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特許7417298粒子材料を生成するための処理システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】粒子材料を生成するための処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/26 20060101AFI20240111BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20240111BHJP
   H01M 4/505 20100101ALN20240111BHJP
   H01M 4/525 20100101ALN20240111BHJP
   H01M 4/58 20100101ALN20240111BHJP
【FI】
B01J19/26
B01J19/00 N
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/58
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021578234
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 US2020039665
(87)【国際公開番号】W WO2020264192
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】16/457,885
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522001530
【氏名又は名称】イージュール,アイエヌシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ルー
(72)【発明者】
【氏名】シェン,リャン ヤー
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-229124(JP,A)
【文献】国際公開第2014/182347(WO,A1)
【文献】特開2015-186793(JP,A)
【文献】国際公開第2009/039281(WO,A1)
【文献】特開2016-147225(JP,A)
【文献】特開2014-147892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0111139(US,A1)
【文献】特表2004-513994(JP,A)
【文献】特開2008-194637(JP,A)
【文献】特表2002-517590(JP,A)
【文献】特表平08-511574(JP,A)
【文献】特開2004-070303(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158191(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0328729(US,A1)
【文献】特開平08-040715(JP,A)
【文献】特開2014-113529(JP,A)
【文献】特開2007-084355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00-19/32
B01J 2/00- 2/30
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子材料を液体混合物から生成する処理システムであって、
1つ以上のガスを前記処理システムに送達する1つ以上のガスラインに接続されるシステム入口と、
前記液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にする1つ以上のパワージェットを有しており、前記1つ以上の液滴流を前記処理システムに押し込むように適応する1つ以上のパワージェットモジュールの配列と、
前記1つ以上のガスの存在下で前記1つ以上の液滴を送達し、前記1つ以上の液滴を処理して前記粒子材料にするように適応する反応室と、を含み、
各パワージェットモジュールは、前記パワージェットを移動させて前記処理システム上の開口に対応して接続するためのアクチュエータによって前記処理システムに移動可能に取り付けられている、処理システム。
【請求項2】
前記システム入口に接続される緩衝室をさらに含み、前記緩衝室は、前記処理システムの内側で、前記1つ以上のガスを複数の均一なガス流に送達するための1つ以上のチャネルを内部に有するガス分配器を備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記緩衝室及び前記1つ以上のパワージェットモジュールに接続される分散室をさらに含み、前記分散室は前記複数の均一なガス流を前記緩衝室から分散するように適応し、前記1つ以上の液滴流は前記1つ以上のパワージェットモジュールから噴出される、請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記分散室は、さらに、
チャンバ本体と、
前記分散室の前記チャンバ本体の第1の側壁であって、前記第1の側壁は前記緩衝室に接続される、第1の側壁と、
前記チャンバ本体の第2の側壁であって、前記第2の側壁は前記1つ以上のパワージェットモジュールに接続される、第2の側壁と、
前記チャンバ本体の第3の側壁であって、前記第3の側壁は前記反応室に接続される、第3の側壁と、を含む、請求項3に記載の処理システム。
【請求項5】
前記反応室及び前記1つ以上のパワージェットモジュールに接続される分散室をさらに含み、前記分散室は前記1つ以上のガスを分散するように適応し、前記1つ以上の液滴流は前記1つ以上のパワージェットモジュールから噴出され、その結果、前記1つ以上のガスのガス流及び前記1つ以上の液滴流のうちのいくつかの液滴流は、0度~180度の範囲の分散角(α)で相互に分散する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記分散角(α)は0度である、請求項5に記載の処理システム。
【請求項7】
前記分散角(α)は90度である、請求項5に記載の処理システム。
【請求項8】
前記反応室は、追加ガスを複数のガス流に適応し、前記複数のガス流を前記反応室に送達するための1つ以上のチャネルを内部に有するガス分配リングを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項9】
粒子材料を液体混合物から生成する処理システムであって、
1つ以上のガス混合物を前記処理システムに送達する1つ以上のガスラインに接続されるシステム入口と、
前記液体混合物を噴出して1つ以上の第1の液滴流にする1つ以上のパワージェットを有しており、前記1つ以上の液滴流を前記処理システムに押し込むように適応する1つ以上のパワージェットモジュールの配列と、
前記1つ以上のパワージェットモジュールに接続され、前記ガス混合物を分散するように適応する分散室であって、前記1つ以上の液滴流は前記1つ以上のパワージェットモジュールから噴出され、前記ガス混合物の1つ以上のガス流及び前記1つ以上の液滴流のうちの前記いくつかの液滴流は分散角(α)で相互に分散する、分散室と、
前記分散室に接続され、前記1つ以上の液滴流を処理して前記粒子材料にするように適応する反応室と、を含み、
各パワージェットモジュールは、前記パワージェットを移動させて前記処理システムの前記分散室上の開口に対応して接続するためのアクチュエータによって前記処理システムに移動可能に取り付けられている、処理システム。
【請求項10】
前記1つ以上のパワージェットモジュールのそれぞれは、オリフィスの1つ以上の配列を上部に伴う少なくともノズル列を有するパワージェットを備え、各オリフィスは少なくとも液滴流を前記液体混合物から噴出するように適応する、請求項9に記載の処理システム。
【請求項11】
各パワージェットモジュールの前記パワージェットは直方体の形状であり、前記パワージェットの前記1つ以上のノズルオリフィスの配列は長方形の形状であり、前記1つ以上のノズルオリフィスの配列は、垂直長さが水平長さよりも大きくなるように位置付けられる、請求項10に記載の処理システム。
【請求項12】
前記パワージェットは直方体の形状であり、前記パワージェットの前記1つ以上のノズルオリフィスの配列は長方形の形状であり、前記1つ以上のノズルオリフィスの配列は、垂直長さが水平長さよりも小さくなるように位置付けられる、請求項10に記載の処理システム。
【請求項13】
前記分散室は、前記1つ以上のパワージェットモジュールのそれぞれに接続されるようにそれぞれ適応する1つ以上の開口を含む、請求項9に記載の処理システム。
【請求項14】
前記1つ以上のパワージェットモジュールのそれぞれのドアは、前記分散室のチャンバ本体の側壁の前記1つ以上の開口のそれぞれに位置付けられ、前記側壁は垂直側壁及び水平側壁から成るグループから選択される、請求項13に記載の処理システム。
【請求項15】
前記分散角(α)は0度であり、前記1つ以上のガス流及び前記1つ以上の液滴流は、同じ方向から相互に並流する、請求項9に記載の処理システム。
【請求項16】
前記分散角(α)は90度である、請求項9に記載の処理システム。
【請求項17】
前記1つ以上のパワージェットモジュールは、前記分散室のチャンバ本体の垂直側壁に位置付けられ、前記ガス混合物の前記1つ以上のガス流は、前記分散室の前記チャンバ本体の上部水平側壁から前記分散室に流れる、請求項16に記載の処理システム。
【請求項18】
前記1つ以上のパワージェットモジュールは、前記分散室のチャンバ本体の水平側壁に位置付けられ、前記ガス混合物の前記1つ以上のガス流は、前記分散室の前記チャンバ本体の垂直側壁から前記分散室に流れる、請求項16に記載の処理システム。
【請求項19】
粒子材料を液体混合物から生成する方法であって、
1つ以上のガスを処理システムに送達することと、
前記処理システムの1つ以上のパワージェットモジュールを使用して、前記液体混合物を噴出して1つ以上の第1の液滴流にする1つ以上のパワージェットにより前記第1の液適流を前記処理システムに噴出することと、
第1の温度で、前記1つ以上のガスの存在下で反応室の内側にある処理室から送達された前記1つ以上の第1の液滴流を反応させ、前記粒子材料にすることと、を含み、
各パワージェットモジュールは、前記パワージェットを移動させて前記処理システム上の開口に対応して接続するためのアクチュエータによって前記処理システムに移動可能に取り付けられている、方法。
【請求項20】
第2の温度で、前記1つ以上の第1の液滴流を伴う前記1つ以上のガスを気液混合物の1つ以上の第2の液滴流に分散することをさらに含み、前記第2の温度は前記第1の温度と異なる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電池で利用するための材料の調製に関する。より具体的には、本発明は、二次電池で使用される構造化されたカソード活物質またはアノード活物質を製造する処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高エネルギー密度、高電力性能、大容量、長いサイクル寿命、低コスト、及び高い安全性に関して、様々な家電製品、電気自動車、及びグリッドエネルギーストレージの利用における高まる需要を満足するために、高度な電気化学電池セルの開発に多くの取り組みが費やされている。多くの場合、電池を小型化、軽量化し、及び再充電可能(ひいては、再利用可能)にして、空間及び物質資源を節約することが望ましい。
【0003】
