(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-10
(45)【発行日】2024-01-18
(54)【発明の名称】処理システムの反応室の内側のアシストガス流
(51)【国際特許分類】
B01J 19/26 20060101AFI20240111BHJP
B01J 19/00 20060101ALI20240111BHJP
H01M 4/505 20100101ALN20240111BHJP
H01M 4/525 20100101ALN20240111BHJP
H01M 4/58 20100101ALN20240111BHJP
【FI】
B01J19/26
B01J19/00 N
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/58
(21)【出願番号】P 2021578237
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 US2020040038
(87)【国際公開番号】W WO2020264464
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522001530
【氏名又は名称】イージュール,アイエヌシー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ルー
(72)【発明者】
【氏名】シェン,リャン ヤー
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-229124(JP,A)
【文献】国際公開第2014/182347(WO,A1)
【文献】特開2015-186793(JP,A)
【文献】国際公開第2009/039281(WO,A1)
【文献】特開平06-155457(JP,A)
【文献】特開昭62-121642(JP,A)
【文献】特開昭59-206042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0328729(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0159946(US,A1)
【文献】特開2004-070303(JP,A)
【文献】特表平08-511574(JP,A)
【文献】特開平01-116013(JP,A)
【文献】特開平08-040715(JP,A)
【文献】特開2014-113529(JP,A)
【文献】特開2007-084355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00-19/32
B01J 2/00- 2/30
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生成物を生成する処理システムであって、
1つ以上の第1のガスラインと、
1つ以上の第1のガス流を前記処理システムに送達する前記1つ以上の第1のガスラインに接続されるシステム入口と
、
液体混合物を噴出し1つ以上の液滴流にして、前記1つ以上の液滴流を前記処理システムに噴出するように適応する1つ以上のパワージェットモジュールと、
反応混合物を処理して、前記生成物にするように適応する反応室と、
加熱アセンブリと、を含み、
前記加熱アセンブリは、
1つ以上の第2のガス流を前記反応室に送達するために、前記反応室の室壁の開口に接続される第2のガスラインと、
前記第2のガスラインに接続され、前記反応室の内側に位置付けられるガス送達要素と、を含み、
前記加熱アセンブリの前記ガス送達要素は、前記反応室の内側で上向きに位置付けられ、
前記反応混合物は、
前記1つ以上の第1のガス流と、
前記1つ以上の第2のガス流と、
前記1つ以上の液滴流と、
を含む、処理システム。
【請求項2】
前記1つ以上のパワージェットモジュールに接続され、前記1つ以上の液滴流が前記1つ以上の第1のガス流と一緒に分散して気液混合物になるように適応する分散室をさらに含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記1つ以上の第1のガス流及び前記1つ以上の液滴流は、0度~180度の分散角(α)で相互に対して流れる、請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記ガス送達要素は前記反応室の内側に位置付けられ、前記反応室の入口領域まで伸び、前記入口領域は前記処理システムの前記分散室に接続される、請求項2に記載の処理システム。
【請求項5】
前記1つ以上の第2のガス流は前記ガス送達要素によって送達され、前記反応室の内側で0度~180度の角度(β)で、前記1つ以上の気液混合物流と相互に混合する、請求項2に記載の処理システム。
【請求項6】
前記
角度(β)は180度である、請求項5に記載の処理システム。
【請求項7】
前記システム入口から流れる前記1つ以上の第1のガス流を前記分散室に送達するように適応する緩衝室をさらに含む、請求項2に記載の処理システム。
【請求項8】
前記緩衝室は、前記1つ以上の第1のガス流を1つ以上の均一なガス流に送達するための1つ以上のチャネルを内部に有するガス分配器を備え、前記ガス分配器は前記緩衝室の室壁の内周に適合するように成形されている、請求項7に記載の処理システム。
【請求項9】
前記処理システムはさらに電子制御センターを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項10】
前記1つ以上の第1のガスラインを通って送達される前記1つ以上の第1のガス流は第1の温度に維持され、前記加熱アセンブリの前記ガス送達要素を通って送達される前記1つ以上の第2のガス流は第2の温度に維持され、前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、請求項1に記載の処理システム。
【請求項11】
前記第1の温度は20℃~400℃の温度に維持される、請求項10に記載の処理システム。
【請求項12】
前記第2の温度は100℃~1400℃の温度に維持される、請求項10に記載の処理システム。
【請求項13】
生成物を生成する処理システムであって、
1つ以上の第1のガスラインと、
1つ以上の第1のガス流を前記処理システムに送達する前記1つ以上の第1のガスラインに接続されるシステム入口と
、
液体混合物を噴出し1つ以上の液滴流にして、前記
1つ以上の液滴流を前記処理システムに噴出するように適応する1つ以上のパワージェットモジュールと、
前記1つ以上のパワージェットモジュールに接続され、前記1つ以上の液滴流が前記1つ以上の第1のガス流と一緒に分散して気液混合物になるように適応する分散室であって、前記1つ以上の第1のガス流及び前記1つ以上の液滴流は、0度~180度の分散角(α)で相互に対して流れる、分散室と、
反応混合物を処理して、前記生成物にするように適応する反応室と、
加熱アセンブリと、を含み、
前記加熱アセンブリは、
1つ以上の第2のガス流を前記反応室に送達するために、前記反応室の室壁の開口に接続される第2のガスラインと、
前記第2のガスラインに接続され、前記反応室の内側に位置付けられるガス送達要素と、を含み、
前記加熱アセンブリの前記ガス送達要素は、前記反応室の内側で上向きに位置付けられ、
前記反応混合物は、前記1つ以上の第1のガス流、前記1つ以上の第2のガス流、及び前記1つ以上の液滴流を含み、
前記1つ以上の第2のガス流は前記ガス送達要素によって送達され、前記反応室の内側で0度~180度の角度(β)で、前記1つ以上の気液混合物流と相互に混合する、処理システム。
【請求項14】
前記1つ以上の第1のガスラインを通って送達される前記1つ以上の第1のガス流は第1の温度に維持され、前記加熱アセンブリの前記ガス送達要素を通って送達される前記1つ以上の第2のガス流は第2の温度に維持され、前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、請求項13に記載の処理システム。
【請求項15】
前記第1の温度は20℃~400℃の温度に維持される、請求項14に記載の処理システム。
【請求項16】
前記第2の温度は100℃~1400℃の温度に維持される、請求項14に記載の処理システム。
【請求項17】
生成物を液体混合物から生成する方法であって、
1つ以上の第1のガス流を、システム入口を介して処理システムの緩衝室に送達することと、
1つ以上の第2のガス流を、加熱アセンブリを介して前記処理システムの反応室に送達することであって、前記加熱アセンブリは、
1つ以上の第2のガス流を前記反応室に送達するために、前記反応室の室壁の開口に接続される第2のガスラインと、
前記第2のガスラインに接続され、前記反応室の内側に位置付けられるガス送達要素と、を含む、送達することと、
前記処理システムの1つ以上のパワージェットモジュールによって、前記液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にすることと、
前記1つ以上のパワージェットモジュールによって、前記処理システムの分散室の内側で前記1つ以上の液滴流を流すことと、
前記1つ以上の第1のガス流、前記1つ以上の第2のガス流、及び前記1つ以上の液滴流を含む反応混合物を形成することと、
100℃~1400℃の温度に加熱される前記1つ以上の第2のガス流を使用して、前記処理システムの前記反応室を加熱することと、
前記反応温度以内で、前記反応混合物を処理して前記生成物にすることと、を含み、
前記ガス送達要素は前記反応室の内側に位置付けられ、前記反応室の入口領域まで伸び、前記1つ以上の第2のガス流を前記入口領域に送達し、前記入口領域は前記分散室に接続される、方法。
【請求項18】
