図3参照)は、予め設定されたタイミング毎に、排水リカバリ部26におけるEDR部202(図3参照)の電極へ供給する電力の極性を反転する。そして、この場合、例えば極性が切り替わった直後等の一部のタイミングにおいて、濃縮室と脱塩室とが入れ替わることで、再生水に含まれる不純物が一時的に多くなる場合がある。
【0053】
これに対し、本変形例では、再生物中の不純物が多くなるこのようなタイミングにおいて、再生水について、一時的に、原水に合流させるのではなく、濃縮水回収槽24へ戻す。より具体的に、本変形例において、電源部204が電力の極性を反転した後、予め設定された期間の間、分岐部32は、再生水について、合流経路には流さずに、戻経路に流す。この場合、分岐部32について、例えば、極性の反転の直後の再生水を戻経路に流していると考えることもできる。このように構成すれば、例えば、不純物の多い再生水が原水に混ざることを適切に防止することができる。また、不純物の多い再生水を濃縮水回収槽24に戻すことで、例えば、その後に改めて、EDR部202での不純物の除去を行うことができる。また、この場合、上記の予め設定された期間の経過後、分岐部32は、濃縮水回収槽24へ再生水を戻すのを停止して、原水槽12へ向けて原水を流す。このように構成すれば、例えば、再生水をより適切に再利用することができる。
【0054】
また、分岐部32での再生水の経路の切り替えについては、上記と異なるタイミングで行うことも考えられる。例えば、分岐部32において、濾過実行時と濾過非実行時とで、再生水を流す経路を異ならせること等も考えられる。この場合、濾過実行時については、例えば、逆浸透膜部20において原水に対する濾過を実行しているタイミング等と考えることができる。また、濾過非実行時については、例えば、逆浸透膜部20において原水に対する濾過を実行していないタイミング等と考えることができる。濾過非実行時については、例えば、逆浸透膜部20における逆浸透膜からの水の出力がないタイミング等と考えることもできる。また、より具体的に、この場合、濾過実行時において、分岐部32は、再生水を合流経路に流すことで、逆浸透膜部20での濾過が行われる前の原水に再生水を合流させる。また、濾過非実行時において、分岐部32は、再生水について、合流経路には流さずに、戻経路に流して、濃縮水回収槽24へ戻す。このように構成した場合、例えば、濾過非実行時において、EDR部202の電極の極性を適宜反転させつつ、EDR部202に対して繰り返して水を通すことで、水中の不純物を除去しつつ、逆浸透膜部20におけるイオン交換膜を清浄化することができる。また、これにより、例えば、その後の濾過実行時において、再生水の生成をより適切に行うことができる。
【0055】
ここで、分岐部32に関し、濾過非実行時に再生水を戻経路に流すことについては、例えば、濾過非実行時における少なくとも一部のタイミングにおいて、再生水を戻経路に流すこと等と考えることができる。より具体的に、例えば、濾過非実行時となる時間が長い場合、ある程度の時間が経過した後には、EDR部202に繰り返して再生水を流したとしても、イオン効果膜の清浄化が進まなくなること等が考えられる。そのため、イオン効果膜の清浄化が十分に進んだ後には、例えばEDR部202での水の処理を停止すること等も考えられる。この場合、濾過非実行時に分岐部32が再生水を戻経路に流すことについて、例えば、逆浸透膜部20において原水に対する濾過を行っておらず、かつ、EDR部202において電気透析を実行しているタイミング等と考えることもできる。
【0056】
また、排水リカバリ部26において行う電気透析については、例えば、陽イオン又は陰イオンのような極性を有する物質を除去するのに適した構成であると考えることができる。そして、この場合、電気透析では、例えば、極性を有していない不純物を十分に除去できず、排水リカバリ部26において生成する再生水において、シリカ等の不純物の含有量が多めになること等も考えられる。この場合、シリカについては、例えば、水処理を行う産業分野で一般的にシリカとよばれている化合物等と考えることができる。より具体的に、シリカについては、例えば、二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素によって構成される物質の総称等と考えることができる。また、この点に関し、例えば再生水の中にシリカ等の不純物が含まれていても、原水との合流後、逆浸透膜部20での濾過により、シリカ等を除去することができる。そのため、例えば図1に示す構成のように、排水リカバリ部26で再生する再生水について、そのまま原水と合流させても、逆浸透膜部20において、適切に処理水を生成することができる。しかし、この場合、逆浸透膜部20で除去されたシリカ等の不純物は、濃縮水回収槽24を介して、再度、排水リカバリ部26へ供給されることになる。また、その結果、シリカ等の不純物は、水処理システム10における原水及び再生水の経路を、繰り返して巡回することになる。そして、この場合、水処理システム10を循環する水の中に含まれるシリカ等の量が多くなることで、例えば水処理システム10を長期間使用すると、配管の汚れの原因になることや、配管や逆浸透膜部20の詰まりの原因になること等も考えられる。