電気化学的活性電池セルでは、カソード及びアノードは電解液に浸かり、セパレータによって電子的に分離される。セパレータは一般的に多孔質ポリマー膜材料から作られ、その結果、電極から電解液に放出される金属イオンは、セパレータの細孔を通って拡散して、電池の充電中及び放電中にカソードとアノードとの間で移動できる。電池セルのタイプは、通常、そのカソード電極とアノード電極との間で運ばれる金属イオンから名付けられる。ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、鉛酸電池、リチウムイオン電池、及びリチウムイオンポリマー電池等の様々な再充電可能な二次電池は、長年にわたって販売用に開発されている。販売用に使用するために、再充電可能な二次電池は、高エネルギー密度、高電力密度、及び安全であることが要求される。しかしながら、エネルギー密度と電力密度とのトレードオフが存在する。
【0004】
リチウムイオン電池は、1990年代初めに開発された二次電池である。他の二次電池と比較して、リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、長いサイクル寿命、メモリ効果の解消、低自己放電率、及び環境に優しい利点をもたらす。リチウムイオン電池は、急速に、受け入れられ、二次電池の販売市場の大半を占めるようになった。しかしながら、様々なリチウム電池材料を販売用に製造するためのコストは、他のタイプの二次電池よりもかなり高い。
【0005】
リチウムイオン電池では、電解液は、主に、リチウムイオンが自由に溶媒中を移動できるような、有機溶媒(例えば、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、及び炭酸ジエチル)のリチウム塩(例えば、LiPF6、LiBF4、またはLiClO4)から成る。概して、アルミ箔(例えば、15~20μmの厚さ)及び銅箔(例えば、8~15μmの厚さ)は、各々、カソード電極及びアノード電極の集電体として使用される。アノードについて、ミクロン径の黒鉛(約330mAh/gの可逆容量を有する)は、多くの場合、アノード集電体上にコーティングされた活物質として使用される。黒鉛材料は、多くの場合、酸素を用いないで極高温で研削及び熱分解等の固体プロセス(例えば、約3000°Cでの黒鉛化)から調製される。活性カソード材料に関して、異なる結晶構造及び容量の様々な固体材料が長年にわたって開発されている。良質のカソード活物質の例は、ナノメートル径またはミクロン径のリチウム遷移金属酸化物材料及びリン酸リチウムイオン等を含む。
【0006】
カソード活物質は、リチウムイオン電池の最も高価な構成要素であり、比較的大きい程度まで、リチウム電池セルのエネルギー密度、サイクル寿命、製造コスト、及び安全性が確認される。リチウム電池が最初に商品化されたとき、コバルト酸リチウム(LiCoO)材料はカソード材料として使用され、それは、カソード活物質の市場でかなりのマーケットシェアを依然として保持している。しかしながら、コバルトは有毒であり、高価である。他のリチウム遷移金属酸化物材料、例えば、層状構造のLiMeO(ここで、金属Me=Ni、Mn、Co等、例えば、約140~150mAh/gの可逆容量/実用容量のLiNi0.33Mn0.33Co0.33)、スピネル型構造のLiMn(約110~120mAh/gの可逆容量/実用容量)、及びオリビン型リチウム金属リン酸塩(例えば、LiFePO、約140~150mAh/gの可逆容量/実用容量)は、最近、活性カソード材料として開発されている。カソード材料として使用するとき、スピネル型構造のLiMn材料は不十分な電池サイクル寿命を示し、オリビン型LiFePO材料は、低エネルギー密度及び不十分な低温性能に悩まされる課題がある。LiMeO材料に関して、その電気化学的性能が良好であるが、以前のLiMeOの製造プロセスは凝集体のほとんどを取得する可能性があり、その結果、LiMeO材料の大部分の電極密度はLiCoOと比較して低くなる。いずれの場合、電池で利用するための材料(特に、カソード活物質)を製造するための以前のプロセスは、ほとんどのプロセスが長時間になり、かなりの量のエネルギーを消費するため、多大なコストがかかり、さらに、以前の材料品質は一貫性がなく、製造歩留まりは悪い。
【0007】
固相反応(例えば、固体前駆体の混合、次に、焼成が行われる)及び湿式化学プロセス(例えば、共沈、ゾルゲル、または熱水反応等によって溶液中の前駆体を処理し、次に、混合及び焼成が行われる)等の従来の材料製造プロセスは、ナノ構造材料及びミクロン構造材料を作る際に顕著な課題がある。所望の粒径、モルフォロジー、結晶構造、粒子形状、さらに、所望の化学量論で均一な固体材料(すなわち、粒子及び粉末)をばらつきがなく生成することが困難である。ほとんどの従来の固相反応では、長い焼成時間(例えば、4~20時間)と、完全反応、均質性、及び粒成長を生じさせるための追加のアニーリングプロセスとが要求される。例えば、固相反応によって製造されるスピネル型構造のLiMn材料及びオリビン型LiFePO材料は、別の後熱アニーリングプロセス(例えば、24時間)に加えて少なくとも数時間の焼成が要求され、依然として、不十分な品質一貫性が示される。固相反応に関連する1つの本質的な問題として、焼成炉の内側の温度勾配及び化学勾配(O等)があることにより、最終生成物の性能、品質一貫性、及び品質全般が制限される。
【0008】
他方では、低温で行われる湿式化学プロセスは、通常、高速化学反応を含むが、別の高温焼成プロセス及びさらに追加のアニーリングプロセスはさらに後で要求される。さらに、湿式化学プロセスで要求される化学添加物、ゲル化剤、及び界面活性剤は、(追加の化学物質を購入する際、また、特定のプロセス順序、割合、pH、及び温度を調整する際に)材料製造コストに追加され、同様に生成された活物質の最終組成に支障を及ぼし得る(したがって、多くの場合、不要な化学物質を除去するまたは生成物を濾過する追加ステップが要求される)。さらに、湿式化学によって生成される製品粉末の一次粒子の径は非常に小さく、望ましくない大きい径の二次粒子に凝集する傾向があることによって、エネルギー集積密度に影響を及ぼす。また、同様に生成された粉末粒子のモルフォロジーは、多くの場合、望ましくない非晶質凝集体、多孔質凝集体、針金状、棒状、薄片等を示す。高集積密度を可能にする均一な粒径及び形状が望ましい。
【0009】
コバルト酸リチウム(LiCoO)材料の合成は比較的単純であり、リチウム塩(例えば、水酸化リチウム(LiOH)または炭酸リチウム(LiCO))を、所望の粒径の酸化コバルト(Co)と混合することと、次に、超高温で長時間(例えば、900°Cで20時間)にわたって加熱炉で焼成することとを含み、リチウム金属が酸化コバルトの結晶構造に拡散され、層状結晶構造のLiCoO粉末の適切な最終生成物を形成することを確実にする。このアプローチはLiMeOに効かない。その理由として、Ni、Mn、及びCo等の遷移金属は相互に十分に拡散しなく、その遷移金属酸化物または遷移金属塩を直接混合し反応(固相焼成)させる場合、均一に混合した遷移金属層を形成しないためである。したがって、従来のLiMeOの製造プロセスでは、最終活性カソード材料(例えば、リチウムNiMnCo遷移金属酸化物(LiMeO))を作る前に、遷移金属水酸化物前駆体化合物(例えば、Me(OH)、Me=Ni、Mn、Co等)を購入すること、または共沈の湿式化学プロセスからその遷移金属水酸化物前駆体化合物を調製することが要求される。
【0010】
これらのNi(OH)、Co(OH)、及びMn(OH)の前駆体化合物の水溶性が異なり、これらは、通常、異なる濃度で沈殿するため、これらの前駆体化合物の混合溶液のpHを調節する必要があり、アンモニア(NH)または他の添加物を小さなアリコートでゆっくり加える必要があり、これらにより、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、及びコバルト(Co)は一緒に共沈して、ミクロン径のニッケル-マンガン-コバルト水酸化物(NMC(OH))の二次粒子を形成できることを確実にする。そのような共沈NMC(OH)の二次粒子は、多くの場合、ナノメートル径の一次粒子の凝集体である。したがって、NMC(OH)の前駆体化合物から作られた最終リチウムNMC遷移金属酸化物(LiMeO)も凝集体である。これらの凝集体は、電極カレンダーステップ中及び集電箔上へのコーティング中に高圧がかかり壊れる傾向がある。したがって、これらのリチウムNMC遷移金属酸化物材料がカソード活物質として使用されるとき、カレンダーステップで比較的低圧を使用する必要があり、製造されたカソードの電極密度をさらに制限する。
【0011】
LiMeOの活性カソード材料の従来の製造プロセスでは、水酸化リチウム(LiOH)及び遷移金属水酸化物(Me(OH))等の前駆体化合物は、固体のまま均一に混合され、厚いAlのるつぼに保管される。次に、るつぼは、900°~950°Cに到達するまで5~10℃/minの温度上昇速度の設定で加熱炉に設置され、10~20時間にわたって焼成される。前駆体化合物が長時間にわたって高温下で加熱されるため、隣接粒子は一緒に焼結され、ひいては、多くの場合、微粉砕ステップは焼成後に要求される。したがって、望まない径の粒子は、微粉砕後に選別して除去する必要があり、さらに、全収率が下がる。高温及び長い反応時間は、また、リチウム金属の気化をもたらし、一般的に、焼成中に10%と同等の追加量のリチウム前駆体化合物を加えることが要求され、最終生成物が適正なリチウム金属/遷移金属の比を有することを確実にする。全体的に、そのような多段階のバッチ製造プロセスのプロセス所要時間は最長で1週間かかるため、かなり労働集約的であり、エネルギーをかなり消費する。また、バッチプロセスは、Run-to-Run制御の不十分な品質一貫性及び低い全収率により、不純物が入る機会が増える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、高品質で構造化された電池セル用の活物質を製造するプロセス及びシステムの改善が必要である。
【0013】
本発明は、概して、粒子材料を液体混合物から生成する処理システム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、望ましい結晶構造、結晶の大きさ、及び結晶モルフォロジーで、物質粒子(例えば、活性電極材料等)を生成するための方法及び処理システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一実施形態では、粒子材料を液体混合物から生成する処理システムが提供される。処理システムは、1つ以上のガスを処理システムに送達する1つ以上のガスラインに接続されるシステム入口と、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にし、1つ以上の液滴流を処理システムに押し込むように適応する1つ以上のパワージェットモジュールの配列とを含む。処理システムは、さらに、1つ以上のガスの存在下で1つ以上の液滴を送達し、1つ以上の液滴を処理して粒子材料にするように適応する反応室を含む。
【0015】
一実施形態では、処理システムは、さらに、システム入口に接続される緩衝室を含み、緩衝室は、処理システムの内側で、1つ以上のガスを複数の均一なガス流に送達するための1つ以上のチャネルを内部に有するガス分配器を備える。処理システムは、さらに、緩衝室及び1つ以上のパワージェットモジュールに接続される分散室を含み、分散室は1つ以上のガスを分散するように適応し、1つ以上の液滴流は1つ以上のパワージェットモジュールから噴出され、その結果、1つ以上のガスのガス流及び1つ以上の液滴流のうちのいくつかの液滴流は、0度~約180度の範囲の分散角(α)で相互に分散する。処理システムは、さらに、緩衝室及び1つ以上のパワージェットモジュールに接続される分散室を含み、分散室は複数の均一なガス流を緩衝室から分散するように適応し、1つ以上の液滴流は1つ以上のパワージェットモジュールから噴出される。
【0016】