前記1つ以上の第1のガスラインを通って送達される前記1つ以上の第1のガス流は第1の温度に維持され、前記加熱アセンブリの前記ガス送達要素を通って送達される前記1つ以上の第2のガス流は第2の温度に維持され、前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月28日に出願された米国仮特許出願公開第62/868843号明細書の利益を主張している。上記の出願文献の全ては、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、電池で利用するための材料の調製に関する。より具体的には、本発明は、二次電池で使用される構造化されたカソード活物質またはアノード活物質を製造する処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高エネルギー密度、高電力性能、大容量、長いサイクル寿命、低コスト、及び高い安全性に関して、様々な家電製品、電気自動車、及びグリッドエネルギーストレージの利用における高まる需要を満足するために、高度な電気化学電池セルの開発に多くの取り組みが費やされている。多くの場合、電池を小型化、軽量化し、及び再充電可能(ひいては、再利用可能)にして、空間及び物質資源を節約することが望ましい。
【0004】
電気化学的活性電池セルでは、カソード及びアノードは電解液に浸かり、セパレータによって電子的に分離される。セパレータは一般的に多孔質ポリマー膜材料から作られ、その結果、電極から電解液に放出される金属イオンは、セパレータの細孔を通って拡散して、電池の充電中及び放電中にカソードとアノードとの間で移動できる。電池セルのタイプは、通常、そのカソード電極とアノード電極との間で運ばれる金属イオンから名付けられる。ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、鉛酸電池、リチウムイオン電池、及びリチウムイオンポリマー電池等の様々な再充電可能な二次電池は、長年にわたって販売用に開発されている。販売用に使用するために、再充電可能な二次電池は、高エネルギー密度、高電力密度、及び安全であることが要求される。しかしながら、エネルギー密度と電力密度とのトレードオフが存在する。
【0005】
リチウムイオン電池は、1990年代初めに開発された二次電池である。他の二次電池と比較して、リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、長いサイクル寿命、メモリ効果の解消、低自己放電率、及び環境に優しい利点をもたらす。リチウムイオン電池は、急速に、受け入れられ、二次電池の販売市場の大半を占めるようになった。しかしながら、様々なリチウム電池材料を販売用に製造するためのコストは、他のタイプの二次電池よりもかなり高い。
【0006】
リチウムイオン電池では、電解液は、主に、リチウムイオンが自由に溶媒中を移動できるような、有機溶媒(例えば、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、及び炭酸ジエチル)のリチウム塩(例えば、LiPF6、LiBF4、またはLiClO4)から成る。概して、アルミ箔(例えば、15~20μmの厚さ)及び銅箔(例えば、8~15μmの厚さ)は、各々、カソード電極及びアノード電極の集電体として使用される。アノードについて、ミクロン径の黒鉛(約330mAh/gの可逆容量を有する)は、多くの場合、アノード集電体上にコーティングされた活物質として使用される。黒鉛材料は、多くの場合、酸素を用いないで極高温で研削及び熱分解等の固体プロセス(例えば、約3000℃での黒鉛化)から調製される。活性カソード材料と同様に、異なる結晶構造及び容量の様々な固体材料が長年にわたって開発されている。良質のカソード活物質の例は、ナノメートル径またはミクロン径のリチウム遷移金属酸化物材料及びリン酸リチウムイオン等を含む。
【0007】
カソード活物質は、リチウムイオン電池の最も高価な構成要素であり、比較的大きい程度まで、リチウム電池セルのエネルギー密度、サイクル寿命、製造コスト、及び安全性が確認される。リチウム電池が最初に商品化されたとき、コバルト酸リチウム(LiCoO2)材料はカソード材料として使用され、それは、カソード活物質の市場でかなりのマーケットシェアを依然として保持している。しかしながら、コバルトは有毒であり、高価である。他のリチウム遷移金属酸化物材料、例えば、層状構造のLiMeO2(ここで、金属Me=Ni、Mn、Co等、例えば、約140~150mAh/gの可逆容量/実用容量のLiNi0.33Mn0.33Co0.33O2)、スピネル型構造のLiMn2O4(約110~120mAh/gの可逆容量/実用容量)、及びオリビン型リチウム金属リン酸塩(例えば、LiFePO4、約140~150mAh/gの可逆容量/実用容量)は、最近、活性カソード材料として開発されている。カソード材料として使用するとき、スピネル型構造のLiMn2O4材料は不十分な電池サイクル寿命を示し、オリビン型LiFePO4材料は、低エネルギー密度及び不十分な低温性能に悩まされる課題がある。LiMeO2材料に関して、その電気化学的性能が良好であるが、以前のLiMeO2の製造プロセスは凝集体のほとんどを取得する可能性があり、その結果、LiMeO2材料の大部分の電極密度はLiCoO2と比較して低くなる。いずれの場合、電池で利用するための材料(特に、カソード活物質)を製造するための以前のプロセスは、ほとんどのプロセスが長時間になり、かなりの量のエネルギーを消費するため、多大なコストがかかり、さらに、以前の材料品質は一貫性がなく、製造歩留まりは悪い。
【0008】
固相反応(例えば、固体前駆体の混合、次に、焼成が行われる)及び湿式化学プロセス(例えば、共沈、ゾルゲル、または熱水反応等によって溶液中の前駆体を処理し、次に、混合及び焼成が行われる)等の従来の材料製造プロセスは、ナノ構造材料及びミクロン構造材料を作る際に顕著な課題がある。所望の粒径、モルフォロジー、結晶構造、粒子形状、さらに、所望の化学量論で均一な固体材料(すなわち、粒子及び粉末)をばらつきなく生成することが困難である。ほとんどの従来の固相反応では、長い焼成時間(例えば、4~20時間)と、完全反応、均質性、及び粒成長を生じさせるための追加のアニーリングプロセスとが要求される。例えば、固相反応によって製造されるスピネル型構造のLiMn2O4及びオリビン型LiFePO4材料は、別の後熱アニーリングプロセス(例えば、24時間)に加えて少なくとも数時間の焼成が要求され、依然として、不十分な品質一貫性が示される。固相反応に関連する1つの本質的な問題として、焼成炉の内側の温度勾配及び化学勾配(O2等)があることにより、最終生成物の性能、品質一貫性、及び品質全般が制限される。
【0009】
他方では、低温で行われる湿式化学プロセスは、通常、高速化学反応を含むが、別の高温焼成プロセス及びさらに追加のアニーリングプロセスはさらに後で要求される。さらに、湿式化学プロセスで要求される化学添加物、ゲル化剤、及び界面活性剤は、(追加の化学物質を購入する際、また、特定のプロセス順序、割合、pH、及び温度を調整する際に)材料製造コストに追加され、同様に生成された活物質の最終組成に支障を及ぼし得る(したがって、多くの場合、不要な化学物質を除去するまたは生成物を濾過する追加ステップが要求される)。さらに、湿式化学によって生成される製品粉末の一次粒子の径は非常に小さく、望ましくない大きい径の二次粒子に凝集する傾向があることによって、エネルギー集積密度に影響を及ぼす。また、同様に生成された粉末粒子のモルフォロジーは、多くの場合、望ましくない非晶質凝集体、多孔質凝集体、針金状、棒状、薄片等を示す。高集積密度を可能にする均一な粒径及び形状が望ましい。
【0010】
コバルト酸リチウム(LiCoO2)材料の合成は比較的単純であり、リチウム塩(例えば、水酸化リチウム(LiOH)または炭酸リチウム(Li2CO3))を、所望の粒径の酸化コバルト(Co3O4)と混合することと、次に、超高温で長時間(例えば、900℃で20時間)にわたって加熱炉で焼成することとを含み、リチウム金属が酸化コバルトの結晶構造に拡散され、層状結晶構造のLiCoO2粉末の適切な最終生成物を形成することを確実にする。このアプローチはLiMeO2に効かない。その理由として、Ni、Mn、及びCo等の遷移金属は相互に十分に拡散しなく、その遷移金属酸化物または遷移金属塩を直接混合し反応(固相焼成)させる場合、均一に混合した遷移金属層を形成しないためである。したがって、従来のLiMeO2の製造プロセスでは、最終活性カソード材料(例えば、リチウムNiMnCo遷移金属酸化物(LiMeO2))を作る前に、遷移金属水酸化物前駆体化合物(例えば、Me(OH)2、Me=Ni、Mn、Co等)を購入すること、または共沈の湿式化学プロセスからその遷移金属水酸化物前駆体化合物を調製することが要求される。
【0011】
これらのNi(OH)2、Co(OH)2、及びMn(OH)2の前駆体化合物の水溶性が異なり、これらは、通常、異なる濃度で沈殿するため、これらの前駆体化合物の混合溶液のpHを調節する必要があり、アンモニア(NH3)または他の添加物を小さなアリコートでゆっくり加える必要があり、これらにより、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、及びコバルト(Co)は一緒に共沈して、ミクロン径のニッケル-マンガン-コバルト水酸化物(NMC(OH)2)の二次粒子を形成できることを確実にする。そのような共沈NMC(OH)2の二次粒子は、多くの場合、ナノメートル径の一次粒子の凝集体である。したがって、NMC(OH)2の前駆体化合物から作られた最終リチウムNMC遷移金属酸化物(LiMeO2)も凝集体である。これらの凝集体は、電極カレンダーステップ中及び集電箔上へのコーティング中に高圧がかかり壊れる傾向がある。したがって、これらのリチウムNMC遷移金属酸化物材料がカソード活物質として使用されるとき、カレンダーステップで比較的低圧を使用する必要があり、製造されたカソードの電極密度をさらに制限する。
【0012】
LiMeO2の活性カソード材料の従来の製造プロセスでは、水酸化リチウム(LiOH)及び遷移金属水酸化物(Me(OH)2)等の前駆体化合物は、固体のまま均一に混合され、厚いAl2O3のるつぼに保管される。次に、るつぼは、900°~950℃に到達するまで5~10℃/minの温度上昇速度の設定で加熱炉に設置され、10~20時間にわたって焼成される。前駆体化合物が長時間にわたって高温下で加熱されるため、隣接粒子は一緒に焼結され、ひいては、多くの場合、微粉砕ステップは焼成後に要求される。したがって、望まない径の粒子は、微粉砕後に選別して除去する必要があり、さらに、全収率が下がる。高温及び長い反応時間は、また、リチウム金属の気化をもたらし、一般的に、焼成中に10%と同等の追加量のリチウム前駆体化合物を加えることが要求され、最終生成物が適正なリチウム金属/遷移金属の比を有することを確実にする。全体的に、そのような多段階のバッチ製造プロセスのプロセス所要時間は最長で1週間かかるため、かなり労働集約的であり、エネルギーをかなり消費する。また、バッチプロセスは、Run-to-Run制御の不十分な品質一貫性及び低い全収率により、不純物が入る機会が増える。