【0057】
これに対し、本変形例において、水処理システム10は、上記のように、分散剤投入部34及び再生水濾過部36を備えている。また、分散剤投入部34及び再生水濾過部36は、分岐部32が分岐する経路のうち、合流経路の側において、分岐部32と原水槽12との間に配設される。このように構成した場合、排水リカバリ部26と原水槽12との間に分散剤投入部34及び再生水濾過部36を設けることで、例えば、再生水に対し、原水と合流させる前に、シリカ等の除去を適切に行うことができる。
【0058】
より具体的に、本変形例において、分散剤投入部34は、排水リカバリ部26におけるEDR部202と再生水濾過部36との間で、再生水にシリカ分散剤を投入する。分散剤投入部34としては、例えば、公知のシリカ分散投入機等を好適に用いることができる。シリカ分散剤については、例えば、水中にシリカを分散させるための薬剤等と考えることができる。シリカ分散剤としては、例えば、純水を生成する水処理において一般的に用いられているシリカ用の分散剤を好適に用いることができる。
【0059】
また、再生水濾過部36は、例えば、排水リカバリ部26と原水槽12との間において、原水に合流する前の再生水を濾過して、再生水に含まれるシリカの除去を行う。この場合、再生水濾過部36でシリカの除去を行うことについては、例えば、再生水濾過部36で実行する濾過の精度に応じて、再生水中のシリカの量を減らすこと等と考えることができる。また、再生水濾過部36では、例えば逆浸透膜を用いて、再生水を濾過する。この場合、逆浸透膜をしなかった水については、例えば、水処理システム10からの排水として、水処理システム10の外部に排出することが考えられる。このように構成すれば、例えば、再生水中のシリカ等の不純物を適切に除去することができる。また、再生水濾過部36において逆浸透膜をしなかった水については、例えば、濃縮水回収槽24へ戻すこと等も考えられる。このように構成すれば、例えば、水処理システム10において生じる排水の量をより適切に防ぐことができる。また、この場合も、シリカの含有量が多い再生水が原水に合流することを適切に防止することができる。また、これにより、例えば、シリカの含有量が多い水が逆浸透膜部20に流れること等を適切に防止することができる。
【0060】
尚、上記のように、図5に示す構成の水処理システム10は、図1に示す構成の水処理システム10と比べて、分岐部32、分散剤投入部34、及び再生水濾過部36を更に有している。水処理システム10の構成の更なる変形例においては、分岐部32、分散剤投入部34、及び再生水濾過部36のうちの一部を省略すること等も考えられる。例えば、図5に示す構成の水処理システム10から、分散剤投入部34を省略することも考えられる。この場合も、分岐部32及び再生水濾過部36を用いることで、上記と同一又は同様の効果を得ることができる。また、図5に示す構成の水処理システム10から、分散剤投入部34及び再生水濾過部36を省略すること等も考えられる。この場合も、分岐部32を用いることに関し、上記と同一又は同様の効果を得ることができる。また、図5に示す構成の水処理システム10から、分岐部32を省略すること等も考えられる。この場合も、分散剤投入部34及び再生水濾過部36を用いることに関し、上記と同一又は同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、水処理システム10の構成については、例えば図6に示すように変更を行うこと等も考えられる。図6は、水処理システム10の構成の更なる変形例を示す。以下に説明をする点を除き、図6において、図1~5と同じ符号を付した構成は、図1~5における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、本変形例においても、排水リカバリ部26として、図3に示す構成の排水リカバリ部26を用いる。
【0062】
本変形例においては、原水槽12への原水の供給について、水処理システム10の外部から原水槽12へ原水を直接供給するのではなく、排水リカバリ部26を介して、原水槽12へ原水を供給する。この場合、排水リカバリ部26について、濾過排水の濃縮及び再生水の生成を行う用途に加えて、逆浸透膜部20へ供給する前の原水から不純物の少なくとも一部を除去する用途にも用いると考えることができる。より具体的に、本変形例において、水処理システム10の外部から供給される原水は、濃縮水回収槽24へ供給される。この場合、濃縮水回収槽24について、例えば、逆浸透膜部20において原水に対する濾過を実行する前に、外部から供給される原水を貯留していると考えることができる。