さらに別の実施形態では、粒子材料を液体混合物から生成するための処理システムが提供される。本システムは、ガス混合物を処理システムに送達する1つ以上のガスラインに接続されるシステム入口と、液体混合物を噴出して1つ以上の第1の液滴流にし、1つ以上の液滴流を処理システムに押し込むように適応する1つ以上のパワージェットモジュールの配列とを含む。処理システムは、さらに、1つ以上のパワージェットモジュールに接続され、ガス混合物を分散するように適応する分散室であって、1つ以上の液滴流は1つ以上のパワージェットモジュールから噴出され、ガス混合物の1つ以上のガス流及び1つ以上の液滴流のうちのいくつかの液滴流は分散角(α)で相互に分散する、分散室と、分散室に接続され、1つ以上の液滴流を処理して粒子材料にするように適応する反応室と、を含む。
【0017】
一実施形態では、粒子材料(例えば、カソード活物質またはアノード活物質)を生成する方法が提供される。本方法は、1つ以上のガスを処理システムに送達することと、処理システムの1つ以上のパワージェットモジュールを使用して、液体混合物を噴出して1つ以上の第1の液滴流にし、処理システムに噴出することとを含む。本方法は、さらに、第1の温度で、1つ以上のガスの存在下で反応室の内側にある処理室から送達された1つ以上の第1の液滴流を反応させ、粒子材料にすることを含む。
【0018】
別の実施形態では、本方法は、さらに、第1の滞留時間にわたって第1の液滴流を乾燥することと、第1の気固混合物を、反応室内の1つ以上のガス及び第1の液滴流から形成することとを含む。本方法は、さらに、第1の気固混合物を反応室から外に送達することと、第1の気固混合物を第1のタイプの固体粒子及び廃棄物に分離することと、第1のタイプの固体粒子を別の反応室に送達することと、第2の反応室の内側で第2の温度まで加熱される第2のガスの第2の気体流を流すことと、第2の反応室の内側で、第2の気固混合物を、加熱された第2のガス及び第1のタイプの固体粒子から形成することと、第2の滞留時間にわたって第2の反応室の内側の第2の気固混合物を反応させることと、第2の気固混合物を酸化して、酸化反応生成物にすることと、酸化反応生成物を第2の反応室から外に送達することとを含む。次に、酸化反応生成物を冷却して、第2のタイプの固体粒子を取得する。
【0019】
一態様では、第2のタイプの固体粒子は、活性電極材料を電池セルの電極になるようにさらに処理するように適切である。別の態様では、酸化反応生成物は、さらに、第2のタイプの固体粒子及びガス副産物に分離される。さらに別の態様では、冷却液(例えば、ガスまたは液体)の1つ以上の液流を使用して、第2のタイプの固体粒子の温度を冷却できる。
【0020】
本発明の上記に列挙した特徴を詳細に理解できるように、上記に簡潔に要約された本発明のより具体的な説明は、複数の実施形態を参照することによってなされ得、実施形態の一部は添付図に示される。しかしながら、添付図は本発明の典型的な実施形態だけを示し、したがって、本発明の範囲を限定しないと見なされ、本発明に対して同様に有効な他の実施形態が認められ得ることを留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】粒子材料を生成するための処理システムの一実施形態の斜視図である。
図1B】粒子材料を生成するための処理システムの一実施形態の断面図である。
図2A】本発明の一実施形態による、粒子材料を調製するプロセスを行うために使用できる装置の断面図(図1Bに示される破線BB’で切られた断面)である。
図2B】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するプロセスを行うために使用できる装置の斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するプロセスを行うために使用できる装置の断面図(図1Bに示される破線AA’で切られた断面)である。
図3B】本発明の一実施形態による、装置の内側におけるガス流と液滴流との間の角度を示す。
図4A】本発明の一実施形態による、パワージェット及びその上にあるオリフィスの斜視図である。
図4B】本発明の一実施形態による、パワージェット及びその上にあるオリフィスの斜視図である。
図4C】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するプロセスを行うために使用できる様々な装置の斜視図である。
図5A】本発明の一実施形態による、パワージェット及びその上にあるオリフィスの斜視図である。
図5B】本発明の一実施形態による、パワージェット及びその上にあるオリフィスの斜視図である。
図5C】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するプロセスを行うために使用できる様々な装置の斜視図である。
図6A】本発明の一実施形態による、パワージェット及びその上にあるオリフィスの斜視図である。
図6B】本発明の一実施形態による、パワージェット及びその上にあるオリフィスの斜視図である。
図6C】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するプロセスを行うために使用できる様々な装置の斜視図である。
図7A】本発明の一実施形態による、パワージェットモジュール上のノズル列の斜視図である。
図7B】本発明の一実施形態による、パワージェットモジュール上のノズル列の斜視図である。
図8】粒子材料を生成するための処理システムの一実施形態の断面図である。
図9A】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するプロセスを行うために使用できる装置の断面図(図8に示される破線AA’で切られた断面)を示す。
図9B】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するプロセスを行うために使用できる装置の断面図(図8に示される破線BB’で切られた断面)を示す。
図9C】本発明の一実施形態による、粒子材料を生成するための処理システムを機能させるために使用できる装置の断面図(図8に示される破線CC’で切られた断面)を示す。
図10】本発明の別の実施形態による、処理システムの分散室に構成される例示的なパワージェットモジュールを斜視図で示す。
図11】本発明の一実施形態による、処理システムの分散室に構成される例示的なパワージェットモジュールを斜視図で示す。
図12】本発明の別の実施形態による、処理システムの分散室に構成される例示的なパワージェットモジュールを斜視図で示す。
図13】本発明の別の実施形態による、処理システムの分散室に構成される例示的なパワージェットモジュールを斜視図で示す。
図14】粒子材料を生成するための処理システムを機能させる方法のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
粒子材料を生成するための処理システム
本発明は、概して、粒子材料を生成するための処理システム及び方法を提供する。処理システムは、パワージェットモジュールの配列、システム入口、反応室、随意に、分散室を含む。処理システムは、粒子材料を生成し、材料製造時間及びエネルギーを節約し、従来の活物質製造プロセスで見られるような高い製造コスト、低収率、不十分な品質一貫性、低電極密度、低エネルギー密度の問題を解決するために、連続プロセスを行うのに有用である。
【0023】
一態様では、液体混合物金属であり得る液体混合物は、迅速に、パワージェットモジュールによって液滴流になるように噴出され、次に、処理システムに分散される。液滴流はガスと連続的に混合され、気液混合物を形成し、次に、反応室に送達され、反応室で反応する。
【0024】
さらに、一態様では、空気流またはガス流はシステム入口から処理システムに送達され、液体混合物との気液混合物を形成するためのガス源と、気液混合物を反応室に送達するための搬送ガスとして働く。また、ガスは、処理システムに入る前にそのようなガスを加熱する場合、反応室で反応する気液混合物のためのエネルギー源としても働き得る。
【0025】
反応室から生じる反応生成物は反応室から外に送達される。反応生成物は、通常、所望の結晶構造、粒径、及びモルフォロジーを伴う、液体混合物組成の酸化型の固体材料粒子または微粉末(例えば、混合金属酸化物材料の微粉末等の金属酸化物材料)を含む。したがって、従来の製造プロセスから調製された材料よりも時間、作業、及び監視がかなり少なくなる高品質及び均一な活性粒子材料を取得できる。
【0026】
図1Aは、粒子材料を生成するための処理システムの一実施形態の斜視図である。処理システム100のこの例示的な実施形態は、1つ以上のガスを、ガスライン106を通して送達するためのシステム入口102と、粒子材料を処理システムから外に送達するためのシステム出口104とを含む。1つ以上のガスは、特に、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせのガス源から選択され得る。
【0027】
一実施形態では、そのような処理システムは、さらに、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にし、1つ以上の液滴流を処理システムに押し込むための1つ以上のパワージェットモジュールの配列を含む。処理システムは、さらに、1つ以上の液滴流及び1つ以上のガスを処理して粒子材料にするための反応室を含む。
【0028】
液体混合物は、2つ以上の前駆体化合物から調製され、次に、液滴に変換され、各液滴は一緒に均一に分配される2つ以上の前駆体を有する。次に、液体混合物の水分は、液滴が分散室を通過することによって除去され、ガス流を使用して、適切な滞留時間にわたって分散室内に蒸気を搬送する。さらに、液体混合物の前駆体化合物の濃度及び液体混合物の蒸気の液滴径を調整して、電池材料の最終生成物粒子の化学組成、粒径、及び粒度分布を調節できることが想到される。
【0029】
別の実施形態では、図1Aに示されるように、そのような処理システムは、さらに、ガス源を複数の均一なガス流に送達するためのシステム入口102に構成される少なくとも1つの緩衝室を含む。
【0030】
さらに、一実施形態では、処理システムは、分散室220と、前駆体液体混合物を望ましい径に調製して、所望の前駆体液体混合物を処理システムに送達するためのパワージェットモジュール240A、240B、及び240Cとを含む。パワージェットモジュールは、分散室の一部に取り付けられ、空気圧を使用して、液体混合物を噴出し、それを分散室の内側に小さな径の液滴を含む蒸気に直接変換できる。代替として、蒸気は分散室の外側に発生し、分散室に送達できる。使用されるパワージェットモジュール、液体混合化合物、分散室の温度、ガスの流量、及び分散室の内側の滞留時間の選択に応じて、適切な液滴径を調整できる。例として、0.1ミクロン~1ミリメートルの液体の液滴径を伴う蒸気は、分散室の内側で発生する。
【0031】
一実施形態では、パワージェットモジュール240Aは、分散室220の一部に結合され、分散室内で液体混合物の蒸気(例えば、大量の小さな液滴径)を直接発生させる。概して、パワージェットモジュール240Aは、粒径の揃った液滴の蒸気を発生させることが可能である。一実施形態では、分散室220は、1つ以上のパワージェットモジュール240A、240B、及び240Cに接続され、これらのパワージェットモジュールは、複数の均一なガス流を緩衝室から受け、複数の均一なガス流を分散するためのものであり、1つ以上の液滴流は、1つ以上のパワージェットモジュール240A、240B、及び240Cの配列から相互に噴出される。
【0032】
一実施形態では、次に、分散室220は、1つ以上の液滴流及び1つ以上のガスを処理して粒子材料にするための反応室210に接続される。さらに、反応室210は、粒子材料を処理システムから外に送達するためのシステム出口104に接続される。
【0033】