【0013】
したがって、高品質で構造化された電池セル用の活物質を製造するプロセス及びシステムの改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】米国仮特許出願公開第62/868843号明細書
【文献】米国特許出願公開第16/457885号明細書
【文献】米国特許出願公開第16/457889号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、概して、処理システムの反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムと、処理システムで粒子材料を液体混合物から生成する方法とに関する。より具体的には、本発明は、望ましい結晶構造、結晶の大きさ、及び結晶モルフォロジーで、物質粒子(例えば、活性電極材料等)を生成するための方法及び処理システムに関する。
【0016】
一実施形態では、粒子材料を液体混合物から生成する処理システムが提供される。処理システムは、1つ以上のガスラインと、1つ以上のガスを処理システムに送達する1つ以上のガスラインに接続されるシステム入口と、液体混合物を噴出し1つ以上の液滴流にして、1つ以上の液滴流を処理システムに噴出するように適応する1つ以上のパワージェットモジュールとを含む。処理システムは、さらに、反応混合物を処理して、生成物にするように適応する反応室と、加熱アセンブリとを含む。
【0017】
一態様では、加熱アセンブリは、1つ以上の第2のガス流を反応室に送達するために、反応室の室壁の開口に接続される第2のガスラインと、第2のガスラインに接続され、反応室の内側に位置付けられるガス送達要素とを含む。別の態様では、反応混合物は、1つ以上の第1のガス流、1つ以上の第2のガス流、及び1つ以上の液滴流を含む。別の態様では、処理システムは、さらに、1つ以上のパワージェットモジュールに接続され、1つ以上の液滴流が1つ以上のガス流と一緒に分散するように適応する分散室を含む。
【0018】
さらに別の態様では、処理システムは、さらに、システム入口から流れる1つ以上のガス流を分散室に送達するように適応する緩衝室を含む。別の実施形態では、緩衝室は、さらに、1つ以上のガスを複数のガス流に送達するための1つ以上のチャネルを内部に有するガス分配器を含む。別の実施形態では、ガス分配器は緩衝室の室壁の内周に適合するように成形されている。さらに別の態様では、処理システムは、さらに、分散室の内側で0度~約180度の角度で相互に対して流れる1つ以上のガス及び1つ以上の液滴流を含む。一実施形態では、処理システムのガス送達要素は、ガス流を、1つ以上のパワージェットモジュールから生成された1つ以上の液滴流と混合するように適応し、ガス流及び1つ以上の液滴流は、分散室の内側で0度~約180度の角度で相互に対して流れる。
【0019】
別の実施形態では、生成物を生成する処理システムが提供され、1つ以上の第1のガスラインと、1つ以上の第1のガス流を処理システムに送達する1つ以上の第1のガスラインに接続されるシステム入口と、液体混合物を噴出し1つ以上の液滴流にして、1つ以上の液滴流を処理システムに噴出するように適応する1つ以上のパワージェットモジュールと、1つ以上のパワージェットモジュールに接続され、1つ以上の液滴流が1つ以上の第1のガス流と一緒に分散して気液混合物になるように適応する分散室であって、1つ以上の第1のガス流及び1つ以上の液滴流は、0度~約180度の分散角(α)で相互に対して流れる、分散室と、反応混合物を処理して、生成物にするように適応する反応室と、加熱アセンブリとを含む。一態様では、1つ以上の第2のガス流はガス送達要素によって送達され、反応室の内側で0度~約180度の角度(β)で、1つ以上の気液混合物流と相互に混合する。
【0020】
別の実施形態では、生成物を液体混合物から生成する方法が提供される。本方法は、1つ以上の第1のガス流を、システム入口を介して処理システムの緩衝室に送達することと、1つ以上の第2のガス流を、加熱アセンブリを介して処理システムの反応室に送達することと、処理システムの1つ以上のパワージェットモジュールによって、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にすることと、1つ以上のパワージェットモジュールによって、処理システムの分散室の内側で1つ以上の液滴流を流すことと、反応室の内側で、1つ以上の第1のガス流、1つ以上の第2のガス流、及び1つ以上の液滴流を含む反応混合物を形成することとを含む。本方法は、また、100℃~1400℃の温度に加熱される1つ以上の第2のガス流を使用して、処理システムの反応室を加熱することと、反応室の内側で、反応混合物を処理して生成物にすることとを含み得る。
【0021】
本発明の上記に列挙された特徴を詳細に理解できるように、上記に簡潔に要約された本発明のより具体的な説明は、複数の実施形態を参照することによってなされ得、実施形態の一部は添付図に示される。しかしながら、添付図は本発明の典型的な実施形態だけを示し、したがって、本発明の範囲を限定しないと見なされ、本発明に対して同様に有効な他の実施形態が認められ得ることを留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムの一例の一実施形態の斜視図である。
【
図1B】反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムの別の例の別の実施形態の断面図である。
【
図1C】反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムで使用できる装置の断面図である。
【
図2A】反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムで使用できる当該装置の分散室の断面図である。
【
図2B】本発明の一実施形態による、分散室の内側におけるガス流と液滴流との間の角度を示す。
【
図3A】反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムで使用できる当該装置の反応室の断面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による、反応室の内側における気液混合物と加熱ガス流との間の角度を示す。
【
図5】本発明の一実施形態による、処理システムで使用できる当該装置内の速度ベクトルを示す。
【
図6】本発明の一実施形態による、処理システムで使用できる当該装置内の速度流線を示す。
【
図7】本発明の一実施形態による、反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムで使用できる当該装置の温度分布を示す。
【
図8】本発明の一実施形態による、処理システムで使用できる当該装置内の速度流線を示す。
【
図9】本発明の一実施形態による、反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムで使用できる当該装置の温度分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、概して、処理システムの反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムと、処理システムで粒子材料を液体混合物から生成する方法とを提供する。処理システムは、粒子材料を生成し、材料製造時間及びエネルギーを節約し、従来の活物質製造プロセスで見られるような高い製造コスト、低収率、不十分な品質一貫性、低電極密度、低エネルギー密度の問題を解決するために、連続プロセスを行うのに有用である。処理システムは、概して、1つ以上のガスを、1つ以上のガスラインを通って送達するためのシステム入口と、緩衝室と、1つ以上のパワージェットモジュールに結合される分散室と、反応室と、反応室の内側の加熱アセンブリと、処理システムから外に粒子材料を送達するためのシステム出口とを含む。
【0024】
一態様では、金属含有前駆体等の前駆体化合物を混合して液体混合物にし、その結果、異なる金属前駆体の比は望ましい比で調整可能であり得、さらに、前駆体の均一な混合物を取得することが可能であり得る。次に、液体混合物はガスとすぐに混合され、均等に混合される気固混合物が形成され、加熱ガスによって気相で連続的に処理されることによって、反応室の内側で粒子材料の乾燥固体粒子になるように反応する。
【0025】
別の態様では、所望の比の金属前駆体化合物の均一な混合物を混合して液体混合物にし、分散室に噴出され、分散室は、1つ以上のガス(例えば、搬送ガス、反応ガス、酸化ガス、酸素ガス等)を緩衝室から受け、それによって、反応室に入る前に、分散室内で気液混合物の液滴を形成する。
【0026】
一実施形態では、気液混合物の液滴は反応室に流れ、気固混合物になるように処理され、加熱空気または加熱ガスは、加熱アセンブリを介して、反応室の内側に内部室空間に活発に流れ、その結果、加熱ガスは、反応室の内側で、様々な反応(乾燥反応、酸化反応、加熱反応等)のためのガス源及び/またはエネルギー源の両方として働き得る。
【0027】
反応室から生じる反応生成物(例えば、粒子、電池酸化物材料、粒子材料等)は、反応室から外に送達され、冷却される。冷却後、反応生成物は、所望の結晶構造、粒径、及びモルフォロジーを伴う、前駆体組成の酸化型の固体材料粒子または微粉末(例えば、混合金属酸化物材料の微粉末等の金属酸化物材料)を含む。したがって、従来の製造プロセスから調製された材料よりも時間、作業、及び監視がかなり少なくなる高品質及び均一な活性電池材料を取得できる。
【0028】