【0063】
このように構成した場合、例えば、原水を濃縮水回収槽24に一旦貯留することで、濾過排水から再生水を生成する場合と同様にして、原水中の不純物を除去することができる。また、この場合、排水リカバリ部26におけるEDR部202(図3参照)は、濃縮水回収槽24から供給される原水に対して電気透析を行うことで、原水に含まれる不純物を減少させる。そして、不純物が減少した原水について、原水槽12へ供給する。本変形例によれば、例えば、逆浸透膜部20へ供給する原水として、より不純物が少ない水を使用することができる。
【0064】
尚、本変形例においても、原水について、例えば、濾過対象の水等と考えることができる。そのため、原水槽12については、例えば、EDR部202での処理を行った原水を貯留する貯留部等と考えることができる。また、濃縮水回収槽24について、例えば、濃縮排水を回収するための貯留部と、EDR部202での処理を行う前の原水を原水槽12の前段で貯留する貯留部とを兼ねていると考えることができる。
【0065】
また、本変形例において、濃縮水回収槽24への原水の供給や、排水リカバリ部26のEDR部202での原水に対する処理については、例えば、逆浸透膜部20での濾過を行っていない濾過非実行時に行うことが考えられる。この場合、例えば、逆浸透膜部20での濾過を開始する前に、濃縮水回収槽24に濾過排水が貯留されていない状態で、濃縮水回収槽24へ原水を供給する。そして、例えば、排水リカバリ部26を介して原水槽12へ原水を移し、原水槽12内に原水が貯まった後に、逆浸透膜部20での濾過を開始する。この場合、例えば、原水槽12内の原水の量が所定の量(例えば、満充填の量)になった時点で、原水槽12から供給される原水に対し、逆浸透膜部20での濾過を開始することが考えられる。また、逆浸透膜部20での濾過実行時において、逆浸透膜部20は、例えば図1~5を用いて説明をした水処理システム10における逆浸透膜部20と同一又は同様にして、原水槽12から供給される原水を濾過し、濾過排水について、濃縮水回収槽24へ供給する。また、排水リカバリ部26におけるEDR部202は、図1~5を用いて説明をした水処理システム10でのEDR部202の動作と同一又は同様にして、濃縮水回収槽24から供給される濾過排水から再生水を生成して、再生水を原水槽12へ供給する。また、これにより、例えば、原水槽12に貯留されている原水に、再生水を合流させる。このように、本変形例においても、例えば、濾過排水から再生水を適切に生成することができる。
【0066】
また、本変形例においては、原水槽12に供給される前の原水に対してEDR部202での処理を行うことで、例えば、逆浸透膜部20での濾過を行う前に、原水の清浄度を高めることができる。そのため、本変形例によれば、例えば、原水槽12へ直接に原水を導入する場合等と比べて、より清浄度が低い水を原水として使用すること等も可能になる。より具体的に、この場合、例えば半導体の製造工程で生じる排水等の工場排水について、原水として使用すること等も考えられる。そのため、本変形例によれば、例えば、清浄度の高い水を確保することが難しい場合等にも、逆浸透膜部20での水の濾過をより適切に行うことができる。
【0067】
また、水処理システム10の構成の更なる変形例においては、図6に示す構成の水処理システム10に対し、例えば、図5に示す構成における分岐部32、分散剤投入部34、及び再生水濾過部36の少なくとも一部を更に追加すること等も考えられる。このように構成すれば、追加する構成に応じて、例えば、図5を用いて上記において説明をした効果と同一又が同様の効果を更に得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば水濾過システムに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0069】
10・・・水処理システム、12・・・原水槽、14・・・ポンプ、16・・・活性炭塔、18・・・ポンプ、20・・・逆浸透膜部、22・・・処理水槽、24・・・濃縮水回収槽、26・・・排水リカバリ部、32・・・分岐部、34・・・分散剤投入部、36・・・再生水濾過部、102・・・濾過段、112・・・逆浸透膜、202・・・EDR部、204・・・電源部、206・・・ポンプ、208・・・ポンプ、300・・・液槽、302・・・電極、304・・・電極、306・・・陰イオン交換膜、308・・・陽イオン交換膜、310・・・液室
図1
図2
図3
図4
図5
図6