図1Bは、粒子材料を生成するために、速く、単純な、連続的な、及び低コストの製造プロセスを実施するために使用できる例示的な処理システム100の断面図である。処理システム100は、1つ以上のガスを処理システムに送達するためのシステム入口102、システム入口102に接続される緩衝室230、緩衝室230に接続される分散室220、分散室220に接続される反応室210、及び反応室210に接続されるシステム出口104を含む。
【0034】
一実施形態では、処理システム100は、さらに、緩衝室230の室壁238に取り付けられたガス分配器232と、処理システムの内側で1つ以上のガスF1を複数の均一なガス流F2に送達するための分配器232のチャネルと、分散室220と、分散室220の室壁228に取り付けられた1つ以上のパワージェットモジュール240A及び240Bとを含む。
【0035】
一実施形態では、緩衝室230に送達された1つ以上のガスFは、下向きに加圧され、ガス分配器232のチャネル234を通って一定速度で流れ、チャネル234から外に出て複数の均一なガス流F2に流れ、さらに、分散室220に流れる。一実施形態では、1つ以上のガスFは、エアフィルタを通ってポンプで送られ、いずれかの粒子、液滴、または汚染物質が除去され得、ガスの流量はバルブまたは他の手段によって調整できる。一実施形態では、チャネル234から出てくる複数の均一なガス流Fの流量は、1つ以上のガスFの流量よりも大きくなる。さらに、複数の均一なガス流Fの方向に、ガスが集まり及びまとまる。
【0036】
一実施形態では、パワージェットモジュール240Aは、パワージェットモジュール240Aに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット242Aを含む。パワージェットモジュール240Aは、さらに、パワージェットモジュール240Aを支持するための支持フレーム244Aと、支持フレーム244Aの内側に取り付けられたパワージェット242Aから噴出された1つ以上の液滴流Fを動かして、分散室220に押し込むための、支持フレーム244Aの内側に取り付けられたモジュールアクチュエータ246Aと、モジュールアクチュエータ246A及びパワージェット242Aを接続するコネクタ245Aとを含む。さらに、パワージェットモジュール240Bは、パワージェットモジュール240Bに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット242Bを含む。パワージェットモジュール240Bは、さらに、パワージェットモジュール240Bを支持するための支持フレーム244Bと、支持フレーム244Bの内側に取り付けられたパワージェット242Bから噴出された1つ以上の液滴流Fを動かして、分散室220に押し込むための、支持フレーム244Bの内側に取り付けられたモジュールアクチュエータ246Bと、モジュールアクチュエータ246B及びパワージェット242Bを接続するコネクタ245Bとを含む。
【0037】
一実施形態では、分散室220に噴出された液滴流Fと複数の均一なガス流F2は相互に対して分散角αで分散され、複数の均一なガス流F及び液滴流Fを含む気液混合物Fを形成する。さらに、分散室220に噴出された液滴流Fと複数の均一なガス流F2は相互に対して分散角αで分散され、複数の均一なガス流F及び液滴流Fを含む気液混合物Fを形成する。一実施形態では、分散室自体は第1の温度に維持される。
【0038】
一実施形態では、1つ以上のガスを乾燥温度まで加熱して、ガスを液滴流と混合して、水分を液滴流から除去する。それは、液体混合物の蒸気の乾燥後に、2つ以上の液体混合物のうちの完全に混合した液体混合物から球状固体粒子を取得するように設計されている。対照的に、従来の固体の製造プロセスは、液体混合化合物の固体混合物を混合または粉砕することを含み、液体混合物の不均一な混合をもたらす。
【0039】
1つ以上のガスは、特に、例えば、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせであり得る。例えば、加熱空気は、液滴流を乾燥するための安価なガス源及びエネルギー源として使用できる。選択される1つ以上のガスは、前駆体の液滴流と十分に混合され、前駆体に反応しないで蒸気を乾燥するガスであり得る。場合によって、液滴流の化学物質は、前駆体の乾燥温度及び化学組成に応じて、乾燥中にある程度まで、1つ以上のガスに及び/または相互に対して反応し得る。さらに、分散室内で完全に混合した前駆体化合物の液滴流の滞留時間は調整可能であり、1つ以上のガスの流量と、液滴流が分散室内で分散して流れる必要がある経路長とに応じて、例えば、1秒~1時間になり得る。
【0040】
一実施形態では、処理システム100はさらに反応室210を含み、反応室210は、気液混合物Fを受け、第2の温度で反応時間の期間にわたって、気液混合物F3の所望の反応を行い、最終反応生成物F4にするためのものである。最後に、生成物粒子であり得る最終反応生成物F4は、粒子材料として使用するために、その特性(例えば、比容量、電力性能、微粒子の帯電サイクル性能等)、粒径、モルフォロジー、結晶構造等をさらに分析するために、システム出口104を通ってシステム100から外に送達できる。
【0041】
一実施形態では、処理システム100は、処理システム100を自動制御するために、CPU340を伴う電子制御ユニット300に接続される。図1Bに示されるように、制御ユニット300は、様々な場所で処理システム100に結合され、処理システム100によって行われる製造プロセスを自動制御して、処理システム100の内部の様々な処理パラメータ(例えば、流量、混合比、温度、滞留時間等)を調整する。例えば、処理システム100への液体混合物の流量は、液体混合物のコンテナまたはポンプの近くで調整できる。別の例として、パワージェットモジュール240A及び240Bによって発生する蒸気の液滴径及び発生量を調整できる。さらに、ガスライン内に流れる様々なガスの流量及び温度等は、制御ユニット300によって制御できる。さらに、プロセス制御ユニット300は、様々な場所における所望のレベルの様々な気固混合物及び固体粒子の温度、空気圧、及び滞留時間を制御するように適応する。
【0042】
動作時、制御ユニット300を使用して、制御ユニット300内で行われる連続する多段階プロセス(例えば、本明細書に説明される方法900)のパラメータを制御し、従来の製造プロセスから調製された材料よりも時間、作業、及び監視がかなり少なくなる高品質及び均一な活性電池材料を取得し得る。図1Bの制御ユニット300によって行われる代表的な処理プロファイルは、温度対時間のグラフのように示される。多段階プロセスは、第1の処理段階910、第2の処理段階920、第3の処理段階930、及び第4の処理段階940を含み得る。
【0043】
随意に、一実施形態では、処理システム100はさらに第1のセパレータを含み、第1のセパレータは、分散室230に接続され、気液混合物Fを分散室から収集して、第1のタイプの固体粒子及び廃棄物に分離するように適応する。随意に、第1のセパレータは乾燥室に接続され、乾燥室は、分散室230に接続され、気液混合物Fを分散室から収集し、気液混合物Fを乾燥して気固粒子にし、その気固粒子を第1のセパレータに送達し、第1のセパレータ内で第1のタイプの固体粒子及び廃棄物に分離するように適応する。一実施形態では、第1のセパレータは、さらに、反応室210に接続され、第1のタイプの固体粒子を反応室210に送達するように適応する、第1のセパレータ出口と、廃棄物を第1のセパレータから外に送達するように適応する第2のセパレータ出口とを含む。
【0044】
図2Aは、本発明の一実施形態による、粒子材料を調製するプロセスを行うための緩衝室230の断面図である。図1も一緒に参照すると、図2Aの緩衝室230は破線BB’で切られた断面である。一実施形態では、緩衝室230は、1つ以上のガスをシステム入口から複数の一体化されたガスに送達するためのシリンダガス分配器232であって、緩衝室230の室壁238の内側の内部で囲まれ、緩衝室230の底部に位置付けられる、シリンダガス分配器232と、統一された方向で及び一定流量で1つ以上のガスを送るためのガス分配器232のチャネル234とを含む。
【0045】
図2Bは緩衝室230の斜視図である。緩衝室230は、緩衝室230の室壁238内で囲まれるシリンダガス分配器232と、ガス分配器232のチャネル234とを含む。
【0046】
図3Aは、本発明の一実施形態による、処理システム100に構成される分散室220の断面図である。図1も一緒に参照すると、図3Aの緩衝室220は破線AA’で切られた断面である。分散室220は室壁228によって包囲される。
【0047】
一実施形態では、1つ以上のパワージェットモジュール(個々に、パワージェットモジュール240A、パワージェットモジュール240B、パワージェットモジュール240C、及びパワージェットモジュール240D)の配列は、分散室220の室壁228の1つ以上の開口222A、222B、222C、及び222Dに位置付けられる。一実施形態では、パワージェットモジュール240A~240Dは、図3Aに示される1つの配置で分散室220の室壁228に取り付けできる。その配置では、4つのパワージェットのそれぞれが、室壁228の同じ水平線上に相互に隣接して均等距離で室壁228に構成できる。
【0048】
一実施形態では、パワージェットモジュール240Aは、パワージェットモジュール240Aに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット242Aを含む。パワージェットモジュール240Aは、さらに、パワージェットモジュール240Aを支持するための支持フレーム244Aと、支持フレーム244Aの内側に取り付けられたパワージェット242Aから噴出された1つ以上の液滴流Fを動かして、分散室220に押し込むための、支持フレーム244Aの内側に取り付けられたモジュールアクチュエータ246Aと、モジュールアクチュエータ246A及びパワージェット242Aを接続するコネクタ245Aとを含む。同様に、パワージェットモジュール240Bは、パワージェット242B、支持フレーム244B、モジュールアクチュエータ246B、及びコネクタ245Bを含む。同様に、パワージェットモジュール240Cは、パワージェット242C、支持フレーム244C、モジュールアクチュエータ246C、及びコネクタ245Cを含む。また、パワージェットモジュール240Dは、パワージェット242D、支持フレーム244D、モジュールアクチュエータ246D、及びコネクタ245Dを含む。
【0049】
一実施形態では、パワージェット242A~242Dは、垂直に位置付けられる分散室220(例えば、ドーム型分散室等)の上部の近くに位置付けられ、F~Fの液滴流が分散室220に注入され、垂直下向きに分散室を通過する。代替として、パワージェット242A~242Dは、垂直に位置付けられる分散室220の底面の近くに位置付けでき、液滴流を分散室に上向きに注入して(図3Bのように示すことができる)、分散室内で発生する液流の滞留時間を長くすることを可能にする。別の実施形態では、分散室220(例えば、管状分散室等)が水平に位置付けられ、パワージェット242A~242Dが分散室220の一端の近くに位置付けられるとき、その結果、分散室220の一端から別端を通って送達される蒸気流は、その滞留時間の長さにわたって分散室220の内部の経路を通過できる。
【0050】
液体混合物流に加えて、分散室220はガス流でも充填される。ガス分配器232は、緩衝室の端部に結合され、複数の一体化されたガスFを分散室220に流すように適応する。液滴流が分散室220を通って搬送されるために分散室220の内側での液滴流の形成と同時に、分散室220に送達できる複数の一体化されたガスFの気体流は、水分を蒸気から除去し得るまたは除去し得ないことがあり、液体混合物を含むFの方向に気液混合物を形成する。また、複数の一体化されたガスFの気体流は、蒸気が形成される前に分散室220に送達され、分散室220の内側で液滴流が発生する前に、分散室220の内部体積を充填し、第1の温度に予熱できる。