一態様では、加熱アセンブリは、1つ以上の加熱ガス(例えば、100℃~1400℃の温度に加熱されるガス)を反応室に送達するために、反応室の室壁の開口に接続されるガスラインを含む。1つ以上の加熱ガスは、処理システムに入る前にそのようなガス流が加熱されるとき、反応室内で反応する反応物質(例えば、反応混合物、気液混合物、液体混合物、及び他の混合物等)のためのエネルギー源として働き得る。加熱アセンブリはさらにガス送達要素を含み、ガス送達要素は、1つ以上の加熱ガスを送達するために、ガスラインに接続され、反応室の内側に位置付けられ、反応室の入口領域まで伸び、入口領域は分散室に接続される。さらに、反応室は、粒子材料を処理システムから外に送達するためのシステム出口に接続される。
【0029】
別の態様では、1つ以上のガス流(例えば、200℃~400℃の温度における、搬送ガス、酸素ガス、不活性ガス、窒素ガス等)は、システム入口から処理システムに送達され、液体混合物との気液混合物を形成するためのガス源と、気液混合物を反応室に送達するための搬送ガスとして働く。また、ガスは、処理システムに入る前にそのようなガスを20℃以上(例えば、100℃~400℃)の温度に加熱する場合、反応室で反応する気液混合物のためのエネルギー源としても働き得る。
【0030】
さらに別の態様では、金属含有液体混合物であり得る液体混合物は、分散室に接続される1つ以上のパワージェットモジュールによって、液滴流にすぐに噴出され、次に、処理システムの分散室に分散される。液滴流はガスと連続的に混合され、気液混合物を形成し、反応室に流れ及び送達される。
【0031】
一実施形態では、反応室の内側で、1つ以上の加熱ガス流はそれに活発に送達され、気液混合物は反応室の内部室空間の内側で一緒に混合され、反応混合物を形成する。別の実施形態では、反応室に送達される1つ以上の加熱ガス流は、所望の反応温度(100℃~1400℃、例えば、300℃~1000℃、または400℃~800℃等の温度)に加熱される。さらに別の実施形態では、100℃~1400℃の温度に加熱される1つ以上のガスを使用することによって、処理システムの反応室を反応温度に加熱できる。反応室内の反応混合物は、反応室の内側で反応温度において反応期間にわたって、生成物になるように処理され、反応室から外に送達される。例として、反応混合物は、1つ以上の液体、1つ以上のガス、1つ以上の液滴流、ならびに加熱ガス、及びそれらの組み合わせの混合物を含み得る。
【0032】
処理システムの反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システム
【0033】
図1Aは、内部の液体混合物から粒子材料を生成する方法で提供される処理システム100の例示的な一実施形態の斜視図である。処理システム100は、概して、システム入口102、システム出口104、反応室110、及び加熱アセンブリ180を含み得る。下記に詳細に説明される加熱アセンブリ180は、処理システム100の反応室110の内側でアシストガス流を提供するように設計されている。
【0034】
ガスライン106を通って処理システム100に、搬送ガス及び他のガス等の1つ以上のガスを送達するためのシステム入口102が提供される。システム出口104は、処理システム100から外に粒子材料を送達するために反応室110に接続され、化学溶液の液体混合物等の反応物質(例えば、液体電池反応物質の化学溶液の混合物等)を処理して、生成物(例えば、電池粒子材料、電池カソード材料、電池アノード材料等)にした後に、粒子材料は送達される。
【0035】
図1Aによって示されるように、処理システム100はさらに少なくとも1つの緩衝室130を含み得、緩衝室130は、システム入口102に接続され、1つ以上のガス分配器またはガス分配機構のチャネル(例えば、1つ以上のチャネル)に内部で適応し、ガス分配器またはガス分配機構は、処理システム100の内側で流れる、システム入口102から受ける1つ以上のガス流(例えば、
図1Bに示される1つ以上のガスF
1)を複数の均一なガス流(例えば、
図1Bに示される1つ以上のガス流F
2)に方向転換するためのものである。緩衝室130の内側で流れる1つ以上のガスは、特に、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせのガス源から選択され得る。
【0036】
さらに、処理システム100は、また、1つ以上のパワージェットモジュール(例えば、パワージェットモジュール140A、140B、140C等)に結合される分散室120を含み得る。1つ以上のパワージェットモジュールは、1つ以上の化学反応物質を受け、化学反応物質を混合して1つ以上の液体混合物にし、1つ以上の液体混合物を分散室120に噴出するために提供され、それによって、1つ以上の液体混合物を処理システム100の分散室120に送達する。
【0037】
パワージェットモジュール140A、140B、140C等は、分散室の一部に取り付けられ、空気圧を使用して、液体混合物を噴出し、それを分散室の内側で小さな径の液滴を含む蒸気に直接変換できる。代替として、蒸気は分散室120の外側に発生し、分散室120に送達できる。使用されるパワージェットモジュール、液体混合化合物、分散室120の温度、ガスの流量、及び分散室の内側の滞留時間の選択に応じて、適切な液滴径を調整できる。例として、0.1ミクロン~1ミリメートルの液体の液滴径を伴う蒸気は、分散室の内側で発生する。
【0038】
分散室120に結合できるパワージェットモジュールの数は制限されず、カスタム設計に従ってまたは必要に応じて、分散室120に結合される1つ、2つ、3つ、または任意の数のパワージェットモジュールであり得る。一態様では、2つ以上のパワージェットモジュールは、分散室120の外周の周囲に位置付けられる。各パワージェットモジュールは、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にして、分散室120に噴出するように適応し、これにより、1つ以上の液滴流は、緩衝室130のガス分配機構の1つ以上のチャネルを通過する1つ以上のガスと混合され、それによって、分散室120の内部で1つ以上の気液混合物を形成し、反応室110に送達される。
【0039】
一実施形態では、パワージェットモジュール140Aは、分散室120の一部に結合され、分散室内で液体混合物の蒸気(例えば、大量の小さな径の液滴)を直接発生させる。概して、パワージェットモジュール140Aは、粒径の揃った液滴の蒸気を発生させることが可能である。別の実施形態では、分散室120は、1つ以上のパワージェットモジュール140A、140B、及び140Cに接続され、これらのパワージェットモジュールは、複数の均一なガス流を緩衝室130から受け、複数の均一なガス流を、1つ以上のパワージェットモジュール140A、140B、及び140Cの配列から相互に噴出される1つ以上の液滴流と一緒に分散するためのものである。
【0040】
さらに、一実施形態では、液体混合物は、2つ以上の前駆体化合物から調製され、次に、液滴に変換され、各液滴は一緒に均一に分配される2つ以上の前駆体を有する。次に、液体混合物の水分は、液滴が分散室を通過することによって除去され、ガス流を使用して、適切な滞留時間にわたって分散室内に蒸気を搬送する。さらに、液体混合物の前駆体化合物の濃度及び液体混合物の蒸気の液滴径を調整して、電池材料の最終生成物粒子の化学組成、粒径、及び粒度分布を調節できることが想到される。
【0041】
一実施形態では、処理システム100の反応室110は、気液混合物の1つ以上の液滴流を受け、分散室120から送達された1つ以上の気液混合物を処理するために提供され、これは、気液混合物を1つ以上の加熱ガスと反応させ、気液混合物を酸化及び加熱して、最終反応生成物(例えば、電池粒子材料、酸化金属酸化物材料等)にすることによって処理される。
【0042】
別の実施形態では、反応室110は、加熱アセンブリ180に接続されるガスライン186から加熱ガスを送達するために、内部でアシストガス流を用いる加熱アセンブリ180に接続され、加熱アセンブリ180の一部が反応室110の内部室空間内に位置付けられる。加熱アセンブリ180は、反応室110の室壁118に位置する開口119を介して反応室110に接続される。
【0043】
加熱アセンブリ180は、反応室110の内部室空間内にガス送達要素184を含む。一実施形態では、ガス送達要素184は、反応室110の内部で反応物質に乾式加熱源及び/またはガス源を提供するように設計されている。ガス送達要素184の開口は、反応室110の内側で分散室120から受けた気液混合物を処理するために、分散室120と反応室110との間の接続部の近くに位置付けられることが想到される。
【0044】
加熱アセンブリ180のガス送達要素184の壁188は、ガスライン186から受けた加熱ガスのガス流をチャネルで流すために提供され、ガス流は、反応室110と分散室120との間の入口領域まで伸びるガス送達要素184を通って流れる。これにより、次に、加熱アセンブリ180のガス送達要素184から送達された加熱ガスは、加熱アセンブリ180のガス送達要素184から外に流れ、反応室110の室壁118の内部の内部室空間を充填する。
【0045】
一実施形態では、ガス送達要素184は、好ましくは、反応室110の内側で上向きに位置付けられる。別の実施形態では、ガス送達要素184は、0度~90度の範囲にわたる地面に対していずれかの角度で位置付けできる。一態様では、ガス送達要素184は地面に対して垂直である。別の態様では、ガス送達要素184は、0度~90度の範囲にわたる地面に対していずれかの角度であり得る。
【0046】
図1Bは、電池粒子材料を生成するために、速く、単純な、連続的な、及び低コストの製造プロセスを実施するために使用できる例示的な処理システム200の断面図である。処理システム200は、1つ以上のガスを処理システム200に送達するためのシステム入口202と、システム入口202に接続される緩衝室230と、緩衝室230に接続される分散室220と、加熱アセンブリ280と、分散室220に接続される反応室210と、結果として生じる粒子材料を処理システム200から外に送達するために反応室210に接続されるシステム出口204とを含む。
【0047】
システム入口202は、1つ以上のガスF1を緩衝室230に送達するために提供される。1つ以上のガスF1は下向きに加圧され、緩衝室230のガス分配器232を通って一定のガス速度で流れ、これにより、緩衝室230から外に及び分散室220の中に1つ以上のガスF1を複数の均一なガス流F2に指向及び分配する。ガス分配器232は、ガス流を指向するために円形位相で配置される1つ以上のチャネル234を有し得る。例えば、ガス分配器232のチャネル234は、ガス流F1が複数の均一なガス流F2に分配できるようにシャワーヘッドのように配置できる。一実施形態では、1つ以上のガスF1は、エアフィルタを通ってポンプで送られ、いずれかの粒子、液滴、または汚染物質が除去され得、ガスF1の流量はバルブまたは他の手段によって調整できる。一実施形態では、チャネル234から出てくる複数の均一なガス流F2の流量は、1つ以上のガスF1の流量よりも大きくなる。さらに、複数の均一なガス流F2の方向に、ガスが集まり及びまとまる。
【0048】
図1Cは、本発明の一実施形態による、緩衝室230の断面図(
図1Bの破線B-B’で切られた断面)の例である。緩衝室230のガス分配器232は緩衝室230の底部に位置付けられ、緩衝室230の室壁238の内側の内部に複数のチャネル234を含み、システム入口202から受けたガスF
1を複数の一体化されたガス流F
2に指向するために提供される。ガス分配器232のチャネル234は、1つ以上のガスが統一された方向で及び所望の均一な流量で通ることを可能にする。
【0049】
1つ以上のガスF1は1つ以上の搬送ガスであり得、例えば、特に、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせであり得る。選択される1つ以上のガスは、液滴流に反応しないで、電池金属前駆体の液滴流と十分に混合する1つ以上のガスであり得る。場合によって、液滴流の化学物質は、ガスF1及び/またはガスF2の温度及び液滴流の化学組成に応じて、分散室の内側の混合中及び/または他の反応中にある程度まで、ガスF1及び/またはガスF2に反応し得る。さらに、分散室220の内部で完全に混合した液滴流化合物の気液混合物の滞留時間は調整可能であり、1つ以上のガスF1及びガスF2の流量と、液滴流が分散室220の内部を通って流れる必要がある経路長とに応じて、例えば、1秒~1時間になり得る。
【0050】
一実施形態では、処理システム200の分散室220は、分散室220の室壁228の外周に取り付けられる1つ以上のパワージェットモジュール(パワージェットモジュール240A、240B等)に接続される。
図2Aは、本発明の一実施形態による、処理システム200に構成される分散室220の断面図(
図1Bの破線A-A’で切られた断面)である。一実施形態では、1つ以上のパワージェットモジュールの配列(例えば、
図2Aに示される4つのパワージェットモジュール240A、240B、240C、240D、または5つ以上のパワージェットモジュール(図示しない))は、対称に(また、
図2Aに示される)または他の方式で分散室220の室壁228に取り付けできる(例えば、パワージェットモジュールは、積み重ねられた、挿入された等の状態でまたは他の方式で配置できる)。
【0051】
図2Aでは、分散室220の室壁228にある1つ以上の開口222A、222B、222C、及び222Dは、各々、パワージェットモジュール240A、240B、240C、240Dに接続される。一例では、パワージェットモジュール240A、240B、240C、240Dは、
図2Aに示される1つの配置で分散室220の室壁228に取り付けできる。その配置では、4つのパワージェットのそれぞれが、室壁228の同じ水平線上に相互に隣接して均等距離で室壁228に構成できる。
【0052】
パワージェットモジュール240A、240B、240C、240Dのそれぞれは、各々、パワージェットモジュール240Aに供給される液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にするためのパワージェット242A、242B、242C、242Dを含む。パワージェットモジュール240A、240B、240C、240Dのそれぞれは、さらに、各々、パワージェットモジュール240A、240B、240C、240Dを支持するための支持フレームと、モジュールアクチュエータ246A、246B、246C、246Dと、コネクタ245A、245B、245C、245Dとを含み得る。モジュールアクチュエータ246A、246B、246C、246Dのそれぞれは、各々、パワージェット242A、242B、242C、242Dのそれぞれから噴出された1つ以上の液滴流FA、FB、FC、FDを動かし、分散室220に押し込むために、それ自体の支持フレームの内側に取り付けられる。コネクタ245A、245B、245C、245Dのそれぞれは、各々、モジュールアクチュエータ246A、246B、246C、246D及びパワージェット242A、242B、242C、242Dを接続するために提供される。
【0053】
一例では、パワージェット242A、242B、242C、242Dは、分散室220の側面の近くに位置付けられ、
図1Bに示されるように、液滴流F
A~F
Dは分散室220に水平に注入され、水平に及び横方向に分散室を通過する。例えば、分散室220(例えば、管状分散室等)が水平に位置付けられ、パワージェット242A、242B、242C、242Dが分散室220の一端の近くに位置付けられるとき、分散室220の一端から別端を通って送達される蒸気流は、その滞留時間の長さにわたって分散室220の内部の経路を通過できる。
【0054】
別の例では、パワージェット242A、242B、242C、242Dは、分散室220(例えば、ドーム型分散室等)の上部の近くに位置付けられ、液滴流F
A、F
B、F
C、F
Dが分散室220に垂直に注入され、垂直下向きに分散室を通過する。代替として、パワージェット242A、242B、242C、242Dは、分散室220の底面の近くに位置付けされ、液滴流を分散室に上向きに垂直に注入して(
図2Bのように示すことができる)、分散室内で発生する液流の滞留時間を長くできる。
【0055】
図1Bに示されるように、液体混合物流に加えて、分散室220は、また、緩衝室230から受けたガス流で充填される。ガス分配器232は、緩衝室230の端部に結合され、複数の均一なガスF
2を分散室220に流すように適応する。液滴流が分散室220を通って搬送されるために分散室220の内側での液滴流の形成と同時に、分散室220に送達できる複数の均一なガス流F
2は、水分を蒸気から除去し得るまたは除去し得ないことがあり、液体混合物を含む1つ以上の気液混合物流をF
3の方向に形成する。また、複数の均一なガス流F
2は、蒸気が形成される前に分散室220に送達され、分散室220の内側で液滴流が発生する前に、分散室220の内部体積を充填し、温度T
Dに予熱できる。
【0056】
一例では、ガス分配器232は緩衝室230の端部に接続され、緩衝室230の端部は分散室220の上部に接続され、ガス分配器232は複数の一体化されたガスF2を分散室220に送達し、分散室220の室壁228に取り付けられたパワージェットモジュール240A、240B、240C、240Dによって発生する液滴流とガスF2が混合する。一実施形態では、複数の均一なガス流F2を20℃~400℃の温度に予熱して、液滴流と混合して、水分を液滴流から除去する。別の実施形態では、複数の均一なガス流F2を予熱しないで使用することで、分散室220の内部で形成される気液混合物をガスと均一に混合することを確実にする。
【0057】
別の実施形態では、パワージェット242A、242B、242C、242Dのそれぞれは様々な構造で成形され、例えば、相互に直角な6つの長方形面を有する直方体構造、水平平行面ならびに円形断面もしくは楕円断面を伴うシリンダ構造、及び/またはそれらの組み合わせで成形されている。さらに、パワージェット242A、242B、242C、242Dのそれぞれが、パワージェットの片側面にノズル列があり得る。一実施形態では、ノズル列は、底辺幅が側辺長よりも長いパワージェットの側面にあり、均等に設置されるオリフィスから成り、長方形形状を形成する。別の実施形態では、ノズル列は別のオリフィスのパターンから成る。パワージェットモジュールの他の例は、2019年6月28日に出願された「Processing System and Method for Producing a Particulate Material」と題された米国特許出願公開第16/457885号明細書と、また、2019年6月28日に出願された「System with Power Jet Modules and Method thereof」と題された米国特許出願公開第16/457889号明細書とに説明されており、これらの特許出願文献のそれぞれの開示は、本明細書によって、全体として参照によって組み込まれる。
【0058】
図2Bは、分散室220の内側で液滴の流体流F
A及びガス流F
2によって形成される分散角(α
A)の一例の3次元斜視図を示す。分散角αは、液滴の流体流F
A、F
B、F
C、F
Dの方向とガス流F
2の方向との間の角度に従って測定される。一例では、液体混合物の液滴流F
A、F
B、F
C、F
D(例えば、液滴流F
A)の液流及びガス流(例えば、複数の均一なガス流F
2)は、0度~180度の角度で分散室220の内側で相互にぶつかり得る。別の例では、液滴流の液流F
A及びガス流F
2の空気流は、直線状に、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の状態で流れ得る。
【0059】
一実施形態では、液滴の流体流FA及びガス流F2は角度αA(0≦αA≦180度)で構成され、分散室220の内側で合流して1つ以上の混流(例えば、気液混合物流F3)になり得る(例えば、並流になる)。さらに、液滴流の液流FA及びガス流F2は、相互に対して向かい合う様々な角度及び/またはチャンバ本体の外周に向かって様々な角度で流れ、分散室220の内側で、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の空気流の形成を促進し得る。
【0060】
例えば、分散室220の内側で流れるガス流及び液滴流の液流は、並流として流れるように構成できる。並流の利点として、特に、滞留時間が短くなり、粒子乾燥温度が低くなり、粒子分離効率が高くなる。別の例として、液滴流の液流FA及びガス流F2は180度の角度αで構成でき、対流のように流れる。対流の利点として、特に、滞留時間が長くなり、粒子乾燥温度が高くなる。代替の実施形態では、分散室220を水平に位置付けできる。
【0061】