【0051】
一例では、ガス分配器232は緩衝室230の端部に接続され、緩衝室230の端部は分散室310の上部に接続され、ガス分配器232は複数の一体化されたガスFを分散室220に送達し、分散室220の室壁228に取り付けられたパワージェットモジュールによって発生する液滴流とガスFが混合する。一実施形態では、複数の一体化されたガスFを70°C~600°Cの温度に予熱して、液滴流と混合して、水分を液滴流から除去する。別の実施形態では、複数の一体化されたガスFを予熱しないで使用することで、分散室220の内部で形成される気液混合物をガスと均一に混合することを確実にする。
【0052】
図3Bは、本発明の一実施形態による、図1の処理システム100に構成される分散室220の内側における複数の一体化されたガスF2及び液滴流FAの分散角を示す。
【0053】
図3Bでは、分散室220の内側で、液滴流Fは分散角αで複数の一体化されたガスFに分散されることが示される。分散角αは、垂直軸Zに対する液滴流Fの方向と、複数の一体化されたガスFとの間の角度に従って測定され、さらに、XYZ軸設定の3次元斜視図で示される。
【0054】
一実施形態では、液体混合物(例えば、液滴流F)の液滴流の液流、及びガス(例えば、複数の一体化されたガスF)の気体流は、0度~180度の角度で分散室の内側で相互にぶつかり得る。さらに、液滴流の液流F及びガス流Fの空気流は、直線状に、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の状態で流れ得る。
【0055】
一実施形態では、液滴流F及び複数の一体化されたガスFは角度α(0≦α≦180度)で構成され、分散室の内側で合流して混流し得る(例えば、並流になる)。さらに、液滴流の液流F及び複数の一体化されたガスFは、相互に対して向かい合う様々な角度及び/またはチャンバ本体の外周に向かって様々な角度で流れ、分散室220の内側で、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の空気流の形成を促進し得る。一実施形態では、液滴流及びガス流は90度未満の角度αで構成され、分散室の内側で合流して混流し得る。別の実施形態では、液滴流の液流F及びガス流Fは90度の角度αで構成され、分散室の内側で合流して混流し得る。さらに、液滴流の液流F及びガス流Fは、相互に対して向かい合う様々な角度及び/またはチャンバ本体の外周に向かって様々な角度で流れ、分散室220の内側で、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の空気流の形成を促進し得る。
【0056】
例えば、図3Bの例に示されるように、分散室の内側で流れるガス流及び液滴流の液流は、並流として流れるように構成できる。並流の利点として、特に、滞留時間が短くなり、粒子乾燥温度が低くなり、粒子分離効率が高くなる。別の実施形態では、同様に図3Bに示されるように、分散室の内側で流れる複数の一体化されたガス流の気体流及び液滴流の液流は、対流として流れるように構成できる。対流の利点として、特に、滞留時間が長くなり、粒子乾燥温度が高くなる。
【0057】
別の実施形態では、液滴流の液流F及びガス流Fは180度の角度αで構成され、対流のように流れる。代替の実施形態では、分散室220を水平に位置付けできる。同様に、液滴流の液流F及びガス流Fは0度~180度の角度αで構成できる。図1も一緒に参照すると、いったん液体混合物の液滴流がガスとの気液混合物に形成されると、気液混合物は分散室220を通って反応室210に送達される。
【0058】
図4Aは、本発明の一実施形態による、パワージェットの斜視図である。パワージェット242Aは、所望の量の液体混合化合物を保管する液体源720と、液体源720からパワージェット242Aまでの液体混合化合物の送達を指示及び制御するための電子制御ユニット300とに接続される。
【0059】
別の構成では、液体源720の内部の液体混合物は、液体源720からパワージェット242Aにポンプによって送ることができる。ポンプによる液体混合物の送り込みは、例えば、連続的に所望の送達量で(例えば、絞り弁または他の手段によって調整される量で)、処理システム100の良好なプロセスのスループットを実現するように構成できる。別の構成では、パワージェット242Aは分散室220の外側に位置付けられ、パワージェット242Aから発生した液流は室入口を介して分散室220に送達される。
【0060】
一実施形態では、パワージェット242Aは、相互に対して直角の6つの長方形面を有する直方体構造である。さらに、パワージェット242Aには、パワージェット242Aの片側面にノズル列480Aがある。一実施形態では、ノズル列480Aは、底辺幅が側辺長よりも短いパワージェット242Aの側面にあり、均等に設置される3×10個のオリフィス402Aから成り、長方形形状を形成する。別の実施形態では、ノズル列480Aは別のオリフィスのパターンから成る。
【0061】
図4Bは、本発明の別の実施形態による、パワージェット442Dの斜視図である。パワージェット442Dは、水平平行面、及び円形断面または楕円断面を伴うシリンダ構造である。さらに、パワージェット442Dには、パワージェット442Dの片側の水平平行面にノズル列480Bがある。一実施形態では、ノズル列480Bは単一のオリフィス402Dから成る。
【0062】
図4Cは、本発明の一実施形態による、粒子材料を調製するプロセスを行うために使用できる装置の斜視図である。液滴流F及び液滴流Fは、パワージェット242A及びパワージェット242Bによって分散室220に噴出され、それらの側面には、分散室220の室壁の開口に取り付けられたノズル列がある。底面側壁228Sは、反応室210の室壁218によって囲まれる反応室210に接続される。
【0063】
本発明の一実施形態では、液滴流Fの方向は分散室220の室壁に対して垂直である。そして、液滴流Fの方向は液滴流Fの方向と異なり、分散室220の室壁に対して垂直に傾いている。本発明の一実施形態では、液滴流Fは空気流と混合して気液混合物Fになり、Fは、分散室220の底部を通って重力によって反応室210の下向きに進む。本発明の一実施形態では、液滴流Fは空気流と混合して気液混合物Fになり、Fは、分散室220の底部を通って重力によって反応室210の下向きに進む。気液混合物Fは反応室210で処理され、最終反応生成物Fが形成される。
【0064】
図5Aは、本発明の一実施形態による、パワージェットの斜視図である。一実施形態では、パワージェット542Aは、相互に対して直角の6つの長方形面を有する直方体構造である。さらに、パワージェット542Aには、パワージェット542Aの片側面にノズル列580Aがある。一実施形態では、ノズル列580Aは、底辺幅が側辺長よりも長いパワージェット542Aの側面にあり、均等に設置される2×11個のオリフィス502Aから成り、長方形形状を形成する。別の実施形態では、ノズル列580Aは別のオリフィスのパターンから成る。
【0065】
図5Bは、本発明の別の実施形態による、パワージェットの斜視図である。パワージェット542Dは、水平平行面、及び円形断面または楕円断面を伴うシリンダ構造である。さらに、パワージェット542Dには、パワージェット542Dの片側の上部の水平面にノズル列580Bがある。一実施形態では、ノズル列580Bは、パワージェット542Dの水平面に三角形を形成する6つのオリフィス502Dから成る。
【0066】
図5Cは、本発明の一実施形態による、粒子材料を調製するプロセスを行うために使用できる装置の斜視図である。分散室220は、チャンバ本体、緩衝室に接続される上部側壁228T、反応室210に接続される底面側壁228S、及びチャンバ本体の全てを囲む室壁を有する。
【0067】
一実施形態では、パワージェット542A、パワージェット542B、及びパワージェット542Cは、パワージェット542A、パワージェット542B、及びパワージェット542Cの側面にある分散室220の室壁の開口に取り付けられ、これらの開口は底辺幅が側辺長よりも長い。
【0068】
図6Aは、本発明の一実施形態による、パワージェットの斜視図である。一実施形態では、パワージェット642Aは、相互に対して直角の6つの長方形面を有する直方体構造である。さらに、パワージェット642Aには、パワージェット642Aの片側面にノズル列680Aがある。一実施形態では、ノズル列680Aは、パワージェット542Aの底面にあり、均等に設置される3×13個のオリフィス602Aから成り、長方形形状を形成する。別の実施形態では、ノズル列680Aは別のオリフィスのパターンから成る。
【0069】
図6Bは、本発明の別の実施形態による、パワージェットの斜視図である。パワージェット642Dは、水平平行面、及び円形断面または楕円断面を伴うシリンダ構造である。さらに、パワージェット642Dには、パワージェット442Dの片側の底部水平面にノズル列680Bがある。一実施形態では、ノズル列680Bは、パワージェット642Dの底部水平面に平行四辺形を形成する3×4個のオリフィス602Dから成る。
【0070】
図6Cは、本発明の一実施形態による、粒子材料を調製するプロセスを行うために使用できる装置の斜視図である。分散室220は、チャンバ本体、上部側壁228T、反応室210に接続される底面側壁228S、及び1つ以上のガスF1Aを分散室に流すための入口606に接続される室壁218を有する。本発明の一実施形態では、1つ以上のガスF1Aの方向は分散室220の室壁218に対して垂直である。
【0071】
一実施形態では、パワージェット642A、パワージェット642B、及びパワージェット642Cは、液滴流を分散室220に噴出するために、パワージェット642A、パワージェット642B、及びパワージェット642Cの底面上の分散室220の上部側壁228Tの開口に取り付けられ、分散室内で、液混合物F2Aになるように1つ以上のガスF1Aが分散し、分散室220の底部を通って重力によって反応室210の下向きに進む。本発明の一実施形態では、液滴流の方向は分散室220の室壁218に平行である。本発明の別の実施形態では、液滴流の方向は分散室220の上部側壁228Tに対して垂直である。
【0072】
図7Aは、本発明の一実施形態による、パワージェットのノズル列の斜視図である。パワージェット742Aは、所望の量の液体混合化合物を保管する液体源720と、液体源720からパワージェット742Aまでの液体混合化合物の送達を指示及び制御するための電子制御ユニット300とに接続される。別の構成では、液体源720の内部の液体混合物は、液体源720からパワージェット742Aにポンプによって送ることができる。ポンプによる液体混合物の送り込みは、例えば、連続的に所望の送達量で(例えば、絞り弁または他の手段によって調整される量で)、処理システム100の良好なプロセスのスループットを実現するように構成できる。別の構成では、パワージェット742Aは分散室220の外側に位置付けられ、パワージェット742Aから発生した液流は室入口を介して分散室220に送達される。
【0073】
一実施形態では、パワージェット742Aは、相互に対して直角の6つの長方形面を有する直方体構造である。さらに、パワージェット742Aには、パワージェット742Aの片側面にノズル列780Aがある。一実施形態では、ノズル列780Aは、底辺幅が側辺長よりも短いパワージェット742Aの側面にあり、均等に設置される1×8個のオリフィス702Aから成り、直線を形成する。図4Aも一緒に参照すると、オリフィス702Aの形状は402Aの形状よりも小さい。
【0074】