一例では、液滴流FA、FB、FC、FD及びガス流は90度未満の角度αで構成され、分散室の内側で合流して気液混合物F3の混流になり得る。別の実施形態では、液滴の流体流FA及びガス流F2は90度の角度αで構成され、分散室220の内側で合流して1つ以上の混流(例えば、気液混合物流F3)になり得る。さらに、液滴の流体流FA及びガス流F2は、相互に対して向かい合う様々な角度及び/またはチャンバ本体の外周に向かって様々な角度で流れ、分散室220の内側で、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の空気流の形成を促進し得る。
【0062】
再び
図1Bを参照すると、いったん液体混合物の液滴流F
A、F
B、F
C、F
Dがガス流F
2と混合して、気液混合物になると、気液混合物は分散室220を通って反応室210に送達される。処理システム200の反応室210は、分散室220から送達された1つ以上の気液混合流F
3を受けるために、分散室220に接続される。さらに、反応室210は、1つ以上の加熱ガスF
6を反応室210の内部の内部室空間に送達するために、反応室210の室壁218の開口219を介して加熱アセンブリ280に接続される。
【0063】
加熱アセンブリ280は、ガスライン286から送達された1つ以上の加熱ガス流F6をチャネルで流すために、壁288によって囲まれるガス送達要素284を含む。ガス送達要素284は、1つ以上の加熱ガスF6を送達するために、反応室210の内部室空間内に延在して一端及び別端でガスライン286に接続され、反応室210の入口領域212まで伸び、入口領域212は分散室220に隣接する。さらに、酸化物粒子、粒子材料等の処理された生成物は、出口領域214の近くに形成され、反応室210の端の近くに位置付けられるシステム出口204を介して処理システム200から外に送達される。
【0064】
一実施形態では、1つ以上の加熱ガス流F6は、加熱アセンブリ280のガス送達要素284を通って送達され、反応室210の内側で相互にある角度で分散室220から送達される1つ以上の気液混合物流F3と混合される。1つ以上の加熱ガス流F6及び1つ以上の気液混合物流F3の角度は0度~180度であり得る。
【0065】
一実施形態では、1つ以上のガスF6は、反応室210の室壁218の開口219を通って反応室に送達される前に加熱できる。1つ以上の加熱ガス流F6は、ヒーターの中でも特に、電動ヒーター、燃料燃焼ヒーター、バーナー等の適切な加熱機構を通過することによって加熱できる。さらに、1つ以上の加熱ガス流F6は、100℃~1400℃、例えば、300℃~1000℃、または400℃~800℃等の温度で加熱でき、したがって、反応室内での所望の反応のための熱源として十分なエネルギーを提供する。加熱アセンブリ280の壁288は断熱材(例えば、ステンレス鋼)から作られ、高温で壁288によって囲まれる空間で高温を持続することが可能であり、温度は、100℃よりも高い温度、例えば、300℃以上、500℃以上、または1000℃以上等、例えば、400℃~800℃等であり得る。
【0066】
別の実施形態では、気液混合物F3及び加熱ガスF6は、反応室210の内側にあり分散室220に隣接する入口領域212の近くで相互に衝突し得る。一例では、加熱アセンブリ280のガス送達要素284は、反応室の内側の場所まで延在でき、1つ以上の気液混合物流F3は1つ以上の加熱ガス流F6と十分に衝突し、1つ以上の気液混合物流F3のための十分な熱エネルギーを提供するように、反応混合物F7を形成し、それによって、反応室210の内部において速く及び十分な時間及び方式で、所望の反応が連続的に始まる。例えば、ガス送達要素284は、好ましくは、反応室210の内側の入口領域212に接近して位置付けられ、入口領域212は分散室220に隣接する。
【0067】
一実施形態では、ガス送達要素284は、好ましくは、1つ以上の加熱ガスF6を入口領域212に送達するために、反応室210の内側で上向きに位置付けられる。別の実施形態では、ガス送達要素284は、0度~90度の範囲にわたる反応室210のチャンバ本体に対していずれかの角度で位置付けできる。一例では、ガス送達要素210のチャンバ本体は地面に対して垂直である。別の例では、ガス送達要素210のチャンバ本体は、0度~90度の範囲にわたる地面に対していずれかの角度で位置付けできる。
【0068】
図3Aは、加熱ガス流を内部でアシスト及び送達するために加熱アセンブリ280を有する反応室210の断面図(
図1Bの破線C-C’によって示される断面)である。加熱アセンブリ280のガス送達要素284の壁288によって包囲されるチャネルの形状は、円形(
図1Bに示される)または他の形状(例えば、楕円形、長方形、四角形等)であり得る。加熱アセンブリ280のガス送達要素284の直径は、ガス送達要素284の壁288の直径と、反応室210の(室壁218によって囲まれる)チャンバ本体の直径との比が1:10~約1:1になるように変動し得る。
【0069】
図3Bは、反応室210の内側の気液混合物流F
3及び1つ以上の加熱ガス流F
6の分散角の3次元斜視図を示す。反応室210の内側で、1つ以上の加熱ガス流F
6は、ガス送達要素284を通って送達され、角度β(例えば、β
A)で気液混合物流F
3と相互に混合する。角度βは、加熱ガス流F
6の方向及び気液混合物流F
3の方向によって形成される角度に従って測定される。気液混合物流F
3及び1つ以上のガス混合物流(例えば、1つ以上の加熱ガス流F
6)は、0度~180度の角度で反応室210の内側で相互に衝突し得る。さらに、気液混合物流F
3及び1つ以上の加熱ガス流F
6の流れは、直線状に、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の状態で流れ得る。
【0070】
一実施形態では、1つ以上の加熱ガス流F6及び気液混合物流F3は、角度βA(0≦βA≦180度)で構成され、反応室の内側で、合流して反応期間にわたって反応混合物F7になり得る(例えば、並流になる)。さらに、1つ以上の加熱ガス流F6及び気液混合物流F3は、相互に対して向かい合う様々な角度及び/またはチャンバ本体の外周に向かって様々な角度で流れ、反応室210の内側で、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の空気流の形成を促進し得る。一実施形態では、1つ以上の加熱ガス流F6及び気液混合物流F3は、角度βA(90度未満)で構成され、反応室の内側で合流して混流し得る。別の実施形態では、1つ以上の加熱ガス流F6及び気液混合物流F3は、角度β(90度)で構成され、反応室の内側で合流して反応混合物F7になり得る。さらに、1つ以上の加熱ガス流F6及び気液混合物流F3は、相互に対して向かい合う様々な角度及び/またはチャンバ本体の外周に向かって様々な角度で流れ、反応室210の内側で、螺旋状に、絡み合うように、及び/または他の空気流の形成を促進し得る。
【0071】
例えば、反応室210の内部のガス流F6及び気液混合物流F3は、並流として流れ、合流して1つ以上の反応混合物流F7になり得る。別の例では、反応室210の内側で流れる1つ以上の加熱ガス流F6及び気液混合物流F3は、対流(例えば、180度の角度β)として流れるように構成され、合流して1つ以上の反応混合物流F7になり得る。代替の実施形態では、分散室210を水平に、垂直に、またはある角度で位置付けできる。
【0072】
再び
図1Bを参照すると、処理システム200は、処理システム200を自動制御するために、CPU340を伴う電子制御ユニット300に接続される。パワージェットモジュール240A、240B、240C、240Dのそれぞれは、所望の量の液体混合化合物を保管する液体源310と、また、液体源310からパワージェット242A、242B、242C、242Dのそれぞれまでの液体混合化合物の送達を指示及び制御するための電子制御ユニット300とに接続される。1つの構成では、液体源310の内部の液体混合物は、液体源310からパワージェット242A、242B、242C、242Dのそれぞれにポンプによって送ることができる。ポンプによる液体混合物の送り込みは、例えば、連続的に所望の送達量で(例えば、絞り弁または他の手段によって調整される量で)、処理システム200の良好なプロセスのスループットを実現するように構成できる。
【0073】
一実施形態では、分散室220に噴出された液滴流(例えば、FA、FB等)と複数の均一なガス流F2は相互に対して分散角α(例えば、αA、αB等)で分散され、1つ以上の気液混合物流F3を形成する。ガス流F2は、1つ以上のガス(例えば、空気、酸素ガス、窒素ガス、不活性ガス等)を含む搬送ガスとして機能し、液滴の流体流FA及びFBを分散室220に搬送し、複数の均一なガス流F2及び液滴流FAを含む1つ以上の気液混合物流F3を形成することによって、最終的に反応室210に搬送する。
【0074】
一実施形態では、ガス流F1及びF2は20℃~400℃の温度に維持できる。一態様では、F2の温度は20℃~100℃に維持される。別の態様では、F2の温度は20℃~200℃に維持される。さらに別の態様では、F2の温度は25℃~400℃に維持される。さらに、分散室220は、20℃~400℃(例えば、30℃~100℃または50℃~200℃等)の温度TDに維持できる。
【0075】
気液混合物流F3及び1つ以上の加熱ガス流F6は一緒に混合され、反応室210の内側で反応期間にわたって反応混合物F7を形成する。反応混合物F7は、気液混合物F3(ガス流F1、F2及び液滴流(FA、FB、FC、FD等)を含む)と、1つ以上の加熱ガス流F6とを含み得る。100℃~1400℃の温度を有する1つ以上の加熱ガスF6を使用することによって、処理システム200の反応室210を100℃~1400℃の反応温度TRに維持できる。一実施形態では、温度TRは温度TDよりも高い。
【0076】
別の実施形態では、ガス流F6を乾燥温度または酸化温度まで加熱して、気液混合物F3と混合して、水分を気液混合物F3から除去する。それは、2つ以上の液体混合物のうちの完全に混合した液体混合物F3から球状固体粒子を取得するように設計されている。対照的に、従来の固体の製造プロセスは、2つ以上の化合物の固体混合物を混合または粉砕することを含み、2つ以上の混合物の不均一な混合をもたらす。
【0077】
反応室210の内側の反応混合物F7を処理して、生成物(例えば、1つ以上の加熱ガス流と混合される酸化反応混合物の気固混合物及び/もしくは気相副産物、または廃棄物等)になり、生成物が出口領域214の近くに蓄積され、反応室210の内側で、反応期間後に、システム出口204を介して処理システム200から外に送達される。反応室210から外に送達された反応生成物は、所望の結晶構造、粒径、及びモルフォロジーを伴う、液体混合物組成の酸化型の固体材料粒子または微粉末(例えば、混合金属酸化物材料の微粉末等の金属酸化物材料)を含む。
【0078】
随意に、一実施形態では、処理システム200はさらにセパレータを含み、セパレータは、反応室210の端におけるシステム出口204に接続され、処理された生成物流を収集し、処理された生成物を固体粒子及び廃棄物に分離するように適応する。適切なセパレータの例は、特に、サイクロン、静電セパレータ、電気集塵器、比重セパレータ、慣性セパレータ、膜セパレータ、流動床、分級機、電気ふるい、衝突器、粒子コレクタ、浸出セパレータ、水簸機、空気分級機、浸出分級機、及びそれらの組み合わせ等を含む。
【0079】
生成物を冷却して、所望のサイズ、モルフォロジー、及び結晶構造の最終固体粒子を取得でき、さらに、電池で利用するために、その特性(例えば、比容量、電力性能、微粒子の帯電サイクル性能等)、粒径、モルフォロジー、結晶構造等をさらに分析するためにすぐに使用できる。例えば、生成物を室温になるまでゆっくり冷却して、均一なモルフォロジー及び所望の結晶構造でその安定したエネルギー状態を形成するプロセスを妨げるまたは失敗することを避け得る。したがって、従来の製造プロセスから調製された材料よりも時間、作業、及び監視がかなり少なくなる高品質及び均一な活性粒子材料を取得できる。
【0080】
処理システムの反応室の内側でアシストガス流を用いる処理システムで粒子材料を液体混合物から生成する方法
【0081】
図4は、生成物を液体混合物から生成する方法400を示す。ステップ410において、温度T
Rを有する1つ以上の加熱ガスは、加熱アセンブリを介して処理システムの反応室に流れる。加熱アセンブリ280は、1つ以上の加熱ガスを反応室210に送達するために、ガスライン286及び反応室210の室壁218の開口219に接続するために提供される。ガスライン206から来る加熱ガスは、加熱アセンブリ280のガス送達要素284の内部に壁288を通ってチャネルで流れる。一例では、ガス送達要素284は、好ましくは、分散室に隣接する反応室210の入口領域212まで伸びるように位置付けられる。一実施形態では、ガス送達要素284は、好ましくは、反応室210の内側で上向きに位置付けられる。別の実施形態では、ガス送達要素284は、0度~90度の範囲にわたる地面に対していずれかの角度で位置付けできる。
【0082】
1つ以上の加熱ガス流は、所望の反応温度(100℃~1400℃等の温度)に加熱され、反応室に流れ、滞留時間にわたって、気液混合物を乾燥及び/または反応させ、反応混合物にするためのエネルギー源として働く。既に加熱された空気またはガスを流す利点として、特に、速い熱伝達、均一温度分布(特に、高温域)、及び容易に機能が高まることがもたらされる。滞留時間は、1つ以上の気液混合物流の完全反応を実施するためにかかるいずれかの滞留時間であり得、例えば、1秒~10時間、または10時間よりも長い時間等の滞留時間である。
【0083】
例示的な1つ以上の加熱ガスのガス流は、限定ではないが、空気、酸素、二酸化炭素、酸化ガス、窒素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせを含む。酸化物材料を1つ以上の液体混合物から形成する等の反応室210の内側の酸化反応について、酸化ガスをガス流として使用できる。反応室の内側の還元反応について、還元ガスを加熱ガスとして使用できる。さらに、加熱ガスは、気液混合物を形成するためのガス源として使用できる。
【0084】
ステップ420において、随意に、1つ以上のガスを、システム入口を介して処理システムの緩衝室に送達する。1つ以上のガスは、特に、例えば、空気、酸素、二酸化炭素、窒素ガス、水素ガス、不活性ガス、希ガス、及びそれらの組み合わせであり得る。
【0085】
ステップ430において、処理システムの1つ以上のパワージェットモジュールによって、液体混合物を噴出して1つ以上の液滴流にすることを含む。2つ以上の前駆体から液体混合物を形成する。概して、所望の濃度で液体混合物になるように、液状の前駆体化合物を直接調製できる。固形の前駆体化合物は、適切な溶媒(例えば、水、アルコール、イソプロパノール、またはいずれかの他の有機溶媒もしくは無機溶媒、及びそれらの組み合わせ)で分解または分散され、水溶液、スラリー、ゲル、エアロゾル、またはいずれかの他の適切な液状の液体混合物を形成できる。例えば、2つ以上の固体前駆体の望ましいモル比は、例えば、2つ以上の固体前駆体の適切な量を測定して、適切な量の溶媒を伴うコンテナに合わせて調製すること等によって、液体混合物になるように調製できる。溶媒中の前駆体の溶解度に応じて、pH、温度、及び機械的攪拌ならびに機械的混合を調整して、液体混合物を取得でき、前駆体化合物を十分に分解する及び/または均等に分散する。
【0086】
一例では、混合した金属酸化物材料の最終反応生成物を取得するために、2つ以上の金属含有前駆体を混合して液体混合物にする。金属含有前駆体の例として、限定ではないが、特に、金属塩、リチウム含有化合物、コバルト含有化合物、マンガン含有化合物、ニッケル含有化合物、硫酸リチウム(Li2SO4)、硝酸リチウム(LiNO3)、炭酸リチウム(Li2CO3)、酢酸リチウム(LiCH2COO)、水酸化リチウム(LiOH)、ギ酸リチウム(LiCHO2)、塩化リチウム(LiCl)、硫酸コバルト(CoSO4)、硝酸コバルト(Co(NO3)2)、炭酸コバルト(CoCO3)、酢酸コバルト(Co(CH2COO)2)、水酸化コバルト(Co(OH)2)、ギ酸コバルト(Co(CHO2)2)、塩化コバルト(CoCl2)、硫酸マンガン(MnSO4)、硝酸マンガン(Mn(NO3)2)、炭酸マンガン(MnCO3)、酢酸マンガン(Mn(CH2COO)2)、水酸化マンガン(Mn(OH)2)、ギ酸マンガン(Mn(CHO2)2)、塩化マンガン(MnCl2)、硫酸ニッケル(NiSO4)、硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)、炭酸ニッケル(NiCO3)、酢酸ニッケル(Ni(CH2COO)2)、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)、ギ酸ニッケル(Ni(CHO2)2)、塩化ニッケル(NiCl2)、アルミニウム(Al)含有化合物、チタン(Ti)含有化合物、ナトリウム(Na)含有化合物、カリウム(K)含有化合物、ルビジウム(Rb)含有化合物、バナジウム(V)含有化合物、セシウム(Cs)含有化合物、クロム(Cr)含有化合物、銅(Cu)含有化合物、マグネシウム(Mg)含有化合物、鉄(Fe)含有化合物、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0087】
理論に縛られることを望まなく、2つ以上の異なる金属を伴う酸化物材料を調製するために、各金属元素の源として2つ以上の金属含有前駆体化合物を使用して、最初に、要求される金属元素の全てを混合して、液体混合物(例えば、溶液、スラリー、またはゲル混合物)にし、その結果、2つ以上の異なる金属を所望の比で均一に混合できることが想到される。例として、水溶液、スラリー、またはゲルの液体混合物を調製するために、高水溶性の1つ以上の金属塩を使用できる。例えば、金属硝酸エステル、金属硫酸エステル、金属塩化物、金属酢酸塩、金属ギ酸塩を使用できる。有機溶媒(例えば、アルコール、イソプロパノール等)を使用して、低水溶性の金属含有前駆体を分解または分散できる。場合によって、液体混合物のpH値を調整して、1つ以上の前駆体化合物の溶解度を増加できる。随意に、化学添加物、ゲル化剤、及び界面活性剤(例えば、アンモニア、EDTA等)を液体混合物に加えて、選ばれた溶媒中の前駆体化合物を分解または分散することを促進し得る。
【0088】
パワージェットモジュール内の液体送達/注入チャネルのサイズを調整することによって、1つ以上の液滴流の所望の径を調整できる。数ナノメートル~数百マイクロメートルの範囲にわたる1つ以上の液滴流の径を発生できる。使用される蒸気発生器、液体混合化合物、分散室の温度、ガスの流量、及び分散室の内側の滞留時間の選択に応じて、適切な液滴径を調整できる。例として、0.1ミクロン~1ミリメートルの液体の液滴径を伴う蒸気は、分散室の内側で発生する。
【0089】
ステップ440において、1つ以上の液滴流を1つ以上のパワージェットモジュールによって処理システムの分散室の内側に噴出して、液滴流が流れる。1つの構成では、1つ以上のパワージェットモジュールは、所望の量の液体混合化合物を保管する液体源と、液体源からパワージェットまでの液体混合化合物の送達を指示及び制御するための電子制御ユニットとに接続される。
【0090】
別の構成では、液体源内の液体混合物は、液体源からパワージェットにポンプによって送ることができる。ポンプによる液体混合物の送り込みは、例えば、連続的に所望の送達量で(例えば、絞り弁または他の手段によって調整される量で)、処理システムの良好なプロセスのスループットを実現するように構成できる。別の構成では、パワージェットは分散室の外側に位置付けられ、パワージェットから発生した液流は室入口を介して分散室に送達される。
【0091】
一実施形態では、1つ以上のパワージェットモジュールは、液体混合物を噴出し1つ以上の液滴流にして、1つ以上の液滴流を処理システムに噴出するように適応する。別の実施形態では、分散室に噴出された液滴流と1つ以上のガス流は相互に対して分散角(α)で分散され、1つ以上のガスのガス流及び液滴流を含む1つ以上の気液混合物流を形成する。1つ以上のガス及び1つ以上の液滴流は、0度~約180度の分散角(α)で相互に対して流れる。
【0092】