図7Bは、本発明の一実施形態による、パワージェットのノズル列の斜視図である。パワージェット742Bは、所望の量の液体混合化合物を保管する液体源720と、液体源720からパワージェット742Bまでの液体混合化合物の送達を指示及び制御するための電子制御ユニット300とに接続される。別の構成では、液体源720の内部の液体混合物は、液体源720からパワージェット742Bにポンプによって送ることができる。ポンプによる液体混合物の送り込みは、例えば、連続的に所望の送達量で(例えば、絞り弁または他の手段によって調整される量で)、処理システム100の良好なプロセスのスループットを実現するように構成できる。別の構成では、パワージェット742Bは分散室220の外側に位置付けられ、パワージェット742Bから発生した液流は室入口を介して分散室220に送達される。
【0075】
一実施形態では、パワージェット742Bは、相互に対して直角の6つの長方形面を有する直方体構造である。さらに、パワージェット742Bには、パワージェット742Bの片側面にノズル列780Bがある。一実施形態では、ノズル列780Bは、底辺幅が側辺長よりも短いパワージェット742Bの側面にあり、均等に設置される3×8個のオリフィス702Bから成り、長方形形状を形成する。図4Aも一緒に参照すると、オリフィス702Bの形状は402Aの形状よりも小さい。
【0076】
図8は、粒子材料を生成するために、速く、単純な、連続的な、及び低コストの製造プロセスを実施するために使用できる例示的な処理システム800の断面図であり、粒子材料を生成するシステムの一実施形態を示す。処理システム800は、1つ以上のガスを処理システムに送達するためのシステム入口802、システム入口802に接続される緩衝室830、緩衝室830に接続される分散室820、分散室820に接続される反応室810、及び反応室810に接続されるシステム出口804を含む。
【0077】
一実施形態では、処理システム800は、さらに、緩衝室830の室壁838に取り付けられたガス分配器832と、処理システムの内側で1つ以上のガスF1を複数の均一なガス流F2に送達するための分配器832のチャネルと、分散室820と、分散室820の室壁828に取り付けられた1つ以上のパワージェットモジュール840A及び840Bとを含む。
【0078】
一実施形態では、緩衝室830に送達された1つ以上のガスFは、下向きに加圧され、ガス分配器832のチャネル834を通って一定速度で流れ、チャネル834から外に出て複数の均一なガス流F2に流れ、さらに、分散室820に流れる。一実施形態では、1つ以上のガスFは、エアフィルタを通ってポンプで送られ、いずれかの粒子、液滴、または汚染物質が除去され得、ガスの流量はバルブまたは他の手段によって調整できる。一実施形態では、チャネル834から出てくる複数の均一なガス流Fの流量は、1つ以上のガスFの流量よりも大きくなる。さらに、複数の均一なガス流Fの方向に、ガスが集まり及びまとまる。
【0079】
一実施形態では、1つ以上のパワージェットモジュール840A及び840Bは、1つ以上のパワージェットモジュール840A及び840Bに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流F及び液滴流Fにするための1つ以上のパワージェット842A及び842Bを含む。1つ以上のパワージェットモジュール840A及び840Bは、さらに、1つ以上の支持フレーム844A及び844Bと、1つ以上のコネクタ845A及び845Bと、パワージェット842A及び842Bから噴出された1つ以上の液滴流F及び液滴流Fを動かして、分散室820に押し込むための1つ以上のモジュールアクチュエータ846A及び846Bとを含む。
【0080】
一実施形態では、分散室820に噴出された液滴流Fと複数の均一なガス流Fは第1の温度で第1の分散期間にわたって相互に対して分散角αで分散され、複数の均一なガス流F及び液滴流Fを含む気液混合物Fを形成する。さらに、分散室820に噴出された液滴流Fと複数の均一なガス流Fは第1の温度で第1の分散期間にわたって相互に対して分散角αで分散され、複数の均一なガス流F及び液滴流Fを含む気液混合物Fを形成する。一実施形態では、分散室自体は第1の温度に維持される。
【0081】
一実施形態では、1つ以上のガスを乾燥温度まで加熱して、ガスを液滴流と混合して、水分を液滴流から除去する。それは、液体混合物の蒸気の乾燥後に、2つ以上の液体混合物のうちの完全に混合した液体混合物から球状固体粒子を取得するように設計されている。対照的に、従来の固体の製造プロセスは、液体混合化合物の固体混合物を混合または粉砕することを含み、液体混合物の不均一な混合をもたらす。1つ以上のガスは、特に、例えば、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせであり得る。例えば、加熱空気は、液滴流を乾燥するための安価なガス源及びエネルギー源として使用できる。選択される1つ以上のガスは、前駆体の液滴流と十分に混合され、前駆体に反応しないで蒸気を乾燥するガスであり得る。場合によって、液滴流の化学物質は、前駆体の乾燥温度及び化学組成に応じて、乾燥中にある程度まで、1つ以上のガスに及び/または相互に対して反応し得る。さらに、分散室内で完全に混合した前駆体化合物の液滴流の滞留時間は調整可能であり、1つ以上のガスの流量と、液滴流が分散室内で分散して流れる必要がある経路長とに応じて、例えば、1秒~1時間になり得る。
【0082】
随意に、一実施形態では、処理システム800はさらに第1のセパレータを含み、第1のセパレータは、分散室830に接続され、気液混合物Fを分散室から収集して、第1のタイプの固体粒子及び廃棄物に分離するように適応する。随意に、第1のセパレータは乾燥室に接続され、乾燥室は、分散室830に接続され、気液混合物Fを分散室から収集し、気液混合物Fを乾燥して気固粒子にし、その気固粒子を第1のセパレータに送達し、第1のセパレータ内で第1のタイプの固体粒子及び廃棄物に分離するように適応する。一実施形態では、第1のセパレータは、さらに、反応室810に接続され、第1のタイプの固体粒子を反応室810に送達するように適応する、第1のセパレータ出口と、廃棄物を第1のセパレータから外に送達するように適応する第2のセパレータ出口とを含む。
【0083】
一実施形態では、処理システム800は、さらに、気液混合物Fを受けるための反応室810を含む。一実施形態では、反応室810は、さらに、1つ以上の第2のガスFをガス分配リング882に流すために反応室810の室壁818に取り付けられた1つ以上のガスライン入口808Aと、分散室820の室壁828に接続される反応室810の内部室壁と、その外周の室壁818の内側及びその内周の内壁888の外側に取り付けられたガス分配リング882とを含む。一実施形態では、ガス分配リング882はさらにチャネル884を含み、チャネル884は、反応室810の内側で、1つ以上の第2のガスを複数の均一なガス流Fに送達するためのものであり、第2の温度で反応時間にわたって、ガス流Fは気液混合物Fと反応し、最終反応生成物Fになる。
【0084】
1つ以上のガスは、限定ではないが、特に、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせであり得る。例えば、空気は、蒸気を乾燥するための安価なガス源及びエネルギー源として使用できる。選択されるガスは、気液混合物と十分に混合され、気液混合物に反応しないで気液混合物を乾燥するガスであり得る。場合によって、液滴/蒸気の化学物質は、第2の温度及び液体混合物の化学組成に応じて、反応中にある程度まで、ガスに及び/または相互に対して反応し得る。さらに、反応室内で完全に混合した液体混合化合物の蒸気の反応時間は調整可能であり、ガスの流量と、蒸気が反応室内を通って流れる必要がある経路長とに応じて、例えば、1秒~1時間になり得る。
【0085】
一実施形態では、反応時間は、ガスの流量、蒸気が反応室内を通って流れる必要がある経路長、処理システム800に最初に送達された液体混合物の反応温度及びタイプに応じて、1秒~10時間、または10時間よりも長くなり得る。
【0086】
一実施形態では、反応室810は、限定ではないが、酸化、還元、分解、組み合わせ反応、相変態、再結晶、単純置換反応、二重置換反応、燃焼、異性化、及びそれらの組み合わせを含む反応を行うことが可能である。一実施形態では、均一なガス流F及び気液混合物Fの反応室で行われる反応から生じる最終反応生成物F(生成物粒子であり得る)は、粒子材料として使用するために、その特性(例えば、比容量、電力性能、微粒子の帯電サイクル性能等)、粒径、モルフォロジー、結晶構造等をさらに分析するために、システム出口804を通るようにシステム800から外に送達される。
【0087】
代替の実施形態では、反応室810のガスライン入口808Aは、400°C~1300°Cの反応温度まで、1つ以上の第2のガスをガス源から加熱する加熱機構に結合される。加熱機構は、ヒータの中でも特に、例えば、電気ヒータ、ガス燃料ヒータ、バーナーであり得る。必要に応じて、追加ガスライン入口を使用して、加熱空気または加熱ガスを反応室810に送達できる。反応室810のチャンバ本体の従来の加熱よりもエネルギー効率をかなり良好に、予熱された第2のガスで反応室810を充填して、反応室810の内部温度を維持できる。反応室810の内側で加熱された第2のガスをエネルギー源として使用して、特に、速い熱伝達、精密な温度制御、反応室内の均一温度分布、及び/または容易に機能を高めることの利益をもたらす。
【0088】
一実施形態では、いったん反応室810の内側の反応が完了すると、例えば、所望の結晶構造、粒子モルフォロジー、及び粒径が形成されると、反応生成物はシステム出口804を介して反応室810から外に送達される。一実施形態では、反応生成物を冷却する。最終反応生成物は、例えば、液体混合物の酸化反応生成物粒子を含む微粒子状粒子のタイプを含む。
【0089】
随意に、処理システム800は、反応室810のシステム出口804から最終反応生成物Fを収集する第2のセパレータを含む。第2のセパレータは、サイクロン、静電分離機、電気集塵器、比重分離機、慣性分離機、膜分離機、流動床分級機、電気ふるい、衝突器、浸出分離機、水簸機、空気分級機、浸出分級機、及びそれらの組み合わせ等の粒子コレクタであり得る。
【0090】
随意に、処理システム800の第2のセパレータは、概して、最終反応生成物Fを第2のタイプの固体粒子及びガス副産物に分離するために、セパレータ入口、第1のセパレータ出口、及び第2のセパレータ出口を含む。ガス副産物は、ガス除害デバイスに送達され、処理され、処理システム800から放出され得る。第2のセパレータによって分離されたガス副産物は、概して、水(HO)蒸気、有機溶媒蒸気、窒素含有ガス、酸素含有ガス、O、O、窒素ガス(N)、NO、NO、NO、NO、NO、NO、N、N、N、N(NO、炭素含有ガス,二酸化炭素(CO)、CO、水素含有ガス、H、塩素含有ガス、Cl、硫黄含有ガス、SO、第1のタイプの固体粒子の小粒子、第2のタイプの固体粒子の小粒子、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0091】
随意に、処理システム800は、さらに、1つ以上の冷却液ラインを含み得、冷却液ラインは、第2のセパレータのシステム出口804またはセパレータ出口に接続され、最終反応生成物F及び/または第2のタイプの固体粒子を冷却するように適応する。冷却液ラインは、冷却液(例えば、ガスまたは液体)を液源から第2のセパレータのセパレータ入口に送達するように適応する。冷却液ラインは、粒子を除去するためにフィルタによって濾過され得る冷却液を熱交換器に送達するように適応する。
【0092】
随意に、熱交換器は、冷却液が熱交換器を流れることによって、第2のタイプの固体粒子及び/または最終反応生成物Fを第2のセパレータ及び/または反応室810から収集して、冷却するように適応する。冷却液は、第2のセパレータ及び/または反応室810から送達された最終反応生成物F及び第2のタイプの固体粒子の温度よりも低い温度を有する。冷却液は4°C~30°Cの温度を有し得る。冷却液は、液体水、液体窒素、空気、不活性ガス、またはいずれかの他のガスであり得、これらは反応生成物に反応しないだろう。