ステップ450において、処理システムの分散室の内側で温度TDにおいて、1つ以上のガスを1つ以上の液滴流と一緒に分散させて気液混合物にすることを含む。一態様では、温度TDは20℃~400℃に維持される。1つ以上の液滴流は、1つ以上のガスを連続的に及び/または調整可能に可変流量で流すことによって分散室内で混合される。同時に、液体混合物から噴出された液滴流は、完全に混合した気液混合物として、分散室内の経路を通ってガスによって搬送され、ガスがより多く流れるにつれて、気液混合物は、分散室から外に送達され、分散室に接続される反応室に連続的に送達される。
【0093】
ステップ460において、反応混合物は、加熱アセンブリによって提供される1つ以上の加熱ガス及び分散室から提供されたガス及び液滴流の気液混合物から、反応室の内側に形成され、その結果、反応室の内側で反応温度において反応混合物を処理して生成物にする。
【0094】
一実施形態では、処理システム100、200の内部で流れる様々なガスは加熱され、加熱ガスの熱エネルギーは、処理システムの内側で乾燥、反応、酸化、還元及び/または他の反応を実施するためのエネルギー源として働き得る。ガスは、電動ヒーター、燃料燃焼ヒーター等の適切な加熱機構を通過することによって、20℃以上、例えば、100℃以上、または40℃以上、例えば、100℃~1000℃、400℃~900℃等の温度に加熱できる。代替として、処理システムの内側の加熱、乾燥、及び/または他の反応は、処理システムのチャンバを直接加熱するまたは処理システムの各部を直接加熱すること(例えば、反応室または分散室のチャンバ本体を加熱すること等)によって実行できる。
【0095】
熱源として加熱ガスを使用する利点として、特に、速い熱伝達、高温均一性、及び容易に機能が高まることがもたらされる。反応室は、ドーム型セラミックチャンバ、石英チャンバ、管状チャンバ等のいずれかのチャンバ、包囲したチャンバ本体を伴う加熱炉であり得る。随意に、チャンバ本体は、チャンバ内の乾燥中及び/または他の反応中に熱損失を防止するために、断熱材(例えば、セラミック等)から作られる。
【0096】
1つ以上のガス及び1つ以上の液滴流から形成された気液混合物は反応室に送達され、反応を受ける。反応室内の気液混合物の反応は、酸化、還元、分解、組み合わせ反応、相変態、再結晶、単純置換反応、二重置換反応、燃焼、異性化、及びそれらの組み合わせのいずれかを含み得る。例えば、1つ以上の気液混合物流は酸化され得、例えば、液体混合化合物を酸化して酸化物材料にする。代替として、反応混合物の所望の結晶構造は、反応室内の1つ以上の気液混合物流の反応から取得される。
【0097】
本発明の一実施形態では、使用される1つ以上のガスは、液滴流と十分に混合され気液混合物になるガスであり得、液滴流に反応しないで気液混合物を処理することがもたらされる。しかしながら、液滴流の化学物質は、液滴流の温度及び化学組成に応じて、チャンバの内側の処理中及び/または他の反応中にある程度まで、ガスに及び/または相互に対して反応し得る。さらに、処理システムのチャンバのそれぞれの内部で完全に混合した液滴流化合物の気液混合物の滞留時間は調整可能であり、1つ以上のガスの流量と、液滴流が分散室内を通って流れる必要がある経路長とに応じて、例えば、1秒~1時間になり得る。
【0098】
一実施形態では、気液混合物及び1つ以上の加熱ガスは、反応室の内側で相互に衝突し得る。気液混合物流及び1つ以上の加熱ガス流は一緒に混合され、反応室の内側で反応期間にわたって反応混合物を形成し、反応混合物はガス流、液滴流、及び加熱ガスを含む。別の実施形態では、100℃~1400℃の温度に加熱される1つ以上のガスを使用することによって、処理システムの反応室を反応温度TRに加熱できる。一態様では、1つ以上の加熱ガスはガス送達要素によって送達され、反応室の内側で0度~約180度の角度(β)で、1つ以上の気液混合物流と相互に混合する。
【0099】
実施例:処理システムの反応室の内側のアシストガス流
処理システムを使用して実験を行い、ガス流は加熱アセンブリを通って処理システムの反応室に送達され、1つ以上のガス流の経路を追跡及び測定する。
【0100】
図5は、処理システムに送達される1つ以上の加熱ガスの速度ベクトルを示す実験結果の断面図である。この例では、温度800℃で推定される1つ以上の加熱ガスは、13.28m/sの速度で反応室の室壁の開口582を通って処理システムに送達され、システム出口584から処理システムの外に送達される。複数の矢印によって表される複数のベクトル502、504、506、508、510、512、514、516、518、520、522は、加熱ガスF
6をシミュレートするために、ベクトルの位置のそれぞれにおけるガス流の方向及びガス流の大きさを示す。特定位置におけるガス流の方向はベクトル502~522の方向として示され、ガス流の速さの大きさは、ベクトル502~522の濃さとして示される。
【0101】
図6は、1つ以上の加熱ガスが反応室に送達された後の等しい速度線の分布を示す実験結果の断面図である。この例では、温度900℃で推定される加熱ガス流F
6は、1m/s以上の速度(約10m/s以上、約30m/s以上等)で、反応室の室壁の開口682を通って反応室に送達され、システム出口684から処理システムの外に送達される。
図6では、各線は同じ速さを有する点を接続することによって形成され、線602、604、606、608、610、612、614、616、618、620、622、624のそれぞれは、示される時点の同じまたは等しい速さを有する線の各点を表し、各線の速さは0.1m/s以上であり得、0.5m/s~2.0m/s、または0.1m/s~5m/s、または0.1m/s~10m/sの範囲にわたり得る。例えば、約13m/sの入力速度、次に、各線の速さは8~20m/sの範囲にわたり得る。さらに、
図6では、線602、604、606、608、610、612、614、616、618、620、622、624の大きさは、リアクタチャンバの内側でループを形成し、反応室の内側の液滴を搬送するガス流の飛行時間の増加を示し、反応室内で化学反応プロセスを促進することによって、反応室の内側で均一な粒子を形成する。例えば、線602の速さと、測定されたV
s1m/sの速度との比は1:15~約1:4であり得る。さらに、線602、線612、線614、線616、及び線622は同じまたは同様の速さを有し得る。線608の速さと、測定されたV
s1m/sの速度との比は1:8~約1:3であり得る。さらに、線608及び線610は同じまたは同様の速さを有する。線618の速さと、測定されたV
s1m/sの速度との比は1:6~約1:2であり得る。線624の速さと、測定されたV
s1m/sの速度との比は1:1~約1:1.2であり得る。さらに、線604、線606、及び線624は同じまたは同様の速さを有する。
【0102】
図7は、1つ以上の加熱ガスが反応室に送達された後の等しい温度線の分布を示す実験結果の断面図である。この例では、温度800℃で推定される加熱ガス流F
6は、13.28m/sの速度で開口782を通って反応室に送達され、ガス入口の流量は800CFM(ft
3/min)であり、システム出口784から反応室の外に出る。
図7では、各線は同じ速さを有する点を接続することによって形成され、線702、704、706、708、710、712、714、716、718のそれぞれは、示される時点の同じまたは等しい温度を有する線の各点を表し、これにより、均一な粒子の形成を促進する。
図7の温度は、50℃~900℃の範囲にわたり得る。
図7では、隣接線の間の空間内の各点の温度は0~20℃の範囲にわたる。線702の温度上は720℃を表し、線704は540℃を表し、線706の温度上は580℃を表し、線708は600℃を表し、線710の温度は540℃を表し、線712の温度は580℃を表し、線714の温度は600℃を表し、線716の温度は620℃を表し、線718の温度は640℃を表す。
【0103】
図8は、1つ以上の加熱ガスが反応室に送達された後の等しい速度線の分布を示す実験結果の断面図である。この例では、温度800℃で推定される加熱ガス流F
6は、5.8m/sの速度で開口882を通って反応室に送達され、ガス入口の流量は800CFM(ft
3/min)であり、システム出口884から反応室の外に出る。
図8では、各線は同じ速さを有する点を接続することによって形成され、線802、804、806、808、810、812、814、816のそれぞれは、示される時点の同じまたは等しい速さを有する線の各点を表し、これにより、均一な粒子の形成を促進する。
図8では、線802、804、806、808、810、812、814、816の速さはループを形成し、同じ線の全ての点は同じ速さを有し、線の速さと、反応室の室壁の開口882を通って測定されたV
s2m/sの速度との比は、1:200~約1:4であり得る。例えば、線802、線804、及び線808は同じまたは同様の速さを有する。線808の速さと、測定されたV
s2m/sの速度との比は1:100~約1:40であり得る。線810の速さと、V
s2m/sの速度との比は1:60~約1:20であり得る。さらに、線810及び線812は同じまたは同様の速さを有する。線814の速さと、V
s2m/sの速度との比は1:25~約1:10であり得る。線816の速さと、V
s2m/sの速度との比は1:8~約1:4であり得る。
【0104】
図9は、1つ以上の加熱ガスが反応室に送達された後の等しい温度線の分布を示す実験結果の断面図である。この例では、温度800℃で推定される加熱ガス流F
6は、5.8m/sの速度で開口982を通って反応室に送達され、ガス入口の流量は350CFM(ft
3/min)であり、システム出口984から反応室の外に出る。
図9では、各線は同じ速さを有する点を接続することによって形成され、線902、904、906、908、910、912、914、916のそれぞれは、示される時点の同じまたは等しい温度を有する線の各点を表し、これにより、均一な粒子の形成を促進する。
図9の温度は、50℃~900℃の範囲にわたり得る。
図9では、隣接線の間の空間内の各点の温度は0~12℃の範囲にわたる。線902の温度は680℃を表し、線904の温度は620℃を表し、線906の温度は560℃を表し、線908の温度は560℃を表し、線910の温度は584℃を表し、線912の温度は584℃を表し、線914の温度は620℃を表す。
【0105】
前述の説明は本発明の実施形態を対象としており、本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は以下に続く請求項によって決定される。