【0093】
図9Aは、本発明の一実施形態による、処理システム800に構成される分散室820の断面図である。図8も一緒に参照すると、図2Aの緩衝室820は破線AA’で切られた断面である。分散室820は、1つ以上のパワージェットモジュールのパワージェット842A、842B、842C、及び842Dに接続される1つ以上の開口を有する室壁828によって包囲される。
【0094】
一実施形態では、パワージェット842A~842Dは、垂直に位置付けられる分散室820(例えば、ドーム型分散室等)の上部の近くに位置付けられ、液滴流が分散室820に注入され、垂直下向きに分散室を通過する。代替として、パワージェット842A~842Dは、垂直に位置付けられる分散室820の底面の近くに位置付けでき、液滴流を分散室に上向きに注入して、分散室内で発生する液流の滞留時間を長くすることを可能にする。別の実施形態では、分散室820(例えば、管状分散室等)が水平に位置付けられ、パワージェット842A~842Dが分散室820の一端の近くに位置付けられるとき、その結果、分散室820の一端から別端を通って送達される蒸気流は、その滞留時間の長さにわたって分散室820の内部の経路を通過できる。
【0095】
一実施形態では、パワージェットモジュール842A~842Dは、図9Aに示される1つの配置で分散室820の室壁828に取り付けできる。その配置では、4つのパワージェットのそれぞれが、室壁828の同じ水平線上に相互に隣接して均等距離で室壁828に構成できる。
【0096】
図9Bは、本発明の一実施形態による、粒子材料を調製するプロセスを行うための緩衝室830の断面図である。図8も一緒に参照すると、図9Bの緩衝室830は破線BB’で切られた断面である。一実施形態では、緩衝室830は、1つ以上のガスをシステム入口から複数の一体化されたガスに送達するためのシリンダガス分配器832であって、緩衝室830の室壁838の内側の内部で囲まれ、緩衝室830の底部に位置付けられる、シリンダガス分配器832と、統一された方向で及び一定流量で1つ以上のガスを送るためのガス分配器832のチャネル834とを含む。
【0097】
図9Cは、本発明の一実施形態による、粒子材料を調製するプロセスを行うための反応室810の上部の断面図である。図8も一緒に参照すると、図9Cの反応室810は破線CC’で切られた断面である。一実施形態では、反応室810は、反応室810のチャンバ本体を囲む室壁818と、分散室820の室壁828に接続される反応室810の内部室壁888と、その外周の室壁818の内側及びその内周の内壁888の外側に取り付けられたガス分配リング882とを含む。一実施形態では、ガス分配リング882はさらにチャネル884を含み、チャネル884は、反応室810の内側で、統一された方向で及び一定流量で、1つ以上の第2のガスを複数の均一なガス流Fに送るためのものであり、第2の温度で反応時間にわたって、ガス流Fは気液混合物Fと反応し、最終反応生成物F7になる。
【0098】
図10は、処理システムの分散室に構成されるパワージェットモジュールの例を斜視図で示す。一実施形態では、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にし、1つ以上の液滴流を処理システムに押し込むためのパワージェットモジュール1040Aは、パワージェットモジュール1040Aに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット1042Aを含む。パワージェットモジュール1040Aは、さらに、パワージェット1042Aの移動を支持するための支持フレーム1044Aと、分散室の開口に一致するように接続されるパワージェットを移動させるための第1のモジュールアクチュエータ1046Aと、第1のモジュールアクチュエータ1046A及びパワージェット1042Aを接続するコネクタ1045Aとを含む。
【0099】
また、図10に示されるように、分散室1020は、1つ以上の開口1022A、1022B、1022C、1022D、1022E、及び1022Fを含み、これらの開口は、分散室1020の室壁に位置付けられ、ノズル列を伴うパワージェットの一面でパワージェットモジュールのパワージェットに接続及び適合するように適応する。一実施形態では、1つ以上の開口の形状及び1つ以上の開口の配置は図10に示され、1つ以上の開口は、底辺幅が側辺長よりも短い長方形であり、室壁の同じ水平線上に相互に隣接して均等距離で位置付けられる。
【0100】
また、図10に示されるように、分散室1020は、処理室の緩衝室から送達された複数の一体化されたガスF2で充填される。一実施形態では、分散室1020を通って液滴流を搬送するために、分散室1020の内側で、パワージェットモジュールのパワージェットから噴出された液滴流の形成と同時に、分散室1020に送達できる複数の一体化されたガスFは、水分を蒸気から除去し得るまたは除去し得ないことがあり、液体混合物及び複数の一体化されたガスを含む気液混合物をFの方向に形成する。また、複数の一体化されたガスFの気体流は、液滴流が形成される前に分散室1020に送達され、分散室1020の内側で液滴流が発生する前に、分散室1020の内部体積を充填し、随意に、第1の温度に予熱できる。
【0101】
一実施形態では、1つ以上の開口1022A~1022Fは、垂直に位置付けられる分散室1020(例えば、ドーム型分散室等)の上部の近くに位置付けられ、液滴流を分散室1020に注入し、垂直下向きに分散室を通過するために、パワージェットモジュールに接続及び適合する。代替として、1つ以上の開口1022A~1022Fは、垂直に位置付けられる分散室1020の底面の近くに位置付けでき、分散室内で発生する液流の滞留時間を長くすることによって液滴流を分散室に上向きに注入するために、パワージェットモジュールに接続及び適合することを可能にする。別の実施形態では、分散室1020(例えば、管状分散室等)が水平に位置付けられ、1つ以上の開口1022A~1022Fが分散室1020の一端の近くに位置付けられるとき、その結果、これらの開口は、分散室1020の一端から別端を通って送達される液滴流を注入するパワージェットモジュールに適合及び接続され、液滴流はその滞留時間の長さにわたって分散室1020の内部の経路を通過できる。
【0102】
さらに、一実施形態では、分散室1020に噴出された液滴流は複数の均一なガス流Fと一緒に分散され、複数の均一なガス流F及び液滴流を含む気液混合物Fになる。一実施形態では、分散室自体は第1の温度に維持される。
【0103】
本発明の一実施形態では、分散室に送達された複数の均一なガス流Fの方向は、分散室1020の室壁に平行である。そして、分散室1020を通って送達される気液混合物Fの方向も、分散室1020の室壁に平行である。本発明の別の実施形態では、分散室1020に送達された複数の均一なガス流Fの方向及び分散室1020を通って送達される気液混合物Fの方向は異なる。
【0104】
図11は、処理システムの分散室に構成されるパワージェットモジュールの例を斜視図で示す。一実施形態では、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にし、1つ以上の液滴流を処理システムに押し込むためのパワージェットモジュール1140Aは、パワージェットモジュール1140Aに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット1142Aを含む。パワージェットモジュール1140Aは、さらに、パワージェット1142Aの移動を支持するための支持フレーム1144Aと、分散室の開口に一致するように接続されるパワージェットを移動させるための第1のモジュールアクチュエータ1146Aと、第1のモジュールアクチュエータ1146A及びパワージェット1142Aを接続するコネクタ1145Aとを含む。
【0105】
また、図11に示されるように、分散室1120は、1つ以上の開口1122A、1122B、1122Cを含み、これらの開口は、分散室1120の室壁に位置付けられ、ノズル列を伴うパワージェットの一面でパワージェットモジュールのパワージェットに接続及び適合するように適応する。一実施形態では、1つ以上の開口の形状及び1つ以上の開口の配置は図11に示され、1つ以上の開口は、底辺幅が側辺長よりも長い長方形であり、室壁の同じ水平線上に相互に隣接して均等距離で位置付けられる。
【0106】
また、図11に示されるように、分散室1120は、処理室の緩衝室から送達された複数の一体化されたガスF2で充填される。一実施形態では、分散室1120を通って液滴流を搬送するために、分散室1120の内側で、パワージェットモジュールのパワージェットから噴出された液滴流の形成と同時に、分散室1120に送達できる複数の一体化されたガスFは、水分を蒸気から除去し得るまたは除去し得ないことがあり、液体混合物及び複数の一体化されたガスを含む気液混合物をFの方向に形成する。また、複数の一体化されたガスFの気体流は、液滴流が形成される前に分散室1120に送達され、分散室1120の内側で液滴流が発生する前に、分散室1120の内部体積を充填し、随意に、第1の温度に予熱できる。
【0107】
一実施形態では、1つ以上の開口1122A~1122Cは、垂直に位置付けられる分散室1120(例えば、ドーム型分散室等)の上部の近くに位置付けられ、液滴流を分散室1120に注入し、垂直下向きに分散室を通過するために、パワージェットモジュールに接続及び適合する。代替として、1つ以上の開口1122A~1122Cは、垂直に位置付けられる分散室1120の底面の近くに位置付けでき、分散室内で発生する液流の滞留時間を長くすることによって液滴流を分散室に上向きに注入するために、パワージェットモジュールに接続及び適合することを可能にする。別の実施形態では、分散室1120(例えば、管状分散室等)が水平に位置付けられ、1つ以上の開口1122A~1122Cが分散室1120の一端の近くに位置付けられるとき、その結果、これらの開口は、分散室1120の一端から別端を通って送達される液滴流を注入するパワージェットモジュールに適合及び接続され、液滴流はその滞留時間の長さにわたって分散室1120の内部の経路を通過できる。一実施形態では、分散室自体は第1の温度に維持される。
【0108】
本発明の一実施形態では、分散室に送達された複数の均一なガス流Fの方向は、分散室1120の室壁に平行である。そして、分散室1120を通って送達されるパワージェットから液滴流に複数の均一なガス流F2を分散することによって形成された気液混合物Fの方向も、分散室1120の室壁に平行である。
【0109】
図12は、処理システムの分散室に構成されるパワージェットモジュールの例を斜視図で示す。一実施形態では、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にし、1つ以上の液滴流を処理システムに押し込むためのパワージェットモジュール1240Aは、パワージェットモジュール1240Aに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット1242Aを含む。パワージェットモジュール1240Aは、さらに、パワージェット1242Aの移動を支持するための支持フレーム1244Aと、分散室の開口に一致するように接続されるパワージェットを移動させるための第1のモジュールアクチュエータ1246Aと、第1のモジュールアクチュエータ1246A及びパワージェット1242Aを接続するコネクタ1245Aとを含む。
【0110】
また、図12に示されるように、分散室1220は、1つ以上の開口1222A、1222B、1222Cを含み、これらの開口は、分散室1220の室壁に位置付けられ、ノズル列を伴うパワージェットの一面でパワージェットモジュールのパワージェットに接続及び適合するように適応する。一実施形態では、1つ以上の開口の形状及び1つ以上の開口の配置は図12に示され、1つ以上の開口は、底辺幅が側辺長よりも短い長方形であり、分散室1220の室壁の同じ垂直線上に相互に隣接して均等距離で位置付けられる。
【0111】
また、図12に示されるように、分散室1220は、処理室の緩衝室から送達された複数の一体化されたガスF2で充填される。一実施形態では、分散室1220を通って液滴流を搬送するために、分散室1220の内側で、パワージェットモジュールのパワージェットから噴出された液滴流の形成と同時に、分散室1220に送達できる複数の一体化されたガスFは、水分を蒸気から除去し得るまたは除去し得ないことがあり、液体混合物及び複数の一体化されたガスを含む気液混合物Fを形成する。また、複数の一体化されたガスFの気体流は、液滴流が形成される前に分散室1220に送達され、分散室1220の内側で液滴流が発生する前に、分散室1220の内部体積を充填し、随意に、第1の温度に予熱できる。
【0112】
一実施形態では、1つ以上の開口1222A~1222Cは、水平に位置付けられる分散室1220(例えば、管状分散室等)の左端の近くに位置付けられ、液滴流を分散室1220に注入し、分散室の一端から他端まで通過するために、パワージェットモジュールに接続及び適合する。代替として、1つ以上の開口1222A~1222Cは、水平に位置付けられる分散室1220の右端の近くに位置付けでき、分散室内で発生する液流の滞留時間の長さにわたって液滴流を分散室に上向きに注入するために、パワージェットモジュールに接続及び適合することを可能にする。一実施形態では、分散室自体は第1の温度に維持される。
【0113】
本発明の一実施形態では、分散室に送達された複数の均一なガス流Fの方向は、分散室1220の室壁に平行である。そして、分散室1220を通って送達されるパワージェットから液滴流に複数の均一なガス流F2を分散することによって形成された気液混合物Fの方向も、分散室1220の室壁に平行である。
【0114】
図13は、処理システムの分散室に構成されるパワージェットモジュールの例を斜視図で示す。一実施形態では、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にし、1つ以上の液滴流を処理システムに押し込むためのパワージェットモジュール1340Aは、パワージェットモジュール1340Aに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット1342Aを含む。パワージェットモジュール1340Aは、さらに、パワージェット1342Aの移動を支持するための支持フレーム1344Aと、分散室の開口に一致するように接続されるパワージェットを移動させるための第1のモジュールアクチュエータ1346Aと、第1のモジュールアクチュエータ1346A及びパワージェット1342Aを接続するコネクタ1345Aとを含む。
【0115】
また、図13に示されるように、分散室1320は、1つ以上の開口1322A、1322B、1322C、1322D、1322E、及び1322Fを含み、これらの開口は、分散室1320の室壁に位置付けられ、パワージェットの一面でパワージェットモジュールのパワージェットに接続及び適合するように適応し、ノズル列を伴い、底辺幅がその側辺長よりも長い。一実施形態では、1つ以上の開口の形状及び1つ以上の開口の配置は図13に示され、1つ以上の開口は、底辺幅が側辺長よりも長い長方形であり、室壁の同じ垂直線上に相互に隣接して均等距離で位置付けられる。
【0116】
一実施形態では、1つ以上の開口1322A~1322Fは、水平に位置付けられる分散室1220(例えば、管状分散室等)の左端の近くに位置付けられ、液滴流を分散室1320に注入し、分散室の一端から他端まで通過するために、パワージェットモジュールに接続及び適合する。代替として、1つ以上の開口1322A~1322Fは、水平に位置付けられる分散室1320の右端の近くに位置付けでき、分散室内で発生する液流の滞留時間の長さにわたって液滴流を分散室に上向きに注入するために、パワージェットモジュールに接続及び適合することを可能にする。一実施形態では、分散室自体は第1の温度に維持される。
【0117】
本発明の一実施形態では、分散室に送達された複数の均一なガス流Fの方向は、分散室1020の室壁に平行である。そして、分散室1020を通って送達される気液混合物Fの方向も、分散室1020の室壁に平行である。本発明の別の実施形態では、分散室1020に送達された複数の均一なガス流Fの方向及び分散室1020を通って送達される気液混合物Fの方向は異なる。
【0118】
本発明の一実施形態では、分散室に送達された複数の均一なガス流Fの方向は、分散室1320の室壁に平行である。そして、分散室1320を通って送達されるパワージェットから液滴流に複数の均一なガス流Fを分散することによって形成された気液混合物Fの方向も、分散室1320の室壁に平行である。
【0119】
粒子材料を生成するための方法
図14は粒子材料を生成する方法900を示す。方法900は、ステップ910、ステップ920、ステップ930、及びステップ940を含む。
【0120】
ステップ910は、1つ以上のガスを処理システムに送達することを含む。1つ以上のガスは、特に、例えば、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせであり得る。
【0121】
方法920は、処理システムの1つ以上のパワージェットモジュールによって、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にすることを含む。
【0122】
パワージェットモジュール内の液体送達/注入チャネルのサイズを調整することによって、1つ以上の液滴流の所望の径を調整できる。数ナノメートル~数百マイクロメートルの範囲にわたる1つ以上の液滴流の径を発生できる。使用される蒸気発生器、液体混合化合物、分散室の温度、ガスの流量、及び分散室の内側の滞留時間の選択に応じて、適切な液滴径を調整できる。例として、0.1ミクロン~1ミリメートルの液体の液滴径を伴う蒸気は、分散室の内側で発生する。
【0123】
ステップ930は、処理システムの分散室の内側で第1の温度で、1つ以上の液滴流を伴う1つ以上のガスの1つ以上のガス流を気液混合物に分散することを含む。
【0124】
したがって、本発明の一実施形態では、分散室内で流れる1つ以上のガスは、分散室内で気液混合物を形成するためのガス源として使用されることがもたらされる。1つ以上の液滴流は、1つ以上のガスを連続的に及び/または調整可能に可変流量で流すことによって分散室内で混合される。同時に、液体混合物から噴出された液滴流は、完全に混合した気液混合物として、分散室内の経路を通ってガスによって搬送され、ガスがより多く流れるにつれて、気液混合物は、分散室から外に送達され、分散室に接続される反応室に連続的に送達される。
【0125】
代替として、分散システム内で流れる1つ以上のガスは加熱され、加熱ガスの熱エネルギーは、分散室の内側で乾燥及び/または他の反応を実施するためのエネルギー源として働く。ガスは、電動ヒータ、燃料燃焼ヒータ等の適切な加熱機構を通過することによって、70°C~600°Cの温度に加熱できる。随意に、分散室の内側の乾燥及び/または他の反応は、分散室を直接加熱すること(例えば、分散室のチャンバ本体を加熱すること等)によって実行できる。加熱ガスを使用する利点として、特に、速い熱伝達、高温均一性、及び容易に機能が高まることがもたらされる。分散室は、ドーム型セラミック分散室、石英チャンバ、管状チャンバ等のいずれかのチャンバ、包囲したチャンバ本体を伴う加熱炉であり得る。随意に、チャンバ本体は、分散室内の乾燥中及び/または他の反応中に熱損失を防止するために、断熱材(例えば、セラミック等)から作られる。
【0126】
したがって、1つ以上のガスは、液滴流と十分に混合され気液混合物になるガスであり得、液滴流に反応しないで気液混合物を乾燥する。場合によって、液滴流の化学物質は、第1の温度及び液滴流の化学組成に応じて、分散室の内側の乾燥中及び/または他の反応中にある程度まで、ガスに及び/または相互に対して反応し得る。さらに、分散室内で完全に混合した液滴流化合物の気液混合物の滞留時間は調整可能であり、1つ以上のガスの流量と、液滴流が分散室内を通って流れる必要がある経路長とに応じて、例えば、1秒~1時間になり得る。
【0127】
随意に、ステップ930の後に、乾燥生成物(例えば、処理システムの分散室の内側で第1の温度で気液混合物を乾燥してから一緒に混合されたガス及び液体混合物を含む気固混合物)を取得して、例えば、気固分離器を使用して、第1のタイプの固体粒子及び廃棄物に分離される。第1のタイプの固体粒子は、液体混合物の完全に混合した固体粒子を含み得る。
【0128】
ステップ940は、処理システムの反応室の内側で第2の温度で、気液混合物を処理することを含む。気液混合物は、第1の温度と異なる第2の温度で反応を受ける反応室に送達される。
【0129】
随意に、ステップ940は、反応室の内側で第2の温度に加熱された第2のガスの第2の気体流を流すことを含む。したがって、反応室の内側に送達された加熱された第2のガス及び気液混合物を一緒に混合して、第2の気液混合物を形成する。
【0130】
一実施形態では、第2のガスを所望の反応温度(400°C~1300°Cの温度等)に加熱して、反応室に流し、第2の滞留時間にわたって第2の温度で、第2の気液混合物を乾燥及び/または反応させ、反応生成物(例えば、第1のタイプの固体粒子)にするためのエネルギー源として働く。既に加熱された空気またはガスを流す利点として、特に、速い熱伝達、均一温度分布(特に、高温域)、及び容易に機能が高まることがもたらされる。第2の滞留時間は、第2の気液混合物の完全反応を実施するためにかかるいずれかの滞留時間であり得、例えば、1秒~10時間、または10時間よりも長い時間等の滞留時間である。
【0131】
反応室内の第2の気液混合物の反応は、酸化、還元、分解、組み合わせ反応、相変態、再結晶、単純置換反応、二重置換反応、燃焼、異性化、及びそれらの組み合わせのいずれかを含み得る。例えば、第2の気液混合物は酸化され得、例えば、液体混合化合物を酸化して酸化物材料にする。代替として、反応生成物の所望の結晶構造は、反応室内の第2の気液混合物の反応から取得される。
【0132】
例示的な第2のガスは、限定ではないが、空気、酸素、二酸化炭素、酸化ガス、窒素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせを含む。酸化物材料を1つ以上の液体混合物から形成する等の反応炉の内側の酸化反応について、酸化ガスを第2のガスとして使用できる。反応炉の内側の還元反応について、還元ガスを第2のガスとして使用できる。例として、加熱空気を第2の気固混合物を形成するためのガス源として使用する。
【0133】
随意に、ステップ940の後に、反応生成物(例えば、第2のガスと混合される酸化反応生成物の気固混合物及び/もしくは他の気相の副産物、または廃棄物等)は、反応室から外に送達され、その反応生成物を冷却して、所望の径、モルフォロジー、及び結晶構造の最終固体粒子を取得して、さらに電池での利用にすぐに使用できる。例えば、反応生成物を室温になるまでゆっくり冷却して、均一モルフォロジー及び所望の結晶構造でその安定したエネルギー状態を形成するプロセスを妨げるまたは失敗することを避け得る。
【0134】
前述の説明は本発明の実施形態を対象としており、本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は以下に続く請求項によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14